(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】積荷取扱装置用のエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
H02J 15/00 20060101AFI20241209BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241209BHJP
B60L 50/40 20190101ALI20241209BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241209BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20241209BHJP
【FI】
H02J15/00 D
H02J7/00 303C
H02J7/00 301A
B60L50/40
B60L50/60
B60L58/18
(21)【出願番号】P 2022564295
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2021060551
(87)【国際公開番号】W WO2021214236
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-12-06
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2020-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】コーサー、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ナダル、ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】パッセッティ、ジョバンニ
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503731(JP,A)
【文献】特開2012-147563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0248918(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0154779(US,A1)
【文献】特開2006-050779(JP,A)
【文献】特開2012-228015(JP,A)
【文献】特表2016-529181(JP,A)
【文献】特表2018-514483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 15/00
H02J 7/00
B60L 50/40
B60L 50/60
B60L 58/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(10)のスタック(12)の上方にグリッドパターンで配置された経路を支持するグリッドフレームワーク(14)を備える貯蔵システム内で積み重ねられた1つ又は複数の容器(10)を持ち上げ、移動させるための積荷取扱装置(30)であって、前記積荷取扱装置(30)が、
i)前記グリッドフレームワーク(14)上で前記積荷取扱装置(30)を移動させるために動作可能に配置された駆動機構を収容する車体(32)と、
ii)持ち上げ駆動アセンブリと、使用時に、前記容器(10)を解放可能に把持し、前記容器(10)を前記スタック(12)から持ち上げて容器受け入れ空間(40)に入れるように構成されたグラバーデバイス(39)とを備える持ち上げデバイスと、ここで、前記持ち上げ駆動アセンブリ及び/又は前記駆動機構は、電気負荷(104)を形成する少なくとも1つのモータを備え、前記電気負荷(104)が、第1の部分と第2の部分とを備え、前記電気負荷(104)の前記第1の部分は、動力電力負荷を含み、前記電気負荷の前記第2の部分は、非動力電力負荷(106)を含み、
iii)再充電可能な電源(100)と、
iv)1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリと、を備える、積荷取扱装置において、
前記電気負荷(104)が、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリにわたって接続され、前記再充電可能な電源(100)が、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに電力を提供するように構成されるように、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに並列に接続されており、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、前記非動力電力負荷(106)に電力を供給するように構成され
、
制御装置(114)が、前記再充電可能な電源(100)から前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに供給される電力を変化させるように構成され、
前記制御装置(114)が、電池のバランシングのために所定の閾値電流において前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに電力を供給するべく前記再充電可能な電源(100)に命令するように構成されていることを特徴とする、積荷取扱装置(30)。
【請求項2】
前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリと前記電気負荷(104)との間に負荷DCDC変換器(110)をさらに備える、請求項1に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項3】
前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリと前記電気負荷(104)との間の前記負荷DCDC変換器(110)が、昇圧型変換器である、請求項2に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項4】
前記再充電可能な電源(100)と前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリとの間にソースDCDC変換器(108)をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項5】
前記再充電可能な電源(100)と前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリとの間の前記ソースDCDC変換器(108)が、降圧型変換器である、請求項4に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項6】
前記制御装置(114)は、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリの電圧が所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値を下回るときに、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに電力を供給するべく前記再充電可能な電源(100)に命令するように構成されている、請求項
1に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項7】
前記所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値が、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリの最大定格電圧より低い、請求項
6に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項8】
容器(10)のスタック(12)の上方にグリッドパターンで配置された経路を支持するグリッドフレームワーク(14)を備える貯蔵システム内で積み重ねられた1つ又は複数の容器(10)を持ち上げ、移動させるための積荷取扱装置(30)であって、前記積荷取扱装置(30)が、
i)前記グリッドフレームワーク(14)上で前記積荷取扱装置(30)を移動させるために動作可能に配置された駆動機構を収容する車体(32)と、
ii)持ち上げ駆動アセンブリと、使用時に、前記容器(10)を解放可能に把持し、前記容器(10)を前記スタック(12)から持ち上げて容器受け入れ空間(40)に入れるように構成されたグラバーデバイス(39)とを備える持ち上げデバイスと、ここで、前記持ち上げ駆動アセンブリ及び/又は前記駆動機構は、電気負荷(104)を形成する少なくとも1つのモータを備え、前記電気負荷(104)が、第1の部分と第2の部分とを備え、前記電気負荷(104)の前記第1の部分は、動力電力負荷を含み、前記電気負荷の前記第2の部分は、非動力電力負荷(106)を含み、
iii)再充電可能な電源(100)と、
iv)1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリと、を備える、積荷取扱装置において、
前記電気負荷(104)が、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリにわたって接続され、前記再充電可能な電源(100)が、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに電力を提供するように構成されるように、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに並列に接続されており、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、前記非動力電力負荷(106)に電力を供給するように構成され、
制御装置(114)が、前記再充電可能な電源(100)から前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに供給される電力を変化させるように構成され、
前記制御装置(114)は、使用時、前記再充電可能な電源(100)が、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに電力が供給されない低電流ドレインの期間を経験するべく、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリから前記再充電可能な電源(100)を周期的に接続解除するように構成されていることを特徴とする、積荷取扱装置(30)。
【請求項9】
前記駆動機構及び/又は前記持ち上げ駆動アセンブリからの再生されたエネルギーを前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリへと転換させるためにエネルギー回収回路(112)をさらに備え、前記エネルギー回収回路(112)が、ダイオード又はトランジスタを備える、請求項1から
8のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項10】
前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、前記再充電可能な電源(100)より低い内部抵抗を有する、請求項1から
9のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項11】
前記再充電可能な電源(100)が、前記非動力電力負荷(106)に電力を供給するように構成されている、請求項1に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項12】
前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、前記積荷取扱装置(30)用の一次電力供給源として構成され、前記再充電可能な電源(100)が、前記一次電力供給源に電力を提供するための補助電力供給源として構成されている、請求項1から1
1のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項13】
前記制御装置(114)が、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリの両端の電圧が所定のスーパーキャパシタ電圧閾値を下回るときに、直接前記電気負荷(104)に電力を提供するべく前記再充電可能な電源(100)に命令するように構成されている、請求項1
2に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項14】
前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、前記積荷取扱装置(30)の外壁(42)と内壁(44)との間の、前記積荷取扱装置(30)の前記車体(32)内の容器受け入れ凹部(40)の外側周りに分散されている、請求項1から1
3のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項15】
前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、キャパシタ、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタ、リチウムキャパシタ、電気化学二重層キャパシタ、電気二重層キャパシタ、擬似キャパシタ、又はハイブリッドキャパシタを備える、請求項1から1
4のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項16】
前記再充電可能な電源(100)が、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムエア電池、リチウム鉄電池、鉄リン酸リチウム電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウムエア電池、薄膜電池、ソリッドステート電池、又はスマートバッテリカーボンフォームベースの鉛蓄電池を備える、請求項1から1
5のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
【請求項17】
容器(10)のスタック(12)の上方にグリッドパターンで配置された経路を支持するグリッドフレームワーク(14)と、
容器(10)のスタック(12)の上方にグリッドパターンで配置された経路を支持するグリッドフレームワーク(14)を備える貯蔵システム内で積み重ねられた1つ又は複数の容器(10)を持ち上げ、移動させるための複数の積荷取扱装置(30)と、を備える貯蔵システムであって、前記積荷取扱装置(30)が、
i)前記グリッドフレームワーク(14)上で前記積荷取扱装置(30)を移動させるために動作可能に配置された駆動機構を収容する車体(32)と、
ii)持ち上げ駆動アセンブリと、使用時に、前記容器(10)を解放可能に把持し、前記容器(10)を前記スタック(12)から持ち上げて容器受け入れ空間(40)に入れるように構成されたグラバーデバイス(39)とを備える持ち上げデバイスと、ここで、前記持ち上げ駆動アセンブリ及び/又は前記駆動機構は、電気負荷(104)を形成する少なくとも1つのモータを備え、前記電気負荷(104)が、第1の部分と第2の部分とを備え、前記電気負荷(104)の前記第1の部分は、動力電力負荷を含み、前記電気負荷の前記第2の部分は、非動力電力負荷(106)を含み、
iii)再充電可能な電源(100)と、
iv)1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリと、を備え、
前記電気負荷(104)が、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリにわたって接続され、前記再充電可能な電源(100)が、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに電力を提供するように構成されるように、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに並列に接続されており、前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、前記非動力電力負荷(106)に電力を供給するように構成されており、
前記貯蔵システムが、
アクセスポイントの上方のグリッド場所に位置する1つ又は複数のスーパーキャパシタ充電ステーションをさらに備え、前記グリッド場所内で、前記積荷取扱装置(30)上の前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリは、持ち上げ又は下降作動中に前記1つ又は複数のスーパーキャパシタ充電ステーションの1つによって充電される、貯蔵システム。
【請求項18】
前記1つ又は複数のスーパーキャパシタ充電ステーションが、誘導性のスーパーキャパシタ充電ステーションである、請求項
17に記載の貯蔵システム。
【請求項19】
前記積荷取扱装置(30)上の制御装置(114)が、前記再充電可能な電源(100)を充電するべく前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに命令するように構成されている、請求項1
7又は18に記載の貯蔵システム。
【請求項20】
制御装置(114)が、電池のバランシングのために所定の閾値電流において前記再充電可能な電源(100)に電力を供給するべく前記1つ又は複数のスーパーキャパシタモジュール(102)に命令するように構成されている、請求項1
7から
19のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
【請求項21】
請求項1
7から2
0のいずれか一項に記載の貯蔵システムを備える、フルフィルメントセンタ。
【請求項22】
前記フルフィルメントセンタの内側の温度が、
4℃上の周囲温度、
実質的に0℃から実質的に4℃の間の冷蔵温度、又は
実質的に-25℃から実質的に0℃の間の冷凍温度のいずれかである、請求項2
1に記載のフルフィルメントセンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重ねられた容器のグリッドを備える店舗内で貯蔵容器または貯蔵ビンを取り扱うための積荷取扱装置の分野、より詳細には積荷取扱装置のエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内部に貯蔵容器/ビンが互いに積み重ねられた三次元貯蔵グリッド構造を備える貯蔵システムが、よく知られている。PCT公報の国際公開第2015/185628号(オカド(Ocado))は、10個のビンまたは容器のスタックがグリッドフレームワーク構造内に配置された、知られている貯蔵およびフルフィルメントシステムを説明している。ビンまたは容器は、グリッドフレームワークの上部に位置するトラック上で動作可能な積荷取扱装置によってアクセスされる。このタイプのシステムは、添付の図の
図1から3に概略的に示される。
図1および2に示されるように、ビン10として知られている積み重ね可能な容器は、スタック12を形成するために互いに積み重ねられる。スタック12は、倉庫または製造環境内のグリッドフレームワーク構造14内に配置される。グリッドフレームワークは、複数の貯蔵列またはグリッド列から構成される。グリッドフレームワーク構造内の各グリッドは、容器のスタックの貯蔵のための少なくとも1つのグリッド列を有する。
