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  • 特許-高圧遮断器および高圧遮断器の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】高圧遮断器および高圧遮断器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/662 20060101AFI20241209BHJP
   H01H 33/66 20060101ALI20241209BHJP
   H01H 11/06 20060101ALI20241209BHJP
   H02B 13/035 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H01H33/662 J
H01H33/66 Q
H01H11/06 G
H01H33/662 R
H01H33/662 F
H02B13/035 331
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023509408
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2021070719
(87)【国際公開番号】W WO2022033841
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】102020210183.3
(32)【優先日】2020-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521001582
【氏名又は名称】シーメンス エナジー グローバル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS ENERGY GLOBAL GMBH & CO. KG
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】バーツ,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ビネール,ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】グリューンラー,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヒューブナー,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】レーマン,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】リンケ,ゼバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ウドフチッチ,ダニエル
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-536429(JP,A)
【文献】米国特許第6172317(US,B1)
【文献】国際公開第2017/010066(WO,A1)
【文献】特表2009-508294(JP,A)
【文献】特開2016-126952(JP,A)
【文献】特開2017-22002(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空遮断バルブ(2)を少なくとも1つ備えた高圧遮断器(1)であって、前記真空遮断バルブ(2)が前記高圧遮断器(1)の少なくとも1つのホルダー(3、4)によって支承されている高圧遮断器(1)において、
前記少なくとも1つの真空遮断バルブ(2)が、前記少なくとも1つのホルダー(3、4)にそれぞれ1つの中間部品(7)によって、前記少なくとも1つのホルダー(3、4)と結合されており、
前記中間部品(7)が少なくとも2つの部分を含み、
前記2つの部分が材料結合的に分離不能に互いに結合されている、
ことを特徴とする高圧遮断器(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの真空遮断バルブ(2)が少なくとも1つの固定接触子および少なくとも1つの可動接触子を有し、
