(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】抗癌療法としての正常細胞および腫瘍細胞の小分子TRAIL遺伝子誘導
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4375 20060101AFI20241209BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241209BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20241209BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241209BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20241209BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
A61K31/4375
A61P35/00
A61K45/00
A61P43/00 105
A61K31/337
A61K39/395 T
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023033777
(22)【出願日】2023-03-06
(62)【分割の表示】P 2021151110の分割
【原出願日】2012-04-30
【審査請求日】2023-04-04
(32)【優先日】2011-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501139858
【氏名又は名称】ザ ペン ステイト リサーチ ファンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ワフィック エス. エル-デイリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア イー. アレン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン シェン ウー
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】JE Allen, et al.,Abstract 4502: The small molecule TIC10 has potent anticancer efficacy mediated by induction of TRAI,Cancer Res,2011年04月15日,Vol.71, No.8(Supplement),p4502
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/44
A61K47/00-47/69
A61K39/395
A61P1/00-43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体においてTR
AILの発現を誘導する方法における使用のための組成物であって、化合物NSC350625、または、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド、水和物
、もしくは溶媒和物を含む、組成物。
【請求項2】
被験体においてTR
AILの発現を誘導する方法における使用のための組み合わせ物であって、請求項1に記載の組成物と、1つ以上の追加の治療薬とを含む、組み合わせ物。
【請求項3】
前記1つ以上の追加の治療薬が、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、抗生物質、抗ウイルス薬、抗新生物剤、鎮痛薬、解熱薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗癌剤、抗ヒスタミン剤、抗骨粗鬆症剤、抗骨壊死剤(anti-osteonecrosis agents)、抗炎症剤、抗不安薬、化学療法剤、利尿薬、成長因子、ホルモン、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイドおよび血管作用薬からなる群より選択される、請求項2に記載の組み合わせ物。
【請求項4】
前記1つ以上の追加の治療薬が抗癌剤である、請求項2または3に記載の組み合わせ物。
【請求項5】
前記抗癌剤が、1つ以上の有糸分裂抑制剤、および/または、1つ以上の抗血管新生剤を含む、請求項3または4に記載の組み合わせ物。
【請求項6】
前記抗癌剤がタキサン有糸分裂抑制剤を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項7】
前記抗癌剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、またはそれらの組み合わせを含む、請求項3~6のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項8】
前記抗癌剤がベバシズマブを含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項9】
前記組成物が、前記1つ以上の追加の治療薬の投与に対して、同時に、断続的な時点において、時差的な時点において、前記投与の前に、前記投与の後に、またはそれらの組み合わせで、前記被験体に投与される、請求項2~8のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項10】
前記組成物が、固体、半固体または液体の剤形で製剤化される、請求項1に記載の組成物、または、請求項2~9のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項11】
前記固体、半固体または液体の剤形が、カプセル、錠剤、散剤、顆粒剤、坐剤、丸剤、溶液、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ペースト、スプレー、エアロゾル、リポソームまたはエマルジョンを含む、請求項10に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項12】
前記組成物がさらに、薬学的に許容され得るキャリアを含む、請求項10または11に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項13】
前記薬学的に許容され得るキャリアが、賦形剤、希釈剤、またはビヒクルである、請求項12に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項14】
前記組成物が、固体の剤形に製剤化される、請求項10~13のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項15】
前記固体の剤形がコーティングを含む、請求項14に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項16】
前記コーティングが腸溶コーティングである、請求項15に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項17】
前記腸溶コーティングがポリマー材料を含む、請求項16に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項18】
前記腸溶コーティングが可塑剤を含む、請求項16または17に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項19】
前記固体の剤形が、緩衝剤、充填剤、結合剤、吸収剤、崩壊剤、溶解遅延剤、吸収促進剤、湿潤剤、吸着剤、滑沢剤、保存剤、および/または安定剤を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項20】
前記組成物が、液体の剤形に製剤化される、請求項10~13のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項21】
前記液体の剤形が、着色剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香味料、および/または芳香剤を含む、請求項20に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項22】
前記液体の剤形が、水、エタノール、ポリオール、植物油、注射可能な有機エステル、およびそれらの混合物からなる群より選択される水性および/または非水のキャリアを含む注射可能な液体である、請求項20または21に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項23】
前記組成物が、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ペースト、スプレー、またはパウダーに製剤化される、請求項10~13のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項24】
前記組成物がさらに、吸収基剤、水で除去可能な基剤、水溶性基剤、油性基剤、およびそれらの混合物からなる群より選択される基
剤を含む、請求項23に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項25】
前記組成物がさらに、増粘剤、ゲル化剤、着色剤、安定剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香味料、芳香剤、経皮吸収促進剤、薬学的噴霧剤、保存剤、緩衝剤、増粘剤、およびそれらの組み合わせを含む、請求項23または24に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項26】
前記組成物がさらに、非イオン性、カチオン性、および/または、アニオン性界面活性物質を含む、請求項10~25のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項27】
前記薬学的に許容され得る塩が、薬学的に許容され得る酸付加塩および/または薬学的に許容され得る塩基付加塩を含む、請求項1および10~26のいずれか一項に記載の組成物または請求項2~26のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項28】
前記薬学的に許容され得る溶媒和物が、水和物、エタノラート、および/または、メタノラートを含む、請求項1および10~26のいずれか一項に記載の組成物または請求項2~26のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項29】
前記薬学的に許容され得るアミドが、アンモニア、第1級C1-C6アルキルアミンおよび/または第2級C1-C6ジアルキルアミンから得られるアミドを含む、請求項1および10~26のいずれか一項に記載の組成物または請求項2~26のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項30】
前記第1級C1-C6アルキルアミンおよび/または第2級C1-C6ジアルキルアミンが、5または6員の窒素含有複素環の形態である、請求項29に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項31】
前記被験体が、癌を有するかまたは癌を有するリスクがある、請求項1および10~3
0のいずれか一項に記載の組成物または請求項2~3
0のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項32】
前記癌が、脳の癌、結腸癌、乳癌、多形神経膠芽腫、および結腸直腸癌からなる群より選択される、請求項3
1に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項33】
前記組成物が、経口、直腸、鼻、肺、硬膜外、眼球、耳、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、静脈内、筋肉内、腹腔内、骨内、髄腔内、膀胱内、皮下、局所的、経皮的、経粘膜的、舌下、頬側、膣および吸入の投与経路からなる群から選択される投与経路により投与されることを特徴とする、請求項1および10~3
2のいずれか一項に記載の組成物または請求項2~3
2のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項34】
前記方法が、前記被験体に前記組成物を投与して、その処置をモニターすることを含む、請求項1および10~3
3のいずれか一項に記載の組成物または請求項2~3
3のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項35】
前記モニターすることが、前記処置の前、前記処置中および/または処置後の1以上の時点において行われる、請求項3
4に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項36】
前記モニターすることが、前記被験体の試験サンプル中のTNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)発現の定量的測定のためのアッセイを行うことを含む、請求項3
4または3
5に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項37】
前記モニターすることが、前記被験体の前記試験サンプル中の前記TRAIL発現を、コントロールサンプル中のTRAIL発現と比較することを含む、請求項3
6に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項38】
前記試験サンプルおよび/または前記コントロールサンプルが、生体液、細胞または組織である、請求項3
6または3
7に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項39】
前記生体液が、血液、血漿、血清、尿、唾液、腹水(ascites)、脳脊髄液、胸膜液、肺および気管支肺胞洗浄液サンプル、粘液、汗、涙、精液、膀胱洗浄サンプル、羊水、リンパ液、腹水(peritoneal fluid)、滑液、または骨髄穿刺液である、請求項3
8に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項40】
前記細胞が、腫瘍細胞、組織細胞または器官細胞である、請求項3
8に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項41】
前記組織が生検材料である、請求項3
8に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項42】
前記被験体の前記試験サンプルが、電気泳動的方法またはクロマトグラフィー方法によって精製される、請求項3
6~4
1のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項43】
前記TRAIL発現が、TRAILタンパク質またはTRAIL核酸をアッセイすることによって決定される、請求項3
6~4
2のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項44】
前記TRAIL核酸がmRNAまたはcDNAである、請求項4
3に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項45】
前記アッセイが、免疫組織化学法、PCR、RT-PCR、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ノーザンブロット、またはRNaseプロテクションである、請求項3
6~4
4のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項46】
前記モニターすることがさらに、前記被験体の前記試験サンプル中で1つ以上の追加のバイオマーカーをアッセイすることを含む、請求項3
6~4
5のいずれか一項に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項47】
前記追加のバイオマーカーが、ホスホ-ERK、ホスホ-Akt、Foxo3aの局在化および/またはリン酸化のうちの1つ以上である、請求項4
6に記載の組成物または組み合わせ物。
【請求項48】
癌を有するかまたは癌を有するリスクがある被験体が、化合物NSC350625、または、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド、水和物
、もしくは溶媒和物で処置されるかどうかの指標としてTR
AILの発現レベルを得る方法であって、
前記被験体の試験サンプル中でTRAILの発現レベルを決定すること
を含み、前記TRAILの発現レベルが正の場合、前記被験体が、前記化合物NSC350625、または、その薬学的に許容される塩、エステル、アミド、水和物
、もしくは溶媒和物で処置される候補である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2011年4月29日に出願された米国仮特許出願第61/480,743号の優先権を主張し、この米国仮特許出願の全体の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
支援への参照
本願は、国立衛生研究所により授与された助成金番号U54CA105008の下、政府支援により成された。合衆国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本発明は、概して、癌などの増殖性疾患の処置を必要とする被験体においてそのような疾患を処置するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL;Apo2L)は、癌細胞のアポトーシスを選択的に誘導する内因性タンパク質である。
【0005】
TRAILは、外因性または内因性のアポトーシス経路の関与による、細胞表面のアポトーシス促進性デスレセプター4(DR4;TRAIL-R1)およびデスレセプター5(DR5;TRAIL-R2)を介した、幅広いヒト癌細胞株におけるアポトーシスの強力な誘導因子である。TRAILは、免疫監視機構による腫瘍抑制において直接的な役割を果たすが、この抗腫瘍機序は、この疾患の進行中は失われる。TRAILが癌細胞のアポトーシスを選択的に惹起する能力は、その2つのアポトーシス促進性デスレセプターのいずれかを標的にしている組換えTRAILおよびより長寿命のTRAILアゴニスト抗体の投与を用いた進行中の臨床試験に進んでいる。
【0006】
組換えTRAILは、その潜在能力にもかかわらず、有効性を制限する特性(例えば、短い血清半減期、安定性、コストおよび送達)を有する。組換えTRAILまたはTRAILアゴニスト抗体の脳への送達は、組換えTRAILおよびTRAILアゴニスト抗体が血液脳関門を越えることができないことによって制限される。
【0007】
抗癌性の組成物および方法が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明の態様によると、本明細書中でTIC10とも呼ばれる
【0009】
【化1-1】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物が提供される。その組成物は、疾患の処置を必要とする被験体(ヒト被験体ならびに他の種の被験体を含む)においてそのような疾患を処置する際の有用性を有する。その組成物は、癌の処置を必要とする被験体(ヒト被験体ならびに他の種の被験体を含む)において癌を処置する際の有用性を有する。
【0010】
本発明の態様によると、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;薬学的に許容され得るキャリア;ならびに第2の治療薬を含む薬学的組成物が提供される。
【0011】
本発明の態様によると、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;薬学的に許容され得るキャリア;ならびに第2の抗癌剤を含む薬学的組成物が提供され、ここで、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグは、第1の抗癌剤である。
【0012】
本発明の態様によると、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;薬学的に許容され得るキャリア;ならびに有糸分裂抑制剤を含む薬学的組成物が提供される。
【0013】
本発明の態様によると、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;薬学的に許容され得るキャリア;ならびにパクリタキセル、ドセタキセルまたはそれらの組み合わせを含む薬学的組成物が提供される。
