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特許7600232ニコチン粒子を含有する充填材を含む経口袋状ニコチン製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】ニコチン粒子を含有する充填材を含む経口袋状ニコチン製品
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
A24B13/00
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2022529359
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(86)【国際出願番号】 EP2020082884
(87)【国際公開番号】W WO2021099571
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-09-04
(31)【優先権主張番号】19210423.0
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510171922
【氏名又は名称】スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モルテン・キンドヴァル
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/083393(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/308115(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材及び前記充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、前記充填材が、
(a)担体材料から形成されるタバコ不含ニコチン含有粒子であって、前記担体材料が、微結晶セルロースを含み、前記タバコ不含ニコチン含有粒子が、ニコチン源を含み、前記タバコ不含ニコチン含有粒子が、0.8~1.0の真球度及び0.1mm~2.0mmの径を有する、タバコ不含ニコチン含有粒子、並びに
(b)任意に、前記充填材の総質量に基づいて0.05質量%~10質量%の範囲の量で存在するタバコ材料
を含み、
但し、前記経口袋状ニコチン製品は、ニコチン源及び結合剤を含むコーティングを含む成分を含まない又は実質的に含まない、経口袋状ニコチン製品。
【請求項2】
前記担体材料が、微結晶セルロースからなる、請求項1に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項3】
タバコ材料を含まない、請求項1又は2に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項4】
前記充填材の総質量に基づいて0.05質量%~10質量%、例えば1質量%~5質量%、例えば0.2質量%~1質量%の範囲のタバコ材料を含む、請求項1又は2に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項5】
前記ニコチン源が、前記担体材料に吸収される、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項6】
前記ニコチン源の少なくとも一部が、前記タバコ不含ニコチン含有粒子の外表面に存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項7】
前記タバコ不含ニコチン含有粒子が、乾燥していない、請求項1から6のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項8】
前記充填材が、pH調整剤、例えばNa2CO3、K2CO3、NaHCO3及び/又はKHCO3を更に含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項9】
前記pH調整剤が、前記タバコ不含ニコチン含有粒子に含まれる、請求項8に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項10】
前記タバコ不含ニコチン含有粒子が、以下の1つ又は複数:
- 0.15mm~2.0mm、例えば0.3mm~2.0mm、例えば0.4mm~2.0mm、例えば0.5mm~2.0mm、例えば0.6mm~2.0mm、例えば0.7mm~2.0mm、例えば0.8mm~2.0mm、例えば0.9mm~2.0mm、例えば0.7mm~1.5mm、例えば0.9mm~1.2mm、例えば0.7mm~1.1mmの径、
- 0.15mm~1.5mm、例えば0.3mm~1.5mm、例えば0.7mm~1mm、例えば0.8mm~1mm、例えば0.9mm~1.0mmのd50値、
- 前記タバコ不含ニコチン含有粒子の総質量に基づいて0.5質量%~25質量%、例えば5質量%~25質量%、例えば8質量%~25質量%、例えば5質量%~15質量%、例えば8質量%~15質量%の水分量、
- 2g/秒以上の流速及び/又は41°以下の安息角、
によって特徴付けられる、請求項1から9のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項11】
前記タバコ不含ニコチン含有粒子が、
0.7mm~1.0mmの径、
0.9~1.0のd50値、及び
前記タバコ不含ニコチン含有粒子の総質量に基づいて8質量%~15質量%の水分量、
を有することによって特徴付けられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項12】
前記充填材が、
(i)微結晶セルロースを含む担体材料、
(ii)任意に、前記担体材料に含まれるpH調整剤
を含むニコチン不含追加粒子を更に含み、
前記ニコチン不含追加粒子が、0.8~1.0の真球度及び0.1mm~2.0mmの径を有する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項13】
前記ニコチン不含追加粒子が、以下の1つ又は複数:
- 0.15mm~2.0mm、例えば0.3mm~2.0mm、例えば0.4mm~2.0mm、例えば0.5mm~2.0mm、例えば0.6mm~2.0mm、例えば0.7mm~2.0mm、例えば0.8mm~2.0mm、例えば0.9mm~2.0mm、例えば0.7mm~1.5mm、例えば0.9mm~1.2mm、例えば0.7mm~1.1mmの径、
- 0.15mm~1.5mm、例えば0.3mm~1.5mm、例えば0.7mm~1mm、例えば0.8mm~1mm、例えば0.9mm~1.0mmのd50値、
- 前記ニコチン不含追加粒子の総質量に基づいて0.5質量%~25質量%、例えば5質量%~25質量%、例えば8質量%~25質量%、例えば5質量%~15質量%、例えば8質量%~15質量%の水分量、
- 2g/秒以上の流速及び/又は41°以下の安息角、
によって特徴付けられる、請求項12に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項14】
前記ニコチン不含追加粒子が、
0.7mm~1.0mmの径、
0.9~1.0のd50値、及び
前記ニコチン不含追加粒子の総質量に基づいて8質量%~15質量%の水分量、
を有することによって特徴付けられる、請求項12又は13に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項15】
前記ニコチン源が、ニコチン塩基であり、並びに/又は、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、ニコチンサリチル酸塩、ニコチン安息香酸塩、ニコチンポラクリレックス及びその任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1から14のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項16】
前記ニコチン源が、ニコチン塩基を含む又はそれからなる、請求項1から15のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項17】
前記ニコチン源が、以下:ニコチン一酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物の1種又は複数を含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項18】
前記充填材が、香料、甘味料、湿潤剤及びその任意の混合物からなる群から選択される添加物を更に含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項19】
前記添加物が、香料、例えば香油、例えば疎水性香油、例えば合成香料、例えば天然と同一の香料を含む又はそれからなる、請求項18に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項20】
前記添加物が、前記タバコ不含ニコチン含有粒子に含まれる、請求項18又は19に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項21】
