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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】液体貯蔵容器とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
B41J2/175 307
B41J2/175 119
B41J2/175 153
B41J2/175 315
B41J2/175 141
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023147717
(22)【出願日】2023-09-12
(62)【分割の表示】P 2019230164の分割
【原出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2023160956
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】渡部 正久
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-000861(JP,A)
【文献】特開2017-007147(JP,A)
【文献】特開2009-208268(JP,A)
【文献】特開2017-114017(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0219323(US,A1)
【文献】中国実用新案第201960833(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を貯蔵可能な容器本体であって、フレーム部と、前記フレーム部の内壁面から突き出すベース部と、を有する前記容器本体と、
前記液体の液面の変動によって回転軸の周りを回転する回転部材であって、フロートと、外部から視認可能に構成された表示部と、前記フロート及び前記表示部と接続し、前記回転軸と一致する穴を有する接続部と、を有する前記回転部材と、
前記ベース部と一体に形成され、前記回転部材を回転可能に支持する支持部材であって、前記穴に挿入され前記回転部材を回転可能に支持するピンと、前記回転部材の回転軸に沿って前記ベース部から離れる方向の変位を規制する変位規制部と、を有する前記支持部材と、
を有する液体貯蔵容器。
【請求項2】
前記ベース部は、前記内壁面の複数の位置で、前記フレーム部に固定されている、請求項1に記載の液体貯蔵容器。
【請求項3】
前記穴は前記回転部材を貫通する貫通孔であり、前記変位規制部は前記貫通孔に挿通不能な形状を有し、前記ピンと一体に形成されている、請求項1または2に記載の液体貯蔵容器。
【請求項4】
前記フレーム部は両側側面に、第1の開口と、前記第1の開口と対向する第2の開口とを含み、前記第1の開口を覆うように設けられた第1のフィルムと、前記第2の開口を覆うように設けられた第2のフィルムと、を更に有し、前記第1のフィルムは前記ベース部に接合され、前記第2のフィルムは前記フレーム部の周縁部に接合されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の液体貯蔵容器。
【請求項5】
前記ベース部における前記回転部材と対向する面、または前記回転部材における前記ベース部と対向する面に、第1の突起が形成され、前記回転部材における前記第2のフィルムと対向する面に第2の突起が形成されている、請求項4に記載の液体貯蔵容器。
【請求項6】
前記フレーム部または前記ベース部と一体に形成されたリブを有し、前記第2のフィルムはさらに前記リブに接合されている、請求項4または5に記載の液体貯蔵容器。
【請求項7】
前記表示部は前記回転部材の回転中心から概ね鉛直方向上側に延び、前記フロートは前記回転中心から、前記表示部より下方に延びている、請求項1から6のいずれか1項に記載の液体貯蔵容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体貯蔵容器とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出ヘッドから記録媒体に液体(インク)を吐出し、記録媒体に画像を記録する液体吐出装置には、液体吐出ヘッドへ供給するインクを貯蔵するインクタンクが設けられている。特許文献1には、インク残量を検知することが可能なインクタンクが開示されている。