【0014】
本発明の態様によると、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;薬学的に許容され得るキャリア;ならびに抗血管新生剤を含む薬学的組成物が提供される。
【0015】
本発明の態様によると、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;薬学的に許容され得るキャリア;ならびにベバシズマブを含む薬学的組成物が提供される。
【0016】
本発明の態様によると、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを含む、経口投与用に製剤化された薬学的組成物が提供される。
【0017】
本発明の態様によると、処置の必要のある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含する。
【0018】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含する。
【0019】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10;および薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含する。
【0020】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10の薬学的に許容され得る誘導体;および薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含する。
【0021】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る塩、エステル、アミド、水和物および/または溶媒和物;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含する。
【0022】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10またはその薬学的に許容され得る塩、水和物もしくは溶媒和物;および薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含する。
【0023】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含し;さらに、その被験体から得られたサンプル中のTNF関連アポトーシス誘導リガンドをアッセイして、その処置の効果を評価する工程を包含する。
【0024】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含し;さらに、その被験体から得られた血液、血清、血漿または脳脊髄液サンプル中のTNF関連アポトーシス誘導リガンドをアッセイして、その処置の効果を評価する工程を包含する。
【0025】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含し;さらに、治療有効量の第2の抗癌剤を投与する工程を包含し、ここで、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグは、第1の抗癌剤である。
【0026】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含し;さらに、治療有効量の抗有糸分裂剤を投与する工程を包含する。
【0027】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含し;さらに、治療有効量のパクリタキセル、ドセタキセル、ベバシズマブまたはそれらの任意の2つ以上を投与する工程を包含する。
【0028】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアの経口投与を包含する。
【0029】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含し、ここで、その投与は、直腸、鼻、肺、硬膜外、眼球、耳、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、静脈内、筋肉内、腹腔内、骨内、髄腔内、膀胱内、皮下、局所的、経皮的、経粘膜的、舌下、頬側、膣および吸入の投与経路からなる群から選択される経路による投与である。
【0030】
本発明の態様によると、脳腫瘍を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを投与する工程を包含する。
本発明の好ましい実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
【化14-1】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを含む薬学的組成物。
(項目2)
第2の治療薬をさらに含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目3)
前記第2の治療薬が、抗癌剤である、項目2に記載の薬学的組成物。
(項目4)
前記抗癌剤が、有糸分裂抑制剤である、項目3に記載の薬学的組成物。
(項目5)
前記抗癌剤が、パクリタキセル、ドセタキセルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目3に記載の薬学的組成物。
(項目6)
前記第2の治療薬が、抗血管新生剤である、項目2に記載の薬学的組成物。
(項目7)
前記抗血管新生剤が、ベバシズマブである、項目6に記載の薬学的組成物。
(項目8)
経口投与用に製剤化されたものである、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目9)
処置を必要とする被験体を処置する方法であって、
薬学的に有効な量の
【化12】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアの投与を包含する、方法。
(項目10)
前記被験体から得られたサンプル中のTNF関連アポトーシス誘導リガンドをアッセイする工程をさらに包含する、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記被験体が、癌を有するかまたは有するリスクがある、項目9に記載の方法。
(項目12)
追加の抗癌剤の投与をさらに包含する、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記追加の抗癌剤が、抗有糸分裂剤である、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記追加の抗癌剤が、パクリタキセル、ドセタキセル、ベバシズマブまたはそれらの任意の2つ以上である、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記被験体から得られた血液サンプルにおいて、増加したTNF関連アポトーシス誘導リガンドがアッセイされる、項目10に記載の方法。
(項目16)
前記投与が、経口投与である、項目9に記載の方法。
(項目17)
前記投与が、直腸、鼻、肺、硬膜外、眼球、耳、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、静脈内、筋肉内、腹腔内、骨内、髄腔内、膀胱内、皮下、局所的、経皮的、経粘膜的、舌下、頬側、膣および吸入の投与経路からなる群から選択される、項目6に記載の方法。
(項目18)
脳腫瘍を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法であって、
薬学的に有効な量の
【化13】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアの投与を包含する、方法。(項目19)
処置を必要とする被験体を処置する方法であって、
薬学的に有効な量の
【化14】
、その薬学的に許容され得る塩、エステル、アミド、水和物または溶媒和物;および薬学的に許容され得るキャリアの投与を包含する、方法。
(項目20)
癌を処置するための医薬を製造するための、
【化15】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグの使用。
(項目21)
癌を処置するための化合物
【化16】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ。
(項目22)
実質的に本明細書中に記載されるような薬学的組成物。
(項目23)
実質的に本明細書中に記載されるような処置方法。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、転写開始の上流のヒトTRAIL遺伝子プロモーターの最初の504塩基対の転写調節下のHCT116 Bax
-/-細胞におけるルシフェラーゼレポーターの活性を示しているグラフである;
【
図2】
図2は、HCT116 p53
-/-細胞におけるTRAIL mRNAレベルのRT-qPCR解析を示しているグラフである;
【
図3】
図3は、癌細胞のパネルにおける、TIC10によって誘導された表面TRAILレベルを示しているグラフである;
【
図4】
図4は、表示の条件および時点における、TIC10処置後のHCT116 p53
-/-細胞における表面TRAILレベルを示しているグラフである;
【
図5】
図5は、TIC10処置開始の72時間後における、フローサイトメトリーによるHCT116 p53
-/-TRAIL表面レベルを示しているグラフである;
【
図6】
図6は、TIC10で処理されたHCT116 p53
-/-およびヒト包皮線維芽(HFF)細胞の細胞周期プロファイルを示している;
【
図7】
図7は、TIC10で処理された癌細胞のコロニー形成アッセイの定量を示しているグラフである;
【
図8】
図8は、終了時点においてHFF細胞を数えたこと以外は
図7におけるような類似の実験を示しているグラフである;
【
図9】
図9は、DMSO、TIC10またはrhTRAIL(25ng/mL)による処理後の、HCT116 WT、p53
-/-およびBax
-/-細胞のsub-G1解析を示しているグラフである;
【
図10】
図10は、ウエスタンブロット解析の結果を示している像である;
【
図11】
図11は、zVAD-fmkとともにプレインキュベートされたまたはzVAD-fmkなしでプレインキュベートされた、TIC10処理癌細胞のsub-G1解析を示しているグラフである;
【
図12】
図12は、短ヘアピンRNAによってTRAILが安定的にノックダウンされたMDA-MB-231細胞のsub-G1解析を示しているグラフである;
【
図13】
図13は、TIC10処理細胞のフローサイトメトリー解析による、MDA-MB-231 shTRAILノックダウンの実証を示しているグラフである;
【
図14】
図14は、内因性のDR5、またはそのデスドメインがEGFPで置き換えられたDR5構築物の過剰発現を有するH460細胞における、TIC10によって誘導された細胞死のsub-G1解析を示しているグラフである;
【
図15】
図15は、TRAIL隔離抗体であるRIK-2の存在下または非存在下においてDMSO、TIC10またはrhTRAILで処理されたHCT116細胞のsub-G1解析を示しているグラフである;
【
図16】
図16は、摘出されたばかりのヒト結腸癌細胞を用いたときの、TIC10によって誘導された表面TRAILを示しているグラフである;
【
図17】
図17は、DMSO、TIC10または5-FUで処理された、
図16の初代結腸癌細胞の細胞生死判別アッセイの結果を示しているグラフである;
【
図18】
図18は、TIC10またはrhTRAILが、表示の温度における1時間のプレインキュベート後のHCT116細胞の細胞生存率を低下させることができることを示しているグラフである;
【
図19】
図19は、TIC10、TRAILまたはビヒクルで処理されたHCT116 p53
-/-異種移植片を示しているグラフである;
【
図20】
図20は、TIC10またはビヒクルで処理されたルシフェラーゼ感染HCT116 p53
-/-異種移植片の生物発光イメージングの結果を示しているグラフである;
【
図21】
図21は、TIC10、TRAILまたはビヒクルで処理されたRKO異種移植片を示しているグラフである;
【
図22】
図22は、MDA-MB-231ベクターまたはshTRAIL異種移植片における、TIC10、TRAILまたはビヒクルでの処理開始後9日目の腫瘍体積の箱ひげ図である;
【
図23】
図23は、TRAIL、TIC10またはDMSOで処理されたDLD-1異種移植片の相対的な腫瘍体積を示しているグラフである;
【
図24】
図24は、SW480異種移植片におけるTIC10のi.p.投与と経口投与との比較を示しているグラフである;
【
図25】
図25は、HCT116異種移植片において経口での単回投与として投与されたTIC10またはビヒクルを示しているグラフである;
【
図26】
図26は、単回投与のTIC10で処置された無胸腺雌ヌードマウスの体重を示しているグラフである;
【
図27】
図27は、経口TIC10による処置の第4週の終わりにおけるC57/B6雌マウスの体重を示しているグラフである;
【
図28】
図28は、第9~12週の間に毎週、経口TIC10で処置されたΕμ-mycの全生存を示しているグラフである;
【
図29】
図29は、パクリタキセルとともにTIC10で処理されたDLD-1細胞の細胞生存率を示しているグラフである;
【
図30】
図30は、パクリタキセルとともにTIC10で処理されたSW620細胞の細胞生存率を示しているグラフである;
【
図31】
図31は、タキソテールとともにTIC10で処理されたDLD-1細胞の細胞生存率を示しているグラフである;
【
図32】
図32は、タキソテールとともにTIC10で処理されたSW620細胞の細胞生存率を示しているグラフである;
【
図33】
図33は、H460異種移植において、TIC10もしくはタキソテールの単独で、組み合わせで、またはビヒクルで処理した後に腫瘍組織を保持するコホートのパーセントを示しているグラフである;
【
図35】
図35は、H460異種移植において、TIC10またはパクリタキセルの単独で、組み合わせで、またはビヒクルで処理した後に腫瘍組織を保持するコホートのパーセントを示しているグラフである;
【
図37】
図37は、盲腸内にHCT116 p53
-/-腫瘍を移植され、TIC10、ベバシズマブまたはTIC10とベバシズマブとの組み合わせで処置され、終了時点において原発および遠位の部位に明白な腫瘍を有したコホートのパーセントを示しているグラフである;
【
図38】
図38は、ビヒクル、TIC10、ベバシズマブまたはTIC10とベバシズマブとの組み合わせで処置された、盲腸内HCT116 p53
-/-腫瘍を移植されたマウスの体重を示しているグラフである;
【
図39】
図39は、TIC10またはドキソルビシンの後の、腫瘍を有しないマウスにおけるTRAIL血清レベルを示しているグラフである;
【
図40】
図40は、239nmにピーク吸光度を有するTIC10の吸光度プロファイルを示しているグラフである;
【
図41】
図41は、マウス血漿に添加され、HPLC解析によって曲線下面積(AUC)を使用して定量された、TIC10に対する検量線を示しているグラフである;
【
図42】
図42は、C57/B6雌マウスに静脈内投与した後のTIC10の血漿濃度を示しているグラフである;
【
図43】
図43は、TIC10処置(左から右に向かって0、2.5、5または10μM)後のHFF細胞の表面TRAILの解析を示しているグラフである;
【
図44】
図44は、HCT116 p53
-/-細胞と前処理されたHFFとの共培養物のsub-G1解析を示しているグラフである;
【
図45】
図45は、TIC10とともにインキュベートした後のGBM細胞株における表面TRAILを示しているグラフである;
【
図46】
図46は、TIC10またはDMSOによる処置の72時間後における表示のGBM細胞株の細胞生死判別アッセイから外挿されたGI50値を示しているグラフである;
【
図47】
図47は、DMSO、TIC10またはテモゾロマイドで処理された摘出されたばかりの神経膠芽腫組織の細胞生死判別アッセイの結果を示している;
【
図48】
図48は、ビヒクル、TIC10またはベバシズマブの単回投与を受けたマウスのT98Gの皮下異種移植片を示しているグラフである;
【
図49】
図49は、経口での単回投与のビヒクル、TIC10、ベバシズマブまたはTIC10およびベバシズマブで処置された、SF767頭蓋内腫瘍を有するマウスの全生存を示しているグラフである;
【
図50】
図50は、DMSOと比べて、TIC10処理の48時間後におけるHCT116 p53
-/-細胞の遺伝子発現プロファイリングからのFOXOシグナル伝達に関連する転写の変化を示しているグラフである;
【
図51】
図51は、TIC10またはDMSOで処理されたHCT116細胞におけるDR5のウエスタンブロット解析の像である;
【
図52】
図52は、TIC10で処理された癌細胞および正常細胞における表面DR5レベルのフローサイトメトリー解析を示しているグラフである;
【
図53】
図53は、DMSOまたはTIC10で処理されたHCT116細胞の細胞全体の可溶化物(W)ならびに細胞質(C)および核(N)の抽出物のウエスタンブロット解析の像である;
【
図54】
図54は、HCT116 p53
-/-細胞におけるTIC10処置(左から右に向かって0、2.5、5または10μM)の48時間後の、TRAILプロモーターに対するFoxo3aのTIC10誘導性移行についてのクロマチン免疫沈降アッセイの結果の像である;
【
図55】
図55は、siRNAを使用したHCT116 p53
-/-細胞におけるFoxo1および/またはFoxo3aの一過性ノックダウン有りまたは無しでのTIC10によって誘導された細胞表面TRAILレベルのフローサイトメトリー解析の結果を示しているグラフである;
【
図56】
図56は、HCT116細胞におけるFoxo3aの安定的なノックダウン有りまたは無しにおけるTIC10誘導性細胞死のsub-G1解析を示しているグラフである;
【
図57】
図57は、HCT116細胞におけるFoxo3aの安定的なノックダウン有りまたは無しにおけるTIC10によって誘導される表面TRAILのフローサイトメトリー解析を示しているグラフである;
【
図58】
図58は、ビヒクルまたはTIC10の経口での単回投与後の、Foxo3aの安定的なノックダウン有りまたは無しにおけるHCT116異種移植片の腫瘍体積を示しているグラフである;
【
図59】
図59は、TIC10(2.5、5、10μM)で72時間処理されたHCT116 p53
-/-細胞のウエスタンブロット解析の像である;
【
図60】
図60は、TIC10で処理されたHCT116 p53
-/-細胞のウエスタンブロット解析の像である;
【
図61】
図61は、
図60におけるような反復実験のウエスタンブロットのデンシトメトリーによって測定された、TIC10によって誘導された効果のタンパク質発現レベルの時間経過を示しているグラフである;
【
図62】
図62は、DLD1ヒト結腸癌細胞、MDA-MB-468ヒト乳癌細胞およびT98Gヒト多形神経膠芽腫細胞株におけるFoxo3aに対するTIC10によって誘導される効果のウエスタンブロット解析の像である;
【
図63】
図63は、myr-Aktの過剰発現を示しているウエスタンブロット解析の像である;
【
図64】
図64は、TIC10処置を受けた、空ベクターまたはミリスチル化(myristilated)Akt(myr-Akt)を過剰発現しているHCT116細胞における表面TRAILのフローサイトメトリー解析を示しているグラフである;
【
図65】
図65は、TIC10処理を受けた、空ベクターまたはmyr-Aktを過剰発現しているHCT116細胞のsub-G1含有量を示しているグラフである;
【
図66】
図66は、A6730(Akt inh)、U0126モノエタノレート(MEK inh)またはその両方とともにインキュベートした後のHCT116 p53
-/-細胞におけるTRAIL mRNAのRT-qPCR解析を示しているグラフである;
【
図67】
図67は、Foxo3aの安定的なノックダウン有りまたは無しでの、
図66におけるような表面TRAILの誘導を示しているグラフである;
【
図68】
図68は、Akt inh、MEK inhまたはその両方とともにインキュベートした後の、shRNAによるTRAILノックダウンの有りまたは無しにおけるMDA-MB-231のsub-G1解析を示しているグラフである;
【
図69】
図69は、A6730(Akt inh)、U0126モノエタノレート(MEK inh)またはその両方とともにインキュベートした後のHCT116 p53
