(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】統合されたエネルギ生成ダンパ
(51)【国際特許分類】
B60G 7/00 20060101AFI20241209BHJP
B60G 13/14 20060101ALI20241209BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20241209BHJP
F16F 15/023 20060101ALI20241209BHJP
F16F 9/46 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B60G7/00
B60G13/14
F16F15/02 B
F16F15/023 Z
F16F9/46
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023140786
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2022105031の分割
【原出願日】2011-06-16
【審査請求日】2023-09-28
(32)【優先日】2010-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2011-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512321121
【氏名又は名称】クリアモーション,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(72)【発明者】
【氏名】タッカー,クライブ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデル,ロス
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ザッカリー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】モーエン,エヴァン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ジャコウィスキ,ザカリー,エム.
(72)【発明者】
【氏名】モートン,ショーン
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-196597(JP,A)
【文献】特開2009-255785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 7/00
B60G 13/14
F16F 15/02
F16F 15/023
F16F 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンロッドに取り付けられたピストンを摺動可能に受ける内側チューブであって、前記ピストンが前記内側チューブ内の内容積を圧縮容積と拡張容積とに分離する、内側チューブと、該内側チューブを囲み、かつ、該内側チューブとの間に環状容積を形成する外側チューブと、前記環状容積に位置するアキュムレータと、を含むダンパと、
前記圧縮容積と流体連通する第1ポート、及び、前記拡張容積と流体連通する第2ポートを有し、少なくとも第1動作条件において油圧ポンプとして作動する油圧ユニットと、
前記環状容積と前記圧縮容積との間の第1油圧流路に沿って配置された第1制御弁と、
前記環状容積と前記圧縮容積との間の第2油圧流路に沿って配置され、前記環状容積から前記圧縮容積への流れを許容するように構成された第1逆止弁と、
前記油圧ユニットに動作可能に連結された電気モータと、
を備え、
前記電気モータに電力を供給することによって能動的に伸張又は収縮されるように構成される、
能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項2】
前記環状容積を、前記アキュムレータを含む第1環状容積と、前記第2油圧流路を含む第2環状容積とに分離する第3チューブをさらに備える、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項3】
前記第1環状容積は、前記第1ポートと流体連通する、
請求項2に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項4】
前記油圧ユニットは、少なくとも第2動作条件において油圧モータとして作動する、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項5】
前記アキュムレータは、ガス充填アキュムレータである、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項6】
前記ガス充填アキュムレータ内のガスが、空気である、
請求項5に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項7】
前記アキュムレータは、圧縮性媒体をさらに含む、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項8】
前記圧縮性媒体は、前記ピストロッドによって変位された容積を吸収するように圧縮される、請求項7に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項9】
前記拡張容積と前記第2ポートとを接続する第3油圧流路をさらに備える、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項10】
前記ピストンは、前記圧縮容積と前記拡張容積とを接続する少なくとも第2逆止弁を含む、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項11】
前記油圧ユニットは、前記電気モータを含む内蔵型電気油圧ユニットである、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項12】
前記内蔵型電気油圧ユニットは、前記外側チューブに固定して取り付けられている、
請求項11に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項13】
前記内蔵型電気油圧ユニットは、当該能動サスペンションアクチュエータのベース端部に配置される、
請求項11に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項14】
前記圧縮容積と前記第2環状容積との間の前記第2油圧流路に沿って配置された第2制御弁をさらに備える、
請求項2に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項15】
前記第2制御弁は、流体の一方向流れを提供する、
請求項14に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項16】
前記第2制御弁は、電子制御される、
請求項14に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項17】
前記第1制御弁は、電子制御される、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項18】
前記第1制御弁は、流体の一方向流れを提供する、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項19】
前記ピストンを固定する少なくとも1つの荷重保持弁を付加的に備える、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項20】
前記ピストンに配置された少なくとも2つのバイパス弁をさらに備える、
請求項1に記載の能動サスペンションアクチュエータ。
【請求項21】
能動サスペンションアクチュエータの運転方法であって、
油圧ユニットに作動的に結合された電気モータに電力を供給することによって、第1動作条件で前記油圧ユニットをポンプとして運転することと、
前記能動サスペンションアクチュエータの圧縮容積と流体連通している、前記油圧ユニットの第1ポートを通して流体を流すことと、
前記能動サスペンションアクチュエータを囲む環状アキュムレータで前記圧縮容積に流体接続する第1油圧流路を通して流体を流すことと、
前記第1油圧流路に沿って配置された第1制御弁を制御することによって前記第1油圧流路内の流体の流れを制御することと、
第1逆止弁を用いて、前記圧縮容積と前記環状アキュムレータとを流体接続する第2油圧流路に沿った流体の流れを制御することと、
前記能動サスペンションアクチュエータ内のピストンロッドに取り付けられており、かつ、前記圧縮容積を拡張容積から分離するピストンを変位させることによって、前記能動サスペンションアクチュエータを伸張又は収縮させることと、
を含む能動サスペンションアクチュエータの運転方法。
【請求項22】
前記環状アキュムレータと前記第1ポートとの間に流体を流すことをさらに含む、
請求項21記載の方法。
【請求項23】
第2動作条件で前記油圧ユニットを油圧モータとして作動させることをさらに含む、
請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記環状アキュムレータ内で圧縮性媒体を圧縮することをさらに含む、
請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記能動サスペンションアクチュエータ内のピストンロッドの動きによって変位された流体の容積を吸収するように前記圧縮性媒体を圧縮することをさらに含む、
請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記拡張容積を前記油圧ユニットの第2ポートと接続する第3油圧流路を通して流体を流すことをさらに含む、
請求項21記載の方法。
【請求項27】
前記圧縮容積と前記拡張容積との間の流体をバイパスすることをさらに含み、前記バイパスされた流体は前記油圧ユニットを通過しない、
請求項21記載の方法。
【請求項28】
前記ピストン内に配置された少なくとも1つの弁を通して前記流体を流すことによって、前記圧縮容積と前記拡張容積との間の流体をバイパスすることをさらに含む、
請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記第1制御弁を電子制御することによって前記第1制御弁を通る流体の流れを調整することをさらに含む、
請求項21記載の方法。
【請求項30】
前記第2油圧流路に沿って配置された第2制御弁を通して流体を流すことをさらに含む、
請求項21記載の方法。
【請求項31】
前記第2制御弁を通して流体を流すことは、流体を一方向に流すことを含む、
請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記第2制御弁を電子制御することによって前記第2制御弁を通る流体の流れを調整することをさらに含む、
請求項30記載の方法。
【請求項33】
前記第1制御弁を通して流体を一方向に流すことをさらに含む、
請求項21記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
各態様は、ダンパシステムと、相対運動に伴うエネルギを取り込むリニア式および回転式エネルギ取り込みシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
典型的なダンパは、運動に伴うエネルギを散逸する。リニアダンパは通常、圧縮行程および拡張行程の両方を移動可能なピストンが内部に配置されたハウジングを含む。オリフィスはピストン内に配置される。運動を減衰させるためにピストンが移動すると、ピストンの運動により、粘性流体がオリフィスを通過する。
【0003】
初期のダンパ技術が何十年にもわたって使用されており、このダンパ技術は、2つの主要なグループ、すなわち、モノチューブ式ダンパおよびツインチューブ式ダンパに分けることができる(トリチューブ式ダンパがいくらか製造されてきたが、特殊な適応ダンパに使用されており、広範囲にわたって製造されてはいない)。モノチューブ式ダンパは、ピストンヘッド内のオリフィスと主流体チャンバ内部のガス充填貯蔵器とを有する油圧ラムを特徴とする。ツインチューブ式ダンパは、内側チューブが油圧流体で満たされ、外側チューブが流体およびガスまたは何らかの他の圧縮性媒体を収容する2つの同心チューブを特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のダンパは、制動を行う場合に、かなりの量のエネルギを熱として散逸する。本発明者は、従来のダンパ技術を改良することで、(かなりの部品点数を従来の低コストダンパ技術と共有しながら)エネルギを回収し、かつ動的減衰制御能力を得ることができると認識した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
