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特許7600281加飾膜、輸送機器用外装部品および輸送機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】加飾膜、輸送機器用外装部品および輸送機器
(51)【国際特許分類】
   B32B 7/023 20190101AFI20241209BHJP
   B60R 13/04 20060101ALI20241209BHJP
   B62J 50/40 20200101ALN20241209BHJP
【FI】
B32B7/023
B60R13/04 Z
B62J50/40
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023007300
(22)【出願日】2023-01-20
(65)【公開番号】P2024103129
(43)【公開日】2024-08-01
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(72)【発明者】
【氏名】松本 康彦
【審査官】山中 隆幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-015229(JP,A)
【文献】特開2002-233816(JP,A)
【文献】特開2011-207195(JP,A)
【文献】特開2001-232282(JP,A)
【文献】特開2001-232283(JP,A)
【文献】特開2014-015029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
B05D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース色を規定する少なくとも1種類の顔料を含むベース層と、
前記ベース層に対して被加飾物と反対側に設けられた少なくとも1層の透明層と、
を有し、
前記少なくとも1層の透明層のうちのある透明層は、光輝材を含み、
前記ベース色の色相角度と前記光輝材の色の色相角度との差が、60°以上142°以下であり、
前記ある透明層における前記光輝材の含有量が0.05PHR以上3.0PHR以下である、加飾膜。
【請求項2】
前記光輝材の平均粒径が50μm以下である、請求項1に記載の加飾膜。
【請求項3】
前記ある透明層における前記光輝材の含有量が0.3PHR以上1.0PHR以下である、請求項1に記載の加飾膜。
【請求項4】
前記少なくとも1層の透明層は、2層の透明層である、請求項1に記載の加飾膜。
【請求項5】
前記2層の透明層のうち、前記光輝材を含む透明層が、前記光輝材を含まない透明層とベース層との間に位置している、請求項に記載の加飾膜。
【請求項6】
前記2層の透明層のうち、前記光輝材を含まない透明層が、前記光輝材を含む透明層と前記ベース層との間に位置している、請求項に記載の加飾膜。
【請求項7】
前記少なくとも1層の透明層のそれぞれの可視光線透過率は、10%以上である、請求項1に記載の加飾膜。
【請求項8】
基材と、
前記基材の表面上に設けられた請求項1からのいずれかに記載の加飾膜と、
を備える、輸送機器用外装部品。
【請求項9】
請求項に記載の輸送機器用外装部品を備える、輸送機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加飾膜、輸送機器用外装部品および輸送機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗膜の彩度を高くする手法として、塗膜に含まれる顔料の粒径をより小さくしたり、顔料の色とほぼ同一色相の色(つまり同系色)の光輝材を塗膜中に添加したりすることが行われてきた。後者の手法は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1は、電着塗膜および中塗り塗膜が形成された被塗物に、赤系の複層塗膜を形成する方法に関する。この複層塗膜は、被塗物上に、第1着色塗膜、第2着色塗膜およびクリヤ塗膜を積層することによって形成される。第1着色塗膜は、有機赤顔料としてキナクリドン顔料を含み、光輝性顔料として、赤または黄味がかった赤の酸化鉄被覆アルミニウム顔料を含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-193385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、より小さい粒径の顔料を用いると、隠蔽性を十分に高くする(つまり下地を透けさせないようにする)ためには、顔料の添加量を増加させる必要があるので、材料費が高くなってしまう。また、光輝材を用いると、光輝材として一般的なアルミニウム粉やパール(雲母)粉の場合、グレー(灰)色が現れるので、彩度が高まるものの、濁り感が現れ、彩度のみを高くすることが困難であった。
【0006】
