(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】挿管補助器
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
(21)【出願番号】P 2022548689
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2021060902
(87)【国際公開番号】W WO2021224054
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2024-01-19
(31)【優先権主張番号】102020205723.0
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504115699
【氏名又は名称】クンツ,ライナー
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クンツ,ライナー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ミハエル
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03335754(EP,A1)
【文献】特表2013-512046(JP,A)
【文献】特開2003-111774(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0177750(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の気管に管(46)を挿入するための挿管補助器(10)であって、前記挿管補助器(10)が、一方の端部においてハンドル(14)に接続され他方の端部において自由端部(16)を有する細長い主要部分(12)を備え、前記挿管補助器(10)、具体的には前記ハンドル(14)が、操作デバイス(26)を備え、前記主要部分(12)が、前記操作デバイス(26)が作動されたときに前記主要部分(12)の第1の領域(18)において曲がるように設計され、前記主要部分(12)が、前記操作デバイス(26)のさらなる作動時に、前記第1の領域(18)とは別のものでありかつ前記主要部分(12)の前記自由端部(16)に隣接して配置された前記主要部分(12)の第2の領域(20)において曲がるようにさらに設計され、前記主要部分(12)が、前記挿管補助器(10)上に取り付けられた管(46)の少なくとも1つの方向における並進変位を制限するように設計された位置決めデバイス(24)をさらに備え
、
前記主要部分(12)が、チャネル(36)を備え、前記チャネル(36)が、少なくとも部分的に前記主要部分(12)の長手軸に平行に延在し、また、流体を受け取って前記流体を前記ハンドル(14)に割り当てられた前記チャネル(36)の端部(40)へ導くのに適し、有利には、以下のうちの一方、すなわち、
吸引ユニットならびに前記患者から吸い出された前記流体からウイルスおよびバクテリアを濾過するのに適したウイルスおよびバクテリアフィルタ、または、
ガス源、特に前記チャネル(36)を介して前記患者に酸素を送達するように設計された酸素源
のうちの一方が、前記ハンドル(14)に割り当てられた前記チャネル(36)の前記端部(40)に選択的に接続可能であり、
前記主要部分(12)の壁が、細長い前記主要部分(12)の円周方向で見ると、前記主要部分(12)の長手方向に延在する間隙(38)が形成されて前記チャネル(36)を前記主要部分(12)を取り囲む外部に接続するように、中断されて設計される、挿管補助器(10)。
【請求項2】
前記位置決めデバイス(24)が、前記管(46)のセグメントを前記主要部分(12)に対して少なくとも並進的に固定するために前記セグメントと係合するように設計された保持デバイスを備え、具体的には、前記保持デバイスが、前記ハンドル(14)に隣接して配置されまた前記管(46)のセグメントと摩擦嵌めで係合するコーン(24)であり、かつ/または、前記管(46)の前記セグメントとポジティブ嵌合で係合するロッキングユニットとして具現化されることを特徴とする、請求項1に記載の挿管補助器(10)。
【請求項3】
前記挿管補助器(10)が、前記管(46)と前記主要部分(12)との間に配置されるように設計され
、前記主要部分(12)上に取り付けられた管状部品を備えることを特徴とする、請求項1
又は2に記載の挿管補助器(10)。
【請求項4】
前記主要部分(12)が、先細セグメント(22)を有し、前記先細セグメント(22)が、前記主要部分(12)の前記自由端部(16)に隣接して配置され、具体的には、前記主要部分(12)の前記自由端部(16)と前記主要部分(12)の
前記第2の領域(20)との間に配置されることを特徴とする、請求項1から
3までのいずれか一項に記載の挿管補助器(10)。
【請求項5】
前記チャネル(36)が、前記ハンドル(14)に関連付けられた前記端部(40)から前記主要部分(12)の前記先細セグメント(22)まで延在することを特徴とする、請求項
4に記載の挿管補助器(10)。
【請求項6】
画像データを記録しかつ転送するように設計された撮像ユニット(42)、具体的には画像センサが、前記主要部分(12)の前記自由端部(16)上に配置されることを特徴とする、請求項1から
