(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】予測シミュレーション装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20241209BHJP
【FI】
G06Q10/04
(21)【出願番号】P 2023193970
(22)【出願日】2023-11-14
【審査請求日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2023127376
(32)【優先日】2023-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】早河 力
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/024379(WO,A1)
【文献】特開2023-005135(JP,A)
【文献】特開2008-123487(JP,A)
【文献】特開2013-101700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象領域における予測シミュレーション装置であって、
記憶装置を備え、前記記憶装置は、
一連の第1の時間単位の時系列で、前記分析対象領域に含まれる複数の所定領域メッシュごとに所在する人の数の情報を含む所定の人口統計情報
と、
地域別、年齢・性別ごとに、前記第1の所定の時間間隔よりも短い第2の時間間隔での所定の行動の分類の情報である生活情報とを記憶し、
前記
人口統計情報の分析を行う演算装置とを備え、前記演算装置は、
予測条件について利用者から指定を受けるための分析対象条件取得手段と、
前記予測条件において、
前記人口統計情報と前記生活情報とに基づいて、前記第1の時間単位より短い第2の時間単位ごとに、前記分析対象領域に含まれる前記所定領域メッシュに所在する人の行動の分類ごとの人数を推定する人行動情報推定手段と、
前記予測条件において、前記人行動情報推定手段の推定結果と前記所定領域メッシュを分割した推定領域メッシュごとに前記人の行動の分類に対応する場所の種類と前記場所の大きさとに基づいて、前記人行動情報推定手段により推定された人数を前記推定領域メッシュに分配することにより、前記分析対象領域内の前記推定領域メッシュごとの集約データを推定する人口動態推定手段と、
前記分析対象領域内における前記推定領域メッシュで
前記人行動情報推定手段により推定された人の行動の分類と前記集約データにより、前記分析対象領域内の人の属性の分布を推定する推定手段とを備
え、
前記人行動情報推定手段は、日時情報と、前記推定領域メッシュごとの人数・属性・行動分類の過去の複数の時系列の実績データとを入力とし、前記推定領域メッシュごとに所定の時間後の予測データを出力するモデルを含む、予測シミュレーション装置。
【請求項2】
前記予測条件は、前記推定領域メッシ
ュごとに、前記場所の種類と前記場所の大き
さを、前記利用者が仮想的に指定した第1の条件と当該指定をしていない第2の条件とを含み、
前記人口動態推定手段は、さらに、前記人行動情報推定手段の推定結果と、仮想的に指定された前記場所の種類と前記場所の大き
さに対応する前記推定領域メッシ
ュごとの前記人の行動とに基づいて、
前記人行動情報推定手段により推定された人数を前記推定領域メッシュに分配することにより、前記分析対象領域内の前記推定領域メッシュごとの集約データを推定し、
前記推定手段は、前記分析対象領域内の前記推定
領域メッシュごとの人の数を、前記第1の条件と前記第2の条件とで推定した結果をそれぞれ出力する、請求項1記載の予測シミュレーション装置。
【請求項3】
前記人口統計情報は、所定の統計情報に基づいて、前記予測条件で指定される未来の時点の人口動態の予測情報であり、
前記場所の種類と前記場所の大きさは、前記予測条件で指定される前記未来の時点で、前記場所について計画された情報である、請求項2記載の予測シミュレーション装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記一連の時系列と同一の所定の時間単位での過去の人の行動実績を示す人行動実績情報を格納し、
前記人行動情報推定手段は、前記人行動実績情
報によ
り前記モデル
を状態空間モデルとして生成することにより、前記所定の時間単位で前記推定領域メッシュ単位の前記人の行動に関連する
前記予測データを推定する、請求項1記載の予測シミュレーション装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、ネットワーク経由で外部サーバから取得したデータとして、前記
人口統計情報と、
前記生活情報と、領域場所情報とを格納し、
前記
人口統計情報は、前記第1の時間単
位に対応する第1の時間間隔ごとの人口統計データの集約データであり、前記分析対象領域を含む所定の領域に、前記第1の時間間隔で所定領域メッシュごとに所在する人の年齢および性別ごとの人の数の情報であり、
前記生活情報は、所定の時間単位ごとの情報であって、前記所定の時間単位は、前記第1の時間間隔よりも短く前記第2の時間単位に対応する第2の時間間隔であって、前記生活情報は、前記人の年齢、性別および前記人の生活および行動の所定の分類と、前記人の職種とを対応付け可能な情報であり、
前記領域場所情報は、所定の区画ごとの場所情報であって、前記所定の領域内の施設の延べ床面積と前記施設内での職種の情報を含んでおり、
前記人行動情報推定手段は、前記生活情報を前記所定の区画ごとに、前記
人口統計情報と前記生活情報とに基づき、前記第2の時間間隔ごとに、前記所定の領域に所在する人の職種別の就業人数を推定する領域生活情報推定手段を含み、
前記人口動態推定手段は、前記職種別の就業人数を、前記延べ床面積と各前記施設の職種に割り当てられる面積に基づいて、各前記施設に按分し、前記
人口統計情報の前記推定領域メッシュでの人数の前記集約データを推定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の予測シミュレーション装置。
【請求項6】
前記モデルは、前記予測データとして、指定された人の行動に関連する人数を推定するモデルであり、
前記所定の時間単位及び前記推定領域メッシュ単位の分析対象となる前記人の行動についての人数の指定を受け付ける人行動情報指定受付手段と、
前記所定の時間単位及び前記推定領域メ
ッシュ単位で、前記指定された人数が前記人の行動を実行するために必要な前記所定の時間単位及び前記所定の領域単位における人の数を示す必要人数情報を出力する必要人数情報出力手段と、さらに備える、請求項
4記載の予測シミュレーション装置。
【請求項7】
前記指定された人の行動は購買行動であり、前記モデルは、前記予測データとして、指定された購買行動をする人数と客単価を推定するモデルである、請求項6記載の予測シミュレーション装置。
【請求項8】
前記未来の時点の人口動態の予測情報は、所定のイベントが発生した場合の第1の予測情報と、前記所定のイベントが発生しなかった場合の第2の予測情報とを含み、
前記人行動情報推定手段は、前記第1の予測情報および前記第2の予測情報のそれぞれに対応して、前記人の行動の分類ごとの人数を推定し、
前記人口動態推定手段は、さらに、前記人行動情報推定手段の推定結果の人数を前記推定領域メッシュに分配することにより、前記分析対象領域内の前記推定領域メッシュごとの集約データを推定し、
前記推定手段は、前記分析対象領域内の前記推定
領域メッシュごとの人の数を、前記第1の予測情報による場合と前記第2の予測情報による場合とで推定した結果をそれぞれ出力する、請求項3記載の予測シミュレーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指定された分析対象領域について人口動態の未来予測を行う予測シミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報を提供するサービスが存在する(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図22ないし
図24は、このような人口統計情報を提供するサービスの概要を示す図である。
【0004】
図22ないし
図24では、一例として、株式会社NTTドコモが提供する「モバイル空間統計(登録商標)」について説明している。
【0005】
このような「モバイル空間統計(登録商標)」については、たとえば、非特許文献2に説明がある。
【0006】
「モバイル空間統計(登録商標)」とは、携帯電話ネットワークのしくみを使用して作成される人口の統計情報である。この空間統計は、集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、携帯電話やスマートフォンのユーザ個人を特定することはできない、という特徴を有する。この点で、いわゆる「個人情報」としての扱いとは異なり、情報の当事者の同意等を得ることなく、ある地域のある時間での人口の統計情報を第三者に提供することができる。
【0007】
ここで、この空間統計によれば、日本全国について1時間ごとの人口分布を、24時間365日把握することができる。しかも、この空間統計によれば、性別・年齢層別・居住エリア別に人口構成を把握でき、目的に合わせた分析が可能である。2013年10月にサービスを開始して以来、観光庁、自治体、民間企業等において広く活用されている。
【0008】
より詳しくは、携帯電話ネットワークは、電話やメールなどを、いつでも・どこでも、ユーザが利用できるよう、各基地局のエリアごとに所在する携帯電話を周期的に把握している。このしくみを利用して携帯電話の台数を集計し、携帯電話キャリアの普及率を加味することで人口を推計することができる。これがモバイル空間統計(登録商標)である。
【0009】
まちづくりや防災計画といった公共分野における実証実験が実施され、この空間統計が広く社会で活用できることが確認された。そして、公共分野だけでなく学術分野・産業分野においても活用できるように、上述のとおり、2013年10月に提供が開始された。
【0010】
この空間統計により、性別・年齢階層・居住エリア別(国内居住者)、国・地域別(訪日外国人)を目的に応じて、時間帯別に分析が可能である。
