(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】電子マネー処理端末及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20241209BHJP
【FI】
G06Q20/06 300
(21)【出願番号】P 2023218231
(22)【出願日】2023-12-25
(62)【分割の表示】P 2019206835の分割
【原出願日】2019-11-15
【審査請求日】2024-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】小嶋 博文
【審査官】牧 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-069374(JP,A)
【文献】特開2019-105916(JP,A)
【文献】特開2005-258759(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0340635(US,A1)
【文献】特開2005-174088(JP,A)
【文献】特開2004-206474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
会員情報に係る第1の識別コードを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された前記第1の識別コードに基づいて電子マネーに係る第2の識別コードを作成する作成手段と、
前記第1の識別コードに基いてポイントに関する情報をサーバに問い合わせる第1の問い合わせ手段と、
前記第2の識別コードに基いて電子マネーに関する情報をサーバに問い合わせる第2の問い合わせ手段と、
を備える電子マネー処理端末。
【請求項2】
前記作成手段は、前記取得手段で取得された前記第1の識別コードに含まれる会員固有のコードを用いて前記第2の識別コードを作成する、請求項1に記載の電子マネー処理端末。
【請求項3】
前記作成手段は、前記会員固有のコードに固定のコードとチェックディジットを付けて前記第2の識別コードを作成する、請求項2に記載の電子マネー処理端末。
【請求項4】
前記第1の識別コード及び前記第2の識別コードは、共に、会員固有のコードを含む、請求項1に記載の電子マネー処理端末。
【請求項5】
前記作成手段は、入力された電子マネーによる決済要求に応じて、前記第2の識別コードを作成する、請求項1に記載の電子マネー処理端末。
【請求項6】
コンピュータを、
会員情報に係る第1の識別コードを取得する取得手段、
前記取得手段で取得された前記第1の識別コードに基づいて電子マネーに係る第2の識別コードを作成する作成手段、
前記第1の識別コードに基いてポイントに関する情報をサーバに問い合わせる第1の問い合わせ手段と、
前記第2の識別コードに基いて電子マネーに関する情報をサーバに問い合わせる第2の問い合わせ手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子マネー処理端末及びコンピュータを電子マネー処理端末として機能させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子マネーの機能を備えた会員カードが普及している。
店員は、商取引の開始時に、会員IDをPOS(Point Of Sales)端末に入力するために会員カードに付されているバーコードをスキャナへ翳す。POS端末は、会員との商取引を認識し、商取引で発生したサービスポイントを当該会員に付与するための処理を行う。
【0003】
店員は、商取引の支払方法として電子マネーが選択された場合、電子マネーIDをPOS端末に入力するために会員カードの磁気ストライプをカードリーダで読み取る。POS端末は、電子マネーで商取引の代金を決済する。
【0004】
このように、店員は、一連の商取引で、会員カードに付されているバーコードをスキャナへ翳す作業と、会員カードの磁気ストライプをカードリーダで読み取る作業を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、電子マネーの利用を簡略化することができる電子マネー処理端末及びそのプログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、電子マネー処理端末は、取得手段と、作成手段と、実行手段と、を備える。前記取得手段は、会員情報に係る第1の識別コードを取得する。前記作成手段は、前記取得手段で取得された前記第1の識別コードに基づいて電子マネーに係る第2の識別コードを作成する。前記実行手段は、前記作成手段で作成された前記第2の識別コードに基づいて電子マネーに関する処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係るPOS端末の要部回路構成を示すブロック図。
