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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】処理装置、処理方法及び処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0601 20230101AFI20241209BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20241209BHJP
   G06Q 30/0251 20230101ALI20241209BHJP
【FI】
G06Q30/0601 330
G06Q30/0207 328
G06Q30/0251
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023212715
(22)【出願日】2023-12-18
【審査請求日】2023-12-18
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 大樹
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-130010(JP,A)
【文献】特開2023-034194(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2023/0032908(US,A1)
【文献】特開2020-197889(JP,A)
【文献】特開2021-111326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売者が使用する販売者端末、及び、購入者が使用する購入者端末にインストールされたフードシェアリング用のアプリケーションを介して、前記販売者端末及び前記購入者端末との間で通信を行う処理装置であって、
前記販売者端末及び前記購入者端末との間で通信を行い、前記購入者によって購入された食材及び/または食事の品名と購入日時とが対応付けられた購買データ、及び、前記販売者によって購入された食材の品名と購入日時とが対応付けられた購買データを取得し、記憶装置に登録する第1の取得部と、
前記販売者端末との間で通信を行い、前記販売者が作った食事の画像と、食事を作った日時と、その保管状況と、この食事に含まれる栄養素及び量とを含む食事情報を取得し、前記記憶装置に登録する第2の取得部と、
前記記憶装置に登録された前記購入者の購買データ、及び各食品、食材、食事に含まれる栄養素とその量とを示す食品情報を基に、前記購入者が摂取した栄養素を算出し、年代、性別、体重に応じて1日に摂取したほうがよい各栄養素の量を示す食事摂取基準情報のうち前記購入者が該当する摂取基準から、前記購入者が摂取した栄養素を減算することで、前記購入者に不足する栄養素を求める第3の取得部と、
前記記憶装置に登録された前記食事情報を参照し、前記購入者に不足する栄養素と、前記食事情報における前記販売者が作った食事に含まれる栄養素とを照合するとともに、前記記憶装置に登録された前記購入者のヘルスケア情報と前記販売者のヘルスケア情報とを参照して、前記購入者に不足している栄養素と前記販売者の食事に含まれる栄養素との適合スコア、前記販売者によって食事が作成されてからの経過時間スコア、及び、前記販売者のメンタルヘルスのスコアを基に、前記購入者に不足する栄養を含む食事を販売する前記販売者を選定するマッチング部と、
前記マッチング部によって選定された前記販売者からの食事の購入をレコメンドするレコメンド情報を、少なくとも前記購入者が使用する購入者端末に送信するレコメンド部と、
を有することを特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記マッチング部によって選定された前記販売者から前記購入者が購入した食事と、前記購入者及び前記販売者の位置との情報により、地域毎のフードロス解消量を算出するフードロス解消貢献度算出部と、
前記フードロス解消貢献度算出部によって算出された地域毎のフードロス解消量に応じて、前記購入者及び前記販売者に地域通貨を付与する付与部と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記購入者端末及び前記販売者端末にインストールされたマイナンバーカードに関するシステム及び/またはヘルスケアアプリケーションによる連携情報と、医療機関受診のデータとを基に、前記購入者が前記販売者の食事を購入したことによる、前記購入者及び前記販売者の医療費の削減費用を算出する健康向上貢献度算出部をさらに有し、
前記付与部は、前記健康向上貢献度算出部によって算出された前記購入者及び前記販売者の医療費の削減費用に応じて、前記購入者及び/または前記販売者に前記地域通貨を付与することを特徴とする請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記マッチング部が使用するマッチング条件を記憶し、
前記マッチング条件は、スコアリング要素である、前記購入者に不足している栄養素と前記販売者の食事に含まれる栄養素との適合スコアが所定値以内であること、前記販売者と前記購入者との間の距離が所定距離以内または交通機関を使用して所定時間以内であること、前記販売者の食事が作成されてからの経過時間、及び、前記メンタルヘルスのスコアが標準値よりも低いこと、に優先順位が付与されており、
前記マッチング部は、前記マッチング条件を参照し、各条件に対応する前記購入者のヘルスケア情報と前記販売者の位置情報、前記販売者が食事を作ってからの経過時間、及び/または、前記購入者のヘルスケア情報及び前記販売者のヘルスケア情報、を基に、前記優先順位ごとに設定された重み付けで各順位のスコアを計算し、前記スコアの合計が最も多い食事のうち、所定数の上位の食事及びその販売者を、前記購入者にマッチングする前記販売者として選定することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記レコメンド部は、前記購入者に不足する栄養素を示す情報を前記レコメンド情報に含めることを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記レコメンド部は、メンタルの不調に陥りやすい単身世帯者をターゲットとしており、前記記憶装置に登録された前記購入者のヘルスケア情報と前記販売者のヘルスケア情報とを参照して、前記販売者から前記購入者への食事の提供について、提供場所、提供方法、食事の場所、及び/または、食事を二人で取るか否かを示す前記レコメンド情報を、前記購入者端末及び前記販売者が使用する販売者端末に送信することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
前記記憶装置に登録された前記購入者による食材の購買データ、及び、前記販売者による食材の購買データを基に、食材の消費期限を予測し、食材の廃棄が近づくと、廃棄が近づいた食材を使用するように該食材を購入者が使用する端末装置に通知する食材管理部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