5までのいずれか一項に記載の挿管補助器(10)。
【請求項7】
特に前記撮像ユニット(42)によって記録される
記録領域上に光を放射するように設計された照明デバイス(44)が、前記主要部分(12)の前記自由端部(16)に配置されることを特徴とする、請求項
6に記載の挿管補助器(10)。
【請求項8】
前記
第1の領域(18)が、前記主要部分(12)の前記自由端部から10cmから20cm、具体的には約15cmの距離のところに配置されることを特徴とする、請求項1から
7までのいずれか一項に記載の挿管補助器(10)。
【請求項9】
前記主要部分(12)が前記第1の領域(18)および前記第2の領域(20)において湾曲され得る平面が、基本的に互いに平行であり、特に一致することを特徴とする、請求項1から
8までのいずれか一項に記載の挿管補助器(10)。
【請求項10】
前記第1の領域(18)が、0°から30°まで曲がることができ、かつ/または、前記第2の領域(20)が、-60°から45°まで曲がることができることを特徴とする、請求項1から
9までのいずれか一項に記載の挿管補助器(10)。
【請求項11】
前記操作デバイス(26)が、少なくとも1つの第1の操作要素(28)および第2の操作要素(30)を備え、前記第1の操作要素(28)が、前記主要部分(12)の前記第1の領域(18)を偏向させるように設計され、前記第2の操作要素(30)が、前記主要部分(12)の前記第2の領域(20)を偏向させるように設計され、前記第1の操作要素(28)が、少なくとも所定の量による前記第1の操作要素(28)の作動時にその作動方向とは反対の前記第1の操作要素(28)の後方移動を防止するように設計されたラッチングデバイスに割り当てられることを特徴とする、請求項1から
10までのいずれか一項に記載の挿管補助器(10)。
【請求項12】
外部ユニット(58、60)と通信するように設計された通信モジュール(52)、特に無線通信モジュール(52)を備え、前記通信モジュール(52)が、前記挿管補助器(10)の前記ハンドル(14)内に配置されることを特徴とする、請求項1から
11までのいずれか一項に記載の挿管補助器(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の気管に管を挿入するための挿管補助器に関する。
【背景技術】
【0002】
人間および動物における診断上および治療上の介入は、気管に呼吸管を挿入することにより適切な呼吸が確保された状態で、麻酔下で行われることが多い。通例、換気管の導入を容易にするために、頭部は後ろに傾けられるが、口腔/咽頭/喉頭/気管は、できる限り真っ直ぐに整列される。舌は、挿管スパチュラ(intubation spatula)を用いて側方に保持され、管(換気管)は、視覚制御下で気管内へ進められて、気管の粘膜上での可逆的、非侵襲的、かつ気密の固定を達成するために、そこで止められる。このようにして、また、ガス交換を最適化するために、気管および肺における換気圧力が増大したとしても、肺胞の圧潰を回避することが可能である。
【0003】
この目的のために、管は、オペレータによって直接把持されて、患者に挿入されることが多い。しかし、口腔/咽頭/喉頭/気管の完全に真っ直ぐな整列は、決して達成され得ず、むしろS字形状の進路であり、また、管は、患者の解剖学的構造に受動的に適応される(すなわち、患者の身体構造上で管を摺動させることによる)ようにしか設計されないので、患者に対する損傷の危険性が存在する。
【0004】
気管支鏡の機械的特徴を使用して管を能動的に操作することを可能にするために、気管支鏡に換気管を取り付ける試みが、市場で入手可能である。しかし、気管支鏡は、挿管のためには過度に長くまた細く、そのため、非常に硬い管を十分に変形させることができないか、管をキンクさせることすらあり得るので、あまりにも扱いにくい。さらに、気管支鏡は非常に高価であり、そのため、気管支鏡は、特にCOVID-19のパンデミックとの関連で、行われるべき多数の挿管に必要とされる数で利用され得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、重要な気道の管理の一環として安全な挿管をも保証し得る挿管補助器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、患者の気管に管を挿入するための挿管補助器により、本発明による第1の態様において達成され、この挿管補助器は、一方の端部ではハンドルに接続され他方の端部には自由端部を有する細長い主要部分を備え、挿管補助器、具体的にはハンドルは、操作デバイスを備え、主要部分は、操作デバイスが作動されたときに主要部分の第1の領域において曲がるように設計され、主要部分は、操作デバイスのさらなる作動時に、第1の領域とは別のものでありかつ主要部分の自由端部に隣接して配置された主要部分の第2の領域において曲がるようにさらに設計され、主要部分は、挿管補助器上に取り付けられた管の少なくとも1つの方向における並進変位を制限するように設計された位置決めデバイスをさらに備える。
【0007】
本明細書において、「並進変位」は、主要部分の長手軸に平行な移動と理解されるべきである。言い換えれば、並進変位は、挿管補助器上に管が取り付けられる方向における管の変位およびその方向とは反対の管の変位である。
