(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】外向きヘリンボーン座席配置
(51)【国際特許分類】
B64D 11/06 20060101AFI20241209BHJP
B60N 2/01 20060101ALI20241209BHJP
B60N 2/34 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B64D11/06
B60N2/01
B60N2/34
(21)【出願番号】P 2022553094
(86)(22)【出願日】2021-03-02
(86)【国際出願番号】 GB2021050523
(87)【国際公開番号】W WO2021176209
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2024-03-01
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515069875
【氏名又は名称】アキュメン デザイン アソシエイツ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ,アンディー
(72)【発明者】
【氏名】フェントン,ジョナサン
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0308164(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0300177(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0047641(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0243352(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
B60N 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機客室内の乗客座席配置であって、前記乗客座席配置は、通路に隣接して配置される座席ユニットの列を備え、
前記座席ユニットの列及び前記通路は共に、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に延びており、前記列は、前記縦方向に沿って連続的に配置される複数の座席ユニットを有し、
各座席ユニットは、
前記座席ユニットの一端に設けられる座席モジュールと、
前記座席ユニットの他端に設けられる足受構造とを有し、前記座席モジュールは、
座部、
背もたれ、及び
背もたれの後部を囲む覆いを有し、
各座席ユニットは、座席構成とフラットベッド構成との間で構成可能であり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に配向され、通路から離反するように外側に面しており、
前記列内の座席ユニットの座部と前記列内の隣の座席ユニットの前記覆いとの間の空間が、前記通路から前記座席ユニットにアクセスするためのアクセス開口を規定し、
前記アクセス開口は、健常な乗客がアクセスするための第1の幅を有し、
前記座席ユニットまたは前記隣の座席ユニットは、移動弱者(PRM)アクセス構成に構成可能であり、前記PRMアクセス構成で、身体障害の乗客が前記座席ユニットにアクセスできるように、前記座席モジュールが動かされて前記アクセス開口が前記第1の幅から当該第1の幅よりも大きな第2の幅に一時的に拡がり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に指向する長手方向軸を備え、前記PRMアクセス構成において前記座席モジュールは、前記座席ユニットの前記長手方向軸に沿う方向に移動され、
前記PRMアクセス構成において前記座席モジュールは、前記座席ユニットの前記長手方向軸に沿う方向に、前記通路に向けて移動される、乗客座席配置。
【請求項2】
航空機客室内の乗客座席配置であって、前記乗客座席配置は、通路に隣接して配置される座席ユニットの列を備え、前記座席ユニットの列及び前記通路は共に、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に延びており、
前記列は、前記縦方向に沿って連続的に配置される複数の座席ユニットを有し、
各座席ユニットは、
前記座席ユニットの一端に設けられる座席モジュールと、
前記座席ユニットの他端に設けられる足受構造とを有し、前記座席モジュールは、
座部、
背もたれ、及び
背もたれの後部を囲む覆いを有し、
各座席ユニットは、座席構成とフラットベッド構成との間で構成可能であり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に配向され、通路から離反するように外側に面しており、
前記列内の座席ユニットの座部と前記列内の隣の座席ユニットの前記覆いとの間の空間が、前記通路から前記座席ユニットにアクセスするためのアクセス開口を規定し、
前記アクセス開口は、健常な乗客がアクセスするための第1の幅を有し、
前記座席ユニットまたは前記隣の座席ユニットは、移動弱者(PRM)アクセス構成に構成可能であり、前記PRMアクセス構成で、身体障害の乗客が前記座席ユニットにアクセスできるように、前記座席モジュールが動かされて前記アクセス開口が前記第1の幅から当該第1の幅よりも大きな第2の幅に一時的に拡がり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に指向する長手方向軸を備え、前記PRMアクセス構成において前記座席モジュールは、前記座席ユニットの前記長手方向軸に沿う方向に移動され、
前記隣の座席ユニットは、前記PRMアクセス構成に構成可能であり、
前記座席モジュールは、前記座席ユニットの前記長手方向軸に沿う方向で、前記通路から離れるように移動される、乗客座席配置。
【請求項3】
航空機客室内の乗客座席配置であって、前記乗客座席配置は、通路に隣接して配置される座席ユニットの列を備え、前記座席ユニットの列及び前記通路は共に、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に延びており、
前記列は、前記縦方向に沿って連続的に配置される複数の座席ユニットを有し、
各座席ユニットは、
前記座席ユニットの一端に設けられる座席モジュールと、
前記座席ユニットの他端に設けられる足受構造とを有し、前記座席モジュールは、
座部、背もたれ、及び
背もたれの後部を囲む覆いを有し、
各座席ユニットは、座席構成とフラットベッド構成との間で構成可能であり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に配向され、通路から離反するように外側に面しており、
前記列内の座席ユニットの座部と前記列内の隣の座席ユニットの前記覆いとの間の空間が、前記通路から前記座席ユニットにアクセスするためのアクセス開口を規定し、
前記アクセス開口は、健常な乗客がアクセスするための第1の幅を有し、
前記座席ユニットまたは前記隣の座席ユニットは、移動弱者(PRM)アクセス構成に構成可能であり、前記PRMアクセス構成で、身体障害の乗客が前記座席ユニットにアクセスできるように、前記座席モジュールが動かされて前記アクセス開口が前記第1の幅から当該第1の幅よりも大きな第2の幅に一時的に拡がり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に指向する長手方向軸を備え、
前記PRMアクセス構成において前記座席モジュールは、前記座席ユニットの前記長手方向軸に沿う方向に移動され、
前記座席ユニットおよび前記隣の座席ユニットは、前記座席ユニットの前記座席モジュールを前記座席ユニットの長手方向軸に沿う方向に前記通路に向かって移動させ、前記隣の座席ユニットの前記座席モジュールを前記座席ユニットの長手方向軸に沿う方向に前記通路から遠ざかるよう移動させるPRMアクセス構成に構成可能である、乗客座席配置。
【請求項4】
航空機客室内の乗客座席配置であって、前記乗客座席配置は、通路に隣接して配置される座席ユニットの列を備え、前記座席ユニットの列及び前記通路は共に、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に延びており、
前記列は、前記縦方向に沿って連続的に配置される複数の座席ユニットを有し、
各座席ユニットは、
前記座席ユニットの一端に設けられる座席モジュールと、
前記座席ユニットの他端に設けられる足受構造とを有し、前記座席モジュールは、
