(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】収納箱
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
G01N35/10 Z
(21)【出願番号】P 2023506739
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 JP2021043113
(87)【国際公開番号】W WO2022195966
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2021042224
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】島 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】大草 武徳
(72)【発明者】
【氏名】末成 元
【審査官】外川 敬之
(56)【参考文献】
【文献】実公昭35-000445(JP,Y1)
【文献】登録実用新案第3171968(JP,U)
【文献】特開平03-044556(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0127294(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動分析装置に使用される棒状部材が収納される収納箱であって、
前記棒状部材が載置される溝形状の収納部が設けられる土台と、
前記土台に被せられる蓋を備え、
前記収納部は、前記棒状部材の根元に設けられ径方向に突出する突出部が引っ掛かる段差と、前記棒状部材の先端と内壁との間に空間を有することを特徴とする収納箱。
【請求項2】
請求項1に記載の収納箱であって、
前記蓋は、前記収納部に納まる突起部を有することを特徴とする収納箱。
【請求項3】
請求項2に記載の収納箱であって、
前記突起部は、前記蓋が前記土台に嵌合すると、前記棒状部材との隙間が前記棒状部材の外径未満になるまで接近することを特徴とする収納箱。
【請求項4】
請求項3に記載の収納箱であって、
前記蓋は、前記土台に嵌合する嵌合部を2つ有することを特徴とする収納箱。
【請求項5】
請求項1に記載の収納箱であって、
前記段差は前記突出部の高さよりも大きいことを特徴とする収納箱。
【請求項6】
請求項1に記載の収納箱であって、
前記収納部は、前記棒状部材の長手方向と直交する方向に指が入る空間を有することを特徴とする収納箱。
【請求項7】
請求項1に記載の収納箱であって、
前記土台には、前記収納部が複数設けられることを特徴とする収納箱。
【請求項8】
請求項1に記載の収納箱であって、
前記蓋には、前記蓋の長辺の間をつなぐようにリブが設けられることを特徴とする収納箱。
【請求項9】
請求項1に記載の収納箱であって、
前記土台と前記蓋は、両者を接続するヒンジとともに、真空成型法によって一体成型されることを特徴とする収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、血液や尿等の検体に含まれる特定成分を自動的に定性あるいは定量分析する装置である。自動分析装置では、検体や試薬、検体と試薬を反応させた反応液等の液体をノズルで吸引したり吐出したりする。ノズルは長さに比して外径が小さく曲がりやすく、衝撃に弱い部品であり、衝撃の影響を受けないようにする必要がある。
【0003】
特許文献1には、衝撃に弱いフェライトアンテナが外部衝撃の影響を受けないようにするために、フェライトアンテナの両端に装着された弾性を有するキャップ状アンテナ枠を介してケースの収納凹部にフェライトアンテナを収納することが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に開示されるようなキャップ状アンテナ枠では、ノズルの先端を保護するには不十分である。すなわちノズルの先端にキャップ状アンテナ枠が装着されたとしても、ノズルが収納された収納箱の移送時にキャップ状アンテナ枠がノズルの外周面を滑って、その内壁がノズルの先端に接触して破損させかねない。
【0006】