-/-細胞の表面TRAIL解析を示しているグラフである;
【
図70】
図70は、HCT116 p53
-/-細胞におけるAktおよび/またはERKの一過性ノックダウン後のTRAIL mRNAレベルのRT-qPCR解析を示しているグラフである;
【
図71】
図71は、ウエスタンブロット解析による、AktおよびERKノックダウンの確認を示している像である;
【
図72】
図72は、HCT116細胞におけるAktおよび/またはERKの一過性ノックダウン後の表面TRAIL解析を示しているグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
発明の詳細な説明
本明細書中で使用される科学用語および専門用語は、当業者が通常理解している意味を有すると意図されている。そのような用語は、様々な標準的な参考文献中の文脈において定義され、使用されていると見出されており、そのような参考文献としては、例証的には、J.Sambrook and D.W.Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;3rd Ed.,2001;F.M.Ausubel,Ed.,Short Protocols in Molecular Biology,Current Protocols;5th Ed.,2002;B.Albertsら、Molecular Biology of the Cell,4th Ed.,Garland,2002;D.L.Nelson and M.M.Cox,Lehninger Principles of Biochemistry,4th Ed.,W.H.Freeman & Company,2004;Engelke,D.R.,RNA Interference(RNAi):Nuts and Bolts of RNAi Technology,DNA Press LLC,Eagleville,PA,2003;Herdewijn,P.(Ed.),Oligonucleotide Synthesis:Methods and Applications,Methods in Molecular Biology,Humana Press,2004;A.Nagy,M.Gertsenstein,K.Vintersten,R.Behringer,Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual,3rd edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press;December 15,2002,ISBN-10:0879695919;Kursad Turksen(Ed.),Embryonic stem cells:methods and protocols in Methods Mol Biol.2002;185,Humana Press;Current Protocols in Stem Cell Biology,ISBN:9780470151808が挙げられる。
【0033】
単数形の用語「a」、「an」および「the」は、限定であると意図されておらず、別のことが明示的に述べられていないか、または文脈が明らかに別のことを示していない限り、複数の指示対象を含む。
【0034】
p53は、しばしば後期の癌において不活性化され、それにより、5-FUおよびドキソルビシンなどの多くの標準療法(standard-of-care therapies)に対する抵抗性が引き起こされるので、本発明の態様に係る方法および組成物は、p53に依存しない機序によってTRAIL遺伝子をアップレギュレートするTRAIL誘導化合物に対するスクリーニングによってTRAIL遺伝子の小分子転写誘導因子として本発明者らが同定したTRAIL誘導化合物10(TIC10)に関する。
【0035】
TIC10は、正常細胞と癌細胞の両方においてTRAILの発現を誘導する。TIC10またはその薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/もしくはプロドラッグの効果を記載するために本明細書中で使用される用語「TRAILの発現を誘導する」、「TIC10によって誘導されるTRAIL」およびそれらの文法上の等価物は、TIC10またはその薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/もしくはプロドラッグと接触した細胞によってTRAILの検出可能な増加がもたらされることを指す。TRAILの検出可能な増加は、周知のタンパク質または核酸アッセイ方法を用いるTRAILタンパク質またはTRAIL核酸に対するアッセイによって測定され得る。
【0036】
TIC10によって誘導されるTRAILは、癌細胞ならびに正常細胞および血清において持続され、癌細胞および腫瘍に対するTRAIL媒介性バイスタンダー効果をもたらす。TIC10は、AktおよびERKを不活性化して、Foxo3aの核移行およびTRAIL転写の誘導をもたらす。
【0037】
TIC10によって誘導されるTRAILは、Foxo3aに依存し、Foxo3aは、他の標的の中でもTRAILデスレセプターDR5をアップレギュレートし、いくつかのTRAIL抵抗性腫瘍細胞の感作を可能にする。TIC10によって引き起こされるTRAILの誘導は、腫瘍細胞、間質細胞および宿主細胞において持続される。
【0038】
本発明の態様によると、TIC10またはその薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/もしくはプロドラッグを含む薬学的組成物、ならびにそれらを使用するための方法が提供される。
【0039】
本発明の態様によると、構造(I)の化合物を含む薬学的組成物が提供される。
【0040】
【化2-1】
構造(I)の化合物は、本明細書中でTRAIL誘導化合物10(TIC10)およびNSC350625とも称される。
【0041】
構造(I)の化合物(TIC10)は、商業的に得ることができるか、または標準的な化学的合成方法を用いて合成することができる。
【0042】
本発明の態様に係る薬学的組成物は、構造(I)の化合物の薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグでもあり得る。
【0043】
構造(I)の化合物の薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグは、商業的に得ることができるか、または標準的な化学的合成方法を用いて合成することができる。
【0044】
構造(I)の化合物に関して使用される用語「薬学的に許容され得る誘導体」は、構造(I)の化合物が細胞においてTRAILの発現を誘導する示される活性を実質的に保持する、任意の置換可能な位置でさらに置換された構造(I)の化合物である。例えば、構造(I)の化合物は、以下:F、Cl、Br、低級アルキル基、低級アルコキシ基またはフッ素化低級アルキル基(例えば、CF3)のうちの1つ以上によって任意の置換可能な位置で必要に応じてさらに置換される。
【0045】
「薬学的に許容され得る」塩、エステル、アミド、水和物、プロドラッグまたは溶媒和物は、被験体に対して過度の毒性または刺激なくその被験体において使用するのに適しており、意図される使用法にとって有効である。
【0046】
薬学的に許容され得る塩には、薬学的に許容され得る酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。薬学的に許容され得る塩は、当該分野で周知であり、例えば、S.M.Bergeら、J.Pharm.Sci.,66:1-19,1977に詳述されている塩である。例示的な薬学的に許容され得る塩は、被験体に対して過度の毒性または刺激なくその被験体において使用するのに適しており、かつそれらの意図される使用法にとって有効な塩であり、それらの塩は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、リン酸、硫酸およびスルファミン酸);有機酸(例えば、酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2-アセトキシ安息香酸、酪酸、ショウノウ酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、ジグルコン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリセロリン酸、ヘミ硫酸(hemisulfic acid)、ヘプタン酸、ヘキサン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸(イセチオン酸)、乳酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メシチレンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、2-ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パモ酸、ペクチン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸およびウンデカン酸);無機塩基(例えば、アンモニア、アンモニウムの水酸化物、炭酸塩および炭酸水素塩);有機塩基(例えば、第1級、第2級、第3級および第4級アミン化合物、アンモニウム、アルギニン、ベタイン、コリン、カフェイン、ジオールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェンアミン(ephenamine)、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、1h-イミダゾール、リジン、メチルアミン、N-エチルピペリジン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、N,N-ジメチルアニリン、ピペラジン、トロラミン、メチルグルカミン、プリン、ピペリジン、ピリジン、テオブロミン、テトラメチルアンモニウム化合物、テトラエチルアンモニウム化合物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリブチルアミン)ならびに金属カチオン(例えば、アルミニウム、カルシウム、銅、鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛)を用いて形成される。
【0047】
薬学的に許容され得る溶媒和物としては、例証的に水和物、エタノラート、メタノラートが挙げられる。
【0048】
例示的な薬学的に許容され得るアミドとしては、アンモニア、第1級C1-C6アルキルアミンおよび第2級C1-C6ジアルキルアミンから得られるアミド(5または6員の窒素含有複素環の形態のアミドを含む)が挙げられる。
【0049】
TIC10プロドラッグは、インタクトな活性TIC10をもたらす、TIC10から放出される部分に共有結合的に結合したTIC10の形態である。プロドラッグの形態は、Sloan,K.B.,Prodrugs,M.Dekker,New York,1992;およびTesta,B.and Mayer,J.M.,Hydrolysis in drug and prodrug metabolism:chemistry,biochemistry,and enzymology,Wiley-VCH,Zurich,2003において例証されているように当該分野で周知である。
【0050】
第1の治療薬として
【0051】
【化3-1】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;薬学的に許容され得るキャリア;ならびに抗癌剤などの第2の治療薬を含む薬学的組成物が提供される。
【0052】
本発明の態様によると、処置の必要のある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量の:
【0053】
【化4-1】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアの投与を包含する。
【0054】
処置の必要のある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、その被験体においてTRAILの発現を誘導するのに有効な、薬学的に有効な量の
【0055】
【化5】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアの投与を包含する。
【0056】
TRAILタンパク質を、被験体から得られた試験サンプルにおいてアッセイすることにより、TIC10によって誘導されたTRAILの発現が検出され得る。
【0057】
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、酵素結合免疫濾過アッセイ(ELIFA)、フローサイトメトリー、免疫ブロット、免疫沈降、免疫組織化学、免疫細胞化学、発光イムノアッセイ(LIA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)およびラジオイムノアッセイを含むがこれらに限定されないイムノアッセイ方法が、サンプル中のTRAILをアッセイするために使用され得る。定性的および/または定量的な結果を得るためのアッセイ方法が使用され得る。サンプルの定性的アッセイと定量的アッセイの両方に適したアッセイ方法の具体的な詳細は、標準的な参考文献に記載されており、そのような参考文献としては、例証的には、E.Harlow and D.Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988;F.Breitling and S.Duebel,Recombinant Antibodies,John Wiley & Sons,New York,1999;H.Zola,Monoclonal Antibodies:Preparation and Use of Monoclonal Antibodies and Engineered Antibody Derivatives,Basics:From Background to Bench,BIOS Scientific Publishers,2000;B.K.C.Lo,Antibody Engineering:Methods and Protocols,Methods in Molecular Biology,Humana Press,2003;F.M.Ausubelら、Eds.,Short Protocols in Molecular Biology,Current Protocols,Wiley,2002;S.Klussman,Ed.,The Aptamer Handbook:Functional Oligonucleotides and Their Applications,Wiley,2006;Ormerod,M.G.,Flow Cytometry:a practical approach,Oxford University Press,2000;Givan,A.L.,Flow Cytometry:first principles,Wiley,New York,2001;Gorczyca,W.,Flow Cytometry in Neoplastic Hematology:morphologic-immunophenotypic correlation,Taylor & Francis,2006;Crowther,J.R.,The ELISA Guidebook(Methods in Molecular Biology),Humana Press,2000;Wild,D.,The Immunoassay Handbook,3rd Edition,Elsevier Science,2005およびJ.Sambrook and D.W.Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,3rd Ed.,2001が挙げられる。
【0058】
アプタマーは、TRAILについてサンプルをアッセイするために使用され得る。用語「アプタマー」とは、特定の物質に実質的に特異的に結合するペプチドおよび/または核酸のことを指す。核酸アプタマーの場合、そのアプタマーは、第2および/または第3の核酸とのWatson/Crick塩基対形成または三重らせん結合以外の、標的との結合相互作用によって特徴付けられる。そのような結合相互作用としては、例えば、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用、水素結合および/または静電相互作用が挙げられ得る。同様に、ペプチドベースのアプタマーは、標的との特異的結合によって特徴付けられ、ここで、そのアプタマーは、その標的に対する天然に存在するリガンドではない。ペプチドアプタマーおよび核酸アプタマーの同定および作製のための手法ならびにそれらの使用は、例えば、F.M.Ausubelら、Eds.,Short Protocols in Molecular Biology,Current Protocols,Wiley,2002;S.Klussman,Ed.,The Aptamer Handbook:Functional Oligonucleotides and Their Applications,Wiley,2006;およびJ.Sambrook and D.W.Russell,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,3rd Ed.,2001に記載されているように当該分野で公知である。
【0059】
TRAILについてサンプルをアッセイするために分光分析が使用される。例えば、質量分析が、本発明の態様に係るアッセイにおいて使用され得る。質量分析は、例えば、飛行時間型(TOF)質量分析またはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析を用いて行われる。質量分析の手法は、当該分野で公知であり、タンパク質および/またはペプチドアッセイのための方法の例示的な詳細な説明は、Li J.ら、Clin Chem.,48(8):1296-304,2002;Hortin,G.L.,Clinical Chemistry 52:1223-1237,2006;Hortin,G.L.,Clinical Chemistry 52:1223-1237,2006;A.L.Burlingameら(Eds.),Mass Spectrometry in Biology and Medicine,Humana Press,2000;およびD.M.Desiderio,Mass Spectrometry of Peptides,CRC Press,1990に見られる。
【0060】
細胞の表面におけるTRAILの局在性をアッセイすることにより、本発明の薬学的組成物の効果が検出され得る。TRAILの局在性の検出は、フローサイトメトリーなどのイムノアッセイならびに免疫組織化学によって行われ得る。
【0061】
試験サンプルは、被験体の任意の生体液、細胞または組織(例証的には、血液、血漿、血清、尿、唾液、腹水(ascites)、脳脊髄液、脳室液、胸膜液、肺および気管支肺胞洗浄液サンプル、粘液、汗、涙、精液、膀胱洗浄サンプル、羊水、リンパ液、腹水(peritoneal fluid)、滑液、骨髄穿刺液、腫瘍細胞または組織、器官細胞または組織(例えば、生検材料)を含む)であり得る。好ましい態様において、試験サンプルは、血液、血漿または血清である。
【0062】
被験体由来の試験サンプルは、必要に応じて、TRAILまたは他のバイオマーカーのアッセイのために精製される。試験サンプルの文脈における用語「精製される」とは、試験サンプルに存在する少なくとも1つの他の構成要素からのTRAILまたは別のバイオマーカーの分離のことを指す。試験サンプルの精製は、例証的に電気泳動的方法(例えば、ゲル電気泳動および2-Dゲル電気泳動);クロマトグラフィー方法(例えば、HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、薄層およびペーパークロマトグラフィー)を含む手法によって達成される。
【0063】
TRAILのアッセイは、細胞および組織において行われ得る。例えば、免疫組織化学的方法およびインサイチュハイブリダイゼーションが、細胞または組織試験サンプル中のTRAILタンパク質および/または核酸をアッセイするために使用され得る。
【0064】
1つ以上の基準が、サンプル中のTRAILの定量的測定を可能にするために使用され得る。
【0065】
試験サンプル中のTRAILのアッセイは、コントロールサンプル中のTRAILのアッセイと比較され得る。コントロールサンプルは、例えば、1つ以上の正常な被験体から得られることがある。
【0066】
