(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】FGF-21コンジュゲート製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 47/60 20170101AFI20241209BHJP
A61K 38/18 20060101ALI20241209BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241209BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241209BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241209BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20241209BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20241209BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20241209BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241209BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20241209BHJP
C07K 14/50 20060101ALN20241209BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20241209BHJP
【FI】
A61K47/60
A61K38/18
A61P43/00 105
A61P29/00 ZNA
A61P1/16
A61P3/10
A61K47/18
A61K47/26
A61K9/08
A61K9/14
C07K14/50
C12N15/12
(21)【出願番号】P 2022541986
(86)(22)【出願日】2021-01-07
(86)【国際出願番号】 US2021012530
(87)【国際公開番号】W WO2021142143
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2024-01-05
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391015708
【氏名又は名称】ブリストル-マイヤーズ スクイブ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL-MYERS SQUIBB COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】パーム,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ホスラビ,メフルナズ
(72)【発明者】
【氏名】パトケ,サンケット
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-513159(JP,A)
【文献】Obesity,2019年,Vol.27,pp.41-49
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61P 1/00-43/00
A61K 38/18
C07K 14/50
C12N 15/12
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)FGF-21コンジュゲート;
(ii)約10mM~約50mMの間の濃度のヒスチジン;
(iii)約100mM~約1Mの間の濃度のスクロース;
(iv)約0.01%~約0.1%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および
(v)約10μM~約100μMの間の濃度のDTPA;
を含む医薬製剤であって、
該製剤のpHは約6.7~約7.5の間であり、
該FGF-21コンジュゲートは、式I:
【化1】
[式中、
nは約670~約690の間(例えば約681)であり、
FGF-21ポリペプチドは配列番号1を含む]
のコンジュゲート(例えば、配列番号2、4、または6の化合物に対応するFGF-21コンジュゲート)である、医薬製剤。
【請求項2】
該FGF-21コンジュゲートが、約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、または約40mg/mlの濃度で存在し、
(i)約20mMの濃度のヒスチジン;約600mMの濃度のスクロース;約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および約50μMの濃度のDTPAを含み、かつ、pHが約7.1であるか;
(ii)20mMの濃度のヒスチジン;600mMの濃度のスクロース;0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および50μMの濃度のDTPAを含み、かつ、pHが7.1であるか;
(iii)約10mg/mLの濃度のFGF-21コンジュゲート;約20mMの濃度のヒスチジン;約600mMの濃度のスクロース;約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および約50μMの濃度のDTPAを含み、かつ、pHが約7.1であるか;
(iv)約20mg/mLの濃度のFGF-21コンジュゲート;約20mMの濃度のヒスチジン;約600mMの濃度のスクロース;約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および約50μMの濃度のDTPAを含み、かつ、pHが約7.1であるか;または、
(v)10mg/mLの濃度のFGF-21コンジュゲート;20mMの濃度のヒスチジン;600mMの濃度のスクロース;0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および50μMの濃度のDTPAを含み、かつ、pHが、7.0である;
請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、または約40mg/mlの濃度の配列番号2、4、または6のFGF-21コンジュゲート;20mMの濃度のヒスチジン;600mMの濃度のスクロース;0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および50μMの濃度のDTPAを含み、かつ、pHが7.0である、医薬製剤。
【請求項4】
該製剤は皮下投与(例えば安全シリンジを使用する皮下投与)のために製剤化される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
対象における線維症および/または糖尿病と関連する疾患または状態の処置または防止における使用のための、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
該疾患または状態が糖尿病である、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項7】
該糖尿病が2型糖尿病である、請求項6に記載の医薬製剤。
【請求項8】
該疾患または状態が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である、請求項5に記載の医薬製剤。
【請求項9】
該医薬製剤の有効量の対象への投与が、肝硬度を減少させるか、体脂肪率を減少させるか、体重を減少させるか、肝重量対体重比を減少させるか、肝脂質含量を減少させるか、肝線維症面積を減少させるか、空腹時血中グルコースレベルを低下させるか、空腹時トリグリセリドレベルを低下させるか、LDLコレステロールレベルを低下させるか、ApoBレベルを低下させるか、ApoCレベルを低下させるか、HDLコレステロールを増大させるか、またはこれらの任意の組合せをもたらす、請求項5~8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項10】
該FGF-21コンジュゲートが約20mgのフラット用量で投与される、請求項5~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
該FGF-21コンジュゲートが1週間の投与間隔で投与される、請求項5~10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
該医薬製剤が皮下投与される(例えば安全シリンジを使用して皮下投与される)、請求項5~11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項13】
該医薬製剤の対象への投与が、非処置対象、または該医薬製剤の投与前における対象におけるレベルと比較して、肝脂肪レベルの低減;肝損傷レベルの低減;線維症レベルの低減;線維症のバイオメーカーである、血清Pro-C3(N末端III型コラーゲンプロペプチド)レベルの低下;アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの低下;アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルの低下;血清アジポネクチンレベルの上昇;血漿LDLレベルの低下;血漿HDLレベルの上昇;血漿トリグリセリドレベルの低下;肝硬度レベルの低減;またはこれらの任意の組合せを結果としてもたらす、請求項5~12のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項14】
(i)FGF-21コンジュゲート;
(ii)約10mM~約50mMの間の濃度のヒスチジン;
(iii)約100mM~約1Mの間の濃度のスクロース;
(iv)約0.01%~約0.1%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および
(v)約10μM~約100μMの間の濃度のDTPA
を含む製剤を含むバイアルであって、
該製剤のpHは約6.7~約7.5の間であり、
該FGF-21コンジュゲートは、式I:
【化2】
[式中、
nは約670~約690の間(例えば、約681)であり、
FGF-21ポリペプチドは配列番号1を含む]
を含む(例えば、配列番号2、4、または6の化合物に対応するFGF-21コンジュゲートである)、バイアル。
【請求項15】
該製剤が、
(i)約10mg~約20mgのFGF-21コンジュゲート;約20mMの濃度のヒスチジン;約600mMの濃度のスクロース;約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および約50μMの濃度のDTPAを含み、かつ、pHが約7.1であるか;
(ii)約10mgのFGF-21コンジュゲート;約20mMの濃度のヒスチジン;約600mMの濃度のスクロース;約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および約50μMの濃度のDTPAを含み、かつ、pHが約7.1であるか;または
(iii)約20mgのFGF-21コンジュゲート;約20mMの濃度のヒスチジン;約600mMの濃度のスクロース;約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および約50μMの濃度のDTPAを含み、かつ、pHが約7.1である;
請求項14に記載のバイアル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
EFS-WEBを介して、電子的に提出される配列表に対する言及
本出願と共に、電子的に提出される配列表(名称:3338_208PC03_SeqListing.txt;サイズ:11,049バイト;および作成日:2021年1月5日)の内容は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる。
分野
【0002】
本出願は、とりわけ、FGF-21ポリペプチド、例えば、PEG化FGF-21ポリペプチド(PEG-FGF-21)を含み、キレート剤(例えば、DTPA)、界面活性剤(例えば、PS80)を使用して安定化され、特異的なpH範囲(例えば、約7.1)を有する、例えば、皮下投与を含む、多様な経路を介する投与のための製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
線維芽細胞増殖因子(FGF)は、複数の生理学的機能において、極めて重要な役割を果たす発生組織および成人組織において広く発現されるポリペプチド(Baird et al., Cancer Cells, 3:239-243, 1991)である(McKeehan et al., Prog. Nucleic Acid Res. Mol. Biol. 59:135-176, 1998;Burgess, W. H. et al., Annu. Rev. Biochem. 58:575-606 (1989))。文献によると、FGFファミリーは、少なくとも22のメンバーからなる(Reuss et al., Cell Tissue Res. 313:139-157 (2003))。
【0004】
FGF-21は、線維症と関連する疾患および状態の処置のために使用され得る。線維症とは、臓器または組織における、過剰な線維性結合組織の形成である。線維性組織の過剰な沈着は、臓器または組織の機能障害をもたらし得る病理学的状態と関連する。罹患臓器は、肺(肺もしくは肺の線維症)、肝臓(肝または肝臓の線維症)、腎臓(腎もしくは腎臓の線維症)、および心臓(心臓の線維症)を含み得る。線維症はまた、関節、皮膚、腸、骨髄、その他を含む、他の組織および臓器にも影響を及ぼし得る。例示的な線維性状態または線維性疾患は、肝臓に影響を及ぼす非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);腎臓に影響を及ぼす糖尿病性腎疾患および糖尿病性腎症;ならびに心臓に影響を及ぼす代謝性心不全を含むがこれらに限定されない。例えば、NASHは、アルコールを、殆どまたは全く摂取しない人々の肝臓における脂肪蓄積、炎症、および損傷により特徴づけられ、疾患は、肝硬変をもたらし得る。NASHは、ある特定の脂質の血中レベルが上昇し、糖尿病または前糖尿病を有することが多い、体重過剰または肥満の中年者において診断される傾向がある。
【0005】
FGF-21は、インビボにおいてタンパク質分解を受け、インビトロにおいて凝集物を形成し、脱アミド化を受ける傾向があり(Gimeno and Moller, Trends Endocrinol Metab. 2014 June; 25(6):303-11;米国特許第8,361,963号;Hecht et al., PLoS One. 2012; 7(11):e49345;米国特許公開第2007/0293430号;WO2006/0065582)、FGF-21を含有する医薬組成物の保管寿命を、潜在的に限定することが報告されている。治療的ポリペプチドの凝集物および脱アミド化形態は、免疫原性を潜在的に増大させる可能性がある(U.S. Department of Health and Human Services, "Immunogenicity Assessment for Therapeutic Protein Products," August 2014;Subramanyam (ed.), "Therapeutic Protein Immunogenicity Focus Group Newsletter," American Association of Pharmaceutical Scientists, Vol. 1, Issue 3 (December 2011)を参照されたい。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、とりわけ、FGF-21ポリペプチドを含み、特に、変異体FGF-21ポリペプチドを含む医薬製剤の作製と関連する問題に対処する医薬製剤に対する必要性に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、(i)ポリエチレングリコール(PEG)部分へとコンジュゲートされた線維芽細胞増殖因子21(FGF-21)ポリペプチド(「FGF-21コンジュゲート」)、および(ii)アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤とを含む医薬製剤であって、製剤が、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤を含有しない参照製剤と比較して、安定性を改善しており、FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化1】
を含み、nが、任意の整数である、医薬製剤を提供する。
【0008】
一部の態様では、PEG部分は、FGF-21ポリペプチド内の非天然アミノ酸へとコンジュゲートされる。一部の態様では、FGF-21ポリペプチド内の非天然アミノ酸は、フェニルアラニン誘導体である。一部の態様では、フェニルアラニン誘導体は、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンである。
【0009】
一部の態様では、FGF-21ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列に対する、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、この場合、ポリペプチドは、FGF-21活性を有する。一部の態様では、非天然アミノ酸は、配列番号3に対応する、アミノ酸残基109にある。一部の態様では、FGF-21ポリペプチドは、配列番号1に明示された配列を含む。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、配列番号2の化合物に対応する。
【0010】
一部の態様では、式Iにおけるnは、約500~約900エチレングリコール単位、約600~約800エチレングリコール単位、約650~約750エチレングリコール単位、または約670~約690エチレングリコール単位である。一部の態様では、nは、約670~約690エチレングリコール単位の間、例えば、約681エチレングリコール単位である。
【0011】
一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、配列番号4の化合物に対応する。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、Lコンフォメーションにある。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、Dコンフォメーションにある。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、約1mg/ml~約40mg/mlの間の濃度で存在する。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、約10mg/mlまたは約20mg/mlの濃度で存在する。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、約20mg/mlの濃度で存在する。
【0012】
一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、単位用量当たり約1mg~約40mgの間の量で存在する。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、単位用量当たり約1mg、単位用量当たり約5mg、単位用量当たり約10mg、単位用量当たり約20mg、または単位用量当たり約40mgの量で存在する。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、単位用量当たり約10mgまたは約20mgの量で存在する。
【0013】
一部の態様では、医薬製剤は、
(a)40℃で、約1カ月にわたり保管された場合における、ポリペプチドの脱アミド化率の、参照製剤に照らした低下;
(b)40℃で、約1カ月にわたり保管された場合における、高分子量(HMW)ポリペプチドの凝集率の、参照製剤に照らした低下;または
(c)(a)および(b)の両方
のうちの1つまたは複数を呈する。
【0014】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤は、1つまたは複数のメチオニンの酸化を防止または緩和する。一部の態様では、メチオニンは、FGF-21ポリペプチドのメチオニン1(Met1)および/またはメチオニン169(Met169)に対応する。一部の態様では、メチオニンの酸化は、25℃および/または40℃のキレート剤により防止または緩和される。一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤は、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)である。一部の態様では、DTPAカチオンキレート剤は、約10μM~約100μM DTPAの間、約20μM~約90μM DTPAの間、約30μM~約80μM DTPAの間、約25μM~約75μM DTPAの間、または約40μM~約60μM DTPAの間、または約30μM~約70μM DTPAの間、または約40μM~約70μM DTPAの間の量で存在する。一部の態様では、DTPAカチオンキレート剤は、約40μM、約45μM、約50μM、約55μM、または約60μM DTPAの量で存在する。
【0015】
一部の態様では、製剤のpHは、6.5を上回るか、6.6を上回るか、6.7を上回るか、6.8を上回るか、6.9を上回るか、7.0を上回るか、7.1を上回るか、7.2を上回るか、7.3を上回るか、7.4を上回るか、または7.5を上回る。一部の態様では、pHは、約6.7~約7.5、約6.8~約7.5、約6.9~約7.4、約7.0~約7.3、約7.1~7.2、約7.1~約7.3、約7.1~約7.4、または約7.1~約7.5の間である。一部の態様では、pHは、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5である。一部の態様では、医薬製剤は、pHが6.5である参照製剤より安定である。
【0016】
一部の態様では、医薬製剤は、界面活性剤をさらに含む。一部の態様では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。一部の態様では、非アニオン性界面活性剤は、ポリソルベートである。一部の態様では、ポリソルベートは、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80)である。一部の態様では、ポリソルベート80である界面活性剤は、約0.01%~約0.1%(w/v)、約0.02%~約0.09%(w/v)、約0.03%~約0.08%(w/v)、約0.04%~約0.07%(w/v)、または約0.05%~約0.06%(w/v)の量で存在する。一部の態様では、ポリソルベート80である界面活性剤は、少なくとも約0.01%(w/v)、少なくとも約0.02%(w/v)、少なくとも約0.03%(w/v)、少なくとも約0.04%(w/v)、少なくとも約0.05%(w/v)、少なくとも約0.06%(w/v)、少なくとも約0.07%(w/v)、少なくとも約0.08%(w/v)、少なくとも約0.09%(w/v)、または少なくとも約0.1%(w/v)の量で存在する。一部の態様では、界面活性剤は、シェーカー上で撹拌される場合の、微粒子および/または気泡の形成を緩和する。
【0017】
一部の態様では、医薬製剤は、アミノ酸緩衝剤をさらに含む。一部の態様では、アミノ酸緩衝剤は、ヒスチジンである。一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約10mM~約100mMヒスチジン、約20mM~約90mMヒスチジン、約30mM~約80mMヒスチジン、約40mM~約70mMヒスチジン、約10mM~約30mMヒスチジン、約15mM~約25mMヒスチジン、約17.5~約22.5ヒスチジン、または約40mM~約60mMヒスチジンの量で存在する。一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約10mMヒスチジン、約15mMヒスチジン、約20mMヒスチジン、約25mMヒスチジン、約30mMヒスチジン、約35mMヒスチジン、約40mMヒスチジン、約45mMヒスチジン、または約50mMヒスチジンの量で存在する。
【0018】
一部の態様では、医薬製剤は、浸透圧調節剤をさらに含む。一部の態様では、浸透圧調節剤は、糖を含む。一部の態様では、糖は、スクロースである。一部の態様では、スクロースである浸透圧調節剤は、約100mM~約1Mスクロース、約200mM~約900mMスクロース、約300mM~約800mMスクロース、約400mM~約700mMスクロース、または約500mM~約600mMスクロースの量で存在する。一部の態様では、スクロースである浸透圧調節剤は、約100mMスクロース、約200mMスクロース、約300mMスクロース、約400mMスクロース、約500mMスクロース、約600mMスクロース、約700mMスクロース、約800mMスクロース、約900mMスクロース、または約1Mスクロースの量で存在する。
【0019】
一部の態様では、製剤は、皮下投与のために製剤化される。一部の態様では、製剤は、安全シリンジによる皮下投与のために製剤化される。一部の態様では、製剤は、毎日投与または毎週投与のために製剤化される。一部の態様では、製剤は、水性製剤である。
【0020】
本開示は、
(i)FGF-21コンジュゲート;
(ii)約10mM~約50mMの間の濃度のヒスチジン;
(iii)約100mM~約1Mの間の濃度のスクロース;
(iv)約0.01%~約0.1%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および
(v)約10μM~約100μMの間の濃度のDTPA
を含む医薬製剤であって、
製剤のpHが、約6.7~約7.5の間であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化2】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、医薬製剤を提供する。
【0021】
本開示はまた、
(i)FGF-21コンジュゲート;
(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;
(iii)約600mMの濃度のスクロース;
(iv)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および
(v)約50μMの濃度のDTPA
を含む医薬製剤であって、
pHが、約7.1であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化3】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、医薬製剤も提供する。
【0022】
また、
(i)FGF-21コンジュゲート;
(ii)20mMの濃度のヒスチジン;
(iii)600mMの濃度のスクロース;
(iv)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および
(v)50μMの濃度のDTPA
を含む医薬製剤であって、
pHが、7.1であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化4】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、医薬製剤も提供される。
【0023】
本開示は、
(i)FGF-21コンジュゲート;
(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;および
(iii)約600mMの濃度のスクロース
を含む医薬製剤であって、
pHが、約7.0であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化5】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、医薬製剤を提供する。
【0024】
本開示は、
(i)FGF-21コンジュゲート;
(ii)20mMの濃度のヒスチジン;および
(iii)600mMの濃度のスクロース
を含む医薬製剤であって、
pHが、7.0であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化6】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、医薬製剤を提供する。
【0025】
本開示はまた、
(i)約10mg/mLの濃度のFGF-21コンジュゲート;
(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;
(iii)約600mMの濃度のスクロース;
(iv)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および
(v)約50uMの濃度のDTPA
を含む医薬製剤であって、
pHが、約7.1であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化7】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、医薬製剤も提供する。
【0026】
本開示はまた、
(i)約20mg/mLの濃度のFGF-21コンジュゲート;
(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;
(iii)約600mMの濃度のスクロース;
(iv)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および
(v)約50uMの濃度のDTPA
を含む医薬製剤であって、
pHが、約7.1であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化8】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、医薬製剤も提供する。
【0027】
本開示は、
(i)10mg/mLの濃度のFGF-21コンジュゲート;
(ii)20mMの濃度のヒスチジン;
(iii)600mMの濃度のスクロース;
(iv)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および
(v)50uMの濃度のDTPA
を含む医薬製剤であって、