座部、
背もたれ、及び
背もたれの後部を囲む覆いを有し、
各座席ユニットは、座席構成とフラットベッド構成との間で構成可能であり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に配向され、通路から離反するように外側に面しており、
前記列内の座席ユニットの座部と前記列内の隣の座席ユニットの前記覆いとの間の空間が、前記通路から前記座席ユニットにアクセスするためのアクセス開口を規定し、
前記アクセス開口は、健常な乗客がアクセスするための第1の幅を有し、
前記座席ユニットまたは前記隣の座席ユニットは、移動弱者(PRM)アクセス構成に構成可能であり、前記PRMアクセス構成で、身体障害の乗客が前記座席ユニットにアクセスできるように、前記座席モジュールが動かされて前記アクセス開口が前記第1の幅から当該第1の幅よりも大きな第2の幅に一時的に拡がり、
前記PRMアクセス構成において、前記座席モジュールは、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に移動され、
前記隣の座席ユニットは前記PRMアクセス構成に構成可能であり、
前記座席モジュールは前記縦方向に前記客室の前方に向かって移動される、乗客座席配置。
【請求項5】
航空機客室内の乗客座席配置であって、前記乗客座席配置は、通路に隣接して配置される座席ユニットの列を備え、前記座席ユニットの列及び前記通路は共に、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に延びており、
前記列は、前記縦方向に沿って連続的に配置される複数の座席ユニットを有し、
各座席ユニットは、
前記座席ユニットの一端に設けられる座席モジュールと、
前記座席ユニットの他端に設けられる足受構造とを有し、前記座席モジュールは、
座部、
背もたれ、及び
背もたれの後部を囲む覆いを有し、
各座席ユニットは、座席構成とフラットベッド構成との間で構成可能であり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に配向され、通路から離反するように外側に面しており、
前記列内の座席ユニットの座部と前記列内の隣の座席ユニットの前記覆いとの間の空間が、前記通路から前記座席ユニットにアクセスするためのアクセス開口を規定し、
前記アクセス開口は、健常な乗客がアクセスするための第1の幅を有し、
前記座席ユニットまたは前記隣の座席ユニットは、移動弱者(PRM)アクセス構成に構成可能であり、前記PRMアクセス構成で、身体障害の乗客が前記座席ユニットにアクセスできるように、前記座席モジュールが動かされて前記アクセス開口が前記第1の幅から当該第1の幅よりも大きな第2の幅に一時的に拡がり、
前記PRMアクセス構成において、前記座席モジュールは、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に移動され、
前記座席ユニットおよび前記隣の座席ユニットは、前記座席ユニットの前記座席モジュールを前記縦方向に前記客室の後方に移動させ、前記隣の座席ユニットの前記座席モジュールを前記縦方向に前記客室の前方に移動させるPRMアクセス構成に構成可能である、乗客座席配置。
【請求項6】
航空機客室内の乗客座席配置であって、前記乗客座席配置は、通路に隣接して配置される座席ユニットの列を備え、
前記座席ユニットの列及び前記通路は共に、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に延びており、
前記列は、前記縦方向に沿って連続的に配置される複数の座席ユニットを有し、
各座席ユニットは、
前記座席ユニットの一端に設けられる座席モジュールと、前記座席ユニットの他端に設けられる足受構造とを有し、前記座席モジュールは、
座部、
背もたれ、及び
背もたれの後部を囲む覆いを有し、
各座席ユニットは、座席構成とフラットベッド構成との間で構成可能であり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に配向され、通路から離反するように外側に面しており、
前記列内の座席ユニットの座部と前記列内の隣の座席ユニットの前記覆いとの間の空間が、前記通路から前記座席ユニットにアクセスするためのアクセス開口を規定し、
前記アクセス開口は、健常な乗客がアクセスするための第1の幅を有し、
前記座席ユニットまたは前記隣の座席ユニットは、移動弱者(PRM)アクセス構成に構成可能であり、前記PRMアクセス構成で、身体障害の乗客が前記座席ユニットにアクセスできるように、前記座席モジュールが動かされて前記アクセス開口が前記第1の幅から当該第1の幅よりも大きな第2の幅に一時的に拡がり、
各座席ユニットは、1つの座席ユニットを前記隣の座席ユニットから遮蔽す
るプライバシースクリーンを
有し、各座席モジュールの前記覆いは、前記プライバシースクリーンの端部に隣接し、
前記覆いは、前記PRMアクセス構成への移動中および前記PRMアクセス構成からの移動中に前記覆いと前記スクリーンとの相対移動を可能にするために、前記プライバシースクリーンの端部に柔軟に接続される、乗客座席配置。
【請求項7】
航空機客室内の乗客座席配置であって、前記乗客座席配置は、通路に隣接して配置される座席ユニットの列を備え、
前記座席ユニットの列及び前記通路は共に、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に延びており、
前記列は、前記縦方向に沿って連続的に配置される複数の座席ユニットを有し、
各座席ユニットは、
前記座席ユニットの一端に設けられる座席モジュールと、前記座席ユニットの他端に設けられる足受構造とを有し、前記座席モジュールは、
座部、
背もたれ、及び
背もたれの後部を囲む覆いを有し、
各座席ユニットは、座席構成とフラットベッド構成との間で構成可能であり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に配向され、通路から離反するように外側に面しており、
前記列内の座席ユニットの座部と前記列内の隣の座席ユニットの前記覆いとの間の空間が、前記通路から前記座席ユニットにアクセスするためのアクセス開口を規定し、
前記アクセス開口は、健常な乗客がアクセスするための第1の幅を有し、
前記座席ユニットまたは前記隣の座席ユニットは、移動弱者(PRM)アクセス構成に構成可能であり、前記PRMアクセス構成で、身体障害の乗客が前記座席ユニットにアクセスできるように、前記座席モジュールが動かされて前記アクセス開口が前記第1の幅から当該第1の幅よりも大きな第2の幅に一時的に拡がり、
各座席ユニットは、前記座席ユニットの前記通路から最も遠い側に固定される肘掛を
さらに有し、前記肘掛は、前記通路に最も近い
前記隣の座席ユニットの側で、前記隣の座席ユニットの脚受領域の上方に張り出すよう配置され、
前記座席モジュールの前記覆いが前記固定肘掛の外側に隣接し、前記PRMアクセス構成に移動すると、前記覆いが前記固定肘掛から分離される、乗客座席配置。
【請求項8】
航空機客室内の乗客座席配置であって、前記乗客座席配置は、通路に隣接して配置される座席ユニットの列を備え、
前記座席ユニットの列及び前記通路は共に、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に延びており、前記列は、前記縦方向に沿って連続的に配置される複数の座席ユニットを有し、
各座席ユニットは、
前記座席ユニットの一端に設けられる座席モジュールと、
前記座席ユニットの他端に設けられる足受構造とを有し、前記座席モジュールは、
座部
と、
背もたれ
と、
背もたれの後部を囲む覆いとを有し、
各座席ユニットは、座席構成とフラットベッド構成との間で構成可能であり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に配向され、通路から離反するように外側に面しており、
前記列内の座席ユニットの座部と前記列内の隣の座席ユニットの前記覆いとの間の空間が、前記通路から前記座席ユニットにアクセスするためのアクセス開口を規定し、
前記アクセス開口は、健常な乗客がアクセスするための第1の幅を有し、
前記各座席ユニットあるいは前記隣の座席ユニットが移動弱者(PRM)アクセス構成を構成するよう、前記座席ユニットのあるいは前記隣の座席ユニットの前記座席モジュールは回転軸を中心に回転可能であり、
