(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】通信装置及びその通信方法、情報処理装置及びその制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/16 20090101AFI20241209BHJP
H04W 28/06 20090101ALI20241209BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20241209BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20241209BHJP
【FI】
H04W28/16
H04W28/06 110
H04W16/28 130
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2023074949
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2019036402の分割
【原出願日】2019-02-28
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤森 祐樹
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】特許第7273540(JP,B2)
【文献】特開2017-011486(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0080124(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0288428(US,A1)
【文献】Eunsung Park (LG Electronics),Overview of PHY Features for EHT,IEEE 802.11-18/1967r0,米国,IEEE mentor,2018年11月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
IEEE802.11規格
シリーズに準拠する通信装置であって、
物理レイヤ(PHY)のプリアンブルとデータフィールドとを有する無線フレームを送信する送信手段を有し、
前記プリアンブルは、L-STF(Legacy Short Training Field)と、L-LTF(Legacy Long Training Field)と、L-SIG(Legacy Signal Field)と、前記L-SIGよりも少なくとも後ろに配置されたSignal Fieldと、を含み、
前記Signal Fieldには、前記通信装置と、前記通信装置と異なる他の通信装置とから共通の相手装置へ協調してデータが送信されるか否かを示すフィールドが含まれて
おり、
前記通信装置は、IEEE802.11axの後継規格に準拠した無線通信を実行可能である、ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
IEEE802.11規格
シリーズに準拠する通信装置であって、
物理レイヤ(PHY)のプリアンブルとデータフィールドとを有する無線フレームを受信する受信手段を有し、
前記プリアンブルは、L-STF(Legacy Short Training Field)と、L-LTF(Legacy Long Training Field)と、L-SIG(Legacy Signal Field)と、前記L-SIGよりも少なくとも後ろに配置されたSignal Fieldと、を含み、
前記Signal Fieldには、複数の他の装置から前記通信装置へ協調してデータが送信されるか否かを示すフィールドが含まれて
おり、
前記通信装置は、IEEE802.11axの後継規格に準拠した無線通信を実行可能である、ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
前記フィールドは、データを協調して送信する装置が複数であるか単一であるかを示す、1ビットのフィールドである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記フィールドは、データを協調して送信する装置の台数を示す、2ビット以上のフィールドである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項5】
前記フィールドは、データを送信する物理的な装置の数に応じた情報が含まれる、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記フィールドは、データを送信する論理的な装置の数に応じた情報が含まれる、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記フィールドにおける情報に基づいて、複数の他の装置からデータが受信されるか否かを示す情報をユーザに通知するように構成される、ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項8】
前記フィールドが複数の他の装置からデータが送信されることを示す場合に、データの送信元の前記複数の他の装置を特定し、前記複数の他の装置から受信するデータの各々のMACヘッダ内の送信者アドレスを確認するように構成される、ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信装置は、前記複数の他の装置から受信するデータの各々のMACヘッダ内の送信者アドレスを確認して前記複数の他の装置の情報を取得し、前記複数の他の装置の前記情報を確認した場合に、前記複数の他の装置から受信するデータの各々に対して確認応答を送信するように構成される、ことを特徴とする請求項8に記載の通信装置。