pHが、7.0であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化9】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、医薬製剤を提供する。
【0028】
本開示は、
(i)20mg/mLの濃度の、配列番号2または4のPEG-FGF21;
(ii)20mMの濃度のヒスチジン;
(iii)600mMの濃度のスクロース;
(iv)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および
(v)50uMの濃度のDTPA
を含む医薬製剤であって、
pHが、7.0であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化10】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、医薬製剤を提供する。
【0029】
本開示は、ポリエチレングリコール(PEG)部分へとコンジュゲートされた線維芽細胞増殖因子21(FGF-21)ポリペプチド(「FGF-21コンジュゲート」)を含む医薬製剤の安定性を改善する方法であって、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤を混合する工程を含み、製剤が、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤を含有しない参照製剤と比較して、安定性を改善しており、FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化11】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、方法を提供する。
【0030】
本明細書で開示される方法についての、一部の態様では、PEG部分は、FGF-21ポリペプチド内の非天然アミノ酸へとコンジュゲートされる。一部の態様では、FGF-21ポリペプチド内の非天然アミノ酸は、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンである。一部の態様では、FGF-21ポリペプチドは、配列番号1のFGF-21ポリペプチドである。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、Lコンフォメーションにある。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、Dコンフォメーションにある。一部の態様では、安定性の改善は、(i)ポリペプチドの物理的安定性の増大、(ii)ポリペプチドの化学的安定性の増大、または(iii)(i)および(ii)の両方を含む。一部の態様では、物理的安定性の増大は、(i)ポリペプチド凝集の防止もしくは減少、(ii)ポリペプチド断片化の防止もしくは減少、または(iii)(i)および(ii)の両方を含む。一部の態様では、化学的安定性の増大は、(i)ポリペプチドの脱アミド化の防止もしくは減少、(ii)ポリペプチドの酸化の防止もしくは減少、または(iii)(i)および(ii)の両方を含む。一部の態様では、安定性の改善は、(a)40℃で、約1カ月にわたり保管された場合における、ポリペプチドの脱アミド化率の、参照製剤に照らした低下;(b)40℃で、約1カ月にわたり保管された場合における、高分子量(HMW)ポリペプチドの凝集率の、参照製剤に照らした低下;または(c)(a)および(b)の両方のうちの1つまたは複数を含む。一部の態様では、安定性の改善は、1つまたは複数のメチオニンの酸化の防止または緩和を含む。一部の態様では、メチオニンは、FGF-21ポリペプチドのMet1および/またはMet169に対応する。一部の態様では、メチオニンの酸化は、25℃および/または40℃で防止または緩和される。
【0031】
本明細書で開示される方法についての、一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤は、DTPAである。一部の態様では、DTPAカチオンキレート剤は、約10μM~約100μM DTPAの間、約20μM~約90μM DTPAの間、約25μM~約75μM DTPAの間、約40μM~約60μM DTPAの間、約30μM~約70μM DTPAの間、約30μM~約80μM DTPAの間、または約40μM~約70μM DTPAの間の量で存在する。一部の態様では、DTPAカチオンキレート剤は、約40μM、約45μM、約50μM、約55μM、または約60μM DTPAの量で存在する。
【0032】
本明細書で開示される方法についての、一部の態様では、方法は、pHを、6.5を上回るか、6.6を上回るか、6.7を上回るか、6.8を上回るか、6.9を上回るか、または7.0を上回るように調整する工程をさらに含む。一部の態様では、pHは、約6.8~約7.5の間、または約6.9~約7.4の間、または約7.0~約7.3の間、または約7.1~7.2の間、または約7.1~約7.3の間、または約7.1~約7.4の間、または約7.1~約7.5の間へと調整される。一部の態様では、調整されたpHは、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5である。一部の態様では、製剤は、pHが6.5である参照製剤より安定である。
【0033】
本明細書で開示される方法についての、一部の態様では、方法は、界面活性剤を混合する工程をさらに含む。一部の態様では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。一部の態様では、非アニオン性界面活性剤は、ポリソルベートである。一部の態様では、ポリソルベートは、ポリソルベート80である。一部の態様では、ポリソルベート80である界面活性剤は、約0.01%~約0.1%(w/v)、約0.02%~約0.09%(w/v)、約0.03%~約0.08%(w/v)、約0.04%~約0.07%(w/v)、または約0.05%~約0.06%(w/v)の量で混合される。一部の態様では、ポリソルベート80である界面活性剤は、少なくとも約0.01%(w/v)、少なくとも約0.02%(w/v)、少なくとも約0.03%(w/v)、少なくとも約0.04%(w/v)、少なくとも約0.05%(w/v)、少なくとも約0.06%(w/v)、少なくとも約0.07%(w/v)、少なくとも約0.08%(w/v)、少なくとも約0.09%(w/v)、または少なくとも約0.1%(w/v)の量で混合される。一部の態様では、界面活性剤は、シェーカー上で撹拌される場合の、微粒子の形成および/または気泡の形成を緩和する。
【0034】
本明細書で開示される方法についての、一部の態様では、方法は、アミノ酸緩衝剤を混合する工程をさらに含む。一部の態様では、アミノ酸緩衝剤は、ヒスチジンである。一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約10mM~約100mMヒスチジン、約20mM~約90mMヒスチジン、約30mM~約80mMヒスチジン、約40mM~約70mMヒスチジン、約10mM~約30mMヒスチジン、約15mM~約25mMヒスチジン、約17.5mM~約22.5mMヒスチジン、または約40mM~約60mMヒスチジンの量で混合される。一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約10mMヒスチジン、約15mMヒスチジン、約20mMヒスチジン、約25mMヒスチジン、約30mMヒスチジン、約35mMヒスチジン、約40mMヒスチジン、約45mMヒスチジン、または約50mMヒスチジンの量で混合される。
【0035】
本明細書で開示される方法についての、一部の態様では、方法は、浸透圧調節剤を混合する工程をさらに含む。一部の態様では、浸透圧調節剤は、糖を含む。一部の態様では、糖は、スクロースである。一部の態様では、スクロースである浸透圧調節剤は、約100mM~約1Mスクロース、約200mM~約900mMスクロース、約300mM~約800mMスクロース、約400mM~約700mMスクロース、または約500mM~約600mMスクロースの量で混合される。一部の態様では、スクロースである浸透圧調節剤は、約100mMスクロース、約200mMスクロース、約300mMスクロース、約400mMスクロース、約500mMスクロース、約600mMスクロース、約700mMスクロース、約800mMスクロース、約900mMスクロース、または約1Mスクロースの量で混合される。
【0036】
一部の態様では、製剤は、水性製剤である。一部の態様では、本開示は、本明細書で開示される方法に従い調製される医薬製剤を提供する。
【0037】
本開示はまた、
(i)FGF-21コンジュゲート;
(ii)約10mM~約50mMの間の濃度のヒスチジン;
(iii)約100mM~約1Mの間の濃度のスクロース;
(iv)約0.01%~約0.1%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および
(v)約10μM~約100μMの間の濃度のDTPA
を含むバイアルであって、
製剤のpHが、約6.7~約7.5の間であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化12】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、バイアルも提供する。
【0038】
本開示はまた、
(i)約5mg~約20mgのFGF-21コンジュゲート;
(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;および
(iii)約600mMの濃度のスクロース
を含むバイアルであって、
pHが、約7.0であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化13】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、バイアルも提供する。
【0039】
本開示はまた、
(i)約10mg~約20mgのFGF-21コンジュゲート;
(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;
(iii)約600mMの濃度のスクロース;
(iv)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および
(v)約50uMの濃度のDTPA
を含むバイアルであって、
pHが、約7.1であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化14】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、バイアルも提供する。
【0040】
本開示はまた、
(i)約10mgのFGF-21コンジュゲート;
(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;
(iii)約600mMの濃度のスクロース;
(iv)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および
(v)約50uMの濃度のDTPA
を含むバイアルであって、
pHが、約7.1であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化15】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、バイアルも提供する。
【0041】
本開示はまた、
(i)約20mgのFGF-21コンジュゲート;
(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;
(iii)約600mMの濃度のスクロース;
(iv)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および
(v)約50uMの濃度のDTPA
を含むバイアルであって、
pHが、約7.1であり、
FGF-21コンジュゲートが、式I:
【化16】
を含み、
nが、約670~約690の間、例えば、約681であり、FGF-21ポリペプチドが、配列番号1を含む、バイアルも提供する。
【0042】
本開示はまた、(i)本明細書で開示される医薬製剤、または本明細書で開示されるバイアルと、(ii)使用のための指示書とを含むキットまたは製造品も提供する。
【0043】
本開示はまた、それを必要とする対象における線維症および/または糖尿病と関連する疾患または状態を処置または防止する方法であって、対象へと、有効量の、本明細書で開示される医薬製剤、本明細書で開示されるバイアル、または本明細書で開示されるキットを投与する工程を含む方法も提供する。一部の態様では、疾患または状態は、糖尿病である。一部の態様では、糖尿病は、2型糖尿病である。一部の態様では、疾患または状態は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。一部の態様では、有効量の医薬製剤の、対象への投与は、肝硬度を減少させるか、体脂肪率を減少させるか、体重を減少させるか、肝重量対体重比を減少させるか、肝脂質含量を減少させるか、肝線維症面積を減少させるか、空腹時血中グルコースレベルを低下させるか、空腹時トリグリセリドレベルを低下させるか、LDLコレステロールレベルを低下させるか、ApoBレベルを低下させるか、ApoCレベルを低下させるか、HDLコレステロールを増大させるか、またはこれらの任意の組合せである。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、約20mgのフラット用量で投与される。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、1週間の投与間隔で投与される。一部の態様では、医薬製剤は、皮下投与される。一部の態様では、医薬製剤は、安全シリンジを使用して、皮下投与される。一部の態様では、医薬製剤の、対象への投与は、非処置対象、または医薬製剤の投与前における対象におけるレベルと比較して、
(i)肝脂肪レベルの低減;
(ii)肝損傷レベルの低減;
(iii)線維症レベルの低減;
(iv)線維症のバイオメーカーである、血清Pro-C3(N末端III型コラーゲンプロペプチド)レベルの低下;
(v)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの低下;
(vi)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルの低下;
(vii)血清アジポネクチンレベルの上昇;
(viii)血漿LDLレベルの低下;
(ix)血漿HDLレベルの上昇;
(x)血漿トリグリセリドレベルの低下;
(xi)肝硬度レベルの低減;または
(xii)これらの任意の組合せ
を結果としてもたらす。
【0044】
一部の態様では、FGF-21ポリペプチドは、約30kDaであるPEGへとコンジュゲートされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1Aおよび1Bは、製剤組成の関数としての、PEG-FGF-21の脱アミド化を示す。
図1Aは、ペンテト酸(DTPA)またはポリソルベート80を伴わない製剤中の脱アミド化を示す。
図1Bは、ペンテト酸(DTPA)およびポリソルベート80を含む製剤中の脱アミド化を示す。
【0046】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、50μMのDTPA(また、ペンテト酸としても公知である)の存在下および非存在下、メチオニン1(
図2A)およびメチオニン169(
図2B)における、PEG-FGF-21ポリペプチドの金属触媒性酸化を示す。
【0047】
【
図3】
図3Aおよび3Bは、PEG-FGF-21の凝集に対する、pHの影響を示す。
図3Aは、時間、pH、および使用されるバッファー系の関数としての凝集を示す。
図3Bは、異なる温度および時間(5℃、14カ月間;25℃、1カ月間;40℃、1日間)、ならびに異なるpHにおける凝集を示す。
【0048】
【
図4】
図4Aおよび4Bは、製剤組成の関数としての、PEG-FGF-21の凝集を示す。
図4Aは、ペンテト酸(DTPA)またはポリソルベート80を伴わない製剤中の凝集を示す。
図4Bは、ペンテト酸(DTPA)およびポリソルベート80を伴う製剤中の凝集を示す。
【0049】
【
図5】
図5は、PS80を伴わない、高濃度のPEG-FGF-21が、300rpmのオービタルシェーカーによる24時間(左)、または6時間にわたるリストアクションシェーキング(右)の後に混濁したことを示す。0.01%~0.1%(w/v)の間のポリソルベート80の添加は、試料の混濁を低減した。
【0050】
【
図6】
図6は、本開示のPEG化FGF-21コンジュゲート;特に、FGF-21コンジュゲート内の非天然アミノ酸が、パラ-アセチル-フェニルアラニン、例えば、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンである例についての概略表示を示す。nは、PEGポリマー内に含有されるエチレングリコール単位の数を表す。
【0051】
【
図7】
図7は、本開示のFGF-21コンジュゲートをもたらすように、部位特異的な形で、FGF-21ポリペプチド(例えば、パラ-アセチル-フェニルアラニンなどの非天然アミノ酸を含むFGF-21ポリペプチド)へと融合またはコンジュゲートすることができる、681エチレングリコール単位を含む特異的なPEGリンカーについての概略表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本開示は、例えば、PEG-FGF-21(例えば、配列番号2または4)などの線維芽細胞増殖因子21(FGF-21)コンジュゲートを含む安定化医薬製剤を提供する。DTPAなど、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤の存在は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21中の、1つまたは複数のアミノ酸残基、例えば、メチオニンの酸化を緩和することが観察されている。
【0053】
本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む製剤への、DTPAの組込みはまた、保管時における、FGF-21ポリペプチドの脱アミド化率も低下させ、また、保管時における、高分子量凝集率も低減する。製剤のpHを、7.1へと調整することにより、さらなる安定化が達成され得る。加えて、製剤は、ポリソルベート80などの界面活性剤を添加することによりさらに安定化され得る。
【0054】
本開示はまた、開示される製剤を製造する方法のほか、開示される方法を適用することにより作製される製剤も提供する。また、線維症と関連する疾患、例えば、NASHおよび糖尿病の処置または予防の方法であって、開示される安定化製剤の、それを必要とする対象への投与を含む方法も提供される。
定義
【0055】
本開示が、よりたやすく理解され得るために、ある特定の用語が、まず規定される。本出願で使用される通り、本明細書で、そうでないことが明示的に提示されない限りにおいて、以下の用語の各々は、下記で明示される意味を有するものとする。さらなる定義は、本出願を通して明示されるものとする。
【0056】
本開示は、群の、正確に1つのメンバーが、所与の生成物中またはプロセスにおいて存在するか、用いられるか、または他の形で関連する態様を含む。本開示は、群のメンバーのうちの、1つを超えるメンバー、または全てのメンバーが、所与の生成物中またはプロセスにおいて存在するか、用いられるか、または他の形で関連する態様を含む。
【0057】
単数形の「ある(a)」、「ある(an)」、および「その(the)」は、文脈が、明確にそうでないことを指示しない限りにおいて、複数の指示対象を含む。本明細書では、「ある(a)」、(または「ある(an)」)という用語のほか、「1つまたは複数の」および「少なくとも1つの」という用語は、互換的に使用され得る。ある特定の態様では、「ある(a)」または「ある(an)」という用語は、「単一の」を意味する。他の態様では、「ある(a)」または「ある(an)」という用語は、「2つ以上」または「複数の」を含む。したがって、例えば、ある「FGF-21コンジュゲート」に対する言及は、1つまたは複数のこのようなタンパク質またはコンジュゲートに対する言及であり、当業者に公知の、これらの同等物などを含む。
【0058】
さらに、本明細書で使用される場合の「および/または」は、他の特色または成分を伴うか、またはこれを伴わない、2つの指定された特色または成分の各々の、具体的な開示として理解されるものとする。したがって、本明細書における「Aおよび/またはB」などの語句中で使用される、「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(単独)、および「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、および/またはC」などの語句中で使用される、「および/または」という用語は、以下の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)の各々を包含することが意図される。
【0059】
本明細書で使用される、「約」という用語は、当業者により決定される特定の値または組成について、許容可能な誤差の範囲内にある値または組成を指し、これは、値または組成がどのようにして測定または決定されるのか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」とは、当技術分野における慣行に従い、1標準偏差またはこれを超える範囲内を意味し得る。代替的に、「約」とは、最大で20%の範囲を意味し得る。さらに、特に、生体系または生物学的過程に関して述べると、用語は、値の最大で桁数の範囲内、または最大で5倍以内を意味し得る。特定の値または組成が、本出願および特許請求の範囲において提示される場合、そうでないことが言明されない限りにおいて、「約」の意味は、特定の値または組成について、許容可能な誤差の範囲内にあると仮定されるものとする。「約」という用語が、数値範囲と共に使用される場合、境界を、明示された数値を上回って、およびこれを下回って拡張することにより、この範囲を修飾する。したがって、「約10~20」とは、「約10~約20」を意味する。一般に、「約」という用語は、言明された値を上回る数値および下回る数値を、上方または下方(より高い、またはより低く)の、例えば10パーセントのばらつきにより修飾し得る。
【0060】
そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書で使用される、全ての技術用語および学術用語は、本開示が関する技術分野の当業者により、一般に理解される意味と同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology, Juo, Pei-Show, 2nd ed., 2002, CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology, 3rd ed., 1999, Academic Press;およびOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology, Revised, 2000, Oxford University Pressは、当業者に、本開示において使用される用語の多くについての一般的な語釈を提供する。
【0061】
本明細書で、態様について、「含むこと」という表現により記載されるいかなる場合においても、「からなること」および/または「から本質的になること」という用語により記載される、他の点では類似の態様もまた提供されることが理解される。
【0062】
単位、接頭辞、および記号は、それらの国際単位系(SI)で許容される形態において表示される。数値範囲は、範囲規定数を包含する。そうでないことが指し示されない限りにおいて、アミノ酸配列は、左から右へと、アミノからカルボキシへの向きに書かれる。本明細書で提示される小見出しは、全体としての本明細書を参照することにより与えられ得る、本開示の多様な態様の限定ではない。したがって、すぐ下記で規定される用語は、その全体における本明細書を参照することにより、十分に規定される。
【0063】
本明細書では、アミノ酸は、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨される、一般に公知のそれらの3文字記号または1文字記号により言及される。そうでないことが指し示されない限りにおいて、アミノ酸配列は、左から右へと、アミノからカルボキシへの向きに書かれる。
【0064】
凝集:「凝集」という用語は、ポリペプチド、例えば、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21のFGF-21ポリペプチド部分が、他の分子(同じポリペプチドの他の分子など)と共に、非共有結合的に連結された複合体を形成し、これにより、高分子量複合体を形成する傾向を指す。凝集物の形成を測定する例示的方法は、本明細書の実施例に記載されている解析用サイズ排除クロマトグラフィーを含む。凝集の相対量は、例えば、凝集を低減しているポリペプチドを同定するように、参照化合物に照らして決定され得る。凝集の相対量は、例えば、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21が、凝集を低減している製剤を同定するように、参照製剤に照らしても決定され得る。
【0065】
アミノ酸置換:「アミノ酸置換」という用語は、親配列内または参照配列(例えば、野生型配列)内に存在するアミノ酸残基を、別のアミノ酸残基で置きかえることを指す。アミノ酸は、例えば、化学的ペプチド合成を介して、または当技術分野で公知の組換え法を通して、親配列内または参照配列(例えば、野生型ポリペプチド配列)内で置換され得る。したがって、「X位における置換」に対する言及とは、X位に存在するアミノ酸の、代替的アミノ酸残基による置換を指す。一部の態様では、置換パターンは、スキームAnY[Aは、n位に天然で存在するか、または元来存在するアミノ酸に対応する1文字コードであり、Yは、置換アミノ酸残基である]に従い記載され得る。他の態様では、置換パターンは、スキームAn(YZ)[Aは、n位に天然で存在するか、または元来存在するアミノ酸を置換するアミノ酸残基に対応する1文字コードであり、YおよびZは、Aを置きかえ得る、代替的な置換アミノ酸残基である]に従い記載され得る。
【0066】
本開示の文脈では、置換(アミノ酸置換と称される場合であってもなお)は、核酸レベルで行われる、すなわち、代替的アミノ酸残基によるアミノ酸残基の置換は、第1のアミノ酸をコードするコドンを、第2のアミノ酸をコードするコドンで置換することにより行われる。
【0067】
約:本明細書で、1つまたは複数の目的の値へと適用されて使用される、「約」という用語は、言明された参照値と同様の値を指す。ある特定の態様では、「約」という用語は、そうでないことが言明されるか、またはそうでないことが文脈から明らかでない限りにおいて(このような数が、可能な値の100%を超える場合を除く)、いずれの方向(これを超えるか、またはこれ未満である)においても、言明された参照値の、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはこれ未満以内に収まる値の範囲を指す。
【0068】
と関連する:疾患に関して本明細書で使用される、「と関連する」という用語は、問題の症候、測定、特徴、または状態が、この疾患の診断、発症、存在、または進行と連関することを意味する。関連は、疾患と因果的に連関する場合もあるが、疾患と因果的に連関しなくてもよい。
【0069】
生物学的に活性:本明細書で開示される分子、例えば、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21に適用される、「生物学的に活性」という用語は、生物に関する、生物学的系、生物学的経路、生物学的分子、または生物学的相互作用の、任意の物理的特性または生化学的特性に影響を及ぼし得る、任意の物質を意味する。特に、本明細書で使用される、生物学的活性分子は、疾患もしくは状態、例えば、ヒトもしくは他の動物における線維症と関連する疾患もしくは状態の、診断、治癒、緩和、処置、もしくは防止、またはヒトもしくは動物の身体的健康もしくは精神的健康を、他の形で増強することが意図された、任意の物質を含むがこれらに限定されない。
【0070】
保存的アミノ酸置換:「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、類似する側鎖を有するアミノ酸残基で置きかえられる置換である。当技術分野では、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、またはヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、またはシステイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、またはトリプトファン)、ベータ分枝側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、またはヒスチジン)を含む、類似する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーが規定されている。したがって、ポリペプチド内のアミノ酸が、同じ側鎖ファミリーに由来する、別のアミノ酸で置きかえられる場合、アミノ酸置換は、保存的であると考えられる。別の態様では、アミノ酸の連なりは、側鎖ファミリーメンバーの順序および/または組成が異なる、構造的に類似する連なりで、保存的に置きかえられ得る。
【0071】
非保存的アミノ酸置換は、(i)電気陽性側鎖を有する残基(例えば、Arg、His、またはLys)が、電気陰性残基(例えば、GluまたはAsp)で、もしくはこれらにより置換される置換、(ii)親水性残基(例えば、SerまたはThr)が、疎水性残基(例えば、Ala、Leu、Ile、Phe、またはVal)で、もしくはこれらにより置換される置換、(iii)システインまたはプロリンが、他の任意の残基で、もしくはこれらにより置換される置換、または(iv)バルクの疎水性側鎖もしくは芳香族側鎖を有する残基(例えば、Val、His、IleまたはTrp)が、小型側鎖を有する残基(例えば、AlaまたはSer)、もしくは側鎖を有さない残基(例えば、Gly)で、もしくはこれらにより置換される置換を含む。
【0072】
