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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】摩擦部品
(51)【国際特許分類】
   F16D 13/62 20060101AFI20241209BHJP
   F16D 65/12 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
F16D13/62 A
F16D65/12 S
F16D65/12 J
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023515553
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-20
(86)【国際出願番号】 DE2021100667
(87)【国際公開番号】W WO2022053099
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】102020123412.0
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ベアンハート
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014208732(DE,A1)
【文献】特開2012-072892(JP,A)
【文献】特表2018-536813(JP,A)
【文献】実開昭59-169443(JP,U)
【文献】特表2003-526054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 13/62
F16D 65/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩擦部品(101、21、22、31、41)であって、少なくとも1つの摩擦面(103)を有する円環ディスク状摩擦体(102)を有し、かつ前記摩擦部品(101、21、22、31、41)への回転方向に固定された接続を生じさせるために使用されるカップリング体(104)を有し、前記摩擦部品(101、21、22、31、41)が、つの弱化領域(43~46)であって、前記摩擦部品(111、112、31、46)の剛性が、前記弱化領域(43~46)に円周方向に隣接する2つの摩擦部品区画(54~57)の間の補正運動が促進されるように制御された様式で、円周方向で低減される、つの弱化領域(43~46)を備え、前記カップリング体(104)が内歯(106、107)を有し、前記つの弱化領域(43~46)は円周方向に均等に分配され、円周方向においてそれぞれ凹形状の外側歯(106)と重なる位置に形成されることを特徴とする、摩擦部品(101、21、22、31、41)。
【請求項2】
前記摩擦体(102)が、単一ピースとして前記カップリング体(104)に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の摩擦部品。
【請求項3】
前記摩擦体(102)が、キャリア要素(108、109)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1~2のいずれか一項に記載の摩擦部品。
【請求項4】
前記円環ディスク状摩擦体(102)が、前記摩擦部品(101、21、22、31、41)の径方向内側周縁部(17)から外向きに延びる少なくとも1つの凹部(113、115、23、26、32、33)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の摩擦部品。
【請求項5】
前記円環ディスク状摩擦体(102)が、前記摩擦部品(101、21、22、31、41)の径方向外側周縁部(18)から内向きに延びる少なくとも1つの凹部(114、116、24、27、32、33)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の摩擦部品。
【請求項6】
2つの凹部(113、114、115、116)が、共通の径方向線上に配置されており、かつ互いに向き合っていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の摩擦部品。
【請求項7】