【
図4】POS端末のプロセッサが制御プログラムに従って実行する情報処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、電子マネー処理端末の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、この実施形態では、電子マネー処理端末の一態様としてPOS端末を例示する。
POS端末は、サービスポイントの取引及び電子マネーの取引の両方を扱う端末である。例えば、サービスポイントは、特定の企業内で利用可能な独自のポイントである。例えば、電子マネーは、特定の企業内で利用可能な独自のハウス電子マネーである。
【0010】
POS端末は、会員IDに基づいて商取引で発生したサービスポイントの付与を行う。会員IDは、会員それぞれをポイント会員として一意に識別する識別コードである。会員IDは、会員情報に係る識別コードの一例である。会員IDは、第1の識別コードともいう。会員IDの構成例については後述する。
【0011】
POS端末は、電子マネーIDに基づいて電子マネーに関する処理を実行する。電子マネーIDは、電子マネーを利用する会員それぞれを電子マネー利用者として一意に識別する識別コードである。電子マネーIDは、電子マネーに係る識別コードの一例である。電子マネーIDは、第2の識別コードともいう。電子マネーIDの構成例については後述する。
【0012】
会員ID及び電子マネーIDは、共に、会員それぞれに割り当てられた連番番号を含む。会員それぞれに割り当てられた連番番号は、会員固有のコードの一例である。例えば、ある会員を識別する会員ID及び電子マネーIDは、共に、この会員に割り当てられた連番番号を含む。
【0013】
図1は、本実施形態に係るPOS端末10の要部回路構成を示すブロック図である。 POS端末10は、プロセッサ101、メインメモリ102、補助記憶デバイス103、時計104、釣銭機インターフェース105、通信インターフェース106、入力デバイス107、表示デバイス108、印刷デバイス109、読取部インターフェース110、カードリーダ111及びシステムバス112を含む。そしてPOS端末10は、システムバス112に、プロセッサ101、メインメモリ102、補助記憶デバイス103、時計104、釣銭機インターフェース105、通信インターフェース106、入力デバイス107、表示デバイス108、印刷デバイス109、読取部インターフェース110及びカードリーダ111を直接または信号入出力回路を介して電気的に接続している。
図1では、インターフェースは、「I/F」と記載されている。
【0014】
POS端末10は、プロセッサ101、メインメモリ102及び補助記憶デバイス103と、これらを接続するシステムバス112とによってコンピュータを構成する。
【0015】
プロセッサ101は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。例えば、プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)であるが、これに限定されない。プロセッサ101は、種々の回路で構成されていてもよい。プロセッサ101は、メインメモリ102または補助記憶デバイス103に予め記憶されている制御プログラムをメインメモリ102に展開する。プロセッサ101は、メインメモリ102に展開された制御プログラムを実行することで、後述する各部を実装し、種々の動作を実行する。
【0016】
メインメモリ102は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ102は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ102は、不揮発性のメモリ領域でオペレーティングシステム及び制御プログラムを記憶する。また、メインメモリ102は、プロセッサ101が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性または揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ102は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ101によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。
【0017】