【0008】
位置決めデバイスは、例えば、管の一方の端部が寄り掛ることができる止めとして設計され得る。止めは、位置決めデバイスが様々な管長に合わせて適応または調整され得るように、特に主要部分に対して調整可能とされ得る。気管支鏡を使用する場合、気管支鏡上に管を保持するために、現在のところ接着テープを使用しなければならない。
【0009】
この点において、本発明のこの態様における「操作デバイスの作動」は、主要部分または主要部分上に配置された管が曲がるべき領域において直接に(例えば、手動で)曲げられないことを意味するが、この曲げは、例えば操作デバイスに接続されたケーブルを使用して遠隔的に行われることも、言及されるべきである。この場合、操作デバイスは、使用者の親指によって作動されるのに特に適し得る。本発明の挿管補助器の曲げ可能領域を調整することにより、主要部分、したがって主要部分上に配置された管は、挿管中にそれらが患者の解剖学的状態に適合され得るように、変形されることが可能であり、したがって、特に喉頭および声帯に対する損傷の危険性は、低減されるか、さらには完全に回避され得る。
【0010】
操作デバイスを使用する、湾曲されるべき第1または第2の領域の機械的作動の代わりに、またはそれに加えて、オペレータからの入力もまた、操作デバイス上に電子的に記録され、かつ、サーボモータに出力され得、サーボモータは、第1の領域または第2の領域に割り当てられ、かつ、第1の領域または第2の領域における対応する曲げをもたらすように設計される。
【0011】
患者への挿管補助器の挿入、または挿管補助器上への管の案内の改善のために、少なくとも主要部分は、その外面上に非粘着被覆を備えることができる。
【0012】
本発明のさらなる発展において、位置決めデバイスは、管のセグメントを主要部分に対して少なくとも並進的に固定するために管のセグメントと係合するように設計された保持デバイスを備えることができ、この保持デバイスは、具体的には、ハンドルに隣接して配置されまた管のセグメントと摩擦嵌めで係合するコーンであり、かつ/または、管のセグメントとポジティブ嵌合で係合するロッキングユニットとして具現化される。「固定する(secure)」という表現は、保持デバイスによって予め定められた解放力が主要部分から管を取り外すための方向において突破されるまで保持デバイスが管を主要部分上に保持するものと理解されるべきである。保持デバイスは、摩擦嵌めでの固定およびポジティブ嵌合での固定の両方に対して、能動解放機能性(active release functionality)を含むことができ、これは、主要部分から管を取り外すための所定の解放力を低減させ得る。これは、例えば、上述のコーンの径方向範囲を減少させることにより、および/または、上述のロッキングユニットを移動させることにより、実現され得る。保持デバイスの可能な一実施形態では、管を主要部分上に固定するために、管の端部セグメントの後ろにフックが係合し得る。当然ながら、保持デバイスは、様々な管径に適し得る。
【0013】
有利には、主要部分は、チャネルを備えることができ、このチャネルは、少なくとも部分的に主要部分の長手軸に平行に延在し、また、流体を受け取ってその流体をハンドルに割り当てられたチャネルの端部へ導くのに適する。例えば、管が主要部分上に取り付けられる場合、管は、主要部分と一緒に、対応する吸引チャネルを形成することができる。流体を吸い出すために使用され得る管の自由断面にとっては、主要部分によってできる限り最小限に埋められることが、有利であり得る。
【0014】
例えば、肺疾患COVID-19(コロナ)は、SARS-CoV-2ウイルスによって起こる。SARS-CoV-2ウイルスは、口/鼻道/咽頭内および喉頭内に主に発見され、飛沫感染、および我々が呼吸する空気中でのエアロゾルの形成を通じて、人から人へ伝播する。飛沫は、人が話すとき、歌うとき、咳をするとき、くしゃみをするとき、または深く呼吸するときに生じ、そのサイズに応じて地面へ落ちる。しかし、エアロゾルは、閉鎖空間では数時間にわたって空気中に留まる可能性があり、感染の可能性は相応に長くなる。SARS-CoV-2ウイルスは、感染者の上気道の粘膜に大量に発見され、また、コロナ患者は、初期症状が現れる数日前からウイルスを放ち、したがって感染症を広めるので、病原体および疾患は、いつでも移される可能性があり、これが、ウイルス性疾患が極めて危険である理由である。感染者の少なくとも80%は、無症候性の経過を有するか、または軽度の症状しか有さない。
【0015】
鼻/咽頭の挿管もしくは内視鏡検査、または気管支鏡検査もしくは胃内視鏡検査中、試験者は、病人からの安全距離を維持することができず、感染性物質(バクテリア/ウイルス)を取り込む危険性があり、また、COVID-19による患者の最大限に強制された呼吸に起因して、同じ疾患にかかる危険性がある。医療スタッフをウイルスによる感染から守るために、医療スタッフは、防護服、防護眼鏡、バイザー様の防護マスク、および手袋を着用し、患者は、使い捨てのフォイルで覆われ、時には上体および頭部が挿管中にポリアクリル系ボックスで覆われ、ボックスは、ウイルスのまん延を防止するために、100L/min超で吸引される。
【0016】