前記円環ディスク状摩擦体(102)が、摩擦ライニングピース(34、38、54~57)に分割されており、前記摩擦ライニングピース(34、38、54~57)が各々、カップリング体部品(39、40)に単一ピースとして接続されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の摩擦部品。
【請求項8】
前記摩擦ライニングピース(34、38、54~57)が各々、カップリング領域を生じさせるために、2つの歯面(29、30)のみを有することを特徴とする、請求項7に記載の摩擦部品。
【請求項9】
2つの隣接する摩擦ライニングピース(54~57)が、たわみジョイント(110、19)又はたわみビーム(25、28)によって互いに接続されていることを特徴とする、請求項7又は8に記載の摩擦部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの摩擦面を有する円環ディスク状摩擦体を伴い、かつ摩擦部品への回転方向に固定された接続を生じさせるために使用されるカップリング体を伴う摩擦部品に関する。
【背景技術】
【0002】
クラッチ又はブレーキでの使用のための摩擦部品は、ウェット及びドライの両方の用途の様々な実施形態で知られている。例えば、自動車のパワートレインでの使用のためのウェット摩擦クラッチモジュール用の摩擦プレートは、欧州特許第EP1910704B1号から知られている。ドイツ特許出願第DE102011086523A1号から、摩擦体キャリアに接続することができる摩擦体が知られている。ドイツ特許出願第DE102016203048A1号から、ウェット摩擦ライニング材料から形成される、少なくとも1つのウェット摩擦ライニング用のライニングキャリアが知られており、ライニングキャリアは、ドライ摩擦ライニング材料を含む。ドイツ特許出願第DE102018124338A1号から、少なくとも1つの摩擦面を有する摩擦体を伴う摩擦ディスクが知られており、摩擦体は、カップリング体に、ぴったり合う様式で結合されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、少なくとも1つの摩擦面を有する円環ディスク状摩擦体を伴い、かつ摩擦部品への回転方向に固定された接続を生じさせるために使用されるカップリング体を伴う摩擦部品の生産及び/又は機能性を簡素化又は向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
目的は、少なくとも1つの摩擦面を有する円環ディスク状摩擦体を伴い、かつ摩擦部品への回転方向に固定された接続を生じさせるために使用されるカップリング体を伴う摩擦部品によって達成され、摩擦部品は、摩擦部品の剛性が、弱化領域に隣接する2つの摩擦部品区画の間の円周方向の補正運動が促進されるように制御された様式で、円周方向で低減される少なくとも1つの弱化領域を備える。摩擦部品は、好ましくは摩擦ディスク、特にクラッチディスク又はブレーキディスクである。カップリング体は、好ましくは、摩擦部品上に形成されている歯部、例えば内歯部又は外歯部である。カップリング体、特に歯部は、円環ディスク状摩擦体に径方向内側又は径方向外側に形成することができる。円環ディスク状摩擦体は、キャリア要素、例えばキャリアプレートに取り付けることができる。従来の摩擦ディスクの場合、カップリング体、特に歯部は、通常、キャリア要素上に形成されている。特許請求される摩擦部品の場合、カップリング体、特に歯部は、円環ディスク状摩擦体及びキャリア要素の両方上に形成することができる。摩擦部品の一実施形態では、摩擦部品は、キャリア要素なしで設計されている。好ましい例示的な実施形態では、カップリング体は、特に単一ピースとして、円環ディスク状摩擦体に一体的に接続されている。摩擦部品の弱化領域は、所望の補正運動を容易にするために、好ましくは、たわみビーム又はたわみジョイントを生じさせる。この目的のために、摩擦部品のリング構造は、径方向で部分的に分離又は中断される。このようにして、摩擦部品の接線方向の剛性を、制御された様式で低減させることができる。接線方向におけるライニング構造の剛性の低減は、摩擦部品が円環ディスク状摩擦体又はセグメントに分割されるまで進行する可能性がある。トルクが伝達されるとき、補正運動は、摩擦部品への、又は摩擦部品からの、例えば回転方向に固定された様式で摩擦部品に接続されているディスクキャリアへの、力の、定義された導入を容易にする。
【0005】
