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特許7600388サイズ調整可能な織られた生地、着用可能な物品、及び生地をサイズ変更する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】サイズ調整可能な織られた生地、着用可能な物品、及び生地をサイズ変更する方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 31/00 20190101AFI20241209BHJP
   D03D 15/567 20210101ALI20241209BHJP
   A43B 1/028 20220101ALI20241209BHJP
   D03D 11/00 20060101ALI20241209BHJP
   D03D 15/283 20210101ALI20241209BHJP
【FI】
A41D31/00 503E
A41D31/00 503P
D03D15/567
A43B1/028
A41D31/00 503G
A41D31/00 503H
D03D11/00 Z
D03D15/283
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023521027
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 EP2021077876
(87)【国際公開番号】W WO2022074203
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2024-09-10
(31)【優先権主張番号】2051177-0
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2151187-8
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523122724
【氏名又は名称】ナノ・テキスタイル・ソリューションズ・エービー
【氏名又は名称原語表記】NANO TEXTILE SOLUTIONS AB
【住所又は居所原語表記】Teknikringen 7,583 30 Linkoeping,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】イッサ、サメル
(72)【発明者】
【氏名】クラノフスキー、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ズィバク、ミハイロ
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-232931(JP,A)
【文献】実開昭56-156638(JP,U)
【文献】特表2007-510815(JP,A)
【文献】特開2013-204172(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0501799(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0280819(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第2441589(GB,A)
【文献】欧州特許出願公開第3511454(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D31/00-31/32
A43B1/028
D03D1/00-27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用可能な物品であって、
第1の柔軟性のある固定サイズ生地部分(3a,3b,30a,30b,35a,35b,50,60,70,80,90)と、
第2の柔軟性のある固定サイズ生地部分(3a,3b,30a,30b,35a,35b,50,60,70,80,90)と、
熱収縮ポリマー材料で各々形成された第1の組の糸(10a~10i)と、
導電性材料で形成された少なくとも1つの伝導性糸(20)と
を備え、前記第1の組の糸(10a~10i)は、互いと実質的に平行に延び、
前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)を実質的に横切って延びる、サイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成されたパッチと、
を備え、
前記パッチは、前記第1の柔軟性のある固定サイズ生地部分と前記第2の柔軟性のある固定サイズ生地部分との間に配置され、それらを接続し、前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記伝導性糸(20)よりも大きい角度で前記第1及び第2の柔軟性のある固定サイズ生地部分(3a,3b,30a,30b,35a,35b,50,60,70,80,90)のうちの少なくとも1つまで延在する、着用可能な物品。
【請求項2】
前記第1の組の糸(10a~10i)は、1組の経糸を形成し、前記伝導性糸(20)は、緯糸を形成する、請求項1に記載の着用可能な物品
【請求項3】
前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)に対して80~100度の角度で延在する、請求項1又は2に記載の着用可能な物品
【請求項4】
前記熱収縮ポリマー材料は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、フルオロカーボン系合成ゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エラストマー、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成る群から選択された少なくとも1つの材料を備える、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の着用可能な物品
【請求項5】
前記熱収縮ポリマー材料は、架橋され、その後伸長されたポリマー材料である、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の着用可能な物品
【請求項6】