したがって、挿管プロセス中の患者の口/鼻道/咽頭、喉頭、および気管からのウイルスを含む空気の継続的な吸引は、手術室内の周囲空気の汚染を低減または防止することができ、したがって、治療スタッフに対する感染の危険性を低減または防止することができる。
【0017】
この目的のために、吸引ユニットならびに患者から吸引された流体からウイルスおよびバクテリアを濾過するのに適したウイルスおよびバクテリアフィルタ、または、ガス源、特にチャネルを介して患者に酸素を送達するように設計された酸素源が、ハンドルに割り当てられたチャネルの端部に選択的に接続され得る。例えば、リップ弁(lip valve)が、チャネルの端部に配置され得る。圧力測定デバイスもまた、患者の吸息期および呼息期の検出を可能にするためにチャネルに接続されてよく、その結果、吸息期中には、酸素が患者の肺に導入され得、呼息期では、さもなければ患者が吐き出すであろうエアロゾルが、迂回されかつ濾過され得る。この目的のために、エアロゾルを吸い出すためのインターフェースは、酸素を導入するためのインターフェースとは別に具現化されることが、有利であり得る。
【0018】
さらに、主要部の壁は、細長い主要部の円周方向で見ると、主要部の長手方向に延在する間隙が形成されてチャネルを主要部を取り囲む外部に接続するように、中断され得る。例えば、主要部が基本的に三日月形の断面を有する結果になり得る。このチャネルの長手方向範囲の少なくとも大部分にわたる外部からのチャネルへのアクセスは、特に洗浄器具を横からチャネルに挿入することができ、かつ/または滅菌流体が横からチャネルに入ることができるので、チャネルの洗浄を著しく高めることができる。患者からエアロゾルを吸い出すための、または酸素などのガスを導入するための上記のチャネルに加えて、主要部分は、当然ながら、特にそれらの長手方向端部においてのみ主要部分の外部に開口し得る、さらなるチャネルを含むことができる。例えば、そのようなさらなるチャネルは、生検鉗子を挿入するのに適し得る。
【0019】
具体的には、主要部分は、先細セグメントを有することができ、この先細セグメントは、主要部分の自由端部に隣接して配置され、具体的には、主要部分の自由端部と主要部分の第2の曲げ可能領域との間に配置される。この先細セグメントは、具体的には、管の内径および/または管の長さに一致するように具現化されるように、つまり、主要部分の自由端部に割り当てられたセグメントから管の少なくとも1つの内径、特に管の外径への段階的移行を可能にするように、設計され得る。この目的のために、主要部の上述の位置決めデバイスおよび/または保持デバイスは、位置決めデバイスおよび/または保持デバイスに対向する管の端部が主要部分の先細セグメントと位置合わせされ得るように、変位可能とされ得る。
【0020】
主要部分の自由端部から管へのこの段階的な、つまり基本的に突然ではない移行は、挿管補助器または管が患者の声帯に引っ掛かること、および、管が挿入されるときに患者の声帯が損傷することを、防ぐことができる。例えば、主要部分の自由端部と主要部分の円錐形に先細りする(または、この方向から見ると、拡大する)セグメントとの間の距離は、おおよそ5cmとされ得る。
【0021】
本発明の一実施形態では、チャネルは、ハンドルに関連付けられた端部から主要部分の先細セグメントまで延在し得る。つまり、チャネルは、主要部分の先細セグメントにおいて終端するか、またはそこから径方向外方に徐々に延びる。これは、管が主要部分上に配置されたときに、エアロゾルが管の遠位端部において直接吸い出されることを可能にし得る。
【0022】
有利には、画像データを記録しかつ転送するように設計された撮像ユニット、具体的には画像センサが、主要部分の自由端部に配置され得る。挿管プロセスのビデオドキュメンテーションは、その後に聴診器を用いて両肺の音を聴く必要性がないことを意味する。さらに、オペレータは、挿管中の挿管補助器と管との位置合わせに関する視覚情報を受け取る。第1のセグメントまたは第2のセグメントを曲げるための上述のサーボモータと相まって、撮像ユニットは、記録された画像データを制御ユニットに出力することが可能であり、制御ユニットは、画像データを(例えば、例えば患者の気管のさらなる進路を示し得る患者の解剖学的構造からの撮像ユニットの最大距離に関して)分析し、かつ、それに基づいて、サーボモータを自動的に制御する(例えば、この最大距離の方向に主要部分の自由端部を位置合わせする)。したがって、本発明の挿管補助器は、挿管中に患者の解剖学的上体に適応するために、自主的に、つまり挿管補助器の操作デバイスへの入力なしに、変形することが可能であり得る。当然ながら、例えば挿管補助器が患者の声帯に挿入されるときに不要な変形を行うのを防ぐことを可能にするために、実行されるべきサーボモータの対応する作動に対する妥当性チェックを行うことが、制御ユニットにとって有利であり得る。この目的のために、撮像ユニットは、一領域を異なる角度から記録するように設計されたステレオカメラとして具現化されてよく、または、撮像ユニットは、距離を測定するための別のデバイスを備えてもよい。
【0023】
さらに、挿管補助器は、挿管補助器の位置/配向および/または挿管補助器に接触する使用者を検出することならびに挿管補助器がセンサデバイスからの対応する信号に基づいてスイッチをオンおよびオフにされ得るように対応する信号を発することに適したセンサデバイスを備え得る。
【0024】