摩擦部品の好ましい例示的な実施形態は、摩擦体が単一ピースとしてカップリング体に接続されていることを特徴とする。このようにして、摩擦部品の重量及び質量慣性を低減することができる。加えて、キャリア要素、特にキャリアプレートを省略することができるので、生産コストを削減することができる。更に、摩擦部品の組み立てが簡素化される。摩擦部品が有機材料から形成される場合、特に有利な様式で、さもなければ必要とされるあらゆる後処理を省略することができる。
【0006】
摩擦部品の別の好ましい実施形態は、摩擦部品がキャリア要素に取り付けられていることを特徴とする。キャリア要素は、例えば、キャリアプレートである。摩擦体がカップリング体に単一ピースとして接続されている場合、キャリア要素、特にキャリアプレートは、特に歯部のない円環ディスクとして簡単に設計することができる。しかしながら、設計に応じて、キャリア要素は、歯部を伴って設計することもできる。摩擦体は、例えば、接合された様式でキャリア要素に接続される。接合された接続は、上述の補正運動を可能にするために、摩擦体とキャリア要素との間の相対運動が促進されるように、非常に弾性的であるように特に設計することができる。しかしながら、設計に応じて、キャリア要素はまた、摩擦体と同じ又は同様の弱化領域を伴うように設計することもできる。
【0007】
摩擦部品の更なる好ましい例示的な実施形態は、円環ディスク状摩擦体が、摩擦部品の径方向内側周縁部から外向きに延びる少なくとも1つの凹部を含むことを特徴とする。例えば、円環ディスク状摩擦体の溝又はスロットとして具体化される凹部は、好ましくは、摩擦部品の径方向内側周縁部から径方向外向きに延びる。設計に応じて、凹部はまた、径方向線に対して斜めに延びることもできる。
【0008】
摩擦部品の更なる好ましい例示的な実施形態は、円環ディスク状摩擦体が、摩擦部品の径方向外側周縁部から内向きに延びる少なくとも1つの凹部を含むことを特徴とする。例えば、円環ディスク状摩擦体の溝又はスロットとして設計される凹部は、好ましくは、径方向内向きに延びる。しかしながら、凹部はまた、径方向線に対して斜めに延びることもできる。
【0009】
摩擦部品の別の好ましい実施形態は、2つの凹部が、共通の径方向線上に配置されており、互いに向き合っていることを特徴とする。凹部間の残りのブリッジは、好ましくは、円周方向に隣接する摩擦ライニング区画の間のたわみジョイントを生じさせる。このようにして、所望の補正運動を、製造上の労力をほとんどかけることなく促進することができる。
【0010】
摩擦部品の更なる好ましい例示的な実施形態は、2つの凹部が円周方向にオフセットされており、径方向に重なる様式で配置されていることを特徴とする。凹部間の残りのブリッジは、周方向に隣接する摩擦部品区画の間の所望の補正運動を促進するたわみビームを生じさせる。凹部は、製造技術の点で、生成することが容易である。
【0011】
少なくとも1つの摩擦面を有する円環ディスク状摩擦体を伴い、かつ摩擦部品への回転方向に固定された接続を生じさせるために使用されるカップリング体を伴う摩擦部品の場合、特に、上記の摩擦部品の場合、上記目的は、代替的又は付加的に、円環ディスク状摩擦体が摩擦ライニングピースに分割され、これらの摩擦ライニングピースが各々、単一ピースとしてカップリング体部品に接続されていることにおいて達成される。摩擦部品は、好ましくは、少なくとも2つの摩擦ライニングピースを備える。カップリング体部品は、例えば、ディスクキャリアへの回転方向に固定された接続を生じさせるための歯部の少なくとも1つの歯である。歯部は、好ましくは、摩擦部品の外歯として設計されている。これは、摩擦ライニングピースが、例えば対応する相補的な様式で設計されているディスクキャリアに取り付けられる場合、個々の摩擦ライニングピースの間の接続が不要になるという利点を提供する。このようにして、所望の補正運動を容易な様式で実施することができる。しかしながら、設計に応じて、摩擦ライニングピースを部分的に相互に接続することもできる。この接続は、単一ピースとして行うことができる。しかしながら、摩擦ライニングピースは、キャリアプレートなどのキャリア要素に取り付けることもできる。摩擦ライニングピースは、好ましくは、円環セクタ又はセグメントの形態である。
【0012】
摩擦部品の更なる好ましい例示的な実施形態は、結合領域を生じさせるために、摩擦ライニングピースが各々、2つの歯面のみ有することを特徴とする。歯面は、結合領域に歯部の一部を生じさせる。歯面は、摩擦ライニングピースごとに1つの歯上に形成することができる。摩擦部品の動作中、2つの歯面は、ディスクキャリアの対応する歯部にぴったり合う様式で係合する。歯面は、カップリング体の中央だけでなく、接線方向の端面にも設けることができる。
