(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】ポリシロキサザンを作製するためのプロセス、及びアミノ官能性ポリオルガノシロキサンの製造のためのその使用
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20241209BHJP
C08G 77/388 20060101ALI20241209BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20241209BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20241209BHJP
【FI】
C07F7/18 X
C08G77/388
B01J31/22 Z
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2022526484
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(86)【国際出願番号】 US2020057836
(87)【国際公開番号】W WO2021108068
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-10-16
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レッケン、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】フライフォグル、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】スチワンチャロエン、ニサラポーン
(72)【発明者】
【氏名】ジマーマン、ブレット
(72)【発明者】
【氏名】フルニエ、ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】グエン、キンマイ
(72)【発明者】
【氏名】レイシュ、ショーン
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-049793(JP,A)
【文献】特開2002-255975(JP,A)
【文献】米国特許第03146250(US,A)
【文献】国際公開第2021/108067(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C08G
B01J
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状シロキサザンを調製するためのプロセスであって、
1)
a)アリル官能性アミンと、
b)ヒドロシリル化反応を触媒することができる白金触媒と、
c)式
【化1】
[式中、
【化2】
が、二重結合及び三重結合からなる群から選択される結合を表し、下付き文字aが、1又は2であり、下付き文字bが、0又は1であり、但し、
【化3】
が二重結合である場合、a=2及びb=1であり、
【化4】
が三重結合である場合、a=1及びb=0であり、各R
1が、独立して、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
2が、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
3が、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
4が、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
5が、独立して選択される、1~15個の炭素原子の一価炭化水素基であり、R
6が、独立して選択される、1~15個の炭素原子の一価炭化水素基である]のヒドロシリル化反応促進剤と、を含む出発物質を組み合わせて、それにより、反応混合物を形成することと、その後、
2)
前記反応混合物に、
d)式
【化5】
[式中、各R
8が、独立して選択される、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基であり、下付き文字xが、1又は2である]のSiH末端シロキサンオリゴマーを添加し、それにより、前記環状シロキサザンを調製することと、を含む、プロセス
であって、
出発物質a)の前記アリル官能性アミンが、式
【化6】
[式中、各R
9
が、独立して、水素及び1~15個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される]を有する、プロセス。
【請求項2】
前記アリル官能性アミンが、2-メチル-アリルアミン及びアリルアミンからなる群から選択される、請求項
1に記載のプロセス。
【請求項3】
出発物質c)の前記促進剤が、
【化7】
(1,1,-ジメチル-2-プロペニル)オキシジフェニルシラン、
【化8】
(1-メチル-2-プロペニル)オキシジフェニルシラン、
【化9】
【化10】
からなる群から選択される、請求項1
又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
出発物質d)の前記SiH末端シロキサンオリゴマーが、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン及び1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサンからなる群から選択される、請求項1~
3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
出発物質e)の溶媒が、ステップ1)中及び/又はステップ1の後に添加される、請求項1~
4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ1)における組み合わせることが、出発物質a)、b)、及びc)を混合することと、前記反応混合物を最大110℃の温度に加熱することとによって実施される、請求項1~
5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
出発物質b)の前記白金触媒、及び出発物質c)の前記ヒドロシリル化反応促進剤が、出発物質a)の前記アリル官能性アミンを組み合わせる前に組み合わされる、請求項1~
5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
ステップ2)が、20℃~200℃、あるいは40℃~1500℃、あるいは50℃~140℃の温度で実施される、請求項1~
7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスであって、
前-1)請求項1~
8のいずれか一項に記載のプロセスを実施することによって、A)環状シロキサザンを調製することと、
1)
A)前記環状シロキサザンと、
D)シラノール官能性有機ケイ素化合物と、を含む出発物質を組み合わせて、それにより、前記アミノ官能性有機ケイ素化合物を含む反応生成物を調製することと、
任意選択で2)前記アミノ官能性有機ケイ素化合物を回収することと、
任意選択で、ステップ2)の前に、前記反応混合物にE)酸プレ触媒を添加することと、を含む、プロセス。
【請求項10】
α-アルコキシ-ω-アミノ官能性ポリシロキサンを調製するためのプロセスであって、
I)
A)請求項1~
8のいずれか一項に記載のプロセスにより調製された前記環状シロキサザンと、
B)式R
10OH[式中、R
10が、1~8個の炭素原子のアルキル基である]のアルコールと、を含む出発物質を組み合わせて、それにより、C)式
【化11】
の前記α-アルコキシ-ω-アミノ官能性ポリシロキサン
[式中、下付き文字xが、1又は2である]を含む反応生成物を調製することと、
任意選択でII)前記反応生成物を精製して、C)前記α-アルコキシ-ω-アミ
ノ官能性ポリシロキサンを回収することと、を含む、プロセス。
【請求項11】
各R
8がアルキル基であり、各R
9が水素である、請求項
10に記載のプロセス。
【請求項12】
出発物質B)の前記アルコールが、メタノール及びエタノールからなる群から選択される、請求項
10又は11に記載のプロセス。
【請求項13】
アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスであって、
前-1)請求項
10~12のいずれか一項に記載のプロセスを実施し、それにより、ステップI)で形成された前記反応生成物及び/又はステップII)で精製されたC)前記ポリシロキサンを調製することと、
1)
前記反応生成物及び/又はC)前記ポリシロキサンと、
D)シラノール官能性有機ケイ素化合物と、を含む出発物質を組み合わせて、それにより、反応生成物を調製することと、
任意選択で2)前記反応混合物を最大150℃に加熱することと、
任意選択で3)ステップ1)の後で、かつステップ2)が存在する場合はステップ2)の前に、前記反応混合物にE)酸プレ触媒を添加することと、を含む、プロセス。
【請求項14】
出発物質D)が、以下の式[式中、R
11が、OH及びR
8からなる群から選択され、下付き文字yが、
2~4000である]のシラノール官能性ポリジオルガノシロキサンを含む、請求項
13に記載のプロセス。
【化12】
【請求項15】
前記アミノ官能性有機ケイ素化合物が、式:
【化13】
[式中、R
12が、OH、R
8、及び-CH
2CH(R
9)CH
2NH
2からなる群から選択され、下付き文字n=(x+y+1)である]の一級アミノ基末端ポリジオルガノシロキサンである、請求項
14記載のプロセス。
【請求項16】
ステップ1)において、F)アミノアルキル官能性アルコキシシランを添加し、それにより、ペンダントアミノアルキル官能基を更に含む前記一級アミノ基末端ポリオルガノシロキサンを調製することを更に含む、請求項
9及び13~15のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項17】
ステップ1)においてG)末端封鎖剤を添加することを更に含む、請求項
9及び13~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2019年11月26日出願の米国仮特許出願第62/940414号の利益を主張するものである。米国仮特許出願第62/940414号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
アリル官能性アミンとSiH末端シロキサンオリゴマーとのヒドロシリル化反応を介して環状ポリシロキサザンを調製するための改善されたプロセスでは、ヒドロシリル化反応促進剤を用いる。環状ポリシロキサザンは、シラノール官能性ポリオルガノシロキサン中のシラノール基をキャッピングするのに有用である。環状ポリシロキサザン、及び/又はそれから調製されたα-アルコキシ-ω-アミノ-官能性ポリシロキサンは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
アミン末端ポリジオルガノシロキサンなどのアミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、ヘアケアなどのパーソナルケア用途に有用である。アミン末端ポリジオルガノシロキサンは、例えば、ヘアコンディショニング用途に有用であり得る。縮合によって作製されたアミン末端ポリジオルガノシロキサンは、エージング後の粘度変化及び/又はアンモニア臭気の発生によって示される不安定性の欠点に悩まされる場合があり、これはパーソナルケア用途に望ましくない。従来、一級アミン末端ポリオルガノシロキサンは、高価な出発物質及び触媒を必要とし、完了するには複数のプロセスステップを必要とするため、平衡化によって作製するのに費用がかかる。
【0004】
アミン末端ポリオルガノシロキサンを作製するための別の方法では、アリルアミン又はアリルアミンに加水分解する誘導体を使用する。これらは、SiH末端ポリマーを用いてヒドロシリル化化学反応を行い、アミン末端ポリオルガノシロキサンを形成するために使用されるが、この方法は、アミン末端ポリオルガノシロキサン生成物が、少なくとも微量のSiH又はアリルアミンを含有し得、それらのいずれかが、生成物が任意のパーソナルケア用途で使用され得る前に除去される必要があるという欠点に悩まされている。
【0005】
アミン末端ポリオルガノシロキサンを作製する別の方法は、クロロプロピル末端シロキサンのアンモニア分解によるものである。この費用がかかる多段階法は、残留塩(すなわち、塩化アンモニウム)をアミン末端ポリオルガノシロキサン生成物に残すという欠点に悩まされる場合があり、これは、除去するために大がかりな洗浄を必要とし得、これは費用対効果が悪く、持続可能性が低い。また、任意の残留塩化アンモニウムは、悪臭を放つ場合があり、これは、パーソナルケア用途に望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の欠点のうちの1つ以上を最小化又は排除する、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを作製するための新しいプロセスが望まれている。
【0007】
環状ポリシロキサザンを調製するためのプロセスは、ヒドロシリル化反応触媒及びヒドロシリル化反応促進剤の存在下でのアリル官能性アミンとSiH末端シロキサンオリゴマーとのヒドロシリル化反応を含む。環状ポリシロキサザンは、アミノ官能性シラン及び/又はポリオルガノシロキサンを作製するためのシラノール官能性シラン及び/又はポリオルガノシロキサンのキャッピング剤として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
I部.環状ポリシロキサザンの合成
環状ポリシロキサザンを調製するためのプロセスは、
1)
a)アリル官能性アミンと、
b)ヒドロシリル化反応を触媒することができる白金触媒と、
c)式
【化1】
[式中、
【化2】
は、二重結合及び三重結合からなる群から選択される結合を表し、下付き文字aは、1又は2であり、下付き文字bは、0又は1であり、但し、
【化3】
が二重結合であるとき、a=2及びb=1であり、
【化4】
が三重結合であるとき、a=1及びb=0であり、各R
1は、独立して、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
2は、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
3は、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
4は、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
5は、独立して選択される、1~15個の炭素原子の一価炭化水素基であり、R
6は、独立して選択される、1~15個の炭素原子の一価炭化水素基である]のヒドロシリル化反応促進剤(ヒドロカルビルオキシ官能性ジヒドロカルビルシラン)と、を含む出発物質を組み合わせて、
それにより、反応混合物を形成することと、その後、
2)反応混合物に、
d)式
【化5】
[式中、各R
8は、独立して選択される、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基であり、下付き文字xは、1又は2である]のSiH末端シロキサンオリゴマーを添加し、それにより、環状ポリシロキサザンを調製することと、を含む。
【0009】
出発物質a)アリル官能性アミン
環状ポリシロキサザンを作製するためのプロセスにおける出発物質a)は、アリル官能性アミンである。アリル官能性アミンは、以下の式:
【化6】
[式中、各R
9は、独立して、水素及び1~15個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子のアルキル基からなる群から選択される]を有することができる。好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシル、並びにシクロペンチル及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基を含む6個以上の炭素原子の分岐した飽和の一価ヒドロカルビル基によって例示される。あるいは、R
9についての各アルキル基は、メチルであってもよい。あるいは、各R
9はハロゲン原子であってもよい。あるいは、1分子当り少なくとも1つのR
9分子は、メチルなどのアルキル基であってもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、環状ポリシロキサザンは、R
9が水素原子であるとき、一級アミノ官能性シラン及びポリオルガノシロキサンを作製するためのシラノール官能性シラン及びポリオルガノシロキサンのキャッピング剤として使用することができると考えられる。
【0010】
アリル官能性アミンは、当該技術分野において既知であり、市販されている。例えば、式CH2=CH-CH2NH2のアリルアミン、N-アリル-メチルアミン、N-アリルシクロペンチルアミン、2-メチル-アリルアミン、及びアリルシクロヘキシルアミンは、Millipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている。あるいは、アリル官能性アミンは、アリルアミンであり得る。
【0011】
出発物質b)白金触媒
環状ポリシロキサザンを作製するためのプロセスにおける出発物質b)は、白金触媒である。白金触媒は、当該技術分野において既知であり、市販されている。
白白金媒は、白金金属であってもよい。あるいは、白金触媒は、白金金属を含有してもよい。好適な白金触媒としては、b-i)塩化白金酸(スピアー(Speier’s)触媒)、塩化白金酸六水和物、及び二塩化白金を含み得る白金金属の化合物が挙げられる。あるいは、出発物質b)は、b-ii)b-i)の化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体、又はb-iii)マトリックス若しくはコアシェル型構造内にマイクロカプセル化された白金化合物を含み得る。白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体としては、1,3-1,1,3,3-テトラメチル-ジビニル-ジシロキサンの白金錯体(カルシュテッド(Karstedt’s)触媒)、及びテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンのPt(0)錯体(アシュビー(Ashby’s)触媒)が挙げられる。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、(b-iv)樹脂マトリックスにマイクロカプセル化された、上記のような錯体であってもよい。白金触媒は、ヒドロシリル化反応を触媒するのに、及び/又は出発物質d)からのケイ素水素結合、Si-Hの脱水素カップリングに、及び出発物質a)からの窒素-水素結合、N-Hを触媒して、ケイ素窒素結合、Si-N、及び二水素、H2を生成するのに好適であり得る。白金触媒は上記に記載されているが、他の白金族金属ヒドロシリル化反応触媒も有用であり得る。これは、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択される金属を使用することを伴ってもよい。あるいは、ヒドロシリル化反応触媒は、このような金属の化合物、例えば、クロリドトリス(トリフェニルホスファン)ロジウム(I)(ウィルキンソン(Wilkinson’s)触媒)、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]ジクロロジロジウム又は[1,2-ビス(ジエチルホスピノ(diethylphospino))エタン]ジクロロジロジウムであってもよい。
【0012】
あるいは、出発物質b)のヒドロシリル化反応触媒は、i)白金金属、ii)白金の化合物、iii)化合物とオルガノポリシロキサンとの錯体、iv)マトリックス又はコアシェル型構造にマイクロカプセル化された化合物、(v)マトリックス又はコアシェル型構造にマイクロカプセル化された化合物の錯体、及びvi)それらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0013】
例示的なヒドロシリル化反応触媒は、米国特許第3,159,601号、同第3,220,972号;同第3,296,291号;同第3,419,593号;同第3,516,946号;同第3,814,730号;同第3,989,668号;同第4,784,879号;同第5,036,117号、及び同第5,175,325号、並びに欧州特許第0 347 895(B)号に記載されている。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化反応触媒及びその調製方法は、米国特許第4,766,176号及び同第5,017,654号に例示されている通り、当該技術分野において既知である。ヒドロシリル化反応触媒は市販されており、例えば、SYL-OFF(商標)4000 Catalyst及びSYL-OFF(商標)2700が、Dow Silicones Corporationから入手可能である。