少なくとも1つの非伝導性糸(40)を更に備え、それは、前記伝導性糸(20)と大部分は平行に延在する、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の着用可能な物品
【請求項7】
前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)全体を横切って延びる、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の着用可能な物品
【請求項8】
前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)の長さ方向に沿った少なくともあるセクションにおいて、前記第1の組の糸(10a~10i)の全ての糸よりも少なく横切って延びる、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の着用可能な物品
【請求項9】
前記第1の組の糸(10a~10i)の糸は、少なくとも2つの異なる長さを呈する、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の着用可能な物品
【請求項10】
少なくとも1つの伸長制限糸(41,41’)を更に備え、それは、前記第1の組の糸(10a~10i)と平行に延在し、前記伸長制限糸(41,41’)は、前記第1の組の糸(10a~10i)が収縮状態にあるとき、前記伝導性糸(20)の交差部分間に湾曲部分を呈する、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の着用可能な物品
【請求項11】
履物であって、
第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分(101)と、
第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分(102)と、
熱収縮ポリマー材料で各々形成された第1の組の糸(10a~10i)と、導電性材料で形成された少なくとも1つの伝導性糸(20)とを備えるサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の組の糸(10a~10i)は、互いと実質的に平行に延び、前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)を実質的に横切って延びる、パッチ(103)と
を備え、
前記パッチは、前記第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と前記第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続し、
前記パッチは、前記履物の筒部分に位置付けられ、
前記第1の組の糸(10a~10i)は、筒幅が調整可能であるように、前記履物の筒の円周方向に実質的に沿って延在する、履物。
【請求項12】
履物であって、
第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分(104)と、
第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分(106)と、
熱収縮ポリマー材料で各々形成された第1の組の糸(10a~10i)と、導電性材料で形成された少なくとも1つの伝導性糸(20)とを備えるサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の組の糸(10a~10i)は、互いと実質的に平行に延び、前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)を実質的に横切って延びる、パッチ(105)と
を備え、
前記パッチは、前記第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と前記第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続し、
前記パッチは、前記履物のつま先部分に位置付けられ、
前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記履物の幅及び/又は高さが調整可能であるように、前記履物の幅方向に実質的に沿って延在する、履物。
【請求項13】
保護服であって、
第1の保護体(111)と、
第2の保護体(112)と、
熱収縮ポリマー材料で各々形成された第1の組の糸(10a~10i)と、導電性材料で形成された少なくとも1つの伝導性糸(20)とを備えるサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の組の糸(10a~10i)は、互いと実質的に平行に延び、前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)を実質的に横切って延びる、パッチ(113)と
を備え、
前記パッチは、前記第1の保護体(111)と前記第2の保護体(112)との間に配置され、それらを接続し、
前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記保護体(111,112)間の距離が調整可能であるように、前記第1の保護体(111)と前記第2の保護体(112)との間に実質的に延在する、保護服。
【請求項14】
履物であって、
第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分(101)と、
第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分(102)と、
熱収縮ポリマー材料で各々形成された第1の組の糸(10a~10i)と、導電性材料で形成された少なくとも1つの伝導性糸(20)とを備えるサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の組の糸(10a~10i)は、互いと実質的に平行に延び、前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)を実質的に横切って延びる、パッチ(103)と
を備え、