そこで本発明は、自動分析装置に用いられるノズルのような棒状部材の移送時の破損を防止する収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、自動分析装置に使用される棒状部材が収納される収納箱であって、前記棒状部材が載置される溝形状の収納部が設けられる土台と、前記土台に被せられる蓋を備え、前記収納部は、前記棒状部材の根元に設けられ径方向に突出する突出部が引っ掛かる段差と、前記棒状部材の先端と内壁との間に空間を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自動分析装置に用いられるノズルのような棒状部材の移送時の破損を防止する収納箱を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2C】不要液吸引ノズルについて説明する断面図。
【
図2D】緩衝液吐出ノズルについて説明する断面図。
【
図2E】反応液吸引ノズルについて説明する断面図。
【
図4】棒状部材が載置された状態の収納箱の斜視図。
【
図6A】検体分注ノズルの収納部について説明する断面図。
【
図6B】試薬分注ノズルの収納部について説明する断面図。
【
図6C】不要液吸引ノズルの収納部について説明する断面図。
【
図6D】緩衝液吐出ノズルの収納部について説明する断面図。
【
図6E】反応液吸引ノズルの収納部について説明する断面図。
【
図7】蓋の突起部と土台の収納部との位置関係について説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に従って本発明に係る収納箱の好ましい実施形態について説明する。収納箱には自動分析装置に使用される棒状部材が収納されるので、まず自動分析装置について説明する。自動分析装置は、血液や尿等の検体に試薬を反応させた反応液を用いて検体を分析する装置である。
【0011】
図1を用いて、自動分析装置の全体構成の一例を説明する。自動分析装置は、検体搬送部102、試薬ディスク104、検体分注部105、試薬分注部106、試薬攪拌部119、反応ディスク(インキュベータ)107、反応容器搬送部109、前処理部114、測定部108、制御部113を備える。以下、各部について説明する。なお、鉛直方向をZ方向、水平面をXY面とする。
【0012】
検体搬送部102は、血液や尿等の検体が収容される検体容器101を検体吸引位置110まで搬送する。試薬ディスク104は、分析に使用される試薬を収容する試薬容器103を所定の温度範囲で保管する。
【0013】
検体分注部105は、検体吸引位置110に搬送された検体容器101から反応ディスク107に配置された反応容器へ検体を分注する。検体分注部105には、後述される検体分注ノズルが取り付けられる。検体が分注される反応容器と、検体の分注時に検体分注ノズルの先端に装着される分注チップとは消耗品保管部111に保管され、消耗品搬送部112によって所定の位置に搬送される。
【0014】
試薬分注部106は、試薬ディスク104が保管する試薬容器103から反応ディスク107に配置され検体が分注された反応容器へ試薬を分注する。試薬分注部106には、後述される試薬分注ノズルが取り付けられる。試薬の分注に先立ち、試薬攪拌部119により試薬容器103の中の磁気粒子を含む試薬が撹拌される。
【0015】
反応ディスク107は、検体と試薬が分注された反応容器を所定の温度範囲に保つことにより、検体と試薬との反応を促進させ反応液を生成する。反応容器搬送部109は、反応液が収容された反応容器を反応ディスク107から前処理位置115と攪拌位置116を経由して反応液分注位置117へ搬送する。前処理位置115では、反応容器に収容された反応液に対する前処理として、前処理部114による不要液の吸引と緩衝液の吐出が行われる。前処理部114には、後述される不要液吸引ノズルと緩衝液吐出ノズルが取り付けられる。次に攪拌位置116において反応液が撹拌される。そして反応液分注位置117において、後述される反応液吸引ノズルによって反応容器から測定部108へ反応液が供給される。
【0016】
測定部108は、供給された反応液の物理特性、例えば発光量、散乱光量、透過光量、電流値、電圧値等を測定する。なお測定される物理特性はこれらに限定されない。また測定部108は、反応容器搬送部109から反応容器を受け取り、反応容器に収容されたままの状態で反応液の物理特性を測定しても良い。測定部108により物理特性が測定された反応液を収容する反応容器は、反応容器搬送部109によって廃棄孔118へ搬送されて廃棄される。なお測定後の反応容器は洗浄されたのち再利用されても良い。
【0017】
制御部113は、自動分析装置が備える各部を制御するとともに測定結果に係る処理を実行する装置であり、例えばいわゆるコンピュータによって構成される。
【0018】
図2A乃至
図2Eを用いて、自動分析装置に使用される棒状部材である各種ノズルについて説明する。