特に撮像ユニットによって記録される領域において光を放射するように設計された照明デバイスが、主要部分の自由端部上に配置され得る。光源が、主要部分の遠位端部に直接配置され得るか、または、放射されるべき光は、外部光源から光ガイドに供給されてもよく、光は、光ガイドを介して主要部分の遠位端部において放射され得る。
【0025】
具体的には、第1の曲げ可能領域は、主要部分の自由端部から10cmから20cm、具体的には約15cmの距離のところに配置され得る。この第1の領域の配置は、主要部分または管が患者の大半の生体構造に適合されることを可能にし得る。
【0026】
第1の領域および第2の領域において主要部分が曲がることができる平面はまた、基本的に互いに平行であってよく、特に一致してもよい。これは、第1の領域における曲げ、および第2の領域における曲げが、基本的に同じ径方向にかつ/または基本的に相反する径方向に延びることを意味する。
【0027】
本発明の有利な一実施形態では、第1の領域は、0°から30°まで曲がることができ、かつ/または、第2の領域は、-60°から45°まで曲がることができる。本発明の文脈において、0°は、特定の曲げ可能領域の上流および下流の主要部分のセグメントの直線状配列、つまりそれぞれの領域に対して基本的に直線状の主要部分の長手方向範囲とする。第1の領域における30°の曲げは、0°の配向に対する、第1の領域から遠位に配置された主要部分のセグメントの30°の偏向を意味する。正の度数(ここでは、数学演算子を含まない)は、第1の側、具体的には頭側へ延在するものと理解され、負の度数(例えば、-60°)は、第2の側、具体的には尾側へ延在するものと理解され得る。
【0028】
操作デバイスは、少なくとも1つの第1の操作要素および第2の操作要素を備えることができ、第1の操作要素は、主要部分の第1の領域を偏向させるように設計され、第2の操作要素は、主要部分の第2の領域を偏向させるように設計され、また、第1の操作要素は、少なくとも所定の量による第1の操作要素の作動時にその作動方向とは反対の第1の操作要素の後方移動を防止するように設計されたラッチングデバイスが割り当てられる。ラッチングデバイスは、当然ながら、対応する操作要素、したがって関連付けられた曲げ可能領域を、その元の配向に戻すことを可能にするために、取外し可能に具現化され得る。あるいは、またはさらに、ラッチングデバイスは、ハンドル内の、具体的にはハンドルに具現化された指支持表面上の特別な操作要素を作動させることによって作動されてもよく、つまり、第1の領域は、それによってロックされてよい。この場合、第2の操作要素は、主要部分の第2の領域の自由な前後移動が確保されたままであり得るように、そのようなラッチングデバイスを特に含み得ない。
【0029】
挿管補助器は、外部ユニットと通信するように設計された通信モジュール、特に無線通信モジュールをさらに含むことができ、通信モジュールは、具体的には挿管補助器のハンドル内に配置される。無線通信モジュールは、例えば、WLAN通信、LiFi通信、またはブルートゥース通信用に設計され得る。外部ユニットは、挿管補助器の撮像ユニットによって記録された画像データを表示するためにモニタに接続されるかまたはモニタと一体である通信インターフェースであってよい。
【0030】
具体的には、本発明の挿管補助器と外部ユニットとの間の無線通信の場合、挿管補助器、および外部ユニット、例えばモニタの両方が、集積電源を備え得る。集積電源は、例えば誘導的に充電され得る蓄電池として具現化され得る。
【0031】
挿管補助器と関連するモニタとの通信を確保するために、または、第1の挿管補助器とモニタの対のうちの挿管補助器と第2の挿管補助器とモニタの対のうちのモニタとの不要な通信を防ぐために、挿管補助器の通信モジュールと関連する外部ユニットとの間の通信は、(例えば、所定の時間内に適切なボタンを押すことによる)能動的結合を介して接続され得る。
【0032】
ハンドルは、オペレータの人差し指を受け止めるように具現化された少なくとも1つの1本指受止めセグメントと、オペレータの中指および薬指を受け止めるように具現化された2本指受止めセグメントと、を含んでよく、1本指受止めセグメントは、主要部分に対して、第1の領域が曲がるときに第1の領域がそこに向かって偏向される側に配置される。このハンドルの構成は、本発明の挿管補助器の通常の使用状況における取扱いを向上させることができる。具体的には、ハンドルは、ハンドルと主要部分との間にT字形状が基本的に存在するように、主要部分に対して配置される。患者は手術への導入中におおよそ麻酔医の腰の高さにおいて手術台上に横たわるので、T字形状は有利であり得る。緊急時には、救急医は通常患者の前にひざまずき、すなわち、患者の口は、救急医の膝頭とおおよそ同じ高さにある。どちらの場合でも、挿管を行う人物の右手は、管を下方に押し、それと同時に、医師の体から離れる。この運動は、挿管補助器のハンドルのT字形状によって支持され得る。
【0033】
通信モジュールの、特にLiFi通信のためのセグメントが、ハンドルがオペレータによって把握されたときに親指と人差し指との間に配置されるハンドルのセグメント上に配置されてもよい。通信モジュールのこのセグメントはまた、オペレータの親指と人差し指との間の皮膜が通信モジュールのこのセグメントとハンドルとの間に配置され得るように、ハンドルから突出してもよい。
【0034】