本発明の実施形態は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、加飾膜の見掛け上の彩度を好適に向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、以下の項目に記載の加飾膜、輸送機器用外装部品および輸送機器を開示している。
【0008】
[項目1]
ベース色を規定する少なくとも1種類の顔料を含むベース層と、
前記ベース層に対して被加飾物と反対側に設けられた少なくとも1層の透明層と、
を有し、
前記少なくとも1層の透明層のうちのある透明層は、光輝材を含み、
前記ベース色の色相角度と前記光輝材の色の色相角度との差が、60°以上142°以下である、加飾膜。
【0009】
本発明の実施形態による加飾膜は、ベース色を規定する顔料を含むベース層と、ベース層に対して被加飾物と反対側に設けられた少なくとも1層の透明層とを有しており、少なくとも1層の透明層のうちのある透明層は、光輝材を含んでいる。本発明の実施形態による加飾膜では、ベース色の色相角度と光輝材の色の色相角度との差が、60°以上142°以下であることにより、膜全体としての人間が感じる(つまり見掛け上の)彩度が向上する。
【0010】
[項目2]
前記光輝材の平均粒径が50μm以下である、項目1に記載の加飾膜。
【0011】
光輝材の平均粒径は、50μm以下であることが好ましい。光輝材の平均粒径が50μmを超えると、光輝材が斑点模様として視認され、外観が損なわれるおそれがある。
【0012】
[項目3]
前記ある透明層における前記光輝材の含有量が0.05PHR以上3.0PHR以下である、項目1または2に記載の加飾膜。
【0013】
彩度を向上させる効果を高くする観点からは、光輝材の含有量は、0.05PHR以上であることが好ましい。また、模様が視認されたり、膜全体の色相がベース色から大きくずれたりすることを抑制する観点からは、光輝材の含有量は、3.0PHR以下であることが好ましい。
【0014】
[項目4]
前記ある透明層における前記光輝材の含有量が0.3PHR以上1.0PHR以下である、項目1または2に記載の加飾膜。
【0015】
彩度を向上させる効果を高くする観点からは、光輝材の含有量は、0.3PHR以上であることがより好ましい。また、模様が視認されたり、膜全体の色相がベース色から大きくずれたりすることを抑制する観点からは、光輝材の含有量は、1.0PHR以下であることがより好ましい。
【0016】
[項目5]
前記少なくとも1層の透明層は、2層の透明層である、項目1から4のいずれかに記載の加飾膜。
【0017】
本発明の実施形態による加飾膜は、2層構造に限定されず、3層以上の積層構造を有していてもよい。つまり、透明層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。透明層が2層である場合、光輝材を含む透明層が光輝材を含まない透明層とベース層との間に位置してもよいし、光輝材を含まない透明層が光輝材を含む透明層とベース層との間に位置してもよい。
【0018】
[項目6]
前記2層の透明層のうち、前記光輝材を含む透明層が、前記光輝材を含まない透明層とベース層との間に位置している、項目5に記載の加飾膜。
【0019】
光輝材を含む透明層が、光輝材を含まない透明層とベース層との間に位置していると、上側に位置する透明層が光輝材を含んでいないので、上側の透明層の平滑度、レベリング性が高くなり、光沢度を高くする点で有利である。
【0020】
[項目7]
前記2層の透明層のうち、前記光輝材を含まない透明層が、前記光輝材を含む透明層と前記ベース層との間に位置している、項目5に記載の加飾膜。
【0021】
光輝材を含まない透明層が、光輝材を含む透明層とベース層との間に位置していると、上側に位置する透明層が光輝材を含んでいるので、光輝材に到達して光輝材によって反射される光の量が多くなる。そのため、彩度の向上効果を高くできる点や、光輝材の含有量を少なくできる点で有利である。
【0022】
[項目8]
前記少なくとも1層の透明層のそれぞれの可視光線透過率は、10%以上である、項目1から7のいずれかに記載の加飾膜。
【0023】
透明層の可視光線透過率は、例えば、10%以上である。
【0024】
[項目9]
基材と、
前記基材の表面上に設けられた項目1から8のいずれかに記載の加飾膜と、
を備える、輸送機器用外装部品。
【0025】
本発明の実施形態による加飾膜は、輸送機器用外装部品の装飾に好適に用いられる。
【0026】
[項目10]
項目9に記載の輸送機器用外装部品を備える、輸送機器。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施形態によると、加飾膜の彩度を好適に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施形態による加飾膜100を模式的に示す断面図である。
図2】L色空間の色度図である。