販売者が使用する販売者端末、及び、購入者が使用する購入者端末にインストールされたフードシェアリング用のアプリケーションを介して、前記販売者端末及び前記購入者端末との間で通信を行う処理装置としてのコンピュータが実行する処理方法であって、
前記販売者端末及び前記購入者端末との間で通信を行い、前記購入者によって購入された食材及び/または食事の品名と購入日時とが対応付けられた購買データ、及び、前記販売者によって購入された食材の品名と購入日時とが対応付けられた購買データを取得し、記憶装置に登録する工程と、
前記販売者端末との間で通信を行い、前記販売者が作った食事の画像と、食事を作った日時と、その保管状況と、この食事に含まれる栄養素及び量とを含む食事情報を取得し、前記記憶装置に登録する工程と、
前記記憶装置に登録された前記購入者の購買データ、及び各食品、食材、食事に含まれる栄養素とその量とを示す食品情報を基に、前記購入者が摂取した栄養素を算出し、年代、性別、体重に応じて1日に摂取したほうがよい各栄養素の量を示す食事摂取基準情報のうち前記購入者が該当する摂取基準から、前記購入者が摂取した栄養素を減算することで、前記購入者に不足する栄養素を求める工程と、
前記記憶装置に登録された前記食事情報を参照し、前記購入者に不足する栄養素と、前記食事情報における前記販売者が作った食事に含まれる栄養素とを照合するとともに、前記記憶装置に登録された前記購入者のヘルスケア情報と前記販売者のヘルスケア情報とを参照して、前記購入者に不足している栄養素と前記販売者の食事に含まれる栄養素との適合スコア、前記販売者によって食事が作成されてからの経過時間スコア、及び、前記販売者のメンタルヘルスのスコアを基に、前記購入者に不足する栄養を含む食事を販売する前記販売者を選定する工程と、
前記選定する工程において選定された前記販売者からの食事の購入をレコメンドするレコメンド情報を、少なくとも前記購入者が使用する購入者端末に送信する工程と、
を含んだことを特徴とする処理方法。
【請求項9】
処理方法をコンピュータに実行させる処理プログラムであって、
販売者が使用する販売者端末、及び、購入者が使用する購入者端末にインストールされたフードシェアリング用のアプリケーションを介して、前記販売者端末及び前記購入者端末との間で通信を行う処理装置としてコンピュータに、
前記販売者端末及び前記購入者端末との間で通信を行い、前記購入者によって購入された食材及び/または食事の品名と購入日時とが対応付けられた購買データ、及び、前記販売者によって購入された食材の品名と購入日時とが対応付けられた購買データを取得し、記憶装置に登録するステップと、
前記販売者端末との間で通信を行い、前記販売者が作った食事の画像と、食事を作った日時と、その保管状況と、この食事に含まれる栄養素及び量とを含む食事情報を取得し、前記記憶装置に登録するステップと、
前記記憶装置に登録された前記購入者の購買データ、及び各食品、食材、食事に含まれる栄養素とその量とを示す食品情報を基に、前記購入者が摂取した栄養素を算出し、年代、性別、体重に応じて1日に摂取したほうがよい各栄養素の量を示す食事摂取基準情報のうち前記購入者が該当する摂取基準から、前記購入者が摂取した栄養素を減算することで、前記購入者に不足する栄養素を求めるステップと、
前記記憶装置に登録された前記食事情報を参照し、前記購入者に不足する栄養素と、前記食事情報における前記販売者が作った食事に含まれる栄養素とを照合するとともに、前記記憶装置に登録された前記購入者のヘルスケア情報と前記販売者のヘルスケア情報とを参照して、前記購入者に不足している栄養素と前記販売者の食事に含まれる栄養素との適合スコア、前記販売者によって食事が作成されてからの経過時間スコア、及び、前記販売者のメンタルヘルスのスコアを基に、前記購入者に不足する栄養を含む食事を販売する前記販売者を選定するステップと、
前記選定するステップにおいて選定された前記販売者からの食事の購入をレコメンドするレコメンド情報を、少なくとも前記購入者が使用する購入者端末に送信するステップと、
を実行させることを特徴とする処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理装置、処理方法及び処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者庁は、フードロス削減に向けた取り組みについて、普及・啓発を行っている。例えば、消費者庁は、企業・団体・学校等によるフードロス削減の取組を可視化し、企業等の努力を消費者が知ることができる仕組みの構築に取り組んでいる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】消費者庁, “フードロス削減に向けた取組について(消費者庁)”, [令和5年10月20日検索],インターネット<URL:https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、フードロス削減の観点から、フードシェアリングサービスも普及している。しかしながら、既存のサービスの多くは、企業が個人消費者を対象にしたサービス(B2C)が多く、個人の消費者自身は、余った食品をシェアリングすることができず、そのまま廃棄するしかなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、消費者個人間でフードシェアリングを行うことができる処理装置、処理方法及び処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の処理装置は、購入者による食材及び/または食事の購買データ、及び、販売者による食材の購買データを取得する第1の取得部と、前記販売者が作った食事に関する情報を取得する第2の取得部と、前記取得した購買データを基に前記購入者に不足する栄養素を算出し、前記購入者に不足する栄養素を含む食事を販売する前記販売者と、前記購入者とをマッチングするマッチング部と、前記購入者に不足する栄養素を含む食事を販売する前記販売者からの食事の購入をレコメンドするレコメンド情報を、少なくとも前記購入者が使用する購入者端末に送信するレコメンド部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、消費者個人間でフードシェアリングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態に係る処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、図1に示すユーザ端末の構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、図1に示すサーバ装置の構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、図3に示すユーザ情報のデータ構成の一例を示す図である。
図5図5は、図3に示す栄養情報のデータ構成の一例を示す図である。
図6図6は、図3に示す食事情報のデータ構成の一例を示す図である。