患者の気管に管を挿入するための挿管補助器を提供することも可能であり得ることも付け加えられるべきであり、この挿管補助器は、細長い主要部分を備え、主要部分は、挿管補助器上に設置された管の少なくとも1つの方向における、具体的には主要部分に対する並進方向における並進変位を制限するように設計された位置決めデバイスをさらに備え、また、細長い主要部分、具体的にはその位置決めデバイスのセグメントは、上位吸引デバイスに接続されることが可能であり、上位吸引デバイスの作用下において、流体が主要部分に沿って患者から吸引され得る。例えば、管が主要部分上に取り付けられる場合、管は、主要部分と一緒に、対応する吸引チャネルを形成することができる。流体を吸い出すために使用され得る管の自由断面にとっては、主要部分によってできる限り最小限に埋められることが、有利であり得る。
【0035】
この実施形態に関しては、やはり本明細書において使用され得る本発明の第1および/または第2の態様の挿管補助器に関連して説明される特徴、効果、および利点の全ても参照され、その逆も同様である。
【0036】
第1の態様と同じ目的に基づき、この目的が代替的に解決される第2の態様では、本発明は、細長い主要部分と、主要部分の長手方向端部上に配置されかつそれに接続される先細セグメントと、主要部分の他方の長手方向端部上に配置されかつそれに接続される接続セグメントと、を備える、患者の気管に管を挿入するための挿管補助器であって、接続セグメントが、径方向において基本的に内向きに配向されかつ具体的には内視鏡である上位組立体と係合するように設計された第1の係合セグメントを有し、かつ、径方向において基本的に外向きに配向されかつ管と係合するように設計された第2のセグメントを有し、また、接続セグメントおよび先細セグメントの両方が、受入れセグメントをそれぞれ有し、受入れセグメントのそれぞれが、基本的に通り穴として具現化され、かつ、具体的には内視鏡である上位組立体のセグメントを受け入れるように設計される、挿管補助器に関する。
【0037】
この点において、本発明の第1の態様の挿管補助器に対して説明された全ての特徴、効果、および利点は、第2の態様の挿管補助器にも適用され得、またその逆も同様であることが、言及されるべきである。
【0038】
接続セグメントの第1の係合セグメントおよび/または第2の係合セグメントは、例えば、すでに上述したように、位置決めデバイスまたは保持デバイスのコーンにより管の上述のカラーが把握されるまで管が挿管補助器上へ押され得るように、上位組立体および/または管と摩擦嵌めで係合するように特に設計され得る。この目的のために、接続セグメントの第1の係合セグメントおよび/または第2の係合セグメントは、この摩擦嵌めを促進する、例えばゴムで作られた被覆を有し得る。あるいは、またはさらに、ポジティブ嵌合で係合するロッキングユニットもまた、当然ながらここで設けられてよい。
【0039】
本発明の第2の態様の挿管補助器では、主要部分は、管が挿管補助器上に取り付けられる前またはその後でオペレータによって及ぼされる手動力が主要部分を少なくとも1つの径方向に、具体的には対応する曲りが延在する平面に沿ってのみ曲げることができるように、設計され得る。挿管補助器、または少なくとも挿管補助器の主要部分は、予め曲げられた構成で送達されることも可能であり、その結果、予め曲げられた部分上に管が取り付けられるときに、管は、それにより、所望の態様で前もって変形される。具体的には、主要部分が使用中にオペレータによって曲げられるように設計されるべきではない場合、主要部分の既存の曲りの範囲が異なる少なくとも2つの異なる変形形態で挿管補助器または主要部分を提供することが、有利であり得る。この目的のために、主要部分は、例えば、特に先細セグメントおよび接続セグメントの周辺領域において先細セグメントを接続セグメントに接続する金属棒として設計され得る。このようにして、挿管補助器の「第1の領域」は、この目的のために特別な操作要素およびケーブルプル(cable pull)を設ける必要なしに、本発明の第1の態様に従って実装され得る。
【0040】
その長手方向範囲の観点から、挿管補助器または挿管補助器の主要部分は、利用可能な換気管の標準的な長さで提供されてよく、かつ/または、所定の範囲にわたってその長手方向範囲が調節可能であってよい。これは、例えば、長さが調節可能である主要部分の設計を使用して、または、第1の態様に関連して述べられた変位可能な位置決めデバイスを使用して、実施され得る。したがって、本発明の第2の態様による挿管補助器によれば、患者の声帯に対する損傷を回避することを可能にするために、先細セグメントが、主要部分上に取り付けられた管の遠位端部と位置合わせされ得ることも、達成され得る。
【0041】
接続セグメントは、主要部分とは別に製造されかつ主要部分に分離可能に接続される要素として具現化され得る。したがって、接続セグメントおよび/または主要部分は、1回の使用後に廃棄される使い捨ての物品として具現化され得る。この目的のために、接続セグメントに割り当てられる主要部分の端部は、例えば保持クリップなどの、接続セグメントの対応する相手側接続構造上に設置され得る適切な接続構造を有して具現化され得る。
【0042】
接続セグメントおよび/または先細セグメントは上述のエアロゾルを吸い出すためのチャネルを有して具現化され得ることが、明確に指摘されるべきであり、エアロゾルは、接続セグメント上の対応するインターフェースを使用して迂回されてよく、または、酸素が、このインターフェースを介して、チャネルを通じて供給されてもよい。
