(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/00 20060101AFI20241209BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20241209BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20241209BHJP
B41J 29/02 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B41J29/00 E
G03G21/16 133
G03G21/16 161
B41J29/00 C
B41J29/13
B41J29/02
(21)【出願番号】P 2023201517
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2022204288の分割
【原出願日】2014-04-02
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】湯澤 宏介
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-027366(JP,A)
【文献】特開2002-009468(JP,A)
【文献】特開平10-303590(JP,A)
【文献】特開2006-013059(JP,A)
【文献】特開2010-062280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00
G03G 21/16
B41J 29/13
B41J 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置フレームと、前記装置フレームを覆う外装カバーと、前記外装カバーと前記装置フレームとの間に設けられ、近距離の無線通信用のアンテナを有する基板を含む基板ユニットと、を有する画像形成装置であって、
前記基板ユニットは、
前記外装カバーの内
壁面
であって、前記アンテナと対向している面から突出する突出部材と、前記外装カバーと前記装置フレームとの間に設けられた弾性部材と、により保持さ
れ、
前記弾性部材は、
前記装置フレームに支持されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記基板ユニットは、前記基板を保持する保持部材を備え、
前記弾性部材は、前記保持部材を付勢することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記外装カバーは、前記装置フレーム側に向かって突出して前記基板ユニットが突き当たる突き当て部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記突き当て部は、前記基板に設けられた回路パターンのスルーホールや電子素子に接触しない位置に対応して設けられたことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記弾性部材は、前記外装カバーの前記装置フレーム側の面に支持されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近距離無線通信機器が設けられる複写機、プリンタ、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の本体に外部通信部と通信を行う通信部を備える画像形成装置がある。特許文献1には、そのような通信部の支持構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、モバイル機器やIDカードといったものとの通信を可能とするため近距離無線通信を行う通信部を備えた画像形成装置がある。
図1は近距離無線通信機能を有する画像形成装置の構成を示す斜視図である。
図5は
図1に示す画像形成装置Sにおいて
図1の矢印A方向から見た比較例のY断面図である。
図1に示すように、外装カバーとなる天面カバー20と、金属製の装置フレーム1との間に近距離の無線通信用のアンテナを有する基板22を含む基板ユニット6が配置される。
【0005】
図5に示す比較例では、装置フレーム1に固定された保持部材21に近距離の無線通信用のアンテナを有する基板22を固定している。天面カバー20の内周面となる下面20aから近距離無線通信用の送受信部までは離間距離L1が設けられている。この離間距離L1は製品の輸送やユーザによる外力によって想定される天面カバー20の変形が発生しても該天面カバー20と近距離の無線通信用のアンテナを有する基板22とが接触しないように設定される。
【0006】
図5に示す離間距離L1が大きいと、近距離無線通信の応答性が十分に確保できない場合がある。そこで、近距離無線通信の応答性能を上げるためには、
図5に示す天面カバー20の下面20aと、近距離の無線通信用のアンテナを有する基板22の上面22aとの離間距離L1を極力小さくする必要がある。
【0007】
図5に示す比較例では、近距離の無線通信用のアンテナを有する基板22が装置フレーム1に固定された保持部材21に固定されている。このため外力により変形した天面カバー20が近距離の無線通信用のアンテナを有する基板22に接触すると該基板22が破損してしまう可能性がある。このため離間距離L1を小さくすることができないという問題があった。