前記少なくとも1つの固定接触子の側に少なくとも1つのホルダー(3)を備え、前記少なくとも1つの可動接触子の側に少なくとも1つのホルダー(4)を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の高圧遮断器(1)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの真空遮断バルブ(2)が溶接接続(10)によって、前記少なくとも1つのホルダー(3、4)に分離不能に結合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧遮断器(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの真空遮断バルブ(2)が、前記中間部品(7)に結合されており、
および/または、
前記中間部品(7)が異なる材料の2つの部分を含み、前記異なる材料の2つの部分が爆発圧接および/または圧延接合によって互いに材料結合的に分離不能に結合されており、
および/または、
前記中間部品(7)が、各々、前記少なくとも1つのホルダー(3、4)に分離不能に結合されている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の高圧遮断器(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの真空遮断バルブ(2)が、前記少なくとも1つの真空遮断バルブ(2)の固定接触子および可動接触子が銅製であるかおよび/または銅を含み、
および/または、
前記中間部品(7)が銅部分を含み、前記銅部分が前記真空遮断バルブ(2)の銅と分離不能に結合されており、
および/または、
前記ホルダー(3、4)がそれぞれアルミニウム製であるかおよび/またはアルミニウムを含み、
および/または、
前記中間部品(7)がアルミニウム部分を含み、前記アルミニウム部分が前記ホルダー(3、4)のアルミニウムと分離不能に結合されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の高圧遮断器(1)。
【請求項6】
数kVから1200kVの範囲の電圧を開閉するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の高圧遮断器(1)。
【請求項7】
前記高圧遮断器(1)が遮断ガスおよび/または清浄空気を含み、前記真空遮断バルブ(2)および/または前記少なくとも1つのホルダー(3、4)が前記遮断ガスによって空間的に取り囲まれていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の高圧遮断器(1)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのホルダー(3、4)が、前記真空遮断バルブ(2)をハウジング内に、機械的に安定に配設されるように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の高圧遮断器(1)。
【請求項9】
少なくとも1つのホルダー(3、4)によって支承される少なくとも1つの真空遮断バルブ(2)を備えた請求項1から8のいずれか1項に記載の高圧遮断器(1)の製造方法であって、
前記少なくとも1つの真空遮断バルブ(2)が、前記少なくとも1つのホルダー(3、4)と結合される、
ことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記中間部品(7)の銅部分が前記真空遮断バルブ(2)の接触子の銅と結合され、
前記中間部品(7)のアルミニウム部分が前記ホルダー(3、4)のアルミニウムと結合される、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧遮断器の少なくとも1つのホルダーによって支承された真空遮断バルブを少なくとも1つ備えた高圧遮断器、および、高圧遮断器の製造方法に関する。
【0002】
高圧遮断器は、1200kV以下の電圧範囲で、かつ、数千アンペア以下の電流範囲で電圧を遮断するように形成されている。高圧遮断器は、例えば、支持体上に少なくとも1つの開閉接点を備えたハウジングを含む。このハウジングは、例えば、特に、セラミック、シリコーンおよび/または複合材料からなる絶縁体であり、その絶縁体は、例えば、円筒状の中空体であり、沿面漏れ電流を長く延ばすために、特に、外周に複数の傘状のリブを備えている。碍子形高圧遮断器とは対照的に、タンク形高圧遮断器ではハウジングが接地されており、このハウジングは例えば中空円筒形の金属製タンクからなり、その内部には少なくとも1つの開閉接点が配設されている。
【0003】