【請求項10】
前記通信装置は、一部の装置からの無線品質が劣化している場合に、当該一部の装置を、協調してデータを送信する複数の他の装置から除くよう前記複数の他の装置のいずれかに通知するように構成される、ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項11】
前記通信装置はカメラ機器である、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記通信装置はプリンタ機器である、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
前記通信装置は投影処理を行う投影手段を有する、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項14】
前記通信装置はスレーブ・アクセスポイントであり、前記通信装置は、前記送信手段が送信する前記無線フレームを、マスター・アクセスポイントから受信したデータに基づいて生成することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項15】
前記マスター・アクセスポイントから受信した前記データは、前記共通の相手装置へデータを並行して送信する通信装置が存在するか否かを示す情報を含むことを特徴とする請求項14に記載の通信装置。
【請求項16】
前記プリアンブルは、Multi-AP Coordinationシステムが構成されることを示す情報を含むことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の通信装置。
【請求項17】
前記送信手段は、共通の相手装置に対して複数の通信装置が協調してデータ送受信を実行可能であることを示す情報を含むBeaconを送信することを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項18】
前記受信手段は、前記通信装置に対して複数の他の装置が協調してデータ送受信を実行可能であることを示す情報を含むBeaconを受信することを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【請求項19】
物理レイヤ(PHY)のプリアンブルを有する無線フレームを生成する生成手段を有し、
前記プリアンブルは、L-STF(Legacy Short Training Field)と、L-LTF(Legacy Long Training Field)と、L-SIG(Legacy Signal Field)と、前記L-SIGよりも少なくとも後ろに配置されたSignal Fieldと、を含み、
前記Signal Fieldには、複数の通信装置から共通の相手装置へ協調してデータが送信されるか否かを示すフィールドが含ま
れ、
前記生成手段は、IEEE802.11axの後継規格に準拠した無線フレームを生成可能である、ことを特徴とする
、IEEE802.11規格
シリーズに準拠する情報処理装置。
【請求項20】
IEEE802.11規格
シリーズに準拠する通信装置によって実行される通信方法であって、
物理レイヤ(PHY)のプリアンブルとデータフィールドとを有する無線フレームを送信する送信工程を含み、
前記プリアンブルは、L-STF(Legacy Short Training Field)と、L-LTF(Legacy Long Training Field)と、L-SIG(Legacy Signal Field)と、前記L-SIGよりも少なくとも後ろに配置されたSignal Fieldと、を含み、
前記Signal Fieldには、前記通信装置と、前記通信装置と異なる他の通信装置とから共通の相手装置へ協調してデータが送信されるか否かを示すフィールドが含まれて
おり、
前記通信装置は、IEEE802.11axの後継規格に準拠した無線通信を実行可能である、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項21】
IEEE802.11規格
シリーズに準拠する通信装置によって実行される通信方法であって、
物理レイヤ(PHY)のプリアンブルとデータフィールドとを有する無線フレームを受信する受信工程を含み、
前記プリアンブルは、L-STF(Legacy Short Training Field)と、L-LTF(Legacy Long Training Field)と、L-SIG(Legacy Signal Field)と、前記L-SIGよりも少なくとも後ろに配置されたSignal Fieldと、を含み、
前記Signal Fieldには、複数の他の装置から前記通信装置へ協調してデータが送信されるか否かを示すフィールドが含まれて
おり、
前記通信装置は、IEEE802.11axの後継規格に準拠した無線通信を実行可能である、
ことを特徴とする通信方法。
【請求項22】
IEEE802.11規格
シリーズに準拠する情報処理装置によって実行される制御方法であって、
物理レイヤ(PHY)のプリアンブルを有する無線フレームを生成する生成工程を含み、
前記プリアンブルは、L-STF(Legacy Short Training Field)と、L-LTF(Legacy Long Training Field)と、L-SIG(Legacy Signal Field)と、前記L-SIGよりも少なくとも後ろに配置されたSignal Fieldと、を含み、