【0011】
図22(a)に示すように、全国のドコモのサービスエリアが統計対象エリアで、全国の人口分布を1時間ごとに把握可能である。したがって、24時間365日の人口分布を1時間ごとに把握することが可能である。
【0012】
また、
図22(b)に示すように、この人口統計により、性別・年齢層別の人口構成が把握可能である。このとき、対象は、15歳から79歳までである。
【0013】
さらに、
図23に示すように、この空間統計によれば、特定の領域の特定の時間帯(1時間ごと)に、居住エリア別の人口が把握可能であり、これは、上述のとおり、携帯電話の登録情報をもとに、居住エリア別の人口分布を把握することを可能とするものである。
【0014】
さらに、空間統計情報が得られることを前提に、人口統計情報を入力データとした「人流」の理解および予測に関わる技術も提案されている(例えば、非特許文献3を参照)。
【0015】
非特許文献3によれば、「人口統計データ」には、「軌跡データ」と「集約データ」とがありうる。「軌跡データ」とは、人などの移動物体そのものに関連づくデータであり、多くはスマートフォンやカーナビゲーションシステムのように可搬性のある端末によって取得されるデータである。
【0016】
一方で、「集約データ」とは、場所に関連づくデータであり、道路に設置された交通量センサや無線基地局などにおいて収集される。特定の場所に設置された機器によりデータを取得するため、ひとたび機器が設置されると、ある程度網羅的にデータが収集可能となる。また、個々の対象にひもづくデータではないため、プライバシーに対する懸念が小さく、一度計測したデータをさまざまな用途に活用できる可能性が高い。一方で、場所を横断した情報は基本的に得られないため、都市の人流を理解する場合には用途に制約がある。
【0017】
集約データの1つとして、都市における位置ごと、時間ごとの人口を記録したデータが「人口統計情報」である。人口統計情報の多くでは、時刻ごとにエリアごとの人口情報が記録されている。広域での情報を対象とする場合には、情報の網羅性を考慮して携帯電話の情報が用いられる場合が多く、携帯電話基地局での端末接続情報や、CDR(Call Data Record)などの情報を基にエリアごとの端末数をカウントし、属性ごとの利用率などを考慮しながら実際の人口を推計し、人口統計情報としている。
【0018】
上述した非特許文献1や非特許文献2に記載の「空間統計」は、この意味での「人口統計情報」に相当する。
【0019】
図24は、非特許文献2に開示された「モバイル空間統計(登録商標)」におけるデータの集約の手続きを示す図である。
【0020】
図24を参照して、この「空間統計」では、個人を特定できる情報を排除して安全性を確保するために以下のような処理を実施している。
【0021】
上述のとおり、顧客のプライバシーも厳重に保護するために、この空間統計は、集団の人数のみをあらわす人口統計情報であるため、ユーザ個人を特定することはできない。
【0022】
この空間統計は、次のような手順により作成される。
i)非識別処理 : 運用データから氏名や電話番号、生年月日などの識別情報を取り除く処理
ii)集計処理 : 非識別化情報から統計的な推計を行うことにより、統計的な「集団に関する情報」を導出する処理
iii)秘匿処理 : 集計結果に小人数エリアの数値が含まれないようにする処理
【0023】
そして、非特許文献3では、人口統計情報をより効果的に活用するために、人流解析として、入力は、複数時刻に対応した人口統計情報であり、それを基に時刻間におけるセル間での移動量を出力するタスクを実行する技術が開示されている。
【0024】
一方で、2次元情報の利用にあたって、建物面積の推定情報に基づいて大きなメッシュの人口統計データを小さいメッシュに振り分けるシステムの技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0025】
あるいは、特許文献2には、商品の購入者が居住するエリアクラスタに基づいて販売実績情報を分析することにより、商品の販売者にとって有用な販売活動支援情報を作成する販売情報分析装置が開示されている。ここでは、販売情報分析装置は、住民に関する属性が類似するエリアのグループであるエリアクラスタと各エリアとの対応関係を保持する。販売情報分析装置は、商品販売情報保持部にアクセスして、分析対象商品の各エリアクラスタにおける販売量を算出する。販売情報分析装置は、店舗顧客情報保持部にアクセスして、分析対象店舗の顧客について各エリアクラスタへの居住割合を算出する。販売情報分析装置は、販売量と居住割合とに正相関する所定の評価関数により、分析対象店舗の顧客が分析対象商品をどれだけ支持するかを示す指標値を算出する。
【0026】
特許文献3には、人の複数の行動種別のそれぞれにかかる時間帯毎の発生確率を示す行動統計データに基づいて人の行動を予測するシステムが開示されている。ここでは、予測システムは、予測期間と、年間消費支出額と、人の複数の行動種別のうち互いに代替え可能な複数の行動種別のグループについて、当該グループに属する各行動種別の利用比とを含む複数の条件を入力し、利用比に基づき、グループ内の各行動種別の行動に対し消費時間比を算出し、グループ内の各行動種別の予測期間内での推定発生確率の比が消費時間比に等しいという制約条件と、各行動種別による一単位時間当たりの支出金額の総和が、年間消費支出額から求めた1単位時間当たりの支出金額に等しいという制約条件とを満たすとともに、複数の行動種別の先験確率分布との間のKullback-Leibler尺度が最小となるように、複数の行動種別のそれぞれの推定発生確率を算出し、各行動種別の予測期間における行動時間を算出する、とされている。
【0027】
また、
図25は、総務省統計局から発行される、「社会生活基本調査」(非特許文献4)の概要を示す。
【0028】
図25に示すように、「社会生活基本調査」では、地域別に、年齢・性別単位で、15分ごとの単位の生活情報(行動分類)が調査されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【文献】特許第6226493号
【文献】特許第4897713号
【文献】特許第4834624号
【非特許文献】
【0030】
【文献】https://mobaku.jp/
【文献】https://www.bcm.co.jp/bcm/wp-content/uploads/2018/03/ntt-docomo-2017-10-01.pdf
【文献】戸田 浩之 著 : 「都市における人流の理解と予測」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/oubutsu/90/8/90_481/_pdf/-char/ja
【文献】https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/gaiyou.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
しかしながら、非特許文献1および非特許文献2に記載の技術では、1時間ごとに、ある地域内に存在する人の年齢(年代)・性別などの統計が得られるに過ぎない。
【0032】
また、非特許文献3に記載の技術では、「人口統計データ」から、「人流」(移動する人の数)の推定がされるものの、将来のある時刻に、ある地域において、人口動態情報を、いかにしてユーザにわかりやすく表示するかについては開示がない。
【0033】
非特許文献4の情報は、各職種の人々が、ある時間帯にどのような活動をしているのかを示しているにすぎない。
【0034】
また、特許文献1に記載の技術では、人口統計データに基づいて、ある建物内の人数を推定する技術が開示されているに過ぎず、特許文献2に記載の技術では、商品販売数量等に基づいて、当該エリアにおいて、特定の商品について、顧客が指示する指標値を算出するものであり、顧客の行動を予測するものではない。
【0035】
このため、まず、人口統計データが集積されているとしても、この人口統計データの集積される時間間隔よりも短い間隔で、人口統計情報に基づいて所定の領域の人の動きを推定することは困難であった。また、特許文献3に記載の技術では、人の行動の行動種別を時間帯ごとに予測するものの、対象領域に含まれる人の動きに基づいて所定の時間に所定の領域に含まれる領域単位の人の行動を予測しているわけではない。
【0036】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、所定の領域の人口統計情報に基づいて、対象領域に含まれる人の動きを推定して、所定の時間に所定の領域に含まれる領域単位の人の行動をシミュレーションする未来予測技術装置および予測シミュレーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
上記目的を達成するため、本発明の1つの局面に従うと、分析対象領域における予測シミュレーション装置であって、記憶装置を備え、記憶装置は、一連の第1の時間単位の時系列で、分析対象領域に含まれる複数の所定領域メッシュごとに所在する人の数の情報を含む所定の人口統計情報と、地域別、年齢・性別ごとに、第1の所定の時間間隔よりも短い第2の時間間隔での所定の行動の分類の情報である生活情報とを記憶し、人口統計情報の分析を行う演算装置とを備え、演算装置は、予測条件について利用者から指定を受けるための分析対象条件取得手段と、予測条件において、人口統計情報と生活情報とに基づいて、第1の時間単位より短い第2の時間単位ごとに、分析対象領域に含まれる所定領域メッシュに所在する人の行動の分類ごとの人数を推定する人行動情報推定手段と、予測条件において、人行動情報推定手段の推定結果と所定領域メッシュを分割した推定領域メッシュごとに人の行動の分類に対応する場所の種類と場所の大きさとに基づいて、人行動情報推定手段により推定された人数を推定領域メッシュに分配することにより、分析対象領域内の推定領域メッシュごとの集約データを推定する人口動態推定手段と、
分析対象領域内における推定領域メッシュで人行動情報推定手段により推定された人の行動の分類と集約データにより、分析対象領域内の人の属性の分布を推定する推定手段とを備え、人行動情報推定手段は、日時情報と、推定領域メッシュごとの人数・属性・行動分類の過去の複数の時系列の実績データとを入力とし、推定領域メッシュごとに所定の時間後の予測データを出力するモデルを含む。