補助記憶デバイス103は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(登録商標)(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス103として使用される。補助記憶デバイス103は、プロセッサ101が各種の処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ101での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶デバイス103は、上記の制御プログラムを記憶する場合もある。
【0018】
時計104は、POS端末10の時刻情報源として機能する。プロセッサ101は、時計104によって計時される時刻情報を基に、現在の日付及び時刻を計時する。
【0019】
釣銭機インターフェース105は、図示しない自動釣銭機との間でデータ信号の入出力を行う。例えば釣銭機インターフェース105は、自動釣銭機から投入金額データを入力する。また釣銭機インターフェース105は、釣銭額データを自動釣銭機に出力する。因みに自動釣銭機では、釣銭額データに応じた釣銭額相当の紙幣または硬貨が払い出される。
【0020】
通信インターフェース106は、ネットワーク20に接続されており、所定の通信プロトコルに従い、ネットワーク20に接続された他の機器とデータ通信を行う。ネットワーク20には、店舗で売買される商品の価格、売上、在庫等を管理するためのストアサーバの他、会員サーバ30、電子マネーサーバ40等が接続されている。
【0021】
会員サーバ30は、ポイント会員として登録された会員に関するデータを記憶した会員データベース31を管理する。会員データベース31は、会員毎の会員IDと関連付けて、少なくともポイント残高となるポイントデータを記憶する。
図1では、データベースは、「DB」と記載されている。
【0022】
電子マネーサーバ40は、電子マネー利用者として登録された会員に関するデータを記憶した電子マネーデータベース41を管理する。電子マネーデータベース41は、会員毎の電子マネーIDと関連付けて、少なくとも電子マネー残高を記憶する。
【0023】
入力デバイス107は、POS端末10へのデータ入力インターフェースとして機能するデバイスである。例えば、入力デバイス107は、キーボード、タッチパネル等である。入力デバイス107は、電子マネーのチャージ要求(以下、電子マネーチャージ要求ともいう)を入力するための電子マネーチャージキーK1を含む。入力デバイス107は、電子マネーによる決済要求(以下、電子マネー決済要求ともいう)を入力するための電子マネー決済キーK2を含む。電子マネーチャージキーK1及び電子マネー決済キーK2は、キーボードに配置されたハードウェアキーであってもよいし、タッチパネル上に再現されるソフトキーであってもよい。
【0024】
表示デバイス108は、プロセッサ101の制御により種々の画面を表示可能なデバイスである。表示デバイス108は、店員用のデバイスと客用のデバイスとが別々に設けられる場合がある。例えば、表示デバイス108は、液晶ディスプレイ、EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。
【0025】
印刷デバイス109は、レシート、伝票等を印刷するためのデバイスである。例えば、印刷デバイス109は、サーマルプリンタ、インクジェットプリンタ等である。
【0026】
読取部インターフェース110は、図示しない読取部との間でデータ信号の入出力を行う。例えば、読取部は、バーコードまたは二次元データコードを読み取るためのスキャナである。読取部インターフェース110は、スキャナでスキャニングされたバーコードまたは二次元データコードのデータを入力する。例えば、読取部は、無線タグリーダライタである。読取部インターフェース110は、無線タグリーダライタで読み取られた無線タグのデータを入力する。また、読取部インターフェース110は、無線タグに書き込むためのデータを無線タグリーダライタへと出力する。
【0027】
カードリーダ111は、カード媒体の磁気ストライプに記録されたカードデータを読み取る。
【0028】
なお、POS端末10のハードウェア構成は、上述の構成に限定されるものではない。POS端末10は、適宜、上述の構成要素の省略及び変更並びに新たな構成要素の追加を可能とする。
【0029】
上述のプロセッサ101に実装される各部について説明する。
プロセッサ101は、取得部1011、受付部1012、作成部1013及び実行部1014を実装する。
【0030】