【0014】
本明細書で有用な触媒の量は、プロセスで使用される他の出発物質の種類及び量を含む様々な要因に依存しているが、触媒の量は、環状ポリシロキサザンを調製するためのプロセスで使用される全ての出発物質の合計重量に基づいて、10ppm~500ppmのPt、あるいは同じ基準で20ppm~100ppm、あるいは35ppm~60ppmのPtを提供するのに十分であり得る。
【0015】
出発物質c)ヒドロシリル化反応促進剤
環状ポリシロキサザンを作製するためのプロセスにおける出発物質c)は、ヒドロシリル化反応促進剤である。出発物質c)は、ヒドロカルビルオキシ官能性ジヒドロカルビルシランであり得る。ヒドロカルビルオキシ官能性ジヒドロカルビルシランは、式:
【化7】
[式中、
【化8】
は、二重結合及び三重結合からなる群から選択される結合を表し、下付き文字aは、1又は2であり、下付き文字bは、0又は1であり、但し、
【化9】
が二重結合であるとき、a=2及びb=1であり、
【化10】
が三重結合であるとき、a=1及びb=0であり、各R
1は、独立して、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
2は、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
3は、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
4は、水素、1~15個の炭素原子のアルキル基、及び6~20個の炭素原子のアリール基からなる群から選択され、R
5は、独立して選択される、1~15個の炭素原子の一価炭化水素基であり、R
6は、独立して選択される、1~15個の炭素原子の一価炭化水素基である]を有することができる。あるいは、R
5及びR
6のうちの少なくとも1つは、アリール基であり得る。あるいは、R
5及びR
6の両方は、アリール基である。
【0016】
上記式中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6についてのアルキル基は、R9について上述した通りであり得る。好適なアリール基は、シクロペンタジエニル、フェニル、トリル、キシリル、アントラセニル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,4,6-トリイソプロピルフェニル、及びナフチルによって例示される。単環式アリール基は、炭素原子5~9個、あるいは炭素原子6~7個、あるいは炭素原子5~6個を有し得る。多環式アリール基は、炭素原子10~17個、あるいは炭素原子10~14個、あるいは炭素原子12~14個を有し得る。あるいは、アリール基は、フェニルであってもよい。あるいは、各R1、R2、及びR3は、それぞれ、水素であってもよい。あるいは、各R4は、水素及びメチルからなる群から選択されてもよい。
【0017】
あるいは、
【化11】
によって示される結合は、二重結合であってもよく、R
1、R
2、R
3、R
4は、それぞれ水素であってもよい。あるいは、R
5は、アルキル及びアリールからなる群から選択されてもよく、R
6は、アリールであってもよい。あるいは、R
5は、アリールであってもよく、R
6は、アリールであってもよい。あるいは、R
5は、メチル、2,4,6-トリメチルフェニル、及び2,4,6-トリイソプロピルフェニルからなる群から選択されてもよい。あるいは、R
6は、2,4,6-トリメチルフェニル及び2,4,6-トリイソプロピルフェニルからなる群から選択されてもよい。
【0018】
あるいは、
【化12】
によって示される結合は、三重結合であってもよく、R
1、R
2、及びR
3は、それぞれ水素であってもよい。あるいは、R
4は、水素及びアルキル、例えばメチルからなる群から選択されてもよい。あるいは、R
5は、アルキル及びアリールからなる群から選択されてもよく、R
6は、アリールであってもよい。あるいは、R
5は、アリールであってもよく、R
6は、アリールであってもよい。あるいは、R
5は、メチル、2,4,6-トリメチルフェニル、及び2,4,6-トリイソプロピルフェニルからなる群から選択されてもよい。あるいは、R
6は、2,4,6-トリメチルフェニル及び2,4,6-トリイソプロピルフェニルからなる群から選択されてもよい。
【0019】
あるいは、出発物質c)、促進剤は、
【化13】
(1,1,-ジメチル-2-プロペニル)オキシジフェニルシラン、
【化14】
(1-メチル-2-プロペニル)オキシジフェニルシラン、
【化15】
トランス-(3-フェニル-2-プロペニル)オキシ-ジメチルシラン、
【化16】
(1-メチル-2-プロペニル)オキシ-ジメチルシラン)
【化17】
(1,1-ジメチル-2-プロペニル)オキシ-ジメチルシラン)、
【化18】
アリルオキシ-ジメチルシラン、
【化19】
アリルオキシ-ジフェニルシラン、
【化20】
アリルオキシ-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)シラン、
【化21】
アリルオキシ-メチル-(2,4,6-トリ-イソプロピルフェニル)シラン、及び
【化22】
(1-メチル-2-プロピン-1-イル)オキシ-ジフェニルシランからなる群から選択されてもよい。あるいは、出発物質c)は、(1,1,-ジメチル-2-プロペニル)オキシジフェニルシラン、(1-メチル-2-プロペニル)オキシジフェニルシラン、アリルオキシ-ジフェニルシラン、アリルオキシ-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)シラン、アリルオキシ-メチル-(2,4,6-トリ-イソプロピルフェニル)シラン、及び/又は(1-メチル-2-プロピン-1-イル)オキシ-ジフェニルシランなどのヒドロカルビルオキシ官能性アリールシランであってもよい。あるいは、出発物質c)、促進剤は、アリルオキシ-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)、アリルオキシ-メチル-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)シラン、及び(1-メチル-2-プロピン-1-イル)オキシ-ジフェニルシランからなる群から選択されてもよい。
【0020】
上記の式のいくつかの好適な促進剤及びそれらの調製方法は、例えば、特開平第11209384(A)号及び特開第2002255975(A)号において既知である。あるいは、本明細書のプロセスで使用するための促進剤は、例えば、アリル官能性アルコール及びアリル官能性アミンを含む出発物質を組み合わせて、混合物を形成することと、混合物をSiH官能性ハロシランに添加すること(任意選択で溶媒(本明細書で出発物質e)として記載されるものなど)の存在下で行うことができる)と、を含む、プロセスによって合成することができる。得られた反応生成物は、例えば、促進剤を回収するために濾過、ストリッピング、及び/又は蒸留によって精製され得る。あるいは、本明細書のプロセスで使用するための促進剤は、例えば、以下に記載される参考例1及び2の方法によって合成され得る。
【0021】
あるいは、上記のヒドロカルビルオキシ官能性アリールシランなどの促進剤は、例えば、
1)
a)不飽和アルコールと、
b)アミンと、を含む出発物質を組み合わせて、
それにより、c)混合物を形成することと、
2)c)混合物を、d)SiH官能性ハロシランに添加して、それにより、f)g)促進剤を含む反応生成物を形成することと、を含む、プロセスによって合成され得る。プロセスは、任意選択で、e)溶媒の存在下で実施され得る。ステップ1)及び2)は、RTで実施されてもよく、あるいは、ステップ1)及び2)は、-20℃~40℃の温度で、あるいは0℃~20℃の温度で実施されてもよい。
【0022】
上記のプロセスは、任意選択で、ステップ3):g)促進剤を、f)反応混合物から回収することを更に含んでもよい。ステップ3)における回収は、任意の便利な手段、例えば、濾過、溶媒による洗浄、ストリッピング、及び/又は蒸留によって実施され、未反応出発物質から、存在する場合、副生成物から、及び使用される場合、e)溶媒からg)促進剤を回収することができる。プロセスステップのうちの1つ以上は、窒素などの不活性雰囲気下で実施され得る。例えば、上記のステップ1)及び2)は、任意選択で、容器ヘッドスペースを通して不活性ガスを流すことを更に含み得る。理論に束縛されることを望むものではないが、反応器ヘッドスペースを通して不活性ガスを流すことは、系から低沸点不純物を除去するのに役立ち得ると考えられる。
【0023】
出発物質a)不飽和アルコール
促進剤を調製するために使用される不飽和アルコールは、式
【化23】
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、並びに下付き文字a及びbは、上記の通りである]を有することができる。好適な不飽和アルコールは当技術分野において既知であり、市販されている。例えば、アリルアルコール及びプロパルギルアルコールは、Millipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)から入手可能である。アルコールは、出発物質d)SiH官能性ハロシランに対して1:1の比で、あるいは、1.1アルコール対1ハロシランで使用され得る。特に、プロパルギルアルコール、HC≡C-CH
2-OHの場合、-OHがSi-Hと反応して水素を生成することができ、水素ガスの生成がゆっくりと生じるため、アルコールが多すぎることを回避することが重要である。ハロゲン化物不純物が触媒の選択性を低下させるため、残留ハロシランを最小化することも重要である。アルコールが、非極性有機溶媒中のアンモニウム塩の溶解度を高め、濾過によるハロゲン化アンモニウム塩の除去の効果を少なくすることが当業者に既知であるため、最小限の過剰なアルコールを有することも重要である。
【0024】
出発物質b)アミン
促進剤を調製するためのこのプロセスにおける出発物質b)は、三級アミンであり得る。三級アミンは、トリアルキルアミンであり得る。トリアルキルアミンは、式NR21
3[式中、各R21は、2~16個の炭素原子、あるいは2~12個の炭素原子、あるいは2~8個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子の独立して選択されるアルキル基である]を有することができる。あるいは、トリアルキルアミンは、トリエチルアミンであり得る。三級アミンは、当該技術分野において公知であり、例えば、Millipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている。あるいは、出発物質b)は、ピリジン及びその誘導体を含んでもよい。出発物質b)は、出発物質d)SiH官能性ハロシランに対して1:1のモル比で使用することができ、あるいは出発物質b)及びd)の量は、b):d)比が1.5:1であるようなものであってもよく、あるいは、1:1~1.1:1であるようなものであってもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、d)SiH官能性ハロシランのハロゲン化物の消費を最大化するために、十分な量の出発物質b)(例えば、トリアルキルアミン)を有することが重要であると考えられる。理論に束縛されることを望むものではないが、非極性有機溶媒中のアンモニウム塩の溶解度を高め、濾過によるハロゲン化アンモニウム塩の除去の効果を少なくするために、最小限の過剰量の出発物質b)(例えば、トリアルキルアミン)を有することも重要であると考えられる。
【0025】
出発物質d)SiH官能性ハロシラン
促進剤を調製するためのこのプロセスにおける出発物質d)は、SiH官能性ハロシランである。SiH官能性ハロシランは、式
【化24】
[式中、R
5及びR
6は、上記の通りであり、Xは、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択されるハロゲン原子であり、あるいは、F、Cl、及びBrであり、あるいは、Cl及びBrであり、あるいは、Clであり、あるいはBrである]を有することができる。好適なSiH官能性ハロシランの例としては、ジフェニルクロロシラン(Ph
2HSiCl)、フェニルメチルクロロシラン(PhMeHSiCl)、クロロ-メチル-(2,4,6-トリ-イソプロピル-フェニル)シラン、及びクロロ-ジ-(2,4,6-トリメチルフェニル)シランが挙げられる。好適なSiH官能性ハロシランは市販されている。例えば、ジフェニルクロロシランは、Millipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)から入手可能である。あるいは、SiH官能性ハロシランは、ヒドリドハロシラン(例えば、式H
dR
22
eSiX
(4-d-e)(式中、Xは、上記の通りであり、R
22は、1~18個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子のアルキル基、あるいはメチルであり、下付き文字dは、1又は2であり、下付き文字eは、0又は1であり、量(d+e)<4である)と、アリールマグネシウムブロミドなどのアリールグリニャール試薬との、エーテル及び任意選択で出発物質e)について本明細書に記載されるような溶媒の存在下でのグリニャール反応などの既知の方法によって合成されてもよい。当業者は、米国特許第7,456,308号及び米国特許第7,351,847号、並びにその中に引用される参考文献に開示されるものなどのプロセスを使用して、適切な出発物質を変化させることによって、上記のSiH官能性ハロシランを調製することができる。
【0026】
出発物質e)溶媒
SiH官能性ハロシランである促進剤を調製するためのこのプロセスにおける出発物質e)は、プロセスのステップ1)及び/又はステップ2)中に及び/又はそれらの後に任意選択で添加され得る溶媒である。好適な溶媒としては、ポリアルキルシロキサン、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、ミネラルスピリット、ナフサ、又はそれらの組み合わせが挙げられる。好適な蒸気圧を有するポリアルキルシロキサンは、溶媒として使用することができ、これらとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、及び他の低分子量ポリアルキルシロキサン、例えば、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,U.S.A)から市販されている、0.5~1.5cStのDOWSIL(商標)200FLUIDS及びDOWSIL(商標)OS FLUIDSが挙げられる。
【0027】
あるいは、出発物質e)は有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒は、ベンゼン、トルエン、又はキシレンなどの芳香族系炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、又はオクタンなどの脂肪族炭化水素;ミネラルスピリット;ナフサ;又はそれらの組み合わせであり得る。
【0028】
溶媒の量は、選択される溶媒の種類、本明細書に記載のプロセスのために選択される他の出発物質の量及び種類など、様々な要因に応じて異なる。しかしながら、溶媒の量は、出発物質a)、b)、c)、d)及びe)の合計重量に基づいて、0重量%~95重量%であり得る。溶媒は、例えば、1つ以上の出発物質の混合及び送達を容易にするために、ステップ1)及び/又はステップ2)中に添加してもよい。プロセスは、任意選択で、ステップ2)の後に溶媒の全部又は一部分を除去することを更に含み得る。
【0029】
あるいは、上記の促進剤は、例えば、出発物質としてa)式M-O-CH2-CH=CH2の化合物(式中、Mは、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から選択される)と、出発物質d)上記のSiH官能性ハロシランとを1:1の比で使用することを含む、プロセスによって合成されてもよい。あるいは、上記のヒドロカルビルオキシ官能性アリールシランは、例えば、出発物質として、a)式M’-(O-CH2-CH=CH2)2;(式中、M’は、対応する金属ハロゲン化物塩を与えるMg、Ca、Sr、Baである)を使用することを含む、プロセスによって合成されてもよい。
【0030】
促進剤は、白金対促進剤比≧1:3、あるいは≧1:5、あるいは≧1:8を提供するのに十分な量で使用される。しかしながら、反応混合物中の促進剤の量は、試薬、触媒、溶媒、及び促進剤の総質量の5質量%未満である必要がある。促進剤の例(及び実施例で論じられる促進剤の頭字語)を以下の表1に示す。
【表1】
【0031】
出発物質d)SiH末端シロキサンオリゴマー
環状ポリシロキサザンを作製するためのプロセスにおける出発物質d)は、SiH末端シロキサンオリゴマーである。オリゴマーは、式
【化25】
[式中、各R
8は、独立して選択される、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基であり、下付き文字xは、1又は2である]を有することができる。各R
8は、アルキル基又はアリール基であってもよい。R
8に好適なアルキル基は、R
9について上に記載したものによって例示される。R
8に好適なアリール基は、シクロペンタジエニル、フェニル、トリル、キシリル、アントラセニル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、及びナフチルによって例示される。単環式アリール基は、炭素原子5~9個、あるいは炭素原子6~7個、あるいは炭素原子5~6個を有し得る。多環式アリール基は、炭素原子10~17個、あるいは炭素原子10~14個、あるいは炭素原子12~14個を有し得る。あるいは、R
8についてのアリール基は、フェニルであってもよい。あるいは、各R
8は、アルキル基、あるいはメチルであってもよい。あるいは、SiH末端シロキサンオリゴマーは、それぞれ、Dow Silicones Corporation(Midland,MI,USA)及びGelest,Inc.(Morrisville,PA,USA)から入手可能な、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン及び1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサンからなる群から選択され得る。出発物質a)及びd)の量は、アリル官能性アミン対オリゴマー比が5:1~1:2、あるいは2:1~1:1.2、あるいは1.2:1~1:1.1の範囲であり得るような量である。
【0032】
出発物質e)溶媒
環状ポリシロキサザンを調製するためのプロセスにおける出発物質e)は、プロセスのステップ1)中及び/又はステップ1の後に任意選択で添加され得る溶媒である。好適な溶媒としては、ポリアルキルシロキサン、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、グリコールジアルキルエーテル、ジアルキルエーテル、アルキル-ポリグリコールエーテル、環状アルキルエーテル、テトラヒドロフラン、ミネラルスピリット、ナフサ、又はそれらの組み合わせが挙げられる。好適な蒸気圧を有するポリアルキルシロキサンは、溶媒として使用することができ、これらとしては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、及び他の低分子量ポリアルキルシロキサン、例えば、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,U.S.A)から市販されている、0.5~1.5cStのDOWSIL(商標)200FLUIDS及びDOWSIL(商標)OS FLUIDSが挙げられる。
【0033】
あるいは、出発物質e)は有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒は、ベンゼン、トルエン、又はキシレンなどの芳香族系炭化水素;ヘプタン、ヘキサン、又はオクタンなどの脂肪族炭化水素;テトラグリム、又はエチレングリコールn-ブチルエーテル、ジ-nブチルエーテル、テトラヒドロフラン;ミネラルスピリット;ナフサ;又はそれらの組み合わせであり得る。
【0034】
溶媒の量は、選択される溶媒の種類、上記のプロセスで使用するために選択される他の出発物質の量及び種類など、様々な要因に応じて異なる。しかしながら、溶媒の量は、出発物質a)、b)、c)、d)及びe)の合計重量に基づいて、0重量%~50重量%であり得る。溶媒は、例えば、1つ以上の出発物質の混合及び送達を容易にするために、ステップ1)及び/又はステップ2)中に添加してもよい。例えば、触媒を溶媒中に送達してもよい。プロセスは、任意選択で、ステップ2)の後に溶媒の全部又は一部分を除去することを更に含み得る。
【0035】
