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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】搬送物ステーション
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20241209BHJP
   B61B 13/00 20060101ALI20241209BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20241209BHJP
   B65G 1/10 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B61B13/00 A
B65G1/00 501C
B65G1/10 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023176694
(22)【出願日】2023-10-12
【審査請求日】2024-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】大田原 陸
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/085626(WO,A1)
【文献】特表2019-533621(JP,A)
【文献】特表2008-515744(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0172139(US,A1)
【文献】特開2024-57844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B61B 13/00
B65G 1/00
B65G 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に昇降するリフタを備えて自律的に走行する搬送車両が下方へ進入できる高さに支持され、搬送物が載置される載置部と、
前記搬送車両が前記載置部の下方へ進入する進入経路を規定するガイド部材と、を備え、
前記ガイド部材は、前記搬送車両が前記進入経路へ進入するときには前記搬送車両が備える物体検知センサの検知高さに配置され、前記搬送車両が前記進入経路に進入して前記リフタを上昇させると、前記物体検知センサの検知高さよりも高い位置まで上昇する
搬送物ステーション。
【請求項2】
前記ガイド部材は、
前記進入経路の側面を形成して上下方向に移動可能に設けられた側壁部材と、
前記側壁部材から前記進入経路の上方に突出した形状を有するリフタ接触部材と、を備え、
前記側壁部材は、前記搬送車両が前記進入経路へ進入するときには前記物体検知センサの検知高さに配置され、
前記搬送車両が前記進入経路に進入して前記リフタを上昇させると、前記リフタ接触部材が前記リフタに接触して上昇し、前記側壁部材が前記物体検知センサの検知高さよりも高い位置まで上昇する
請求項1に記載の搬送物ステーション。
【請求項3】
前記搬送車両が前記進入経路に進入して前記リフタを上昇させたときに、前記リフタが接触する前記載置部の下面に位置決めブロックを設け、
前記位置決めブロックは、前記搬送車両が前記進入経路に進入して所定の停車位置からずれて停車したときに前記リフタを上昇させると、前記リフタの周縁部と接触する位置に配置され、前記停車位置の中心に向かって傾斜した形状を有する
請求項1または2に記載の搬送物ステーション。
【請求項4】
前記載置部は、複数の支柱によって前記搬送車両が下方へ進入できる高さに支持され、
前記複数の支柱の一部は、前記搬送車両が前記進入経路に進入して所定の停車位置で停車したときに、前記物体検知センサの検知範囲外の位置に配置されている
請求項1または2に記載の搬送物ステーション。
【請求項5】
前記複数の支柱の別の一部は、前記搬送車両が前記進入経路に進入して所定の停車位置で停車したときに、前記物体検知センサの検知範囲内の位置に配置されている
請求項4に記載の搬送物ステーション。
【請求項6】
前記リフタ接触部材は、前記リフタと接触する部分に樹脂材料の接触部が設けられている
請求項2に記載の搬送物ステーション。
【請求項7】
前記進入経路の出入口となる前記側壁部材の両端に、前記物体検知センサからの検出光を反射するマーカが設けられている
請求項2に記載の搬送物ステーション。
【請求項8】
前記マーカは、前記側壁部材に対して位置を調整可能に設けられている
請求項7に記載の搬送物ステーション。
【請求項9】
前記載置部を移動可能に支持するキャスター部をさらに備え、
前記リフタは、上下方向に昇降する凸状部材を備え、
前記リフタ接触部材は、前記凸状部材が挿入される貫通孔を備える
請求項2に記載の搬送物ステーション。
【請求項10】