図2Aに例示される検体分注ノズル210は、ノズル本体211と保護部212、曲げ板金213を有する。ノズル本体211は、円筒形状の細管であり、先端から検体が吸引されたり吐出されたりする。ノズル本体211は、例えばステンレス製ではあるものの、長さに比して外径が小さいため曲がりやすく、特に先端がつぶれると検体の吸引や吐出に支障をきたす。保護部212は、ノズル本体211を保護するために、特にノズル本体211の曲がりを抑制するためにノズル本体211の外周を覆う円筒形状の部材であり、例えばステンレス製である。なおノズル本体211の先端は分注チップが装着されるので、保護部212では覆われない。曲げ板金213は、検体分注ノズル210の一端、すなわち分注チップが装着される端部とは逆側に設けられる。以降、曲げ板金213が設けられる側の端部を根元と呼び、検体の吸引や吐出をする端部である先端と区別する。他のノズルにおいても、2つの端部は先端と根元で区別される。曲げ板金213は、検体分注ノズル210が検体分注部105に接続されたことを検知するための検知板として機能するため、検体分注ノズル210の径方向に突出して設けられる。
【0019】
図2Bに例示される試薬分注ノズル220は、ノズル本体221と保護部222、曲げ板金223を有する。ノズル本体221は、円筒形状の細管であり、先端から試薬が吸引されたり吐出されたりする。ノズル本体221は、ノズル本体211と同様に曲がりやすく、特に先端がつぶれると試薬の吸引や吐出に支障をきたす。保護部222は、保護部212と同様にノズル本体221を保護するためにノズル本体221の外周を覆う。なおノズル本体221の先端は試薬容器103に挿入されるので、保護部222では覆われない。曲げ板金223は、試薬分注ノズル220の根元側に設けられる。曲げ板金223は、曲げ板金213と同様に検知板として機能するため、試薬分注ノズル220の径方向に突出して設けられる。
【0020】
図2Cに例示される不要液吸引ノズル230は、ノズル本体231と保護部232、フランジ部233を有する。ノズル本体231は、円筒形状の細管であり、先端から反応液中の不要液が吸引される。ノズル本体231は、ノズル本体211と同様に曲がりやすく、特に先端がつぶれると不要液の吸引に支障をきたす。保護部232は、保護部212と同様にノズル本体231を保護するためにノズル本体231の外周を覆う。なおノズル本体231の先端は反応容器に挿入されるので、保護部232では覆われない。フランジ部233は、不要液吸引ノズル230の根元側に設けられる。フランジ部233は、前処理部114が有するチューブが装着されるように
図2Cに例示される形状を有し、不要液吸引ノズル230の径方向に突出して設けられる。
【0021】
図2Dに例示される緩衝液吐出ノズル240は、ノズル本体241と保護部242、フランジ部243を有する。ノズル本体241は、円筒形状の細管であり、先端から緩衝液が吐出される。ノズル本体241は、ノズル本体211と同様に曲がりやすく、特に先端がつぶれると緩衝液の吐出に支障をきたす。保護部242は、保護部212と同様にノズル本体241を保護するためにノズル本体241の外周を覆う。なおノズル本体241の先端は反応容器に挿入されるので、保護部242では覆われない。フランジ部243は、緩衝液吐出ノズル240の根元側に設けられる。フランジ部243は、フランジ部233と同様に、前処理部114が有するチューブが装着されるので、緩衝液吐出ノズル240の径方向に突出して設けられる。
【0022】
図2Eに例示される反応液吸引ノズル250は、ノズル本体251と保護部252、フランジ部253を有する。ノズル本体251は、円筒形状の細管であり、不要液の吸引と緩衝液の吐出等の前処理がなされた反応液が先端から吸引される。ノズル本体251は、ノズル本体211と同様に曲がりやすく、特に先端がつぶれると前処理後の反応液の吸引に支障をきたす。保護部252は、保護部212と同様にノズル本体251を保護するためにノズル本体251の外周を覆う。なおノズル本体251の先端は反応容器に挿入されるので、保護部252では覆われない。フランジ部253は、反応液吸引ノズル250の根元側に設けられる。フランジ部253は、フランジ部233と同様にチューブが装着されるので、反応液吸引ノズル250の径方向に突出して設けられる。
【0023】
以上説明した自動分析装置に使用される棒状部材である各種ノズルは収納箱に収納され、納品される自動分析装置とともに移送される。移送時には各種ノズルの破損、特に各種ノズルの先端部の接触による破損を防止することが重要である。
【0024】