前記パッチは、前記第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と前記第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続し、
前記パッチは、前記履物の後方部分に位置付けられ、
前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記履物の長さが調整可能であるように、前記履物の中敷きと実質的に平行な方向(Da1)に延在する、履物。
【請求項15】
履物であって、
柔軟性のある固定サイズ材料部分(127)と、
熱収縮ポリマー材料で各々形成された第1の組の糸(10a~10i)と、導電性材料で形成された少なくとも1つの伝導性糸(20)とを備えるサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の組の糸(10a~10i)は、互いと実質的に平行に延び、前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)を実質的に横切って延びる、部分(126)と
を備え、
前記部分(126)は、前記柔軟性のある固定サイズ材料部分(127)と接続され
前記部分(126)は、前記履物のつま先部分に位置付けられ、
前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記履物の長さが調整可能であるように、前記履物の長さ方向(Da2)に実質的に沿って延在する、履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サイズ変更可能な生地に関し、特に、繰り返しサイズ変更することができ、あるサイズ範囲内の任意のサイズにサイズ変更することができる生地に関する。
【0002】
本開示は更に、そのようなサイズ変更可能な生地を使用してサイズ変更することができる衣類、ハーネスなどの着用可能な物品に関する。
【0003】
本開示はまた、生地をサイズ変更する方法に関する。
【0004】
本開示は更に、サイズ変更及び/又はサイズに関して微調整することができる履物及び履物用のライナーに関する。
【背景技術】
【0005】
着用者への最適なフィットを達成するために、又はフリーサイズの物品を達成するために、布で作られた物品をサイズ変更することが可能であることが望ましくあり得る、多くの用途がある。
【0006】
例えば、スーツ、ジャケット、ズボン、等などの様々な衣類は、多数のサイズで生産される必要がある。加えて、それらはしばしば、着用者にフィットするように仕立屋によって調整される必要があり得る。
【0007】
物品の中には、ストラップ及びバックル、面ファスナ、弾性インセット、袖口又は袖などのサイズ調整機構を設けられるものがあり得る。
【0008】
特に、最適な機能を提供するために使用者に完全にフィットする必要がある、冷却ベスト、防刃ベスト、防弾ベスト、機器ハーネス、及び同様の機器などの高価な着用可能な物品の場合、改善されたサイズ調整デバイスが必要である。
【0009】
例えば、US20070042660A1、GB2441589A、及びEP3511454A1は、サイズを変化させることが可能な生地を提供するために生地に一体化される、形状記憶合金の様々な使用を開示している。
【0010】
しかしながら、そのような解決策は、少数の個別の位置間で調整可能であり、それは、それらの有用性を制限する。
【0011】
衣類及び他の着用可能な物品のサイズを変更するための改善された解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本開示の目的は、サイズ調整可能な衣類及び他の着用可能な物品のための改善された概念を提供することである。1つの特定の目的は、改善されたフリーサイズ物品、又は少なくとも「準フリーサイズ」物品を可能にする概念を提供することである。
【0013】
本発明は、添付の独立請求項によって定義され、実施形態は、従属請求項、以下の説明、及び添付の図面に記載される。
【0014】
第1の態様によると、熱収縮ポリマー材料で各々形成された第1の組の糸と、導電性材料で形成された少なくとも1つの伝導性糸とを備えるサイズ調整可能な織られた生地が提供され、第1の組の糸は、互いと実質的に平行に延び、伝導性糸は、第1の組の糸を実質的に横切って延びる。
【0015】
「実質的に平行に」という用語は、軽微な変動を除いて平行であることを意味する。
【0016】
「実質的に横切って」という用語は、伝導性糸が曲がる領域を除いて横切ることを意味する。
【0017】
熱収縮ポリマー材料は、生産中に、元の状態を提供するように、例えば架橋によって、典型的には電離放射線によって処理され、その後、伸長状態を作り出すように、その結晶融点を超えて加熱されている間に伸長され、次いで急速に冷却されたポリマー材料であり得る。伸長された熱収縮ポリマー材料は、結晶融点を超えて加熱されたときにその元の状態に戻る能力を有する。
【0018】
熱収縮ポリマー材料は、それ自体知られている。
【0019】
故に、2つ又は3つの異なる構成間で変形する形状記憶ポリマーとは異なり、熱収縮ポリマーは、その元の状態と伸長された状態との間で任意の構成を取ることが可能である。
【0020】
故に、熱収縮ポリマーを使用することによって、一連のサイズにわたって調整することができるサイズ調整可能な生地を提供することが可能である。その上、生地の縮小又は伸長のうちのいずれかによって繰り返しサイズ変更することができるサイズ調整可能な生地を提供することが可能である。
【0021】
1つ以上の熱収縮ポリマー材料から形成された糸の組み合わせは、伝導性糸によって加熱することができる。熱収縮材料を使用することによって、第1の組の糸の長さは、第1の組の糸に負荷を選択的に印加しながら、伝導性糸による加熱によって伸縮させることができる。第1の組の糸は、1組の経糸を形成し得、伝導性糸は、緯糸を形成し得る。
【0022】
伝導性糸は、そのターンを除いて、第1の組の糸に対しておよそ80~100度の角度で延在し得る。
【0023】
熱収縮ポリマー材料は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、フルオロカーボン系合成ゴム(The Chemours CompanyによるViton(登録商標)など)、ポリクロロプレンゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エラストマー、フッ化エチレンプロピレン(FEP)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む、ある範囲のポリマー材料で作ることができる。
