(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】車両代替シミュレーション装置及び車両代替シミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241209BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2023042107
(22)【出願日】2023-03-16
【審査請求日】2023-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】阿久澤 直弘
(72)【発明者】
【氏名】廣畑 慶
(72)【発明者】
【氏名】グプタ アディル
(72)【発明者】
【氏名】梅本 陽平
(72)【発明者】
【氏名】井出 大介
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-076183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路情報と充電施設の場所とを含む充電施設情報と
内燃機関の燃料を給油するための給油施設に関する情報とが含まれる地図情報が記憶される地図情報記憶部と、
電気で駆動するモーターを備える電動車両の走行性能に関する電動車両性能情報を記憶する電動車両情報記憶部と、
所定期間内に収集された、利用者の内燃機関を備える内燃機関車両の少なくとも位置情報及び時刻情報を含む走行情報を取得し、前記所定期間における、前記利用者の内燃機関を備える前記内燃機関車両の少なくとも出発位置情報
及び駐車位置情報
を含む経路情報、時刻情報、及び走行距離を含む走行距離情報を取得する車両情報取得部と
前記所定期間
内のそれぞれの日における前記内燃機関車両の走行距離情報と前記電動車両性能情報とから
前記電動車両が前記内燃機関車両と同じ経路を走行する場合のそれぞれの経路走行に必要
な充電量を算出するとともに、前記利用者の自宅の駐車時間を算出して、前記利用者の自宅の駐車時間に基づいて前記利用者の自宅での充電可能な充電量を推定し、前記自宅での充電可能な充電量
及び前記それぞれの経路走行に必要な充電量から自宅外
の充電施設で充電が必要な
充電量又は充電回数のいずれかを含む充電情報を前記地図情報に基づき、さらに推定するシミュレーション処理部と、
前記充電情報を前記利用者の情報端末に出力する出力処理部と、
を有
し、
前記シミュレーション処理部は、前記内燃機関車両の前記走行情報から前記内燃機関車両が内燃機関の燃料を給油するための前記給油施設を目的地とした走行情報を除外して、前記充電情報を算出することを特徴とする車両代替シミュレーション装置。
【請求項2】
前記電動車両情報記憶部は、さらに複数の電動車両の車種ごとに前記電動車両性能情報を備え、
前記シミュレーション処理部は、前記複数の電動車両の車種ごとに前記充電情報を推定し、
前記出力処理部は、前記複数の電動車両の車種毎の前記充電情報を出力することを特徴とする請求項1記載の車両代替シミュレーション装置。
【請求項3】
前記地図情報記憶部は、前記充電施設情報に充電
器の給電性能に関する給電性能情報を備え、
前記シミュレーション処理部は、前記給電性能情報と前記電動車両性能情報とから、
前記所定期間
内の充電時間を充電情報として算出することを特徴とする請求項1又は2記載の車両代替シミュレーション装置
。
【請求項4】
コンピュータにより実行される車両代替シミュレーション方法であって、
道路情報と充電施設の場所とを含む充電施設情報と
内燃機関の燃料を給油するための給油施設に関する情報とが含まれる地図情報が記憶される地図情報記憶ステップと、
電気で駆動するモーターを備える電動車両の走行性能に関する電動車両性能情報を記憶する電動車両情報記憶ステップと、
所定期間内に収集された、利用者の内燃機関を備える内燃機関車両の少なくとも位置情報及び時刻情報を含む走行情報を取得し、前記所定期間における、前記利用者の内燃機関を備える前記内燃機関車両の少なくとも出発位置情報
及び駐車位置情報
を含む経路情報、時刻情報、及び走行距離を含む走行距離情報を取得する車両情報取得ステップと
前記所定期間
内のそれぞれの日における前記内燃機関車両の走行距離情報と前記電動車両性能情報とから
前記電動車両が前記内燃機関車両と同じ経路を走行する場合のそれぞれの経路走行に必要
な充電量を算出するとともに、前記利用者の自宅の駐車時間を算出して、前記利用者の自宅の駐車時間に基づいて前記利用者の自宅での充電可能な充電量を推定し、前記自宅での充電可能な充電量
及び前記それぞれの経路走行に必要な充電量から自宅外
の充電施設で充電が必要な
充電量又は充電回数のいずれかを含む充電情報を前記地図情報に基づき、さらに推定するシミュレーション処理ステップと、
前記充電情報を前記利用者の情報端末に出力する出力処理ステップと、
を備え、
前記シミュレーション処理ステップは、前記内燃機関車両の前記走行情報から前記内燃機関車両が内燃機関の燃料を給油するための前記給油施設を目的地とした走行情報を除外して、前記充電情報を算出することを特徴とする車両代替シミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が現在所有している内燃機関車両の位置情報の推移から走行距離と自宅駐車時間を推定し、利用者が仮に内燃機関車両を電動車両(電気自動車)に交換して、現在の走行形態と同様の走行形態を採る場合に、利用者の特に自宅外での充電回数又は充電量のいずれかを含む充電情報を推定する車両代替シミュレーション装置及び車両代替シミュレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続可能な社会を実現するため、カーボンニュートラルの実現に向けた各種取り組みがなされている。このため、走行時に二酸化炭素等のガスを排出しないように、自動車メーカ等からEV(電気自動車)が販売されてきており、利用者にとって次に車両を購入する場合に、電気自動車の選択が1つの検討課題となりつつある。