前記Signal Fieldには、複数の通信装置から共通の相手装置へ協調してデータが送信されるか否かを示すフィールドが含ま
れ、
前記生成工程において、IEEE802.11axの後継規格に準拠した無線フレームを生成可能である、ことを特徴とする制御方法。
【請求項23】
コンピュータを請求項1から18の何れか一項に記載の通信装置として動作させるためのプログラム。
【請求項24】
コンピュータを請求項19に記載の情報処理装置として動作させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANにおける通信制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信されるデータ量の増加に伴い、無線LAN(Local Area Network)等の通信技術の開発が進められている。無線LANの主要な通信規格として、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11規格シリーズが知られている。IEEE802.11規格シリーズには、IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax等の規格が含まれる。例えば、最新規格のIEEE802.11axでは、OFDMA(直交周波数多元接続)を用いて、最大9.6ギガビット毎秒(Gbps)という高いピークスループットに加え、混雑状況下での通信速度を向上させる技術が規格化されている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、さらなるスループット向上のために、IEEE802.11axの後継規格として、IEEE802.11EHT(Extremely High Throughput)と呼ばれるStudy Groupが結成されている。EHTでは、スループット向上を達成するために、複数の空間的に分散して配置されたアクセスポイント(AP)に対して単一のSTA(Station)向けの送信データを割り振り、これらが協調してそのデータをSTAへ送信することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
STAが単一のAPからフレームを受信しているか複数のAPからフレームを受信しているかを認識することが有用でありうる。一方、従来の規格においては、STAが単一のAPと通信を行うことが想定されており、複数のAPと協調して通信を行うことは想定されていない。このため、STAが複数のAPから協調してフレームが送信されてきていることを認識するための仕組みも存在していない。
【0006】
本発明は、無線LANの端末が複数のアクセスポイントと協調して通信を行っているか否かを認識可能とする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による通信装置は、IEEE802.11規格シリーズに準拠する通信装置であって、物理レイヤ(PHY)のプリアンブルとデータフィールドとを有する無線フレームを送信する送信手段を有し、前記プリアンブルは、L-STF(Legacy Short Training Field)と、L-LTF(Legacy Long Training Field)と、L-SIG(Legacy Signal Field)と、前記L-SIGよりも少なくとも後ろに配置されたSignal Fieldと、を含み、前記Signal Fieldには、前記通信装置と、前記通信装置と異なる他の通信装置とから共通の相手装置へ協調してデータが送信されるか否かを示すフィールドが含まれており、前記通信装置は、IEEE802.11axの後継規格に準拠した無線通信を実行可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無線LANの端末が複数のアクセスポイントと協調して通信を行っているか否かを認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図4】APにおいて実行される処理の流れの例を示す図である。
【
図5】ネットワークにおいて実行される処理の流れの例を示す図である。
【
図6】EHT SU PPDUのPHYフレーム構造の例を示す図である。
【
図7】EHT ER PPDUのPHYフレーム構造の例を示す図である。
【
図8】EHT MU PPDUのPHYフレーム構造の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
(ネットワーク構成)
図1に、本実施形態の無線通信ネットワークの構成例を示す。本無線通信ネットワークは、それぞれEHT(Extremely High Throughput)機器である、アクセスポイント(AP102、AP103、AP104)と端末(STA105、STA106、STA107)とを含んで構成される。これらの機器は、何れもIEEE802.11EHT(Extreme High Throughput)に準拠しており、IEEE802.11EHT規格以前に策定された規格に準拠した無線通信を実行可能に構成される。なお、IEEE802.11EHTという名称は便宜上設けられたものであり、規格が確定した状態において別の名称となりうるが、本明細書及び添付の特許請求の範囲は、後述の処理をサポートしうるすべての規格をカバーすることを予定している。以下では、特定の装置を指さない場合等において、参照番号を付さずに、アクセスポイントを「AP」と呼び、ステーションを「STA」と呼ぶ場合がある。なお、