取得部1011は、会員IDを取得する。取得部1011は、取得手段の一例である。取得部1011は、POS端末10における操作に基づいて、会員IDを取得することができる。例えば、取得部1011は、入力デバイス107での会員IDのマニュアル入力に基づいて会員IDを取得することができる。例えば、取得部1011は、スキャナでのカード媒体に付されているバーコードまたは二次元データコードの読取に基づいて、会員IDを取得することができる。カード媒体に付されているバーコードまたは二次元データコードは、会員IDを記録しているものとする。例えば、取得部1011は、携帯型電子機器に表示されたバーコードまたは二次元データコードのスキャナでの読取に基づいて、会員IDを取得することができる。携帯型電子機器に表示されたバーコードまたは二次元データコードは、会員IDを記録しているものとする。例えば、携帯型電子機器は、スマートフォン、タブレット端末等である。携帯型電子機器は、会員IDを表示するアプリケーションプログラムの起動により、バーコードまたは二次元データコードを画面に表示することができる。例えば、取得部1011は、無線タグリーダライタでのカード媒体に付されている無線タグの読取に基づいて、会員IDを取得することができる。カード媒体に付されている無線タグは、会員IDを記録しているものとする。例えば、取得部1011は、カードリーダ111でのカード媒体の磁気ストライプの読取に基づいて、会員IDを取得することができる。カード媒体の磁気ストライプは、会員IDを記録しているものとする。
【0031】
受付部1012は、入力デバイス107での種々の入力に基づいて、種々の要求を受け付ける。受付部1012は、受付手段の一例である。例えば、受付部1012は、入力デバイス107での電子マネーチャージキーK1の選択による電子マネーチャージ要求の入力に基づいて、電子マネーチャージ要求を受け付ける。例えば、受付部1012は、入力デバイス107での電子マネー決済キーK2の選択による電子マネーチャージ要求の入力に基づいて、電子マネー決済要求を受け付ける。
【0032】
作成部1013は、取得部1011で取得された会員IDに基づいて電子マネーIDを作成する。作成部1013は、作成手段の一例である。例えば、作成部1013は、取得部1011で取得された会員IDに含まれる連番番号を用いて電子マネーIDを作成する。典型例では、作成部1013は、連番番号に固定の頭番号とチェックディジットを付けて電子マネーIDを作成する。固定の頭番号は、固定のコードの一例である。会員IDからの電子マネーIDの作成例については後述する。
【0033】
作成部1013は、受付部1012で電子マネーチャージ要求または電子マネー決済要求を受け付けた後に電子マネーIDを作成する。つまり、作成部1013は、受付部1012で受け付けた電子マネーチャージ要求に応じて、電子マネーIDを作成する。作成部1013は、受付部1012で受け付けた電子マネー決済要求に応じて、電子マネーIDを作成する。
【0034】
実行部1014は、作成部1013で作成された電子マネーIDに基づいて電子マネーに関する処理を実行する。実行部1014は、実行手段の一例である。例えば、実行部1014は、受付部1012で受け付けた電子マネーチャージ要求に応じて、電子マネーIDに基づいて電子マネーのチャージ処理を実行する。電子マネーのチャージ処理例については後述する。実行部1014は、受付部1012で受け付けた電子マネー決済要求に応じて、電子マネーIDに基づいて電子マネーによる決済処理を実行する。電子マネーによる決済処理例については後述する。
【0035】
次に、会員IDの構成例について説明する。
図2は、会員IDの構成例を示す図である。
例えば、会員IDは、13桁の数字で構成されている。会員IDを横方向に並べたときの左端の桁を1桁目とし、右端の桁を13桁目とする。
【0036】
会員IDの1桁目~3桁目は、固定の頭番号を構成する3桁の数字である。固定の頭番号は、会員IDであることを示し、会員によらず固定の数字の並びである。
【0037】
会員IDの4桁目~12桁目は、上述の連番番号を構成する9桁の数字である。連番番号は、会員ごとに異なる数字の並びである。連番番号のうちの上2桁(会員IDの4桁目及び5桁目)は、予め決められた識別コードであり、会員によらず固定の数字の並びである。
図2に示す会員IDの6桁目~12桁目それぞれの「X」は、0~9のうちの何れかの数字が入る。
【0038】
会員IDの13桁目は、チェックディジットを構成する1桁の数字である。
図2に示す会員IDの13桁目の「C/D」は、チェックディジットを構成する0~9のうちの何れかの数字が入る。チェックディジットは、会員IDを構成する数字を用いて、決められたルールに従って計算され得る。
【0039】
なお、会員IDは、13桁に限定されるものではない。会員IDは、13桁以外の桁数で構成されていてもよい。会員IDは、数字のみでの構成に限定されるものではない。会員IDは、アルファベットまたは記号などの文字種別で構成されていてもよい。会員IDは、数字、アルファベット及び記号などのうちの2以上の文字種別で構成されていてもよい。
【0040】
次に、電子マネーIDの構成例について説明する。
図3は、電子マネーIDの構成例を示す図である。
【0041】