他方、現時点においては、電気自動車の1回の充電で走行できる距離(1充電走行距離)は、内燃機関車両(例えばガソリン車)のガソリン満タンで走行できる距離と比較して、一般的に短いことが指摘されている。また、電気自動車の1回の充電に係る時間は、内燃機関車両(例えばガソリン車)のガソリン充填に掛かる時間に比較して一般的に長い時間が必要となることが指摘されている。このため、利用者にとって、仮に電気自動車に置き換えて、現在所有している内燃機関車両の走行形態と同様の走行形態を採った場合に、特に、自宅外の充電施設での充電回数、充電時間等がどの程度必要となるのか、把握することが容易ではなく、利用者が買い替えを検討する上での不安の解消までには至っていない。
この点、特許文献1には、電気自動車が道路リンクを走行するために要するバッテリの消費電力量を正確に算出するための技術が開示されている。具体的には、所定の道路区間を電気自動車が走行するために要するバッテリの消費電力量を、当該道路区間における推定した停止回数に応じて正確に算出するための技術が開示されている。しかし、特許文献1に記載の技術では、利用者が仮に電気自動車に置き換えて、現在所有している内燃機関車両の走行形態と同様の走行形態を採った場合に、特に、自宅外の充電施設での充電回数、充電時間等がどの程度必要となるのか、把握することができない。このため、自宅外の充電施設で充電回数、充電時間等がどの程度必要となるのかを把握するためには、現在の内燃機関車両の走行形態を利用者自身が分析して、予測される消費電力量を算出するとともに、さらに利用者自身が算出した予測消費電力量から、特に自宅外の充電施設でどの程度の充電回数、充電時間等が必要になるのか、算出する必要があり、利用者にとっては、事実上困難であった。このため、利用者にとって、買い替えを検討するうえでの不安の解消までには至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
利用者が現在所有している内燃機関車両を仮に電動車両(電気自動車)に交換して、現在の走行形態と同様の走行形態を採る場合に、利用者の特に自宅外の充電施設で必要となる充電量又は充電回数のいずれかを含む充電情報を推定でき、利用者の買い替えを検討するうえでの不安を解消できることが望まれている。
【0005】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、利用者が現在所有している内燃機関車両の位置情報の推移から走行距離と自宅駐車時間を推定し、利用者が仮に内燃機関車両を電動車両(電気自動車)に交換して、現在の走行形態と同様の走行形態を採る場合に、利用者の特に自宅外の充電施設で必要となる充電回数又は充電量のいずれかを含む充電情報を推定する車両代替シミュレーション装置及び車両代替シミュレーション方法を提供することを目的とする。そうすることで、利用者が買い替えを検討するうえでの客観的な情報を提供することで、利用者の不安を解消することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様による車両代替シミュレーション装置(例えば、後述の車両代替シミュレーション装置1)は、道路情報と充電施設の場所とを含む充電施設情報とが含まれる地図情報が記憶される地図情報記憶部(例えば、後述の地図情報記憶部121)と、電気で駆動するモーターを備える電動車両の走行性能に関する電動車両性能情報を記憶する電動車両情報記憶部(例えば、後述の電動車両情報記憶部123)と、所定期間内に収集された、利用者の内燃機関を備える内燃機関車両(後述の車両20)の少なくとも位置情報及び時刻情報を含む走行情報を取得し、前記所定期間における、前記利用者の内燃機関を備える前記内燃機関車両の少なくとも出発位置情報、駐車位置情報、時刻情報、及び走行距離を含む走行距離情報を取得する車両情報取得部(例えば、後述の車両情報取得部110)と、前記所定期間における前記内燃機関車両の走行距離情報と前記電動車両性能情報とから必要電力量を算出するとともに、前記利用者の自宅の駐車時間を算出して、前記利用者の自宅の駐車時間に基づいて前記利用者の自宅での充電可能な充電量を推定し、前記自宅での充電可能な充電量から自宅外で充電が必要な充電量を前記地図情報に基づき自宅外での充電量又は充電回数のいずれかを含む充電情報をさらに推定するシミュレーション処理部(例えば、後述のシミュレーション処理部111)と、前記充電情報を前記利用者の情報端末に出力する出力処理部(例えば、後述の出力処理部112)と、を備える。
【0007】
上記(1)によれば、利用者が内燃機関車両を電動車両に買い替えた場合にどの程度、自宅外で充電する必要があるのかを容易に把握することが可能となり、利用者の不安の解消につながる。
【0008】
(2)上記(1)に記載の情報分析装置(例えば、後述の情報分析装置1)において、前記電動車両情報記憶部は、さらに複数の電動車両の車種ごとに前記電動車両性能情報を備え、前記シミュレーション処理部(例えば、後述のシミュレーション処理部111)は、前記複数の電動車両の車種ごとに前記充電情報を推定し、前記出力処理部(例えば、後述のは、前記複数の電動車両の車種毎の前記充電情報を出力するようにしてもよい。
【0009】
上記(2)によれば、利用者が電動車両への買い替えた場合にどの程度、自宅外で充電する必要があるのかを複数の車種ごとに把握することが可能となる。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)に記載の車両代替シミュレーション装置(例えば、後述の車両代替シミュレーション装置1)において、前記地図情報記憶部(例えば、後述の地図情報記憶部121)は、前記充電施設情報に充電器(例えば急速充電器)の給電性能に関する給電性能情報を備え、前記シミュレーション処理部(例えば、後述のシミュレーション処理部111)は、前記給電性能情報と前記電動車両性能情報とから、所定期間の充電時間を充電情報として算出するようにしてもよい。
【0011】
上記(3)によれば、利用者が電動車両に買い替えた場合にどの程度の時間をかけて、自宅外で充電する必要があるのか、をより正確に把握することが可能となる。
【0012】