図3を用いて、棒状部材である各種ノズルが収納される収納箱300について説明する。収納箱300は、土台301と蓋302がヒンジ303でつながって構成され、例えば真空成型法によって一体成型される。一体成型されることにより、収納箱300は厚さが一様な部材、すなわち表面が突出する個所の裏面は陥没する部材となり、量産が容易になる。また移送時の温度変化による変形が抑制される材質、例えば耐熱温度が70~90℃である樹脂材料PS(Poly Styrene)が収納箱300に用いられる。
【0025】
土台301には、棒状部材である各種ノズルが載置される溝形状の収納部が設けられる。収納箱300は多数の棒状部材の移送に用いられることが望ましく、
図3に例示される土台301には第一収納部310乃至第七収納部370が設けられる。また収納箱300が水平面に置かれたときにがたつかないようにするため、土台301の底面側の縁を水平方向にせり出させる構造にしても良い。
【0026】
蓋302はヒンジ303を湾曲させながら土台301に被せられ、土台301に蓋302が被せられたときに第一収納部310乃至第七収納部370のそれぞれに納まる第一突起部311乃至第七突起部371を有する。第一突起部311乃至第七突起部371は第一収納部310乃至第七収納部370のそれぞれに載置される各種ノズルに接触して押さえる。なお蓋302がたわむと、第一突起部311乃至第七突起部371の位置がずれる場合がある。そこで蓋302の剛性を向上させるために、蓋302の長辺の間をつなぐようにリブ306を設けても良い。なおリブ306の数や位置、形状は
図3の例に限定されない。
【0027】
また蓋302の四辺のうちのヒンジ303がつながる一辺に対向する辺に嵌合部304が、土台301には嵌合部304と相対する位置に被嵌合部305が設けられても良い。蓋302に嵌合部304が設けられ、土台301に被嵌合部305が設けられることにより、土台301に蓋302を被せることで両者を容易にロックさせることができる。なお適度なロック強度を保ち使用者が両手で開けやすくするために、嵌合部304と被嵌合部305の組は
図3に例示される二角に設けられることが好ましい。
【0028】
図4には、第一収納部310乃至第七収納部370に、棒状部材である各種ノズル等が載置された状態が示される。第一収納部310には検体分注ノズル210が、第二収納部320には試薬分注ノズル220が、第三収納部330には不要液吸引ノズル230が、第四収納部340には緩衝液吐出ノズル240が、第五収納部350には反応液吸引ノズル250がそれぞれ載置される。また第六収納部360には試薬の撹拌に用いられる攪拌パドル260が、第七収納部370には備品271の入った備品用袋270が載置される。
【0029】
図5には、土台301に蓋302が被せられ、嵌合部304と被嵌合部305との組によって蓋302と土台301がロックされた状態が示される。蓋302と土台301がロックされると、第一収納部310乃至第七収納部370に載置された各種ノズル等の棒状部材との隙間が棒状部材の外径未満になるまで、第一突起部311乃至第七突起部371が接近し、移送中の振動による棒状部材の移動を抑制する。
【0030】
図6A乃至
図6Eを用いて、第一収納部310乃至第五収納部350について説明する。
図5のA-A断面図である
図6Aに例示される第一収納部310は検体分注ノズル210を収納し、検体分注ノズル210の長手方向に沿って根元側から第一領域511乃至第五領域515に分けられる。第一領域511は曲げ板金213が収納される領域であり、隣接する第二領域512よりも深い溝である。第二領域512は、検体分注ノズル210が第一収納部310の底面に接触し、第一突起部311によって移動が抑制される領域であり、隣接する第一領域511や第三領域513よりも浅い溝である。第三領域513は、検体分注ノズル210を摘まむために使用者が指を入れられる空間を有する領域であり、隣接する第二領域512や第四領域514よりも深い溝である。指の入る空間は、検体分注ノズル210の長手方向と直交する方向に設けられる。第四領域514は、検体分注ノズル210が第一収納部310の底面に接触し、第一突起部311によって移動が抑制される領域であり、隣接する第三領域513や第五領域515よりも浅い溝である。第五領域515は検体分注ノズル210の先端と内壁との間に空間が設けられる領域であり、隣接する第四領域514よりも深い溝である。なお第三領域513と第四領域514は無くても良い。
【0031】
このような構成により、第一領域511と第二領域512の間に設けられる段差に、径方向に突出する曲げ板金213が引っ掛かることで、検体分注ノズル210の先端と第一収納部310の内壁との間の空間が保たれる。すなわち検体分注ノズル210の先端を第一収納部310の内壁に接触させずに済むので、検体分注ノズル210の移送時の破損を防止できる。