各態様は、コンパクトな内蔵式装置内で運動を減衰させながら、相対運動に伴うエネルギを取り込み、非エネルギ収集ダンパと直接置き換えることができるエネルギ生成装置に関する。
【0006】
一態様によれば、エネルギ生成ダンパは、(一部の実施形態では容積式モータである)内蔵型油圧モータを有するピストンヘッドを含み、内蔵型油圧モータは、第1のポートおよび第2のポートを含む。第1のポートは圧縮容積部と流体連通し、第2のポートは拡張容積部と流体連通する。ピストンヘッドはさらに、油圧モータに直結された発電機を含む。流体の流れにより、油圧モータが回転し、ひいては、電気を生成する発電機が回転する。別の態様によれば、エネルギ生成ダンパは、圧縮容積部および拡張容積部を含むハウジングを含む。第1のポートおよび第2のポートを有する内蔵型油圧モータを含むピストンヘッドは、ハウジング内に配置される。第1のポートは、圧縮容積部と流体連通し、第2のポートは拡張容積部と流体連通する。ピストンヘッドは、油圧モータに直結された発電機をさらに含み、油圧モータの回転により、回転するときに電気を生成する発電機が回転する。第1のモードでは、ピストンがジャウンス(jounce)(圧縮)行程の少なくとも一部を移動することで、流体が圧縮容積部から第1のポートに流れ、油圧モータおよび発電機が回転し、電気が生成される。第2のモードでは、ピストンが逆戻り(拡張)行程を少なくとも部分的に移動することで、流体が拡張容積部から第2のポートに流れ、油圧モータおよび発電機が逆回転し、電気が生成される。流体貯蔵器は、圧縮容積部か、または拡張容積部のいずれかと流体連通する。別の態様によれば、エネルギ生成ダンパは、圧縮容積部および拡張容積部を含む内側ハウジングを含む。ピストンは、内側ハウジング内に配置される。第1のモードでは、ピストンはジャウンス行程の少なくとも一部を移動して、油圧流体を圧縮容積部から移動させる。第2のモードでは、ピストンは、逆戻り行程を少なくとも部分的に移動して、油圧流体を拡張容積部から移動させる。外側チューブは、圧縮容積部および拡張容積部を含む内側チューブと同心である。外側チューブは低圧容積部を含む。低圧容積部は圧縮性媒体を収容する。内側ハウジング内に配置されたピストンヘッドは、第1のポートおよび第2のポートを含む内蔵型油圧モータを含む。第1のポートは圧縮容積部と流体連通し、第2のポートは拡張容積部と流体連通する。ピストンロッドは中空であり、ピストンヘッド上の油圧モータをピストンロッドの他端上の発電機と連結するシャフトを含む。油圧モータの回転により、発電機が回転する。圧縮容積部と拡張容積部との間の流体流れを制限するために、ピストンロッドの内部のシャフトを介して油圧モータにつながった発電機によって制動が行われる。1つまたは複数の弁は、ジャウンス時に、流体が圧縮容積部から低圧容積部に流れ、次いで、拡張容積部に入るように低圧容積部に出入りする流れを制限し、低圧容積部内の圧縮性媒体は収縮してロッドの体積分を受け入れる。逆戻り時、流体は、低圧容積部から圧縮容積部に流れ、圧縮性媒体が膨張して、ピストンロッドの体積分を埋める。
【0007】
別の態様によれば、エネルギ生成ダンパは、固定されたロッド端部とは反対側のダンパの端部にベース弁を含む。ベース弁は、第1のポートおよび第2のポートを含む油圧モータを含む。油圧モータは電気モータと連結される。油圧モータの回転により、発電機が回転する。エネルギ生成ダンパは、内側ハウジングを有する2つの同心チューブをさらに含み、内側ハウジングは、圧縮容積部および拡張容積部を含む。ピストンは、内側ハウジング内に配置される。第1のモードでは、ピストンはジャウンス行程の少なくとも一部を移動して、油圧流体を圧縮容積部から移動させる。第2のモードでは、ピストンは、逆戻り行程を少なくとも部分的に移動して、油圧流体を拡張容積部から移動させる。外側チューブは、圧縮容積部および拡張容積部を含む内側チューブと同心である。外側チューブは低圧容積部を含む。低圧容積部は圧縮性媒体を含む。油圧モータの第1のポートは、直接にか、または弁を介してかのいずれかで拡張容積部と流体連通し、油圧モータの第2のポートは、直接にか、または弁を介してかのいずれかで圧縮性媒体を収容する低圧容積部と流体連通する。
【0008】
別の態様によれば、エネルギ生成ダンパは、圧縮容積部および拡張容積部を含む内側ハウジングを含む。ピストンは、内側ハウジング内に配置される。第1のモードでは、ピストンは、ジャウンス行程の少なくとも一部を移動して、油圧流体を圧縮容積部から移動させる。第2のモードでは、ピストンは、逆戻り行程を少なくとも部分的に移動して、油圧流体を拡張容積部から移動させる。第2のチューブは、圧縮容積部および拡張容積部を含む内側チューブと同心であり、内側チューブの外側にある。第2のチューブと内側チューブとの間の空間には高圧容積部がある。第3のチューブは、第2のチューブと同心であり、第2のチューブの外側にある。第3のチューブと第2のチューブとの間の空間には低圧容積部がある。高圧容積部および低圧容積部はまた、それぞれ第3のチューブと第2のチューブとの間、および第2のチューブと内側チューブとの間にあるとして構成されてもよい。低圧容積部は圧縮性媒体を収容する。第1のポートおよび第2のポートを含む油圧モータが接続される。第1のポートは高圧容積部と流体連通し、第2のポートは低圧容積部と流体連通する。1つまたは複数の弁は、ジャウンス時に、圧縮容積部が高圧容積部に接続され、拡張容積部が低圧容積部に接続されるように、さらに、逆戻り時に、圧縮容積部が低圧容積部に接続され、拡張容積部が高圧容積部に接続されるように流れを制限する、かつ/または送る。したがって、この態様では、油圧モータを通る流れは一方向であり、ジャウンス行程および逆戻り行程の両方のモード時に反転する。油圧モータは電気モータと連結される。油圧モータの回転により、発電機が回転する。
【0009】
別の態様によれば、エネルギ生成ダンパは、圧縮容積部および拡張容積部を含む内側ハウジングを含む。ピストンは、内側ハウジング内に配置される。第1のモードでは、ピストンはジャウンス(圧縮)行程の少なくとも一部を移動して、油圧流体を圧縮容積部から移動させる。第2のモードでは、ピストンは、逆戻り(拡張)行程を少なくとも部分的に移動して、油圧流体を拡張容積部から移動させる。油圧モータは、発電機につながったシャフトに連結され、発電機は、そのシャフトが回転するときに電気を生成する。油圧モータは、圧縮容積部に接続した第1のポートと、拡張容積部と流体連通する第2のポートとを有する。この点について、一実施形態では、第2のポートは、例えば、統合ピストンヘッド、またはピストンロッド付きの油圧モータピストンヘッドが発電機に対向する実施形態と同様に、拡張容積部に直接接続される。別の実施形態では、第2のポートは、例えば、ベース弁構成と同様に、外側チューブを介して接続される。油圧モータおよび発電機は、一方が回転することで他方が回転するように連結される。外側チューブは、圧縮容積部および拡張容積部を含む内側チューブと同心である。外側チューブは、拡張容積部と流体連通する外側容積部を含む。拡張容積部(外側容積部を介する)および圧縮容積部は共に弁ブロックと流体連通し、弁ブロックは、同様に弁ブロックに取り付けられたアキュムレータが、低圧容積部、または圧縮容積部もしくは拡張容積部のいずれかに流体連通するように動作する。
【0010】
別の態様によれば、エネルギ生成ダンパは、圧縮容積部および拡張容積部を含むハウジングを含む。ピストンは、ハウジング内に配置される。第1のモードでは、ピストンはジャウンス(圧縮)行程の少なくとも一部を移動して、油圧流体を圧縮容積部から移動させる。第2のモードでは、ピストンは、逆戻り(拡張)行程を少なくとも部分的に移動して、油圧流体を拡張容積部から移動させる。ピストンヘッドは、第1のポートおよび第2のポートを含む内蔵型油圧モータを含む。第1のポートは圧縮容積部と流体連通し、第2のポートは拡張容積部と流体連通する。ピストンヘッドは、シャフトが回転するときに電気を生成する発電機をさらに含む。ピストンヘッドに取り付けられた油圧モータおよび発電機は、一方が回転することで他方が回転するように連結される。ピストンロッドは、ロッド部がピストンヘッドの両側にある両頭型であり、各ロッド部はそれぞれ圧縮容積部および拡張容積部を通り抜け、両側からハウジングを出る。
【0011】
別の態様によれば、エネルギ生成ダンパは、回転式ダンパに接続された、一体化したモータおよび発電機を含む。一体型モータ-発電機は、第1のポートおよび第2のポートを含む油圧モータを含む。油圧モータは電気モータと連結される。油圧モータの回転により、発電機が回転する。エネルギを生成する回転式ダンパは、第1の容積部(1つまたは複数)および第2の容積部(1つまたは複数)に接続された入力レバーをさらに含む。第1のモードでは、入力レバーは、行程の少なくとも一部を通って回転して、流体を第1の容積部から移動させる。第2のモードでは、入力レバーは、行程の少なくとも一部を通って回転して、流体を第2の容積部から移動させる。油圧モータの第1のポートは、第1の容積部と流体連通し、油圧モータの第2のポートは、第2の容積部と流体連通する。
【0012】
別の態様によれば、エネルギ生成アクチュエータは、ピストンロッドの反対側の端部にベース弁を含む。ベース弁は、第1のポートおよび第2のポートを含む油圧モータを含む。油圧モータは電気モータと連結される。油圧モータの回転により、発電機が回転する。エネルギ生成アクチュエータは、圧縮容積部および拡張容積部を含む内側ハウジングを有する2つの同心チューブをさらに含む。ピストンは、内側ハウジング内に配置される。第1のモードでは、ピストンは圧縮行程の少なくとも一部を移動して、圧縮容積部内の油圧流体を加圧する。第2のモードでは、ピストンは、拡張行程を少なくとも部分的に移動して、拡張容積部内の油圧流体を加圧する。外側チューブは、圧縮容積部および拡張容積部を含む内側チューブと同心である。外側チューブは低圧容積部を含み、拡張容積部と流体連通する。低圧容積部は圧縮性媒体を収容する。油圧モータの第1のポートは、直接にか、または弁を介してかのいずれかで圧縮容積部と流体連通し、油圧モータの第2のポートは、直接にか、または弁を介してかのいずれかで圧縮性媒体を収容する低圧容積部と流体連通する。
【0013】
別の態様によれば、エネルギ生成アクチュエータは、ピストンロッドの反対側の端部にベース弁を含む。ベース弁は、第1のポートおよび第2のポートを含む油圧モータを含む。油圧モータは電気モータと連結される。ベース弁は、油圧ユニットの回転の方向が、アクチュエータの行程の方向に関係なく一定のままであるように、整流油圧回路によってアクチュエータに連結される。
【0014】
別の態様によれば、前の段落で説明したエネルギ生成ダンパは、油圧モータのまわりの流体を迂回させるために、または油圧モータを通る流体を制限するために、圧縮容積部と拡張容積部との間を流体連通させる1つまたは複数の方向性およびまたは流体制限弁を含むことができる。
【0015】
別の態様によれば、前の段落で説明したエネルギ生成ダンパは、生成されたエネルギを回収し、エネルギ生成ダンパの運動特性を制御するコントローラと共に使用される。コントローラは、一態様において、エネルギ生成ダンパによって完全に電力を供給される。
【0016】
別の態様によれば、前の段落で説明したエネルギ生成ダンパは、ピストンロッドを押して拡張状態にするスプリングアセンブリと共に使用される。別の態様によれば、前の段落で説明したエネルギ生成ダンパは、ピストンロッドを押して圧縮状態にするスプリングアセンブリと共に使用される。
【0017】
添付の図面は、一定の縮尺で作図されることを意図されない。図面において、様々な図に示された同一またはほぼ同一の各構成要素は同じ数字で表される。明瞭にするために、すべての図面で一部の構成要素だけに符号を付けることがある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】油圧モータおよび発電機を含む統合ピストンヘッド(IPH)の実施形態である。
【
図2】油圧モータおよび発電機を含む代替の統合ピストンヘッドの別の実施形態を示している。
【
図2A】油圧モータおよび発電機を含む代替の統合ピストンヘッドの別の実施形態を示している。
【
図2B】油圧モータおよび発電機を含む代替の統合ピストンヘッドの別の実施形態を示している。
【
図3】一体化した油圧モータおよび発電機を含む統合ピストンヘッドの別の実施形態を示している。
【
図3A】一体化した油圧モータおよび発電機を含む統合ピストンヘッドの別の実施形態を示している。
【
図3B】一体化した油圧モータおよび発電機を含む統合ピストンヘッドの別の実施形態を示している。
【
図3C】一体化した油圧モータおよび発電機を含む統合ピストンヘッドの別の実施形態を示している。
【
図4】IPHを含むモノチューブ式ダンパの実施形態を示している。
【