(4)上記(1)乃至(3)に記載の車両代替シミュレーション装置(例えば、後述の車両代替シミュレーション装置1)において、前記地図情報記憶部(例えば、後述の地図情報記憶部121)は、前記地図情報に内燃機関の燃料を給油するための給油施設に関する情報を備え、前記シミュレーション処理部(例えば、後述のシミュレーション処理部111)は、前記内燃機関車両(後述の車両20)の前記走行情報から前記内燃機関車両が内燃機関の燃料の給油を目的とした前記給油施設を目的地とした走行情報を除外して、前記充電情報を算出するようにしてもよい。
【0013】
上記(4)によれば、利用者が電動車両に買い替えた場合に、電動車両と無関係となる給油施設への走行を除外することで、必要となる自宅外での充電時間をより正確に算出することが可能となる。
【0014】
(5)本発明の車両代替シミュレーション方法は、コンピュータにより実行される車両代替シミュレーション方法であって、
道路情報と充電施設の場所とを含む充電施設情報とが含まれる地図情報が記憶される地図情報記憶ステップと、
電気で駆動するモーターを備える電動車両の走行性能に関する電動車両性能情報を記憶する電動車両情報記憶ステップと、
所定期間内に収集された、利用者の内燃機関を備える内燃機関車両(後述の車両20)の少なくとも位置情報及び時刻情報を含む走行情報を取得し、前記所定期間における、前記利用者の内燃機関を備える前記内燃機関車両の少なくとも出発位置情報、駐車位置情報、時刻情報、及び走行距離を含む走行距離情報を取得する車両情報取得ステップと
前記所定期間における前記内燃機関車両の走行距離情報と前記電動車両性能情報とから必要電力量を算出するとともに、前記利用者の自宅の駐車時間を算出して、前記利用者の自宅の駐車時間に基づいて前記利用者の自宅での充電可能な充電量を推定し、前記自宅での充電可能な充電量から自宅外で充電が必要な充電量を前記地図情報に基づき自宅外での充電量又は充電回数のいずれかを含む充電情報をさらに推定するシミュレーション処理ステップと、
前記充電情報を前記利用者の情報端末に出力する出力処理ステップと、
を備える。
【0015】
上記(5)の方法によれば、上記(1)の車両代替シミュレーション装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、利用者が現在所有している内燃機関車両の位置情報の推移から走行距離と自宅駐車時間を推定し、利用者が仮に内燃機関車両を電動車両(電気自動車)に交換して、現在の走行形態と同様の走行形態を採る場合に、利用者の特に自宅外の充電施設で必要となる充電回数又は充電量のいずれかを含む充電情報を推定する車両代替シミュレーション装置及び車両代替シミュレーション方法を提供することを目的とする。そうすることで、利用者が買い替えを検討するうえでの客観的な情報を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態である車両代替シミュレーションシステムを概略的に示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態である車両代替シミュレーション装置の基本的構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態における電動車両情報の一例を示す図である。
【
図4A】本発明の実施形態における車両代替シミュレーション処理を示すフローチャートである。
【
図4B】本発明の実施形態における車両代替シミュレーション処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の車両代替シミュレーション装置の好ましい一実施形態について、図を参照しながら説明する。
図1に、車両代替シミュレーションシステム100の基本的構成を示す。車両代替シミュレーションシステム100は、車両代替シミュレーション装置1と、車両20と、FCD(Floating Car Data)データベースシステム(「車両走行情報データベースシステム」ともいう)30と、通信網60と、情報処理装置40と、を備える。なお、後述するように、車両代替シミュレーションシステム100は、利用者の所持する携帯端末20Aを備え、携帯端末20Aが、車両20の車両走行情報を取得し、車両走行情報データベースシステム30に送信するようにしてもよい。
車両20は内燃機関車両(例えばガソリン車)であり、テレマティックス技術に基づくコネクテッドカーであって、当該車両20の車両メーカが運用するコネクテッドシステム(図示せず)と通信可能となっており、各車両20の位置情報、車両操作情報、車両挙動情報等を時刻情報とともに、通信網60を介して、FCDデータベースシステム(車両走行情報データベースシステム)30に送信するように構成されている。以下、特に断らない限り、車両20は内燃機関車両を意味する。
なお、各車両20の位置情報、車両操作情報、車両挙動情報を含む車両走行情報は、FCD(Floating Car Data)データベースシステム(車両走行情報データベースシステム)30において、車両IDに紐づけて記憶される。また、車両IDにより識別される車両20の所有者を識別するための顧客IDは、例えばコネクテッドシステムにおいて対応づけられている。
【0019】
車両20の位置情報は、例えばGPSセンサによりGPS信号を受信することで測位される車両20の位置情報(緯度、経度)を含む。なお、例えばジャイロセンサ、加速度センサにより測定される角速度や加速度に基づいて位置情報の測位精度をさらに高めるようにしてもよい。
車両挙動情報は、車両20の挙動に関する情報であって、例えば、エンジン回転数、車速、車両20の進行方向、車輪速、及び加速度(前後加速度、横加速度、及び上下加速度)等を含む。
車両操作情報は、運転者による運転操作に関する情報であって、例えばイグニッションオン・オフ情報、各種ペダル操作量(アクセルペダル、ブレーキペダル等の操作量)、ステアリングホイールの舵角、各種ランプのオン・オフ操作情報(ヘッドライト、スモールランプ、ブレーキランプ、ハザードランプ、ウィンカー等のオン・オフ情報)、ワイパーの操作量等を含む。
【0020】
