(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】電極、電池及び電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 4/131 20100101AFI20241209BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241209BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20241209BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20241209BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20241209BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20241209BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20241209BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20241209BHJP
【FI】
H01M4/131
H01M4/36 D
H01M4/36 E
H01M4/62 Z
H01M4/525
H01M4/505
H01M50/489
H01M10/0587
H01M10/052
(21)【出願番号】P 2022550384
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 JP2021027092
(87)【国際公開番号】W WO2022059336
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2020157275
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英俊
(72)【発明者】
【氏名】西尾 尚己
(72)【発明者】
【氏名】粕壁 隆敏
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 真一
(72)【発明者】
【氏名】中澤 駿忠
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 卓哉
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-073823(JP,A)
【文献】特開2000-011995(JP,A)
【文献】国際公開第2020/129411(WO,A1)
【文献】特開2007-157694(JP,A)
【文献】特開2009-026599(JP,A)
【文献】特開2015-015183(JP,A)
【文献】特開2013-120724(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111276757(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00-4/62
H01M 10/05-10/0587
H01M 50/40-50/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、前記集電体の少なくとも一方の面に形成され、活物質を含む合剤層とを含む電極であって、
前記活物質は、リチウム含有金属酸化物の第1粒子と、前記第1粒子の平均粒径D
1よりも小さい平均粒径D
2を持つリチウム含有金属酸化物の第2粒子とを含み、
前記第1粒子と前記第2粒子の下記(1)式で表される存在比率が60%以上90%以下であり、
{A1/(A1+A2)}×100 (1)
前記合剤層のうちの前記集電体に接する第1表面から前記集電体に接しない第2表面までの距離をTとした時、A1は、前記距離Tを長さに持つ前記合剤層の面における前記第1粒子の面積の合計であり、A2は、前記合剤層の面における前記第2粒子の面積の合計であり、
前記第1表面から前記第2表面に向かって距離2D
1/Tまでの範囲に前記第1粒子が下記(2)式を満たす比率で偏在している、
(A3/A1)≧2D
1/T×1.05 (2)
ここで、A3は、前記合剤層の面の前記範囲に存在する前記第1粒子の面積の合計であり、
前記第1粒子の粒径が8μm以上25μm以下の範囲内であり、
その平均値が前記平均粒径D
1
であり、前記第2粒子の粒径が1μm以上6μm以下の範囲内で、かつ前記第1粒子の粒径よりも小さ
く、その平均値が前記平均粒径D
2
である、電極。
【請求項2】
前記合剤層は、二次粒子形状の導電剤をさらに含み、前記合剤層の面における前記第1表面から前記第2表面に向かって距離T/2までの範囲に含まれる前記導電剤の合計面積をT1S(μm
2)、前記第2表面から前記第1表面に向かって距離T/2までの範囲に含まれる前記導電剤の合計面積をT2S(μm
2)とした際、下記(3)式を満たす、
T2S>2×T1S (3)
請求項
1に記載の電極。
【請求項3】
前記リチウム含有金属酸化物は、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケルマンガン複合酸化物及びリチウム含有マンガン複合酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~
2のいずれか1項に記載の電極。
【請求項4】
前記リチウム含有金属酸化物は、Li
aNi
(1-x-y)Co
xMn
yO
2(0.9≦a≦1.2、0<x≦0.5、0<y≦0.5、x≧y、0.6≦1-x-y≦0.9)、Li
xCo
1-y-zMn
yNi
zO
2(0<x≦1、0<y≦1、0<z≦1、0≦1-y-z≦1)、及びLi
xMn
2O
4(0<x≦1)よりなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~
2のいずれか1項に記載の電極。
【請求項5】
前記活物質は、リチウム含有コバルト複合酸化物の粒子をさらに含む、請求項
3または請求項
4のいずれか1項に記載の電極。
【請求項6】
前記第1粒子のリチウム含有金属酸化物、前記第2粒子のリチウム含有金属酸化物は、それぞれ、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物である、請求項1~2のいずれか1項に記載の電極。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1項に記載の電極からなる正極と、
負極と
を含む、電池。
【請求項8】
透気度が20sec/100ml以上100sec/100ml以下のセパレータをさらに含む、請求項
7に記載の電池。
【請求項9】
前記正極と、前記負極と、前記正極及び前記負極の間に配置される前記セパレータとが捲回された電極群を備え、前記電極群のアスペクト比が1以上、1.8以下である、請求項
8に記載の電池。
【請求項10】
請求項
7~
9のいずれか1項に記載の電池を含む、電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電極、電池及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
粒径の異なる活物質を用いることで電極密度を向上させ、入出力特性に優れた非水電解質電池が得られるといった報告がされている。しかしながら、電極内の厚さ方向に対する大粒径と小粒径の分布は、着目されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2019-067541号公報
【文献】日本国特開2009-117241号公報
【文献】日本国特開2016-55254号公報
【文献】日本国特表2013-504168号公報
【文献】日本国特表2015-528181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高容量かつ寿命特性に優れた電極、電池及び電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、集電体と、集電体の少なくとも一方の面に形成され、活物質を含む合剤層とを含む電極が提供される。活物質は、リチウム含有金属酸化物の第1粒子と、第1粒子の平均粒径D1よりも小さい平均粒径D2を持つリチウム含有金属酸化物の第2粒子とを含む。第1粒子と第2粒子の下記(1)式で表される存在比率が60%以上90%以下である。
【0006】
{A1/(A1+A2)}×100 (1)
合剤層のうちの集電体に接する第1表面から集電体に接しない第2表面までの距離をTとした時、A1は、距離Tを長さに持つ合剤層の面における第1粒子の面積の合計であり、A2は、距離Tを長さに持つ合剤層の面における第2粒子の面積の合計である。
【0007】
第1表面から第2表面に向かって距離2D1/Tまでの範囲に第1粒子が下記(2)式を満たす比率で偏在している。
【0008】
(A3/A1)≧2D1/T×1.05 (2)
ここで、A3は、距離Tを長さに持つ合剤層の面における、第1表面から第2表面に向かって距離2D1/Tまでの範囲に存在する第1粒子の面積の合計である。
第1粒子の粒径が8μm以上25μm以下の範囲内であり、その平均値が平均粒径D
1
である。第2粒子の粒径が1μm以上6μm以下の範囲内で、かつ第1粒子の粒径よりも小さく、その平均値が平均粒径D
2
である。
【0009】
他の実施形態によれば、上記実施形態に係る電極からなる正極と、負極とを含む、電池が提供される。
【0010】
他の実施形態によれば、上記実施形態に係る電池を含む電池パックが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の電極の合剤層の断面の一例を示す模式図。
【
図2】実施形態の電極から得られたサンプルの概略を示す平面図。
【
図5】実施形態に係る電池の一例を示す一部切欠き斜視図。
【
図7】実施形態に係る電池の他の例を示す一部切欠き斜視図。
【
図8】実施形態に係る電池のさらに他の例を示す一部切欠き斜視図。
【
図10】実施形態に係る電池パックの一例を示す分解斜視図。
【
図11】
図10に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図は実施形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる点があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜設計変更することができる。
特許文献1は、正極合剤層に含まれる造粒体の平均粒径を0.9μm以上、2μm以下とし、造粒体の90%以上の粒径を0.25μm以上3.5μm以下とすることにより、電極の加圧力を大きくしても、集電体および正極合剤層の間の界面抵抗低減と、造粒体内のリチウムイオン伝導速度の向上を両立できると開示している。特許文献2は、二次粒子表面及び内部に空隙を有するリチウムニッケルマンガンコバルト系複合酸化物粉体に対して、その空隙サイズよりも小さな微粒子を充填することによって、嵩密度を向上し、さらに空隙充填微粒子として導電性微粒子を用いることによって、出力特性も向上した正極活物質粉体を得ることができると開示している。
しかしながら、これまでの技術は、いずれも寿命性能に課題がある。
【0013】
本発明者らは、電極の合剤層内部において、小粒子の活物質比率が高いとガス発生量が多くなり、高温貯蔵中に電極合剤層内部から活物質が滑落して容量低下に至ることを究明し、以下の構成を有する電極によると、高温下でのガス発生量が抑えられて寿命性能が改善されることを見出した。
【0014】
すなわち、実施形態に係る電極は、集電体と、集電体の少なくとも一方の面に形成され、活物質を含む合剤層とを含む電極であって、活物質は、リチウム含有金属酸化物の第1粒子と、第1粒子の平均粒径D1よりも小さい平均粒径D2を持つリチウム含有金属酸化物の第2粒子とを含む。第1粒子と第2粒子の下記(1)式で表される存在比率が60%以上90%以下である。
【0015】
{A1/(A1+A2)}×100 (1)
合剤層のうちの集電体に接する第1表面から集電体に接しない第2表面までの距離をTとした時、A1は、距離Tを長さに持つ合剤層の面(以下、測定面とする)における第1粒子の面積の合計であり、A2は、測定面における第2粒子の面積の合計である。
【0016】
また、第1表面から第2表面に向かって距離2D1/Tまでの範囲(以下、2D1/T領域)に第1粒子が下記(2)式を満たす比率で偏在している。