図4A】IPHを含むモノチューブ式ダンパの実施形態を示している。
【
図5】ツインチューブ式統合エネルギ回収ダンパの実施形態であり、ピストンロッドが油圧モータおよび発電機に対向している。
【
図6】油圧モータ電気モータ/発電機の側面弁を備えたツインチューブ式統合エネルギ回収ダンパの実施形態である。
【
図7】油圧モータ電気モータ/発電機の側面弁ベース弁を備えたトリチューブ式統合エネルギ回収ダンパの実施形態である。
【
図8】低圧容積部に接続されたアキュムレータを概略的に示す、ツインチューブ式IPHの実施形態である。
【
図9】貫通シャフト構造を利用したモノチューブ式統合ピストンヘッドの実施形態である。
【
図10】外部の一体型油圧モータを備えた統合エネルギ回収回転装置の実施形態である。
【
図11】統合エネルギ回収電子油圧アクチュエータの実施形態を示している。
【
図11A】統合エネルギ回収電子油圧アクチュエータの実施形態を示している。
【
図12】アクチュエータの行程の方向に関係なく一定方向にモータ/発電機を回転させるエネルギ収集アクチュエータの実施形態である。
【
図13】一体化した油圧ポンプ/モータおよび電気モータ/発電機の実施形態を示している。
【
図13A】一体化した油圧ポンプ/モータおよび電気モータ/発電機の実施形態を示している。
【
図14】油圧モータ電気モータ/発電機の側面弁およびベース弁を備えたトリチューブ式統合エネルギ回収ダンパの実施形態である。
【
図14A】油圧モータ電気モータ/発電機の側面弁およびベース弁を備えたトリチューブ式統合エネルギ回収ダンパの実施形態である。
【
図15】油圧モータ電気モータ/発電機および制御式油圧弁を備えたトリチューブ式統合エネルギ回収ダンパの実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
システムのいくつかの態様は、一般的にはシステム効率を下げ、耐久性の問題を引き起こし、製造コストを上げる外部流体回路を必要とせずに、力は大きいが比較的低速の運動で生じたエネルギを利用できる、統合されたエネルギ生成装置に関する。一部の実施形態は、ピストンヘッド上およびハウジング内の他の位置にエネルギ収集要素および弁を組み込むことに焦点を合わせて改良するとともに、従来のダンパ構成および構成要素を利用する。「ダンパ」は、システムに関連して使用されるが、本発明は、振動システムに限定されるものではないし、本発明を駆動することもできることから、単なるエネルギ抽出装置でもないことに留意されたい。説明される統合エネルギ生成装置の実施形態は、ハウジングと、圧縮されるときに圧縮行程を少なくとも部分的に移動するピストンとを含むことができる。ピストンはさらに、拡張されるときに拡張行程を少なくとも部分的に移動する(すなわち、ピストンは複動式とすることができる)。ピストンが移動すると、油圧流体は加圧され、移動して油圧モータを駆動する。油圧モータは、電気を生成する発電機を駆動する。
【0020】
一態様によれば、連結された油圧モータおよび発電機は、従来のダンパのピストンヘッドに組み込まれる。ガス充填アキュムレータがダンパのベース部にある従来のモノチューブ構成を使用することができる。あるいは、選択的に弁で調整されるアキュムレータ構成を有するツインチューブ構造を、統合ピストンヘッドと共に使用することができる。他の例示的な実施形態では、統合ピストンヘッドを2重貫通シャフトダンパ構造と共に使用することができる。ただし、統合ピストンヘッドの使用は、これらの例示的な実施形態に限定されない。
【0021】
別の態様によれば、油圧モータは、ダンパのピストンヘッドに組み込まれる。油圧モータは、ピストンロッドを通って、ピストンロッドの反対側の発電機に延びるシャフトを有する。この実施形態では、ダンパは、それ以外の点は従来のモノチューブ式と同様に構成される。あるいは、圧縮バイパスを有するツインチューブ構成をこの油圧モータおよび電気モータ/発電機構成と共に使用することができる。別の例示的な実施形態では、反対側にあるモータ/発電機システムを、選択的に弁で調整されるアキュムレータと共にツインチューブ構造で使用することができる。ただし、反対側にある油圧モータ電気モータ/発電機システムは、これらの例示的な実施形態に限定されない。
【0022】
別の態様によれば、油圧モータおよび発電機は、ダンパのベース弁に組み込まれる。一実施形態では、トリチューブ式整流システムが、逆止弁、低圧容積部、および高圧容積部を使用して採用される。別の実施形態では、選択的に弁で調整されるアキュムレータに加えて、拡張容積部と連通する外側容積部を有するツインチューブ構造を統合ベース弁と共に使用することができる。ただし、ベース弁システムの使用は、これらの例示的な実施形態に限定されない。
【0023】
さらなる態様は、エネルギ生成ダンパの運動特性を動的に変えることに関する。制御を行って、ダンパのピストンに作用する力の大きさを所望のレベルに制御することができる。一例として、一実施形態によれば、応答を制御して、従来の自動車用ダンパの力/速度応答(すなわち、制動)を最小限にすることができ、または別の例において、一実施形態は、海洋波入力から収集されるエネルギを最大にするように制御され得る応答を含むことができる。一部の態様は、エネルギ生成ダンパによって生成されたエネルギから自身に電力を供給するコントローラに関する。これは、ワイヤレス半能動制御または完全能動制御を可能にする。
【0024】
他の態様は、車両のサスペンションシステムに組み込まれるエネルギ生成ダンパに関する。エネルギ生成ダンパは、サスペンションシステムの主要な制動源となることができる。ただし、本発明は、この点について限定されず、他の応用が活用されてもよい。例えば、他の態様は、海洋うねりエネルギ収集システムなどの産業エネルギ収集プラットフォームに組み込まれるエネルギ生成ダンパに関する。
【0025】
ここで図を参照し、最初に
図1を参照すると、
図1は、油圧モータおよび発電機を含む統合ピストンヘッドの実施形態を示している。統合ピストンヘッド1は、ピストンヘッドの上下両方に流体を含む油圧シリンダ内に配置されている。流体がピストンヘッドの上で(下の流体に対して)加圧されると、流体はピストンヘッドの上の1つまたは複数の入り口/出口ポート2に流入する。
図1の実施形態では、容積式ジェロータ3が油圧モータとして使用されているが、本発明(1つまたは複数)はこの点について限定されない。流体が入り口/出口2を流れると、圧力差により、ジェロータ機構3がその偏心ポケット内で回転する。ジェロータモータ3は、発電機シャフト8に駆動可能に連結され、次に、発電機シャフト8は、油圧流体の中に浸漬された発電機5に駆動可能に連結され、そのため、油圧モータの回転により発電機が回転し、逆も同様である。流体は、入り口/出口2から油圧モータ3を通り、ピストンヘッドの下の出口/入り口ポート(1つまたは複数の)4から出る。これはシャフト8を回転させ、シャフト8は発電機5を回転させ、発電機5は電気を生成する。電気は、中空のロッド6を貫通してピストンヘッドおよびダンパハウジングの外に通された電線によって送電される。ピストンヘッドの外側縁部7上のシールは、流体がピストンヘッドのまわりを進んで入り口/出口ポートを迂回するのを防止する。流体がピストンヘッドの下で加圧されると、流体は、ピストンヘッドの下の入り口/出口ポート(1つまたは複数)4に進み、油圧モータを通って、ピストンヘッドの上の入り口/出口ポート2(1つまたは複数)から出る。
【0026】
発電機シャフト8は、ベアリング9によって両端で支持され、内側ジェロータ要素10および発電機5のロータ11を支持している。外側ジェロータ要素12は、ジャーナルベアリング13によって支持されている。カバープレート14により、ピストンヘッドのそのポケット内でのジェロータ3の軸方向位置が定まる。シャドウポート15は、ジェロータアセンブリを軸方向に油圧バランスのとれた状態に保つように、ピストンヘッドおよびカバープレートの両方に存在することができる。
【0027】
図2は、
図1に示すものの代替の統合ピストンヘッドの実施形態を示している。この実施形態では、容積式ジェロータ16が油圧モータとして使用されており、ジェロータモータ16の外側要素17が、発電機シャフト19を介して発電機18に駆動可能に連結され、ジェロータモータ16の内側要素36が、偏心シャフト20を中心にして自由に回転できるという点で
図1に示す実施形態と異なっている。この構成は、ジェロータの直径が大きい方の外側要素が、共通の低摩擦ベアリング(深溝ボールベアリングまたは同様なものなど)を発電機シャフトと共有し、内側要素のより小さい内径部がそのシャフトに直接接して回転するのを可能にする。
【0028】
ダンパ用途では、ピストンの速度、したがって、ジェロータモータの速度は、一方向に連続的に加速/減速し、次いで停止し、次いで、反対方向に加速/減速する。理論に束縛されるものではないが、ジェロータの回転数が遅くなると、ジェロータの滑りベアリング上に発生する任意の流体揚力がなくなり、このベアリングにさらに高い摩擦がかかる。このベアリングの直径が大きいほど、この増大した摩擦によって、より多くのトルクが失われ、この用途においてジェロータがモータとして使用される場合に、このトルク損失が、モータ自体が発生させるトルクと等しいか、またはそのトルクを超えることさえあり、場合によってはモータが停止する。流体揚力を発生させるこの滑りベアリングの接触面での速度が十分な場合でさえ、したがって、摩擦がかなり低減された場合でさえ、この場合も理論に束縛されるものではないが、この接触面でのエネルギ損失は直径の4乗に比例し、したがって、エネルギ損失を低減するために、滑りベアリングの直径を可能な限り小さく保つことが望ましいことがある。上記の独自のベアリング構成を利用すると、この場合に、大きい方の外側要素は、さらに発電機シャフトと共有される低摩擦の転動要素ベアリングによって支持され、しかも、滑りベアリング接触面は、内側要素の小さい直径部に配置されて、低い初期始動トルクおよび高速での低い動力損失という潜在的な利益が得られる。低摩擦ベアリングは、滑り流体ベアリングよりも高価であるが、外側ジェロータ要素が、発電機シャフトと同じ低摩擦ベアリングを共有することで、コストの増加をある程度軽減することができる。
【0029】
外側ジェロータ要素の軸方向中心線上に、または軸方向中心線の近くに低摩擦ベアリングを配置することで、外側ジェロータ要素で発生する半径方向荷重のすべて、またはほぼすべてが低摩擦ベアリングに伝達され、これは、発電機シャフトの反対側の端部で低コストの滑りベアリングを使用することを可能にする。
図2に示すように、滑りベアリング34の直径は、その摩擦損失を低減するために、外側ジェロータ要素の直径よりも大幅に小さい寸法まで減じることができる。
【0030】
図2に示す実施形態では、統合ピストンヘッド21は、ピストンヘッドの上下両方に流体を含む油圧シリンダ内に配置されている。流体がピストンヘッドの上で(下の流体に対して)加圧されると、流体は、流路23に沿ってピストンヘッド21内の1つまたは複数の入り口/出口ポート22に流入する。流体が入り口/出口22を流れると、圧力差により、ジェロータ16がジェロータシャフト20の偏心ジャーナル24を中心にして回転する。ジェロータモータの外側要素17が、発電機シャフト19に駆動可能に連結され、次に、発電機シャフト19が、(油圧流体の中に浸漬された)発電機18に駆動可能に連結されているので、油圧モータの回転により発電機が回転し、逆も同様である。流体は、流路矢印28で示すように、入り口/出口22から油圧モータ16を通り、ジェロータシャフト内の入り口/出口ポート(1つまたは複数)25を通り、発電機容器27内の流路26を通って、ピストンヘッドの下に流れる。この流体流れはジェロータを回転させ、次に、ジェロータは発電機シャフト19を回転させ、発電機シャフト19は発電機18を回転させ、発電機18は電気を生成する。この実施形態では、電気は、発電機容器27に連結された中空ピストンロッド30を通り、高圧油圧シール31を経てピストンヘッドおよびダンパハウジングの外に通される電線29によって送電される。ピストンヘッドの外側縁部上のシール32は、流体がピストンヘッドのまわりを進んで入り口/出口ポートを迂回するのを防止する。流体がピストンヘッドの下で加圧されると、流体は、流路26を経て発電機容器27に進み、さらにジェロータシャフト20内の入り口/出口ポート25に進み、油圧モータを通って、ピストンヘッド内の入り口/出口ポート(1つまたは複数)22から出る。
【0031】
発電機シャフト19は、ベアリング33、34によって両端で支持され、シャフト19は、外側ジェロータ要素17および発電機18のロータ35を支持している。内側ジェロータ要素36は、ジェロータシャフト20を軸にしてジャーナルベアリング24を介して支持されている。ジェロータシャフトはまた、ジェロータシャフトとピストンヘッド21との間でジェロータ16の軸方向位置を定めるカバープレートとして機能する。シャドウポート37、38は、ジェロータアセンブリを軸方向に油圧バランスのとれた状態に保つように、ピストンヘッドおよびジェロータシャフトの両方に設けることができる。