なお、本実施形態では、車両20からFCD(Floating Car Data)データベースシステム(車両走行情報データベースシステム)30に車両走行情報を送信する形態を例示するが、これに限られない。例えば、ユーザが携帯端末20Aを所持して車両20に乗車し、イグニッションスイッチ等の車両20の起動スイッチをオンにすることで、車両20と携帯端末20Aとが接続(ペアリング)され、例えば携帯端末20Aで測位した位置情報及び移動体ID等をFCD(Floating Car Data)データベースシステム(車両走行情報データベースシステム)30に送信するようにしてもよい。さらに、携帯端末20Aが、車両20の車両走行情報を取得し、FCD(Floating Car Data)データベースシステム(車両走行情報データベースシステム)30に送信するようにしてもよい。
【0021】
本実施形態においては、車両代替シミュレーション装置1のクライアント端末としての情報処理装置40を備えてもよい。情報処理装置40は、例えばPC、タブレット端末、スマートフォン、携帯端末等を含み、車両20の所有者である利用者の所有するクライアント端末としてもよい。この場合、利用者が情報処理装置40を介して自身の所有する内燃機関車両を電動車両に置き換えた場合のシミュレーション処理を車両代替シミュレーション装置1に対して指示(入力)し、車両代替シミュレーション装置1から出力されるシミュレーション結果に関する出力情報を情報処理装置40に表示するようにしてもよい。
以上、本実施形態1におけるシステム構成の概要を説明した。次に車両代替シミュレーション装置1について説明する。
【0022】
図2は、車両代替シミュレーション装置1の基本的構成を示すブロック図である。
図2に示すように、車両代替シミュレーション装置1は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、表示部14と、入力部15と、を含んで構成される。
【0023】
制御部11は、マイクロプロセッサ等の演算処理装置から構成され、車両代替シミュレーション装置1を構成する各部の制御を行う。制御部11の詳細については、後述する。
【0024】
記憶部12は、半導体メモリ等で構成されており、ファームウェアやオペレーティングシステムと呼ばれる制御用のプログラムや、車両情報取得、シミュレーション処理、及び出力処理等を行うためのプログラムといった各プログラム、さらにその他、地図情報、充電施設情報、電動車両性能情報等の種々の情報が記憶される。
図2に示すように記憶部12は、地図情報記憶部121と、電動車両情報記憶部123と、を備える。本実施形態では、地図情報が充電施設情報を含む構成を例示するが、これに限られない。充電施設情報記憶部(図示せず)に充電施設情報を記憶するようにしてもよい。
【0025】
地図情報記憶部121は、道路情報と、複数の施設について各施設の属性を示す施設種別情報と、当該施設に紐づけられた当該施設の位置情報等と、を含む施設情報を記憶する。本実施形態においては、施設情報として充電施設情報を含む。充電施設情報は、例えば充電施設を示す施設種別情報、充電施設を識別する充電施設識別番号(充電施設識別ID)、充電施設名称、充電施設の位置情報(充電施設が面する道路情報を含む)、電話番号、住所、営業時間、充電施設に設置されている充電器の給電性能情報等を含む。ここで、給電性能情報は、例えば充電方法(普通充電、急速充電)、出力量(1時間当たりの給電量;チャデモ規格の場合、概ね20kWから50kW、またメーカ独自に60kW、90kW,150kW、250kW等の急速充電もある)を示す。なお、地図情報記憶部121は充電施設情報の外に例えば、給油施設(ガソリンスタンド)情報を含むようにしてもよい。給油施設情報は、例えば給油施設を示す施設種別情報、給油施設名称、給油施設の位置情報(給油施設が面する道路情報を含む)等を含む。
【0026】
電動車両情報記憶部123は、例えば車両メーカ等から販売されている電動車両について車両種別ごとに電動車両性能情報を記憶する。
図3は、電動車両情報の一例を示す図である。
図3に示すように電動車両性能情報は、例えば、市販されている電動車両ごとに、当該電動車両の車種情報(車名等を含む)、バッテリ容量(kWh)、平均電費(Wh/km)、1充電走行距離、対応可能な普通充電(普通充電3kW又は6kW)、対応可能な急速充電(対応可能な急速充電の最大出力;例えば最大50kW,最大70kW出力)を含む。
電動車両は、任意の普通充電及び任意の急速充電に対応可能ではなく、電動車両の車種が対応可能な普通充電の出力量及び急速充電の出力量は電動車両の車種により予め決定されている。
図3に示すように電動車両の車種を選択することで、当該電動車両の対応可能な普通充電の出力及び対応可能な急速充電の出力が決定される。
【0027】
以上、記憶部12について説明したが、例えば地図情報記憶部121に記憶される施設情報は、予め記憶しておく構成としてもよいし、通信網60に接続されたサーバ装置(図示を省略)等から必要に応じて適宜ダウンロードされる構成としてもよい。さらに、これらの情報は、ユーザの入力等に応じて適宜修正されてもよい。
【0028】
通信部13は、DSP等を有し、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)の規格や、Wi-Fi(登録商標)といった規格に準拠して、通信網60を介して他の装置(例えば、前述したサーバ等)との間の無線通信や有線通信を実現する。なお、通信網60は、インターネットや携帯電話網といったネットワークや、これらを組合せたネットワークにより実現される。また、ネットワークの一部に、LAN(Local Area Network)が含まれていてもよい。
【0029】
表示部14は、例えば液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスパネル等の表示デバイスにより構成される。表示部14は、制御部11からの指示を受けて画像を表示する。
入力部15は、テンキーと呼ばれる物理スイッチや表示部14の表示面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置(図示を省略する)等で構成される。