図1では、一例として3台のAPと3台のSTAとを含んだ無線通信ネットワークを示しているが、これらの通信装置の台数は、2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。
図1では、AP102、AP103、AP104が形成するネットワークの通信可能範囲が円101によって示されている。なお、この通信可能範囲は、より広い範囲をカバーしてもよいし、より狭い範囲のみをカバーしてもよい。また、
図1においては、EHTをサポートするSTAが図示されているが、EHTより前の世代の規格(レガシー規格)のみをサポートするSTAが存在してもよい。なお、EHTは、Extreme High Throughputの頭字語と解されてもよい。
【0012】
なお、本例において、AP102が送信した信号をAP103及びAP104が受信することができ、AP103及びAP104が送信した信号をAP102が受信することができるものとする。ただし、接続形態は特に限定されず、AP102とAP103及びAP104のそれぞれとが、有線で接続されてもよいし、無線で接続されてもよい。なお、AP103とAP104は、互いの信号を送受信できてもよいし、できなくてもよい。なお、AP102~AP104は、IEEE802.11EHTのMulti-AP Coordinationシステムを構成することが可能となっている。すなわち、AP102~AP104は、IEEE802.11EHTで規定されるような、複数のAPが協調して1つのSTAと通信する構成をサポートしているものとする。例えば、STA105は、協調して動作するAP103及びAP104との間で、並行して無線フレームを送受信することができる。STA105は、例えば複数の無線LAN制御部を有し、複数のAPとの間でそれぞれ別の無線チャネルを用いて無線フレームを送受信することができるように構成されうる。なお、STA105は、複数の無線チャネルを介して並行して受信される複数のフレームを処理可能な物理的に1つの制御部を有してもよい。すなわち、STA105は、物理的に1つまたは複数の制御装置を用いて、論理的に複数の無線通信を並行して処理することができるような構成を有する。
【0013】
ここでは、各STAと直接信号を送受信するAP103及びAP104のようなAPを、スレーブ・アクセスポイント(S-AP)と呼ぶ。また、AP102のように、AP103及びAP104に対して指示を発行することによって、少なくとも間接的に、各STAとフレームを送受信することができるAPを、マスター・アクセスポイント(以下、M-AP)と呼ぶ。なお、M-APは直接STA105と信号の送受信を行ってもよい。例えば、AP102が、M-APかつS-APとして動作しうる。この場合、例えば、AP102は、自装置とSTA105との間で無線フレームの送受信を行いながら、AP103又はAP104に対して指示を発行して、STAとの間で無線フレームの送受信をさせてもよい。なお、M-APは、S-APから無線フレームを送信させる場合に、送信対象データをS-APへ送信しうる。ただし、それに限られず、S-APは、例えばインターネットから直接送信対象データを取得してもよい。また、M-APは、STAからS-APが受信したデータを、S-APから受信しうるが、S-APは、STAから受信したデータを、M-APへ転送せずにSTAの相手装置へ転送してもよい。
【0014】
なお、同じネットワーク内のAPのいずれもがM-APとして動作することができ、何らかの基準でいずれかのAPがM-APとして動作することが決定されうる。なお、M-APは、ビーコン送信などのAPとして動作せず、各APに指示を送る等のM-APの役割のみを実行してもよい。また、各APは、複数の無線LAN制御部を有することによって、複数のS-APとして動作してもよい。また、M-APは論理的な機能として実現されてもよく、1つの物理的なAPが、M-APとして動作しながら、1つ以上のS-APとして動作してもよい。
【0015】
以下では、STAに対して直接無線フレームを送信するAP(S-AP)として、AP103及びAP104についての構成及び処理の流れの例について説明する。
【0016】
(APの構成)
図2に、AP103の機能構成を示す。なお、AP104も同様の機能を有する。AP103は、一例として、無線LANの通信を行うための2組の機能部(無線LAN制御部201とアンテナ207及び無線LAN制御部206とアンテナ208)を有する。ただし、AP103が有する無線LAN制御部の数は2つに限られず、1つまたは3つ以上でもよい。AP103は、さらに、フレーム生成部202、M-AP信号解析部203、UI制御部204、及び記憶部205を有する。
【0017】
無線LAN制御部201及び無線LAN制御部206は、他の無線LAN装置(例えば他のAPやSTA)との間で無線信号の送受信を行うための回路及びそれらを制御するプログラムを含んで構成される。無線LAN制御部201及び無線LAN制御部206は、IEEE802.11規格シリーズに従って、フレーム生成部202において生成されたフレームの送信や、他の無線LAN装置からの無線フレームの受信等、無線LANの通信制御を実行する。フレーム生成部202は、M-AP信号解析部203において解析した内容に基づいて、無線LAN制御部201及び無線LAN制御部208において送信すべき無線フレームを生成する。なお、フレーム生成部202は、M-APとして動作する場合や他のAPと協調していない場合等、M-AP信号解析部203による解析によらずに無線フレームを生成してもよい。M-AP信号解析部203は、自装置(AP103)がS-APとして動作する場合に、M-APから受信し、STAへ送信する無線フレームの中身を解釈する。例えば、AP103がSTA105へ送信するフレームに関して、AP103の他にSTA105にフレームを送信するAPが何台存在するのか、どのチャネルで送受信を行うか、等の情報がここでの解析によって取得される。