【0017】
(A3/A1)≧2D1/T×1.05 (2)
ここで、A3は、測定面の2D1/T領域に存在する第1粒子の面積の合計である。
【0018】
まず、(1)式で表される存在比率を60%以上90%以下の範囲にする理由を説明する。存在比率を60%未満にすると、相対的に第2粒子の存在比率が高くなるため、活物質の表面積が大きくなる。その結果、活物質と電解質との副反応が大きくなってガス発生量が増加する。一方、存在比率が90%を超えると、活物質の粒子径が揃うため、活物質の充填密度が低下する。以上のことから存在比率は上記範囲が好ましい。存在比率のより好ましい範囲は、70%以上85%以下である。
【0019】
次いで、(2)式について説明する。
図1は、実施形態の電極を積層方向に切断した断面の一例の模式図である。電極Eは、例えば正極で、層状の正極集電体Cと、正極集電体Cの両面それぞれに形成された正極合剤層Mとを含む。正極合剤層Mは、リチウム含有金属酸化物の第1粒子Pと、第1粒子の平均粒径D
1よりも小さい平均粒径D
2を持つリチウム含有金属酸化物の第2粒子Qとを含む。正極合剤層Mのうちの正極集電体Cと接する表面を第1表面S1とし、正極集電体Cに接しない表面を第2表面S2とする。第2表面S2から第1表面S1までの距離をTとする。前述の測定面において、第1表面S1から第2表面S2に向かう方向に距離2D
1/Tまで離れる長さで規定される領域(2D
1/T領域)に第1粒子Pが(2)式を満たす比率で偏在する。第1粒子P全体の面積A1に対する、2D
1/T領域に存在する第1粒子Pの面積A3の比が、(A3/A1)で表される。(1)式で表される存在比率を60%以上90%以下である時、(A3/A1)の比を2D
1/T×1.05で表される値未満にすると、合剤層からのガス抜け性が低下するため、充放電サイクルにおいて合剤層の滑落が生じる。その結果、高温下でのガス発生に伴う容量低下が大きくなるため、充放電サイクル性能、特に高温下での充放電サイクル性能が低下する。(1)式で表される存在比率を60%以上90%以下にし、かつ(A3/A1)の比を2D
1/T×1.05で表される値以上にすることにより、合剤層からのガス抜け性が改善されるため、充放電サイクルにおける合剤層の滑落を抑えることができる。その結果、高温下でのガス発生に伴う容量低下を抑制することができるため、充放電サイクル性能、特に高温下での充放電サイクル性能を向上することができる。また、活物質の充填密度を大きくすることができるため、高容量が得られる。よって、高容量で、かつ充放電サイクル性能に優れた電池を実現可能な電極を提供することができる。
【0020】
D1、D2の測定方法は以下の通りである。
【0021】
距離T、すなわち合剤層厚さの測定方法は、次の通りである。電極をその積層方向に沿って裁断した断面、例えば
図1に例示される断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することによって求められる。
図2に示す通り、電極Eを任意方向(以下、X方向)に対して5cm分選択し、このX方向に対して垂直な方向(以下、Y方向)に5分割し、5サンプル得る。得られた5サンプルのうちのX方向に対して中心に位置するサンプルZを測定サンプルとする。サンプルZのY方向の幅を2分割して断面を二つ得る。断面の一例が
図1である。得られた二つの断面のうち任意の一断面をSEM観察し、倍率1000倍で観察される範囲を5等分する位置(例えば
図1の一点鎖線で示す)4箇所において、合剤層と集電体の接点と、集電体と接しない合剤層表面との距離を測定し、得られた4点の測定値の平均値を合剤層厚さTとする。
【0022】
D1、D2の測定方法は、次の通りである。Tの測定で使用したのと同じ断面をSEM-EDXにて倍率1000倍、加速電圧5kV以上15kV以下で観察し、粒子の最も長い寸法Dを測定する。Dが8μm以上の粒径の粒子を第1粒子とし、その粒径の平均値をD1とする。Dが8μm未満の粒径の粒子を第2粒子とし、その粒径の平均値をD2とする。なお、各粒子の組成は、EDXによる元素マッピングで確認可能である。
【0023】
A1及びA2は次のようにして求められる。上記D1、D2の測定と同じ条件で行うSEM-EDX観察において、Dが8μm以上の粒径の粒子(第1粒子)の面積の合計をA1とし、Dが8μm未満の粒径の粒子(第2粒子)の面積の合計をA2とする。
【0024】
A3は、上記D1、D2の測定と同じ条件で行うSEM-EDX観察において、2D1/T領域に存在する、Dが8μm以上の粒径の粒子(第1粒子)の面積の合計である。ただし、集電体の両面に合剤層が形成されている場合、集電体の一方の面に形成されている合剤層の距離Tを長さに持つ面と、集電体の他方の面に形成されている合剤層の距離Tを長さに持つ面、それぞれの面毎にA3を求める。得られたA3の平均値を使用する。
【0025】
以下、実施形態の電極についてさらに説明する。
【0026】
電極は、集電体と、集電体の少なくとも一方の面に形成された合剤層とを含む。合剤層は、活物質を含み、任意に結着剤、導電剤を含むことができる。
【0027】
電極は、正極または負極に適用することができる。以下では、正極に適用した例を説明する。
【0028】
正極活物質は、リチウム含有金属酸化物の第1粒子と、第1粒子の平均粒径D1よりも小さい平均粒径D2を持つリチウム含有金属酸化物の第2粒子とを含む。リチウム含有金属酸化物の例に、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケルマンガン複合酸化物(例えばLixCo1-y-zMnyNizO2、0<x≦1、0<y≦1、0<z≦1、0≦1-y-z≦1)、リチウム含有マンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4またはLixMnO2、0<x≦1)、リチウム含有コバルト複合酸化物(LixCoO2、0<x≦1)、リチウム含有マンガンコバルト複合酸化物(LixMn2-yCoyO4、0<x≦1、0<y<2)、リチウム鉄複合酸化物(例えばLixFePO4,LixFe1-yMnyPO4、0<x≦1、0≦y<1)などが含まれる。リチウム含有金属酸化物の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。第1粒子の組成と、第2粒子の組成は同じでも異なっていても良い。また、第1粒子と第2粒子以外の正極活物質粒子が含まれていても良い。この場合、正極活物質中に占める第1粒子と第2粒子の合計重量の割合は80重量%以上90重量%以下にすることが望ましい。
【0029】
リチウム含有金属酸化物には、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物が好ましい。リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物は、例えば、LiaNi(1-x-y)CoxMnyO2(0.9≦a≦1.2、0<x≦0.5、0<y≦0.5、x≧y、0.6≦1-x-y≦0.9)で表される。正極活物質は、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の第1粒子と、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の第2粒子を含むことが望ましい。さらに好ましいのは、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の第1粒子と、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物の第2粒子と、リチウム含有コバルト複合酸化物の粒子とを含む正極活物質である。
また、リチウム含有金属酸化物の他の好ましい例として、リチウム含有ニッケルマンガン複合酸化物、リチウム含有マンガン複合酸化物が挙げられる。リチウム含有ニッケルマンガン複合酸化物、リチウム含有マンガン複合酸化物、あるいはこれらの混合物をリチウム含有金属酸化物として用いることにより、電極及び電池の寿命性能を向上することができる。さらに好ましいのは、リチウム含有金属酸化物とリチウム含有コバルト複合酸化物とを含む正極活物質である。
またさらに好ましい正極活物質の例として、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケルマンガン複合酸化物及びリチウム含有マンガン複合酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種のリチウム含有金属酸化物を含むものが挙げられる。これにより、電極及び電池の寿命性能を向上することができる。この正極活物質は、上記リチウム含有金属酸化物に加え、リチウム含有コバルト複合酸化物をさらに含むことが望ましい。
【0030】
正極活物質は、一次粒子であってもよいし、又は一次粒子の凝集した二次粒子であってもよい。
【0031】
第1粒子の粒径が8μm以上25μm以下の範囲内であり、第2粒子の粒径が0.5μm以上7μm以下の範囲内で、かつ第1粒子の粒径よりも小さいことが好ましい。これにより、ガス発生により正極から活物質が脱落するのを抑える効果を高めることができる。第2粒子の粒径は、1μm以上6μm以下の範囲内であることがより好ましい。正極は、導電剤として二次粒子形状の導電剤を含み得る。この正極は、下記(3)式を満たすことが望ましい。
T2S>2×T1S (3)
ここで、T1Sは、距離Tを長さに持つ合剤層の面(測定面)における、第1表面から第2表面に向かって距離T/2までの領域に含まれる導電剤の合計面積(μm2)である。T2Sは、前述の測定面における、第2表面から第1表面に向かって距離T/2までの領域に含まれる導電剤の合計面積(μm2)である。
【0032】
T1S、T2Sは以下の方法で測定される。D
1、D
2の測定と同じ条件で行うSEM-EDX観察において、例えば
図1に示す通り、第1表面S1から第2表面S2に向かって距離T/2までで規定される領域に含まれる導電剤の合計面積(μm
2)をT1Sとする。また、第2表面S2から第1表面S1に向かって距離T/2までで規定される領域に含まれる導電剤の合計面積(μm
2)をT2Sとする。ただし、集電体の両面に合剤層が形成されている場合、集電体の一方の面に形成されている合剤層の距離Tを長さに持つ面と、集電体の他方の面に形成されている合剤層の距離Tを長さに持つ面、それぞれの面毎にT1S、T2Sを求め、T1S、T2Sを比較する。
上記(3)式を満たすことにより、集電体と接しておらず、集電体から離れた第2表面とその近傍における電流分布に偏りが生じるのを抑制することができるため、合剤層の第2表面近傍の正極活物質の劣化を抑制することができる。そのため、実施形態の電極の寿命性能を改善して電池の寿命性能を向上することができる。
【0033】
結着剤には非水電解質電池に通常用いられるものであれば何れのものでも使用することができる。例えば、電気化学的に安定なポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン等が使用される。結着剤の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0034】
導電剤は適切な導電性を有する材料であれば何れのものでも使用できる。例えば、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、グラファイトなどのカーボンを使用することができる。導電剤の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。二次粒子形状の導電剤の例に、アセチレンブラックが含まれる。
【0035】
正極集電体は、片面乃至両面に正極合剤層が設けられた導電性の薄膜でありえる。正極集電体は、無孔の金属箔、多数の孔を有するパンチドメタル、金属細線を成型した金属メッシュなどを用いることができる。正極集電体としては、例えば金属箔又は合金箔を用いることができる。金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔及びニッケル箔などを挙げることができる。合金の例としては、アルミニウム合金、銅合金及びニッケル合金などを挙げることができる。
【0036】
正極集電体の素材としては電池使用環境で溶解しないものであれば特に限定するものではなく、例えば、Al、Tiなどの金属や、前記金属を主成分として、Zn、Mn、Fe、Cu、Siから成る群より選択される一以上の元素を添加した合金を用いることができる。特に、Alを主成分とするアルミニウム合金箔は、柔軟で成形性に優れているなどの薄膜であることが好ましい。正極集電体の厚さは、典型的には、5μm以上20μm以下のものが好ましい。