インクタンクの内部に、軸受けリブと、支持ブロックと、軸受けリブと支持ブロックとによって支持された支軸と、支軸によって回動可能に支持されたアームと、が設けられている。アームはフロート部とインジケータ部とを有している。浮力によってフロート部が回動すると、フロート部と連動してインジケータ部が回動する。インジケータ部の動きを光学的に検知することで、インクタンクのインク残量が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-208268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された液体貯蔵容器は、液体残量を検出するための機構が複雑であるため、多くの部品を必要とする。従って本発明は、部品の数が低減された液体貯蔵容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の液体貯蔵容器は、内部に液体を貯蔵可能な容器本体であって、フレーム部と、前記フレーム部の内壁面から突き出すベース部と、を有する前記容器本体と、前記液体の液面の変動によって回転軸の周りを回転する回転部材であって、フロートと、外部から視認可能に構成された表示部と、前記フロート及び前記表示部と接続し、前記回転軸と一致する穴を有する接続部と、を有する前記回転部材と、前記ベース部と一体に形成され、前記回転部材を回転可能に支持する支持部材であって、前記穴に挿入され前記回転部材を回転可能に支持するピンと、前記回転部材の回転軸に沿って前記ベース部から離れる方向の変位を規制する変位規制部と、を有する前記支持部材と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、部品の数が低減された液体貯蔵容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1の実施形態に係る液体貯蔵容器の分解斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る液体貯蔵容器の断面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係る液体貯蔵容器の断面図である。
図4】本発明の第3の実施形態に係る液体貯蔵容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して説明する。各図において、同一の部材には同一の参照番号を付し、重複する説明は省略することがある。以下に説明する実施形態は、インクジェットプリンタに装着されるインクタンクを対象とするが、本発明は液体吐出装置に装着される液体貯蔵容器に広く適用することができる。本実施形態において「一体に形成」とは、複数の部品ないし部材を接着剤や締結手段によって一体化する意味ではなく、射出成型などの手段で最初から単一の部品ないし部材として製造する意味で用いられる。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る液体貯蔵容器1Aの分解斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る液体貯蔵容器1Aの模式的断面図であり、図の上方が液体吐出装置の使用時における鉛直方向上側、図の下方が液体吐出装置の使用時における鉛直方向下側を示している。図2(a)は側方断面図、図2(b)~(d)は液体貯蔵容器1Aの製造方法を示す模式的断面図であり、図2(d)は完成された液体貯蔵容器1A、すなわち図2(a)のA-A線に沿った断面図を示している。液体貯蔵容器1Aは、インクを貯蔵可能な容器本体2と、容器本体2の内部に収容され、インクの液量を検知する回転部材3と、回転部材3を回転可能に支持する支持部材4と、を有している。
【0010】
容器本体2は、フレーム部材21と、第1のフィルムF1と、第2のフィルムF2と、を有している。フレーム部材21は、透明または半透明の透光性の材料で形成されている。フレーム部材21は、ポリアセタール、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂を射出成型することによって一体に形成される。フレーム部材21は、回転部材3の回転軸と直交する両側側面が開口となっている。具体的には、フレーム部材21の、第1の変位規制部42(後述)に近接する開口が第1の開口21Aであり、フレーム部材21の、第2の変位規制部43(後述)に近接する開口が第2の開口21Bである。フレーム部材21の上辺21Cの中央部には、上方に突き出す透光性の突起部22が形成されている。突起部22の内側は内部空間26となっており、内部空間26には表示部材33(後述)の先端部33Aが移動可能に収容される。容器本体2の外壁は、少なくとも一部が透光性を有していればよい。突起部22が透光性の材料で形成されている限り、フレーム部材21の他の部位は非透光性の材料で形成されていてもよい。