図3】PCCS(日本色研配色体系)の色相環において、黄色の色相を起点として色相差の関係を示した図である。
図4】ベース色が青の場合について、ベース色および光輝材の色の色度(a、b)をプロットしたグラフである。
図5】ベース色が水色の場合について、ベース色および光輝材の色の色度(a、b)をプロットしたグラフである。
図6】ベース色が紫の場合について、ベース色および光輝材の色の色度(a、b)をプロットしたグラフである。
図7】ベース色が濃紺の場合について、ベース色および光輝材の色の色度(a、b)をプロットしたグラフである。
図8】ベース色が黄緑の場合について、ベース色および光輝材の色の色度(a、b)をプロットしたグラフである。
図9】ベース色が黄の場合について、ベース色および光輝材の色の色度(a、b)をプロットしたグラフである。
図10】ベース色が緑の場合について、ベース色および光輝材の色の色度(a、b)をプロットしたグラフである。
図11】加飾膜100が有する透明層20の他の構成の例を示す図である。
図12A】本発明の実施形態による加飾膜100Aを模式的に示す断面図である。
図12B】本発明の実施形態による加飾膜100Bを模式的に示す断面図である。
図13】自動二輪車200を模式的に示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明の実施形態は、以下に例示するものに限定されない。
【0030】
図1を参照しながら、本発明の実施形態による加飾膜100を説明する。図1は、加飾膜100を模式的に示す断面図である。
【0031】
加飾膜100は、図1に示すように、被加飾物1の表面上に形成されている。被加飾物1は、種々の製品であり得、例えば、後述するような輸送機器用外装部品の基材であり得る。加飾膜100は、ベース層10と、透明層20とを有する。本実施形態では、加飾膜100が塗装により形成される場合、つまり、加飾膜100が塗膜である場合について説明を行う。なお、加飾膜100は、印刷により形成されてもよい。つまり、加飾膜100は、印刷膜であってもよい。
【0032】
ベース層10は、ベース色を規定する顔料11を含む。顔料11は、樹脂12中に分散している。ベース色は、加飾膜100の色の基調となる色である。ベース色は、1種類の顔料11により規定されてもよいし、互いに色が異なる2種類以上の顔料11によって規定されてもよい。つまり、ベース層10は、少なくとも1種類の顔料11を含んでいる。
【0033】
透明層20は、ベース層10に対して被加飾物1と反対側に設けられている。透明層20は、光輝材21を含んでいる。光輝材21は、樹脂22中に分散している。透明層20は全体として透明であり、可視光(波長範囲は360nm~830nm)を透過する。そのため、ベース層10の色が、透明層20越しに視認可能である。透明層20の可視光線透過率は、例えば10%以上であり、好ましくは25%以上である。透明層20の可視光線透過率に特に上限はないが、典型的には、80%以下である。可視光線透過率は、分光光度計や、可視光線透過率・反射率計により測定され得る。
【0034】
加飾膜100が焼付塗装により形成される場合、ベース層10および透明層20は、それぞれ、塗料組成物の塗布(「コート」と呼ばれる)、および、塗布された塗料組成物に対する焼付乾燥(「ベイク」と呼ばれる)を行うことによって形成され得る。ベース層10を形成するための塗料組成物(以下では「第1塗料組成物」と呼ぶこともある)に対する焼付乾燥と、透明層20を形成するための塗料組成物(以下では「第2塗料組成物」と呼ぶこともある)に対する焼付乾燥とは、同時に(つまり一括して)行われてもよい。
【0035】
第1塗料組成物は、顔料11と、ビヒクルとを含む。顔料11としては、公知の種々の顔料を用いることができる。顔料11は、無機顔料であってもよいし、有機顔料であってもよい。ビヒクルは、主剤(基体樹脂)と、硬化剤と、溶媒とを含む。主剤としては、塗膜形成用の種々の樹脂材料を用いることができ、具体的には、アルキド樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などを用いることができる。また、硬化剤としては、アミノ樹脂、ポリイソシアネートなどを用いることができる。溶媒としては、有機溶剤および/または水を用いることができる。
【0036】
第2塗料組成物は、光輝材21と、ビヒクルとを含む。光輝材(「光輝性顔料」と呼ばれることもある)21としては、公知の種々の光輝材を用いることができる。光輝材21は、例えば、所定の形状の基材と、基材の表面を覆う被覆層とを有する。基材は、ガラス、アルミニウム、酸化鉄、マイカ(雲母)などから形成される。基材は、鱗片(フレーク)状、球状、楕円体状、四角柱状(もちろん正四角柱状に限定されるものではない)などの種々の形状であり得る。被覆層は、金属、金属酸化物(例えば酸化鉄、酸化チタン)などから形成される。第2塗料組成物のビヒクルは、第1塗料組成物のビヒクルと同様に、主剤と、硬化剤と、溶媒とを含む。主剤、硬化剤および溶媒としては、具体的には、第1塗料組成物のビヒクルについて例示したものを用いることができる。