前記添加物が、前記ニコチン不含追加粒子に含まれる、請求項12から14のいずれか一項に従属する場合の請求項18又は19に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項22】
前記充填材が、前記充填材の総質量に基づいて0.5質量%~25質量%、例えば5質量%~25質量%、例えば8質量%~25質量%、例えば5質量%~15質量%、例えば8質量%~15質量%の範囲の水分量を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項23】
前記タバコ不含ニコチン含有粒子が、前記充填材の総質量に基づいて50質量%~100質量%、例えば50質量%~90質量%の範囲の量で提供される、請求項1から22のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項24】
前記タバコ不含ニコチン含有粒子及び前記ニコチン不含追加粒子が、前記充填材の総質量に基づいて50質量%~100質量%、例えば50質量%~90質量%の範囲の量で提供される、請求項12から14のいずれか一項に記載の、または請求項12から14のいずれか一項に従属する場合の請求項15から23のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品を調製する方法であって、前記方法が、
a)請求項1から24のいずれか一項に規定の充填材を用意する工程、及び
b)前記充填材を唾液浸透性パウチに封入する工程、
を含む、方法。
【請求項26】
経口袋状ニコチン製品を製造するための、請求項1から24のいずれか一項に規定の充填材の使用。
【請求項27】
請求項1から24のいずれか一項に規定の充填材を調製するための方法であって、前記方法が、
a)微結晶セルロースを含む又はそれからなる担体材料から形成されるニコチン不含粒子を用意する工程、
b)ニコチン源、溶媒、例えば水及び任意に添加物を含む混合物を用意する工程、
c)工程a)の粒子を工程b)の混合物に供し、それによって、前記混合物の一部又は全てが工程a)からのニコチン不含粒子に含まれ、それによって、タバコ不含ニコチン含有粒子を用意する工程、
d)任意に、工程c)から得られた粒子に香料を加える工程、
e)任意に、工程c)又はd)において得られた粒子にニコチン不含追加粒子を加える工程、並びに
f)任意に、工程a)~e)のいずれか1つにおいて前記粒子の水分量を変化させる工程、
を含む、方法。
【請求項28】
工程a)~f)のいずれか1つにおける前記粒子が、独立して、以下の1つ又は複数:
- 0.8~1.0の真球度、
- 0.15mm~2.0mm、例えば0.3mm~2.0mm、例えば0.4mm~2.0mm、例えば0.5mm~2.0mm、例えば0.6mm~2.0mm、例えば0.7mm~2.0mm、例えば0.8mm~2.0mm、例えば0.9mm~2.0mm、例えば0.7mm~1.5mm、例えば0.9mm~1.2mmの径、
- 0.15mm~1.5mm、例えば0.3mm~1.5mm、例えば0.7mm~1mm、例えば0.8mm~1mm、例えば0.9mm~1.0mmのd50値、
- 前記粒子の総質量に基づいて0.5質量%~25質量%、例えば5質量%~25質量%、例えば8質量%~25質量%、例えば5質量%~15質量%、例えば8質量%~15質量%の水分量、
- 2g/秒以上の流速及び/又は41°以下の安息角、
によって特徴付けられる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
工程a)~f)のいずれか1つにおける前記粒子が、
0.8~1.0の真球度、
0.7mm~1.0mmの径、
0.9~1.0のd50値、及び
前記粒子の総質量に基づいて8質量%~15質量%の水分量、
を有することによって特徴付けられる、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
0.7mmより小さい粒子を欠く、請求項27から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
粒子除去工程を欠き、及び/又は乾燥工程を欠く、請求項27から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
経口袋状ニコチン製品を調製する方法であって、前記方法が、
a)請求項27から31のいずれか一項に従って製造されたタバコ不含ニコチン含有粒子及び
任意にニコチン不含追加を用意する工程、並びに
b)工程a)からの粒子を唾液浸透性パウチに封入する工程、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、充填材及び充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、充填材は、0.8~1.0の真球度及び0.1mm~2.0mmの径を有する粒子を含むニコチンを含み、前記経口袋状ニコチン製品は、コーティングを含有するニコチンを含む任意の成分を含まない、経口袋状ニコチン製品に関する。本開示は、また、前述の充填材を調製する方法、前述の経口袋状ニコチン製品を調製する方法及び経口袋状ニコチン製品を調製するための前述の充填材の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、経口無煙タバコ製品は、製品のタバコからニコチン満足感を提供するために、消費者の口腔に使用されている。タバコの他に、経口無煙タバコ製品は、一般的に、水、塩、pH調整剤並びに香料及び湿潤剤等の追加の成分を含む。一般的に、これらの製品は嗅ぎタバコと呼ばれる。嗅ぎタバコは乾燥又は湿潤していてもよく、包装していない形態又は袋状の形態で提供されてもよい。湿性嗅ぎタバコは2種類に分けられ、アメリカタイプの嗅ぎタバコ(American snuff)とスカンジナビアタイプの嗅ぎタバコ(Scandinavian snuff)がある。アメリカタイプの湿性嗅ぎタバコは、一般的に湿潤した細かく挽いたタバコ又は刻みタバコの発酵工程によって製造される。スカンジナビアタイプの湿性嗅ぎタバコ(スヌース)は、一般的に発酵の代わりに加熱処理工程(パスツーリゼーション)を用いて製造される。加熱処理はタバコ調製物内部の有機体の少なくとも一部を分解、破壊又は変性させるために実行される。
【0003】
タバコを含まない又は少量のタバコを含む経口袋状ニコチン製品は、今や、特に、その魅力的な外見、新鮮さ及び味のおかげで消費者の間で徐々に人気がでている。更に、この種の製品は、ユーザーがタバコに暴露されることなくニコチンを楽しむことができる。
【0004】
経口袋状ニコチン製品は、典型的に、上顎又は下顎と唇の間パウチを置き、限定された時間、それをそこに保持することによって、消費者に使用される。製品は、ユーザーの口に快適に目立たずに合うように構成される。パウチ材は、唾液が充填材を通過し、香料及びニコチンが充填材から消費者の口に拡散することができるように、充填材を適所に保持する。
【0005】
このような経口無煙非タバコ嗅ぎタバコ製品又は経口無煙低タバコ嗅ぎタバコ製品の充填材はニコチンを含む、又はニコチンを欠いてもよい。
【0006】
EP 2 177 213は、1~50%のニコチン及び0~99%の賦形剤の均一な混合物を含むニコチン含有顆粒であって、顆粒は少なくとも150μmの粒径を有する。賦形剤はセルロースであってもよい、ニコチン含有顆粒を開示している。ニコチン含有顆粒は、粒状粒子に結合力を与える賦形剤の存在によって、粉塵が少ない又は無塵である。ニコチン含有顆粒は経口投与の医薬品の調製に使用できると言われている。
【0007】
EP 1 338 288は、10%以上の量の60~350の平均重合度を有する微結晶セルロースを含み、0.60~0.95g/mlのタップ嵩密度(tapped bulk density)、0.7以上のアスペクト比、1.10~1.50の形状係数、及び10~400mmの平均粒径を有する、医薬用のセルロース粒子を開示している。好ましくは、粒径は40~400μmであり、より好ましくは50~400μmであり、更により好ましくは50~300μmであり、特に好ましくは50~200μmである。粒子は、内部又は表面上に医薬を含む顆粒であってもよい。
【0008】
US 2019/0083393は、対象の口腔に嗅ぎタバコ組成物を適用した後、ニコチンの迅速な作用を達成するために、嗅ぎタバコ組成物の調製のためのニコチン-セルロース組成物の使用を開示している。嗅ぎタバコ組成物は、担体、例えば、微結晶セルロースを含み、AVICEL(登録商標)グレードから選択されてもよい。
【0009】
粉末及び粒状物は多くの適用に有用でありながら、サイズが小さいこと、不規則な形状及び/又は粉末若しくは粒状粒子の低流動性は、例えば、粉塵の形成を抑制する、及び/又は満足のいく速度で、例えば経口パウチに包装するといった製造に関係する特別な必要条件に関連することが多い。更に、製品、例えば、粉末又は粒状物を含む経口パウチは、口腔において使用するときに圧縮されてもよく、それによって製品が置かれる口腔の場所に相補的な形状に、製品の形状を変え、及び/又は調節し易くする。
【0010】
したがって、そのニコチンの一部又は多く又は全てを放出することができ、口腔において使用している間、快適な口の感触を提供し、並びに/又はそのサイズ及び口の感触を実質的に保持する、粉塵がほとんどない又はない経口ニコチン含有製品が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】EP 2 177 213
【文献】EP 1 338 288
【文献】US 2019/0083393