【0013】
摩擦部品の更なる好ましい例示的な実施形態は、2つの隣接する摩擦ライニングピースが、たわみジョイント又はたわみビームによって互いに接続されていることを特徴とする。これは、摩擦ライニングピースが互いに接続されたままであるという利点を提供する。これにより、組み立て時の摩擦部品の取り扱いが容易になる。
【0014】
本発明は、上述の少なくとも1つの摩擦部品、好ましくは複数のそのような摩擦部品を伴う、クラッチ又はブレーキ、特にマルチディスククラッチ又はマルチディスクブレーキに更に関する。クラッチ又はブレーキは、好ましくは空運転である。上述の例示的な実施形態のうちの少なくとも2つはまた、クラッチ又はブレーキに組み合わせることもできる。例えば、リング構造を少なくとも2つの要素に分割し、次いで、それらをジョイント又はたわみビームによって接続して、柔軟性を高めることができる。
【0015】
本発明の更なる利点、特徴、及び詳細は、様々な例示的な実施形態が図面を参照して詳細に説明される以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ウェットマルチディスククラッチとして設計された摩擦作動装置の半断面の概略図を示す。
図2】第1の例示的な実施形態による、2つの弱化領域を備える摩擦部品の平面図での概略図を示す。
図3】更なる例示的な実施形態による、図2と同様の図を示す。
図4】更なる例示的な実施形態による、図2と同様の図を示す。
図5】2つの更なる例示的な実施形態による、摩擦ライニングピースを平面図で示す。
図6】2つの更なる例示的な実施形態による、摩擦ライニングピースを平面図で示す。
図7】更なる例示的な実施形態による、図1と同様の摩擦部品の様々な図を示し、特に、摩擦部品でのジョイント機能、及び結果として促進される楕円化を例解する。
図8】更なる例示的な実施形態による、図1と同様の摩擦部品の様々な図を示し、特に、摩擦部品でのジョイント機能、及び結果として促進される楕円化を例解する。
図9】更なる例示的な実施形態による、図1と同様の摩擦部品の様々な図を示し、特に、摩擦部品でのジョイント機能、及び結果として促進される楕円化を例解する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1では、ウェットマルチディスククラッチ1として設計された摩擦作動装置の半断面が概略的に示されている。ウェットマルチディスククラッチ1は、内側ディスクキャリア2及び外側ディスクキャリア3を含む。2つのディスクキャリア2、3を、矢印5、6によって示される異なる回転速度で、互いに独立して、回転軸4を中心に互いに対して回転させることができる。
【0018】
ウェットマルチディスククラッチ1のディスクパックは、スチールディスク7及び並んだディスク8を含む。並んだディスク8は、各々、結合領域10の内側で径方向に、回転方向に固定された様式で、内側ディスクキャリア2に接続されるライニングキャリア9を含む。ブレーキパッドキャリア9の結合領域10は、例えば、内側ディスクキャリア2の相補的な外歯部と噛み合う内歯部として設計されている。同様に、スチールディスク7は、外側で径方向に、回転方向に固定された様式で、外側ディスクキャリア3に接続されている。
【0019】
摩擦ライニング11、12は、ライニングキャリア9の両側、すなわち図1において左右に取り付けられている。ウェットマルチディスククラッチ1の設計及び機能は、それ自体既知であるため、ここではこれ以上説明しない。矢印13は、ウェットディスククラッチ1のディスクパックに、内側ディスクキャリア2を通って径方向で内側に入る冷却及び/又は潤滑媒体を示す。矢印14は、冷却媒体及び/又は潤滑媒体が外側ディスクキャリア3から径方向で外側に出ることを示す。
【0020】
冷却媒体及び/又は潤滑媒体は、主にウェットマルチディスククラッチ1の冷却に使用される。ライニングキャリア9及び2つの摩擦ライニング11、12を伴うライニングディスク8は、摩擦部品15とも称される。摩擦部品15は、スチールディスク7に面する図1の右側に示される摩擦面16を有する。
【0021】