【0037】
第1塗料組成物および第2塗料組成物は、塗膜の特性を向上させるための添加物をさらに含んでもよい。
【0038】
本発明の実施形態による加飾膜100では、ベース色の色相と、光輝材21の色相とが異なっている。具体的には、ベース色の色相角度hと、光輝材21の色の色相角度hとの差Δhが、60°以上142°以下(好ましくは66°以上132°以下)である。図2は、L色空間の色度図である。L色空間では、明度がL、色度がa、bで表される。色相角度hは、図2において、赤方向を0°、反時計回りを正として表される角度である(つまり黄方向、緑方向および青方向はそれぞれ90°、180°、270°である)。
【0039】
なお、上述した差Δhは、必ずしも、ベース色の色相角度hと光輝材21の色の色相角度hとの単純な算術差ではなく、0°以上180°以下の範囲内の値をとる。具体的には、hとhとの差の絶対値|h-h|が180°以下である場合には、Δh=|h-h|と表され、hとhとの差の絶対値|h-h|が180°超である場合には、Δh=360°-|h-h|と表される。例えば、図2中の色CL1(h=160°)およびCL2(h=80°)の場合、これらの色相角度の差Δhは、80°である。これに対し、図2中の色CL3(h=280°)およびCL4(h=25°)の場合、これらの色相角度の差Δhは、105°である。
【0040】
このように、本発明の実施形態による加飾膜100では、ベース色と光輝材の色とをほぼ同じ色相にする、という従来の技術的思想とは全く異なり、ベース色の色相角度hと光輝材21の色の色相角度hとの差Δhが60°以上142°以下であり、そのことによって、後に検証結果を交えて説明するように、加飾膜100の膜全体としての人間が感じる(つまり見掛け上の)彩度が向上する。このような効果が得られるメカニズムは、以下のように推察される。
【0041】
色残像と呼ばれる知覚現象が知られている。例えば、赤の色紙を数分間観察した後で白色の紙を見ると、そこには緑の色残像が観察される。また、緑の色紙を観察した後では赤の色残像が、黄の色紙を観察した後では青の色残像が、青の色紙を観察した後では黄の色残像が観察される。このように、ある色を見続けた後に視線を移すと、そこにその色の補色の残像が現れる。色残像は、いわゆる明順応および暗順応と同様の考え方で説明され得る。つまり、ある色を見続けてその色に順応した視覚系は、その色の補色を強く知覚するようになると言える。
【0042】
本発明の実施形態による加飾膜100では、ベース層10と観察者との間に、ベース色と色相が異なる光輝材21を含む透明層20が設けられていることにより、観察者がベース色をより強く知覚するようになり、見掛け上の彩度が向上すると考えられる。なお、単純に考えると、光輝材21がベース色の補色であると(つまりΔhが約180°であると)、もっとも効果が高くなるように思われるが、本願発明者の検討によれば、そうではなく、ベース色の色相角度hと光輝材21の色の色相角度hとの差Δhが60°以上142°以下であることが好ましいことが見出された。
【0043】
図3は、PCCS(日本色研配色体系)の色相環において、黄色の色相を起点として色相差の関係を示した図である。色相差1が15°に相当し、番号が付された各円の範囲内(15°の範囲内)は同じ色相である。ベース色の色相角度hと光輝材21の色の色相角度hとの差Δhが60°以上142°以下であることは、PCCSの色相環になぞらえると、ベース色の色相に対し、光輝材21の色の色相が中差色相または対照色相に対応していると言える。光輝材21の色の色相が隣接色相や類似色相の場合に彩度を向上する効果が得られにくいのは、色相の差が小さいので、ベース色を強く知覚する応答が視覚系に生じにくいからと考えられる。また、検証結果を交えて後述するように、光輝材21の色の色相が補色色相や隣接補色色相の場合にも、彩度を向上する効果が得られにくい。この理由は必ずしも明確ではないが、色相の差が大きすぎる場合には、知覚応答を引き起こす信号として真逆の信号が脳に伝達されることになり、ある種の混乱が起きることが一因と考えられる。
【0044】
なお、図3からわかるように、起点となる色相に対し、中差色相および対照色相は、時計回り側および反時計回り側の両方に存在している。ベース色の色相に対し、光輝材21の色の色相は、時計回り側の中差色相および対照色相と、反時計回り側の中差色相および対照色相のいずれに設定されてもよい。また、時計回り側の中差色相または対照色相に対応する色相の光輝材21と、反時計回り側の中差色相または対照色相に対応する色相の光輝材21とが混在してもよい。
【0045】
加飾膜100の外観の点からは、光輝材21の平均粒径は、50μm以下であることが好ましい。光輝材21の平均粒径が50μmを超えると、光輝材21が斑点模様として視認され、外観が損なわれるおそれがある。本願明細書では、光輝材21の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により測定されるメジアン径を意味する。光輝材21の平均粒径に特に下限はないが、光輝材21の平均粒径は、例えば15μm以上である。