【文献】WO 2017/125405
【文献】ノルウェー第085548号
【文献】WO 2012/069505
【非特許文献】
【0012】
【文献】Notices「Total moisture determination」、Federal Register、74巻、4号、712~719頁、2009年1月7日水曜日
【文献】AOAC (Association of Official Analytical Chemics)、Official Methods of Analysis 966.02:「Moisture in Tobacco」 (1990)、5版、K. Helrich (ed)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述の問題の少なくとも1つを軽減し、及び/又は周知の技術によって提供されない有利な点及び態様を提供することが本開示の目的である。
【0014】
更に、経口使用中の消費者の好ましい口の快適さ、食感及び/又は感覚刺激の経験を提供する経口袋状ニコチン製品を提供することが本開示の目的である。
【0015】
通常のユーザー条件下で、ニコチンの口腔への満足感のある放出速度を有する経口袋状ニコチン製品を提供することが本開示の別の目的である。
【0016】
本明細書に記載の充填材を含む経口使用のためのパウチを調製する場合に形成される粉塵を減少させる又はなくすことが本開示の更に別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示は、充填材及び充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、
前記充填材は、
(a)担体材料から形成されるタバコ不含ニコチン含有粒子であって、
前記担体材料は微結晶セルロースを含み、
前記タバコ不含ニコチン含有粒子はニコチン源を含み、
前記タバコ不含ニコチン含有粒子は約0.8~約1.0の真球度及び約0.1mm~約2.0mmの径を有する、タバコ不含ニコチン含有粒子と、
(b)任意に、前記充填材の総質量に基づいて約0.05質量%~約10質量%の範囲の量で存在するタバコ材料と、を含み
但し、前記経口袋状ニコチン製品は、ニコチン源及び結合剤を含むコーティングを含む成分を含まない、又は実質的に含まない、経口袋状ニコチン製品を提供する。
【0018】
本開示はまた、本明細書に記載の経口パウチニコチン製品を調製する方法であって、
a)本明細書に記載の充填材を用意する工程、及び
b)充填材を唾液浸透性パウチに封入する工程
を含む、方法を提供する。
【0019】
本開示はまた、経口パウチニコチン製品を調製するための、本明細書に記載の充填材の使用を提供する。
【0020】
本開示はまた、本明細書に記載の充填材を調製する方法であって、
a)微結晶セルロースを含む又はそれからなる担体材料から形成されるニコチン不含粒子を用意する工程、
b)ニコチン源、溶媒、例えば水及び任意に添加物を含む混合物を用意する工程、
c)工程a)の粒子を工程b)の混合物に供し、それによって、混合物の一部又は全てが工程a)からのニコチン不含粒子に含まれ、それによって、タバコ不含ニコチン含有粒子を用意する工程、
d)任意に、工程c)から得られた粒子に香料(flavouring agent)を加える工程、
e)任意に、工程c)又はd)において得られた粒子にニコチン不含追加粒子を加える工程、並びに
f)任意に、工程a)~e)のいずれか1つにおいて粒子の水分量を変化させる工程
を含む、方法を提供する。
【0021】
定義
本明細書において、「タバコ材料」という用語は、タバコの葉、葉片及び茎等の葉の部分の繊維状材料、又はタバコ抽出物に対して使用される。葉及び葉の部分は、粉砕、切断、断片化又は脱穀等の細かく分断(分解された)されていてもよく、葉の部分は、タバコ材料に規定の割合で混合されてもよい。
【0022】
本明細書で使用する場合、「タバコ」は、タバコ(Nicotiana)属の任意のメンバーの任意の部分、例えば葉、茎(stem)及び茎(stalk)を意味する。タバコはまるごと、粉砕、断片化、切断、粉砕、硬化、熟成、発酵、又はその他の処理、例えば、顆粒化又は封入されてもよい。
【0023】
「ニコチン」という用語は、液体又は固体形態等の任意の形態のニコチンを指す。
【0024】
本明細書で使用する場合、「経口使用のための袋状ニコチン製品」又は「経口袋状ニコチン製品」等の用語は、経口使用を意図した唾液浸透性パウチ材料に包装されたニコチン含有充填材の部分を指す。経口袋状ニコチン製品の2つの例は経口袋状ニコチン非タバコ製品と経口袋状低タバコニコチン製品である。
【0025】
本明細書で使用する場合、「経口袋状ニコチン非タバコ製品」、「経口袋状タバコ不含ニコチン製品」等の用語は、製品にタバコを含まない、経口使用を意図した唾液浸透性パウチ材料に包装されたニコチン含有充填材の部分を指す。
【0026】
本明細書で使用する場合、「経口袋状低タバコニコチン製品」等の用語は、充填材の総質量に基づいて約0.1質量%~約10質量%又は約0.1質量%~約5質量%の範囲のタバコ材料の量が製品に含まれる、経口使用を意図した唾液浸透性パウチ材料に包装されたニコチン含有充填材の部分を指す。
【0027】
本明細書で使用される場合、wt%という用語は、質量%を表す。本明細書において、質量%(wt%、weight%及び%by weight)は同義である。
【0028】
本明細書で使用される場合、mmという用語は、ミリメートルを表す。
【0029】
本明細書で使用する場合、「水分量」という用語は言及する調製物、組成物又は製品における水及びその他のオーブン揮発性物質(例えばプロピレングリコール)の総量を指す。水分量は、言及する調製物、組成物又は製品の総質量の質量パーセント(質量%)として本明細書に提供される。
【0030】
本明細書に示される水分量は、参考文献Notices「Total moisture determination」、Federal Register、74巻、4号、712~719頁、2009年1月7日水曜日、及びAOAC (Association of Official Analytical Chemics)、Official Methods of Analysis 966.02:「Moisture in Tobacco」 (1990)、5版、K. Helrich (ed)に基づく方法を用いることによって決定することができる。この方法では、2.5±0.25gの試料を取り、22℃の温度、60%の相対湿度といった本明細書に規定される雰囲気条件で、水分の蒸発前と脱水の完了後に試料を計量することによって、水分量を質量測定で決定する。本明細書に記載の実験では、Mettler Toledo's Moisture Analyzer HB43、ハロゲン加熱技術を有する天秤を(言及の参考文献のオーブン及び天秤の代わりに)使用する。試料を105℃まで加熱する(言及の参考文献では99.5±0.5℃)。90秒の時間枠の間、質量の変化が1mg未満である場合、測定を止める。試料の質量パーセントとしての水分量は、その後、Moisture Analyzer HB43によって自動で計算する。
【0031】
本明細書では、「香料(flavour)」又は「香料(flavouring agent)」は、限定されないが、エッセンシャルオイル、単一香料化合物、配合された香料及び抽出物を含むニコチン製品の芳香及び/又は味に影響を与えるように使用される物質に対して使用される。
【0032】
本明細書で使用される「d50」又は「d50値」は、容量に関して粒子のグループの累積分布における粒径の値を指す。例えば、d50=0.8μmである場合、試料における粒子の50%は、0.8μmより大きい、すなわち、0.8μmより大きい径を有し、50%は、0.8μmより小さい、すなわち、0.8μmより小さい径を有する。更なる例において、d10=0.8mmである場合、粒子の10%は、0.8μmより小さい径を有し、粒子の90%は、0.8μmより小さい径を有する。
【0033】
真球度は、「S」と命名することもでき、粒子が数学的に完璧な球にどれほど近いかを示す測定値である。真球度Sは、真の周囲長Prealに対する円相当の周囲長PEQPCの比である。円相当の周囲長、PEQPCは、例えば、画像解析を用いた粒子の投射領域と同じ領域を有する円の周囲長である。この文脈では、投射領域は、3次元粒子の2次元投射から生じる領域である。真球度価Sは0.5~1であってもよい。1に等しい真球度価Sを有する粒子は、球の形状を有する。真球度は、粒子の試料に対する画像解析を用いた測定に基づいて計算することができ、投射領域A及び投射される真の周囲長Prealが記録される。粒子は、同平面に投射されてもよい。例えば、粒子は分散単位に分散されてもよく、その後、図6に示されるように測定されてもよい。画像解析は、本明細書に記載のSympatec社の装置を用いて実施してもよい。真球度は、図5にも示される等式(1)によって計算されてもよい。
等式(1):
【数1】
【0034】