本発明の態様によると、TRAILについてのアッセイは、被験体をモニターするために使用される。したがって、例えば、試験サンプルは、処置の有効性を評価するために、本発明の薬学的組成物による処置の前、ならびにその処置中および/または処置後の1以上の時点において被験体から得られる。さらなる例において、試験サンプルは、疾患の経過もしくは進行または治癒を評価するために、様々な時点において被験体から得られる。
【0067】
特定の態様において、本発明の薬学的組成物による処置のモニターを助けるために、1つ以上の追加のバイオマーカーが、被験体から得られた試験サンプルにおいてアッセイされる。例えば、ホスホ-ERK、ホスホ-Akt、Foxo3aの局在性および/またはリン酸化の1つ以上が、本発明の薬学的組成物による処置のモニターを助けるために、被験体から得られた試験サンプルにおいてアッセイされる。そのような追加のバイオマーカーは、本明細書中に記載される方法のようなイムノアッセイ法によってアッセイされる。
【0068】
TIC10誘導性TRAILの発現を検出するために、被験体から得られた試験サンプルにおいてTRAIL核酸がアッセイされ得る。TRAIL核酸、特にmRNAまたはcDNAを検出するためのアッセイとしては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)(例えば、RT-PCR)、ドットブロット、インサイチュハイブリダイゼーション、ノーザンブロットおよびRNaseプロテクションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本発明によると、癌を処置するための方法および組成物が提供される。
【0070】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、薬学的に有効な量の
【0071】
【化6】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアの投与を包含する。
【0072】
癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、その被験体においてTRAILの発現を誘導するのに有効な、薬学的に有効な量の
【0073】
【化7】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアの投与を包含する。
【0074】
本明細書中に記載される方法および組成物を用いて処置される癌は、異常な細胞増殖(新生物発生前の過剰増殖、上皮内癌、新生物および転移を含むがこれらに限定されない)によって特徴付けられる。本発明の方法および組成物は、癌の徴候および/または症状の予防ならびに回復のために使用され得る。被験体における癌の処置のことを指すために使用される用語「処置する」および「処置」には、その被験体における癌を予防すること、阻害することまたは回復すること(例えば、癌の進行を遅延させることおよび/または癌の徴候もしくは症状を減少もしくは回復させること)が含まれる。
【0075】
本発明の組成物の薬学的に有効な量は、処置される被験体において有益な効果を有する量である。新生物発生前の過剰増殖、上皮内癌、新生物、転移、腫瘍、良性の成長、または本発明の組成物に対して応答性の他の状態を含むがこれらに限定されない異常な細胞増殖によって特徴付けられる状態などの癌を有するかまたは癌を有するリスクがある被験体において、薬学的に有効な量の本発明の組成物は、その状態の1つ以上の徴候および/または症状を回復させるかまたは予防するために有効である。例えば、薬学的に有効な量の本発明の組成物は、アポトーシスを検出可能な程度に増加させるおよび/または異常な細胞増殖(新生物発生前の過剰増殖、上皮内癌、新生物、転移、腫瘍、良性の成長、または本発明の組成物に対して応答性の他の状態を含むがこれらに限定されない)によって特徴付けられる癌の状態の細胞の増殖を減少させるのに有効である。
【0076】
TIC10は、従来の治療に対して抵抗性である1次患者サンプルおよび細胞株において本明細書中に記載される広域の活性を有し、それは、TIC10の治療的作用が、癌において通常変化する分子(例えば、EGFR、Her2、KRASまたはPTEN)にもっぱら依存しないことを示唆する。TIC10の治療的な細胞機序の解明によって、本明細書中に記載される抵抗機序(例えば、過剰に活性化されたAkt)が同定され、癌におけるTIC10の治療活性の相関性バイオマーカーとして、ホスホ-ERK、ホスホ-Akt、Foxo3aの局在化およびリン酸化、ならびに表面および血清TRAILが提供される。
【0077】
したがって、本発明の態様によると、癌におけるTIC10治療活性の1つ以上の相関性バイオマーカーが、本発明の薬学的組成物による処置を評価するためにアッセイされる。
【0078】
本発明の方法に従っておよび本発明の組成物を用いて処置される被験体は、哺乳動物または非哺乳動物であり得る。哺乳動物被験体は、任意の哺乳動物であり得、それらとしては、ヒト;非ヒト霊長類;げっ歯類(例えば、マウス、ラットまたはモルモット);飼い慣らされたペット(例えば、ネコまたはイヌ);ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギまたはウサギが挙げられるがこれらに限定されない。非哺乳動物被験体は、任意の非哺乳動物であり得、それらとしては、鳥類(例えば、アヒル、ガチョウ、ニワトリまたはシチメンチョウ)が挙げられるがこれらに限定されない。被験体は、いずれの性別であってもよく、任意の齢であってよい。本発明の薬学的組成物を被験体に投与する工程を包含する方法の態様において、その被験体は、ヒトである。用語「被験体」および「患者」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0079】
本発明に係る薬学的組成物は、通常、約0.1~99%のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを含む。薬学的組成物におけるTIC10と、その少なくとも1つの薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグとの組み合わせもまた、本発明の範囲内であると考えられる。さらに、薬学的組成物におけるその薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物およびプロドラッグのうちの少なくとも2つの組み合わせもまた、本発明の範囲内であると考えられる。
【0080】
本発明の態様によると、治療薬の組み合わせが投与される。本発明の態様によると、被験体における癌を処置する方法は、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに少なくとも1つの追加の治療薬の薬学的組成物の投与を包含する。本発明の態様によると、被験体における癌を処置する方法は、TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに少なくとも2つの追加の治療薬の薬学的組成物の投与を包含する。
【0081】
用語「追加の治療薬」は、化学物質、化学物質の混合物、生物学的高分子(例えば、核酸、抗体、タンパク質またはその一部、例えば、ペプチド)、または被験体において局所的もしくは全身的に作用する生物学的、生理的もしくは薬理学的に活性な物質(単数または複数)である生物学的材料(例えば、細菌、植物、真菌または動物(特に哺乳動物)の細胞もしくは組織)から調製された抽出物のことを指すために本明細書中で使用される。
【0082】
本発明の方法および組成物の態様に従って含められる追加の治療薬としては、抗生物質、抗ウイルス薬、抗新生物剤、鎮痛薬、解熱薬、抗うつ薬、抗精神病薬、抗癌剤、抗ヒスタミン剤、抗骨粗鬆症剤、抗骨壊死剤(anti-osteonecrosis agents)、抗炎症剤、抗不安薬、化学療法剤、利尿薬、成長因子、ホルモン、非ステロイド性抗炎症剤、ステロイドおよび血管作用薬が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
TIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグならびに1つ以上の追加の治療薬を使用する併用療法は、相乗効果を示し得、例えば、単独療法としてTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/もしくはプロドラッグまたは1つ以上の追加の治療薬を単独で含む本発明の薬学的組成物を使用したときに観察され得る効果よりも大きな治療効果を示し得る。
【0084】
態様によると、併用療法は、(1)1つ以上の追加の治療薬とともに単一組成物として一緒に製剤化される、本発明のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグを含む薬学的組成物を含む薬学的組成物;および(2)本発明のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグを含む薬学的組成物と1つ以上の追加の治療薬との共投与(ここで、本発明のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグを含む薬学的組成物と1つ以上の追加の治療薬とは、同じ組成物に製剤化されていない)を含む。別個の製剤を用いるとき、本発明のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグを含む薬学的組成物は、1つ以上の追加の治療薬の投与に対して、同時に、断続的な時点において、時差的な時点において、その1つ以上の追加の治療薬の投与の前に、1つ以上の追加の治療薬の投与の後に、またはそれらの組み合わせで、投与され得る。
【0085】
併用処置は、本発明のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグならびに本発明の方法において使用される1つ以上の追加の治療薬を含む薬学的組成物の有効投与量を減少させることおよび治療指数を高めることを可能にし得る。
【0086】
態様によると、併用療法は、(1)1つ以上の追加の抗癌剤とともに単一組成物として一緒に製剤化される、本発明のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグを含む薬学的組成物を含む薬学的組成物;および(2)本発明のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグを含む薬学的組成物と1つ以上の追加の抗癌剤との共投与(ここで、本発明のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグを含む薬学的組成物と1つ以上の追加の治療薬とは、同じ組成物に製剤化されていない)を含む。別個の製剤を用いるとき、本発明のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグを含む薬学的組成物は、1つ以上の追加の抗癌剤の投与に対して、同時に、断続的な時点において、時差的な時点において、その1つ以上の追加の抗癌剤の投与の前に、1つ以上の追加の抗癌剤の投与の後に、またはそれらの組み合わせで、投与され得る。
【0087】
抗癌剤は、例えば、Goodmanら、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,8th Ed.,Macmillan Publishing Co.,1990に記載されている。
【0088】
抗癌剤としては、例証的には、アシビシン、アクラルビシン、アコダゾール(acodazole)、アクロニン(acronine)、アドゼレシン、アルデスロイキン、アリトレチノイン、アロプリノール、アルトレタミン(altretamine)、アンボマイシン(ambomycin)、アメタントロン(ametantrone)、アミホスチン(amifostine)、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アントラマイシン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、アスペルリン(asperlin)、アザシチジン、アゼテパ(azetepa)、アゾトマイシン(azotomycin)、バチマスタット(batimastat)、ベンゾデパ(benzodepa)、ベバシズマブ、ビカルタミド、ビサントレン(bisantrene)、ビスナフィド(bisnafide)ジメシレート、ビゼレシン(bizelesin)、ブレオマイシン、ブレキナル、ブロピリミン、ブスルファン、カクチノマイシン、カルステロン、カペシタビン、カラセミド、カルベチマー、カルボプラチン、カルムスチン、カルビシン(carubicin)、カルゼレシン(carzelesin)、セデフィンゴール(cedefingol)、セレコキシブ、クロラムブシル、シロレマイシン(cirolemycin)、シスプラチン、クラドリビン、メシル酸クリスナトール(crisnatol mesylate)、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン(decitabine)、デキソルマプラチン(dexormaplatin)、デザグアニン、メシル酸デザグアニン、ジアジコン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロロキシフェン、ドロモスタノロン、ズアゾマイシン(duazomycin)、エダトレキセート(edatrexate)、エフロミチン(eflomithine)、エルサミトルシン(elsamitrucin)、エンロプラチン(enloplatin)、エンプロメート(enpromate)、エピプロピジン(epipropidine)、エピルビシン、エルブロゾール(erbulozole)、エソルビシン(esorubicin)、エストラムスチン、エタニダゾール、エトポシド、エトプリン(etoprine)、ファドロゾール、ファザラビン(fazarabine)、フェンレチニド(fenretinide)、フロクスウリジン、フルダラビン、フルオロウラシル、フルロシタビン(flurocitabine)、ホスキドン(fosquidone)、ホストリエシン、フルベストラント、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イホスファミド、イルモホシン(ilmofosine)、インターロイキンII(組換えインターロイキンIIまたはrIL2を含むIL-2)、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンアルファ-n1、インターフェロンアルファ-n3、インターフェロンベータ-Ia、インターフェロンガンマ-Ib、イプロプラチン(iproplatin)、イリノテカン、ランレオチド、レトロゾール、ロイプロリド、リアロゾール(liarozole)、ロメトレキソール(lometrexol)、ロムスチン、ロソキサントロン(losoxantrone)、マソプロコール(masoprocol)、メイタンシン、塩酸メクロレタミン(mechlorethamine hydrochlride)、メゲストロール、酢酸メレンゲストロール、メルファラン、メノガリル(menogaril)、メルカプトプリン、メトトレキサート、メトプリン(metoprine)、メツレデパ(meturedepa)、ミチンドミド(mitindomide)、ミトカルシン(mitocarcin)、ミトクロミン(mitocromin)、ミトギリン(mitogillin)、ミトマルシン(mitomalcin)、マイトマイシン、ミトスペル(mitosper)、ミトタン、ミトキサントロン、ミコフェノール酸、ネララビン、ノコダゾール、ノガラマイシン(nogalamycin)、オルムナプラチン(ormnaplatin)、オキシスラン(oxisuran)、パクリタキセル、ペガスパルガーゼ(pegaspargase)、ペリオマイシン(peliomycin)、ペンタムスチン(pentamustine)、ペプロマイシン、ペルホスファミド(perfosfamide)、ピポブロマン、ピポスルファン(piposulfan)、ピロキサントロン(piroxantrone)塩酸塩、プリカマイシン、プロメスタン(plomestane)、ポルフィマー、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プレドニムスチン(prednimustine)、プロカルバジン、ピューロマイシン、ピラゾフリン(pyrazofurin)、リボプリン(riboprine)、ログレチミド(rogletimide)、サフィンゴール(safingol)、セムスチン、シムトラゼン(simtrazene)、スパルホセート(sparfosate)、スパルソマイシン、スピロゲルマニウム、スピロムスチン(spiromustine)、スピロプラチン(spiroplatin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、スロフェヌル(sulofenur)、タリソマイシン(talisomycin)、タモキシフェン、テコガラン(tecogalan)、テガフール、テロキサントロン(teloxantrone)、テモポルフィン(temoporfin)、テニポシド、テロキシロン(teroxirone)、テストラクトン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン、チオテパ、チアゾフリン(tiazofurin)、チラパザミン、トポテカン、トレミフェン、トレストロン(trestolone)、トリシリビン(triciribine)、トリメトレキサート、トリプトレリン(triptorelin)、ツブロゾール(tubulozole)、ウラシルマスタード、ウレデパ(uredepa)、バプレオチド(vapreotide)、ベルテポルフィン、ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、ビンデシン、ビネピジン(vinepidine)、ビングリシネート(vinglycinate)、ビンロイロシン(vinleurosine)、ビノレルビン、ビンロシジン(vinrosidine)、ビンゾリジン(vinzolidine)、ボロゾール(vorozole)、ゼニプラチン(zeniplatin)、ジノスタチン、ゾレドロネート(zoledronate)およびゾルビシンが挙げられる。
【0089】
TIC10を含む薬学的組成物と1つ以上の追加の抗癌剤(例えば、1つ以上の有糸分裂抑制剤および/または1つ以上の抗血管新生剤)との併用処置の相乗効果が、予想外にも、本明細書中に記載されるように見出されている。
【0090】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは癌を有するリスクがある被験体を処置する方法は、治療有効量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに有糸分裂抑制剤の投与を包含する。
【0091】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは癌を有するリスクがある被験体を処置する方法は、治療有効量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびにタキサン有糸分裂抑制剤(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセルであるがこれらに限定されない)の投与を包含する。
【0092】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは癌を有するリスクがある被験体を処置する方法は、治療有効量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに抗血管新生剤の投与を包含する。
【0093】
本発明の態様によると、癌を有するかまたは癌を有するリスクがある被験体を処置する方法は、治療有効量のTIC10、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブであるがこれに限定されない)の投与を包含する。
【0094】
本発明の組成物特定の態様において、投与される補助抗癌剤の量は、治療有効量の構造(I)、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグの投与なしで投与される場合に治療効果を達成するために必要な補助抗癌剤の量より少ない。したがって、本発明の組成物の特定の態様において、その組成物の単位用量における補助抗癌剤の量は、治療有効量の構造(I)、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグなしで投与される場合に治療効果を達成するために必要な補助抗癌剤の量より少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%または少なくとも90%少ない。
【0095】