図1は、グリッドフレームワーク構造14の概略斜視図であり、
図2は、フレームワーク構造14内に配置されたビン10のスタック12を示す上から見た図である。各ビン10は、通常、複数の製品アイテム(図示せず)を保持し、ビン10内の製品アイテムは、同一であってもよく、または用途に応じて異なる製品タイプのものであってもよい。グリッドフレームワーク構造14は、水平部材18、20を支持する複数の直立部材16を備える。平行な水平部材18の第1のセットは、直立部材16によって支持される複数のグリッドセル23を備える複数の水平グリッド構造を形成するために、平行な水平部材20の第2のセットに垂直に配置される25。部材16、18、20は、通常、金属から製造される。ビン10は、グリッドフレームワーク構造14がビン10のスタック12の水平移動を防ぎ、ビン10の垂直移動を案内するように、グリッドフレームワーク構造14の部材16、18、20間のグリッドセル23内に積み重ねられる。
【0003】
グリッドフレームワーク構造14の上部レベルは、スタック12の上部にわたって、複数のグリッドセル23を備えるグリッドパターンに配置されたレール22を含む。さらに
図3を参照すれば、レール22は、複数の積荷取扱装置30を支持する。平行レール22の第1のセット22aは、グリッドフレームワーク構造14の上部にわたって第1の方向(たとえばX方向)のロボット積荷取扱装置30の移動を案内し、第1のセット22aに垂直に配置された平行レール22の第2のセット22bは、第1の方向に垂直の第2の方向(たとえばY方向)の積荷取扱装置30の移動を案内する。このようにして、レール22は、積荷取扱装置30がスタック12の任意のものの上方の適所に移動され得るように、水平X-Y平面において2次元の横方向のロボット積荷取扱装置30の移動を可能にする。
図4および5に示される知られている積荷取扱装置30は、参照によって本明細書に組み込まれる、PCT特許公報の国際公開第2015/019055号(オカド)に説明される車体32を備え、この場合、各積荷取扱装置30は、グリッドフレームワーク構造14の1つだけのグリッド空間またはグリッドセル23をカバーする。ここでは、積荷取扱装置30は、第1の方向のデバイスの移動を案内するためにレールまたはトラックの第1のセットと係合するための、車体32の前部の車輪の対および車両32の後部の車輪34の対からなる車輪34の第1のセットと、第2の方向のデバイスの移動を案内するためにレールまたはトラックの第2のセットと係合するための、車両32の各側の車輪36の対からなる車輪36の第2のセットとを備える車輪アセンブリを備える。車輪のセットのそれぞれは、レールに沿ってX方向およびY方向ぞれぞれの車両の移動を可能にするために、1つまたは複数のモータによって駆動される。車輪の一方または両方のセットは、車輪の各セットを持ち上げてそれぞれのレールから外すために垂直に移動されることが可能であり、それによって車両が所望の方向に移動することが可能になる。
【0004】
図4および5は、容器受け入れ空間が車体内側の凹部である単一のグリッド空間を占有する積荷取扱装置を示しているが、この発明はまた、車両本体の一部としてカンチレバーを含む積荷取扱装置も包含し、この場合、容器受け入れ空間は、カンチレバーアームの下方に位置する。
【0005】
積荷取扱装置30には、最大30kgの重さになり得る貯蔵容器を上方から持ち上げるために1つまたは複数のモータによって駆動される持ち上げデバイスまたはクレーン機構が、装備される。クレーン機構は、スプールまたはリール(図示せず)に巻き付けられたウインチテザーまたはケーブル38と、グラバーデバイス39とを備える。持ち上げデバイスは、垂直方向に延び、そして持ち上げフレーム39の4つのコーナの近く、または4つのコーナに接続される、持ち上げテザー38のセットを備え、持ち上げフレームは、貯蔵容器10との解放可能な接続のためのグラバーデバイス(グラバーデバイスの4つのコーナそれぞれの近くに1つのテザー)として別の形で知られている。グラバーデバイス39は、
図1および2に示されるタイプの貯蔵システム内の容器のスタックから貯蔵容器10を持ち上げるために、その貯蔵容器の上部を解放可能に把持するように構成される。
【0006】
車輪34、36は、下部内の容器受け入れ凹部40として知られている空洞または凹部の周囲周りに配置される。凹部は、
図5aおよび5bに示されるように、容器10がクレーン機構によって持ち上げられるときにこの容器を収容するようにサイズ設定される。容器は、凹部内にあるときに、持ち上げられて下方のレールからはずれ、それにより、車両は横方向に異なる場所に移動することができる。目標場所、たとえば別のスタック、貯蔵システムまたはコンベヤベルト内のアクセスポイントに到達すると、ビンまたは容器は、容器受け入れ部分から下降され、グラバーデバイスから解放され得る。
【0007】
図1~3には示されないが、積荷取扱装置30は、搭載された再充電可能な電源によって作動中に給電される。再充電可能な電源の1つの一般的な種類は、電池である。再充電可能な電池の例は、リチウムイオン電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、薄膜電池、およびスマートバッテリカーボンフォームベースの鉛蓄電池(Smart battery Carbon Foam-based Lead Acid battery)である。
【0008】
電池は、高エネルギー密度の技術的利点を有し、すなわち単位質量当たりのエネルギーを貯蔵する容量が高く、それによって、電池は、充電間の時間を長くしてデバイスに給電するのに十分なエネルギーを貯蔵するので、積荷取扱装置などのモバイル用途における使用に適したものになる。電池は、より低い自己放電率を有するため、ダウンタイムの期間後に作動し続けるのに十分な充電を保持することができる。しかし、電池は、低い電力密度を有するため、高加速需要を取り扱うには適しておらず、これらが減速から捕捉することができる再生エネルギーの量において限定される。また、電池内の抵抗による電力損失は、過剰な電池サイクリングがいくらかの電気エネルギーを熱に変換することを意味し、これは、エネルギーを無駄にすることと共に、低温環境において問題となり得る。
【0009】
電池の他の欠点は、電池は重く、高価であり、抵抗による電力損失を被り、充填時間が長く、充電/放電サイクルの耐用期間が限定され、使用に伴って経時的に劣化することである。低速の充電速度は、電池が充電している間、作動時間が失われることを意味する。充電/放電の限定されたサイクル回数は、電池が短い耐用期間を有し、頻繁に交換を必要とすることを意味する。
【0010】
電池技術の代替策は、スーパーキャパシタである。スーパーキャパシタは高い電力密度を有し、それによって高加速需要(短時間での高い電力引き出し)での用途に適したものになり、減速イベントから再生エネルギーを捕捉することもできる(短時間での高い電力投入)。電池に勝るスーパーキャパシタの利点は、これらが、より軽量であり、より安価であり、より効率的であり、充電がより高速であり、経時的な劣化をより小さくしてより多くの充電/放電サイクルを受けることができることである。高速の充電は、ダウンタイムが少ないことを意味する。電池と比較したスーパーキャパシタの主な欠点は、これらが高い自己放電率を有し(そのため停止期間後、作動し続けるのに十分な充電を保持することはできない)、より低いエネルギー密度を有することである。
【0011】
図6は、電力密度をエネルギー密度に対してプロットし、エネルギー貯蔵デバイスの異なるタイプの相対位置を示すラゴン(Ragone)プロットである。このブロットから、スーパーキャパシタ(
図6ではEDLC、電気二重層キャパシタとして標識される)は低いエネルギー密度を有するが、より高い電力密度を有し、その一方でリチウムイオン電池は、相対的により高いエネルギー密度とより低い電力密度とを有することが分かる。
【0012】
表1は、電池およびスーパーキャパシタの特性のいくつかを比較する。
【0013】
【0014】
(たとえば、PCT特許公報の国際公開第2015/019055号に説明される)従来技術の積荷取扱装置は、高エネルギー密度の利点を有しながらも、上記で説明されたような再充電電池に関する問題のすべてを被る。
【0015】
国際公開第2020169474A1号(オートストア(AutoStore))は、第1および第2の再充電可能な電源、特に再充電可能な電池およびスーパーキャパシタによって給電される容器取扱車両を開示している。これらは、スーパーキャパシタの利点のいくつかを有するが、電池が劣化し、エネルギーが熱として無駄にされるという欠点を依然として被る。
【0016】
英国特許第2006089.3号は、一次電源がスーパーキャパシタであり、電圧を変化させるためにDCDC変換器が使用されている積荷取扱装置を開示している。これらは、上記で論じられたようなスーパーキャパシタの利点を有するが、スーパーキャパシタが唯一の電源であるため、積荷取扱装置は、エネルギー密度が悪く、自己放電率が高いという欠点を有する。
【0017】
本出願は、2020年4月24日出願の英国特許出願第2006089.3号、2020年7月10日出願の英国特許第2010704.1号、および2020年12月23日出願の英国特許第2020583.7号からの優先権を主張するものであり、これらの出願の内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、容器のスタックの上方にグリッドパターンで配置された経路を支持するグリッドフレームワークを備える貯蔵システム内で積み重ねられた1つまたは複数の容器を持ち上げ、移動させるための積荷取扱装置であって、積荷取扱装置は、
i)グリッドフレームワーク上で積荷取扱装置を移動させるために動作可能に配置された駆動機構を収容する車体と、
ii)持ち上げ駆動アセンブリと、使用時に、容器を解放可能に把持し、容器をスタックから持ち上げて容器受け入れ空間内に入れるように構成されたグラバーデバイスとを備える持ち上げデバイスと、ここにおいて、持ち上げ駆動アセンブリおよび/または駆動機構は、電気負荷を形成する少なくとも1つのモータを備える、
iii)再充電可能な電源と、
iv)1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリとを備える、積荷取扱装置において、
電気負荷が、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリにまたがって接続され、再充電可能な電源が、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリに電力を提供するように構成されるように、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリに並列に接続されることを特徴とする、積荷取扱装置である。
【0019】
参照を容易にするために、用語「1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリ」および「スーパーキャパシタ」は、本発明を説明する上で交換可能に使用される。スーパーキャパシタを参照するとき、この用語は、直列および/または並列に接続されたスーパーキャパシタモジュールのアセンブリを包含することが、理解されよう。
【0020】
積荷取扱装置、特に再充電可能な電源が再受電可能な電池である積荷取扱装置に関する一般的な問題は、電池が、持ち上げ駆動アセンブリおよび/または駆動機構の加速および作動の結果として、電気負荷からの頻繁な充電/放電サイクルを経験することである。これは、電池の内部抵抗が充電-放電サイクル中に電池を熱くするため、再充電可能な電池に大きな負荷をかける。充電-放電サイクルは、電池の早期の経年劣化を引き起こす可能性があり、電池をより頻繁に交換することが必要になる。
【0021】
この問題を克服するために、本発明の再充電可能な電源は、直接電気負荷に電力を提供するのではなく、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールに充電を供給するために主に使用される。再充電可能な電池と比較すると、スーパーキャパシタは、電気負荷からの充電-放電サイクルに対してより強靱であり、したがって、グリッド上での積荷取扱装置の加速中の電力引き出しのサージに耐えることができる。再充電可能な電池と1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールの組み合わせは、高電力密度と高エネルギー密度とを有するハイブリッドシステムを提供し、電池およびスーパーキャパシタの利点を組み合わせる。再充電可能な電源は、安定した電流で1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリに電力を供給することができ、したがって、頻繁な充電-放電サイクルの損傷影響を回避することができる。
【0022】
従来技術の積荷取扱装置に勝る本発明の利点は、再充電可能な電源の寿命が延長され、したがって作動コストおよびダウンタイムを低減できることである。
【0023】
積荷取扱装置は、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリと電気負荷との間に負荷DCDC変換器をさらに備えることができる。1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリと電気負荷との間の負荷DCDC変換器は、昇圧型変換器であってもよい。
【0024】
積荷取扱装置は、再充電可能な電源と1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリとの間にソースDCDC変換器をさらに備えることができる。再充電可能な電源と1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリとの間のソースDCDC変換器は、降圧型変換器であってもよい。
【0025】
制御装置は、再充電可能な電源から1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリに供給される電力を変化させるように構成され得る。制御装置は、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリの電圧が、所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値を下回るときに、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリに充電を供給するように再充電可能な電源に命令するように構成され得る。所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値は、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリの最大定格電圧より低くなり得る。制御装置は、電池のバランシングのために所定の閾値電流において1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリに充電を供給するように再充電可能な電源に命令するように構成され得る。制御装置は、再充電可能な電源が、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリに充電が供給されない低電流ドレインの期間を経験するように、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリから再充電可能な電源を接続解除するように構成され得る。
【0026】
積荷取扱装置は、駆動機構および/または持ち上げ駆動アセンブリからの再生されたエネルギーを1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリへと転換させるためにエネルギー回収回路をさらに備えることができる。エネルギー回収回路は、ダイオードまたはトランジスタを備えることができる。
【0027】
1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、再充電可能な電源より低い内部抵抗を有することができる。
【0028】
電気負荷は、第1の部分と第2の部分とを備えることができ、電気負荷の第1の部分は、動力電力負荷を備えることができ、電気負荷の第2の部分は、非動力電力負荷を備えることができる。再充電可能な電源は、非動力電力負荷に充電を供給するように構成され得る。
【0029】
1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、積荷取扱装置用の一次電力供給源として構成されてもよく、再充電可能な電源は、補助電力供給源として構成されてもよい。制御装置は、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリ上の電圧が所定のスーパーキャパシタ電圧閾値を下回るときに、電気負荷にバックアップ電力を提供するように再充電可能な電源に命令するように構成され得る。
【0030】
1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、積荷取扱装置の外壁と内壁との間の、積荷取扱装置の車体内の容器受け入れ凹部の外側周りに分散され得る。
【0031】
1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、キャパシタ、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタ、リチウムキャパシタ、電気化学二重層キャパシタ、電気二重層キャパシタ、擬似キャパシタ、またはハイブリッドキャパシタを備えることができる。
【0032】
再充電可能な電源は、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムエア電池、リチウム鉄電池、鉄リン酸リチウム電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウムエア電池、薄膜電池、またはスマートバッテリカーボンフォームベースの鉛蓄電池を備えることができる。
【0033】
本発明の別の態様は、容器のスタックの上方にグリッドパターンで配置された経路を支持するグリッドフレームワークと、本明細書に定義されるような複数の積荷取扱装置とを備える貯蔵システムである。貯蔵システムは、アクセスポイントの上方のグリッド場所に位置する1つまたは複数のスーパーキャパシタ充電ステーションをさらに備えることができ、このグリッド場所内で、積荷取扱装置上の1つまたは複数のキャパシタモジュールのアセンブリは、持ち上げまたは下降動作中に1つまたは複数のスーパーキャパシタ充電ステーションの1つによって充電される。1つまたは複数のスーパーキャパシタ充電ステーションは、高率の誘導性スーパーキャパシタ充電ステーションであってもよい。積荷取扱装置上の制御装置は、再充電可能な電源を充電するように1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリに命令するように構成され得る。制御装置は、電池のバランシングのために所定の閾値電流において再充電可能な電源に充電を供給するように1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールに命令するように構成され得る。1つまたは複数のスーパーキャパシタ充電ステーションは、積荷取扱装置が、電気負荷に給電するための所定の閾値電圧を上回るように再充電可能な電源の電圧レベルを維持することを可能にすることができる。