なお、前述したように、車両代替シミュレーション装置1のクライアント端末としての情報処理装置40を備える場合、利用者が情報処理装置40を介して自身の所有する内燃機関車両を電動車両に置き換えた場合のシミュレーション処理を車両代替シミュレーション装置1に対して指示(入力)し、車両代替シミュレーション装置1から出力されるシミュレーション結果に関する出力情報を情報処理装置40に表示するようにしてもよい。
【0030】
次に、制御部11の詳細について説明をする。制御部11はCPU、RAM、ROM、及びI/O等を有するマイクロプロセッサにより構成される。CPUは、ROM又は記憶部12から読み出した各プログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、及び記憶部12から情報を読み出し、RAM及び記憶部12に対して情報の書き込みを行い、通信部13と信号の授受を行う。そして、このようにして、ハードウェアとソフトウェア(プログラム)が協働することにより本実施形態における処理は実現される。
【0031】
図2に示すように、制御部11は、機能ブロックとして、車両情報取得部110と、シミュレーション処理部111と、出力処理部112と、を備える。
【0032】
車両情報取得部110は、利用者が有する内燃機関を備える車両20について、利用者により指定された所定期間の日ごとにおける、当該利用者の車両20の位置情報と時刻情報とを含む走行情報を車両走行情報データベースシステム30から取得する。
車両情報取得部110は、車両走行情報データベースシステム30から取得した所定期間の日ごとにおける走行情報に基づいて、自宅を朝出発して、例えば日常の職場等の目的地を含む、駐停車位置となる経由地間を走行して、夕刻(又は夜間)に自宅に帰る場合、自宅の出発時刻及び帰宅時刻を取得するとともに、それぞれの経由地間を走行した距離、及びそれぞれの経由地に到着した時刻及び出発した時刻等を含む情報を、利用者の車両20の平日(各曜日)における走行距離情報として取得する。
また、車両情報取得部110は、土曜又は日曜日の休日に、自宅を出発して、平日の目的地となる職場とは異なる場所(例えば、飲食店、公園、娯楽施設等)を目的地として、駐停車位置となる経由地間を走行して、夕刻(又は夜間)に自宅に帰る場合、自宅の出発時刻及び帰宅時刻を取得するとともに、それぞれの経由地間を走行した距離、及びそれぞれの経由地に到着した時刻及び出発した時刻等を含む情報を、利用者の車両20の休日における走行距離情報として取得するようにしてもよい。
そうすることで、後述するように、車両20を電動車両に買い替えた場合に、例えば平日でどの程度、自宅外で充電する必要があるのか、また休日にどの程度、自宅外で充電する必要があるのか、を容易に把握することができる。
【0033】
シミュレーション処理部111は、車両情報取得部110により取得した所定期間(例えば1か月)の利用者の車両20の走行距離情報に基づいて、電動車両情報記憶部123に記憶された車両種別ごとに、車両20を当該車両種別に相当する電動車両に買い替えた場合の所定期間における自宅外での充電量又は充電回数を算出する。
この場合、シミュレーション処理部111は、例えば利用者により1つ又は複数の車両種別が指定された場合、電動車両情報記憶部123を参照して、当該車両種別に対応する電動車両情報から、例えばバッテリ容量、平均電費、及び充電時間(急速充電)等の電動車両性能情報を取得し、車種ごとに、シミュレーションするようにしてよい。
なお、シミュレーション処理部111は、電動車両情報記憶部123に記憶している電動車両情報から、例えばバッテリ容量、平均電費、及び充電時間(急速充電)等の異なる複数の車種を選択し、車種ごとに、シミュレーションするようにしてよい。例えば、
図3に例示した車種A-Cごとにシミュレーションするようにしてもよい。
【0034】
また、シミュレーション処理部111は、車両20の燃料の給油を目的とした走行は、電動車両に置き換えた場合不要な走行となることから本実施形態の車両代替シミュレーションの対象から除外するようにしてもよい。具体的には、シミュレーション処理部111は、地図情報を参照することで、経由地(駐停車位置)が給油施設に該当するか否かを判定して、経由地が給油施設に該当する場合、例えば当該給油施設を目的地とする直前の経由地間走行情報及び当該給油施設を出発地とする直後の経由地間走行情報を車両代替シミュレーションの対象から除外するようにしてもよい。そうすることにより、利用者が電動車両に買い替えた場合にどの程度、必要となる自宅外での充電時間をより正確に算出することができる。
【0035】
同様に、シミュレーション処理部111は、車両20の走行距離情報から、自宅を出発して、夕刻(又は夜間)に自宅に帰らない場合(例えば、旅行先、出張先等)の走行情報は、通常の走行形態とは異なることから、本実施形態の車両代替シミュレーションの対象から除外するようにしてもよい。そうすることにより、利用者が電動車両に買い替えた場合に、日常の走行形態において、自宅外での充電時間がどの程度必要となるか、をより正確に算出することができる。
【0036】
シミュレーション処理部111を説明する前に、所定期間、自宅で充電可能な容量、電動車両の全走行距離(又は経由地間走行距離)の走行に必要な電力量について説明する。
【0037】
自宅で充電可能な時間帯での駐車時間(例えば前日の帰宅時刻から当日の出発時刻までの時間)を自宅で充電可能な充電時間とする。なお、日ごとに、車両情報取得部110により取得される、前日の帰宅時刻から当日の出発時刻までの時間(分以下を切り捨てた時間)を日ごとの自宅充電時間として、算出するようにしてもよい。なお、ユーザが自宅充電時間帯を予め設定する場合、自宅で充電可能な時間をデフォルト値に設定してもよい。
自宅における普通充電は、電動車両種別に応じて1時間あたりの給電量が3kWh又は6kWhとなることから、自宅で充電可能な最大の充電量は、1時間あたりの給電量と自宅充電時間(曜日j)との積により算出することができる。例えば自宅で充電可能な時間を13時間とすると、39kWh又は78kWhとなる。以下の説明において、自宅で充電可能な充電量を「自宅充電量」という。
そうすると、自宅出発時における電動車両のバッテリの充電量(「出発時充電量」という)は、前日のバッテリ残量と自宅充電量との和となる。