前記回転軸は前記座席モジュールの中心線からオフセットされており、前記PRMアクセス構成で前記座席モジュールは、身体障害の乗客が前記座席ユニットにアクセスできるようにするために、前記アクセス開口を一時的に前記第1の幅から当該第1の幅より大きい第2の幅に広がるように回転される、乗客座席配置。
【請求項9】
各座席ユニットは、1の座席ユニットを隣の座席ユニットから遮蔽するプライバシースクリーンを有し、
プライバシースクリーンがインフライトエンターテイメントモニタを収容する、請求項8に記載の旅客座席配置。
【請求項10】
前記縦方向に対する前記鋭角は41から48度であり、
前記列内の連続する座席ユニット間のピッチが31~35インチである、請求項8に記載の乗客座席配置。
【請求項11】
各座席ユニットは、前記座席ユニットの前記通路から最も遠い側に固定される肘掛を有し、前記肘掛は、
前記通路に最も近い前記隣の座席ユニットの側で、前記隣の座席ユニットの脚受領域の上方に張り出すよう配置され、
各座席ユニットは、
前記脚受領域、および
一部を前記座席モジュールによって形成され、一部を固定側家具によって形成される足アクセス凹部を有し、
前記固定側家具は、
前記足アクセス凹部と前記脚受領域との遷移部で第1の変曲部を有し、および
前記脚受領域と前記隣の座席ユニットの前記肘掛との遷移部で第2の変曲部を有する壁を含む、請求項8に記載の乗客座席配置。
【請求項12】
前記座席モジュールが台座に取付固定され、前記台座は回転軸を中心として回転可能である、請求項8に記載の乗客座席配置。
【請求項13】
前記PRMアクセス構成で前記座席モジュールは、前記客室の後方へ前記座席モジュールを移動する方向に回転される、請求項8に記載の乗客座席配置。
【請求項14】
前記隣の座席ユニットは、前記PRMアクセス構成を構成可能であり、前記座席モジュールは前記客室の前方に移動する方向に回転する、請求項8に記載の乗客座席配置。
【請求項15】
前記座席ユニットおよび前記隣の座席ユニットは、PRMアクセス構成を構成可能であり、当該構成で、前記座席ユニットの前記座席モジュールは、前記座席モジュールを前記客室の後方に向かって移動させる方向に回転され、前記隣の座席ユニットの前記座席モジュールは、前記座席モジュールを前記客室の前方に移動させる方向に回転される、請求項8に記載の乗客座席配置。
【請求項16】
前記座席モジュールは、前記背もたれの後部を囲む覆いを有し、
各座席ユニットは、1の座席ユニットを隣の座席ユニットから遮蔽するプライバシースクリーンを有し、各座席モジュールの前記覆いは、前記プライバシースクリーンの端部に隣接する、請求項8に記載の乗客座席配置。
【請求項17】
前記覆いは、前記PRMアクセス構成への移動中および前記PRMアクセス構成からの移動中に前記覆いと前記スクリーンとの相対移動を可能にするために、前記プライバシースクリーンの端部に柔軟に接続される、請求項16に記載の乗客座席配置。
【請求項18】
各座席ユニットは、前記座席ユニットの前記通路から最も遠い側に固定される肘掛をさらに有し、前記肘掛は、
前記通路に最も近い前記隣の座席ユニットの側で、前記隣の座席の脚受領域の上方に張り出すよう配置される、請求項8に記載の乗客座席配置。
【請求項19】
前記座席モジュールは前記背もたれの後部を囲む覆いを有し、
前記座席モジュールの前記覆いが前記固定肘掛の外側に隣接し、前記PRMアクセス構成に移動すると、前記覆いは前記固定肘掛から分離される、請求項18に記載の乗客座席配置。
【請求項20】
前記座席モジュールは肘掛を有し、前記肘掛は、乗客の腕を支えるための上昇位置から、前記座席ユニットへのアクセスを容易にするためのアクセス位置まで移動可能である、請求項8に記載の乗客座席配置。
【請求項21】
前記アクセス位置において、前記肘掛は、前記座席モジュールの前記座部と実質的に同一平面になるように下げられる、請求項20に記載の乗客座席配置。
【請求項22】
前記座席モジュールが前記PRMアクセス構成にあるとき、前記肘掛が前記アクセス位置にある、請求項21に記載の乗客座席配置。
【請求項23】
航空機客室内の乗客座席配置であって、前記乗客座席配置は、通路に隣接して配置される座席ユニットの列を備え、
前記座席ユニットの列及び前記通路は共に、前記航空機客室の長手方向軸に平行な縦方向に延びており、
前記列は、前記縦方向に沿って連続的に配置される複数の座席ユニットを有し、
各座席ユニットは、
前記座席ユニットの一端に設けられる座席モジュールと、前記座席ユニットの他端に設けられる足受構造とを有し、前記座席モジュールは、
座部
と、
背もたれ
と、
背もたれの後部を囲む覆いとを有し、
各座席ユニットは、座席構成とフラットベッド構成との間で構成可能であり、
各座席ユニットは、前記縦方向に対して鋭角に配向され、通路から離反するように外側に面しており、
前記列内の座席ユニットの座部と前記列内の隣の座席ユニットの
前記覆いとの間の空間が、前記通路から前記座席ユニットにアクセスするためのアクセス開口を規定し、
前記アクセス開口は、健常な乗客がアクセスするための第1の幅を有し、
前記座席ユニットまたは前記隣の座席ユニットは、移動弱者(PRM)アクセス構成に構成可能であり、前記PRMアクセス構成で前記座席モジュールは回転軸を中心とする回転運動を介して移動されて、当該構成で身体障害者の乗客が前記座席ユニットにアクセスできるように、前記アクセス開口が一時的に前記第1の幅から当該第1の幅よりも大きい第2の幅に広がり、
前記座席モジュールは、前記回転軸を中心として前記PRMアクセス構成へおよび前記PRMアクセス構成から少なくとも21度回転するよう構成される、乗客座席配置。
【請求項24】
前記縦方向に対する前記鋭角は41度と48度の間であり、
前記列内の連続する座席ユニット間のピッチが31インチと35インチの間であり、
少なくとも21度という前記角度は、21度あるいは23度である、請求項23に記載の乗客座席配置。
【請求項25】
各座席ユニットは、前記通路から最も遠い座席ユニットの側に固定される肘掛を有し、前記肘掛は、
前記通路に最も近い
前記隣の座席ユニットの側で、前記隣の座席ユニットの脚受領域の上方に張り出すよう配置され、
各座席ユニットは、
前記脚受領域、および
一部を前記座席モジュールによって形成され、一部を固定側家具によって形成される足アクセス凹部を有し、
前記固定側家具は、
前記足アクセス凹部と前記脚受領域との遷移部で第1の変曲部を有し、および
前記脚受領域と前記隣の座席ユニットの前記肘掛との遷移部で第2の変曲部を有する壁を含む、請求項23に記載の乗客座席配置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客の座席配置、および乗客の座席配置に使用するための座席ユニットのセットに関する。
【背景技術】
【0002】
座席形態およびフラットベッド形態の両方を有する変換可能座席ユニットを有する航空機の乗客の座席配置は、周知である。かかる変換可能座席ユニットは典型的には、航空機のプレミアムクラス(例えば、ビジネスクラス及び/又はファーストクラス)の客室に提供される。座席ユニットは、座席形態で、典型的には、比較的直立した座席を提供する一方、フラットベッド形態で、乗客を支持するための実質的に平面状の寝床面を提供する傾向がある。特許文献1(ブリティッシュエアウェイズ)、特許文献2(ヴァージンアトランティック)及び特許文献3(ブリティッシュエアウェイズ)に示される座席ユニットは、座席形態、及びリクライニング座席よりも改善された快適さを提供するフラットベッド形態の両方を有するそのような切り換え可能座席ユニット(しばしばライフラット(lie flat)座席を有すると呼ばれる)の例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】英国特許第2326824号明細書
【文献】国際公開第03013903号
【文献】米国特許第7,178,871号明細書
【文献】米国特許第7,918,504号明細書
【文献】英国特許第2572556号明細書
【文献】英国特許第2572446号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
米国における航空会社アクセス法のような法律は、空の旅における身体障害を理由とする差別を禁止している。例えば、Title 14 CFR Part 382は、米国運輸省(DOT)が米国の航空会社の全便および外国の航空会社の米国発着便に対して遵守すべき規則を定めている。
【0005】
多くのプレミアムクラスの座席配置では、ビジネスクラスやファーストクラスで望まれる比較的大きな座席ユニット/低PAX密度(すなわち、客室内の単位面積当たりの乗客数が少ない)の結果、座席へのアクセスが既に比較的広々としている傾向があるため、DOT要件は本来満たされる傾向にある。