【0024】
熱収縮ポリマー材料は、架橋され、その後伸長されたポリマー材料であり得る。
【0025】
そのような架橋は、照射を通して達成され得る。
【0026】
非限定的な例として、熱収縮ポリオレフィンは、90~120℃の収縮温度及び120~145℃の伸長温度で操作され得る。
【0027】
更なる非限定的な例として、熱収縮ポリ塩化ビニルは、約100℃の収縮温度及び約120℃の伸長温度で操作され得る。
【0028】
更なる非限定的な例として、熱収縮PVDFは、約170℃の収縮温度及び約210℃の伸長温度で操作され得る。
【0029】
生地は、少なくとも1つの更なる非伝導性糸を更に備え得、それは、伝導性糸と大部分は平行に延在する。
【0030】
伝導性糸は、第1の組の糸全体を横切って延び得る。
【0031】
代替形態として、伝導性糸は、第1の組の糸の長さ方向に沿った少なくともあるセクションにおいて、第1の組の糸の全ての糸よりも少なく横切って延び得る。
【0032】
第1の組の糸の糸は、少なくとも2つの異なる長さ呈し得る。
【0033】
生地は、少なくとも1つの伸長制限糸を更に備え得、それは、第1の組の糸と平行に延在し、伸長制限糸は、第1の組の糸が収縮状態にあるとき、伝導性糸の交差部分間に湾曲部分を呈する。
【0034】
代替形態として、伝導性糸は、経糸を形成し得、第1の組の糸は、緯糸を形成し得る。
【0035】
第2の態様によると、着用可能な物品が提供され、
第1の柔軟性のある固定サイズ生地部分と、第2の柔軟性のある固定サイズ生地部分と、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載のサイズ調整可能な生地で形成され、第1の柔軟性のある固定サイズ生地部分と第2の柔軟性のある固定サイズ生地部分との間に配置され、それらを接続するパッチとを備え、第1の組の糸は、伝導性糸よりも大きい角度(at)で第1及び第2の柔軟性のある固定サイズ生地部分のうちの少なくとも1つの縁部まで延在する。
【0036】
第3の態様によると、上記で開示したような生地のサイズを拡大する方法が提供される。本方法は、伸長温度まで第1の組の糸を加熱するのに十分な時間にわたって伝導性糸を通して電流を供給することと、伸長温度は、熱収縮ポリマー材料の融解温度から融解温度プラス200度までの範囲内にあり、伸長温度に達したときに、第1の組の糸の範囲と実質的に平行な方向に引張力を印加することと、伸長温度を維持しながら、所望の第1の伸長度、好ましくは110~250%までその方向に生地を伸長させることと、その後、熱収縮ポリマー材料の融解温度よりも少なくとも50度だけ低い温度まで、伸長された生地を冷却することを可能にすることとを備える。
【0037】
本方法は、収縮温度まで第1の組の糸を加熱するのに十分な時間にわたって、伝導性糸を通して電流を供給することと、収縮温度は、熱収縮ポリマー材料の融解温度マイナス50度から融解温度プラス10度までの範囲内にあり、収縮温度を維持しながら、生地が収縮することを可能にすることと、その後、熱収縮ポリマー材料の融解温度よりも少なくとも50度だけ低い温度まで、収縮された生地を冷却することを可能にすることと、伸長温度まで第1の組の糸を加熱するのに十分な時間にわたって、伝導性糸を通して電流を供給することと、伸長温度に達したときに、第1の組の糸の範囲と実質的に平行な方向に引張力を印加することと、伸長温度を維持しながら、所望の第2の伸長度、好ましくは110~250%までその方向に生地を伸長させることと、その後、熱収縮ポリマー材料の融解温度よりも少なくとも50度だけ低い温度まで、伸長された生地を冷却することを可能にすることとを更に備え得、第2の伸長度は、第1の伸長度とは異なる。
【0038】
伸長温度は、Tm+0度~Tm+5度、Tm+5度~Tm+10度、Tm+10度~Tm+15度、Tm+15度~Tm+20度、Tm+20度~Tm+30度、Tm+30度~Tm+40度、Tm+40度~Tm+50度、Tm+50度~Tm+60度、Tm+60度~Tm+80度、Tm+80度~Tm+100度、Tm+100度~Tm+125度、Tm+125度~Tm+150度、Tm+150度~Tm+175度、及びTm+175度~Tm+200度から成る群から選択された範囲内にあり得る。
【0039】
収縮温度は、Tm-50度~Tm-40度、Tm-40度~Tm-30度、Tm-30度~Tm-20度、Tm-20度~Tm-10度、Tm-10度~Tm、Tm~Tm+5度、及びTm+5度~Tm+10度から成る群から選択された範囲内にあり得る。
【0040】
故に、収縮温度は、熱収縮ポリマー材料の融解温度よりも、10度以下又は5度以下など、僅かに上回り得る。
【0041】
収縮ステップでは、第1の組の糸は、実際に無負荷であるべきであり、即ち、第1の組の糸に印加される力は、第1の組の糸によって達成可能な収縮力よりも低くあるべきである。
【0042】
第4の態様によると、上記で説明したような生地のサイズを縮小する方法が提供される。本方法は、収縮温度まで第1の組の糸を加熱するのに十分な時間にわたって、伝導性糸を通して電流を供給することと、収縮温度を維持しながら、生地が収縮することを可能にすることと、その後、熱収縮ポリマー材料の結晶融点よりも少なくとも50度だけ低い温度まで、伸長された生地を冷却することを可能にすることとを備える。
【0043】
第5の態様によると、第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と、第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分と、上記で説明したようなサイズ調整可能な生地で形成され、第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続するパッチとを備える、履物が提供され、パッチは、履物の筒部分に位置付けられ、第1の組の糸は、筒幅が調整可能であるように、履物の筒の円周方向に実質的に沿って延在する。
【0044】