【0037】
正極活物質、導電剤および結着剤の混合重量比は、正極活物質を80%以上96%以下、導電剤を3%以上15%以下、結着剤を0.5%以上5%以下にすることが好ましい。導電剤の量を3%以上とすることにより、正極合剤層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の量を0.5%以上とすることにより、正極合剤層と負極集電体との結着性を高めることができ、優れたサイクル特性を期待できる。一方、導電剤及び結着剤の総量を20重量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。
正極密度(正極充填密度)は高容量化や入出力特性、合剤層中からのガス抜けの観点から、2.8g/cc以上3.6g/cc以下にすることが好ましい。
【0038】
正極集電体の正極合剤層が形成されていない部分は、正極集電タブとなりえる。
【0039】
正極は、例えば、以下の方法で得られる。第1粒子と第2粒子を含む正極活物質と導電剤を乾式混合する。得られた混合粉末及び結着剤に第1溶媒を添加して混錬(固練り)することにより、第1スラリーを調製する。次いで、第1スラリーに第2溶媒を添加して攪拌することにより第2スラリーを調製する。第2スラリーを集電体の少なくとも一方の面に塗布し、乾燥し、プレスを施すことにより、正極を得る。なお、必要に応じて裁断を行う。この正極作製方法によると、第2スラリーの固形分比率は集電体への塗工に適した範囲であり、第1スラリーの固形分比率は第2スラリーの固形分比率よりも高い。そのため、第1スラリーは、第2スラリーよりも粘度が高く、第1スラリー中に含まれる凝集塊(例えば、二次粒子形状の導電剤が凝集した塊)を混錬(固練り)により解砕することが容易になる。その結果、第1スラリーに活物質と導電剤を均一に分散させることができる。その後、第1スラリーに第2溶媒を添加してこれらを攪拌することにより、活物質と導電剤が均一に分散した第2スラリーを調製することができる。第2スラリーを集電体の少なくとも一方の表面に塗布すると、粒径の大きい活物質粒子は比重が大きいために集電体側に沈降し、活物質粒子よりも比重の小さい導電剤が、塗布により形成された層の表面に分散する。これを乾燥し、プレスを施すことにより、実施形態の正極、特に(3)式も満たす正極が得られる。また、第2スラリーに活物質と導電剤が均一に分散しているため、集電体に塗工した第2スラリーを乾燥後、得られた層状物にプレスを施すと、充填密度を容易に高めることができ、高密度な電極を得られる。
【0040】
第1溶媒、第2溶媒は、互いに同じ種類でも、異なる種類でも良い。第1溶媒、第2溶媒の例に、例えば、N-メチルピロリドン(NMP)等の有機溶媒、水が含まれる。
【0041】
<活物質の組成の測定>
電極に含まれている活物質の組成は、次のとおり測定できる。
【0042】
測定サンプルとしての電極から、例えば、スパチュラなどを用いて活物質含有層を剥がし取り、粉末状の試料を得る。
【0043】
粉末状試料に対する粉末X線回折(X-Ray Diffraction;XRD)測定によって、活物質の結晶構造を同定する。測定は、CuKα線を線源として、2θが10°以上90°以下の測定範囲で行う。この測定により、選定した粒子に含まれる化合物のX線回折パターンを得ることができる。
【0044】
粉末X線回折測定の装置としては、例えば、Rigaku社製SmartLabを用いる。測定条件は以下の通りとする:
X線源:Cuターゲット
出力:45kV、200mA
ソーラスリット:入射及び受光共に5°
ステップ幅:0.02deg
スキャン速度:20deg/分
半導体検出器:D/teX Ultra 250
試料板ホルダー:平板ガラス試料板ホルダー(厚さ0.5mm)
測定範囲:10°≦2θ≦90°の範囲。
【0045】
その他の装置を使用する場合は、上記と同等の測定結果が得られるように、粉末X線回折用標準Si粉末を用いた測定を行い、ピーク強度及びピークトップ位置が上記装置と一致する条件に調整して測定を行う。
【0046】
続いて、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope; SEM)によって、活物質を含有する試料を観察する。SEM観察においても試料が大気に触れないようにし、アルゴンや窒素などの不活性雰囲気で行うことが望ましい。
【0047】
例えば、3000倍のSEM観察像にて、視野内で確認される一次粒子または二次粒子の形態を持つ幾つかの粒子を選定する。この際、選定した粒子の粒度分布ができるだけ広くなるように選定する。観察できた活物質粒子に対するEDX分析により、活物質の構成元素の種類および組成を特定する。これにより、選定したそれぞれの粒子に含まれる元素のうちLi以外の元素の種類及び量を特定することができる。複数の活物質粒子それぞれに対し同様の操作を行い、活物質粒子の混合状態を判断する。
【0048】
続いて、上述したように活物質含有層から採取した粉末状試料をアセトンで洗浄し乾燥する。得られた粉末を塩酸で溶解し、導電剤をろ過して除いた後、イオン交換水で希釈して測定試料を準備する。誘導結合プラズマ発光分光(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy;ICP-AES)分析法により測定試料中の含有金属比を算出する。
【0049】
活物質が複数種類ある場合は、各活物質に固有の元素の含有比率からその重量比を推定する。固有の元素と活物質の重量との比率はEDX分析により求めた構成元素の組成から判断する。例えば、活物質含有層から得られた測定試料には、第1活物質としてリチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物と共に第2活物質としてリチウム含有コバルト複合酸化物が含まれ得る。この場合、求めた金属比から第1及び第2活物質それぞれの化学式および式量を算出し、採取した所定重量の活物質含有層に含まれる第1及び第2活物質の重量比を求める。
【0050】
以上説明した第1の実施形態の電極によれば、活物質は、リチウム含有金属酸化物の第1粒子と、第1粒子の平均粒径D1よりも小さい平均粒径D2を持つリチウム含有金属酸化物の第2粒子とを含む。第1粒子の存在比率が第2粒子よりも多い。また、合剤層のうちの集電体に接する第1表面から集電体に接しない第2表面までの距離をTとした時、第1表面から第2表面に向かって距離2D1/Tまでの範囲に第1粒子が偏在している。このような電極によれば、高容量で、かつ充放電サイクル性能に優れた電池を実現することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、電池に関する。実施形態の電池は、第1実施形態の電極からなる正極と、負極と、非水電解質とを含む。実施形態の電池は、セパレータをさらに含んでいても良い。また、実施形態の電池は、正極、負極及びセパレータを含む電極群を備えていても良い。この場合、非水電解質は、電極群に保持され得る。
【0051】
負極、非水電解質、セパレータについて説明する。
(負極)
負極は、負極活物質、導電剤および結着剤を含む負極合剤層と負極集電体を含む。負極集電体の片面又は両面に負極合剤層が存在した形態が好ましく、負極集電体の両面に負極合剤層が存在する形態がより好ましい。負極合剤層は、負極活物質、導電剤及び結着剤が分散した層であって、負極集電体上に設けられている。
【0052】
負極活物質の例に、金属複合酸化物、炭素質物、金属化合物などが含まれる。負極活物質の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
【0053】
金属複合酸化物の例に、Li4+xTi5O12(xは充放電反応により-1≦x≦3の範囲で変化する)で表されるスピネル型チタン酸リチウム、ラムステライド型Li2+xTi3O7(xは充放電反応により-1≦x≦3の範囲で変化する)、TiとP、V、Sn、Cu、NiおよびFeからなる群より選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物などが挙げられる。TiとP、V、Sn、Cu、NiおよびFeからなる群より選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物としては、例えば、TiO2-P2O5、TiO2-V2O5、TiO2-P2O5-SnO2、TiO2-P2O5-MO(MはCu、Ni及びFeからなる群より選択される少なくとも1つの元素)を挙げることができる。その他、TiNb2O7やTi2Nb10O19など、ニオブチタン複合酸化物が挙げられる。これらの金属複合酸化物は、充電によりリチウムが挿入されることでリチウムチタン複合酸化物に変化する。
【0054】
炭素質物としては、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、コークス、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素を挙げることができる。より好ましい炭素質物として、気相成長炭素繊維、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素が挙げられる。炭素質物は、X線回折による(002)面の面間隔d002が0.34nm以下であることが好ましい。
【0055】
金属化合物としては、金属硫化物、金属窒化物を用いることができる。金属硫化物としては例えばTiS2のような硫化チタン、例えばMoS2のような硫化モリブデン、例えばFeS、FeS2、LixFeS2のような硫化鉄を用いることができる。金属窒化物としては、例えばリチウムコバルト窒化物(例えばLisCotN、0<s<4,0<t<0.5)を用いることができる。
【0056】
導電剤は適切な導電性を有する材料であれば何れのものでも使用できる。例えば、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、グラファイトなどのカーボンを使用することができる。導電剤の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
【0057】
結着剤は、非水電解質電池に通常用いられるものであれば何れのものでも使用することができる。ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム、及びそれらの混合物のような、電気化学的に安定な材料を用いることが好ましい。結着剤の種類は1種類または2種類以上にすることができる。
【0058】
負極集電体は、片面乃至両面に負極合剤層が設けられた導電性の薄膜である。負極集電体には、正極集電体と同様の部材を用いることができる。
【0059】
負極は、例えば負極活物質、導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、作製したスラリーを、負極集電体に塗布し、乾燥し、圧延することにより作製される。負極は、負極集電体の表面に負極合剤層が形成されていない部分には、負極集電タブとなる。負極活物質、導電剤および結着剤の重量比は、負極活物質が80%以上96%以下、導電剤が2%以上18%以下、結着剤が1%以上5%以下になるようにすることが望ましい。導電剤の量を2%以上とすることにより、負極合剤層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の量を1%以上とすることにより、負極合剤層と負極集電体との結着性を高めることができ、優れたサイクル特性を期待できる。一方、導電剤及び結着剤の総量を20%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。負極密度(負極充填密度)は高容量化や入出力特性、合剤層中からのガス抜けの観点から2.0g/cc以上2.8g/cc以下にすることが望ましい。負極がこれらの物性のうちの少なくとも一つを満たすことで、実施形態の非水電解質電池は、電解液との副反応が抑制され、かつガス発生時に、合剤層からのガス抜け性が高くなるため、寿命特性が向上する。
(非水電解質)