【0011】
容器本体2は、フレーム部材21の内壁面21Dから突き出すベース部材23を有している。ベース部材23はフレーム部材21と一体に形成されている。ベース部材23は、フレーム部材21の一つの側壁と底面とに固定された、概ねL字状の部材である。ベース部材23は、主として支持部材4を介して回転部材3を取り付けるために設けられる。ベース部材23は、第1のフィルムF1を保持する機能や、フレーム部材21を補強し、フレーム部材21の剛性を高める機能も有している。ベース部材23の形状や位置は限定されないが、内壁面21Dの複数の位置(本実施形態では、フレーム部材21の互いに隣接する2つの辺)で、フレーム部材21に固定されていることが好ましい。これによって、フレーム部材21の剛性が高められる。容器本体2は、複数のリブ24を有している。リブ24は剛性を確保するため非直線状の断面を有している。一部のリブ24はフレーム部材21の内壁面21Dに固定され、フレーム部材21と一体に形成されている。一部のリブ24はベース部材23に固定され、ベース部材23と一体に形成されている。すなわち、フレーム部材21とベース部材23とリブ24は射出成型によって一体に形成される。リブ24はフレーム部材21を補強し、フレーム部材21の剛性を高めるほか、第1及び第2のフィルムF1,F2を保持する機能も有している。リブ24の一部または全部は省略することもできる。これによって液体貯蔵容器1Aのコストが低減するほか、インクの収納量が増加する。ベース部材23の、回転部材3と対向する面に第1の突起25が形成されている。第1の突起25の先端部25Aと回転部材3の中央連結部31(後述)との間にはギャップG1が設けられている。
【0012】
第1のフィルムF1と第2のフィルムF2は透明な樹脂で形成されている。第1のフィルムF1は、フレーム部材21の第1の開口21Aの周縁部に熱溶着法によって溶着され、フレーム部材21の第1の開口21Aを覆っている。第2のフィルムF2は、フレーム部材21の第2の開口21Bの周縁部に、熱溶着法によって溶着され、フレーム部材21の第2の開口21Bを覆っている。フレーム部材21と第1及び第2のフィルムF1,F2とによって囲まれた空間は、インクが貯蔵されるインク貯蔵室27を形成する。第1のフィルムF1はベース部材23とリブ24(ベース部材23に接合されたリブ24を除く)にも接合され、第2のフィルムF2はすべてのリブ24にも接合されている。これによって第1及び第2のフィルムF1,F2が多くの部位で保持され、接合面積が増え、容器本体2の信頼性が高められる。第1及び第2のフィルムF1,F2を設ける代わりに、容器本体2を直方体の容器として形成し、その内部にインク貯蔵室27を形成してもよい。インク貯蔵室27の下部には、液体吐出ヘッドにインクを供給するインク供給口28が設けられている。
【0013】
回転部材3は、インク貯蔵室27に貯蔵されたインクの液量を検知するための部材である。回転部材3は回転中心Cを有する中央連結部31と、中央連結部31に連結されたフロート32と、中央連結部31に連結された表示部材33と、を有している。表示部材33は回転部材3の回転中心Cから概ね鉛直方向上側に延び、フロート32は回転中心Cから、表示部材33より下方、本実施形態では概ね水平に延びている。このため、回転部材3が受ける回転モーメントは主にフロート32の自重とフロート32が受ける浮力とによって決まる。表示部材33は回転部材3の回転モーメントにほとんど寄与しないため、表示部材33の材料や形状の自由度は高い。
【0014】