【0038】
好ましくは、予測条件は、推定領域メッシュごとに、場所の種類と場所の大きさを、利用者が仮想的に指定した第1の条件と当該指定をしていない第2の条件とを含み、人口動態推定手段は、さらに、人行動情報推定手段の推定結果と、仮想的に指定された場所の種類と場所の大きさに対応する推定領域メッシュごとの人の行動とに基づいて、人行動情報推定手段により推定された人数を推定領域メッシュに分配することにより、分析対象領域内の推定領域メッシュごとの集約データを推定し、推定手段は、分析対象領域内の推定領域メッシュごとの人の数を、第1の条件と第2の条件とで推定した結果をそれぞれ出力する。
【0039】
好ましくは、人口統計情報は、所定の統計情報に基づいて、予測条件で指定される未来の時点の人口動態の予測情報であり、場所の種類と場所の大きさは、予測条件で指定される未来の時点で、場所について計画された情報である。
【0040】
好ましくは、記憶装置は、一連の時系列と同一の所定の時間単位での過去の人の行動実績を示す人行動実績情報を格納し、人行動情報推定手段は、人行動実績情報によりモデルを状態空間モデルとして生成することにより、所定の時間単位で推定領域メッシュ単位の人の行動に関連する予測データを推定する。
【0041】
好ましくは、記憶装置は、ネットワーク経由で外部サーバから取得したデータとして、人口統計情報と、生活情報と、領域場所情報とを格納し、人口統計情報は、第1の時間単位に対応する第1の時間間隔ごとの人口統計データの集約データであり、分析対象領域を含む所定の領域に、第1の時間間隔で所定領域メッシュごとに所在する人の年齢および性別ごとの人の数の情報であり、生活情報は、所定の時間単位ごとの情報であって、所定の時間単位は、第1の時間間隔よりも短く第2の時間単位に対応する第2の時間間隔であって、生活情報は、人の年齢、性別および人の生活および行動の所定の分類と、人の職種とを対応付け可能な情報であり、領域場所情報は、所定の区画ごとの場所情報であって、所定の領域内の施設の延べ床面積と施設内での職種の情報を含んでおり、人行動情報推定手段は、生活情報を所定の区画ごとに、人口統計情報と生活情報とに基づき、第2の時間間隔ごとに、所定の領域に所在する人の職種別の就業人数を推定する領域生活情報推定手段を含み、人口動態推定手段は、職種別の就業人数を、延べ床面積と各施設の職種に割り当てられる面積に基づいて、各施設に按分し、人口統計情報の推定領域メッシュでの人数の集約データを推定する。
【0042】
好ましくは、モデルは、予測データとして、指定された人の行動に関連する人数を推定するモデルであり、所定の時間単位及び推定領域メッシュ単位の分析対象となる人の行動についての人数の指定を受け付ける人行動情報指定受付手段と、所定の時間単位及び推定領域メッシュ単位で、指定された人数が人の行動を実行するために必要な所定の時間単位及び所定の領域単位における人の数を示す必要人数情報を出力する必要人数情報出力手段と、さらに備える。
【0043】
好ましくは、指定された人の行動は購買行動であり、モデルは、予測データとして、指定された購買行動をする人数と客単価を推定するモデルである。
【0044】
好ましくは、未来の時点の人口動態の予測情報は、所定のイベントが発生した場合の第1の予測情報と、所定のイベントが発生しなかった場合の第2の予測情報とを含み、人行動情報推定手段は、第1の予測情報および第2の予測情報のそれぞれに対応して、人の行動の分類ごとの人数を推定し、人口動態推定手段は、さらに、人行動情報推定手段の推定結果の人数を推定領域メッシュに分配することにより、分析対象領域内の推定領域メッシュごとの集約データを推定し、推定手段は、分析対象領域内の推定領域メッシュごとの人の数を、第1の予測情報による場合と第2の予測情報による場合とで推定した結果をそれぞれ出力する。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、人口統計情報に基づいて、対象領域の人口動態情報に基づいて所定の時間に所定の領域に含まれる領域単位の人の行動を予測してシミュレーションすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明の実施形態1の生活情報推定システムの概要を示す図である。
【
図2】生活情報サービス提供サーバ2000のシステム概要を示す機能ブロック図である。
【
図3】生活情報サービス提供サーバ2000のハードウェア構成を説明するための図である。
【
図4】データ提供サーバ5000.1~5000.Mから提供されるデータの内容を説明する図である。
【
図5】生活情報サービス提供サーバ2000の処理フローを説明する第1の図である。
【
図6】生活情報サービス提供サーバ2000の処理フローを説明する第2の図である。
【
図7】演算装置2100から出力されるデータの概要を示す図である。
【
図8】第1の時刻において、行動別人数推定から施設人数推定を行った場合に生成されるデータを示す概念図である。
【
図9】第2の時刻において、行動別人数推定から施設人数推定を行った場合に生成されるデータを示す概念図である。
【
図10】行動別人数推定処理(S120,S210)における空間分解の精度の向上処理の概念を示す図である。
【
図11】マップ出力部2104が出力する地図画像と人数分布の重畳画像の他の例を示す図である。
【
図12】生活情報サービス提供サーバ2000が予測シミュレーション装置として機能する際の機能ブロックを示す図である。
【
図13】予測シミュレーション処理のフローを説明する図である。
【
図14】分析対象領域ARに含まれる推定領域メッシュごとの実績情報をまとめたものである。
【
図15】予測シミュレーション装置を都市計画に利用する場合の例を示す図である。
【
図16】「予測モデル」について説明するための概念図である。
【
図17】生活情報推定システムにおいて利用されるデータの階層とデータ処理の階層を示す概念図である。
【
図18】データ処理の流れの概要を示す概念図である。
【
図19】生活情報推定システム1000を利用して実現されるサービスの概要を示す図である。
【
図20】
図19のサービスにあたり、スマートフォンを経由して提供されるサービスの一例を示す概念図である。
【
図21】統合分析によるデータの可視化の他の例を示す図である。
【
図22】従来技術のモバイル空間統計の概要(1)を示す図である。
【
図23】従来技術のモバイル空間統計の概要(2)を示す図である。
【
図24】従来技術のモバイル空間統計の概要(3)を示す図である。
【
図25】背景技術の社会生活基本調査の内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0048】
以下では、一連の時間単位における所定の領域に含まれる領域単位の人の数(行動実績に基づく予測データを含む)および予測条件において、未来の所定の時間に所定の領域に含まれる領域単位の人の行動をシミュレーションする予測シミュレーション装置の構成について説明する。
【0049】
以下で説明するとおり、本実施の形態における予測シミュレーション装置は、所定の領域について一連の時系列として収集される人口動態情報に基づいて当該所定の領域の所定の時間帯において、設定された予測条件の下での人の動き、当該所定領域内の人数の分布を推定する装置である。
【0050】
また、別の局面としては、本実施の形態の予測シミュレーション装置は、一連の時間単位における所定の領域に含まれる領域単位の人の数及び行動実績に基づいて、所定の時間に所定の領域に含まれる領域単位の人の行動をシミュレーションするシミュレーション装置としても機能する。
【0051】
図1は、本発明の実施形態1の人口動態分析システムの概要を示す図である。
【0052】
図1を参照して、本発明の実施形態1の人口動態分析システム1000は、人口動態分析装置として動作する生活情報サービス提供サーバ2000と、生活情報サービス提供サーバ2000からのサービスを受ける利用者の生活情報利用者端末3000(たとえば、端末3000.1~3000.Nの複数台があってもよい。N:2以上の自然数。以下、総称するときは、「生活情報利用者端末3000」と呼ぶ)と、生活情報サービス提供サーバ2000に対して、後述するような生活情報の推定のために必要なデータを提供するデータ提供サーバ5000.1~5000.M(M:自然数)と、ユーザ100に使用されるものであって、後述するようなサービスの提供を受け取る、携帯電話やスマートフォン200(たとえば、スマートフォン200.1~200.Mの複数台があってもよい。M:2以上の自然数。以下、総称するときは、「スマートフォン200」と呼ぶ)とを含む。
【0053】
図2は、生活情報サービス提供サーバ2000が、生活情報推定装置として機能する際のシステム概要を示す機能ブロック図である。
【0054】
図4は、データ提供サーバ5000.1~5000.Mから提供されるデータの内容を説明する図である。なお、以下、データ提供サーバ5000.1~5000.Mを総称するときは、単に、「データ提供サーバ5000」というものとする。
【0055】
図2を参照して、生活情報サービス提供サーバ2000は、演算装置2100と、記憶装置2300とを備える。
【0056】
記憶装置2300は、まず、所定の「人口動態情報2302」を格納する。ここで「人口動態情報2302」は、少なくとも所定の時において所定の領域に所在する人の数の情報を含む。
【0057】
ここで、「所定の時」とは、例えば、第1の所定の時間間隔、たとえば、1時間単位ごとの時のことをいい、「所定の領域」とは、特定の地域の、例えば、第1の領域メッシュ単位、たとえば、500mメッシュ(500m四方の正方形)単位の領域のことを言う。「所定の人口動態情報」とは、「人口統計データ」であって、「集約データ」を意味し、たとえば、
図4に示すように、前述した「モバイル空間統計情報(登録商標)」などが相当する。
【0058】