前記凸状部材は、先端にテーパー形状を有する
請求項9に記載の搬送物ステーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物ステーションに関する。
【背景技術】
【0002】
板金などの材料を加工する工場には、材料を載せたパレットを載置するための搬送物ステーションが設けられており、搬送車両が搬送物ステーションを移動させることで、材料の搬送が自動的に行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、無人搬送車が被搬送物を搬送する無人搬送システムが開示されている。特許文献1に開示された無人搬送システムでは、無人搬送車のセンサが認識可能なマーカを被搬送物の進入経路に設け、無人搬送車をマーカに当接させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-149410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の無人搬送システムでは、搬送車両が搬送物ステーションへ進入する進入経路が明確に規定されていないので、搬送車両の進入精度が低下してしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る搬送物ステーションは、上下方向に昇降するリフタを備えて自律的に走行する搬送車両が下方へ進入できる高さに支持され、搬送物が載置される載置部と、前記搬送車両が前記載置部の下方へ進入する進入経路を規定するガイド部材と、を備え、前記ガイド部材は、前記搬送車両が前記進入経路へ進入するときには前記搬送車両が備える物体検知センサの検知高さに配置され、前記搬送車両が前記進入経路に進入して前記リフタを上昇させると、前記物体検知センサの検知高さよりも高い位置まで上昇する。
【0007】
本発明の一態様に係る搬送物ステーションによれば、搬送車両が載置部の下方へ進入する進入経路を規定するためにガイド部材を設けたので、進入経路を明確に規定することができる。したがって、搬送車両が搬送物ステーションへ進入する際の進入精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、搬送車両が搬送物ステーションへ進入する際の進入精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る搬送物ステーションを備えた搬送システムの構成を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る搬送物ステーションの構造を示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係る搬送物ステーションのガイド部材の構造を示す斜視図である。
図4図4は、第1実施形態に係る搬送物ステーションのマーカの構造を示す斜視図である。
図5A図5Aは、AMRが搬送物ステーションの進入経路へ進入する様子を説明するための図である。
図5B図5Bは、AMRが搬送物ステーションの進入経路へ進入する様子を説明するための図である。
図5C図5Cは、AMRが搬送物ステーションの進入経路へ進入する様子を説明するための図である。
図5D図5Dは、AMRが搬送物ステーションの進入経路へ進入する様子を説明するための図である。
図6図6は、AMRの物体検知センサの検知高さと搬送物ステーションの側壁部材との位置関係を説明するための図である。
図7A図7Aは、AMRがリフタで搬送物ステーションを持ち上げる動作を説明するための図である。
図7B図7Bは、AMRがリフタで搬送物ステーションを持ち上げる動作を説明するための図である。
図7C図7Cは、AMRがリフタで搬送物ステーションを持ち上げる動作を説明するための図である。
図7D図7Dは、AMRがリフタで搬送物ステーションを持ち上げる動作を説明するための図である。
図7E図7Eは、AMRがリフタで搬送物ステーションを持ち上げる動作を説明するための図である。
図8図8は、AMRのリフタの上昇量と搬送物ステーションとの関係を説明するための図である。
図9図9は、第1実施形態に係る搬送物ステーションの載置部の下面の構造を示す図である。
図10A図10Aは、第1実施形態に係る搬送物ステーションの位置決めブロックの機能を説明するための図である。
図10B図10Bは、第1実施形態に係る搬送物ステーションの位置決めブロックの機能を説明するための図である。
図10C図10Cは、第1実施形態に係る搬送物ステーションの位置決めブロックの機能を説明するための図である。
図11図11は、AMRの物体検知センサの検知高さと搬送物ステーションの側壁部材との位置関係を説明するための図である。
図12図12は、AMRの物体検知センサの検知範囲と搬送物ステーションの支柱との位置関係を説明するための図である。