第6の態様によると、第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と、第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分と、上記で説明したようなサイズ調整可能な生地で形成され、第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続するパッチとを備える、履物が提供され、パッチは、履物のつま先部分に位置付けられ、第1の組の糸は、履物の幅及び/又は高さが調整可能であるように、履物の幅方向に実質的に沿って延在する。
【0045】
上記で言及したような履物は、靴及びブーツ、並びに靴及びブーツ用のライナーを含み得る。
【0046】
第7の態様によると、第1の保護体と、第2の保護体と、上記で説明したようなサイズ調整可能な生地で形成され、第1の保護体と第2の保護体との間に配置され、それらを接続するパッチとを備える、保護服が提供され、第1の組の糸は、保護体間の距離が調整可能であるように、第1の保護体と第2の保護体との間に実質的に延在する。
【0047】
上記で言及したような保護服は、スキー、オートバイ、乗馬、アイスホッケー、等などのスポーツ用の保護服を含み得、背面プロテクター、正面プロテクター、肩プロテクター、膝プロテクター、肘プロテクター、等の形態であり得る。そのような場合、保護体は、衝撃を吸収及び/若しくは分散させること、並びに/又は鋭利な物体若しくは刃の貫通を防止することを意図された様々なポリマー材料及び/又は金属材料を含み得る。
【0048】
保護服はまた、暴動服及び/又は弾道保護などの警察又は軍事用途のために提供され得る。
【0049】
そのような場合、保護体は、弾道保護材料、例えば、織物、編物又は不織布、ラミネート、及び弾道保護に使用される複合材、及び/又は弾道装甲板を含み得る。
【0050】
第8の態様によると、第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と、第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分と、上記で説明したようなサイズ調整可能な生地で形成され、第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続するパッチとを備える、履物が提供される。パッチは、履物の後方部分に位置付けられ、第1の組の糸は、履物の長さが調整可能であるように、履物の中敷きと実質的に平行な方向に延在する。
【0051】
パッチは、中敷きから上方に、少なくとも履物のかかと部分を越えて、好ましくは実質的に履物の履口部分に延在し得る。
【0052】
第9の態様によると、柔軟性のある固定サイズ材料部分と、上記で説明したようなサイズ調整可能な生地で形成され、柔軟性のある固定サイズ材料部分と接続された部分とを備える、履物が提供される。その部分は、履物のつま先部分に位置付けられ、第1の組の糸は、履物の長さが調整可能であるように、履物の長さ方向に実質的に沿って延在する。
【0053】
第10の態様によると、第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と、第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分と、上記で説明したようなサイズ調整可能な生地で形成され、第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続するパッチとを備える、履物が提供され、パッチは、履物のつま先革又は甲周り部分に位置付けられ、第1の組の糸は、履物の長さが調整可能であるように、履物の中敷きと実質的に平行な方向に延在する。
【0054】
そのような履物は、靴又はブーツなどであり得る。特に、履物はまた、靴又はブーツ用のライナーであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1】サイズ調整可能な織られた生地の第1の実施形態の概略図である。
図2】サイズ調整可能な織られた生地の第2の実施形態の概略図である。
図3】サイズ調整可能な織られた生地の第3の実施形態の概略図である。
図4a】元の状態のサイズ調整可能な織られた生地を概略的に例示する。
図4b】伸長された状態のサイズ調整可能な織られた生地を概略的に例示する。
図5a】元の状態のサイズ調整可能な織られた生地の別の実施形態を概略的に例示する。
図5b】伸長された状態のサイズ調整可能な織られた生地の別の実施形態を概略的に例示する。
図6】サイズ調整可能な織られた生地の複数の部分を有する上半身用衣類の背面ピースを概略的に例示する。
図7】サイズ調整可能な織られた生地の複数の部分を有する上半身用衣類の正面ピースを概略的に例示する。
図8】サイズ調整可能な織られた生地の複数の部分を有する上半身用衣類の袖ピースを概略的に例示する。
図9】サイズ調整可能な織られた生地の複数の部分を有する下半身用衣類の正面ピースを概略的に例示する。
図10】サイズ調整可能な織られた生地の複数の部分を有する下半身用衣類の背面ピースを概略的に例示する。
図11】サイズ調整可能な織られた生地のパッチを有する履物を概略的に例示する。
図12】サイズ調整可能な織られた生地のパッチを有する保護服を概略的に例示する。
図13】履物を概略的に例示する。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図1は、第1の実施形態によるサイズ調整可能な織られた生地1の概略図である。
【0057】
図1に例示する生地は、第1の組の糸を備え、第1の組の糸は、例示する例では、第1の方向D1に互いと実質的に平行に延在する経糸10a~10fを形成する。生地は、伝導性糸20を更に備え、伝導性糸20は、例示する例では、経糸10a~10fを横切って往復して延びるという点で、緯糸を形成する。
【0058】
第1の方向D1に見られるように、及び経糸10a~10fのうちの1つに沿って、緯糸20は、経糸の上下に交互に延びる。
【0059】
同様に、第2の方向D2に見られるように、及び経糸10a~10fを横切って、緯糸20は、経糸の上下を交互に延びる。
【0060】
第1の組の糸10a~10fは、熱収縮ポリマー材料で形成される。
【0061】
熱収縮ポリマー材料は、それ自体知られており、様々なタイプのポリマー又はポリマーの組み合わせに基づいて形成することができる。熱収縮特性は、2つの主要な方法で達成され得る:放射線誘導架橋によるか、又は化学的誘導架橋によるものであり、電離放射線型架橋が、現在使用されている主要な方法である。