プロセスステップに関する追加の詳細
本明細書に記載のプロセスのステップ1)は、上記のように、a)アリル官能性アミン、b)ヒドロシリル化反応を触媒することができる白金触媒、c)ヒドロシリル化反応促進剤及び任意選択でe)溶媒を含む出発物質を組み合わせることを含む。ステップ1での組み合わせることは、出発物質a)、b)、及びc)を混合して反応混合物を形成することと、反応混合物を150℃、あるいは最大120℃、あるいは最大110℃、あるいは最大95℃、あるいは50℃~150℃の温度に加熱することとによって実施され得る。
【0036】
あるいは、出発物質b)、白金触媒、及び出発物質c)のヒドロシリル化反応促進剤は、ステップ1)で出発物質a)、アリル官能性アミンを組み合わせる前に組み合わされてもよい。例えば、出発物質b)及び出発物質c)は、ステップ1)で出発物質a)と組み合わせる前に、任意選択で、溶媒の存在下、周囲条件(RT及び周囲圧力)の下で、少なくとも1日間、あるいは少なくとも1週間、あるいは2週間、あるいは1ヶ月、あるいは少なくとも4時間、あるいは4時間~4ヶ月間混合することによって組み合わされてもよい。出発物質c)が炭素-炭素三重結合を含有する場合、それは、得られた混合物を出発物質a)アリル官能性アミン又はd)SiH末端シロキサンオリゴマーのいずれかと組み合わせる前に、出発物質b)白金触媒と組み合わされる。出発物質b)及びc)を組み合わせることによって調製された混合物は、出発物質a)又は出発物質d)と組み合わせる前に、室温で少なくとも1週間、あるいは2週間、あるいは1ヶ月間エージングされ得る。あるいは、出発物質b)及びc)が高温、例えば>30℃~90℃で混合される場合、エージング時間が短縮されてもよい。
【0037】
環状ポリシロキサザンを作製するためのプロセスのステップ2)において、ステップ2)は、20℃~200℃、あるいは50℃~150℃、あるいは70℃~110℃、あるいは70℃~<110℃の温度で実施され得る。理論に束縛されることを望むものではないが、経時的に、少しずつ又はゆっくりとSi末端シロキサンオリゴマーを添加することは、本明細書に記載のプロセスの安全性を改善し得ると考えられる。温度及び反応物質の添加を制御することにより、制御されていない発熱反応の可能性を最小限に抑えることができる。
【0038】
プロセスは、任意選択で、ステップ2)の後に、ステップ3)環状ポリシロキサザンを精製することを更に含んでもよい。例えば、上記のプロセスは、環状ポリシロキサザン、未反応出発物質、及び使用される場合、溶媒を含む粗生成物を生成し得る。ステップ3)は、例えば、最大120℃まで加熱することによって、任意選択で真空下でのストリッピング及び/又は蒸留によって実施することができる。
【0039】
環状シロキサザン
上記のプロセスでは、環状シロキサザンを生成する。環状シロキサザンは、
【化26】
(下付き文字x=0の場合)及び
【化27】
(下付き文字x=1の場合)からなる群から選択される一般式を有する[式中、R
8及びR
9は、上記の通りである]。
【0040】
例えば、SiH末端シロキサンオリゴマーが1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンであり、アリル官能性アミンがアリルアミンである(各R
8がメチルであり、各R
9が水素である)場合には、環状ポリシロキサザンは、式:
【化28】
を有し、これは、-SiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-と略され得(すなわち、1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタン)、SiH末端シロキサンオリゴマーが1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサンであり、アリル官能性アミンがアリルアミンである(各R
8がメチルであり、各R
9が水素である)場合には、環状ポリシロキサザンは、式:
【化29】
を有し、これは、-SiMe
2OSiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-と略され得る(すなわち、1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-2,4-ジ-オキサ-9-アザ-1,3,5-トリシラシクロノナン)。
【0041】
あるいは、SiH末端シロキサンオリゴマーが1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンであり、アリル官能性アミンがN-アリル-N,N-ジメチルアミンである場合、環状ポリシロキサザンは、式:
【化30】
を有し、SiH末端シロキサンオリゴマーが1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサンであり、アリル官能性アミンがN-アリル-N,N-ジメチルアミンである場合、環状ポリシロキサザンは、式
【化31】
を有する。
【0042】
あるいは、SiH末端シロキサンオリゴマーが1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンであり、アリル官能性アミンが2-メチル-アリルアミンである場合、環状ポリシロキサザンは、式:
【化32】
を有し、これは-SiMe
2OSiMe
2CH
2CH(CH
3)CH
2NH-と略され得る(すなわち、1,1,3,3,5-ペンタメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3,5-ジシラシクロヘプタン)。また、SiH末端シロキサンオリゴマーが1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサンであり、アリル官能性アミンが2-メチル-アリルアミンである場合、環状ポリシロキサザンは、式
【化33】
を有し、すなわち、1,1,3,3,5,5,7-ヘプタメチル-2,3-ジ-オキサ-9-アザ-1,3,5-トリシラシクロノナンである。上記のプロセスによって調製された環状ポリシロキサザンは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するのに有用である。
【0043】
理論に束縛されることを望むものではないが、本明細書に記載のプロセスは、有益な純度プロファイルを有する環状ポリシロキサザンを生成し得ると考えられる。例えば、環状ポリシロキサザンは、<100ppmのSiH含有量、<100ppmの不飽和オレフィン含有量、及び/又は<50ppmのアリル官能性アミン含有量を有することができ、当該含有量は、以下の実施例で記載されるように、GC-FID、GC-質量分析、1H NMR、13C NMR及び29Si NMRによって測定された(不純物は50ppmの保守的機器検出限界で検出不能)。更に、この純度プロファイルは、パーソナルケア用途での使用に好適なアミノ官能性ポリオルガノシロキサンを形成するのに有益であると考えられる。アリル官能性アミン及びSiH含有成分は、概して、ヘアケア組成物などのパーソナルケア組成物において望ましくない。したがって、上記の環状ポリシロキサザンは、シラノール末端ポリジメチルシロキサンなどのシラノール官能性ポリオルガノシロキサンをキャッピングして、それによりパーソナルケア組成物での使用に好適なアミノ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するするのに有用である。更に、本発明者らは、驚くべきことに、環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-の合成中に、新しい中間体が形成されることを見出した。この中間体は、式H2N(C3H6)SiMe2OSiMe2NH-CH2CH=CH2を有していた。
【0044】
II部.アミノ官能性ポリオルガノシロキサンの調製
A.環状ポリシロキサザンを使用してアミノ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するためのプロセス
アミノ官能性有機ケイ素化合物(例えば、アミノ官能性シラン及び/又はアミノ官能性ポリオルガノシロキサン)を調製するためのプロセスは、
1)
A)上記のように調製された環状ポリシロキサザンと、
D)D-I)シラノール官能性シラン、D-II)シラノール官能性ポリオルガノシロキサン、又はD-I)とD-IIとの両方からなる群から選択され得るシラノール官能性有機ケイ素化合物と、を含む出発物質を組み合わせて、それにより、アミノ官能性有機ケイ素化合物を含む反応生成物を調製することと、
任意選択で2)アミノ官能性有機ケイ素化合物を回収することと、を含む。
【0045】
出発物質D-I)シラノール-官能性シラン
シラノール官能性シランは、式HOSiR21R22R23[式中、R21、R22、及びR23は、R8について上述され例示されたように、各々独立して選択される、1~18個の炭素原子の一価炭化水素基である]を有することができる。あるいは、R21、R22、及びR23は、それぞれ、1~15個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子のアルキル基であってもよい。あるいは、R21、R22、及びR23は、各々独立して、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシル、またシクロペンチル及びシクロヘキシルなどのシクロアルキル基を含む6個以上の炭素原子の分岐した飽和の一価ヒドロカルビル基であってもよい。あるいは、R21、R22、及びR23についての各アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、又はブチルであってもよく、あるいは、エチル又はプロピルであってもよい。シラノール官能性シランは、当該技術分野において既知であり、市販されている。例えば、トリエチルシラノール及びトリイソプロピルシラノールは、Millipore Sigma(St.Louis,Missouri,USA)から市販されている。
【0046】
出発物質D-II)シラノール官能性ポリジオルガノシロキサン
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するためのプロセスにおける出発物質D-II)は、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンを含む。シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、1分子当り少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル(シラノール)基を有する。シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、直鎖状、分岐状、部分的に分岐状、環状、樹脂状(すなわち、三次元網目を有する)であってもよく、又は異なる構造の組み合わせを含んでもよい。例えば、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンが少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシル基を含む限り、M、D、T、及び/又はQ単位の任意の組み合わせを含んでもよい。これらのシロキシ単位を様々な方法で組み合わせて、環状、直鎖状、分岐状、及び/又は樹脂状(三次元網目状)の構造を形成することができる。あるいは、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、シラノール官能性ポリジオルガノシロキサンであってもよい。シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、末端位置、ペンダント位置、又は末端及びペンダント位置の両方でシラノール基を有し得る。
【0047】
シラノール基は、シラノール官能性ポリオルガノシロキサン中に存在する任意のM、D、及び/又はT単位に存在してもよく、同じケイ素原子(M及び/又はDシロキシ単位の場合)に結合してもよい。シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、M単位として、(R8
3SiO1/2)、(R8
2(OH)SiO1/2)、(R8(OH)2SiO1/2)、及び/又は((OH)3SiO1/2)[式中、R8は上記の通りである]を含むことができる。シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、D単位として、(R8
2SiO2/2)、(R8(OH)SiO2/2)、及び/又は((OH)2SiO2/2)を含むことができる。シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、例えば、T単位として、(R8SiO3/2)、及び/又は((OH)SiO3/2)を含むことができる。そのようなシロキシ単位は、1分子当り少なくとも1つのケイ素結合OH基を有するシラノール官能性ポリオルガノシロキサンを得るために、任意選択でQ単位と共に任意の方法で組み合わせることができる。
【0048】
D-II)シラノール官能性ポリオルガノシロキサンがT単位及び/又はQ単位を含む場合、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、分岐状又は樹脂状である。シラノール官能性ポリオルガノシロキサンが分岐又は樹脂状である場合、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、典型的には、M単位及び/又はD単位と組み合わせてT単位及び/又はQ単位を含むコポリマーである。例えば、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、DT樹脂、MT樹脂、MDT樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、MDTQ樹脂、DQ樹脂、MQ樹脂、DTQ樹脂、MTQ樹脂、又はMDQ樹脂とすることができる。あるいは、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、直鎖状であってもよく、その場合、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、M単位と組み合わせてD単位を含むシラノール官能性ポリジオルガノシロキサンである。
【0049】
出発物質D-II)についてのシラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、シラノール官能性ポリジオルガノシロキサンであってもよい。シラノール官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(D1):(R8
3SiO1/2)e(R8
2SiO2/2)f(R8(OH)SiO2/2)g(R8
2(OH)SiO1/2)h[式中、R8は上記の通りであり、下付き文字は、2≧e≧0、4000≧f≧0、4000≧g≧0、及び2≧h≧0であるような値を有し、但し、数量(e+h)=2、数量(g+h)≧2、及び数量4≦(e+f+g+h)≦8000である]を有し得る。あるいは、4≦(e+f+g+h)≦4000である。あるいは、10≦(e+f+g+h)≦2,000である。あるいは、下付き文字e~hは、25℃で測定される8mPa・s~100、000,000mPa・s、あるいは、8mPa・s~40,000,000mPa・s、70mPa・s~1,000,000mPa・s、あるいは70mPa・s~500,000mPa・s、あるいは10mPa・・s~150,000mPa。s、あるいは70mPa・s~16,000mPa・sの粘度を有するシラノール官能性ポリジオルガノシロキサンを提供するのに十分な値を有し得る。あるいは、各R8は、アルキル及びアリールから選択されてもよい。あるいは、各R8は、メチル及びフェニルから選択されてもよい。あるいは、全てのR8基の少なくとも80%は、メチルである。
【0050】
あるいは、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、シラノール末端ポリジオルガノシロキサンであってもよい。シラノール末端ポリジオルガノシロキサンは、式(D2)、
【化34】
[式中、R
11は、OH及びR
8からなる群から選択され、下付き文字yは、25℃で測定される8mPa・s~100,000,000mPa・s、あるいは、8mPa・s~40,000,000mPa・s、70mPa・s~1,000,000mPa・s未満、あるいは70mPa・s~500,000mPa・s、あるいは、70mPa・s~500,000mPa・s、あるいは10mPa・s~150,000mPa・s~150,000mPa・s、70mPa・s~16,000mPa・sの粘度を有するシラノール官能性ポリジオルガノシロキサンを提供するのに十分な値を有する(あるいは、yは、2~4000であってもよく、あるいはyは、2~2000であってもよい)]を有することができる。出発物質A)としての使用に好適なシラノール末端ポリジオルガノシロキサンは、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は、環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化といった、当該技術分野において既知の方法により調製され得る。
【0051】
あるいは、シラノール官能性ポリオルガノシロキサンは、シラノール官能性ポリシロキサン樹脂であってもよい。ポリシロキサン樹脂は、単位式(D3):(R20
3SiO1/2)A(R20
2SiO2/2)B(R20SiO3/2)C(SiO4/2)D[式中、下付き文字A、B、C及びDは、0≦A≦0.6、0≦B≦0.5、0≦C≦1、0≦D≦1であるような値を有するモル分率であり、但し、数量(C+D)>0である]を有し得る。ポリシロキサン樹脂において、各R20は、独立して、R8について上述したような一価炭化水素基又は加水分解性基(例えば、ヒドロキシル基又はアルコキシ基)である。1分子当り少なくとも1つのR20は、加水分解性基である。好適な加水分解性基としては、ヒドロキシル;メトキシ及びエトキシなどのアルコキシ;イソプロペニルオキシなどのアルケニルオキシ;アセトアミドキシなどのアミドキシ;及びN,N-ジメチルアミノキシなどのアミノキシが挙げられる。
【0052】
あるいは、ポリシロキサン樹脂は、(D4)ポリオルガノシリケート樹脂又は(D5)シルセスキオキサン樹脂であり得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、式R20
3SiO1/2(式中、R20は上記の通りである)の一官能性単位(「M」単位)、及び式SiO4/2の四官能性シリケート単位(「Q」単位)を含む。あるいは、ポリオルガノシリケート樹脂において、R20の一価炭化水素基は、R8について上述したものなどのアルキル、アルケニル及びアリールからなる群から独立して選択され得る。あるいは、R20についての一価炭化水素基は、アルキル及びアリールから選択され得る。あるいは、R20についての一価炭化水素基は、メチル及びフェニルから選択され得る。あるいは、R20基の少なくとも1/3、あるいは少なくとも2/3がメチル基である。あるいは、ポリオルガノシリケート樹脂中のM単位は、(Me3SiO1/2)及び(Me2PhSiO1/2)により例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、環状ポリシロキサザンを調製するためのプロセスにおいて、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びヘプタンなどの液体炭化水素、又は低粘度直鎖及び環状ポリジオルガノシロキサン(出発物質eについて上述した溶媒など)などの液体有機ケイ素化合物によって例示される溶媒に可溶性である。
【0053】
調製された場合、ポリオルガノシリケート樹脂は、上記のM単位及びQ単位を含み、ポリオルガノシロキサンはケイ素結合ヒドロキシル基を有する単位を更に含み、式Si(OSiR20
3)4[式中、R20は上記の通りである]を含んでもよく、例えば、ネオペンタマーはテトラキス(トリメチルシロキシ)シランであってもよい。29Si NMRスペクトル法(下記のように)を用いて、M単位及びQ単位のヒドロキシル含有量及びモル比を測定することができ、この比は、M単位及びQ単位をネオペンタマーから外した{M(樹脂)}/{Q(樹脂)}として表される。M:Q比は、ポリオルガノシリケート樹脂における樹脂性部分のトリオルガノシロキシ基(M単位)の総数の、樹脂性部分中のシリケート基(Q単位)の総数に対するモル比を表す。M:Q比は、0.5:1~1.5:1、あるいは0.6:1~0.9:1であってもよい。
【0054】