本発明の態様によると、TRAILは、TIC10の投与に加えて、1つ以上のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤(例えば、Nebbioso,A.ら、2005,Nat Med 11,77-84に記載されているボリノスタット(vorinostat));1つ以上のTRAILアゴニスト抗体(例えば、レクサツムマブ(lexatumumab)およびマパツムマブ(mapatumumab));および/または組換えTRAIL(例えば、Abdulghani,J.ら、2010,Exp.Opin.Ther.Targets 14:1091-1108に記載されているようなアデノウイルスTRAIL)の投与などによる方法または組成物によって誘導され得るかまたは提供され得る。
【0096】
必要に応じて、癌を有するかまたは癌を有するリスクがある被験体を処置する方法は、さらに、補助抗癌処置を含む。補助抗癌処置は、被験体または被験体の身体の患部の放射線照射処置であり得る。
【0097】
本発明の薬学的組成物の投与によって被験体によって誘導されるTRAIL発現は、その被験体から得られたサンプル(例えば、その被験体から得られた血液サンプル)において検出可能である。
【0098】
本発明の態様は、TIC10の単回投与後の3~4日間にわたって、分泌されたTRAILの血清レベルが持続する、正常組織および腫瘍組織によるTRAIL遺伝子のアップレギュレーションを含む。通常、TRAILタンパク質の血清半減期は、20~30分である。
【0099】
TIC10は、387.21という質量計算値を有し、血液脳関門を越える。TIC10の投与によって、中枢神経系の細胞(例証的には、脳および脊髄のグリア細胞およびニューロンを含む)においてTRAILの誘導が可能になる。さらに、血液脳関門を越えるTIC10の薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物またはプロドラッグの投与によって、中枢神経系の細胞においてTRAILの誘導が可能になる。
【0100】
本発明の態様によると、中枢神経系(CNS)の癌を有するかまたは有するリスクがある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、CNSへの直接的な投与以外の投与経路による、薬学的に有効な量の:
【0101】
【化8】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアの投与を包含する。
【0102】
本発明の態様によると、原発性CNS癌および非CNS癌のCNS転移(本明細書中で脳腫瘍とも呼ばれる)が処置される。本発明の態様に従って処置される原発性CNS癌としては、グリオーマ、髄膜腫、下垂体腺腫および神経鞘腫瘍が挙げられるがこれらに限定されない。多形神経膠芽腫は、本発明の態様に従って処置される原発性CNS癌である。乏突起膠腫は、本発明の態様に従って処置される原発性CNS癌である。
【0103】
本発明の方法は、経口、直腸、鼻、肺、硬膜外、眼球、耳、動脈内、心臓内、脳室内、皮内、静脈内、筋肉内、腹腔内、骨内、髄腔内、膀胱内、皮下、局所的、経皮的および経粘膜的(例えば、舌下、頬側、膣および吸入)の投与経路を含むがこれらに限定されない投与経路による本発明の薬学的組成物の投与を包含する。
【0104】
本発明の態様によると、処置の必要のある被験体を処置する方法が提供され、その方法は、経口投与用に製剤化された薬学的に有効な量の:
【0105】
【化9】
、その薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグの経口投与を包含する。
【0106】
本発明の薬学的組成物は、被験体への投与に適した任意の剤形(例証的には、固体、半固体および液体の剤形(例えば、錠剤、カプセル、散剤、顆粒剤、坐剤、丸剤、溶液、懸濁液、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ペースト、スプレーおよびエアロゾル)を含む)であり得る。リポソームおよびエマルジョンは、医薬品、特に疎水性医薬品を送達するために使用され得る周知のタイプの薬学的製剤である。本発明の薬学的組成物は、通常、薬学的に許容され得るキャリア(例えば、賦形剤、希釈剤および/またはビヒクル)を含む。組成物の遅延放出製剤および遅延放出システム(例えば、固体疎水性ポリマーの半透性マトリックス)が使用され得る。
【0107】
本発明の組成物の薬学的製剤は、薬学的に許容され得るキャリアを含み得る。用語「薬学的に許容され得るキャリア」とは、被験体に対して過度の毒性または刺激なくその被験体において使用するのに適しており、薬学的組成物中に含まれている他の成分と適合性である、キャリアのことを指す。
【0108】
薬学的に許容され得るキャリア、薬学的組成物および様々な剤形を調製するための方法、ならびに投与の様式は、例えば、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,eds.H.A.Liebermanら、New York:Marcel Dekker,Inc.,1989;およびL.V.Allen,Jr.ら、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,8th Ed.,Philadelphia,PA:Lippincott,Williams & Wilkins,2004;A.R.Gennaro,Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott Williams & Wilkins,21st ed.,2005、特に、chapter 89;およびJ.G.Hardmanら、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw-Hill Professional,10th ed.,2001に詳述されているように当該分野で周知である。
【0109】
本発明の態様に係る薬学的組成物は、経口投与用に製剤化される。
【0110】
投与用の固体の剤形または投与前に液体で懸濁するための固体の剤形としては、例証的には、カプセル、錠剤、散剤および顆粒剤が挙げられる。そのような固体の剤形において、1つ以上の活性物質は、少なくとも1つのキャリア(例証的には、緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウムまたはアルカリ金属リン酸塩(例証的には、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびリン酸カルシウムを含む));充填剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸);結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート(alignates)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシア);吸湿剤(例えば、グリセロール);崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、植物デンプン(例えば、ジャガイモまたはタピオカデンプン)、アルギン酸、ある特定の複合珪酸塩および炭酸ナトリウム);溶解遅延剤(例えば、パラフィン);吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物);湿潤剤(例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロールおよびグリコール);吸着剤(例えば、カオリンおよびベントナイト);滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコールまたはラウリル硫酸ナトリウム);保存剤(例えば、抗菌剤および抗真菌剤(例えば、ソルビン酸、ゲンタマイシンおよびフェノールを含む));および安定剤(例えば、スクロース、EDTA、EGTAおよび酸化防止剤)を含む)と混和される。
【0111】
固体の剤形は、必要に応じて、腸溶コーティングなどのコーティングを含む。腸溶コーティングは、代表的には、ポリマー材料である。好ましい腸溶コーティング材料は、生体内分解性、漸進的な加水分解性および/または漸進的な水溶性のポリマーという特徴を有する。固体の製剤に適用されるコーティング材料の量は、一般に、摂取と薬物放出との間の時間間隔に影響する。コーティング全体が、胃酸に関連する3未満のpHの胃腸液に溶解しないが小腸の環境におけるpH3超では溶解するような厚さを有するコーティングが適用される。pH依存性の溶解性プロファイルを示す任意のアニオン性ポリマーは、下部消化管に活性物質を送達するために本発明の実施において腸溶コーティングとして容易に使用されることが予想される。特定の腸溶コーティング材料の選択は、特性(例えば、胃での崩壊に対する抵抗性;胃液に対する不透過性および胃に存在する間の活性物質の拡散;標的の腸部位において放散させる能力;保管中の物理的および化学安定性;無毒性;ならびに適用の容易さ)に左右される。
【0112】
好適な腸溶コーティング材料としては、例証的には、セルロースポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルローススクシネートおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム);アクリル酸ポリマーおよびアクリル酸共重合体、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アンモニウムメチルアクリレート、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチルおよび/またはエチルから形成されるもの;ビニルポリマーおよびビニル共重合体(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセテートフタレート、酢酸ビニルクロトン酸共重合体およびエチレン-酢酸ビニル共重合体);シェラック;ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。特定の腸溶コーティング材料としては、例えば、米国特許第6,136,345号に記載されているアクリル酸ポリマーおよびアクリル酸共重合体が挙げられる。
【0113】
腸溶コーティングは、必要に応じて、胃液が固体の剤形の中に侵入することを可能にする細孔および亀裂の形成を防止する可塑剤を含む。好適な可塑剤としては、例証的には、クエン酸トリエチル(Citroflex2)、トリアセチン(グリセリルトリアセテート)、クエン酸アセチルトリエチル(Citroflec A2)、Carbowax400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコールおよびフタル酸ジブチルが挙げられる。特に、アニオン性カルボキシアクリルポリマーから構成されるコーティングは、代表的には、およそ10重量%~25重量%の可塑剤、特に、フタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチルおよびトリアセチンを含む。コーティングは、コーティング材料を可溶化するためまたは分散するために、ならびにコーティング性能およびコーティングされた生成物を改善するために、他のコーティング賦形剤(例えば、粘着性低下剤(detackifier)、消泡剤、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)および安定剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、酸または塩基))も含み得る。
【0114】
経口投与用の液体の剤形は、エマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤またはエリキシル剤として製剤化される、1つ以上の活性物質および薬学的に許容され得るキャリアを含む。本発明の組成物の液体の剤形は、着色剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香味料または芳香剤を含み得る。
【0115】
例えば、非経口投与用の組成物は、注射可能な液体として製剤化され得る。好適な水性および非水のキャリアの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなど)、それらの好適な混合物;オリーブ油などの植物油;およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液の場合は望ましい粒径を維持することによって、および/またはラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性物質を使用することによって、維持され得る。必要に応じて安定剤(例えば、スクロース、EDTA、EGTAおよび酸化防止剤)が含められる。
【0116】
局所的投与の場合、組成物は、局所的効果などのための皮膚への投与のためにおよび/または経皮的送達用の「パッチ」製剤として製剤化され得る。局所的投与に適した薬学的製剤としては、例えば、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ペースト、スプレーおよびパウダーが挙げられる。軟膏、ローション、クリーム、ゲルおよびペーストは、1つ以上の活性物質に加えて、基剤(例えば、吸収基剤、水で除去可能な基剤、水溶性基剤または油性基剤)および賦形剤(例えば、増粘剤、ゲル化剤、着色剤、安定剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香味料または芳香剤)を含み得る。
【0117】
経皮的製剤は、経皮吸収促進剤(例えば、アセトン、アゾン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エタノール、オレイン酸、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびラウリル硫酸ナトリウム)を含み得る。イオン導入(Ionotophoresis)および/またはソノフォレーシスを使用することにより、経皮的送達を促進することができる。
【0118】
1つ以上の活性物質の局所的投与用の粉末およびスプレーは、賦形剤(例えば、タルク、ラクトースおよび1種以上のケイ酸)を含み得る。スプレーは、薬学的噴霧剤(例えば、フッ素化炭化水素噴霧剤、二酸化炭素または好適な気体)を含み得る。あるいは、スプレーは、噴霧剤を必要としないポンプ方式の噴霧デバイスから送達され得る。噴霧デバイスは、例えば、送達量を制御するためのバルブを使用して、その中に含まれている定量の組成物を送達する。
【0119】
1つ以上の活性物質の眼科用(Opthalmic)製剤は、保存剤、緩衝剤および増粘剤などの成分を含み得る。
【0120】
本発明の薬学的組成物において薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤として有用な好適な表面活性剤としては、優良な乳化、分散および/または湿潤特性を有する非イオン性、カチオン性および/またはアニオン性界面活性物質が挙げられる。好適なアニオン性界面活性物質としては、水溶性のセッケンと水溶性の合成表面活性剤の両方が挙げられる。好適なセッケンは、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、高級脂肪酸(C10~C22)の非置換または置換アンモニウム塩、例えば、オレイン酸もしくはステアリン酸、またはやし油もしくはタロー油から入手可能な天然の脂肪酸混合物のナトリウム塩もしくはカリウム塩である。合成界面活性物質には、ポリアクリル酸のナトリウム塩またはカルシウム塩;脂肪スルホネートおよびスルフェート;スルホン酸化ベンズイミダゾール誘導体およびアルキルアリールスルホネートが含まれる。脂肪スルホネートおよびスルフェートは、通常、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、非置換アンモニウム塩、または8~22個の炭素原子を有するアルキルもしくはアシルラジカルで置換されたアンモニウム塩、例えば、リグノスルホン酸もしくはドデシルスルホン酸のナトリウム塩もしくはカルシウム塩、または天然の脂肪酸から得られる脂肪アルコールスルフェートの混合物、硫酸エステルもしくはスルホン酸エステルのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)および脂肪アルコール/エチレンオキシド付加物のスルホン酸の形態である。好適なスルホン酸化ベンズイミダゾール誘導体は、好ましくは、8~22個の炭素原子を含む。アルキルアリールスルホネートの例は、ドデシルベンゼンスルホン酸またはジブチル-ナフタレンスルホン酸またはナフタレン-スルホン酸/ホルムアルデヒド縮合物のナトリウム塩、カルシウム塩またはアルカノールアミン塩である。対応するホスフェート、例えば、リン酸エステルの塩、ならびにp-ノニルフェノールとエチレンおよび/もしくはプロピレンオキシドとの付加物またはリン脂質も好適である。この目的に適した好適なリン脂質は、天然の(動物または植物細胞を起源とする)リン脂質またはケファリンもしくはレシチンタイプの合成のリン脂質(例えば、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセリン、リゾレシチン、カルジオリピン、ジオクタニルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジル(dipalmitoylphoshatidyl)-コリンおよびそれらの混合物)である。
【0121】
本発明の薬学的組成物において薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤として有用な好適な非イオン性界面活性物質としては、アルキルフェノール、脂肪アルコール、脂肪酸、分子内に少なくとも12個の炭素原子を含む脂肪族アミンまたはアミド、アルキルアレーンスルホネートおよびジアルキルスルホスクシネートのポリエトキシ化およびポリプロポキシ化された誘導体(例えば、脂肪族および脂環式アルコール、飽和および不飽和脂肪酸ならびにアルキルフェノールのポリグリコールエーテル誘導体)(前記誘導体は、好ましくは、(脂肪族)炭化水素部分に3~10個のグリコールエーテル基および8~20個の炭素原子ならびにアルキルフェノールのアルキル部分に6~18個の炭素原子を含む)が挙げられる。さらに好適な非イオン性界面活性物質は、ポリエチレンオキシドと、ポリプロピレン(poylypropylene)グリコール、アルキル鎖に1~10個の炭素原子を含むエチレンジアミノポリプロピレングリコールとの水溶性付加物(それらの付加物は、20~250個のエチレングリコールエーテル基および/または10~100個のプロピレングリコールエーテル基を含む)である。そのような化合物は、通常、プロピレングリコール単位あたり1~5個のエチレングリコール単位を含む。非イオン性界面活性物質の代表的な例は、ノニルフェノール-ポリエトキシエタノール、ひまし油ポリグリコールエーテル類、ポリプロピレン/ポリエチレンオキシド付加物、トリブチルフェノキシポリエトキシエタノール、ポリエチレングリコールおよびオクチルフェノキシポリエトキシエタノールである。ポリエチレンソルビタンの脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート)、グリセロール、ソルビタン、スクロースおよびペンタエリトリトールもまた、好適な非イオン性界面活性物質である。
【0122】
本発明の薬学的組成物において薬学的に許容され得るキャリアまたは賦形剤として有用な好適なカチオン性界面活性物質としては、第四アンモニウム塩、好ましくは、必要に応じてハロ、フェニル、置換フェニルまたはヒドロキシで置換される4個の炭化水素ラジカルを有するハロゲン化物;例えば、N-置換基として少なくとも1つのC8-C22アルキルラジカル(例えば、セチル、ラウリル、パルミチル、ミリスチル、オレイルなど)、およびさらなる置換基として非置換またはハロゲン化低級アルキル、ベンジルおよび/またはヒドロキシ-低級アルキルラジカルを含む第四アンモニウム塩が挙げられる。
【0123】
この目的に適した表面活性剤のより詳細な説明は、例えば、“McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers Annual”(MC Publishing Crop.,Ridgewood,New Jersey,1981)、“Tensid-Taschenbuch”,2nd ed.(Hanser Verlag,Vienna,1981)および“Encyclopaedia of Surfactants”(Chemical Publishing Co.,New York,1981)に見られる場合がある。