さらに、記憶装置2300は、所定の「生活情報2306」を格納する。「生活情報2306」は、少なくとも人の生活にかかる情報を含む。ここで、所定の「生活情報2306」とは、より特定的には、地域別、年齢・性別ごとに、第1の所定の時間間隔よりも短く、望ましくは、第1の時間間隔の約数である第2の時間間隔での所定の行動の分類の情報である。ここで、「生活情報」としては、たとえば、
図4に示すように、地域別、年齢・性別単位、15分単位で、所定の20種類の行動に分類した、総務省の「社会生活基本調査」によるデータベースの情報に相当する。ここで、「行動の分類」としては、たとえば、「睡眠」「通勤」「通学」「勤労」「学業」などの分類に対応する。
【0059】
また、記憶装置2300は、「職業別就業情報2308」を格納する。ここで、「職業別就業情報2308」とは、年齢・性別単位で、職種ごとの職種の就業比率を示すデータであり、たとえば、
図4に示すように、総務省の労働力調査データベースの情報に相当する。
【0060】
なお、「所定の生活情報」に、このような「職業別就業情報」が含まれていてもよい。
【0061】
したがって、「人口動態情報2302」と「所定の生活情報2306」とにより、利用者からの指示により領域設定部2106が設定した「所定の領域」に、「第2の時間間隔」で所在する人の行動別の人数(以下、「行動別人数」という)を、生活情報推定部2110が、推定処理をすることが可能である。さらに、このようにして推定された「行動別人数」により、勤労や学業という行動分類の人について、「職業別就業情報」を適用することで、生活情報推定部2110は、「第2の時間間隔」で、「所定の領域」に所在する人の「職種」の分類のデータを算出することが可能である。なお、「職種」とは、いわゆる「職業の種類」だけでなく、「学業」など、ビジネスではないものの、その場所(施設・建物)で、人が一定時間以上、同一内容の行動として顕在的に携わることになる「業務」であればよい。
【0062】
記憶装置2300は、さらに、所定の「領域場所情報2310」を格納する。ここで、「所定の領域場所情報」とは、「上述した所定の領域に存在する所定の場所の情報(その場所の職種の情報を含む)」のことを言う。たとえば、望ましくは、「領域場所情報」は、上述した第1の領域メッシュ単位よりも小さく、望ましくは、第1の領域メッシュ単位を矩形としたときに各辺がその約数である第2の領域メッシュ単位の領域について、この第2の領域メッシュ単位の領域内の建物・施設の情報とその建物・施設内で営まれる職種に関する情報を含むものである。たとえば、
図4に示すように、「領域場所情報2310」は、62.5mメッシュ単位で、街の建物・施設の情報、その建物・施設内で営まれる職種の情報や、道・水域に関する情報等を含んだ地図データが相当する。このような「地図データ」については、一部、民間企業からの提供が行われている。
【0063】
領域情報推定部2108は、このような領域場所情報2310に基づいて、領域設定部2106が設定した「所定の領域」の「所定の場所」において存在する施設や建物における延べ床面積において、各職種に対応する面積を推定する。
【0064】
したがって、生活情報サービス提供サーバ2000の演算装置2100の生活情報推定部2110は、「所定の場所」の「各職種に対応する面積」に「職種ごとの人数」を展開(たとえば、比例按分)することで、第2の時間間隔の時において、所定の領域に存在する所定の場所に所在する人の業務の情報(以下、「人の領域生活情報」と呼ぶ)を算出して、出力する。
【0065】
たとえば、このような「人の領域生活情報」の算出にあたっては、上述した手法にしたがって、対象となる領域内において、ある場所(施設・建物)で、人が携わっている「業務」の分類を算出することになる。
【0066】
所定の生活情報と所定の領域場所情報との関係性として、たとえば、所定の時間帯では、病院施設では医師や看護師が働いている、農地では農家の人が働いている、漁場では漁師が働いている、住宅では、主婦が子育てをしていたり、年金生活者が生活している等などの関係性を想定することができる。また、通勤時間帯などでは、一定割合の人は、「移動」との属性を有することになる。この具体的な処理については、後述する。
【0067】
さらに、マップ出力部2104は、このようにして推定された「人の領域生活情報」を、「所定の領域」の「所定の場所」にそれぞれ対応付けて(たとえば、地図情報の上から重畳して)表示する画面を生成して出力する。このような出力を生成することにより、利用者にとっては、自身の指定した「所定の領域」における人の生活情報を視覚的に把握することが可能となる。
【0068】
なお、以上の説明のように、第2の領域メッシュ単位の領域ごとに、かつ、第2の時間間隔で、「行動別人数」または「人の領域生活情報に対応する人数」を算出しているので、時間軸に沿って、第2の領域メッシュ単位の領域とその周囲の領域についての人数分布の変化を追跡し、かつ地図データ上で「人の移動が可能な経路の情報」(たとえば、道路、線路など)と統合することで、人流導線情報推定部2102は、人流の導線情報(どのような経路に沿って人が移動したか)を推定して出力する構成とできる。人流導線情報出力部2102の出力結果は、記憶装置2300の人流導線情報2312に格納される。
【0069】
また、記憶装置2300は、さらに、「交通経路情報情報2304」を格納する。ここで「交通経路情報情報2304」は、所定の領域に所在する以下のようなデータを含む。
・道路の地図上の経路情報、高速道路のインターチェンジ(IC)位置などの交通経路の結節点の情報
・過去の道路の混雑情報に基づいた、道路上の所定日の所定時間帯の平均移動速度
・公共交通機関(鉄道、バスなど)の駅・停留所の位置
・公共交通機関(鉄道、バスなど)の地図上の経路
・公共交通機関の時刻表(時刻表と経路情報により平均の移動速度も算出可能)
【0070】
ただし、交通機関に関する情報であれば、交通経路情報情報2304に含まれるデータはこれらのものに限定されない。
【0071】
なお、交通経路情報2304には、後述するような情報が格納されており、人流の情報を交通経路の情報と関連づければ、人流導線情報推定部2102は、交通経路ごとの人の移動量の情報を推定することも可能で、推定結果を人流導線情報2312として、記憶装置2300に格納する。
【0072】
図3は、生活情報サービス提供サーバ2000のハードウェア構成を説明するための図である。
【0073】
図3を参照して、生活情報サービス提供サーバ2000は、自身の筐体内の演算装置(CPU:Central Processing Unit)が演算処理を実行する構成であってもよいし、プログラムの処理の一部は、さらに他のサーバ上で実行される構成であってもよい。以下では、自身の筐体内の演算装置が演算処理を実行するものとして説明する。
【0074】
図3を参照して、サーバ2000は、コンピュータ装置2010と、ネットワークと通信するためのネットワーク通信部2012と、外部からのデータを記録してコンピュータ装置2010に提供するための記録媒体(たとえば、メモリカード)2210と、入力装置としてのキーボード2400と、表示装置としてのディスプレイ2420とを備える。
【0075】
なお、たとえば、記録媒体2210としては、USBメモリ、メモリカードや外付け記憶装置などを利用することができる。また、ネットワーク通信部2012としては、たとえば、有線LANや無線LANの通信機能を利用することができる。ネットワーク通信部2012と入出力インタフェース2090とで、通信インタフェースを構成する。
【0076】
図3に示されるように、このコンピュータ装置2010を構成するコンピュータ本体は、ディスクドライブ2030およびメモリドライブ2020に加えて、それぞれバス2050に接続されたCPU(Central Processing Unit )2100と、ROM(Read Only Memory)2200.1およびRAM(Random Access Memory)2200.2を含むメモリ2200と、不揮発性の書換え可能な不揮発性記憶装置2300と、ネットワークを介しての通信や外部とのデータの授受を行うための入出力インタフェース2090とを含んでいる。不揮発性記憶装置2300としては、たとえば、HDD(Hard Disc Drive)またはSSD(Solid State Drive)などが使用される。以下では、SSDであるものとして説明する。ディスクライブ2030には、光ディスクが装着可能である。メモリドライブ2020にはメモリカード2210が装着可能である。
【0077】
コンピュータ装置2010のプログラムが動作するにあたっては、そのコンピュータとしての動作の基礎となる情報を格納するデータやプログラムは、SSD2300に格納されるものとして説明を行う。
【0078】
なお、
図3では、コンピュータ本体に対してインストールされるプログラム等の情報を記録可能な媒体として、たとえば、DVD-ROM(Digital Versatile Disc)、メモリカードやUSBメモリなどでもよい。そのような場合に対応して、コンピュータ本体には、これらの媒体を読取ることが可能なドライブ装置(メモリドライブ2020、ディスクドライブ2030)が設けられる。
【0079】
コンピュータ装置2010の主要部は、コンピュータハードウェアと、CPU2100により実行されるソフトウェアとにより構成される。一般的にこうしたソフトウェアは、記憶媒体に格納されて流通またはネットワーク経由で流通し、ディスクドライブ2030やネットワーク通信部2012経由で取得されて、SSD2300に一旦格納される。そうしてさらにSSD2300からメモリ中のRAM2200.2に読出されてCPU2100により実行される。なお、ネットワーク接続されている場合には、SSD2300に格納することなくRAMに直接ロードして実行するようにしてもよい。
【0080】
コンピュータ装置2010として機能するためのプログラムは、その流通にあたっては、コンピュータ本体2010に、情報処理装置等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)は、そのプログラム中には、必ずしも含まなくても良い。プログラムは、制御された態様で適切な機能(モジュール)を呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいれば良い。コンピュータシステム2010がどのように動作するかは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0081】