MQシリコーン樹脂は、5.0%以下、あるいは0.7%以下、あるいは0.3%以下の、式X”SiO3/2[式中、X”は、ヒドロキシルなどの加水分解性基;メトキシ及びエトキシなどのアルコキシ;イソプロペニルオキシなどのアルケニルオキシ;アセトアミドキシなどのアミドキシ;及びN,N-ジメチルアミノキシなどのアミノキシを表す]によって表される末端単位を含有し得る。シリコーン樹脂中に存在するシラノール基の濃度は、1H NMR及び/又は29Si NMR使用して決定することができる。
【0055】
MQシリコーン樹脂の所望の流動特性を達成するためのMnは、少なくとも部分的に、シリコーン樹脂のMn及びこの出発物質中に存在するR20により表される炭化水素基の種類に依存し得る。MQシリコーン樹脂のMnは、典型的には1,000Da超、あるいは1,000Da~15,000Da、あるいは>3,000Da~8,000Da、あるいは4,500~7,500Daである。
【0056】
MQシリコーン樹脂は、任意の好適な方法により調製することができる。この種類のシリコーン樹脂は、報告によると、対応するシランの共加水分解により、又は当該技術分野において既知のシリカヒドロゾルキャッピング法(silica hydrosol capping methods)により、調製されている。簡単に述べると、この方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルをトリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン又はそれらの組み合わせと反応させることと、M及びQ単位を含む生成物(MQ樹脂)を回収することと、を伴う。得られるMQ樹脂は、2~5重量%のケイ素結合ヒドロキシル基を含有し得る。
【0057】
ポリオルガノシリケート樹脂を調製するために使用される中間体は、トリオルガノシラン及び4つの加水分解性置換基を有するシラン又はアルカリ金属シリケートであってもよい。トリオルガノシランは、式R8
3SiX1[式中、R8は上記の通りであり、X1は、X”について上述したものなどの加水分解性置換基を表す。]を有することができる。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX2
4(式中、各X2は、ハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルである)を有することができる。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0058】
上記のように調製されたポリオルガノシリケート樹脂は、典型的には、ケイ素結合ヒドロキシル基、すなわち、式HOSi3/2、(HO)2Si2/2、(HO)3Si1/2、及び/又はHOR20
2SiO1/2を含有する。ポリオルガノシリケート樹脂は、FTIR分光法によって測定される、最大5%のケイ素結合ヒドロキシル基を含んでもよい。特定の用途では、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、0.7%未満、あるいは0.3%未満、あるいは1%未満、あるいは0.3%~0.8%であることが望ましい場合がある。ポリオルガノシリケート樹脂の調製中に形成されるケイ素結合ヒドロキシル基は、シリコーン樹脂を、適切な末端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンと反応させることによってトリ炭化水素シロキサン基又は異なる加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランは、ポリオルガノシリケート樹脂のケイ素結合ヒドロキシル基と反応させるのに必要な量のモル過剰量で添加することができる。
【0059】
一実施形態では、出発物質D)は、(D6)単位式(R20
3SiO1/2)c(R20
2SiO2/2)d(SiO4/2)e[式中、下付き文字c、d、及びeは、0<c<0.6、0≦d<0.5、0.4<e<1であるような値を有するモル分率であり;R20は、上記の通りであり、但し、1分子当り少なくとも1つのR20は、(D6)中の加水分解性基である]を含むポリオルガノシリケート樹脂を含む。あるいは、R20についての加水分解性基は、ヒドロキシル基又はアルコキシ基、例えば、メトキシ又はエトキシから選択され、あるいは加水分解性基は、ヒドロキシル基である。
【0060】
様々な好適なポリオルガノシリケート樹脂が、Dow Silicones Corporation(Midland,MI,U.S.A.)、Momentive Performance Materials(Albany,N.Y.,U.S.A.)及びBluestar Silicones USA Corp.(East Brunswick,N.J.,U.S.A.)などの供給元から市販されている。例えば、DOWSIL(商標)MQ-1600固体樹脂、DOWSIL(商標)MQ-1601固体樹脂、及びDOWSIL(商標)1250界面活性剤、Momentive SR-1000及びWacker TMS-803(これらの全てがDow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている)が、本明細書に記載されている方法での使用に好適である。あるいは、DOWSIL(商標)MQ-1640 Flake樹脂などのM、T及びQ単位を含有する樹脂が使用され得る。これもDow Silicones Corporationから市販されている。このような樹脂は、有機溶媒中にある状態で提供されることがある。
【0061】
あるいは、ポリシロキサン樹脂は、(D7)シルセスキオキサン樹脂、すなわち、式(R20SiO3/2)のT単位を含む樹脂[式中、R20は、上記の通りであり、但し、1分子当り少なくとも1つのR20は、(D7)中の加水分解性基である]を含み得る。本明細書での使用に好適なシルセスキオキサン樹脂は、当該技術分野において既知であり、市販されている。例えば、メチルメトキシシロキサンメチルシルセスキオキサン樹脂は、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,U.S.A.)からDOWSIL(商標)US-CF 2403樹脂として市販されている。あるいは、シルセスキオキサン樹脂は、フェニルシルセスキオキサン単位、メチルシルセスキオキサン単位、又はこれらの組み合わせを有してもよい。このような樹脂は、当該技術分野において既知であり、これもまたDow Silicones CorporationからDOWSIL(商標)200 Flake樹脂として市販されている。あるいは、シルセスキオキサン樹脂は、式(R8
2SiO2/2)及び/又は(R8X”SiO2/2)のD単位、並びに式(R8SiO3/2)及び/又は(X”SiO3/2)のT単位[式中、R8及びX”は上記の通りである]、すなわちDT樹脂を更に含んでよい。DT樹脂は当該技術分野において既知であり、市販されており、例えば、メトキシ官能性DT樹脂としては、DOWSIL(商標)3074及びDOWSIL(商標)3037樹脂が挙げられ、シラノール官能性樹脂としては、DOWSIL(商標)800 Series樹脂が挙げられ、これらもまたDow Silicones Corporationから市販されている。他の好適な樹脂としては、メチル及びフェニル基を含有するDT樹脂が挙げられる。
【0062】
出発物質D)は、1つのシラノール官能性有機ケイ素化合物であってもよく、又は以下の特性、すなわち構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位、及び配列のうちの少なくとも1つが異なる2つ以上のシラノール官能性有機ケイ素化合物を含んでもよい。あるいは、出発物質D)は、2つ以上のポリオルガノシリケート樹脂の混合物を含んでもよい。あるいは、出発物質D)は、ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサン及びポリオルガノシリケート樹脂などの2つ以上のシラノール官能性ポリオルガノシロキサンの混合物を含んでもよい。あるいは、出発物質D)は、シラノール官能性シランとシラノール官能性ポリオルガノシロキサンとの混合物を含んでもよい。あるいは、出発物質D)は、2つ以上のシルセスキオキサン樹脂の混合物を含んでもよい。
【0063】
出発物質の量は、選択された出発物質D)の種及びそのシラノール含有量を含む様々な要因に依存する。例えば、出発物質D)が直鎖シラノール官能性ポリジオルガノシロキサンを含む場合、1:1~1:1.25の、SiOHの環状シロキサザンに対するモル比を使用することができる。あるいは、出発物質D)のシラノール含有量に対して2%~5%のモル過剰の環状シロキサザンを使用してもよく、あるいは最大20%モル過剰のシラノールを使用してもよい。出発物質D-II)のシラノール含有量に対する化学量論量以下の環状シロキサンの添加により、残留シラノール官能性ポリオルガノシロキサン、末端アミン官能性ポリオルガノシロキサン、及びシラノールと有機アミノ官能性末端との両方を有するポリオルガノシロキサンとの反応生成物混合物を得ることができる。樹脂状出発物質D-II)については、平均5%~30%の残留シラノールが消費されない場合があり、最大>99%が典型的にはキャッピングされ得る。
【0064】
ステップ1)上記のアミノ官能性有機ケイ素ポリオルガノシロキサンを調製するためのプロセスにおいて(A)及びD)を含む出発物質を組み合わせること)は、任意選択で加熱と共に混合などの任意の便利な手段によって実施することができる。混合及び加熱は、撹拌式ジャケット付きバッチ反応器又はジャケット付き再沸器を備えた反応蒸留装置などの容器に出発物質を投入するなどの任意の便利な手段を用いて実施することができ、これらのジャケットは、ジャケットを通して、蒸気/水又は熱伝達流体を通過させることによって加熱及び冷却することができる。プロセスは、少なくとも50℃、あるいは少なくとも85℃、あるいは少なくとも90℃の温度で実施されてもよい。あるいは、ステップ1)における加熱は、50℃~150℃、あるいは85℃~150℃、あるいは90℃~150℃で実施されてもよい。プロセスは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを形成するために十分な時間にわたって実施される。
【0065】
ステップ1)において、出発物質A)及び出発物質D)のうちの一方は、出発物質A)及び出発物質D)のうちの他方を入れた容器に連続的又は少しずつ添加され得る。そのような添加は、手動で又は計量機器を使用して実施され得る。
【0066】
上記プロセスは、任意選択で、1つ以上の追加のステップを更に含んでもよい。プロセスは、任意選択で、ステップ3)1つ以上の追加の出発物質を、ステップ1)における反応混合物に添加することを更に含んでもよい。あるいは、ステップ3)は、ステップ1)中及び/又はステップ1)の後かつステップ2)の前に実施してよい。追加の出発物質は、E)酸プレ触媒、F)アミノアルキル官能性アルコキシシラン、G)末端封鎖剤、H)溶媒、及びE)、F)、G)、及びH)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0067】
出発物質E)酸プレ触媒
アミノ基末端ポリジオルガノシロキサンを調製するためのプロセスにおける出発物質E)は、酸プレ触媒を含む。この酸プレ触媒は、カルボン酸であり得る。理論に束縛されることを望むものではないが、カルボン酸は、環状ポリシロキサザン(又は存在する場合、以下に記載されるα-アルコキシ-ω-アミノ官能性ポリシロキサン)中のアミノ官能基と反応して、カルボン酸塩触媒を形成すると考えられる。カルボン酸は、広範囲のカルボン酸から選択することができる。カルボン酸は、例えば、1~20個の炭素原子、あるいは2~20個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸であり得る。例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、デカン酸、又はラウリン酸は、本明細書での使用に好適である。あるいは、ヒドロキシルなどの親水性基で置換された脂肪族カルボン酸、例えば、乳酸を使用することができる。あるいは、電子求引性部分、例えば、フッ素若しくは塩素などのハロゲン又はヒドロキシル基で置換されたカルボン酸を使用してもよく、電子求引性部分によって置換されたそのような酸の例は、乳酸及びフルオロアルカン酸、例えばフルオロ酢酸又は4,4,4-トリフルオロブタン酸である。他の好適なカルボン酸としては、安息香酸、クエン酸、マレイン酸、ミリスチン酸、及びサリチル酸が挙げられる。あるいは、上記カルボン酸のうちの2つ以上の組み合わせを使用してよい。
【0068】
F)アミノアルキル官能性アルコキシシラン
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するためのプロセスは、任意選択で、出発物質F)、アミノアルキル官能性アルコキシシランを添加することを更に含み得る。理論に束縛されることを望むものではないが、F)アミノ官能性アルコキシシランを添加することは、アミノ官能性有機ケイ素生成物を提供し、これは、ペンダントアミノ官能基を更に含むアミノ基末端ポリオルガノシロキサンであり得る。
【0069】
出発物質F)は、アミノアルキル基及びSiに結合したアルコキシ基を含有する。アミノアルキル基は、式(F1):R
13-(NH-A’)
q-NH-A-[式中、A及びA’は各々独立して、1~6個の炭素原子を有し、任意選択でエーテル結合を含有する直鎖状又は分枝状アルキレン基であり、下付き文字qは、0~4であり、R
13は、水素、アルキル基、又は1~4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基である]を有してもよい。あるいは、R
13は水素であってもよい。qは0又は1でもよく、A及びA’(存在する場合)は各々2~4個の炭素原子を含有する。好適なアミノアルキル基の例としては、-(CH
2)
3NH
2、-(CH
2)
4NH
2、-(CH
2)
3NH(CH
2)
2NH
2、-CH
2CH(CH
3)CH
2NH(CH
2)
2NH
2、-(CH
2)
3NHCH
2CH
2NH(CH
2)
2NH
2、-CH
2CH(CH
3)CH
2NH
2、-CH
2CH(CH
3)CH
2NH(CH
2)
3NH
2、-(CH
2)
3NH(CH
2)
4NH
2、及び-(CH
2)
3O(CH
2)
2NH
2が挙げられる。Siに結合したアルコキシ基は、非反応性置換基又はエーテル結合などの結合を含有し得る。アミノアルキル官能性アルコキシシランは、式(F2):
【化35】
[式中、A、A’、R
13、及び下付き文字qは、上記で定義された通りであり、R’は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基又はアルコキシアルキル基、例えば、メチル、エチル、ブチル又はメトキシエチルであり、R
14及びR
15は、各々独立して、基-OR’又は任意選択で置換されたアルキル基若しくはアリール基である]を有し得る。あるいは、直鎖状ポリジオルガノシロキサンの調製のために、R
14基はメチルなどのアルキル基であってもよく、R
15基は、メトキシ又はエトキシなどの式-OR’を有してもよい。出発物質F)に好適なアミノアルキル官能性アルコキシシランの例としては、F3)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、F4)3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、F5)アミノエチル-アミノイソブチルメチルジメトキシシラン、F6)アミノエチル-アミノイソブチルメチルジエトキシシラン、F7)3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン、F8)3-アミノプロピルジメチルメトキシシラン、F9)3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル-ジメトキシメチルシラン、F10)3-(2-アミノエチルアミノ)プロピル-ジエトキシメチルシラン、F11)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、F12)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、及びF13)F3)~F12)のうちの2つ以上の組み合わせ、が挙げられる。一実施形態では、アミノアルキル官能性アルコキシシランは、F7)3-アミノプロピルジメチルエトキシシラン又はF9)3-アミノプロピルジメチルメトキシシランなどのモノアルコキシシランを含み、アミノ官能性ポリジオルガノシロキサンは、それからのアミノ官能性ペンダント基を有する。
【0070】
出発物質G)末端封鎖剤
アミノ官能性ポリオルガノシロキサン(出発物質D-II)が上記のプロセスで使用される場合に調製される)などのアミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、任意選択で、出発物質G)の末端封鎖剤を添加することを更に含んでもよい。理論に束縛されることを望むものではないが、末端封鎖剤は、例えば、本明細書に記載のプロセスによって調製されるアミノ官能性ポリジオルガノシロキサンがいくつかのトリヒドロカルビルシリル末端基(例えば、トリメチルシリル末端基などのトリアルキルシリル末端基)及びいくつかのアミノ官能性基を有する場合に、出発物質D-IIのシラノール基のいくつかをキャッピングするために使用され得る。末端封鎖剤は、シラノール基と反応し、トリオルガノシリル官能基が出発原料A)のシラノール基と反応しない末端封鎖トリオルガノシリル単位を生成することができる。好適な末端封鎖剤は、(G1)モノアルコキシシラン、(G2)シラザン、又は(G3)(G1)及び(G2)の両方によって例示される。
【0071】
(G1)モノアルコキシシランは、式(G4):R16
3SiOR17[式中、各R16は独立して、シラノール官能基と反応しない一価有機基であり、各R5は1~6個の炭素原子の一価炭化水素基である]を有してもよい。あるいは、R17は、1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子、あるいは1~2個の炭素原子のアルキル基であってもよく、あるいはR17はメチルであってもよい。各R16は、アルキル、アルケニル、及びアリール基から選択される一価炭化水素基であってもよい。あるいは、各R16は、1~6個の炭素原子のアルキル基、2~6個の炭素原子のアルケニル基、又はフェニル基であってもよい。あるいは、各R16は、1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子のアルキル基であってもよく、あるいは各R16はメチルであってもよい。出発物質(G1)のモノアルコキシシランの例としては、(G5)トリメチルメトキシシラン及び(G6)トリメチルエトキシシランが挙げられる。
【0072】
好適な(G2)シラザンは、式(G7):(R18R19
2Si)2NH[式中、各R18は、独立して、一価炭化水素基(R8について上述したような)及び一価ハロゲン化炭化水素基(例えば、少なくとも1つの水素が、Cl又はFなどのハロゲン原子で置き換えられている、R8の一価炭化水素基など)から選択され、各R19は、R17について上述したように、独立して選択される、1~6個の炭素原子の一価炭化水素基である]を有し得る。各R18は、アルキル基、アルケニル基、又はハロゲン化アルキル基であってもよい。R18に好適なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、及びブチルが挙げられる。好適なアルケニル基としては、ビニル及びアリルが挙げられる。好適なハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロプロピルが挙げられる。出発物質(G2)に好適なシラザンの例としては、(G8)ヘキサメチルジシラザン、(G9)sym-テトラメチルジビニルジシラザン、及び(G10)[(CF3CH2CH2)(CH3)2Si]2NHが挙げられる。
【0073】
末端封鎖剤は任意選択であり、正確な量は、形成されるアミノ官能性ポリオルガノシロキサンの所望の構造及びアミン含有量などの様々な要因に応じて異なる。しかしながら、末端封鎖剤が、本プロセスにおいて使用される全ての出発物質の合計重量に基づいて、最大5重量%、あるいは0.1重量%~5重量%の量で添加されてもよい。存在する場合、出発物質G)の全て又は一部分が、ステップ1)において添加されてもよい。あるいは、出発物質G)の第1の部分がステップ1)において添加されてもよく、出発物質G)の第2の部分がステップ1)の後かつステップ2)の前にプロセスに追加される追加のステップで添加されてもよい。
【0074】
出発物質H)溶媒
アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、任意選択で、出発物質H)、溶媒を添加することを更に含んでもよい。溶媒は、環状ポリシロキサザンを作製するためのプロセスにおいて、出発物質e)について上述した通りであり得る。理論に束縛されることを望むものではないが、溶媒は、ポリシロキサン樹脂が選択されるときに、出発物質D-II)などの出発物質のうちの1つ以上を導入するために使用され得ると考えられる。プロセスでは、プロセスで使用される全ての出発物質の合計重量に基づいて、0重量%~200重量%の溶媒を使用し得る。あるいは、0重量%~90重量%の溶媒(同じ基準で)を使用してもよい。溶媒が使用されるかどうかは、出発物質D)の選択を含む様々な要因に依存する。例えば、RTで固体であるシラノール官能性ポリオルガノシロキサン樹脂が出発物質Dとして選択される場合、溶媒を使用することができる。あるいは、出発物質D)が、RTで液体であるシラノール官能性シラン及び/又はシラノール官能性ポリジオルガノシロキサンである場合、プロセスは、未希釈で実行され得る。
【0075】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するためのプロセスは、任意選択で、上記のものに加えて、1つ以上の追加のステップを更に含み得る。例えば、プロセスは、任意選択で、4)ステップ2)の前及び/又はステップ2)中に、残留酸(E)酸プレ触媒が添加される場合)を除去することと、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを反応混合物から回収することと、を更に含んでもよい。アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、任意選択で真空下、ストリッピング及び/又は蒸留などの任意の便利な手段によって反応混合物から回収され得る。プロセスステップのうちの1つ以上は、窒素などの不活性雰囲気下で実施され得る。
【0076】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するためのプロセスは、任意選択で、未反応環状ポリシロキサザン、未反応シラノール官能性ポリオルガノシロキサン、又はその両方をクエンチすることを更に含み得る。クエンチすることは、I)水、及びB)式R10OH[式中、R10は、1~8個の炭素原子のアルキル基である]のアルコールからなる群から選択される出発物質を添加することによって実施され得る。クエンチすることは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを調製するためのプロセスにおいて、ステップ1)の後、あるいはステップ2)の前の任意の時間に実施され得る。
【0077】
B.アルコキシ官能性キャッピング剤を作製するためのプロセス
あるいは、上記の環状ポリシロキサザンを更に反応させて、例えば、キャッピング剤をD)シラノール官能性有機ケイ素化合物、例えば、上記のD-II)シラノール官能性ポリオルガノシロキサンと組み合わせる前に、キャッピング剤として有用なα-アルコキシ-ω-アミノ官能性ポリシロキサンを調製することができる。α-アルコキシ-ω-アミノ官能性ポリシロキサンを調製するためのプロセスは、
I)
A)上記のプロセスによって調製された環状ポリシロキサザンと、
B)式R
10OH[式中、R
10は、1~8個の炭素原子のアルキル基である]のアルコールと、を含む出発物質を組み合わせて、
それにより、C)式
【化36】
[式中、各R
8、R
9、R
10、及び下付き文字xは、上記の通りである]のα-アルコキシ-ω-アミノ-官能性ポリシロキサンを含む反応生成物を調製することと、
任意選択でII)反応生成物を精製して、C)α-アルコキシ-ω-アミノ-官能性ポリシロキサンを回収することと、を含む。
【0078】
あるいは、α-アルコキシ-ω-アミノ官能性ポリシロキサンにおいて、各R8は、メチルなどのアルキル基であってもよく、各R9は、水素であってもよい。この方法における出発物質B)のアルコールは、メタノール及びエタノールからなる群から選択され得る。
【0079】
上記のプロセスにより、式:
【化37】
[式中、各R
8、R
9、及びR
10、並びに下付き文字xは、上述の通りである]のα-アルコキシ-ω-アミノ官能性ポリシロキサンを生成する。あるいは、各R
8は、独立して選択される、1~18個の炭素原子のアルキル基、あるいはメチルであってもよい。あるいは、各R
9は、水素であってもよい。あるいは、各R
10は、メチル又はエチルであってもよい。
【0080】
C.アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを作製するための代替プロセス。
上記のα-アルコキシ-ω-アミノ官能性ポリシロキサンは、アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するための代替プロセスにおいて有用であり、代替プロセスは、
1)
ステップI)で形成された反応生成物及び/又はC)上記のプロセスのステップII)で精製された式
【化38】
のα-アルコキシ-ω-アミノ官能性ポリシロキサンと、
D)(上記のように)シラノール官能性有機ケイ素化合物と、を含む出発物質を組み合わせて、それにより、反応混合物を形成することと、
任意選択で2)反応混合物を最大150℃、あるいは最大90℃、あるいは90℃~150℃に加熱することと、
3)E)酸プレ触媒を反応混合物に添加することと、を含む。このプロセスは、任意選択で、4)F)アミノアルキル官能性アルコキシシランを、反応混合物に添加することを、更に含み得る。出発物質D)、E)、及びF)並びにそれらの量は、上記の通りである。理論に束縛されることを望むものではないが、出発物質E)の酸プレ触媒を添加することは、プロセスが>90℃で実行されるときには任意選択であってもよく、プロセスが90℃以下で実行されるときには、プレ触媒の添加が実施されると考えられる。
【0081】
アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスでは、混合及び加熱は、撹拌式ジャケット付きバッチ反応器又はジャケット付き再沸器を備えた反応蒸留装置などの容器に出発物質を投入するなどの任意の便利な手段を用いて実施することができ、これらのジャケットは、ジャケットを通して、蒸気/水又は熱伝達流体を通過させることによって加熱及び冷却することができる。出発物質及び/又は反応混合物は、RTに保たれるか、又は最大150℃、あるいは最大90℃まで加熱されて、反応を促進してもよい。プロセスは、アミノ官能性有機ケイ素化合物を形成するために十分な時間にわたって実施される。
【0082】
ステップ1)及び2)において、出発物質A)及び出発物質D)のうちの一方は、出発物質A)及び出発物質D)のうちの他方を入れた容器に連続的又は少しずつ添加され得る。そのような添加は、手動で又は計量機器を使用して実施され得る。
【0083】
上記プロセスは、任意選択で、1つ以上の追加のステップを更に含んでもよい。プロセスは、任意選択で、ステップ4)追加の出発物質を、ステップ1)及び/又はステップ2)における反応混合物に添加することを更に含んでもよい。追加の出発物質は、F)アミノアルキル官能性アルコキシシラン、G)末端封鎖剤、H)溶媒、及びF)、G)、及びH)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。あるいは、ステップ4)は、ステップ1)中及び/若しくはステップ1)の後、ステップ2)の前及び/若しくはステップ2)の後、又は、ステップ3)の前及び/若しくはステップ3)中に実施してよい。出発物質D)、E)、F)、G)、及びH)は、上記の通りである。アミノ官能性有機ケイ素化合物を調製するためのプロセスは、任意選択で、未反応α-アルコキシ-ω-アミノ官能性ポリシロキサン、未反応シラノール官能性有機ケイ素化合物、又はその両方をクエンチすることを更に含み得る。クエンチすることは、I)水、及びB)式R10OH[式中、R10は、1~8個の炭素原子のアルキル基である]のアルコールからなる群から選択される出発物質を添加することによって実施され得る。クエンチすることは、ステップ1)の後に、あるいはアミノ官能性ポリオルガノシロキサンを回収する前の任意の時間に実施され得る。アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、任意選択で真空下、ストリッピング及び/又は蒸留によって反応混合物から回収され得る。プロセスステップのうちの1つ以上は、窒素などの不活性雰囲気下で実施され得る。例えば、上記のステップ1)及び2)は、任意選択で、容器ヘッドスペースを通して不活性ガスを流すことを更に含み得る。理論に束縛されることを望むものではないが、反応器ヘッドスペースを通して不活性ガスを流すことは、系から臭気及び低沸点不純物を除去するのに役立ち得ると考えられる。
【0084】
III.アミノ官能性ポリオルガノシロキサン
上記のプロセスにより、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを生成する。シラノール末端ポリジオルガノシロキサンが出発物質D-II)として使用される場合、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、アミノ基末端ポリジオルガノシロキサンである。各R
9が水素である場合には、アミノ基末端ポリジオルガノシロキサンは、式:
【化39】
[式中、R
12は、OH、R
8、及び-CH
2CH(R
9)CH
2NH
2からなる群から選択され、下付き文字n=(x+y+1)である]の一級アミノ基末端ポリジオルガノシロキサンである。あるいは、R
12は、OH、R
8、及び-CH
2CH
2CH
2NH
2からなる群から選択され得る。
【0085】
あるいは、シラノール官能性ポリシロキサン樹脂が出発物質D)として使用される場合、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサン樹脂である。各R9が水素である場合には、アミノ官能性ポリオルガノシロキサン樹脂は、一級アミノ官能性ポリオルガノシロキサン樹脂である。一級アミノ官能性ポリオルガノシロキサン樹脂は、単位式:
[(H2NCH2CH2CH)R8
2SiO1/2]J[(H2NCH2CH2CH)R8SiO2/2]K[(H2NCH2CH2CH)SiO3/2]L(R20
3SiO1/2)G(R20
2SiO2/2)H(R20SiO3/2)F(SiO4/2)D[式中、R8及びR20は、上記の通りであり、下付き文字Dは上記の通りであり、下付き文字G≦A、下付き文字H≦B、下付き文字F≦Cである]を含み得る。下付き文字G≧0、下付き文字H≧0、下付き文字F≧0、下付き文字D≧0である。数量(J+K+L)>1である。数量(L+F+D)>1である。数量(J+K+L+G+H+F+D)は、樹脂に1,000g/mol~12,000g/molのMnを与えるのに十分な値を有する。
【0086】
パーソナルケア製品
上記のアミノ官能性ポリオルガノシロキサン(例えば、アミノ官能性ポリジオルガノシロキサン)は、パーソナルケア製品に配合され得る。概して、そのような製品は、室温で固形物である材料が存在しない場合、簡素なプロペラミキサー、ブルックフィールド二重反転ミキサー、又はホモジナイジングミキサーを使用して室温で調製することができる。特別な装置又は加工条件は、典型的には必要がない。作製する形態の種類に応じて調製方法は異なるが、このような方法は当技術分野において公知である。
【0087】
パーソナルケア製品は、適用される身体部分に対して機能的、美容的、治療的、又はそのいくつかの組み合わせであってもよい。このような製品の従来の例としては、制汗剤及びデオドラント、スキンケアクリーム、スキンケアローション、保湿剤、フェイシャルトリートメント(例えばニキビ又はしわ除去剤)、個人用クレンザー及び洗顔料、バスオイル、香料、コロン、サッシェ、日焼け止め剤、プレシェーブローション及びアフターシェーブローション、シェービングソープ及びシェービングフォーム、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー(リーブイン、若しくはリンスオフのいずれか)、染毛剤、毛髪弛緩剤、ヘアスタイリング助剤(スプレー、固定液、ムース、及び/若しくはジェル等);パーマネント、脱毛剤、及びキューティクルコート、メイクアップ、カラーコスメ、ファンデーション、コンシーラー、チーク、口紅、アイライナー、マスカラ、オイルリムーバー、カラーコスメリムーバー、パウダー、薬剤クリーム、歯科衛生用品を含むペースト若しくはスプレー、抗生物質、治癒促進剤、並びに/又は予防用及び/若しくは治療用であり得る栄養素が挙げられるが、これらに限定されない。概して、パーソナルケア製品は、液体、リンス、ローション、クリーム、ペースト、ジェル、フォーム、ムース、軟膏、スプレー、エアロゾル、ソープ、スティック、軟固形、固体ジェル、及びジェルを含むがこれらに限定されない、任意の従来の形態での適用を可能にする担体と共に配合してもよい。何が好適な担体を構成するかは、当業者には明らかでなろう。
【0088】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、様々なパーソナル、家庭、及びヘルスケア用途に使用され得る。特に、アミノ官能性ポリジオルガノシロキサンは、米国特許第6,051,216号(Barrら)、同第5,919,441号(Mendoliaら)、同第5,981,680号(Petroffら)、米国特許出願公開第2010/0098648号(Yu)及び国際公開第2004/060101号(Yu)に開示されているパーソナルケア組成物に、米国特許第6,916,464号(Hansenneら)に開示されている日焼け止め剤組成物に、国際公開第2003/105801号(Yu)に開示されている、フィルム形成樹脂もまた含有する化粧組成物に、米国特許出願第2003/0235553号(Lu)、同第2003/0072730号(Tornilhac)、同第2003/0170188号(Ferrariら)、欧州特許第1,266,647号(Tornilhac)、同第1,266,648号(Ferrari,ら)、同第1,266,653号(Ferrariら)、国際公開第2003/105789号(Lu)、同第2004/000247号(Lu)、及び同第2003/106614号(Lu)に記載されている化粧組成物に、国際公開第2004/054523号(Tournilhac)に開示されているものに対する追加の作用物質として、米国特許出願公開第2004/0180032号に開示されている長持ちする化粧品組成物に、国際公開第2004/054524号に論述されている透明又は半透明ケア及び/又はメイクアップ組成物に使用することができる。これらは全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
あるいは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、着色剤又は固定組成物の一部として使用され得、毛髪を染める又はパーマをかけるプロセス中、事前、最中、事後のトリートメントとして適用され得る。目的は、色の保持及び色の強化から、この場合もやはり、着色された毛髪繊維のコンディショニングに及び得る。例は、米国特許出願公開第2003/0152534号(Legrandら)、米国特許出願公開第2003/0152541号(Legrandら)、米国特許出願公開第2003/0147840号(Legrandら)、米国特許第6,953,484号(Devin-Baudoinら)米国特許第6,916,467号(Devin-Baudoinら)、米国特許出願公開第2004/0045098号(Devin-Baudoinら)、米国特許出願公開第2003/0126692号(Devin-Baudoinら)、PCT公開第WO2007/071684号(Audousset)、及び米国特許出願公開第2008/0282482号(Audoussetら、L’Orealによる)、並びに米国特許第7,335,236号(McKelvey、Noxell Corpによる)に見出すことができ、これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
本発明によるパーソナルケア製品は、人体、例えば、皮膚若しくは毛髪に対してアプリケータ、ブラシを用いて適用する、手で適用する、流しかける、及び/又は、場合により、身体上若しくは体内に製品を擦り込む若しくはマッサージするなどの標準的な方法により使用することができる。例えば、カラー化粧品の除去方法もまた、洗浄、拭き取り、及びピーリングを含む周知の標準的な方法である。皮膚に使用する場合は、本発明によるパーソナルケア製品を、従来の方法、例えば皮膚のコンディショニングに用いてよい。その目的のための有効量の製品を皮膚に適用する。このような有効量は、概して1mg/cm2~3mg/cm2の範囲である。皮膚への適用には、典型的には、組成物を皮膚内で作用させることが含まれる。皮膚に適用するためのこの方法は、皮膚に有効量の組成物を接触させるステップと、次に組成物を皮膚に擦り込むステップと、を含む。これらのステップは、所望の効果を達成するために、所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0091】
毛髪に対する本発明によるパーソナルケア製品の使用では、毛髪のコンディショニングのための従来の方法を用いてよい。毛髪のコンディショニングに際し有効量の製品を毛髪に適用する。このような有効量は、概して、0.5g~50g、あるいは1g~20gの範囲である。毛髪に対する適用は、典型的には、毛髪のほとんど又は全てが製品と接触するように、組成物を毛髪全体に作用させることを含む。毛髪のコンディショニングのためのこの方法は、有効量のヘアケア製品を毛髪に適用するステップと、次に毛髪全体に組成物を作用させるステップと、を含む。これらのステップは、所望のコンディショニング効果を達成するために、所望に応じて何度でも繰り返すことができる。
【0092】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンに加えてパーソナルケア製品に配合され得る添加剤の非限定的な例としては、(i)追加のシリコーン、(ii)抗にきび剤、(iii)う蝕予防剤、(iv)抗フケ剤、(v)抗酸化剤、(vi)殺生物剤、(vii)植物成分、(viii)クレンジング剤、(ix)着色剤、(x)コンディショニング剤、(xi)カチオン沈着助剤などの沈着剤、(xii)電解質、(xiii)皮膚軟化剤、(xiv)角質除去剤、(xv)起泡力増進剤、(xvi)芳香剤、(xvii)保湿剤、(xviii)閉塞剤、(xix)オイル、(xx)殺シラミ薬、(xxi)pH制御剤、(xxii)顔料、(xxiii)防腐剤、(xxiv)レオロジー改質剤、(xxv)溶媒、(xxvi)安定剤、(xxvii)安定化剤、(xxviii)日焼け防止剤、(xxxi)界面活性剤、(xxx)懸濁剤、(xxxi)日焼け剤、(xxxii)増粘剤、(xxxiii)ビタミン、(xxxiv)ワックス、(xxxv)創傷治癒促進剤、及び(xxxvi)(i)~(xxxv)のうちの任意の2つ以上が挙げられる。
【実施例】
【0093】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示することを目的とするものであり、請求項に記載の本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。下の表2に、これらの実施例で使用する出発物質を示す。
【表2】
I部.環状ポリシロキサザンの合成
【0094】
この参考例1では、以下のように、促進剤アリルオキシ-ジ-(2,4,6-トリメチルフェニル)シランを合成した。5.1302gのクロロ-ジ-(2,4,6-トリメチルフェニル)シランを250mLフラスコに添加し、110mLのペンタンに溶解した。別のフラスコで1.0328gのアリルアルコール、1.9709gのトリエチルアミンを合わせ、混合した。次いで、混合物をクロロ-ジ-(2,4,6-トリメチルフェニル)シランに1時間かけて添加し、多量の白色沈殿物が形成された。フラスコの内容物を、2時間撹拌した。固形物質を濾別し、上清液を採取した。固形物を10mLのペンタンで洗浄し、これを上清液と合わせた。低沸点揮発性成分を真空下でストリッピングして濁った液体を得て、これを60mLのペンタンに溶解し、再度濾過し、ストリッピングし、採取して、4.7018gのアリルオキシ-ジ-(2,4,6-トリメチルフェニル)シランを液状物として得た。生成物を、1H NMR、29Si NMR、及びGC-質量分析によって特定した。
【0095】
この参考例2では、促進剤アリルオキシ-メチル-(2,4,6-トリ-イソプロピル-フェニル)シランを以下のように合成した。30mLのトルエンを、約-11℃に冷却した250mLのハーフジャケットフラスコに添加した。4.9554g(43.1mmol)のジクロロメチルシランを添加した。次に、25mLの0.5Mの2,4,6-トリイソプロピルフェニルマグネシウムブロミドを45分かけてフラスコにゆっくりと添加し、淡黄色の溶液及び無色の沈殿物を得た。フラスコの内容物を1時間冷攪拌し、次いで周囲温度まで温め、内容物を更に1時間撹拌した。次に、3.2534gの1,4-ジオキサンをフラスコに添加した。多量の白色沈殿物が形成され、フラスコの内容物を1時間撹拌した。塩を上清液から濾別した。固形物を30mLのペンタンで洗浄し、これを他の液体と合わせた。揮発性成分を真空下で除去して、2.9466gの白色微結晶性固形物を得た。生成物をクロロ-メチル-(2,4,6-トリ-イソプロピル-フェニル)シランとして同定した。生成物を、1H NMR、29Si NMR、及びGC-質量分析によって特定した。