【0006】
上述した特許文献1や特許文献2は、ビジネスクラス配置におけるいわゆる内向きヘリンボーン配置の例で、座席が航空機の長手方向軸に対して斜めに指向し、通路の内側に面している例である。比較的高いヘリンボーン角度/低いピッチを必要とする配置の場合、このタイプのヘリンボーン配置の各座席のアクセス開口の幅は必然的に比較的狭くなることがある(すなわち、ヘリンボーン角度の増加/ピッチの減少に伴って座席ユニットの隣接する脚端の間隔も相応に狭くなっていく)。このようにアクセス開口の幅が狭い場合、上記のDOT要件を遵守する上で問題となることがある。特にナローボディ(例えば単通路)の航空機では、客室スペースを有効活用するために高角度/低ピッチの配置が必要となる傾向がある。
【0007】
この点、ナローボディ機用のヘリンボーンレイアウトは、必要なアクセス幅が確保できないと考えられてきたため、航空機業界では非現実的なものとして否定される傾向にある。その代わりに、特許文献4(トンプソン)に提案されているようなインライン(in-line)配置が好まれる傾向がある。特許文献4は、座席ユニットの列がある航空機客室を開示しており、各ユニットは、客室の長手方向軸と平行な方向に面する前向きのライフラット座席を有している。
【0008】
既知のインライン配置にかかわらず、ナローボディ航空機のためのいくつかのヘリンボーン配置がより最近提案されている。特許文献5は、ビジネスクラスの配置で、インボードに面したヘリンボーン配置を示す。特許文献5の配置は、低ピッチ・高角度で、比較的高い乗客密度を実現している。特許文献6では、オットマンの足元に可動式のパネルを実装することで、座席へのアクセス経路を広げ、移動弱者(PRM)が座席ユニットにアクセスすることを可能とし、移動弱者(PRM)のためのアクセスを達成している。
【0009】
高密度な座席配置を実現し、かつ、移動に不自由のある人(PRM)が適切にアクセスできるような、他の可能な構成を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の局面によれば、航空機客室内の乗客座席配置が提供され、乗客座席配置は、通路に隣接して配置された座席ユニットの列を備え、座席ユニットの列及び通路は共に航空機客室の長手方向軸に平行に長手方向に延在している。列は、長手方向に沿って連続的に配置された複数の座席ユニットで構成される。各座席ユニットは、座席モジュールから構成される。座席モジュールは、座席ユニットの一端部に設けられていてもよい。座席ユニットは、座席ユニットの他端に設けられた足受け構造を備えていてもよい。座席モジュールは、座部と、背もたれと、背もたれの後部を囲む覆いとから構成される。各座席ユニットは、座席形態とフラットベッド形態との間で設定可能である。各座席ユニットは、長手方向に対して鋭角に指向し、通路から離れるように外向きにされる。列内の座席ユニットの座部と列内の隣の座席ユニットの覆いの間の間隔は、通路からその座席ユニットにアクセスするためのアクセス開口を規定する。アクセス開口は、健常な乗客がアクセスするための第1の幅を有する。座席ユニット又は隣の座席ユニットは、身体障害者の乗客が座席ユニットにアクセスできるようにするために、アクセス開口を第1の幅から第1の幅よりも大きい第2の幅に一時的に広げるように座席モジュールを移動させるPRMアクセス形態に設定可能である。
【0011】
座席モジュールを可動式にすることで、アクセス開口を第2の幅まで広げることができ、比較的スペース効率の良い外向きの座席配置を提供することができる一方で、必要なときにPRMのアクセスを可能とする。PRMアクセス形態は、好ましくは、PRMが堂々と座席ユニットにアクセスすることを可能にする。
【0012】
PRMアクセス形態では、アクセス開口は一時的に広くなる。乗客が座席ユニットに出入りした後、座席ユニットはPRMアクセス形態から再構成されうる。
【0013】
乗客が座席ユニットへ/から出入りした後、関連する座席ユニット(又は隣の座席ユニット)は、PRMアクセス形態から外れて再構成されてもよい。座席ユニットは、好ましくは、PRMアクセス形態に/PRMアクセス形態から外れて繰り返し設定可能である。例えば、座席ユニットは、健常者アクセス形態(典型的には、滑走路等路面走行中、離陸及び着陸(TTOL)位置であってよいデフォルト構成)と、PRMアクセス形態との間で繰り返し設定可能であってよい。したがって、アクセス開口は、座席ユニットへの/からの繰り返しの進入/退出のために、必要に応じて、第1及び第2の幅の間で繰り返し広げ/狭めることができることが理解されよう。
【0014】
PRMという用語は、同義の用語と交換可能であることが理解されよう。例えば、PRMは、状況によっては、身体障害乗客と呼ばれることもある。
【0015】
各座席ユニットは、長手方向に対して鋭角に配置され、通路から離れた外側に面する。このような配置は、しばしば外向きヘリンボーン配置と呼ばれる。
【0016】
原則的に、本発明の局面は、前方向および後方向の外向きヘリンボーンレイアウトの両方に適用することができる。座席ユニットは、好ましくは前向きである(すなわち、各ユニットの座席モジュールは、足受け端部よりもさらに後方にある)。
【0017】
各座席ユニットは、座席形態とフラットベッド形態との間で設定可能である。各座席ユニットは、座席形態において座席表面の一部を形成し、ベッド形態においてベッド表面の一部を形成する1つ又は複数の可動要素を備えていてもよい。可動要素は、座部及び背もたれを構成してもよい。
【0018】
特に断らない限り、座席ユニットの特徴は、典型的には、健常者アクセス形態における配置を参照して本明細書で説明される。特に断らない限り、座席ユニットをPRMアクセス形態に移動させる説明は、典型的には、健常者用構成から離れる移動を参照してなされる。
【0019】
本明細書では、アクセス開口について言及する。アクセス開口は、座席ユニットからの脱出のためにも使用され得ることが理解されよう。アクセス開口の特徴は、開口が出口開口である場合、例えば、乗客が座席ユニットから出る場合に対しても同様に適用可能である。
【0020】
複数の座席ユニットは、複数の座席ユニットへのPRMアクセスを可能にするために、PRMアクセス形態であってよい。複数の座席ユニット、好ましくは多重の座席ユニットは、少なくとも50%の座席ユニットへのPRMアクセスを可能にするために、PRMアクセス形態であってよい。多重の座席ユニットの全てが、PRMアクセス形態であってよい。PRMアクセス形態である座席ユニットのうち、それらの座席ユニットは、好ましくは、実質的に同一である。好ましくは、全ての座席ユニットは、実質的に同一である。
【0021】
各座席ユニットにおいて、座席モジュール(健常者アクセス形態において)は、好ましくは、長手方向に対して鋭角に向き、通路から離れ、航空機胴体の窓に向かって外側に面する。 座部及び背もたれは、中心軸を構成していてもよい。中心軸は、好ましくは、座部及び背もたれの中心を通って延びる(例えば中心軸は、座席形態にあるときの座席の座部及び/又は背もたれを二等分してもよい)。座席ユニットの角度は、好ましくは、座席ユニットの長手方向軸と客室の長手方向との間の角度として定義される。いくつかの実施形態では、座席ユニットの角度は、最大使用可能ベッド長を定義する線と、長手方向との間の角度として定義されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、アクセス開口の幅は、客室床からの高さによって変化してもよい。アクセス開口の第1の幅は、好ましくは、客室床からの第1の高さにおいて測定される。第2の幅は、好ましくは、第1の幅と同じ高さで測定される。
【0023】
第1の幅は、アクセス開口の最小の幅であってもよい。したがって、第1の高さは、アクセス開口が最も狭くなる高さであってもよい。最小幅は、好ましくは、8インチ以上である。最小幅が(第2の幅まで)増加する配置を提供することは、開口の最も問題となりそうな部分(すなわち、最も狭い部分)がPRMアクセスを可能にするために広げられることを確実にする傾向があるため、有益であり得る。
【0024】