図13図13は、第2実施形態に係る搬送物ステーションとAMRの構造を説明するための図である。
図14図14は、第2実施形態に係る搬送物ステーションのガイド部材の構造を示す図である。
図15図15は、第2実施形態に係るAMRがリフタで搬送物ステーションと連結する動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
以下、図面を参照し、本実施形態に係る搬送物ステーションについて説明する。図1は、本実施形態に係る搬送物ステーションを備えた搬送システムの構成を示す図である。本実施形態に係る搬送システム1は、搬送物ステーション3と、搬送車両(以下、AMR(自律移動ロボット:Autonomous Mobile Robot))5とを含んでいる。搬送物ステーション3は、搬送物であるパレットPが載置されてAMR5によって移動される。AMR5は、物体検知センサ9によって周囲の物体を検出しながら自律的に走行する。
【0011】
搬送物ステーション3は、上下方向に昇降するリフタ7を備えて自律的に走行するAMR5が下方へ進入できる高さに支持され、搬送物が載置される載置部11と、AMR5が載置部11の下方へ進入する進入経路Rを規定するガイド部材13とを備える。ガイド部材13は、AMR5が進入経路Rへ進入するときにはAMR5が備える物体検知センサ9の検知高さに配置され、AMR5が進入経路Rに進入してリフタ7を上昇させると、物体検知センサ9の検知高さよりも高い位置まで上昇する。
【0012】
AMR5は、周囲の物体を検出しながら自律的に走行を制御して、パレットPを載置した搬送物ステーション3を搬送する搬送車両である。AMR5は、リフタ7と、物体検知センサ9とを備えている。また、AMR5は、図示していないバッテリを搭載しており、バッテリから供給される電力で走行する。
【0013】
リフタ7は、上下に昇降する昇降機構であり、天板が上下に昇降する。パレットPなどの搬送物をリフタ7に載置して移動させることも可能であるが、本実施形態では、リフタ7を上昇させることによって搬送物ステーション3と連結して、搬送物ステーション3を移動させる。
【0014】
物体検知センサ9は、AMR5の周囲に検出光を照射し、周囲の物体で反射した反射光を受光して、AMR5の周囲に存在する物体を検出する。例えば、物体検知センサ9は、LiDAR(Light Detection and Ranging)で構成することができ、AMR5の周囲に存在する物体までの距離を示す点群データを取得する。物体検知センサ9は、AMR5の前方と後方にそれぞれ設けられている。
【0015】
次に、図2を参照して、搬送物ステーション3の構造を説明する。図2は、搬送物ステーション3の構造を示す斜視図である。図2に示すように、搬送物ステーション3は、載置部11と、ガイド部材13と、キャスター部15とを備えている。
【0016】
載置部11は、搬送物であるパレットPを載置する上段載置部21と、パレットP以外の搬送物を載置する下段載置部22とで構成されている。この載置部11は、AMR5が進入経路Rに進入できる高さに載置部11を支持する複数の支柱23を備えている。
【0017】
上段載置部21は、パレットPの大きさに対応する矩形状の枠体24で構成され、枠体24の中央部は梁25で補強されている。また、枠体24の前後方向には作業員が搬送物ステーション3を手動で移動させるためのハンドル26が設けられている。
【0018】
下段載置部22は、搬送物を載置するためのプレート27を備え、プレート27の四隅にはそれぞれ上段載置部21を支持する支柱28が設けられている。支柱28の長さは、下段載置部22に載置される搬送物の高さに合わせて設定される。
【0019】
支柱23は、AMR5が載置部11の下方へ進入できるように、載置部11の高さをAMR5の高さよりも高くなるように支持している。すなわち、載置部11は、複数の支柱23によってAMR5が下方へ進入できる高さに支持されている。支柱23の長さは、キャスター部15の高さと合わせて、プレート27の下面が、AMR5の高さと所定のクリアランスとを合わせた高さとなるように設定されている。
【0020】
ガイド部材13は、AMR5が載置部11の下方へ進入する進入経路Rを規定する。したがって、ガイド部材13は、進入経路Rの左右に配置されて、進入経路Rの左端と右端とを規定している。また、ガイド部材13は、支柱23に沿って、上下方向に移動可能に設けられている。具体的に、ガイド部材13は、AMR5が進入経路Rへ進入するときには物体検知センサ9の検知高さに配置され、AMR5が進入経路Rに進入してリフタ7を上昇させると、物体検知センサ9の検知高さよりも高い位置まで上昇する。
【0021】