【0096】
2.7908gのクロロ-メチル-(2,4,6-トリ-イソプロピル-フェニル)シランを250mLのハーフジャケットフラスコに添加し、40mLのペンタンに溶解し、約4℃に冷却した。別のフラスコで、0.6016gのアリルアルコール、1.078gのトリエチルアミン、及び4.7gのペンタンを合わせ、混合した。次いで、混合物をクロロ-メチル-(2,4,6-トリ-イソプロピル-フェニル)シランに25分間かけて添加した。この間、フラスコの内容物を9.8℃に温めたところ、多量の白色沈殿物が形成された。フラスコの内容物を周囲温度に温め、2時間撹拌した。固形物質を濾別し、上清液を採取した。固形物を10mLのペンタンで洗浄し、これを上清液と合わせた。低沸点揮発性成分を真空下でストリッピングして、濁った液体を得て、これを再度濾過し、アリルオキシ-メチル-(2,4,6-トリ-イソプロピル-フェニル)シランとして採取した。生成物を、1H NMR、29Si NMR、及びGC-質量分析によって特定した。
【0097】
この参考例3では、促進剤(1-メチル-2-プロピン-1-イル)オキシ-ジフェニルシランを以下のように合成した。9.9272gのクロロジフェニルシランを250mLのハーフジャケットフラスコに添加し、100mLのペンタンに溶解し、約1℃に冷却した。別のフラスコで、3.222gの1-メチル-プロパ-2-イン-1-オール、4.6258gのトリエチルアミン、及び3.0000gのペンタンを合わせ、混合して、黄色の溶液を得た。次いで、混合物をクロロジフェニルシランに30分間かけて添加した。この間、フラスコの内容物を8.9℃に温めたところ、多量の白色沈殿物が形成された。フラスコの内容物をRTの温度に温め、2時間撹拌した。固形物質を濾別し、上清液を採取した。固形物を30mLのペンタンで2回洗浄し、洗浄液を上清液と合わせた。低沸点揮発性成分を真空下でストリッピングして、濁った液状物を得た。次いで、液体を15mLのペンタンと合わせ、撹拌し、次いで濾過して、透明な液状物を得た。液状物を減圧下でストリッピングして、(1-メチル-2-プロピン-1-イル)オキシ-ジフェニルシランからなる、10.2342gの淡黄色の透明な液状物を得た。生成物を、1H NMR、29Si NMR、及びGC-質量分析によって特定した。
【0098】
この参考例4では、Pt-促進剤触媒溶液は、カルシュテッド触媒[Pt
2O(SiMeVi)
3]、又はアシュビー触媒[Pt(SiMeViO)
4]などの可溶性白金源のストック溶液と、促進剤とをRTで混合することによって調製した。反応性は、無色又は淡黄色溶液のいずれかから、典型的には橙色から暗赤色への溶液の急速な色の変化、並びに発熱によって明らかであった。使用される促進剤に応じて、混合物は、1時間~3日以内に使用する準備が整った。混合物を、
1H、
29Si、及び
195Pt NMRによって特定した。評価されたPt-促進剤ストック溶液の組み合わせを、以下の表3に提供する。
【表3】
【0099】
この実施例5では、式-SiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-の環状シロキサザンを本発明のプロセスによって調製し、アリルアミン対TMDSOのモル比が2:1以上であり、TMDSOをアリルアミンに添加した。数量を以下の表に示す。最初に、Pt-促進剤溶液を、熱電対、磁気撹拌棒、及び-5℃~-20℃に冷却された凝縮器を備えたガラス反応フラスコ内でRTにて、アリルアミン及び任意の溶媒と混合した。次いで、アリルアミン/触媒溶液を還流温度まで加熱した。TMDSOを、経時的に混合物に供給し、添加の直後に、典型的には5秒未満で多量の水素が生成した。系に熱が投入される限り、TMDSOの添加中に、またTMDSOの供給を停止した場合にも、溶液の温度は徐々に上昇した。TMDSOの供給を完了した後、混合物を温度設定し、1時間~5時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。生成物、環状シロキサザン、-SiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-を、GC-FID、GC-MS、
1H NMR及び/又は
29Si NMRによって特定した。環状シロキサザン、-SiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-を、欧州特許第0 342 518(A2)号に記載される蒸留法によって精製し、65%~85%の単離収率を得た。
【表4】
【0100】
この実施例6では、式-SiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-の環状シロキサザンを本発明のプロセスによって調製し、アリルアミン対TMDSOのモル比が1:1~1:2未満であり、TMDSOをアリルアミンに添加した。数量を以下の表に示す。最初に、Pt-促進剤溶液を、熱電対、磁気撹拌棒、及び-5℃~-20℃に冷却された凝縮器を備えたガラス反応フラスコ内で周囲温度にて、アリルアミン及び任意の溶媒と混合した。次いで、アリルアミン/触媒溶液を還流温度まで加熱した。TMDSOを、経時的に混合物に供給し、添加の直後に、典型的には5秒未満で多量の水素が生成した。系に熱が投入される限り、TMDSOの添加中に、70℃~110℃の温度に達するまで、またTMDSOの供給を停止した場合にも、溶液の温度は徐々に上昇した。TMDSOの供給を完了した後、混合物を60℃~120℃の温度に設定し、30分~8時間撹拌し、次いでRTまで冷却した。生成物、環状シロキサザン、-SiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-を、GC-FID、GC-MS、
1H NMR及び/又は
29Si NMRによって特定した。環状シロキサザン、-SiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-を、欧州特許第0 342 518(A2)号に記載される蒸留法によって精製し、これにより、65%~85%の単離収率を得た。
【表5】
【表6】
【0101】
この比較例7では、欧州特許第0 342 518(A2)号からの例は1:1のTMDSO対アリルアミンプロセスを安全に又は任意の妥当な収率で完了できなかった。報告には、「1:1モル比でのアリルアミン及びTMDS(TMDSO)」を、窒素雰囲気において、40ppmの触媒と組み合わせて、その際に、水素の発生が直ちに観察された。混合物を加熱還流し、ポット温度を43℃から73℃に65分間かけて上昇させ、次いで、発熱反応が発生し、それが即時に155℃に上昇した。混合物を45℃に冷却し、真空下で蒸留し、非常に少ない割合の環状ジシロキサザンを得た。蒸留残渣を水蒸気蒸留し、ビス(3-アミノプロピル)ポリジメチルシロキサンの混合物であることが示された。」と記載されていた。
【0102】
この比較例8では、約100ppmのPt(SiMeViO)4触媒を含有するアリルアミンへのTMDSOのゆっくりとした添加は、完全な反応を与えず、代わりに6時間の混合後であっても55%を超える変換でほとんど生成物を生成せず、代わりに、微細な黒色粉末を沈殿させ始めた。GC-FIDにより、環状シロキサザンへの不完全な変換を確認した。
【0103】
この実施例9では、式-SiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-の環状シロキサザンは本発明のプロセスによって調製され、TMDSO、Pt触媒、及び促進剤を、熱電対、磁気撹拌棒、及び-5℃~-20℃に冷却された凝縮器を備えた適切なサイズのガラス反応フラスコに添加した。溶液を40℃~75℃の温度に加熱した。数量を以下の表に示す。Pt触媒及び促進剤は、TMDSOを添加する前に一緒に混合されたか、又はTMDSOに個別に添加された。試薬の組み合わせは、溶液を黄色に変化させた。アリルアミンを、経時的に混合物に供給し、添加の直後に、典型的には5秒未満で多量の水素が生成した。アリルアミンを供給し、反応フラスコの壁を通して冷却する速度によって制御された発熱もあった。反応フラスコ温度を、発熱を制御することと、TMDSOの供給を停止した後に系に対して加熱することとによって、50℃~110℃の温度に維持した。TMDSOの供給を完了した後、混合物を60℃~120℃の温度に設定し、30分~4時間撹拌し、次いでRTまで冷却した。生成物、環状シロキサザン、-SiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-を、GC-FID、GC-MS、
1H NMR及び/又は
29Si NMRによって特定した。環状シロキサザン、-SiMe
2OSiMe
2C
3H
6NH-を、欧州特許第0 342 518(A2)号に記載される蒸留法によって精製し、65%~85%の単離収率を得た。
【表7】
【表8】
【0104】
この比較例10では、式-SiMe2OSiMe2C3H6NH-の環状シロキサザンを、米国特許5,026,890号に記載されているものと同様であるが、以下のようにいくつかの変更を伴うプロセスによって合成した。ガラス熱ウェル及び冷却還流凝縮器を備えた250mLフラスコに、0.0224gの0.104MのPt(SiMeViO)4(約2%のPt)及び5.8641gのアリル-アミンを添加した。混合物を加熱還流した(Δ0=53.4℃)。6.8820gの1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(TMDSO)を小分けして添加して、式H2C=CHCH2NHSiMe2OSiMe2Hの非ヒドロシリル化中間体(NHI)の量を最小化するように試みた。このプロセスステップは、TMDSOを一度に添加する米国特許第5,026,890号の実施例からは逸脱した。この変更の理由は、TMDSOのアリル-アミンへの大量添加が、かなりの量の可燃性、非圧縮性の水素ガスを生成し、これは、有毒なアリル-アミンアミンの安全な取り扱いのために、非常に大きな自発的圧力の上昇と制限された通気に関連する安全性の懸念に起因して、大きな製造反応器においては受け入れられないためである。TMDSOを添加すると、還流温度はゆっくりと上昇した。3時間後に、約70%のTMDSOが添加されて、温度を61.5℃に上昇させた。フラスコ内容物をGCによって分析したところ、ヒドロシリル化環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-へのわずか約4%の変換率で主にNHIを形成したことを示した。
【0105】
加熱を一晩中止し、溶液を周囲温度で一晩撹拌した。翌日、加熱還流を再開した。1.5時間後、残りのTMDSOを添加し、加熱を更に9.5時間続け、温度が73.9℃に上昇した。加熱を中止し、溶液をRTで一晩撹拌した。
【0106】
翌日、溶液を9時間加熱還流し、106.1℃に達した。これはまた、プロセスが1つの加熱ブロック中に実行される米国特許第5,026,890号に記載されているプロセスからは逸脱した。未反応成分を高温のままにする安全上の理由のために、熱源を取り外し、実験はすでに不十分な変換を示していた。プロセスを完了するための追加の時間は、米国特許第5,026,890号に記載されているプロセスにおける信頼性欠如及び不良性を示した。GCによる分析は、NHIの95+%が式-SiMe2OSiMe2C3H6NH-の環状シロキサザンに変換されたことを示した。この比較例は、米国特許第5,026,890号のプロセスが、安全性の懸念及び所望の反応時間中に達成される不十分な変換により商業規模の操作には適していないことを示した。
【0107】
この実施例11では、式-SiMe2OSiMe2C3H6NH-の環状シロキサザンを、以下のように本発明のプロセスによって調製した。最初に、0.02MのPt(1,1,3,3-テトラメチル-ジビニル-ジシロキサン錯体)及びアリルオキシジフェニルシランを含有する約0.1284gの溶液(参考例5に記載のように調製)を、ガラス熱ウェル及び冷却還流凝縮器を備えた250mLフラスコ内の5.8710gのアリルアミンに添加した。混合物を加熱還流した(Δ0=53.2℃)。6.8902gのTMDSOを、小分けしてフラスコに添加した。2時間後に、約70のTMDSOが添加されて、温度を65.4℃に上昇させた。溶液を周囲温度に放冷し、GC-FIDで分析したところ、NHIの95+%が環状シロキサザンに変換されたことを示した。次いで、溶液を還流に戻して加熱し、残りのTMDSOを10分かけて添加し、溶液を35分以上かけて106.6℃に加熱し続けた。溶液をGCにより分析した。次いで、溶液を110℃~115℃に1時間加熱し、次いで冷却した。観察可能な量のNHIは、GCでは観察できなかった。
【0108】
比較例10及び実施例11は、ヒドロシリル化反応促進剤がヒドロシリル化反応触媒と併せて使用されたときに、式SiMe2OSiMe2C3H6NH-の環状シロキサザンを作製するプロセスが、米国特許第5,026,890号で開示されたものと同様のプロセスよりも短い時間でより高い収率を有することを示した。これは、比較例10における遅い反応と対比して、実施例11の3時間以内の環状シロキサザンへのほぼ完全な変換によって実証され、更に、これは、TMDSOのアリル-アミンへの完全な添加後の6時間の反応後に、同定された反応生成物がNHIのみであった米国特許第5,026,890号の実施例9に提示されているプロセスよりもなおはるかに短かった。米国特許第5,026,890号における他の実施例は、最大95%の収率の蒸留環状シロキサザンをもたらしたが、米国特許第5,026,890号の実施例9は、単離収率に関して理論収率の53%を示したにすぎない。この特許に開示されたプロセス、及び追加のアリル-アミンを考慮する必要がない改善された体積効率から環状シロキサザン、-SiMe2OSiMe2C3H6NH-の77%の単離収率を仮定すると、本発明は、それぞれ、95%及び53%の単離収率に応じて、米国特許第5,026,890号におけるプロセスに対して5%~85%の収率改善をもたらした。
【0109】
この実施例12では、環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-を、アリルオキシジフェニルシランを促進剤として使用して合成し、触媒を再使用する試みを行った。融合ガラス熱ウェルを有する250mLの1つ口フラスコに、23.8742gのアリルアミンを添加し、次いで参照例4からのPt-アリルオキシ-ジ-(2,4,6-トリメチルフェニル)シラン触媒溶液2mLを添加し、得られた混合物を加熱還流した。11.5962gのTMDSOを1.5時間かけて添加した。添加中及び添加後にガスが生成した。溶液を20分間撹拌し、次いでGC試料を採取した。別の11.5811gのTMDSOを、72℃以下の加熱で2時間かけて添加した。添加中及び添加後にガスが生成した。ポット温度を約70℃で1時間保持し、次いで周囲温度に冷却した。GC試料を採取した。
【0110】
還流凝縮器を、冷却蒸留ヘッド及び100mLの受容フラスコを有する15cmのVIGREUXカラムで置き換えた。温度を周囲圧力で87℃まで上げてアリルアミンの初期部分(次のバッチにおいて再循環する)を採取した。アリルアミンの採取中、温度は94℃に上昇した。次いで、蒸留装置を排気し、密閉し、より多くのアリルアミンを得て、再使用のために蒸留した。0.0586gの(NH4)2SO4を87℃でポットに添加し、10分間撹拌し、次いで真空下で加熱しながら蒸留した。生成物を85%収率で2時間にわたって採取した。
【0111】
冷却還流凝縮器をポットに取り付け、5.5614gのアリルアミンを添加し、加熱還流した。5.7376gのTMDSOを1.5時間かけて添加した。添加中及び添加後にガスが生成した。溶液を徐々に68.2℃に加熱した。添加が完了した後、溶液を10分間撹拌し、次いでRTに冷却した。GCは、より多くの環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-を生成したことを示した。
【0112】
この実施例12は、促進剤のケイ素原子に直接結合したフェニル基が存在する場合、本明細書に記載のプロセスで触媒及び促進剤を再使用することができることを示す。環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-の蒸留に由来するポット残留物からの残留触媒を再使用する試みは、代替ヒドロシリル化反応促進剤を使用するプロセスにおいてアリルオキシ-ジメチルシラン(AMM)を生成したが、不成功であり、アリルアミン及びTMDSOをポット残留物と組み合わせた場合に更なるヒドロシリル化は観察されなかった。これをGC-FID分析によって確認した。重要な違いは、触媒に安定性を与えると考えられるヒドロシリル化促進剤上のメチル基の代わりにかさ高のフェニル基を使用したことであった。理論に束縛されることを望むものではないが、金属触媒に結合したより多くの有機基の使用は、改善された熱安定性を付与することができると考えられる。
【0113】
この比較例13では、式-SiMe2OSiMe2C3H6NH-の環状シロキサザンを、ヒドロシリル化反応促進剤としてアセトキシ-ジメチルシランを使用して合成しようと試みた。アセトキシ-ジメチルシランを、RTでテトラメチルジシロキサン及びPt(1,1,3,3-テトラメチル-ジビニル-ジシロキサン錯体)と組み合わせた。最初にアリルアミンを添加した後、白色の沈殿物が形成され、GC分析によって、環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-が形成されていないことを観察した。
【0114】
この実施例15では、環状-SiMe2OSiMe2CH2CH(CH3)CH2NH-を、ヒドロシリル化反応促進剤として(1,1-ジメチル)アリルオキシ-ジフェニルシランを使用して合成した。融合ガラス熱ウェルを備えた250mLの1つ口フラスコに、5.32gの2-メチル-アリルアミンを添加し、次いで、0.25gのPt-(1,1-ジメチル)アリルオキシ-ジフェニルシラン触媒溶液を添加し(これは、最終溶液混合物中に約60ppmのPt及び400ppmの促進剤を与える)、得られた混合物を62℃に加熱した。10.05gのTMDSOを3.5時間かけて添加したところ、温度が徐々に77℃に上昇した。添加中及び添加後にガスが生成した。次いで、溶液温度を80℃に上げ、1時間撹拌し、次いで周囲温度まで放冷した。粗生成物、環状-SiMe2OSiMe2CH2CH(CH3)CH2NH-をGC-FID及びGC-MSによって分析した。
【0115】
還流凝縮器を、冷却蒸留ヘッド及び100mLの受容フラスコを有する15cmのVIGREUXカラムで置き換えた。容器を50℃でストリッピングして低沸点成分を除去し、次いで0.07gの(NH)4)2SO4を周囲温度でポットに添加し、生成物、環状-SiMe2OSiMe2CH2CH(CH3)CH2NH-を70~115℃の真空下で蒸留して、99+%の収率で8.66g(61%収率)を得た。生成物を、GC-FID、GC-MS、1H NMR、13C NMR、及び29Si NMRによって特定した。
【0116】
この比較例16では、2-メチル-アリルアミンンの代わりに異性体1-アミノ-ブタ-3-エンを使用して、出発物質を実施例12と同様の方法で組み合わせることによって、環状-SiMe2OSiMe2CH2CH2CH2CH2NH-を合成するための試みを行った。融合ガラス熱ウェルを備えた250mLの1つ口フラスコに、6.18gの1-アミノ-ブタ-3-エンを添加し、次いで、0.35gのPt-(1,1-ジメチル)アリルオキシ-ジフェニルシラン触媒溶液を添加し(これは、最終溶液混合物中に約75ppmのPt及び500ppmの促進剤を与える)、得られた混合物を75℃に加熱した。11.67gのTMDSOを2時間かけて添加した。添加中及び添加後にガスが生成した。次いで、溶液温度を80℃まで上昇させ、2時間撹拌し、生成物混合物をGC-FID及びGC-MSによって分析したところ、これらは、環状SiMe2OSiMe2CH2CH2CH2CH2NH-の形成の証拠を示さなかった。
【0117】
この実施例17では、環状-SiMe2OSiMe2CH2CH2CH2NMe-を、ヒドロシリル化促進剤として(1-メチル-2-プロピン-1-イル)オキシ-ジフェニルシラン(M1PPP)を使用して合成した。4.92gのN-メチル-アリルアミン及び0.087gのPt/M1PPP促進剤触媒溶液(これは、最終溶液混合物中の約23ppmのPt及び70ppmの促進剤を与える)を、融合ガラス熱ウェル及び還流凝縮器を備えた250mLの1つ口フラスコに添加した。溶液を62.5℃に加熱した。9.28gのTMDSOを3時間かけて添加したところ、温度が徐々に92℃に上昇した。添加中及び添加後にガスが生成した。次いで、溶液温度を80℃に上げ、1時間撹拌し、次いで周囲温度まで放冷した。粗生成物は、環状-SiMe2OSiMe2CH2CH2CH2NMe-を含有し、これはGC-FID及びGC-MSによって特定された。理論上、この材料は蒸留プロセスによって精製することができる。