【0018】
UI制御部204は、AP103の不図示のユーザによる、AP103に対する操作を受け付けるためのタッチパネル又はボタン等のユーザインタフェース(UI)に関するハードウェア及びそれらを制御するプログラムを含んで構成される。なお、UI制御部204は、例えば、画像等の表示、又は音声出力等の、情報をユーザに提示するための機能をも有する。記憶部205は、AP103が実行するプログラムや各種データを保存するROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶装置を含んで構成される。
【0019】
図3は、AP103のハードウェア構成を示す。AP103は、そのハードウェア構成の一例として、記憶部301、制御部302、機能部303、入力部304、出力部305、通信部306、及びアンテナ307~308を有する。なお、AP104やSTAも同様のハードウェア構成を有しうる。なお、STAは、一般的な無線LANの通信機能を有するため、その機能構成については説明を省略する。
【0020】
記憶部301は、ROM、RAMの両方、または、いずれか一方により構成され、後述する各種動作を行うためのプログラムや、無線通信のための通信パラメータ等の各種情報を記憶する。なお、記憶部301として、ROM、RAM等のメモリの他に、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、DVDなどの記憶媒体が用いられてもよい。
【0021】
制御部302は、例えば、CPUやMPU等の1つ以上のプロセッサ、ASIC(特定用途向け集積回路)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)等により構成される。ここで、CPUはCentral Processing Unitの、MPUは、Micro Processing Unitの頭字語である。制御部302は、記憶部301に記憶されたプログラムを実行することによりAP103全体を制御する。なお、制御部302は、記憶部301に記憶されたプログラムとOS(Operating System)との協働によりAP103全体を制御するようにしてもよい。
【0022】
また、制御部302は、機能部303を制御して、撮像や印刷、投影等の所定の処理を実行する。機能部303は、AP103が所定の処理を実行するためのハードウェアである。例えば、AP103がカメラである場合、機能部303は撮像部であり、撮像処理を行う。また、例えば、AP103がプリンタである場合、機能部303は印刷部であり、印刷処理を行う。また、例えば、AP103がプロジェクタである場合、機能部303は投影部であり、投影処理を行う。機能部303が処理するデータは、記憶部301に記憶されているデータであってもよいし、後述する通信部306を介して他のAPやSTAと通信したデータであってもよい。
【0023】
入力部304は、ユーザからの各種操作の受付を行う。出力部305は、ユーザに対して各種出力を行う。ここで、出力部305による出力とは、例えば、画面上への表示や、スピーカーによる音声出力、振動出力等の少なくとも1つを含む。なお、タッチパネルのように入力部304と出力部305の両方を1つのモジュールで実現するようにしてもよい。
【0024】
通信部306は、IEEE802.11規格シリーズに準拠した無線通信の制御や、IP通信の制御を行う。通信部306は、いわゆる無線チップであり、それ自体が1つ以上のプロセッサやメモリを含んでいてもよい。本実施形態では、通信部306は、少なくともIEEE802.11ax規格に準拠した処理を実行することができる。また、通信部306はアンテナ307~308を制御して、無線通信のための無線信号の送受信を行う。AP103は通信部306を介して、画像データや文書データ、映像データ等のコンテンツを他の通信装置と通信する。アンテナ307~308は、例えば、それぞれサブGHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯、及び6GHz帯の少なくともいずれかを送受信可能なアンテナである。なお、アンテナ307~308によって対応可能な周波数帯(及びその組み合わせ)については特に限定されない。アンテナ307~308は、それぞれが1本のアンテナであってもよいし、MIMO(Multi-Input and Multi-Output)送受信を行うために、それぞれ2本以上のアンテナを含んで構成されてもよい。なお、
図3では、少なくとも2本のアンテナ307~308が図示されているが、例えば上述の複数の周波数帯域の2つ以上をサポートするマルチバンドアンテナが用いられることにより、AP103は1本のアンテナのみを有してもよい。また、AP103は、より多くのアンテナを有してもよい。
【0025】
(処理の流れ)
続いて、上述のようなAP103及びAP104が実行する処理の流れと、無線通信ネットワークで実行される処理の流れの例について説明する。
図4及び
図5は、AP103がS-APとして動作することが決定され、AP102との間で情報交換を行った後に、AP104と協調してSTA105へデータ送信する処理の流れの例を示している。
【0026】