出発時充電量 = 前日のバッテリ残量+自宅充電量
(式1)
ここで、自宅での駐車時間をX時間とすると、前述したように、電動車両種別により、自宅における普通充電により充電できる最大の充電量は、3X(kWh)又は6X(kWh)となる。例えば自宅での駐車時間X=13時間とすると、自宅充電容量PHは、それぞれ39kWh又は78kWhとなる。ただし、バッテリは、バッテリ容量を超えて充電することはできないことから、「前日のバッテリ残量+自宅充電量」は、バッテリ容量を超えない。すなわち、自宅充電量は、バッテリ容量から前日のバッテリ残量を減算した充電量を超えない。
【0038】
シミュレーション処理部111は、車両情報取得部110により取得した、所定期間内のそれぞれの日における走行距離情報(経由地間の走行距離等)と、電動車両の平均電費(Wh/km)と、に基づいて、式1に示すように2つの値の積を算出することで、電動車両の経由地間の走行に必要な充電量とすることができる。なお、平均電費は、
図3に示すように、電動車両種別ごとに設定される。
電動車両の経由地間の走行に必要な充電量 = 平均電費 × 経由地間の走行距離
(式2)
また、当該日付における全走行距離の走行に必要な充電量(「必要充電量」という)は、式3で算出できる。
電動車両の全走行距離の走行に必要な充電量
= Σ
経由地間 電動車両の経由地間の走行に必要な充電量
= 平均電費 × 全走行距離
(式3)
電動車両の全走行距離の走行に必要な充電量が当該電動車両の出発時充電量を超える場合には、自宅外での充電が必要となる。この場合、バッテリ残量が少なくなった状態のときに充電することで、1回あたりの充電量(充電時間)は増えるが、充電回数を少なくできる。逆に、バッテリ残量が大きい状態のときに充電する場合、(バッテリ容量-現在の充電量)以上の充電はできないため、充電回数は増えるが、1回あたりの充電量(充電時間)は少なくすることができる。ユーザは、例えばシミュレーション処理前にどちらかを選択するようにしてもよい。又は、シミュレーション結果に基づいてどちらを選択するか検討するようにしてもよい。
【0039】
次に、シミュレーション処理部111の処理について説明する。
以下、説明を簡潔にするために、所定期間として4週間を例示して説明する。所定期間における各週をそれぞれ、j(1≦j≦4)により例えば1番目の週、2番目の週、3番目の週、4番目の週というように週(j)により識別する。そして、週(j)(1≦j≦4)はそれぞれ、月曜(j)、火曜(j)、水曜(j)、木曜(j)、金曜(j)、土曜(j)、日曜(j)からなる曜日を含む。なお、所定期間は4週に限られない。任意の期間としてもよい。例えば、現在の車両20の走行情報が、曜日ごとに類似する場合、所定期間を月曜日から日曜日(又は日曜日から土曜日)を含む1週間としてもよい。
【0040】
先ず、シミュレーション処理部111は、所定期間の初日となる最初の月曜(1)の走行において、自宅外での充電必要性について算出する。月曜(1)の自宅出発時の電動車両の充電量は、前日のバッテリ残量をゼロとして、当日の自宅充電量(月曜(1))のみとする。なお、前日のバッテリ残量をゼロではなく任意の値に設定してもよい。
シミュレーション処理部111は、月曜(1)における全走行距離の走行に必要な電力量(「必要充電量(月曜(1))」)と、月曜(1)の自宅出発時の電動車両の充電量(「出発時充電量(月曜(1))」という)と、を比較する。
必要充電量(月曜(1)) ≦ 出発時充電量(月曜(1)) (条件1)
を満たす場合、自宅外での充電は不要と判定することができる。
この場合、帰宅後の電動車両のバッテリ残量は、翌日の火曜(1)の自宅出発時の自宅充電前のバッテリ残量(「残量(月曜(1))という)となる。式4により算出することができる。
月曜帰宅後の残量
残量(月曜(1)) = 出発時充電量(月曜(1)) - 必要充電量(月曜(1))
(式4)
逆に、
必要充電量(月曜(1)) > 出発時充電量(月曜(1)) (条件2)
を満たす場合、自宅外での充電量として少なくとも式5で算出される充電が必要と算出することができる。なお、本実施形態では、自宅外充電量は、式5で示される不足分(必要最小限の充電量)だけ充電することを前提とする。そうすることで、自宅外での最低限必要となる必要充電量が明確になる。
自宅外充電量(月曜(1))
= 必要充電量(月曜(1)) - 出発時充電量(月曜(1))
(式5)
【0041】
以下、月曜(1)における自宅外での充電量をf(月曜(1))で表す。以下、同様にそれぞれの曜日(j)における自宅外での充電量をf(曜日(j))で表す。
そうすることで、自宅外での充電が不要な場合は、f(曜日(j))=0であり、自宅外での充電が必要な場合、f(曜日(j))が正の値となる。
なお、f(月曜(1))がゼロの場合は、残量(火曜(1))が0以上となる。逆に、f(月曜(1))が正の値となる場合、前述したとおり、残量(火曜(1))は0となる。
【0042】
次に、シミュレーション処理部111は、火曜(1)の走行において、自宅外で充電する必要性の有無について算出する。
具体的には、火曜(1)における全走行距離の走行の必要充電量(火曜(1))と、火曜(1)の自宅出発時の電動車両の出発時充電量(火曜(1))と、を比較する。
ここで出発時充電量(火曜(1))=残量(月曜(1))+自宅充電量(火曜(1))
で表される。
月曜(1)の場合と同様に、条件1
必要充電量(火曜(1)) ≦ 出発時充電量(火曜(1))
を満たす場合、自宅外での充電は不要と判定する。さらに、残量(水曜(1))を、式3と同様の式に基づいて算出することができる。
残量(火曜(1)) = 出発時充電量(火曜(1)) - 必要充電量(火曜(1))
逆に、
必要充電量(火曜(1)) > 出発時充電量(火曜(1))
を満たす場合、自宅外での充電量として式4と同様の式に基づいて少なくとも以下の充電が必要と算出することができる。
自宅外充電量(火曜(1))
= 必要充電量(火曜(1)) - 出発時充電量(火曜(1))
【0043】
以下、シミュレーション処理部111は、曜日順に最後の日曜(4)まで上記同様の処理をすることで、当該所定期間(4週間)における自宅外での充電量を式6により算出することができる。