他のアミノ酸置換もまた使用され得る。例えば、アミノ酸であるアラニンについて、置換は、D-アラニン、グリシン、ベータ-アラニン、L-システイン、およびD-システインのうちのいずれか1つから採択され得る。リシンについて、置きかえは、D-リシン、アルギニン、D-アルギニン、ホモアルギニン、メチオニン、D-メチオニン、オルニチン、またはD-オルニチンのうちのいずれか1つであり得る。一般に、単離ポリペプチドの特性の変化を誘導することが期待され得る、機能的に重要な領域内の置換は、(i)極性残基、例えば、セリン、もしくはトレオニンが、疎水性残基、例えば、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、もしくはアラニンで(またはこれらにより)置換される置換;(ii)システイン残基が、他の任意の残基で(またはこれらにより)置換される置換;(iii)電気陽性側鎖を有する残基、例えば、リシン、アルギニンもしくはヒスチジンが、電気陰性側鎖、例えば、グルタミン酸もしくはアスパラギン酸を有する残基で(またはこれらにより)置換される置換;または(iv)バルク側鎖、例えば、フェニルアラニンを有する残基が、このような側鎖を有さない残基、例えば、グリシンで(またはこれらにより)置換される置換である。前出の非保存的置換のうちの1つが、タンパク質の機能的特性を変更し得る可能性はまた、タンパク質の機能的に重要な領域に照らした置換位置とも相関し得る:したがって、一部の非保存的置換は、生物学的特性に対して、殆ど、または全く、影響を及ぼさない場合がある。
【0073】
保存された:本明細書で使用される、「保存された」という用語は、それぞれが、比較される、2つ以上の配列の同じ位置において、変更されずに生じるアミノ酸残基である、ポリペプチド配列のアミノ酸残基を指す。比較的保存されたアミノ酸とは、配列内の他の箇所に現れるヌクレオチドまたはアミノ酸より近縁の配列の中で、保存されているアミノ酸である。
【0074】
一部の態様では、2つ以上の配列は、互いと、100%同一である場合、「完全に保存されている」または「同一」であると言われる。一部の態様では、2つ以上の配列は、互いと、少なくとも70%同一であるか、少なくとも80%同一であるか、少なくとも90%同一であるか、または少なくとも95%同一である場合、「高度に保存されている」と言われる。一部の態様では、2つ以上の配列は、互いと、約70%同一であるか、約80%同一であるか、約90%同一であるか、約95%、約98%、または約99%同一である場合、「高度に保存されている」であると言われる。一部の態様では、2つ以上の配列は、互いと、少なくとも30%同一であるか、少なくとも40%同一であるか、少なくとも50%同一であるか、少なくとも60%同一であるか、少なくとも70%同一であるか、少なくとも80%同一であるか、少なくとも90%同一であるか、または少なくとも95%同一である場合、「保存されている」と言われる。一部の態様では、2つ以上の配列は、互いと、約30%同一であるか、約40%同一であるか、約50%同一であるか、約60%同一であるか、約70%同一であるか、約80%同一であるか、約90%同一であるか、約95%同一であるか、約98%同一であるか、または約99%同一である場合、「保存されている」と言われる。配列の保存は、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの全長に適用される場合もあり、またはその部分、領域、もしくは特徴に適用される場合もある。
【0075】
脱アミド化:「脱アミド化」という用語は、ポリペプチド内のアミノ酸残基が、脱アミド化反応を、自発的に受け、これにより、アミノ酸の化学構造を変化させ、ポリペプチドの機能に、潜在的に影響を及ぼす傾向を指す。脱アミド化を測定する例示的方法については、本明細書の実施例で開示される。脱アミド化の相対量は、例えば、脱アミド化を低下させているポリペプチドを同定するように、参照化合物に照らして決定され得る。脱アミド化の相対量はまた、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21が、脱アミド化を低減している製剤を同定するように、参照製剤に照らしても決定され得る。
【0076】
線維症と関連する疾患:「線維症と関連する疾患」という用語は、線維症が生じることが観察されているか、または線維症が、疾患の病因、進行、もしくは症候と関連するか、もしくはこれに寄与することが公知であるか、もしくはそのように考えられるか、または疾患が進行するにつれて、線維症が、生じることが公知であるか、もしくはそのように考えられる疾患、障害、および状態を含む。
【0077】
線維症は、膵臓、肺、心臓、腎臓、肝臓、眼、神経系、骨髄、リンパ節、心内膜、または後腹膜などの臓器または組織に影響を及ぼし得る。線維症と関連する例示的疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝線維症、肝硬変前期、肝硬変、びまん性実質性肺疾患、嚢胞性線維症、肺もしくは肺の線維症、進行性塊状線維症、特発性肺線維症、注射部位線維症、腎もしくは腎臓の線維症、慢性腎疾患、糖尿病性腎疾患、巣状分節状糸球体硬化症、膜性腎症、IgA腎症、筋線維症、心不全、代謝性心不全、心線維症、白内障性線維症、白内障、眼瘢痕化、膵線維症、皮膚線維症、腸線維症、腸狭窄、心内膜心筋線維症、心房線維症、縦隔線維症、クローン病、後腹膜線維症、ケロイド、腎原性全身性線維症、強皮症、全身性硬化症、関節線維症、ペイロニー症候群、デュピュイトラン拘縮、糖尿病性神経障害、癒着性関節包炎、アルコール性肝疾患、脂肪肝、ウイルス性肝炎、胆管疾患、原発性ヘモクロマトーシス、薬物関連肝硬変、特発性肝硬変、ウィルソン病、およびアルファ1アンチトリプシン欠損症、間質性肺疾患(ILD)、ヒト線維性肺疾患、黄斑変性、腎性網膜症、硝子体網膜症、心筋線維症、グレーブス眼症、薬物誘導性エルゴチン中毒、心血管疾患、アテローム性動脈硬化/再狭窄、肥厚性瘢痕、原発性筋線維症または特発性筋線維症、および炎症性腸疾患(コラーゲン性大腸炎を含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、肝線維症、腎もしくは腎臓の線維症、肺もしくは肺の線維症、および心もしくは心臓の線維症を含み得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、肝線維症であり得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、NASHであり得る。
【0078】
有効量:本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む製剤について本明細書で使用される、「有効量」という用語は、有益な結果または所望の結果、例えば、臨床結果をもたらすのに十分な量であり、このように、「有効量」は、適用される文脈に依存する。例えば、NASHを処置する、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を投与する文脈では、有効量のFGF-21コンジュゲートは、例えば、肝脂肪、肝損傷、または線維症を改善するのに(例えば、非処置対象におけるレベルに照らすか、または処置を投与する前の対象におけるレベルに照らした、肝脂肪、肝損傷、または線維症の低減に)十分な量である。一部の態様では、本明細書で開示される製剤中の、FGF-21ポリペプチドの量は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターによる測定に基づく。
【0079】
一部の態様では、NASHを処置するための、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の有効量は、1つまたは複数の線維症のバイオメーカーのレベルを、非処置対象におけるレベルに照らして、または処置を投与する前の対象におけるレベルに照らして変化させ得る:例えば、血清Pro-C3を低下させ得るか;ALTもしくはASTを低下させ得るか;血清アジポネクチンを上昇させ得るか;血漿LDLを低下させ得るか;血漿HDLを上昇させ得るか;血漿トリグリセリドを低下させ得るか;またはこれらの任意の組合せをもたらし得る。
【0080】
「有効量」という用語は、「有効用量」、「治療有効量」、または「治療有効用量」と互換的に使用され得る。
【0081】
本開示の方法および投与量に関する「フラット用量」とは、患者の体重または体表面積(BSA)を考慮せずに、患者へと投与される用量を意味する。したがって、フラット用量は、1kg当たりの用量mgとして施されるのではなく、分子の絶対量、例えば、mgとして施される。本明細書で、フラット用量と対比して言及される、「重量ベースの用量」という用語は、患者へと投与される用量が、患者の体重に基づき計算されることを意味する。一部の態様では、本明細書で開示されるフラット用量中の、FGF-21ポリペプチドの量は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターによる測定に基づく。
【0082】
FGF-21活性:「FGF-21活性」という用語は、FGF-21コンジュゲート(例えば、本開示のPEG化FGF-21コンジュゲート)内の、FGF-21ポリペプチドの、少なくとも1つの生物学的活性を指す。「生物学的活性」という用語は、分子、例えば、FGF-21ポリペプチド(例えば、FGF-21コンジュゲート、または本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21内のFGF-21ポリペプチド)の、ウイルス、細菌、バクテリオファージ、トランスポゾン、プリオン、昆虫、真菌、植物、動物、およびヒトを含むがこれらに限定されない生物に関する、生物学的系、生物学的経路、生物学的分子、または生物学的相互作用の、任意の物理的特性または生化学的特性に影響を及ぼす能力を指す。
【0083】
例えば、生物学的活性は、野生型FGF-21により果たされる生物学的機能のうちのいずれかを含む。分子が、野生型FGF-21(配列番号3の野生型FGF-21ポリペプチドなど)の少なくとも1つの生物学的活性を有するのかどうかを決定する例示的方法は、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、米国出願公開第2017/0189486号の実施例5および17において開示されている方法を含む、当技術分野で公知である任意の機能的アッセイを含み得る。
【0084】
参照化合物:生物学的活性の相対レベルは、例えば、参照化合物に照らして、意図された治療的使用のための生物学的活性を有するか、またはこのための十分に高い生物学的活性を有するポリペプチド、例えば、参照化合物のEC50より5倍未満、10倍未満、20倍未満、50倍未満、または100倍未満高いEC50を有するポリペプチドを同定するように決定され得る。生物学的活性の相対レベルは、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21が、意図された治療的使用のための生物学的活性を有するか、またはこのための十分に高い生物学的活性を有する製剤、例えば、参照製剤中の対応するFGF-21のEC50より5倍未満、10倍未満、20倍未満、50倍未満、または100倍未満高いEC50を有する製剤を同定するように、参照製剤に照らしても決定され得る。
【0085】
本明細書で記載される参照化合物は、本明細書で記載されるPEG化などの修飾を欠く、対応するFGF-21配列であり得る。例えば、参照化合物は、野生型FGF-21ポリペプチド配列の場合もあり、変異体FGF-21ポリペプチド配列(例えば、Q109の、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンなどの非天然アミノ酸による置きかえなどのアミノ酸置換を伴う野生型FGF-21)の場合もあるが、PEGコンジュゲート部分を伴わない。したがって、一部の態様では、参照化合物は、本明細書で記載されるPEG部分へと連結されていない、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含有し得る。一部の態様では、PEG部分は、遠位メトキシ(-O-CH3)基を含む。
【0086】
本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21についての、例示的参照化合物は、限定せずに述べると、配列番号3の野生型FGF-21、および配列番号1の変異体FGF-21ポリペプチドを含む。
【0087】
一部の態様では、参照化合物は、さらなるアミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を含有し得る。一部の態様では、比較は、ポリペプチドのPEG化形態により実施される場合もあり、非PEG化形態により実施される場合もあり;前者の場合において、比較は、非天然アミノ酸を含むポリペプチドにより実施される場合もあり、非天然アミノ酸を含まないポリペプチドにより実施される場合もある。
【0088】
同一性:本明細書で使用される、「同一性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、ポリペプチド分子間における、全体的な単量体の保存を指す。さらなる限定詞を伴わない、「同一」という用語、例えば、タンパク質Aが、タンパク質Bと同一であるとは、配列が、100%同一であること(100%の配列同一性)を含意する。2つの配列について、例えば、「70%同一」と記載することは、それらについて、例えば、「70%の配列同一性」を有すると記載することと同義である。
【0089】
2つのポリペプチド配列の同一性パーセントの計算は、例えば、最適の比較を目的として、2つの配列をアライメントすることにより実施され得る(例えば、最適のアライメントのために、第1のポリペプチド配列および第2のポリペプチド配列の、一方または両方へと、ギャップが導入され、同一でない配列は、比較を目的として棄却される場合がある)。ある特定の態様では、比較を目的としてアライメントされる配列の長さは、参照配列の長さの、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%である。次いで、対応するアミノ酸位置におけるアミノ酸が比較される。
【0090】
第1の配列内の位置が、第2の配列内の対応する位置と同じアミノ酸により占有されている場合、分子は、この位置において同一である。2つの配列の間の同一性パーセントは、2つの配列の、最適のアライメントのために導入される必要があるギャップの数、および各ギャップの長さを考慮するときに、配列により共有される、同一な位置の数の関数である。2つの配列の間の配列の比較、および同一性パーセントの決定は、数学的アルゴリズムを使用して達せられ得る。
【0091】
適切なソフトウェアプログラムは、多様な供給元から入手可能であり、タンパク質配列およびヌクレオチド配列の両方のアライメントのためのソフトウェアプログラムである。配列同一性パーセントを決定するのに適する、1つのプログラムは、米国政府のNational Center for Biotechnology InformationによるBLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能である、BLASTプログラムスイートの一部である、bl2seqである。bl2seqは、BLASTNアルゴリズムまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して、2つの配列の間の比較を実施する。BLASTNが、核酸配列を比較するのに使用されるのに対し、BLASTPは、アミノ酸配列を比較するのに使用される。他の適切なプログラムは、例えば、EMBOSSバイオインフォマティクスプログラムスイートの一部である、Needle、Stretcher、Water、またはMatcherであり、また、www.ebi.ac.uk/Tools/psaにおける、European Bioinformatics Institute(EBI)からも入手可能である。配列アライメントは、MAFFT、Clustal(Clustal W、Clustal X、またはClustal Omega)、MUSCLEなど、当技術分野で公知の方法を使用して行われ得る。
【0092】
ポリペプチドの参照配列とアライメントする、単一のポリペプチド標的配列内の異なる領域は、各々、それらの固有の配列同一性パーセントを有し得る。配列同一性パーセント値は、最も近い10分の1位数へと丸められることが留意される。例えば、80.11、80.12、80.13、および80.14が、80.1へと切り下げて丸められるのに対し、80.15、80.16、80.17、80.18、および80.19は、80.2へと切り上げて丸められる。長さの値は常に、整数となることもまた留意される。
【0093】
ある特定の態様では、第1のアミノ酸配列の、第2のアミノ酸配列に対する同一性百分率(ID%)は、ID%=100×(Y/Z)[式中、Yは、第1の配列と、第2の配列とのアライメント(目視検査または特定の配列アライメントプログラムによりアライメントされた)において、同一なマッチとして評定されたアミノ酸残基の数であり、Zは、第2の配列内の残基の総数である]として計算される。第1の配列の長さが、第2の配列より長い場合、第1の配列の、第2の配列に対する同一性パーセントは、第2の配列の、第1の配列に対する同一性パーセントより高くなる。
【0094】
当業者は、配列同一性パーセントの計算のための配列アライメントの生成が、もっぱら、一次配列データにより駆動される、二元的な配列間比較に限定されないことを認識するであろう。また、配列アライメントは、配列データを、構造的データ(例えば、結晶構造解析によるタンパク質構造)、機能的データ(例えば、突然変異の位置)、または系統発生データなど、異種供給源に由来するデータと統合することにより生成され得ることも認識されるであろう。異種データを統合して、複数の配列アライメントを生成するのに適するプログラムは、www.tcoffee.orgにおいて入手可能であり、代替的に、例えば、EBIからも入手可能である、T-Coffeeである。また、配列同一性パーセントを計算するのに使用される、最終アライメントは、自動でキュレートされる場合もあり、手動でキュレートされる場合もあることも認識されるであろう。
【0095】
インビボにおけるタンパク質分解性:「インビボにおけるタンパク質分解性」という用語は、前記生物内で生じるプロテアーゼから生じ得る、生体系へと導入された場合における(例えば、生物へと注入された場合における)、ポリペプチドの切断を指す。タンパク質分解は、ポリペプチドの生物学的活性または半減期に潜在的に影響を及ぼし得る。例えば、野生型FGF-21は、切断型不活性ポリペプチドを結果としてもたらす、C末端における切断を受ける場合がある。
【0096】
FGF-21のインビボにおけるタンパク質分解を測定する例示的方法は、米国出願公開第2017/0189486号の実施例10に記載されている、MSD(Meso Scale Discovery)ベースのECLIA(electrochemiluminescent immunosorbent assay)である。インビボまたはインビトロにおけるタンパク質分解の相対量は、例えば、インビボにおけるタンパク質分解を低下させているポリペプチドを同定するように、参照化合物に照らして決定され得る。インビボにおけるタンパク質分解の相対量はまた、参照製剤に照らして、すなわち、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21のFGF-21ポリペプチド部分が、インビトロにおけるタンパク質分解を低下させている製剤を同定するようにも決定され得る。
【0097】
単離された:本明細書で使用される、「単離された」という用語は、それが会合していた(天然においてであれ、実験設定条件下においてであれ)成分のうちの少なくとも一部から分離された物質または実体(例えば、ポリペプチド)を指す。単離物質(例えば、タンパク質)は、それらが会合していた物質に照らして、純度レベルが変動する場合がある。
【0098】
連結された:「連結された」、「融合された」、「コンジュゲートされた」、および「接合された」という用語は、互換的に使用され、共有結合的に融合されるか、またはコンカテネートされたPEG部分(例えば、約30kDのPEG部分)であって、FGF-21ポリペプチド、例えば、本明細書で開示される変異体FGF-21ポリペプチド(例えば、配列番号1のFGF-21ポリペプチド)の内部への挿入を含むPEG部分を指す。
【0099】
本開示の文脈では、FGF-2ポリペプチド、例えば、本明細書で開示される変異体FGF-2ポリペプチド(例えば、配列番号1のFGF-21ポリペプチド)と、PEG部分とは、化学合成の結果として「融合」され得る。
【0100】
本開示の文脈では、「コンジュゲートする」または「コンジュゲーション」という用語は、2つの分子実体(例えば、FGF-21ポリペプチド、例えば、本明細書で開示される変異体FGF-21ポリペプチド、およびPEGなどのポリマー部分)が化学的に連結されていることを表示する。一部の特定の態様では、FGF-21ポリペプチドと、PEG部分とは、本明細書で開示される式Iにおいて示される通り、オキシム連結を介して連結される。一部の態様では、PEG部分は、遠位メトキシ(-O-CH3)基を含む。
【0101】
突然変異:本開示の内容では、上記で規定された、「突然変異」および「アミノ酸置換」という用語(場合によって単に、「置換」とも称される)は、互換的であると考えられる。
【0102】
非天然アミノ酸:「非天然アミノ酸」とは、20の一般的アミノ酸、またはピロリシンもしくはセレノシステインのうちの1つではないアミノ酸を指す。「非天然アミノ酸」という用語と同義に使用され得る、他の用語は、「非天然コードアミノ酸」、「非天然アミノ酸」、「天然に存在しないアミノ酸」、ならびにこれらの多様なハイフン付き形および非ハイフン付き形である。
【0103】
「非天然アミノ酸」という用語はまた、天然コードアミノ酸(20の一般的アミノ酸を含むがこれらに限定されない)の修飾(例えば、翻訳後修飾)により生じるが、それら自体が、翻訳複合体により成長しつつあるポリペプチド鎖へと、天然で組み込まれることはないアミノ酸も含むがこれらに限定されない。このような非天然アミノ酸の例は、N-アセチルグルコサミニル-L-セリン、N-アセチルグルコサミニル-L-トレオニン、およびO-ホスホチロシンを含むがこれらに限定されない。本開示の具体的な一態様では、非天然アミノ酸は、パラ-アセチルフェニルアラニンである。本開示の具体的な一態様では、非天然アミノ酸は、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンである。本開示の具体的な一態様では、非天然アミノ酸は、パラ-アセチル-D-フェニルアラニンである。
【0104】
患者:本明細書で使用される、「患者」とは、処置を求め得る対象、もしくは処置を必要とし得る対象、処置を要求する対象、処置を施されている対象、処置を施されることになる対象、または特定の疾患または状態について訓練を受けた職業的従事者によるケア下にある対象を指す。
【0105】
医薬組成物:「医薬組成物」という用語は、有効成分(例えば、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21)の生物学的活性が、有効となることを可能とするような形態にあり、組成物が投与される対象に対して、許容不可能な程度に毒性である、さらなる成分(例えば、賦形剤および水)を含有しない調製物を指す。このような組成物は、無菌であり得る。
【0106】
薬学的に許容される:本明細書では、「薬学的に許容される」という語句は、穏当な医学的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒトおよび動物の組織との接触における使用に適する、妥当な利益/リスク比と釣り合う、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すように用いられる。一般に、動物における使用のためであり、より具体的には、ヒトにおける使用のための、連邦政府または州政府の規制機関による承認(または米国薬局方もしくは他の一般に認知されている薬局方)は、これらの化合物、材料、組成物、および/または剤形が、薬学的に許容されることを含意する。治療目的に安全なものとして、一般に許容可能な、化合物、材料、組成物、および/または剤形は、「治療用に許容可能」である。
【0107】
薬学的に許容される賦形剤:本明細書で使用される、「薬学的に許容される賦形剤」という語句は、本明細書で記載される活性化合物以外(例えば、活性化合物を懸濁または溶解させることが可能なビヒクル)であり、対象において実質的に非毒性であり、非炎症性である特性を有する、任意の成分を指す。賦形剤は、例えば、キレート剤、界面活性剤、緩衝剤、浸透圧調節剤、抗酸化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、保存剤、吸着剤、懸濁剤または分散剤、甘味剤、および水和水を含み得る。治療目的に安全なものとして、一般に許容される賦形剤は、「治療用に許容可能な賦形剤」である。
【0108】
薬学的に許容される塩:本開示はまた、本明細書で記載される化合物の、薬学的に許容される塩も含む。本明細書で使用される、「薬学的に許容される塩」とは、開示される化合物の誘導体を指し、この場合、親化合物は、既存の酸部分または塩基部分を、その塩形態へと転換することにより(例えば、遊離塩基を、適切な有機酸と反応させることにより)修飾される。薬学的に許容される塩の例は、アミンなどの塩基性残基の無機酸塩または有機酸塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリ塩または有機塩などを含むがこれらに限定されない。
【0109】
ポリペプチド:本明細書では、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すように、互換的に使用される。ポリマーは、修飾アミノ酸を含み得る。用語はまた、天然で、または介入により修飾されたアミノ酸ポリマー;例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識化成分とのコンジュゲーションなど、他の任意の操作もしくは修飾も包含する。定義内にはまた、例えば、1つまたは複数のアミノ酸の類似体(例えば、非天然アミノ酸など、ホモシステイン、オルニチン、p-アセチルフェニルアラニン、D-アミノ酸、およびクレアチンを含む)のほか、当技術分野で公知の他の修飾を含有するポリペプチドも含まれる。特定の態様では、本明細書で開示されるポリペプチドは、FGF-21ポリペプチドである。
【0110】
本明細書で使用されるポリペプチドという用語は、任意のサイズ、構造、または機能の、タンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを指す。ポリペプチドは、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、相同体、オーソログ、パラログ、断片、ならびに前出の他の同等物、変異体、および類似体を含む。ポリペプチドは、単一のポリペプチドの場合もあり、二量体、三量体、または四量体などの多分子複合体の場合もある。ポリペプチドはまた、単鎖ポリペプチドまたは多鎖ポリペプチドも含み得る。最も一般に、ジスルフィド連結は、多鎖ポリペプチド内に見出される。ポリペプチドという用語はまた、1つまたは複数のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の、人工的な化学的類似体であるアミノ酸ポリマーにも適用され得る。一部の態様では、「ペプチド」は、50アミノ酸以下の長さ、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸の長さであり得る。
【0111】
防止すること:本明細書で使用される、「防止すること」という用語は、疾患、障害、および/もしくは状態の発生を、部分的に、もしくは完全に遅延させること;特定の疾患、障害、および/もしくは状態の、1つもしくは複数の症候、特徴、もしくは臨床症状の発生を、部分的に、もしくは完全に遅延させること;特定の疾患、障害、および/もしくは状態の、1つもしくは複数の症候、特徴、もしくは症状の発生を、部分的に、もしくは完全に遅延させること;特定の疾患、障害、および/もしくは状態からの進行を、部分的に、もしくは完全に遅延させること;ならびに/または疾患、障害、および/もしくは状態と関連する病態を発症する危険性を減少させることを指す。一部の態様では、本出願で開示される医薬製剤は、NASHまたは糖尿病など、線維症と関連する疾患または状態の発生を防止するか、これらの症候を防止するか、またはこれらの合併症を防止するのに使用され得る。
【0112】
予防法:本明細書で使用される、「予防法」とは、疾患もしくは状態の発生を防止する、または線維症と関連する疾患もしくは状態、例えば、NASHの症候を防止するか、もしくはこれらの発生を遅延させるのに使用される治療法または一連の措置を指す。一部の態様では、本出願で開示される医薬製剤は、予防的に使用され得る。
【0113】
予防:本明細書で使用される、「予防」とは、健康を維持し、線維症と関連する疾患もしくは状態、例えば、NASHもしくは糖尿病を防止するか、もしくはこれらの発生を遅延させるか、または疾患もしくは状態と関連する症候を防止するか、もしくはこれらの発生を遅延させるために取られる方策を指す。
【0114】
組換え:「組換え」ポリペプチドまたは「組換え」タンパク質とは、組換えDNA技術を介して作製されたポリペプチドまたはタンパク質を指す。操作宿主細胞内で発現される、組換作製ポリペプチドおよび組換作製タンパク質は、任意の適切な技法により、分離されるか、分画されるか、または部分的に、もしくは実質的に精製された、天然ポリペプチドまたは組換えポリペプチドと同様に、本開示の目的で、単離されていると考えられる。本明細書で開示される変異体FGF-21は、当技術分野で公知の方法を使用して、組換え作製され得る。本明細書で開示されるタンパク質およびペプチドはまた、化学合成される場合もある。
【0115】
一部の態様では、本明細書で開示されるコンジュゲート(例えば、非天然アミノ酸を含むFGF-21ポリペプチド、例えば、配列番号1のFGF-21)に有用なFGF-21ポリペプチドは、細菌宿主により組換え作製される。
【0116】
類似性:本明細書で使用される、「類似性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、ポリペプチド分子間における、全体的な類縁性を指す。ポリマー分子の、互いとの類似性パーセントの計算は、類似性パーセントの計算が、当技術分野で理解される保存的置換を考慮に入れることを除き、同一性パーセントの計算と同じ方式で実施され得る。
【0117】
可溶性:「可溶性」という用語は、別の物質中に溶解し得る物質の量、例えば、水溶液中に溶解し得る野生型FGF-21(例えば、配列番号3のFGF-21ポリペプチド)、変異体FGF-21(例えば、非天然アミノ酸を含むFGF-21ポリペプチド、例えば、配列番号1のFGF-21ポリペプチド)、または本開示のFGF-21コンジュゲート(例えば、配列番号2または配列番号4のFGF-21ポリペプチド)の量を指す。
【0118】