【0008】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、外装カバーと、近距離の無線通信用のアンテナを有する基板との離間距離を極力小さくすることで、より優れた近距離無線通信の応答性を持つ画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置の代表的な構成は、装置フレームと、前記装置フレームを覆う外装カバーと、前記外装カバーと前記装置フレームとの間に設けられ、近距離の無線通信用のアンテナを有する基板を含む基板ユニットと、を有する画像形成装置であって、前記基板ユニットは、前記外装カバーの内壁面であって、前記アンテナと対向している面から突出する突出部材と、前記外装カバーと前記装置フレームとの間に設けられた弾性部材と、により保持され、前記弾性部材は、前記装置フレームに支持されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によれば、近距離の無線通信用のアンテナを有する基板と、外装カバーとの離間距離を小さくすることが可能となり、応答性能の優れた近距離無線通信性能を有し、且つ該基板の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】画像形成装置の構成を示す斜視説明図である。
【
図2】近距離の無線通信用のアンテナを有する基板の構成を示す平面説明図である。
【
図3】(a)は本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の外装カバーに外力が作用していない状態で
図1の矢印A方向から見た構成を示すY断面図である。(b)は第1実施形態の外装カバーに外力が作用した状態で
図1の矢印A方向から見た構成を示すY断面図である。
【
図4】(a)は本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の外装カバーに外力が作用していない状態で
図1の矢印A方向から見た構成を示すY断面図である。(b)は第2実施形態の外装カバーに外力が作用した状態で
図1の矢印A方向から見た構成を示すY断面図である。
【
図5】比較例を
図1の矢印A方向から見た構成を示すY断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図により本発明に係る画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。尚、以下の実施形態に記載した構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0013】
先ず、
図1~
図3を用いて本発明に係る画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
図1は電子写真画像形成装置の一例を示す斜視説明図である。
図2は近距離の無線通信用のアンテナを有する基板の構成を示す平面説明図である。
図3(a)は本実施形態の外装カバーに外力が作用していない状態で
図1の矢印A方向から見た構成を示すY断面図である。
図3(b)は本実施形態の外装カバーに外力が作用した状態で
図1の矢印A方向から見た構成を示すY断面図である。
【0014】
図2に示す近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22は、
図1に示す画像形成装置Sが近距離無線通信を行う際のアンテナ22bを有している。例えば、画像形成装置Sはセキュリティー認証機能を持つ。そして、ユーザがID(Identification)識別情報を有するIDカードやスマートフォン等を用いて画像形成装置Sの外部から近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22に向かってかざす。これによりセキュリティー認証が行われ、許容されたユーザのみが画像形成装置Sにより印字が可能となる。
【0015】
本実施形態では、このセキュリティー認証目的に限らず、種々の目的に対応した近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22を含む基板ユニット6に対して適用可能である。
【0016】
また、近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22を含む基板ユニット6は、外装カバーとなる天面カバー20の内側で画像形成装置S本体内部に配置されている。基板22は、画像形成装置S本体の図示しないコントローラ基板(制御部)に配線されて画像形成装置S本体と通信可能に接続されている。
【0017】
本実施形態では、
図3(a),(b)に示すように、外装カバーとなる天面カバー20により金属製の装置フレーム1を覆う。装置フレーム1に一端が支持されたコイルバネからなる付勢手段となる弾性部材25の他端が保持部材23の下面23aに当接して支持されている。基板ユニット6は、近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22を保持する保持部材23を備える。付勢手段となる弾性部材25は保持部材23を付勢する。
【0018】
弾性部材25の伸長力によって基板22及び該基板22を保持する保持部材23を天面カバー20の内周面側となる下面20a側に突出して設けられた突き当て部24に向かって
図3(a),(b)の矢印Z方向に付勢する構成となっている。
【0019】
外装カバーとなる天面カバー20は、装置フレーム1側(装置フレーム側)に向かって突出して基板ユニット6が突き当たる突き当て部24を有する。付勢手段となる弾性部材25は基板22を含む基板ユニット6を外装カバーとなる天面カバー20側(外装カバー側)に向かって付勢して該天面カバー20に突き当てる。
【0020】
本実施形態では、
図3(a)に示すように、近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22を含む基板ユニット6は、外装カバーとなる天面カバー20と、金属製の装置フレーム1との間に配置されている。