その開閉接点は少なくとも2つの接触子、例えば、1つの固定接触子および1つの可動接触子を含み、これらの接触子は、例えば、鋼、アルミニウムおよび/または銅のような導電性材料から成っている。これに代えてまたはこれに加えて、1つの開閉接点が例えば少なくとも2つの可動接触子を含むことができる。この場合、2つの可動接触子を有する実施例は、本発明における1つの固定接触子および1つの可動接触子に類似しており、簡略化のために以降ではこれ以上は説明しない。開閉接点のこれらの接触子は、高圧遮断器内に配設されるか、または、複数のホルダーによって支承され、特に移動可能に、もしくは、固定して支承されており、ハウジングによって特に気密に封止されている。
【0004】
ハウジングは絶縁ガスまたは遮断ガス、特にSFおよび/または清浄空気で満たされている。開閉接点には、例えば、定格電流接触子および/またはアーク接触子が含まれており、遮断ガスにより高圧遮断器の特定の装置から、例えば、駆動装置および周辺部から、電気的に絶縁される。SFのような遮断ガスは気象に有害であり、および/または、毒性成分を含む可能性がある。遮断ガスが高圧遮断器から漏れるのを防ぐためには、ハウジングの気密で永続的なシールが必要であり、それは複雑で高価であり、コストがかかる。高圧遮断器の寿命の終わりにおける特に遮断ガスの環境に優しい廃棄処理も複雑でコスト高である。環境に優しい代案は、上述した典型的なハウジング内で真空バルブを使用することである。
【0005】
上述のような典型的なハウジングを使用することにより、電力系統内の高圧遮断機の簡単でコスト効率の良い交換、および、特に多数の高圧遮断器の簡単でコスト効率の良い製造が可能となる。例えばSFのような環境に有害な遮断ガスを環境にやさしい遮断ガスで、例えば、清浄空気、すなわち、乾燥され浄化された空気で、置き換えるためには、典型的なハウジングにおいて必要な絶縁距離を保持するために、定格電流系およびアーク放電接点系を真空遮断バルブに置き換える必要がある。
【0006】
真空遮断バルブは、ハウジングの内部で少なくとも2つの外部電気接続部の間に、機械的に安定に、電気を電導するように配設され、接続されている。この場合、この電気接続部は、例えば、高圧ケーブル、発電者および/または電力使用者の接続のための接続端子の形態で形成されている。
【0007】
高圧遮断器用の真空遮断バルブの構造は、例えば特許文献1で知られている。その真空遮断バルブは、円形で直線状の円筒形のハウジングを備え、この円筒の内部は排気されている。このハウジングは、セラミック製または複数のセラミック部品でできた、例えば、直線円筒状の2つの同一の半部分で構成されており、これらの2つの半部分は1つの金属円筒または1つの金属部分を介して、ハウジングの中央部で複数の移行部品と接続されている。これらの移行部品はハウジング内のシールド電極またはシールドとして設計されている。
【0008】
この真空遮断バルブは開閉のために少なくとも1つの電気接点を備え、この電気接点は1つの固定接触子および1つの可動接触子を有する。これらの接触子は真空遮断バルブ内で皿状に構成されており、真空封止されている。これらの接触子は外側に向けてボルトの形状で案内され、各々が、例えば、高圧遮断器の接続端子の形状の外部の電気接続部に接続されている。可動接触子はベローズを介して真空密に、真空遮断バルブ内に移動可能に案内され、支承されている。
【0009】
閉路する時には、可動接触子は、両接触子間の機械的および電気的接触が確立するまで固定接触子に向かって移動する。開路する時には、可動接触子は、両接触子間の電気接触が遮断され、かつ、印加された電圧において電気的フラッシュオーバを回避するのに十分な距離がとれるまで固定接触子から離される。高電圧では両接触子間の距離が大きいことが必要である。真空遮断バルブは、内部で十分な距離を確保できるように、長い形状に作られている。真空遮断バルブのハウジングのセラミック製のまたは複数のセラミック部品で作られた直線状の円筒形の半部分は、例えば、いくつかの部品で構成されており、これらの部品は複数の金属部品を介して複数の移行部と接続されている。これらの移行部は、それぞれ、ハウジング内のシールド電極またはシールドとして製作されている。例えば銅および/または鋼で作られた金属部品を介してのハウジングのセラミック部品の接合は、例えばろう付けによって行われる。
【0010】