【0124】
構造形成剤、増粘剤またはゲル形成剤が、本発明の薬学的組成物および組み合わせ調製物に含められ得る。好適なそのような物質は、特に、高度に分散したケイ酸(例えば、商品名Aerosilとして商業的に入手可能な製品);ベントナイト;モンモリロナイトのテトラアルキルアンモニウム塩(例えば、商品名Bentoneとして商業的に入手可能な製品)(それらのアルキル基の各々は、1~20個の炭素原子を含み得る);セトステアリルアルコールおよび加工ひまし油生成物(例えば、商品名Antisettleとして商業的に入手可能な製品)である。
【0125】
特定の態様において、薬学的に許容され得るキャリアは、粒状のキャリア(例えば、リポソーム、ミセル、単層または多層(mulitlamellar)ベシクルを含む脂質粒子;ポリマー粒子(例えば、ヒドロゲル粒子、ポリグリコール酸粒子またはポリ乳酸粒子);無機粒子(例えば、米国特許第5,648,097号に記載されているような、例えば、リン酸カルシウム粒子);および粒状の無機/有機キャリア(例えば、米国特許第6,630,486号に記載されているようなもの))である。
【0126】
粒状の薬学的に許容され得るキャリアは、脂質粒子;ポリマー粒子;無機粒子;および無機/有機粒子の中から選択され得る。粒子タイプの混合物もまた、粒状の薬学的に許容され得るキャリアとして含められ得る。
【0127】
粒状のキャリアは、代表的には、粒子が約1nm~10ミクロンの範囲の平均粒径を有するように製剤化される。特定の態様において、粒状のキャリアは、粒子が約1nm~100nmの範囲の平均粒径を有するように製剤化される。
【0128】
本発明の薬学的組成物の投与量は、因子(例えば、投与経路;その組成物が投与される被験体の齢、健康状態、性別および体重;もしあれば被験体の症状の性質および程度、ならびに所望の効果であるがこれらに限定されない)に基づいて変動し得る。投与量は、処置が短期間であるか継続的であるかに応じて調整され得る。当業者は、医療行為に特有のこれらおよび他の考慮すべき点に照らして薬学的に有効な量を決定できる。
【0129】
通常、本発明の薬学的組成物の1日投与量は、被験体の体重1キログラムあたり約0.001~100ミリグラムの範囲であることが企図される。1日量は、所望の効果を得るために2以上の分割量として投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、所望の効果を得るために徐放用にも製剤化され得る。
【0130】
剤形を調製するための通例の成分、機器およびプロセスに関する詳細な情報は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,eds.H.A.Liebermanら、New York:Marcel Dekker,Inc.,1989;およびL.V.Allen,Jr.ら、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,8th Ed.,Philadelphia,PA:Lippincott,Williams & Wilkins,2004;A.R.Gennaro,Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott Williams & Wilkins,21st ed,,2005、特にchapter89;およびJ.G.Hardmanら、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw-Hill Professional,10th ed.,2001に見られる。
【0131】
本発明の態様に係る市販用パッケージは、本明細書中に記載される薬学的組成物を備える。本発明の態様によると、その薬学的組成物を投与するための指示書が含められる。
【0132】
本発明の態様によると、市販用パッケージは、
【0133】
【化10】
、その薬学的に許容され得る薬学的に許容され得る誘導体、塩、エステル、アミド、水和物、溶媒和物および/またはプロドラッグ;ならびに薬学的に許容され得るキャリアを備える。
【0134】
1つ以上の補助的な構成要素(例えば、緩衝剤または希釈剤)が、必要に応じて本発明の市販用パッケージに含められる。
【0135】
本発明の組成物および方法の態様は、以下の実施例において例証される。これらの実施例は、例証目的のために提供されるものであり、本発明の組成物および方法の範囲に対して限定と見なされない。
【実施例】
【0136】
試薬および細胞ベースアッセイ
Bert Vogelstein(Johns Hopkins University,Baltimore,MA)から入手したHCT116 Bax-/-およびHCT116 p53-/-細胞ならびにAkiva Mintz(Wake Forrest
University,Winston-Salem,NC)から入手したGBM細胞株を除くすべての細胞株をATCCから入手した。TRAIL shRNAまたはベクターを使用してMDA-MB-231細胞を用いて、およびSigma-Aldrich(St.Louis,MO)から購入したFoxo3a shRNAまたはベクターを使用してHCT116を用いて、レンチウイルス感染を行った。デスドメインを含まないDR5フラグメントをコードするcDNAを使用して、DR5(1~298)融合タンパク質を発現するpEGFP-N1ベクターにヒトDR5遺伝子のアミノ酸1~298を挿入することによってH460 DR5ΔDD-EGFP細胞を構築した。その融合構築物を、Lipofectamine2000(Invitrogen)を用いてH460細胞にトランスフェクトし、G418を用いて選択した。蛍光(florescence)顕微鏡観察およびウエスタンブロット解析によって、陽性クローンを確かめた。NCI多様性セットIIを使用する生物発光ハイスループットスクリーニングを、ヒトTRAIL遺伝子の転写開始の上流のTRAILプロモーターの最初の504塩基対の転写調節下でホタルルシフェラーゼ構築物を発現するように安定的にコトランスフェクトしたHCT116 Bax-/-細胞において行った。20nM、200nM、500nMおよび1μMという作用濃度において化合物を試験し、処置の12、24、36および48時間後に転写活性の生物発光評価を行った。このスクリーニングの方法の詳細は、Wangら、2006,PNAS 103:11003-11008)に記載されている。TIC10(NSC350625)を、NCI DTPから入手し、DMSOにおいて20mMで再構成し、等分し、-20℃で保管した。A6730およびU0126モノエタノレートをSigmaから入手した。精製された組換えTRAILを、Kimら、2004,J.of Biol.Chem.279:40044-40052に記載されているように作製した。RIK-2抗体(Santa-Cruz Biotechnology)を1μg/mLで使用し、zVAD-fmk(Promega)を20μMで使用した。
【0137】
ヒト患者からの1次検体
ヒト患者からのすべての1次検体は、本明細書中に記載される実施例において使用するために、摘出の直後に受け取り、手作業にてコンプリートDMEM中で消化し、100μmナイロンメッシュで濾過し、コンプリートDMEMにおいて2×105細胞/mLでプレーティングした。
【0138】
マウス
皮下異種移植の場合、4~6週齢の雌の無胸腺nu/nuマウス(Charles River Laboratories)の各背面側腹部に1×106個(T98Gの場合2.5×106個)の表示の細胞株を1:1 Matrigel(BD):PBSの200μLの懸濁液として接種した。すべての腹腔内および静脈内注射を、200μLという総体積において行った。TIC10の経口製剤を、経口胃管栄養法を用いて投与し、20%Cremophor EL(登録商標)(Sigma)、10%DMSOおよび70%PBSを含む200μLの懸濁液として投与した。表示の時点においてデジタルノギスを使用して腫瘍をモニターした。すべての皮下腫瘍が、注射後1~4週間、処置開始前に約125mm3の体積に達するまで確立された。腫瘍組織量の軽減を、腫瘍消失後3週間にわたってモニターし、安楽死後に目視検査によって確認した。
【0139】
盲腸内移植は、Cespedes,M.V.ら、Am J Pathol,2007,170(3):p.1077-1085に記載されているように行った。
【0140】
頭蓋内異種移植の場合、麻酔された無胸腺ヌードマウスに、血清および抗生物質を含まないRPMIの25μLの懸濁液として2×105個のSF767細胞を移植した。注入部位は、頭蓋の正中に対して1mm側方かつ冠状縫合に対して1mm前方に作られた穿頭孔だった。Hamilton注射器を用いて5分間にわたって徐々に注入物を投与し、骨ろうを使用して穿頭孔を塞いだ。移植の2週間後に生物発光イメージングにより腫瘍の生着を評価した。Wangら、2003,PNAS 100:15095-15100に記載されているようにIVISイメージングシステムにおいて腫瘍の生物発光イメージングを行った。
【0141】
マウスの近赤外イメージングを、製造者のプロトコルに従ってAngioSense(登録商標)680(VisEn Medical,Woburn,MA)の尾静脈注入後にPearl Impulseイメージングシステム(LI-COR)において行った。6週齢のΕμ-mycマウスを、The Jackson Laboratory(B6.Cg-Tg(IghMyc)22Bri/J)から入手した。
【0142】
CBC/ディファレンシャルおよび血清化学アッセイのために、左心室の末端心臓穿刺によって、麻酔されたマウスから1mLの血液を回収した。血清化学のために、500μLをマイクロチューブに入れ、室温において30分間凝固させた後、遠心分離した。血清を取り出し、再度遠心分離することによって、任意のさらなる血餅を除去し、血清を解析にまわした。CBC/ディファレンシャルのために、500μLの血液をEDTAチューブに回収し、解析した。
【0143】
統計解析。対比較の場合、Excel(Microsoft)を使用してスチューデントの両側t検定によってデータを解析した。統計パッケージRと連動するウェブベースのスクリプトを使用して、ログランク統計解析を行った。
【0144】
RT-qPCR
製造者の指示書に従うことによってRNeasy Minikit(Qiagen)を使用して、全RNAを抽出した。SuperScript II(Invitrogen)を1μgのRNAおよびoligodTとともに使用して、cDNAを生成した。プライマーは、TRAIL順方向(CAGAGGAAGAAGCAACACATT、配列番号1)、TRAIL逆方向(GGTTGATGATTCCCAGGAGTTTATTTTG、配列番号2)、GAPDH順方向(CCACATCGCTCAGACACCAT、配列番号3)、GAPDH逆方向(GGCAACAATATCCACTTTACCAGAGT、配列番号4)だった。Applied Biosystems 7900HT Fast Real-time Detection Systemを用いてPCR増幅を行った。サンプルを10ng/μlに標準化し、次いで、1サンプルあたり20ngのcDNAを、SYBR Green Master Mix(Qiagen Corp,USA)を使用するリアルタイムPCR用の鋳型として使用した。サンプルを、同一条件下で使用したGAPDHに対して正規化した。定量は、正規化用の内因性コントロールとしてのGAPDHと、Livakら、2001,Methods.2001 Dec;25(4):402-8に記載されている閾値を交差させる2ΔΔCt法を用いた。10μlの反応体積を用いて、7900HT機器(Applied Biosystems)において384ウェル光学プレートにおいて反応を行った。データ解析は、ABI PRISM 7900 Sequence Detection System2.2ソフトウェアを使用した。ゲノムDNAの混入の可能性を排除するために、各遺伝子特異的プライマーセットに対して、cDNA鋳型を含まないおよびRTを含まないコントロールサンプルを用いたコントロールPCR反応も行った。各PCR反応の四つ組を行い、得られたデータを平均した。
【0145】
免疫蛍光法
表示の細胞株を、72時間にわたって、表示の作用濃度のTIC10の非存在下の存在下の6ウェルプレートにおいて対数期の成長において増殖させた。細胞を固定し、Cytofix/Cytoperm溶液(BD Biosciences,San Jose,CA)溶液を使用して透過処理した。細胞を、Perm/Wash溶液(BD Biosciences)中において、1:100で抗TRAIL(ab2435,Abcam,Cambridge,MA)とともに、または1:250で抗活性カスパーゼ-3(559565,BD Pharmingen,San Diego,CA)とともに、光の非存在下において1時間インキュベートした。抗ウサギAlexa Fluor488を、Perm/Wash溶液中にて20分間、室温において1:200でインキュベートし、PBSですすいだ。Hoechst33342(Invitrogen)を、製造者のプロトコルに従って核対比染色として使用した。iVisionイメージングシステム(Biovision)を使用してAxiovert倒立顕微鏡(Carl Zeiss MicroImaging)において蛍光イメージングを行った。
【0146】
フローサイトメトリーおよび細胞死アッセイ
すべてのフローサイトメトリー解析のために、浮遊細胞および接着細胞をCoulter-Beckman Elite Epics血球計算器において解析した。表面TRAIL実験のために、接着細胞を、短時間のトリプシン処理によって回収し、PBS中の4%パラホルムアルデヒドにおいて20分間固定し、抗TRAIL抗体とともに2時間(Abcam)インキュベートし、洗浄し、抗ウサギAlexafluor488(Invitrogen)とともに30分間インキュベートし、解析した。細胞に対して前方散乱および側方散乱のゲーティングを行うことにより、残骸および死細胞を解析から除外した。表面TRAILデータは、別段示されない限り、コントロールサンプルに対する蛍光強度の中央値として表される。Sub-G1および細胞周期プロファイル実験のために、すべての細胞をペレットにし、エタノール固定した後、RNAseの存在下においてヨウ化プロピジウム(Sigma)で染色した。CellTiter-Glo(登録商標)(Promega)を製造者のプロトコルに従って使用して、96ウェル黒壁透明底プレートにおいて、細胞生死判別アッセイを行った。これらのアッセイのイメージングおよび定量をIVISイメージングシステム(Xenogen)において行った。
【0147】
コロニー形成アッセイ
表示の細胞株を、1ウェルあたり500個の細胞でプレーティングし、翌日、接着後に、新鮮完全培地で処理した。処理の3日後、その培地を、薬物を含まない培地に置き換え、3日ごとに1回新鮮培地を与えて、細胞を10日間にわたって増殖させた。その10日間の終わりに、定量のために、細胞をPBSで洗浄し、メタノールで固定し、クマシーブルーで染色し、すすぎ、乾燥した。
【0148】
組織解析。マウスを、表示の時点において人道的に屠殺し、切除した正常組織または腫瘍を4%パラホルムアルデヒド/PBS中で4℃において一晩固定した。血漿サンプルが望まれる場合、麻酔下の末端心臓穿刺によって500μLの血液をEDTA-Vacutainerチューブ(BD)に回収した。微量遠心管以外は同様の様式で血清サンプルを回収した後、室温で30分間インキュベートして凝固させた。次いで、5分間の遠心分離後に血清を取りだした。パラフィン包埋されたブロック、連続切片スライドならびにヘマトキシリンおよびエオシン染色を、標準的な手順に従って調製した。ApopTag(登録商標)Peroxidase In Situ Apoptosis Detection Kit(Millipore)を使用して、TUNEL染色を行った。IHC解析のために、スライドをキシレン中で脱ろうし、エタノールを徐々に減少させて水和させた。10mMクエン酸(pH6.0)中で6分間煮沸することによって、抗原回復を行った。ストレプトアビジンおよびビオチンブロッキング溶液ならびにヤギ血清(Vector Laboratories)を用いて、サンプルをブロッキングした。1次抗体を、湿度チャンバー内において4℃で一晩インキュベートした。ビオチン化2次抗体とのインキュベーションおよびDABの沈着を製造者のプロトコルに従って行った(Vector Laboratories DAB Substrate Kit for Peroxidase)。サンプルを、ヘマトキシリン(DAKO)で6分間対比染色し、dH2O中で5分間すすぎ、PBSですすぎ、脱水し、カバーガラスで密封した。QCaptureソフトウェア(QImaging)を使用してAxioskop顕微鏡において像を記録した。
【0149】
共培養
HCT116 p53-/-およびHFF細胞の共培養を、コンプリートDMEMおよびMcCoy’s 5A培地の1:1混合物において行った。蛍光イメージのために、その2種類の細胞を、Fluorescent Cell Linkers Kits for gene cell membrane labeling(Sigma)を製造者のプロトコルに従って使用して別々に標識した。免疫蛍光法の項に記載したようにHoechst33342で細胞を対比染色した。細胞死のフローサイトメトリー解析のために、細胞の2つの集団を、光散乱の差異によって判別し、細胞死アッセイの項のsub-G1解析について記載したように解析した。
【0150】
ELISA
TRAILに対するELISAを、Quantikine(登録商標)TRAIL/TNFSF10キットを製造者のプロトコルに従って使用して行った(DTRL00,R&D systems,Minneapolis,MN)。540nmにおける吸光度を用いて、製造者が提案するように光学的補正を行った。DTX880プレートリーダー(Beckman Coulter)を用いて吸光度を測定した。
【0151】
TIC10の薬物動態解析
TIC10の吸光度プロファイルを、Gene Spec III分光計(Hitachi Solutions American,South San Francisco,CA)において測定した。Eclipse XDB-C18カラム(Agilent)および100μL注入ループを使用するAgilent1200シリーズシステム(Agilent,Santa Clara,CA)での239nmにおける吸光度検出によって、HPLC解析を行った。1mL/分におけるアイソクラティック溶出を、dH2O中の.1%トリフルオロ酢酸において行った。アセトニトリル(ACN)グラジエントを、溶出のために、0~5分では15~20%ACN、5~12分では20~23%、12~18分では25%として行った。無関係な実験の無胸腺ヌードマウスから回収された血漿にある濃度のTIC10を添加することによって、検量線を作成した。すべての血漿サンプルについて、左心室の末端心臓穿刺によって血液を得て、EDTAチューブ(BD)に回収した。サンプルを500gで10分間遠心分離した。血漿を、30μLの過塩素酸を100μLのサンプルに加えることによって脱タンパクし、15秒間ボルテックスし、2分間遠心分離し、直ちに上清をHPLCに注入した。AUCを、8.1分の保持時間を有する内部血清ピークに対して正規化した。時間に対するAUCデータを、式AUC=Ae-αt+Be-βt(ここで、t=時間であり、AおよびBは、2つの相(分布および排泄)の開始時の外挿された濃度である)を使用する中心コンパートメントからの1次排泄を用いる2コンパートメントオープンモデルに適合させた。半減期をt1/2α=.693/αおよびt1/2β=.693/βとして計算した。計算のために使用される他の式としては、CL=用量/AUC0-∞およびVd=用量/(AUC0-∞×β)が挙げられる。
【0152】
遺伝子発現解析
HCT116 p53-/-細胞を対数期において増殖させ、DMSOまたはTIC10(10μM)で処理した。48時間後、RNeasy Mini Kit(Qiagen)を使用してRNAを単離した。Illumina HT-12 Beadchip(Illumina)を使用してマイクロアレイ解析を行った。RNAの質および濃度を、RNA Nano LabChip(登録商標)(Agilent)とともにAgilent 2100 Bioanalyzerを使用して評価した。製造者の指示書に従ってTotalPrepTMAmplification(Ambion)によって500ngのRNAからcRNAを合成した。T7オリゴ(dT)をプライマーとする逆転写を用いて、第1鎖(first strand)cDNAを生成した。次いで、cDNAにおいて第2鎖合成ならびにDNAポリメラーゼおよびRNase HによるRNA分解を行った後、濾過精製を行った。インビトロ転写(IVT)を使用して、複数コピー数のビオチン化cRNAを生成した。標識されたcRNAを、濾過を使用して精製し、NanoDropによって定量し、合計750ng/サンプルとなるように体積を調整した。サンプルを断片化し、変性させた後、58℃で18時間ハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション後、ビーズチップを洗浄し、蛍光標識した。BeadArray Reader(Illumina)を用いてビーズチップをスキャンした。得られたスキャンデータをGenomeStudio1.0(Illumina)にインポートして、プロジェクトを作成した。結果をGeneSpring Gxll(Agilent Technologies)にエクスポートした。次いで、0.01未満の測定値を0.01に設定し、アレイを50番目のパーセンタイルに対して正規化し、個別の遺伝子をコントロールの中央値に対して正規化した。TIC10によって誘導される転写の変化のネットワーク解析のために、Ingenuity Pathway Analysisソフトウェア(Ingenuity Systems)を使用してデータセットを解析した。