本明細書に記載の粒子、例えば、ニコチン含有粒子の径は等しい投射領域の円の径であってもよい。これは、粒子の投射領域と同じ領域を有する円の径である。この文脈では、投射領域は、3次元粒子の2次元投射から生じる領域である。本明細書で使用する場合、XEQPCは、等しい投射領域の円の径を指す。図4aは、投射領域Aを有する3次元粒子の2次元投射を示す。図4bは、等しい、すなわち、図4aの投射と同じ投射領域Aの円に変換された図4aの2次元投射を示す。等しい投射領域、XEQPCの円の径は、図4bの円に示される。本明細書に記載の粒子の径を決定するために画像解析を使用してもよい。例えば、画像解析は、本明細書に記載のSymantec社の装置を用いて実施してもよい。更に又は或いは、本明細書に記載の粒子の径は、粒子が通過することができるメッシュのメッシュサイズによって特徴付けられてもよい。例えば、本明細書に記載の粒子は、約140~約10のメッシュサイズを有するメッシュを通過することができる。これは、約0.10mm~約2.0mmのメッシュサイズ範囲に対応する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「~に含まれる」という表現は、「~に吸収される」及び/又は「~の上に吸収される」ことを意図する。例えば、「担体材料に含まれる」は、「担体材料に吸収される及び/又は担体材料の上に吸収される」ことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1はCellets700粒子の粒径分布を示す。
図2図2は、粉末の流速及びCellets 700粒子の流速をそれぞれ示す。
図3図3は、Cellets 700粒子の圧縮及びMCC Avicel PH200の圧縮をそれぞれ示す。
図4図4aは、投射領域Aを有する3次元粒子の2次元投射を示す。図4bは、図4aの粒子と等しい投射領域Aの円を示す。
図5図5は真の周囲長Preal及び投射領域Aを有する粒子について真球度を計算するための等式を示す。
図6図6は粒子を測定する画像解析装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、充填材及び充填材を封入する包装材の唾液浸透性パウチを含む経口袋状ニコチン製品であって、
前記充填材は、
(a)担体材料から形成されるタバコ不含ニコチン含有粒子であって、
前記担体材料は微結晶セルロースを含み、
前記タバコ不含ニコチン含有粒子はニコチン源を含み、
前記タバコ不含ニコチン含有粒子は約0.8~約1.0の真球度及び約0.1mm~約2.0mmの径を有する、タバコ不含ニコチン含有粒子と、
(b)任意に、前記充填材の総質量に基づいて約0.05質量%~約10質量%の範囲の量で存在するタバコ材料と、を含み、
但し、前記経口袋状ニコチン製品は、ニコチン源及び結合剤を含むコーティングを含む成分を含まない、すなわち含有しない、又は実質的に含まない、すなわち実質的に含有しない、経口袋状ニコチン製品を提供する。
【0038】
したがって、本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品は、ニコチン源及び結合剤を含むコーティングを含む任意の成分を含まなくてもよい、すなわち、本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品は、ニコチン源及び結合剤を含むコーティングを含む任意の成分を含有しない。したがって、充填材のタバコ不含ニコチン含有粒子は、ニコチン源及び結合剤を含むコーティングを含まなくてもよい。
【0039】
或いは、本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品は、少量の、例えば約0.1~1質量%のニコチン源及び結合剤を含むコーティングを含む成分を含んでもよく、すなわち、本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品は、ニコチン源及び結合剤を含むコーティングを含む成分を実質的に含有しない。例えば、タバコ不含ニコチン含有粒子は、担体にニコチン、例えばニコチン源の多く又は実質的に全てを含んでもよく、ニコチン源及び結合剤を含むコーティングに存在するニコチンは少量しか含まなくてもよい。
【0040】
本明細書に記載の担体材料は、マトリックス材料、緻密材料又はその組み合わせであってもよい。マトリックス材料は、内部空洞、例えば孔を含んでもよい。したがって、マトリックス材料は、多孔性であってもよい。材料、例えば緻密材料は、孔を欠く又は実質的に欠いてもよい。したがって、緻密材料は非多孔性であってもよい。担体材料は微結晶セルロースを含んでも又はそれからなってもよい。例えば、担体材料は、微結晶セルロース並びに任意に本明細書に記載の唾液溶解性及び/又は唾液不溶性材料を含んでも又はそれらからなってもよい。
【0041】
本明細書に記載のタバコ不含ニコチン含有粒子は乾燥していなくてもよく、すなわち、乾燥、例えば、熱の適用を伴う又は欠いている乾燥に供されない。乾燥を欠いていることは、前記粒子に含まれる成分、例えば、ニコチン源及び/又は香料に有益に影響し、これらの成分は乾燥によって変質及び/又は変化し得る、と考えられる。少量の溶媒又は揮発性成分、例えば、約1質量%~約25質量%の溶媒及び/又は揮発性成分の単なる蒸発は乾燥とはみなされないことが認識される。
【0042】
ニコチン源は、タバコ不含ニコチン含有粒子の担体材料に含まれてもよい。言い換えれば、ニコチン源は、担体材料に吸収されてもよく、及び/又は担体材料の外表面に吸収されてもよい。例えば、ニコチン源は、内部空洞、例えば、担体材料の孔に存在してもよい。更に又は或いは、ニコチン源は、担体材料の溝に分布されてもよい。更に、ニコチン源の少なくとも一部は、タバコ不含ニコチン含有粒子の外表面に置かれてもよい。例えば、ニコチン源の多く、例えば、ニコチン源の約95質量%~約99.5質量%は、担体材料に吸収されてもよく、ニコチン源の小さい部、例えば約0.5質量%~約5質量%は、担体材料の外表面に置かれてもよい。本明細書に記載されるように、タバコ不含ニコチン含有粒子は保管時に色が変化し、このことは、ニコチン源の少なくとも一部がタバコ不含ニコチン含有粒子の外表面に置かれていることを示す。更に、このことは、担体材料に吸収されたニコチン源が担体材料全体に均一に分布されているというより、タバコ不含ニコチン含有粒子の外表面の近くにあることを示す。したがって、担体材料にニコチン源の濃度勾配があり、吸収されたニコチン源の多くがタバコ不含ニコチン含有粒子の外表面の近くあるように見える。
【0043】
したがって、前述の請求項のいずれか一項に記載の経口袋状ニコチン製品が提供され、タバコ不含ニコチン含有粒子は、保管時、例えば、
約60%~約75%の相対湿度、
約22℃~約30℃の温度で、及び/又は
約15週間保管した場合、色又は色合いが変化する。
【0044】
本明細書に記載の色又は色合いの変化は、裸眼による視認によって決定されてもよい。更に又は或いは、装置、例えば、色又は色合いの変化を測定するための分光光度計を使用してもよい。例えば、Hunter Lab社のColorFlex EZ分光光度計を使用してもよい。
【0045】
充填材粒子の形状は、球状又は実質的に球状であってもよい。球状粒子は1.0又は約1.0の真球度を有すると理解される。本明細書で使用される場合、「充填材粒子」又は「充填材の粒子」という表現は、本明細書に記載のタバコ不含ニコチン含有粒子及び/又はニコチン不含追加粒子を意図する。実質的に球状粒子は、1.0以下、例えば、約0.80~約0.95の真球度を有すると理解される。真球度は本明細書に記載されるように決定してもよい。充填材粒子は、同じ又は実質的に同じ真球度を有してもよい。例えば、タバコ不含ニコチン含有粒子及びニコチン不含追加粒子は、同じ又は実質的に同じ真球度を有してもよい。或いは、タバコ不含ニコチン含有粒子及びニコチン不含追加粒子の真球度は異なっていてもよい。本明細書で使用する場合、「同じ又は実質的に同じ真球度」という表現は、±30%以下、例えば、±20%以下、±10%以下で真球度が異なる粒子を意図する。
【0046】
本明細書に記載の充填材の粒子は全て、同じ又は実質的に同じ大きさを有してもよい。本明細書で使用する場合、「同じ大きさ又は実質的に同じ大きさ」という表現は、±30%以下、例えば、±20%以下、±10%以下で、径が異なる粒子を意図する。本明細書に記載の粒径は、画像解析によって測定することができる。例えば、画像解析は、本明細書に記載のSymantec社の装置を用いて実施してもよい。非球状粒子について、その径は、等しい投射領域の円の径、すなわち、粒子の二次元投射領域と同じ領域を有する円の径であってもよい。
【0047】
充填材の粒子は、約0.15mm~約2.0mm、例えば約0.3mm~約2.0mm、例えば約0.4mm~約2.0mm、例えば約0.5mm~約2.0mm、例えば約0.6mm~約2.0mm、例えば約0.7mm~約2.0mm、例えば約0.8mm~約2.0mm、例えば約0.9mm~約2.0mm、例えば約0.7mm~約1.5mm、例えば約0.9mm~約1.2mm、例えば約0.7~約1.1mmの直径を有してもよい。例えば、充填材の粒子は約0.7mm~約1.1mmの径を有してもよい。粒径は、例えば、本明細書に記載のSympatec社の装置を使用して、画像解析を使用して決定してもよい。タバコ不含ニコチン含有粒子及びニコチン不含追加粒子は、同じ径又は異なる径を有してもよい。
【0048】
本明細書において説明されるように、粒子の分析は、例えば、Sympatec社、ドイツの装置を用いた画像解析を使用して実施してもよい。このような装置は、図6に示されるように動作することができ、1はパルス光源であり、2は測定範囲に適応可能なビーム拡大ユニットであり、3は分散ユニットであり、4は粒子流動であり、5は対物レンズであり、6はカメラである。良好に分散した粒子流動は画面を通って導かれる。粒子は、輸送流体によって互いから分離し、重なる粒子は避けられる。画像フレームあたりの多くの粒子数をキャプチャーすることができる。