【0046】
彩度を向上させる効果を高くする観点からは、透明層20における光輝材の含有量は、0.05PHR以上であることが好ましく、0.3PHR以上であることがより好ましい。また、模様が視認されたり、膜全体の色相がベース色から大きくずれたりすることを抑制する観点からは、光輝材21の含有量は、3.0PHR以下であることが好ましく、1.0PHR以下であることがより好ましい。
【0047】
ベース色の明度(L)が高すぎたり、低すぎたりする場合、彩度を向上させる効果が得られにくくなるおそれがある。ベース色の明度は、例えば、25以上75以下であることが好ましい。
【0048】
ここで、本発明の実施形態による彩度向上効果を検証した結果を説明する。検証は、種々のサンプルを作製し、それらに対する目視による主観評価により行った。主観評価は、いくつかのベース色について、透明層に光輝材を含むサンプルと、透明層に光輝材を含まないサンプルとを含む複数のサンプルを6人に目視してもらい、もっとも彩度が高い(綺麗と感じる)サンプルに票を投じてもらうことで行った。光輝材としては、基材であるガラスフレークの表面が被覆層によって覆われたものを用いた。
【0049】
[ベース色:青]
表1、表2および図4に、ベース色が青のサンプルについての検証結果を示す。光輝材を含まないサンプル1Aと、赤の光輝材を含むサンプル1Bとを用意した。サンプル1Bについては、光輝材の含有量が異なるものを2つ用意した(それぞれ「1B-1」、「1B-2」と枝番を付す)。ベース色の色相角度hは、光輝材なしのサンプル1Aの色を分光測色計(コニカミノルタ株式会社製CM-700d)により測定して得られたa、bから算出した。光輝材の色の色相角度hは、光輝材を十分な量含む塗膜を形成してその塗膜の色を分光測色計により測定して得られたa、bから算出した。以降に説明するサンプルについても、同様にして色相角度hおよびhを得た。図4は、ベース色および光輝材の色の色度(a、b)をプロットしたグラフである。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
表1および図4からわかるように、この例では、ベース色の色相角度hと光輝材の色の色相角度hとの差Δhが132°であり、光輝材ありのサンプル1Bの得票数が、光輝材なしのサンプル1Aの得票数よりも多かった。また、表2からわかるように、サンプル1Bは、ベース色と色相が異なる光輝材を含んでいるものの、サンプル1Aとの色差ΔEは小さかった。これは、サンプル1Aとサンプル1Bとで測色値にはあまり差がないにもかかわらず、サンプル1Bはサンプル1Aよりも彩度が向上しているように感じられたということである。
【0053】
[ベース色:水色]
表3、表4および図5に、ベース色が水色のサンプルについての検証結果を示す。光輝材を含まないサンプル2Aと、赤の光輝材を含むサンプル2Bとを用意した。サンプル2Bについては、光輝材の含有量が異なるものを2つ(「2B-1」、「2B-2」)用意した。
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
表3および図5からわかるように、この例では、ベース色の色相角度hと光輝材の色の色相角度hとの差Δhが117°であり、光輝材ありのサンプル2Bの得票数が、光輝材なしのサンプル2Aの得票数よりも多かった。また、表4からわかるように、サンプル2Bとサンプル2Aとの色差ΔEは小さかった。
【0057】
[ベース色:紫]
表5、表6および図6に、ベース色が紫のサンプルについての検証結果を示す。光輝材を含まないサンプル3Aと、赤の光輝材を含むサンプル3Bとを用意した。サンプル3Bについては、光輝材の含有量が異なるものを2つ(「3B-1」、「3B-2」)用意した。
【0058】
【表5】
【0059】
【表6】
【0060】
表5および図6からわかるように、この例では、ベース色の色相角度hと光輝材の色の色相角度hとの差Δhが66°であり、光輝材ありのサンプル3Bの得票数が、光輝材なしのサンプル3Aの得票数よりも多かった。また、表6からわかるように、サンプル3Bとサンプル3Aとの色差ΔEは小さかった。
【0061】
[ベース色:濃紺]
表7、表8および図7に、ベース色が濃紺のサンプルについての検証結果を示す。光輝材を含まないサンプル4Aと、赤の光輝材を含むサンプル4Bとを用意した。サンプル4Bについては、光輝材の含有量が異なるものを2つ(「4B-1」、「4B-2」)用意した。
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
【0064】