キャスター部15は、載置部11を移動可能に支持している。キャスター部15には、支柱23によって載置部11が固定されている。また、キャスター部15は、搬送物ステーション3が接地する接地部としても機能している。キャスター部15の前後方向の両端には、それぞれキャスター17が設けられているので、搬送物ステーション3は自由に移動可能な台車である。ただし、キャスター17を備えていなくてもよく、この場合に搬送物ステーション3は置台として機能する。
【0022】
次に、図3を参照して、ガイド部材13の構造を説明する。図3は、ガイド部材13の構造を示す斜視図である。図3に示すように、ガイド部材13は、進入経路Rの側面を形成して上下方向に移動可能に設けられた側壁部材31と、側壁部材31から進入経路Rの上方に突出した形状を有するリフタ接触部材32とを備えている。さらに、ガイド部材13は、スライダー33と、マーカ34とを備えている。
【0023】
側壁部材31は、AMR5が進入経路Rへ進入するときには物体検知センサ9の検知高さに配置されている。そして、AMR5が進入経路Rに進入してリフタ7を上昇させると、リフタ接触部材32がリフタ7に接触する。その後、リフタ7の上昇に伴ってリフタ接触部材32が上昇し、側壁部材31は物体検知センサ9の検知高さよりも高い位置まで上昇する。
【0024】
側壁部材31は、AMR5が進入経路Rへ進入している間、物体検知センサ9の検知高さに配置されているので、AMR5は常に側壁部材31を検知しながら進入経路Rの所定の停車位置まで進むことができる。側壁部材31の長さは、進入経路Rの長さと同じ長さに設定されているので、物体検知センサ9は進入経路Rへ進入してから所定の停車位置に到達するまで常に進入経路Rの側面を検出することができる。
【0025】
また、側壁部材31には、支柱23を挿通するための貫通孔35が設けられており、側壁部材31は、挿通された支柱23に沿って上下方向に移動することが可能である。したがって、AMR5がリフタ7を上昇させ、リフタ接触部材32がリフタ7に接触して上昇すると、側壁部材31も上昇する。このとき、側壁部材31は物体検知センサ9の検知高さよりも高い位置まで上昇する。これにより、AMR5が搬送物ステーション3を持ち上げて移動を開始した後に、側壁部材31が物体検知センサ9の検知範囲を遮蔽することがなくなり、物体検知センサ9は検知範囲を確保することができる。
【0026】
リフタ接触部材32は、側壁部材31の上面に固定された断面L字状の金属部材であり、側壁部材31の上面から上方へ伸び、90度曲げられて進入経路Rの上方へ突出している。進入経路Rの上方へ突出する長さは、AMR5が進入経路Rへ進入したときにリフタ7に十分に接触できるような長さに設定されている。また、リフタ接触部材32の幅は、十分な強度が得られるように設定されている。
【0027】
リフタ接触部材32は、リフタ7と接触する部分に樹脂材料の接触部36が設けられている。リフタ接触部材32は金属部材であるため、リフタ7と直接接触すると、リフタ7を傷つける恐れがある。そこで、樹脂材料の接触部36をリフタ7との接触面に設けて、リフタ7に傷がつかないようにしている。図3では、接触部36は、リフタ接触部材32の先端に設けられているが、リフタ7との接触面であれば他の部分に設けられていてもよい。
【0028】
スライダー33は、側壁部材31の前後方向の両端の上面に設けられており、図2に示すプレート27に対してガイド部材13を上下方向にスライドさせる機能を有する。すなわち、スライダー33の上端部はプレート27の下面に固定され、スライダー33は側壁部材31を上下にスライドさせる機能を備えている。したがって、側壁部材31が上下方向に移動可能に保持されているので、ガイド部材13は、プレート27に対して上下方向に移動することが可能である。
【0029】
マーカ34は、物体検知センサ9からの検出光を反射する反射部材であり、進入経路Rの出入口となる側壁部材31の両端に設けられている。マーカ34は、側壁部材31の前面と後面にそれぞれ設けられ、前面と後面の表面から突出した曲面形状となっている。マーカ34は、再帰反射性能を有し、尚且つ曲面形状となっているため、物体検知センサ9は広い範囲でマーカ34からの反射光を検知することができる。
【0030】
また、マーカ34は、側壁部材31に対して位置を調整可能に設けられている。具体的に、図4に示すように、マーカ34を固定するためのボルトを挿入する固定部材42側の貫通孔41が左右方向に所定の幅を有する長孔となっているため、マーカ34は左右方向に容易に位置を調整することができる。さらに、マーカ34は固定部材42に設けられており、この固定部材42を側壁部材31に固定するためのボルトを挿入する貫通孔43が前後方向に所定の幅を有する長孔となっている。そのため、マーカ34は前後方向にも容易に位置を調整することができる。
【0031】
[搬送物ステーションへの進入]