非水電解質には、例えば、非水電解液、ゲル状電解質、固体電解質などが使用され得る。非水電解液は、電解質塩と非水溶媒を含む溶液である。電解質塩は、例えばLiPF6、LiBF4、Li(CF3SO2)2N(ビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム;通称LiTFSI)、LiCF3SO3(通称LiTFS)、Li(C2F5SO2)2N(ビスペンタフルオロエタンスルホニルアミドリチウム;通称LiBETI)、LiClO4、LiAsF6、LiSbF6、ビスオキサラトホウ酸リチウム{LiB(C2O4)2、通称;LiBOB}、ジフルオロ(トリフルオロ-2-オキシド-2-トリフルオロ-メチルプロピオナト(2-)-0,0)ホウ酸リチウム{LiBF2OCOOC(CF3)2、通称;LiBF2(HHIB)}のようなリチウム塩を用いることができる。これらの電解質塩は一種類で使用してもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。
【0060】
電解質塩濃度は、0.5モル/L以上3モル/L以下の範囲内にすることが好ましく、1モル/L以上2モル/L以下の範囲内にすることがより好ましい。このような電解質濃度の規定によって、電解質塩濃度の上昇による粘度増加の影響を抑えつつ、高負荷電流を流した場合の性能をより向上することが可能になる。
【0061】
非水溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)やジメチルカーボネート(DMC)あるいはメチルエチルカーボネート(MEC)もしくはジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート、1,2-ジメトキシエタン(DME)、γ-ブチロラクトン(GBL)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeHF)、1,3-ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル(AN)を用いることができる。これらの溶媒は一種類で使用してもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。環状カーボネート及び/または鎖状カーボネートを含む非水溶媒が好ましい。
(セパレータ)
セパレータは、正極と負極の電気的接触を避けるために用いられる。また、電極間の距離によって抵抗及び容積が増大することを避けるために用いられる。セパレータには、多孔構造を有し、イオンが透過可能な材料が用いられる。好ましくは、フィルム化された材料が用いられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はセルロースなどが好ましい。セパレータの片方の面は、正極合剤層の全面と物理的に接触していて、他方の面は、負極合剤層の全面と物理的に接触していることが好ましい。電極表面で発生したガスの透過性および電池の安全性の観点から、JIS8117(2009年)記載の方法にて測定されるセパレータの透気度が、10sec/100cc以上、100sec/100cc以下であることが好ましい。セパレータの透気度をこの範囲にすることで、正負極間の短絡を抑制しつつ、電極表面で発生したガスを電極群に滞留させずセパレータ外へ抜けやすくし、抵抗上昇を抑制することができる。
【0062】
次いで、電極群について説明する。電極群は、正極と、負極と、正極及び負極の間に配置されたセパレータとを含む。電極群は、正極及び負極がその間にセパレータを介して扁平または円筒状に捲回された捲回型電極群、正極及び負極がその間にセパレータを介して積層された積層型電極群などであり得る。
【0063】
電極群は、アスペクト比が1以上1.8以下の範囲であることが望ましい。電極群のアスペクト比をこの範囲とすることで、電極群の中央近傍で発生したガスが電極群外へより抜けやすくなる。より好ましい範囲は、1.1以上1.8以下である。
【0064】
アスペクト比の定義を
図3、
図4を参照して説明する。
図3に示す電極群200は、正極、セパレータ201及び負極が捲回方向に沿って扁平形状に捲回されたものである。電極群200の最外周がセパレータ201で構成されている。捲回軸方向の一方において正極集電体202がセパレータ201よりも突出し、他方において負極集電体203がセパレータ201よりも突出している。電極群200の最大面積の面において、最外周のセパレータ201の二本の対角線が交わる交点をOとする。交点Oを通り、かつ捲回軸と垂直な方向の長さをAとし、Oを通り、かつ捲回軸と平行な方向の長さをBとした際、アスペクト比はB/Aで表される。捲回軸と平行な方向にガスが拡散されるため、アスペクト比(B/A)を1以上1.8以下にすることにより、電極群の中央近傍で発生したガスが電極群外へより抜けやすくなる。
【0065】
図4に示す電極群200は、正極、セパレータ201及び負極が捲回方向に沿って扁平形状に捲回されたものである。電極群200の最外周がセパレータ201で構成されている。捲回軸方向の一方において正極集電体202及び負極集電体203がセパレータ201よりも突出している。電極群200の最大面積の面において、最外周のセパレータ201の二本の対角線が交わる交点をOとする。交点Oを通り、かつ捲回軸と垂直な方向の長さをAとし、交点Oを通り、かつ捲回軸と平行な方向の長さをBとした際、アスペクト比はB/Aで表される。捲回軸と平行な方向にガスが拡散されるため、アスペクト比(B/A)を1以上1.8以下にすることにより、電極群の中央近傍で発生したガスが電極群外へより抜けやすくなる。
【0066】
アスペクト比は、以下の方法で測定される。電池の外装部材を、内部の電極群を傷つけないように解体し、電極群を取り出す。取り出した電極群のうち、セパレータで覆われた部位(セパレータから露出した部分は除く)の中心を通るようにして、上記の寸法A,Bをデジタルノギスで測定し、B/Aを電極群のアスペクト比とした。
【0067】
捲回型電極群は、帯状の正極と、帯状の負極がセパレータを介して積層した帯状の積層体がさらに巻かるなどして積層されたものである。正極集電体上の正極合剤層が設けられた領域を正極塗工部とし、正極集電体上の正極合剤層が設けられていない領域を正極未塗工部とする。正極未塗工部は正極集電体タブとなる。負極集電体上の負極合剤層が設けられた領域を負極塗工部とし、負極集電体上の負極合剤層が設けられていない領域を負極未塗工部とする。負極未塗工部は負極集電体タブとなる。正極、正極集電体、正極合剤層、負極、負極集電体、負極合剤層はいずれも帯状であり得る。
【0068】
正極と負極は、セパレータを介して第1の方向(I)に延び、この第1の方向に直交する第2の方向(II)に幅を有する帯形状を有している。捲回型電極群は、捲回軸に対して直角方向に向かうように外装部材に収納されていることが好ましい。
【0069】
正極と負極はそれぞれ作製後に重ねて捲回することで、捲回型電極群が作製される。正極合剤層の面が負極合剤層の面に対向するよう、つまり正極に非対向部が生じないように、位置の調整を行いながら捲回することが望ましい。捲回型電極群の最外周にある層は絶縁テープで固定されていることが好ましい。
【0070】
実施形態の電池は、外装部材、正極リード、負極リード、蓋、正極端子、負極端子、正極バックアップリード、負極バックアップリード、正極絶縁カバー、負極絶縁カバー、正極ガスケット、負極ガスケット、安全弁、電解液注入口のうちのいずれかをさらに備えていても良い。なお、実施形態の電池は、例えば、充放電が可能な二次電池であり得る。図では、角型の非水電解質電池を示しているが、角型に限定されるものではない。
【0071】
外装部材の例に、ラミネートフィルム製容器、金属製容器などが挙げられる。
【0072】
ラミネートフィルムは、樹脂フィルム間に金属層を介在した多層フィルムを使用することができる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔もしくはアルミニウム合金箔が好ましい。樹脂フィルムは、例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の高分子材料を用いることができる。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行い、外装部材の形状に成形することができる。ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.2mm以下が好ましい。
【0073】
金属製容器は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレスなどを使用することができる。蓋は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレスなどを使用することができる。蓋と外装部材は、同じ種類の金属から形成されることが望ましい。金属製容器の厚さは、例えば、0.5mm以下が好ましい。
【0074】
正極集電タブは、正極バックアップリードで束ねられ、正極リードを介して正極端子と電気的に接続されていても良い。また、負極集電タブは、負極バックアップリードで束ねられ、負極リードを介して負極端子と電気的に接続されていても良い。
【0075】
正極リードは、正極端子と正極バックアップリードを物理的に接続する導電性部材である。正極リードは、アルミニウムやアルミニウム合金などの導電性部材である。正極リードと正極バックアップリードは、例えば、レーザー溶接などによって接合されることが好ましい。
【0076】
負極リードは、負極端子と負極バックアップリードを物理的に接続する導電性部材である。負極リードは、アルミニウムやアルミニウム合金などの導電性部材である。負極リードと負極バックアップリードは、例えば、レーザー溶接などによって接合されることが好ましい。
【0077】
蓋は、捲回型電極群を収容した外装部材の蓋であり、正極端子と負極端子を有する。蓋は、正極端子、負極端子、負極絶縁カバー、正極ガスケット、負極ガスケット、安全弁、電解液注入口を備える。蓋は、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄あるいはステンレスなどの金属又は合金製の成型部材である。蓋と外装部材は、レーザー溶接されているか、接着性樹脂等のシール材によって接着されていることが好ましい。
【0078】
正極端子は、蓋に設けられた二次電池の正極用の電極端子である。正極端子は、アルミニウムやアルミニウム合金等の導電性部材で構成される。正極端子は、絶縁性の正極ガスケットを介して、蓋に固定されている。正極端子は、正極リード、正極バックアップリードを介して、正極と電気的に接続している。
【0079】
負極端子は、蓋に設けられた二次電池の負極用の電極端子である。負極端子は、アルミニウムやアルミニウム合金等の導電性部材で構成される。負極端子は、絶縁性の負極ガスケットを介して、蓋に固定されている。負極端子は、負極リード、負極バックアップリードを介して、負極と電気的に接続している。
【0080】
正極バックアップリードは、正極集電タブを束ね、正極リードに固定された導電性部材である。正極バックアップリードと正極集電タブは、超音波接合によって接合されていることが好ましい。
【0081】
負極バックアップリードは、負極集電タブを束ね、負極リードに固定された導電性部材である。負極バックアップリードと負極集電タブは、超音波接合によって接合されていることが好ましい。
【0082】
正極絶縁カバーは、正極リードと正極バックアップリードを覆う絶縁性の部材である。正極絶縁カバーは、捲回型電極群の正極集電タブを含む一端部を篏合している。正極絶縁カバーは、絶縁性で耐熱性の部材であることが好ましい。正極絶縁カバーとしては、樹脂成型体、紙を主体とする材料の成型体や紙を主体とする材料の成型体を樹脂で被覆した部材などが好ましい。樹脂としては、ポリエチレン樹脂やフッ素樹脂を用いることが好ましい。正極絶縁カバーの形状は、正極リードと正極バックアップリードとが外装部材と接触する形である。正極絶縁カバーを用いることによって、正極と外装部材が絶縁され、また、外部衝撃から集電タブ領域(集電タブ、リード、バックアップリード)を保護することができる。
【0083】
負極絶縁カバーは、負極リードと負極バックアップリードを覆う絶縁性の部材である。負極絶縁カバーは、捲回型電極群の負極集電タブを含む一端部を篏合している。負極絶縁カバーの材質や形状等は、正極絶縁カバーと共通する。正極絶縁カバーと負極絶縁カバーの共通する説明は、省略する。
【0084】
正極ガスケットは、正極端子と外装部材を絶縁する部材である。正極ガスケットは、耐溶剤性で難燃性の樹脂成型体が好ましい。正極ガスケットには、例えば、ポリエチレン樹脂やフッ素樹脂などが用いられる。
【0085】
負極ガスケットは、負極端子と外装部材を絶縁する部材である。負極ガスケットは、耐溶剤性で難燃性の樹脂成型体が好ましい。負極ガスケットには、例えば、ポリエチレン樹脂やフッ素樹脂などが用いられる。
【0086】