野生型FGF-21ポリペプチド、変異体FGF-21ポリペプチド、またはFGF-21コンジュゲートの可溶性を測定する例示的方法は、米国出願公開第2017/0189486号の実施例8に記載されている、栓流可溶性試験である。相対可溶性は、例えば、参照化合物に照らして、可溶性を増大させているポリペプチドを同定するように決定され得る。一部の態様では、相対可溶性は、ポリペプチドが可溶性を増大させている製剤を同定するように、参照製剤に照らして決定され得る。
【0119】
対象:「対象」または「個体」または「動物」または「哺乳動物」とは、それらについて、診断、予後診断、または治療が所望される、任意の対象、特に、哺乳動物対象を意味する。哺乳動物対象は、ヒト、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ(cattle、cows)などの、家畜、農場動物、動物園動物、競技動物、愛玩動物;類人猿、サル、オランウータン、およびチンパンジーなどの霊長動物;イヌおよびオオカミなどのイヌ科動物;ネコ、ライオン、およびトラなどのネコ科動物;ウマ、ロバ、およびシマウマなどのウマ科動物;クマ;ウシ、ブタ、およびヒツジなどの食用動物;シカおよびキリンなどの有蹄動物;マウス、ラット、ハムスター、およびモルモットなどの齧歯動物などを含むがこれらに限定されない。ある特定の態様では、哺乳動物は、ヒト対象である。他の態様では、対象は、ヒト患者である。特定の態様では、対象は、インビボにおいてであれ、インビトロにおいてであれ、エクスビボにおいてであれ、本明細書で記載される方法に適するヒト患者またはその細胞である。
【0120】
患うこと:疾患、障害、および/または状態を「患っている」個体は、疾患、障害、および/または状態の、1つまたは複数の症候を伴うか、または提示すると診断されている。一部の態様では、本明細書で開示される医薬製剤は、NASHまたは糖尿病など、線維症と関連する疾患または状態を患う対象へと投与され得る。
【0121】
罹患しやすい:疾患、障害、および/または状態に「罹患しやすい」個体は、疾患、障害、および/もしくは状態を伴うと診断されておらず、かつ/または疾患、障害、および/もしくは状態の症候を呈さない場合もあるが、疾患またはその症候を発症する傾向を有する。一部の態様では、疾患、障害、および/または状態(例えば、がん)に罹患しやすい個体は、以下:(1)疾患、障害、および/または状態の発症と関連する遺伝子突然変異;(2)疾患、障害、および/または状態の発症と関連する遺伝子多型;(3)疾患、障害、および/または状態と関連するタンパク質および/または核酸の発現および/または活性の増大および/または減少;(4)疾患、障害、および/または状態の発症と関連する習慣および/または生活様式;(5)疾患、障害、および/または状態の家族歴;ならびに(6)疾患、障害、および/または状態の発症と関連する微生物への曝露および/またはこれらの感染のうちの1つまたは複数により特徴づけられ得る。
【0122】
一部の態様では、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、および/または状態を発症するであろう。一部の態様では、疾患、障害、および/または状態に罹患しやすい個体は、疾患、障害、および/または状態を発症しないであろう。一部の態様では、本明細書で開示される医薬製剤は、NASHまたは糖尿病など、線維症と関連する疾患または状態に罹患しやすい対象へと投与され得る。
【0123】
治療剤:「治療剤」または「薬剤」という用語は、対象へと投与されると、治療的効果、診断的効果、および/もしくは予防的効果を有し、かつ/または所望の生物学的効果および/もしくは薬理学的効果を誘発する分子的実体を指す。例えば、一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート(例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21)は、治療剤であり得る。一部の態様では、薬剤は、本明細書で開示される、少なくとも1つのFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21との組合せ療法の一部として共投与される別の分子である。
【0124】
治療有効量:本明細書で使用される、「治療有効量」という用語は、感染症、疾患、障害、および/または状態を患うか、またはこれらに罹患しやすい対象へと投与された場合に、感染症、疾患、障害、および/または状態を処置し、これらの症候を改善し、これらを診断し、防止し、および/またはこれらの発生を遅延させるのに十分な、送達される薬剤(例えば、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは配列番号4のPEG-FGF-21、またはFGF-21コンジュゲートを含む製剤)の量を意味する。一般に、治療有効量の投与は、治療的に有効な転帰を結果としてもたらすことが期待される。
【0125】
治療的に有効な転帰:本明細書で使用される、「治療的に有効な転帰」という用語は、感染症、疾患、障害、および/または状態を患うか、またはこれらに罹患しやすい対象において、感染症、疾患、障害、および/または状態を処置し、これらの症候を改善し、これらを診断し、防止し、および/またはこれらの発生を遅延させるのに十分な転帰を意味する。
【0126】
処置する、処置、治療:本明細書で使用される、「処置する」もしくは「処置」もしくは「治療」という用語、またはこれらの文法的変化形は、線維症と関連する疾患または状態、例えば、NASHまたは糖尿病の、1つまたは複数の症候または特徴を、部分的に、または完全に防止し、緩和し、改善し(ameliorating、improving)、和らげ、これらの発生を遅延させ、これらの進行を阻害し、これらの重症度を軽減し、および/またはこれらの発生率を低減することを指す。例えば、線維症と関連する疾患を「処置すること」は、症候を防止すること、症候を改善すること、疾患もしくは状態またはその症候の発生を遅延させることなどを指す場合がある。処置は、疾患、障害、および/または状態と関連する病態を発症する危険性を減少させる目的で、疾患、障害、および/もしくは状態の徴候を呈さない対象、ならびに/または疾患、障害、および/もしくは状態の早期徴候だけを呈する対象へと投与され得る。
【0127】
ug、uM、uL:本明細書で使用される、「ug」、「uM」、および「uL」という用語は、それぞれ、「μg」、「μΜ」、および「μL」と互換的に使用される。
【0128】
本開示の多様な態様については、以下の小節において、さらに詳細に記載される。
I.FGF-21コンジュゲート製剤
【0129】
本開示は、線維芽細胞増殖因子21(FGF-21)コンジュゲート、およびアミノポリカルボン酸カチオンキレート剤、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)を含む医薬製剤であって、製剤が、参照製剤と比較して、安定性を改善した医薬製剤を提供する。「参照製剤」という用語は、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤を含有しないことを除き、「被験製剤」(参照製剤と比較される製剤)と同じ成分および特性(例えば、pH、温度)を含む製剤を指す。
【0130】
「FGF-21コンジュゲート」という用語は、PEG部分へと連結されたFGF-21ポリペプチド部分を含むコンジュゲートを指す。一部の態様では、PEG部分は、遠位メトキシ(-O-CH3)基を含む。「FGF-21ポリペプチド」という用語は、一般に、野生型FGF-21ポリペプチド(例えば、配列番号3のポリペプチド)、および「変異体FGF-21ポリペプチド」の両方を指す。
【0131】
本明細書で使用される、「PEG-FGF-21コンジュゲート」または「PEG-FGF-21」という用語は、オキシム連結を介して、変異体FGF-21ポリペプチド部分へと連結されたPEG部分を含む、PEG化FGF-21形態を指す。例示的な、本開示のPEG-FGF-21コンジュゲートは、下記の表4における、配列番号2または5、および配列番号4または6に明示されている。
【表1】
【0132】
当技術分野で公知である、多数のFGF-21は、本明細書で開示される、PEG化FGF-21コンジュゲート製剤、例えば、それらのいずれもが、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第8,012,931号および同第9,434,788号において開示されている、PEG化FGF-21コンジュゲート製剤において使用され得る。線維芽細胞増殖因子21(FGF-21)については、文献(それらの各々が、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、Nishimura et al., Biochimica et Biophysica Acta, 1492:203-206 (2000);WO01/36640およびWO01/18172;ならびに米国特許公開第20040259780号)において記載されている。他のFGFと異なり、FGF-21は、増殖効果および腫瘍形成効果を及ぼさないことが報告されている(Ornitz and Itoh, Genome Biology 2001, 2(3):reviews3005.1-3005.12)。
【0133】
一部の態様では、本開示に有用なFGF-21ポリペプチドは、N末端におけるメチオニンを伴わない、配列番号2または配列番号4に明示されるアミノ酸配列を含む。
【0134】
FGF-21について、複数の多型が同定されている。米国特許公開第20010012628号および米国特許第6,716,626号では、ロイシンまたはプロリンが、同じ位置に記載されている。1つのアミノ酸(ロイシン)が異なる、N末端のリーダー配列またはシグナル配列は、米国特許第6,716,626号および米国特許公開第20040259780号に示されている。FGF-21の変異体または突然変異体は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第6,716,626号;米国特許公開第2005/0176631号、同第2005/0037457号、同第2004/0185494号、同第2004/0259780号、同第2002/0164713号、および同第2001/0012628号;WO01/36640;WO03/011213;WO03/059270;WO04/110472;WO05/061712;WO05/072769;WO05/091944;WO05/113606;WO06/028595;WO06/028714;WO06/050247;WO06/065582;WO06/078463;WO01/018172;WO09/149171;WO10/042747;WO12/066075;WO11/154349;WO13/052311;WO13/188181において開示されている変異体または突然変異体を含むがこれらに限定されない。
【0135】
本明細書で使用される、「変異体FGF-21」および「変異体FGF-21ポリペプチド」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸位置において、参照野生型FGF-21ポリペプチド(例えば、配列番号3の野生型ヒトFGF-21)と異なり、典型的に、線維芽細胞増殖因子21の、少なくとも1つの生物学的活性を有するFGF-21ポリペプチドのほか、それらの生物学的活性に関わらず、FGF-21類似体、FGF-21アイソフォーム、FGF-21模倣体、FGF-21断片、ハイブリッドFGF-21タンパク質、これらの融合タンパク質、オリゴマーおよび多量体、相同体、グリコシル化パターン変異体、スプライス変異体、ならびにムテインを指す。「変異体FGF-21」という用語は、天然に存在する変異体、および天然に存在しない変異体、例えば、野生型FGF-21ポリペプチド、例えば、配列番号3のポリペプチド内のアミノ酸の、非天然アミノ酸(例えば、パラ-アセチル-L-フェニルアラニン)による置換から得られる変異体の両方を包含する。置換は、例えば、組換え発現、または化学合成もしくは酵素合成の結果であり得る。一部の態様では、本開示の変異体FGF-21ポリペプチドは、配列番号1のポリペプチドを含むか、これからなるか、またはこれから本質的になる。
【0136】
本開示の変異体FGF-21ポリペプチドは、1つまたは複数のアミノ酸の置換、付加、または欠失を含むFGF-21ポリペプチドを包含する。例えば、本開示の変異体FGF-21ポリペプチドは、1つもしくは複数のアミノ酸の置換(例えば、天然に存在するアミノ酸または天然に存在しないアミノ酸による)、欠失(末端または内部の欠失)、または異種部分の接合(アミノ酸配列内の、C末端、N末端、または内部における、挿間/挿入いずれかによる接合、または側鎖接合による接合)などの修飾を含む。変異体FGF-21ポリペプチドという用語はまた、FGF-21の多型(例えば、天然に存在するFGF-21の配列変異体)、例えば、P形態またはL形態も包含する。
【0137】
天然に存在するFGF-21ポリペプチド内の、多種多様なアミノ酸位置における置換について記載されている。可溶性または安定性をモジュレートするか、アゴニスト活性を増大させるか、インビボまたはインビトロにおける半減期を延長するか、プロテアーゼ抵抗性を増大させるか、ポリペプチドを、アンタゴニストへと転換するか、免疫原性もしくは毒性を低減するか、精製を容易とするか、もしくは製造可能性を促進するか、またはこれらの任意の組合せである置換を含むがこれらに限定されない置換もまた、変異体FGF-21ポリペプチドという用語により包含される。
【0138】
変異体FGF-21ポリペプチドという用語はまた、天然に存在するFGF-21ポリペプチドの、生物学的活性断片、生物学的活性変異体、および立体異性体のほか、天然に存在するFGF-21のアゴニスト、模倣体、およびアンタゴニスト変異体、ならびにこれらのポリペプチド融合体も含む。変異体FGF-21ポリペプチドという用語により、アミノ末端、カルボキシル末端、またはこれらの両方において、さらなるアミノ酸を含む融合体が包含される。
【0139】
例示的融合体は、例えば、メチオニンが、例えば、リーダーペプチドもしくはシグナルペプチドを欠く、FGF-21の成熟形態、またはその部分の組換え発現から得られる、FGF-21ポリペプチドのN末端へと連結された、メチオニルFGF-21(メチオニンは、例えば、イー・コリ内の組換え発現から得られる、FGF-21のN末端へと連結される)、精製を目的とする融合体(ポリヒスチジンまたはアフィニティーエピトープを含むがこれらに限定されない)を含むがこれらに限定されない。
【0140】
変異体FGF-21ポリペプチドという用語はまた、任意のアミノ酸位置においてグリコシル化されたポリペプチド、ポリペプチドN結合型グリコシル化形態、またはO結合型グリコシル化形態などであるがこれらに限定されない、グリコシル化FGF-21ポリペプチドも含む。単一のヌクレオチド変化を含有する変異体もまた、FGF-21の生物学的活性変異体と考えられる。加えて、スプライス変異体もまた含まれる。
【0141】
変異体FGF-21ポリペプチドという用語はまた、化学的手段により連結されるか、または融合タンパク質として発現された、任意の1つまたは複数の非修飾FGF-21もしくは修飾FGF-21、または他の任意のポリペプチド、タンパク質、炭水化物、ポリマー、低分子、リンカー、リガンド、または任意の種類の他の生物学的活性分子による、FGF-21のヘテロ二量体、ホモ二量体、ヘテロ多量体、またはホモ多量体のほか、例えば、特異的な欠失または他の修飾を含有するが、なお生物学的活性を維持するポリペプチド類似体も含む。
【0142】
一部の態様では、変異体FGF-21ポリペプチドは、FGF-21ポリペプチドの、その受容体に対するアフィニティーを増大させる、付加、置換、または欠失を含む。同様に、変異体FGF-21ポリペプチドという用語は、検出(GFPを含むがこれらに限定されない)、精製、組織膜もしくは細胞膜を通した輸送、プロドラッグの放出もしくは活性化、FGF-21ポリペプチドサイズの低減、またはポリペプチドの他の形質を改善する化学的もしくは酵素的切断配列、プロテアーゼにより切断された配列、反応性基、抗体結合性ドメイン(FLAGまたはポリHisを含むがこれらに限定されない)もしくは他のアフィニティーベースの配列(FLAG、ポリHis、GSTなどを含むがこれらに限定されない)もしくは連結分子(ビオチンを含むがこれらに限定されない)を含む。
【0143】
一部の態様では、変異体FGF-21ポリペプチドは、配列番号1もしくは配列番号3、またはN末端におけるメチオニンを伴わない配列番号1もしくは配列番号3のアミノ酸配列に対する、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドを含み、この場合、ポリペプチドは、FGF-21活性を有する。一部の態様では、変異体FGF-21ポリペプチドは、配列番号5または配列番号6に明示されるアミノ酸配列を含む。
【0144】
一部の態様では、変異体FGF-21ポリペプチドは、配列番号1もしくは配列番号3、またはN末端におけるメチオニンを伴わない配列番号1もしくは配列番号3のアミノ酸配列に対する、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドからなるか、またはこれらから本質的になり、この場合、ポリペプチドは、FGF-21活性を有する。一部の態様では、変異体FGF-21ポリペプチドは、配列番号5または配列番号6に明示されるアミノ酸配列から本質的になる。
【0145】
この定義により包含される、変異体FGF-21ポリペプチドは、例えば、少なくとも1つの非天然アミノ酸を含む、変異体FGF-21ポリペプチドを含む。一部の態様では、非天然アミノ酸は、アミノオキシ誘導体と反応すると、安定的なオキシム連結を形成し得るアミノ酸、例えば、p-アセチルフェニルアラニン、m-アセチルフェニルアラニン、p-(3-オキソブテノイル)-L-フェニルアラニン、p-(2-アミノ-3-ヒドロキシエチル)フェニルアラニンなどである。一部の態様では、非天然アミノ酸は、p-アセチルフェニルアラニンである。一部の態様では、非天然アミノ酸は、p-アセチル-L-フェニルアラニンである。
【0146】
一部の態様では、1つまたは複数の非天然アミノ酸は、野生型FGF-21の以下の位置:1位の前(すなわち、N末端に)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)(配列番号3に対応するアミノ酸位置)のうちの1つまたは複数に組み込まれる。
【0147】
一部の具体的な態様では、本開示の変異体FGF-21は、配列番号1の修飾FGF-21ポリペプチド、すなわち、野生型FGF-21のグルタミン109が、非天然アミノ酸であるパラ-アセチル-L-フェニルアラニンにより置換されている、配列番号3の野生型FGF-21の誘導体である。
【0148】
一部の具体的な態様では、本開示のFGF-21ポリペプチドは、FGF-21ポリペプチド(配列番号1または配列番号3)のN末端におけるメチオニンが、除去されるように修飾される:配列番号5または6。
【0149】
上記で開示された通り、本開示の変異体FGF-21ポリペプチドは、PEG(ポリエチレングリコール)部分へと連結され得る。PEGの、本明細書で開示される変異体FGF-21ポリペプチド(例えば、配列番号1のFGF-21ポリペプチド)への連結は、非修飾形態と比べた、血清(インビボ)半減期の延長もしくはモジュレート、または治療半減期の延長もしくはモジュレート、免疫原性または毒性のモジュレート、凝集および多量体形成など、物理的会合特徴のモジュレート、受容体への結合の変更、1つまたは複数の結合パートナーへの結合の変更、ならびに受容体の二量体化または多量体化の変更を含むがこれらに限定されない変化を結果としてもたらし得る。一部の態様では、PEGの、本明細書で開示される変異体FGF-21ポリペプチド(例えば、配列番号1のFGF-21ポリペプチド)への連結は、吸収速度の増大、毒性の低減、可溶性の改善、タンパク質凝集の低減、PEG化FGF-21の生物学的活性および/または標的選択性の増大、製造可能性の増大、および/または免疫原性の低減(例えば、米国特許第4,179,337号を参照されたい)を含むがこれらに限定されない、薬物動態特性または生物物理特性を、変異体FGF-21ポリペプチド(例えば、配列番号1のFGF-21ポリペプチド)、または野生型FGF-21(例えば、配列番号3のFGF-21ポリペプチド)の非コンジュゲート形態などの参照化合物と比較して改善または変更する。一部の態様では、少なくとも1つのリンカーが、変異体FGF-21ポリペプチド部分と、PEG部分との間に介在し得る。一部の態様では、PEG部分は、遠位メトキシ(-O-CH3)基を含む。
【0150】
FGF-21またはFGFファミリーメンバーの結晶構造、およびこれらの、FGF受容体との相互作用の検討は、どの、ある特定のアミノ酸残基が、溶媒へと、完全に、または部分的にアクセス可能な側鎖を有するのかを指し示し得る。これらの位置における非天然アミノ酸の側鎖は、タンパク質表面から離れ、外側の溶媒へと向くので、PEGへと連結され得る。
【0151】
PEGは、野生型FGF-21ポリペプチドまたは変異体FGF-21ポリペプチドの、以下のアミノ酸位置:1位の前(すなわち、N末端に)、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182(すなわち、タンパク質のカルボキシル末端)(配列番号3に対応するアミノ酸位置)のうちの1つまたは複数へと連結され得る。一部の態様では、PEGは、非天然アミノ酸、例えば、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンなどのフェニルアラニン誘導体の側鎖へと接合され、上記で開示された位置のうちのいずれかにおいて、天然に存在するアミノ酸を置換する。
【0152】
本開示のPEGは、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒド、これらのC1~C10モノアルコキシ誘導体またはC1~C10モノアリールオキシ誘導体(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,252,714号において記載されている)、モノメトキシポリエチレングリコール、離散型PEG、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリアルキレングリコールおよびその誘導体、ポリアルキレングリコールとその誘導体とのコポリマー、またはこれらの混合物を含むがこれらに限定されない。一部の態様では、PEGは、分枝状構造を有し得る。分枝状PEGについては、例えば、米国特許第5,643,575号;Morpurgo et al., Appl. Biochem. Biotechnol. 56:59-72 (1996);Vorobjev et al., Nucleosides Nucleotides 18:2745-2750 (1999);およびCaliceti et al., Bioconjug. Chem. 10:638-646 (1999)において記載されている。
【0153】
一部の態様では、PEGの分子量は、約30kDaである。所望のプロファイル(例えば、所望される持続放出の持続時間、存在する場合、生物学的活性に対する影響、操作の容易さ、抗原性の程度または欠如、およびポリエチレングリコールの、タンパク質または類似体に対する他の公知の影響)に応じて、他のサイズも使用され得る。一部の態様では、PEGの分子量は、約28kDa、約29kDa、約30kDa、約31kDa、または約32kDaである。一部の態様では、PEGの分子量は、約28kDa~約29kDaの間、約29kDa~約30kDaの間、約30kDa~約31kDaの間、または約31kDa~約32kDaの間である。当技術分野では、PEG(ならびにFGF-21コンジュゲート)の分子量を決定する方法が周知である。本開示のためのPEGの分子量を測定するのに、任意の公知の方法、例えば、質量分析(例えば、MALDI-TOFおよび/またはESI)が使用され得る。
【0154】
一部の態様では、PEGは、約600エチレングリコール単位、約610エチレングリコール単位、約620エチレングリコール単位、約630エチレングリコール単位、約640エチレングリコール単位、約650エチレングリコール単位、約660エチレングリコール単位、約670エチレングリコール単位、約680エチレングリコール単位、約690エチレングリコール単位、約700エチレングリコール単位、約710エチレングリコール単位、約720エチレングリコール単位、約730エチレングリコール単位、約740エチレングリコール単位、約750エチレングリコール単位、約760エチレングリコール単位、約770エチレングリコール単位、約780エチレングリコール単位、約790エチレングリコール単位、または約800エチレングリコール単位を有する。
【0155】
一部の態様では、PEGは、約600エチレングリコール単位~約610エチレングリコール単位の間、約610エチレングリコール単位~約620エチレングリコール単位の間、約620エチレングリコール単位~約630エチレングリコール単位の間、約630エチレングリコール単位~約640エチレングリコール単位の間、約640エチレングリコール単位~約650エチレングリコール単位の間、約650エチレングリコール単位~約660エチレングリコール単位の間、約660エチレングリコール単位~約670エチレングリコール単位の間、約670エチレングリコール単位~約680エチレングリコール単位の間、約680エチレングリコール単位~約690エチレングリコール単位の間、約690エチレングリコール単位~約700エチレングリコール単位の間、約700エチレングリコール単位~約710エチレングリコール単位の間、約710エチレングリコール単位~約720エチレングリコール単位の間、約720エチレングリコール単位~約730エチレングリコール単位の間、約730エチレングリコール単位~約740エチレングリコール単位の間、約740エチレングリコール単位~約750エチレングリコール単位の間、約750エチレングリコール単位~約760エチレングリコール単位の間、約760エチレングリコール単位~約770エチレングリコール単位の間、約770エチレングリコール単位~約780エチレングリコール単位の間、約780エチレングリコール単位~約790エチレングリコール単位の間、または約790エチレングリコール単位~約800エチレングリコール単位の間を有する。
【0156】
一部の態様では、PEGは、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、または700エチレングリコール単位を有する。
【0157】
一部の具体的な態様では、PEG部分は、オキシム連結を介して、本開示の変異体FGF-21ポリペプチド(例えば、配列番号1のFGF-21ポリペプチド)へと連結される。一部の態様では、PEG部分は、PEG分子の反応性基(例えば、
図7に提示された、30kDaのメチルPEG
681アミノオキシ分子のアミノオキシ基)と、変異体FGF-21ポリペプチド内の非天然アミノ酸の反応性基(例えば、変異体FGF-21ポリペプチドの配列のアミノ酸109位における、例えば、p-アセチル-フェニルアラニンのアセチル基)との間で形成されるオキシム連結を介して、本開示の変異体FGF-21ポリペプチド(例えば、配列番号1の変異体FGF-21ポリペプチド)へと連結される。一部の態様では、非天然アミノ酸は、配列番号3のGln109を置きかえる、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンである。一部の態様では、PEG部分は、遠位メトキシ(-O-CH
3)基を含む。
【0158】
一部の態様では、本明細書で開示される製剤中のFGF-21コンジュゲートは、配列番号2のPEG-FGF-21、すなわち、野生型FGF-21のグルタミン109(配列番号3)が、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンで置きかえられており、PEG部分、例えば、約28kDa~約32kDaの間の分子量、例えば、約30kDaの直鎖状PEGが、オキシム連結を介して、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンへと、共有結合的に接合されている、配列番号1のFGF-21である。一部の態様では、PEG部分は、遠位メトキシ(-O-CH3)基を含む。
【0159】
一部の態様では、本明細書で開示される製剤中のFGF-21コンジュゲートは、配列番号2のPEG-FGF-21、すなわち、(i)パラ-アセチル-L-フェニルアラニンが、野生型FGF-21のグルタミン109(配列番号3)を置きかえる、配列番号1のFGF-21、および(ii)オキシム連結を介して、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンへと、共有結合的に接合されたPEG部分、例えば、約28kDa~約32kDaの間の分子量、例えば、約30kDaの直鎖状PEGを含むFGF-21コンジュゲートである。一部の態様では、PEG部分は、遠位メトキシ(-O-CH3)基を含む。
【0160】
一部の態様では、本明細書で開示される製剤中のFGF-21コンジュゲートは、配列番号4のPEG-FGF-21、すなわち、野生型FGF-21のグルタミン109(配列番号3)が、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンで置きかえられており、681エチレングリコール単位を含むPEG部分が、オキシム連結を介して、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンへと、共有結合的に接合されている、配列番号1のFGF-21である。一部の態様では、PEG部分は、遠位メトキシ(-O-CH3)基を含む。
【0161】
一部の態様では、本明細書で開示される製剤中のFGF-21コンジュゲートは、配列番号4のPEG-FGF-21、すなわち、(i)パラ-アセチル-L-フェニルアラニンが、野生型FGF-21のグルタミン109(配列番号3)を置きかえた、配列番号1のFGF-21、および(ii)オキシム連結を介して、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンへと、共有結合的に接合された、681エチレングリコール単位を含むPEG部分を含むFGF-21コンジュゲートである。一部の態様では、PEG部分は、遠位メトキシ(-O-CH3)基を含む。
【0162】
したがって、本開示の一部の具体的な態様では、本明細書で開示される製剤中のFGF-21コンジュゲートは、(i)配列番号1のFGF-21ポリペプチド部分、および(ii)681エチレングリコール単位を伴うPEG部分、すなわち、分子量が約30kDaであるPEG部分であって、オキシム連結を介して、109位において、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンへと、共有結合的に接合されたPEG部分を含む。一部の態様では、PEG部分は、遠位メトキシ(-O-CH3)基を含む。