以下、図5Aから図5Dを参照し、搬送物ステーション3へ進入するAMR5の動作を説明する。図5A~5Dは、AMR5が搬送物ステーション3の進入経路Rへ進入する様子を説明するための図であり、AMR5とガイド部材13との間の位置関係を上方から見た図である。
【0032】
図5Aに示すように、AMR5は、物体検知センサ9がマーカ34を検知することによって搬送物ステーション3の位置を認識し、搬送物ステーション3の方向へ移動する。
【0033】
図5Bに示すように、AMR5は、2つのマーカ34を繋ぐ直線の垂直二等分線51上にAMR5の中心52が来るように移動する。
【0034】
図5Cに示すように、AMR5は、側壁部材31の側面に沿って進入する。このとき、AMR5は、両側の側壁部材31の中心位置に沿って移動してもよいし、片側の側壁部材31から所定距離だけ離れた位置に沿って移動してもよい。また、側壁部材31は、図6に示すように、AMR5が進入経路Rへ進入するときには物体検知センサ9の検知高さHに配置されている。したがって、物体検知センサ9は側壁部材31を検知することができ、AMR5は側壁部材31に沿って進入経路Rへ進入することができる。
【0035】
図5Dに示すように、AMR5は、進入開始時に検知したマーカ34の反対側にあるマーカ34を検知すると、そのマーカ34の位置に基づいて所定の停車位置を認識して停車する。こうしてAMR5による搬送物ステーション3への進入が完了する。
【0036】
[AMRと搬送物ステーションとの連結]
以下、図7A~7E、図8を参照し、AMR5による搬送物ステーション3との連結動作を説明する。図7A~7Eは、AMR5がリフタ7で搬送物ステーション3を持ち上げる動作を説明するための図であり、AMR5と搬送物ステーション3との間の位置関係を側方から見た図である。図8は、リフタ7の上昇量と搬送物ステーション3との関係を示す図である。
【0037】
図7Aに示すように、AMR5が搬送物ステーション3への進入が完了したときには、AMR5の上面は搬送物ステーション3に接触していない。これは、図8に示すように進入クリアランスが10mmあるので、リフタ7の上昇幅が0mmのときには、AMR5の上面が搬送物ステーション3に接触することはない。
【0038】
図7Bに示すように、リフタ7が上昇を開始すると、リフタ7は、まずリフタ接触部材32の接触部36に接触する。図8に示すように、リフタ7が10mm以上上昇すると、リフタ7はリフタ接触部材32の接触部36に接触してガイド部材13を持ち上げるので、ガイド部材13が上方へ移動を開始する。
【0039】
図7Cに示すように、リフタ7がさらに上昇すると、リフタ7は位置決めブロック71、72に接触する。図8に示すように、リフタ7が15mm以上上昇すると、リフタ7は位置決めブロック71、72に接触する。ここで、図9を参照して、位置決めブロック71、72の配置を説明する。図9は、搬送物ステーション3を下方から見た図である。図9に示すように、載置部11の下面を形成するプレート27の下面には、梁部材73、74、75が設けられている。そして、梁部材73には、前後方向の誤差を低減する位置決めブロック71が設けられ、梁部材74には、左右方向の誤差を低減する位置決めブロック72が設けられている。
【0040】
図7Dに示すように、リフタ7がさらに上昇すると、位置決めブロック71、72によって搬送物ステーション3の位置が修正される。図8に示すように、リフタ7が35mmまで上昇すると、リフタ7は位置決めブロック71、72の傾斜面に接触しながら上昇するので、搬送物ステーション3の位置が修正される。
【0041】
尚、リフタ7は、10mmから35mmまで上昇する間、リフタ接触部材32の接触部36に接触してガイド部材13を持ち上げているが、35mmまで上昇すると、ガイド部材13の持ち上げが完了する。このとき、リフタ7は、図9に示す梁部材74、75に接触しており、リフタ接触部材32は、梁部材74、75の間にできた空間へ上昇している。そのため、図7Dでは、リフタ接触部材32が見えなくなっている。
【0042】
ここで、図10A~10Cを参照して、位置決めブロック71、72の機能を説明する。図10A~10Cでは、左右方向の誤差を低減する位置決めブロック72の機能について説明するが、前後方向の誤差を低減する位置決めブロック71についても同様の機能となる。
【0043】
図10Aに示すように、位置決めブロック72は、梁部材74の下面に設けられている。すなわち、位置決めブロック72は、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置で停車し、リフタ7を上昇させたときに、リフタ7が接触する載置部11の下面に設けられている。図10Aでは、AMR5が実際に停車した位置が、所定の停車位置から誤差Aだけずれて停車した場合について示している。
【0044】