【0032】
図2Aに示すように、ジェロータシャフト内のポート25は、発電機容器27内の圧力に開放されており、このポートのまわりに外側封止ランドはない。ポート25および発電機容器27内の流体間には圧力差があるので、外側封止ランドは必要なく、ジェロータのランド接触面を小さくすることで、ジェロータとジェロータシャフトの封止面との間の摩擦抵抗を小さくすることができる。ピストンヘッド内にある反対側のシャドウポート37もまた、発電機容器27内の圧力に開放されており、このシャドウポートのまわりに外側封止ランドはない。これは、ジェロータを軸方向の油圧バランスがとれた状態に保つ助けとなるだけでなく、流体がジェロータ容器からポート25に出入りするときに、流体がシャドウポート37も通って流れることも意味する。流体は、シャドウポート37に出入りするときに、低摩擦ベアリング33の転動要素を通らなければならず、それにより、ベアリングは、流体が連続して新たに補給される状態で回転し続け、かつ摩擦損失による流体の局所加熱が最小限になる。
【0033】
図2Bに示すように、外側ジェロータ要素17は、外側要素に固定された駆動ピン39によって、発電機シャフトに駆動可能に連結されている。これらのピンは、発電機シャフトの外径部のまわりに配置されたスロット40によって発電機シャフトに連結されている。一実施形態では、これらのピンは、分割スプリングタイプであり、ジェロータから発電機シャフトに駆動トルクを伝達するだけでなく、小型の衝撃防止装置として機能して、ダンパの高周波運動でジェロータ内に発生する衝撃荷重を吸収する。
【0034】
発電機シャフトは、ジェロータシャフト内のポートからの流れが、発電機シャフトを通って発電機容器27に入り、そこからピストンヘッドの下の容積部に入るのを可能にする流路41を有する。
【0035】
再度
図2を参照すると、発電機シャフトは、ピストンヘッドからジェロータを通り、発電機シャフトのシャドウポートを通り、ジェロータシャフトの流路を通って発電機容器に入り、そこからピストンヘッドの下の容積部に入る自由流れが、ジェロータを迂回するのを可能にして、圧縮行程時に制動が抑制される(かつ、エネルギ回収が抑制される)ようにする逆止弁42を含む。逆止弁は、スプリング43によって駆動され、スプリングにかかる予圧は、圧縮制動を最小値から最大値まで変えることができるように調整することができ、それにより、様々な用途に適した最大圧縮制動が達成される。逆止弁は、拡張行程時に流れがジェロータを迂回するのを阻止するので、最大限の拡張制動(およびエネルギ回収)を達成することができる。
【0036】
図2に示す吹出弁44を使用して、発電機容器内の最大圧力、ひいては、統合ピストンヘッド(IPH)の底部側の最大圧力を制限することができる。発電機容器内の圧力は、流路46を介して封止ワッシャ45に作用することができる。封止ワッシャは、スプリング47によって、ピストンヘッドの封止面に対接して保持され、流路46からの流れを遮断する。流路46の領域にわたって作用する圧力は、シールワッシャを離脱させる力を発生させ、封止ワッシャに作用する、発電機容器内の圧力による力が、スプリング47によるスプリング力に打ち勝つと、シールワッシャは離脱し、発電機容器からの流れが、したがって、IPHの下側からIPHの上部側への流れが、(
図2Aに示す)ピストンヘッド内のスロット48を通ってジェロータを迂回するのを可能にする。様々な用途に適するように、封止ワッシャに作用するスプリング力および流路の数量を変えて、吹出弁を開く圧力を変えることができる。
【0037】
吹出弁は、最大拡張制動力を制限するだけでなく、ジェロータの最大回転数も制限するように、高拡張行程下でのジェロータの上下間の圧力差を制限するために使用される。これは、高拡張力下でジェロータベアリングおよび発電機の回転数を適度な限度に保ち、それによって、IPHの耐久性を高める。
【0038】
図3、
図3A、
図3B、および
図3Cは、
図2に示す実施形態の特徴を取り入れているが、部品点数を減らしてさらにコンパクトなユニットにした一体型モータ/発電機ユニット(IMGU)の実施形態を示している。この実施形態は、
図4Aに示すようなIPH装置でか、または
図6に関連して下記に説明するダンパまたはアクチュエータに組み込むことができる個別の「弁」としてかのいずれかで使用することができる。前の実施形態と同様に、IMGUは、発電機として、または電子油圧アクチュエータ用の油圧動力源として使用することができる。
【0039】
この実施形態では、および
図2に示す実施形態と同様に、ジェロータモータの外側要素は、
図2に示す実施形態に示すのと同様の態様で、発電機50に駆動可能に連結され、ジェロータモータの内側要素51は、偏心シャフト52を中心にして自由に回転できる。この構成により、ジェロータの外側要素が発電機シャフト54と共通の低摩擦ベアリング53を共有し、内側ジェロータ要素のより小さい内径部が、偏心シャフト52に直接接して回転するのが可能になり、
図2に示す実施形態で概説したように、効率およびコストに関する利益が得られる。
図3に示す実施形態では、発電機50は、この場合に、
図2に示すように同心であり、かつ隣接するのではなく、ジェロータモータ55と同心に、かつ同一平面上に置かれている。この構成により、ユニット全体の長さおよび重量が低減されるだけでなく、部品点数も少なくなり、それによって、耐久性を高めながら、コストを削減する。発電機のマグネット56は、(
図3Bに示すように)(接着または他の適切な手段によって)発電機シャフト54に駆動可能に直結するか、または外側ジェロータ要素49に直結することができ、それにより、別個のロータ要素がなくなる。発電機シャフトを支持する2つの低摩擦ベアリング53は、外側ジェロータ要素からの半径方向の荷重を均等に分担する。この場合に、2つのベアリングはこの荷重を均等に分担するので、ベアリング寿命が大幅に延びて、IMGUの耐久性が高まる。示した実施形態では、低摩擦ベアリングのベアリングアウタレース57は、発電機シャフトに直接形成され、アウタレース部品の追加を不要にし、それと同時に、IMGUの質量および発電機回転アセンブリの回転慣性を低減する。
【0040】
ジェロータキャップ58は、ジェロータ要素の両側に配置され、第1の流れポート59および第2の流れポート60を含み、これらのポートは、用途の必要に応じて、全開流量ポート、またはシャドウポートとすることができ、ジェロータアセンブリを軸方向に油圧バランスさせるようなものとされる。ポート構成は、垂直方向および水平方向の両方の中心線に関して対称とすることができる。ジェロータキャップは、IMGU端部キャップ61に連結および固定されている。IMGU端部キャップに含まれる流路62、63は、ジェロータキャップ内の第1および第2の流れポートに接続しているので、流体が1つのポートから他方に流れるとジェロータは回転する。
【0041】
ポート構成の対称配置を導入することで、油圧ユニットの入り口および出口流路をIMGUの同じ側または両側に置くことが可能になり、それにより、様々な用途に対する使用の融通性が向上する。また、この対称パート構成により、バイパス弁、圧力逃がし弁、アキュムレータなどの弁および接続器を第1および第2の流れポートに対向して増設するのが可能になり、流れがジェロータを通り抜ける、さらにはジェロータをまわる(すなわち、第1および第2のポートに出入りする)ように発生するのが可能になって、油圧ユニットに平行流路が提供される。これは、この場合にも、好ましい実装構成をもたらす。
【0042】
図1および
図2の実施形態に示すように、発電機の周囲に、または発電機に隣接してではなくて、ジェロータモータ55を発電機と同一平面上に配置することで、この場合に、第1および第2のポートを介して油圧ユニットに出入りする流れが、発電機の中心を通るように発生する。これは、流路を短縮化および簡素化して、粘性損失を低減し、それにより、ユニットの効率を高める。
【0043】
圧力逃がし弁、バイパス弁、荷重保持弁などの増設弁をジェロータキャップおよびまたはIMGU端部キャップに((あるいは、IMGU端部キャップの外側にも)組み込んで、発電機としてもアクチュエータとしてもさらなる機能を提供することができる。
【0044】
低摩擦ベアリングのインナレース64は、ジェロータキャップ(またはIMGU端部キャップ)に直接形成され、ジェロータキャップとIMGU端部キャップとの間で軸方向に保持されている。これにより、別個のベアリングインナレースが不必要になって、部品点数がさらに削減される。示した実施形態では、低摩擦ベアリングは、円筒状のローラタイプであり、当然ながら、用途が認める限り、示したベアリング構成を容易に変更して、他のタイプの低摩擦ベアリング、または滑りベアリングでさえも組み込むことができるが、特定の用途はこの点について限定されない。
【0045】
図3に示す実施形態では、偏心シャフト52は、ジェロータキャップに動かないように保持され、内側ジェロータ要素は、滑りジャーナルベアリング65によって支持されたシャフトに対して回転する。偏心シャフトは、ジェロータキャップおよびIMGU端部キャップを連結および配置するために使用され、IMGUアセンブリは、ねじ付き連結器66、またはかしめおよび溶接などの他の機構によって固定される。偏心シャフトのショルダ部67は、ジェロータキャップ間の正確な間隔が得られるのを保証するので、正確な軸方向クリアランスがジェロータと端部キャップとの間で維持されて、ジェロータが適切に、かつ効率よく動作する。
【0046】
発電機のステータ68は、(接着または他の適切な処理によって)外側スリーブ69に駆動可能に連結され、外側スリーブは、ステータが発電機シャフトと同心に、かつ正確な軸方向位置に保持されるように、2つのIMGU端部キャップ間に挟み込まれている。2つのIMGU端部キャップと外側スリーブとの間のタイミング機構により、IMGU端部キャップの互いに対する半径方向位置が定まって、流れポートの正確なタイミングと、偏心シャフト52の位置決めとが保証される。
【0047】
この実施形態で示す一体型モータ/発電機ユニットのコンパクトな特質のため、IMGUをカートリッジタイプの回生弁として使用することが可能であり、ユニットは、流れポートがIMGUの第1および第2のポートに対接して整列し、封止されるように、装置の機械加工した穴またはポケットに置かれる。この場合に、発電機の逆起電力を制御することで、油圧回路内の流れを制御することができるし、または発電機に電力を供給することで、IMGUが油圧動力源として機能して、油圧ユニットがポンプとして機能するように油圧ユニットを回転させることもできる。この種の弁の可能な用途として、より大規模な油圧回路用の圧力レギュレータまたは逃がし弁などがあり得る。通常、油圧回路内の圧力を調整するために、制御可能なオリフィスを有する油圧弁が使用され、したがって、これらのオリフィス全体にわたって流れを抑制することでエネルギが浪費される。この場合に、回生圧力制御弁としてIMGUを組み込むことで、このエネルギを取り込むことができる。
【0048】
他の用途には、エンジンまたはトランスミッションの潤滑ポンプ用などの可変油圧動力源がある。通常、これらのポンプは定容積形であり、特定のシャフト回転数で駆動される。これらのポンプは、所与のあらゆるシャフト回転数での予測される最大流れ需要を満たすように容量を決められ、したがって、これらのポンプは、通常必要とされるよりも多量の流れを供給し、エネルギは、流れ制御弁の使用を通じて浪費される。IMGUのコンパクトな寸法および円筒形状により、IMGUを使用して、エンジン内の機械加工された空洞に挿入される単純なカートリッジユニットとして、または外部取り付けユニットとして、これらのポンプに取って代わることができる。IMGUの可変速制御、したがって、流れ制御能力により、ポンプの出力は、常に需要に正確に合致することができ、それにより、これらの用途でのエネルギ消費量を削減する。
【0049】
図4および
図4Aは、それぞれ
図2および
図3の統合ピストンヘッド1を利用したモノチューブ式ダンパ10の実施形態を示しているが、IPHは、
図1に示すような構成とすることもできる。この場合に、統合ピストンヘッド71は、圧縮容積部73および拡張容積部74を含むハウジング内に配置されている。さらに、浮体式ピストン75がガス充填アキュムレータ76を密封し、ハウジング内部の流体にかかる圧力を維持している。ピストンロッド30がジャウンスを受けると、流体は、圧縮容積部73から統合ピストンヘッド71を通って拡張容積部に流入する。ジャウンス行程時に、拡張容積部74に導入されたピストンロッドの体積分を補償するために、浮体式ピストン75が移動してガスを圧縮する。逆戻り時に、流体は、拡張容積部74から統合ピストンヘッド71を通って圧縮容積部73に流入する。同時に、逆戻り時にハウジングから出て行ったピストンロッドの体積分を補償するために、浮体式ピストン75が移動してアキュムレータガス容積部76を拡張させる。