【0062】
糸10a~10fの各々は、1つ以上のフィラメントから形成され得る。
【0063】
糸の断面は、円形、オーバル、又は長方形などの多角形であり得る。断面の主要寸法は、0.1~5mm程度であり得る。
【0064】
伝導性糸20は、導電性且つ抵抗性の材料、即ち、電流が通されると熱くなる材料から形成される。
【0065】
伝導性糸20は、金属材料を備え得る。
【0066】
伝導性糸20は、1つ以上のフィラメントから形成され得る。
【0067】
別の選択肢として、伝導性糸20は、伝導性材料を含浸された非伝導性材料から形成され得る。例えば、マルチフィラメント糸に、グラファイト又はグラフェンなどの炭素系材料を含む金属又は有機伝導性材料を含浸させることが可能であろう。
【0068】
伝導性糸20は、例えば、1つ以上の非伝導性糸又はフィラメントで被覆されることによって、又は紡糸されることによって、電気的に絶縁され得る。しかしながら、伝導性糸は、伝導性糸から第1の組の糸10a~10fへの熱伝導を可能にするために、第1の組の糸10a~10fと十分に接触していることが望ましい。
【0069】
伝導性糸20は、生地1の少なくとも一部分にわたって連続的に延在する。電圧源30は、電圧が伝導性糸に印加され得るように、伝導性糸20のそれぞれの端部に接続可能である。
【0070】
コントローラCは、電圧源30によって印加される電圧を制御するために電圧源30に接続可能であり得る。
【0071】
コントローラCは、電圧源を制御して、伸長電圧、即ち、熱収縮がポリマー材料を伸長させることができる伸長温度に達することを可能にする熱量を伝導性糸が提供するのに十分に伝導性糸を加熱する電圧を供給するように構成され得る。
【0072】
伸長温度Teは、典型的には、第1の組の糸10a~10fが形成されるポリマー材料(複数可)の融解温度Tmに基づく。
【0073】
特に、伸長温度Teは、典型的には、ポリマー材料の融解温度Tm以上である。
【0074】
ポリオレフィンなどのいくつかの熱可塑性材料の場合、伸長温度Teは、材料の融解温度よりも0~60度高く、好ましくは融解温度よりも20~60度又は20~40度高い範囲内にあり得る。
【0075】
しかしながら、PTFEタイプの材料などのいくつかの材料の場合、伸長温度Teは、材料の融解温度よりも100~200度高い、好ましくは融解温度よりも150~200度高い範囲内にあり得る。
【0076】
様々な実施形態では、伸長温度Teは、下限値と上限値とを有する範囲内にあり得る。
【0077】
以下の列記は、伸長温度Te範囲の下限値及び上限値を列挙しており、Te値の上限は、Te値の下限値よりも常に高いであろう。列記から、下限範囲は、左列から選択され得、上限範囲は、右列から選択され得る。下限及び上限範囲は、それぞれ左列及び右列から自由に選択され得る。
【0078】
e範囲(下限~上限)は、50度未満、好ましくは40度未満、30度未満、20度未満、又は10度未満の範囲であり得る。
【0079】
伸長温度Teは、Tm+0度~Tm+200度の範囲内にあり得る。特定の実施形態では、伸長温度Teは、Tm+0度~Tm+5度、Tm+5度~Tm+10度、Tm+10度~Tm+15度、Tm+15度~Tm+20度、Tm+20度~Tm+30度、Tm+30度~Tm+40度、Tm+40度~Tm+50度、Tm+50度~Tm+60度、Tm+60度~Tm+80度、Tm+80度~Tm+100度、Tm+100度~Tm+125度、Tm+125度~Tm+150度、Tm+150度~Tm+175度、及びTm+175度~Tm+200度から成る群から選択された範囲内にあり得る。
【0080】
収縮温度Tcは、典型的には、第1の組の糸10a~10fが形成されるポリマー材料(複数可)の融解温度Tmにも基づく。
【0081】
特に、収縮温度Tcは、典型的には、ポリマー材料の融解温度Tmにほぼ等しいか又はそれより低い。
【0082】
ポリオレフィンなどのいくつかの熱可塑性材料の場合、収縮温度Tcは、材料の融解温度よりも0~40度、好ましくは0~30度又は0~20度低い範囲内にあり得る。しかしながら、収縮温度Tcはまた、融解温度よりも0~10度、好ましくは融解温度Tmよりも0~5度高い範囲内にあり得る。
【0083】
しかしながら、PTFEタイプの材料などのいくつかの材料では、収縮温度Tcは、融解温度よりもかなり高くあり得る。
【0084】
c範囲(下限から上限まで)は、50度未満、好ましくは40度未満、30度未満、20度未満又は10度未満の範囲であり得る。
【0085】
ほとんどの場合、収縮温度Tcは、Tm+50度~Tm+10度の範囲内にあり得る。特定の実施形態では、収縮温度Tcは、Tm-50度~Tm-40度、Tm-40度~Tm-30度、Tm-30度~Tm-20度、Tm-20度~Tm-10度、Tm-10度~Tm、Tm~Tm+5度、及びTm+5度~Tm+10度から成る群から選択された範囲内にあり得る。
【0086】
コントローラCはまた、収縮電圧、即ち、熱収縮ポリマー材料が収縮することを可能にする熱量を伝導性糸が提供するのに十分に伝導性糸を加熱する電圧を供給するように電圧源を制御するように構成され得る。
【0087】
収縮電圧は、伸長電圧よりも低くあり得る。
【0088】
生地1のサイズは、以下のように伸長され得る。
【0089】
経糸10a~10fが形成される熱収縮ポリマーの元の状態から、電圧源は、伝導性糸20に伸長電圧を提供するように制御され、伝導性糸20は、その結果として、加熱される。十分な温度に達すると、引張力Fが経糸10a~10fに沿った方向に生地1に印加され、生地は、第1の方向D1に所望の長さに引っ張られる。
【0090】
電圧源は、次いで、電流を低減又はオフにするように制御される。
【0091】
生地は、次いで、十分に冷却することを可能にされる。
【0092】
任意選択で、冷却は、伝導又は対流によって提供され得る。例えば、水などの冷却液が、生地に適用され得、及び/又は空気などの冷却ガス流が、生地に適用され得る。
【0093】
生地のサイズは、以下のように縮小され得る。
【0094】
経糸10a~10fが形成される熱収縮ポリマーの伸長された状態から、電圧源が、伝導性糸20に収縮電圧を提供するように制御され、伝導性糸20は、その結果として、加熱される。十分な温度に達すると、経糸が所望の長さに収縮することができるように、経糸が実際に無負荷であることが保証される。所望の収縮が達成されると、電圧源は、電流を低減又はオフにするように制御される。