アクセス開口が一時的に第1の幅から第2の幅に広げられるとき、アクセス開口は好ましくは、第1の高さより上で、第2の幅よりも狭くはない。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2の幅は、通路の幅と同等であってもよいし、少なくとも通路の大きさであってもよい。第2の幅は、通路の幅と実質的に等しくてもよい。例えば、通路の幅は、少なくとも17インチであってよい。第2の幅は、20インチ、又はそれ以上の幅であってもよい。通路の幅は、通常、通路に沿ったPRMアクセス(例えば、車椅子用)に十分であるので、第2の幅を通路の幅に合わせることによって、座席ユニットへの十分なPRMアクセスも確保される傾向にある。通路は、最小通路幅を有していてもよい。第2の幅の大きさは、少なくとも最小の通路幅と同じであってよい。最小通路幅は、床から25インチ未満で測定されてもよい。最小通路幅は、座部の高さ未満で測定されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、第2の幅は必ずしも通路幅と同じである必要はないが、乗客にとってよりアクセスしやすい位置に座席モジュールを設置することによって、改善されたアクセス性を提供することができる。例えば、いくつかの実施形態では、座席モジュールは、(アクセス開口が第2の幅に拡大されるのと同様に)乗客に近接した位置に移動させられてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、座席モジュールは、座席にアクセスする際に乗客の向きに対してより平行に近い表面を提示するように回転させることができ、それによって、(アクセス開口が第2の幅に拡大されるのと同様に)より容易な乗り移りが可能になる。
【0027】
本発明の実施形態は、アクセス開口を一時的に拡大するために、座席モジュールの様々な異なる動きを利用することができる。
【0028】
各座席ユニットは、長手方向に対して鋭角に配向された長手方向軸を備えてよい。いくつかの実施形態では、PRMアクセス形態において、座席モジュールは、座席ユニットの長手方向軸に沿った方向に移動される。 座席モジュールは、座席ユニットの長手方向軸に沿う方向に、通路の中に移動されてもよい。このような配置は、座席モジュールが通路へ移動される座席ユニットへのアクセス開口を広げる傾向がある。
【0029】
いくつかの実施形態では、隣の座席ユニットは、PRMアクセス形態に設定可能であり、(隣の座席ユニットの)座席モジュールは、座席ユニットの長手方向軸に沿った方向で、通路から離れるように移動される。このような配置は、通路へ移動される座席モジュールの隣にある座席ユニットへのアクセス開口を広げる傾向がある。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、2つの座席ユニットが、PRMアクセス形態を採用してもよい。隣の座席ユニット、及びアクセス先の座席ユニットは、PRMアクセス形態に設定可能であってもよい。(アクセス中の座席ユニットの)座席モジュールは、座席ユニットの長手方向軸に沿った方向及び通路へ移動され、隣の座席ユニットの座席モジュールは、座席ユニットの長手方向軸に沿った方向及び通路から離れるように移動されてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、PRMアクセス形態において、座席モジュールは、航空機客室の長手方向軸と平行な長手方向に移動されてもよい。PRMアクセス形態では、座席モジュールは、客室の後部に向かう長手方向に移動されてもよい。このような配置は、座席モジュールが後方に移動される座席ユニットへのアクセス開口を広げる傾向がある。座席モジュールは、隣の後方の座席モジュールに接する位置まで後方に移動されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、隣の座席ユニットは、PRMアクセス形態に設定可能であってもよく、座席モジュールは、客室の前方に向かって長手方向に移動させられてもよい。このような配置は、通路へ移動される座席モジュールの隣にある座席ユニットへのアクセス開口を広げる傾向がある。
【0033】
いくつかの実施形態では、座席ユニット、及び隣の座席ユニットは、座席ユニットの座席モジュールを長手方向で客室の後方に移動させ、隣の座席ユニットの座席モジュールを長手方向で客室の前方に移動させるPRMアクセス形態に設定可能であってよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、PRMアクセス形態において、座席モジュールは、回転運動によって移動される。回転運動は、回転軸を中心とするものであってよい。回転軸は、客室の床に対して実質的に垂直であってよい。回転軸は、好ましくは固定されている。
座席モジュールは、台座に固定的に取り付けられていてもよい。台座は、回転軸を中心に回転可能であってもよい。 台座は、円の弧を描くように回転可能であってもよいが、必ずしも完全な円周を描くように回転可能でなくてもよい。座席モジュールは、座席モジュールが台座の上に偏心して配置されるように、回転軸からオフセットされてもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、PRMアクセス形態において、座席モジュールは、船室の後部に向かう方向に移動するように回転されてもよい。客室の後部に向かう回転移動は、アクセス開口が客室の後部に向かうにつれて広げられるようなものであってよい。このような配置は、座席モジュールが後方に回転される座席ユニットへのアクセス開口を広げる傾向がある。 座席モジュールがこのように回転される配置は、座席モジュールが、座席パン上に移ろうとするときにPRMの向きとより密接に整列する表面を(回転されたときに)呈する傾向があるので、特に有益であることが見出されている。座席モジュールは、回転させたときに、座席ユニットが健常者アクセス形態にあるときよりも、長手方向に対してより小さな鋭角になることがある。
【0036】
いくつかの実施形態では、隣の座席ユニットは、PRMアクセス形態に設定可能であってもよく、(隣の座席ユニットの)座席モジュールは、客室の前方に向かって移動する方向に回転されてもよい。このような配置は、客室の前方に向かって回転される座席モジュールに隣の座席ユニットへのアクセス開口を広げる傾向がある。
【0037】
いくつかの実施形態では、座席ユニット、および隣の座席ユニットは、PRMアクセス形態に設定可能である。座席ユニットの座席モジュールは、客室後方へ移動する方向に回転してもよく、隣の座席ユニットの座席モジュールは、客室前方へ移動する方向に回転してもよい。
【0038】
各座席ユニットは、隣接する座席ユニットから座席ユニットを遮蔽するためのプライバシースクリーンを含んでいてもよい。各座席モジュールの覆いは、プライバシースクリーンの端部に隣接していてもよい。移動可能な座席モジュールの場合、覆いは、PRMアクセス形態への移動中およびPRMアクセス形態からの移動中に覆いとスクリーンとの間の相対移動を可能にするために、プライバシースクリーンの端部に、例えば柔軟に、接続されてもよい。プライバシースクリーンは、インフライトエンターテイメント(IFE)モニタを収容してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、座席ユニットは、PRMアクセス形態において、乗客を座席ユニットに移送するための移送面が提供されるように配置されてもよい。移送面は、座部と実質的に同一平面であってもよい。移送面は、PRMアクセス形態に配備される当該構成に専属する面であってもよい。好ましい実施形態では、座席モジュールは、肘掛を有していてもよく、肘掛は、乗客の腕を支えるための上昇位置から、座席ユニットへのアクセスを容易にするためのアクセス位置まで、移動可能である。アクセス位置で肘掛は、座席モジュールの座部と実質的に同一平面になるように下げられてよい。座席ユニットがPRMアクセス形態にあるとき、肘掛はアクセス位置にあってよい。
【0040】
実施形態は、比較的高角度/低ピッチのレイアウトに使用する場合に特に有益であることが分かっている。座席要素が長手方向に対して配向される鋭角は、45度であってもよい。座席要素が長手方向に対して配向される鋭角は、44度であってもよい。座席要素が長手方向に対して配向される鋭角は、43度であってもよい。座席要素が長手方向に対して配向される鋭角は、42度であってもよい。座席要素が長手方向に向いている鋭角は、41度であってもよい。座席要素が長手方向に向いている鋭角は、46度であってもよい。座席要素が長手方向に向いている鋭角は、47度であってもよい。座席要素が長手方向に向いている鋭角は、48度であってもよい。座席要素が長手方向に向いている鋭角は、41度から48度の間であってもよい。座席要素が長手方向に対して配向される鋭角は、43度から45度の間であってもよい。座席要素が長手方向に向いている鋭角は、実質的に44度に等しくてもよい。
【0041】