真空遮断バルブの複数の接触子の、これら接触子を支承するための特に複数のホルダーへの連結、ひいては、高圧遮断器の駆動装置および/または複数の固定された導電部への連結は、クランプ結合によって行われる。これらのホルダーは、例えば、アルミニウム製および/または鋼製である。アルミニウムは質量が小さく、駆動装置の加速度を少ないエネルギー消費で可動接触子に伝えることができ、さらに、固定接触子を高圧遮断器内で軽量のホルダーで簡単かつ安価に固定することができる。真空遮断バルブの接触子は高い通電性能を目的として、例えば銅で作られている。これらの接触子とそれぞれのホルダーとの結合は、特にアルミニウムと銅部品との間でクランプ結合によって行われる。嵌め合い式のクランプ結合には2つの電気的な接触箇所(Uebergangsstelle)が含まれており、これらが遮断器内の過大な加熱および電気的損失をもたらす。数千アンペアに達する非常に高い電流では、非常に大きい電気的損失が発生する可能性があり、遮断器内の高温が損傷および/または破壊につながる可能性がある。例えばねじ止めにより圧着されるクランプ結合は取り外し可能で、技術的に複雑であり、それが高い故障率と高コストをもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許出願公開第EP0102317A2号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、上述した問題点を解決する高圧遮断器、および、その高圧遮断器の、特に上述した高圧遮断器の製造方法を提供することにある。特にこの課題は、少なくとも1つの真空遮断バルブが機械的に安定して配設され支承されており、閉路状態において電気損失が小さく、特に大電流での発熱が小さい高圧遮断器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、特許請求項1の特徴を有する高圧遮断器により、および/または、高圧遮断器の、特に前述の高圧遮断器の、特許請求項11による製造方法により解決される。本発明による高圧遮断器の有利な形態、および/または、本発明による高圧遮断器の、特に上述した高圧遮断器の製造方法の有利な形態は従属請求項に記載されている。主たる請求項の主題は互いに、および、従属請求項の特徴と組み合わせることができ、ならびに、従属請求項の特徴は相互に組み合わせることができる。
【0014】
本発明による高圧遮断器は少なくとも1つの真空遮断バルブを備え、この真空遮断バルブは高圧遮断器の少なくとも1つのホルダーによって支承されている。この少なくとも1つの真空遮断バルブはこの少なくとも1つのホルダーと分離不能に結合されている。
【0015】
分離可能なまたは再び着脱可能なクランプ結合および/またはねじ結合とは異なり、少なくとも1つの真空遮断バルブと少なくとも1つのホルダーとの分離不能な結合によって、高い機械的安定性および小さい接触抵抗(Uebergangswiderstand)の良好な電流の流れが可能となり、これによって、特に数千アンペアまでの範囲の大電流が流れる場合に、クランプ結合および/またはねじ結合よりも低い温度となり、電気損失はより小さくなり、発熱はより少なくなる。こうして、真空遮断バルブを備えた高圧遮断器の損傷および/または破壊を回避または防止することができる。分離不能な結合は容易かつ安価に実施することができ、その高い機械的安定性はこの高圧遮断器の高い信頼性と共に高い耐久性と耐用寿命につながる。
【0016】
この少なくとも1つの真空遮断バルブは少なくとも1つの固定接触子および少なくとも1つの可動接触子を有することができ、その少なくとも1つの固定接触子の側に少なくとも1つのホルダーを備え、その少なくとも1つの可動接触子の側に少なくとも1つのホルダーを備えている。これに代えてまたはこれに加えて、2つの可動接触子を含むことができる。少なくとも1つの固定接触子および/または少なくとも1つの可動接触子をそれぞれ1つのホルダーと分離不能に結合することにより、上述した利点が実現可能となる。
【0017】
この少なくとも1つの真空遮断バルブは溶接接続によって、特に電子ビーム溶接接続によって、少なくとも1つのホルダーに分離不能に結合することができる。溶接接続、特に電子ビーム溶接接続は、高い機械的安定性を有し、容易にかつ安価に製造することができ、特に大電流において、小さい電気損失と小さい発熱で溶接接続を通る良好な電流の流れを可能にする。
【0018】
この少なくとも1つの真空遮断バルブは少なくとも1つのホルダーにそれぞれ1つの中間部品によって分離不能に結合することができる。この中間部品は、真空遮断バルブの複数の接触子とホルダーとの簡単で、安価で、機械的に安定した結合を、特に小さい接触抵抗で、可能にする。
【0019】
この中間部品は、少なくとも2つの部分、特に、正確に2つの部分、特に、銅で作られた部分およびアルミニウムで作られた部分、を含むことができ、これら2つの部分は特に材料結合的に分離不能に互いに結合されており、特に、爆発圧接および/または圧延接合によって結合されている。上述の特性を有する中間部品により、真空遮断バルブの接触子とホルダーとの機械的に安定した結合が低コストで、特に小さい接触抵抗で可能となる。