本処理においては、まず、AP102~AP104の間で、どのAPがM-APの役割で動作するか(及びどのAPがS-APの役割で動作するか)を決定する(S401)。例えば、AP103からAP102へAPとしてのパラメータを送信し(F501)、パラメータが比較されることによりM-APとして動作するAPが決定される。なお、AP104からAP102へも、APパラメータが送信されうる(不図示)。なお、本処理例では、AP102がM-APとして動作すると決定され、AP103及びAP104がS-APとして動作すると決定されたものとする。その後、M-APとして動作するAP102から、S-APとして動作するAP103及びAP104へ、SSIDやBSSIDなどのネットワーク情報が通知される。そして、AP103は及びAP104は、通知されたネットワーク情報を受信する(S402、F502)。なお、予めM-APとS-APとの役割が決まっている場合には、S401、S402及びF501、F502の処理は省略してもよい。
【0027】
AP103は、通知された情報に従ってBeaconを送信する(F503)。なお、このBeaconには、接続したSTAに対して複数APが協調してのデータ送受信が実行可能であることを示す情報が含まれる。なお、ここでのAPは、論理的なAPを含み、1つのAP内に例えば2.4GHz帯で動作するAPと5GHz帯で動作するAPの2つの論理的なAPが含まれうる。すなわち、複数APによるデータ送受信は、複数の論理APとして動作可能な1つの物理APによるデータ送受信を含みうる。AP103は、例えばBeacon内に、Multi-AP Information Elementを付与し、協調動作可能な複数のS-APによって用いられるSSID、BSSID、動作無線チャネルなどの情報を含めて送信する。これらの情報の格納方法、構成はこれに限定されず、AP103は、類似のフォーマットに類似の情報を格納して送信してもよい。STA105は、Beaconを受信すると、このBeaconに含まれる情報に基づいて、複数のS-APのうちの少なくとも1つと接続処理を行う(S403、F504)。ここでの接続処理は、IEEE802.11規格シリーズで規定されたAuthenticationやAssociation等の処理が含まれる。AP103は、STA105との間で接続が確立された接続状態となった場合、M-APに対して、STAと接続状態となったことを、接続パラメータと併せて通知する(S404、F505)。このとき、1つの物理APが2つの論理的なAPとして、それぞれSTAと接続状態となった場合は、そのことをM-APに通知してもよい。なお、
図5では、AP103のみがSTA105と接続状態となっているが、AP104も同様にBeaconを送信して、STA105と接続し、接続状態となったことをM-AP(AP102)へ通知しうる。ただしこれに限られず、例えば、STAは、複数のS-APのうちの1つとのみ接続状態となってもよい。この場合、例えば、接続状態となっていない他のS-APから送信された無線フレームが、STAからは、接続状態となっているS-APからの無線フレームとして取り扱われうる。なお、STAは、複数のS-APのうちの1つとのみ接続状態となっていても、各S-APからの無線フレームについて、送信元のS-APが異なることを認識することができるようにしてもよい。なお、本実施形態では、無線フレームの物理レイヤ(PHY)のプリアンブルを復号することにより、複数のS-APから信号が送信されること(Multi-AP Coordinationシステムが構成されていること)を認識可能とする。すなわち、S-APがM-APから受信したフレーム又はSTAがS-AP(又はM-AP)から受信したフレームのPHYプリアンブルに、Multi-AP Coordinationシステムが構成されることを示す情報が含められる。これにより、フレームを受信した装置が、STAへデータを送信するAPが複数であるか単一であるかを確認することができるようになる。これについては後述する。
【0028】
M-APは、STAと接続状態になったS-APの接続パラメータを管理することにより、その情報に基づいて送信パラメータを決定し、その後の送信データの割り振りを行う(F506)。M-APにおいて決定された送信パラメータの情報は、S―APへ通知され、AP103は、通知された情報に基づいて自身の送信パラメータを決定する(S405)。接続パラメータは、各接続の送信レートやエラーレートの情報を含んでもよい。M-APは、例えば、送信レートの高い接続を有するS-APには多くの送信データを割り振り、送信レートの低い接続を有するS-APには少ない送信データを割り振りうる。これによれば、各S-APからSTAへのデータ送信を効率よく実行することができる。接続パラメータは、現在の接続の状況を反映するために、各S-APで一定周期で更新し、M-APに通知されてもよい。その後、S-APは、M-APからSTAへの送信データを受信すると(S406、F507)、そのデータをSTAへ送信する(S407、F508)。
【0029】
このような複数のS-APから1つのSTAへのデータの並行送信は、例えば、M-APからS-APへ送信対象データが通知された後に、M-APからS-APへ送信をトリガするためのトリガフレームを送信することによって行われうる。すなわち、S-APは、送信対象データの準備が完了した状態で、トリガフレームをM-APから受信したことに基づいて、一斉にデータをSTAへ送信する。なお、M-APからS-APへ送信対象データが送信される際に、その送信対象データと共にそのデータの送信タイミングを指示する情報がS-APへ通知されてもよい。この場合、複数のS-APは、指示された送信タイミングで送信対象データを送信することにより、STAへ並行してデータを送信することができる。