自宅外での充電量 = Σ月曜≦曜日≦日曜Σ1≦j≦4f(曜日(j)の電力容量)
(式6)
また、自宅外での充電回数については、自宅外での充電量が当該電動車両のバッテリ容量を超えない限り、1度の給電で充電することで、式7により算出できる。
自宅外での充電回数 = ♯{曜日(j);f(曜日(j)の電力容量)>0}
(式7)
ここで♯{曜日(j);f(曜日(j)の電力容量)>0}は、f(曜日(j)の電力容量)>0となる曜日(j)の個数を示す。
なお、自宅外での充電量が当該電動車両のバッテリ容量を超える場合、例えば充電を2回以上に分けるものとする。
また、1回の充電で必要充電量を給電することを前提として、充電回数を算出したがこれに限られない。例えば、急速充電について充電時間を30分以内とする制限がある場合、急速充電30分以内を1回の充電として、急速充電30分以内における充電回数を算出するようにしてもよい。
また、後述するように、地図情報(に含まれる充電施設情報)に基づき、利用可能な充電施設を選択することで、シミュレーション処理部111は、選択された充電施設の給電性能情報及び電動車両性能情報に基づいて、例えば所定期間における自宅外での充電量又は充電回数に加えて、自宅外での充電時間をより現実的に算出することができる。
【0044】
以上の説明においては、自宅で充電可能な時間として、車両情報取得部110により取得される、前日の帰宅時刻から当日の出発時刻までの時間(分以下を切り捨て)を自宅充電時間(曜日j)として算出する方法を例示して説明したが、これに限られない。ユーザの自宅出発時時刻及び帰宅時刻が毎日同じような時刻の場合、例えば8時出発、7時帰宅のような場合、自宅充電時間を12時間又は13時間として算出するようにしてもよい。
【0045】
また、シミュレーション処理部111は、車両20の走行するルート上に位置する充電施設情報を取得するようにしてもよい。そうすることで、シミュレーション処理部111は、シミュレーション時に自宅外で充電が必要と判定した場合、どの経由地間を走行する経路上で電力容量がゼロになるか、を走行距離にもとづいて推定するとともに、電力容量がゼロになると推定される走行前に、地図情報に含まれる充電施設情報に基づき、利用可能な充電施設を選択することができる。
それにより、シミュレーション処理部111は、選択された充電施設の給電性能情報及び電動車両性能情報に基づいて、例えば所定期間における自宅外での充電量又は充電回数に加えて、自宅外での充電時間をより現実的にシミュレーションすることができる。
以上、シミュレーション処理部111について説明した。
【0046】
次に出力処理部112について説明する。出力処理部112はユーザの所有する車両20を電動車両に置き換え、車両20と同様の走行をすると仮定した場合のシミュレーション処理部111により算出された、少なくとも自宅外で必要となる充電量又は充電回数のいずれかを含む充電情報を表示部14又は通信網60を介して情報処理装置40に出力する。
前述したシミュレーションを例にして説明すると、例えば、出力処理部112は、電動車種別に、曜日(j)(1≦j≦4)ごとに、自宅外での必要充電量及び必要充電回数を表示部14又はクライアント端末としての情報処理装置40に出力するようにしてもよい。
出力処理部112は、自宅外での必要充電量及び必要充電回数の出力に加えて、例えば曜日(j)(1≦j≦4)ごとの全走行距離及び全走行距離の走行に必要な電力量、各経由地間走行距離及び各経由地間走行距離の走行に必要な電力量、自宅出発時のバッテリ充電量、各経由地到着時のバッテリ充電量等を表示部14又はクライアント端末としての情報処理装置40に出力するようにしてもよい。
それにより、利用者(ユーザ)は、電動車両に置き換えた場合における、バッテリ充電量の推移を曜日(j)ごとに、どの程度自宅外で充電する必要があるのか、また、経由地ごとにどの程度のバッテリ消費量になるのか、等を容易に把握することができ、利用者の不安の解消につながる。
以上、本実施形態として例示した車両代替シミュレーション装置1の各機能部の構成について説明した。
【0047】
図3に示す車種情報A、B、Cについて簡単なシミュレーションを例示する。電動車両Aについては、自宅充電時間を例えば7時間以上確保することで、自宅充電量はバッテリ容量と同じ量とすることができる。同様に、電動車両Bについては、自宅充電時間を12時間以上確保することで、自宅充電量はバッテリ容量と同じ量とすることができる。同様に電動車両Cについては、例えば自宅充電(普通充電)を6kWとするとともに自宅充電時間を11時間以上確保することで、自宅充電量はバッテリ容量と同じ量とすることができる。したがって、上記の場合、シミュレーションを適用するに際しては、出発時充電量は電動車両のバッテリ容量に等しい条件での簡単なシミュレーションとなる。
【0048】
次に、
図4A、
図4Bに記載したフローチャートを参照して、本実施形態の動作について説明する。
図4A、
図4Bは、車両代替シミュレーション装置1による車両代替シミュレーション処理を示すフローチャートである。具体的には、車両代替シミュレーション装置1がユーザの所有する車両20を電動車両に置き換えて、現在車両20の走行形態と同様の走行形態を採る場合に特に自宅外の充電施設で必要となる充電量又は充電回数のいずれかを含む充電情報をシミュレーションする処理フローを例示する。
なお、複数の異なる車両種別それぞれに対応する電動車両について上記シミュレーションを行う場合、車両車種を1つずつ選択し、
図4A、
図4Bに記載のフローチャートにより選択された1つの車両車種についてシミュレーション処理を行い、当該車両車種に係るシミュレーション処理が終われば、残りの車両車種についても、1つずつ選択して同様の処理を行い、この処理を指定された全ての車両車種について繰り返して行うことで、複数の異なる車両車種ごとのシミュレーション処理を行うことができる。
【0049】
ステップS10において、車両代替シミュレーション装置1(車両情報取得部110)は、ユーザの所有する車両2020の車両識別IDに紐付けられた車両走行距離情報を所定期間内の日ごとに取得する。
【0050】