【0049】
一例において、充填材粒子は、約0.8~約1.0の真球度及び/又は約0.2mm~約1.8mm、例えば約0.2mm~約1.5mm、例えば約0.2mm~約1.0mm、例えば0.2mm~約0.5mmの粒径を有してもよい。更なる例において、充填材粒子は、約0.80~約0.85、約0.85~約0.90、約0.90~約0.95、約0.95~約1.0の真球度及び/又は約0.2mm~約0.5mm、約0.5mm~約1.0mm、約1.0mm~約1.5mm、約1.5mm~約2.0mmの粒径を有してもよい。更なる例において、充填材の粒子は、約0.9~約1.0の真球度及び/又は約0.7~約1.0の径を有してもよい。タバコ不含ニコチン含有粒子及びニコチン不含追加粒子は同じ真球度又は異なる真球度を有してもよい。
【0050】
更に、充填材の粒子は、約0.15mm~約1.5mm、例えば約0.7mm~約1mm、例えば約0.8~約1mm、例えば約0.7mm、例えば約0.8mm、例えば約0.9mm、例えば約1.0mm、例えば約0.9mm~1.0mmの範囲のd50値を有してもよい。一例において、充填材の粒子は約0.9~約1.0のd50値を有してもよい。タバコ不含ニコチン含有粒子及びニコチン不含追加粒子は、同じd50値又は異なるd50値を有してもよい。
【0051】
一例において、本明細書に記載の充填材の粒子、例えば、タバコ不含ニコチン含有粒子及び/又はニコチン不含粒子は、約0.8mm~約1.15mmの範囲の径を有してもよく、約0.9のd50を有してもよい。更なる例において、d50値は、約0.2、0.3、0.5、0.6、1.2、1.5又は2.0mmであってもよい。この値は、±30%以下、例えば±20%以下、±10%以下又は±5%以下で変化してもよい。更なる例において、タバコ不含ニコチン含有粒子及び/又はニコチン不含粒子は、約0.7mm~約1.0mmの径、約0.9~約1.0のd50値及びタバコ不含ニコチン含有粒子又はニコチン含有粒子の総質量に基づいて約8質量%~約15質量%の水分量を有してもよい。
【0052】
粒子及び/又は粒子コアの外表面は平滑又は少なくとも実質的に平滑であってもよい。例えば、粒子は、約2g/秒、例えば約2g/秒~約10g/秒以上の流速及び/又は約41°以下、例えば約35°~約41°の安息角を示す場合、平滑な外表面を示すと考えてもよい。本明細書で使用される場合、安息角は、材料をスランピングすることなく積み重ねることができる水平面に対して降下又は傾斜する最も急な角度である。この角度において、材料は滑る間際にある。安息角は、当該技術分野に周知のように測定することができる。例えば、安息角は、斜板箱方法、固定式漏斗方法及び/又は回転シリンダー方法を使用して測定することができる。
【0053】
本明細書に記載の充填材の粒子は、粉末の流動性に比べてより良い流動性を有することが分かった。結果として、粒子を封入する経口袋状ニコチン製品は、口腔内の場所等の製品と接触する対象物に、又はその中に適合するように、その形状を容易に調節することができる。更に、充填材の粒子は、良好な操作特性、例えば、経口使用のためにパウチに都合よく充填することができる良好な包装特性に関連する。良好な操作特性は、粉末又は粒状物に比べて粉塵の形成が特に少ないことも伴う。更に、経口袋状ニコチン製品は粉末を含む経口袋状ニコチン製品より乾燥が少ないことを知覚することができる。
【0054】
一例において、充填材の粒子は、約2g/秒、例えば約2g/秒~約10g/秒以上の流速及び/又は約41°以下、例えば約35°以下、例えば約35°~約41°の安息角を有する。流速は、本明細書に記載される、又は当該技術分野で周知のように測定することができる。安息角は、本明細書に記載されるように測定することができる。
【0055】
経口袋状ニコチン製品のパウチは任意の適切な唾液浸透性、及び好ましくは非溶解性であり、不織材料等の包装材から作製されていてもよい。包装材は、本明細書ではパウチ材料とも呼ばれ、ビスコースレーヨンステープルファイバー等の再生セルロースのステープルファイバー、及びポリアクリレート等の結合剤を含む不織材料であってもよい。包装材は、香料及び/又は着色料等の追加の成分も含んでもよい。更に、包装材は薬学的に許容される材料であってもよい。
【0056】
一例では、本明細書に記載のパウチの包装材は、不織材料を含む又は不織材料からなり、前記包装材は、繊維を含む不織材料を含み、繊維は、約1.7デシテックス未満の線密度を有し、前記不織材料は約30g/m2以上の坪量を有する。これは、包装材に唾液及び充填材成分について満足のいく強度、柔軟性及び/又は浸透性を提示することができる。
【0057】
タバコ不含ニコチン含有粒子の担体材料は、微結晶セルロースからなってもよい。或いは、本明細書に記載のタバコ不含ニコチン含有粒子の担体材料は、微結晶セルロース、及び任意に唾液溶解性材料及び/又は唾液不溶性材料を含んでもよい。唾液溶解性材料及び/又は唾液不溶性材料は、セルロース、スターチ、ポリアルコール及び糖からなる群から選択されてもよい。例えば、タバコ不含ニコチン含有粒子の担体材料は、微結晶セルロース及び任意にイソマルト、糖及び/又はマルチトールを含んでもよい。更なる例において、(i)担体材料が微結晶セルロースからなるタバコ不含ニコチン含有粒子並びに(ii)担体材料が微結晶セルロース、唾液溶解性材料及び/又は唾液不溶性材料を含むタバコ不含ニコチン含有粒子の混合物が提供される。
【0058】
本明細書に記載の粒子、例えばタバコ不含ニコチン含有粒子の微結晶セルロースは、担体材料の総質量に基づいて約50質量%~約100質量%の担体材料から構成されてもよい。例えば、微結晶セルロースは、担体材料の総質量に基づいて約70質量%~約100質量%、例えば、約80質量%~約100質量%、例えば約90質量%~約100質量%の担体材料から構成されてもよい。
【0059】
本明細書に記載のタバコ不含ニコチン含有粒子及び/又はニコチン不含追加粒子は、1種又は複数のニコチン不含コーティング、すなわちニコチン例えば本明細書に記載のニコチン源を欠くコーティングを含んでもよい。1種又は複数のコーティングは均一又は不均一な厚みを有してもよい。一例では、1種又は複数のコーティングは、約10μm~約100μm、例えば約25μm~約50μmの範囲の均一又は実質的に均一な厚みを含む。1種又は複数のニコチン不含コーティングの適用によって、実質的に平滑な粒子外表面、望ましい粒子形状、例えば球状又は実質的に球状の形状、及び/又は所望の流動性を提供することができる。消費者の口腔に置かれる場合、1種又は複数のコーティングは、充填材のニコチン含有粒子の衝突なしに、放出及び/又は溶解することができ、したがって、咀嚼及び/又は噛む必要がない。
【0060】
或いは、タバコ不含ニコチン含有粒子及びニコチン不含追加粒子はコーティングを含まなくてよく、すなわちコーティングを欠いていてもよく、コーティングされていなくてもよい。
【0061】
本明細書に記載の1種又は複数のニコチン不含コーティングは、外表面の少なくとも一部、例えばニコチン含有粒子の外表面全体に、例えばコーティング流動層噴霧を使用することによって適用してもよい。
【0062】
1種又は複数のコーティングの厚みは、ニコチン含有粒子の径に比べて小さくてもよい。例えば、前記厚みは、粒径の20%以下であってもよい。結果として、ニコチン含有粒子の大きさ及び/又は形状は、唾液、例えばヒトの唾液に接触する場合、実質的に変化しないままであってもよい。したがって、口腔に製品を使用する消費者によって経験される口の感触は、時間が経っても、実質的に変化しないままであり得る。
【0063】
1種又は複数のニコチン不含コーティングは、本明細書に記載の結合剤及び任意に添加物を含んでもよい。結合剤は、唾液溶解性であってもよく、それによって噛む又は咀嚼の必要なく、放出及び/又は溶解することができる。結合剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、ポリビニルピロリドン(PVP)及びその任意の混合物からなる群から選択することができる。結合剤として機能することの他に、結合剤はニコチン含有粒子を保護することができる。
【0064】
本明細書に記載のニコチン源は、ニコチン塩基を含んでもよく、及び/又はニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物及びニコチンサリチル酸塩、ニコチン安息香酸塩、ニコチンポラクリレックス及びその任意の組み合わせからなる群から選択されてもよい。例えば、ニコチン源は、ニコチン塩基を含んでも又はそれからなってもよい。更なる例において、ニコチン源は以下の1種又は複数であってもよい:ニコチン一酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物。更なる例において、ニコチン源は、ニコチン酒石酸水素塩及び/又はニコチン酒石酸水素塩wtmonohydrateであってもよい。本明細書に記載のニコチン源はタバコを含まなくてもよいと認識される。
【0065】
経口袋状ニコチン製品あたりのニコチンの量は、ニコチンベースとして計算されるニコチンの約0.1mg~約20mgの範囲内、例えば、約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg、約3.5mg、約4.0mg、約4.5mg、約5.0mg、約6.0mg、約7.0mg、約8.0mg、約9.0mg、約10mg、約12mg、約14mg、約16mg、約18mg又は約20mgのニコチンであってもよい。例えば、ニコチンの量は、充填材の総質量に基づいて約0.8質量%~約2質量%であってもよい。