【0118】
この実施例18では、環状-SiMe
2OSiMe
2OSiMe
2CH
2CH
2CH
2NH-を、ヒドロシリル化促進剤としてアリルオキシ-ジフェニルシラン(APP)を使用して合成した。アリルアミン11.58g及び実施例4cからのPt/APP促進剤触媒溶液0.3g(これは、最終溶液混合物中の約22ppmのPt及び65ppmの促進剤を与えた)を、融合ガラス熱ウェル及び還流凝縮器を備えた250mLの1つ口フラスコに添加した。溶液を52.7℃に加熱した。41.07gの1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルトリシロキサン(HMTSO)を7.5時間かけて反応混合物に添加し、温度を徐々に82.4℃に上昇させた。次いで、溶液を約95℃に30分間加熱し、次いで、約67℃に放冷して、これを1.5時間保持した。添加中及び添加後にガスが生成した。次いで、溶液温度を80℃に上げ、1時間撹拌し、次いで周囲温度まで放冷した。粗生成物は、GCによって特定された環状-SiMe
2OSiMe
2OSiMe
2CH
2CH
2CH
2NH-を含有したが、低収率(<25%)を得ただけであり、材料の大部分が、トリシロキサン、HSiMe
2OSiMe
2OSiMe
2H上のSiH部分の両方でヒドロシリル化反応を受けたアリルアミンの生成物に変換した状態で、主生成物としてH
2NCH
2CH
2CH
2SiMe-
2OSiMe
2SiMe
2CH
2CH
2CH
2NH
2を得た。理論上、環状-SiMe
2OSiMe
2OSiMe
2CH
2CH
2CH
2NH-は、蒸留プロセスによって精製することができる。
II部.アミノ官能性ポリオルガノシロキサンの調製
【表9】
【0119】
DOWSIL(商標)、SYL-OFF(商標)、及びSILASTIC(商標)ブランドを用いた表2の出発物質は、Dow Silicones Corporation (Midland,MI,USA)から市販されている。
【0120】
この実施例Iでは、以下のように、MeOHの溶液中の単一の環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-源を、MeO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2に変換した。融合ガラス熱ウェルを備えた250mLの1つ口フラスコに、約55%の環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-と、炭化水素及びシロキサン材料、並びに微量の白金からなる残部と、からなる75.75gの粗混合物を添加した。凝縮器をフラスコの上部に付加し、約-15℃に冷却した。約61.0mLのメタノールを30分かけてフラスコに添加し、21.3℃の徐々の発熱をもたらした。この溶液を約72℃で7時間にわたって還流させた。
【0121】
この実施例IIでは、MeO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2を、蒸留により精製した。実施例Iからのフラスコ上の凝縮器を、15cmのVigreuxカラム、蒸留ヘッド、及び受容フラスコで置き換えた。フラスコを真空なしで約115℃に加熱して、MeO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2より低い沸点を有する過剰なメタノール及び他の成分を除去した。MeO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2を、最大約130℃まで加熱した-20水銀柱インチ~-28水銀柱インチの真空下で採取し、理論収率の38%のMeO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2を採取した。
【0122】
この実施例IIIでは、EtOHの溶液中の単一の環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-源を、EtO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2に変換した。15mLのバイアルに、約3.0gの環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-を添加し、激しく撹拌した。0.8gのEtOHを12分かけてバイアルに添加した。バイアルを3日間撹拌して、90+%の環状シロキサザンをEtO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2に変換した。
【0123】
この実施例IVでは、複数の環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-源を、溶液中で組み合わせて、MeO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2に変換した。融合ガラス熱ウェルを備えた250mLの1つ口フラスコに、60.0mLのMeOHを添加した。MeOHを還流温度まで加熱し、激しく撹拌した。質量15.7g、16.0g、16.2、及び16.6gの、30%~90%の環状シロキサンを含有する4つの粗環状-SiMe2OSiMe2C3H6源を、6時間かけてフラスコに添加した。各場合において、溶液は、変色した。各添加の間に、試料をGCで分析し、各添加後にほぼ同じ不純物が生成したことを示した。最終添加後、得られた溶液を約72℃で3時間撹拌して、質量で最大の成分がメタノールではなく、MeO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2である混合物を作製した。
【0124】
この実施例Vでは、末端アミノ官能性シロキサンを、MeO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2を使用して縮合反応を介して合成した。250mLの3つ口丸底フラスコに、以下の材料を充填した:以下の試験方法に従って25℃で測定された70mPa・sの粘度を有するシラノール末端封鎖ポリジメチルシロキサン(148.7g)及びMeO-SiMe2OSiMe2C3H6NH2(1.78~2g)。得られた混合物を、窒素掃引下で90℃まで10分間加熱した。10分後、プロピオン酸(0.76g~1.02g)を添加し、得られた混合物を90℃で2~3時間撹拌した。次いで、蒸留減圧を<20mmHgの圧力で210分間適用して、経時的な粘度の上昇によって示されるように反応を進めた。次いで、減圧圧力及びストリッピング時間に応じて、100℃~150℃の範囲の温度でストリッピングすることにより、過剰なプロピオン酸を除去した。完了後、得られた流体をRTまで冷却し、保存前に窒素でパージした。この流体は透明かつ無色に見え、ジメチル-プロピルアミン末端キャッピングを有するアミノ官能性ポリジメチルシロキサンコポリマーであった。コポリマーは、以下の試験方法に従って25℃で測定した2500~4000mPa・sの粘度、及び水を基準にして100%の透過率を有した。エージング後にアンモニア臭気が検出されないことによって証明されるように、45℃でエージングした後、コポリマーは4ヶ月間安定であった。
【0125】
この実施例VIでは、Mw1,400g/mol及びDP=16を有するビス-アミノプロピルポリ-ジメチルシロキサンを以下のように合成した。熱電対、磁気撹拌棒、及びガスアダプタを有する凝縮器を備えた250mLの3つ口丸底フラスコに、約100g(0.1mol)のビス-シラノール末端ポリジメチルシロキサン(平均Mw1,000g/mol)(OH-PDMS2)を添加した。フラスコをN2で連続的にパージし、OH-PDMS2を激しく撹拌した。次いで、フラスコを、約64℃に加熱し、この時点で、39.16g(0.207mol)の1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタン(環状-SiMe2OSiMe2C3H6NH-)を10分かけて添加した。フラスコ内の反応混合物を、約74℃の最大温度まで加熱し、次いで冷却し始めた。反応混合物を75℃に保持するように、加えた熱を増加させ、30分間撹拌した。次いで、加熱を停止し、反応混合物をRTに放冷し、ヘッドスペースを窒素でフラッシュしながら一晩撹拌した。組成物を、1H NMR及び29Si NMRにより確認し、液体は、8mPa・s~10mPa・sの粘度を有した。
【0126】
この実施例VIIでは、Mw3,500g/mol及びDP=44を有するビス-アミノプロピルポリジメチルシロキサンを、以下のようにRTで合成した。熱電対、磁気攪拌棒、ガスアダプタを備えた凝縮器、及びSi-OHと一致する振動の消失(894cm-1で測定)を観測することによる反応のインサイチュモニタリングのためのダイヤモンド切刃式ReactIRを備える装置を提供した。フラスコに、約104.63g(33.8mmol)の、平均Mw=3,100g/molを有するビス-シラノール末端ポリジメチルシロキサン(OH-PDMS3)を添加した。フラスコをN2で不活性化し、OH-PDMS3を激しく撹拌した。OH-PDMS3のRTを、23.4℃であると測定した。13.88g(73.4mmol)の1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタンを1分かけて添加した。これらの出発物質間の反応は、ポット温度を29.2℃で6分間一時的に上昇させ、次いで、その後RTに戻した。観察は、6時間後に反応が効果的に完了したことを実証し、1H NMR及び29Si NMRスペクトルによりこれを確認した。
【0127】
この参考例VIIIでは、末端ビス-アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンを調製するための全般的な手順を以下のように実施した。
【化40】
20mLバイアルに、以下の出発物質を充填した:ビス-シラノール末端ポリジメチルシロキサン及び1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタン。得られた混合物を、均質になるまで反応温度で混合した。得られた生成物は、ビス-アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンであった。反応の進行を、
29Si-NMR及びFTIRを使用して監視した。このポリマーは、45℃でのエージング後6ヶ月間安定であった。ビス-ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(シラノール)の選択及び量、1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタン(エンドキャッパー)の量、反応条件、並びに結果を、以下の表Xに示す。
【表10】
【0128】
この参考例IXでは、縮合反応を介した末端ビス-アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンを調製するための全般的な手順を、以下のように実施した。
【化41】
250mLの3つ口丸底フラスコに、以下の材料を充填した:70mPa・sの粘度を有するビス-シラノール末端ポリジメチルシロキサン(シラノール)及び1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタン(エンドキャッパー)。得られた混合物を、窒素掃引下で90℃まで10分間加熱した。10分後、プロピオン酸を添加し、得られた混合物を90℃で2時間連続して撹拌した。次いで、蒸留減圧を<20mmHgの圧力で3.5時間適用して、経時的な粘度の上昇によって示されるように反応を進めた。減圧圧力及びストリッピング時間に応じて、100~150℃の範囲の温度でストリッピングすることにより、過剰なプロピオン酸を除去した。完了時に、得られた生成物を室温まで冷却し、保存前に窒素でパージした。得られた生成物は、透明かつ無色の流体であり、ビス-アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンであることが示された。
【表11】
【0129】
この実施例Xでは、末端及びペンダントアミノ官能基の両方を有するポリオルガノシロキサンを以下のように調製した。250mLの3つ口丸底フラスコに、以下の材料を充填した:70mPa・sの粘度を有するビス-シラノール末端ポリジメチルシロキサン(シラノール)、3-アミノプロピルジエトキシシラン(1.3重量%)、及び1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタン(1重量%)(エンドキャッパー)。得られた混合物を、窒素掃引下で90℃まで10分間加熱した。10分後、プロピオン酸(0.6重量%)を添加し、得られた混合物を90℃で2時間連続して撹拌した。次いで、蒸留減圧を<20mmHgの圧力で3.5時間~4時間適用して、経時的な粘度の上昇によって示されるように反応を進めた。減圧圧力及びストリッピング時間に応じて、100℃~150℃の範囲の温度でストリッピングすることにより、過剰なプロピオン酸を除去した。完了時に、生成物を室温まで冷却し、保存前に窒素でパージした。得られた透明で無色の流体は、1800mPa・s~2200mPa・sの最終粘度を有するアミノプロピル末端アミノプロピル官能性ポリジメチルシロキサンコポリマーであった。
【0130】
この実施例XIでは、1,3-ビス(3-アミノプロピル)-1,3-ジメチル-1,3-ジフェニルジシロキサンを以下のように合成した。250mLの3つ口丸底フラスコに、21.52gの、主に1,3-ジメチル-1,3-ジフェニル-ジシロキサン-1,3-ジオールを含有するフェニル-メチルシロキサンを充填した。これを窒素掃引下で混合しながら90℃に加熱した。90℃に達すると、フラスコに、53.27gの1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタンを充填した。混合物を300RPMにて90℃で7時間撹拌した。プロトンNMRを介して反応を監視し、SiOHの消費を、29Si NMRにより監視した。
【0131】
この実施例XIIでは、上記の参考例VIIIに従って調製された試料中のアンモニア濃度を、以下のように分析した。参考例VIIIによって調製されたビス-アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンを、45℃のオーブン又はRTのいずれかで6ヶ月間エージングした。Hydrion(商標)CAT#AM-40紙を使用して、各試料について容器のヘッドスペース内に存在するアンモニアガスの濃度を定量化した。最終NH
3濃度は、反応に添加された過剰の1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタンの量に大きく依存し、大過剰がより明確なNH
3臭気につながることを見出した。ビス-アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサン生成物の試料調製条件及びエージング条件を以下の表に示す。
【表12】
【0132】
この実施例XIIIでは、上記の参考例VIIIに従って調製された試料の粘度安定性を、以下のように分析した:参考例VIIIに従って調製されたビス-アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンを、45℃のオーブン又はRTのいずれかで6ヶ月間エージングした。エージング前後の粘度を、以下に記載されるように測定した。結果を以下の表に示す。ビス-アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンの粘度は、周囲温度及び高温(45℃)で6ヶ月間にわたって安定したままであった。
【表13】
【0133】
この実施例XIVでは、上記のように調製された末端アミノ官能性ポリジオルガノシロキサンを、以下のように、毛髪をコンディショニングすることによって毛髪摩擦を低減するために分析することができる。ヘアコンディショナー配合物の調製(予測的);[0099]末端アミノ官能基(TAS)並びに2000~2700mPa・s及び13,000~16,000mPa・sの粘度を有するポリジオルガノシロキサンを、1%の末端アミノ官能基を有するポリジオルガノシロキサンを提供するのに十分な量を使用して、リンスオフコンディショニング配合物に添加する。コンディショニング配合物を以下の表に示す。コンディショニング配合物は、TAS(2000~2700mPa・s)を使用して調製される。DOWSIL(商標)2-8566アミノ流体及びPantene Smooth & Steekを比較試験として使用する。
【表14】
より低い数=より低い摩擦=より滑らかな毛髪表面=より良好な結果。リンスオフコンディショナー用途における1%のSi
【0134】
脱イオン水を混合容器に添加し、70℃まで加熱した。適度な撹拌により、ヒドロキシエチルセルロースを完全に溶解するまで拡散させる。熱を60℃まで下げ、セテアリルアルコール、ステアリン酸PEG-100、ステアリン酸グリセリル、及びシリコーンブロックコポリマー(存在する場合)を添加した。コンディショナーを3分間混合した後、EDTA四ナトリウムを添加して3分間混合した。温度が40℃を下回ると、フェノキシエタノールとメチルイソチアゾリノンとを添加した。減った水を補い、得られた配合物を更に5分間混合した。コンディショナー配合物の最終pHは、全て約5であった。
【0135】
本明細書で調製されたコンディショニング配合物を試験するために、International Hair Importers製の、ある程度脱色したEuropean human hairを使用した。各髪房は、2グラムの重さであった。各髪房を、40℃の水道水の流れで15秒間すすいだ。ピペットを使用し、9パーセントのラウリル硫酸ナトリウムを含有する0.4グラムの溶液を適用し、髪房全体にわたって30秒間泡立てた。髪房を、流水で30秒間すすいだ。髪房を、手の人差し指と中指との間を通過させることにより、過剰な水を髪房から除去した。髪房を、ペーパータオルで覆ったトレイに配置し、一晩乾燥させた。各髪房を、幅の狭い歯のACE(商標)ブランドの櫛を使って3回手でとかし、INSTRON WET及びINSTRON DRY COMBING手順を使用して評価した。INSTRON手順は、標準の、認知されている、産業的に許容されているプロトコルであり、例えば、米国特許第5,389,364号(1995年2月14日)、同第5,409,695号(1995年4月25日)、同第5,419,627号(1995年5月30日)、及び同第5,504,149号(1996年4月2日)を参照されたい。
【0136】
コンディションを伴う試験では、毛髪の房を、40℃の水道水で30秒間すすいだ。試験コンディショナーを髪房に0.8グラムの量で適用し、髪房を30秒間なでた。髪房を、40℃の水道水で30秒間すすいだ。髪房を、手の人差し指と中指で引っ張ることにより、過剰な水を髪房から除去した。髪房を、室温で一晩ペーパータオルの上で別々に乾燥させた。髪房を、INSTRON試験を実施する前に一度櫛でといた。
湿潤時の櫛通りが容易であるため、及び乾燥時の櫛通りが容易であるため、コンディショニング性能の測定のためにINSTRON COMBINGを使用した。試験では、毛髪を櫛でとくのに必要な力を測定するために具備されるINSTRONひずみゲージを用いた。コンディショニング性能は、INSTRONひずみゲージで毛髪を櫛でとくのに必要とされる力を低減するためのシャンプー又はヘアコンディショナーなどの特定のヘアトリートメント配合物の能力に基づくものとした。力は、平均櫛通り負荷(ACL)として報告した。ACL値の数が低くなるほど、試験されている配合物により付与されるコンディショニング効果は良好になった。
INSTRON DRY COMBING法に従って、髪房を3回櫛でとくことにより毛髪のもつれをほぐした。次に、髪房を時計回りに3回旋回、反時計回りに3回旋回させることにより毛髪を再びもつれさせた。髪房をハンガー上に配置し、INSTRON櫛でといた。再びもつれさせ、INSTRON櫛でとくことを全てのデータ点が収集されるまで繰り返した。3つの髪房の平均櫛通り力を各トリートメントで測定した。
【0137】
INSTRON WET COMBING方法に従って、毛髪を最初に、蒸留水に浸すことにより濡らし、次に髪房を3回櫛でとくことにより毛髪のもつれをほぐした。次に、髪房を3回蒸留水に浸すことにより再びもつれさせた。髪房を、2回手の人差し指と中指の間を通過させることにより、過剰な水を除去した。髪房をハンガー上に配置し、INSTRON櫛でといた。再びもつれさせ、INSTRON櫛でとくことを全てのデータ点が収集されるまで繰り返した。3つの髪房の平均櫛通り力を各トリートメントで測定した。