【0034】
本発明のさらなる態様は、本明細書に説明されるような貯蔵システムを備える、フルフィルメントセンタである。フルフィルメントセンタの内側の温度は、4℃以上の周囲温度、実質的に0℃から実質的に4℃の間の冷蔵温度、または実質的に-25℃から実質的に0℃の間の冷凍温度のいずれかであってもよい。
【0035】
再充電可能な電源と電気負荷との間にスーパーキャパシタを接続することにより、エネルギー貯蔵システムが、欠点を緩和しながら、高エネルギー密度と高電力密度の両方の利点を享受することが可能になる。これは、再充電可能な電源が高エネルギー密度電池である場合に特に当てはまる。スーパーキャパシタは、電気負荷からの加速/減速需要によって引き起こされる充電/放電サイクルを受け、これらのサイクルから電池を保護し、したがって電池寿命を改善する。電池寿命の改善の結果、作動コストが低減され、電池がそれほど頻繁に交換される必要がなくなるためにダウンタイムが低減される。電池サイクルの低減は、電池エネルギー損失の低減と、熱として無駄にされる有用なエネルギーの減少とを意味する。これは、積荷取扱装置が、フルフィルメントセンタの温度が低く保たれる、冷蔵品または冷凍品のフルフィルメントセンタ内で作動している場合に特に重要である。この状況では、積荷取扱装置からのすべての廃棄された熱がエネルギーの無駄を表すだけでなく、より多くのエネルギー消費が、フルフィルメントシステムの温度を低く保つために必要とされる。
【0036】
本発明のさらなる特徴および態様は、図を参照しながらなされる例証的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】知られているシステムによるグリッドフレームワーク構造の概略図。
【
図2】
図1のフレームワーク構造内に配置されたビンのスタックを示す上から見た概略図。
【
図3】グリッドフレームワーク構造上で作動する知られている積荷取扱装置のシステムの概略図。
【
図4】上方から容器を把持する持ち上げデバイスを示す積荷取扱装置の概略斜視図。
【
図5】
図5(a)は、積荷取扱装置の容器受け入れ空間を示す
図4の積荷取扱装置の概略切断斜視図。
図5(b)は、積荷取扱装置の容器受け入れ空間内に収容された容器を示す
図4の積荷取扱装置の概略切断斜視図。
【
図6】異なるエネルギー貯蔵デバイスのエネルギー密度および電力密度を示すラゴンプロット。
【
図7】電気負荷に並列に接続された再充電可能な電源およびスーパーキャパシタを示す回路図。
【
図8】再充電可能な電源とスーパーキャパシタとの間のソースDCDC変換器と、スーパーキャパシタと電気負荷との間の負荷DCDC変換器とを特徴として有する回路図。
【
図9】降圧型および昇圧型のDCDC変換器を特徴として有する回路図。
【
図10】昇圧型変換器用のPID制御装置の概略図。
【
図11】回収されたエネルギーをスーパーキャパシタ内に向けるためのエネルギー回収回路を特徴として有する回路図。
【
図12】再充電可能な電源から電力を引き出す非動力電力負荷を特徴として有する回路図。
【
図13】減速イベント中の電流の流れの方向を示す回路図。
【
図14】再充電可能な電源がスーパーキャパシタを充電している、減速イベント中の電流の流れの方向を示す回路図。
【
図15】積荷取扱装置がアイドリングしている間の電流の流れの方向を示す回路図。
【
図16】再充電可能な電源がスーパーキャパシタを充電している、積荷取扱装置がアイドリングしている間の電流の流れの方向を示す回路図。
【
図17】加速イベント中の電流の流れの方向を示す回路図。
【
図18】再充電可能な電源がスーパーキャパシタを充電している、加速イベント中の電流の流れの方向を示す回路図。
【
図19】貯蔵容器を置き、取り出すときのグラバーデバイスの下降および上昇によって引き起こされる過渡電流を示す図。
【
図20】車体の内壁と外壁との間の空隙を示す積荷取扱装置の概略図。
【
図21】車体の内壁と外壁との間の空隙内に分散されたスーパーキャパシタモジュールを示す積荷取扱装置の概略図。
【
図22】電池電圧測定値、製造データ、および電池燃料ゲージからの電圧および充電状態を比較する図。
【
図23】電池燃料ゲージ測定値が、連続作動の期間後に不正確になる様子を示す図。
【
図24】電気負荷およびフィルタ回路に並列に接続された再充電可能な電源を示す回路図。
【
図25】フィルタDCDC変換器がフィルタ回路と電気負荷との間にある、電気負荷およびフィルタ回路に並列に接続された再充電可能な電源を示す回路図。
【
図26】フィルタDCDC変換器がフィルタ回路と電気負荷との間にあり、ソースDCDC変換器が再充電可能な電源とフィルタ回路との間にある、電気負荷およびフィルタ回路に並列に接続された再充電可能な電源を示す回路図。
【
図27】
図27aは、RC回路であるフィルタ回路の実施形態を示す図。
図27bは、RL回路であるフィルタ回路の実施形態を示す図。
図27cは、RLC回路であるフィルタ回路の実施形態を示す図。
図27dは、バターワースフィルタ(Butterworth filter)であるフィルタ回路の実施形態を示す図。
図27eは、演算増幅器を使用するアクティブフィルタ回路であるフィルタ回路の実施形態を示す図。
【
図28】周波数に対してプロットされた演算増幅器の電圧ゲインを示す図。
【
図29】貯蔵容器を置き、取り出すときのグラバーデバイスの下降および上昇によって引き起こされる過渡電流を示す図。
【
図30a-30b】再充電可能な電源を通した電流のフーリエ変換を示す図。
【
図30c】再充電可能な電源を通した電流のフーリエ変換を示す図。
【
図30d】再充電可能な電源を通した電流のフーリエ変換を示す図。
【
図31】簡単なRC回路のシミュレーションモデルを示す図。
【
図32】
図32aは、
図29のような負荷電流を示す図。
図32bは、20Hzフィルタ回路による電流を示す図。
図32cは、7Hzフィルタ回路による電流を示す図。
【
図33】
図33aは、負荷電流と20Hzフィルタ回路による電流との比較図。
図33bは、負荷電流と7Hzフィルタ回路による電流との比較図。
【
図34】リチウムイオン電池セルの放電曲線を示す図。
【
図35】電池およびスーパーキャパシタの放電曲線の形状を示す図。
【
図36】貯蔵グリッド上で移動しているときの積荷取扱装置の電力需要を示す図。
【
図37】スーパーキャパシタ102が再充電可能な電源100に直列に接続された簡単な回路図。
【
図38】複数の電気負荷と並列のスーパーキャパシタのアセンブリに直列に接続されたマルチセル電池を示す図。
【
図39】制御装置が再充電可能な電源からの充電をスーパーキャパシタに向けている回路図。
【
図40】制御装置が回収されたエネルギーをスーパーキャパシタに向けている回路図。
【
図41】制御装置およびDCDC変換器の1つの実施形態の詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[1つまたは複数のスーパーキャパシタのアセンブリに電力を提供するように構成された再充電可能な電源]
図7は、スーパーキャパシタ102および電気負荷104に並列に接続された再充電可能な電源100を示す回路図である。電気負荷104は、車輪34および36のセットを駆動することによってレールに沿ってX方向およびY方向それぞれの車両の移動を可能にする1つまたは複数のモータ、および/または上方から貯蔵容器を持ち上げるために持ち上げデバイスまたはクレーン機構を駆動する1つまたは複数のモータを備えることができる。スーパーキャパシタ102は、再充電可能な電源100と電気負荷104との間に接続され、それにより、再充電可能な電源は、スーパーキャパシタに電力を提供するか、またはスーパーキャパシタから電力を受け取ることができ、スーパーキャパシタは、電気負荷に電力を提供するか、または電気負荷から電力を受け取ることができる。
【0039】
説明を容易にするために、
図7の回路図は、再充電可能な電源100を単一の電池セルとして示し、スーパーキャパシタ102を単一のスーパーキャパシタとして示す。再充電可能な電源は、電池に限定されず、電池は、単一の電池セルではなく1つまたは複数の電池セルのアセンブリを備えてもよいことが、理解されよう。
【0040】
同様にスーパーキャパシタ102は、単一のスーパーキャパシタモジュールではなく、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリを備えることができる。
【0041】
[DCDC変換器]
回路は、追加的に、再充電可能な電源100とスーパーキャパシタ102との間にソースDCDC変換器108を備えることができる。ソースDCDC変換器108の目的は、再充電可能な電源上の電圧をスーパーキャパシタ上の異なる電圧に変換するためである。
【0042】
再充電可能な電源100とスーパーキャパシタ102との間のソースDCDC変換器108は、昇圧型変換器または降圧型変換器を備えることができる。有利には、再充電可能な電源100とスーパーキャパシタ102との間のソースDCDC変換器108は、昇圧型変換器を備えることができる。スーパーキャパシタ上のより高い電圧の利点は、スーパーキャパシタがより多くのエネルギーを貯蔵することができることである。また、電圧がより高い(したがって電流がより低い)結果、抵抗による電力損失(P=I^2R)は小さくなり、したがって、熱に変換される有用なエネルギーの量が低減される。
【0043】
回路は、追加的に、スーパーキャパシタ102と電気負荷104との間に負荷DCDC変換器110を備えることができる。スーパーキャパシタ102と電気負荷104との間の負荷DCDC変換器110の目的は、スーパーキャパシタ上の電圧を電気負荷上の異なる電圧に変換するためである。
【0044】
スーパーキャパシタ102と電気負荷104との間の負荷DCDC変換器110は、昇圧型変換器または降圧型変換器を備えることができる。
【0045】
図8は、再充電可能な電源100とスーパーキャパシタ102との間のソースDCDC変換器108と、スーパーキャパシタ102と電気負荷104との間の負荷DCDC変換器110の両方を示す回路図である。
図8は両方のDCDC変換器を示しているが、本発明は、ソースDCDC変換器108を含むが負荷DCDC変換器110を含まない回路、そして、負荷DCDC変換器110を含むがソースDCDC変換器108を含まない回を包含することが、理解されよう。
【0046】
有利には、再充電可能な電源100とスーパーキャパシタ102との間のソースDCDC変換器108は、デジタル制御式昇圧型変換器であり、スーパーキャパシタ102と電気負荷104との間の負荷DCDC変換器110は、降圧型変換器である。
【0047】
図9は、再充電可能な電源100とスーパーキャパシタ102との間ソースDCDC変換器108が昇圧型変換器であり、スーパーキャパシタ102と電気負荷104との間の負荷DCDC変換器110が降圧型変換器である回路図である。制御装置114は、再充電可能な電源からの最小限の電流の流れでスーパーキャパシタ電圧を所望の範囲内に保つために使用され得る。
【0048】
再充電可能な電源100とスーパーキャパシタ102との間のソースDCDC変換器108が昇圧型変換器である利点は、スーパーキャパシタ電圧が、再充電可能な電源の電圧を下回って降下することはないことである。負荷DCDC変換器は、したがって、電気負荷104に給電するための簡単な降圧型変換器によって給電され得る。減速イベントから回収されたエネルギーは、エネルギー回収回路112によってスーパーキャパシタに向けられ得る。この回路は、電力ダイオードと同じように簡単に保たれて、電気負荷からスーパーキャパシタへの電流の流れを制御することができる。
【0049】
[スーパーキャパシタ充電の制御]
考慮すべき重要な問題は、スーパーキャパシタの充電の状態をどのように制御するかである。スーパーキャパシタが完全に充電された場合、その後の減速イベント後、回収されたエネルギーは、スーパーキャパシタ内に貯蔵できなくなる。この場合、回収されたエネルギーは、再充電可能な電源に向けられるか(そのため、再充電可能な電源が電池である場合は電池の経年劣化の原因になる)、または熱として消散される必要がある。
【0050】
図10は、PID制御装置としての制御装置114の1つの可能な実施形態を示す。1つのオプションは、スーパーキャパシタの充電が所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値を下回ったときにのみ、制御装置114が、再充電可能な電源にスーパーキャパシタを充電させることである。これは、スーパーキャパシタ上の電圧Vcを測定し、スーパーキャパシタの電圧が所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値を下回ったときにのみ、再充電可能な電源がスーパーキャパシタを充電することを可能にすることによって行われ得る。所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値Vrは、瞬間スーパーキャパシタ電圧Vcと比較され、制御装置114は、それに従ってその出力を調整する。
【0051】
[エネルギー回収]
減速イベント中、積荷取扱装置の減速から運動エネルギーが回収され、その後の使用のためにスーパーキャパシタ内に貯蔵されることが可能である。
【0052】
積荷取扱装置のエネルギー貯蔵システムは、積荷取扱装置がその最大の速度からXまたはY方向に、異なるグリッド位置に静止するまで減速する減速イベント中、駆動機構から電力を受け取ることができなければならない。駆動機構は、1つまたは複数の電気モータを備えることができ、この電気モータは、積荷取扱装置の運動エネルギーを、その後の使用のためにスーパーキャパシタ内に貯蔵され得る電気エネルギーに変換するために、減速イベント中に発電機として作用する。
【0053】
積荷取扱装置のエネルギー貯蔵システムは、グラバーデバイスが貯蔵グリッド内の下側垂直位置に下降される減速イベント中、持ち上げ機構から電力を受け取ることができなければならない。グラバーが下降されるとき、より高いその垂直開始位置からの位置エネルギーは、運動エネルギーに変換される。持ち上げ駆動アセンブリは、1つまたは複数の電気モータを備えることができ、この電気モータは、下がっていくプラットフォームの運動エネルギーを、その後の使用のためにスーパーキャパシタ内に貯蔵され得る電気エネルギーに変換するために、減速イベント中に発電機として作用する。
【0054】
グラバーデバイスが貯蔵容器を把持しているときの下降作動中、その貯蔵容器の質量は、グラバーデバイスおよび貯蔵容器の垂直開始位置が高いほど、そこから回収される位置エネルギーはより多くなることを意味するため、より多くのエネルギーが回収され得ることが、理解されよう。
【0055】
回収されたエネルギーは、
図11に示されるように、エネルギー回収回路112によってスーパーキャパシタ102内へと転換され得る。エネルギー回収回路112の目的は、電流をスーパーキャパシタ102内に向けるためである。これは有利であり、その理由は、回収されたエネルギーが再充電可能な電源内に向けられると、充電-放電サイクルの数が増大し、再充電可能な電源が電池である場合に電池の経年劣化が加速するからである。エネルギー回収回路は、1つまたは複数のダイオードまたはトランジスタを備えることができる。
【0056】
1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、回収されたエネルギーが再充電可能な電源ではなくスーパーキャパシタに向けられることを確実にするために、再充電可能な電源より低い内部抵抗を有することができる。
【0057】
[回収されたエネルギーを受け取り、貯蔵するようにスーパーキャパシタをサイズ設定する]
所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値は、これがスーパーキャパシタ最大定格電圧より低くなるように、そして所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値とスーパーキャパシタの最大定格電圧との間の相違が、1つまたは複数の減速イベントから回収されたエネルギーをスーパーキャパシタが受けるのに十分であるように選択され得る。また、スーパーキャパシタの電力定格は、減速イベントからの電力を受け取るのに十分であるように選択され得る。
【0058】
スーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値とスーパーキャパシタの最大定格電圧との間の相違が、1つの減速イベントからエネルギーを受け取り、貯蔵するのに十分であるようにサイズ設定され得る。
【0059】
あるいは、スーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値とスーパーキャパシタの最大定格電圧との間の相違が、複数の減速イベントからエネルギーを受け取り、貯蔵するのに十分であるようにサイズ設定され得る。たとえば、積荷取扱装置が、Y方向に異なるグリッドセルに移動し、貯蔵容器を置くことが必要とされる場合、この作動は、4つの加速/減速イベント、すなわちY方向に最大速度まで加速すること(加速イベント)と、目標のグリッドセルの上方に静止するためにY方向に減速すること(減速イベント)と、貯蔵容器を置くために積荷取扱装置の容器受け入れ空間から下側垂直位置にグラバーデバイスおよび貯蔵容器を下降させること(減速イベント)と、グラバーデバイスを上昇させて積荷取扱装置に戻すこと(加速イベント)とを備える。イベントのこの手順では、2つの連続的な減速イベントが存在する。所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値とスーパーキャパシタの最大定格電圧との間の相違が、両方の減速イベントからエネルギーを受け取り、貯蔵するのに十分であるように1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリをサイズ設定することは、スーパーキャパシタが単独でこの作動に使用されることが可能であり、したがって再充電可能な電源に必要とされる電力サイクルの数を低減し、潜在的にはその寿命を延長することを意味する。全般的には、スーパーキャパシタのエネルギー容量が2つ以上の通常の減速イベントに十分なものであり、そのため正常作動下では、再充電可能な電源が加速イベントからのエネルギーを受け取る必要がないことが、利点である。再充電可能な電源を通る電流の方向を逆転させると、再充電可能な電源が電池である場合、経年劣化プロセスは加速し、その寿命は低減する。
【0060】
所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値とスーパーキャパシタの最大定格電圧との間の相違が、複数の減速イベントからエネルギーを受け取り、貯蔵するのに十分であるようにスーパーキャパシタをサイズ設定することは有利であり、その理由は、これにより、グリッド上での正常作動中、予期せぬ高速の減速イベントがある場合でも、再充電可能な電スーパーキャパシタとの間のエネルギーの流れは、一方向のみであることが確実になるからである。スーパーキャパシタは、加速/減速イベントから充電-放電サイクルを効果的に果たし、再充電可能な電源をこれらのサイクルの経年劣化影響から保護する。再充電可能な電源が、エネルギー貯蔵システム内の唯一の電源である場合によくあるようにすべての加速/減速イベントの充電-放電サイクルを受けるのではなく、再充電可能な電源は、その代わりに低電力においてスーパーキャパシタにエネルギーの一定の「つぎ足し」を提供するだけでよい。これは、再充電可能な電源に平滑で一定の電流プロファイルを提供することがより容易になるという追加の利点を有する。