ステップS11において、車両代替シミュレーション装置1(シミュレーション処理部111)は、シミュレーション対象とする電動車両種別に対応する電動車両性能情報(バッテリ容量、平均電費、充電時間(普通充電)及び充電時間(急速充電))を取得する。
【0051】
ステップS12において、車両代替シミュレーション装置1(シミュレーション処理部111)は、日付にシミュレーション処理対象となる、所定期間における初日を設定する。
【0052】
ステップS13において、車両代替シミュレーション装置1(シミュレーション処理部111)は、前日のバッテリ残量に自宅充電量を加算して、自宅出発時の電動車両の充電量(出発時充電量)を算出する。ここで、自宅充電量は、前日のバッテリ残量を加算した出発時充電量が当該電動車両のバッテリ容量を超えない充電量のうち、最大の自宅充電可能な量である。
【0053】
ステップS14において、車両代替シミュレーション装置1(シミュレーション処理部111)は、シミュレーション対象となる日付における車両20の車両走行距離情報に基づいて、当該日付における車両20の全走行距離と同等の距離の走行に必要な電動車両の充電量(必要充電量)を算出する。
【0054】
ステップS15において、車両代替シミュレーション装置1(シミュレーション処理部111)は、必要充電量と当該電動車両の出発時充電量とを比較して、
必要充電量 ≦ 出発時充電量の場合、ステップS16に移る。
必要充電量 > 出発時充電量の場合、ステップS20に移る。
【0055】
ステップS16において、車両代替シミュレーション装置1(シミュレーション処理部111)は、自宅外での充電量を示す関数f(日付)=0とするとともに、当該日付におけるバッテリ残量を算出する。
【0056】
ステップS17において、車両代替シミュレーション装置1(シミュレーション処理部111)は、日付に当該日付の翌日を設定する。
【0057】
ステップS18において、車両代替シミュレーション装置1(シミュレーション処理部111)は、日付が所定期間外か否かを判定する。所定期間外の場合、ステップS30に移る。所定期間内の場合、ステップS13に移る。
【0058】
ステップS20において、車両代替シミュレーション装置1(シミュレーション処理部111)は、必要充電量から出発時充電量を減算して自宅外充電量を算出する。
【0059】
ステップS21において、車両代替シミュレーション装置1(シミュレーション処理部111)は、自宅外充電量を自宅外での充電量を示す関数f(日付)の値に設定するとともに、バッテリ残量にゼロを設定し、ステップS17に移る。
【0060】
ステップS30では、車両20を当該車両種別の電動車両に置き換えた場合に推定される、所定期間におけるシミュレーション結果を編集して、表示部14又は情報処理装置40に出力し、当該車両種別の電動車両に基づくシミュレーション処理を終了する。
【0061】
以上、ユーザの所有する車両20を所定の車両種別に対応する電動車両に置き換え、所定期間内に車両20と同等の走行をすると仮定した場合に所定期間内に必要となる自宅外での充電量及び/又は充電回数を含む充電情報を、車両代替シミュレーション装置1が推定する処理について説明した。
【0062】
なお、車両代替シミュレーション装置1の処理の変形例として、上記のステップS14において、当該日付における車両20の駐停車した複数の位置情報(経由地)が給油施設の位置情報を示す場合、当該日付における車両20の全走行距離として、当該給油施設を目的地とする直前の経由地間走行距離及び当該給油施設を出発地とする直後の経由地間走行距離を全走行距離から減算した値を適用するようにしてもよい。そうすることで、利用者が電動車両に買い替えた場合にどの程度、必要となる自宅外での充電時間をより正確に算出することができる。
また、自宅を出発して、夕刻(又は夜間)に自宅に帰らない場合(例えば、旅行先、出張先等)の走行情報は、通常の走行形態とは異なることから、本実施形態の車両代替シミュレーションの対象から除外するようにしてもよい。そうすることにより、利用者が電動車両に買い替えた場合に、自宅外での充電量及び/又は充電回数が、日常どの程度必要となるかをより正確に算出することができる。
【0063】
以上により、ユーザの所有する車両20を所定の車両種別に対応する電動車両に置き換え、所定期間内に車両20と同等の走行をすると仮定した場合に所定期間内に必要となる自宅外での充電量及び/又は充電回数を含む充電情報を、容易に把握することができる。そうすることで、利用者が車両20を電動車両に買い替えを検討するうえでの客観的な情報を提供することができる。
【0064】
各機器のそれぞれは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記のナビゲーションシステムに含まれる各機器のそれぞれが協働することにより行なわれるナビゲーション方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0065】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0066】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0067】
<変形例1>
上述の実施形態では、車両代替シミュレーション装置1を1つのサーバ装置等により実現すると説明したが車両代替シミュレーション装置1の各機能を、適宜複数のサーバ装置に分散する、分散処理システムとしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、車両代替シミュレーション装置1の各機能を実現してもよい。
【符号の説明】
【0068】
100 車両代替シミュレーションシステム
1 車両代替シミュレーション装置
11 制御部
110 車両情報取得部
111 シミュレーション処理部
112 出力処理部
12 記憶部
121 地図情報記憶部
123 電動車両情報記憶部
13 通信部
14 表示部
15 入力部
20 車両
20A 携帯端末
30 車両走行情報データベースシステム(FCDデータベースシステム)
40 情報処理装置
60 通信網