【0050】
流体が統合ピストンヘッド71を流れるときに、油圧モータが回転して発電機を回す。これは、ピストン30の移動によって、ピストンヘッド71を通ることを強いられた流体の移動により電気を生成する。発電機からのエネルギは、中空のピストンロッド30を通ってIPHから出て行き、ロッド端部77を通って、ピストンロッドの端部からダンパハウジングの外に出る電線29によって送られる。高圧パススルー(pass-through)31を使用して、発電機と共に油圧流体中に浸漬された電線の部分を、外部環境に向かってピストンロッドを出た電線部分から封止することができる。
【0051】
発電機の電気特性を変えることで、ダンパの運動特性を変えることができる。低い方のインピーダンスを端子に加えて、発電機にかかる負荷を増やした場合、発電機の力/速度特性が高くなる(角速度当たりの力が大きくなる)。油圧モータおよび発電機は連結されているので、これは油圧モータ、したがって、統合ピストンヘッドを通る流体路に伝達される。線形関係により、より低いインピーダンスを発電機に加えると、ダンパピストンに作用する力/速度特性が高くなり、より高いインピーダンスを発電機に加えると、ダンパピストンに作用する力/速度特性が低くなる。
【0052】
さらに、発電機はモータとして駆動することができ、油圧モータは、油圧ポンプとして利用することができる。これはダンパの駆動を可能にし、能動リニアアクチュエータをもたらす。
図4の実施形態を実例として使用する、かかる使用の例には、電圧を印加することで電気モータ/発電機18を駆動するものがある。例として、ブラシ付きDCモータを発電機として使用することができ、ジェロータポンプを油圧モータとして使用することができるが、本発明(1つまたは複数)は、この点について限定されない。電圧が発電機18に印加されると、油圧モータ機構は回転し、(DCモータ/発電機に対する電圧極性によって決まる)回転の方向に従って、圧縮容積部73から拡張容積部74にか、またはその逆かのいずれかで流体を押し込む。一方の容積部から他方への流体の移動により、ピストンヘッドが移動し、ピストンロッドが駆動される。一部の用途では、これは、乗り心地および地形横断特性を改善するために、ホイールの制御可能な配置を可能にする、車両内の能動サスペンションシステムとして有用であり得る。一部の産業用途では、これは、高い出力密度特性を有する、独立型の封止された油圧アクチュエータとして有用であり得る。
【0053】
一実施形態では、アキュムレータ76内のガスは、最大圧縮(ジャウンス)制動が、アキュムレータ76によって圧縮容積部73に加えられる力を超えないことを保証するように加圧されるべきである。一実施形態では、圧力は、通常200~800psiの範囲であるが、適切な値は、以下の通り、すなわち、アキュムレータ圧力>最大ジャウンス制動力/浮体式ピストンの表面積、として算出することができる。
【0054】
図4Aの実施形態は、
図4に示す構成のモノチューブ式ダンパを示しており、IPH71は、
図3に示す実施形態のものである。この場合に、IPH72は、ピストンロッド30に連結されたピストンヘッド150に連結されている。シール151は、ピストンアダプタ内に収容され、それにより、IPH72を、例えば、
図6に示すような他のダンパ構成と共通にすることが可能になる。シールをIPH71内に直接収容すること、およびIPHをピストンロッド30に直接連結することも当然可能である。
【0055】
統合ピストンヘッド1を組み込んだ、説明したモノチューブ式ダンパの一部の実施形態にはさらなる特徴がある。車両用ダンパなどの用途では、ジャウンス時に制動を最小限にしなければならない場合が多い。ジャウンス時に、流体経路が油圧モータを通る場合と比較して制動を抑制するために、流体がバイパス弁を介して圧縮容積部から拡張容積部に流れることができるが、逆はできないように、逆止弁「バイパス」42を統合ピストンヘッド(または他の位置)に組み込むことができる。さらに、方向性のない弁、バイパス、および吹出弁44などの他の弁を使用して、乗り心地特性をさらに調整することができる。
【0056】
場合によっては、シャフトシールからの流体漏出の可能性を最小限にするために、ガス充填アキュムレータをなくして、低圧でシステムを動作させることが望ましい。さらに、(例えば、ハウジング長さに対するピストン行程の比率を損なうことなしに、より大きいモータを設置可能にするために)、発電機をピストンヘッドから外して配置するのが望ましいことがある。
図5は、低圧で動作し、発電機をピストンヘッドから外して配置し、圧縮バイパスを特徴として備える、統合されたエネルギ生成ダンパの一実施形態を示している。
【0057】
図5のツインチューブ式ダンパの実施形態は、圧縮容積部79および拡張容積部80を含む内側ハウジング内に配置されたピストンヘッド81を有する。第1のモードでは、ピストン81はジャウンス行程の少なくとも一部を移動して、圧縮容積部79内の油圧流体を加圧する。第2のモードでは、ピストンは、逆戻り行程を少なくとも部分的に移動して、拡張容積部80内の油圧流体を加圧する。内側チューブと同心の外側チューブは、低圧容積部82を含む。低圧容積部82は、流体および圧縮性媒体(ガス、発泡体、空気袋など)の両方を含む。内側ハウジング内に配置されたピストンヘッド81は、第1のポート84および第2のポート85を含む内蔵型油圧モータ83を含む。第1のポート84は、圧縮容積部79と流体連通し、第2のポート85は拡張容積部80と流体連通している。ピストンロッド86は中空であり、ピストンヘッド81上の油圧モータ83をピストンロッド86の他端上の電気モータ/発電機89と連結するシャフト87を含む。油圧モータ83の回転により、電気モータ/発電機89が回転する。
【0058】
図5の実施形態では、逆戻り制動が電気モータ/発電機89によって行われ、ピストンロッド86の内部のシャフト87を介して伝達される。シャフト87に作用した抵抗力は油圧モータ83に伝達されて、圧縮容積部79と拡張容積部80との間の流体流れを制限する。前述のように、ダンパの運動特性は、電気モータ/発電機の端子の電気特性を変えることで変えることができる。さらに、システムは、電気モータ/発電機に電力を供給することで、能動的に駆動することができる。
【0059】
弁90、91は、ジャウンス時に、流体が圧縮容積部79から制限しない開放弁90を通って流れ、低圧容積部82を通り、逆止弁91を通って拡張容積部80に自由に流入するように、低圧容積部82に出入りする流れを制限する。逆戻り時、逆止弁91は閉じて、拡張容積部80からの流体がピストンヘッド81を通り抜けるようにし、一方、抜け出たピストンロッドの体積分を補充するための少量の流体が、低圧容積部82から開放弁90を通って圧縮容積部79に流入する。
【0060】
図5のツインチューブ式の実施形態では、ジャウンス時に、圧縮容積部79内の加圧された流体は、開放弁90を通って低圧容積部82に流入し、逆止弁91から出て拡張容積部80に入る。この実施形態では、開放弁90に入る流体の体積は、逆止弁91から出る流体の体積よりも大きく、この体積差は、低圧容積部内の圧縮性媒体を圧縮することで低圧容積部に蓄積される。この流体経路に加えて、多少の流体が、圧縮容積部79からピストンヘッド81を通って拡張体積部80に進み、その間、発電機89で電気を生成する。
【0061】
逆戻り時、
図5の実施形態は、拡張容積部80内の流体を加圧し、それにより、逆止弁91が閉じる。流体は、拡張容積部80からピストンヘッド81を通って圧縮容積部79に流入せざるを得なくなる。同時に、低圧容積部82内の蓄積された流体は、低圧容積部82内の圧縮性媒体が膨張するときに、ピストンロッドの体積分を補充するために、開放弁90を通って圧縮容積部79に流入する。流体は、圧縮容積部80からポート85を通って油圧モータ83に流入し、ポート84から出て拡張容積部79に入り、油圧モータ83が回転する。これは、ピストンロッド86の内部に延びるシャフト87とモータ/発電機89とを回転させるので、この流体流れにより、モータ/発電機で逆起電力(EMF)が発生して制動を行う。
【0062】
図5に示す実施形態では、オフセットループ93を使用して、ピストンロッド86を車両に取り付けるが、ループ連結器、またはねじ付きピストンロッド取付具などの任意の適切な取り付け方法を採用することができる。
図5のシステムでは、発電機はピストンロッドの取付点の上に置かれている。いくつかの実施形態はこれを可能にする。一実施形態では、シャフト87は、シャフトの流体収容側をシャフトの外気側から分離するシャフトシールを通り抜ける。一例では、これは、キー付きシャフト87が発電機容器92に挿入されるのを可能にし、発電機容器92はピストンロッドに螺入でき、ダンパのピストンロッド端部用の主取付装置として機能する。別の実施形態では、オフセットループアダプタを上部および底部に使用して、ダンパに側面荷重をかけることなく、ボルト締めで取り付けることを可能にする。この場合に、シャフト87の全長および発電機92は、製造時に流体中に閉じ込めることができて、現場での設置用の圧力シャフトシールが不要になる。別の実施形態では、取り付け時に発電機容器にねじを切る必要のない鳩目実装点、またはピストンロッドナット実装取り付けのいずれかの方法を可能にするように、アダプタをピストンロッドに取り付けることができる。この場合も、これは、摩擦を引き起こす、モータシャフト87上のシャフトシールをなくすことを可能にする。ダンパのピストンロッド端部のいくつかの取り付け方法が提示されたが、本発明は、この点について限定されない。
【0063】
図6は、
図5に示すものと同様に、低圧で動作し、発電機をピストンヘッドから外して配置し、圧縮バイパスを特徴として備えるが、モータ/発電機がピストンヘッドと反対側のピストンロッドの端部に配置されるのではなくて、シリンダ本体に垂直に配置されるという点で異なる、統合されたエネルギ生成ダンパの一実施形態を示している。この構成は、ショック長全体を短くし、さらには、長くて細い同心シャフトを不要にするという利益をもたらす。この構成は、ショック長および実装要件が制約される車両のダンパ用途に、より適することができる。
【0064】
図6のツインチューブ式ダンパの実施形態は、圧縮容積部95および拡張容積部96を含む内側ハウジング内に配置されたピストン94を含む。第1のモードでは、ピストン94はジャウンス行程の少なくとも一部を移動して、圧縮容積部95内の油圧流体を加圧する。第2のモードでは、ピストンは、逆戻り行程を少なくとも部分的に移動して、拡張容積部96内の油圧流体を加圧する。内側チューブと同心の外側チューブは、低圧容積部97を含む。低圧容積部97は、流体および圧縮性媒体98(ガス、発泡体、または空気袋など)の両方を含む。一体型モータ/発電機ユニット(IMGU)72は、ダンパのロッド端部に配置されている。
図6に示すIMGUは、
図3に示すものと同様であるが、
図1または
図2に示すものと同様でもよく、第1のポート100および第2のポート101を含む。第1のポート100は、低圧縮容積部97と流体連通し、第2のポート101は拡張容積部96と流体連通している。
【0065】
弁102は、ジャウンス時に流体が圧縮容積部95から弁102を通って低圧容積部97に流入するように低圧容積部97に出入りする流れを制限する。弁102は、用途に適切なジャウンス制動特性を付与するように、この方向の必要とされる流れ抵抗をもたらす。逆戻り時、弁102は、低圧容積部97から圧縮容積部95への自由な流れを可能にする。
【0066】
図6のツインチューブ式の実施形態では、ジャウンス時、圧縮容積部95内の加圧された流体は、弁102を通って低圧容積部97に流入し、ポート100を通ってIMGU72に入り、ポート101からIMGUを出て、拡張容積部96に入る。この実施形態では、圧縮体積部95から出た流体の体積は、拡張席部96に入る流体の体積よりも大きく、この体積差は、低圧容積部97内の圧縮性媒体98を圧縮することで低圧容積部97に蓄積される。逆戻り時、
図6の実施形態は、拡張容積部96内の流体を加圧して、流れが拡張容積部96からポート101、102経由でIMGU72を通って低圧容積部97に入り、開放弁102を通って圧縮容積部95に入るようにする。同時に、低圧容積部97内の蓄積された流体も、低圧容積部97内の圧縮性媒体98が膨張するために、開放弁102を通って圧縮容積部95に流入して、ピストンロッドの体積分を補充する。流体が、拡張容積部96からポート101を通ってIMGU72に流入し、ポート100からIMGUを出て圧縮容積部96に戻るときに、油圧モータ55および発電機50が回転する。
図2で説明したように、これは、モータ/発電機で逆起電力(EMF)を発生させて制動を行い、さらに電気を生成する。前述のように、ダンパの運動特性は、電気モータ/発電機の端子の電気特性を変えることで変えることができる。さらに、システムは、電気モータ/発電機に電力を供給することで、能動的に駆動することができる。