列内の連続する座席ユニット間のピッチは、35インチ未満であってよい。ピッチは、長手方向に沿って、隣り合う座席ユニット間の2つの対応する共通点間の距離として規定されることが理解されるであろう。列の連続する座席ユニット間のピッチは、34インチ未満であってよい。列の連続する座席ユニット間のピッチは、36インチ未満であってもよい。列の連続する座席ユニット間のピッチは、37インチ未満であってもよい。列の連続する座席ユニット間のピッチは、31インチから35インチの間であってもよい。 列の連続する座席ユニット間のピッチは、32インチと34インチの間であってもよい。列の連続する座席ユニット間のピッチは、30インチから36インチの間であってもよい。列の連続する座席ユニット間のピッチは、31インチから36インチの間であってもよい。 列の連続する座席ユニット間のピッチは、実質的に33インチに等しくてもよい。
【0042】
フラットベッド形態において、ベッド長は、少なくとも75インチであってよい。 フラットベッド形態において、ベッド長は、78インチから80インチの間であってもよい。フラットベッド形態において、ベッド長は、76インチから80インチの間であってもよい。フラットベッド形態において、ベッド長は、77インチから80インチの間であってもよい。フラットベッド形態において、ベッド長は、77インチから81インチの間であってもよい。
【0043】
実施形態は、ナローボディ航空機での使用に特に有益であることが分かっている。座席ユニットの列は、一方の側で通路に隣接し、他方の側で航空機の側壁に隣接していてもよい。客室は、通路の反対側に座席ユニットの第2の列を備えてもよく、第2の列は、第1の列で説明したように配置されている。通路は、客室の中心線に沿って延びていてもよい。第2の列は、一方の側で通路に隣接し、他方の側で航空機の側壁に隣接していてもよい。したがって、座席配置は、単通路の航空機にあってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態で、各座席ユニットは、座席ユニットの通路から最も遠い側に、肘掛、好ましくは固定肘掛を有してもよい。肘掛は、隣の座席ユニットの通路に最も近い側で、隣の座席ユニットの脚受領域の上方に張り出すように配置されてもよい。脚受領域は、好ましくは、着座したときに乗客の下肢を受け入れ、フラットベッド形態にある座席ユニットで横になったときに乗客の上肢(例えば、大腿部)を受け入れるように配置される。このように上方に張り出すことで、各座席ユニットを過度に狭めることなく、比較的ローピッチで外向きのヘリンボーン配置を実現できることが分かった。
【0045】
いくつかの実施形態で、座席モジュールの覆いは、固定肘掛の外側に隣接してもよく、PRMアクセス形態に移動すると、覆いは固定肘掛から分離される。
【0046】
本発明の別の局面によれば、航空機客室内の乗客座席配置が提供され、乗客座席配置は、通路に隣接して配置された座席ユニットの列を備え、座席ユニットの列及び通路は共に航空機客室の長手方向軸に平行に長手方向に延び、列は、長手方向に沿って連続して配置された複数の座席ユニットからなり、各座席ユニットは座席ユニットの一端にある座席モジュールと座席ユニットの他端にある足受構造とを有する。各座席ユニットは、座席形態とフラットベッド形態との間で設定可能であり、各座席ユニットは、長手方向に対して鋭角に配向されて、通路から離反するように外側に面している。各座席ユニットは、座席ユニットの通路から最も遠い側に固定された肘掛を含み、肘掛は、隣の座席ユニットの通路に最も近い側で、隣の座席ユニットの脚受領域の上方に張り出するように配置されている。このように上方に張り出すことで、各座席ユニットを過度に狭めることなく、比較的ローピッチで外向きのヘリンボーン配置を実現することができることが分かった。
【0047】
各座席ユニットは、座席ユニットの通路に最も近い側に足アクセス凹部を構成してもよい。 各座席ユニットの脚受領域は、座席ユニットのそれぞれの足アクセス凹部の上方に張り出してもよい。足アクセス凹部は、乗客が回転して座席モジュールに着座する際に、乗客の足が通過できるように配置されることが好ましい。脚受領域及び足アクセス凹部は、一部を座席モジュールによって形成され、一部を固定側家具によって形成されてもよく、これら一部同士が、座席ユニットがPRMアクセス形態にあるときに分離されているが、健常者アクセス形態にあるときに隣接して連続領域を形成するよう、座席は配置される。配置は、各座席の通路に最も近い側の間に延びる複数の側部家具壁を備えてもよい。
脚受領域及び足アクセス凹部は、各側部家具壁に形成されてもよい。
【0048】
側部家具壁は、足アクセス凹部から脚受領域への遷移部である第1の変曲部と、脚受領域から隣の座席ユニットの固定肘掛への遷移部である第2の変曲部とを有していてもよい。変曲部は、互いの真上にあってもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される乗客座席配置を形成するための複数の座席ユニットが提供される。
【0050】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される乗客座席配置における座席ユニットのうちの1つとして使用するための座席ユニットが提供される。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される乗客座席配置における座席モジュールのうちの1つとして使用するための座席モジュールが提供される。
【0052】
いくつかの実施形態では、航空機の乗客座席配置の座席ユニットへの、PRMのためのアクセスを提供する方法が提供され、乗客座席配置は、複数の座席ユニットを備え、各座席ユニットは、座席配置とフラットベッド配置との間で設定可能であり、各座席ユニットは、長手方向に対して鋭角で方向付けられ、通路から離反するよう外側に向き、各座席ユニットに、健常乗客によるアクセス用の第1幅を有するそれぞれのアクセス開口があり;そして、この方法は、以下を具備している。座席ユニットまたは隣の座席ユニットの座席モジュールを移動させて、座席ユニットをPRMアクセス形態に一時的に構成し、アクセス開口を第1の幅から第1の幅よりも大きい第2の幅に広げて、身体障害者の乗客が座席ユニットにアクセスできるようにすること。座席モジュールを移動させる段階は、回転軸を中心に座席モジュールを回転させることを含んでいてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、航空機用のライフラット座席ユニットの外向きヘリンボーン配列が提供され、各座席ユニットは、座部、背もたれおよび覆いを有する座席モジュールを有し、各座席モジュールの座部と隣の座席ユニットの座席モジュールの覆いとの間の間隔は、座席ユニットにアクセスするための入口路を規定し、入口路は最小幅を有している。少なくとも1つの座席ユニットの座席モジュールは、一時的に入口路の最小幅を拡大するように移動可能であり、これによって座席ユニットへのPRM-アクセスを容易にする。座席モジュールは、回転可能な台座に取付固定されてもよく、台座は、座席モジュールを客室の後方に向かって回転させることができ、これによって、入口路の幅を一時的に広げることができる。
【0054】
もちろん、いくつかの実施形態に関連して説明された特徴は、他の実施形態に組み込まれてもよいことが理解されよう。例えば、ある実施形態の方法は、他の実施形態の装置を参照して説明された特徴のいずれかを組み込まれてもよく、逆もまた然りである。ある側面に関する座席配置の特徴は、別の側面に関する座席配置に組み込まれることができ、その逆も然りである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本発明の実施形態は、下記の添付図面を参照して、単なる例示として記載される。
【
図1】本発明の第1実施形態に係る座席の配置を示す平面図である。
【
図2】
図1の配置の一部を上方からみた斜視図である。
【
図3】
図1の配置の一部を上方からみた斜視図である。
【
図4】
図1の配置の一部であるが、座席ユニットがフラットベッド形態である場合の上方からの透視図である。
【
図5】座席ユニットの1つがPRMアクセス形態にある、
図1の座席配置の平面図である。
【
図6】
図5の座席ユニットにPRMを移送する際の段階を順次示す図である。
【
図7】
図5の座席ユニットにPRMを移送する際の段階を順次示す図である。
【
図8】
図5の座席ユニットにPRMを移送する際の段階を順次示す図である。
【
図9】
図5の座席ユニットにPRMを移送する際の段階を順次示す図である。
【
図10】