【0163】
一部の態様では、オキシム連結は、変異体FGF-21内に存在する非天然アミノ酸の反応性基(例えば、p-アセチルフェニルアラニンのアセチル基)と、PEG分子の反応性基(例えば、
図7に提示される遠位メトキシ基を含む、30kDaのPEG
681アミノオキシ分子のアミノオキシ基)との化学的反応により形成される。一部の態様では、非天然アミノ酸は、組換えにより(例えば、原核細胞培養物中の発現により)、インビトロにおける転写および翻訳を使用して、化学合成を使用して、または当技術分野で公知である任意の方法を使用して、変異体FGF-21ポリペプチドへと組み込まれ得る。一部の態様では、PEG分子は、アミノ酸(例えば、p-アセチル-フェニルアラニン)へと、化学的に連結され、その後、PEG-アミノ酸は、例えば、化学合成を介して、FGF-21ポリペプチドへと組み込まれ得る。一部の態様では、PEG分子は、遠位メトキシ(-O-CH
3)基を含む。
【0164】
酵母による発現を介する、FGF-21ポリペプチドの作製は、かつて、O結合型グリコシル化部位を除去するのに、部位特異的突然変異誘発を要求する、O結合型グリコシル化の存在により妨げられてきた。FGF-21ポリペプチドはまた、哺乳動物細胞培養物中の組換えにより作製された場合にも、実質的程度のグリコシル化を示す。したがって、一部の態様では、本開示の変異体FGF-21ポリペプチドは、原核細胞培養物中の組換えにより作製される。したがって、一部の態様では、本開示の変異体FGF-21ポリペプチドは、グリコシル化されない。
【0165】
上記で開示された通り、本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21と、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)とを含む医薬製剤を提供した。「キレート剤」または「カチオンキレート剤」という用語は、互換的であり、元の金属イオンの化学的特性と異なる化学的特性を有する、新たな錯体イオンを形成することにより、金属イオンを、溶液系から除去することが可能な、任意の物質を指す。特に、本明細書で開示されるカチオンキレート剤は、二価金属、例えば、Ca++に特異的に結合するキレート剤である。
【0166】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート製剤は、1つまたは複数の安定性の改善、例えば、脱アミド化率の低下、および/または凝集率の低下を呈する。例えば、DTPAなど、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤の、FGF-21コンジュゲート製剤への組入れは、ある特定の温度(例えば、40℃)で、ある特定の期間(例えば、1カ月間)にわたり保管された場合における、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21の脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0167】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、または約45℃で保管された医薬製剤中の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21の脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、25℃を上回るか、30℃を上回るか、35℃を上回るか、約40℃であるか、または約45℃である温度で保管された医薬製剤中の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21の脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0168】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、約20℃~約25℃、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、または約40℃~約45℃の間で保管された医薬製剤中の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0169】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、上記で開示された温度または温度範囲で、約1週間、約2週間、約3週間、約1カ月間、約2カ月間、約3カ月間、または約4カ月間にわたり保管された後における医薬製剤中の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0170】
具体的な態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、40℃で、約1カ月にわたり保管された医薬製剤中の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0171】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、または約45℃で保管された医薬製剤中の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の高分子量(HMW)凝集率を、参照製剤に照らして低下させ得る。一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、25℃を上回るか、30℃を上回るか、35℃を上回るか、約40℃であるか、または約45℃である温度で保管された医薬製剤中の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21のHMW凝集率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0172】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、約20℃~約25℃、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、または約40℃~約45℃の間で保管された医薬製剤中の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21のHMW凝集率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0173】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、上記で開示された温度または温度範囲で、約1週間、約2週間、約3週間、約1カ月間、約2カ月間、約3カ月間、または約4カ月間にわたり保管された後における医薬製剤中の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21のHMW凝集率を、参照製剤に照らして低下させ得る。具体的な態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、40℃で、約1カ月にわたり保管された医薬製剤中の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21のHMW凝集率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0174】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤、例えば、DTPAは、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21中の1つまたは複数のアミノ酸、例えば、メチオニンの酸化を防止または緩和する。特定の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤、例えば、DTPAは、配列番号3のアミノ酸1および/またはアミノ酸169(または配列番号1、2、もしくは4における対応するアミノ酸)の酸化を、25℃および/または40℃において、防止または緩和する。
【0175】
一部の具体的な態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤は、DTPAである。ペンテト酸またはジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)は、5つのカルボキシメチル基を伴う、ジエチレントリアミン骨格からなるアミノポリカルボン酸である。DTPAの共役塩基は、金属カチオンに対して、高アフィニティーを有する。したがって、ペンタアニオンであるDTPA5-は、各窒素中心および各COO-基が、配位結合のための中心として見なされると仮定すると、潜在的に、オクタデンテートリガンドである。その錯体についての形成定数は、EDTAについての形成定数より、約100大きい。
【0176】
キレート剤として、DTPAは、最大で8つの結合を形成することにより、金属イオンを包み込む。しかし、遷移金属は、通例、8つ未満の配位結合を形成する。このため、DTPAは、その誘導体であるペンデチドにより示される通り、金属との錯体を形成した後で、なおも、他の試薬に結合する能力を有する。例えば、銅(II)とのその錯体内で、DTPAは、3つのアミン中心、および5つのカルボキシレートのうちの3つを利用する、ヘキサデンテート様で結合する。
【0177】
他の一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N’,N’-四酢酸(EGTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、または類縁の化合物、例えば、チウキセタン(その炭素骨格が、イソチオシアナトベンジル基およびメチル基を含有する、DTPAの修飾形)など、別のアミノポリカルボン酸カチオンキレート剤であり得る。当技術分野で公知である、DTPAおよびEDTAと類縁の他のキレート剤は、アミド基の窒素が、1つまたは複数のC1~C18アルキル基で置換されたキレート剤、例えば、DTPA.BMAおよびEDTA.BMAである。
【0178】
一部の態様では、DTPAカチオンキレート剤は、約10μM~約100μMの間、15μM~約95μMの間、約20μM~約90μMの間、約25μM~約85μMの間、約30μM~約80μMの間、約35μM~約75μMの間、約40μM~約70μMの間、約45μM~約65μMの間、約50μM~約60μMの間、約25μM~約75μMの間、約40μM~約60μMの間、約30μM~約70μMの間、または約40μM~約75μMの間の量で存在する。
【0179】
一部の態様では、DTPAカチオンキレート剤は、約10μM、約15μM、約20μM、約25μM、約30μM、約35μM、約40μM、約45μM、約50μM、約55μM、約60μM、約65μM、約70μM、約75μM、約80μM、約85μM、約90μM、約95μM、または約100μMの量で存在する。
【0180】
一部の態様では、DTPAカチオンキレート剤は、少なくとも約15μM、少なくとも約20μM、少なくとも約25μM、少なくとも約30μM、少なくとも約35μM、少なくとも約40μM、少なくとも約45μM、少なくとも約50μM、少なくとも約55μM、少なくとも約60μM、少なくとも約65μM、少なくとも約70μM、または少なくとも約75μMの量で存在する。
【0181】
具体的な態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤、例えば、DTPAは、50μMの量で存在する。
【0182】
一部の態様では、本明細書で開示される製剤のpHは、約6.5を上回るか、約6.6を上回るか、約6.7を上回るか、約6.8を上回るか、約6.9を上回るか、約7.0を上回るか、約7.1を上回るか、約7.2を上回るか、約7.3を上回るか、約7.4を上回るか、または約7.5を上回る。一部の態様では、製剤のpHは、6.5を上回るか、6.6を上回るか、6.7を上回るか、6.8を上回るか、6.9を上回るか、7.0を上回るか、7.1を上回るか、7.2を上回るか、7.3を上回るか、7.4を上回るか、または7.5を上回る。一部の態様では、製剤のpHは、約6.5、約6.6、約6.7、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5である。
【0183】
一部の態様では、製剤のpHは、約6.5~約7.5の間、約6.6~約7.5、約6.7~約7.5、約6.8~約7.5、約6.9~約7.5、約7.0~約7.5、約7.1~約7.5、約7.2~約7.5、約7.3~約7.5、約7.4~約7.5、約6.5~約7.4、約6.5~約7.3、約6.5~約7.2、約6.5~約7.1、約6.5~約7.0、約6.5~約6.9、約6.5~約6.8、約6.5~約6.7、約6.6~約7.4、約6.7~約7.4、約6.8~約7.4、約6.9~約7.4、約7.0~約7.4、約7.1~約7.4、約7.2~約7.4、約7.3~約7.4、約6.5~約7.3、約6.6~約7.3、約6.7~約7.3、約6.7~約7.3、約6.8~約7.3、約6.9~約7.3、約7.0~約7.3、約7.1~約7.3、約7.2~約7.3、約6.5~約7.2、約6.6~約7.2、約6.7~約7.2、約6.8~約7.2、約6.9~約7.2、約7.0~約7.2、約7.1~約7.2、約6.9~約7.1、または約7.0~約7.1である。
【0184】
一部の態様では、製剤のpHは、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5である。一部の態様では、医薬製剤は、pHが6.5である参照製剤より安定である。
【0185】
一部の態様では、医薬製剤は、界面活性剤をさらに含む。本明細書で使用される、「界面活性剤」という用語は、水中もしくは水溶液中に溶解もしくは懸濁させられた場合に、表面張力を低減するか、または2つの液体の間の表面張力、もしくは液体と固体との間の表面張力を低減する、任意の化合物、典型的に、脂肪族分子を意味する。
【0186】
本開示の文脈では、界面活性剤は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21を含む溶液中の、界面応力および界面せん断を減少させる、任意の化合物である。
【0187】
一部の態様では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、すなわち、中性溶液中で、正味の電荷を有さない傾向がある界面活性剤である。一部の態様では、非アニオン性界面活性剤は、ポリソルベートである。ポリソルベートは、タンパク質を、界面誘導性凝集に対して安定化し、タンパク質の表面吸着を最小化するように、タンパク質医薬において広く使用される、非イオン性界面活性剤の重要なクラスである(Wang W 2005. Protein aggregation and its inhibition in biopharmaceutics. Int J Pharm 289 (1-2):1-30)。ポリソルベートは、ポリオキシエチレン(POE)ソルビタンの脂肪酸エステルから構成される、両親媒性の、非イオン性界面活性剤である。市販のポリソルベートは、主に、ソルビタンPOE脂肪酸エステルを含有する、化学的に多様な混合物である。
【0188】
本明細書で使用される、「ポリソルベート」という用語は、典型的に、エチレンオキシドとコポリマー化される、ソルビトールのオレイン酸エステルおよびその無水物を指す。例示的ポリソルベートは、ポリソルベート20(TWEEN 20;PS20)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート);ポリソルベート40(TWEEN 40;PS40)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート);ポリソルベート60(TWEEN 60;PS60)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート);およびポリソルベート80(TWEEN 80;PS80)(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)を含む。
【0189】
「ポリオキシエチレン」部分に後続する数である20は、分子内に見出されるオキシエチレン-(CH2CH2O)-基の総数を指す。「ポリソルベート」部分に後続する数は、分子のポリオキシエチレンソルビタン部分と会合する脂肪酸の種類に関する。モノラウレートは、20により指し示され、モノパルミテートは、40により指し示され、モノステアレートは、60により指し示され、モノオレエートは、80により指し示される。一部の態様では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの場合、少なくとも約0.01mg/mlの量である、臨界ミセル濃度(CMC)を上回る量で存在する。Wan and Lee, Journal of Pharm Sci, 63, p.136, 1974を参照されたい。本明細書を通して、界面活性剤濃度(%)は、(w/v)に対応する。
【0190】
一部の態様では、ポリソルベートは、ポリソルベート80(PS80)である。一部の態様では、ポリソルベート80である界面活性剤は、約0.01%~約0.1%(w/v)、約0.02%~約0.1%(w/v)、約0.03%~約0.1%(w/v)、約0.04%~約0.1%(w/v)、約0.05%~約0.1%(w/v)、約0.06%~約0.1%(w/v)、約0.07%~約0.1%(w/v)、約0.08%~約0.1%(w/v)、約0.09%~約0.1%(w/v)、約0.02%~約0.09%(w/v)、約0.03%~約0.09%(w/v)、約0.04%~約0.09%(w/v)、約0.05%~約0.09%(w/v)、約0.06%~約0.09%(w/v)、約0.07%~約0.09%(w/v)、約0.08%~約0.09%(w/v)、約0.03%~約0.08%(w/v)、約0.04%~約0.08%(w/v)、約0.05%~約0.08%(w/v)、約0.06%~約0.08%(w/v)、約0.07%~約0.08%(w/v)、約0.04%~約0.07%(w/v)、約0.05%~約0.07%(w/v)、約0.06%~約0.07%(w/v)、または約0.05%~約0.06%(w/v)の量で存在する。
【0191】
一部の態様では、ポリソルベート80である界面活性剤は、少なくとも約0.01%(w/v)、少なくとも約0.02%(w/v)、少なくとも約0.03%(w/v)、少なくとも約0.04%(w/v)、少なくとも約0.05%(w/v)、少なくとも約0.06%(w/v)、少なくとも約0.07%(w/v)、少なくとも約0.08%(w/v)、少なくとも約0.09%(w/v)、または少なくとも約0.1%(w/v)の量で存在する。
【0192】
一部の態様では、界面活性剤、例えば、ポリソルベート80は、例えば、製剤が、シェーカー上で撹拌される場合の、微粒子および/または気泡の形成を緩和する。一部の態様では、製剤中の界面活性剤、例えば、ポリソルベート80の存在は、微粒子の形成を、参照製剤中の微粒子形成レベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%低減し得る。一部の態様では、製剤中の界面活性剤、例えば、ポリソルベート80の存在は、気泡の形成を、参照製剤中の気泡形成レベルと比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%低減し得る。
【0193】
一部の態様では、医薬製剤は、アミノ酸緩衝剤をさらに含む。アミノ酸は、容易に代謝可能な天然存在物質であるため、医薬適用において、バッファーとして使用されると有利であり得る。さらに、バッファーとして使用されるアミノ酸はまた、製剤が凍結乾燥される場合に、アモルファス相にあるタンパク質も保護し得る。適切なアミノ酸バッファーは、ヒスチジン、リシン、および/またはアルギニンを含有し得る。ヒスチジンは、約pH7において、良好な緩衝能を有する。
【0194】
本明細書で使用される、「ヒスチジン」という用語は、L-ヒスチジンまたはD-ヒスチジン、ヒスチジンの溶媒和形態、ヒスチジンの水和形態(例えば、一水和物)、もしくはヒスチジンの無水形態、またはこれらの混合物を含む。本開示の製剤中の、他の適切なバッファーは、少数を挙げれば、グルタミン酸、トリス、またはコハク酸である。
【0195】
一部の具体的な態様では、アミノ酸緩衝剤は、L-ヒスチジンである。
【0196】
一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約10mM~約100mMヒスチジン、約15mM~約100mMヒスチジン、約20mM~約100mMヒスチジン、約25mM~約100mM、約30mM~約100mMヒスチジン、約35mM~約100mMヒスチジン、約40mM~約100mMヒスチジン、約45mM~約100mMヒスチジン、約50mM~約100mMヒスチジン、約55mM~約100mMヒスチジン、約60mM~約100mMヒスチジン、約65mM~約100mMヒスチジン、約70mM~約100mMヒスチジン、約75mM~約100mMヒスチジン、約80mM~約100mMヒスチジン、約85mM~約100mMヒスチジン、約90mM~約100mMヒスチジン、または約95mM~約100mMヒスチジンの量で存在する。
【0197】
一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約20mM~約90mMヒスチジン、約25mM~約90mMヒスチジン、約30mM~約90mMヒスチジン、約35mM~約90mMヒスチジン、約40mM~約90mMヒスチジン、約45mM~約90mMヒスチジン、約50mM~約90mMヒスチジン、約55mM~約90mMヒスチジン、約60mM~約90mMヒスチジン、約65mM~約90mMヒスチジン、約70mM~約90mMヒスチジン、約75mM~約90mMヒスチジン、約80mM~約90mMヒスチジン、約85mM~約90mMヒスチジン、約30mM~約80mMヒスチジン、約35mM~約80mMヒスチジン、約40mM~約80mMヒスチジン、約45mM~約80mMヒスチジンの量で存在する。
【0198】
一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約50mM~約80mMヒスチジン、約55mM~約80mMヒスチジン、約60mM~約80mMヒスチジン、約65mM~約80mMヒスチジン、約70mM~約80mMヒスチジン、約75mM~約80mMヒスチジン、約40mM~約70mMヒスチジン、約45mM~約70mMヒスチジン、約50mM~約70mMヒスチジン、約55mM~約70mMヒスチジン、約60mM~約70mMヒスチジン、約65mM~約70mMヒスチジン、約10mM~約30mMヒスチジン、約15mM~約30mMヒスチジン、約20mM~約30mMヒスチジン、約25mM~約30mMヒスチジン、約15mM~約25mMヒスチジン、または約20mM~約25mMヒスチジンの量で存在する。
【0199】
一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約15mM~約20mMヒスチジン、約40mM~約60mMヒスチジン、約45mM~約60mMヒスチジン、約50mM~約60mMヒスチジン、約15.5mM~約24.5mMヒスチジン、約16mM~約24mMヒスチジン、約16.5mM~約23.5mMヒスチジン、約17mM~約23mMヒスチジン、約17.5mM~約22.5mMヒスチジン、約18mM~約22mMヒスチジン、約18.5mM~約21.5mMヒスチジン、約19mM~約21mMヒスチジン、または約19.5mM~約20.5mMヒスチジンの量で存在する。
【0200】
一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約10mMヒスチジン、約11mMヒスチジン、約12mMヒスチジン、約13mMヒスチジン、約14mMヒスチジン、約15mMヒスチジン、約16mMヒスチジン、約17mMヒスチジン、約18mMヒスチジン、約19mMヒスチジン、約20mMヒスチジン、約21mMヒスチジン、約22mMヒスチジン、約23mMヒスチジン、約24mMヒスチジン、約25mMヒスチジン、約26mMヒスチジン、約27mMヒスチジン、約28mMヒスチジン、約29mMヒスチジン、約30mMヒスチジン、約31mMヒスチジン、約32mMヒスチジン、約33mMヒスチジン、約34mMヒスチジン、約35mMヒスチジン、約36mMヒスチジン、約37mMヒスチジン、約38mMヒスチジン、約39mMヒスチジン、約40mMヒスチジン、約41mMヒスチジン、約42mMヒスチジン、約43mMヒスチジン、約44mMヒスチジン、約45mMヒスチジン、約46mMヒスチジン、約47mMヒスチジン、約48mMヒスチジン、約49mMヒスチジン、または約50mMヒスチジンの量で存在する。
【0201】
一部の態様では、医薬製剤は、浸透圧調節剤(当技術分野ではまた、等張剤としても公知である)をさらに含む。本開示に従い、浸透圧調節剤(等張剤)は、ポリオール、糖、炭水化物、塩化ナトリウムなどの塩、またはこれらの混合物を含み得る。例示的ポリオールは、分子量が、約600kD未満である(例えば、120~400kDの範囲にある)ポリオール、例えば、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イノシトール、またはこれらの混合物を含む。
【0202】
糖または炭水化物である浸透圧調節剤は、単糖、二糖、および多糖、またはこれらの混合物を含む。一部の態様では、糖または炭水化物は、果糖、グルコース、マンノース、スクロース、ソルボース、キシロース、ラクトース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0203】
一部の態様では、浸透圧調節剤は、還元糖もしくは非還元糖、またはこれらの混合物の群から選択される糖を含む。一部の態様では、浸透圧調節剤または等張剤は、好ましくは、スクロース、トレハロース、またはこれらの混合物からなる群から選択される、非還元糖、糖である糖を含む。一部の具体的な態様では、非還元糖は、スクロースである。
【0204】
一部の態様では、スクロースである浸透圧調節剤は、約100mM~約1Mスクロース、約200mM~約1Mスクロース、約300mM~約1Mスクロース、約400mM~約1Mスクロース、約500mM~約1Mスクロース、約600mM~約1Mスクロース、約700mM~約1Mスクロース、約800mM~約1Mスクロース、約900mM~約1Mスクロース、約200mM~約900mMスクロース、約300mM~約900mMスクロース、約400mM~約900mMスクロース、約500mM~約900mMスクロース、約600mM~約900mMスクロース、約700mM~約900mMスクロース、約800mM~約900mMスクロース、約300mM~約800mMスクロース、約400mM~約800mMスクロース、約500mM~約800mMスクロース、約600mM~約800mMスクロース、約700mM~約800mMスクロース、約400mM~約700mMスクロース、約500mM~約700mMスクロース、約600mM~約700mMスクロース、または約500mM~約600mMスクロースの量で存在する。
【0205】
一部の態様では、スクロースである浸透圧調節剤は、約100mMスクロース、約150mMスクロース、約200mMスクロース、約250mMスクロース、約300mMスクロース、約350mMスクロース、約400mMスクロース、約450mMスクロース、約500mMスクロース、約550mMスクロース、約600mMスクロース、約650mMスクロース、約700mMスクロース、約750mMスクロース、約800mMスクロース、約850mMスクロース、約900mMスクロース、約950mMスクロース、または約1Mスクロースの量で存在する。
【0206】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21は、約1mg/ml~約40mg/mlの間の濃度で存在する。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21は、約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、または約40mg/mlの濃度で存在する。一部の態様では、本明細書で開示される医薬製剤中のFGF-21コンジュゲートの濃度は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターによる測定に基づく。
【0207】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、約1mg/ml~5mg/mlの間、約5mg/ml~約10mg/mlの間、約10mg/ml~約15mg/mlの間、約15mg/ml~約20mg/mlの間、約20mg/ml~約25mg/mlの間、約25mg/ml~約30mg/mlの間、約30mg/ml~約35mg/mlの間、または約35mg/ml~約40mg/mlの間の濃度で存在する。
【0208】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、約1mg/ml、約2mg/ml、約3mg/ml、約4mg/ml、約5mg/ml、約6mg/ml、約7mg/ml、約8mg/ml、約9mg/ml、約10mg/ml、約11mg/ml、約12mg/ml、約13mg/ml、約14mg/ml、約15mg/ml、約16mg/ml、約17mg/ml、約18mg/ml、約19mg/ml、約20mg/ml、約21mg/ml、約22mg/ml、約23mg/ml、約24mg/ml、約25mg/ml、約26mg/ml、約27mg/ml、約28mg/ml、約29mg/ml、約30mg/ml、約31mg/ml、約32mg/ml、約33mg/ml、約34mg/ml、約35mg/ml、約36mg/ml、約37mg/ml、約38mg/ml、約39mg/ml、または約40mg/mlの濃度で存在する。具体的な態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、約10mg/mlの濃度で存在する。具体的な態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、約20mg/mlの濃度で存在する。
【0209】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の濃度は、当技術分野で公知の方法、または本明細書の実施例節において開示される具体的方法に従い決定される。