【0061】
再充電可能な電源とスーパーキャパシタとの間のソースDCDC変換器108が昇圧型変換器である場合、所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値は、再充電可能な電源の電圧より高くなり得る。これは、スーパーキャパシタ102が、そのエネルギー貯蔵能力が平方根電圧に比例するため、より多くのエネルギーを貯蔵することができるという利点を有する。
【0062】
1つのオプションは、スーパーキャパシタの最小電圧を再充電可能な電源の電圧以上であるように設定することである。これは、負荷DCDC変換器110が電気負荷104に給電するための簡単な降圧型変換器であることができるという利点を有する。また、スーパーキャパシタの電圧が電気負荷上の電圧以上である場合、エネルギー回収回路112は、パワーダイオードと同じように簡単に保たれ得る。このオプションの欠点は、スーパーキャパシタの電圧範囲の一部しか使用できないことである。
【0063】
スーパーキャパシタの電圧が再充電可能な電源の電圧を下回って降下することを可能にすることは、スーパーキャパシタのより多くの範囲が使用されることを可能にするが、再充電可能な電源とスーパーキャパシタとの間の簡単な昇圧型変換器ではなく、より複雑な電子装置が必要とされることを意味する。また、スーパーキャパシタの電圧が電気負荷上の電圧を下回る場合、エネルギー回収回路112は、スーパーキャパシタの過電圧を回避するためにより複雑になる必要がある。スーパーキャパシタの最大定格を超える電圧は、セルの作動寿命を低減させ、最終的には故障につながる。
【0064】
たとえば、再充電可能な電源の電圧および電気負荷が、いずれも公称48Vである場合、所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値は、60Vに設定され得る。スーパーキャパシタは、最大定格電圧が72Vであるように選択されることが可能であり、そのため、スーパーキャパシタは、減速イベントから回収されたエネルギーを貯蔵するのに十分なエネルギー貯蔵容量を有することになる。スーパーキャパシタ電圧が60Vを下回る場合、制御装置は、再充電可能な電源にスーパーキャパシタを充電させる。スーパーキャパシタ電圧が60Vを上回る場合、制御装置114は、再充電可能な電源にスーパーキャパシタを充電させない。スーパーキャパシタは、電圧が60Vを下回るまで加速イベントにエネルギーを提供し続け、60Vを下回った後、制御装置は、再充電可能な電源がスーパーキャパシタを再度充電することを許す。ソースDCDC変換器108およびエネルギー回収回路112内の必要とされる電子装置を簡単にするために、スーパーキャパシタ102は、48Vの最小作動電圧を上回って作動することに限定され得る。
【0065】
[非動力電力負荷]
電気負荷は、動力と非動力の両方の電力負荷を備えることができる。動力電力負荷は、駆動機構および/または持ち上げ駆動アセンブリの需要によるものであり、積荷取扱装置の移動に応じて変化する。非動力電力負荷は、積荷取扱装置の動作以外のすべての機能のための電力負荷であり、たとえば、貯蔵グリッド制御システムとの通信のための電力を含むことができる。これらの非動力電力負荷は、積荷取扱装置の移動にかかわらず常に存在する。
図12は、非動力電力負荷106を有する回路図を示す。非動力電力負荷は、再充電可能な電源100によって給電され得る。
【0066】
[加速イベントに合わせてスーパーキャパシタをサイズ設定する]
積荷取扱装置のエネルギー貯蔵システムは、XおよびY方向にグリッド上で積荷取扱装置が移動することを可能にするために駆動機構に電力を提供できなければならない。XまたはY方向の移動は、積荷取扱装置が静止から開始し、最大速度に到達するまでの加速イベントと、その後、積荷取扱装置が最大速度から、異なるグリッド位置に静止するまでの減速イベントとを備える。通常、各加速イベントの後に減速イベントが続けられる。
【0067】
積荷取扱装置のエネルギー貯蔵システムは、貯蔵容器を取り出す、または置くために、持ち上げ駆動アセンブリによってグラバーデバイスを下降および上昇させることを可能にするために電力を提供できなければならない。持ち上げ作動は、グラバーデバイスが積荷取扱装置からグリッドフレームワーク内の下側垂直位置に下降される減速イベントと、その後の、グラバーデバイスが貯蔵容器を掴み、これを垂直に上方に上昇させて積荷取扱装置内の容器受け入れ空間内に入れる加速イベントとを備える。同様に、置く作動は、貯蔵容器を保持するグラバーデバイスが積荷取扱装置から、貯蔵容器が置かれるグリッドフレームワーク内の下側垂直位置に下降される減速イベントと、その後の、グラバーが積荷取扱装置まで垂直に上方に上昇される加速イベントとを備える。通常、各減速イベントの後に加速イベントが続けられる。
【0068】
スーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、電力定格が1つの加速イベントに電力を提供するのに十分であるようにサイズ設定され得る。
【0069】
あるいは、スーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、電力定格が複数の加速イベントに電力を提供するのに十分であるようにサイズ設定され得る。たとえば、積荷取扱装置が、貯蔵容器を取り出し、これをX方向に異なるグリッドセルに移動させることが必要とされる場合、この作動は、4つの加速/減速イベント、すなわちグラバーデバイスを下降させること(減速イベント)と、貯蔵容器を容器受け入れ空間内に配置するためにグラバーデバイスおよび貯蔵容器を上昇させること(加速イベント)と、X方向に最大速度まで加速すること(加速イベント)と、目標グリッドセルの上方で静止するために減速すること(減速イベント)とを備える。イベントのこの手順では、2つの連続的な加速イベントが存在する。電力定格が両方の加速イベントに電力を提供するのに十分であるように、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリをサイズ設定することは、スーパーキャパシタが単独でこの作動に使用されることが可能であり、したがって必要とされる再充電可能な電源の電力サイクルの数を低減し、潜在的には再充電可能な電源の寿命を延長することを意味する。全般的には、スーパーキャパシタ電力が2つ以上の通常の加速イベントに十分なものであり、そのため正常作動下では、再充電可能な電源が加速イベントに電力を提供する必要がなく、スーパーキャパシタの充電量が所与のレベルを下回って降下するときにスーパーキャパシタにつぎ足すだけでよいことが、利点である。予期せぬ高速の加速がある場合でも、再充電可能な電源は、依然として電力サイクルから保護される。
【0070】
スーパーキャパシタは、貯蔵グリッドの全長にわたるXまたはY方向の動きであってもよい、最もエネルギーを必要とする加速イベントを完了するために利用可能な十分な電力およびエネルギーを有するようにサイズ設定され得る。
【0071】
[回路作動]
図13~18は、積荷取扱装置が異なる状態にある間の、すなわち、減速イベント中、アイドリング期間中、および加速イベント中の回路の作動を示す。いずれの場合も、回路の作動は、再充電可能な電源がスーパーキャパシタを充填している間と、再充電可能な電源がスーパーキャパシタを充電していない間とで示される。図上の矢印は、電流の流れの方向を表す。
【0072】
図13は、積荷取扱装置が減速イベントを受けている間の回路の作動を示す。エネルギーが、電気負荷104から(たとえば駆動機構または持ち上げ機構から)回収され、エネルギー回収回路112によってスーパーキャパシタ102に向けられる。再充電可能な電源100は、非動力電力負荷106に電力を提供する。効果的には、回路図は、2つの別個の回路である。
【0073】
図14は、積荷取扱装置が減速イベントを受けており、再充電可能な電源がスーパーキャパシタを充電している間の回路の作動を示す。エネルギーが、電気負荷104から(たとえば駆動機構または持ち上げ機構から)回収され、エネルギー回収回路112によってスーパーキャパシタ102に向けられる。再充電可能な電源100は、スーパーキャパシタ102および非動力電力負荷106に電力を提供する。これが起こるには、スーパーキャパシタ電力定格は、エネルギー回収回路と再充電可能な電源の両方から電力を受け取るのに十分でなければならない。
【0074】
図15は、積荷取扱装置がアイドリングしている間の回路の作動を示す。再充電可能な電源100は、非動力電力負荷106に電力を提供する。ソースDCDC変換器108は、スーパーキャパシタ102に電力が提供されないように接続解除され得る。
【0075】
図16は、積荷取扱装置がアイドリングしており、再充電可能な電源がスーパーキャパシタを充電している間の回路の作動を示す。再充電可能な電源100は、非動力電力負荷106およびスーパーキャパシタ102に電力を提供する。負荷DCDC変換器110は、電気負荷104に電力が提供されないように接続解除され得る。回路は、積荷取扱装置の加速がすぐにでも予想されるアクティブモードを有することができ、この場合、負荷DCDC変換器110は、電気負荷104に電力を提供するのに備えて接続され得る。
【0076】
図17は、積荷取扱装置が加速イベントを受けている間の回路の作動を示す。電力が、スーパーキャパシタ102によって電気負荷104(たとえば駆動機構または持ち上げ機構)に提供される。再充電可能な電源100は、非動力電力負荷106に電力を提供する。効果的には、回路図は、2つの別個の回路である。
【0077】
図18は、積荷取扱装置が加速イベントを受けており、再充電可能な電源がスーパーキャパシタを充電している間の回路の作動を示す。電力が、スーパーキャパシタ102によって電気負荷104(たとえば駆動機構または持ち上げ機構)に提供される。再充電可能な電源100は、非動力電力負荷106に電力を提供する。電気負荷104のインピーダンスがスーパーキャパシタ102のインピーダンスより低い場合、再充電可能な電源100は、スーパーキャパシタ102に電力を提供することができ、そうでない場合、再充電可能な電源100は、電気負荷に電力を提供することができる。
【0078】
[再充電可能な電源が平均電流を提供する]
積荷取扱装置に電力を提供するためにスーパーキャパシタを使用する主な利点の1つは、スーパーキャパシタが、再充電可能な電源の代わりに充電/放電サイクルを経験することである。再充電可能な電源は、サイクルではなく平均電流にさらされる。
【0079】
図19は、スーパーキャパシタを使用する原理の説明である。貯蔵容器重量15kgがグリッド貯蔵システム内の12個のグリッドセルの深さまで下降され、次いで、再度上昇されるときに電気負荷を通る電流が、時間に対してプロットされる。実線は、持ち上げ駆動アセンブリ(電気負荷)に提供された/から回収された電流を表す。グラフは、最初に減速イベントを示し、この減速イベントでは、持ち上げ駆動アセンブリは、積荷取扱装置の容器受け入れ空間から貯蔵容器を下降させて貯蔵グリッド内に入れ、運動エネルギーが、貯蔵容器から回収され、持ち上げ駆動アセンブリによって電気エネルギーに変換される(負の電流)。次に加速イベントが示され、この加速イベントでは、エネルギーは、貯蔵容器を貯蔵グリッドの上部まで持ち上げ、貯蔵容器を積荷取扱装置の容器受け入れ空間内に配置するために持ち上げ駆動アセンブリに提供される(正の電流)。再充電可能な電源だけが、積荷取扱装置の持ち上げ駆動アセンブリに給電するために使用されている場合、再充電可能な電源は、最大23アンペア(減速)および14アンペア(加速)の過渡電流にさらされる。電流内のこれらのサージは、電流の過渡的性質と共に、再充電可能な電源の経年劣化を加速させる多数の部分的な充電/放電サイクルを備える。これは、再充電可能な電源が電池である場合に特に当てはまる。
【0080】
図19の点線は、電気負荷によって必要とされる平均電流を表す。平均電流は、約1アンペア(減速)である。再充電可能な電源と電気負荷との間に置かれたスーパーキャパシタが完璧なフィルタとして作用した場合、過渡現象のすべてを含む電流信号全体は、スーパーキャパシタによって取得され、再充電可能な電源は、1アンペアの平均電流にさらされる。過渡現象の除去は、再充電可能な電源がいかなる充電-放電サイクルにもさらされず、その予想される耐用期間を大きく延長することを意味する。スーパーキャパシタは、これらが高電力密度を有し、多数の充電-放電サイクルからの早期の経年劣化を被らないため、電流内の過渡現象を取り扱うのに良好に適している。
【0081】
1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリの使用はまた、エネルギー貯蔵システムの効率性も改善する。電力損失は、平方根電流に比例し、そのため再充電可能な電源の電流が低くなると、電力損失はかなり低減される。上記で説明され、
図19に示されるシナリオでは、重量15kgの貯蔵容器を12個のグリッドセルの深さまで下降させ、持ち上げる間に再充電可能な電源の内側に生成される熱は、230J/Ωである。貯蔵容器の下降および持ち上げに給電するために1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリを使用することで、再充電可能な電源内にこうして生成される熱は、(平均電流を使用して算出されて)2.8J/オームに低減される。これは、生成される熱における82分の1の低減である。
【0082】
効率性を改善すると共に、電力損失を低減することは、積荷取扱装置がフルフィルメントセンタ内でチルド品または冷凍品を取り扱っており、フルフィルメントセンタが低温度に保たれる必要がある場合に特に重要である。積荷取扱装置内の再充電可能な電源から廃棄される熱は、フルフィルメントセンタの冷却システムが、必要とされる低温を維持するためにより多くのエネルギーを消費する必要があることを意味する。
【0083】
[補助電力が再充電可能な電源によって供給される、一次電源としてのスーパーキャパシタ]
本発明の1つの実施形態では、スーパーキャパシタ102は、積荷取扱装置のための一次電力供給源として使用されることが可能であり、このとき補助電力が、再充電可能な電源100によって供給される。これにより、スーパーキャパシタを主電源として使用して積荷取扱装置が作動することが可能になり、したがって、スーパーキャパシタ充電ステーションにおけるスーパーキャパシタの高速の充電の利点から利益を得る。
【0084】
再充電可能な電源が電池であるとき、電池の相対的に長い充電時間は、数時間の長さになる可能性があり、これは、積荷取扱装置がグリッドフレームワーク構造上で非アクティブ状態または動作不能状態のままである間のかなりの長さのダウンタイムを表す。いくつかの積荷取扱装置が、所与の時間スロット内で顧客の注文を履行するためにグリッドフレームワーク上で動作可能である場合、1つまたは複数の積荷取扱装置をかなりの時間の間アイドリングのままにすることは、適時に注文を履行するフルフィルメントセンタまたは配送倉庫の能力に致命的な影響を与える。これは、特に、積荷取扱装置が商品の受注時に顧客の敷地への商品の宅配を提供する物流システムに寄与している場合にそうである。ここでは、配達住所を含む配達情報が、顧客の配達住所に商品を配達するためにアマゾンおよびUKのオカドなどのオンライン業者によって使用される。そのような問題を緩和するために、UKオカドなどのオンライン業者は、充電のためにアイドリングのままでいる積荷取扱装置に対応するために、グリッドフレームワーク上で動作可能な積荷取扱装置の緩衝域(buffer)を提供する。極端な場合、注文の配達の時間スロットは、このダウンタイムに対応するために延長される。一次電源としてスーパーキャパシタを使用することは、低速の電池充電の欠点を無くし、ダウンタイムを低減し、顧客注文の効率的な履行に寄与する。
【0085】
主としてリチウムイオン、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、またはリチウムイオンポリマー電池技術に基づく電池は、電気エネルギーを貯蔵するために化学反応を利用する。これらの電池の効果性は、充電が繰り返された後、リチウムイオンセルの破損によって消失し、したがって、充電を長い時間期間の間貯蔵する電池の能力は、経時的に消失する。
【0086】
スーパーキャパシタ用の充電ステーションは、通常、電池用の充電ステーションより高い電流において作動するが、その理由は、スーパーキャパシタがより高い電力密度を有するために(これもまた高速充電の利点を有する)より高い電力において充電を受け入れることができるためである。貯蔵グリッドには、2つのタイプの充電ステーションが設けられてもよく、1つは、スーパーキャパシタを充電するためにより高い電力定格/より高い電流のものであり、1つは再充電可能な電源を充電するためにより低い電力定格/より低い電流のものである。
【0087】
積荷取扱装置は、エネルギー貯蔵システムの充電レベルを監視する制御システムによって制御され得る。制御システムは、積荷取扱装置のエネルギー貯蔵システムが充電を必要としているかどうかを決定し、この充電レベルが所定の閾値充電レベルを下回って低下する場合に充電ステーションに移動するように積荷取扱装置を向ける。二重電源では、制御システムは、スーパーキャパシタまたは再充電可能な電源のどちらが充電される必要があるかどうかを決定し、適切な充電ステーションを選び、貯蔵グリッド上の選択された充電ステーションに移動するように積荷取扱装置を向けることができる。
【0088】
あるいは、単一のタイプの組み合わせられた充電ステーションが、提供されることが可能であり、このステーションは、(再充電可能な電源の低速充電のために)低電流または(スーパーキャパシタの高速充電のために)高電流を提供するように構成され得る。制御システムは、積荷取扱装置のエネルギー貯蔵システムが充電を必要としているときを決定し、スーパーキャパシタまたは再充電可能な電源のどちらが充電される必要があるかどうかを決定し、適切に組み合わせられた充電ステーションを選択し、貯蔵グリッド上の選択された充電ステーションに移動するように積荷取扱装置を向け、高充電電流または低充電電流のどちらが使用されるべきかを決定する。
【0089】
充電ステーションは、誘導性ワイヤレス充電ステーションであることができる。
【0090】
本発明のこの実施形態では、1つまたは複数のスーパーキャパシタのアセンブリは、一次電源であるため、充電の多くは、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリの高速充電となる。再充電可能な電源の充電は、再充電可能な電源が枯渇したとき、稀にしか必要とされない。
【0091】
[グリッドダウンタイム後の再充電可能な電源からの補助電力]
時折、貯蔵システム全体が、メンテナンス作業を実施するために、または積荷取扱装置での問題を解決するために、(グリッドダウンタイムとして知られている)短期間の間オフラインである必要がある。これは、主電源とするスーパーキャパシタだけで積荷取扱装置が給電されている場合、問題を引き起こす。スーパーキャパシタは、高い自己放電率を有し、通常、1時間の停止後、スーパーキャパシタは、電気負荷に給電するための所定の閾値電圧を下回って部分的に放電されていることがあり、この場合、スーパーキャパシタは、積荷取扱装置が貯蔵グリッド上で移動することを可能にするために必要とされる電力を提供できなくなる。グリッドダウンタイムが終了し、積荷取扱装置が再起動された後、積荷取扱装置は、その自力の電力で充電ステーションに戻ることができなくなることがある。積荷取扱装置は、グリッド上のそれらの位置から取り出され、再度作動可能になることができる前に充電ステーションに送られる必要があり、これは、グリッドダウンタイム期間を延長する。