【0021】
近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22は、保持部材23に設けられた保持部によって保持されている。基板22を保持した保持部材23は、一端が装置フレーム1に係止して支持された付勢手段となる弾性部材25によって天面カバー20側(外装カバー側)となる
図3(a)の矢印Z方向に付勢されている。
【0022】
天面カバー20の内壁面となる下面20aに突出して
図2に示す基板22の突き当て可能領域40と接触する突き当て部24が設けられている。突き当て部24は、基板22に設けられた電子回路パターンのスルーホールや電子素子等に接触しない位置となる突き当て可能領域40に対応して設けられる。そして、
図3(a)に示すように、天面カバー20の下面20aに突出して設けられた突き当て部24に基板22の突き当て可能領域40が接触して該基板22の
図3(a)の矢印Z方向の位置が決まる。
【0023】
本実施形態の保持部材23は、基板22の外周縁の側面と下面とに対応する断面L字形状の嵌合段部23bが設けられている。基板22は保持部材23の嵌合段部23b内に嵌入されて水平方向(
図3(a)の左右方向)の位置決めが行なわれる。また、基板22には貫通穴22c,22dが設けられており、保持部材23の中央部に立設されたボス23c及び爪部23dが貫通穴22c,22dに挿通され、爪部23dにより基板22の上面22aが係止される。これにより基板22が保持部材23により係止されて保持される。
【0024】
保持部材23に保持された基板22の
図3(a)の左右方向で示す幅方向と、
図3(a)の紙面手前から奥行き方向の位置は以下の通り規制される。保持部材23が天面カバー20の下面20a側(内壁面側)に突出して該保持部材23の周囲の四方に形成されたガイド部27のガイド面27aにガイドされることで規制される。
【0025】
ガイド部27と保持部材23との間には、所定の隙間2が設けられている。この隙間2を設けることで、
図3(b)に示すように、天面カバー20に外力が作用して弾性部材25の伸長力に抗して保持部材23が装置フレーム1側に退避する動作中に傾いた場合でも該保持部材23の退避動作が円滑に行なわれる。
【0026】
ガイド部27は、天面カバー20の下面(内壁面)に対して略垂直なガイド面27aを有する。更に、先端部に所定の角度を有するテーパ面27bを有する。
【0027】
ガイド部27のガイド面27aは保持部材23の可動時のガイドとして機能し、ガイド部27のテーパ面27bは、天面カバー20を組み付けるときのガイドとしてそれぞれ機能する。
【0028】
図2に示す近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22は、近距離無線通信用の送受信部31を有する。そして、送受信部31及び図示しない電子素子やスルーホール等が配置されていない領域を天面カバー20の下面20aに突出して設けられた突き当て部24を突き当て可能な突き当て可能領域40としている。
【0029】
図3(a),(b)に示すように、基板22が突き当て部24に接触する状態では、該突き当て部24は
図2に示す基板22の突き当て可能領域40に突き当たる。
【0030】
基板22の突き当て可能領域40と、天面カバー20の突き当て部24とが接触すると、該基板22の上面22aと、天面カバー20の下面20aとの間には隙間50が生じる。この隙間50によって、基板22上の送受信部31や図示しない電子素子やスルーホール等と天面カバー20の下面とが接触することを防止することができる。
【0031】
図3(a)に示すように、基板22を含む基板ユニット6が弾性部材25によって突き当て部24に付勢された状態で、装置フレーム1の上面1aと保持部材23の下面23aとの間には離間距離L4を有する隙間3が設けられている。この隙間3は、
図3(b)に示すように、天面カバー20が外力を受けて画像形成装置Sの本体内部側に押されたときに該押圧量を吸収し得るように弾性部材25のばね定数と離間距離L4とが適宜設定されている。
【0032】
隙間3は、装置フレーム1と、外装カバーとなる天面カバー20との間に設けられる。隙間3は、天面カバー20が外力を受けて画像形成装置Sの本体内部側に押されたときに近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22を含む基板ユニット6を装置フレーム1側(装置フレーム側)へ移動可能とする。
【0033】
装置フレーム1の上面1aと保持部材23の下面23aとの間に離間距離L4の隙間3を設ける。これにより保持部材23は
図3(a)の下方向に離間距離L4分だけ退避可能となる。離間距離L4は、物流やユーザ使用の際に想定される天面カバー20の最大変形量よりも大きく設定する。
【0034】
保持部材23の下面23aには抜け止め部34が突出して設けられている。抜け止め部34は装置フレーム1に設けられた貫通穴1bに挿通されて先端に設けられた爪部が装置フレーム1の下面1cに係止されて弾性部材25によって付勢される保持部材23の抜け止めを行なう。
【0035】
抜け止め部34は、天面カバー20が装着されていない状態で、弾性部材25によって
図3(a)の矢印Z方向に付勢された保持部材23が飛び出さないように保持部材23の動きを規制する機能を有している。この抜け止め部34を有することで、装置フレーム1に弾性部材25と保持部材23を組み付けた後、天面カバー20を容易に組み付けることが可能となる。
【0036】
<退避動作>
次に、
図3(a),(b)を用いて本実施形態において天面カバー20に外力が作用したときの基板22及び保持部材23の退避動作について説明する。
【0037】
図3(a)は天面カバー20に外力が作用していない状態での