図7図7は、図3に示すマッチング条件のデータ構成の一例を示す図である。
図8図8は、ユーザ端末の画面の一例を示す図である。
図9図9は、ユーザ端末の画面の一例を示す図である。
図10図10は、ユーザ端末の画面の一例を示す図である。
図11図11は、実施の形態に係る処理方法の処理手順を示すシーケンス図である。
図12図12は、実施の形態に係る処理方法の処理手順を示すシーケンス図である。
図13図13は、プログラムが実行されることにより、サーバ装置が実現されるコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
【0010】
[実施の形態]
実施の形態では、健康的な食生活を送りたい人と、余った食材や食事とのマッチングサービスを提案する。
【0011】
単身世帯者(特に多忙な人や低所得層)は、外食やコンビニ中心の不健康な食生活に陥りやすい。また、単身世帯者(特に生活が不規則な人や食が細い人)は、食材や食事が余ってしまう場合ある。そして、単身世帯者は人との関わりが薄く、メンタルの不調に陥りやすい。
【0012】
そこで、実施の形態では、ターゲットを、多忙な人や低所得層である単身世帯者(購入者)、及び、生活が不規則な人や食が細い人(販売者)とし、購入者と販売者とをマッチングする。購入者は、自炊をする方が健康的であることはわかっているが、時間がないし、面倒だと感じている。販売者は、食が細く、食事を作りすぎてしまった場合には、食べきれない場合があり、食材を廃棄している。
【0013】
実施の形態では、購入者と販売者とをマッチングし、販売者が作った食事を購入者に販売することで、購入者は、健康的な食事をとることができ、販売者は余った食事をお金に換えることできるシステムを実現する。
【0014】
また、単身世帯者は人との関わりが薄く、メンタルの不調に陥りやすい。そこで、実施の形態では、食事の受け渡しの際にコミュニケーションを取ることで、メンタルヘルスの悪化を低減し、医療費削減を図る。
【0015】
さらに、実施の形態では、地域通貨(ハウスマネー)による還元を行うことで、サービス利用へのモチベーションを維持し、個人でのフードロス解消及び医療費削減の取り組みの継続を図る。なお、地域通貨の原資は、地域貢献度(フードロス解消貢献度、医療費削減貢献度)に応じて、国や地方自治体からの原資を用いる。
【0016】
[処理システム]
まず、実施の形態に係る処理システムについて説明する。図1は、実施の形態に係る処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、実施の形態に係る処理システム1は、サーバ装置10(処理装置)と、購入者U1のユーザ端末20-U1及び販売者U2のユーザ端末20-U2と、によって構成される。サーバ装置10は、フードシェアリングサービスを提供する事業者が有するサーバ装置である。
【0018】
サーバ装置10は、購入者U1及び販売者U2が居住する自治体の管理サーバ30と通信可能である。なお、サーバ装置10は、複数の自治体の管理サーバ30と接続してもよい。図1に示す構成は一例にすぎず、具体的な構成や各装置の数は特に限定されない。管理サーバ30は、サーバ装置10による地域貢献度に関する情報を受信して、地域貢献度に応じて、購入者及び販売者に、地域通貨(ハウスマネー)を発行する。地域通貨は、自治体管轄の特定の地域で流通し、参加店舗で使用できるデジタル通貨である。
【0019】
ユーザ端末20-U1,20-U2は、フードシェアリングサービスを利用するユーザが使用するスマートフォンやタブレット等のスマートデバイスであり、無線通信網等を介してサーバ装置10と通信を行うことができる携帯端末装置である。ユーザ端末20-U1,20-U2は、ノートPC等の処理装置であってもよい。
【0020】
ユーザ端末20-U1,20-U2は、フードシェアリングサービス事業者が提供するフードシェアリングアプリケーションがインストールされる。ユーザ端末20-U1,20-U2は、フードシェアリングアプリケーションを介して、ユーザ情報、位置情報、購買情報、活動情報、ヘルスケア、食事情報をサーバ装置10に送信する。ユーザ端末20-U1,20-U2は、フードシェアリングアプリケーションを介して、サーバ装置10から送信されたレコメンド情報、食事代金決済情報、発行された地域通貨情報を受信し、受信した情報を、画像表示、音声によって出力する。以降、ユーザ端末20-U1,20-U2を総称する場合は、ユーザ端末20と記載する。
【0021】
サーバ装置10は、ユーザ端末2から受信した情報を基に、健康的な食生活を送りたい購入者と、余った食事を販売したい販売者とのマッチングを行う。そして、サーバ装置10は、マッチングした購入者のユーザ端末に、販売者が作った食事を購入することをレコメンドするレコメンド情報を送信する。サーバ装置10は、フードロス解消への貢献度及び/または健康状態向上への貢献度(例えば、医療費削減に対する貢献度)に応じて、購入者、販売者のユーザ端末20に地域通貨の発行を通知する。
【0022】
[ユーザ端末]
図2は、図1に示すユーザ端末20の構成の一例を示すブロック図である。ユーザ端末20は、通信部21、記憶部22、制御部23、入出力部24及び撮像部25を有する。
【0023】
通信部21は、各種情報に関する通信を制御する。例えば、通信部21は、サーバ装置10との間で行われる通信を制御する。通信部21は、ユーザ情報、位置情報、購買情報、活動情報、ヘルスケア、食事情報をサーバ装置10に送信する。通信部21は、サーバ装置10から送信された、レコメンド情報、食事代金決済情報、発行された地域通貨情報を受信する。
【0024】
入出力部24は、各種情報を出力し、ユーザからの入力を受信する。入出力部24は、例えば、液晶画面、タッチパネル、スピーカー、マイクロフォン等を含む。入出力部24は、フードシェアリングアプリケーション上で、ユーザの食嗜好を含むユーザ情報、食事の販売または購入を登録するための登録画面や、レコメンド情報及び地域通貨発行報告を表示する画面を出力する。
【0025】
撮像部25は、CCDやCMOS等の光電変換素子と、撮像素子から出力される光電変換信号を処理して画像を生成する。撮像部25は、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色の2次元画像を取得する。撮像部25は、フードシェアリングアプリケーション上で、購入した食材の画像、または、販売者が作った食事の画像を取得する。
【0026】
記憶部22は、制御部23による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する。例えば、記憶部22は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などである。記憶部22は、ユーザ情報221、食嗜好情報222、活動情報223、購買情報224、ヘルスケア情報225及び食事情報226を有する。
【0027】
ユーザ情報221は、ユーザ端末20を使用するユーザの識別情報、性別、年齢を含む情報であり、フードシェアリングアプリケーション上でユーザが設定するほか、他のアプリケーションとの連携時に取得される。