【0092】
この問題は、特に再充電可能な電源が電池であるとき、一次電源とするスーパーキャパシタが放電されたときにバックアップ電力として再充電可能な電源を使用することによって解決される。電池は、自己放電率が低いという利点を有するため、停止期間の後、大きくは放電されていない。メンテナンス作業のためのグリッドダウンタイム後、スーパーキャパシタの充電状態が、必要とされる電力を提供できないレベルまで降下したとき、再充電可能な電源は、積荷取扱装置の移動を可能にするために電気負荷にバックアップ電力を提供することができる。
【0093】
積荷取扱装置は、スーパーキャパシタ102が部分的または完全に放電されたとき、再充電可能な電源100からの電力で作動するように切り替えることができ、したがって、積荷取扱装置の電力が切れ、グリッド上に立ち往生して、積荷取扱装置を取り出し、充電ステーションに送るためのダウンタイムを必要とするリスクを排除する。
【0094】
[低温環境におけるスーパーキャパシタ]
スーパーキャパシタは、低温環境における電池技術を向上させ、それによって、スーパーキャパシタを一次電源とする積荷取扱装置をこれらの作動状態に特に良好に適したものにする。
【0095】
積荷取扱装置は、たとえばチルド品または冷凍品の顧客注文を履行するとき、温度が低く保たれるフルフィルメントセンタ内で作動し得る。積荷取扱装置のエネルギー貯蔵システムからのすべての廃棄された熱は、エネルギーの無駄を表すだけでなく、フルフィルメントセンタの温度を低く保つためにより多くのエネルギー消費も必要とする。
【0096】
表2は、グリッドフレーム構造上で積荷取扱装置に給電するLiイオン電池のバンクの性能を示す。
【0097】
【0098】
通常、Liイオン電池は、4時間の放電ごとに15分の充填を必要とする。4時間の期間にわたるグリッドフレームワーク構造上の作動中、電気負荷上の電力は、600Wのピークに到達し、アイドリング時、電力が積荷取扱装置内の制御装置(制御ユニット)と中央制御システムとの間の通信デバイスを介した通信によって消費されるために96Wに到達する。電気負荷によって消費される平均電力は、4時間の期間にわたり、作動サイクルあたり100Whのエネルギー消費に対応する400Wになるとみなされる。積荷取扱装置上のエネルギー貯蔵システムは、完全充電時に少なくとも100Whのエネルギーを貯蔵する必要がある。Liイオン電池は、周囲の制御された温度(10℃~30℃)で3年、チルド温度(0.5℃)で0.5年の耐用期間を有する。
【0099】
Liイオン電池とは対照的に、スーパーキャパシタは、低温で作動するときの耐用期間の低減の問題を被らない。スーパーキャパシタは、通常、-40℃までの低い温度で作動すると評価されており、性能のいかなる低下の問題も被らない。
【0100】
積荷取扱装置は、貯蔵システムがチルド品または冷凍品用である場合、低温環境で作動することが必要とされ得る。特に貯蔵システムは、チルドまたは冷凍温度環境を有するフルフィルメントセンタ内に位置することができ、積荷取扱装置は、この環境内で作動できる必要がある。冷凍温度は、実質的に-25℃から実質的に0℃の間の範囲をカバーし、チルド温度は、実質的に0℃から実質的に4℃の間の範囲をカバーする。したがって、スーパーキャパシタは、通常、チルドまたは冷凍温度環境においてこれらの定格作動温度内にある。
【0101】
一例として、表3は、100Whの初期エネルギーで充電された市販のスーパーキャパシタモジュールに加えられた、48ボルトにおいて異なる所望の充電時間および放電時間に対して算出された充電電流を示す。Liイオン電池用の表2に示されるように4時間の期間にわたる平均電力消費は、400Wであるように考えられる。スーパーキャパシタ用の表に示される充電時間(5秒から30秒)は、Liイオン電池(通常15分)よりかなり高速である。
【0102】
表4は、100Whの初期充電を想定して、異なる放電時間に使用される等価エネルギーと、スーパーキャパシタの放電の等価の深さとを示す。表2に示されるように積荷取扱装置内でLiイオン電池によって消費される平均電力は、400Wである。100Whを提供するように最初に充電されたスーパーキャパシタから同じ電力を受け取るには、スーパーキャパシタは、100%の放電深さで15分ごとに完全に放電する必要がある。同様に、5分の放電時間は、放電深さが33%であり、等価エネルギーが33Whであることを表す。
【0103】
グリッドフレームワーク構造上の積荷取扱装置の作動、したがってグリッドフレームワーク構造上で作業を実施する際に積荷取扱装置によって消費される電力に応じて、積荷取扱装置が作動を完了することを可能にするのに十分なようにスーパーキャパシタモジュールにつぎ足すために、1つまたは複数のスーパーキャパシタ充電ステーションを訪れることによって、エネルギーの短いバーストが、スーパーキャパシタモジュールに送出され得る。グリッドフレームワーク構造上で作業を実施する際の時間と比較して、スーパーキャパシタモジュールのバンクの充電時間は、その時間のごく一部となる。充電時間が(数秒程度で)比較的短いため、またスーパーキャパシタは複数の充電サイクルに耐えることができるため、積荷取扱装置は、グリッドフレームワーク構造上の作動中、複数の充電ステーションを訪れることができる。たとえば、スーパーキャパシタは、100%の放電深さで29万回にわたって繰り返すことができ、これは、通常の電池の実用年数よりかなり長い約8年の実用年数に等しい。
【0104】
【0105】
【0106】
[積荷取扱装置の質量中心を下降させるためのスーパーキャパシタモジュールの分散]
本発明の1つの実施形態では、積荷取扱装置は、(
図4および5に示されるように)グリッドフレームワーク構造の1つのグリッド空間またはグリッドセルしか占有しない。これは、より多くの数の積荷取扱装置が、任意の所与の時間においてグリッド上でアクティブであり得るという利点を有する。しかし、下部に容器受け入れ凹部40を有する
図5に示される積荷取扱装置は、容器受け入れ凹部の上方に位置する、持ち上げ駆動アセンブリ、駆動機構およびエネルギー貯蔵システムを有する。この配置の欠点は、積荷取扱装置の質量中心が高く、積荷取扱装置の安定性に悪影響を与えていることである。
【0107】
質量中心を下降させ、したがって積荷取扱装置の安定性を改善するために、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールは、容器受け入れ凹部間の外側周りに分散され得る。
図20は、車体32内に位置する容器受け入れ凹部40を備える積荷取扱装置30を示す。車体32は、積荷取扱装置30の4つの側部に4つの外壁42と、容器受け入れ凹部40が中に位置する車体の内面を形成する4つの内壁44とを備える。車体の内壁44と外壁42との間には、空隙46が存在する。
【0108】
図21は、スーパーキャパシタモジュール48が内壁44と外壁42との間の空隙46内にどのように配置され得るかを示す。スーパーキャパシタモジュール48は積荷取扱装置内の下側に位置決めされるため、積荷取扱装置の質量中心が下降されることが、理解されよう。この配置でなければ、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、容器受け入れ凹部40の上方の積荷取扱装置の上部内に位置決めされることになる。質量中心が下降した結果、積荷取扱装置はより安定的になる。
【0109】
積荷取扱装置の安定性は、重要な考慮事項である。不安定な積荷取扱装置は、転倒のリスクの恐れがあり、それによって、積荷取扱装置を取り出し、これを直立位置に戻すためにグリッドダウンタイムが必要となる。
【0110】
[低電流ドレインの期間によって電池の充電状態の算出を再較正する]
図22は、積荷取扱装置内のリチウムイオン電池の充電-放電プロファイルを示し、電池電圧に対して電池の充電状態(SOC)をプロットしている。データは、グリッド上の積荷取扱装置の作動1日後に測定された。データの3つのセット、すなわちi)異なる電池電流値の範囲において電池電圧を測定することから得られたSOC、ii)電池製造者のデータシートからの開回路電圧曲線、iii)異なる電池電流値の範囲における電池燃料ゲージからのSOC推定値が、プロットされている。i)およびiii)は、異なる電流値の範囲において測定されているため、単一の線ではなくデータのいくつかのセットが存在する。ii)のデータ点は、単一電流にある(開回路電圧はゼロ電流に相当する)ため、単一のデータ線が存在する。3つのデータセットがすべて位置合せされ、製造者データと位置合される、i)電圧を測定することから得られたSOCとiii)電池燃料ゲージからのSOC推定値の両方に対するデータ点のサブセットは、ゼロ電流における測定値であることが、
図22から分かる。この位置合せは、電池燃料ゲージが、電池の真のSOCを正確に測定していることを示している。
【0111】
電池燃料ゲージSOC推定は、クーロンカウンティング(coulomb counting)方法に基づく。この方法は、電池から引き出され、電池に供給される電流を測定し、残りの利用可能な充電を推定するためにこれを経時的に積算する。クーロンカウンティングは、実施するのに簡単な方法であり、分かりやすいという点で有利であるが、電流測定値は完璧に正確であることができないため、方法は、測定値が基準点に対して再較正されない場合、経時的にドリフトを被り得る。
【0112】
図23は、積荷取扱装置内のリチウムイオン電池の充電-放電プロファイルを示し、
図22と同じようにして、電池電圧に対してSOCをプロットしている。データは、グリッド上の積荷取扱装置の数日の連続作動後に測定された。ここでも、3つのデータセット、すなわちi)異なる電池電流値の範囲において電池電圧を測定することから得られたSOC、ii)電池製造者のデータシートからの開回路電圧曲線、iii)異なる電池電流値の範囲における電池燃料ゲージからのSOC推定値が、プロットされている。電圧を測定することから得られたSOCが、充電プロファイル曲線に沿って製造者データと依然として位置合せされていることが、
図23から分かる。しかし、これは、製造者データと位置合せされない、電池燃料ゲージからのSOC推定値の場合はそうではない。SOCの電池燃料ゲージ読取値と実際のSOCとの間には、
図23に矢印によって表されるギャップが存在する。このギャップは、最大15~25%のSOCの大きさであり、電池燃料ゲージが、もはや電池の真のSOCを正確に報告しておらず、実際には、利用可能なSOCをかなり過大推定していることを示す。これは、充電曲線と放電曲線の両方の場合でそうである。
【0113】
SOCは、電池を再充電すべきときを決定するために制御システムによって使用されるため、電池燃料ゲージによるSOC推定値のこうした不正確性は、問題である。たとえば、制御システムは、SOCが30%を下回って降下したときに積荷取扱装置が充電ステーションに進行することを必要とし得る。電池燃料ゲージが、SOCが30%まで降下したことを示すとき、真のSOCは、10~15%の低さになり得る。これは、積荷取扱装置が充電ステーションに到達し得る前にその電池の充電が切れるというリスクを増大させるため、問題である。この状況では、積荷取扱装置が取り出され、充電ステーションにもっていかれる間、グリッドの作動を停止させる必要があり得る。
【0114】
電池燃料ゲージによるSOC推定値のこうした不正確性は、作動時間と共に徐々に増大する。グリッド上の1日作動後、電池燃料ゲージは、SOCを正確に報告しているが(
図22を参照)、グリッド上の数日の連続作動後、電池燃料ゲージは、SOCを正確に報告していない。
【0115】
ここでの問題は、電流内の過渡ピークを追跡する際の不正確性により、電池電流が過小推定される傾向があることである。電流過渡が、電池燃料ゲージが電流を測定する頻度より高い頻度で発生する場合、ピークは正確にはとらえられない。電池によって供給される電流を過小推定することは、電池内に残る利用可能な充電の過大推定につながる可能性があり、これは、電池燃料ゲージからのSOC推定値が経時的に上方にドリフトする理由の説明となる。たとえ少量であっても、電池によって供給される電流を過小推定することは、経時的に悪化していき、その結果、電池燃料ゲージSOC推定値と実際のSOCとの間にドリフトが生じる。
【0116】
この問題は、ゼロ電流、またはできるだけ少ない電流が電池から排出される低電流ドレインの期間を電池セルが経験することを可能にすることによって電池燃料ゲージを再較正することにより、解決され得る。この静止期間は、SOC推定値を再較正する機会を電池燃料ゲージに与え、「ドリフト」を低減する傾向がある。
【0117】
再較正は、知られている電圧および電流における電池燃料ゲージからのSOC推定値が、同じ電圧および電流における製造者データシートからの予想されるSOCと一致しているかどうかをチェックすることによって行われ得る。これは、任意の知られている電流であることができるが、開回路電圧曲線が電池製造者から容易に入手可能であるため、ゼロ電流が好都合である。電池電流がゼロであるとき、所与の電圧に対して予想されるSOCは、製造者のOCV曲線から読み取られ得る。したがって、電池燃料ゲージは、予想されるSOCが電池燃料ゲージのSOC推定値と異なることを特定し、予想されるSOCに合致するように電池燃料ゲージSOC推定値を更新することによって、再較正することができる。
【0118】
SOCを推定する代替の方法は、クーロンカウンティングではなく電圧測定である。しかし、電池電圧は、電池が放電するにつれて時間と共に急激に降下するため、電圧の小さな変化は、SOCの大きな変化に対応する。これは、電圧ベースのSOC推定が、常に正確とは限らないことを意味する。クーロンカウンティングは、較正問題が対応されることが可能であると想定して、電圧を測定するよりも、SOCを推定するより良好な方法であることができる。
【0119】
1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリと電池とを含むエネルギー貯蔵システムを有する積荷取扱装置は、短期間の間スーパーキャパシタだけを使用することによって二重電源を活用することができる。これにより、電池が、ゼロまたは低電流需要を有する低電流ドレインの期間を有することが可能になり、この低電流ドレイン期間中、電池燃料ゲージは、SOCの測定値を再較正し、したがってより正確なSOCの測定値を示すことができる。
【0120】
製造者の開回路電圧曲線に合わせて電池燃料ゲージを再較正するために、ゼロ電流引き出しが、低電流ドレインの期間の間理想的であるが、実際にはゼロ電流引き出しは達成可能ではないことがあり、そのため電流引き出しは、できるだけ低く保たれなければならない。低電流ドレインの期間は、スーパーキャパシタに充電が供給されないように、制御装置が電池を1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリから周期的に接続解除することによって達成され得る。「周期的に接続解除する」は、所定の時間期間ごとに1回、短期間の間接続解除する(たとえば、4時間ごとに1回)ことを意味する。
【0121】
[電池SOCのバランシング]
電池パック内の個々のセルは、当然ながら幾分異なる容量を有し、そのため、一連の充電および放電サイクルにわたり、異なる充電状態にあり得る。容量の変動は、製造差違、アセンブリ差違(たとえば1つの製造ランからのセルを他のものと組み合わせる)、セルの経年劣化、不純性、または環境露出(たとえばいくつかのセルは、モータ、電子装置などのような近くのソースから追加の熱にさらされることがある)によるものである可能性があり、電池管理システム内にしばしば見出されるセル監視回路などの寄生負荷の累積影響によって悪化され得る。
【0122】
電池は、直列に接続された複数の電池セルを備えることができる。この場合、各セル内の電圧/SOCをできる限り同じに維持することによって、電池の「バランスをとる」ことが必要である。電池セルのアセンブリのバランスをとることは、エネルギー容量を最大限にし、電池の実用年数を改善するのに役立つ。
【0123】
電池管理システムが、温度および電圧などの個々のセルの特性を含む電池パックの状態を監視するために使用される。充電するとき、電池パック全体は、たとえ他の電池セルがさらに充電される容量を依然として有していても、1つのセルがその最大安全充電電圧に到達するまでしか充電できない。したがって、最も低い電圧を有する電池セルが、電池パック全体の充電電圧を限定する。同様に、電池パックは、他の電池セルが依然として使用可能な充電を有することができていても、1つのセルが完全に放電されるまでしか安全に放電できない。したがって、最も低い充電容量を有する電池セルが、電池パック全体の充電容量を限定する。1つのセルがその限界に到達したときに充電/放電を停止させることができないと、電池セルは恒久的に損傷を受け得る。リチウムイオン電池は、特に、高すぎる電圧または電流によって化学的損傷を受けやすい。
【0124】
電池のバランシングは、より高いエネルギー容量を有する電池セルからより低いエネルギー容量を有する電池セルにエネルギーを再分配する。電池のバランシングは、最も充電されたセルからエネルギーが引き出され、熱として分散される受動的バランシング、または最も充電されたセルからエネルギーが引き出され、最も少なく充電されたセルに移送される能動的バランシングであることができる。能動的電池バランシングは、DC-DC変換器によって実行され得る。
【0125】
1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリと電池とを含むエネルギー貯蔵システムを有する積荷取扱装置は、所定の閾値電流を下回る一定の低電流を電池から引き出しながら、積荷取扱装置の加速需要を満たすためにスーパーキャパシタを使用することによって、二重電源を活用することができる。所定の閾値電流を下回る一定の低電流の引き出しは、電池セルバランシングのための最適な状態を提供する。最適な所定の閾値電流は、電池のサイズおよび仕様に依存し、電池製造者によって決定され得る。たとえば、所定の閾値電流は、3アンペアを下回る電流であってもよい。
【0126】
[アクセスポイント上方のグリッド場所におけるスーパーキャパシタの機会充電]
顧客注文を履行するために、積荷取扱装置は、貯蔵容器を取り出し、これを貯蔵グリッド上のアクセスポイント上方のグリッド場所に搬送することができる。貯蔵容器は、次いで、シュートを下ってアクセスポイントまで下降され、ここで貯蔵容器は、次いで、注文を履行するためにアクセスされ得る。作業者(operative)が、アクセスポイントにおいて貯蔵容器からアイテムを取り、これを顧客注文の一部としてパックすることができる。積荷取扱装置は、次いで、貯蔵容器を上昇させて上方に後退させ、グリッドを通して容器受け入れ空間に入れ、次いで、貯蔵容器を貯蔵グリッド内の適切な位置に置き直すことができる。
【0127】
貯蔵グリッド上のアクセスポイント上方のグリッド場所は、積荷取扱装置が貯蔵容器をアクセスポイントにもっていくためにこれらの場所に頻繁に行く必要があるため、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリを充電するための理想的な場所である。貯蔵システムは、したがって、アクセスポイント上方のグリッド場所に位置する1つまたは複数のスーパーキャパシタ充電ステーションを備えることができる。
【0128】