表7および図7からわかるように、この例では、ベース色の色相角度hと光輝材の色の色相角度hとの差Δhが66°であり、光輝材ありのサンプル4Bの得票数が、光輝材なしのサンプル4Aの得票数よりも多かった。また、表8からわかるように、サンプル4Bとサンプル4Aとの色差ΔEは小さかった。
【0065】
[ベース色:黄緑]
表9、表10および図8に、ベース色が黄緑のサンプルについての検証結果を示す。光輝材を含まないサンプル5Aと、青の光輝材を含むサンプル5Bとを用意した。
【0066】
【表9】
【0067】
【表10】
【0068】
表9および図8からわかるように、この例では、ベース色の色相角度hと光輝材の色の色相角度hとの差Δhが152°であり、光輝材ありのサンプル5Bの得票数が、光輝材なしのサンプル5Aの得票数よりも少なかった。表8からわかるように、サンプル5Bとサンプル5Aとの色差ΔEは小さかった。
【0069】
[ベース色:黄]
表11、表12および図9に、ベース色が黄のサンプルについての検証結果を示す。光輝材を含まないサンプル6Aと、青の光輝材を含むサンプル6Bと、緑の光輝材を含むサンプル6Cとを用意した。サンプル6Bおよび6Cのそれぞれについて、光輝材の含有量が異なるものを2つ(「6B-1」、「6B-2」、「6C-1」、「6C-2」)用意した。
【0070】
【表11】
【0071】
【表12】
【0072】
表11および図9からわかるように、青の光輝材を含むサンプル6Bではベース色の色相角度hと光輝材の色の色相角度hとの差Δhが174°であるのに対し、緑の光輝材を含むサンプル6Cではベース色の色相角度hと光輝材の色の色相角度hとの差Δhが86°である。緑の光輝材を含むサンプル6Cの得票数が、光輝材なしのサンプル6Aの得票数よりも多かったのに対し、青の光輝材を含むサンプル6Bの得票数は、光輝材なしのサンプル6Aの得票数よりも少なかった。また、表12からわかるように、サンプル6Aとサンプル6Bとサンプル6Cとで、色差ΔEは小さかった。
【0073】
[ベース色:緑]
表13、表14および図10に、ベース色が緑のサンプルについての検証結果を示す。光輝材を含まないサンプル7Aと、赤の光輝材を含むサンプル7Bと、青の光輝材を含むサンプル7Cとを用意した。サンプル7Cについては、光輝材の含有量が異なるものを2つ(「7C-1」、「7C-2」)用意した。
【0074】
【表13】
【0075】
【表14】
【0076】
表13および図10からわかるように、赤の光輝材を含むサンプル7Bではベース色の色相角度hと光輝材の色の色相角度hとの差Δhが158°であるのに対し、青の光輝材を含むサンプル7Cではベース色の色相角度hと光輝材の色の色相角度hとの差Δhが114°である。青の光輝材を含むサンプル7Cの得票数が、光輝材なしのサンプル7Aの得票数よりも多かったのに対し、赤の光輝材を含むサンプル7Bの得票数は、光輝材なしのサンプル7Aの得票数と同じであった。また、表14からわかるように、サンプル7Aとサンプル7Bとサンプル7Cとで、色差ΔEは小さかった。
【0077】
上述した検証結果からわかるように、ベース色の色相角度hと光輝材21の色の色相角度hとの差Δhが60°以上142°以下であることによって、加飾膜100の膜全体としての人間が感じる(つまり見掛け上の)彩度が向上する。Δhの下限は、66°以上であることが好ましい。Δhの上限は、132°以下であることが好ましい。
【0078】
図11に、透明層20の他の構成の例を示す。図11に示す例では、透明層20は、光輝材21とは色が異なるさらなる光輝材23を含んでいる。以下では、前者の光輝材21を「第1光輝材」と呼び、後者の光輝材23を「第2光輝材」と呼ぶ。ベース色の色相角度hと第2光輝材23の色の色相角度hとの差Δh’は、60°未満である。つまり、第2光輝材23の色相は、ベース色に対して同一色相、隣接色相、類似色相であり得る。図11に示した構成を採用する場合であっても、ベース色の色相角度hと、第1光輝材21の色の色相角度hとの差Δhが60°以上142°以下であることにより、同様の効果が得られる。透明層20における第2光輝材23の含有量は、例えば、0.1PHR以上30PHR以下である。
【0079】
なお、ここまでの説明では、加飾膜100が2層構造を有する場合を例示したが、本発明の実施形態による加飾膜は、2層構造に限定されず、3層以上の積層構造を有していてもよい。具体的には、透明層20が、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。透明層20が2層以上である場合、2層以上の透明層20のうちのある透明層20が光輝材21を含んでいればよい。また、各透明層20の可視光線透過率は、例えば10%以上である。
【0080】
図12Aおよび図12Bに、透明層20を2層有する加飾膜100Aおよび100Bを示す。加飾膜100Aおよび100Bは、図12Aおよび図12Bにそれぞれ示すように、第1透明層20Aと、第1透明層20Aに対してベース層10と反対側に設けられた第2透明層20Bとを有する。つまり、ベース層10上に、第1透明層20Aおよび第2透明層20Bがこの順で積層されている。