【0210】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される製剤中に、用量当たり約1mg~約40mgの間の量で存在する。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される製剤中に、用量当たり約1mg~約5mgの間の量、用量当たり約1mg~約10mgの間、または用量当たり約1mg~約15mgの間、用量当たり約1mg~約20mgの間、または用量当たり約1mg~約25mgの間、用量当たり約1mg~約30mgの間、または用量当たり約1mg~約35mgの間、または用量当たり約1mg~約40mgの間で存在する。一部の態様では、用量は、フラット用量である。一部の態様では、本明細書で開示される医薬製剤中の、FGF-21コンジュゲートの量は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターによる測定に基づく。
【0211】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される製剤中に、用量当たり約1mg~約21mgの間の量、用量当たり約1mg~約22mgの間、用量当たり約1mg~約23mgの間、用量当たり約1mg~約24mgの間、用量当たり約1mg~約25mgの間、用量当たり約1mg~約26mgの間、用量当たり約1mg~約27mgの間、用量当たり約1mg~約28mgの間、用量当たり約1mg~約29mgの間、または用量当たり約1mg~約30mgの間で存在する。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される製剤中に、用量当たり40mgを超える高量で存在する。一部の態様では、用量は、フラット用量である。
【0212】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される製剤中に、用量当たり約1mg、用量当たり約2mg、用量当たり約3mg、用量当たり約4mg、用量当たり約5mg、用量当たり約6mg、用量当たり約7mg、用量当たり約8mg、用量当たり約9mg、用量当たり約10mg、用量当たり約11mg、用量当たり約12mg、用量当たり約13mg、用量当たり約14mg、用量当たり約15mg、用量当たり約16mg、用量当たり約17mg、用量当たり約18mg、用量当たり約19mg、用量当たり約20mg、用量当たり約21mg、用量当たり約22mg、用量当たり約23mg、用量当たり約24mg、用量当たり約25mg、用量当たり約26mg、用量当たり約27mg、用量当たり約28mg、用量当たり約29mg、用量当たり約30mg、用量当たり約31mg、用量当たり約32mg、用量当たり約33mg、用量当たり約34mg、用量当たり約35mg、用量当たり約36mg、用量当たり約37mg、用量当たり約38mg、用量当たり約39mg、または用量当たり約40mgの量で存在する。具体的な態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される製剤中に、用量当たり約10mgの量で存在する。具体的な態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される製剤中に、用量当たり約20mgの量で存在する。一部の態様では、用量は、フラット用量である。
【0213】
一部の態様では、医薬製剤は、皮下投与のために製剤化される。下記で論じられる通り、本明細書で開示される他の医薬製剤は、他の経路を介して投与され得る。一部の態様では、医薬製剤は、例えば、安全シリンジによる皮下投与のために製剤化される。一部の態様では、製剤は、毎日投与または毎週投与、例えば、1、2、3、4、5、6日間ごと、毎週、または隔週の投与のために製剤化される。一部の態様では、製剤は、水性製剤である。
【0214】
一部の態様では、本開示は、(i)本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21;(ii)約10mM~約50mMの間の濃度のヒスチジン;(iii)約100mM~約1Mの間の濃度のスクロース;(iv)約0.01%~約0.1%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および(v)約10μM~約100μMの間の濃度のDTPAを含む医薬製剤であって、製剤のpHが、約6.7~約7.5の間である、医薬製剤を提供する。
【0215】
一部の態様では、本開示は、(i)本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21;(ii)約10mM~約50mMの間の濃度のヒスチジン;(iii)約100mM~約1Mの間の濃度のスクロース;(iv)約0.01%~約0.1%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および(v)約10μM~約100μMの間の濃度のDTPAを含む医薬製剤であって、製剤のpHが、約6.7~約7.5の間である、医薬製剤を提供する。
【0216】
また、(i)本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;(iii)約600mMの濃度のスクロース;(iv)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(v)約50μMの濃度のDTPAを含む医薬製剤であって、pHが、約7.1である、医薬製剤も提供される。
【0217】
また、(i)本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)20mMの濃度のヒスチジン;(iii)600mMの濃度のスクロース;(iv)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(v)50μMの濃度のDTPAを含む医薬製剤であって、pHが、7.1である、医薬製剤も提供される。
【0218】
また、(i)本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;および(iii)約600mMの濃度のスクロースを含む医薬製剤であって、pHが、約7.0である、医薬製剤も提供される。
【0219】
また、(i)本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)20mMの濃度のヒスチジン;および(iii)600mMの濃度のスクロースを含む医薬製剤であって、pHが、7.0である、医薬製剤も提供される。
【0220】
一部の具体的な態様では、本開示は、(i)約10mg/mLの濃度の本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;(iii)約600mMの濃度のスクロース;(iv)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(v)約50uMの濃度のDTPAを含む医薬製剤であって、pHが、約7.1である、医薬製剤を提供する。一部の態様では、本明細書で開示される医薬製剤中のFGF-21コンジュゲートの濃度は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターにより測定される。
【0221】
また、(i)約20mg/mLの濃度の本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)約20mMの濃度のヒスチジン;(iii)約600mMの濃度のスクロース;(iv)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(v)約50uMの濃度のDTPAを含む医薬製剤であって、pHが、約7.1である、医薬製剤も提供される。一部の態様では、本明細書で開示される医薬製剤中のFGF-21コンジュゲートの濃度は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターにより測定される。
【0222】
また、(i)10mg/mLの濃度の本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)20mMの濃度のヒスチジン;(iii)600mMの濃度のスクロース;(iv)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(v)50uMの濃度のDTPAを含む医薬製剤であって、pHが、7.1である、医薬製剤も提供される。
【0223】
また、(i)20mg/mLの濃度の本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)20mMの濃度のヒスチジン;(iii)600mMの濃度のスクロース;(iv)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(v)50uMの濃度のDTPAを含む医薬製剤であって、pHが、7.1である、医薬製剤も提供される。
【0224】
本開示はまた、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21を含む製剤の安定性を改善する方法のうちのいずれかに従い調製される医薬製剤も提供する。
【0225】
具体的な態様では、本開示は、配列番号4または6のFGF-21コンジュゲートを、20mMヒスチジン、600mMスクロース、50uM DTPA、および0.05%PS80、pH7.1中に、20g/Lの濃度で含む医薬製剤を提供する。具体的な態様では、本開示は、配列番号4または6のFGF-21コンジュゲートを、20mMヒスチジン、600mMスクロース、50uM DTPA、および0.05%PS80(w/v)、pH7.1中に、10g/Lの濃度で含む医薬製剤を提供する。一部の態様では、本明細書で開示される医薬製剤中のFGF-21コンジュゲートの濃度は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターにより測定される。
【0226】
一部の態様では、製剤は、凍結されている。一部の態様では、製剤は、バッグ内、例えば、クラムシェル型バッグ内に保管される。一部の態様では、バッグ、例えば、クラムシェル型バッグは、6L~12Lの間の容量を有する。
【0227】
一部の態様では、製剤は、バイアル内に含有される。一部の態様では、製剤は、シリンジ内に含有される。一部の態様では、シリンジは、安全シリンジである。一部の態様では、シリンジは、予め充填可能なシリンジである。一部の態様では、シリンジは、BD NEOPAK(商標)予め充填可能なシリンジである。一部の態様では、製剤は、自己注射デバイス内に含有される。
【0228】
一部の態様では、シリンジ(例えば、予め充填可能なシリンジ)または自己注射デバイスは、配列番号4または6のFGF-21コンジュゲートを、20mMヒスチジン、600mMスクロース、50uM DTPA、および0.05%PS80(w/v)、pH7.1中に、10g/Lの濃度で含む、1mLの医薬製剤を含む。一部の態様では、シリンジ(例えば、予め充填可能なシリンジ)または自己注射デバイスは、配列番号4または6のFGF-21コンジュゲートを、20mMヒスチジン、600mMスクロース、50uM DTPA、および0.05%PS80、pH7.1中に、20g/Lの濃度で含む、1mLの医薬製剤を含む。一部の態様では、本明細書で開示される医薬製剤中のFGF-21コンジュゲートの濃度は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターにより測定される。
II.製造法
【0229】
本開示はまた、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21を含む医薬製剤の安定性を改善または増強する方法であって、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤、例えば、DTPAを混合する工程を含み、製剤が、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤を含有しない参照製剤と比較して、安定性を改善している、方法も提供する。これらの安定化法は、(i)アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤の、製剤への混合、(ii)ポリソルベートである界面活性剤、例えば、ポリソルベート80の混合、(iii)製剤のpHの、約7.1への調整、または(iv)これらの任意の組合せを含む。
【0230】
一部の態様では、本明細書で記載される医薬製剤は、(i)約10mg/mLの最終濃度を達成する量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)約20mMの最終濃度を達成する量のヒスチジン;(iii)約600mMの最終濃度を達成する量のスクロース;(iv)約0.05%(w/v)の最終濃度を達成する量のポリソルベート80;および(v)約50uMの最終濃度を達成する量のDTPA;を混合し、pHを、約7.1に調整するプロセスにより作られる。
【0231】
一部の態様では、本明細書で記載される医薬製剤は、(i)約20mg/mLの最終濃度を達成する量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)約20mMの最終濃度を達成する量のヒスチジン;(iii)約600mMの最終濃度を達成する量のスクロース;(iv)約0.05%(w/v)の最終濃度を達成する量のポリソルベート80;および(v)約50uMの最終濃度を達成する量のDTPA;を混合し、pHを、約7.1に調整するプロセスにより作られる。
【0232】
一部の態様では、本明細書で記載される医薬製剤は、(i)10mg/mLの最終濃度を達成する量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)20mMの最終濃度を達成する量のヒスチジン;(iii)600mMの最終濃度を達成する量のスクロース;(iv)0.05%(w/v)の最終濃度を達成する量のポリソルベート80;および(v)50uMの最終濃度を達成する量のDTPA;を混合し、pHを、7.1に調整するプロセスにより作られる。
【0233】
一部の態様では、本明細書で記載される医薬製剤は、(i)20mg/mLの最終濃度を達成する量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2もしくは5または配列番号4もしくは6のPEG-FGF-21;(ii)20mMの最終濃度を達成する量のヒスチジン;(iii)600mMの最終濃度を達成する量のスクロース;(iv)0.05%(w/v)の最終濃度を達成する量のポリソルベート80;および(v)50uMの最終濃度を達成する量のDTPA;を混合し、pHを、7.1に調整するプロセスにより作られる。
【0234】
本明細書で使用される、「混合すること」という用語は、当技術分野で公知の任意の手段により、開示される濃度に到達するように、あらかじめ定められていない順序で、本明細書で開示される製剤の成分を組み合わせることを指す。例えば、本明細書で開示される医薬製剤中の賦形剤は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む溶液へと、逐次的に添加される場合もあり、同時に添加される場合もある。代替的に、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む濃縮溶液が、製剤中の賦形剤の全部または一部を含む溶液へと添加される場合もある。他の態様では、賦形剤は、例えば、透析または濾過を使用して、製剤へと組み込まれ得る。
【0235】
一部の態様では、開示される方法の適用から得られる安定性の改善は、例えば、(i)参照製剤に照らした、物理的安定性の増大、(ii)参照製剤に照らした、化学的安定性の増大、または(iii)これらの組合せを含む。
【0236】
一部の態様では、物理的安定性の増大は、(i)FGF-21ポリペプチド凝集の防止もしくは減少、(ii)FGF-21ポリペプチド断片化の防止もしくは減少、または(iii)これらの組合せを含む。
【0237】
一部の態様では、本明細書で開示される医薬組成物中で観察される、FGF-21ポリペプチド凝集は、参照製剤中で観察されるFGF-21ポリペプチド凝集の、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、または約10%である。
【0238】
一部の態様では、本明細書で開示される医薬組成物中で観察される、FGF-21ポリペプチド凝集は、参照製剤中で観察されるFGF-21ポリペプチド凝集の、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満である。
【0239】
一部の態様では、本明細書で開示される医薬組成物中で観察される、FGF-21ポリペプチド断片化は、参照製剤中で観察されるFGF-21ポリペプチド断片化の、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、または約10%である。
【0240】
一部の態様では、本明細書で開示される医薬組成物中で観察される、FGF-21ポリペプチド断片化は、参照製剤中で観察されるFGF-21ポリペプチド断片化の、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満である。
【0241】
一部の態様では、化学的安定性の増大は、(i)FGF-21ポリペプチドの脱アミド化の防止もしくは減少、(ii)FGF-21ポリペプチドの酸化の防止もしくは減少、または(iii)これらの組合せを含む。一部の態様では、本明細書で開示される医薬組成物中で観察される、FGF-21ポリペプチドの脱アミド化は、参照製剤中で観察されるFGF-21ポリペプチドの脱アミド化の、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、または約10%である。
【0242】
一部の態様では、本明細書で開示される医薬組成物中で観察される、FGF-21ポリペプチドの脱アミド化は、参照製剤中で観察されるFGF-21ポリペプチドの脱アミド化の、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満である。
【0243】
一部の態様では、本明細書で開示される医薬組成物中で観察される、FGF-21ポリペプチドの酸化は、参照製剤中で観察されるFGF-21ポリペプチドの酸化の、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、または約10%である。
【0244】
一部の態様では、本明細書で開示される医薬組成物中で観察される、FGF-21ポリペプチドの酸化は、参照製剤中で観察されるFGF-2ポリペプチドの酸化の、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、または10%未満である。
【0245】
一部の態様では、本明細書で開示される製剤を安定化する(安定性を改善または増強する)方法は、分解レベルだけでなく、また、分解速度も低下させ得る:例えば、開示される方法は、参照製剤に照らして、ポリペプチドの脱アミド化率を低下させることもでき、FGF-21ポリペプチドの酸化を低下させることもでき、FGF-21ポリペプチドの凝集を低下させることもでき、FGF-21ポリペプチドのタンパク質分解を低下させることもでき、これらの任意の組合せも可能である。
【0246】
例えば、DTPAなど、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤の、本明細書で開示される医薬製剤への混合は、ある特定の温度で、ある特定の期間にわたり保管された場合における、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0247】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤への混合は、医薬製剤が、例えば、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、または約45℃で保管された場合における、FGF-21コンジュゲートの脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0248】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、医薬製剤が、25℃を上回るか、30℃を上回るか、35℃を上回るか、約40℃であるか、または約45℃である温度で保管された場合における、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0249】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)は、医薬製剤が、約20℃~約25℃、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、または約40℃~約45℃の間で保管された場合における、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0250】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤への混合は、医薬製剤が、上記で開示された温度または温度範囲で、約1週間、約2週間、約3週間、約1カ月間、約2カ月間、約3カ月間、または約4カ月間にわたり保管された場合における、FGF-21コンジュゲートの脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0251】
具体的な態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤への混合は、医薬製剤が、40℃で、約1カ月間にわたり保管された場合における、FGF-21コンジュゲートの脱アミド化率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0252】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤への混合は、医薬製剤が、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、または約45℃で保管された場合における、FGF-21コンジュゲートの高分子量(HMW)凝集率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0253】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤への混合は、医薬製剤が、25℃を上回るか、30℃を上回るか、35℃を上回るか、約40℃であるか、または約45℃である温度で保管された場合における、FGF-21コンジュゲートのHMW凝集率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0254】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤への混合は、医薬製剤が、約20℃~約25℃、約25℃~約30℃、約30℃~約35℃、または約40℃~約45℃の間の温度で保管された場合における、FGF-21コンジュゲートのHMW凝集率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0255】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤への混合は、医薬製剤が、上記で開示された温度または温度範囲で、約1週間、約2週間、約3週間、約1カ月間、約2カ月間、約3カ月間、または約4カ月間にわたり保管された場合における、FGF-21コンジュゲートの、HMW凝集率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0256】
具体的な態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤への混合は、医薬製剤が、40℃で、約1カ月間にわたり保管された場合における、FGF-21コンジュゲートの、HMW凝集率を、参照製剤に照らして低下させ得る。
【0257】
一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤への混合は、FGF-21コンジュゲート内の、1つまたは複数のメチオニンの酸化を防止または緩和し得る。
【0258】
特定の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤(例えば、DTPA)の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤への混合は、配列番号3(野生型FGF-21)のアミノ酸1および/もしくはアミノ酸169、または配列番号1、2、4、もしくは本開示に従う、他の任意のFGF-21コンジュゲートにおける、対応するアミノ酸)の酸化を、例えば、25℃および/または40℃において、防止または緩和し得る。
【0259】
開示される方法は、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤であるDTPAを使用し得る。しかし、他の一部の態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤は、例えば、EDTA、EGTA、DOTA、チウキセタンなどのDTPA類縁化合物、または当技術分野で公知の、DTPAおよびEDTAと類縁である、任意のキレート剤、例えば、DTPA.BMAおよびEDTA.BMAなど、別のアミノポリカルボン酸カチオンキレート剤であり得る。
【0260】
一部の態様では、DTPAカチオンキレート剤は、約10μM~約100μMの間、15μM~約95μMの間、約20μM~約90μMの間、約25μM~約85μMの間、約30μM~約80μMの間、約35μM~約75μMの間、約40μM~約70μMの間、約45μM~約65μMの間、約50μM~約60μMの間、約25μM~約75μMの間、約40μM~約60μMの間、約30μM~約70μMの間、または約40μM~約75μMの間の量で混合され得る。
【0261】
一部の態様では、DTPAカチオンキレート剤は、約10μM、約15μM、約20μM、約25μM、約30μM、約35μM、約40μM、約45μM、約50μM、約55μM、約60μM、約65μM、約70μM、約75μM、約80μM、約85μM、約90μM、約95μM、または約100μMの量で混合され得る。
【0262】
一部の態様では、DTPAカチオンキレート剤は、少なくとも約15μM、少なくとも約20μM、少なくとも約25μM、少なくとも約30μM、少なくとも約35μM、少なくとも約40μM、少なくとも約45μM、少なくとも約50μM、少なくとも約55μM、少なくとも約60μM、少なくとも約65μM、少なくとも約70μM、または少なくとも約75μMの量で混合され得る。
【0263】
具体的な態様では、アミノポリカルボン酸カチオンキレート剤、例えば、DTPAは、50μMの量で混合される。
【0264】
本明細書で開示される方法についての、一部の態様では、製剤のpHは、約6.5を上回るか、約6.6を上回るか、約6.7を上回るか、約6.8を上回るか、約6.9を上回るか、約7.0を上回るか、約7.1を上回るか、約7.2を上回るか、約7.3を上回るか、約7.4を上回るか、または約7.5を上回るpHへと調整される。
【0265】
一部の態様では、製剤のpHは、6.5を上回るか、6.6を上回るか、6.7を上回るか、6.8を上回るか、6.9を上回るか、7.0を上回るか、7.1を上回るか、7.2を上回るか、7.3を上回るか、7.4を上回るか、または7.5を上回るpHへと調整される。
【0266】
一部の態様では、製剤のpHは、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5のpHへと調整される。
【0267】
一部の態様では、製剤のpHは、約6.5~約7.5の間、約6.6~約7.5、約6.7~約7.5、約6.8~約7.5、約6.9~約7.5、約7.0~約7.5、約7.1~約7.5、約7.2~約7.5、約7.3~約7.5、約7.4~約7.5、約6.5~約7.4、約6.5~約7.3、約6.5~約7.2、約6.5~約7.1、約6.5~約7.0、約6.5~約6.9、約6.5~約6.8、約6.5~約6.7、約6.6~約7.4、約6.7~約7.4、約6.8~約7.4、約6.9~約7.4、約7.0~約7.4、約7.1~約7.4、約7.2~約7.4、約7.3~約7.4、約6.5~約7.3、約6.6~約7.3、約6.7~約7.3、約6.7~約7.3、約6.8~約7.3、約6.9~約7.3、約7.0~約7.3、約7.1~約7.3、約7.2~約7.3、約6.5~約7.2、約6.6~約7.2、約6.7~約7.2、約6.8~約7.2、約6.9~約7.2、約7.0~約7.2、約7.1~約7.2、約6.9~約7.1、または約7.0~約7.1のpHへと調整される。
【0268】
一部の態様では、製剤のpHは、約6.8、約6.9、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5のpHへと調整される。一部の態様では、医薬製剤は、pHを調整した後で、pHが6.5である参照製剤より安定である。
【0269】
一部の態様では、製剤のpHは、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、または7.5のpHへと調整される。一部の態様では、医薬製剤は、pHを調整した後で、pHが6.5である参照製剤より安定である。
【0270】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤の安定性を改善する方法は、界面活性剤を混合する工程をさらに含む。一部の態様では、混合される界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、すなわち、中性溶液中で、正味の電荷を有さない傾向がある界面活性剤である。一部の態様では、混合非アニオン性界面活性剤は、ポリソルベートである。一部の態様では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの場合、少なくとも約0.01mg/mlの量である、臨界ミセル濃度(CMC)を上回る量で混合される。Wan and Lee, Journal of Pharm Sci, 63, p.136, 1974を参照されたい。本方法についての一部の態様では、ポリソルベートは、ポリソルベート80(PS80)である。
【0271】