【0067】
図6に示す実施形態では、ジャウンス時に、圧縮容積部95から弁102を通って低圧容積部97に流入した流体は、次いで、ポート100を通ってIMGU72に流入し、ポート101を通ってIMGUから出ていき、次いで、拡張容積部96に入る。ジャウンス行程時にIMGFUを貫流する流体により、モータ55および発電機50が回転し、たとえ逆起電力が全く発生しないとしても、必要とされるジャウンス制動力が小さいために、流体流れおよび回転部分からの寄生損失により、特定の用途にとって高すぎるジャウンス制動力が発生することがある。これらの用途では、低圧容積部97を圧縮容積部96に接続するバイパス逆止弁105を組み込むことが可能である。逆止弁は、流体が低圧容積部97から直接圧縮容積部96に自由に流れるのを可能にし、それによって、ジャウンス制動力を弱めるが、逆戻り制動時には、流れがIMGUを迂回するのを阻止する。
【0068】
図6に示す実施形態では、ジャウンス行程および逆戻り行程の両方の最後の部分中に、ピストン94のポケット103と端部キャップのジャーナル104との間に捕捉されるある量の油がある。ピストン94が、ジャーナル104が(ジャウンス行程または逆戻り行程のいずれかで)ポケット103に入るように行程を行うと、ポケット103内に捕捉された油圧流体は、ジャーナルの外径部とポケットの内径部との間に形成された環状ギャップから流出せざるを得なくなる。環状ギャップは、ジャウンス行程および逆戻り行程の両方の終わりに、ポケット領域にわたって作用する圧力スパイクが発生して、油圧緩衝器として作用するさらなる力を発生させるような寸法とされる。ポケット103とジャーナル104との間のクリアランスは、用途に適した正確な量の緩衝効果をもたらすように選択することができる。
【0069】
一部の利用シナリオでは、圧縮制動でガス圧が制限されず、圧縮および逆戻りの両方でのエネルギの取り込みを特徴とし、本体長さ当たりの行程長さを最大化するエネルギ生成ダンパを有することが望ましい。上記の特徴を導入したいくつかの実施形態が下記に説明される。
【0070】
図7に示す実施形態によれば、エネルギ収集IMGUを組み込んだトリチューブ式ダンパ構造が開示されている。この実施形態では、ピストンロッド105および油圧ラムタイプ(中実)のピストン106が内部流体充填シリンダ107に配置されている。内側ハウジング(圧縮容積部108および拡張容積部109をまとめたもの)は、内側チューブ107と同心である第2のチューブ110によって囲まれている。内側チューブと第2のチューブとの間の空間には、高圧容積部111がある。第2のチューブ110は、第2のチューブと同心である第3のチューブ112によって囲まれている。第2のチューブと第3のチューブとの間の空間には、低圧容積部112がある。一部の実施形態では、高圧チューブおよび低圧チューブは逆にすることができる。
【0071】
図7の実施形態では、一体型モータ/発電機ユニット(IMGU)72は、ダンパのロッド端部に配置されている。
図7に示すIMGUは、
図3に示すものと同様であり、代替案として、
図1または
図2に示すものと同様であってもよく、第1のポート113および第2のポート114を含む。第1のポート113は高圧容積部111と流体連通し、第2のポート114は低圧容積部112と流体連通している。
【0072】
ジャウンス時、ピストンロッド105は、ピストン106を圧縮容積部108に押し込み、これは、流体を方向性逆止弁115を介して圧縮容積部から高圧容積部に進ませる。高圧容積部111は、IMGU72の第1のポート113と流体連通している。流体は、高圧容積部111から第1のポート113を通ってIMGU72を通り抜け、第2のポート114から出て低圧容積部112に入り、方向性逆止弁116を通って拡張容積部109に入る。同時に、低圧容積部112内の気泡発泡体、または空気袋などの圧縮性媒体117は、導入されたピストンロッドの体積分と置き換わるように収縮する。
【0073】
逆戻り時、ピストンロッド105はピストン106を拡張容積部109に引き寄せ、これは、流体を方向性逆止弁118を介して拡張容積部から高圧容積部111に進ませる。高圧容積部111は、IMGU72の第1のポート113と流体連通している。流体は、高圧容積部111から第1のポート113を通ってIMGU72を通り抜け、第2のポート114から出て低圧容積部112に入り、方向性逆止弁119を通って圧縮容積部108に入る。同時に、低圧容積部112内の圧縮性媒体117は、引き出されたピストンロッドの体積分を埋めるように減圧される。
【0074】
流体が、高圧容積部111からポート113を通ってIMGU72に流入し、ポート114からIMGUを出て低圧容積部112に戻るときに、油圧モータ55および発電機50が回転する。
図2の実施形態で説明したように、これは、モータ/発電機で逆起電力(EMF)を発生させて制動を行い、さらに電気を生成する。前述のように、ダンパの運動特性は、電気モータ/発電機の端子の電気特性を変えることで変えることができる。さらに、システムは、電気モータ/発電機に電力を供給することで、能動的に駆動することができる。
【0075】
別の実施形態によれば、
図8は、ガス圧力を制限されず、双方向のエネルギの取り込みを特徴とし、ストローク対本体長さ比が大きいツインチューブ構造を示している。このシステムは、低圧であるポートのどれもが、常にアキュムレータに接続されることを保証するように動作する弁機構を用いたツインチューブ式本体構造において、
図2に示す統合ピストンヘッドを利用する(ただし、ピストンヘッドは、
図1または
図3に示すIPHであってもよい)。逆止弁、または3ポートパイロット操作スプール弁などのパイロット操作弁が、この動作を行うことができる。シャトル弁もまた、共通ポート上のガスアキュムレータ124が、ピストンヘッドの低圧側と常に流体連通するのを保証することができる。
【0076】
図8に示す実施形態では、統合ピストンヘッド71は、油圧流体を収容する内側シリンダ内に配置されている。内側シリンダの拡張容積部120は、内側シリンダと、同心の外側シリンダとの間に収容された外側流体容積部121と流体連通している。圧縮容積部122および外側流体容積部121は共に、パイロット操作弁ブロック123と流体連通している。ガス充填アキュムレータまたは貯蔵器124もパイロット操作弁ブロック123と流体連通している。
【0077】
ジャウンス時、ピストンロッド30は、シリンダ内に押し込まれて、流体に圧縮容積部122から油圧モータ16を通り抜けさせ、さらに拡張容積部120に進ませ、油圧モータ16は、電気モータ/発電機18を回転させる。発電機からの電気は、ピストンロッド30の中心を通る電線を下る。高圧電線パススルーは、内部ショック本体の流体部分を外部から密封する。ジャウンス行程は、ピストンロッドの体積分を拡張容積部に導入するので、流体は、拡張容積部からアキュムレータ124に移動しなければならず、これは、弁ブロック123を介して行われる。圧縮容積部が加圧されると、パイロット操作逆止弁125が、弁ブロック123内でパイロット線127によって開かれる。これは、アキュムレータ124と拡張容積部120との間の自由な流れを可能にし、それにより、導入されたロッド体積分が拡張容積部からアキュムレータ124に流入するのを可能にする。
【0078】
逆戻り時、ピストンロッド30は、シリンダから引き出され、流体に拡張容積部120から油圧モータ16を通り抜けさせ、さらに圧縮容積部122に進ませ、油圧モータ16は、電気モータ/発電機18を回転させる。逆戻り行程は、ピストンロッドの体積分を圧縮容積部から抜き取るので、流体は、アキュムレータ124から移動しなければならず、これは、弁ブロック123を介して行われる。ロッド体積分が、アキュムレータから圧縮容積部に補充される必要があるときに、圧縮容積部内の圧力はアキュムレータの圧力よりも低く、これは、流体がアキュムレータ124から逆止弁126を通って圧縮体積部122に流入するのを可能にする。
【0079】
示した実施形態では、弁ブロック123は、IPHの低圧であるポートのどれもが常にアキュムレータに接続されることを保証するために、逆止弁126およびパイロット操作逆止弁125を含むが、これは、圧縮容積部122と拡張容積部120との間でアキュムレータ124の接続を切り換えることができて、アキュムレータが常に低い方の圧力容積部と流体連通する、スプール弁機構などの他の弁構成を使用して行うこともできる。この実施形態では、ジャウンス時に、圧縮容積部122内の圧力は、拡張容積部120内の圧力よりも高く、圧縮容積部122に接続された、弁ブロック123内の内部パイロットポートは、アキュムレータ124と拡張容積部120との間が流体連通できるようにシャトル機構を押す。逆戻り時に、拡張容積部120内の圧力は、圧縮容積部122内の圧力よりも高く、拡張容積部120に接続された、弁ブロック123内の内部パイロットポートは、アキュムレータ124と圧縮容積部122との間が流体連通できるようにシャトル機構を押す。シャトル弁機構、他のパイロット操作機構、および圧力差に基づいて異なる流体容積部を選択的に接続する弁(機械駆動式および電気駆動式の弁を含む)は、当技術分野で公知であり、本発明(1つまたは複数)において限定されない。
【0080】
油圧モータ16および電気モータ/発電機18は、統合ピストンヘッド71の構成で示されているが、
図8の実施形態は、ピストンヘッドが油圧モータを含み、ピストンロッドが内部回転シャフトを含み、電気モータ/発電機がピストンロッドの反対側にある
図5のピストンヘッド、ピストンロッド、および電気モータ/発電機構成で構築することもできる。別の実施形態では、
図8のシステムは、
図6に開示したシステムなど、中実ピストンヘッドと、ダンパのベース部で、かつ外部に位置する油圧モータおよび発電機対とで構築することができる。この場合に、油圧モータの第1のポートが圧縮容積部122と流体連通し、第2のポートが(外側流体容積部121を介して)拡張容積部120と流体連通する。弁ブロック123を含むシステムの残りの部分は
図8に示す通りのままとすることができる。
【0081】
封止された油圧式リニアエネルギ生成装置の特定の産業用途では、典型的な自動車用ダンパとは別の形状因子が可能になる。
図9に示す実施形態では、シャフトが貫通した統合ピストンヘッドシステムが示されている。この実施形態では、統合ピストンヘッド128は、油圧流体を収容するシリンダ内に配置され、第1のピストンロッド129および第2のピストンロッド130に連結されている。
図9に示すピストンヘッドは、
図3に示すものと同様であるが、
図1または
図2に示すものと同様であってもよい。一部の実施形態では、装置から出た第2のピストンロッド130は、他方のピストンロッドを標準の圧縮された状態に戻すために、スプリング機構に連結することができる。
【0082】
ピストンロッドが第1の方向に進む間、第1の容積部131からの流体は、油圧モータ132を通って流れることを強いられ、第2の容積部134に進み、油圧モータ132は、電気モータ/発電機133を回転させる。発電機からの電気は、ピストンロッドの一方の中心を通る電線を下り、高圧電線パススルーは、内部ショック本体の流体部分を外部から密封する。
【0083】
ピストンロッドが第2の方向に進む間、第2の容積部134からの流体は、油圧モータ132を通って流れることを強いられ、第1の容積部131に進み、油圧モータ132は、電気モータ/発電機133を回転させる。
【0084】
温度変動による流体の体積変化を補償するために、流体と置き換わる装置がシステムの内部にある。
図9に示す実施形態では、これは、ピストンロッド134の一方内の隙間135に挿入された圧縮性気泡発泡体であると示されている。ただし、流体補償機構の配置は、ユニットの内部の別の位置または外部にあってもよい。さらに、他の装置の中でも特にアキュムレータを発泡体の代替として、または発泡体に加えて使用して、流体と置き換えることができる。一部の実施形態では、流体補償機構が受ける圧力を制限するのが望ましいことがある。これらの実施形態では、
図8で説明したように、シャトル弁を採用することができる。
【0085】
重構造の軍用車両などの特定の用途では、エネルギ収集回転式ダンパを有するのが望ましい。
図10の実施形態は、一体型モータ/発電機ユニット(IMGU)が回転式ダンパユニット136に連結されたシステムとして上記のダンパを示している。示した実施形態では、IMGU72は
図3に示すものと同様であるが、
図1または
図2に示すものと同様であってもよい。第1の方向でのダンパレバーの行程中に、第1の容積部(1つまたは複数)からの流体は、第1のポート59に流入し、油圧モータ55を通り抜け、第2のポート60から出て第2の容積部(1つまたは複数)139に入ることを強いられる。