【0066】
本明細書に開示の充填材は、ニコチン不含追加粒子を更に含んでもよい。これらの粒子は、ニコチン源を欠いていることを除いて、タバコ不含ニコチン含有粒子と同じであっても、又は実質的に同じであってもよい。或いは、これらの粒子は充填材のタバコ不含ニコチン含有粒子と異なっていてもよい。ニコチン不含追加粒子は、本明細書に記載の添加物を含んでもよく、本明細書に記載の添加物を欠いていてもよく、又はその混合物であってもよい。これらのニコチン不含追加粒子のサイズ、密度及び/又は形状は、タバコ不含ニコチン含有粒子と同じであっても、又は実質的に同じであってもよい。有利なことに、ニコチン不含追加粒子の密度は、充填材の粒子と同じ又は実質的に同じであってもよく、これは経口袋状ニコチン製品を保管する場合に分離のリスクを最小にするためである。ニコチン不含追加粒子は、コーティングを欠いていても、又は1種又は複数のニコチン不含コーティングを含んでもよい。
【0067】
本明細書に記載の充填材は、pH調整剤、香料、甘味料、湿潤剤及びその任意の混合物からなる群から選択される添加物を更に含んでもよい。添加物は、タバコ不含ニコチン含有粒子又はニコチン不含追加粒子に含まれてもよい。特に、添加物は、香料、例えば合成香料(flavour)、植物系香料、香油、疎水性香油、例えばエッセンシャルオイル、例えば天然と同一の香料であってもよい。本明細書で使用される場合、天然と同一の香料は、天然香料と化学的には同一であるが化学的方法を使用して調製又は抽出された合成香料を意図する。香料は異なる香料の混合物であってもよい。湿潤剤はグリセロール及び/又はプロピレングリコールであってもよい。甘味料は人工甘味料であってもよい。
【0068】
本明細書に開示の添加物は、
- 充填材と混合されてもよく、
- タバコ不含ニコチン含有粒子に含まれてもよく、
- 1種又は複数のニコチン不含コーティングに含まれてもよく、及び/又は
- ニコチン不含追加粒子に含まれてもよい。
【0069】
例えば、添加物、例えば香料は、本明細書に記載の粒子の担体材料、例えばタバコ不含ニコチン含有粒子及び/又はニコチン不含追加粒子に含まれてもよい。例えば、添加物は、担体材料の内部空洞が存在する場合、この内部空洞に存在してもよい。
【0070】
更に又は或いは、添加物は、担体材料を構成する物質に分布されてもよい。更に、添加物は、本明細書に記載の粒子の外表面に配置されてもよい。
【0071】
経口袋状ニコチン製品の充填材はpH調整剤を含んでもよい。例えば、pH調整剤は、充填材のニコチン含有粒子に含まれてもよい。更に又は或いは、pH調整剤は、本明細書に記載のニコチン不含追加粒子に含まれてもよい。したがって、本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品が提供され、以下を含むニコチン不含追加粒子を含み:
(i)微結晶セルロースを含む又はそれからなる担体材料、
(ii)pH調整剤、
前記pH調整剤は前記微結晶セルロースに含まれ、
前記粒子は、約0.8~約1.0の真球度及び約0.1mm~約2.0mmの径を有する。一例において、担体材料から形成されるニコチン不含追加粒子が提供され、前記担体材料は微結晶セルロースを含み又はそれからなり、前記ニコチン不含追加粒子はpH調整剤を含み、前記ニコチン不含追加粒子は、約0.8~約1.0の真球度及び約0.1mm~約2.0mmの径を有する。
【0072】
高pHはニコチン源の安定性に悪影響を及ぼし得るため、pH調整剤の一部又は全てをニコチン源から分離しておくことによって、ニコチン源の保存安定性を改善することができる。したがって、pH調整剤はニコチン不含粒子に存在してもよく、タバコ不含ニコチン含有粒子に存在していなくてもよい。
【0073】
本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品のpH調整剤は、pHを約7~約10の範囲にあることを可能にする。このpHは製品の製造後すぐといった、製品の製造後に達成することができる。更にこのpHは室温に保管する、又は約5℃~約10℃で冷蔵庫に保管するといった、製品の保管時に提供される。pHを約7~約10の範囲、例えば、約7~約9.5、約7~約9.2、約7~約9、約8~約9に達成することは、口腔粘膜に悪影響を与えることなく、良好なニコチンの抽出及び味を与えることを可能にするため、有利である。
【0074】
pH調整剤の量は、充填材を純水に分散させる場合、7.0以上のpH、例えば、約7.0~約10.0の範囲のpH、約8.0~約9.0範囲のpH、約8.3~約8.7の範囲のpHを提供するように、選択することができる。
【0075】
100mlの蒸留水を、例えば、100mlの三角フラスコ中の5.0gの充填材に加え、得られた混合物を磁気スターラーで100rpmで約5分間、攪拌し、その後、そこから得られる抽出物のpHを較正されたpHメータ(製造者の説明書に従う)で測定することによって、充填材のpHを測定することができる。読みの正確性のために、試料溶液は1時間以内に分析される。この文書では、「rpm」という用語は、revolutions per minute(1分あたりの回転数)の略語である。更にこの文書では、「室温」という表現は、約20℃~約25℃、例えば約22℃の温度の略語である。
【0076】
適切なpH調整剤の例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム及びその任意の組み合わせが挙げられる。例えば、pH調整剤は水酸化カリウムであってもよい。更なる例では、pH調整剤は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸水素カリウムであってもよい。更なる例において、pH調整剤は炭酸カリウムを含んでも又はそれからなってもよい。pH調整剤は、本明細書に記載のタバコ不含ニコチン含有粒子及び/又はニコチン不含粒子に含まれてもよい。本明細書に記載されるように、ニコチン源とpH調整剤を離して保管することは有利になり得る。例えば、pH調整剤はニコチン不含粒子に存在してもよく、タバコ不含ニコチン含有粒子に存在していなくてもよい。
【0077】
充填材は1つ又は複数の香料を含んでもよい。例えば、香料は液体、油、粒状材料等の固体又はその混合物であってもよい。一例において、香料は、合成香料、植物系香料、香油、疎水性香油、例えばエッセンシャルオイルである。香料は異なる香料の混合物であってもよい。
【0078】
香料はpH>7で安定し得る。更に、本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品の充填材の香料は、疎水性香料、例えば疎水性香油であってもよい。
【0079】
香料の香りの例として、ベルガモット、ユーカリ、オレンジ、マンダリン、シトラス、レモン、ペパーミント、スペアミント、ミント、メントール、甘草、イチャクソウ、ウイスキー、ラム、チェリー、様々なベリー、タバコ、コーヒー、バニラ、ライム、リンゴ、桃、カルボン、リモネン及びその2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。一例において、香料はタバコ香料を含む。更なる例において、香料はタバコ香料を含まない。
【0080】
本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品の充填材は、充填材の総質量に基づいて香料の約0.5質量%~約3.0質量%の範囲に含んでもよい。
【0081】
香料は、機械的混合物又は質量を形成するように充填材粒子と混合して提供されてもよく、タバコ不含ニコチン含有粒子及び/又はニコチン不含追加粒子に組み込まれてもよく、本明細書に記載の1種又は複数のニコチン不含コーティングに組み込まれてもよく、及び/又は本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品を含む容器に加えられてもよい。
【0082】
本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品に香料を加えることは、香料を缶等の経口袋状ニコチン製品のための容器の内側面に加え、香料を内側面から経口袋状ニコチン製品に拡散又は移行させることによって達成することができる。したがって、本開示は、本明細書に記載の香料を本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品に加える方法であって、
- 香料を経口袋状ニコチン製品の容器の少なくとも1つの内側面に適用する工程、
- 経口袋状ニコチン製品を容器中に置く工程、及び
- 容器を閉じる工程、
を含む、方法も提供する。
【0083】
充填材は、小粒子、例えば約0.7mm以下の最大寸法、例えば0.7mm以下の径を有する粒子を含まなくてもよい。このことは、小分子、例えば粉塵の存在及び/又は乏しい流動性に関連する問題を軽減するため、有利である。
【0084】