図5の座席ユニットにPRMを移送する際の段階を順次示す図である。
【
図11】座席ユニットへのPRMアクセスを提供するために使用される方法を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第2の実施形態における、座席ユニットの1つがPRMアクセス形態である座席配置の平面図である。
【
図13】本発明の第3の実施形態における、座席ユニットに隣り合う座席ユニットがPRMアクセス形態である座席配置の平面図である。
【
図14】本発明の第4の実施形態における、座席ユニットの1つがPRMアクセス形態である座席配置の平面図である。
【
図15】本発明の第5の実施形態における、座席ユニットおよび隣の座席ユニットがPRMアクセス形態である座席配置の平面図である。
【
図16】本発明の第6の実施形態における、座席ユニットの1つをPRMアクセス形態にした座席配置の平面図である。
【
図17】本発明の第1実施形態における2つの座席ユニットの通路面図である。
【
図18】
図17の座席ユニットのうちの1つの座席ユニットの下部構造を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、本発明の第1実施形態による2列の座席ユニットC1,C2が設置された航空機の客室1を示す。第1実施形態の乗客座席配置は、ボーイング757-200、又は737-900などのナローボディ航空機の客室1に設置される。乗客の座席配置は、航空機客室1の中央に沿って走る単一の通路5に隣接して配置された座席ユニット3の列C1を含んでおり、座席ユニット3の列C1及び通路5は共に航空機客室の長手方向軸と平行に縦方向(L)に延在している。
【0057】
列C1は、長手方向に沿って連続して配置された複数の座席ユニット3から構成されている。第2の列C2は、通路5の反対側に位置し、通路5を挟んで、第1の列と実質的に対称的である。 本明細書で説明する特徴は、第1の列C1を参照して説明される傾向があるが、対応する特徴が座席ユニットの他の列C2にも見られることは理解されよう。
【0058】
次に
図2~
図4を参照すると、各座席ユニット3は、一端(通路5に最も近い)に座席モジュール7を有するとともに、反対端(側壁に最も近い)に足受け構造9を有して、構成されている。座席モジュール7は、座部11と、バックレスト13と、湾曲した覆い15とから構成されている。覆い15は、引き出し式のIFEモニタ19が収容されたプライバシースクリーン17に接続されている。
【0059】
図2及び
図3は、乗客が座ることができる座席を形成するように座席モジュール7が配置されている座席形態における座席ユニット3を示している。各座席ユニット3は、座席要素(座部11及び背もたれ13からなる)が、オットマン表面21に隣接する実質的に共通する平面の表面を形成するように配置されてフラットベッドを形成するフラットベッド形態に設定可能であることも分かる。ベッド形態は、本明細書では
図4を参照して説明される。フラットベッドに変換可能な座席ユニットはそれ自体既知であり、座席要素がベッドを形成するために再配置される正確な方法(例えば、リクライニング/変換機構)は、本発明の文脈でさらに説明する必要がない。
【0060】
図4はまた、覆い15に対してスライド可能な座席モジュール7内の小型スライドパネル12を図示している。スライドパネル12は、通路からのプライバシーを確保するために、座席の乗客によって展開されることができる。
【0061】
各座席ユニット3は、座部11及び背もたれ13の中心に沿って配向された長手方向軸23を有している。長手方向軸23は、第1実施形態では、長手方向(L)に対して44度(A10)の角度を有する座席ユニット3の向きを規定する(
図1参照)。座席ユニット3は、通路5から離反するように外向きにされる。このような配置は、一般に、外向きヘリンボーンと呼ばれる。第1実施形態において、ヘリンボーンは比較的大きな(急な)角度であり、これに対応して、連続する座席ユニット3間のピッチは比較的小さい。第1実施形態では、座席ユニットは、33インチのピッチを有する。
【0062】
図2及び
図3を参照すると、通路5は22インチ(W20)の幅を有するのに対し、各座席ユニット3の間には8インチ(W31)(隣の座席ユニットの座部11及び覆い15が最も接近する箇所)の最小幅が存在することが分かる。この比較的小さな8インチの隙間(W31)は、座席ユニット3のアクセス開口10に狭間を規定する。第1実施形態では、この開口の比較的小さいという性質により、PRMが座席ユニットにアクセスすることを不当に困難にする。参照符号W30によって描かれる幅は、19インチである。
【0063】
座部のクッションは、20インチ(W21)の幅を有する。座席モジュール7はまた、18インチ×15インチ(D20)の寸法を有する単一ピーステーブルを含む。座席モジュール7は、80インチの参照符号L40によって描かれたベッド長、及び22.8インチの参照符号W41によって描かれたベッド幅を有する。座席モジュール7はまた、参照記号W42によって描かれた折り畳み式の18インチモニターを有している。
【0064】
本発明の第1実施形態では、1つの座席ユニット3の座席モジュール7(
図5で強調される)は、座席ユニット3がPRMアクセス形態を採用し、この構成のアクセス開口が広げられ、PRMが操縦可能な、座部11がよりアクセスし易い表面を呈するように移動可能である。次に、この特徴を説明するために、
図5から
図11を参照することができる。
【0065】
座席モジュール7は、客室フロアと同一平面上にあって客室1内に回転可能に取り付けられる台座27(
図6~
図10に表される)に取付固定されている。座席モジュール7は、通路側へ21度(A50)回転し、覆い15が隣の(後方の)座席ユニット3の肘掛14に接する位置まで回転してもよい。この位置で、アクセス開口10の最小幅は9.48インチに広がっている(W50)。座席モジュール7が広がった位置にあるとき、アームレストは、参照記号W51で示すように、通路に向かってさらに2.61インチの位置まで移動する。
【0066】
座席ユニット3にアクセスするために、PRMは通路5に沿って(
図6~
図10において車椅子25を使用して示されている)アクセスされる座席ユニットの隣の位置まで移動する。まず、座席モジュール7の肘掛14は、(着席した乗客の腕を支えるための)上昇位置から、(図示のように)下降位置に下げられて、座部11と同じ高さの位置にされ、肘掛14が乗客を座部11から遮ることを防止するとともに、座部11への移送面を提供する。
【0067】
次に、台座27は、座席モジュール7が後方に移動するように反時計回りに回転される(
図9に太い曲線矢印で図示されている)。これは2つの効果を奏する:第1に、座部11と隣り合う覆い15との間の開口10が広げられ、第2に、座部11が通路において車椅子25に近づくよう仕向けられることにより、車椅子25から座部への移動が容易になる。座席モジュール7の覆いから、前方座席モジュール7の覆いまでの幅は27インチであり、参照符号W60で示される。
【0068】
この位置(
図6~
図9に図示)において、座席モジュール7が後方に回転されたとき、座席ユニット3はPRMアクセス形態にある。覆い15とスクリーン17の柔軟な接続により、これら2つの構造体の間に見苦しい隙間が生じることなく、この動きが可能になる。
【0069】
座席ユニット3にアクセスするために、PRMは肘掛14を越えて座部11の上に滑り込む(
図7及び
図8を参照)。座席モジュール7が示す向きによって、PRMは、この操作を手助けなしで行うことができるであろう。
【0070】
PRMが座席に乗ると、PRMは着座姿勢をとることができる(
図9を参照)。
【0071】
図10に示すように、次に、座席モジュール7を回転させて健常者アクセス形態に戻し、それによって、座席モジュール7を隣の座席ユニット3の座席モジュールに対して平行な向きにすることができる。その後、肘掛14を上昇位置まで戻すこともできる。
【0072】
上述した段階は、
図11のフローチャートに示されている。乗客が座席ユニット3から退出することを希望する場合には、もちろん、必要に応じて、通路5への必要な退出のために、このプロセスを逆に繰り返すことができる。
【0073】
また、座席モジュール7の動きを介してアクセス開口を広げる、他の実施形態も可能である。これらの実施形態は、
図12から
図15に示されている。これらの他の実施形態を参照すると、共通の参照数字が使用されるが、実施形態に応じて100、200などの増分が付されている。 理解を容易にするため、すべての座席ユニットについて、すべての参照数字が図に示されているわけではない。