図10Bに示すように、リフタ7を上昇させると、リフタ7は位置決めブロック72に接触する。すなわち、位置決めブロック72は、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置からずれて停車したときにリフタ7を上昇させると、リフタ7の周縁部と接触する位置に配置されている。
【0045】
そして、位置決めブロック72は、停車位置の中心に向かって傾斜した形状を有している。これにより、リフタ7が上昇を継続すると、搬送物ステーション3は図10Bでは左方向へ移動する。その結果、図10Cに示すように、リフタ7が上昇して梁部材74に接触したときには、誤差Aが小さくなるように搬送物ステーション3の位置が修正されている。
【0046】
図7Eに示すように、リフタ7がさらに上昇すると、リフタ7によって搬送物ステーション3が持ち上げられて、AMR5と搬送物ステーション3が連結される。図8に示すように、リフタ7が35mm以上上昇すると、搬送物ステーション3は持ち上げられて上昇する。このときガイド部材13の位置も搬送物ステーション3とともに上昇する。そして、リフタ7が55mmまで上昇すると、搬送物ステーション3の持ち上げが完了する。この後、AMR5は、搬送物ステーション3を指定された場所まで搬送する。
【0047】
このとき、図11に示すように、側壁部材31は、物体検知センサ9の検知高さHよりも高い位置まで上昇している。すなわち、AMR5が進入経路Rに進入してリフタ7を上昇させると、リフタ接触部材32の接触部36がリフタ7に接触して上昇し、側壁部材31が物体検知センサ9の検知高さHよりも高い位置まで上昇する。これにより、AMR5が搬送物ステーション3を持ち上げて移動するときに、物体検知センサ9の検知範囲がガイド部材13によって遮蔽されることがなくなり、検知範囲を確保することができる。
【0048】
また、図12に示すように、物体検知センサ9は、AMR5の車体前方における左端部と、AMR5の車体後方における右端部に配置されている。物体検知センサ9は、それぞれ270度の検知範囲を備えており、点線80の外側が検知範囲となる。このように物体検知センサ9は、一対のセンサによって、AMR5の周囲全域を検出できるようにしている。
【0049】
ここで、搬送物ステーション3の外周を示す点線81の中には、載置部11を支持する支柱23A、23Bが設けられている。このうち支柱23Aは、点線80の内側に設けられているので、物体検知センサ9の検知範囲外に設置されている。すなわち、支柱23Aは、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置で停車したときに、物体検知センサ9の検知範囲外の位置に配置されている。これにより、支柱23Aによって物体検知センサ9の検知範囲に死角ができることを防止できるので、物体検知センサ9の検知範囲を広く確保することができる。したがって、AMR5が搬送物ステーション3を移動させるときに安全性を向上させることができる。
【0050】
また、支柱23Bは、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置で停車したときに、物体検知センサ9の検知範囲内の位置に配置されている。これにより、支柱23Bによって物体検知センサ9の検知範囲に死角ができる。しかし、この死角は、人が入り込めない程度の小さな範囲である為、安全性を損なうことはない。また、支柱23Bの形状を物体検知センサ9で検知することによって、搬送物ステーション3がAMR5に対してずれたことをAMR5が認識することができる。したがって、搬送物ステーション3の搬送中に衝突や大きな段差などによって衝撃が加わった場合に、搬送物ステーション3の落下やずれを検知して、AMR5を即座に停止させることができる。
【0051】
[第1実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る搬送物ステーション3では、ガイド部材13は、AMR5が進入経路Rへ進入するときには物体検知センサ9の検知高さに配置される。これにより、ガイド部材13によって進入経路を明確に規定することができるので、AMR5が搬送物ステーション3へ進入する際の進入精度を向上させることができる。
【0052】
また、ガイド部材13は、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置で停車し、リフタ7を上昇させると、物体検知センサ9の検知高さよりも高い位置まで上昇する。これにより、搬送物ステーション3を持ち上げて移動する際に物体検知センサ9の検知範囲を遮蔽することがなくなり、物体検知センサ9の検知範囲を確保することができる。したがって、AMR5が搬送物ステーション3を移動させるときに安全性を向上させることができる。
【0053】