【0032】
なお第一突起部311によって移動が抑制される検体分注ノズル210は第二領域512において第一収納部310の底面に接触したままとなるので、第一領域511と第二領域512の間の段差から曲げ板金213が外れることを防止できる。また第一領域511と第二領域512の間の段差は曲げ板金213が径方向に突出する高さよりも大きいことが好ましい。
【0033】
図5のB-B断面図である
図6Bに例示される第二収納部320は試薬分注ノズル220を収納し、第一収納部310と同様に、第一領域521乃至第五領域525に分けられる。第一領域521は曲げ板金223が収納される領域であり、隣接する第二領域522よりも深い溝である。第二領域522は、試薬分注ノズル220が第二収納部320の底面に接触する領域であり、隣接する第一領域521や第三領域523よりも浅い溝である。第三領域523は、試薬分注ノズル220を摘まむために使用者が指を入れられる空間を有する領域であり、隣接する第二領域522や第四領域524よりも深い溝である。第四領域524は、試薬分注ノズル220が第二収納部320の底面に接触し、第二突起部321によって移動が抑制される領域であり、隣接する第三領域523や第五領域525よりも浅い溝である。第五領域525は試薬分注ノズル220の先端と内壁との間に空間が設けられる領域であり、隣接する第四領域524よりも深い溝である。
【0034】
このような構成により、第一収納部310と同様に、第一領域521と第二領域522の段差に、曲げ板金223が引っ掛かることで、試薬分注ノズル220の先端を第二収納部320の内壁に接触させずに済むので、試薬分注ノズル220の移送時の破損を防止できる。
【0035】
図5のC-C断面図である
図6Cに例示される第三収納部330は不要液吸引ノズル230を収納し、第一収納部310と同様に、第一領域531乃至第五領域535に分けられる。第一領域531はフランジ部233が収納される領域であり、隣接する第二領域532よりも深い溝である。第二領域532は、不要液吸引ノズル230が第三収納部330の底面に接触する領域であり、隣接する第一領域531や第三領域533よりも浅い溝である。第三領域533は、不要液吸引ノズル230を摘まむために使用者が指を入れられる空間を有する領域であり、隣接する第二領域532や第四領域534よりも深い溝である。第四領域534は、不要液吸引ノズル230が第三収納部330の底面に接触し、第三突起部331によって移動が抑制される領域であり、隣接する第三領域533や第五領域535よりも浅い溝である。第五領域535は不要液吸引ノズル230の先端と内壁との間に空間が設けられる領域であり、隣接する第四領域534よりも深い溝である。
【0036】
このような構成により、第一領域531と第二領域532の段差に、径方向に突出するフランジ部233が引っ掛かることで、不要液吸引ノズル230の先端を第三収納部330の内壁に接触させずに済むので、不要液吸引ノズル230の移送時の破損を防止できる。
【0037】
図5のD-D断面図である
図6Dに例示される第四収納部340は緩衝液吐出ノズル240を収納し、第一収納部310と同様に、第一領域541乃至第五領域545に分けられる。第一領域541はフランジ部243が収納される領域であり、隣接する第二領域542よりも深い溝である。第二領域542は、緩衝液吐出ノズル240が第四収納部340の底面に接触する領域であり、隣接する第一領域541や第三領域543よりも浅い溝である。第三領域543は、緩衝液吐出ノズル240を摘まむために使用者が指を入れられる空間を有する領域であり、隣接する第二領域542や第四領域544よりも深い溝である。第四領域544は、緩衝液吐出ノズル240が第四収納部340の底面に接触し、第四突起部341によって移動が抑制される領域であり、隣接する第三領域543や第五領域545よりも浅い溝である。第五領域545は緩衝液吐出ノズル240の先端と内壁との間に空間が設けられる領域であり、隣接する第四領域544よりも深い溝である。
【0038】
このような構成により、第三収納部330と同様に、第一領域541と第二領域542の段差にフランジ部243が引っ掛かることで、緩衝液吐出ノズル240の先端を第四収納部340の内壁に接触させず、緩衝液吐出ノズル240の移送時の破損を防止できる。
【0039】
図5のE-E断面図である