安全弁は、蓋に設けられ、外装部材内の内圧が上昇した際に、外装部材内の圧力を低下させる減圧弁として機能する部材である。安全弁は、設けられることが好ましいが、電池の保護機構や電極材料等の条件を考慮して省略することができる。
【0087】
電解液注入口は、電解液を注入するための孔である。電解液の注入後には、樹脂等によって封止されていることが好ましい。
【0088】
図中では、省略しているが、絶縁性の接着テープを用いて各部材が固定ないし接続されていることが好ましい。
【0089】
次に、実施形態に係る電池の具体例を、図面を参照しながら説明する。
【0090】
まず、
図5及び
図6を参照しながら、実施形態に係る第1の例の非水電解質電池を説明する。
【0091】
図5は、実施形態に係る非水電解質電池の一例の一部切欠斜視図である。
図6は、
図5に示す非水電解質電池のA部の拡大断面図である。
【0092】
図5及び
図6に示す非水電解質電池100は、扁平型の電極群1とラミネートフィルム製の外装部材7を具備する。扁平型の電極群1は、負極2と、正極3と、セパレータ4とを含む。扁平型の電極群1は、負極2と正極3とがその間にセパレータ4を介して扁平形状に捲回されたものである。
【0093】
負極2は、
図6に示すように、負極集電体2aと、負極集電体2a上に担持された負極活物質含有層2bとを具備する。なお、
図6に示すように、負極2の最外側に位置する部分では、負極集電体2aの2つの主面のうち正極3と向き合わない主面上には、負極活物質含有層2bが担持されていない。負極2のその他の部分では、負極集電体の両方の主面上に、負極活物質含有層2bが担持されている。正極3は、
図6に示すように、正極集電体3aと、正極集電体3aの2つの主面上に担持された正極活物質含有層3bとを具備する。
【0094】
負極2には帯状の負極端子5が電気的に接続されている。正極3には帯状の正極端子6が電気的に接続されている。
【0095】
電極群1は、ラミネートフィルム製の外装部材7内に、負極端子5及び正極端子6の端部を外装部材7から延出させた状態で収容されている。ラミネートフィルム製外装部材7内には、図示しない非水電解質が収容されている。非水電解質は、電極群1に含浸されている。ラミネートフィルム製の外装部材7は、一端部に負極端子5と正極端子6とを挟んだ状態で、この端部及びこの端部と直交する二端部それぞれを熱融着させることにより封止されている。
【0096】
次に、実施形態に係る電池の他の例を、
図7を参照しながら詳細に説明する。
図7は、実施形態に係る電池の他の例を示す一部切欠き斜視図である。
【0097】
図7に示す電池100は、外装部材が金属製容器17a及び封口板17bから構成されている点で、
図5及び
図6に示す電池100と異なる。
【0098】
扁平型の電極群1は、
図5及び
図6に示す電池100における電極群1と同様に、負極と、正極と、セパレータとを含む。また、
図5と
図7との間で、電極群1は同様な構造を有している。ただし
図7では、後述するとおり負極端子5及び正極端子6に代わって、負極リード15a及び正極リード16aが、それぞれ、負極及び正極に電気的に接続されている。
【0099】
図7に示す電池100では、このような電極群1が、金属製容器17aの中に収容されている。金属製容器17aは、図示しない電解質をさらに収容している。金属製容器17aは、金属製の封口板17bにより封止されている。金属製容器17aと封口板17bとは、例えば、外装部材としての外装缶を構成する。
【0100】
負極リード15aは、その一端が負極集電体に電気的に接続され、他端が負極端子15に電気的に接続されている。正極リード16aは、その一端が正極集電体に電気的に接続され、他端が封口板17bに固定された正極端子16に電気的に接続されている。正極端子16は、封口板17bに絶縁部材17cを介して固定されている。正極端子16と封口板17bとは、絶縁部材17cにより電気的に絶縁されている。
【0101】
図8及び
図9に、電池のさらに他の例として、スタック型の電極群を含む電池を示す。
図8は、実施形態に係る電池のさらに他の例を示す一部切欠き斜視図である。
図9は、
図8に示す電池のB部の拡大断面図である。
【0102】
【0103】
図8及び
図9に示す電極群1は、複数の正極3と、複数の負極2と、1枚のセパレータ4とを備える。
【0104】
各正極3は、
図9に示すように、正極集電体3aと、この正極集電体3aの両面に形成された正極活物質含有層3bとを備えている。また、
図9に示すように、正極集電体3aは、表面に正極活物質含有層3bが形成されていない部分を含んでいる。この部分は、正極集電タブ3cとして働く。
【0105】
各負極2は、負極集電体2aと、この負極集電体2aの両面に形成された負極活物質含有層2bとを備えている。また、負極集電体2aは、表面に負極活物質含有層2bが形成されていない部分を含んでいる(図示せず)。この部分は、負極集電タブとして働く。
【0106】
図9に一部を示すように、セパレータ4は九十九折にされている。九十九折にされたセパレータ4の互いに対向する面によって規定される空間には、正極3又は負極2がそれぞれ配置されている。それにより、正極3と負極2とは、
図9に示すように、正極活物質含有層3bと負極活物質含有層2bとがセパレータ4を間に介在させて対向するように積層されている。かくして、電極群1が形成されている。
【0107】
電極群1の正極集電タブ3cは、
図9に示すように、正極活物質含有層3b及び負極活物質含有層2bのそれぞれの端部よりも外まで延出している。これらの正極集電タブ3cは、
図9に示すように、1つにまとめられて、正極端子6に接続されている。また、図示はしていないが、電極群1の負極集電タブも正極活物質含有層3b及び負極活物質含有層2bのそれぞれの他方の端部よりも外まで延出している。これらの負極集電タブは、図示していないが、1つにまとめられて、
図8に示す負極端子5に接続されている。
【0108】
このような電極群1は、
図8及び
図9に示すように、ラミネートフィルム製の外装容器7からなる外装部材に収容されている。
【0109】
外装容器7は、アルミニウム箔71とその両面に形成された樹脂フィルム72及び73とからなるアルミニウム含有ラミネートフィルムから形成されている。外装容器7を形成するアルミニウム含有ラミネートフィルムは、折り曲げ部7dを折り目として、樹脂フィルム72が内側を向くように折り曲げられて、電極群1を収容している。また、
図8及び
図9に示すように、外装容器7の周縁部7bにおいて、樹脂フィルム72の互いに向き合った部分が、間に正極端子6を挟み込んでいる。同様に、外装容器7の周縁部7cにおいて、樹脂フィルム72の互いに向き合った部分が、間に負極端子5を挟み込んでいる。正極端子6及び負極端子5は、外装容器7から、互いに反対の向きに延出している。
【0110】
正極端子6及び負極端子5を挟み込んだ部分を除く外装容器7の周縁部7a、7b及び7cにおいて、樹脂フィルム72の互いに対向した部分が熱融着されている。
【0111】
また、電池100では、正極端子6と樹脂フィルム72との接合強度を向上させるために、
図9に示すように、正極端子6と樹脂フィルム72との間に絶縁フィルム9が設けられている。また、周縁部7bにおいて、正極端子6と絶縁フィルム9とが熱融着されており、樹脂フィルム72と絶縁フィルム9とが熱融着されている。同様に、図示していないが、負極端子5と樹脂フィルム72との間にも絶縁フィルム9が設けられている。また、周縁部7cにおいて、負極端子5と絶縁フィルム9とが熱融着されており、樹脂フィルム72と絶縁フィルム9とが熱融着されている。すなわち、
図8に示す電池100では、外装容器7の周縁部7a、7b及び7cの全てがヒートシールされている。
【0112】
外装容器7は、図示していない電解質を更に収容している。電解質は、電極群1に含浸されている。
【0113】
図8及び
図9に示す電池100では、
図9に示すように、電極群1の最下層に複数の正極集電タブ3cをまとめている。同様に、図示していないが、電極群1の最下層に複数の負極集電タブをまとめている。しかしながら、例えば、電極群1の中段付近に複数の正極集電タブ3c及び複数の負極集電タブを、それぞれ1つにまとめて、正極端子6及び負極端子5のそれぞれに接続することもできる。
【0114】
以上説明した第2の実施形態の電池によれば、第1実施形態の電極を含むため、高容量で、かつ充放電サイクル性能に優れた電池を実現することができる。
【0115】
(第3の実施形態)
第3の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第2の実施形態に係る電池を含む。
【0116】
実施形態に係る電池パックは、複数の電池を備えることもできる。複数の電池は、電気的に直列に接続することもできるし、又は電気的に並列に接続することもできる。或いは、複数の電池を、直列及び並列の組み合わせで電気的に接続することもできる。すなわち、実施形態に係る電池パックは、組電池を備えていても良い。組電池の数は複数にすることができる。複数の組電池は、直列、並列、又は直列及び並列の組み合わせで電気的に接続することができる。
【0117】
以下に、実施形態に係る電池パックの一例を、
図10及び
図11を参照しながら説明する。
図10は、実施形態に係る電池パックの一例を示す分解斜視図である。
図11は、
図10に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
【0118】
図10及び
図11に示す電池パック20は、複数個の単電池21を備える。単電池21は、例えば、
図5を参照しながら説明した実施形態に係る一例の扁平型の電池100であり得る。
【0119】
複数の単電池21は、外部に延出した負極端子5及び正極端子6が同じ向きに揃えられるように積層され、粘着テープ22で締結されることにより、組電池23を構成している。これらの単電池21は、
図11に示すように互いに電気的に直列に接続されている。
【0120】
プリント配線基板24は、単電池21の負極端子5及び正極端子6が延出する側面に対向するように配置されている。プリント配線基板24には、
図11に示すようにサーミスタ25、保護回路26及び外部機器への通電用端子27が搭載されている。なお、プリント配線基板24には、組電池23と対向する面に、組電池23の配線との不要な接続を回避するために絶縁板(図示せず)が取り付けられている。
【0121】
正極側リード28は、組電池23の最下層に位置する正極端子6に接続され、その先端はプリント配線基板24の正極側コネクタ29に挿入されて電気的に接続されている。負極側リード30は、組電池23の最上層に位置する負極端子5に接続され、その先端はプリント配線基板24の負極側コネクタ31に挿入されて電気的に接続されている。これらのコネクタ29及び31は、プリント配線基板24に形成された配線32及び33を通して保護回路26に接続されている。
【0122】
サーミスタ25は、単電池21の温度を検出し、その検出信号は保護回路26に送信される。保護回路26は、所定の条件で保護回路26と外部機器への通電用端子27との間のプラス側配線34a及びマイナス側配線34bを遮断できる。所定の条件の一例としては、サーミスタ25の検出温度が所定温度以上になったときを挙げられる。また、所定の条件の他の例とは、単電池21の過充電、過放電、又は過電流等を検出したときが挙げられる。この過充電等の検出は、個々の単電池21もしくは組電池23全体について行われる。なお、個々の単電池21を検出する場合、電池電圧を検出してもよいし、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、個々の単電池21中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。
図10及び
図11の電池パック20は、単電池21それぞれに電圧検出のための配線35が接続されている。これら配線35を通して検出信号が保護回路26に送信される。
【0123】
正極端子6及び負極端子5が突出する側面を除く組電池23の三側面には、ゴム若しくは樹脂からなる保護シート36がそれぞれ配置されている。
【0124】
組電池23は、各保護シート36及びプリント配線基板24と共に収容容器37内に収容される。即ち、収容容器37の長辺方向に沿う両方の内側面と短辺方向に沿う内側面それぞれに保護シート36が配置され、組電池23を介して反対側にある他方の短辺方向に沿う内側面にプリント配線基板24が配置される。組電池23は、保護シート36及びプリント配線基板24で囲まれた空間内に位置する。蓋38は、収容容器37の上面に取り付けられている。
【0125】