中央連結部31は概ね円形の板状部材であり、中央部、すなわち回転部材3の回転中心Cとなる位置に穴が設けられている。穴は中央連結部31を貫通する貫通孔34であり、回転部材3の軸受として機能する。中央連結部31の周縁部の、第2のフィルムF2と対向する面に、第2の突起35が形成されている。第2の突起35の先端部35Aと第2のフィルムF2との間には、ギャップG2が設けられている。フロート32は、中央連結部31に支持され、中央連結部31から径方向に延びるアーム状の部材である。フロート32は内部が中空の樹脂で形成され、内部空間を含めた平均比重がインクの比重より小さい。従って、フロート32はインクの液面の変動によって回転する。中空構造のフロート32の代わりに、インクの比重より小さい材料で形成された中実構造のフロート32を用いてもよい。この場合、フロート32は中央連結部31及び表示部材33と一体に形成することができる。表示部材33は、中央連結部31から径方向に延びるアーム状の部材であって、フロート32の位置を外部に表示可能な部材である。表示部材33は、突起部22の内部空間26に移動可能に収容され、突起部22の内部空間26を、中央連結部31を介してフロート32と連動して回転することができる。これによって、表示部材33は突起部22の透光性の外壁22Aを通して、フロート32の位置を間接的に外部に表示し、インク貯蔵室27のインク残量を表示することが可能である。表示部材33の先端部33Aは表示部材33の他の部位より幅広に形成されている。
【0015】
支持部材4は、貫通孔34に挿入されたピン41と、ピン41の軸方向両側に設けられた第1及び第2の変位規制部42,43と、を有する。支持部材4は合成樹脂から形成されている。ピン41は回転部材3を回転可能に支持する。第1及び第2の変位規制部42,43は貫通孔34の内径より大きな外径を有し、貫通孔34に挿通不能な形状を有している。この結果、第1及び第2の変位規制部42,43は回転部材3の回転軸方向の変位を規制する。第1の変位規制部42及びピン41は、射出成型によって、フレーム部材21及びベース部材23と一体に形成されている。第2の変位規制部43は後述するように、ピン41の先端部41Aを塑性変形させることによって形成される。
【0016】
次に、図2(a)を参照して、回転部材3の動作について説明する。インクの液面Lは、インク貯蔵室27の上部にある。フロート32の受ける浮力によって、回転部材3は反時計回りの回転モーメントM1を受ける。表示部材33の先端部33Aがフレーム部材21の突起部22の内部空間26にあるため、表示部材33の先端部33Aは突起部22の左側の内壁面22Bと当接し、回転部材3がこれ以上反時計回りに回転することが阻止される。すなわち、表示部材33の先端部33Aは突起部22の内部空間26の左端に位置している。突起部22を挟んだ紙面直交方向両側、すなわち図2(a)の点線で囲んだ領域の紙面前方と後方には、センサの発光部6Aと受光部6Bとが設けられている。表示部材33の先端部33Aが図示の位置にあるとき、発光部6Aから出射した光は、受光部6Bで受光されない。これによって、表示部材33の先端部33Aが点線で囲んだ領域にあることが検知され、インク残量が所定の量以上であると判断される。
【0017】
インクが消費されていき、インクの液面Lが所定の位置まで低下すると、フロート32の上部がインクから露出し、フロート32の露出した部分は浮力を受けない状態となる。フロート32が受ける浮力による反時計回りの回転モーメントM1と、フロート32の自重による時計回りの回転モーメントM2が一致し、表示部材33の先端部33Aを突起部22の左側の内壁面22Bに押し付ける力が失われる。さらにインクの液面Lが低下すると、フロート32の自重による時計回りの回転モーメントM2が、フロート32が受ける浮力による反時計回りの回転モーメントM1を上回り、回転部材3は時計回りに回転する。これによってフロート32が受ける浮力が回復し、反時計回りの回転モーメントM1と時計回りの回転モーメントM2が一致する。このとき、表示部材33の先端部33Aは、突起部22の左側の内壁面22Bと右側の内壁面22Cとの間、つまりどちらの内壁面22B,22Cからも離間した位置にある。さらにインクが消費されると、回転部材3は再び時計回りに回転し、破線で示すように最終的にフロート32の下端がインク貯蔵室27の底面に当接する。回転部材3がそれ以上時計回りに回転することが阻止され、表示部材33の先端部33Aは、突起部22の左側の内壁面22Bと右側の内壁面22Cとの間の所定の位置で停止する。発光部6Aから出射した光は受光部6Bで受光され、表示部材33の先端部33Aが突起部22の内部空間26の右側にあることがセンサによって検知される。これによって、インク残量がほぼゼロとなり、液体貯蔵容器1Aが交換時期に達したと判断される。表示部材33の先端部33Aの位置の検出精度を高めるため、フロート32の下端がインク貯蔵室27の底面に当接したとき、表示部材33の先端部33Aが突起部22の右側の内壁面22Cの近傍に達していることが好ましい。なお、以上の説明ではフロート32が受ける浮力とフロート32の自重だけに着目しているが、実際には表示部材33が受ける浮力と表示部材33の自重による回転モーメントも考慮される。しかし、上述の通り、これらは支配的な要因ではない。