図7で説明したように、流体がモータ55を貫流するときに、モータおよび発電機は回転し、電気を生成する。第2の方向でのダンパレバーの行程中に、第2の容積部(1つまたは複数)139からの流体は、第2のポート60に流入し、油圧モータ55を通り抜け、第1のポート59から出て第1の容積部(1つまたは複数)138に入ることを強いられる。
図7で説明したように、流体がモータ55を貫流するときに、モータおよび発電機は回転し、電気を生成する。温度変動による流体の体積変化を補償するために、流体と置き換わる装置を、いくつかの装置の中で特に圧縮性気泡発泡体またはアキュムレータとして、内部または外部のいずれかに組み込むことができる。
【0086】
示した実施形態では、IMGUは、回転式ダンパの外部装置として示されているが、IMGUは、回転式ダンパ機構に容易に組み込むことができ、それによって、機械ユニット全体の大きさが小さくなり、外部油圧接続部がなくなる。
【0087】
他の回転式ダンパ構成を採用することができ、エネルギ収集IPHまたはIMGUをこれらの装置に組み込むことが可能であるが、本発明は、この点について限定されない。
【0088】
電子油圧リニアアクチュエータの特定の産業への応用では、質量が持ち上げられ、次いで下ろされる持ち上げ装置などで、アクチュエータの作動とは反対の方向においてエネルギを取り込む能力が付与される。
図11および
図11Aに示す実施形態では、圧縮行程でエネルギを取り込み、拡張行程において電力で作動することができるツインチューブ式エネルギ収集電子油圧リニアアクチュエータが提示されている。
【0089】
図11に示す実施形態では、IPH弁は、アクチュエータと同心であるアクチュエータのベース部に配置され、
図11Aに示す実施形態に見られるように、IPH弁をアクチュエータ本体のベース部であるが、アクチュエータの軸に対して垂直に配置することも可能である(IPH弁は、アクチュエータ本体のベース部であるが、アクチュエータ軸に平行に配置することもできる)。これは、アクチュエータの長さが重要である特定の用途において実装上の利益をもたらすことができる。
【0090】
図11および
図11Aのツインチューブ式の実施形態は、圧縮容積部142および拡張容積部143を含む内側ハウジング141内に配置されたピストン140を有する。第1のモードでは、圧縮容積部142は加圧され、力に打ち勝ってピストン140を拡張行程の少なくとも一部を通るように移動させる。第2のモードでは、ピストンが圧縮行程を少なくとも部分的に通って、圧縮容積部142内の油圧流体を力によって加圧する。内側チューブ141と同心の外側チューブ144は、流路146を介して拡張容積部と流体連通する低圧容積部145を含む。低圧容積部145は、流体および圧縮性媒体147(ガス、発泡体、空気袋など)の両方を含む。統合ピストンヘッド(IPH)アセンブリ71(
図11Aでは72)は、アクチュエータのベース部に配置されている。IPHアセンブリは、
図1、
図2、または
図3に示すものと同様とすることができ、第1のポート148および第2のポート149を含む。第1のポート148は、圧縮容積部142と流体連通し、第2のポート149は低圧容積部145と流体連通している。
図11および
図11Aのツインチューブ式の実施形態では、拡張時に、電力が電気モータ/発電機18に供給されて、電気モータ/発電機18および油圧モータ16を回転させ、これにより、流体が油圧モータからポート148を通って圧縮容積部142に流入する。これは、圧縮容積部内に圧力を発生させて、ピストンロッドに現在かかっている力に打ち勝つ、ピストンロッド140に作用する力を発生させ、ピストンを拡張させる。ピストンが拡張するときに、流体は、拡張容積部143から移動し、低圧チャンバ145を通り、第2のポート149を通って、油圧モータ16の低圧側に流入する。この実施形態では、圧縮容積部142に流入する流体の体積は、拡張体積部143を出た流体の体積よりも小さく、この体積差は、低圧容積部145内の圧縮性媒体147を膨張させることで、低圧容積部145に蓄積された体積から引き出される。
【0091】
荷重保持弁(逆止弁など)は、第1のポート148と圧縮容積部142との間に配置されて、アクチュエータが荷重保持動作下にあるときに、油圧モータを通る漏れをなくすことができる。これは、安全上の問題を引き起こす、荷重保持中のピストンの後退を防止する。荷重保持弁は、パイロット操作される電気駆動式または機械駆動式とすることができ、これらの弁は、当技術分野で公知であり、本特許は、この点について限定されない。
【0092】
この実施形態では、ピストンの後退を2つの方法で行うことができ、ピストンロッドに作用する外部荷重が存在する第1のモードでは(アクチュエータが、例えば、有効荷重を下ろすのに使用される場合)、ピストンは、この力を受けて後退しようとする。荷重保持弁が使用される場合、ピストンは、この弁が作動して、圧縮容積部142から第1のポート148への流体流れを可能にするまで後退しない。(電子手段、機械手段などによって)この弁が作動すると、ピストンロッドに荷重がかかっているために、流体は圧縮容積部142から第1のポート148に流れ、モータ16を回転させる。これにより、発電機18が回転して、
図2で説明したように、この流れを阻止するようにモータ/発電機で逆起電力(EMF)が発生し、電気が生成される。コントローラは、発電機に様々なインピーダンスを付与することができ、それにより、流体が圧縮容積部から第1のポートに流れる流量を制御し、有効荷重を下ろすための、制御可能で、かつ安全な方法を提供する。
【0093】
アクチュエータに作用する有効荷重がない第2のモードでは、ピストンは、電気モータ/発電機18に電力を供給して、電気モータ/発電機18および油圧モータ16を回転させることで後退する。油圧モータ16が回転することで、流体が圧縮容積部142から第1のポート148に流れて、低圧容積部145および拡張容積部143を加圧し、それによりピストン140を後退させる。これは、低圧容積部を加圧することを必要とするが、アクチュエータおよび任意の付随する機構の摩擦に打ち勝つだけでよいので、この用途においてピストンを後退させる荷重は非常に小さく、したがって、低圧容積部が到達する圧力は、低圧容積部内に収容された圧縮性媒体の限界の範囲内である。荷重保持弁が上記のように利用される場合、この弁は、ピストンが後退する前に最初に作動されなければならない。
【0094】
ピストンの後退時に、流体は、圧縮容積部142から第1のポート148に流入し、モータ16を通り、第2のポート149を通って低圧容積部145に入り、拡張容積部143に入る。示した実施形態では、圧縮容積部から移動した体積は、拡張容積部に流入する体積よりも大きく、この体積差は、低圧容積部145内の圧縮性媒体147を圧縮することで、低圧容積部145内に蓄積される。
【0095】
図11および
図11Aの実施形態で示したエネルギ収集電子油圧リニアアクチュエータの特定の用途では、圧力逃がし弁、熱膨張逃がし弁などの他の弁を追加することが必要なことがあり、これらの弁の組み込みは、このタイプのアクチュエータの技術分野で公知であり、本特許は、この点について限定されない。
【0096】
特定のエネルギ収集用途では、行程方向に関係なく、モータ/発電機アセンブリを同じ方向に回転させ続けることが有益なことがある。この用途の場合、整流弁回路を介してモータ/発電機アセンブリをアクチュエータ(リニア式、または回転式)に接続することが可能である。
図12に示す実施形態では、整流弁回路を介して一体型モータ/発電機アセンブリに接続されたエネルギ収集リニアアクチュエータが提示されている。示した実施形態では、整流弁回路150は4逆止弁の形態であるが、当然ながら、パイロット操作スプール弁(1つまたは複数)などを使用して、同じ機能を果たすことができ、本特許は、この点について限定されない。
【0097】
示した実施形態では、一体型モータ/発電機アセンブリは、
図3に示すものと同様であるが、
図1または
図2に示すものと同様でもよく、第1のポート151および第2のポート152を含む。第1のポート151は、整流回路の排出側と流体連通し、第2のポート152は整流回路の戻し側と流体連通している。示した実施形態では、リニアアクチュエータは、アクチュエータの拡張側と流体連通した第1のポート153と、圧縮側と流体連通した第2のポート154とを有するツインチューブ構成の形態である。ピストン155は、拡張容積部156および圧縮容積部157を含む内側ハウジング内に配置されている。第1のモードでは、ピストン155は、拡張行程の少なくとも一部分を通って拡張容積部156内の油圧流体を加圧する。第2のモードでは、ピストンは、圧縮行程を少なくとも部分的に通って、圧縮容積部157内の油圧流体を加圧する。内側チューブと同心の外側チューブは、圧縮容積部157を第2のポート154に接続する。
【0098】
整流回路は、拡張行程時にアクチュエータの第1のポートから、または圧縮行程時に第2のポートから排出された流体が、常に整流回路の排出側に回されてIMGU72の第1のポートに入り、IMGUの第2のポート152から排出された流体が、圧縮行程時にアクチュエータの第1のポート153に、または拡張行程時に第2のポート154に常に回されるように構成されている。これは、アクチュエータが拡張するか、または荷重を受けて後退するかにかかわらず、確実に、モータ/発電機の回転方向が一定のままであるようにする。
【0099】
アキュムレータまたは貯蔵器158は、IMGU72の第2のポート152に接続されて、拡張行程および圧縮行程で発生する体積の差を吸収する。示した実施形態では、貯蔵器は、第2のポート152の反対側の対称性ポートに接続されているが、貯蔵器は、整流回路の戻し線の途中の任意の位置に接続することができる。
【0100】
エネルギ収集アクチュエータでの整流器回路の使用に関する問題の1つは、モータ/発電機が、アクチュエータを駆動し返すことができないことであり、モータ/発電機は、特定の慣性条件のもとで「慣性で回転する」ことができる。しかし、これは、逆止弁(またはスプール弁)を(電気的にか、または機械的にかのいずれかで動作する)パイロット操作弁に置き換え、次いで、油圧モータの第2のポート152が第2のポート154に流体連通しているときに、第1のポート151を通る油圧モータからの排出が、アクチュエータの第1のポート153と流体連通するように弁のシーケンスを決めることで解決することができる。
【0101】
産業、軍隊、および航空宇宙などの特定の用途は、必要とされる出力密度を達成する上での加圧能力および効率という観点から、より高い性能の油圧式電力供給装置を必要とすることがある。
図13および
図13Aの実施形態では、発電機と同心かつ同一平面上に配置された軸方向ピストンユニットを含む一体型モータ/発電機ユニットが示されている。この実施形態は
図3に示すものと同様であるが、この場合、油圧ユニットは、ジェロータポンプではなくて軸方向ピストンユニット(すなわち、斜板ユニット)である。斜板ポンプは、他のタイプの油圧ポンプと比べた場合に、加圧能力、速度、効率、および耐久性という点で高い性能を提供することができる。
【0102】
示した実施形態では、軸方向ピストンユニット159のシリンダブロック160は、発電機162のマグネット161に駆動可能に連結され、ベアリング163によって端部キャップ164、165に支持されている。端部キャップ163は、流れを流路168を介してシリンダブロック160に出入りさせる整流プレートとして機能するように構成された第1のポート166および第2のポート167を含む。斜板169は、端部キャップ165上でシリンダブロック流路168の反対側に配置されている。複数のピストン170がシリンダブロック160の穴内に収容され、ピストン足部171によって斜板に保持されている。ピストンが斜板に保持され、カムに押し付けられてシリンダ穴に出入りする方法は当技術分野で公知であり、これらの動作を明らかにするのは本特許の範囲内ではなく、また、シリンダブロックが(スプリングまたは他の手段によって)整流プレートに担持される方法も同様に公知である。
【0103】
電力が発電機に供給されると、発電機は電気モータとして機能し、シリンダブロック160を回転させ、次に、これは、ピストン170によるポンプ動作を引き起こし、第1および第2のポートを通る流れが生じる。流れの方向は、シリンダブロックの回転方向に依存し、一方、シリンダブロックの回転方向は、電気モータに供給される電流の向きに依存する。反対に、第1または第2のポートが加圧された場合、軸方向ピストンユニットはモータとして機能し、この圧力差に基づいて回転する。次に、これは、前述のように、発電機によって電気を生成する。
【0104】
電気モータの回転数を制御することで、ユニットの押しのけ容積を変える必要なしに、軸方向ピストンユニットの回転速度、ひいては流量を変えることができる。可変容積形軸方向ピストンポンプの多数の変形型が存在し、それらは需要を満たすように流量を制御できるという利点を有するが、それらはすべて、それらの押しのけ容積がゼロに近づくにつれて、それらの容積効率が落ちるという欠点を有する。
【0105】