【0043】
挿管補助器の受入れセグメントは、具体的には、利用可能な内視鏡、例えば可撓性気管支鏡の標準的な直径向けに設計され得る。
【0044】
例示的な一実施形態の観点から、本発明の第2の態様の挿管補助器は、標準的な内視鏡に取り付けられることが可能であり、つまり、標準的な内視鏡は、第1の係合セグメントが内視鏡の対応する相手側セグメントと係合するまで、接続セグメントの受入れセグメントおよび先細セグメントの受入れセグメントに通され得る。次いで、換気管が主要部上に取り付けられ、これは、例えば、前もって予形成されている。次いで、自由端部を曲げるための機構を通常含む内視鏡の自由端部は、本発明の第1の態様による挿管補助器の「第2の領域」および「自由端部」の機能を果たすように、挿管補助器の先細セグメントを越えて突出し得る。
【0045】
この点において、本発明の第1の態様による挿管補助器、および/または本発明の第2の態様による挿管補助器は、挿管補助器の外径と特定の管の内径との間に簡易な方法でアダプタを設けることを可能にするために、管と主要部分との間に配置されるように設計される少なくとも1つの中間部品を備え得ることも、指摘されるべきである。本発明の第1の態様による挿管補助器、および/または本発明の第2の態様による挿管補助器にとって、様々な管の内径のための複数のアダプタを設けることを可能にするために中間部品のセットを含むことが、有利であり得る。そのような中間部品は、主要部分上に取り付けられ得る例えば金属管の形態のオーバシャフトとして具現化され得る。
【0046】
以下、添付の図面を参照しながら、実施形態を使用して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】第1の態様による本発明の挿管補助器の一実施形態の概略的な側面図である。
【
図2】
図1からの矢印IIによる挿管補助器の主要部分の自由端部の概略的な側面図である。
【
図3】管が配置されかつモニタが接続された、
図1からの挿管補助器の概略図である。
【
図4】管が配置されかつモニタが直接取り付けられた、
図1からの挿管補助器の概略図である。
【
図5b】第2の態様による挿管補助器が配置されている、
図5aからの標準的な内視鏡の図である。
【
図5c】第2の態様による挿管補助器が配置されている、
図5aからの標準的な内視鏡の図である。
【
図6】第2の態様による挿管補助器を概略的な側断面図で示す図である。
【
図7】第2の態様による挿管補助器の概略的な側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
発明性のある挿管補助器が、
図1において参照番号10で全体的に示されている。挿管補助器10は、その一方の端部にハンドル14を有しその他方の端部に自由端部16を有する、細長い主要部分12を備える。
図1では、主要部分12は、自由端部16と第1の領域18との間に配置された主要部分12のセグメントが最大で角度αまで下方に偏向され得るように、第1の領域18において曲がるように設計されている。さらに、主要部分12は、第2の領域20を有し、この第2の領域20は、自由端部16が最大で角度αと同じ方向に延在する角度βまでまたは反対方向において最大で角度γまで第1の領域18と第2の領域20との間のセグメントに対して偏向され得るように、曲がるように設計される。
【0049】
主要部分12の自由端部16と第2の領域20との間には、先細セグメント22が配置され、第2の領域20のセグメントにおける主要部分12の外径は、先細セグメント22にわたって、自由端部16のセグメントにおける主要部分12の外径まで徐々に縮小する。
【0050】
細長い主要部分12は、その自由端部16の反対側の端部に、ここではコーン24として設計された位置決めデバイス24を有する。コーン24とハンドル14との間のセグメントには、第1の操作要素28および第2の操作要素30を備える操作デバイス26が配置される。第1の操作要素28は、対応する方向におけるオペレータによる第1の操作要素28の作動が、第1の操作要素28への入力の量に従った第1の領域18の偏向をもたらすように、例えばボーデンケーブルなどのケーブルプルを介して第1の領域18に結合される。第2の操作要素30は、類似した態様で第2の領域20に結合される。
【0051】
第1の操作要素28は、第1の領域18の一定の偏向が操作要素28自体を使用してまたは例えばハンドル14の対応するセグメントを使用してロックされ得るように、ラッチングデバイスに接続される。
【0052】
図1で分かるように、ハンドル14は、1本指受止め要素32および2本指受止め要素34を含み、1本指受止め要素32は、特にオペレータの人差し指を受け止めるように設計され、かつ、第1の領域が最大で角度αまで偏向され得また第2の領域が最大で角度βまで偏向され得るのと同じ挿管補助器10の側に配置され、2本指受止め要素34は、特にオペレータの中指および薬指を受け止めるように設計される。
【0053】
図2は、
図1における矢印IIによって示された、