【0095】
生地は、次いで、十分に冷却することを可能にされる。
【0096】
任意選択で、冷却は、伝導又は対流によって提供され得る。例えば、冷却液が、生地に適用され得、及び/又は空気などの冷却ガス流が、生地に適用され得る。
【0097】
任意選択で、1つ以上の温度センサが生地上に配置され、生地1の温度のフィードバックを提供するためにコントローラに動作可能に接続され得、そのため、伝導性糸に供給される電流が、より正確に制御され得る。
【0098】
図2は、図1を参照して説明したものと同一であるが、少なくとも1つ、好ましくはいくつかの追加の緯糸40を含む、サイズ調整可能な生地2の実施形態を概略的に例示する。
【0099】
追加の1つ以上の緯糸40は、場合によっては、非伝導性であるが、伝導性糸20によって典型的に生成されるような温度に耐えることが可能な材料で形成され得る。
【0100】
追加の1つ以上の緯糸40は、伝導性糸20を完全に又は部分的に辿り得る。
【0101】
例えば、追加の緯糸は、伝導性糸20と同じ数の経糸10a~10fにわたって(図2に見られるように水平方向D2に)延在し得る。
【0102】
代替形態として、追加の1つ以上の緯糸40は、伝導性糸20よりも少ない経糸10a~10fにわたって延在し得る。
【0103】
更に別の代替形態として、追加の1つ以上の緯糸40は、伝導性糸20よりも多くの経糸10a~10fにわたって延在し得る。
【0104】
その上、経糸方向D1に沿って見られるように、横方向D2における追加の1つ以上の緯糸40の範囲は変化し得る。
【0105】
図3は、伝導性糸20の範囲が経糸10a~10fを横切って方向D2に変化する、サイズ調整可能な生地3を概略的に例示する。
【0106】
例えば、伝導性糸20は、いくつかの行20a、20eでは、全ての経糸10a~10fを横切って延在し得る。
【0107】
他の行20b、20c、20dでは、伝導性糸20は、経糸のサブセット10b~10eにわたって延在し得る。
【0108】
図3に例示するサイズ調整可能な生地3は、他の点では、図1及び2を参照して例示及び説明したものと同一であり得る。
【0109】
図4a及び4bは、図1~3のうちのいずれにも例示しているようなサイズ調整可能な生地の動作を概略的に例示する。
【0110】
図4a~4bでは、調整可能な生地4、4’がそれぞれの調整不可能な固定サイズ生地部分30aと30bとの間の接続を形成するように、調整可能な生地4、4’が調整不可能な生地部分30a、30bにどのように取り付けられるかを概略的に例示する。
【0111】
図4a~4bは、8つの経糸10a~10iを有するサイズ調整可能な生地4、4’を例示する。図4aは、元の状態の生地4を例示し、図4bは、伸長された状態の生地4’を例示し、図1を参照して説明したように、経糸は引き伸ばされ、その後冷却されている。
【0112】
図4a~4bでは、経糸10a~10iは、生地部分30a、30bの縁部に対して80~100度、好ましくは約90度の角度で延在する。
【0113】
図4a~4bでは、伸長制限糸41、41’を更に例示しており、伸長制限糸41、41’は、経糸10a~10iと平行に延びるように、及び緯糸20の交差間に緩み部分を呈するように、織られた材料中に含まれ得る。
【0114】
伸長制限糸41、41’が非熱収縮材料から、又は経糸材料よりも熱伸長又は熱収縮しにくい材料から形成されると、図4bに例示するように、伸長制限糸41、41’が引き伸ばされる程度まで生地が伸長されると、生地4’はそれ以上伸長しないであろう。
【0115】
複数のそのような伸長制限糸41、41’は、第1の組の糸10a~10iの間に規則的な範囲で含まれ得る。図5a~5bは、本質的に図3を参照して説明したような、即ち経糸10a~10iを横切る伝導性糸20の範囲が経糸方向D1に沿って変化する、サイズ調整可能な生地5、5’の動作を概略的に例示する。
【0116】
図5a~5bでは、調整可能な生地5、5’がそれぞれの調整不可能な固定サイズ生地部分35aと35bとの間の接続を形成するように、調整可能な生地5、5’が調整不可能な生地部分35a、35bにどのように取り付けられるかを概略的に例示する。図5a~5bのサイズ調整可能な生地5、5’では、経糸10a~10iの長さも変化しており、そのため、生地5、5’に、例示するように、三角形などの所望の形状を与えることができる。
【0117】
図4a~4bに例示するような伸長制限糸は、図5a~5bの実施形態にも含まれ得る。
【0118】
図5a~5bでは、生地部分35a~35bの縁部は、非平行であり、くさび形状を形成するように交差し得る。
【0119】
調整可能な生地5、5’は、生地部分35a、35bの縁部に対して、第1の組の糸10a~10i、10a’~10i’と生地縁部との間の角度atが生地縁部と伝導性糸20との間の角度acよりも大きくなるように配置され得る。
【0120】
図6は、上半身用衣類の背面部分50を概略的に例示する。
【0121】
図6では、肩縫い目縁部領域51、側面縫い目縁部領域52、身頃長さ縫い目縁部領域53、及び中央背面縫い目縁部領域54を例示する。
【0122】
サイズ調整可能な生地部分1、2、3は、サイズ調整可能な生地部分が、例えば縫合によって、それぞれの縁部領域51、52、53、54において背面部分50に接続され、経糸が、背面部分50のそれぞれの縁部に対して伝導性糸20部分よりも大きい角度at図5a~5bを参照)で延在するように、これらの縁部領域51、52、53、54のうちの任意の1つ以上に配置され得る。
【0123】
図7は、上半身用衣類の正面部分60を概略的に例示する。
【0124】
図7では、肩縫い目縁部領域61、中央正面縫い目縁部領域62、身頃長さ縫い目縁部領域63、及び側面縫い目縁部領域64を例示する。
【0125】
サイズ調整可能な生地部分1、2、3は、サイズ調整可能な生地部分が、例えば縫合によって、それぞれの縁部領域61、62、63、64において正面部分60に接続され、経糸が、正面部分60のそれぞれの縁部に対して伝導性糸20部分よりも大きい角度で延在するように、これらの縁部領域61、62、63、64のうちの任意の1つ以上に配置され得る。
【0126】
図8は、上半身用衣類の袖部分70を概略的に例示する。
【0127】
図8では、袖キャップ縫い目縁部領域71、袖長手方向縫い目縁部領域72、74、及び肘ライン縫い目領域73を例示する。