【0020】
特に、2つの部分の、特に、アルミニウム部分と銅部分との爆発圧接および/または圧延接合による材料結合的な、高い機械的安定性および小さい電気抵抗を有する中間部品が製造される。
【0021】
この少なくとも1つの真空遮断バルブ、特に、この少なくとも1つの真空遮断バルブの少なくとも1つの固定接触子および少なくとも1つの可動接触子は、各々、特に電子ビーム溶接によって1つの中間部品に結合することができ、および/または、その中間部品は異なる材料の2つの部分を含むことができ、これら2つの部分は爆発圧接および/または圧延接合によって材料結合的に互いに分離不能に結合することができ、および/または、この中間部品は特に電子ビーム溶接によって、各々、少なくとも1つのホルダーに分離不能に結合することができる。このことは上述した利点に結びつき、特に、高い信頼性および耐久性を有する高圧遮断器であって、閉路状態において高圧遮断器を通る電気損失が低く、発熱が少なく、それにより、十分に迅速には外部に放出することができない過剰な熱による高圧遮断器の損傷および/または破壊のリスクが小さい高圧遮断器が得られる。
【0022】
この少なくとも1つの真空遮断バルブは、特に、この少なくとも1つの真空遮断バルブの少なくとも1つの固定接触子および少なくとも1つの可動接触子は、銅製であるかおよび/または銅を含むことができ、および/または、その中間部品は1つの銅部分を含むことができ、この銅部分が真空遮断バルブの銅と分離不能に、特に電子ビーム溶接によって分離不能に結合可能であり、および/または、そのホルダーはそれぞれアルミニウム製であるかおよび/またはアルミニウムを含むことができ、および/または、その中間部品は1つのアルミニウム部分を含むことができ、このアルミニウム部分はホルダーのアルミニウムと分離不能に、特に電子ビーム溶接によって分離不能に結合可能である。アルミニウムと銅との安定な材料結合的な結合は製作するのが難しい。2つの部分、すなわち、アルミニウム部分と銅部分、を有する中間部品は爆発圧接および/または圧延接合によって容易かつ安価に製造することができる。特に、アルミニウムとアルミニウムとの、および、銅と銅との電子ビーム溶接は、例えば爆発圧接および/または圧延接合のような機械的負荷なしに、容易かつ安価に可能である。特に爆発圧接および/または圧延接合によって製造された中間部品を使用することによって、真空遮断バルブおよび/またはホルダーの機械的な負荷および破壊なしに、上述した利点を有する真空遮断バルブとホルダーとの材料結合的な結合が簡単かつ安価に可能である。
【0023】
この高圧遮断器は数kVから1200kVの範囲の電圧を開閉するように構成することができる。上述した利点は、特に、上述した電流および/または電圧範囲を開閉するように構成された高圧遮断器の場合に生じる。
【0024】
この高圧遮断器は遮断ガス、特にSFおよび/または清浄空気を含むことができ、この真空遮断バルブおよび/または少なくとも1つのホルダーは、この遮断ガスによって空間的に取り囲むことができる。その結果、高圧遮断器における真空遮断バルブの安全な動作が可能となり、特に安全上の理由から電流の流れが予定されていない部品に対する良好な電気絶縁が得られる。
【0025】
その少なくとも1つのホルダーは、その真空遮断バルブをハウジング、特に閉鎖された絶縁体ハウジング内に、特に空間的に固定された1つのホルダーによって、および/または、特に駆動装置を介して移動可能に駆動することができる1つのホルダーによって、特に機械的に安定に配設するように構成することができる。このことが高圧遮断器の上述した利点、特に高い信頼性および長い耐用年数につながる。
【0026】
本発明による、高圧遮断器、特に上述の高圧遮断器を製造するための方法には、少なくとも1つのホルダーによって支承される少なくとも1つの真空遮断バルブが含まれており、この場合、この少なくとも1つの真空遮断バルブは特に電子ビーム溶接によって少なくとも1つのホルダーと分離不能に結合される。
【0027】
この少なくとも1つの真空遮断バルブの、特にこの少なくとも1つの真空遮断バルブの特に銅を含んだ少なくとも1つの固定接触子および少なくとも1つの可動接触子はそれぞれ、特に電子ビーム溶接によって、1つの中間部品に結合することができ、および/または、この中間部品は異なる材料の、特に、銅およびアルミニウムの、2つの部分を含むことができ、この場合、この2つの部分は爆発圧接および/または圧延接合によって材料結合的に互いに分離不能に結合することができ、および/または、この中間部品は、特に電子ビーム溶接によって、特にアルミニウムを含む少なくとも1つのホルダーと分離不能に結合することができる。