容器は、経口袋状ニコチン製品に適した包装及び/又は消費者容器であってもよい。したがって、本明細書に記載の容器は、消費者のポケット若しくはハンドバッグに便利に運ぶように適応されてもよく、及び/又は本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品等の任意の周知の種類の嗅ぎタバコ製品を包装するために使用することもできる。容器はプラスチック及び/又は金属で作製されてもよい。更に、容器は任意の所望の形状又は幾何学形態を有してもよい。例えば、容器は円柱の形態を有してもよい。容器は、内部空間を規定する上部及び基部を含んでもよい。基部は、基面及び基面から伸長する周囲壁を含んでもよい。上部は容器の基部から取り外し可能である蓋の形状であってもよく、又は容器の基部に蝶番を付ける若しくは付着する蓋の形状であってもよい。例えば、蓋はスナップフィットによって基部に付着していてもよい。容器は耐タンパ性であってもよい。一例では、容器はWO 2017/125405に記載されていようなものでもよく、そっくりそのまま本明細書に組み込まれる。更なる例において、容器は、ノルウェー第085548号の意匠登録に示されているものでもよい。
【0085】
製造の観点から、基部の下内部表面に、及び/又は蓋の上内部表面に香料を適用することが望ましい。容器はその後閉じられる。
【0086】
風味付けは1週間等の特定の時間、保存の間、行われてもよい。保存は室温、すなわち、約20℃~約25℃、又は約5℃~約10℃の冷蔵庫中でなされてもよい。保存期間中、香料は、容器の少なくとも1つの内部表面から経口袋状ニコチン製品に拡散又は移る。
【0087】
したがって、香料を加える方法は、d)1週間容器に保管する工程を更に含んでもよい。
【0088】
充填材は、天然又は合成甘味料等の甘味料も含んでもよい。甘味料の例として、ショ糖、グルコース、デキストロース、マルトース、フルクトース、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファム、スクラロース、サイクラミン酸塩及びその任意の混合物が挙げられる。
【0089】
甘味料は、本明細書に記載のニコチン含有粒子及び/又はニコチン不含追加粒子に含まれてもよい。更に又は或いは、甘味料は、機械的混合物又は質量を形成するように、充填材と混合して提供されてもよい。
【0090】
経口袋状ニコチン製品は、タバコを含まなくてもよい、すなわちタバコ不含であってもよい。したがって、タバコ不含の本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品が提供される。
【0091】
或いは、充填材は、充填材の総質量に基づいて、約0.05質量%~約10質量%、例えば約0.05質量%~約5質量%、例えば0.2質量%~1質量%、例えば約0.05質量%~約0.5質量%、例えば0.05質量%~約0.3質量%の範囲のタバコ材料を含んでもよい。例えば、充填材は、充填材の総質量に基づいて約0.2質量%~約1質量%の範囲のタバコ材料を含んでもよい。タバコ材料は、束ねられていない及び/又は分割されたタバコ材料として存在してもよい。したがって、タバコを含む前述の充填材を含む経口袋状ニコチン製品は、低タバコ経口袋状ニコチン製品であってもよい。タバコ材料は充填材粒子と混合されて、混合物、例えば均一な混合物を提供してもよい。タバコ材料は、精製されたタバコ材料、例えば漂白したタバコ材料であってもよい。更にタバコ材料はタバコ繊維、粉砕されたタバコ、タバコ抽出物及び/又は嗅ぎタバコ、例えばスヌースとして提供されてもよい。
【0092】
本明細書に開示の充填材は、充填材の総質量に基づいて約1質量%~約50質量%、例えば、約20質量%~約45質量%、約1質量%~約20質量%、約1質量%~約10質量%、約20質量%、約1質量%~約3質量%の量の水を更に含んでもよい。一例において、充填材は、充填材の総質量に基づいて約1質量%~約5質量%の範囲の水を含む。
【0093】
本明細書に記載の充填材の水分量は、充填材の総質量に基づいて約0.5質量%~約25質量%、例えば約0.5質量%~約25質量%の範囲にあってもよい。例えば、充填剤は、充填材の総質量に基づいて、約0.5質量%~約25質量%、例えば約5質量%~約25質量%、例えば約8質量%~約25質量%、例えば約5質量%~15質量%、例えば約8質量%~15質量%の範囲の水分量を有してもよい。更なる例において、充填剤の水分量は、充填材の総質量に基づいて約8質量%~約15質量%である。更なる例において、タバコ不含ニコチン含有粒子及び/又はニコチン不含追加粒子は、充填材の総質量に基づいて、約0.5質量%~約25質量%、例えば約5質量%~約25質量%、例えば約8質量%~約25質量%、例えば約5質量%~約15質量%、例えば約8質量%~約15質量%の水分量を有する。
【0094】
タバコ不含ニコチン含有粒子及び/又はニコチン不含追加粒子は、充填材の総質量に基づいて約50質量%~約100質量%、例えば約50質量%~約90質量%の範囲の量で提供してもよい。
【0095】
本明細書に記載の経口袋状ニコチン製品も提供され、タバコを含まないニコチン粒子及び/又はニコチン不含追加粒子は、約0.8~約1.0の真球度、約0.7mm~約1.1mmの径、約0.9mm~約1.0mmのd50値を有する。
【0096】
本明細書に開示の方法によって得ることができる又は得られる本明細書に開示のニコチン含有粒子も提供する。
【0097】
更に、経口袋状ニコチン製品を提供する方法であって、
a)本明細書に記載の充填材を用意する工程、及び
b)充填材を唾液浸透性パウチに封入する工程、
を含む、方法を提供する。
【0098】
経口袋状ニコチン製品を製造するための、本明細書に記載の充填材の使用も提供する。
【0099】
本明細書に開示の充填材は、以下の工程を含む方法によって製造されてもよい:
a)微結晶セルロースを含む又はそれからなる担体材料から形成されるニコチン不含粒子を用意する工程、
b)ニコチン源、溶媒、例えば水及び
任意に添加物を含む混合物を提供する工程、
c)工程a)の粒子を工程b)の混合物に供し、それによって、混合物の一部又は全てが工程a)からのニコチン不含粒子に含まれ、それによって、タバコ不含ニコチン含有粒子を用意する工程、
d)任意に、工程c)から得られた粒子に香料を加える工程、
e)任意に、工程c)又はd)において得られた粒子にニコチン不含追加粒子を加える工程、並びに
f)任意に、工程a)~e)のいずれか1つにおいて粒子の水分量を変化させる工程。
【0100】
本明細書に記載の方法において、工程a)~f)の粒子は、以下の1つ又は複数を独立して特徴としてもよい:
- 約0.8~約1.0の真球度、
- 約0.15mm~約2.0mm、例えば約0.3mm~約2.0mm、例えば約0.4mm~約2.0mm、例えば約0.5mm~約2.0mm、例えば約0.6mm~約2.0mm、例えば約0.7mm~約2.0mm、例えば約0.8mm~約2.0mm、例えば約0.9mm~約2.0mm、例えば約0.7mm~約1.5mm、例えば約0.9mm~約1.2mmの径、
- 約0.15mm~約1.5mm、例えば約0.3mm~約1.5mm、例えば約0.7mm~約1mm、例えば約0.8~約1mm、例えば約0.9~約1.0のd50値、
- 粒子の総質量に基づいて、約0.5質量%~約25質量%、例えば約5質量%~約25質量%、例えば約8質量%~約25質量%、例えば約5質量%~約15質量%、例えば約8質量%~約15質量%の水分量、
- 約2g/秒以上の流速及び/又は約41°以下の安息角。
【0101】
特に、本明細書に記載の方法において、工程a)~f)の粒子は、以下の1つ又は複数を独立して特徴としてもよい:
約0.8~約1.0の真球度、
約0.7mm~約1.0mmの径、
約0.9~約1.0のd50値、及び
粒子の総質量に基づいて約8質量%~約15質量%の水分量。
【0102】
更に、本明細書に記載の方法は、約0.7mmより小さい粒子、例えば約0.7mm未満である最大寸法、例えば約0.7mm未満の径を有する粒子を欠いていてもよい。結果として、このような小粒子を取り除く必要はない。このことは、小粒子、方法を単純にし、例えば小粒子、粉塵に関連する問題を軽減するため、かなり有益である。したがって、本明細書に記載の方法は、粒子を取り除く工程を欠いていてもよい。更に、本明細書に記載の方法は、乾燥工程、例えば熱を伴う、又は欠く乾燥を欠いていてもよい。このように、例えば、感熱性成分の分解及び/又は揮発性成分の除去が回避される。少量の溶媒及び/又は揮発性成分、例えば約1質量%~約25質量%の溶媒及び/又は揮発性成分の除去は、乾燥とはみなされないことが認識される。有利なことに、粒子の水分量は、製造後も保持される又は実質的に保持される。これは、容器、例えば嗅ぎタバコのためのポケットサイズの容器に粒子を、室温又は冷蔵して保持することによって達成することができる。
【0103】
本明細書に記載の方法に従って製造されたタバコを含まない粒子及び任意にニコチン不含追加粒子は、唾液浸透性パウチに封入されてもよく、それによって経口袋状ニコチン製品を提供する。したがって、経口袋状ニコチン製品を調製する方法であって、
a)本明細書に記載のタバコ不含ニコチン含有粒子及び任意にニコチン不含追加粒子を提供する工程、及び
b)工程a)の粒子を唾液浸透性パウチに封入する工程
を含む、方法を提供する。
【0104】
本明細書に開示の方法によって得ることができる又は得られる本明細書に開示の経口袋状ニコチン製品も提供する。
【0105】
本明細書に開示の経口袋状ニコチン製品は、実質的に長方形(製品を平面上に置いて上から見た場合)等の長方形を有してもよい。このような場合に、製品の長手方向は、実質的に長方形の製品の長さに対応し、製品の横方向は実質的に長方形の製品の幅に対応する。パウチは横方向のシール及び/又は長手方向のシール等の1つ又は複数のシールを含んでもよい。
【0106】