一部の態様では、PS80である界面活性剤は、約0.01%~約0.1%(w/v)、約0.02%~約0.1%(w/v)、約0.03%~約0.1%(w/v)、約0.04%~約0.1%(w/v)、約0.05%~約0.1%(w/v)、約0.06%~約0.1%(w/v)、約0.07%~約0.1%(w/v)、約0.08%~約0.1%(w/v)、約0.09%~約0.1%(w/v)、約0.02%~約0.09%(w/v)、約0.03%~約0.09%(w/v)、約0.04%~約0.09%(w/v)、約0.05%~約0.09%(w/v)、約0.06%~約0.09%(w/v)、約0.07%~約0.09%(w/v)、約0.08%~約0.09%(w/v)、約0.03%~約0.08%(w/v)、約0.04%~約0.08%(w/v)、約0.05%~約0.08%(w/v)、約0.06%~約0.08%(w/v)、約0.07%~約0.08%(w/v)、約0.04%~約0.07%(w/v)、約0.05%~約0.07%(w/v)、約0.06%~約0.07%(w/v)、または約0.05%~約0.06%(w/v)の量で、医薬製剤へと混合される。
【0272】
一部の態様では、ポリソルベート80である界面活性剤は、少なくとも約0.01%(w/v)、少なくとも約0.02%(w/v)、少なくとも約0.03%(w/v)、少なくとも約0.04%(w/v)、少なくとも約0.05%(w/v)、少なくとも約0.06%(w/v)、少なくとも約0.07%(w/v)、少なくとも約0.08%(w/v)、少なくとも約0.09%(w/v)、または少なくとも約0.1%(w/v)の量で混合される。一部の態様では、界面活性剤、例えば、PS80は、例えば、製剤が、撹拌された(例えば、シェーカー上で)場合の、微粒子の形成および/または気泡の形成を緩和または防止するのに十分な量で混合される。
【0273】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤の安定性を改善する方法は、アミノ酸緩衝剤、例えば、ヒスチジン(すなわち、L-ヒスチジン、D-ヒスチジン、溶媒和ヒスチジン、水和ヒスチジン、無水ヒスチジン、またはこれらの混合物)を混合する工程をさらに含む。
【0274】
一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約10mM~約100mMヒスチジン、約15mM~約100mMヒスチジン、約20mM~約100mMヒスチジン、約25mM~約100mMヒスチジン、約30mM~約100mMヒスチジン、約35mM~約100mMヒスチジン、約40mM~約100mMヒスチジン、約45mM~約100mMヒスチジン、約50mM~約100mMヒスチジン、約55mM~約100mMヒスチジン、約60mM~約100mMヒスチジン、約65mM~約100mMヒスチジン、約70mM~約100mMヒスチジン、約75mM~約100mMヒスチジン、約80mM~約100mMヒスチジン、約85mM~約100mMヒスチジン、約90mM~約100mMヒスチジン、約95mM~約100mMヒスチジン、約20mM~約90mMヒスチジン、約25mM~約90mMヒスチジン、約30mM~約90mMヒスチジン、約35mM~約90mMヒスチジン、約40mM~約90mMヒスチジン、約45mM~約90mMヒスチジン、約50mM~約90mMヒスチジン、約55mM~約90mMヒスチジン、約60mM~約90mMヒスチジン、約65mM~約90mMヒスチジン、約70mM~約90mMヒスチジン、約75mM~約90mMヒスチジン、約80mM~約90mMヒスチジン、約85mM~約90mMヒスチジン、約30mM~約80mMヒスチジン、約35mM~約80mMヒスチジン、約40mM~約80mMヒスチジン、約45mM~約80mMヒスチジン、約50mM~約80mMヒスチジン、約55mM~約80mMヒスチジン、約60mM~約80mMヒスチジン、約65mM~約80mMヒスチジン、約70mM~約80mMヒスチジン、約75mM~約80mMヒスチジン、約40mM~約70mMヒスチジン、約45mM~約70mMヒスチジン、約50mM~約70mMヒスチジン、約55mM~約70mMヒスチジン、約60mM~約70mMヒスチジン、約65mM~約70mMヒスチジン、約10mM~約30mMヒスチジン、約15mM~約30mMヒスチジン、約20mM~約30mMヒスチジン、約25mM~約30mMヒスチジン、約15mM~約25mMヒスチジン、約20mM~約25mM、約15mM~約20mMヒスチジン、約40mM~約60mMヒスチジン、約45mM~約60mMヒスチジン、約50mM~約60mMヒスチジン、約15.5mM~約24.5mMヒスチジン、約16mM~約24mMヒスチジン、約16.5mM~約23.5mMヒスチジン、約17mM~約23mMヒスチジン、約17.5mM~約22.5mMヒスチジン、約18mM~約22mMヒスチジン、約18.5mM~約21.5mMヒスチジン、約19mM~約21mMヒスチジン、または約19.5mM~約20.5mMヒスチジンの量で混合される。
【0275】
一部の態様では、ヒスチジン緩衝剤は、約10mMヒスチジン、約11mMヒスチジン、約12mMヒスチジン、約13mMヒスチジン、約14mMヒスチジン、約15mMヒスチジン、約16mMヒスチジン、約17mMヒスチジン、約18mMヒスチジン、約19mMヒスチジン、約20mMヒスチジン、約21mMヒスチジン、約22mMヒスチジン、約23mMヒスチジン、約24mMヒスチジン、約25mMヒスチジン、約26mMヒスチジン、約27mMヒスチジン、約28mMヒスチジン、約29mMヒスチジン、約30mMヒスチジン、約31mMヒスチジン、約32mMヒスチジン、約33mMヒスチジン、約34mMヒスチジン、約35mMヒスチジン、約36mMヒスチジン、約37mMヒスチジン、約38mMヒスチジン、約39mMヒスチジン、約40mMヒスチジン、約41mMヒスチジン、約42mMヒスチジン、約43mMヒスチジン、約44mMヒスチジン、約45mMヒスチジン、約46mMヒスチジン、約47mMヒスチジン、約48mMヒスチジン、約49mMヒスチジン、または約50mMヒスチジンの量で混合される。
【0276】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤の安定性を改善する方法は、浸透圧調節剤(等張剤)を混合する工程をさらに含む。本開示に従い、浸透圧調節剤(等張剤)は、ポリオール、糖、炭水化物、塩化ナトリウムなどの塩、またはこれらの混合物を含み得る。例示的ポリオールは、分子量が、約600kD未満である(例えば、120~400kDの範囲にある)ポリオール、例えば、マンニトール、トレハロース、ソルビトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、ラクチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イノシトール、またはこれらの混合物を含む。糖または炭水化物である浸透圧調節剤は、単糖、二糖、および多糖、またはこれらの混合物を含む。
【0277】
一部の態様では、糖または炭水化物は、果糖、グルコース、マンノース、スクロース、ソルボース、キシロース、ラクトース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、水溶性グルカン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。一部の態様では、浸透圧調節剤は、還元糖もしくは非還元糖、またはこれらの混合物の群から選択される糖を含む。一部の態様では、浸透圧調節剤または等張剤は、好ましくは、スクロース、トレハロース、またはこれらの混合物からなる群から選択される、非還元糖である糖を含む。一部の具体的な態様では、非還元糖は、スクロースである。
【0278】
一部の態様では、スクロースである浸透圧調節剤は、約100mM~約1Mスクロース、約200mM~約1Mスクロース、約300mM~約1Mスクロース、約400mM~約1Mスクロース、約500mM~約1Mスクロース、約600mM~約1Mスクロース、約700mM~約1Mスクロース、約800mM~約1Mスクロース、約900mM~約1Mスクロース、約200mM~約900mMスクロース、約300mM~約900mMスクロース、約400mM~約900mMスクロース、約500mM~約900mMスクロース、約600mM~約900mMスクロース、約700mM~約900mMスクロース、約800mM~約900mMスクロース、約300mM~約800mMスクロース、約400mM~約800mMスクロース、約500mM~約800mMスクロース、約600mM~約800mMスクロース、約700mM~約800mMスクロース、約400mM~約700mMスクロース、約500mM~約700mMスクロース、約600mM~約700mMスクロース、または約500mM~約600mMスクロースの量で混合される。
【0279】
一部の態様では、スクロースである浸透圧調節剤は、約100mMスクロース、約150mMスクロース、約200mMスクロース、約250mMスクロース、約300mMスクロース、約350mMスクロース、約400mMスクロース、約450mMスクロース、約500mMスクロース、約550mMスクロース、約600mMスクロース、約650mMスクロース、約700mMスクロース、約750mMスクロース、約800mMスクロース、約850mMスクロース、約900mMスクロース、約950mMスクロース、または約1Mスクロースの量で混合される。
【0280】
一部の態様では、本明細書で開示される方法において有用なFGF-21コンジュゲートは、配列番号3のアミノ酸配列(野生型ヒトFGF-21)に対する、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するFGF-21ポリペプチドを含み、この場合、FGF-21ポリペプチドは、FGF-21活性を有する。
【0281】
一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、配列番号2のPEG-FGF-21、すなわち、野生型FGF-21のグルタミン109(配列番号3)が、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンで置きかえられており、PEG部分、例えば、約28kDa~約32kDaの間の分子量、例えば、約30kDaの直鎖状PEGが、オキシム連結を介して、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンへと、共有結合的に接合されている、配列番号1のFGF-21である。一部の態様では、FGF-21コンジュゲートは、配列番号4のPEG-FGF-21、すなわち、野生型FGF-21のグルタミン109(配列番号3)が、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンで置きかえられており、681エチレングリコール単位を含むPEG部分が、オキシム連結を介して、パラ-アセチル-L-フェニルアラニンへと、共有結合的に接合されている、配列番号1のFGF-21である。
【0282】
本明細書で開示される方法についての、一部の態様では、FGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、約1mg/ml~約40mg/mlの間の濃度で存在する。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、約10mg/ml、約20mg/ml、約30mg/ml、または約40mg/mlの濃度で存在する。一部の具体的な態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、約10mg/mlの濃度で存在する。一部の具体的な態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、約20mg/mlの濃度で存在する。
【0283】
一部の態様では、製剤は、約1mLの、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を、約10mg/mlの濃度で含む。一部の態様では、製剤は、約1mLの、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を、約20mg/mlの濃度で含む。
【0284】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の濃度は、当技術分野で公知の方法、または本明細書の実施例節において開示される具体的方法に従い決定される。
【0285】
本明細書で開示される方法についての、一部の態様では、製剤は、皮下投与のために製剤化される。一部の態様では、製剤は、安全シリンジによる皮下投与のために製剤化される。一部の態様では、製剤は、毎日投与または毎週投与のために製剤化される。一部の態様では、製剤は、水性製剤である。
【0286】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約10mM~約50mMの間の濃度のヒスチジン;(ii)約100mM~約1Mの間の濃度のスクロース;(iii)約0.01%~約0.1%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および(iv)約10μM~約100μMの間の濃度のDTPAを混合する工程を含み、製剤のpHが、約6.7~約7.5の間である、方法を提供する。
【0287】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約15mM~約45mMの間の濃度のヒスチジン;(ii)約200mM~約900mMの間の濃度のスクロース;(iii)約0.02%~約0.09%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および(iv)約20μM~約90μMの間の濃度のDTPAを混合する工程を含み、製剤のpHが、約6.8~約7.4の間である、方法を提供する。
【0288】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約15mM~約40mMの間の濃度のヒスチジン;(ii)約300mM~約800mMの間の濃度のスクロース;(iii)約0.03%~約0.08%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および(iv)約30μM~約80μMの間の濃度のDTPAを混合する工程を含み、製剤のpHが、約6.9~約7.3の間である、方法を提供する。
【0289】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約15mM~約30mMの間の濃度のヒスチジン;(ii)約400mM~約800mMの間の濃度のスクロース;(iii)約0.04%~約0.07%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および(iv)約40μM~約70μMの間の濃度のDTPAを混合する工程を含み、製剤のpHが、約7~約7.2の間である、方法を提供する。
【0290】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約15mM~約25mMの間の濃度のヒスチジン;(ii)約500mM~約700mMの間の濃度のスクロース;(iii)約0.04%~約0.06%(w/v)の間の濃度のポリソルベート80;および(iv)約45μM~約55μMの間の濃度のDTPAを混合する工程を含み、製剤のpHが、約7~約7.1の間である、方法を提供する。一部の態様では、本明細書で開示される医薬製剤中のFGF-21コンジュゲートの濃度は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターにより測定される。
【0291】
本開示はまた、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約20mMの濃度のヒスチジン;(ii)約600mMの濃度のスクロース;(iii)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)約50μMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、約7.1である、方法も提供する。
【0292】
本開示はまた、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)20mMの濃度のヒスチジン;(ii)600mMの濃度のスクロース;(iii)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)50μMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、7.1である、方法も提供する。
【0293】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約20mMの濃度のヒスチジン;および(ii)約600mMの濃度のスクロースを混合する工程を含み、pHが、約7.0である、方法を提供する。
【0294】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)20mMの濃度のヒスチジン;および(ii)600mMの濃度のスクロースを混合する工程を含み、pHが、7.0である、方法を提供する。
【0295】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約10mg/mLの濃度の、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約20mMの濃度のヒスチジン;(ii)約600mMの濃度のスクロース;(iii)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)約50uMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、約7.1である、方法を提供する。
【0296】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約20mg/mLの濃度の、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約20mMの濃度のヒスチジン;(ii)約600mMの濃度のスクロース;(iii)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)約50uMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、約7.1である、方法を提供する。
【0297】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約10mg/mLの濃度の、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)20mMの濃度のヒスチジン;(ii)600mMの濃度のスクロース;(iii)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)50uMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、7.1である、方法を提供する。
【0298】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約20mg/mLの濃度の、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)20mMの濃度のヒスチジン;(ii)600mMの濃度のスクロース;(iii)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)50uMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、7.1である、方法を提供する。
【0299】
本開示はまた、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約20mMの濃度のヒスチジン;(ii)約600mMの濃度のスクロース;(iii)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)約50μMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、約7.1である、方法も提供する。
【0300】
本開示はまた、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)20mMの濃度のヒスチジン;(ii)600mMの濃度のスクロース;(iii)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)50μMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、7.1である、方法も提供する。
【0301】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約20mMの濃度のヒスチジン;および(ii)約600mMの濃度のスクロースを混合する工程を含み、pHが、約7.0である、方法を提供する。
【0302】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21(例えば、10mg/mLまたは20mg/mLの濃度の)を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)20mMの濃度のヒスチジン;および(ii)600mMの濃度のスクロースを混合する工程を含み、pHが、7.0である、方法を提供する。
【0303】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約10mg/mLの濃度の、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約20mMの濃度のヒスチジン;(ii)約600mMの濃度のスクロース;(iii)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)約50uMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、約7.1である、方法を提供する。
【0304】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約20mg/mLの濃度の、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)約20mMの濃度のヒスチジン;(ii)約600mMの濃度のスクロース;(iii)約0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)約50uMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、約7.1である、方法を提供する。
【0305】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約10mg/mLの濃度の、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)20mMの濃度のヒスチジン;(ii)600mMの濃度のスクロース;(iii)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)50uMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、7.1である、方法を提供する。
【0306】
本開示は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約20mg/mLの濃度の、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21を含む製剤の安定性を改善する方法であって、(i)20mMの濃度のヒスチジン;(ii)600mMの濃度のスクロース;(iii)0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80;および(iv)50uMの濃度のDTPAを混合する工程を含み、pHが、7.1である、方法を提供する。
【0307】
一部の実施形態では、医薬製剤中に含まれる個々の賦形剤(例えば、DTPA、PS80、ヒスチジン、スクロース、またはこれらの組合せ)の濃度は、その製造過程において、医薬製剤へと添加される、個々の賦形剤の、完成医薬製剤の最終容量単位当たりの量(例えば、重量、モル数など)であると決定/計算され得る。他の実施形態では、医薬製剤中に含まれる賦形剤(例えば、DTPA、PS80、ヒスチジン、スクロース、またはこれらの組合せ)の濃度は、医薬製剤中の、個々の賦形剤の実際の量に基づく。
【0308】
一部の態様では、本明細書で開示される製造法は、本明細書で開示される製剤、例えば、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約10mgまたは約20mg/mLの濃度の、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21、20mMの濃度のヒスチジン、600mMの濃度のスクロース、0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80、および50uMの濃度のDTPAを含む製剤であって、pHが、7.1である、製剤を、容器へと移す工程をさらに含む。一部の態様では、本明細書で開示される製造法は、本明細書で開示される製剤、例えば、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約10mgまたは約20mg/mLの濃度の、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21、20mMの濃度のヒスチジン、600mMの濃度のスクロース、0.05%(w/v)の濃度のポリソルベート80、および50uMの濃度のDTPAを含む製剤であって、pHが、7.1である、製剤を、容器へと移す工程をさらに含む。一部の態様では、容器は、バイアルである。一部の態様では、容器は、バッグ、例えば、クラムシェル型バッグである。一部の態様では、バッグ、例えば、クラムシェル型バッグは、6L~12Lの間の容量を有する。一部の態様では、容器は、シリンジである。一部の態様では、シリンジは、安全シリンジである。一部の態様では、シリンジは、予め充填可能なシリンジである。一部の態様では、シリンジは、BD NEOPAK(商標)予め充填可能なシリンジである。一部の態様では、容器は、自己注射デバイスである。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約10mgまたは約20mg/mLの濃度の、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む、約1mLの製剤を、容器(例えば、バイアル、シリンジ、または自己注射デバイス)内に沈着させる。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、約10mgまたは約20mg/mLの濃度の、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21を含む、約1mLの製剤を、容器(例えば、バイアル、シリンジ、または自己注射デバイス)内に沈着させる。一部の態様では、容器は、複数の用量、例えば、複数の1mLの用量を含有する。
III.処置法
【0309】
本開示はまた、それを必要とする対象における線維症および/または糖尿病と関連する疾患または状態を処置または防止する方法であって、対象へと、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含む方法も提供する。
【0310】
一部の態様では、疾患または状態は、糖尿病、例えば、2型糖尿病である。一部の態様では、疾患または状態は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。
【0311】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される処置または防止法において、用量当たり約1mg~約40mgの間の量(例えば、1mLの用量またはその倍数用量)で使用され得る。一部の態様では、用量に対するFGF-21コンジュゲートの量は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターによる測定に基づく。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される処置または防止法において、用量当たり約1mg~約5mgの間、または用量当たり約1mg~約10mgの間、または用量当たり約1mg~約15mgの間、または用量当たり約1mg~約20mgの間、または用量当たり約1mg~約25mgの間、または用量当たり約1mg~約30mgの間、または用量当たり約1mg~約35mgの間、または用量当たり約1mg~約40mgの間の量(例えば、1mLの用量またはその倍数用量)で使用され得る。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される処置または防止法において、用量当たり40mgを超える高量(例えば、1mLの用量またはその倍数用量)で使用され得る。一部の態様では、用量は、フラット用量である。
【0312】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される処置または防止法において、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg、約10mg、約11mg、約12mg、約13mg、約14mg、約15mg、約16mg、約17mg、約18mg、約19mg、約20mg、約21mg、約22mg、約23mg、約24mg、約25mg、約26mg、約27mg、約28mg、約29mg、約30mg、約31mg、約32mg、約33mg、約34mg、約35mg、約36mg、約37mg、約38mg、約39mg、または用量当たり約40mgの量で使用され得る。具体的な態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される処置または防止法において、用量当たり約10mgの量(例えば、1mLの用量またはその倍数用量)で使用され得る。具体的な態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21は、本明細書で開示される処置または防止法において、用量当たり約20mgの量(例えば、1mLの用量またはその倍数用量)で使用され得る。一部の態様では、用量は、フラット用量である。
【0313】
一部の態様では、医薬製剤は、例えば、安全シリンジまたは自己注射器を使用して、皮下投与される。一部の態様では、医薬製剤は、毎日または毎週投与される。
【0314】