例えば、電子マネーIDは、16桁の数字で構成されている。電子マネーIDを横方向に並べたときの左端の桁を1桁目とし、右端の桁を16桁目とする。
【0042】
電子マネーIDの1桁目~5桁目は、固定の頭番号を構成する5桁の数字である。固定の頭番号は、電子マネーIDであることを示し、会員によらず固定の数字の並びである。
【0043】
電子マネーIDの6桁目~14桁目は、上述の連番番号を構成する9桁の数字である。連番番号のうちの上2桁(電子マネーIDの6桁目及び7桁目)は、予め決められた識別コードであり、会員によらず固定の数字の並びである。
図3に示す会員IDの8桁目~14桁目それぞれの「X」は、0~9のうちの何れかの数字が入る。電子マネーIDの6桁目~14桁目を構成する9桁の連番番号は、会員IDの4桁目~12桁目を構成する9桁の連番番号と同一である。
【0044】
電子マネーIDの15桁目及び16桁目は、それぞれ、チェックディジットを構成する1桁の数字である。
図3に示す電子マネーIDの15桁目及び16桁目の「C/D」は、チェックディジットを構成する0~9のうちの何れかの数字が入る。電子マネーIDの15桁目及び16桁目それぞれのチェックディジットは、電子マネーIDを構成する数字を用いて、決められたルールに従って計算され得る。
【0045】
なお、電子マネーIDは、16桁に限定されるものではない。電子マネーIDは、16桁以外の桁数で構成されていてもよい。電子マネーIDは、数字のみでの構成に限定されるものではない。電子マネーIDは、アルファベットまたは記号などの文字種別で構成されていてもよい。電子マネーIDは、数字、アルファベット及び記号などのうちの2以上の文字種別で構成されていてもよい。
【0046】
次に、POS端末10による情報処理について説明する。
図4は、POS端末10のプロセッサ101が制御プログラムに従って実行する情報処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下に説明する手順は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な手順の処理を適宜に利用できる。
【0047】
取得部1011は、会員IDを取得する(ACT101)。ACT101では、例えば、取得部1011は、商取引の決済前の店員によるPOS端末10における上述の種々の操作に基づいて、会員である客の会員IDを取得する。会員IDは、
図2に例示したように、13桁の数字で構成され得る。
【0048】
受付部1012は、電子マネーチャージ要求を受け付けたか否かを判断する(ACT102)。ACT102では、例えば、受付部1012は、店員による入力デバイス107での電子マネーチャージキーK1の選択を待ち受ける。受付部1012は、電子マネーチャージキーK1による電子マネーチャージ要求の入力に基づいて、電子マネーチャージ要求を受け付ける。店員は、客が電子マネーのチャージを希望する場合、電子マネーチャージキーK1を選択する。
【0049】
受付部1012が電子マネーチャージ要求を受け付けたと判断した場合(ACT102、YES)、プロセッサ101の処理は、ACT102からACT103へ遷移する。作成部1013は、取得部1011で取得された会員IDに基づいて電子マネーIDを作成する(ACT103)。ACT103では、作成部1013は、以下に例示するように、電子マネーIDを作成する。作成部1013は、取得部1011で取得された会員IDから、会員IDの4桁目~12桁目までの9桁の数字で構成されている客に割り当てられた連番番号を取得する。作成部1013は、電子マネーIDであることを示す5桁の頭番号を会員IDから取得した9桁の連番番号の前に付す。作成部1013は、会員IDから取得した9桁の連番番号の後に付す2つのチェックディジットを決められたルールに従って計算する。作成部1013は、会員IDから取得した9桁の連番番号の後に2つのチェックディジットを付す。作成部1013は、
図3に例示するような16桁の電子マネーIDを作成する。このように、POS端末10は、カード媒体等から電子マネーIDを取得することなく、会員IDに基づいて自動で電子マネーIDを作成することができる。POS端末10は、電子マネーIDと共通化されている会員IDに含まれる連番番号を用いることで、適切に電子マネーIDを作成することができる。POS端末10は、連番番号に固定の頭番号とチェックディジットを付けることで、適切な桁数の電子マネーIDを作成することができる。
【0050】