【0018】
回転部材3がピン41の周りをスムーズに回転するように、回転部材3の貫通孔34の内径はピン41の外径より大きくされている。このため、回転部材3の回転軸がピン41の中心軸に対し傾斜する可能性がある。図2(d)において回転部材3が時計回りR1に回転し、第1のフィルムF1の側に倒れこむと、回転部材3の貫通孔34がピン41に斜めに接触し、回転部材3のスムーズな回転が損なわれる可能性がある。しかし、回転部材3が第1のフィルムF1の側に倒れこんだ場合、中央連結部31は第1の突起25と当接し、回転部材3がそれ以上時計回りに回転することが阻止される。同様に、図2(d)において回転部材3が反時計回りR2に回転し、第2のフィルムF2の側に倒れこんだ場合、第2のフィルムF2は第2の突起35と当接し、回転部材3がそれ以上反時計回りに回転することが阻止される。一方、第1の突起25の先端部25Aと中央連結部31との間、及び第2の突起35の先端部35Aと第2のフィルムF2との間には、ギャップG1,G2が設けられている。このため、通常は回転部材3が第1の突起25や第2のフィルムF2と接触することはない。以上の構成によって、回転部材3はピン41の周りをスムーズに回転することができる。図示は省略するが、第1の突起25は、中央連結部31の、ベース部材23と対向する面に形成されてもよい。
【0019】
次に、図2(b)~(d)を参照して、液体貯蔵容器1Aの製造方法について説明する。まず、フレーム部材21とベース部材23とリブ24と第1の変位規制部42とピン41とを、射出成型によって一体に形成する。これとは別に、回転部材3を準備する。図2(b)に示すように、ピン41を回転部材3の中央連結部31の貫通孔34に挿入する。ピン41の先端部41Aは貫通孔34の外部に露出する。次に、図2(c)に示すように、不図示の治具を用いて、露出した先端部41Aを熱または圧力で塑性変形させる。露出した先端部41Aは軸方向に圧縮されるとともに、径方向に拡張される。次に、図2(d)に示すように、ピン41の先端部41Aを所定の位置まで押し込み、径方向にさらに拡張して、第2の変位規制部43を形成する。これによって、ピン41の軸方向両側に回転部材3の回転軸方向の変位を規制する変位規制部42,43が形成される。その後、フレーム部材21の両側縁部に第1のフィルムF1と第2のフィルムF2を接合し、インク貯蔵室27にインクを充填する。
【0020】
本実施形態によれば、フレーム部材21とベース部材23とリブ24と第1の変位規制部42とピン41とが一体に形成され、第2の変位規制部43はピン41の先端部41Aを変形させることによって形成される。つまり、フレーム部材21とベース部材23とリブ24と第1及び第2の変位規制部42,43とピン41とが一体に形成される(これらを、フレームアセンブリ7と呼ぶ)。液体貯蔵容器1Aはフレームアセンブリ7、回転部材3、第1及び第2のフィルムF1,F2のわずか4つの部材で製作することができる。このため、本実施形態によれば、部品の数が低減された液体貯蔵容器1Aを提供することができる。しかも、フレームアセンブリ7は合成樹脂の射出成型によって製作可能であるため、安価に且つ短時間で作成することができる。
【0021】
(第2の実施形態)
以下、図3を参照して、第2の実施形態の液体貯蔵容器1Bについて説明する。図3は、第1の実施形態を示す図2と同様の図である。図3では一部のリブ24の図示を省略しているが、第1の実施形態と同様、フレーム部材21と一体のリブ24を形成することができ、それによって同様の効果を奏することができる。第2の実施形態は、回転部材3の支持方法が異なる点を除き、第1の実施形態と同様である。説明を省略した構成及び効果については第1の実施形態の説明を参照されたい。第1の変位規制部42は、貫通孔34に挿通不能な形状を有し、ピン41と一体に形成されている。第2の変位規制部は、ピン41の端部を受け入れる穴54を備えた固定ブロック5として設けられている。固定ブロック5は円盤状の第1の部分51と、第1の部分51と同心で、中央に穴54を備えた円盤状の第2の部分52と、第1の部分51の縁部に形成された複数の脚部53と、を有している。固定ブロック5は、脚部53をベース部材23に接合することにより、ベース部材23に固定される。脚部53はフロート32の移動範囲を避けて設置される。