【0028】
食嗜好情報222は、ユーザ端末20を使用するユーザの食嗜好を示す情報である。食嗜好情報222は、フードシェアリングアプリケーション上で、ユーザが自身の食嗜好を登録することで生成されるほか、ユーザの購買情報、ユーザが撮像した食事画像、SNS(Social Networking Service)への投稿等を基に、ユーザが好む食事の傾向が分析されることで生成される。
【0029】
活動情報223は、例えば、ユーザ端末20を使用するユーザが装着するウェアラブルデバイスと、ユーザ端末20との通信によって取得されたユーザの活動に関する情報である。例えば、活動情報は、ウェアラブルデバイスが計測した時系列のバイタルデータ(バイタルデータは、例えば、心拍数、体温、血流、呼吸数)である。
【0030】
購買情報224は、ユーザ端末20を使用するユーザが購入した食材や食事の情報であり、品名と、購入日時とが対応付けられた情報である。この購買情報224に含まれる食材や食事を基に、ユーザが取得する栄養や、ユーザが提供する食事に含まれる栄養を推定することができる。
【0031】
ヘルスケア情報225は、ユーザ端末20を使用するユーザの健康状態に関する情報であり、例えば、健康診断データである。また、ヘルスケア情報225は、ヘルスケアアプリケーションの画面上でユーザに登録された情報を含んでもよいし、ウェアラブルデバイスが計測した時系列のバイタルデータの分析結果を含んでもよい。
【0032】
食事情報226は、ユーザ端末20を使用するユーザが作った食事に関する情報である。例えば、食事情報226は、ユーザが作った食事の画像と、食事を作った日時と、その保管状況とを含む。食事情報226は、フードシェアリングアプリケーション上で、撮像した画像に、ユーザが登録した献立名、ユーザが登録した保管状況(例えば、冷蔵庫で補完、など)と、食事に含まれる栄養素及び量と、が対応付けられる。
【0033】
制御部23は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。ここで、制御部23は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路である。
【0034】
制御部23は、ユーザ情報登録部231、活動情報取得部232、購買情報取得部233、ヘルスケア情報取得部234、位置検出部235、食事情報取得部236、レコメンド出力制御部237、貢献度出力制御部238を有する。これらの各機能部は、フードシェアリングアプリケーションの制御によって、各処理を実行する。
【0035】
ユーザ情報登録部231は、例えば、フードシェアリングアプリケーションの登録画面に、ユーザによってユーザの情報が入力されることで、ユーザの属性(性別、年齢)、食嗜好を取得する。ユーザ情報登録部231は、取得したユーザの属性(性別、年齢)、食嗜好を、ユーザ情報221、食嗜好情報222として、記憶部22に登録するとともに、サーバ装置10に送信する。
【0036】
活動情報取得部232は、ユーザ端末20を使用するユーザが装着するウェアラブルデバイスとの間による通信によって、ユーザの活動に関する情報、具体的には、時系列のバイタルデータを取得する。活動情報取得部232は、取得したデータを、活動情報223として、記憶部22に登録するとともに、サーバ装置10に送信する。
【0037】
購買情報取得部233は、ユーザが購入した食材や食事の情報である購買情報を取得する。購買情報取得部233は、例えば、ユーザ端末20のウォレット機能を基に購買情報を取得する。また、購買情報取得部233は、食材や食事の包装や値札に付された2次元コードの読み込み、レシート画像の読み込み、電子マネーシステムとの連携、ユーザによるデータ入力等によって、購買情報を取得してもよい。購買情報取得部233は、取得した情報を、購買情報224として、記憶部22に登録するとともに、サーバ装置10に送信する。
【0038】
ヘルスケア情報取得部234は、ユーザ端末20を使用するユーザのヘルスケア情報を取得する。健康状態に関する情報は、健康診断データである。ヘルスケア情報取得部234は、例えば、ユーザ端末20にインストールされたヘルスケアアプリケーションとの連携によってヘルスケア情報を取得する。また、ヘルスケア情報取得部234は、マイナンバーカードと保険証との連携によって病院での受診内容や服薬情報を取得し、取得した情報を基にヘルスケア情報を生成してもよい。購買情報取得部233は、取得した情報を、ヘルスケア情報225として、記憶部22に登録するとともに、サーバ装置10に送信する。
【0039】
位置検出部235は、ユーザ端末20の位置を検出する。位置検出部235は、GPS(Global Positioning System)等の測位システムを用いて、現在位置を特定し、ユーザ端末20の特定した位置を示す位置情報を出力する。位置検出部235は、検出した位置情報を、サーバ装置10に送信する。
【0040】
食事情報取得部236は、ユーザ端末20を使用するユーザが作った食事に関する食事情報を取得する。例えば、食事情報取得部236は、フードシェアリングアプリケーション上を介して、ユーザ撮像した食事の画像と、食事を作った日時と、ユーザが登録した献立名と、ユーザが登録した保管状況(例えば、冷蔵庫で保管、など)とを取得する。食事情報取得部236は、取得した各データを対応付けて、食事情報226として、記憶部22に登録するとともに、サーバ装置10に送信する。
【0041】
レコメンド出力制御部237は、サーバ装置10から送信された各種レコメンド情報の出力を制御する。レコメンド出力制御部237は、例えば、フードシェアリングアプリケーションの画面やPUSH通知などによって、レコメンド情報を出力する。レコメンド情報は、サーバ装置10がマッチングした購入者と販売者とを示し、購入者に販売者から食事を購入することをレコメンドする情報である。レコメンド出力制御部237は、フードシェアリングアプリケーションの画面に、例えば、マッチングした食事をランキング形式で表示する。また、レコメンド情報は、ユーザが購入した食材の廃棄が近づくと、廃棄が近づいた食材を使用するようにレコメンドする情報であってもよい。
【0042】
貢献度出力制御部238は、ユーザによる食事の購入、または、ユーザによる食事の販売による、ユーザのフードロス解消への貢献度及び/または健康状態向上への貢献度(例えば、医療費削減の貢献度)の出力を制御する。ユーザのフードロス解消への貢献度及び/または健康状態向上への貢献度は、サーバ装置10から送信される。貢献度出力制御部238は、フードロスの解消量、及び、ユーザの健康状態の向上度に基づいた、ユーザのフードロス解消への貢献度及び/または健康状態向上への貢献度に応じて付与された特典(地域通貨)の出力を制御する。
【0043】
[サーバ装置]
次に、図1に示すサーバ装置10について説明する。図3は、図1に示すサーバ装置10の構成の一例を示すブロック図である。図3に示すように、サーバ装置10は、例えば、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。なお、サーバ装置10には、マウス、キーボード等の入力デバイスや、ディスプレイ、スピーカー等の出力デバイスが接続されてもよい。