実行部1014は、作成部1013による電子マネーIDの作成後、電子マネーIDに基づいて電子マネーのチャージ処理を実行する(ACT104)。ACT104では、実行部1014は、以下に例示するように、電子マネーのチャージ処理を実行する。実行部1014は、通信インターフェース106を介して、電子マネー要求コマンドを電子マネーサーバ40へ送信する。電子マネー要求コマンドは、作成部1013で作成された客の電子マネーIDを含む。実行部1014は、電子マネー要求コマンドに含まれる客の電子マネーIDと関連付けられている電子マネー残高を電子マネーサーバ40から取得する。実行部1014は、電子マネーサーバ40から取得した電子マネー残高をチャージ前残高としてメインメモリ102に格納する。実行部1014は、チャージ金額を取得し、メインメモリ102に格納する。実行部1014は、チャージ前残高にチャージ金額を加えることにより、チャージ後残高を算出する。実行部1014は、チャージ後残高をメインメモリ102に格納する。実行部1014は、通信インターフェース106を介して、電子マネー更新コマンドを電子マネーサーバ40へ送信する。電子マネー更新コマンドは、客の電子マネーID及びチャージ後残高を含む。電子マネーサーバ40は、電子マネー更新コマンドに基づいて電子マネーデータベース41を検索する。電子マネーサーバ40は、電子マネー更新コマンドに含まれている客の電子マネーIDと関連付けられている電子マネー残高をチャージ後残高に書き換える。このように、POS端末10は、カード媒体等から電子マネーIDを取得することなく、電子マネーによる決済処理を実行することができる。
【0051】
プロセッサ101は、ACT104の電子マネーのチャージ処理を実行した後、再びACT102を処理する。
【0052】
受付部1012が電子マネー決済要求を受け付けていないと判断した場合(ACT102、NO)、プロセッサ101の処理は、ACT102からACT105へ遷移する。受付部1012は、電子マネー決済要求を受け付けたか否かを判断する(ACT105)。ACT105では、例えば、受付部1012は、店員による入力デバイス107での電子マネー決済キーK2の選択を待ち受ける。受付部1012は、電子マネー決済キーK2による電子マネー決済要求の入力に基づいて、電子マネー決済要求を受け付ける。店員は、客が商取引の代金である取引金額の決済方法として電子マネー決済を希望する場合、電子マネー決済キーK2を選択する。
【0053】
受付部1012が電子マネー決済要求を受け付けたと判断した場合(ACT105、YES)、プロセッサ101の処理は、ACT105からACT106へ遷移する。作成部1013は、取得部1011で取得された会員IDに基づいて電子マネーIDを作成する(ACT106)。ACT106では、作成部1013は、ACT103と同様に電子マネーIDを作成する。
【0054】
実行部1014は、作成部1013による電子マネーIDの作成後、電子マネーIDに基づいて電子マネーによる決済処理を実行する(ACT107)。ACT107では、実行部1014は、以下に例示するように、電子マネーによる決済処理を実行する。実行部1014は、通信インターフェース106を介して、電子マネー要求コマンドを電子マネーサーバ40へ送信する。電子マネー要求コマンドは、作成部1013で作成された客の電子マネーIDを含む。実行部1014は、電子マネー要求コマンドに含まれる客の電子マネーIDと関連付けられている電子マネー残高を電子マネーサーバ40から取得する。実行部1014は、電子マネーサーバ40から取得した電子マネー残高をメインメモリ102に格納する。実行部1014は、電子マネー残高から取引金額を減じることにより、取引後残高を算出する。実行部1014は、取引後残高をメインメモリ102に格納する。実行部1014は、通信インターフェース106を介して、電子マネー更新コマンドを電子マネーサーバ40へ送信する。電子マネー更新コマンドは、客の電子マネーID及び取引後残高を含む。電子マネーサーバ40は、電子マネー更新コマンドに基づいて電子マネーデータベース41を検索する。電子マネーサーバ40は、電子マネー更新コマンドに含まれている客の電子マネーIDと関連付けられている電子マネー残高を取引後残高に書き換える。このように、POS端末10は、カード媒体等から電子マネーIDを取得することなく、電子マネーによる決済処理を実行することができる。
【0055】
実行部1014は、ACT107の決済処理後に、サービスポイントの付与処理を実行する(ACT108)。ACT108では、実行部1014は、以下に例示するように、サービスポイントの付与処理を実行する。実行部1014は、通信インターフェース106を介して、ポイント要求コマンドを会員サーバ30へ送信する。ポイント要求コマンドは、取得部1011で取得された客の会員IDを含む。実行部1014は、ポイント要求コマンドに含まれる客の会員IDと関連付けられているポイント残高を会員サーバ30から取得する。実行部1014は、会員サーバ30から取得したポイント残高を付与前ポイント残高としてメインメモリ102に格納する。実行部1014は、取引金額に基づいて今回の商取引におけるサービスポイントを算出する。実行部1014は、付与前ポイント残高に今回の商取引におけるサービスポイントを加え、付与後ポイント残高を算出する。実行部1014は、付与後ポイント残高をメインメモリ102に格納する。実行部1014は、通信インターフェース106を介して、ポイント更新コマンドを会員サーバ30へ送信する。ポイント更新コマンドは、客の会員ID及び付与後ポイント残高を含む。会員サーバ30は、ポイント更新コマンドに基づいて会員データベース31を検索する。会員サーバ30は、ポイント更新コマンドに含まれている客の会員IDと関連付けられたポイント残高を付与後ポイント残高に書き換える。