第1のフィルムF1は第1の実施形態と同様、フレーム部材21の周縁部とベース部材23とリブ24とに接合されている。第2のフィルムF2は、フレーム部材21の周縁部と固定ブロック5とに接合されている。第2の突起35は、固定ブロック5の第1の部分51の、回転部材3と対向する面に形成されている。図示は省略するが、第2の突起35は、回転部材3の、固定ブロック5の第1の部分51に対向する面に形成されてもよい。本実施形態は、部品点数が第1の実施形態より増加するが、ピン41の一端が固定ブロック5によって支持されるため、回転部材3の作動がよりスムーズとなる。なお、穴54を省略し、ピン41が固定ブロック5の表面に当接するようにしてもよい。この場合でも、ピン41は固定ブロック5によって軸方向の変位を拘束される。
【0022】
本実施形態の液体貯蔵容器1Bは、以下のように製造することができる。まず、フレーム部材21と第1の変位規制部42とピン41とを、射出成型によって一体に形成する。これとは別に、第1の実施形態と同様の構成の回転部材3を準備する。次に、図3(b)に示すように、ピン41を回転部材3の中央連結部31の貫通孔34に挿入する。ピン41の先端部41Aは貫通孔34の外部に露出する。次に、図3(c)に示すように、固定ブロック5を下降させていき、ピン41の先端部41Aを固定ブロック5の穴54に挿入する。また、固定ブロック5をベース部材23に接合する。次に、図3(d)に示すように、フレーム部材21の両側縁部に第1のフィルムF1と第2のフィルムF2を接合し、インク貯蔵室27にインクを充填する。
【0023】
(第3の実施形態)
以下、図4を参照して、第3の実施形態の液体貯蔵容器1Cについて説明する。図4は、第1の実施形態を示す図2と同様の図である。図4では一部のリブ24の図示を省略しているが、第1の実施形態と同様、フレーム部材21と一体のリブ24を形成することができ、それによって同様の効果を奏することができる。第3の実施形態は、回転部材3の構成が異なる点を除き第1の実施形態と同様である。説明を省略した構成及び効果については第1の実施形態の説明を参照されたい。第1の変位規制部42は、ピン41と一体に形成されている。第2の変位規制部37は、回転部材3の一部、具体的には中央連結部31と一体の第2の変位規制部37として設けられている。中央連結部31は第1の実施形態と同様の円盤状の部材である。回転部材3には、途中で終端しピン41を受け入れる穴36が設けられている。第1の変位規制部42は穴36に挿通不能な形状を有している。第1のフィルムF1は、第1の実施形態と同様、フレーム部材21の周縁部とベース部材23とリブ24とに接合され、第2のフィルムF2は、第1の実施形態と同様、フレーム部材21の周縁部に接合されている。第2の変位規制部37は、第2のフィルムF2と対向する先端部37Aに向けて断面積が減少するテーパ形状を有し、先端部37Aが第2のフィルムF2に当接する。テーパ形状の例としては円錐形が挙げられるが、円錐台、角錐、角錐台などであってもよい。回転部材3のピン41の軸方向の変位は、第1の変位規制部42と、回転部材3の第2の変位規制部37とによって規制される。第2の変位規制部37のピン41の軸方向の変位は、第2のフィルムF2によって規制される。従って、回転部材3はピン41から外れることなく回転が可能である。回転部材3はテーパ形状の先端部37Aで第2のフィルムF2と当接するため、回転部材3の回転が大きく妨げられることがない。第1の突起25は第1及び第2の実施形態と同様に設けられるが、第2の突起35は第2の変位規制部37で代替されるため不要である。本実施形態は部品点数が第1の実施形態と同様であり、しかも後述のようにピン41の変形工程が不要であるため、工程短縮が可能である。
【0024】
本実施形態の液体貯蔵容器1Cは以下のように製造することができる。まず、フレーム部材21と第1の変位規制部42とピン41とを、射出成型によって一体に形成する。これとは別に、回転部材3を準備する。次に、図4(b)に示すように、ピン41を回転部材3の中央連結部31の穴36に挿入する。次に、図4(c)に示すように、ピン41を回転部材3の穴36の奥まで挿入する。次に、図4(d)に示すように、フレーム部材21の両側縁部に第1のフィルムF1と第2のフィルムF2を接合し、インク貯蔵室27にインクを充填する。
【符号の説明】
【0025】
1A、1B,1C 液体貯蔵容器
2 容器本体
3 回転部材
4 支持部材
32 フロート
33 表示部材
図1
図2
図3
図4