【0030】
一方、S-APは、STAからデータを受信すると(S408)、その受信データをM-APへ送信する(S409)。なお、これらのデータ送信及び受信の順序は一例であり、例えば、STAからのデータの受信が、STAへのデータの送信より先に行われるなど、図示される態様以外の態様でデータが送受信されてもよい。
【0031】
(フレーム構造)
S406~S407、F503、F507~F508で送信されるIEEE802.11EHT規格で定められたPPDU(Physical Layer (PHY) Protocol Data Unit)の例を
図6~
図8に示す。
図6は、シングルユーザ通信用のPPDUであるEHT SU(Single User) PPDUの例を示し、
図7は、マルチユーザ通信用のEHT MU(Multi User) PPDUの例を示している。
図8は、長距離伝送用のEHT ER(Extended Range) PPDUの例を示している。EHT ER PPDUは、APと単一のSTAとの間での通信において、通信範囲を拡張すべき場合に用いられる。
【0032】
PPDUは、STF(Short Training Field)、LTF(Long Training Field)、SIG(Signal Field)の各フィールドを含む。
図6に示すように、PPDU先頭部には、IEEE802.11a/b/g/n/ax規格に対して後方互換性を確保するための、L(Legacy)-STF601、L-LTF602、及びL-SIG603を有する。なお、
図7及び
図8のフレームフォーマットにおいても、L-STF(L-STF701及びL-STF801)、L-LTF(L-LTF702及びL-LTF802)、L-SIG(L-SIG703及びL-SIG803)が含まれる。なお、L-LTFはL-STFの直後に配置され、L-SIGはL-LTFの直後に配置される。なお、
図6~
図8の構成では、さらに、L-SIGの直後に配置されるRL-SIG(Repeated L-SIG、RL-SIG604、RL-SIG704、RL-SIG804)が含まれる。RL-SIGフィールドでは、L-SIGの内容が繰り返し送信される。RL-SIGは、IEEE802.11ax規格以降の規格に準拠したPPDUであることを受信者が認識可能とするものであり、場合によってはIEEE802.11EHTにおいては省略されてもよい。また、RL-SIGに代えて、IEEE802.11EHTのPPDUであることを受信者が認識可能とするためのフィールドが設けられてもよい。PPDUの各フィールドは、必ずしも
図6~
図8に示す順番に並んでいなくてもよいし、
図6~
図8に示していない新規のフィールドを含んでいてもよい。
【0033】
L-STF601は、PHYフレーム信号の検出、自動利得制御(AGC:Automatic Gain Control)やタイミング検出などに用いられる。L-LTF602は、周波数・時刻の高精度な同期や伝搬チャンネル情報(CSI:channnel state information)取得等に用いられる。L-SIG603は、データ送信率やPHYフレーム長の情報を含んだ制御情報を送信するために用いられる。IEEE802.11a/b/g/n/ax規格に従うレガシー機器は、上記各種レガシーフィールドを復号することができる。
【0034】
各PPDUは、さらに、RL-SIGの直後に配置される、EHT用の制御情報を送信するためのEHT-SIG(EHT-SIG-A605、EHT-SIG-A705、EHT-SIG-B706、EHT-SIG-A805)を含む。また、各PPDUは、EHT用のSTF(EHT-STF606、707、806)、EHT用のLTF(EHT-LTF607、708、807)を有する。各PPDUでは、これらの制御用のフィールドの後にデータフィールド608、709、808と、Packet extentionフィールド609、710、809を有する。各PPDUのL-STFからEHT-LTFまでのフィールドが、PHYプリアンブルと呼ばれる。
【0035】
なお、
図6~
図8は、一例として、後方互換性を確保可能なPPDUを示しているが、後方互換性を確保する必要がない場合には、例えば、レガシーフィールドが省略されてもよい。この場合、例えば、同期の確立のために、L-STF及びL-LTFに代えて、EHT-STFやEHT-LTFが用いられる。そして、この場合、EHT-SIGフィールドの後のEHT-STFや複数のEHT-LTFのうちの1つが省略されうる。
【0036】
EHT SU PPDU及びEHT ER PPDUに含まれるEHT-SIG-A605及び805は、以下の表1及び表2に示すように、PPDUの受信に必要なEHT-SIG-A1とEHT-SIG-A2とを含む。本実施形態では、複数のAPからSTAへデータが送信されるか否かを示す「Multi-AP」サブフィールドを、EHT-SIG-A1に含める。また、
図7のEHT MU PPDUのEHT-SIG-A705は、以下の表3及び表4に示すように、PPDUの受信に必要なEHT-SIG-A1とEHT-SIG-A2とを含む。本実施形態では、複数のAPからSTAへデータが送信されるか否かを示す「Multi-AP」サブフィールドを、EHT-SIG-A2に含める。そして、例えば、複数のAPからSTAへデータが送信される場合に、この「Multi-AP」サブフィールドに1が格納され、単一のAPからSTAへデータが送信される場合は、このフィールドに0が格納される。なお、表1~表4の構成については一例に過ぎず、例えばEHT SU PPDU及びEHT ER PPDUにおいて、EHT-SIG-A1フィールドの15番目のビット以外の位置で、このMulti-APの情報が通知されてもよい。同様に、EHT MU PPDUにおいて、EHT-SIG-A2フィールドの8番目のビット以外の位置で、このMulti-APの情報が通知されてもよい。また、Multi-APの情報は、複数の物理APからSTAへデータが送信されるか否かが指定されてもよいし、複数の論理APからSTAへデータが送信されるか否かが指定されてもよい。例えば、物理的には1つのAPからSTAへデータが送信される場合であっても、論理的に複数のAPからSTAへデータが送信される場合には、Multi-APサブフィールドが1に指定されてもよい。