図1の矢印A方向から見たY断面図を示す。
図3(b)は天面カバー20に
図1の矢印K方向に外力が作用して該天面カバー20が弾性部材25の伸長力に抗して変形した状態での
図1の矢印A方向から見たY断面図を示す。
【0038】
図3(a)に示すように、天面カバー20に外力が作用していない状態では以下の通りである。保持部材23に保持された基板22は弾性部材25の伸長力により
図3(a)の矢印Z方向に付勢されている。これにより突き当て可能領域40が天面カバー20の突き当て部24に突き当たった状態で保持されている。
【0039】
ユーザにより天面カバー20に
図1の矢印K方向の外力が加えられる。すると、天面カバー20は
図3(b)に示すように、弾性部材25の伸長力に抗して
図3(b)の右側が
図3(b)の矢印K方向に傾くように変形する。この天面カバー20の変形に追従して突き当て部24も変位する。
【0040】
突き当て部24の変位に合わせて該突き当て部24に当接している基板22及び保持部材23も
図3(b)に示すように変位する。
図3(b)の右側に示すガイド部27の内壁面からなるガイド面27aに保持部材23がガイドされながら
図3(b)の右側が弾性部材25の伸長力に抗して
図3(b)の矢印K方向に傾くように変位する。
【0041】
図3(a)に示すように、保持部材23の下面23aと、装置フレーム1の上面1aとの間には離間距離L4の隙間3がある。これにより保持部材23は装置フレーム1側(
図3(b)の下方側)に退避することができる。これにより基板22の送受信部31には外力が直接加わることがない。このため基板22や送受信部31等が破損することがない。
【0042】
その後、ユーザが天面カバー20に
図3(b)の矢印K方向の外力を作用させることをやめると、弾性部材25の伸長力により保持部材23、基板22及び天面カバー20が
図3(a)に示す姿勢位置に復元する。
【0043】
本実施形態では、近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22及び保持部材23(基板ユニット6)が該保持部材23の下面23aと、装置フレーム1の上面1aとの間にある離間距離L4の隙間3を利用して退避可能な構成とした。これにより天面カバー20の突き当て部24と、基板22の突き当て可能領域40とを接触させるまで近づけることが可能となる。これにより
図5に示した比較例よりも感度に優れ、且つ外力による破損防止が可能な画像形成装置Sを実現することが出来る。
【0044】
尚、本実施形態では、近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22を含む基板ユニット6が天面カバー20の直下に配置された一例について説明した。他に、天面カバー20以外の外装カバー、例えば、右カバーと装置フレーム1との間に近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22を含む基板ユニット6が配置された場合においても同様に構成して同様な効果を得ることができる。
【実施例2】
【0045】
次に、
図1及び
図4を用いて本発明に係る画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
図4(a)は本実施形態の外装カバーに外力が作用していない状態で
図1の矢印A方向から見た構成を示すY断面図である。
図4(b)は本実施形態の外装カバーに外力が作用した状態で
図1の矢印A方向から見た構成を示すY断面図である。尚、近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22(基板ユニット)の構成は前記第1実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。
【0046】
前記第1実施形態では、弾性部材25により付勢される保持部材23により近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22が保持された構成であった。本実施形態では、近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22を天面カバー20側(外装カバー側)に付勢する付勢手段が板バネ等からなる弾性部材26により天面カバー20の下面20aから突出した突き当て部24に突き当てて保持する構成とした。
【0047】
本実施形態では、
図4(a)に示すように、天面カバー20の下面20aに突出して設けられた取り付け部29により付勢手段となる弾性部材26の固定部26bが支持されている。弾性部材26の固定部26bは、該天面カバー20の装置フレーム1側(装置フレーム側)の下面20a(内壁面)側に支持されている。弾性部材26は断面柄杓(ひしゃく)状で構成され、押圧部26cによって基板22の下面22eを天面カバー20の下面20a(内壁面)側に突出して設けられた突き当て部24に付勢する構成となっている。
【0048】
基板22は、弾性部材26の弾性力によって
図4(a),(b)の矢印Z方向に付勢されている。天面カバー20の下面20aに突出して設けられた突き当て部24に基板22の突き当て可能領域40が接触して該基板22の
図4(a),(b)の矢印Z方向の位置が決まる。
【0049】
基板22の幅方向(
図4(a),(b)の左右方向)及び奥行き方向(
図4の紙面手前と紙面奥側方向)の位置は以下の通り規制される。基板22が天面カバー20の下面20a(内壁面)側に突出して基板22の周囲の四方に形成されたガイド部28のガイド面28aにガイドされることで規制される。ガイド部28のテーパ面28bは弾性部材26を天面カバー20の取り付け部29に取り付ける際に弾性部材26をガイドする。
【0050】