さらに、CPU2100も、1つのコアのプロセッサであっても、あるいは複数のコアのプロセッサであってもよい。すなわち、シングルコアのプロセッサであっても、マルチコアのプロセッサであってもよい。また、サーバ2000も、複数のサーバにより構成され、分散処理を実行する構成としてもよい。
【0082】
なお、生活情報利用者端末3000や、データ提供サーバ5000.i(1≦i≦M)のハードウェア構成も基本的に同様であるので、その説明は繰り返さない。
(所定領域内の生活情報の推定処理)
【0083】
以下では、生活情報サービス提供サーバ2000による未来の時点の人口動態の予測処理の前提として、所定領域内の所定時間帯において所在する人の生活情報に基づく行動別人数推定および施設人数推定の処理について説明する。
【0084】
図5は、生活情報サービス提供サーバ2000の行動別人数推定および施設人数推定の処理フローを説明する第1の図である。
図6は、生活情報サービス提供サーバ2000の行動別人数推定および施設人数推定の処理フローを説明する第2の図である。
【0085】
図7は、演算装置2100から出力されるデータの概要を示す図である。
【0086】
図8は、第1の時刻において、行動別人数推定から施設人数推定を行った場合に生成されるデータを示す概念図である。
【0087】
図9は、第2の時刻において、行動別人数推定から施設人数推定を行った場合に生成されるデータを示す概念図である。
【0088】
図5および
図6を参照して、行動別人数推定および施設人数推定の処理がスタートすると、演算装置2100は、ネットワーク経由で、空間統計データを取得する(S110、S200)。
【0089】
上述のとおり、空間統計データの取得にあたっては、NTTドコモの提供する「モバイル空間統計(登録商標)」を利用することが可能である。空間統計データは、たとえば、所定幅のメッシュ(たとえば、500m四方)内の、所定時間(たとえば、1時間)単位の年齢性別毎の人数のデータである。
【0090】
続いて、利用者からの指定により領域設定部2106により指定された「所定の領域」について、生活情報推定部2110は、空間統計データを基に、特定の領域(たとえば、大阪梅田地域)に、ある特定の時間帯(たとえば、ある1時間)において、滞留している人(年齢・性別を空間統計データから取得)について、社会生活基本調査データベースを参照して、この特定の時間帯内のより細かい時間(たとえば、15分)単位の就労・移動(例:通勤)等の状態(行動分類情報)に分類し、各分類の人数(年齢・性別の属性)を推定する(S120,S210)。
【0091】
図7(a)下側は、このような行動別人数推定の概要を示す。
【0092】
図8の下側の図は、午前2時において特定の領域での行動別人数の推定結果を示す。時間帯からして、ほとんどの人が「睡眠」との行動分類である。
【0093】
図9の下側の図は、午後3時(15時)において特定の領域での行動別人数の推定結果を示す。時間帯からして、ほとんどの人が「勤労」ないし「学業」との行動分類である。
【0094】
図5および
図6に戻って、さらに、生活情報推定部2110は、各行動分類の推定人数(年齢・性別の属性)を基に、上記特定の領域について、15分毎の職種別の就業人数(年齢・性別の属性)を、たとえば、総務省労働力調査データベースに基づいて、推定する(S130,S220)。
【0095】
続いて、生活情報推定部2110は、推定された15分毎の職種別の就業人数(年齢・性別の属性)を、領域場所情報推定部2108が推定する地図上の施設・建物の延べ床面積と各施設・建物の職種に割り当てられる面積に基づいて、各建物(施設)に展開(たとえば、比例按分)し、空間統計データの単位メッシュ以下の大きさのメッシュ(たとえば、62.5mメッシュ)での人数の集約データを推定する(S140,S230)。
【0096】
図7(a)上側は、このような施設人数推定の概要を示す。
【0097】
図8の上側の図は、午前2時において特定の領域での施設人数推定の結果を示す。時間帯からして、ほとんどの人が「住居」または「ホテル・旅館」に所在している。
【0098】
図9の上側の図は、午後3時(15時)において特定の領域での施設人数推定の結果を示す。時間帯からして、ほとんどの人が各施設において、施設・建物に対応する「職種」ないし「業務」に割り当てられていることがわかる。
【0099】
図5および
図6に戻って、さらに、マップ出力部2104は、各施設・建物について展開された人数を、地図上に重畳して、たとえば、ヒートマップ方式などで色分けして出力する(S140,S240)。ここで、ヒートマップの表示あたっては、その場所の業務の人数の割合を示すチャートを色分けして示すという方式であってもよい。
【0100】
図7(b)は、このような人数分布を可視化した出力例を示す図である。
【0101】
図10は、行動別人数推定処理(S120,S210)における空間分解の精度の向上処理の概念を示す図である。
【0102】
図10に示すように、空間統計データ(または、人流データ)と地図情報などの様々な情報を使って分析を行う際には、あるデータは、空間分解能として、500m単位であり、別のデータは、100m単位であり、さらに他のデータは、地番単位(住所単位)となっているケースがある。
【0103】
データの単位が合致していないため、通常は、単位が大きいデータに合わせて分析を行うことになってしまう。
【0104】
しかしながら、上述した通り、生活情報サービス提供サーバ2000では、人流データ(所定の時点の人数分布データを含む)、建物データ、施設データ、土地データ(道、鉄道、道・水域に関する情報を含む)などを、全て同一の単位(領域メッシュ)に分解・換算されて蓄積されている。
【0105】
このような同一単位で格納されているデータベースを、以下では、「データレイク」と呼ぶ。したがって、たとえば、日本全国のどの地点でも、同一の単位(領域メッシュ)で、リアルタイム分析を行うことが可能である。
【0106】
また、上述のとおり、同一の領域メッシュとしては、
図10に示すように、一辺が、62.5mのメッシュとしている。
【0107】
62.5mとすると、モバイル空間統計(登録商標)が、一辺500mのメッシュであるため、この500mの2の累乗分の1(1/8)であって、人が1分間で歩く距離にほぼ等しい距離を一辺とする領域メッシュとできる。他の空間統計を利用する場合も、同様にして、一辺を、人が1分間で歩く距離に相当する領域メッシュに統一することが可能である。人が1分間で歩く距離とすることで、たとえば、歩行で移動する人も含めて、人流を解析するのに適した分解能であるといえる。
【0108】
ただし、62.5mよりも小さい単位に分割することも可能である(たとえば、最小1m単位)。もっとも、分析するデータ量と計算量は増加してしまうため、費用対効果の観点から、たとえば、62.5mとすることが望ましい。
【0109】
図11は、マップ出力部2104が出力する地図画像と人数分布の重畳画像の他の例を示す図である。
【0110】
図11に示すように、所定の地域としては、ある広さの地域を指定しておき、さらに、推定処理を実施する「所定の領域」については、その中の一部をさらに利用者が指定するという構成とすることも可能である。
(未来の時点での予測処理)
【0111】
以下では、生活情報サービス提供サーバ2000による、所定領域内の未来の所定時間帯において所在する人の人口動態情報の推定処理とその表示処理について説明する。このような人口動態の推定により、生活情報サービス提供サーバ2000は、予測シミュレーション装置として機能する。
【0112】
図12は、生活情報サービス提供サーバ2000が予測シミュレーション装置として機能する際の機能ブロックを示す図である。
【0113】
なお、
図12の構成は、
図2に示した生活情報サービス提供サーバ2000の構成において、以後、説明するような「未来の時点の人口動態の予測処理」を実行するためのソフトウェアの機能と、そのような機能の実行のために必要となるデータの構成を説明したものである。
【0114】
図2の構成で説明した処理と、
図12の構成で実行される処理には、共通な部分も多い。したがって、
図2で説明した機能ブロックについては、適宜、図示を省略している場合があるが、同一の機能については、
図2と
図12とで、同一の機能ブロックにより実行される。また、
図2と
図12とで、同一部分には同一符号を付して、説明は原則として繰り返さないものとする。
【0115】
図12を参照して、未来の時点の人口動態の予測処理を行う場合、生活情報サービス提供サーバ2000の演算装置2100は、
図2の機能に追加して、利用者端末3000を介してユーザにより指定される分析対象となる領域の情報(以下、「分析対象領域情報」)と分析対象となる時間または時間帯とについて予測条件を取得する分析対象時間・領域情報取得部2101と、所定の人口統計情報に基づいて、領域メッシュごとに上述した所定の第2の時間間隔での人の行動の分類を推定する人行動推定部2103と、分析対象領域内で分析の対象となる人の行動の情報(以下、「指定人行動情報」)を、利用者端末3000におけるユーザの指定によって取得する人行動情報指定受付部2105と、特定の行動についてユーザにより指定される(人の数、性別、年代などの属性情報を含む)指定人数に対して、その特定の行動を行う指定人数を満たすために分析対象領域内で必要となる人数(以下、「必要人数情報」)を推定する必要人数情報推定部2107と、との機能を実行する。
【0116】
また、場所情報仮設定部2115は、予測条件として、ユーザが指定する場所の仮設定の情報を取得する。
【0117】
図12においては、
図2の生活情報推定部2110の機能は、人行動情報推定部2103と領域生活情報推定部2109と人口動態情報推定部2111の3つの機能に分けて説明する。
【0118】
図2と同様に、「人口動態情報2302」は、少なくとも所定の時において所定の領域に所在する人の数の情報を含む。ここで、「所定の時」とは、例えば、第1の所定の時間間隔、たとえば、1時間単位ごとの時のことをいい、「所定の領域」とは、特定の地域の、例えば、第1の領域メッシュ単位、たとえば、500mメッシュ(500m四方の正方形)単位の領域のことを言う。「所定の人口動態情報」とは、「人口統計データ」であって、「集約データ」を意味し、たとえば、