【0056】
受付部1012が電子マネー決済要求を受け付けていないと判断した場合(ACT105、NO)、プロセッサ101の処理は、ACT105からACT109へ遷移する。実行部1014は、他の決済処理を実行する(ACT109)。ACT109では、実行部1014は、以下に例示するように、他の決済処理を実行する。
【0057】
例えば、実行部1014は、現金決済の要求に応じて、現金による決済処理を実行する。店員は、客が商取引の代金である取引金額の決済方法として現金決済を希望する場合、入力デバイス107で現金決済を選択する。この例では、実行部1014は、入力デバイス107で入力された預り金額から取引金額を減じる。
【0058】
例えば、実行部1014は、クレジットカード決済の要求に応じて、クレジットカードによる決済処理を実行する。店員は、客が商取引の代金である取引金額の決済方法としてクレジットカード決済を希望する場合、入力デバイス107でクレジットカード決済を選択する。この例では、実行部1014は、カードリーダ111で読み取られたクレジットカード情報を取得する。実行部1014は、通信インターフェース106を介して、図示しないクレジットカードのサーバにアクセスし、クレジットカード情報の認証を行う。実行部1014は、クレジットカード情報の認証完了後、クレジットカードのサーバとの間で、クレジットカードによる取引金額の決済を完了させる。
【0059】
例えば、実行部1014は、ポイント決済の要求に応じて、サービスポイントによる決済処理を実行する。店員は、客が商取引の代金である取引金額の決済方法としてポイント決済を希望する場合、入力デバイス107でポイント決済を選択する。この例では、実行部1014は、通信インターフェース106を介して、ポイント要求コマンドを会員サーバ30へ送信する。ポイント要求コマンドは、取得部1011で取得された客の会員IDを含む。実行部1014は、ポイント要求コマンドに含まれる客の会員IDと関連付けられているポイント残高を会員サーバ30から取得する。実行部1014は、会員サーバ30から取得したポイント残高を決済前ポイント残高としてメインメモリ102に格納する。実行部1014は、決済前ポイント残高を金額に換算する。実行部1014は、決済前ポイント残高を換算した金額から取引金額を減じた残りの金額をサービスポイントに換算し、決済後ポイント残高を算出する。実行部1014は、通信インターフェース106を介して、ポイント更新コマンドを会員サーバ30へ送信する。ポイント更新コマンドは、客の会員ID及び決済後ポイント残高を含む。会員サーバ30は、ポイント更新コマンドに基づいて会員データベース31を検索する。会員サーバ30は、ポイント更新コマンドに含まれている客の会員IDと関連付けられたポイント残高を決済後ポイント残高に書き換える。
【0060】
実行部1014は、ACT109の決済処理後、ACT108のサービスポイントの付与処理を実行する。
【0061】
なお、ACT104及びACT107において、実行部1014は、暗号化した客の電子マネーIDを含む電子マネー要求コマンドを電子マネーサーバ40へ送信してもよい。これにより、POS端末10は、電子マネーサーバ40へ問い合わせる際のセキュリティを強化することができる。
【0062】
なお、プロセッサ101は、ACT103及びACT106で電子マネーIDを作成する前に、客が電子マネー利用者か否かを判断するようにしてもよい。これは、客が電子マネー利用者ではない場合、POS端末10は、電子マネーIDを作成しても、電子マネーに関する処理を実行することができないからである。この例では、会員サーバ30は、会員毎の会員IDと関連付けて、電子マネー利用者か否かを示す情報を記憶する。プロセッサ101は、客の会員IDに基づいて、客が電子マネー利用者か否かを示す情報を会員サーバ30から取得する。プロセッサ101は、客が電子マネー利用者であると判断した場合にのみ、ACT103及びACT106で電子マネーIDを作成する。これにより、客が電子マネー利用者ではない場合、POS端末10は、電子マネーIDの作成及び電子マネーサーバ40への問い合わせといった処理を省略することができる。
【0063】