なお、組電池23の固定には粘着テープ22に代えて、熱収縮テープを用いてもよい。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて組電池を結束させる。
【0126】
図10及び
図11では単電池21を電気的に直列接続した形態を示したが、電池容量を増大させるためには電気的に並列に接続してもよい。さらに、組み上がった電池パックを直列及び/又は並列に電気的に接続することもできる。
【0127】
また、実施形態に係る電池パックの態様は用途により適宜変更される。実施形態に係る電池パックの用途としては、大電流の充放電におけるサイクル性能が望まれるものが好ましい。具体的な用途としては、デジタルカメラの電源用や、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、及びアシスト自転車等の車載用が挙げられる。実施形態に係る電池パックの用途としては、特に、車載用が好適である。
【0128】
第3の実施形態に係る電池パックは、第2の実施形態に係る電池を備えている。従って、実施形態に係る電池パックは高容量で、優れた寿命性能を有する。
[実施例]
以下に例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、発明の主旨を超えない限り本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものでない。
【0129】
(実施例1)
1.非水電解質電池の作製
実施例1では、以下のようにして、角型の非水電解質電池を作製した。
[正極の作製]
正極活物質として、平均粒径D1が20μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第1粒子)と、平均粒径D2が5μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第2粒子)と、平均粒径D2が7μmで、LiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物粒子とを用意した。第1粒子の粒径は、8μm以上25μm以下の範囲内であった。第2粒子の粒径が2μm以上6μm以下の範囲内であった。リチウムコバルト複合酸化物粒子の粒径が3μm以上13μm以下の範囲内であった。
【0130】
第1粒子が69重量%と第2粒子が11重量%とリチウムコバルト複合酸化物粒子が20重量%からなる正極活物質を93重量%と、導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と、黒鉛2重量%とを乾式混合した。得られた混合粉末と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2重量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に固形分比率が82.3重量%となるように懸濁させて固練りすることにより、第1スラリーを調製した。
【0131】
第1スラリーにN-メチルピロリドンを添加して攪拌して希釈することにより、固形分比率が67.0重量%の第2スラリーを調製した。
【0132】
正極集電体として、厚さが12μmであるアルミニウム箔を準備した。正極集電体は、第1の方向(I)に延び、この第1の方向に直交する第2の方向(II)に幅を有する帯形状を有していた。前記手順にて作製した正極第2スラリーを正極合剤層の厚さが100μmとなるように正極集電体の両面に塗布し、乾燥し、正極合剤層を得た。正極第2スラリーを塗布する際に、正極集電体の表面の一部に、第1の方向(I)に延びた帯状のスラリー未塗布部を10mm残し、正極集電体タブを形成した。乾燥後、正極合剤層の幅が90mmとなるように裁断した。裁断後、電極を一定荷重で圧延し、正極を作製した。
[負極の作製]
負極活物質としてのスピネル型チタン酸リチウムLi4Ti5O12及び結着剤としてのPVdF、導電剤としてグラファイトをN-メチルピロリドン中に懸濁させて、負極作製用スラリーを得た。N-メチルピロリドンに投入したチタン酸リチウム、PVdF及びグラファイトの混合比は、それぞれ、95重量%、2重量%および3重量%であった。
【0133】
負極集電体として、厚さが12μmであるアルミニウム箔を準備した。負極集電体は、第1の方向(I)に延び、この第1の方向に直交する第2の方向(II)に幅を有する帯形状を有していた。前記手順にて作製した負極用スラリーを両面に塗布し、乾燥させた。負極用スラリーを塗布する際に、負極集電体の表面の一部に、第1の方向(I)に延びた帯状のスラリー未塗布部を10mm残し、負極集電体タブを形成した。乾燥後、負極集電体上の活物質層の幅が95mmとなるように裁断した。裁断後、電極を一定荷重で圧延し、負極を作製した。
[捲回型電極群の作製]
セパレータとして、JIS8117(2009年)記載の方法にて測定されるセパレータの透気度が60sec/100ccで、厚さが10μmのセルロース製不織布を用意した。かくして得られた正極および負極を、セパレータを介して正極および負極の幅方向に延びた軸を中心にして捲回した。このとき正極合剤層および負極合剤層がセパレータからはみ出さないように、正極合剤層の面が負極合剤層の面に対向するよう、つまり負極合剤層の面から正極合剤層の面がはみ出さないように、位置の調整を行いながら、正極40周分、負極41周分を捲回した。電極群の最外周の負極合剤層の表面に厚さ50μmの絶縁テープを貼り付けて、電極群を固定した。上記のように捲回して作製した電極群にプレスを供し、扁平型の捲回型電極群を得た。正極集電体タブ間を超音波溶着させて正極集電体タブを束ねると共に、負極集電体タブ間を超音波溶着させて負極集電体タブを束ねた。得られた電極群は、
図4に示す構造を有し、B/Aで表されるアスペクト比は1.1であった。
[電池の組み立て]
かくして得られた扁平型の捲回型電極群と非水電解質を、開口部を有したアルミニウム製の有底角型状容器に収納した。この際、正極集電タブおよび負極集電タブがこの開口部に向き合う電極群の端面から延出するようにした。次に、アルミニウム製の矩形の封口板を準備した。封口板は、図示しない3つの開口部が設けられていた。3つの開口部のうちの1つには、角柱の正極端子が嵌め込まれて固定されていた。3つの開口部のうちの他の1つには、絶縁性のガスケットを介して、角柱の負極端子が嵌め込まれて固定されていた。3つの開口部のうちの残りの1つは、電解液を注入するための注入口であった。次に、正極端子の一端と電極群の正極集電タブとを、レーザー溶接によって電気的に接続した。同様に負極端子の一端と電極群の負極集電タブとを、レーザー溶接によって電気的に接続した。次に、封口板の周縁部を、容器の開口部を塞ぐように、容器に溶接した。
【0134】
次に、非水電解液を調製した。非水電解液は、プロピレンカーボネート(PC)及びジエチルカーボネート(DEC)を1:1の容積比で混合して調製した非水溶媒に、六フッ化リン酸リチウムLiPF6を1.2mol/Lの濃度で溶解させて調製した。
【0135】
次に、上記のようにして作製した非水電解液を、封口板に設けられた電解液注入口を介して容器内に注入した。次に、電解液注入口の周縁部に封止蓋を溶接することにより、電池を組み立てた。
(実施例2)
以下の正極を用いること以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
【0136】
正極活物質として、平均粒径D1が14μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第1粒子)と、平均粒径D2が5μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第2粒子)と、LiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物粒子とを用意した。第1粒子の粒径は、8μm以上20μm以下の範囲内であった。第2粒子の粒径が2μm以上6μm以下の範囲内であった。リチウムコバルト複合酸化物粒子の粒径が3μm以上13μm以下の範囲内であった。
【0137】
第1粒子が65重量%と第2粒子が15重量%とリチウムコバルト複合酸化物粒子が20重量%からなる正極活物質を93重量%と、導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と、黒鉛2重量%とを乾式混合した。得られた混合粉末に、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2重量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に固形分比率が82.3重量%となるように懸濁させて固練りすることにより、第1スラリーを調製した。
【0138】
第1スラリーにN-メチルピロリドンを添加して攪拌して希釈することにより、固形分比率が67.0重量%の第2スラリーを調製した。
【0139】
正極集電体として、厚さが12μmであるアルミニウム箔を準備した。正極集電体は、第1の方向(I)に延び、この第1の方向に直交する第2の方向(II)に幅を有する帯形状を有していた。前記手順にて作製した正極第2スラリーを正極合剤層の厚さが40μmとなるように正極集電体の両面に塗布し、乾燥し、正極合剤層を得た。正極第2スラリーを塗布する際に、正極集電体の表面の一部に、第1の方向(I)に延びた帯状のスラリー未塗布部を10mm残し、正極集電体タブを形成した。乾燥後、正極合剤層の幅が90mmとなるように裁断した。裁断後、電極を一定荷重で圧延し、正極を作製した。
(実施例3)
以下の正極を用いること以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
【0140】
正極活物質として、平均粒径D1が20μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第1粒子)と、平均粒径D2が5μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第2粒子)と、LiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物粒子とを用意した。第1粒子の粒径は、8μm以上25μm以下の範囲内であった。第2粒子の粒径が2μm以上6μm以下の範囲内であった。リチウムコバルト複合酸化物粒子の粒径が3μm以上13μm以下の範囲内であった。
【0141】
第1粒子が78重量%と第2粒子が2重量%とリチウムコバルト複合酸化物粒子が20重量%からなる正極活物質を93重量%と、導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と、黒鉛2重量%とを乾式混合した。得られた混合粉末に、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2重量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に固形分比率が82.3重量%となるように懸濁させて固練りすることにより、第1スラリーを調製した。
【0142】
第1スラリーにN-メチルピロリドンを添加して攪拌して希釈することにより、固形分比率が67.0重量%の第2スラリーを調製した。
【0143】
正極集電体として、厚さが12μmであるアルミニウム箔を準備した。正極集電体は、第1の方向(I)に延び、この第1の方向に直交する第2の方向(II)に幅を有する帯形状を有していた。前記手順にて作製した正極第2スラリーを正極合剤層の厚さが100μmとなるように正極集電体の両面に塗布し、乾燥し、正極合剤層を得た。正極第2スラリーを塗布する際に、正極集電体の表面の一部に、第1の方向(I)に延びた帯状のスラリー未塗布部を10mm残し、正極集電体タブを形成した。乾燥後、正極合剤層の幅が90mmとなるように裁断した。裁断後、電極を一定荷重で圧延し、正極を作製した。
(実施例4)
以下の正極を用いること以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
【0144】
正極活物質として、平均粒径D1が14μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第1粒子)と、平均粒径D2が1μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第2粒子)と、LiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物粒子とを用意した。第1粒子の粒径は、8μm以上20μm以下の範囲内であった。第2粒子の粒径が0.5μm以上1.4μm以下の範囲内であった。リチウムコバルト複合酸化物粒子の粒径が3μm以上13μm以下の範囲内であった。