【0044】
通信部11は、各種情報に関する通信を制御する。例えば、通信部11は、ユーザ端末20、管理サーバ30との間で行われる通信を制御する。例えば、通信部11は、ユーザ端末20から、各種登録情報を受信し、制御部13に出力する。通信部11は、ユーザ端末20に、レコメンド情報、制御部13に出力する。通信部11は、管理サーバ30と通信を行い、ユーザに対する地域通貨発行に関する情報の送受信を行う。
【0045】
記憶部12は、制御部13による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納する。例えば、記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置などであってもよい。例えば、記憶部12は、ユーザ情報121、栄養情報122、食事情報123、食事摂取基準情報124、食品情報125及びマッチング条件126を有する。
【0046】
ユーザ情報121は、フードシェアリングサービスを利用する各ユーザに関する各種情報を含む。図4は、図3に示すユーザ情報121のデータ構成の一例を示す図である。図4に示すように、ユーザ情報121は、例えば、ユーザの識別情報、ユーザの性別、年齢、食嗜好、位置情報、活動情報、ヘルスケア情報、購買情報の項目を有する。これらの項目の情報は、例えば、ユーザ端末20のフードシェアリングアプリケーションのダウンロード時に、ユーザによって登録される。また、これらの項目の情報は、ユーザ端末20から送信される。
【0047】
例えば、ユーザ情報121には、ユーザ「U1」として、性別「男性」、年齢「30代」、食嗜好「和食」、位置情報「A市B地区」、活動情報「C1」、ヘルスケア情報「D1」、購買情報「E1」が登録されている。
【0048】
栄養情報122は、フードシェアリングサービスを利用する各ユーザの栄養状態に関する各種情報を含む。図5は、図3に示す栄養情報122のデータ構成の一例を示す図である。図5に示すように、栄養情報122は、例えば、ユーザの識別情報、購買情報(購買日時を含む)、不足栄養素の項目を有する。これらの項目のうち、不足栄養素は、栄養情報取得部132によって取得される。例えば、栄養情報122には、ユーザ「U1」について、購買情報「E1」と、購買情報「E1」に含まれる食材や食事に不足する不足栄養素「たんぱく質、ビタミンD」が記録されている。
【0049】
食事情報123は、フードシェアリングサービスを利用する各ユーザが登録した、各ユーザが作った食事に関する各種情報を含む。図6は、図3に示す食事情報123のデータ構成の一例を示す図である。図6に示すように、食事情報123は、例えば、ユーザの識別情報、食事情報(作成日時を含む)、栄養素の項目を有する。食事情報の項目のデータは、ユーザ端末20から送信された、食事の画像と、その画像を分析することによって得られた食事に含まれる栄養素及び量と、食事を作った日時と、その保管状況とを含む。また、栄養素は、対応付けられた食事に含まれる栄養素を含む。
【0050】
例えば、食事情報123には、ユーザ「U2」が作った食事情報「F21」に、栄養素「たんぱく質、ビタミンD」が含まれることが記録されている。
【0051】
食事摂取基準情報124は、例えば、厚生省が発表した「日本人の食事摂取基準」(参考文献1)を基に、年代、性別、体重に応じて、1日に摂取したほうがよい各栄養素の量を示す情報である。
参考文献1:厚生労働省, “「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書”, [令和5年10月23日検索],インターネット<URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html>
【0052】
食品情報125は、各食品、食材、食事に含まれる栄養素とその量とを示す情報である。食品情報125は、例えば、各食品、食材、食事の栄養素に限らず、一般的に販売されている弁当に標準的に含まれる食材と、その栄養素及び量とを弁当の識別情報に対応付けて記録してもよい。
【0053】
マッチング条件126は、フードシェアリングサービスを利用する各ユーザへの、食事の購入、販売のマッチング条件を示す情報である。
【0054】
図7は、図3に示すマッチング条件126のデータ構成の一例を示す図である。図7に示すように、マッチング条件126は、優先順位が付されて設定される。例えば、優先順位が1位である条件は、「不足栄養素とのマッチング度」であり、優先順位が2位である条件は、「距離がXm以内、または、交通機関を使用して20分以内」である。また、優先順位の3位である条件は、「食事が作成されてからの経過時間」である。また、優先順位である条件は、「メンタルヘルスのスコアが標準値よりも低い」である。各条件には、重みが設定されている。レコメンド部136(後述)は、マッチング条件126を参照して、食事の販売、購入をレコメンドするユーザを選定する。
【0055】
制御部13は、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。ここで、制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路であってもよい。
【0056】
制御部13は、ユーザ情報取得部131(第1の取得部)、栄養情報取得部132、食材管理部133、食事情報取得部134(第2の取得部)、マッチング部135、レコメンド部136、フードロス解消貢献度算出部137、健康向上貢献度算出部138、特典付与部139(付与部)を有する。
【0057】
ユーザ情報取得部131は、購入者U1による食材及び/または食事の購買データ、及び、販売者U2による食材の購買データを取得する。ユーザ情報取得部131は、フードシェアリングサービスを利用するユーザのユーザ端末20から送信されたユーザ情報を、ユーザの識別情報と対応付けて、ユーザ情報221に登録する。ユーザ情報として、ユーザの識別情報、性別、年齢、食嗜好、位置情報、活動情報、ヘルスケア情報、購買情報がある。
【0058】
栄養情報取得部132は、フードシェアリングサービスを利用するユーザのユーザ端末20から取得した購買情報を基に、ユーザに不足する栄養素を求め、ユーザの識別情報と対応付けて、栄養情報122に登録する。栄養情報取得部132は、例えば、購入者U1について、購入者U1の栄養摂取状況を基に、食事摂取基準情報124を参照して、不足している栄養素を分析する。
【0059】
具体的には、栄養情報取得部132は、購入者U1の購買情報E1及び食品情報125を基に、購入者U1が接種した栄養素を算出する。そして、栄養情報取得部132は、食事摂取基準情報124のうち購入者U1が該当する摂取基準から、購入者U1が接種した栄養素を減算することで、購入者U1に不足する栄養素を求める。
【0060】
食材管理部133は、ユーザ(例えば、購入者U1、販売者U2)による食材の購買データを基に、食材の消費期限を予測し、食材の廃棄が近づくと、廃棄が近づいた食材を使用するように、該当するユーザが使用するユーザ端末20に通知する。食材管理部133は、通知を行うことによって、食材の廃棄を回避し、フードロスの解消を図る。