摩擦面16は、径方向に内側で、内側半径riによって区切られている。摩擦面16は、径方向に外側で、外側半径raによって区切られている。図1の左側において、摩擦部品15は、隣接するスチールディスクに面する、更なる詳細は示されていない更なる摩擦面を含む。トルク伝達のために、摩擦部品15は、その円環ディスク状摩擦面16により、いずれの場合にも2つの隣接するスチールディスク7の間に挟持されることができる。
【0022】
図1に示すウェットマルチディスククラッチ1は、図示のものとは対照的に、空運転するように設計することもできる。マルチディスククラッチ1の動作中、プレートは、軸方向に接触圧力を受ける。並んだディスクとスチールディスクとの間のトライボロジー接触では、摩擦によってトルクが伝達される。トルクは、駆動歯を介して内側ディスクキャリア2又は外側ディスクキャリア3に導入される。
【0023】
図1~9は、摩擦部品101、21、22、31、及び41の様々な実施形態を示し、各々、平面図で示され、部分的に切り取られている。摩擦部品101、21、22、31、及び41は、摩擦体102及びカップリング体104を含む。摩擦体102は、本質的に円環ディスクの形状を有する。摩擦面103は、本質的に円環ディスクの形状を有する。
【0024】
カップリング体104は、歯部105として設計されている。歯部105は、外歯として設計された、摩擦部品101、21、22、31、及び41上に示されている。例として示される歯部105の部分は、内歯106及び内歯107と称される。歯部105は、マルチディスククラッチの外側ディスクキャリア(図1の3)への回転方向に固定された接続のために使用される。
【0025】
同一又は類似の部品を示すために、図2図9で同じ参照記号が使用されている。様々な例示的な実施形態間の類似点は、一度だけ説明される。
【0026】
図2では、摩擦体102をキャリア要素108、109上に取り付けられ得ることを示す。キャリア要素108、109は、例えばキャリアプレートである。キャリアプレートは、摩擦体102と同じ内径を有することができる。キャリアプレートはまた、摩擦体102と同じ外径を有することができる。しかしながら、キャリアプレートはまた、摩擦体102よりも小さい外径を有することができる。
【0027】
カップリング体104又は歯部105は、単一ピースとして摩擦体102に接続されている。
【0028】
摩擦部品1上の2つの弱化領域111、112が図2に示されている。弱化領域111、112では、摩擦部品101、特に摩擦体102の剛性が、制御された様式で円周方向で低減される。
【0029】
2つのスロット状又は溝状の凹部113、114を使用して、弱化領域111を生じさせる。凹部113、114は、それぞれ、内側周縁17又は外側周縁18から径方向に互いに向かって延びる。凹部113、114間の残りの距離又はブリッジは、たわみジョイント110を生じさせる。
【0030】
弱化領域112は、同様の凹部115、116を含む。弱化領域111、112間の主な相違は、図2の凹部114が、外側周縁18から直接径方向内向きに延びるのではなく、内歯106の歯根から延びることである。
【0031】
弱化領域112を使用して、摩擦体2上にたわみジョイント19を生じさせる。たわみジョイント110、19は、摩擦部品区画又は摩擦ライニングピース54、55と55、56との間の単一ピース接続を生じさせる。摩擦部品区画又は摩擦ライニングピース54、55と55、56との間の所望の補正運動は、たわみジョイント110、19によって促進される。
【0032】
図3は、図2のように、摩擦体102に弱化領域111を生じさせるために使用される、同様の凹部23、24及び26、27を伴う摩擦部品21、22の2つの区画を示す。
【0033】
凹部23、24、26、27は、円周方向に互いにオフセットされており、径方向に重なっている。これにより、2つの隣接する摩擦部品区画又は摩擦ライニングピース54、55の間のたわみビーム25、28が得られる。摩擦部品区画又は摩擦ライニングピース54、55の間の所望の補正運動は、たわみビーム25、28の形状及びサイズによって、制御された様式で調整することができる。
【0034】
図4に示される摩擦部品31の場合、摩擦ライニングピース34は、2つの凹部32、33によって区切られている。凹部32、33は、例えば径方向に延びるスリットとして設計される。これにより、セグメントとも称される円環扇形状摩擦ライニングピースが得られる。内径riは矢印で示されている。摩擦部品31の外径raは、更なる矢印で示されている。
【0035】