軸方向ピストンユニットをモータ/発電機と同心、かつ同一平面上に配置する利点は、可変容積形軸方向ピストンポンプ以下の大きさである軸方向ピストンポンプが、その最大押しのけ容積のまま、したがって、その行程容積を維持しながら流量を可変にすることができることである。
【0106】
一部の利用シナリオでは、圧縮制動においてガス圧が制限されず、圧縮および逆戻りの両方でのエネルギの取り込みを特徴とするエネルギ生成ダンパを有することが望ましく、上記の特徴を取り入れた、
図14および
図14Aに示す実施形態が以下に説明される。
【0107】
図14および
図14Aに示す実施形態によれば、エネルギ収集IMGUを組み込んだトリチューブ式ダンパ構造が開示されている。この実施形態では、ピストンロッド172および油圧ラムタイプ(中実)のピストン173が内部流体充填シリンダ174内に配置されている。内側ハウジング(圧縮容積部175および拡張容積部176をまとめたもの)は、内側チューブ174と同心である第2のチューブ177によって囲まれている。内側チューブと第2のチューブとの間の空間には、高圧容積部178がある。第2のチューブ177は、第2のチューブと同心である第3のチューブ179によって囲まれている。第2のチューブと第3のチューブとの間の空間には、低圧容積部180がある。一部の実施形態では、高圧チューブおよび低圧チューブは逆にすることができる。
【0108】
図14の実施形態では、一体型モータ/発電機ユニット(IMGU)72は、ダンパのベース端部で側面に配置され、
図14Aの実施形態では、一体型モータ/発電機ユニット(IMGU)72は、ダンパのベース端部に配置されている。
図14および
図14Aに示すIMGUは、
図3に示すものと同様であり、代替案として、
図1または
図2に示すものと同様であってもよく、第1のポート181および第2のポート182を含む。第1のポート181は高圧容積部178と流体連通し、第2のポート182は低圧容積部180と流体連通している。
【0109】
ジャウンス時、ピストンロッド172は、ピストン173を圧縮容積部175に押し込み、圧縮容積部175内の流体は、方向性逆止弁183によって低圧容積部に流入するのを阻止され、圧縮容積部175から、ピストン173内に収容された方向性逆止弁184を通って拡張容積部176に流入することを強いられる。圧縮チャンバ内の移動する体積は、拡張チャンバにもたらされる体積よりもピストンロッド172の体積分だけ大きいので、体積の差分は、高圧容積部178を通ってIMGUの第1のポート181に入り、第2のポート182から出て低圧容積部180に入る。同時に、低圧容積部180内の気泡発泡体または空気袋などの圧縮性媒体185、あるいはガス塊は収縮して、導入されるピストンロッド体積分と置き換わる。
【0110】
逆戻り時、ピストンロッド172はピストン173を拡張容積部176に引き込み、拡張容積部176内の流体は、方向性逆止弁184によって低圧縮容積部に流入するのを阻止され、拡張容積部から高圧容積部180に進むことを強いられる。高圧容積部180は、IMGU72の第1のポート181と流体連通している。流体は、高圧容積部180から第1のポート181を通ってIMGU72を通り抜け、第2のポート182から出て低圧容積部180に入り、方向性逆止弁183を通って圧縮容積部175に入る。同時に、低圧容積部180内の圧縮性媒体185は、流体が低圧容積部180から方向性逆止弁183を通って圧縮容積部に入ったときに減圧されて、引き出されたピストンロッド体積分を埋める。
【0111】
流体が、高圧容積部178からポート181を通ってIMGU72に入り、ポート182からIMGUを出て低圧容積部180に戻るときに、油圧モータ55および発電機50が回転する。
図2の実施形態で説明したように、これは、モータ/発電機で逆起電力(EMF)を発生させて制動を行い、さらに電気を生成する。前述のように、ダンパの運動特性は、電気モータ/発電機の端子の電気特性を変えることで変えることができる。さらに、電力を電気モータ/発電機に供給することにより、システムの制動力は、電力回生モードで逆EMFによってもたらされる制動力の範囲を超えて大きくすることができるし、またはシステムの開回路の寄生損失による抵抗によってもたらされる制動力未満に小さくすることもできる。モータ/発電機は、圧縮または逆戻りのいずれかにおいて、油圧モータで生じた流体流れがダンパからの流体流れを阻止するように駆動することができ、それによってダンパ力を大きくするか、またはモータ/発電機は、圧縮または逆戻りのいずれかにおいて、油圧モータで生じた流体流れが、ダンパからの流体流れを補助するように駆動することができ、それによってダンパ力を小さくする。モータ/発電機はまた、ダンパが静止した状態に保持される地点まで、油圧モータで生じた流体流れが、ダンパからの流体流れを阻止するように駆動することもできる。しかし、この実施形態では、ダンパは、電力がモータ/発電機に供給されることで伸縮するように能動的に駆動することができない。本発明は、この点について限定されないが、例えば、モノチューブ構成で使用される場合、電力がモータ/発電機に供給されることで、弁を追加することなく伸縮することができる。トリプルチューブ構成では、モータ/発電機がダンパを伸張させるように駆動された場合、第2のポート182からの流体流れは、逆止弁183、184を自由に流れて第1のポート181に戻り、モータ/発電機がダンパを後退させるように駆動された場合、第1のポート181からの流体流れは、拡張チャンバ176を加圧し、次に、拡張チャンバ176が圧縮チャンバ175を加圧するが、逆止弁183が圧縮チャンバからの任意の流れを阻止し、そのため、ピストンロッドを後退させることができない。
【0112】
一部の使用シナリオでは、モータ/発電機に電力を供給することで、ダンパを能動的に伸縮できることが望ましく、実施形態によっては、弁の増設が必要になることがある。弁を増設して組み込んだ、
図15に示す実施形態が以下に説明される。
図15に示す実施形態によれば、
図14に示したものと同様なエネルギ収集IMGU72を組み込んだトリチューブ式ダンパ構造が開示されている(あるいは、エネルギ収集IMGUは、
図14Aに示すものと同様であってもよい)。この実施形態では、電力をモータ/発電機に供給することで、ダンパを能動的に伸縮させることができるように制御弁186、187が組み込まれている。制御弁186、187は、電子的に、または油圧で、または他の手段で制御することができる。
【0113】
ダンパが伸張する必要がある場合、電力がモータ/発電機に供給されて、IMGU72の第1のポート181からの流体流れが高圧チャンバ178に入る。制御弁186は閉じた状態に保持され、制御弁187は開いて高圧チャンバ178から圧縮チャンバ175への流体流れを可能にし、逆止弁183は閉じて圧縮チャンバ175から低圧チャンバ180への流れを遮断する。高圧チャンバ178は拡張容積部176と流体連通しているので、この場合に、圧力はピストン173の拡張側および圧縮側の両方に存在し、ピストンロッドの面積に等しい、ピストンの両側間の面積差のためにピストンが伸張する。ピストンが伸張すると、流体は拡張容積部176から高圧チャンバ178および制御弁187を通って圧縮チャンバ175に移動し、同時に、流体は、低圧チャンバからIMGU72の第2のポート182に流入して、低圧チャンバ内の圧縮性媒体185を減圧する。
【0114】
ダンパが後退する必要がある場合、電力がモータ/発電機に供給されて、IMGU72の第1のポート181からの流体流れが高圧チャンバ178に入る。制御弁187は閉じた状態に保たれ、制御弁186は開くので、圧縮チャンバ175は、逆止弁183を迂回して、低圧チャンバ180と流体連通する。この場合に、圧縮容積部175は低圧チャンバ180と流体連通しているので、ピストンの両側間の圧力差が存在し、ピストンを後退させる。ピストンが後退すると、流体は圧縮チャンバ175から低圧チャンバ180に流れ、IMGU72の第2のポート182に入る。圧縮チャンバ175の容積は、拡張チャンバ176の容積よりもロッドの体積だけ大きいので、この容積差分が圧縮チャンバ175から低圧チャンバ180に流れ、低圧チャンバ180内の圧縮性媒体185を圧縮する。
【0115】
一部の実施形態では、本明細書に開示した統合システムは、バイパス弁と並列か、または油圧モータと直列かのいずれかの受動制動体と併用することができる。受動弁構成は当技術分野で公知であり、多くの場合、シムスタック(shim stack)、方向性弁、およびスプリング懸架式流体制限ポートを内蔵する。バイパス経路は、油圧モータを通じた粘性損失によるものよりも軽微な制動、または微妙な乗り心地特性の調整のいずれかを可能にするが、本発明(1つまたは複数)は、この点について限定されない。直列弁構成は、軍事用ダンパなどの重構造での利用シナリオで特に重要な要件である、発電機が最大限に(非常に高い速度で)提供できるよりも強力な制動を可能にする。並列または直列制動体は、ピストンヘッド、外部バイパスチューブ、ベース弁、または他の位置に直接組み込むことができる。
【0116】
一部の用途では、ダンパが必要とするダイナミックレンジが、油圧モータおよび発電機から適度に供給され得るものを超えることがある。そのような用途では、本明細書に開示した統合システムは、油圧モータと並列か、または直列(または両方の組み合わせ)かのいずれかの1つまたは複数の能動/制御弁と併用することができる。一実施形態では、1つまたは複数の能動/制御弁は、独立して、または1つもしくは複数の受動弁と組み合わせて使用することができる。能動/制御弁は、所定の圧力で動作するように構成することができる。所定の圧力は、ダンパ、油圧モータ、または発電機の動作上の必要性に応じて変えることができる。さらに、圧力は、油圧モータおよび発電機から供給できるものを超えて制動範囲を動的に増減するように選択することができる。能動/制御弁の1つまたは複数は、電気的に、または何らかの形態の機械的もしくは油圧-機械的動作で制御することができる。さらに、1つまたは複数の能動/制御弁は、流体の一方向流れを可能にするように構成することができる。制御弁を油圧モータと並列に配置することにより、油圧モータを迂回するように外部の制御可能手段によって流れをそらして、油圧モータによる粘性損失を低減することで制動力を弱めることができる。制御弁を直列に配置することで、外部の制御可能手段によって、油圧モータに流入するか、または油圧モータから流出するかのいずれかの流れを制限して、発電機が最大限に供給できる制動力を超えて制動力を大きくすることができる。これらの弁は、ピストンヘッドに直接に、外部でベース弁内に、またはその他の位置に組み込むことができる。
【0117】
装置がエネルギ収集ダンパではなく、またはエネルギ収集ダンパだけでなく、アクチュエータとして使用される一部の実施形態では、荷重保持弁、圧力制限弁などの制御弁を増設して、用途が必要とする異なる機能を付与することができる。
【0118】
一部の実施形態によれば、コントローラは、発電機に様々なインピーダンスを付与して、速度または位置などの各種パラメータに基づき、ダンパの力応答を制御し、それと同時に、ダンパ内の運動に伴うエネルギを取り込むことができる。力応答は、そのようなパラメータに基づいた式、または参照テーブルに従うことができる。制御のこのレベルについては、制動の量は制御されるがシステムは作動されないので、半能動的制動と呼ばれる。他の利用シナリオでは、ダンパ内のモータ/発電機は、完全能動制御を可能にするように動作することができる。
【0119】
一部の実施形態では、本明細書で開示した統合システムは、自律した形で使用することができ、コントローラは、エネルギ収集ダンパから電力を自力で供給する。これは、半能動ダンパか、または、一部の実施形態において、電気を生成し、それ自体の制御回路に電力を供給するためにその電気を使用する能動ダンパかのいずれかを可能にする。そのようなシステムは、車両のシャーシに沿って電線を走らせることを必要とすることなく、改良された半能動または全能動サスペンションを車両に簡単に後付けすることを可能にする。一実施形態では、独立したコンデンサが、エネルギ生成ダンパの出力につなげられる。ダンパが電気を生成するときに、コンデンサが充電される。その一方で、コントローラの電力入力がこのコンデンサに並列に接続される。独立したコンデンサが、ある電圧閾値に達するとすぐに、コントローラが作動し、それ自体が生成した電気を使用して、ダンパの運動特性を制御し始める。コンデンサまたは小型バッテリをコントローラの入力部で使用して、過渡電圧入力にフィルタをかけることができる。
【0120】
当然のことながら、多くの実施形態では、本明細書で説明したシステムは、ピストンを圧縮するか、または拡張させるかのいずれかのために、スプリング機構と併用することができる。
【0121】
当然のことながら、車両用途に対して、示した実施形態は、用途が必要とするダンパとして、またはストラットタイプのダンパとして構成することができる。