有利には、スーパーキャパシタ充電ステーションは、高率の誘導性スーパーキャパシタ充電ステーションであることができ、それにより、持ち上げおよび下降作動中のスーパーキャパシタの充電は、高率の誘導性充電によって行われ得る。これにより、スーパーキャパシタを短時間(数秒程度)で完全に充電することが可能になる。スーパーキャパシタの充電は非常に高速であるため、充電は、積荷取扱装置が貯蔵容器を下降させ、持ち上げている間にグリッド場所において費やす時間内で完了され得る。積荷取扱装置は、アクセスポイントの上方のグリッド場所に頻繁に訪れるため、これらの訪問は、すべてのキャパシタの充電要求に十分になり得る。積荷取扱装置は、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリを充電するために他の充電ステーションに別個の訪問を行う必要はない。したがって、スーパーキャパシタの充電は、積荷取扱装置の正常作動中に行われることが可能であり、余分な時間は必要とされない。
【0129】
スーパーキャパシタが、持ち上げまたは下降作動中に貯蔵グリッド上のアクセスポイント上方のグリッド場所において充電された後、スーパーキャパシタは、次いで、再充電可能な電源を充電するために使用され得る。これは、積荷取扱装置上の制御装置が、再充電可能な電源を充電するように1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリに命令することによって達成され得る。あるいは、積荷取扱装置が持ち上げまたは下降作動のためのグリッド場所に行こうとしている場合、スーパーキャパシタは、事前に再充電可能な電源を充電するために使用されることが可能であり、それにより、スーパーキャパシタは、部分的に放電され、スーパーキャパシタ充電ステーションによる充電に備える。
【0130】
スーパーキャパシタは、低電流において再充電可能な電源を充電するために使用され得る。上記で説明されたように、再充電可能な電源が電池である場合、電池を所定の閾値電流未満の一定の低電流にさらすことは、異なるセルにわたって均一な充電状態を確実にするために電池セルのバランスをとるために有用であり、それによって、電池の寿命を延長することができる。電流は、電池のバランシングを可能にするために限定され得る。制御装置は、所定の閾値電流を下回る電流で再充電可能な電源を充電するようにスーパーキャパシタに命令することができる。
【0131】
スーパーキャパシタが、十分な頻度で、十分に高い充電率で充電される場合、再充電可能な電源がスーパーキャパシタだけから充電されることが可能になり得る。これは、再充電可能な電源を充電するための貯蔵グリッド上の別個の充電ステーションの要求を取り除く。これは、積荷取扱装置が貯蔵グリッド上の再充電可能な電源充電ステーションに進行し、再充電可能な電源が充電されている間そこで時間を費やす要求を取り除く。積荷取扱装置を充電するためのダウンタイムの必要性は、効果的に排除され、積荷取扱装置が貯蔵グリッド上で連続的に作動することを可能にする。
【0132】
上記で説明されたように、積荷取扱装置は、制御システムが再充電可能な電源の充電レベルを監視し、この充電レベルが所定の閾値充電レベルを下回って低下する場合、充電ステーションに行くように積荷取扱装置を命令することによって制御され得る。積荷取扱装置が、再充電可能な電源の充電ステーションを訪れる必要なく貯蔵グリッド上で連続的に作動することができる本発明のこの実施形態では、スーパーキャパシタ充電ステーションは、積荷取扱装置が、電気負荷に給電するための所定の閾値電圧を上回るように再充電可能な電源の電圧レベルを維持することを可能にする。
【0133】
積荷取扱装置が貯蔵グリッド上で連続的に作動している状況では、上記で説明されたような電池の充電状態の推定値の再較正は、特に重要である。
【0134】
[電池/スーパーキャパシタ技術]
1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリが、それだけに限定されないが、キャパシタ、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタ、リチウムキャパシタ、電気化学二重層キャパシタ、電気二重層キャパシタ、擬似キャパシタ、ハイブリッドキャパシタ、またはこれらのキャパシタ技術のいくつかの組み合わせを備えてもよいことが、理解されよう。
【0135】
再充電可能な電源が、それだけに限定されないが、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムエア電池、リチウム鉄電池、鉄リン酸リチウム電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウムエア電池、薄膜電池、ソリッドステート電池、もしくはスマートバッテリカーボンフォームベースの鉛蓄電池、またはこれらの技術のいくつかの組み合わせを備えてもよいことが、理解されよう。
【0136】
[ローパスフィルタを使用する利点]
ローパスフィルタ回路は、再充電可能な電源における過渡電流サイクルの数を低減するために有利である。電気負荷に提供される電流における高周波数の過渡現象は、ローパスフィルタ回路によって「平滑」にされるため、再充電可能な電源を通過する電流の高周波数の過渡成分は除去される。これは、再充電可能な電源を電流引き出しのサージから保護する。再充電可能な電源が電池である場合、電流における過渡現象を低減することが、電池の経年劣化影響を低減するために示されているため、これは、特に有利である。
【0137】
過渡現象の除去は、再充電可能な電源がいかなる充電-放電サイクルにもさらされず、その予想される耐用期間を大きく延長することを意味する。スーパーキャパシタは、高電力密度を有し、多数の充電-放電サイクル回数からの早期の経年劣化を被らないため、電流における過渡現象を取り扱うのに良好に適している。
【0138】
ローパスフィルタの使用はまた、再充電可能な電源の効率性も改善する。電力損失は、平方根電流に比例するため、低電流の結果、電力損失はかなり低減される。
【0139】
効率性を改善すると共に、電力損失を低減することは、積荷取扱装置がチルド品または冷凍品を取り扱っており、フルフィルセンターが低温に保たれる必要がある場合に特に重要である。積荷取扱装置内の再充電可能な電源からの廃棄される熱は、フルフィルメントセンタの冷却システムが、必要とされる低温を維持するためにより多くのエネルギーを消費する必要があることを意味する。
【0140】
[ローパスフィルタを特徴として有する回路図]
図24は、再充電可能な電源100が電気負荷104およびフィルタ回路116に並列に接続されていることを示す回路図である。電気負荷104は、車輪34および36のセットを駆動することによってレールに沿ってX方向およびY方向それぞれに車両を移動させることを可能にする1つまたは複数の電気モータ、および/または貯蔵容器を上方から持ち上げるために持ち上げデバイスまたはクレーン機構を駆動する1つまたは複数のモータを備えることができる。
【0141】
説明を容易にするために、
図24の回路図は、再充電可能な電源100を単一の電池セルとして、電気負荷104を単一の電気負荷として示す。積荷取扱装置の再充電可能な電源が、電池に限定されず、電池は、単一の電池セルではなく1つまたは複数の電池セルのアセンブリを備えてもよく、電気負荷が、単一の電気負荷ではなく、いくつかの電気モータと他の構成要素とを備えてもよいことが、理解されよう。
【0142】
[DCDC変換器]
回路は、追加的に、1つまたは複数のDCDC変換器を備えることができる。
図25に示されるように、回路は、追加的に、電気負荷104とフィルタ回路116との間にフィルタDCDC変換器118を備えることができる。フィルタDCDC変換器118の目的は、再充電可能な電源上の電圧をフィルタ回路上の異なる電圧に変換するためである。フィルタ回路116に対して1つのフィルタDCDC変換器118により、再充電可能な電源上の電圧および負荷電圧は、同じになり得る。
【0143】
電気負荷104とフィルタ回路116との間のフィルタDCDC変換器118は、昇圧型変換器または降圧型変換器を備えることができる。降圧型変換器は、フィルタ回路が電気負荷104と並列の1つまたは複数のスーパーキャパシタを備える場合に特に有利であり、これは、1つまたは複数のスーパーキャパシタ上の電圧がより低くなるためである。電圧の低減は、より低定格のスーパーキャパシタまたは並列のより少ないスーパーキャパシタモジュールが必要とされることを意味する。
【0144】
回路は、追加的に、
図26に示されるように、再充電可能な電源100とフィルタ回路116との間にソースDCDC変換器108を備えることができる。ソースDCDC変換器108の目的は、再充電可能な電源100上の電圧をフィルタ回路116上の異なる電圧に変換するためである。2つのDCDC変換器108および116により、再充電可能な電源100および電気負荷104が、同じ電圧でも異なる電圧でもあってよいことが、理解されよう。
【0145】
再充電可能な電源100とフィルタ回路116との間のソースDCDC変換器108は、昇圧型変換器または降圧型変換器を備えることができる。
【0146】
[ローパスフィルタ]
ローパスフィルタはカットオフ周波数を有し、このカットオフ周波数より低い周波数を有する信号が、フィルタを通過することが許され、カットオフ周波数より高い周波数を有する信号は減衰される。フィルタは、入力信号内の高周波数を減衰するが、信号は、カットオフ周波数を下回ると減衰をほとんど経験しない。
【0147】
理想的なローパスフィルタは、カットオフ周波数を上回るすべての周波数を完全に排除しながら、カットオフ周波数を下回る周波数が変更されずにフィルタを通過することを許す。周波数応答は、ステップ関数である。実際、電子ローパスフィルタは、理想的なフィルタではなく、フィルタの正確な周波数応答は、フィルタ設計に依存する。
【0148】
[アクティブフィルタ対パッシブフィルタ]
フィルタ回路は、アクティブまたはパッシブであることができる。アクティブフィルタは、追加の電源を必要とし、信号強度を増大させるために増幅デバイスを含む。ゲインは、ユニティより大きく、入力と比較して信号内に利用可能な電力を増大させる。パッシブフィルタは、信号を強化するための増幅デバイスを含まず、追加の電源を必要としない。パッシブフィルタは、正味電力ゲインを有することができず、また、ゲインがユニティ未満であり、出力信号の大きさがその対応する入力信号より小さい振幅を有するように、信号からエネルギーを消散させる。
【0149】
パッシブフィルタ回路は、レジスタ、インダクタ、およびキャパシタなどの構成要素から構築され得る。追加の電源を必要としないことが利点であり、その理由は、それによって回路がより簡単になるためである。
【0150】
アクティブフィルタは、レジスタおよびキャパシタと比較して相対的に大きく、コストがかかる構成要素であるインダクタを使用せずに、いくつかの周波数範囲において所与の伝達関数を実現できるという利点を有する。インダクタが使用されないため、アクティブフィルタは、非常にコンパクトなサイズで作製されることが可能であり、磁場を生み出さず、または存在し得る磁場と相互作用しない。
【0151】
[多段フィルタ]
多段フィルタは、フィルタ回路を一緒に「縦繋ぎ」することによって構築され得る。フィルタが高次であるほど、周波数がカットオフ周波数を上回るときの信号の減衰量は増大する。フィルタの次数が増大するにつれて、フィルタは、理想的なフィルタの特徴および挙動に近づく。
【0152】
多段アクティブフィルタは、段間の良好な分離の利点を有するため、これらの特徴は、ソースおよび負荷インピーダンスとは関係ない。対照的に、多段パッシブフィルタは、各段が、先行する段の周波数依存による負荷を考慮しなければならないため、設計することがより難しい。
【0153】
[フィルタ回路の例]
信号をフィルタリングする1つの方法は、電圧源または電流源によって駆動される1つまたは複数のレジスタおよび1つまたは複数のキャパシタを備える回路であるRCフィルタである。RおよびCは抵抗およびキャパシタンスそれぞれに使用される通常の記号であるため、回路は、「RC」と称される。一次RC回路は、RC回路の最も簡単な種類であり、1つのレジスタと1つのキャパシタとを備える。電流信号をフィルタリングするためのRC回路は、電流源によって駆動される並列のレジスタおよびキャパシタを備える。カットオフ周波数は、回路のRC時間定数によって決定される。
図27aは、並列のRC回路を示す。一次RCフィルタは、再充電可能な電源100および電気負荷104と並列のスーパーキャパシタを使用して構築され得る。
【0154】
信号をフィルタリングする代替の方法は、電圧源または電流源によって駆動される1つまたは複数のレジスタおよび1つまたは複数のインダクタを備える回路であるRLフィルタである。RおよびLは抵抗およびインダクタンスそれぞれに使用される通常の記号であるため、回路は、「RL」と称される。一次RL回路は、RL回路の最も簡単な種類であり、1つのレジスタと1つのインダクタとを備える。電流信号をフィルタリングするためのRL回路は、電流源によって駆動される並列のレジスタおよびインダクタを備える。
図27bは、並列のRL回路を示す。
【0155】
別の代替策は、1つまたは複数のレジスタと、1つまたは複数のインダクタと、1つまたは複数のキャパシタとを備える電気回路であるRLCフィルタである。二次RLC回路は、RLC回路の最も簡単な種類であり、直列または並列に接続された、1つのレジスタ、1つのインダクタ、および1つのキャパシタを備える。R、L、およびCは抵抗、インダクタンス、およびキャパシタンスそれぞれに使用される通常の記号であるため、回路は「RLC」と称される。他の用途の中でも、RLC回路は、ローパスフィルタとして使用され得る。RLCフィルタは、回路内の電圧または電流が二次微分方程式によって説明され得るため、二次フィルタとして説明される。
図27cは、簡単なRLC回路を示す。
【0156】
より高次のパッシブRLCフィルタ、たとえばバターワースフィルタ(
図27d)も使用され得る。
【0157】
上記の回路は、すべてパッシブフィルタである。アクティブローパスフィルタ回路が、たとえば演算増幅器を使用することによって構築され得る。
図27eは、演算増幅器を有するアクティブフィルタ回路を示す。
【0158】
演算増幅器は、ゲイン帯域幅積(GBWP)によって特徴付けられ、ゲイン帯域幅積は、増幅帯域幅とその帯域幅が測定されるゲインとの積である。ゲイン帯域幅積は、帯域幅が測定されるゲインからほぼ独立しており、そのため概算すると、ゲインは、周波数に反比例する。たとえば、
図28は、1MHzのGBWPを有する演算増幅器を示す。演算増幅器は、1MHzの周波数において1(0dB)のゲイン、100KHzの周波数において10(20dB)のゲイン、1kHzの周波数において1000(60dB)のゲインを有する。この例のDCゲインは、100000または100dBである。高いDCゲインに結合されたこの反比例性応答は、演算増幅器に一次ローパスフィルタの特徴を与える。カットオフ周波数は、GBWPをDCゲインで割ることによって与えられる。
図27eに示される演算増幅器の場合、GBWPは、1MHzであり、DCゲインは、100000であり、そのためカットオフ周波数は10Hzである。10Hz以下の周波数における信号は、最大ゲインで通過することが可能にされ、高い周波数信号ほど、より低いゲインにさらされる。
【0159】
[持ち上げ/下降作動中の過渡電流]
図19は、貯蔵グリッド上の積荷取扱装置の下降および持ち上げ作動中の電流の過渡性質を示した。
【0160】
図29は、積荷取扱装置の釣り上げ作動の別の例を示す。最初に、グラバーデバイス39は貯蔵グリッド内に21個のグリッド位置の深さまで下降される(減速イベント)。グラバーデバイスは、次いで、質量30kgの貯蔵容器10を把持し、この貯蔵容器を上方にグリッドの上部まで持ち上げて、積荷取扱装置内の容器受け入れ空間に入れる(加速イベント)。グラバーデバイスは、次いで、貯蔵容器を下降させて貯蔵グリッド内の元の位置まで下げて戻し(第2の減速イベント)、貯蔵容器を解放し、次いで、グラバーデバイスを上方にグリッドの上部まで持ち上げて戻す(第2の加速イベント)。30kgの貯蔵容器が装填されながらグラバーデバイスが持ち上げられる第1の加速イベントが、負荷を有さずにグラバーデバイスが持ち上げられる第2の加速イベントよりかなり高い平均電流を有することが、
図29から分かる。同様に、グラバーデバイスが30kgの貯蔵容器によって装填されながら下降される第2の減速イベントは、グリッパデバイスが負荷を有さずに下降される第1の減速イベントよりかなり高い平均電流を有する。
【0161】
以下の表5は、
図29に示される4つの加速/減速イベントのそれぞれの平均電流を、そのイベントに対する電流のピーク間変動と共にリストする。変動は大きく、ピーク間変動が、第1の加速イベントの場合40アンペアを超えることが分かる。
【0162】
【0163】
[電流信号のフーリエ変換]
電流信号の高周波数成分のより良好な理解を得るために、
図30a~dは、
図29にプロットされた電流信号のフーリエ変換をプロットする。サンプリング周波数は、6250Hzであったため、フーリエプロットは、ゼロから最大3125Hzのナイキスト周波数(Nyquist frequency)までのスケールを使用する。
図30aは、フーリエ変換全体をプロットし、低周波数における大きなスパイクと、最大1000Hzまでの周波数範囲におけるいくつかのより小さいスパイクとを示す。
図30b(差し込み図)は、0~1000Hzの範囲および1までの振幅にわたって同じフーリエ変換をプロットし、これから、より小さいスパイクの大部分が、20Hzを上回る周波数において発生することが分かる。
図30cは、0~20Hzの範囲および1までの振幅にわたって同じフーリエ変換をプロットする。低周波数ピークが1Hzを下回り、約9Hzにおいて大きなピークおよび約11Hzにおいてその次に大きいピークが存在することが分かる。
図30dは、0~1Hzの範囲内でフーリエ変換をプロットするが、この解像度ではスペクトルの詳細な形状を見ることは難しく、約0.08Hzにおいてピークを見ることができる。0.08Hzは、1回の持ち上げおよび下降作動の期間である約12.5秒の期間に対応する(第1の減速イベントの開始から第2の減速イベントまでの間の時間が、約12.5秒であり、第1の加速イベントの開始から第2の加速イベントまでの間の時間が、約12.5秒であることが
図29から分かる)。
【0164】
電流信号のフーリエ変換を調査すると、電流内のノイズの最も多くは、20Hzから1000Hzの間にあり、追加のスパイクは9Hzおよび11Hzにあることが分かる。20Hzまたは7Hzにおけるローパスフィルタは、これらの過渡現象のほとんどを除去し、より平滑な信号を生み出す。
【0165】
上記の例は、所定のカットオフ周波数が、信号のフーリエ変換からどのように決定され得るかを実証する。所定のカットオフ周波数が知られている場合、フィルタ回路は、ローパスフィルタとして作用し、所定のカットオフ周波数を下回る周波数を通過させ、所定のカットオフ周波数を上回る周波数を減衰するように設計され得る。
【0166】
パッシブローパスフィルタ回路の場合、構成要素の仕様は、回路周波数が、所定のカットオフ周波数に等しいように選択され得る。たとえば、RCフィルタ回路では、抵抗およびキャパシタンスの値は、回路周波数が所望のカットオフ周波数であるように選択され得る。RLフィルタ回路では、抵抗およびインダクタンスの値は、回路周波数が所定のカットオフ周波数であるように選択され得る。RLCフィルタ回路では、抵抗、インダクタンス、およびキャパシタンスの値は、回路周波数が所定のカットオフ周波数であるように選択され得る。
【0167】
演算増幅器を使用するアクティブローパスフィルタ回路である場合、演算増幅器の特徴は、回路のカットオフ周波数が所定のカットオフ周波数と同じであるように選択され得る。