図4に示したように、前述した「モバイル空間統計情報(登録商標)」などが相当する。
【0119】
さらに、記憶装置2300が格納する「生活情報2306」は、少なくとも人の生活にかかる情報を含む。ここで、所定の「生活情報2306」とは、より特定的には、地域別、年齢・性別ごとに、第1の所定の時間間隔よりも短く、望ましくは、第1の時間間隔の約数である第2の時間間隔での所定の行動の分類の情報である。ここで、「生活情報」としては、たとえば、
図4に示すように、地域別、年齢・性別単位、15分単位で、所定の20種類の行動に分類した情報であって、総務省の「社会生活基本調査」によるデータベースの情報に相当する。
【0120】
記憶装置2300が格納する「職業別就業情報2308」は、年齢・性別単位で、職種ごとの職種の就業比率を示すデータであり、たとえば、
図4に示すように、総務省の労働力調査データベースの情報に相当する。なお、ここでも「所定の生活情報」に、このような「職業別就業情報」が含まれていてもよい。
【0121】
したがって、「人口動態情報2302」と「所定の生活情報2306」とにより、利用者からの指示により分析対象時間・領域情報取得部2101が設定した「所定の領域」に、「第2の時間間隔」で所在する人の行動別の人数(以下、「行動別人数」という)を、人行動推定部2103が、推定処理をする。さらに、このようにして推定された「行動別人数」により、勤労や学業という行動分類の人について、「職業別就業情報」を適用することで、領域生活情報推定部2109は、「第2の時間間隔」で、「所定の領域」に所在する人の「職種」の分類について職種別の就業人数のデータを算出することが可能である。なお、「職種」とは、いわゆる「職業の種類」だけでなく、「学業」など、ビジネスではないものの、その場所(施設・建物)で、人が一定時間以上、同一内容の行動として顕在的に携わることになる「業務」であればよい。
【0122】
記憶装置2300が格納する「領域場所情報2310」は、「上述した所定の領域に存在する所定の場所の情報(その場所の職種の情報を含む)」である。ここで、「領域場所情報」は、上述した第1の領域メッシュ単位よりも小さく、望ましくは、第1の領域メッシュ単位を矩形としたときに各辺がその約数である第2の領域メッシュ単位の領域について、この第2の領域メッシュ単位の領域内の建物・施設の情報とその建物・施設内で営まれる職種に関する情報を含むものである。たとえば、
図4に示すように、「領域場所情報2310」は、62.5mメッシュ単位で、街の建物・施設の情報、その建物・施設内で営まれる職種の情報や、道・水域に関する情報等を含んだ地図データが相当する。
【0123】
領域場所情報推定部2108は、このような領域場所情報2310に基づいて、「所定の領域」の「所定の場所」において存在する施設や建物における延べ床面積において、各職種に対応する面積を推定する。
【0124】
最終的に、生活情報サービス提供サーバ2000の演算装置2100の人口動態情報推定部2111は、「所定の場所」の「各職種に対応する面積」に「職種ごとの人数」を展開(たとえば、比例按分)することで、第2の時間間隔の時において、推定領域メッシュごとに所在する人の数(人口動態)の情報を算出して、出力する。
【0125】
記憶装置2300は、
図2で記憶しているとされていた情報に加えて、ユーザにより指定された分析対象時間・領域情報2301と、所定の人口動態情報に加えて人口動態情報推定部2111により推定される情報を含む人口動態情報2302と、後述するような人行動実績情報2303と、人行動情報推定部2103により推定される人行動情報2305と、領域生活情報推定部2109により推定される領域生活情報2311と、後述するような統計情報2313とを、記憶する。
【0126】
ここで、領域生活情報2311とは、「所定の生活情報と所定の領域場所情報との関係性」に基づいて、所定の時において分析対象領域に所在する人について推定領域メッシュごとの生活情報である。
【0127】
図13は、予測シミュレーション処理のフローを説明する図である。
【0128】
処理が開始されると、演算装置2100の分析対象時間・領域情報取得部2101は、利用者端末3000からの指示に応じて、分析対象領域情報と分析対象となる時間または時間帯の情報の予測条件を取得し、ならびに、ユーザからの指定する場所の仮設定の予測条件を、場所情報仮設定部2115が取得する(S102)。
【0129】
ここで、「予測条件」とは、予測の対象となる分析対象領域および分析対象時間(時間帯)に加えて、場所の仮設定として、たとえば、以下のようなものを含む。
【0130】
i)特定の領域に現実に存在する建物(延べ床面積やその建物内の職場・職業が既知)を、計算上、削除(たとえば、建物の高さを0階とする)する。
【0131】
このように予測条件を設定した上で、人流をシミュレーションすることで、建物のある状態と無い状態との比較により、その建物の人吸引力を評価することができる。
【0132】
ii)逆に、特定の領域に仮想的に建物(延べ床面積やその建物内の職場・職業を設定)を計算上、新たに登録(たとえば、建物の高さを5階とする)する。
【0133】
このように予測条件を設定した上で、人流をシミュレーションすれば、そのような建物の無い状態(現状)と建物を建設した状態(将来の仮想的な状態)との比較により、その建物の人吸引力の可能性を評価することができる。
【0134】
さらに、
図13において、ステップS110~S140までの処理については、
図5において説明した生活情報の推定処理と同様であるので、説明は繰り返さない。
【0135】
実際には、たとえば、データレイク内において、ステップS110~S140までの処理において算出されたデータが、一旦、共通データとして格納されており、
図5で説明した行動別人数推定および施設人数推定の処理と、
図13において説明する人口動態情報の分析処理において、共有される構成とすることもできる。
【0136】
したがって、ステップS140までの処理により、現時点で予測条件の設定が特にされていない状態での推定領域メッシュ単位での人口動態情報(人のデータ(人の数、性別、年代などの属性を含む))を、人口動態推定部2111は推定することになる。
【0137】
さらに、ステップS110~S140までの処理に続いて、演算装置2100の人口動態推定部2111は、人行動実績情報および統計情報も参照して、ユーザからの予測条件の設定(予測時間、予測領域、予測場所の属性)をする(S170)。
【0138】
ここで、人行動実績情報としては、たとえば、以下のような情報を含む。
【0139】
i)一連の時間単位および領域単位における人の行動実績情報(例えば、社会生活基本調査等の統計、POS(Point of sales)データに基づく商品・サービスの購買等の情報)。
【0140】
なお、後述するように、「状態空間モデル」などのモデルによって、実際に観測/検出された行動実績に基づいて、推定による行動実績(例えば、粗い実績情報や予測/補完による実績情報(イベントの影響を加味した予測であってもよい))を含んでいてもよい。
【0141】
また、統計情報としては、たとえば、以下のような情報を含む。
【0142】
ii)例えば、「人口動態調査」+「将来人口増減率算出・年齢 性別毎」に基づく「将来推計地域人口」の情報。さらに、さらに、所定領域メッシュ単位での「国勢調査データ」による補正を含んでもよい。
【0143】
以上のような予測条件の設定において、たとえば、予測時間が未来の時間に設定された場合は、たとえば、予測モデルを用いて、未来の時点の推定領域メッシュのデータを予測する構成とすることができる。
【0144】
図16は、このような「予測モデル」について説明するための概念図である。
【0145】
特に限定されないが、予測モデルとしては、たとえば、「状態空間モデル」などのモデルを使うことができる。
【0146】
ここで、「状態空間モデル」とは、時系列解析の手法の1つであって、実際の状態を表す変数と実際に観測できる変数が異なるような系を数式で表現したもので、気象の予測や制御理論など様々な分野で応用されている。
【0147】
たとえば、以下の文献では、購買の時間情報を考慮して購買データの経時的な変化に対応しながらも、少ない計算量で購買状況を予測することを、状態空間モデルを利用して予測する構成が開示されている。
公知文献1:特開2010-61456号明細書
【0148】
また、以下の文献では、状態空間モデルなどのモデルを利用することで、商品ごとに精度の高い売上予測を提供する場合の負荷が増大することを抑止することが可能な技術が開示されている。
公知文献2:特開2016-115157号明細書
【0149】
また、以下の文献では、過去の混雑度の時系列データを用いて、状態空間モデルを用いて、簡易な処理により混雑度を予測する予測装置が開示されている。
公知文献3:特許第7099770号
【0150】
そこで、
図16に示すように、日時情報と共に、推定領域メッシュごとの「人数・属性・行動分類」の過去の複数の時系列の実績データを入力として、推定領域メッシュごとに未来の所定の時間の予測データを出力する「予測モデル」を生成することができる。
【0151】
たとえば、予測データとしては、その推定領域メッシュにおいて、ある種類の商品(または、特定の商品)の「購買量」「売上高」などを想定することが可能である。この場合は、過去の実績データの中に上述の通り、その推定領域メッシュ内でのPOSデータを含めることができる。
【0152】
あるいは、たとえば、予測データとしては、未来の時点での、その推定領域メッシュにおける、人の数と人の行動分類を想定することも可能である。
【0153】
予測条件が、たとえば、未来の所定の時間である場合は、以上のようにして、人口動態推定部2111は、予測条件下で、ステップS120~S140までと同様の処理を行うことで、分析対象領域での人の分布を予測する表示するデータを生成して、利用者端末に対して返信する(S180)。
【0154】