【0145】
第1粒子が78重量%と第2粒子が2重量%とリチウムコバルト複合酸化物粒子が20重量%からなる正極活物質を93重量%と、導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と、黒鉛2重量%とを乾式混合した。得られた混合粉末に、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2重量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に固形分比率が82.3重量%となるように懸濁させて固練りすることにより、第1スラリーを調製した。
【0146】
第1スラリーにN-メチルピロリドンを添加して攪拌して希釈することにより、固形分比率が67.0重量%の第2スラリーを調製した。
【0147】
正極集電体として、厚さが12μmであるアルミニウム箔を準備した。正極集電体は、第1の方向(I)に延び、この第1の方向に直交する第2の方向(II)に幅を有する帯形状を有していた。前記手順にて作製した正極第2スラリーを正極合剤層の厚さが100μmとなるように正極集電体の両面に塗布し、乾燥し、正極合剤層を得た。正極第2スラリーを塗布する際に、正極集電体の表面の一部に、第1の方向(I)に延びた帯状のスラリー未塗布部を10mm残し、正極集電体タブを形成した。乾燥後、正極合剤層の幅が90mmとなるように裁断した。裁断後、電極を一定荷重で圧延し、正極を作製した。
(実施例5)
以下の正極を用いること以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
【0148】
正極活物質として、平均粒径D1が14μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第1粒子)と、平均粒径D2が6μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第2粒子)と、LiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物粒子とを用意した。第1粒子の粒径は、8μm以上20μm以下の範囲内であった。第2粒子の粒径が4.5μm以上7μm以下の範囲内であった。リチウムコバルト複合酸化物粒子の粒径が3μm以上13μm以下の範囲内であった。
【0149】
第1粒子が73重量%と第2粒子が7重量%とリチウムコバルト複合酸化物粒子が20重量%からなる正極活物質を93重量%と、導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と、黒鉛2重量%とを乾式混合した。得られた混合粉末に、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2重量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に固形分比率が82.3重量%となるように懸濁させて固練りすることにより、第1スラリーを調製した。
【0150】
第1スラリーにN-メチルピロリドンを添加して攪拌して希釈することにより、固形分比率が67.0重量%の第2スラリーを調製した。
【0151】
正極集電体として、厚さが12μmであるアルミニウム箔を準備した。正極集電体は、第1の方向(I)に延び、この第1の方向に直交する第2の方向(II)に幅を有する帯形状を有していた。前記手順にて作製した正極第2スラリーを正極合剤層の厚さが100μmとなるように正極集電体の両面に塗布し、乾燥し、正極合剤層を得た。正極第2スラリーを塗布する際に、正極集電体の表面の一部に、第1の方向(I)に延びた帯状のスラリー未塗布部を10mm残し、正極集電体タブを形成した。乾燥後、正極合剤層の幅が90mmとなるように裁断した。裁断後、電極を一定荷重で圧延し、正極を作製した。
(実施例6)
以下の正極を用いること以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
【0152】
正極活物質として、平均粒径D1が19μmで、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第1粒子)と、平均粒径D2が5μmで、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第2粒子)と、LiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物粒子とを用意した。第1粒子の粒径は、8μm以上23μm以下の範囲内であった。第2粒子の粒径が2μm以上6μm以下の範囲内であった。リチウムコバルト複合酸化物粒子の粒径が3μm以上13μm以下の範囲内であった。
【0153】
第1粒子が75重量%と第2粒子が5重量%とリチウムコバルト複合酸化物粒子が20重量%からなる正極活物質を93重量%と、導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と、黒鉛2重量%とを乾式混合した。得られた混合粉末に、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2重量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に固形分比率が82.3重量%となるように懸濁させて固練りすることにより、第1スラリーを調製した。
【0154】
第1スラリーにN-メチルピロリドンを添加して攪拌して希釈することにより、固形分比率が65.0重量%の第2スラリーを調製した。
【0155】
正極集電体として、厚さが12μmであるアルミニウム箔を準備した。正極集電体は、第1の方向(I)に延び、この第1の方向に直交する第2の方向(II)に幅を有する帯形状を有していた。前記手順にて作製した正極第2スラリーを正極合剤層の厚さが120μmとなるように正極集電体の両面に塗布し、乾燥し、正極合剤層を得た。正極第2スラリーを塗布する際に、正極集電体の表面の一部に、第1の方向(I)に延びた帯状のスラリー未塗布部を10mm残し、正極集電体タブを形成した。乾燥後、正極合剤層の幅が90mmとなるように裁断した。裁断後、電極を一定荷重で圧延し、正極を作製した。
(実施例7)
以下の正極を用いること以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
【0156】
正極活物質として、平均粒径D1が13μmで、LiMn2O4で表されるリチウムマンガン複合酸化物粒子(第1粒子)と、平均粒径D2が3μmで、LiMn2O4で表されるリチウムマンガン複合酸化物粒子(第2粒子)と、LiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物粒子とを用意した。第1粒子の粒径は、8μm以上18μm以下の範囲内であった。第2粒子の粒径が1.5μm以上5μm以下の範囲内であった。リチウムコバルト複合酸化物粒子の粒径が3μm以上13μm以下の範囲内であった。
【0157】
第1粒子が74重量%と第2粒子が6重量%とリチウムコバルト複合酸化物粒子が20重量%からなる正極活物質を93重量%と、導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と、黒鉛2重量%とを乾式混合した。得られた混合粉末に、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2重量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に固形分比率が82.3重量%となるように懸濁させて固練りすることにより、第1スラリーを調製した。
【0158】
第1スラリーにN-メチルピロリドンを添加して攪拌して希釈することにより、固形分比率が65.0重量%の第2スラリーを調製した。
【0159】
正極集電体として、厚さが12μmであるアルミニウム箔を準備した。正極集電体は、第1の方向(I)に延び、この第1の方向に直交する第2の方向(II)に幅を有する帯形状を有していた。前記手順にて作製した正極第2スラリーを正極合剤層の厚さが150μmとなるように正極集電体の両面に塗布し、乾燥し、正極合剤層を得た。正極第2スラリーを塗布する際に、正極集電体の表面の一部に、第1の方向(I)に延びた帯状のスラリー未塗布部を10mm残し、正極集電体タブを形成した。乾燥後、正極合剤層の幅が90mmとなるように裁断した。裁断後、電極を一定荷重で圧延し、正極を作製した。
(実施例8)
【0160】
正極合剤層の幅が82mm、負極集電体上の活物質層の幅が87mmとなるように裁断し、アスペクト比が表1に示す値となるように電極群を捲回したこと以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
(実施例9)
【0161】
正極合剤層の幅が162mm、負極集電体上の活物質層の幅が171mmとなるように裁断し、アスペクト比が表1に示す値となるように電極群を捲回したこと以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
(実施例10)
【0162】
透気度が20sec/100ccであるセパレータを用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
(実施例11)
【0163】
透気度が100sec/100ccであるセパレータを用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
(比較例1)
以下の正極を用いること以外は、実施例1と同様にして電池を組み立てた。
【0164】
正極活物質として、平均粒径D1が12μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第1粒子)と、平均粒径D2が5μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第2粒子)と、LiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物粒子とを用意した。第1粒子の粒径は、8μm以上12μm以下の範囲内であった。第2粒子の粒径が2μm以上6μm以下の範囲内であった。リチウムコバルト複合酸化物粒子の粒径が3μm以上13μm以下の範囲内であった。
【0165】
第1粒子が36重量%と第2粒子が44重量%とリチウムコバルト複合酸化物粒子が20重量%からなる正極活物質を93重量%と、導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と、黒鉛2重量%とを乾式混合した。得られた混合粉末に、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2重量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に固形分比率が82.3重量%となるように懸濁させてスラリーを調製した。
【0166】
正極集電体として、厚さが12μmであるアルミニウム箔を準備した。正極集電体は、第1の方向(I)に延び、この第1の方向に直交する第2の方向(II)に幅を有する帯形状を有していた。前記手順にて作製した正極第2スラリーを正極合剤層の厚さが40μmとなるように正極集電体の両面に塗布し、乾燥し、正極合剤層を得た。正極第2スラリーを塗布する際に、正極集電体の表面の一部に、第1の方向(I)に延びた帯状のスラリー未塗布部を10mm残し、正極集電体タブを形成した。乾燥後、正極合剤層の幅が90mmとなるように裁断した。裁断後、電極を一定荷重で圧延し、正極を作製した。
(比較例2)
【0167】
正極活物質として、平均粒径D1が10μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第1粒子)と、平均粒径D2が5μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第2粒子)と、LiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物粒子とを用意した。第1粒子の粒径は、8μm以上12μm以下の範囲内であった。第2粒子の粒径が2μm以上6μm以下の範囲内であった。リチウムコバルト複合酸化物粒子の粒径が3μm以上13μm以下の範囲内であった。
【0168】