【0028】
この中間部品の銅部分はそれぞれ真空遮断バルブの接触子の銅と結合することができ、この中間部品のアルミニウム部分はそれぞれホルダーのアルミニウムと結合することができる。
【0029】
請求項11に記載の高圧遮断器の、特に上述した高圧遮断器の、製造方法の利点は、請求項1に記載の高圧遮断器の上述した利点と同様であり、その逆も然りである。
【0030】
以下に本発明の実施例を図1から図3に模式的に示し、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による高圧遮断器1を側面から見た模式断面図であって、真空遮断バルブ2が2つのホルダー3、4で支承されており、真空遮断バルブ2の複数の接触子がそれぞれ複数の中間部品7を介してホルダー3、4に結合された状態を示す。
図2】真空遮断バルブ2の固定接触子とホルダー3との間の中間部品7の断面の拡大模式図。
図3】真空遮断バルブ2の可動接触子とホルダー4との間の中間部品7の断面の拡大模式図であり、このホルダーは固定されたホルダースリーブ6内に可動な接触子ディスク5を有する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本発明による高圧遮断器1の一部を側面から見た模式的断面図である。この高圧遮断器1は、2つのホルダー3および4を備えた1つの真空遮断バルブ2を含む。この真空遮断バルブ2は35kVの、および/または、145kVまでの開閉用に構成されている。簡略化のために、真空遮断バルブ2の個々の要素または部品は図面に詳細には示されていない。この真空遮断バルブ2は例えば円筒形であり、複数の導電性接触子、特に、例えば銅製の、1つの可動接触子および1つの固定接触子を備え、それらの端部がセラミック製の真空にされた中空絶縁体から突き出ており、この場合、中空絶縁体の可動接触子の側は金属ベローズによって気密封止されており、固定接触子の側は固定された金属ディスクまたは固定された金属蓋によって気密封止されている。この真空遮断バルブは、例えばシールド電極のような他の複数の要素または部品を含むが、これらについては以下では詳しくは説明しない。
【0033】
図1で真空遮断バルブ2の左側の一端を形成している固定接触子の端部は、空間的に固定されたホルダー3と導電的に結合されている。図2に、この結合部が拡大表示されている。この固定されたホルダー3は、例えば中空パイプ状に形成されており、一方の端に外側に向けて案内された固定フランジがあり、他方の端に複数の通気用貫通口を有する内側の固定プレートないし固定ディスクがある。このホルダー3は、例えばアルミニウム製である。真空遮断バルブ2と、すなわち、特に銅製の接触子と特にアルミニウム製のホルダー3との間の機械的に安定で良好な導電性の結合は、典型的な、特に嵌め合い式のクランプ結合を使用して確立することは困難である。本発明によれば、真空遮断バルブ2とホルダー3の接触子との機械的に安定で良好な導電性の結合が、永久的な、すなわち、分離不能な結合によって確立される。
【0034】
この文脈において分離不能とは、永久的な材料破壊なしに繰り返し着脱可能なねじ結合および/またはクランプ結合とは異なり、材料破壊せずにはその結合が解除されないことを意味する。真空遮断バルブ2の接触子とホルダー3との材料結合式の、良好な導電性の結合は中間部品7を介して行われ、この中間部品は例えば、爆発圧接および/または圧延接合によって作られている。この場合、特に2つの円筒形ディスクが爆発圧接および/または圧延接合によって結合されており、一方は真空遮断バルブ2の銅製接触子の直径を有し、ホルダー3の側は、複数の通気貫通口を有する内側の固定プレートまたは固定ディスクの出張り部と特に同一の直径を有している。一方のディスクは例えば銅製で、一方のディスクは例えばアルミニウム製である。従って、これら2つのディスクが結合された中間部品7は、片側が第1の材料8、特に銅製であり、片側が第2の材料9、特にアルミニウム製である。従って、この中間部品7は異なる材料、特に銅とアルミニウム、の2つの部分8および9を有し、それらは爆発圧接および/または圧延接合によって、機械的に安定で、良好な導電性で、分離不能に互いに結合されている。
【0035】