経口袋状ニコチン製品(充填材及び包装材を含む)の総質量は、約0.2~約2.5gの範囲にあってもよい。
【0107】
経口袋状(すなわち分包)ニコチン製品は、例えばWO 2012/069505に開示されるように、容器又は型に無作為に配置されてもよい。或いは又は更に、それぞれの経口袋状ニコチン製品は小袋に置かれてもよい。
【0108】
本明細書に開示の経口袋状ニコチン製品は、頬側の配置(例えば、上顎又は下顎と唇又は頬との間に袋状製品を配置することによって)等の口腔での使用を意図し、したがって、経口使用のための分包(袋状)ニコチン製品、すなわち、経口袋状ニコチン製品と言ってもよい。経口袋状ニコチン製品は、上顎又は下顎と唇又は頬との間でユーザーの口に快適に目立たずに合うように大きさが定められ、構成される。
【0109】
更なる態様
本開示は以下の更なる態様も提供する。
【0110】
以下の工程を含む本明細書に開示のタバコ不含ニコチン含有粒子を調製する方法であって、
a)本明細書に記載の担体材料を含む又はそれからなる粒子を用意する工程、
b)本明細書に記載の溶媒、例えば水及びニコチン源を含む溶液を用意する工程であって、前記ニコチン源は前記溶液に部分的又は全体的に溶解される、工程
c)工程a)の粒子を工程b)の溶液と混合し、それによって、前記ニコチン源の一部又は全てが前記粒子の担体材料に含まれ、それによって、ニコチン含有粒子を用意する工程、
d)任意に、工程c)のニコチン含有粒子を乾燥させる工程、並びに
e)任意に、ニコチン含有粒子の外表面の少なくとも一部に、1種又は複数のニコチン不含コーティングを提供する工程
を含む、方法も提供する。
【0111】
本明細書に開示のニコチン含有粒子を調製する方法は、本明細書に記載の添加物が工程a)の粒子及び/又は工程c)の粒子に含まれる、1つ又は複数の工程も含んでもよい。例えば、添加物は、工程a)の粒子に含まれてもよい。更に又は或いは、添加物は、工程b)の溶液に加えられてもよい。
【0112】
方法の工程は、任意の適切な順序で行われてもよいことが認識される。更に、本明細書に記載の方法は、ニコチン含有粒子を本明細書に記載のニコチン不含追加粒子と混合する工程を含んでもよい。
【0113】
本明細書に記載の添加物を含む経口パウチニコチン製品を調製する方法であって、
a)本明細書に記載の担体材料を含む又はそれからなるニコチン不含粒子を用意する工程、
b)溶媒、例えば水及び本明細書に記載の添加物を含む溶液を用意する工程であって、前記添加物は前記溶液に部分的又は全体的に溶解される、工程
c)工程a)の粒子を工程b)の粒子と混合し、それによって前記添加物の一部又は全体が前記粒子に含まれ、それによって、前記添加物を含むニコチン不含粒子を用意する工程、
d)任意に、工程c)の粒子を乾燥させる工程、並びに
f)任意に、粒子の外表面の少なくとも一部に、1種又は複数のニコチン不含コーティングを提供する工程、
を含む、方法もまた提供する。
【0114】
或いは、本明細書に記載のニコチン不含追加粒子は、以下の工程を含む方法によって調製されてもよい:
a)微結晶セルロースを含む又はそれからなる担体材料から形成される粒子を用意する工程、
b)溶媒、例えば水及び任意に添加物を含む混合物を提供する工程、
c)工程a)の粒子を工程b)の混合物に供し、それによって、混合物の一部又は全てが粒子に含まれる、工程
d)任意に、工程c)から得られた粒子に香料、例えば疎水性香油を加える工程、並びに
e)任意に、工程c)から得られた粒子を乾燥させる工程。
【0115】
本明細書に記載の方法の工程a)の粒子は、約0.8~約1.0の真球度及び約0.1mm~約2.0mmの径を有してもよい。本明細書に記載の方法の工程c)は、溶媒の蒸発を伴ってもよい。
【0116】
充填材のニコチン含有粒子は本明細書の記載のように調製されてもよく、任意に本明細書に記載のニコチン不含追加粒子、本明細書に記載の添加物及び/又はタバコ材料と混合されてもよい。更に、充填材は本明細書に記載されるように風味付けされてもよい。充填材を唾液浸透性パウチに封入する工程は、充填材の部を測定し、その部をパウチに挿入することによって行われてもよい。
【0117】
本発明は、以下の実施例で更に記載されるが、これは請求項に記載の本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0118】
全般
Cellets700 MCC球はPharmatrans-Sanaq社、スイスによって供給された。これらの球は、微結晶セルロース単独で製造される。この実施例における粉末は、Swedish Match社から得られ、微結晶セルロース、マルチトール、ヒドロキシプロピルセルロース粉末、香料添加物、pH調整剤及びニコチン酒石酸水素塩を含んでいた。微結晶セルロース及びマルチトールは粉末の総質量に基づいて約84質量%で構成される。ニコチン酒石酸水素塩は粉末の総質量の約2.5質量%で構成される。粉末は、容量に関して以下のD値を有した:d10= 125μm、d50= 250μm、d90= 400μm。
【0119】
略語
以下の略語はこの文書全体にわたって使用され、その意味を以下に説明する。
mm ミリメートル
g グラム
sec. 秒
h 時間
min. 分
mcc 微結晶セルロース
mL ミリリットル
【0120】
(実施例1)
Cellets 700について、容量に関する真球度及びd50値(以下参照のこと)を、Rodos/L分散ラインID NO 214D及びVibri/L試料供給ID NO 273を有する2012、Sympatec社、ID No.290-DからのQicPic装置の助けを借りて計算した。それぞれ6gの3つの試料を分析し、平均を計算した。真球度は標準偏差0.01で0.93であることが分かった。d50は890μmであることが分かった。粒径分布を図1に示す。
【0121】
(実施例2):微結晶セルロース球へのニコチンの添加
17.5gのニコチン酒石酸水素塩、11.25gの炭酸カリウム及び66.25gの水から溶液を調製した。溶液を405gのCellets 700 MCC球(Pharmatrans-Sanaq社、スイスによって供給)と混合し、攪拌することなく室温で24時間放置し、ニコチン含有粒子を得た。
【0122】
(実施例3):流動試験
Swedish Match社の15gの粉末を60度の傾きを持ち及び漏斗の管の内径が5mmのガラス製漏斗を通して注いだ。粉末が漏斗を通過するのに必要な時間を測定し、この手順を5回繰り返した。流速は1.77g/秒であることが分かった。実施例2において調製されたニコチン含有粒子について同じ手順を実施し、2.26g/秒の流速を得た。したがって、流速は、ニコチン含有MCC球より早かった。結果を図2に示す。
【0123】
(実施例4):圧縮試験
MCC球(Cellets 700)及びMCC粉末(Avicel PH 200)の試料を以下の手順を使用して調製した:212.5gのMCC球及びMCC粉末をそれぞれ37.5gの水と混合し、2分間攪拌した。試料は、その後、密封されたプラスチックバックに移し、水が均一に拡散するように5時間保持した。各バックからの250ml(圧縮前の容量)の試料は、その後、250mlのメスシリンダに移した。試料は、500タップを使用してタッピング装置(PharmaTest Touch社)に圧縮した。その後、圧縮された容量(圧縮後の容量)を制御した。各試料の圧縮は、以下の式に従って計算した:圧縮率(%)=(圧縮前の容量(ml)-圧縮後の容量(ml))/圧縮前の容量(ml)*100。結果より、タップされた場合の圧縮率は、MCC球よりもMCC粉末のほうがかなり大きいことが示された。したがって、MCC球を含む試料は、MCC粉末を含む試料よりも良好にサイズの変化に抵抗した。
【0124】
(実施例5):タバコ不含ニコチン含有粒子の保存安定性
18.0gのニコチン(Siegfried AG社、スイスによって供給)、7.8gの炭酸カリウム(Alfa Aesar社によって供給)、9.0gの酒石酸、54.0gのグリセロール、10gの塩化ナトリウム、0.51gのアセスルファムK及び59.0gの水から溶液を調製した。溶液を841.7gのCellets 700 MCC球(Pharmatrans-Sanaq社、スイスによって供給)と混合し、攪拌することなく室温で24時間放置し、それによって溶液は、Cellets 700 MCC球に含まれ、タバコ不含ニコチン含有粒子を形成した。新鮮に調製されたタバコ不含ニコチン含有粒子は乾燥しているように見え、ねばねばしていなかった。
【0125】
裸眼による視認では、新鮮に調製された得られたタバコ不含ニコチン含有粒子が白色又はほぼ白色の外観であることを示した。新鮮に調製されたタバコ不含ニコチン含有粒子は、密封されたプラスチックバックに移され、17週間室温で保存された。保存後の裸眼による視認では、保存されていたタバコ不含ニコチン含有粒子はベージュから淡褐色を有することを示した。
【0126】
変性したニコチンは変色することが知られているため、ニコチン塩基の部分がタバコ不含ニコチン含有粒子の外表面に置かれ、保存中に変性したと結論づけられた。
【0127】
本発明はその詳細な説明と合わせて記述しているが、前述の記述は説明することを意図し、添付の請求項の範囲によって規定される本発明の範囲を限定することを意図しない。その他の態様、利点及び修正は、以下の請求項の範囲にある。
【符号の説明】
【0128】
A 投射領域
1 パルス光源
2 測定範囲に適応可能なビーム拡大ユニット
3 分散ユニット
4 粒子流動
5 対物レンズ
6 カメラ
図1
図2
図3
図4a-4b】
図5
図6