第1粒子が72重量%と第2粒子が8重量%とリチウムコバルト複合酸化物粒子が20重量%からなる正極活物質を93重量%と、導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と黒鉛2重量%と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2重量%とをN-メチルピロリドン(NMP)中に固形分比率が82.3重量%となるように懸濁させてスラリーを調製した。
【0169】
正極合剤層の厚さが105μmとなるように正極スラリーを正極集電体の両面に塗布したことを除き、実施例1と同様の手順で電池を作製した。
(比較例3)
【0170】
正極活物質として、平均粒径D1が25μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第1粒子)と、平均粒径D2が5μmで、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物粒子(第2粒子)と、LiCoO2で表されるリチウムコバルト複合酸化物粒子を用意した。第1粒子の粒径は、8μm以上25μm以下の範囲内であった。第2粒子の粒径が2μm以上6μm以下の範囲内であった。リチウムコバルト複合酸化物粒子の粒径が3μm以上13μm以下の範囲内であった。
【0171】
第1粒子が69重量%と第2粒子が11重量%とリチウムコバルト複合酸化物粒子が20重量%からなる正極活物質を93重量%と、導電剤としてのアセチレンブラック3重量%と黒鉛2重量%と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)2重量%とをN-メチルピロリドン(NMP)中に固形分比率が75.5重量%となるように懸濁させてスラリーを調製した。
【0172】
正極合剤層の厚さが90μmとなるように正極スラリーを正極集電体の両面に塗布したことを除き、実施例1と同様の手順で電池を作製した。
【0173】
得られた電池について、第1粒子の存在比率として(1)式で表される存在比率(%)、正極合剤層厚さT(μm)、第1粒子偏在領域の範囲を定める2D1/Tの値、2D1/T×1.05、A3/A1、T/2(μm)、T1S(μm2)、T2S(μm2)を前述の方法で測定した。T1S(μm2)とT2S(μm2)から、T2S/T1Sを算出した。T2S/T1Sと、存在比率(%)、正極合剤層厚さT(μm)、2D1/T、2D1/T×1.05、A3/A1、T/2(μm)を下記表1,2に示す。
[放電容量1の測定]
かくして作製した電池を、25℃環境下にて1Cで2.7Vまで定電流充電を行い、その後定電圧充電を電流値が0.1Cとなるまで行い、30分休止した後に、0.5Cで電圧が1.5Vになるまで定電流放電を行った。この時の放電容量1とした。
[サイクル試験]
放電容量1を測定した電池を、45℃環境下にて2Cで2.7Vまで定電流充電を行い、その後定電圧充電を電流値が0.1Cとなるまで行い、10分休止した後に、2Cで電圧が1.5Vになるまで定電流放電を行い、10分休止した。この充電、休止、放電、休止を1サイクルとして、1000サイクルを繰り返した。
[放電容量2の測定、放電容量率]
サイクル試験後、電池を25℃環境下にて3時間冷却し、25℃環境下にて1Cで2.7Vまで定電流充電を行い、その後定電圧充電を電流値が0.1Cとなるまで行い、30分休止した後に、0.5Cで電圧が1.5Vになるまで定電流放電を行った。この時の放電容量2とした。放電容量率[%]=[放電容量2]/[放電容量1]×100として、放電容量率を算出した。
[正極の単位体積あたり容量の測定]
上記手順にて作製した正極の片面をNMPで剥ぎ落とし、2cm×2cmに裁断した後、正極の厚みと重量を測定した。これとは別に、正極の両面をNMPで剥ぎ落とし、2cm×2cmに裁断した後、集電箔の厚みおよび重量を測定した。これらの結果から、試料中の活物質重量と試料の活物質層の密度が得られた。95℃、-100kPaにて12時間の乾燥を行った。乾燥後の試料と、対極・参照極として金属リチウム、セパレータとしてガラスろ紙、電解液としてエチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を1:2の容積比で混合して調製した非水溶媒に、六フッ化リン酸リチウムLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させて調製したものを用いて、三極式ガラスセルを作製した。
【0174】
作製したガラスセルを、25℃、電位範囲3.0-4.25V (vs.Li/Li+)にて、0.2C電流で初回充放電試験を行った。4.25Vまで定電流充電し、定電圧充電を10時間継続した後、10分休止し、0.2C電流で3.0Vまで定電流放電を行った。
【0175】
この時、得られた放電容量を活物質の重量で除し、さらに電極密度で除し、正極の単位体積あたり容量を得た。実施例1の正極単位体積あたり容量を1として、他の例の値を示す。
【0176】
【0177】
【0178】
実施例1~11では、高容量かつ良好な充放電サイクル特性が得られた。大粒子と小粒子が適度な存在比率であるため充填密度の高い高容量な電極が得られ、さらに大電流に晒される集電箔側に比表面積の小さい大粒径が多数存在することで、集電箔側に存在する活物質の表面積が小さく、電解液との副反応が抑制され、かつガス発生時には合剤層からのガス抜け性が良く、合剤層の滑落が抑制される。実施例1~11では、T2S/T1Sが2よりも大きく、T2S>2×T1S (3)式を満たしている。そのため、集電箔からの電子電導距離が大きい第2表面(S2)側に導電剤が多く分布することで電流密度分布を抑制し、サイクル後の放電容量率が高くなった。
【0179】
LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2を正極活物質として用いた実施例6、LiMn2O4を正極活物質として用いた実施例7は、いずれも単位当たり容量及び放電容量維持率が高かった。よって、正極活物質としてリチウム含有金属酸化物を用いると、高容量且つ充放電サイクル性能に優れた電池を提供できる。特に、実施例6の放電容量維持率は93%と高く、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2を正極活物質に用いた実施例1の放電容量維持率と同じであった。したがって、一般式LixCo1-y-zMnyNizO2(0<x≦1、0<y≦1、0<z≦1、0≦1-y-z≦1)で表されるリチウム含有ニッケルマンガン複合酸化物を正極活物質として用いることで、特に充放電サイクル性能に優れた電池を提供できる。
【0180】
アスペクト比が1である実施例8、アスペクト比が1.8である実施例9は、いずれも単位当たり容量及び放電容量維持率が優れていた。よって、電極群のアスペクト比が1以上1.8以下の範囲であると、高容量且つ充放電サイクル性能に優れた電池を提供できる。
【0181】
透気度が20sec/100mlであるセパレータを用いた実施例10、透気度が100sec/100mlであるセパレータを用いた実施例11は、いずれも単位当たり容量及び放電容量維持率が優れていた。よって、セパレータの透気度が20sec/100ml以上100sec/100ml以下であると、高容量且つ充放電サイクル性能に優れた電池を提供できる。
【0182】
比較例1では、電極合剤層に存在する活物質の粒子径が揃うため充填密度が低くなり、単位体積あたりの容量が低くなった。さらに小粒子の存在比率が高いため、活物質の表面積が大きく、電解液との副反応が大きくなり、ガス発生量が増加し、合剤層からのガス抜け性も悪く、充放電サイクルにおいて合剤層の滑落が生じた結果、サイクル後の放電容量率が低くなった。
比較例2では、電極合剤層に存在する活物質の粒子径が揃うため充填密度が低くなり、単位体積あたりの容量が低くなった。
比較例3では、集電箔側の電極合剤層に偏在する大粒子の存在比率が低いため、集電箔側に存在する活物質の表面積が大きく、電解液との副反応が大きくなり、合剤層からのガス抜け性も悪く、充放電サイクルにおいて合剤層の滑落が生じた。
【0183】
以上に説明した少なくとも一つの実施形態および実施例に係る電極に含まれる活物質は、リチウム含有金属酸化物の第1粒子と、第1粒子の平均粒径D1よりも小さい平均粒径D2を持つリチウム含有金属酸化物の第2粒子とを含む。第1粒子の存在比率が第2粒子よりも多い。また、第1粒子が電極において偏在している。このような電極によれば、高容量で、かつ充放電サイクル性能に優れた電池を実現することができる。
【0184】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 集電体と、前記集電体の少なくとも一方の面に形成され、活物質を含む合剤層とを含む電極であって、
前記活物質は、リチウム含有金属酸化物の第1粒子と、前記第1粒子の平均粒径D
1
よりも小さい平均粒径D
2
を持つリチウム含有金属酸化物の第2粒子とを含み、
前記第1粒子と前記第2粒子の下記(1)式で表される存在比率が60%以上90%以下であり、
{A1/(A1+A2)}×100 (1)
前記合剤層のうちの前記集電体に接する第1表面から前記集電体に接しない第2表面までの距離をTとした時、A1は、前記距離Tを長さに持つ前記合剤層の面における前記第1粒子の面積の合計であり、A2は、前記合剤層の面における前記第2粒子の面積の合計であり、
前記第1表面から前記第2表面に向かって距離2D
1
/Tまでの範囲に前記第1粒子が下記(2)式を満たす比率で偏在している、
(A3/A1)≧2D
1
/T×1.05 (2)
ここで、A3は、前記合剤層の面の前記範囲に存在する前記第1粒子の面積の合計である、電極。
[2] 前記第1粒子の粒径が8μm以上25μm以下の範囲内であり、前記第2粒子の粒径が0.5μm以上7μm以下の範囲内で、かつ前記第1粒子の粒径よりも小さい、[1]記載の電極。
[3] 前記第1粒子の粒径が8μm以上25μm以下の範囲内であり、前記第2粒子の粒径が1μm以上6μm以下の範囲内で、かつ前記第1粒子の粒径よりも小さい、[1]記載の電極。
[4] 前記合剤層は、二次粒子形状の導電剤をさらに含み、前記合剤層の面における前記第1表面から前記第2表面に向かって距離T/2までの範囲に含まれる前記導電剤の合計面積をT1S(μm
2
)、前記第2表面から前記第1表面に向かって距離T/2までの範囲に含まれる前記導電剤の合計面積をT2S(μm
2
)とした際、下記(3)式を満たす、
T2S>2×T1S (3)
[1]~[3]のいずれか1項に記載の電極。
[5] 前記リチウム含有金属酸化物は、リチウム含有ニッケルコバルトマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケルマンガン複合酸化物及びリチウム含有マンガン複合酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の電極。
[6] 前記リチウム含有金属酸化物は、Li
a
Ni
(1-x-y)
Co
x
Mn
y
O
2
(0.9≦a≦1.2、0<x≦0.5、0<y≦0.5、x≧y、0.6≦1-x-y≦0.9)、Li
x
Co
1-y-z
Mn
y
Ni
z
O
2
(0<x≦1、0<y≦1、0<z≦1、0≦1-y-z≦1)、及びLi
x
Mn
2
O
4
(0<x≦1)よりなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の電極。
[7] 前記活物質は、リチウム含有コバルト複合酸化物の粒子をさらに含む、[5]または[6]のいずれか1項に記載の電極。
[8] [1]~[7]のいずれか1項に記載の電極からなる正極と、
負極と
を含む、電池。
[9] 透気度が20sec/100ml以上100sec/100ml以下のセパレータをさらに含む、[8]に記載の電池。
[10] 前記正極と、前記負極と、前記正極及び前記負極の間に配置される前記セパレータとが捲回された電極群を備え、前記電極群のアスペクト比が1以上、1.8以下である、[9]に記載の電池。
[11] [8]~[10]のいずれか1項に記載の電池を含む、電池パック。
【符号の説明】
【0185】
1…電極群、2…負極、2a…負極集電体、2b…負極活物質含有層、3…正極、3a…正極集電体、3b…正極活物質含有層、3c…正極集電タブ、4…セパレータ、5…負極端子、6…正極端子、7…外装部材、15…負極端子、15a…負極リード、16…正極端子、16a…正極リード、17a…金属製容器、17b…封口板、17c…絶縁部材、20…電池パック、23…組電池、24…プリント配線基板、25…サーミスタ、26…保護回路、27…通電用端子、28…正極側リード、30…負極側リード、36…保護シート、37…収容容器、38…蓋。