【0081】
加飾膜100Aでは、第1透明層20Aおよび第2透明層20Bのうちの第1透明層20Aが光輝材21を含んでいる。つまり、光輝材21を含む透明層20(第1透明層20A)が光輝材21を含まない透明層20(第2透明層20B)とベース層10との間に位置している。これに対し、加飾膜100Bでは、第1透明層20Aおよび第2透明層20Bのうちの第2透明層20Bが光輝材21を含んでいる。つまり、光輝材21を含まない透明層20(第1透明層20A)が光輝材21を含む透明層20(第2透明層20B)とベース層10との間に位置している。加飾膜100Aでは、上側に位置する第2透明層20Bが光輝材21を含んでいないので、第2透明層20Bの平滑度、レベリング性が高くなり、光沢度を高くする点で有利である。また、加飾膜100Bでは、上側に位置する第2透明層20Bが光輝材21を含んでいるので、光輝材21に到達して光輝材21によって反射される光の量が多くなる。そのため、彩度の向上効果を高くできる点や、光輝材21の含有量を少なくできる点で有利である。
【0082】
本発明の実施形態による加飾膜100(または100A、100B)は、例えば、既に説明したように、輸送機器用外装部品の装飾に好適に用いられる。図13に、そのような外装部品を備えた輸送機器の例を示す。なお、図13には、自動二輪車200を例示しているが、輸送機器は、自動二輪車に限定されず、車体を傾けることによって進行方向を変える型式の自動三輪車(LMW:Leaning Multi Wheel)、四輪バギー(ATV:All Terrain Vehicle)、水上バイク、スノーモービル等であってもよい。
【0083】
図13に示す自動二輪車200は、車体フレーム202、前輪206および後輪207を備えている。車体フレーム202には、エンジン203、ハンドル208、シート209および燃料タンク210が支持されている。
【0084】
車体フレーム202は、一対のメインフレーム220、ダウンフレーム221、一対の下部フレーム222、ヘッドパイプ223、一対のリヤアーム224およびシートレール225を含む。ヘッドパイプ223は、自動二輪車200の前部に配置されている。メインフレーム220は、ヘッドパイプ223から後斜め下に延びている。ダウンフレーム221は、メインフレーム220よりも下方に配置されており、ヘッドパイプ223から後斜め下に延びている。下部フレーム222は、ダウンフレーム221の下端と、メインフレーム220の下端とを接続している。シートレール225は、メインフレーム220から後方に延びている。
【0085】
メインフレーム220の下方かつダウンフレーム221の後方には、エンジン203が配置されている。ヘッドパイプ223の後方には、エアクリーナ230が配置されている。エアクリーナ230の後方かつメインフレーム220の上方には、シートレール225に支持されたシート209が配置されている。シート209の前部の下方には、燃料タンク210が配置されている。
【0086】
ヘッドパイプ223内にはステアリングシャフト(不図示)が挿入されており、ステアリングシャフトの上部にはハンドル208が接続されている。ステアリングシャフトと並んで一対のフロントフォーク240が配置されている。フロントフォーク240の下端には、前輪206が回転可能に取り付けられている。
【0087】
メインフレーム220の後部にはピボット軸220aが設けられている。リヤアーム224の前端部はピボット軸220aに支持されている。リヤアーム224は、ピボット軸220aによって、メインフレーム220に対して上下に揺動可能となっている。リヤアーム224の後端部には、後輪207が回転可能に取り付けられている。
【0088】
車体フレーム202には、車体フレーム202の一部を覆う外装カバー211が支持されている。外装カバー211は、一対のフロントサイドカバー250、一対のリヤサイドカバー212、フロントフェンダー213およびリヤフェンダー214を含む。フロントサイドカバー250は、シート209の前部の下方に配置され、メインフレーム220およびダウンフレーム221の上部に支持されている。リヤサイドカバー212は、シート209の後部の下方に配置され、シートレール225に支持されている。フロントフェンダー213は、前輪206の上方に配置され、フロントフォーク240に支持されている。リヤフェンダー214は、後輪7の上方に配置され、シートレール225に支持されている。
【0089】
本発明の実施形態による加飾膜100(または100A、100B)は、自動二輪車200の外装カバー211の装飾に好適に用いられる。
【0090】
上述したように、本発明の実施形態による加飾膜100(または100A、100B)は、ベース色を規定する少なくとも1種類の顔料11を含むベース層10と、前記ベース層10に対して被加飾物1と反対側に設けられた少なくとも1層の透明層20とを有する。前記少なくとも1層の透明層20のうちのある透明層20は、光輝材21を含み、前記ベース色の色相角度hと前記光輝材21の色の色相角度hとの差Δhが、60°以上142°以下である。