ガイド部28のガイド面28aと、基板22との間には隙間4が設けられている。ユーザにより天面カバー20に
図4(b)の矢印K方向の外力が加えられて該天面カバー20の
図4(b)の右側が
図4(b)の矢印K方向に傾く。すると、天面カバー20の下面20aに突出して設けられた突き当て部24と、弾性部材26の押圧部26cとにより挟持して保持された基板22も天面カバー20と一体的に傾く。
【0051】
ガイド部28は、天面カバー20の下面20aに対して略垂直なガイド面28aを有する。更に、先端部に所定の角度を持ったテーパ面28bを有する。ガイド部28のガイド面28aは、基板22の可動時のガイドとして機能し、ガイド部28のテーパ面28bは基板22を天面カバー20の下面20aに突出して設けられた突き当て部24に当接して組み付けるときのガイドとして機能する。
【0052】
基板22が天面カバー20の下面20aに突出して設けられた突き当て部24に接触する状態では、該突き当て部24は
図2に示す突き当て可能領域40に突き当たる。基板22と天面カバー20の下面20aに突出して設けられた突き当て部24とが接触すると、該基板22の上面22aと、天面カバー20の下面20aとの間には隙間51が生じる。この隙間51によって、基板22上の送受信部31や図示しない電子素子やスルーホール等と天面カバー20とが接触することを防ぐことができる。
【0053】
基板22が弾性部材26によって天面カバー20の下面20aに突出して設けられた突き当て部24に付勢された状態で装置フレーム1の上面1aと、弾性部材26の下面26aとの間には離間距離L5の隙間5を設ける。隙間5は、
図4(b)に示すように、外装カバーとなる天面カバー20が
図4(b)の矢印K方向で示す外力を受けて画像形成装置S本体内部側に押されたときに該押圧量を吸収し得る隙間とされる。
【0054】
この離間距離L5の隙間5を設けることで基板22及び弾性部材26は天面カバー20と一体的に
図4(a)の下方向に離間距離L5だけ装置フレーム1側に退避可能となる。隙間5の離間距離L5は、物流やユーザ使用時の際に想定される天面カバー20の最大変形量よりも大きく設定する。
【0055】
<退避動作>
次に
図4(a),(b)を用いて本実施形態において天面カバー20に外力が作用したときの近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22の退避動作について説明する。
図4(a)は天面カバー20に外力が作用していない状態での
図1の矢印A方向から見たY断面図を示す。
図4(b)は天面カバー20に
図1の矢印K方向に外力が作用して天面カバー20が変形した状態での
図1の矢印A方向から見たY断面図を示す。
【0056】
図4(a)に示すように、天面カバー20に外力が作用していない状態では以下の通りである。天面カバー20の下面20a側に支持された弾性部材26により
図4(a)の矢印Z方向に付勢される。そして、該基板22の上面22aの突き当て可能領域40が天面カバー20の下面20aに突出された突き当て部24に突き当たった状態で挟持して保持されている。
【0057】
一方、
図4(b)に示すように、ユーザにより天面カバー20の
図4(b)の右側に矢印K方向の外力が加えられる。すると、天面カバー20は
図4(b)の右側が矢印K方向に傾く。
【0058】
天面カバー20の変形に追従して突き当て部24も変位する。そして、突き当て部24の変位に合わせて該突き当て部24と弾性部材26とにより挟持された基板22も
図4(b)に示すように、ガイド部28のガイド面28aにガイドされながら天面カバー20と一体的に傾くように変位する。更に、該基板22の変位に追従して弾性部材26も天面カバー20と一体的に変位する。
【0059】
その際、弾性部材26の下面26aと、装置フレーム1の上面1aとの間には、
図4(a)に示す離間距離L5の隙間5が設けられている。このため基板22及び弾性部材26は装置フレーム1側に退避することができる。基板22の送受信部31には外力が直接加わることがないため破損することがない。
【0060】
その後、ユーザが天面カバー20に外力を作用させることをやめると、天面カバー20の変形が無くなる。これにより基板22は再び弾性部材26の付勢力により保持されつつ天面カバー20と一体的に
図4(a)に示す位置に復元する。
【0061】
本実施形態では弾性部材26の下面26aと、装置フレーム1の上面1aとの間にある離間距離L5の隙間5に天面カバー20、基板22及び弾性部材26が一体的に退避可能な構成としている。これにより天面カバー20と基板22とを接触させるまで近づけることが可能となり、
図5に示した比較例よりも感度に優れ、且つ外力による破損防止が可能な近距離無線通信機能を有する画像形成装置Sを実現することが出来る。
【0062】
本実施形態では、前記第1実施形態に使用した保持部材23を必要としないため簡単な構成で画像形成装置Sの小型化が可能となる。
【0063】
また、前記各実施形態では、近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22が天面カバー20の直下に配置される場合の一例について説明した。他に天面カバー20以外の外装カバー、例えば、右カバーと装置フレーム1との間に近距離の無線通信用のアンテナ22bを有する基板22が配置された場合においても同様な構成とすれば同様な効果を得ることができる。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
【符号の説明】
【0064】
S …画像形成装置
1 …装置フレーム
3 …隙間
6 …基板ユニット
20 …天面カバー(外装カバー)
22 …基板(基板ユニット)
23 …保持部材
25 …弾性部材(付勢手段)