【0153】
ウエスタンブロット解析
NuPAGE4-12%Bis-Trisを使用して、Wang,W.ら、PNAS 103,11003-11008,2006に記載されているようにウエスタンブロット解析を行い、Supersignal West Femto(Thermo Scientific)およびX線フィルムを使用して可視化した。細胞質溶解緩衝液(10mM HEPES、10mM KClおよび2mM MgCl2、1mM DTT)に続いて核溶解緩衝液(20mM HEPES、420mM NaCl、1.5mM MgCl2、250μM EDTA、25%グリセロール)を使用して、核および細胞質の抽出物を調製した。すべての溶解緩衝液について、新鮮なプロテアーゼ阻害剤(Roche)および1mMオルトバナジン酸ナトリウムを使用直前に加えた。
【0154】
クロマチン免疫沈降アッセイ
Nebbioso,A.ら、Nat Med,11(1),77-84,2005にTRAILプロモーターついて記載されているように、Foxo3aに対するChIPグレードの抗体(Abcam)または非特異的コントロールとして等濃度のウサギIgG(SouthernBiotech)を使用して、クロマチン免疫沈降(ChiP)アッセイを行った。
【0155】
TIC10はTRAIL遺伝子のp53非依存的転写誘導を引き起こす
TRAIL遺伝子プロモーターを使用するTRAIL抵抗性BaxヌルHCT116ヒト結腸癌細胞において行われた細胞ベースの生物発光レポータースクリーニングによって、小分子TIC10がTRAIL誘導化合物として得られた。
【0156】
TIC10は、Takimotoら、2000,Oncogene 19,1735-1743において特定されたp53DNA結合応答エレメントを除外するTRAILプロモーターの最初の504塩基対の調節制御下のルシフェラーゼレポーター構築物のTRAILプロモーター依存的転写活性を誘導した。
図1は、転写開始の上流のヒトTRAIL遺伝子プロモーターの最初の504塩基対の転写調節下のHCT116 Bax
-/-細胞におけるルシフェラーゼレポーターの活性を示しているグラフである(n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0157】
TIC10は、TRAILメッセンジャーRNAの用量依存的増加を引き起こした。
図2は、HCT116 p53
-/-細胞におけるTRAIL mRNAレベルのRT-qPCR解析を示しているグラフである(48時間、n=4)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。TIC10は、いくつかの癌細胞株の細胞表面に局在するTRAILタンパク質の用量依存的増加をp53非依存的様式で引き起こした。
図3は、癌細胞のパネルにおける、TIC10によって誘導された表面TRAILレベルを示しているグラフである(10μM、72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0158】
TIC10曝露によって、癌細胞の細胞表面上にTRAILが有意かつ持続的に存在するようになる。経時的解析から、TRAILが、遅発の事象として細胞表面に局在したが、培地からTIC10を除去した後でさえもこの誘導は時間的に持続することができることが見出された。
図4は、表示の条件および時点における、TIC10処置後のHCT116 p53
-/-細胞における表面TRAILレベルを示しているグラフである(n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
図5は、TIC10処置開始の72時間後における、フローサイトメトリーによるHCT116 p53
-/-TRAIL表面レベルを示しているグラフである(5μM、n=3)。細胞を、プレインキュベーションの表示の時間にわたって処理し、次いで、72時間後の解析までの残りの時間にわたって、薬物を含まない培地に交換した。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0159】
TIC10はTRAIL媒介性アポトーシスを誘導する
TIC10は、等用量において正常な線維芽細胞の細胞周期プロファイルを変更せずに、TRAIL感受性HCT116 p53
-/-細胞における細胞死を示唆するsub-G1のDNA含有量を誘導した。
図6は、TIC10で処理されたHCT116 p53
-/-およびHFF細胞の細胞周期プロファイルを示している(5μM、72時間、n=3)。
【0160】
TIC10は、正常な線維芽細胞を残しつつ、癌細胞株のクローン原性生存を減少させた。
図7は、TIC10で処理された癌細胞のコロニー形成アッセイの定量を示しているグラフである(10μM、72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。
図8は、終了時点においてHFF細胞を数えたこと以外は
図7におけるような類似の実験を示しているグラフである(n=3)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。
【0161】
TIC10は、p53非依存的かつBax依存的様式においてsub-G1含有量を誘導した。
図9は、72時間にわたるDMSO、TIC10(1、5または10μM)またはrhTRAIL(25ng/mL)による処理後の、HCT116 WT、p53
-/-およびBax
-/-細胞のsub-G1解析を示しているグラフである(n=3)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0162】
アポトーシス細胞死に一致して、5μM TIC10で72時間処理されたHCT116 p53
-/-細胞における免疫蛍光アッセイによって、および1μM、2.5μM、5μMまたは10μM TIC10で72時間処理されたHCT116 p53
-/-細胞におけるウエスタンブロット解析によって示されるように、TIC10は、活性なカスパーゼ-3のレベルを上昇させた。
図10は、ウエスタンブロット解析の結果を示している像である。TIC10によって誘導されるsub-G1含有量は、パンカスパーゼアポトーシス阻害剤zVAD-fmkと同時にインキュベートすることによって、有意に阻害された。
図11は、zVAD-fmkとともにプレインキュベートされたまたはzVAD-fmkなしでプレインキュベートされた、TIC10処理癌細胞のsub-G1解析を示しているグラフである(10μM、72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0163】
TIC10によって誘導されるアポトーシスは、shRNAによるTRAILの安定的なノックダウン後のTIC10誘導性細胞傷害性の阻害によって示されるように、TRAILによって特異的に媒介されるとみられる。
図12は、短ヘアピンRNAによってTRAILが安定的にノックダウンされたMDA-MB-231細胞のsub-G1解析を示しているグラフである(72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
図13は、TIC10処理細胞のフローサイトメトリー解析による、MDA-MB-231 shTRAILノックダウンの実証を示しているグラフである(5μM、72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0164】
TIC10によって誘導される腫瘍細胞死においてTRAILが必要であることに対する追加の証拠は、アポトーシス促進性のTRAILシグナル伝達を調節するDR5デスドメインの破壊後に観察された。
図14は、内因性のDR5、またはそのデスドメインがEGFPで置き換えられたDR5構築物の過剰発現を有するH460細胞におけるTIC10誘導性細胞死のsub-G1解析を示しているグラフである(10μM、72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0165】
遮断抗体を使用することによるTRAILの実験的隔離は、TIC10によって誘導される腫瘍細胞死においてTRAILが必要であることを示した。
図15は、TRAIL隔離抗体であるRIK-2の存在下または非存在下においてDMSO、TIC10(10μM)またはrhTRAIL(25ng/mL)で処理されたHCT116細胞のsub-G1解析を示しているグラフである(72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0166】
ヒト患者由来の摘出されたばかりの結腸腫瘍細胞におけるTIC10の活性を調べたところ、TIC10が、TRAILを誘導し、かつ5-FUとは異なる強力な細胞傷害作用を誘導することが見出された。
図16は、摘出されたばかりの結腸癌細胞を用いたときの、TIC10によって誘導された表面TRAILを示しているグラフである(10μM、72時間)。組織は、85歳の女性患者から摘出された粘液性腺癌だった。データは、蛍光強度の中央値として表されている。
図17は、DMSO、TIC10(.6、1.25、2.5、5、10、20μM)または5-FU(5μM)で処理された、
図16の初代結腸癌細胞の細胞生死判別アッセイの結果を示しているグラフである(n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。
【0167】
TIC10の細胞傷害活性は、TRAILとは異なり、熱的に安定である。
図18は、TIC10(5μM)またはrhTRAIL(25ng/mL)が、表示の温度における1時間のプレインキュベート後のHCT116細胞における細胞生存率を低下させることができることを示しているグラフである(72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。
【0168】
TIC10はインビボにおいて強力なTRAIL媒介性抗腫瘍剤である
TIC10は、両方を複数回投与として投与したとき、TRAILを用いたときに観察されるものに匹敵する程度にHCT116 p53
-/-異種移植片において腫瘍退縮を引き起こした。
図19は、灰色の垂直バーで示されているように0、3および6日目に投与された3回のTIC10(i.p.)、TRAIL(i.v.)またはビヒクル(i.p.)で処理されたHCT116 p53
-/-異種移植片を示しているグラフである(n=10)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05および
**P<.005。
【0169】
HCT116 WT)およびRKOヒト結腸癌異種移植片を有するマウスにおける単回投与実験は、TIC10の強力な抗腫瘍活性を裏付け、所与の条件下のRKO異種移植片におけるTRAILの優位性を明らかに証明した。
図20は、TIC10またはビヒクルの単回i.p.注射を受けたルシフェラーゼ感染HCT116 p53
-/-異種移植片の生物発光イメージングの結果を示しているグラフである(n=6)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05および
**P<.005。
【0170】
図21は、単回投与のTIC10(i.p.)、TRAIL(i.v.)またはビヒクル(i.p.、n=10)によるRKO異種移植片を示しているグラフである。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05および
**P<.005。
【0171】
TIC10は、TRAILの安定的なノックダウンによって有意に阻害される作用であるMDA-MB-231ヒト乳癌異種移植片の退縮を誘導した一方で、TRAILで処理された腫瘍は、進行した。
図22は、MDA-MB-231ベクターまたはshTRAIL異種移植片における、単回投与のTIC10(i.p.)、TRAIL(i.v.)またはビヒクル(DMSO、i.p.)での処理開始後9日目の腫瘍体積の箱ひげ図である(n=8)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05および
**P<.005。50mg/kgまたは100mg/kgのTIC10による処置の2日後における、MDA-MB-231ベクターおよびshTRAIL異種移植片からの腫瘍のTUNEL染色は、ベクターで処理されたがshTRAILで処理されていない細胞においてTUNEL染色の増加を示す。
【0172】
このことは、TIC10の抗腫瘍活性が、これらの条件下において単回投与として投与されたとき、TRAILのそれよりも優れており、腫瘍細胞が産生するTRAILによって少なくとも部分的に調節されることを直接証明する。DLD-1異種移植片では、TIC10は、処置の1週間後に腫瘍の停滞を誘導したが、TRAILで処理された腫瘍は、単回投与後に進行した。
図23は、0日目に表示の濃度での単回投与としてTRAIL(i.v.)、TIC10(i.p.)またはDMSO(i.p.)で処理されたDLD-1異種移植片の相対的な腫瘍体積を示しているグラフである(n=8)。
【0173】
腹腔内または経口送達による単回投与としてのTIC10は、SW480異種移植片の持続的な退縮も誘導したことから、好ましいバイオアベイラビリティが示唆される。
図24は、SW480異種移植片における、0日目に処置された30mg/kgでの単回投与のTIC10のi.p.投与と経口投与との比較を示しているグラフである(n=6)。
【0174】
HCT116異種移植片モデルにおける経口的に投与された単回投与のTIC10の用量設定によって、25mg/kgにおける持続的な抗腫瘍の有効性が明らかになった。
図25は、HCT116異種移植片において経口での単回投与として投与されたTIC10またはビヒクルを示しているグラフである(n=6)。エラーバーは、反復実験の標準偏差(s.d.)を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05および
**P<.005。
【0175】
体重または肝臓の組織学的検査に対して有害作用が無いことに加えて、以前の異種移植片においてこの治療用量より4倍高い用量で送達された複数回投与において明らかな毒性が無いことは、TIC10が広い治療濃度域(therapeutic window)を有することを示唆している。
図26は、単回投与のTIC10(100mg/kg、i.p.)で処置された無胸腺雌ヌードマウスの体重を示しているグラフである。
図27は、4週間にわたる1週間に1回の経口TIC10の投与(25mg/kg)による処置の第4週の終わりにおけるC57/B6雌マウスの体重を示しているグラフである。TIC10(100mg/kg、i.p.)による処置の3日後に回収された無胸腺雌ヌードマウス由来の肝臓のH&E染色による組織学的解析は、TIC10に明らかな毒性が無いことを示した。
【0176】
免疫適格性マウスが4週間にわたって毎週25mg/kgの経口TIC10に長期間曝露されても、表IAおよびIBに示されるように、血清化学マーカーのパネルにはいかなる変化も生じなかった。
【0177】
表IAおよびIBは、4週間にわたって毎週、ビヒクルまたはTIC10(25mg/kg)で処置されたC57/B6マウスの血清化学を示している。
【0178】
【表1】
免疫適格性の前臨床癌モデルにおいてTIC10の有効性を試験するために、リンパ腫を自然に発症するΕμ-Mycトランスジェニックマウスを使用した。9~12週齢において安全であると証明された上記と同じ経口投薬スケジュールを使用した。TIC10は、これらのマウスの生存期間を4週間、有意に延長した。
図28は、第9~12週の間に毎週、経口TIC10(25mg/kg)で処置されたΕμ-mycの全生存を示しているグラフである。P値は、ログランク検定によって決定された。相対的な腫瘍体積のプロットについては、腫瘍サイズは、処置開始日と定義される0日目の腫瘍サイズに対して表されている。14週齢におけるΕμ-mycおよびWT C57/B6の腋窩リンパ節のH&E染色による組織学的解析から、TIC10に明らかな毒性が無いことが示された。
【0179】
TIC10と化学療法剤との相乗的な組み合わせ
驚いたことに(Syrprisingly)、TIC10とタキサン類のパクリタキセルおよびドセタキセル(商品名Taxotere)との間のインビトロ相乗作用が観察される。
図29は、表示の条件においてパクリタキセルとともにTIC10で処理されたDLD-1細胞の細胞生存率を示しているグラフである(72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。
図30は、表示の条件においてパクリタキセルとともにTIC10で処理されたSW620細胞の細胞生存率を示しているグラフである(72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。
図31は、表示の条件においてタキソテールとともにTIC10で処理されたDLD-1細胞の細胞生存率を示しているグラフである(72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。
図32は、表示の条件においてタキソテールとともにTIC10で処理されたSW620細胞の細胞生存率を示しているグラフである(72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。
【0180】
TIC10とタキサンのパクリタキセルまたはドセタキセルのいずれかとの組み合わせが協力することにより、H460非小細胞肺癌異種移植において持続的な治癒がもたらされた。
図33は、H460異種移植において、単回投与として、TIC10(30mg/kg、i.p.)もしくはタキソテール(20mg/kg、i.v.)の単独で、組み合わせで、またはビヒクル(DMSO、i.p.)で処理した後に腫瘍組織を保持するコホートのパーセントを示しているグラフである(n=8)。
図34は、
図33に対する相対的な腫瘍体積のプロットを示しているグラフである。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。
【0181】
図35は、H460異種移植において、単回投与として、TIC10(30mg/kg、i.p.)またはパクリタキセル(20mg/kg、i.v.)の単独で、組み合わせで、またはビヒクル(DMSO、i.p.)で処理した後に腫瘍組織を保持するコホートのパーセントを示しているグラフである(n=8)。
図36は、
図35に対する相対的な腫瘍体積のプロットを示しているグラフである。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。
【0182】
この実施例において、TIC10とベバシズマブの両方を、p53欠損直腸結腸癌の転移性同所性マウスモデルにおいて1週間に1回与えたとき、TIC10はベバシズマブと協力することにより、原発の盲腸腫瘍および遠位の転移部位(肺、肝臓、リンパ節および腹膜を含む)における腫瘍の出現率を減少させると見出された。
図37は、盲腸内にHCT116 p53
-/-腫瘍を移植され、終了時点において原発および遠位の部位に明白な腫瘍を有したコホートのパーセントを示しているグラフである(n=5)。時系列によって示されるように、処置を、移植の2週間後から開始して1週間に1回行い、コホートに、ビヒクル、TIC10(25mg/kg、経口)、ベバシズマブ(bev、10mg/kg、i.v.)またはTIC10とベバシズマブとの組み合わせを投与した。
【0183】
TIC10の単独およびベバシズマブとの組み合わせは、この複数回投与レジメンを用いたとき、十分許容され、終了時点において体重を有意に変化させなかった。
図38は、終了時点におけるマウスの体重を示しているグラフである。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。
【0184】
TIC10は、TRAILによって媒介される直接的な効果およびバイスタンダー効果によって、腫瘍特異的細胞死を引き起こす