【表15】
【0138】
COEFFICIENT OF FRICTIONは、毛髪におけるトリートメントの摩擦特性の低下を測定するための、業界の標準的方法であり、滑らかさ及び柔軟性の感覚的計数値に相関する。ゴムプローブに据えた、50gの垂直抗力を有するDiastron MTT175引張試験機を、温度及び湿度を制御した室内での試験に使用した。1トリートメント当り3つの髪房、及び髪房1つ当り5回の測定を試験して、毛髪のキューティクルの向き、及び逆向きの両方の摩擦データを得た。摩擦係数(COF)=F/Nであり、式中、Fは外側に加えられる力であり、Nは垂直抗力である。櫛通り試験と同じ髪房を、乾燥状態での摩擦係数の測定に使用した。
【0139】
結果は、本発明に従って調製されたTASを含有するリンスオフコンディショニング配合物が、対照コンディショナー、DOWSIL(商標)2-8566、及びPantene Smooth & Sleekと比較して摩擦低減の改善を提供したことを示した。
【表16】
【表17】
【0140】
この実施例XVでは、Mw=120,500g/mol、及びDP=1627を有するビス-アミノプロピルポリジメチルシロキサンを、457gの約120,000g/molのシラノール末端ポリジメチルシロキサン流体(粘度約341,000mPa・s)を145℃まで予熱し、次いで、窒素のオーバーヘッド掃引と共に1Lの3つ口フラスコにおいて機械的撹拌機を使用して撹拌することによって合成した。1.60gの1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタンをシラノール末端ポリジメチルシロキサン流体に添加し、次いで8時間撹拌した。撹拌を停止し、流体を周囲温度まで放冷し、生成物を採取した。シラノールは、効果的にキャッピングされて、3-アミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンをもたらしたことが示され、これは、シクロジメチルトリシロキサン内部標準を用いた29Si NMRを使用して特定された。生成物の粘度を、約358,000mPa・sと測定した。
【0141】
この実施例XVIでは、20~40MM mPa・sの粘度を有するビス-アミノプロピルポリ-ジメチルシロキサンを、GPCによって測定される340,000の数平均分子量及び650,000の重量平均分子量、並びに以下に記載の方法に従って55~65の可塑性値を有する、99.84gのヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンHO-(Si(CH)3)2O)n-Si-OH(商品名XIAMETER(商標)RBG-0910 Gumで、Dow Silicones Corporationから市販されている)と、0.17gの1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタンとを、DAC 500 FVZ SpeedMixer(商標)カップ中、窒素雰囲気下で組み合わせ、30秒間で5回、毎回2350RPMで混合することによって調製した。内容物を混合の間に15分間放冷した。混合後、内容物を70℃のオーブン内に12時間入れた。粘度及び可塑性値は、元のシラノール末端ポリジメチルシロキサンと同様であった。プロピルアミン末端ポリジメチルシロキサンへの約25%の変換を拡散29Si NMRによって確認した。
【0142】
この実施例XVIIでは、60mPa・s~80mPa・sの平均粘度及びDP=44を有するビス-(3-アミノ-2-メチル)プロピル末端ポリジメチルシロキサンを調製するための全般的な手順を、以下のように提供した。熱電対、磁気撹拌棒、ガスアダプタを有する凝縮器を備えた250mLの3つ口丸底フラスコを備える装置を組み立てて、粘度60mPa・s~80mPa・s(及びDP=40)を有する約50.05g(16.9mmol)のビス-シラノール末端ポリジメチルシロキサンをフラスコに添加した。フラスコをN
2で不活性化し、ビス-シラノール末端ポリジメチルシロキサンを激しく撹拌し、90℃に加熱した。本明細書のI部における実施例15からの生成物、1,1,3,3,5-ペンタメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタン(エンドキャッパー)6.95g(34.2mmol)を、ビス-シラノール末端ポリジメチルシロキサンに添加した。これらの出発物質間の反応は、ポット温度を92℃に3分かけて一時的に上昇させ、その後、90℃に戻して安定させた。混合物を6時間攪拌し、次いでRTまで冷却した。生成物、ビス-(3-アミノ-2-メチル)プロピル末端ポリジメチルシロキサンは、
29Si NMRの分析に基づいて、44のDAを有することが示され、60mPa・s~80mPa・sの測定粘度を有した。構造を、
1H NMR、
13C NMR、及び
29Si NMRを使用して確認した。
【化42】
【0143】
この実施例XVIIIでは、3-(アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキシ末端MQ樹脂を、以下のように合成した。1,000mLの3つ口丸底フラスコに、以下の材料を充填した:148.25gのMQ1樹脂溶液及び45.05gのHPLCグレードのキシレン。この混合物を、300RPMにて回転するガラス撹拌シャフトに取り付けられたPTFE撹拌パドルで撹拌した。滴下漏斗に、38.09gの環状シロキサザンを充填し、攪拌溶液に20分かけて滴下したところ、+12.2℃(19.6℃→31.8℃)の温度上昇を伴った。滴下漏斗を25mLのHPLCグレードのキシレンですすいだ。反応混合物を80℃に加熱し、2時間撹拌しながらこの温度で保持した。冷却してから、5.28gの2-プロパノール及び20.10gの脱イオン水を添加した。ディーンスタークトラップを、水冷還流凝縮器を伴う反応装置に取り付けた。反応混合物を、水及び2-プロパノールを採取したときに、キシレンが激しく還流するまで(145℃)20分間加熱した。窒素ブランケット下で室温に冷却した後、反応生成物を2Lのロータリーエバポレーターのフラスコに移し、5mmHgで30分間120℃までストリッピングした。
【0144】
得られた反応生成物を以下のようにNMRによって分析した。9.24gの反応生成物、0.1941gの1,4-ジオキサン(内部標準)、及び13.8670gの、0.04Mの濃度Cr(acac)3を含有するd-クロロホルムを、PTFE NMRチューブ内で組み合わせ、29Si及び13C NMRの両方に供して、MMe3+NH2
0.432DMe2
0.109(Q0.459)OH0.023(式中、下付き文字は、モル分率を表す)の平均組成及び固形分基準で545.8g/mol NHのアミン水素当量を明らかにした。
【0145】
この実施例XIXでは、3-(アミノプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキシ末端T-フェニル樹脂を、以下のように合成した。1,000mLの3つ口丸底フラスコに、以下の出発物質を充填した:100.04gのヒドロキシル官能性ポリフェニルシルセスキオキサン(DOWSIL(商標)217樹脂として市販されている)及び64.15gのHPLCグレードのキシレン。この混合物を、300RPMにて回転するガラス撹拌シャフトに取り付けられたPTFE撹拌パドルで撹拌した。反応混合物を50℃まで加熱した。37.39gの環状シロキサンを、3分かけて撹拌溶液に滴下したところ、+18.3℃(52.7℃→71.0℃)の発熱による温度上昇をもたらした。滴下漏斗を20mLのHPLCグレードのキシレンですすぎ、23.66gのヘキサメチルジシラザン(DOWSIL(商標)Z-6079流体として市販されている)を充填した。ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)を2分間かけて添加したところ、発熱よる温度上昇は観察されなかった。溶液を80℃に加熱し、その温度で4時間維持した。冷却後、20.07グラムのHPLCグレードの2-プロパノール及び5.03グラムの脱イオン水を添加して、あらゆる未反応のシラザン及び/又はシロキサザンをクエンチした。ディーンスタークトラップを、水冷還流凝縮器を伴う反応装置に取り付けた。反応混合物を、水及び2-プロパノールを採取したときに、キシレンが激しく還流するまで(145℃)30分間加熱した。窒素ブランケット下でRTに冷却した後、反応生成物を2Lのロータリーエバポレーターのフラスコに移し、5mmHgで120℃までストリッピングした。生成物を再分散させるために、23.96gのHPLCグレードのキシレンを添加して、85%の溶液を生成した。
【0146】
4.0977gの反応生成物、0.1136gの1,4-ジオキサン(内部標準)、及び5,7538gの、0.04Mの濃度のCr(acac)3を含有するd-クロロホルムを、PTFE NMRチューブ内で組み合わせ、29Si及び13C NMRの両方に供して、MMe3+NH2
0.221D0.146(TPh
0.634)OH0.027の平均組成及び固形分基準で326.3g/mol NHのアミン水素当量を明らかにした。
【0147】
この実施例XXでは、1,1,1-トリエチル-3,3,5,5-テトラメチル-5-(3-アミノプロピル)-トリシロキサンを以下のように合成した:1.0218g(5.39mmol)の1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1,3-ジシラシクロヘプタンを、撹拌棒を備えた約8mLのバイアルに添加し、周囲温度で混合した。0.7136g(6.14mmol)のトリエチルシラノールをバイアルに添加し、攪拌したところ、フラスコが約37℃に15分間発熱した。フラスコを15分かけて冷却し、次いで、生成物をGC-FID、GC-MS及び1H並びに13C NMRにより分析したところ、環状シロキサザンの90+%が、Et3SiOSiMe2OSiMe2C3H6NH2として同定される主要生成物で変換されたことを示した。
【0148】
この実施例XXIでは、1,1,1-トリイソプロピル-3,3,5,5-テトラメチル-5-(3-アミノプロピル)-トリシロキサンを以下のように合成した:0.9770g(5.16mmol)の1,1,3,3-テトラメチル-2-オキサ-7-アザ-1、3-ジシラシクロヘプタンを、攪拌棒を備えた約8mLのバイアルに添加し、周囲温度で混合した。0.9030g(5.16mmol)のトリ-イソプロピルシラノールをバイアルに添加し、16日間撹拌して、90+%がiPr3SiOSiMe2OSiMe2C3H6NH2に変換したことを示し、生成物をGC-FID、GC-MS並びに1H及び13C NMRによって分析した。
【0149】
産業上の利用可能性
上記の実施例(W)は、環状シロキサザンを本明細書に記載のプロセスによって効率的に調製することができることを示した。環状シロキサザンは、シラノール末端ポリジオルガノシロキサンなどのシラノール官能性ポリオルガノシロキサンを含むシラノール官能性有機ケイ素化合物のキャッピング剤として使用することができる。末端アミノ官能基を有するポリジオルガノシロキサンを調製することができ、これらのポリジオルガノシロキサンは、例えば、本明細書に記載されるように調製されたアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンが、RT及び45℃での両方のエージング後に低アンモニア濃度を有することを示す上記の実施例XII、及び本明細書に記載されるように調製されたアミノプロピル末端ポリジメチルシロキサンの粘度が、RT及び45℃での両方のエージング後に一定のままであることを示す実施例XIIIによって証明されるように、従来の方法によって(例えば、米国特許第7,238,768号に開示されるように)調製されたアミノ官能性シロキサンに対して改善された安定性を有し得る。
【0150】
用語の定義及び用法
本明細書の文脈によって別段の指示がない限り、本明細書における全ての量、比率、及び百分率は、重量によるものであり;冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ1つ以上を指し;単数形は複数形を含む。発明の概要及び要約書は、参照により本明細書に組み込まれる。「~を含む(comprising)」、「~から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「~からなる(consisting of)」の移行句はManual of Patent Examining Procedure Ninth Edition,Revision 08.2017,Last Revised January 2018のセクション§2111.03 I.、II.、及びIIIに記載されているように使用される。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば/など(such as)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば/など(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example, but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as, but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。本明細書で使用される略語は、表8の定義を有する。
【表18】
【0151】
以下の試験方法を使用して、本明細書の出発物質の特性を測定した。
【0152】
最大250,000mPa・sの粘度を有する各ポリジオルガノシロキサンの粘度(出発物質D-IIについてのビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンなど)及び/又はそれにより調製されたアミノ官能性ポリジオルガノシロキサンを、#CP-52スピンドルを備えたBrookfield DV-IIIコーンプレート型粘度計にて0.1~50RPMで測定した。当業者であれば、粘度を測定するためにこの試験方法を使用する場合、粘度が上昇するにつれて回転速度が減少すること、及び適切な回転速度を選択することができることを認識するであろう。
【0153】
ガムと見なされる任意のポリオルガノシロキサンのWilliams可塑性数は、米国特許第8,877,293(B2)号に記載されるような米国試験材料協会(American Society for Testing and Materials、ASTM)試験法926Dによって決定することができる。
【0154】
29Si NMR及び13C NMRスペクトル法を使用して、ポリジオルガノシロキサン中の炭化水素基(例えば、上記のR8及び/又はR9などのR基)の含有量を定量化することができる。29Si NMRスペクトルは、John Wiley & Sons社のChemical Analysis Vol 112(1991)のA.Lee Smith編集のThe Analytical Chemistry of SiliconesのChapter12、ページ347~417のセクション5.5.3.1にTaylorらによって概説されている方法論を使用して取得するべきである。この章において、著者らはケイ素核の定量的NMRスペクトルを取得するために固有の全般的なパラメータを論じている。それぞれのNMRスペクトル計は、電子部品、能力、感度、周波数、及び操作手順に関して異なる。試料中の29Si及び13C核の定量的1D測定に十分なパルスシーケンスを調整、シム調整(shim)及び較正するために、使用するスペクトル計の機器マニュアルを参照する必要がある。
【0155】
NMR分析の重要な出力はNMRスペクトルである。標準がない場合、定量的であると見なすためにはシグナルの高さ対平均ベースラインノイズのシグナル対ノイズ比が10:1以上であることが推奨される。適切に取得されて処理されたNMRスペクトルは、任意の市販のNMR処理ソフトウェアパッケージを使用して積分することができるシグナルをもたらす。
【0156】
これらの積分から、全R基含有量の重量パーセントは29Si NMRスペクトルから、次の(IM)・(UM)=GM;(IM(R))・(UM(R’))=GM(R);(ID)・(UD)=GD;(ID(R))・(UD(R))=GD(R);UR/UM(R)=YR’;UR/UD(R)=YR”;
YR’’・[GM(R)/(GM+GM(R)+GD+GD(R))・100]=WR’;
YR”’・[GD(R)/(GM+GM(R)+GD+GD(R))・100]=WR”;及びWR’+WR”=総WRによって計算することができ、ここで、Iは示されたシロキシ基の積分シグナルであり、Uは示されたシロキシ基の単位分子量であり、Gはグラム単位を表すプレースホルダであり、Wは示されたシロキシ単位の重量パーセントであり、Yは指定されたシロキシ単位の比の値であり、Rは上記の通りであり、R’はM(R)のみからのR基を表し、R”はD(R)基のみからのR基を表す。
【0157】
1H-NMR及び195Pt NMRを、以下の機器及び溶媒を使用して評価した:Varian 400MHz Mercuryスペクトル計が使用される。C6D6は、溶媒として使用される。
【0158】
ガスクロマトグラフィ-水素炎イオン化検出器(GC-FID)条件:キャピラリーカラムは、長さ30m、内径0.32mmで、厚さ0.25μmの固定相をキャピラリーカラムの内面上のコーティングの形状で含み、固定相は、フェニルメチルシロキサンを含んでいた。キャリアガスには、流速毎分105mLでヘリウムガスを使用する。GC装置はAgilentのモデル7890Aのガスクロマトグラフとする。入口温度は200℃とする。GC実験温度プロファイルは、50℃で2分間の灼熱処理(保持)、15℃/分の速度で250℃までの昇温、及びその後の250℃で10分間の灼熱処理(保持)からなる。
【0159】
GC-MS装置及び条件。試料は、電子衝撃イオン化及び化学イオン化ガスクロマトグラフィ-マススペクトル法(EI GC-MS及びCI GC-MS)によって分析される。Agilent 6890GCの条件には、30メートル(m)×0.25ミリメートル(mm)×0.50マイクロメートル(μm)膜配置のDB-1カラム、200℃の入口温度、50℃で2分間での灼熱処理、15℃/分で250℃までの昇温、及び250℃で10分間の灼熱処理のオーブンプログラムが含まれる。ヘリウムキャリアガスは、1mL/分の定流量、及び50:1のスプリット注入にて流れる。Agilent 5973 MSDの条件には、15~800ダルトンのMSスキャン範囲が含まれ、EIイオン化及びCIイオン化には5%のNH3と95%のCH4との特注CIガス混合物を使用する。
【0160】
ポリオルガノシロキサン出発物質(例えば、出発物質D)、及び本明細書に記載のアミノ官能性ポリオルガノシロキサン生成物)の数平均分子量は、米国特許第9,593,209号、第31欄の参考例1の試験方法に従ってGPCによって測定することができる。上記実施例で調製されたアミノ官能性ポリジメチルシロキサンの透過率を、Spectronic 21:Milton Royを用いて、水を基準にして測定した。
【0161】
本発明は、例示的な様式で説明されており、使用されている用語は限定の性質よりも、むしろ説明のための言葉としての性質が意図されているものと理解されるべきである。本明細書で個々の特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、個々に、及び/又は組み合わされて依拠され得、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に対し適切なサポートを提供するものである。
【0162】
更に、本発明を説明する際に依拠される任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲内に入り、本明細書にその中の整数及び/又は分数の値が明記されていない場合であっても、その中の整数及び/又は分数の値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分的範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分的範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分などに描かれ得ることを容易に認識する。単なる一例として、範囲「1~18」は、下の3分の1、すなわち1~6、中間の3分の1、すなわち7~12、及び上の3分の1、すなわち13~18と更に詳述することができ、それらは個別的に、また集合的に添付の特許請求の範囲内であり、個別的及び/又は集合的に依拠され得、添付の特許請求の範囲内の特定の実施形態に対し適切なサポートを提供することができる。更に、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」「未満」「以下」などに関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。