図4では、凹部32、33の間、かつ内歯部106、107の間の直角が提供される。例えば、摩擦係数、内側半径又は外側半径に関連する他の境界条件の下では、他の角度も有利となり得る。
【0036】
図5は、動作中に作用する力を例解するために、矢印35、36、37と共に摩擦ライニングピース34のみを示す。カップリング体104は、円周方向に2つの歯面29、30によって区切られている。トルク伝達のための力35が歯面30に作用する。矢印36は、外側ディスクキャリア(図1の3)内で摩擦ライニングピース34を径方向で支持するのに役立つ支持力を例解する。矢印37は、動作中に作用する摩擦力を例解する。力35は、図5では単に接線方向に作用する。
【0037】
歯面29、30の間の領域は、カップリング体104上のカップリング体部品39を生じさせる。図6は、カップリング体102のカップリング体部品40が、2つの歯面29、30によって区切られている内歯106を備えることもできることを示している。図6では、摩擦ライニングピース38上で、カップリング体102がまた、2つの歯面29、30によって制限される内歯106を備えることもできることが示されている。
【0038】
摩擦部品41の補正運動は、図7~9に例解されている。摩擦部品41は、矢印で示されており、Ft、FN、及びFRは、接線力、法線力、及び径方向力である。参照符号42は、カップリング体104を生じさせる歯部の歯面のフランク角を示す。摩擦部品41は、円周方向に均等に分配された合計4つの弱化領域43~46を備える。弱化領域43~46は、摩擦体102を伴う摩擦部品41を合計4つの摩擦部品区画又は摩擦ライニングピース54~57に分割する。
【0039】
図7は、摩擦部品41上の歯部105の望ましくないピッチ誤差が、2つの歯面65、66のみに荷重を負荷させる結果となる可能性があることを例解する。伝達されるトルクは、接線力Ftを介して歯面65、66上で支持される。フランク角42は、径方向力FR.をもたらす。径方向力FRは、図8の矢印61及び62によって示されるように、いわばリング形状である摩擦体102の楕円化をもたらす。弱化領域43、44は、所望の補正運動を促進する。摩擦ライニングピース54の新しい位置は、点線によって63で示されている。
【0040】
図9の矢印51は、荷重負担歯面が径方向内向きに移動することを示している。フランク角(図7の42)と組み合わされた径方向の変形は、図9の矢印52によって示される接線方向の動きを容易にする。これにより生じる摩擦部品41の回転により、荷重負担のない歯の好ましくない歯部遊びを低減することができる。楕円化により歯部遊びが低減されるように、荷重負荷のない歯が外向きに移動する。このようにして、トルクの伝達のための力の導入は、好ましくは歯部105の全ての歯の均等な負荷まで均一化することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ウェットマルチディスククラッチ
2 内側ディスクキャリア
3 外側ディスクキャリア
4 回転軸
5 回転速度
6 回転速度
7 スチールディスク
8 並んだディスク
9 ライニングキャリア
10 結合領域
11 摩擦ライニング
12 摩擦ライニング
13 矢印
14 矢印
15 摩擦部品
16 摩擦面
17 内側周縁部
18 外側周縁部
19 たわみジョイント
21 摩擦部品
22 摩擦部品
23 凹部
24 凹部
25 たわみビーム
26 凹部
27 凹部
28 たわみビーム
29 歯面
30 歯面
31 摩擦部品
32 凹部
33 凹部
34 摩擦ライニングピース
35 矢印
36 矢印
37 矢印
38 摩擦ライニングピース
39 カップリング体部品
40 カップリング体部品
41 摩擦部品
42 フランク角
43 弱化領域
44 弱化領域
45 弱化領域
46 弱化領域
51 矢印
52 矢印
54 摩擦部品区画、摩擦ライニングピース
55 摩擦部品区画、摩擦ライニングピース
56 摩擦部品区画、摩擦ライニングピース
57 摩擦部品区画、摩擦ライニングピース
61 矢印
62 矢印
63 楕円化
65 歯面
66 歯面
101 摩擦部品
102 摩擦体
103 摩擦面
104 カップリング体
105 歯部
106 内歯部
107 内歯部
108 キャリア要素
109 キャリア要素
110 たわみジョイント
111 弱化領域
112 弱化領域
113 凹部
114 凹部
115 凹部
116 凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9