したがって、生活情報サービス提供サーバ2000が、所定の領域内の所定時間帯において所在する人の人口動態情報の予測処理を実行する場合、分析対象時間・領域情報取得部2101が、ユーザから指定された分析対象領域を示す分析対象領域情報を取得すると、人口動態推定部2111は、「所定の時(時間または時間帯)」において分析対象領域に含まれる複数の第1の領域メッシュ単位に所在する人の数の情報を含む所定の人口動態情報に基づいて、第1の領域メッシュ単位よりも小さな第2の領域メッシュ単位(推定領域メッシュ)毎の人のデータ(人の数、性別、年代などの属性を含む)を、予測条件として設定された時について推定することになる。
【0155】
ここでも、
図2の場合と同様に、「所定の時」とは、例えば、「第1の所定の時間間隔」、たとえば、1時間単位ごとの時のことをいい、「所定の領域」とは、特定の地域の、例えば、第1の領域メッシュ単位、たとえば、500mメッシュ(500m四方の正方形)単位の領域のことを言う。「所定の人口動態情報」とは、「人口統計データ」であって、「集約データ」を意味し、たとえば、前述した「モバイル空間統計情報(登録商標)」などが相当する。
【0156】
さらに、また、所定の「生活情報2306」とは、ここでも、
図2~
図4において説明したものと同様であり、より特定的には、地域別、年齢・性別ごとに、第1の所定の時間間隔よりも短く、望ましくは、第1の時間間隔の約数である「第2の時間間隔」での所定の行動の分類の情報である。ここで、「生活情報」としては、たとえば、地域別、年齢・性別単位、15分単位で、所定の20種類の行動に分類した、総務省の「社会生活基本調査」によるデータベースの情報に相当する。また、「所定の領域場所情報」とは、「上述した所定の領域に存在する所定の場所の情報(その場所の職種の情報を含む)」のことをいい、望ましくは、「領域場所情報」は、上述した第1の領域メッシュ単位よりも小さく、望ましくは、第1の領域メッシュ単位を矩形としたときに各辺がその約数である第2の領域メッシュ単位(推定領域メッシュ)の領域について、この第2の領域メッシュ単位の領域内の建物・施設の情報とその建物・施設内で営まれる職種に関する情報を含んでいる。
【0157】
図14は、分析対象領域ARに含まれる推定領域メッシュごとの実績情報をまとめたものである。
【0158】
推定領域メッシュMCには、領域人口動態情報として、人数、性別、年代の情報が存在し、領域行動情報として、行動分類ごとの人数、建物の情報(階数、床面積)に加えて、床面積に対応した業種なので施設属性などの情報が存在する。
【0159】
また、上述したように、実績情報としては、POSデータに基づく商品・サービスの購買等の情報が含まれていてもよい。
【0160】
したがって、
図16で示した予測モデル(状態空間モデル)の学習における入力としては、これらの実績情報を利用することが可能である。
【0161】
なお、これらの実績情報には、対応する日時の情報も含まれる。そして、日時としては、日付・時刻の情報だけでなく、日/週末/祝日、午前/午後、日中/夜等の指定があってもよい。
【0162】
なお、人口動態推定部2111が、分析対象領域内に存在する推定領域メッシュの各々について予測した、特定の行動の分類に対応する人数の合計をすると、予測日時として指定された時点で、その分析対象領域に所在する、この特定の行動を行っている人数の総和を推定することも可能である。
【0163】
逆に、予測条件としてユーザが、予測日時において、この特定の行動をする人の分析対象領域内の人の数(人の数、性別、年代などの属性情報を含む)を指定している場合は、必要人数情報推定部2107は、この特定の行動についてユーザにより指定される人数に対して、その特定の行動を行う人数を満たすために分析対象領域内で必要となる人数(以下、「必要人数情報」)を推定する。この必要人数情報を満足させるために、推定領域メッシュごとに必要となる人数を推定することとしてもよい。
【0164】
図15は、予測シミュレーション装置を都市計画に利用する場合の例を示す図である。
【0165】
たとえば、
図15(a)のように、領域B01に所定の建物が存在している場合の分析対象領域AR内の各推定領域メッシュ内の人数の分布を推定しているとする。
【0166】
ここでは、
図15(a)では、人の密度が、最低値のp1から最高値のp2の間に分布しているものとして、各推定領域メッシュの人の密度をヒートマップで示している。
【0167】
そして、
図15(b)は、予測条件として、領域B01に存在する建物を計算上、削除(たとえば、建物の高さを0階とする)した場合の各推定領域メッシュの人の密度をヒートマップで示している。
【0168】
ここでは、領域B01に存在した建物がなくなった場合、人の分布は、領域B02と領域B03に分散することがわかる。
【0169】
したがって、都市計画において、所定の分析領域内の所定の場所に、仮想的に建物を建てたり、あるいは、現存する建物を削除した場合に、分析領域内の人の分布がどのように変化するかをシミュレーションすることが可能となる。
【0170】
したがって、所定の統計情報(人口統計情報を含む)に基づいて、所定の仮定条件(予測条件)の設定として、領域場所情報(例えば、新しい施設(駅や商店等の「場所」を含む)の建設や新しい道路や鉄道の敷設)などを変更することにより、そのような変更に伴う影響の現れる「影響エリア」を算出することが可能となる。
【0171】
所定の仮定条件とは、たとえば、駅前の再開発計画、市営住宅・高齢者住宅の建設、バス路線の変更等などが想定される。
【0172】
領域生活情報推定部は、領域場所情報推定部が出力した領域場所情報に基づいて領域生活情報を出力する。
【0173】
以上のような構成で、将来的な地域人口の増減や再開発計画等による影響をシミュレーションに反映することができる。
【0174】
そして、ここでいう「人行動情報」には、「商品の購入」や「トイレの使用」等の“狭義の行動”の他、「駅前の人の滞留」、「交通渋滞」、「公共交通の混雑状況」、「住宅の不足」等の人の行動のアウトカムとして発生する“広義の行動”を含む。
【0175】
また、ここでの仮定条件として、場所の種類の条件ではなく、オリンピックや万博等のイベントの有無などを想定して、
図16で説明したような予測モデルにおいて、過去のイベント開催時の実績情報を用いることとすれば、イベントが開催される場合とされない場合との2種(またはそれ以上)の異なる人口動態の実績情報に基づいて、それぞれ、推定領域メッシュごとの人口動態を予測することも可能となる。
【0176】
オリンピックや万博等のイベント、駅前の再開発、バス路線の拡充、市営住宅の整備等の都市計画等の有無による人行動情報の差分に基づいて、いわゆる経済効果を分析することができる。
【0177】
実績情報が集まれば、人の行動の特性および特定のイベント(異なるイベントの組み合わせによるシナジー等も含む)や都市計画等による外乱による効果を人の行動の「差分」として具体的に捉え、未来の「経済効果」の算出の他、過去の「機会損失」の定量評価(相対的な過去の時点にかかるシミュレーションも含む)を行うためのユニークな入力情報を提供できる。
【0178】
図17は、予測シミュレーション装置において利用されるデータの階層とデータ処理の階層を示す概念図である。
【0179】
図18は、データ処理の流れの概要を示す概念図である。
【0180】
図17に示すように、公的で公開された領域である「パブリック領域」には、たとえば、「都市のインフラを支えるソフトウェア」としての「都市OS」やデータ連携基盤がある。
【0181】
日本であれば、たとえば、以下の内閣府の資料が公開されている。
公知文献:https://www8.cao.go.jp/cstp/stmain/a-whitepaper3_200331.pdf
【0182】
ここでは、日本のスマートシティの実現に向けた課題として、i)サービスの再利用・横展開、ii)分野間データ利活用、iii)拡張性の低さ、の三つがある。
【0183】
i)サービスの再利用・横展開において、従来は分野や組織ごとに個別特化したシステムとなっており、そのため他地域への再利用や横展開が困難であるという課題がある。
【0184】
ii)分野間データ利活用において、従来のサービスは分野や組織ごとにデータが独立しているため、分野間を横断した新サービスの構築が困難という課題がある。
【0185】
iii)拡張性の低さにおいて、従来の個別特化したシステムでは、機能拡張によるコストや労力が大きくなり、継続的かつ容易にサービスを進化できないという課題がある。
【0186】
これらの日本のスマートシティの実現に向けた課題への対策として、i)相互運用(つながる)、ii)データ流通(ながれる)、iii)拡張容易(つづけられる)を、都市OSの特徴として設計するものとされている。
【0187】
そのような基盤の上に、本実施の形態の「人口動態情報予測システム領域」が存在するという概念上の構成となる。
【0188】
図17に示すように、システム100では、
図4に示したような「ドコモ空間統計(登録商標)」以外にも、気象庁サーバなどから取得される、所定の領域の所定の時間帯の気象データや、防災科学技術研究所から取得される「災害リスク情報」などを利用することも想定される。
【0189】
このようなデータは、上述した「データレイク」に蓄積されるにあたり、生のデータとして汎用のデータとして蓄積された後に、ある時間帯についてファイナライズしたものを、上述したように、「人口動態情報予測システムの統一フォーマット(たとえば、単位となる領域メッシュの統一など)」として蓄積されていく。
【0190】
なお、
図17と
図18に示すように、「データレイク」に提供される汎用データフォーマットのデータとしては、たとえば、スマートフォンのアプリケーションを介して、スマートフォンから投稿してもらうというようなことも想定される。ここで、投稿されるデータとしては、特定の場所の特定の施設の混雑の情況を主観的に評価したデータであってもよいし、あるいは、混雑の情況を写真や動画に撮影したデータであってもよい。
【0191】
さらに、
図17と
図18に示すように、その「データレイク」の上層に、データ分析の階層があり、ここは、上述した生活情報サービス提供サーバ2000が実施するようなデータ統合分析の処理が相当する。
【0192】