0日目にTIC10を単回投与(100mg/kg、i.p.)した後のHCT116 p53-/-異種移植腫瘍の免疫組織化学的(IHC)解析から、TRAIL、およびTRAIL媒介性アポトーシスに関与するイニシエーターカスパーゼである切断型カスパーゼ-8のタンパク質レベルの上昇が明らかになった。
【0185】
組織学的検査によって観察された断片化された核、およびTUNEL(TdT媒介性dUTPニック末端標識)染色の増大から、処置された腫瘍においてTIC10がアポトーシスを誘導したことがさらに確認された。さらに、処置の2日後にTIC10(100mg/kg、i.p.)またはビヒクルで処置した後における、HCT116 p53-/-異種移植片腫瘍の腫瘍と間質線維芽細胞との境界におけるTRAILに対するH&EおよびIHC解析によって示されるように、TIC10は、腫瘍においてだけでなく、腫瘍を縁取る間質線維芽細胞においてもTRAILを誘導した。
【0186】
線維芽細胞におけるTIC10誘導性TRAILの発現に注目して、TIC10で処置された腫瘍を有しないマウスにおける可溶性TRAILをアッセイして、正常細胞がTIC10に応答してTRAILを分泌するかを判定した。TIC10は、組換えTRAILの血清半減期(約30分)より長い72時間を超えて続く様式でTRAILの血清レベルを急速に上昇させる。
図39は、TIC10(100mg/kg、i.v.)またはドキソルビシン(30mg/kg、i.p.)の後の、腫瘍を有しないマウスにおけるTRAIL血清レベルを示しているグラフである(n=2)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。
【0187】
TIC10によって誘導された血清TRAILが、投与の2時間後もの早さで検出され、これは、本明細書中に記載される実施例においてインビトロで観察された動態よりも急速である。薬物動態解析から、TIC10が、直ちに分配され、約6.5時間という血漿半減期を有することが明らかになった。表IIは、C57B6マウスの血漿中のTIC10の薬物動態解析の結果を示している。
図40は、239nmにおけるピーク吸光度を有するTIC10の吸光度プロファイルを示しているグラフである。
図41は、マウス血漿に添加され、HPLC解析によって曲線下面積(AUC)を使用して定量された、TIC10に対する検量線を示しているグラフである。
図42は、C57/B6雌マウスに25mg/kgで静脈内投与した後のTIC10の血漿濃度を示しているグラフである(n=3)。エラーバーは、反復実験の標準誤差の平均値を示している。
【0188】
【表2】
TIC10は、組換えTRAILより長い半減期を有し、TIC10の効果、すなわち、TRAILの誘導は、インビトロで見られるようにインビボにおいて数日間にわたって時間的に持続される。
【0189】
0日目にTIC10(100mg/kg、i.v.)を投与された後の、腫瘍を有しない無胸腺ヌードマウスの正常組織のIHC解析から、組織学的検査およびTUNEL染色によって判定されたとき、明らかな毒性なしにマウスの脳、腎臓および脾臓のタンパク質レベルにおいてTRAILがアップレギュレートされることが明らかになった。TIC10に応答したTRAILのアップレギュレーションは、いずれの時点においても肝臓を含む他の組織では顕著でなかった。
【0190】
正常な線維芽細胞に対するTIC10の効果および正常細胞に対するその選択性を、この実施例において試験した。TIC10は、p53欠損腫瘍細胞においてアポトーシスを選択的に誘導したが、TIC10(10μM)またはDMSOで3日間処理されたHCT116 p53-/-およびHFF細胞を使用した共培養実験における正常な線維芽細胞ではアポトーシスを誘導しなかった。
【0191】
TIC10は、有意であるが中程度の量のTRAILを正常な線維芽細胞の表面上に誘導する。
図43は、TIC10処置(左から右に向かって0、2.5、5または10μM)後のHFF細胞の表面TRAILの解析を示しているグラフである(72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0192】
正常細胞が、TRAIL媒介性のバイスタンダー効果を介したTIC10の抗腫瘍性の有効性に寄与するかを試験するために、TIC10とともにプレインキュベートさせた正常な線維芽細胞を、p53欠損結腸癌細胞との共培養物に移植した。これにより、癌細胞の部分集団のTRAIL特異的細胞死が中程度であるが有意に増加した。
図44は、HCT116 p53
-/-細胞と前処理されたHFFとの共培養物のsub-G1解析を示しているグラフである(24時間、n=3)。HFFの前処理は、TIC10(10μM)またはDMSOとの72時間にわたるインキュベーションからなるものだった。これらの実験は、TRAIL隔離抗体(RIK-2)の存在下または非存在下において行われた。スケールバーは、100μmである。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0193】
したがって、本明細書中で証明されるように、TIC10は、好ましい治療指数を有し、腫瘍細胞、間質細胞および正常細胞においてTRAILを誘導し、これは、直接的な機序ならびにバイスタンダー機序を介したTIC10の抗腫瘍性の有効性に寄与し得る。
【0194】
TIC10は多形神経膠芽腫(GBM)において効果的な抗腫瘍剤である
TIC10は、脳においてTRAILを誘導し、脳腫瘍に対する抗腫瘍剤として有用である。この実施例において、GBM細胞株におけるTIC10の活性を試験したところ、TIC10が、TRAILを誘導し、他の癌細胞株と同程度の低マイクロモル濃度の範囲のp53非依存的GI50を有することが見出された。
図45は、TIC10とともにインキュベートした後のGBM細胞株における表面TRAILを示しているグラフである(5μM、72時間、n=3)。表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
図46は、TIC10またはDMSOによる処置の72時間後における表示のGBM細胞株の細胞生死判別アッセイから外挿されたGI50値を示しているグラフである(n=3)。
【0195】
TIC10は、テモゾロマイド抵抗性でありかつこの実施例において事前に放射線照射された単離されたばかりのGBM細胞に対して細胞傷害作用を有する。
図47は、DMSO、TIC10またはテモゾロマイド(TMZ、10μM)で処理された摘出されたばかりの神経膠芽腫組織の細胞生死判別アッセイの結果を示している(72時間、n=3)。組織は、事前に腫瘍縮小術および放射線照射を受けていた38歳の女性患者から採取された乏突起膠腫細胞の構成要素を含むグレードIVの神経膠芽腫だった。
【0196】
単剤(monoagent)としておよびベバシズマブとの併用でのGBMの前臨床モデルにおいてTIC10を試験した。TIC10は、GBM細胞株のパネル(T98Gなどのテモゾロマイド抵抗性GBM細胞株を含む)に対してp53非依存的細胞傷害性を発揮し、経口での単回投与として与えられたとき、ベバシズマブと類似の程度まで皮下T98G異種移植片の持続的な退縮を誘導した。
図48は、0日目にビヒクル、TIC10(30mg/kg、PO)またはベバシズマブ(10mg/kg、i.v.)の単回投与を受けたマウスのT98Gの皮下異種移植片を示しているグラフである(n=8)。表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0197】
単回投与のTIC10は、SF767細胞株を使用するヒトGBMの侵襲性頭蓋内異種移植における単剤として、マウスの全生存を有意に倍増させ、ベバシズマブと協力することにより、そのような脳腫瘍を有するマウスの生存期間を3倍にした。
【0198】
図49は、移植の2週間後に経口での単回投与のビヒクル(n=8)、TIC10(25mg/kg、n=7)、ベバシズマブ(10mg/kg、i.v.、n=6)またはTIC10およびベバシズマブ(n=7)で処置された、SF767頭蓋内腫瘍を有するマウスの全生存を示しているグラフである。
【0199】
表IIIは、SF767頭蓋内腫瘍を有するマウスコホートの全生存の変化を示している。
【0200】
【表3】
TIC10誘導性TRAILのアップレギュレーションはFoxo3a依存的である
TIC10誘導性TRAILのアップレギュレーションを支持する分子事象を特定するために、TIC10で処理されたHCT116 p53
-/-細胞における遺伝子発現プロファイルを測定した。FOXOファミリーの転写因子(Modur,V.ら、2002,J.Biol.Chem.277:47928-47937に記載されているように選択される領域内に含まれる結合部位におけるTRAIL遺伝子プロモーターを制御すると以前に示されているFoxo3aを含む)の標的遺伝子の転写の変化が観察された。
図50は、DMSOと比べて、TIC10処理(10μM)の48時間後におけるHCT116 p53
-/-細胞の遺伝子発現プロファイリングからのFOXOシグナル伝達に関連する転写の変化を示しているグラフである(n=3)。これらの変化のすべてが、DMSO処置群とTIC10処置群との間においてP<.05だった。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0201】
FOXO標的遺伝子DR5は、いくつかの癌細胞株およびそれほどではないにせよ正常細胞においてTIC10によってアップレギュレートされ、これは、TIC10で処理された腫瘍でも観察された。
図51は、表示の濃度のTIC10またはDMSOで72時間処理されたHCT116細胞におけるDR5のウエスタンブロット解析の像である。Ranは、充填コントロールとして示されている。
図52は、TIC10で処理された癌細胞および正常細胞における表面DR5レベルのフローサイトメトリー解析を示しているグラフである(72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0202】
ビヒクル(i.p.)またはTIC10(100mg/kg、i.p.)で処理されたHCT116異種移植片腫瘍におけるDR5のIHC解析は、インビトロでの観察結果と一致して、TIC10で処理された異種移植片腫瘍においてDR5の高発現が明白だったことを示している。
【0203】
FOXOファミリーのメンバーであるFoxo3aは、HCT116細胞におけるFoxo3aの免疫蛍光法およびウエスタンブロット解析、ならびにDMSOまたはTIC10,10μMで48時間処理されたH460およびSW480細胞におけるFoxo3aの免疫蛍光解析によって測定されたとき、TIC10に応答して核移行を起こした(が、Foxo1aは起こさなかった)。
【0204】
図53は、DMSOまたはTIC10(48時間、10μM)で処理されたHCT116細胞の細胞全体の可溶化物(W)ならびに細胞質(C)および核(N)の抽出物のウエスタンブロット解析の像である。β-アクチンおよびラミンB1は、それぞれ細胞質および核の充填コントロールとして示されている。
【0205】
クロマチン免疫沈降アッセイによって示されるようなTRAILプロモーターに局在するFoxo3aの量のTIC10用量依存的増加が見出された。
図54は、HCT116
p53
-/-細胞におけるTIC10処置(左から右に向かって0、2.5、5または10μM)の48時間後の、TRAILプロモーターに対するFoxo3aのTIC10誘導性移行についてのクロマチン免疫沈降アッセイの結果の像である。
【0206】
Foxo3aおよびFoxo1の一過性ノックダウンから、Foxo3aがTIC10誘導性TRAILのアップレギュレーションを特異的に媒介することが明らかになった。
図55は、siRNAを使用したHCT116 p53
-/-細胞におけるFoxo1および/またはFoxo3aの一過性ノックダウン有りまたは無しでのTIC10(10μM)によって誘導された細胞表面TRAILレベルのフローサイトメトリー解析の結果を示しているグラフである(72時間、n=3)。ノックダウンは、ウエスタンブロット解析によって確認される。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0207】
Foxo3aの安定的なノックダウンは、TIC10誘導性TRAIL産生のアップレギュレーションおよびその後の腫瘍細胞死を有意に阻害した。
図56は、HCT116細胞におけるFoxo3aの安定的なノックダウン有りまたは無しにおけるTIC10誘導性細胞死のsub-G1解析を示しているグラフである(10μM、72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
図57は、HCT116細胞におけるFoxo3aの安定的なノックダウン有りまたは無しにおけるTIC10によって誘導される表面TRAILのフローサイトメトリー解析を示しているグラフである(10μM、72時間、n=3)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。Foxo3aの安定的なノックダウンの結果は、ウエスタンブロット解析によって確認された。
【0208】
腫瘍細胞におけるFoxo3aの安定的なノックダウンは、インビボでの腫瘍において、TIC10の抗腫瘍活性、およびTIC10によって誘導されるTRAIL媒介性アポトーシスの特徴も有意に阻害した。
図58は、0日目におけるビヒクルまたはTIC10(25mg/kg)の経口での単回投与後の、Foxo3aの安定的なノックダウン有りまたは無しにおけるHCT116異種移植片の腫瘍体積を示しているグラフである(n=10)。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0209】
TIC10(25mg/kg、経口)の単回投与の3日後に、Foxo3aの安定的なノックダウンの有りまたは無しにおけるHCT116腫瘍のIHC解析およびTUNEL染色を行い、それらは、腫瘍細胞におけるFoxo3aの安定的なノックダウンが、インビボでの腫瘍において、TIC10の抗腫瘍活性、およびTIC10によって誘導されるTRAIL媒介性アポトーシスの特徴も有意に阻害することを示した。
【0210】
TIC10によるAktおよびERKの二重の不活性化は協同的にTRAILを誘導する
Foxo3aの制御因子(例えば、IKK、AktおよびERK)の、TIC10によって誘導される変化を測定した。
図59は、TIC10(2.5、5、10μM)で72時間処理されたHCT116 p53
-/-細胞のウエスタンブロット解析の像である。
【0211】
pAktとpERKの両方のレベルが、Foxo3a上のそれぞれのリン酸化部位の脱リン酸化と同時のTIC10処理によって用量依存的様式で消滅することが見出された。経時的解析から、Foxo3aの脱リン酸化およびTRAILのアップレギュレーションと協調する動態である、TIC10によって誘導されるAktおよびERKの不活性化が48時間後に生じたことが明らかになった。
図60は、表示の時間にわたってTIC10(10μM)で処理されたHCT116 p53
-/-細胞のウエスタンブロット解析の像である。
図61は、
図60におけるような反復実験のウエスタンブロットのデンシトメトリーによって測定された、TIC10によって誘導される効果のタンパク質発現レベルの時間経過を示しているグラフである(n=3)。データは、各時点に対するコントロールサンプルに対して表されており、Ranに対して正規化されている。並行の実験としてフローサイトメトリーによってTRAILを定量した(n=3)。
【0212】
これらのFoxo3aに対するTIC10によって誘導される効果は、種々の腫瘍タイプのいくつかの癌細胞株(p53、KRAS、PTENなどに発癌性の変化を含む多様な遺伝的背景を有するヒト癌細胞株を含む)において明白だった。
図62は、DLD1ヒト結腸癌細胞、MDA-MB-468ヒト乳癌細胞およびT98Gヒト多形神経膠芽腫細胞株におけるFoxo3aに対するTIC10によって誘導される効果のウエスタンブロット解析の像である(10μM、72時間)。
【0213】
Aktは、TIC10およびそのTRAILアップレギュレーションに対する細胞傷害性感受性の決定因子であると見出されており、TIC10処理(10μM、48時間)を受けた、空ベクターまたはミリスチル化Akt(myr-Akt)を過剰発現しているHCT116細胞におけるFoxo3aの免疫蛍光解析によって示されるように、Aktの過剰活性化は、基礎レベルのTRAILでさえも抑制し得る。ウエスタンブロット解析によるmyr-Aktの過剰発現の確認は、
図63に示されている。
図64は、TIC10処置(10μM、48時間)を受けた、空ベクターまたはミリスチル化Akt(myr-Akt)を過剰発現しているHCT116細胞における表面TRAILのフローサイトメトリー解析を示しているグラフである。
図65は、TIC10処理を受けた、空ベクターまたはmyr-Aktを過剰発現しているHCT116細胞のsub-G1含有量を示しているグラフである(10μM、72時間、n=3)。
【0214】
AktおよびMAPK経路の二重阻害は、協同的にFoxo3aの核移行およびそれに続くTRAILのアップレギュレーションをもたらす。A6730およびU0126モノエタノレートは、商業的に入手可能であり、Akt1/2(Desplat,V.ら、2008,J.Enz.Inhib.Med.Chem.,23:648-658)およびMEK(Favata,M.F.ら、1998,J.Biol.Chem.,273:18623-18632)の以前に報告されている阻害剤であり、それらは、AktおよびMAPK経路の二重阻害が、協同的にFoxo3aの核移行およびそれに続くTRAILアップレギュレーションをもたらすかを判定するために、この実施例においてそれぞれ使用された。MEK阻害剤とAkt阻害剤との組み合わせは、Foxo3a依存的TRAILアップレギュレーションを協同的におよびTRAIL媒介性細胞死を相乗的に誘導すると見出された。
図66は、10μM A6730(Akt阻害剤(Akt inh))、U0126モノエタノレート(MEK阻害剤(MEK inh))またはその両方とともにインキュベートした後のHCT116 p53
-/-細胞におけるTRAIL mRNAのRT-qPCR解析を示しているグラフである(48時間、n=3)。Akt+MEK inhについては、他のすべての条件と比較してP<.05。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0215】
図67は、Foxo3aの安定的なノックダウン有りまたは無しでの、
図66におけるような表面TRAILの誘導を示しているグラフである(n=3)。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
【0216】
図68は、10μM Akt inh、MEK inhまたはその両方とともに48時間インキュベートした後の、shRNAによるTRAILノックダウンの有りまたは無しにおけるMDA-MB-231のsub-G1解析を示しているグラフである(n=3)。別段示されない限り、表示の条件とコントロールとの間において
*P<0.05。
図69は、10μM A6730(Akt inh)、U0126モノエタノレート(MEK inh)またはその両方とともにインキュベートした後のHCT116 p53
-/-細胞の表面TRAIL解析を示しているグラフである(48時間、n=3)。
【0217】
この実施例におけるsiRNA実験は、ERKおよびAktが阻害されることにより、TRAILを協同的にアップレギュレートできることを示す。
図70は、HCT116 p53
-/-細胞におけるAktおよび/またはERKの一過性ノックダウン後(ノックダウンの48時間後)のTRAIL mRNAレベルのRT-qPCR解析を示しているグラフである(n=3)。siERKおよびsiAktの組み合わせについては、他のすべての条件と比較してP<.05。
【0218】
図71は、ウエスタンブロット解析による、AktおよびERKノックダウンの確認を示している像である。エラーバーは、反復実験のs.d.を示している。
図72は、HCT116細胞におけるAktおよび/またはERKの一過性ノックダウン後(ノックダウンの48時間後)の表面TRAIL解析を示しているグラフである(n=3)。
【0219】
TIC10は、AktおよびERK(これらは、インビボにおいて細胞死および強力な抗腫瘍効果を増強するユニークな標的遺伝子としてTRAIL遺伝子を転写的に誘導するそれらの相互の基質Foxo3aの核移行を協同的にもたらす)の二重不活性化を引き起こす。
【0220】
この明細書において言及されたいずれの特許または刊行物も、各個別の刊行物が、参照により援用されると明確かつ個別に示されたかのように同程度に本明細書中に参照により援用される。
【0221】
本明細書中に記載される組成物および方法は、現在、好ましい態様の代表であり、例示的であり、本発明の範囲に対する限定と意図されていない。本明細書中の変更および他の使用が当業者には思い当たるだろう。そのような変更および他の使用は、請求項に示されるような本発明の範囲から逸脱することなく、行われ得る。
【配列表】