このように、本実施形態に係る搬送物ステーション3は、AMR5が搬送物ステーション3へ進入する際の進入精度の向上と、搬送物ステーション3を持ち上げて移動する際の物体検知センサ9の検知範囲の確保とを両立することができる。
【0054】
特に、搬送物ステーション3へAMR5が進入する際の進入精度を向上させるためには、ガイド部材13のように進入経路Rを明確に規定する部材が必要になる。しかし、ガイド部材13のような部材を単に設置してしまうと、搬送物ステーション3を移動させる際には、物体検知センサ9の検知範囲を遮蔽してしまうので、AMR5は安全に移動することができない。そこで、本実施形態に係る搬送物ステーション3では、搬送物ステーション3を移動させる際には、ガイド部材13を物体検知センサ9の検知高さよりも高い位置まで上昇させている。これにより、AMR5が搬送物ステーション3へ進入する際の進入精度を向上させることができるとともに、AMR5が搬送物ステーション3を持ち上げて移動する際の物体検知センサ9の検知範囲を確保することもできる。
【0055】
また、本実施形態に係る搬送物ステーション3では、ガイド部材13が、進入経路Rの側面を形成して上下方向に移動可能に設けられた側壁部材31と、側壁部材31から進入経路Rの上方に突出した形状を有するリフタ接触部材32とを備えている。側壁部材31は、AMR5が進入経路Rへ進入するときには物体検知センサ9の検知高さに配置され、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置で停車し、リフタ7を上昇させると、リフタ接触部材32の接触部36がリフタ7に接触して上昇し、側壁部材31が物体検知センサ9の検知高さよりも高い位置まで上昇する。これにより、AMR5が搬送物ステーション3へ進入する際の進入精度を向上させることができるとともに、搬送物ステーション3を持ち上げて移動する際の物体検知センサ9の検知範囲を確保することができる。
【0056】
さらに、本実施形態に係る搬送物ステーション3では、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置で停車し、リフタ7を上昇させたときに、リフタ7が接触する載置部11の下面に位置決めブロック71、72を設けている。位置決めブロック71、72は、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置からずれて停車したときにリフタ7を上昇させると、リフタ7の周縁部と接触する位置に配置され、停車位置の中心に向かって傾斜した形状を有している。これにより、AMR5が所定の停車位置からずれて停車した場合でも、リフタ7を上昇させることによって、自動的に誤差を低減することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る搬送物ステーション3の載置部11は、複数の支柱23によってAMR5が下方へ進入できる高さに支持されている。複数の支柱23Aは、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置で停車したときに、物体検知センサ9の検知範囲外の位置に配置されている。これにより、支柱23Aによって物体検知センサ9の検知範囲に死角ができることを防止できるので、物体検知センサ9の検知範囲を広く確保することができる。したがって、AMR5が搬送物ステーション3を移動させるときに安全性を向上させることができる。
【0058】
本実施形態に係る搬送物ステーション3の複数の支柱23Bは、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置で停車したときに、物体検知センサ9の検知範囲内の位置に配置されている。これにより、支柱23Bによって物体検知センサ9の検知範囲に死角ができる。しかし、この死角には人が入り込めない程度の小さな範囲である為、安全性を損なうことはない。また、支柱23Bの形状を物体検知センサ9で検知することによって、搬送物ステーション3がAMR5に対してずれたことをAMR5が認識することができる。したがって、搬送物ステーション3の搬送中に衝突や大きな段差などによって衝撃が加わった場合に、搬送物ステーション3の落下やずれを検知して、AMR5を即座に停止させることができる。
【0059】
さらに、本実施形態に係る搬送物ステーション3のリフタ接触部材32は、リフタ7と接触する部分に樹脂材料の接触部36が設けられている。これにより、リフタ接触部材32が強度を確保するために金属材料で形成されていても、リフタ7を傷つけることを防止することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る搬送物ステーション3では、進入経路Rの出入口となる側壁部材31の両端に、物体検知センサ9からの検出光を反射するマーカ34が設けられている。これにより、AMR5が搬送物ステーション3へ進入するときにマーカ34を利用して正確に進入することができるだけでなく、所定の停車位置で停車するときにもマーカ34を利用して正確に停車することができる。