【0091】
本発明の実施形態による加飾膜100は、ベース色を規定する顔料11を含むベース層10と、ベース層10に対して被加飾物1と反対側に設けられた少なくとも1層の透明層20とを有しており、少なくとも1層の透明層20のうちのある透明層20は、光輝材21を含んでいる。本発明の実施形態による加飾膜100では、ベース色の色相角度hと光輝材21の色の色相角度hとの差Δhが、60°以上142°以下であることにより、膜全体としての人間が感じる(つまり見掛け上の)彩度が向上する。
【0092】
ある実施形態において、前記光輝材21の平均粒径は50μm以下である。
【0093】
光輝材21の平均粒径は、50μm以下であることが好ましい。光輝材21の平均粒径が50μmを超えると、光輝材21が斑点模様として視認され、外観が損なわれるおそれがある。
【0094】
ある実施形態において、前記ある透明層20における前記光輝材21の含有量は0.05PHR以上3.0PHR以下である。
【0095】
彩度を向上させる効果を高くする観点からは、光輝材21の含有量は、0.05PHR以上であることが好ましい。また、模様が視認されたり、膜全体の色相がベース色から大きくずれたりすることを抑制する観点からは、光輝材21の含有量は、3.0PHR以下であることが好ましい。
【0096】
ある実施形態において、前記ある透明層20における前記光輝材21の含有量は0.3PHR以上1.0PHR以下である。
【0097】
彩度を向上させる効果を高くする観点からは、光輝材21の含有量は、0.3PHR以上であることがより好ましい。また、模様が視認されたり、膜全体の色相がベース色から大きくずれたりすることを抑制する観点からは、光輝材21の含有量は、1.0PHR以下であることがより好ましい。
【0098】
ある実施形態において、前記少なくとも1層の透明層20は、2層の透明層20である。
【0099】
本発明の実施形態による加飾膜100は、2層構造に限定されず、3層以上の積層構造を有していてもよい。つまり、透明層20は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。透明層20が2層である場合、光輝材21を含む透明層20が光輝材21を含まない透明層20とベース層10との間に位置してもよいし、光輝材21を含まない透明層20が光輝材21を含む透明層20とベース層10との間に位置してもよい。
【0100】
ある実施形態において、前記2層の透明層20Aおよび20Bのうち、前記光輝材21を含む透明層20Aが、前記光輝材21を含まない透明層20Bとベース層10との間に位置している。
【0101】
光輝材21を含む透明層20Aが、光輝材21を含まない透明層20Bとベース層10との間に位置していると、上側に位置する透明層20Bが光輝材21を含んでいないので、上側の透明層20Bの平滑度、レベリング性が高くなり、光沢度を高くする点で有利である。
【0102】
ある実施形態において、前記2層の透明層20Aおよび20Bのうち、前記光輝材21を含まない透明層20Aが、前記光輝材21を含む透明層20Bと前記ベース層10との間に位置している。
【0103】
光輝材21を含まない透明層20Aが、光輝材21を含む透明層20Bとベース層10との間に位置していると、上側に位置する透明層20Bが光輝材21を含んでいるので、光輝材21に到達して光輝材21によって反射される光の量が多くなる。そのため、彩度の向上効果を高くできる点や、光輝材21の含有量を少なくできる点で有利である。
【0104】
ある実施形態において、前記少なくとも1層の透明層20のそれぞれの可視光線透過率は、10%以上である。
【0105】
透明層20の可視光線透過率は、例えば、10%以上である。
【0106】
本発明の実施形態による輸送機器用外装部品は、基材と、前記基材の表面上に設けられた上述したいずれかの構成を有する加飾膜100とを備える。
【0107】
本発明の実施形態による加飾膜100は、輸送機器用外装部品の装飾に好適に用いられる。
【0108】
本発明の実施形態による輸送機器は、上述した構成を有する輸送機器用外装部品を備える。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の実施形態によると、加飾膜の見掛け上の彩度を好適に向上させることができる。本発明の実施形態による加飾膜は、種々の製品の装飾に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0110】
1:被加飾物、10:ベース層、11:顔料、12:樹脂、20:透明層、20A:第1透明層、20B:第2透明層、21:光輝材、22:樹脂、23:さらなる光輝材、100・100A・100B:加飾膜、200:自動二輪車、211:外装カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13