図28を参照して上記で説明されたように、概算すると、演算増幅器のカットオフ周波数は、そのGBWPをそのDCゲインで割ることによって算出され得る。
【0168】
[ローパスフィルタRC回路]
所定のカットオフ周波数を有するローパスフィルタ回路を設計する原理が、一次RCフィルタを参照しながらここで示される。この特有の回路は、フィルタ設計の多くの可能な実施態様の1つであり、限定されるように意図されないことが、理解されよう。
【0169】
図27aは、レジスタおよびキャパシタが並列に接続された、簡単な一次RCフィルタ回路を示す図である。フィルタの時間定数は、抵抗およびキャパシタンスの積から算出されるため、カットオフ周波数fは、以下の式1によって与えられる。
【0170】
【0171】
式中、Rは抵抗であり、Cは回路のキャパシタンスである。
【0172】
リアクタンスXは、式2によって与えられる。より高い周波数では、リアクタンスは降下し、キャパシタは、短絡として効果的に機能する。
【0173】
【0174】
電流信号の低周波数成分は、キャパシタのリアクタンスによって減衰される。電流がキャパシタを自由に通過するのではなく、充電がキャパシタプレート上に蓄積する。純粋なDC電流(電流信号の0周波数成分)は、キャパシタを全く通過することができず、そのためその代わりにレジスタを通り抜けなければならない。低周波数成分は、キャパシタによって完全にはブロックされないが、その振幅は減衰され、電流の少なくとも一部は、レジスタを通るように向けられる。
【0175】
電流の高周波数成分の方向が変化する前にキャパシタが充電を蓄積する時間はほとんど無いため、電流信号の高周波数成分は、キャパシタを通って非常に良好に流れる。電流は、レジスタを流れ抜けるより、キャパシタを通って効果的に短絡する。
【0176】
実際、キャパシタは、これら2つの両極間で挙動するが、その理由は、電流信号が周波数の範囲において成分を備えるためである。
【0177】
上記で論じられ、
図29に示される電流信号の場合、電流信号のフーリエ変換(
図30に示される)を調査すると、約20Hz、または(好ましくは)7Hzの所定のカットオフ周波数が適切であることが、提案される。式1は、20Hzまたは7Hzの回路周波数を有するフィルタ回路を作りだすために、RおよびCの適切な値を選択するために使用され得る。
【0178】
式1は、必要とされるキャパシタンスを算出するために再構成され得る(式3):
【0179】
【0180】
3.5mΩの抵抗を有するレジスタを使用して、式3を適用することで、20Hz回路に対して2.3Fおよび7Hz回路に対して6.6Fの所望のキャパシタンスが、与えられる。
【0181】
[シミュレーションによるローパスフィルタリングの実証]
図31は、レジスタおよびキャパシタが並列である、簡単なRCフィルタ回路のシミュリンク(Simulink)モデルである。48V電圧源は、再充電可能な電源を表し、レジスタは、電気負荷を表す。レジスタの抵抗は、3.5mΩである。
図29からの電流信号は、レジスタを通して加えられ、再充電可能な電源にある電流信号が、プロットされる。
【0182】
図32は、レジスタおよび再充電可能な電源を通る電流信号をプロットする。上記で算出されたように、20Hzの回路周波数を有するフィルタ回路は、電流信号からの過渡現象のほとんどをフィルタ除去するはずである。
図32aは、
図29にあるのと同じ元の電流信号である。
図32bは、RCフィルタ回路を使用して再充電可能な電源においてフィルタリングされた信号であり、この回路RCフィルタ回路では、回路周波数は20Hzであり、レジスタは3.5mΩの抵抗を有し、キャパシタは2.3ファラドのキャパシタンスを有する。再充電可能な電源を通る電流における過渡現象が、入力電流と比較して大きく低減されていることが分かる。入力電流は、第1の加速イベントの開始時、約6.5秒で47アンペアのスパイクを有し、このスパイクは、再充電可能な電源によって見られる33アンペアのかなり低いスパイクまで低減される。これは、フィルタ回路におけるキャパシタの使用が、電流内の過渡現象およびスパイクを低減し、したがって再充電可能な電源に対する経年劣化影響を低減することを実証する。
【0183】
上記で算出されたように、7Hzにおけるフィルタ回路は、20Hz回路と同様に電流信号からの過渡現象をフィルタ除去し、さらに9Hzおよび11Hzにおいて観察されるピークも除去するはずである。
図32cは、RCフィルタ回路を使用して、再充電可能な電源においてフィルタリングされた信号であり、このRCフィルタ回路では、回路周波数は7Hzであり、レジスタは3.5mΩの抵抗を有し、キャパシタは6.6ファラドのキャパシタンスを有する。再充電可能な電源を通る電流における過渡現象が、入力電流と比較して大きく低減されており、さらに20Hzにおけるフィルタ回路周波数よりも7Hzにおけるフィルタ回路周波数の方がさらに大きく低減されていることが分かる。第1の加速イベントの開始時、約6.5秒で47アンペアの入力電流スパイクは、再充電可能な電源によって見られる26アンペアまで低減される。このスパイクは、第1の加速イベントの場合の24アンペアの平均電流に匹敵する小ささである。
【0184】
以下の表6は、4つの加速/減速イベントのそれぞれの平均電流と、そのイベントに対する電流におけるピーク間変動と、20Hzおよび7Hzにおいてフィルタリングした後の電流におけるピーク間変動とをリストする。ピーク間変動がフィルタリングによってかなり低減されていることが分かる。
【0185】
【0186】
図33aは、負荷電流と、20Hzフィルタ回路を有する再充電可能な電源を通る電流とを比較し、
図33bは、負荷電流と、70Hzフィルタ回路を有する再充電可能な電源を通る電流とを比較する。電流信号における過渡現象が大きく減衰されている様子が、図から容易に分かる。
【0187】
[リチウムイオン電池セルの非線形性]
図34は、放電容量に対してセル電圧をプロットする、リチウムイオン電池セルの通常の放電曲線を示す。放電容量は、100%から充電状態を引いたものとして定義される。100%の充電状態は、0%の放電容量に対応し、0%の充電状態は、100%の放電容量に対応する。放電曲線は、極めて非線形であることが分かる。これは、実際、リチウムイオンセルがその電圧範囲すべてにわたって作動しないことを意味する。電圧範囲は単一のリチウムイオン電池セルでは最大4.2Vまであるが、実際、曲線の極めて非線形の形状は、電池セルがそのほとんどの時間を3から4ボルトの間に費やすことを意味する。図は、指示電圧曲線のみを示している。実際、曲線の形状は、温度および放電率などの因子に依存する。他の電池セルの化学的性質は、異なる最大電圧と異なる放電曲線とを有するが、これも非線形になり得る。これは、再充電可能な電源が電池である積荷取扱装置にとって問題になる可能性があり、その理由は、積荷取扱装置が全電池範囲を使用することができないためである。
【0188】
1つまたは複数の負荷モータに電力を提供するために、いくつかのリチウムイオン電池セルが、直列に配置され得る。たとえば、直列の12個のリチウムイオン電池セルは、48Vの公称電圧において1つまたは複数の負荷モータに給電するのに十分である、最大12*4.2=50.4Vの電圧範囲を与える。リチウムイオンセルは、そのほとんどの時間を、36V(12×3V)から48V(12×4V)の間の作動に費やす。実際、リチウムイオン電池は、その全電圧範囲のわずかしか使用しない(したがってその全エネルギー貯蔵量のわずかしか使用しない)。
【0189】
しかし、実際、リチウムイオン電池パックの電圧が、電気負荷に給電するための閾値電圧を下回って降下すると、負荷モータは、積荷取扱装置に必要とされる加速を提供するのに十分な電力を有さない。これは、リチウムイオン電池が完全に放電される前に起こる可能性があり、これは、リチウムイオンセルの有用な範囲の一部しか電力を提供するために使用されないことを意味する。閾値電圧に到達すると、電池は十分な電力を提供できなくなり、そのため積荷取扱装置は充電されなければならない。48Vリチウムイオン電池パックを有し、48Vの電気負荷を有する積荷取扱装置の場合、この閾値電圧は約42.6Vである。
【0190】
いくつかの実施形態では、積荷取扱装置は、その機能を実施するために所定の加速を達成する必要があり得る。注文を履行するために、したがって需要を満たすために貯蔵システムからのアイテムの処理を達成するために、積荷取扱装置は、グリッド上で最大可能加速度で作動することが必要である。グリッド上で動作可能な積荷取扱装置の加速が大きいほど、積荷取扱装置は、所与のスタックから貯蔵容器を取り出し、または貯蔵するときに所望のグリッドセルによりすばやく到達することができる。その反対に、グリッド上で作動する積荷取扱装置の加速が小さいほど、積荷取扱装置が所望のグリッドセルに到達するまでにかかる時間は長くなり、したがって、積荷取扱装置が所与のスタックから貯蔵容器を取り出すのにより多くの時間を消費するようになる。その結果、貯蔵システムからのアイテムの処理を維持し、したがって加速を小さくしながら需要を満たすには、増大した数の積荷取扱装置がグリッド上で作動可能である必要がある。
【0191】
貯蔵システムは、グリッド上の積荷取扱装置の移動を管理する制御システムを備える。制御システムは、積荷取扱装置のそれぞれの位置の追跡を保ち、新しい場所に移動するように積荷取扱装置に命令し、衝突を回避する。積荷取扱装置が必要とされる加速を達成できない場合、予測された時間内で必要とされる移動を果たすことはできなくなり得る。他の積荷取扱装置は、衝突を回避するために減速するか、または再度経路付けされることが必要となり得る。これは、制御をいっそう複雑にすると共に、不十分な加速を有する積荷取扱装置だけでなく、グリッド上の他の積荷取扱装置を減速させるか、またはそのルートを妨げる可能性がある。
【0192】
したがって、いくつかの実施形態では、積荷取扱装置がその機能を果たすための所定の加速を定義することが、有益となり得る。これは、積荷取扱装置がグリッドフレーム構造上でトラックに沿って移動する線形加速、またはグラバーデバイスが貯蔵システムから容器を持ち上げて積荷取扱装置の容器受け入れ空間内に入れる加速、またはその両方であってもよい。所定の加速は、持ち上げ駆動アセンブリおよび/または駆動機構のトルク要件を定義し、したがって、モータのトルク要件を定義する。トルク要件は、閾値電圧を定義する。この電圧は、その値が所定の加速によって定義されるため、所定の閾値電圧と称される。通常、これは、電気負荷の作動電圧と称される。モータ電圧がこの所定の閾値電圧を下回って降下したとき、積荷取扱装置は所定の加速を達成できなくなる。例示的な実施形態では、48Vリチウムイオン電池パックを有し、48Vの電気負荷を有する積荷取扱装置の場合、この閾値電圧は約42.6Vである。
【0193】
したがって、電池の電圧範囲の使用可能な部分は、さらにいっそう低減される。たとえば、5kWhリチウムイオン電池は、そのエネルギー容量の最大から1.5kWh(最大の3分の1)のみを使用し得る。これは問題であり、その理由は、電池のコストおよび質量が大きく、また、その電池容量の一部しか使用できないため、そうでない場合に必要であるよりもより頻繁に電池が充電されなければならないからである。充電は、ダウンタイムと共に、貯蔵グリッド上で充電ステーションを行き来する際に積荷取扱装置によって費やされる時間およびエネルギーを必要とする。
【0194】
解決されるべき問題は、どのようにして、再充電可能な電源を充電することが必要となるまでの時間をより長くして積荷取扱装置を作動させることができるかである。
【0195】
充電間の時間を増大させるための1つの方法は、再充電可能な電源の電圧を増大させることである。しかし、電圧を高くすると、作業者を保護するためにより強化された安全予防策が必要となるため、これは最適とはいえない。電圧を高くすると、より高定格の構成要素が必要となり、それに関連するコストがより高くなる。また、電圧を増大させることは、再充電可能な電源がその有用範囲の一部内でしか作動されない問題を解決するものではない。
【0196】
代替の手法は、再充電可能な電源の電圧が、電気負荷に給電するための所定の閾値電圧を下回って降下した後にエネルギー貯蔵システムが十分な電力を提供することを可能にするために、第2の電源を「ブースタ」として使用することによって、再充電可能な電源の作動電圧のより多くの範囲を使用することである。
【0197】
スーパーキャパシタは、スーパーキャパシタと再充電可能な電源の両方が同じ電圧で負荷モータに電力を提供するように、再充電可能な電源と並列に配置され得る。しかし、スーパーキャパシタの有用な電圧範囲の一部しか使用されないため、これは理想的ではない。単位エネルギー貯蔵量当たりのスーパーキャパシタのコストは、他の再充電可能な電源より高く、必要とされる電圧に到達するには、直列のいくつかのスーパーキャパシタモジュールが必要とされ得る。
【0198】
図35は、電池およびスーパーキャパシタの通常の放電曲線を比較する。スーパーキャパシタの放電曲線は、ほぼまっ直ぐな線であり、電圧は、放電容量(放電容量は100%から充電状態を引いたものであると定義される)に伴って線形に低下している。電池放電曲線はかなり浅いため、電圧の同じ変化の場合、電池は、SOCにおいてより大きな変化を経験する。電池およびスパイクが並列に接続されるとき、これらは同じ電圧にさらされる。放電曲線の形状の相違は、並列の電池およびスーパーキャパシタが同じ電圧降下を経験するとき、電池の放電曲線がスーパーキャパシタのものより浅いため、電池の充電状態は、スーパーキャパシタのものよりさらに降下することを意味する。したがって、スーパーキャパシタは、充電状態においてより小さい変化を受け、そのSOC範囲の小さい部分を使用しているだけである。したがって、いずれも電気負荷に電力を供給する、並列に接続されたスーパーキャパシタおよび電池を備える回路は、スーパーキャパシタの完全なSOC範囲の一部しか使用できないという欠点を有する。
【0199】
[再充電可能な電源と直列に接続されたブースタとしてのスーパーキャパシタ]
スーパーキャパシタを電力ブースタとして使用する別の方法は、スーパーキャパシタを再充電可能な電源に直列に接続することである。スーパーキャパシタの放電曲線は線形であるため、その全電圧範囲が使用され得る。
【0200】
スーパーキャパシタは低エネルギー密度を有し、他の再充電可能な電源よりも単位エネルギー貯蔵当たりにおいてより高価であるため、より低い公称電圧のスーパーキャパシタが使用され得る。1つまたは複数のスーパーキャパシタのアセンブリを再充電可能な電源に直列に接続することは、スーパーキャパシタの公称電圧を再充電可能な電源のものより低くすることができ-再充電可能な電源の電圧に合致するためにいくつかのスーパーキャパシタセルを直列に接続する必要はなく-したがって、より少ないスーパーキャパシタセルが使用され得ることを意味する。
【0201】
スーパーキャパシタを再充電可能な電源に直列に接続することは、スーパーキャパシタおよび再充電可能な電源上の組み合わせられた電圧が、電気負荷に給電するための所定の閾値電圧以上である場合、再充電可能な電源上の電圧が所定の閾値電圧を下回って降下しても、積荷取扱装置が作動し続けることができることを意味する。実際、これは、積荷取扱装置が、充電ステーションにおける充電間の時間をより長くして作動できることを意味する。
【0202】
上記で与えられた例では、公称48Vの電気負荷を有する公称48Vのリチウムイオン電池パックの場合、所定の閾値電圧は、約42.6Vである。電池単独では、積荷取扱装置は、電池電圧が42.6Vに降下すると充電される必要がある。しかし、電池に直列の5Vスーパーキャパシタにより、積荷取扱装置は、電池電圧が37.6Vに降下するまで作動し続けることができ、このとき電池およびスーパーキャパシタ上の組み合わせられた電圧5V+37.6Vは、42.6の所定の閾値電圧まで降下している。
【0203】
2.7または5.4V電圧を有するスーパーキャパシタは、容易に市場で入手可能である。他の電圧も入手可能である。
【0204】
[ピーク電力需要が短時間のみである]
上記で説明されたように、積荷取扱装置のエネルギー貯蔵システムは、加速イベントを完了させるために、駆動機構および/または持ち上げ駆動アセンブリに十分な電力を与えることができなければならない。しかし、加速イベントは、一定の電力需要を有さない。
【0205】
電気負荷からのピーク需要は、短時間のみ発生する。
図36は、積荷取扱装置が貯蔵グリッドの上部上で移動するときの、積荷取扱装置の車輪に給電するモータからの電力需要をプロットする。ピーク電力需要は、約1.1秒のところで発生し、数分の1秒しか続かないことが分かる。したがって、エネルギー貯蔵システムは、短時間だけ最大電力を提供する必要がある。スーパーキャパシタは、その電力密度は高いがエネルギー密度は低いため、この電力ブーストを提供するのに完璧に適している。需要は短時間の間であるため、高エネルギー貯蔵能力は必要とされない。スーパーキャパシタは、大きな余分の質量またはコストをエネルギー貯蔵システムに追加せずに電力需要を満たすのを補助することができる。
【0206】
減速イベントもまた、
図36上では約1.3秒から2秒の間に見られ得る。この時間中の電力需要は、負であり、これは、モータが、発電機として作用し、積荷取扱装置の減速からエネルギーを回収していることを意味する。
【0207】
積荷取扱装置のエネルギー貯蔵システムは、貯蔵容器を取り出す、または置くために、持ち上げ駆動アセンブリによってグラバーデバイスの下降および上昇を可能にするために電力を提供できなければならない。上記で論じられたように、
図29は、積荷取扱装置の釣り上げ動作の一例を示す。電気負荷からのピーク需要が、短時間のみ発生することも
図29から分かる。第1の加速イベントのピーク電力需要は、約6.5秒のところで発生し、数分の1秒だけ続く。したがって、エネルギー貯蔵システムは、短時間だけ最大電力を提供する必要がある。スーパーキャパシタは、その電力密度は高いがエネルギー密度は低いため、この電力ブーストを提供するのに完璧に適している。需要は短時間の間であるため、高エネルギー貯蔵能力は必要とされない。スーパーキャパシタは、大きな余分の質量またはコストをエネルギー貯蔵システムに追加せずに電力需要を満たすのを補助することができる。
【0208】
[スーパーキャパシタが再充電可能な電源に直列に接続された回路図]
図37は、スーパーキャパシタ102が再充電可能な電源100に直列に接続された、簡単な回路図を示す。スーパーキャパシタおよび再充電可能な電源は一緒になって、電気負荷104に電力を提供する。正常作動中、再充電可能な電源100とスーパーキャパシタ102の両方は、電気負荷104に電力を提供する。
【0209】
図37は、説明を容易にするためだけに、単一の電池セル100と、単一のスーパーキャパシタ102と、単一の電気負荷104とを示す。再充電可能な電源100は、電池に限定されず、直列および/または並列に接続された複数の電池セルを備えることができる。電池セルは、電圧を増大させるために直列に接続されてもよく(たとえば、48Vの公称電圧を有する電池は、それぞれ最大電圧4.2Vの直列の12個のリチウムイオン電池セルを備えることができる)、および/またはエネルギー貯蔵容量を増大させるために並列に接続されてもよい。スーパーキャパシタ102は、電圧を増大させるために直列、そしてエネルギー貯蔵容量を増大させるために並列の、直列または並列の複数のスーパーキャパシタを備えることができる。電気負荷104は、複数の電気モータまたは他の構成要素を備えることができる。たとえば、電気負荷は、持ち上げ駆動アセンブリの一部とする1つまたは複数のモータと、積荷取扱装置の車輪を駆動するために駆動機構の一部として1つまたは複数のモータとを備えることができる。