【0074】
図12の実施形態において、座席モジュール105は、座席ユニット103の軸23に沿ってトラック(図示せず)上で後方に並進可能である。座席モジュール105が8インチ(W122)後方に移動されると、開口部110は11.79インチ(W121)に広がり、座部111の大部分が車椅子125に隣接して容易にアクセスすることができるようになる。座席モジュール105が拡幅位置にあるとき、肘掛は、参照符号W133で示すように、通路に向かってさらに2.61インチの位置まで移動する。
【0075】
図13の実施形態では、アクセス先の座席の座席モジュール205は、
図12の態様で並進可能である。しかしながら、隣の座席ユニット203の座席モジュール205も並進可能であり、座席ユニット203の前方に向かう方向へ並進可能である。隣り合う座席モジュール205同士の相反方向への二重の移動により、開口210を17.57インチに広げることができ、車椅子225はアクセス先の座席ユニット203の座部211と完全に整列することができる。前方座席ユニットは、参照符号W130で示されるように、8インチ前方に並進する。後方座席ユニットは、参照記号W132で示されるように、8インチ後方に並進する。
【0076】
図14の実施形態では、座席モジュール305は、トラック(図示せず)上で航空機客室の軸に平行な方向(すなわち、縦方向L)に並進可能である。座席モジュール305を後方に移動させると、開口310は、12インチ(W140)に広がることができる。車椅子325が座席モジュール305と同じ方向を向き、座席モジュール305に隣接している状態では、座部311の後部と車椅子の座席の後部との間の距離は、参照符号W141で示される11.02インチである。
【0077】
図15の実施形態では、アクセス先の座席の座席モジュール405は、
図14の方法で並進可能である。しかしながら、隣の座席ユニット403の座席モジュール405も並進可能であり、航空機の客室の前方に向かう方向に並進可能である。このように隣り合う座席モジュール405同士の相反方向への二重の移動により、開口410を18インチ(W152)に広げることができ、車椅子425はアクセス先の座席ユニット403の座部411に広く整列することができる。車椅子425が座席モジュール405と同じ方向を向き、座席モジュール405に隣接している状態で、座部411の後部と車椅子の座席の後部との間の距離は、参照符号W141で示すように、2.87インチである。前方座席ユニットは、参照符号W150で示すように、6インチ前方に並進する。後方座席ユニットは、参照符号W151で示すように、8インチ後方に並進する。
【0078】
さらなる実施形態が
図16に示されている。この配置は、実際にアクセスされる座席ユニット503の隣の座席ユニット503が座席モジュール507を移動させてPRMアクセス形態を採用するものであることを除いて、第1の実施形態と同様である。さらに、その移動は、逆方向(時計回り)に、かつ、客室の前方に向かって回転するものである。これにより、座席モジュール505の覆い515が前方に移動し、開口が10.66インチ(W160)に広がり、座部511の大部分が車椅子525に隣接できるようになり、アクセスが容易となる。本実施形態では、参照符号A160で示すように、前方座席ユニットを17度回転させる。この実施形態では、車椅子525が座席モジュール507と同じ方向を向き、座席モジュール507と隣接している状態で、座部511の後部と車椅子の座席の後部との間の距離は、参照符号W161で示すように、7.42インチである。
【0079】
上述の実施形態において、複数の座席ユニットのうちの選択物(ただし、好ましくは少なくとも50%)のみが、PRMアクセス形態に設定可能であるとしてもよい。例えば、各列の交互の座席ユニットが、PRMアクセス形態に設定可能であってもよい。他の実施形態(図示せず)では、全ての座席ユニットが実質的に同一であり、PRMアクセス形態に設定可能であってもよい。このような配置は、PRM乗客の自由な座席選択を可能にし、座席ユニットのすべてが実質的に同一であるため、座席ユニットの構造を簡素化することができるため、魅力的である。
【0080】
本発明の実施形態は、他の新規かつ驚くべき有益な特徴も示す。本発明の第1の実施形態に戻り、
図17は、その実施形態における2つの座席ユニット3の通路側を示す図である。
【0081】
通路5からみると、覆い15が座席ユニットの内部をほぼ遮蔽している。しかし、座部11と隣り合う覆い15との間の狭間(その狭間は、座席ユニット3の鋭角のために通路から斜めに見える)を含むアクセス開口10の一部を視認することができる。
【0082】
家具サイドウォール31は、客室床と覆い15の基部との間に延在している。この家具サイドウォール31の外縁は、分かりやすくするために太い輪郭で示されている。
【0083】
その上端において、家具サイドウォール31は、隣の座席ユニット3の固定肘掛33を支持している(
図2及び
図6参照)。家具サイドウォール31は、第1の変曲部35を介して、固定肘掛33の下にある脚受領域に遷移する。肘掛33は、異なる高さの隣り合う座席ユニット間で空間を共有するように脚受領域37の上方に張り出しており、それによって低ピッチレイアウトを可能にしている。固定肘掛33の幅は、参照符号W190で示すように、3.7インチである。
【0084】
また、家具サイドウォール31は、脚受領域の下方で、第2の変曲部39を介して、足アクセス凹部41に遷移する。脚受領域37は、足アクセス凹部41の上方に張り出しており、その結果、家具サイドウォール31で「段差」を有する輪郭となる。
【0085】
これらの特徴は、二重屈折式家具サイドウォール31と、乗客の足と脚のための関連領域とを示す
図18及び
図19にも示されている。
【0086】
上述した配置は、特に座席ユニットへのアクセスの点で多くの利点を有する。第一に、脚受領域37は、健常な乗客が開口10を通過する際に、その上肢/腰部を座席ユニット3内に容易に移動させることを可能にする。第二に、この同じ領域は、PRMがPRMアクセス形態の座席ユニットにアクセスする際に、PRMの膝を収容し、通過させることもできる。これは、
図8および
図9でPRMがどのように動くかを見ると、最もよく理解できる。さらに、設置された足アクセス凹部41は、健常な乗客の足が開口10を通過する際に(これは、わずかに横向きの動きで行われなければならないかもしれない)健常な乗客の足を収容し、また、PRMの足が座部11に関して回転して座席位置に入る際に、PRMの足を収容する。これは、
図8および
図9でPRMがどのように動くかを見ると、最もよく理解できる(PRMの足が隣の座席ユニット3の肘掛の下を通過するのではない)。
【0087】
家具サイドウォールの上述の特徴は、いくつかの実施形態において、可動式座席モジュールなしで提供されてもよい。第1の実施形態のような好ましい実施態様における特徴は、可動式座席モジュールと一緒に設けられる。
図6及び
図7に最も明確に示されているように、座席モジュールがPRMアクセス形態で移動されると、覆い15が下にある家具サイドウォール31から分離し、それによって、しかしPRMアクセス形態への変換を許容し、健常者及びPRM乗客の移動が容易になる。
【0088】
本発明は、特定の実施形態を参照して説明および図示されてきたが、当業者であれば、本発明は、本明細書に具体的に図示されていない多くの異なる変形に適していることが理解されるであろう。例としてのみ、特定の可能な変形をこれから説明する。
【0089】
本発明の実施形態は、高角度/低ピッチ配置に最も適用される傾向があるが、正確なピッチ、角度および幅の値は、必ずしも上述の実施形態を参照して説明したとおりである必要はない。高角度は、41度以上の任意の角度であってよい。低ピッチは、36インチより低い任意のピッチであってもよい。
【0090】
前述の説明において、既知の、明白な、または予見可能な等価物を有する単位または要素が言及されている場合、そのような等価物は、あたかも個別に記載されているかのように、本明細書に組み込まれる。本発明の真の範囲を決定するためには、特許請求の範囲を参照する必要があり、そのような等価物を包含するように解釈される必要がある。また、好ましい、有利な、便利な等と記載されている本発明の単位または特徴は、任意であり、独立請求項の範囲を限定するものではないことは、読者に理解されよう。さらに、そのような任意の単位または特徴は、本発明のいくつかの実施形態において可能な限り有益である一方で、他の実施形態では望ましくなく、したがって、存在しない可能性があることを理解されたい。