図6Eに例示される第五収納部350は反応液吸引ノズル250を収納し、第一収納部310と同様に、第一領域551乃至第五領域555に分けられる。第一領域551はフランジ部253が収納される領域であり、隣接する第二領域552よりも深い溝である。第二領域552は、反応液吸引ノズル250が第五収納部350の底面に接触する領域であり、隣接する第一領域551や第三領域553よりも浅い溝である。第三領域553は、反応液吸引ノズル250を摘まむために使用者が指を入れられる空間を有する領域であり、隣接する第二領域552や第四領域554よりも深い溝である。第四領域554は、反応液吸引ノズル250が第五収納部350の底面に接触し、第五突起部351によって移動が抑制される領域であり、隣接する第三領域553や第五領域555よりも浅い溝である。第五領域555は反応液吸引ノズル250の先端と内壁との間に空間が設けられる領域であり、隣接する第四領域554よりも深い溝である。
【0040】
このような構成により、第三収納部330と同様に、第一領域551と第二領域552の段差にフランジ部253が引っ掛かることで、反応液吸引ノズル250の先端を第五収納部350の内壁に接触させず、反応液吸引ノズル250の移送時の破損を防止できる。
【0041】
図7を用いて、土台301に設けられる収納部と蓋302に設けられる突起部との高さ方向における位置関係について説明する。なお
図7は
図5のF-F断面図であり、収納部の例として不要液吸引ノズル230が収容される第三収納部330を、突起部の例として第三収納部330に納められる第三突起部331を用いて位置関係を説明する。
【0042】
第三収納部330の溝の脇には、製造の都合上、平坦面330Aが形成される。また第三突起部331は不要液吸引ノズル230と接触する先端面331Aを有する。平坦面330Aと先端面331Aとの距離をh、蓋302の浮き上がり量をdとするとき、h>dとなるように第三収納部330と第三突起部331を構成する。このような構成によって第三収納部330と第三突起部331との間に、不要液吸引ノズル230が通れるほどの隙間、すなわち不要液吸引ノズル230の外径よりも大きい隙間を生じさせずに済む。また第三突起部331と不要液吸引ノズル230との隙間は、不要液吸引ノズル230の外径未満である。その結果、第三突起部331によって不要液吸引ノズル230の移動を防止できる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明した。本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形しても良い。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、上記実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0044】
100:自動分析装置、101:検体容器、102:検体搬送部、103:試薬容器、104:試薬ディスク、105:検体分注部、106:試薬分注部、107:反応ディスク、108:測定部、109:反応容器搬送部、110:検体吸引位置、111:消耗品保管部、112:消耗品搬送部、113:制御部、114:前処理部、115:前処理位置、116:攪拌位置、117:反応液分注位置、118:廃棄孔、119:試薬攪拌部、210:検体分注ノズル、211:ノズル本体、212:保護部、213:曲げ板金、220:試薬分注ノズル、221:ノズル本体、222:保護部、223:曲げ板金、230:不要液吸引ノズル、231:ノズル本体、232:保護部、233:フランジ部、240:緩衝液吐出ノズル、241:ノズル本体、242:保護部、243:フランジ部、250:反応液吸引ノズル、251:ノズル本体、252:保護部、253:フランジ部、260:攪拌パドル、270:備品用袋、271:備品、300:収納箱、301:土台、302:蓋、303:ヒンジ、304:嵌合部、305:被嵌合部、306:リブ、310:第一収納部、311:第一突起部、320:第二収納部、321:第二突起部、330:第三収納部、330A:平坦面、331:第三突起部、331A:先端面、340:第四収納部、341:第四突起部、350:第五収納部、351:第五突起部、360:第六収納部、361:第六突起部、370:第七収納部、371:第七突起部、511:第一領域、512:第二領域、513:第三領域、514:第四領域、515:第五領域、521:第一領域、522:第二領域、523:第三領域、524:第四領域、525:第五領域、531:第一領域、532:第二領域、533:第三領域、534:第四領域、535:第五領域、541:第一領域、542:第二領域、543:第三領域、544:第四領域、545:第五領域、551:第一領域、552:第二領域、553:第三領域、554:第四領域、555:第五領域