【0061】
食事情報取得部134は、フードシェアリングアプリケーションを介して、販売者が作った食事に関する情報を取得する。例えば、食事情報取得部134は、ユーザ端末20から送信された食事情報を受信する。食事情報取得部134は、食事情報に含まれる画像を分析することによって、この画像の食事に含まれる栄養素及び量を取得する。
【0062】
食事情報取得部134は、食事情報123として、ユーザ撮像した食事の画像、食事を作った日時、ユーザが登録した献立名、ユーザが登録した保管状況(例えば、冷蔵庫で保管、など)を示す食事情報と、この食事に含まれる栄養素及び量とを対応付けて、記憶部12に登録する。
【0063】
マッチング部135は、購入者U1に不足する栄養素を含む食事を販売する販売者と、購入者とをマッチングする。マッチング部135は、栄養情報取得部132が算出した、任意の購入者U1に不足する栄養素と、食事情報123を参照して、販売者が作った食事に含まれている栄養素とを照合し、購入者U1に不足する栄養素を含む食事を販売する販売者と、購入者U1とをマッチングする。マッチング部135は、購入者U1のヘルスケア情報と販売者の位置情報、販売者が食事を作ってからの経過時間、及び/または、購入者U1のヘルスケア情報及び販売者のヘルスケア情報、各ユーザの食嗜好を基に、購入者U1にマッチングする販売者を選定する。
【0064】
例えば、マッチング部135は、以下のA~Cスコアリング要素により最適なマッチングを行う。
A:購入者に不足している栄養素と、それに応じた販売者の食事に含まれる栄養素との適合スコア
B:販売者によって食事が作成されてからの経過時間スコア
C:販売者のメンタルヘルスケアのスコア
【0065】
スコアAは、栄養素の適合度が高いほど、高いスコアとなる。また、スコアBは、食事が作成されてからの経過時間が長いほどスコアが高くなる。なお、マッチング部135は、食事が作成されてからの経過時間が、消費を推奨される期間を経過している場合には、この食事の提供はできないと判定する。また、スコアCは、メンタルに不調がある場合に付与される。マッチング部135は、スコアA~Cの合計が最も多い食事のうち、所定数の上位の食事及びその販売者を、レコメンド部136に出力する。
【0066】
また、マッチング部135は、例えば、マッチング条件126を参照し、候補となる食事と、その販売者について、優先順位ごとに設定された重み付けで各スコアを計算し、スコアの合計が最も多い食事のうち、所定数の上位の食事及びその販売者を、レコメンド部136に出力する。
【0067】
レコメンド部136は、レコメンド情報を、少なくとも購入者U1が使用するユーザ端末20-U1に送信する。レコメンド情報は、購入者U1に不足する栄養素を含む食事を販売する販売者からの食事の購入を、購入者U1レコメンドする情報である。レコメンド部136は、購入者U1に不足する栄養素を示す情報をレコメンド情報に含める。
【0068】
図8は、ユーザ端末20-U1の画面の一例を示す図である。図8の画面M1に示すように、ユーザ端末20-U1には、購入者U1に不足する栄養素を示す欄W11、及び、購入者U1に不足する栄養素を含む食事をランキング形式で示す欄W12が表示される。購入者U1は、画面M1を見ることによって、自身に不足する栄養素は、「ビタミンD」であることを確認することができる。さらに、購入者U1は、画面M1を見ることによって、購入者U1が購入可能である「ビタミンD」を多く含む食事を確認することができる。また、レコメンドされる食事は、購入者U1の食嗜好に合ったものであるため、購入者U1は、自身の好む食事を購入することが可能である。
【0069】
レコメンド部136は、レコメンドした食事が、購入者U1によって購入を選択された場合には、食事購入に伴う各種処理を制御する。例えば、レコメンド部136は、販売者U2から購入者U1への食事の提供について、提供場所、提供方法、食事の場所、及び/または、食事を二人で取るか否かを示すレコメンド情報を、ユーザ端末20-U1及びユーザ端末20-U2に送信する。レコメンド部136は、食事の代金支払いに関する各処理を制御する。
【0070】
フードロス解消貢献度算出部137は、購入者U1が販売者U2の食事を購入したことによるフードロスの解消量を算出する。フードロス解消貢献度算出部137は、フードシェアリングアプリケーションを利用したユーザの食時の購入及び販売活動による、地域全体でのフードロス解消量を算出する。
【0071】
フードロス解消貢献度算出部137は、マッチングした食事の量と、購入者U1及び販売者U2の位置との情報により、地域毎のフードロス解消量を算出する。フードロス解消貢献度算出部137は、算出した地域毎のフードロス解消量を基に、購入者U1が販売者U2の食事を購入したことによる、購入者U1及び販売者U2が居住する自治体のフードロスの解消への購入者U1及び販売者U2の貢献度を算出する。貢献度の算出は、所定の関数を用いて計算すればよい。
【0072】
健康向上貢献度算出部138は、購入者U1のヘルスケア情報と、販売者U2のヘルスケア情報とを取得し、購入者U1の健康状態の向上度、及び/または、販売者U2の健康状態の向上度を算出する。健康向上貢献度算出部138は、マッチングした食事の栄養素によって、購入者U1が不足栄養素をどれだけ充足できたかを算出する。健康向上貢献度算出部138は、購入者U1が販売者U2の食事を購入したことによる、購入者U1及び販売者U2の健康状態向上への貢献度を算出する。
【0073】
具体的には、健康向上貢献度算出部138は、マイナンバーカードやヘルスケアアプリケーションとの連携により、医療機関受診のデータと組み合わせて、マッチングした食事の購入及び販売による、購入者U1及び販売者U2の医療費の削減費用を算出する。健康向上貢献度算出部138は、マッチングした食事の購入及び販売によって予測される購入者U1及び販売者U2の医療費の削減費用を算出してもよい。健康向上貢献度算出部138は、購入者U1及び販売者U2の医療費の削減費用を基に、購入者U1が販売者U2の食事を購入したことによる、購入者U1及び販売者U2が居住する自治体の医療費削減への貢献度を算出する。貢献度の算出は、所定の関数を用いて計算すればよい。
【0074】
特典付与部139は、購入者U1が販売者U2の食事を購入したことによるフードロスの解消量に応じて、購入者U1及び販売者U2に特典を付与する。特典付与部139は、購入者U1及び販売者U2が居住する自治体の管理サーバ30に、購入者U1及び販売者U2のフードロスの解消への貢献度に応じて、購入者U1及び販売者U2に対する地域通貨の発行を要求し、購入者U1及び販売者U2に地域通貨を付与する。なお、購入者U1は、フードシェアリングアプリケーションを介して、販売者U2の食事の評価やコメントを行うことによって、販売者U2に、食事の感想を伝えることができる。
【0075】