【0210】
図38は、再充電可能な電源100が直列に接続された複数の電池セルを備え、スーパーキャパシタ102が直列および並列に接続された複数のスーパーキャパシタモジュールを備え、電気負荷104が並列に接続された複数の電気モータを備える場合の回路図を示す。
【0211】
接地105は共通であり、すべての接地された構成要素は、積荷取扱装置のシャーシに接続され得る。
【0212】
[スーパーキャパシタ充電の制御]
制御装置120は、スーパーキャパシタ102の充電および放電を管理するために使用され得る。制御装置は、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリ上の電圧が、所定の閾値のスーパーキャパシタ再充電電圧を下回るときに、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリを充電するように再充電可能な電源100に命令するように構成され得る。
【0213】
所定の閾値のスーパーキャパシタ再充電電圧は、減速イベントから回収されたエネルギーを受け入れるのに十分な未使用のエネルギー貯蔵容量が存在するのに十分に、スーパーキャパシタの最大定格電圧を下回るように定義され得る。
【0214】
DC/DC変換器122は、再充電可能な電源100と1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール102のアセンブリとの間で電圧を変換するために使用され得る。
【0215】
エネルギーが減速イベント中、積荷取扱装置の駆動機構および/または持ち上げ駆動アセンブリから回収されるとき、1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリ上の電圧が所定の閾値のスーパーキャパシタ再充電電圧を下回る場合、制御装置は、回収されたエネルギーを1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリに向ける。
【0216】
DC/DC変換器は、負荷電圧と1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリとの間で電圧を変換するために使用され得る。これは、再充電可能な電源と1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリとの間で電圧を変換するために使用されるのと同じDCDC変換器122であることができる。
【0217】
1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュールのアセンブリは、減速中、駆動機構および/または持ち上げ駆動アセンブリから回収された電力を受け取るのに十分な電力定格と、1つまたは複数の減速イベント中、駆動機構および/または持ち上げ駆動アセンブリから回収されたエネルギーを受け取り、貯蔵するのに十分なエネルギー貯蔵容量とを有するように選択され得る。これは、利用可能な回収されたエネルギーのすべてが捕捉され、貯蔵されることを確実にする。
【0218】
図39および40は、回路の制御作動を示す。制御装置120は、再充電可能な電源上の電圧V
bと、再充電可能な電源およびスーパーキャパシタモジュール上の組み合わせられた電圧V
cとを読み取る。これらの2つの電圧間の相違、V
c-V
bは、スーパーキャパシタ上の電圧である。スーパーキャパシタ上の電圧が、所定の閾値のスーパーキャパシタ再充電電圧を下回る場合、制御装置は、スーパーキャパシタを充電する。制御装置への入力電流I
inは、再充電可能な電源によって供給されることが可能であり、または代替的には、減速イベント中、駆動機構および/または持ち上げ駆動アセンブリから回収された制動電流であることができる。DCDC変換器122は、適切な電圧においてスーパーキャパシタに供給するために、この入力の電圧を変換するために使用され得る。
【0219】
図39は、再充電可能な電源100がスーパーキャパシタ102を充電するために使用されるときの回路の作動を示す。
図39上の矢印は、電流の流れの方向を示す。再充電可能な電源100は、電力を電気負荷104に、さらに制御装置120およびDCDC変換器122を介してスーパーキャパシタ102にも提供する。
【0220】
図40は、電気負荷104からの回収されたエネルギーがスーパーキャパシタ102を充電するために使用されるときの回路の作動を示す。
図40上の矢印は、電流の流れの方向を示す。電気負荷104からの回収されたエネルギーは、制御装置120およびDCDC変換器122を介してスーパーキャパシタ102に提供される。
【0221】
図41は、制御装置120およびDCDC変換器122の1つの可能な実施形態をより詳細に示す。スーパーキャパシタ上の電圧V
c-V
bが所定の閾値のスーパーキャパシタ再充電電圧を下回る場合、制御装置120は、矩形波であってもよい信号をトランジスタ124のベースに送る。トランジスタ124は、起動されると、入力電流I
inがトランスフォーマ126の第1のコイルを通って接地105まで流れるのを許す。電流が、トランスフォーマ126の第2のコイル内に誘発される。この電流は、整流器128を通過し、次いで、スーパーキャパシタ102を充電するために使用される。DCDC変換器122からの出力電圧および電流を監視するために、電圧および電流フィードバックI
fbおよびV
fbが、制御装置120によって測定される。
【0222】
スイッチ130が、スーパーキャパシタ102を過充電から保護するために使用され得る。制御装置120は、スーパーキャパシタ電圧が高すぎるとき、たとえばスーパーキャパシタ電圧が、最大スーパーキャパシタ電圧を超えるときを検出することができ、次いで、スーパーキャパシタへの電力供給を接続解除するためにスイッチを作動させることができる。スイッチ130は、ここでは制御装置120とトランジスタ124のベースとの間に示されているが、スイッチは、スーパーキャパシタ102への電力供給が接続解除されることを許す回路内のどのような場所にも位置することができることが、理解されよう。
【0223】
[スーパーキャパシタ保護回路]
正常作動中、スーパーキャパシタ102は、放電し、電気負荷104に電力を提供している。スーパーキャパシタが完全に放電されると、電力を提供することはできなくなる。スーパーキャパシタ保護回路132は、すべて放電された後、スーパーキャパシタが逆充電しないことを確実にするために使用され得る。逆充電は、スーパーキャパシタに損傷を引き起こす可能性がある。
【0224】
図42は、スーパーキャパシタ102を迂回するスーパーキャパシタ保護回路132を示す部分的回路図である。正常作動下、スーパーキャパシタは、充電され、または部分的に充電され、電流がこれを流れ抜けるときに放電する。スーパーキャパシタが放電されたとき、スーパーキャパシタ保護回路132は、電流がスーパーキャパシタを流れ抜けるのではなくこれを迂回することを可能にする。
【0225】
スーパーキャパシタの逆充電を止めるスーパーキャパシタ保護回路132は、トランジスタを備えることができる。トランジスタは、スーパーキャパシタ保護回路制御装置134によって制御され得る。スーパーキャパシタ102上の電圧がゼロボルトを下回って降下すると、スーパーキャパシタ保護回路制御装置134は、トランジスタをオンにするためにトランジスタ132のベースに信号を送り、したがって、電流がスーパーキャパシタ102ではなくトランジスタ132を流れ抜けることを可能にする。スーパーキャパシタ保護回路制御装置134は、別個のデバイスであってもよく、またはスーパーキャパシタの充電を制御する同じ制御装置120内に一体化されてもよい。
【0226】
スーパーキャパシタの制御規則は、以下のようにまとめられ得る。
1.スーパーキャパシタ102上の電圧が、所定の閾値のスーパーキャパシタ再充電電圧未満である場合、制御装置120は、DCDC変換器122を通してスーパーキャパシタ102を充電するように再充電可能な電源100に命令する。
2.スーパーキャパシタ102上の電圧が、所定の閾値のスーパーキャパシタ再充電電圧未満である場合、制御装置120は、駆動機構および/または持ち上げ駆動アセンブリからのすべての回収されたエネルギーを、DCDC変換器122を通してスーパーキャパシタ102に向ける。
3.スーパーキャパシタ102上の電圧が、ゼロ未満である場合、スーパーキャパシタ保護回路134は、スーパーキャパシタ102が逆充電することを防止するためにスーパーキャパシタ保護回路132を起動する。
4.スーパーキャパシタ電圧が最大スーパーキャパシタ電圧より大きい場合、制御装置120は、スーパーキャパシタへの電力供給を接続解除し、スーパーキャパシタ102を過充電から保護するためにスイッチ130を開く。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 容器(10)のスタック(12)の上方にグリッドパターンで配置された経路を支持するグリッドフレームワーク(14)を備える貯蔵システム内で積み重ねられた1つまたは複数の容器(10)を持ち上げ、移動させるための積荷取扱装置(30)であって、前記積荷取扱装置(30)が、
i)前記グリッドフレームワーク(14)上で前記積荷取扱装置(30)を移動させるために動作可能に配置された駆動機構を収容する車体(32)と、
ii)持ち上げ駆動アセンブリと、使用時に、前記容器(10)を解放可能に把持し、前記容器(10)を前記スタック(12)から持ち上げて容器受け入れ空間(40)に入れるように構成されたグラバーデバイス(39)とを備える持ち上げデバイスと、ここで、前記持ち上げ駆動アセンブリおよび/または前記駆動機構は、電気負荷(104)を形成する少なくとも1つのモータを備え、
iii)再充電可能な電源(100)と、
iv)1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリとを備える、積荷取扱装置において、
前記電気負荷(104)が、前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリにわたって接続され、前記再充電可能な電源(100)が、前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに電力を提供するように構成されるように、前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに並列に接続されることを特徴とする、積荷取扱装置(30)。
[2] 前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリと前記電気負荷(104)との間に負荷DCDC変換器(110)をさらに備える、[1]に記載の積荷取扱装置(30)。
[3] 前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリと前記電気負荷(104)との間の前記負荷DCDC変換器(110)が、昇圧型変換器である、[2]に記載の積荷取扱装置(30)。
[4] 前記再充電可能な電源(100)と前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリとの間にソースDCDC変換器(108)をさらに備える、[1]から[3]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[5] 前記再充電可能な電源(100)と前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリとの間の前記ソースDCDC変換器(108)が、降圧型変換器である、[4]に記載の積荷取扱装置(30)。
[6] 制御装置(114)が、前記再充電可能な電源(100)から前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに供給される電力を変化させるように構成されている、[1]から[5]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[7] 前記制御装置(114)は、前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリの電圧が所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値を下回るときに、前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに充電を供給するべく前記再充電可能な電源(100)に命令するように構成されている、[6]に記載の積荷取扱装置(30)。
[8] 前記所定のスーパーキャパシタ目標電圧閾値が、前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリの最大定格電圧より低い、[7]に記載の積荷取扱装置(30)。
[9] 前記制御装置(114)が、電池のバランシングのために所定の閾値電流において前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに充電を供給するべく前記再充電可能な電源(100)に命令するように構成されている、[6]から[8]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[10] 前記制御装置(114)は、使用時、前記再充電可能な電源(100)が、前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに充電が供給されない低電流ドレインの期間を経験するべく、前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリから前記再充電可能な電源(100)を周期的に接続解除するように構成されている、[6]から[8]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[11] 前記駆動機構および/または前記持ち上げ駆動アセンブリからの再生されたエネルギーを前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリへと転換させるためにエネルギー回収回路(112)をさらに備え、前記エネルギー回収回路(112)が、ダイオードまたはトランジスタを備える、[1]から[10]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[12] 前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、前記再充電可能な電源(100)より低い内部抵抗を有する、[1]から[11]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[13] 前記電気負荷(104)が、第1の部分と第2の部分とを備え、前記電気負荷(104)の前記第1の部分は、動力電力負荷を備え、前記電気負荷の前記第2の部分は、非動力電力負荷(106)を備える、[1]から[12]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[14] 前記再充電可能な電源(100)が、前記非動力電力負荷(106)に充電を供給するように構成されている、[13]に記載の積荷取扱装置(30)。
[15] 前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、前記積荷取扱装置(30)用の一次電力供給源として構成され、前記再充電可能な電源(100)が、前記一次電力供給源に電力を提供するための補助電力供給源として構成されている、[1]から[14]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[16] 前記制御装置(114)が、前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリ上の電圧が所定のスーパーキャパシタ電圧閾値を下回るときに、直接前記電気負荷(104)に電力を提供するべく前記再充電可能な電源(100)に命令するように構成されている、[15]に記載の積荷取扱装置(30)。
[17] 前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、前記積荷取扱装置(30)の外壁(42)と内壁(44)との間の、前記積荷取扱装置(30)の前記車体(32)内の容器受け入れ凹部(40)の外側周りに分散されている、[1]から[16]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[18] 前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリが、キャパシタ、スーパーキャパシタ、ウルトラキャパシタ、リチウムキャパシタ、電気化学二重層キャパシタ、電気二重層キャパシタ、擬似キャパシタ、またはハイブリッドキャパシタを備える、[1]から[17]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[19] 前記再充電可能な電源(100)が、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、リチウムエア電池、リチウム鉄電池、鉄リン酸リチウム電池、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、ナトリウムイオン電池、ナトリウムエア電池、薄膜電池、ソリッドステート電池、またはスマートバッテリカーボンフォームベースの鉛蓄電池を備える、[1]から[18]のいずれか一項に記載の積荷取扱装置(30)。
[20] 容器(10)のスタック(12)の上方にグリッドパターンで配置された経路を支持するグリッドフレームワーク(14)と、[1]から[19]のいずれか一項に定義されるような複数の積荷取扱装置(30)とを備える貯蔵システム。
[21] アクセスポイントの上方のグリッド場所に位置する1つまたは複数のスーパーキャパシタ充電ステーションをさらに備え、前記グリッド場所内で、前記積荷取扱装置(30)上の前記1つまたは複数のキャパシタモジュール(102)のアセンブリは、持ち上げまたは下降作動中に前記1つまたは複数のスーパーキャパシタ充電ステーションの1つによって充電される、[20]に記載の貯蔵システム。
[22] 前記1つまたは複数のスーパーキャパシタ充電ステーションが、誘導性のスーパーキャパシタ充電ステーションである、[21]に記載の貯蔵システム。
[23] 前記積荷取扱装置(30)上の制御装置(114)が、前記再充電可能な電源(100)を充電するべく前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)のアセンブリに命令するように構成されている、[20]から[22]のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
[24] 前記制御装置(114)が、電池のバランシングのために所定の閾値電流において前記再充電可能な電源(100)に充電を供給するべく前記1つまたは複数のスーパーキャパシタモジュール(102)に命令するように構成されている、[20]から[23]のいずれか一項に記載の貯蔵システム。
[25] [20]から[24]のいずれか一項に記載の貯蔵システムを備える、フルフィルメントセンタ。
[26] 前記フルフィルメントセンタの内側の温度が、
4℃以上の周囲温度、
実質的に0℃から実質的に4℃の間の冷蔵温度、または
実質的に-25℃から実質的に0℃の間の冷凍温度のいずれかである、[25]に記載のフルフィルメントセンタ。