一部の態様では、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤の、対象への投与は、肝硬度を減少させるか、体脂肪率を減少させるか、体重を減少させるか、肝重量対体重比を減少させるか、肝脂質含量を減少させるか、肝線維症面積を減少させるか、空腹時血中グルコースレベルを低下させるか、空腹時トリグリセリドレベルを低下させるか、LDLコレステロールレベルを低下させるか、ApoBレベルを低下させるか、ApoCレベルを低下させるか、HDLコレステロールを増大させるか、またはこれらの任意の組合せである。
【0315】
一部の態様では、本明細書で開示される処置法に従う、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤の、対象への投与は、非処置対象、または医薬製剤の投与前における対象におけるレベルと比較して、(i)肝脂肪レベルの低減;(ii)肝損傷レベルの低減;(iii)線維症レベルの低減;(iv)線維症のバイオメーカーである、血清Pro-C3(N末端III型コラーゲンプロペプチド)レベルの低下;(v)アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの低下;(vi)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルの低下;(vii)血清アジポネクチンレベルの上昇;(viii)血漿LDLレベルの低下;(ix)血漿HDLレベルの上昇;(x)血漿トリグリセリドレベルの低下;(xi)肝硬度レベルの低減;または(xii)これらの任意の組合せを結果としてもたらす。
【0316】
本開示は、線維症と関連する疾患を処置する方法であって、それを必要とする対象へと、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0317】
一部の態様では、線維症と関連する疾患は、膵臓、肺、心臓、腎臓、肝臓、眼、神経系、骨髄、リンパ節、心内膜、および/または後腹膜などの臓器または組織に影響を及ぼし得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、肝線維症または肝硬変前期であり得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変、びまん性実質性肺疾患、嚢胞性線維症、肺線維症、進行性塊状線維症、特発性肺線維症、注射部位線維症、腎線維症、慢性腎疾患、糖尿病性腎疾患、巣状分節状糸球体硬化症、膜性腎症、IgA腎症、筋線維症、心不全、急性心不全、慢性心不全、代謝性心不全、心線維症、白内障性線維症、白内障、眼瘢痕化、膵線維症、皮膚線維症、腸線維症、腸狭窄、心内膜心筋線維症、心房線維症、縦隔線維症、クローン病、後腹膜線維症、ケロイド、腎原性全身性線維症、強皮症、全身性硬化症、関節線維症、ペイロニー症候群、デュピュイトラン拘縮、糖尿病性神経障害、癒着性関節包炎、アルコール性肝疾患、脂肪肝、ウイルス性肝炎、胆管疾患、原発性ヘモクロマトーシス、薬物関連肝硬変、特発性肝硬変、ウィルソン病、およびアルファ1アンチトリプシン欠損症、間質性肺疾患(ILD)、ヒト線維性肺疾患、肝線維症、黄斑変性、腎性網膜症、硝子体網膜症、心筋線維症、グレーブス眼症、薬物誘導性エルゴチン中毒、心血管疾患、アテローム性動脈硬化/再狭窄、肥厚性瘢痕、原発性筋線維症または特発性筋線維症、および炎症性腸疾患(コラーゲン性大腸炎を含むがこれらに限定されない)から選択され得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、肺疾患、肺がん、薬物療法、化学療法、または放射線療法のうちの1つまたは複数から生じる。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、老齢、心臓発作、脳卒中、心筋損傷、または左心室機能不全のうちの1つまたは複数から生じる。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、腎線維症、糸球体腎炎、慢性腎疾患、慢性腎不全、および全身性エリテマトーデス、がん、物理的閉塞、毒素、代謝性疾患、免疫疾患、または糖尿病性腎症と関連する腎炎から選択され得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、外傷、脊髄損傷、感染、手術、虚血性損傷、心臓発作、火傷、環境汚染物質への曝露、肺炎、結核、または急性呼吸器逼迫症候群のうちの1つまたは複数から生じる。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、肺線維症、間質性肺疾患、ヒト線維性肺疾患、特発性肺線維症、肝線維症、心線維症、心筋線維症、黄斑変性、腎性網膜症、硝子体網膜症、グレーブス眼症、薬物誘導性エルゴチン中毒、心血管疾患、アテローム性動脈硬化/再狭窄、ケロイドおよび肥厚性瘢痕、原発性筋線維症または特発性筋線維症、炎症性腸疾患、コラーゲン性大腸炎、眼瘢痕化および白内障性線維症から選択され得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、NASH、肝線維症、および肝硬変から選択され得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、NASHであり得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、糖尿病性腎臓疾患、慢性腎疾患、および腎線維症から選択され得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、代謝性心不全および心線維症から選択され得る。一部の態様では、線維症と関連する疾患は、肺線維症であり得る。
【0318】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象における肝脂肪画分を減少させる方法であって、対象へと、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含み、任意選択で、対象が、NASHを発症する危険性があるか、またはこれを伴うと診断されている、方法を提供する。
【0319】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象において、肝硬度を減少させるか、体脂肪率を減少させるか、体重を減少させるか、肝重量対体重比を減少させるか、肝脂質含量を減少させるか、肝線維症面積を減少させるか、空腹時血中グルコースレベルを低下させるか、空腹時トリグリセリドレベルを低下させるか、LDLコレステロールレベルを低下させるか、ApoBレベルを低下させるか、ApoCレベルを低下させるか、および/またはHDLコレステロールを増大させる方法であって、対象へと、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含み、任意選択で、対象が、NASHを発症する危険性があるか、またはこれを伴うと診断されている、方法を提供する。
【0320】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象において、アジポネクチンレベルを増大させる方法であって、対象へと、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含み、任意選択で、前記対象が、NASHを発症する危険性があるか、またはこれを伴うと診断されている、方法を提供する。
【0321】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象において、NASHと関連する、1つまたは複数の症候を処置する方法であって、対象へと、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0322】
本明細書ではまた、それを必要とする対象におけるNASHを処置または防止する方法であって、対象へと、治療有効量の、配列番号1を含む、変異体FGF-21ポリペプチドを含む、本明細書で開示される医薬製剤を投与する工程を含み、その非天然のp-アセチル-フェニルアラニン残基が、オキシム連結を介して、約28kDa~約32kDaの分子量のPEG部分へと連結されている、方法も提供される。一部の態様では、非天然のp-アセチル-フェニルアラニンは、野生型FGF-21のグルタミン109(配列番号3)を置換する。一部の態様では、PEG部分は、約30kDaの分子量を有する。一部の態様では、PEG部分は、約600~約800エチレングリコール単位の間を有する。一部の態様では、PEG部分は、PEG681である。
【0323】
一部の具体的な態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるNASHを処置または防止する方法であって、対象へと、治療有効量の、配列番号2または配列番号4のFGF-21コンジュゲートを含む、本明細書で開示される医薬製剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0324】
一部の態様では、対象は、任意選択で、肝生検により決定される、NASH CRNによる線維症病期1~3を呈し得る。一部の態様では、処置の前に、対象は、少なくとも約60の脂肪肝指数を呈し得る。一部の態様では、処置の前に、対象は、任意選択で、磁気共鳴イメージングにより決定される、少なくとも10%の肝脂肪画分百分率を呈し得る。
【0325】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象における1型糖尿病または2型糖尿病を処置する方法であって、対象へと、治療有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0326】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象における肥満症を処置する方法であって、対象へと、治療有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0327】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるグルコースおよび脂質のホメオスタシス、グルコース取込み、GLUT1発現、ならびに/またはグルコース、トリグリセリド、インスリン、もしくはグルカゴンの血清濃度のうちの少なくとも1つを調節する方法であって、対象へと、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0328】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象におけるインスリン感受性を増大させるか、アジポネクチンレベルを上昇させるか、血中グルコースレベルを低減するか、グルカゴンレベルを低減するか、トリグリセリドレベルを低減するか、フルクトサミンレベルを低減するか、低密度コレステロールレベルを低減するか、またはC反応性タンパク質レベルを低減する方法であって、対象へと、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0329】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象における、肥満症、糖尿病、膵炎、インスリン抵抗性、高インスリン血症、耐糖能異常、高血糖症、メタボリック症候群、耐糖能障害、グルコースクリアランス不全、高血中グルコース、およびプラダー-ウィリー症候群から選択される状態または障害を処置する方法であって、対象へと、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0330】
一部の態様では、本開示は、それを必要とする対象における、A型インスリン抵抗性、C型インスリン抵抗性(別称:HAIR-AN症候群)、ラブソン-メンデンホール症候群、ドノヒュー症候群、または妖精症、高アンドロゲン血症、多毛症、もしくは黒色表皮症から選択される、インスリン関連状態またはインスリン関連障害を処置する方法であって、対象へと、有効量の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤を投与する工程を含む方法を提供する。
【0331】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、注射を介して投与され得る。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、例えば、シリンジ(安全シリンジなど)または自己注射器を使用する、皮下注射、IV注射、腹腔内注射、または筋内注射を介して投与され得る。
【0332】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、毎日約1回の頻度で、または毎日約1回未満の頻度で投与され得る。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、毎週約2回の頻度で、または毎週約2回未満の頻度で投与され得る。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、毎週約1回の頻度で、または毎週約2回未満の頻度で投与され得る。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、2週間ごとに約1回の頻度で、または毎週約2回未満の頻度で投与され得る。
【0333】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、3週間ごとに約1回の頻度で、または毎週約2回未満の頻度で投与され得る。
【0334】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、毎月約1回の頻度で、または毎月約1回未満の頻度で投与され得る。
【0335】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、4週間ごとに1回の頻度で投与され得る。
【0336】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、毎日約1回の頻度で投与され得る。
【0337】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、毎週約1回の頻度で投与され得る。
【0338】
一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、用量当たり、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート約1mg、約2mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95、および約100mgから選択される量で投与され得る。具体的な態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、用量当たり約10mgの量(例えば、1mLの用量またはその倍数用量)で投与され得る。具体的な態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、用量当たり約20mgの量(例えば、1mLの用量またはその倍数用量)で投与され得る。一部の態様では、用量は、フラット用量である。
【0339】
例えば、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、本明細書における、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、対象へと、レシピエント対象の体重1kg当たり約0.1~100mgの間の濃度で投与され得る。一部の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、対象へと、レシピエント対象の体重1kg当たり約0.5~5mgの間の、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21の濃度で投与され得る。別の態様では、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤は、レシピエント対象へと、毎週約1回または2回、2日ごとに1回、3日ごとに1回、4日ごとに1回、5日ごとに1回、または6日ごとに1回など、毎日1回~2週間ごとに1回の間の頻度で投与され得る。
【0340】
本開示の医薬製剤、すなわち、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む製剤は、非経口経路、例えば、皮下注射もしくは静脈内注射を含むがこれらに限定されない注射、または他の任意の形態の注射もしくは注入を含むがこれらに限定されない、タンパク質またはペプチドに適する、任意の従来の経路により投与され得る。一部の態様では、医薬製剤は、シリンジ、例えば、安全シリンジを使用して投与され得る。一部の態様では、医薬製剤は、自己注射器を使用して投与され得る。
IV.製造品およびキット
【0341】
本開示はまた、(i)本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含むFGF-21医薬製剤と、(ii)使用のための指示書とを含む製造品またはキットも提供する。一部の態様では、製造品またはキットは、容器を含み得る。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、および試験管を含む。一部の態様では、容器は、ガラス、プラスチック、または金属など、様々な材料から形成され得る。一部の態様では、容器は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤、例えば、液体製剤を保持する。一部の態様では、容器は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号5または配列番号6のPEG-FGF-21を含む医薬製剤、例えば、液体製剤を保持する。
【0342】
容器上の表示または容器と関連する表示は、再構成および/または使用のための指示を指し示し得る。例えば、標識は、本明細書で開示されるFGF-21コンジュゲート、例えば、配列番号2または配列番号4のPEG-FGF-21を含む医薬製剤が、上記で記載したタンパク質濃度へと希釈されるべきことを指し示し得る。標識は、製剤が、皮下投与に有用であるか、または皮下投与のために意図された皮下製剤であることをさらに指し示し得る。
【0343】
一部の態様では、製剤を保持する容器は、例えば、皮下製剤の反復投与(例えば、2~6回またはこれを超える投与)を可能とする、多目的バイアルである。代替的に、容器は、例えば、皮下製剤を含有する、プレフィルドシリンジであり得る。
【0344】
製造品またはキットは、例えば、溶媒を含む、第2の容器をさらに含み得る。製造品は、商業的見地および使用者の見地から所望される他の材料であって、他のバッファー、希釈剤、フィルター、注射針、シリンジ、および使用のための指示書を伴うパッケージ添付文書を含む材料をさらに含み得る。一部の態様では、キットまたは製造品は、シリンジ(例えば、安全シリンジ)を含む。一部の態様では、キットまたは製造品は、自己注射器を含む。
【0345】
「発明の概要」節および「要約」節ではなく、「発明を実施するための形態」節が、特許請求の範囲を解釈するのに使用されることが意図されていることを認識されたい。「発明の概要」節および「要約」節は、本発明者(ら)により想定される、1つまたは複数の、本開示の例示的態様を明示し得るが、これらの全てを明示し得るわけではなく、したがって、いかなる形であれ、本開示および付属の特許請求の範囲を限定することは意図されない。
【0346】
上記では、指定されたその機能および関係の実施を例示する、機能的構成要素を一助として、本開示について記載された。本明細書では、これらの機能的構成要素の境界は、記載の便宜のために、任意に規定されている。指定されたその機能および関係が、適切に実施される限りにおいて、代替的な境界が規定され得る。
【0347】
具体的な態様についての前出の記載は、他の実施者が、当技術分野の技術の範囲内にある知見を適用することにより、本開示の概念から逸脱せず、不要な実験を伴わずに、このような具体的な態様を、多様な適用のために、たやすく改変し、および/または適合させ得る、本開示の一般的性格を完全に明らかにするであろう。したがって、このような適合および改変は、本明細書で提示される教示および指針に基づき、開示された態様の均等物の意味および範囲の内にあることが意図される。本明細書における表現法または用語法は、本明細書の用語法または表現法が、教示および指針に照らして、当業者により解釈されるように、記載を目的とするものであり、限界を目的とするものではないことが理解されるものとする。
【0348】
本開示の幅および範囲は、上記で記載された例示的態様のうちのいずれによっても限定されず、以下の特許請求の範囲およびこれらの均等物だけにより規定されるものとする
【0349】
本出願を通して引用され得る、引用される全ての参考文献(参考文献、特許、特許出願、およびウェブサイトを含む)の内容は、それらの中で引用された参考文献と同様に、任意の目的で、参照によりそれらの全体において本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例】
【0350】
(実施例1)
PEG-FGF-21製剤の開発
初期研究のために、PEG-FGF-21を、20mMトリス、250mMスクロース、pH8.3中に、7.5mg/mLで製剤化した。この製剤中で観察された高脱アミド化率は、薬物製品を、-20℃で凍結させて保管することを必要とした。したがって、2~8℃における薬物製品の保管を可能とするRTU(ready-to use)製剤を開発するための、さらなる研究を実施した。
【0351】
図6に描示される遠位メトキシ基を含む、30kDaの直鎖状PEG部分を、部位特異的な形で、変異体FGF-21(配列番号1)へと接合させる結果として、パラ-アセチル-フェニルアラニンが、Lコンフォメーションを有する、
図6に示される分子コンジュゲート構造もたらすことにより、PEG-FGF-21(配列番号2)を作った。部位特異的PEG化を達成するために、当技術分野で公知の方法により、活性化PEGを、FGF-21分子の109位において、非天然アミノ酸である、パラ-アセチル-L-フェニルアラニン(pAF)と反応させて、化学的に安定なオキシム連結型PEG-タンパク質コンジュゲートを形成した。活性化PEGは、例えば、日本、東京、日油株式会社を含む、多くの供給元から市販されている。
【0352】
製剤のpHの低下が、分子の凝集率を増大させることが示された一方、製剤pHの上昇は、脱アミド化率を増大させることが示された。10mg/mLの標的タンパク質濃度では、pH7.0が、凝集率と、脱アミド化率との最良の均衡点であることが見出された。スクロース濃度の増大は、分子を、凝集に対して、さらに安定化することが示された。
【0353】
さらなる研究のために選び出された製剤は、20mMのL-ヒスチジン、600mMのスクロース、pH7.0中に、10mg/mLのPEG-FGF-21であった。患者1名当たり20mgの想定毎週用量を踏まえ、プレフィルドシリンジ内の、高濃度薬物製品を開発した。高濃度薬物製品を可能とするために、製剤のさらなる最適化が必要であった。
【0354】
高濃度製剤の初期開発は、3mLのI型ガラスバイアル内で行った。20mMのL-ヒスチジン、600mMのスクロース、pH7.0中で、15mg/mLおよび22mg/mLのPEG-FGF-21を撹拌したところ、気泡の閉込めが観察され、溶液は、ますます混濁した(
図5、左画像)。問題を緩和しようとする試みの中で、ポリソルベート80を使用した。ポリソルベート80は、気泡の閉込めを防止することが可能であった(
図5、右画像)。こうして、ポリソルベート80を、0.05%(w/v)の濃度で、PEG-FGF-21の高濃度製剤へと添加した。
【0355】
酸化は、PEG-FGF-21の臨界品質特性であり、C末端近傍における、メチオニン169の酸化は、受容体への結合、したがって、分子の活性を消失させる。金属触媒性酸化は、タンパク質が酸化され得る機構のうちの1つである。細胞培養物からのキャリーオーバー、ステンレス鋼製容器との接触、賦形剤中の不純物、予め充填可能なシリンジの形成プロセスなどのために、微小濃度の金属が、タンパク質製剤中に存在し得る。
【0356】
PEG-FGF-21が、金属触媒性酸化に対して感受性であるのかどうか調べるために、0.05mMのペンテト酸(ジエチレントリアミン五酢酸、DTPA)の存在下または非存在下における、金属カクテル(250ppmのFe、10ppmのCu、15ppmのCr、15ppmのNi、10ppmのMo)の添加を伴う試料、およびこれらを伴わない試料を、それぞれ、25℃で、1カ月間、および40℃で、2週間にわたりインキュベートした。メチオニン1およびメチオニン169の酸化レベルは、トリプシンペプチドマッピングにより決定した(
図2Aおよび2B)。
【0357】
ペンテト酸(DTPA)の非存在下では、金属が添加されていない試料中でも、両方のメチオニン残基の著明な酸化が観察された一方、金属カクテルをスパイクされた試料中では、酸化レベルは、さらに高度であった。50μMのペンテト酸を伴う試料中では、いずれのメチオニンについても、酸化レベルの上昇は観察されなかった。これは、PEG-FGF-21が、金属触媒性酸化に対して感受性であり、製剤中に、微量レベルの金属が、既に存在することを示唆する。ペンテト酸は、製剤中に存在する金属のほか、製剤へとスパイクされた、さらなる金属も、効果的にキレート化し、メチオニン1および169の金属触媒性酸化を防止した。こうして、50μMのペンテト酸を、PEG-FGF-21の高濃度製剤へと添加した。
【0358】
pHを、高濃度製剤に最適化するために、本発明者らは、pH6.3~8.5の間で回収されたPEG-FGF-21の凝集データを再検討し、これは、pH6.8を下回ると、凝集率が急速に増大することを示した(
図3Aおよび3B)。こうして、本発明者らは、高濃度製剤のための標的pHを、pH7.0からpH7.1へと増大させた。
【0359】
新規の高濃度製剤を、既存の製剤と比較するために、20mMのL-ヒスチジン、600mMスクロース、0.05mMのペンテト酸、0.05%(w/v)のポリソルベート80、pH7.0(pH最適化の前)中、20mg/mLのPEG-FGF-21を、安定性試験にかけ、20mMのL-ヒスチジン、600mMのスクロース、pH7.0中、22.5mg/mLのPEG-FGF-21と比較した。
【0360】
図4Aおよび4B、
図1Aおよび1Bにおいて示される通り、ポリソルベート80およびペンテト酸の、PEG-FGF-21製剤への添加は、全ての温度における凝集率の低下、および40℃における脱アミド化の低下を結果としてもたらした。
試験法
【0361】
凝集:凝集は、市販の解析用カラム(Tosoh TSKゲルG3000SWXL、7.8×300mm、P/N:08541)を備えた市販のシステム(例えば、PDA検出器を備えたAgilent Technologies 1100シリーズHPLCシステム、またはPDA検出器を備えたWaters Alliance e2695シリーズHPLC)上における、サイズ排除高速液体クロマトグラフィーにより調べた。0.8ml/分の流量における、95%リン酸緩衝生理食塩液(PBS)および5%エタノールによる移動相を使用して、高分子量分子種を、タンパク質単量体から分離した。PBSにより、試料を、0.5mg/mLのタンパク質濃度へと希釈し、各実験のために、0.01mg(0.02mL)を注入した。凝集物の量は、装置のソフトウェアを使用して、高分子量ピークの面積を、観察された全てのピークの総面積で除することにより決定した。
【0362】
脱アミド化:脱アミド化は、市販の解析用カラム(Agilent Bio WAX、非多孔型、5μmカラム、4.6×250mm、P/N:5190-2487)を備えた市販のシステム(例えば、PDA検出器を備えたAgilent Technologies 1100シリーズHPLCシステム、またはPDA検出器を備えたWaters Alliance e2695シリーズHPLC)上における、アニオン交換高速液体クロマトグラフィーにより調べた。移動相Aは、20mMのトリス、pH8.2からなり、移動相Bは、20mMのトリス、500mMの塩化ナトリウム、pH8.2からなった。1.0ml/分の流量で、20分間にわたる、2%B~67%Bの直線勾配を使用して、荷電タンパク質変異体を分離した。移動相Aにより、試料を、1mg/mLのタンパク質濃度へと希釈し、各実験のために、0.075mg(0.075mL)を注入した。脱アミド化の量は、装置のソフトウェアを使用して、酸性変異体ピークの面積を、観察された全てのピークの総面積で除することにより決定した。
【0363】
酸化:酸化は、トリプシンペプチドマッピングにより調べた。タンパク質試料を、トリプシンで消化させた後、結果として得られるペプチドを、市販の解析用カラム(Waters Acquity C18 BEHペプチドRP UPLCカラム、2.1×150mm、粒子サイズ:1.7μm、小孔サイズ:130Å、P/N:186003556)を備えた市販のシステム(例えば、Waters Acquity UPLC)上の逆相超高速液体クロマトグラフィーにより分離した。移動相Aは、水中0.2%のトリフルオロ酢酸(TFA)からなり、移動相Bは、アセトニトリル中0.2%のTFAからなった。60℃の温度および0.3ml/分の流量で、27分間にわたる、10%B~40%Bの複合勾配を使用して、トリプシンペプチドを分離した。酸化の量は、装置のソフトウェアを使用して、酸化ペプチドピークの面積を、酸化ペプチドピークの面積と、対応する非酸化ペプチドピークの面積との総面積で除することにより決定した。
【0364】
微粒子の形成および気泡の形成:目視による観察を行う。
【0365】
PEG-FGF-21の濃度:本明細書で開示される医薬製剤中のPEG-FGF-21の濃度は、280nmにおいて、0.87(mL/(mg×cm))の減衰定数を使用する、Slope Spectroscopy、例えば、SoloVPE Fibrette(C Technologies,Inc.;P/NOF0002-P50)(SoloVPEディスポーザブルUVプラスチックベッセル(C Technologies,Inc.;P/NOC0009-C1))を備えたAgilent Cary 60 UV-Visスペクトロメーターにより測定した。本開示を通して、PEG-FGF-21の投与量は、このようにして測定された医薬製剤に基づく。Slope Spectroscopyはまた、PEG-FGF-21だけでなく、一般に、任意のFGF-21コンジュゲートにも適用可能である。
【0366】
pHの決定:pHは、標準的方法(USP<791>)に従い決定した。
【0367】
賦形剤の濃度:本明細書で開示される医薬製剤中の、個々の賦形剤(例えば、DTPA、PS80、ヒスチジン、スクロース)の濃度は、その製造過程において、医薬製剤へと添加される、個々の賦形剤の、完成医薬製剤の最終容量単位当たりの量(重量、モル数など)であると決定/計算した。代替的に、賦形剤の濃度は、医薬製剤中の、個々の賦形剤の実際の量に基づき得る。
【配列表】