その第1の材料8の側、すなわち、特に銅製の部分は、例えば電子ビーム溶接により、真空遮断バルブ2の固定接触子と、機械的に安定で、良好な導電性で、分離不能に結合されている。その第2の材料9の側、すなわち、特にアルミニウム製の部分は、例えば電子ビーム溶接により、ホルダー3と、機械的に安定で、良好な導電性で、分離不能に結合されている。これらの溶接接続10、特に電子ビーム溶接接続は、機械的に強く、安定で、永久的であり、すなわち分離不能であり、接触抵抗が小さい、すなわち、良好な導電性を有する。その結果、真空遮断バルブ2の固定接触子は固定ホルダー3と機械的に固定され、安定で、永久的に、すなわち、分離不能に、さらに、良好な導電性を有して結合されており、特に数千アンペアの領域の大電流において高圧遮断器1の破損および/または故障につながりかねない結合部での大量の発熱ないし大きな温度上昇が避けられる。
【0036】
図3に、真空遮断バルブ2の可動接触子の一端がホルダー4と共に示されている。このホルダー4は中空パイプ状の空間的に固定されたホルダースリーブ6を有しており、一方の側には外側に向けて引き出された特にフランジがあり、他方の側は、真空遮断バルブがこの中空パイプに嵌め込んで差し込まれ、例えばシールで気密封止され、可動接触子の端部がこの中空パイプ内に突き出ている。ホルダー3の側では、例えば図1および図2の拡大図に示すように、同様に、真空遮断バルブ2の固定接触子の端部が中空パイプ状のホルダー3内に突き出て、この中空パイプに嵌め込まれて差し込まれ、例えばシールで気密封止されている。図3では、真空遮断バルブ2が嵌め込まれたホルダー4が拡大表示されている。この場合、ホルダー4はホルダースリーブ6に加えて可動な接触媒体5、特に、接触ディスクまたは内部接触スリーブを備えており、この接触媒体は空間的に固定されたホルダースリーブ6内で移動可能に支承されており、特に駆動ロッドを介して例えば駆動装置に連結されている。このことは、簡略化のために図面には示されていない。この可動な接触媒体5は、開閉時に駆動装置を介して駆動することができ、特に移動時には固定されたホルダースリーブ6内を嵌め合い式に摺動する。こうして、このホルダー4は駆動装置を介して移動可能に駆動することができ、すなわち、この可動な接触媒体5は開閉時に、固定されたホルダースリーブ6内で特にその駆動装置を介して移動することができる。
【0037】
図1で真空遮断バルブ2の右側の一端を形成している可動接触子の端部はホルダー4と、特に可動接触媒体5と、導電的に結合されている。図3に、その結合部が拡大表示されている。このホルダー4は、例えばアルミニウム製である、すなわち、固定されたホルダースリーブ6および/または可動接触媒体5はアルミニウム製である。真空遮断バルブ2、すなわち、特に銅製の可動接触子と、ホルダ4、すなわち、特にアルミニウム製の可動接点手段5との間の機械的に安定で、良好な導電性の結合は、典型的な、特に嵌め合い式のクランプ結合を使用して確立することは困難である。本発明によれば、真空遮断バルブ2の接触子とホルダー4、特に可動接触媒体5との機械的に安定で、材料結合による、良好な導電性の結合が、永久的な、すなわち、分離不能な結合によって確立される。
【0038】
この文脈において、分離不能ということは、前述と同様に、かつ、以下において用いられるように、永久的な材料破壊なしに繰り返し着脱可能なねじ結合および/またはクランプ結合とは異なり、材料破壊せずにはその結合が解除されないことを意味する。真空遮断バルブ2の接触子とホルダー4との、特に可動接触媒体5との材料結合による良好な導電性の結合は中間部品7を介して行われ、これは例えば爆発圧接および/または圧延接合によって得られる。この場合、特に2つの円筒状のディスクが爆発圧接および/または圧延接合によって結合されており、特に、一方は真空遮断バルブ2の銅製接触子の直径を有し、可動接触媒体5の、特に接触ディスクまたは内側の接触スリーブの、出張り部と特に同一の直径を有している。中間部品7の1つのディスクは例えば銅製であり、中間部品7の1つのディスクは例えばアルミニウム製である。従って、2つのディスクが結合された中間部品7は、片側が第1の材料8、特に銅製であり、片側が第2の材料9、特にアルミニウム製である。このように、この中間部品7は、ホルダー3の中間部品7について前述したように、異なる材料、特に銅およびアルミニウム、の2つの部分8および9を有し、この2つの部分が例えば爆発圧接および/または圧延接合によって、機械的に安定で、良好に導電性で、分離不能に互いに結合されている。
【0039】
第1の材料8の側、すなわち、特に銅製の部分は例えば電子ビーム溶接により真空遮断バルブ2の可動接触子と、機械的に安定で、良好な導電性で、分離不能に結合されている。第2の材料9の側、すなわち、特にアルミニウム製の部分は例えば電子ビーム溶接によりホルダー4と、機械的に安定で、良好な導電性で、分離不能に結合されている。これらの溶接接続10、特に電子ビーム溶接接続は、機械的に強く、安定で、永久的であり、すなわち分離不能であり、接触抵抗が小さく、すなわち、良好な導電性を有する。その結果、真空遮断バルブ2の可動接触子は固定ホルダー4と、特に可動接触媒体5と、機械的に固定され、安定で、永久的に、すなわち、分離不能に、さらに、良好な導電性を有して結合されており、特に数千アンペアの範囲の大電流において、高圧遮断器1の破損および/または故障につながりかねない結合部での大量の発熱ないし大きな温度上昇が避けられる。