本実施形態によれば、POS端末10は、カード媒体等から電子マネーIDを取得することなく、会員IDに基づいて自動で電子マネーIDを作成することができる。これにより、POS端末10は、カード媒体等から会員IDを取得するのみで、サービスポイントの取引及び電子マネーの取引の両方を扱うことができる。店員は、電子マネーの利用に際してカード媒体等からの会員IDの読取り作業のみで足りるので、電子マネーの利用を簡略化することができる。客は、電子マネーIDの記録されたカード媒体を忘れたとしても、会員IDを表示可能な携帯型電子機器を所持していれば、電子マネーを利用することができる。客は、会員IDを表示可能な携帯型電子機器を所持していれば電子マネーを利用することができるので、所持するカード媒体を減らし、財布のかさばりを防ぐことができる。店舗は、携帯型電子機器で会員IDを表示するアプリケーションプログラムの提供により、会員ID及び電子マネーIDの記録されたカード媒体の発行費用を削減できる。
【0064】
本実施形態では、プロセッサ101は、会員IDを取得し、取得した会員IDに基づいて自動で電子マネーIDを作成しているが、これに限定されない。プロセッサ101は、電子マネーIDを取得し、取得した電子マネーIDに基づいて会員IDを同様に作成してもよい。
【0065】
本実施形態では、電子マネー処理端末の一態様としてPOS端末を例示したが、電子マネー処理端末はPOS端末に限定されるものではない。電子マネー処理端末は、サービスポイントの取引及び電子マネーの取引の両方を扱うことが可能な電子機器であればよい。
【0066】
なお、電子マネー処理端末の譲渡は一般に、制御プログラム等のプログラムがメインメモリまたは補助記憶デバイスに記憶された状態にて行われる。しかしこれに限らず、プログラムがメインメモリまたは補助記憶デバイスに記憶されていない状態で譲渡されてもよい。そしてこの場合は、電子マネー処理端末が備える書き込み可能な記憶デバイスに、この電子マネー処理端末とは個別に譲渡された制御プログラム等がユーザ等の操作に応じて書き込まれる。制御プログラム等の譲渡は、リムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。記録媒体は、CD-ROM、メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読取可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0067】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
会員情報に係る第1の識別コードを取得する取得手段と、
前記取得手段で取得された前記第1の識別コードに基づいて電子マネーに係る第2の識別コードを作成する作成手段と、
前記作成手段で作成された前記第2の識別コードに基づいて電子マネーに関する処理を実行する実行手段と、
を備える電子マネー処理端末。
[C2]
前記作成手段は、前記取得手段で取得された前記第1の識別コードに含まれる会員固有のコードを用いて前記第2の識別コードを作成する、[C1]に記載の電子マネー処理端末。
[C3]
前記作成手段は、前記会員固有のコードに固定のコードとチェックディジットを付けて前記第2の識別コードを作成する、[C2]に記載の電子マネー処理端末。
[C4]
前記実行手段は、電子マネーによる決済要求に応じて、前記作成手段で作成された前記第2の識別コードに基づいて電子マネーによる決済処理を実行する、[C1]に記載の電子マネー処理端末。
[C5]
前記実行手段は、電子マネーのチャージ要求に応じて、前記作成手段で作成された前記第2の識別コードに基づいて電子マネーのチャージ処理を実行する、[C1]に記載の電子マネー処理端末。
[C6]
コンピュータを、
会員情報に係る第1の識別コードを取得する取得手段、
前記取得手段で取得された前記第1の識別コードに基づいて電子マネーに係る第2の識別コードを作成する作成手段、
前記作成手段で作成された前記第2の識別コードに基づいて電子マネーに関する処理を実行する実行手段、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0068】
10…POS端末、20…ネットワーク、30…会員サーバ、31…会員データベース、40…電子マネーサーバ、41…電子マネーデータベース、101…プロセッサ、102…メインメモリ、103…補助記憶デバイス、104…時計、105…釣銭機インターフェース、106…通信インターフェース、107…入力デバイス、108…表示デバイス、109…印刷デバイス、110…読取部インターフェース、111…カードリーダ、112…システムバス、1011…取得部、1012…受付部、1013…作成部、1014…実行部、K1…電子マネーチャージキー、K2…電子マネー決済キー。