図1からの本発明の挿管補助器10の自由端部16の図を示す。ここでは、チャネル36が主要部分12に配置され、かつ、主要部分12の長手方向範囲に沿って形成されることが分かる。チャネル36は、完全に主要部分12内に配置されるのではなく、ここで示される実施形態では自由端部16からコーン24まで、チャネル36の円周方向における中断を介してその長さに沿って延在し、主要部分12の外側と流体連通する。それにより、間隙38が作り出され、間隙38は、この実施形態では、自由端部16から位置決めデバイス24のコーンまで延在し、チャネル36は、例えば洗浄のために、この間隙38を介してアクセス可能である。しかし、上述のように、チャネル36が主要部分12の先細セグメント22で終端することも可能である。
【0054】
チャネル36は、自由端部16とは反対側のその端部においてインターフェース40(
図1参照)に接続され、インターフェース40は、吸引デバイスに、および/またはガス源に、および/またはウイルス/バクテリアフィルタなどに接続されるように設計される。患者が挿管されているときに、インターフェース40に接続された吸引デバイスの作用下において、エアロゾルが患者の口/咽頭、喉頭、および気管から吸い出され得、その結果、ウイルスを含んでいる可能性のあるエアロゾルの環境中への自由な漏出が防止され得る。チャネル36はまた、インターフェース40を介してガス源から例えば酸素を患者に導入するために使用され得る。
【0055】
さらに、挿管補助器10の自由端部16の周囲における画像化情報を記録するように設計された撮像ユニット42、およびここでは2つのLED光源44として具現化された照明デバイス44が主要部分12の自由端部16において具現化されることも、
図2で分かる。
【0056】
図3は、換気管46が主要部分12上に取り付けられている、
図1からの挿管補助器10を示す。換気管46は、カラー48を有し、このカラー48は、管46が患者内で使用されまた挿管補助器10が管46および患者から取り除かれた後で、換気デバイスへのインターフェースとして機能する。カラー48の領域では、管46は、ここでは保持デバイスとして機能するコーン24により、管46を主要部分12から(
図3では右側へ)変位させる特定の力に対する摩擦嵌めで保持される。換気管46は、膨張可能領域50をさらに有し、この膨張可能領域50は、例えば、管46が患者内のその消耗の位置したときに、肺に接続された空気空間を口に接続された空気空間から封鎖するために、ガスで満たされ得る。
【0057】
挿管補助器10は、撮像ユニット42を使用して記録された画像データを表示するように設計された外部ユニット58と無線54でおよび/または有線接続56で通信するように設計された通信モジュール52を備え、通信モジュール52は、この場合、ポータブルモニタである。
【0058】
図4は、モニタ60が、挿管補助器10を
図3による外部モニタに接続することの代わりにまたはそれに加えて、特に操作ユニット26が配置されるセグメントにおいて、挿管補助器10上に直接配置され得ることを示す。当然ながら、挿管補助器10は、モニタ58(
図3)およびモニタ60(
図4)の両方と同時に通信することができるように具現化されることも可能である。
【0059】
標準的な内視鏡200が、
図5aから5cに示されており、かつ、対応する曲げ機構をその自由端部216に有し、
図5bおよび5cでは、本発明の第2の態様による挿管補助器100が取り付けられている(ここでは、明瞭さのために、挿管補助器100の1つの主要部分112のみが示されている)。第1の態様による挿管補助器10に類似している第2の態様による挿管補助器100の要素には、同じ参照番号が与えられるが、100だけ増大されている。
【0060】
図5bおよび5cは、2つの主要部分112を示し、そのそれぞれが、本発明の第1の態様の「第1の領域」の湾曲機能性と同等の異なる事前曲げを有する。
【0061】
図6は、挿管補助器100の概略的な側面図を示す。挿管補助器100は、接続セグメント162が、より正確には示された実施形態では第1の係合セグメント164(
図7参照)が内視鏡200と係合するまで、内視鏡200上に取り付けられることが分かる。
【0062】
主要部分112が、保持クリップ166を介して接続セグメント162に取り付けられ、かつ、保持クリップ166とは反対側のその端部に先細セグメント122を有する。換気管146が、換気管146が取り付けられる方向とは反対の方向において挿管補助器100に作用する解放力に逆らって換気管146が適切な第2の係合セグメント168(
図7参照)を介して接続セグメント上に保持されるように、主要部分112上に取り付けられる。
【0063】
また、
図6では、内視鏡200の遠位セグメントが、接続セグメント162の受入れセグメント170および先細セグメント122の受入れセグメント172を通して案内されることが分かる。
【0064】
挿管補助器100の概略的な側断面図が、
図7に示されている。ここで分かるように、管146の内部では、取り付けられた管146がチャネル136を形成し、このチャネル136は、接続セグメント162のインターフェース140に接続された吸引デバイスを使用してエアロゾルを吸い出すために使用され得る。
図6に戻ると、ウイルス/バクテリアフィルタ174に接続されるインターフェース140に加えて、それを介して酸素がチャネル136に導入され得るインターフェース176がインターフェース140とは別に接続セグメント162上に具現化されることが分かる。