特典付与部139は、購入者U1のヘルスケア情報と販売者U2のヘルスケア情報とを基に、購入者U1が販売者U2の食事を購入したことによる、購入者U1の健康状態の向上度、及び/または、販売者U2の健康状態の向上度に応じて、購入者U1及び/または販売者U2に特典を付与する。特典付与部139は、購入者U1及び販売者U2が居住する自治体の管理サーバ30に、健康状態向上への貢献度(例えば、購入者U1及び販売者U2が居住する自治体の医療費削減への貢献度)に応じて、購入者U1及び販売者U2に対する地域通貨の発行を要求し、購入者U1及び販売者U2に地域通貨を付与する。
【0076】
図9は、ユーザ端末20-U1のユーザ端末20-U1の画面の一例を示す図である。図10は、ユーザ端末20-U2のユーザ端末20-U1の画面の一例を示す図である。
【0077】
図9の画面M2及び図10の画面M3に示すように、ユーザ端末20-U1,20-U2には、購入者U1及び販売者U2がそれぞれ特典として獲得した地域通貨(ポイント)を示す欄W21,W31、健康状態向上への貢献に関する詳細情報を示す欄W22、W32、フードロスの解消への貢献に関する詳細情報を示す欄W23、W33が表示される。欄W21,31には、健康状態向上への貢献度に対応するポイント、フードロスの解消への貢献度に対応するポイントが表示される。
【0078】
購入者U1及び販売者U2は、画面M2,M3を見ることによって、自身の食事の購入及び販売が、フードロスの解消にどのくらい貢献したのか、健康状態向上にどのくらい貢献したのかを具体的に認識することができる。また、購入者U1及び販売者U2は、自身の食事の購入及び販売によって地域通貨が発行されることによって、フードシェアリングサービス利用へのモチベーションを維持することができる。
【0079】
[処理方法]
図11及び図12は、実施の形態に係る処理方法の処理手順を示すシーケンス図である。
【0080】
図11に示すように、ユーザである購入者U1及び販売者U2は、ユーザ端末20-U1,20-U2にインストールされたフードシェアリングアプリケーションを介して、ユーザの識別情報、性別、年齢、食嗜好を含むユーザ情報を登録する(ステップS1,S11)。ユーザ端末20-U1,20-U2は、登録されたユーザ情報をサーバ装置10に送信する(ステップS2,S12)。
【0081】
ユーザ端末20-U1,20-U2は、ユーザの活動情報(例えば、時系列のバイタルデータ)を取得し(ステップS3,S13)、サーバ装置10に送信する(ステップS4,S14)。
【0082】
ユーザ端末20-U1,20-U2は、購入者U1及び販売者U2の購買情報を取得し(ステップS5,S15)、サーバ装置10に送信する(ステップS6,S16)。ユーザ端末20-U1,20-U2は、購入者U1及び販売者U2のヘルスケア情報を取得し(ステップS7,S17)、サーバ装置10に送信する(ステップS8,S18)。ユーザ端末20-U1,20-U2は、ユーザ端末20-U1,20-U2の位置を検出し(ステップS9,S19)、検出した位置情報をサーバ装置10に送信する(ステップS10,S20)。
【0083】
サーバ装置10は、各ユーザの食材の消費期限を予測し、食材の廃棄が近づくと、廃棄が近づいた食材を使用するようにレコメンドする消費レコメンドを、ユーザ(例えば、購入者U1)が使用するユーザ端末20―U2に通知する食材管理を行う(ステップS21,S22)。サーバ装置10は、ステップS21,S22の処理を、例えば、定期的に実行する。
【0084】
サーバ装置10は、フードシェアリングアプリケーション上を介してユーザ(例えば、販売者U2)によって登録された食事情報を、ユーザ端末20-U2から受信する(ステップS23,S24)。
【0085】
サーバ装置10は、購入者U1に不足する栄養素を含む食事を販売する販売者と、購入者とをマッチングするマッチング処理を行う(ステップS25)。そして、サーバ装置10は、購入者U1に不足する栄養素を含む食事を販売する販売者からの食事の購入を、購入者U1レコメンドするレコメンド情報を、ユーザ端末20-U1に送信する(ステップS27)。
【0086】
購入者U1の操作によって、ユーザ端末20-U1から、レコメンドされた食事の購入依頼が送信された場合(ステップS27)、サーバ装置10は、ユーザ端末20-U2に、食事の購入依頼があった旨を送信する(ステップS28)。
【0087】
そして、ユーザ端末20-U2から、食事の提供を承諾する旨が通知された場合(ステップS29,S30)、サーバ装置10は、食事代金の決済処理を制御する(ステップS31,S32)。なお、サーバ装置10は、食事の提供について、提供場所、提供方法、食事の場所、及び/または、食事を二人で取るか否かを示すレコメンド情報を、ユーザ端末20-U1及びユーザ端末20-U2に送信する。このレコメンド情報を基に、購入者U1と販売者U2とが協議することで、食事の提供場所、提供方法、食事の場所、及び/または、食事を二人で取るか否かを決定する。
【0088】
続いて、図12を参照して、実施の形態に係る処理を説明する。サーバ装置10は、購入者U1が販売者U2の食事を購入したことによるフードロスの解消量を算出する。そして、サーバ装置10は、購入者U1及び販売者U2が居住する自治体のフードロスの解消への購入者U1及び販売者U2の貢献度を算出する(ステップS41)。サーバ装置10は、算出した貢献度を、地域通貨発行要求とともに、購入者U1及び販売者U2が居住する自治体の管理サーバ30に送信する(ステップS42)。
【0089】
サーバ装置10は、購入者U1が販売者U2の食事を購入したことによる、購入者U1の健康状態の向上度、及び/または、販売者U2の健康状態の向上度を算出する。そして、サーバ装置10は、購入者U1が販売者U2の食事を購入したことによる、購入者U1及び販売者U2の健康状態向上への貢献度(例えば、医療費削減への貢献度)を算出する(ステップS43)。サーバ装置10は、算出した貢献度を、地域通貨発行要求とともに、自治体の管理サーバ30に送信する(ステップS44)。
【0090】
管理サーバ30は、サーバ装置10による地域通貨発行要求に応じて、購入者U1及び販売者U2のフードロスの解消への貢献度、及び/または、健康状態向上への貢献度に応じて、購入者U1及び販売者U2に特典として、地域通貨を発行する(ステップS45,S46)。サーバ装置10は、発行された地域通貨とともに、購入者U1及び販売者U2の各貢献度を示す情報を、ユーザ端末20-U1,20-U2に送信する(ステップS47、S48)。
【0091】
[実施の形態の効果]
このように、実施の形態に係るサーバ装置10は、フードシェアリングアプリケーションを介して、食事の購入者U1と、食事の販売者U2とをマッチングし、販売者が作った食事を購入者に販売することで、消費者個人間でのフードシェアリングを実現する。これによって、フードロスを解消しながら、購入者U1は、健康的な食事をとることができ、販売者U2は余った食事をお金に換えることできる。
【0092】
そして、実施の形態では、人との関わりが薄く、メンタルの不調に陥りやすい単身世帯者をフードシェアリングアプリサービスのターゲットとすることで、購入者U1と販売者U2との間における食事の受け渡しの際のコミュニケーションによって、購入者U1と及び販売者U2の双方のメンタルヘルスの悪化を低減し、医療費削減を図る。