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
なお、EHT MU PPDUのEHT-SIG-B706には、PPDUの受信に必要な、表5に示すようなCommon fieldや、表6に示すようなUser Block fieldの情報が含まれる。
【0042】
【0043】
【0044】
図6に示すように、User Block fieldには、User fieldが含まれ、ユーザごとの情報が格納される。User fieldは、複数のユーザに対して、OFDMAでデータを送信するか、MU-MIMOでデータを送信するかに応じて形式が異なる。表7にOFDMAでデータが送信される場合のUser fieldを示し、表8にMU-MIMOでデータが送信される場合のUser fieldを示す。
【0045】
【0046】
【0047】
なお、これらのサブフィールドの内容については、IEEE802.11ax規格で規定された内容と同様であるため、ここでの説明については省略する。
【0048】
以上のように、IEEE802.11EHT規格で用いるPPDU(EHT SU PPDU、EHT ER PPDU、及びEHT MU PPDU)のフレーム構造において、データを送信するAPが単一か複数かをSTAへ伝えることができる。すなわち、S-APは、自装置の他に、共通の相手装置(STA)へデータを並行して送信するAPが存在するか否かをそのSTAへ通知することができる。また、M-APがこのフレームを送信することにより、S-APに対して、他に共通の相手装置(STA)へデータを並行して送信するS-APが存在するか(又はM-APがデータを並行して送信するか)を通知することができる。このとき、例えばSTAが1つのAPとのみ接続処理を実行した場合、STAは、接続処理を行ったAPと異なる無線チャネルで、すなわち自装置が動作している無線チャネルと異なる無線チャネルで、通信すべき他のAPが存在することを認識することができる。なお、ここでの無線チャネルは、例えば周波数チャネルや空間チャネルを含みうる。STAは、例えば、PHYプリアンブルを確認して複数のAPからのデータが受信されることを確認したことに基づいて、データの送信元のAPを複数個特定するように動作しうる。STAは、例えば、MAC(媒体アクセス制御)ヘッダ内の送信者アドレスを複数のデータストリームのそれぞれについて確認して、複数のAPの情報を取得するようにしうる。また、STAは、例えば、複数のAPの情報を確認した場合、それらのAPに対して個別に確認応答(ACK/NACK)を送信することができる。また、STAは、一部のAPからのデータの無線品質が劣化している場合に、そのAPをMulti-AP Coordinationの対象から除くことを、いずれかのAP(例えばM-AP)へ通知しうる。これにより、STAにおいて、高い無線品質での通信を維持することが可能となる。また、STAやAPにおいて、複数のAPからSTAへデータが送信されているか否かを示す情報が、UIを介してユーザに通知されてもよい。さらに、STAは、自装置がMulti-AP Coordinationをサポートしていない場合に、複数のAPからデータが送信されていることを示すPPDUを受信した場合に、そのPPDUを直ちに破棄することができる。これによれば、STAにおいて、自装置が対応していないPPDUについて、Multi-APサブフィールド以降の情報を不必要に復号することがなくなるため、消費電力を抑制することができる。なお、通信装置であるAP102~104やSTA105~107の他、上記のPHYプリアンブルを生成する情報処理装置(例えば、無線チップ)により、本発明を実施することも可能である。
【0049】
なお、上述の例では、Multi-APサブフィールドが1ビットのフィールドとして用意され、複数のAPからSTAへデータが送信されるか否かを示すようにしたが、これに限られない。例えば、Multi-APサブフィールドが2ビット以上のフィールドとして用意され、STAへデータを送信するAPの台数を示すようにしてもよい。例えば、2ビットのフィールドが用意される場合、「00」によって1つのAPから、「01」によって2つのAPから、「10」によって3つのAPから、「11」によって4つ以上のAPから、STAへデータが送信されることが示されうる。また、これと同様にして、3ビット以上のフィールドが用意されることにより、より多くの台数のAPを示すことができる。
【0050】
<<その他の実施形態>>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0051】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0052】
102:AP(M-AP)、103、104:AP(S-AP)、105~107:STA、201、206:無線LAN制御部、202:フレーム生成部、203:M-AP信号解析部、204:UI制御部、205:記憶部