分析結果に何らかの評価を加えて、あるいは、分析結果を他社とも連携して、最終的に可視化して提示する部分が、さらにその上層のデータ表示の階層に存在するという構成である。
【0193】
特に、空間統計が1時間単位であるのに対して、上述したような処理により、たとえば、15分単位という、ほぼリアルタイムといえるデータ分析と可視化が可能となる。
【0194】
なお、
図18に示すように、以上のような統合分析の処理を行って、その情報を元に、街にある施設を評価して施設ごと人を配置するという処理を実行することになるので、人流→行動→街の情報という独立した情報から人流分布を作成しているため、「街の情報(一般的な地図情報)」を更新すると人流分布も変化する。したがって、現在のリアルタイムの情報の可視化だけでなく、過去や未来の現在とは異なる街の人流分布も可視化が可能になる。
【0195】
たとえば、江戸時代の街情報を使うと当時の人流分布推計になり、当時の街の生活を可視化することができたり、映画やアニメ・ゲームなど仮想世界の街情報をつかうと仮想世界の人流分布を推計することも可能になる。もちろん未来の特定の都市(例:大阪市)の生活も可視化が可能になる。
【0196】
これらの分析結果には、都市計画、環境最適化、エネルギー最適化、不動産価値評価、物流の最適化、などにも利用できる。たとえば、不動産価値評価にあたっては、仮想的に、将来に、その場所に、ある施設を建設した場合に、どのような人の分布の変化が生じうるかなども、分析・評価することが可能であり、その情報を不動産価値評価に加味することができる。
【0197】
また、データ統合分析の利用態様としては、製品のプロモーションイベントなどへの入場チケット(実会場であるか、バーチャル会場であるかを問わない)を、スマートフォン経由で、利用者の行動履歴などを基に、配布するなどが想定される。
【0198】
図19は、人口動態情報予測システム1000を利用して実現されるサービスの概要を示す図である。
【0199】
図20は、
図19のサービスにあたり、スマートフォンを経由して提供されるサービスの一例を示す概念図である。
【0200】
図19に示すように、データレイクに蓄積される地図、人流、各種センサーデータ、気象データ、衛星データ、不動産データ、スマートフォン経由で投稿されるデータを、統合解析のプラットフォームを利用して、各地域の状態を分析(人工知能予測)し、所定の評価項目について、各地域のスコアを算出して、地域ごとにマッピングして可視化することが可能でになる。
【0201】
このとき、統合解析のプラットフォームの出力については、住人、地域事業体、自治体、それぞれに適したインタフェースを備える。
【0202】
たとえば、住人は、スマートフォンのアプリケーションを通じて、自身の居住地域、または、居所の領域について、スコアを向上させるように行動変容を促すことも可能になる。
【0203】
たとえば、
図20に示すように、現実空間(リアルワールド)では、スマートフォンのアプリケーションを介して、移動する人自身(ないしは、その人が保持して移動するスマートフォン)を、あたかも、データレイクにデータを蓄積するための一種のセンサのように想定することも可能である。そして、スマートフォンのユーザからの街の情報の投稿(人の混雑だけでなく、天気、事故、犯罪などのデータも含みうる)などを利用することで、デジタル空間でのサービスとして、徒歩圏内の人の分布、あるいは、さらにその周りのエリアの人の分布、さらには、より大きく生活圏の街の状態の統計データなどを、地点分析プラットフォームとして提供することが可能である。
【0204】
このような構成とすることで、地域住民から、直接、町の魅力などの情報を収集でき、スマートフォンを介して情報を共有できる人々の行動変容(その町への訪問など)を促進することも可能である。
【0205】
また、行政は、詳細分析したレポートや、まちのシミュレーションツールにより客観的なエビデンスを基にして政策の決定や実行を効果的・効率的に行うことで、みんなのまちづくり、をサイクルとして回してくことが可能となる。
【0206】
地域事業体は、統合解析プラットフォームから得られるスコアに基づいて、店舗開発や売り上げ促進などのエリアマーケティングを実行することが可能となる。
【0207】
図21は、統合分析によるデータの可視化の他の例を示す図である。
【0208】
以上では、統合分析のプットフォームを利用することで、現在の街の状態をリアルタイムで表示できることについて、説明した。
【0209】
このとき、地図情報に重畳して示すデータの種類として、「人の数の分布(人流を含む。人流は、たとえば、ベクトルなどで示すことも可能である。)」「標高」など以外に、その領域内の各場所の「商業利用」「住宅利用」「オフィス利用」などの利用形態や、空間利用率、さらには、道路の整備状況の分布などを可視化して示すことも可能である。
【0210】
以上説明したように、生活情報サービス提供サーバ2000による統合分析を利用すれば、所定の予測条件の下で、分析対象領域内の人の分布(年齢、性別などの属性を含む)を、予測することが可能となる。
【0211】
また、生活情報サービス提供サーバ2000による統合分析を利用すれば、分析した予測シミュレーションの結果をチャート等の可視化された情報により利用者に容易に理解する形態でデータを提供することができる。
【0212】
また、生活情報サービス提供サーバ2000による統合分析を利用すれば、利用者は、分析した予測シミュレーションの結果をマップにより場所に関連付けて容易に理解することができる。
【0213】
また、生活情報サービス提供サーバ2000による統合分析を利用すれば、所定期間において時系列分析をすることができる。
【0214】
また、生活情報サービス提供サーバ2000による統合分析を利用すれば、未来における生活情報をシミュレーションすることができる。
【0215】
また、生活情報サービス提供サーバ2000による統合分析を利用すれば、所定の領域場所情報が統計情報等として得られない場合に推定で補うことができる。
【0216】
また、生活情報サービス提供サーバ2000による統合分析を利用すれば、所定の人口動態情報が統計情報等として得られない場合に推定で補うことができる。
【0217】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0218】
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
【0219】
換言すると、
図1ないし
図21の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
【0220】
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図1ないし
図21の例に限定されない。また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、
図1ないし
図21に特に限定されず、任意でよい。例えば、各種処理の実行に必要となる機能ブロック及びデータベースの少なくとも一部を、利用者端末等に移譲させてもよい。逆に利用者端末の機能ブロック及びデータベースをサーバ等に移譲させてもよい。
【0221】
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0222】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0223】
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
【0224】
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0225】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。
【0226】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0227】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0228】
今回開示された実施の形態は、本発明を具体的に実施するための構成の例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲および均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0229】
2 ネットワーク、100 ユーザ、200 スマートフォン、1000 生活情報推定システム、2000 生活情報サービス提供サーバ、2100 演算装置、2101 分析対象時間・領域情報取得部、2102 人流導線情報推定部、2103 人行動情報推定部、2104 マップ出力部、2105 人行動情報指定受付部、2106 領域設定部、2107 必要人数上オフ推定部、2108 領域場所情報推定部、2109 領域生活情報推定部、2111 人口動態情報推定部、2115 場所情報仮設定部、2110 生活情報推定部、2300 記憶装置、2301 分析対象時間・領域情報、2302 人口動態情報、2303 人行動実績情報、2304 交通経路情報、2305 人行動情報、2306 生活情報、2308 職業別就業情報、2310 領域場所情報、2311 領域生活情報、2312 人流導線情報、2313 統計情報、3000 生活情報利用者端末、5000.1~5000.M データ提供サーバ。
【要約】
【課題】予測条件下で、所定の領域の人口動態情報に基づいて当該所定の領域の特定の時間帯の人口動態情報を予測する仕組みは提案されていない。
【解決手段】情報処理システム1000は、一連の時系列で、分析対象領域に含まれる複数の所定領域メッシュごとに所在する人の数の情報を含む所定の人口動態情報に基づいて、人口動態情報の予測分析を行う。人口動態推定部2111は、予測条件として設定された「所定の時(時間または時間帯)」または「場所情報」において分析対象領域に含まれる複数の第1の領域メッシュ単位に所在する人の数の情報を含む所定の人口動態情報に基づいて、第1の領域メッシュ単位よりも小さな第2の領域メッシュ単位(推定領域メッシュ)毎の人のデータ(人の数、性別、年代などの属性を含む)を推定する。
【選択図】
図12