【0061】
さらに、本実施形態に係る搬送物ステーション3のマーカ34は、側壁部材31に対して位置を調整可能に設けられている。これにより、マーカ34の位置を容易に微調整することができるので、マーカ34からの反射光を物体検知センサ9が確実に検知することができる。
【0062】
[第2実施形態]
以下、本発明を適用した第2実施形態について図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0063】
本実施形態では、AMR5のリフタ7が、図13に示すように上下方向に昇降する凸状部材91を備え、搬送物ステーション3のリフタ接触部材32が、図14に示すように凸状部材91が挿入される貫通孔92を備えていることが第1実施形態と相違している。
【0064】
図14に示すように、リフタ接触部材32は、左右の側壁部材31を連結する連結部材93で形成されている。連結部材93は、平板状の部材であり、側壁部材31の前後方向の中央部に設けられている。連結部材93の左右方向の中央部には、2つの貫通孔92が前後方向に並んで設けられている。
【0065】
図13に示すように、リフタ7は、AMR5の左右方向の中央部に配置された凸状部材91を備え、貫通孔92の位置に対応して前後方向に2つ設けられている。凸状部材91は、先端にテーパー形状を有しているので、AMR5の停車位置に誤差があった場合でも修正することができる。
【0066】
AMR5は、搬送物ステーション3の進入経路Rに進入して所定の停車位置で停車すると、図15に示すように、リフタ7を上昇させる。これにより、凸状部材91が貫通孔92に挿入されてリフタ7が連結部材93に接触し、リフタ7が上昇するのに伴って連結部材93が上昇することでガイド部材13も上昇する。このとき、ガイド部材13は上昇しているが、搬送物ステーション3はキャスター部15で接地している。すなわち、AMR5は搬送物ステーション3を持ち上げていない。したがって、この後AMR5が移動を開始すると、搬送物ステーション3は持ち上げられて移動するのではなく、キャスター部15が接地したままキャスター17の回転によって移動する。
【0067】
[第2実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る搬送物ステーション3では、載置部11を移動可能に支持するキャスター部15を備え、リフタ7が上下方向に昇降する凸状部材91を備え、リフタ接触部材32は凸状部材91が挿入される貫通孔92を備えている。これにより、凸状部材91を貫通孔92に挿入するだけで、AMR5と搬送物ステーション3を連結して移動させることができる。したがって、搬送物ステーション3を持ち上げる必要がないので、AMR5は大きな駆動力を必要とせずに容易に搬送物ステーション3を移動させることができる。
【0068】
また、本実施形態に係る搬送物ステーション3では、凸状部材91が、先端にテーパー形状を有する。これにより、AMR5が所定の停車位置からずれて停車した場合でも、リフタ7を上昇させることによって、自動的に誤差を修正することができる。
【0069】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0070】
1 搬送システム
3 搬送物ステーション
5 AMR(搬送車両)
7 リフタ
9 物体検知センサ
11 載置部
13 ガイド部材
15 キャスター部
21 上段載置部
22 下段載置部
23、23A、23B、28 支柱
24 枠体
25 梁
26 ハンドル
27 プレート
31 側壁部材
32 リフタ接触部材
33 スライダー
34 マーカ
35、41、43、92 貫通孔
36 接触部
42 固定部材
71、72 位置決めブロック
73、74、75 梁部材
80、81 点線
91 凸状部材
93 連結部材
A 誤差
H 検知高さ
P パレット
【要約】
【課題】AMRが搬送物ステーションへ進入する際の進入精度を向上させることができる。
【解決手段】搬送物ステーション3は、上下方向に昇降するリフタ7を備えて自律的に走行するAMR5が下方へ進入できる高さに支持され、搬送物が載置される載置部11と、AMR5が載置部11の下方へ進入する進入経路Rを規定するガイド部材13とを備え、ガイド部材13は、AMR5が進入経路Rへ進入するときには物体検知センサ9の検知高さに配置され、AMR5が進入経路Rに進入して所定の停車位置で停車し、リフタ7を上昇させると、物体検知センサ9の検知高さよりも高い位置まで上昇する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12
図13
図14
図15