【0093】
また、購入者U1及び販売者U2は、自身の食事の購入及び販売によって地域通貨が発行されることによって、フードシェアリングサービス利用へのモチベーションを維持することができる。実施の形態では、地域通貨による還元を行うことで、サービス利用へのモチベーションを維持し、個人でのフードロス解消及び医療費削減の取り組みの継続を図ることができる。
【0094】
[実施の形態のシステム構成について]
サーバ装置10は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示のように構成されていることを要しない。すなわち、サーバ装置10の機能の分散及び統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散または統合して構成することができる。
【0095】
また、サーバ装置10において行われる各処理は、全部または任意の一部が、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、及び、CPU、GPUにより解析実行されるプログラムにて実現されてもよい。また、サーバ装置10において行われる各処理は、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されてもよい。
【0096】
また、実施の形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともできる。もしくは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上述及び図示の処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて適宜変更することができる。
【0097】
[プログラム]
図13は、プログラムが実行されることにより、サーバ装置10が実現されるコンピュータの一例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010、CPU1020を有する。また、コンピュータ1000は、ハードディスクドライブインタフェース1030、ディスクドライブインタフェース1040、シリアルポートインタフェース1050、ビデオアダプタ1060、ネットワークインタフェース1070を有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0098】
メモリ1010は、ROM1011及びRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。例えば磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が、ディスクドライブ1100に挿入される。シリアルポートインタフェース1050は、例えばマウス1110、キーボード1120に接続される。ビデオアダプタ1060は、例えばディスプレイ1130に接続される。
【0099】
ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS(Operating System)1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093、プログラムデータ1094を記憶する。すなわち、サーバ装置10の各処理を規定するプログラムは、コンピュータ1000により実行可能なコードが記述されたプログラムモジュール1093として実装される。プログラムモジュール1093は、例えばハードディスクドライブ1090に記憶される。例えば、サーバ装置10における機能構成と同様の処理を実行するためのプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。なお、ハードディスクドライブ1090は、SSD(Solid State Drive)により代替されてもよい。
【0100】
また、上述した実施の形態の処理で用いられる設定データは、プログラムデータ1094として、例えばメモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、メモリ1010やハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して実行する。
【0101】
なお、プログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限らず、例えば着脱可能な記憶媒体に記憶され、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、ネットワーク(LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等)を介して接続された他のコンピュータに記憶されてもよい。そして、プログラムモジュール1093及びプログラムデータ1094は、他のコンピュータから、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0102】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施の形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0103】
1 処理システム
10 サーバ装置
11,21 通信部
12,22 記憶部
13,23 制御部
20,20-U1,20-U2 ユーザ端末
24 入出力部
25 撮像部
30 管理サーバ
121,221 ユーザ情報
122 栄養情報
123,226 食事情報
124 食事摂取基準情報
125 食品情報
126 マッチング条件
131 ユーザ情報取得部
132 栄養情報取得部
133 食材管理部
134 食事情報取得部
135 マッチング部
136 レコメンド部
137 フードロス解消貢献度算出部
138 健康向上貢献度算出部
139 特典付与部
222 食嗜好情報
223 活動情報
224 購買情報
225 ヘルスケア情報
231 ユーザ情報登録部
232 活動情報取得部
233 購買情報取得部
234 ヘルスケア情報取得部
235 位置検出部
236 食事情報取得部
237 レコメンド出力制御部
238 貢献度出力制御部
【要約】
【課題】消費者個人間でフードシェアリングを行うことができる。
【解決手段】サーバ装置10は、購入者による食材及び/または食事の購買データ、及び、販売者による食材の購買データを取得するユーザ情報取得部131と、販売者が作った食事に関する情報を取得する食事情報取得部134と、取得した購買データを基に購入者に不足する栄養素を算出し、購入者に不足する栄養素を含む食事を販売する販売者と、購入者とをマッチングするマッチング部135と、購入者に不足する栄養素を含む食事を販売する販売者からの食事の購入をレコメンドするレコメンド情報を、少なくとも購入者が使用する購入者端末に送信するレコメンド部136と、を有する。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13