【0040】
真空遮断バルブ2と、特にこの真空遮断バルブ2の、例えば銅製であるかおよび/または銅を含む、固定接触子および可動接触子と、それぞれの例えば銅部分を含む中間部品7とは分離不能に、特に同一材料の部分を介して特に電子ビーム溶接によって分離不能に結合されている。アルミニウム製のおよび/またはアルミニウムを含むホルダー2および3はそれぞれ、アルミニウム部分を含むそれぞれの中間部品7と分離不能に、特に同一材料の部分を介して特に電子ビーム溶接によって分離不能に結合されている。それぞれの中間部品7の部分8および9は、特に、爆発圧接および/または圧延接合により、特に異種材料の複数の部分を互いに結合することによって、互いに分離不能に結合されている。このようにして、真空遮断バルブ2と、特に真空遮断バルブ2の固定接触子および可動接触子と、それぞれのホルダー3、4との間に、それぞれの中間部品7を介して良好な電気的特性を有し、すなわち、低い電気抵抗で高い電導度を有する、分離不能な結合が確立される。閉路状態において高圧遮断器1を通る良好な電気伝導により、特に結合点での過度の加熱のリスク、および、過度の発熱による損傷および/または破壊のリスクが最小化される。開閉時のまたは開閉動作による大きい機械力は、ホルダー3および4と真空遮断バルブ2との分離不能で機械的に強固で安定した機械的結合によって補償され、高圧遮断器1の破壊に至らない。
【0041】
上述の複数の実施例は互いに組み合わせることができ、および/または、従来技術と組み合わせることができる。例えば、この高圧遮断器1はハウジングを有しており、このハウジングは簡単のために図面には示されていないが、このハウジングは遮断ガス、特にSFおよび/または清浄空気で満たされている。このハウジングは、セラミック、シリコーンおよび/または複合材料からなる例えば特に気密封止された中空絶縁体であり、特に、沿面漏れ電流を低減するための複数のリブを外周部に備えている。または、このハウジングは、例えば気密封止された金属タンクであり、このタンクは電気的にアースされている。高圧遮断器1を電力系統、特に発電者および/または電力消費者および/または電力ケーブルに電気的に接続するために、複数のホルダーにより例えばハウジングから外部への複数の接続端子が案内されている。この高圧遮断器1は、例えば、さらに高圧遮断器1を例えば基礎上に配置するための支持部を有している。 さらに、この高圧遮断器は開閉時に可動接触子を駆動するために、例えば駆動装置、特にバネ式駆動装置、および、運動機構の要素、例えばギア、および、少なくとも1つの駆動ロッドを有している。
【0042】
この高圧遮断器1は1つの可動接触子および1つの固定接触子を備えているが、これに代えてまたはこれに加えて、さらなる複数の接触子を含むことができ、および/または、少なくとも2つの可動接触子を含むことができる。これらの接触子は銅製である。これに代えてまたはこれに加えて、他の材料、例えば鋼および/またはアルミニウムを含むことができ、さらに、中間部品7は面8の側に例えば同様に鋼および/またはアルミニウムの第1の材料を含むことができる。ホルダーはアルミ製である。これに代えてまたはこれに加えて、鋼および/または銅のような他の材料を含むことができ、中間部品7は面9の側に第2の材料を含むことができ、これは例えば同様に鋼および/または銅である。真空遮断バルブ2とホルダー3、4の2つの異なる材料は、特に2つの円形ディスクからなる中間部品7を介して互いに分離不能に結合されている。これに代えてまたはこれに加えて、他の形状、例えば正方形の断面を有するシリンダーおよび/または中空体、を選択することができる。中間部品7の2つの材料は、明確に規定された分離部分と共に結合することができ、および/または、例えば熱処理によって、例えば、これらの材料がそれぞれ他の材料内に材料拡散することにより、互いに連続的に移行することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 高圧遮断器
2 真空遮断バルブ
3 固定接触子側ホルダー
4 可動接触子側ホルダー
5 可動接触媒体、特に接触ディスク
6 ホルダースリーブ
7 中間部品
8 第1の材料側
9 第2の材料側
10 溶接接続
図1
図2
図3