【0128】
サイズ調整可能な生地部分1、2、3は、サイズ調整可能な生地部分が、例えば縫合によって、それぞれの領域71、72、73、74において袖部分70に接続され、経糸が、袖部分70のそれぞれの縁部に対して伝導性糸20部分よりも大きい角度で延在するように、これらの縁部領域71、72、73、74のうちの任意の1つ以上に配置され得る。
【0129】
故に、適切な形状及びサイズを有するサイズ調整可能な生地1、2、3の一部分を2つの衣類ピース50、60、70間に配置し、それらを相互接続することによって、衣類をサイズ調整可能にすることが可能である。
【0130】
例えば、サイズ調整可能な生地部分1、2、3を、衣類が立っている着用者によって着用されるときに見られるように、胸及び/又はウエストサイズの調整可能性を提供するために、任意の垂直に延びる縫い目領域52、54;62、64中に含めることができる。
【0131】
袖の位置及び/又は幅は、同様に、1つ以上の調整可能なサイズの生地1、2、3の一部分を袖キャップ縫い目縁部領域71及び/又は長手方向縫い目縁部領域72、74中に含めることによって調整可能であり得る。
【0132】
腕部の長さは、腕部の長手方向を横切って延びる1つ以上の調整可能なサイズの生地1、2、3の一部分を肘ライン縫い目領域73内などに含めることによって調整可能であり得る。
【0133】
図9は、1着のズボンの正面部分80を概略的に例示する。
【0134】
図9では、股上縫い目領域81、側面縫い目領域82、股下縫い目領域83、膝上ライン縫い目領域84、膝下ライン縫い目領域85、及びズボン脚部の膝部分よりもズボン脚部の下端に近い下部交差縫い目領域86を例示する。
【0135】
同様に、図10は、1着のズボンの背面部分90を概略的に例示する。
【0136】
図10では、股上縫い目領域91、側面縫い目領域92、股下縫い目領域93、膝上ライン縫い目領域94、膝下ライン縫い目領域95、及びズボン脚部の膝部分よりもズボン脚部の下端に近い下部交差縫い目領域96を例示する。
【0137】
故に、経糸10a~10iが垂直に延在する状態で、サイズ調整可能な生地部分1、2、3を股上縫い目領域81、91に導入することによって、ズボンのウエストの垂直位置を調整することが可能である。
【0138】
代わりに、衣類が立っている着用者によって着用されるときに見られるように、経糸10a~10iが水平に延在する状態で、股上縫い目領域81、91にサイズ調整可能な生地部分1、2、3を導入することによって、ズボンのウエストの幅を調整することが可能である。
【0139】
側面縫い目領域82、92の全て又は一部にサイズ調整可能な生地部分1、2、3を導入することによって、ズボンのウエスト、ヒップ及び/又は脚部の幅を調整することが可能である。
【0140】
股下縫い目領域83、93にサイズ調整可能な生地部分1、2、3を導入することによって、ズボンの脚部幅を調整することが可能である。
【0141】
交差縫い目領域84、85、86;94、95、96にサイズ調整可能な生地部分1、2、3を導入することによって、ズボン脚部の長さを調整することが可能である。
【0142】
ズボンの膝の上下の交差縫い目領域84、85;94、95にサイズ調整可能な生地部分1、2、3を導入することによって、例えば、ズボンと一体化された膝プロテクターの位置を最適化するために、ズボンの膝位置を調整することが可能である。
【0143】
上記で開示した実施形態の各々では、経糸方向に沿った異なる生地セクションが別々に制御され得るように、分離された伝導性糸の2つ以上のセクションを導入することが可能である。
【0144】
上記で開示した様々な代替形態では、経糸方向を横切る異なる生地セクションが別々に制御され得るように、分離された伝導性糸の2つ以上のセクションを導入することが可能である。
【0145】
上記で開示した様々な代替形態では、同じ生地セクションに多少の熱を提供するように別々に制御することができる2つ以上の伝導性糸を導入することが可能である。
【0146】
サイズ調整可能な生地は、様々な用途に含まれ得、その例が以下に提供されるであろう。
【0147】
サイズ調整可能な生地パッチは、サイズ変更可能性及び/又は調整可能性を提供するために、ファッション衣服/スポーツファッション衣服などの衣服に含まれ得る。実例的な衣類は、ズボン、ジーンズ、ジャケット、ブレザー、シャツ、ショーツ、ドレス、及びスカートを含む。また、財布、ハンドバッグ、及び靴などの革製品は、1つ以上のサイズ調整可能な生地パッチを含み得る。
【0148】
サイズ調整可能な生地パッチは、アウトドアジャケット、スキージャケット/スキースーツ、アウトドアバッグ、テント布、及び保護布カバーなどのスポーツ服に含まれ得る。保護布カバーは、山/丘で隠れることができるカバーである。ヘリコプターは、助けが近づいている間、人々を保護するためにそれを彼らに投げることができる。
【0149】
サイズ調整可能な生地パッチは、ズボン、ジャケット、オーバーオール、ワンピーススーツ、バッグなどの子供服に含まれ得る。
【0150】
サイズ調整可能な生地パッチは、コルセット、ブラジャー、又はボクサーショーツなどの下着に含まれ得る。
【0151】
サイズ調整可能な生地パッチは、自転車スーツ、オートバイコスチューム、オートバイジャケット、オートバイズボンなどのモータースポーツ服に含まれ得る。
【0152】
サイズ調整可能な生地パッチは、家具又はカーテンなどのインテリア用品に含まれ得る。例えば、ソファ若しくは肘掛け椅子用のカバー、カーテン、寝具布、布カバー、又はカーペットである。
【0153】
サイズ調整可能な生地パッチは、自動車、飛行機、ボートクッション用のシートカバーなどの産業用途、及び帆布に含まれ得る。
【0154】
サイズ調整可能な生地パッチは、作業服、例えば、ダンガリー又はオーバーオールの形態の大工用の作業服に含まれ得る。
【0155】
サイズ調整可能な生地パッチは、ハーネス、手袋、冷却ベスト、及びウォーターブラスト用の保護服、防弾衣類、防刃衣類、等などの保護服に含まれ得る。
【0156】
サイズ調整可能な生地パッチは、ブーツ、スニーカー、又は革靴などの履物に含まれ得る。
【0157】
サイズ調整可能な生地パッチは、病院スタッフによって着用される衣服、又はリハビリテーション用靴下などのサポート用衣類、等などの医療用途に含まれ得る。
【0158】
サイズ調整可能な生地パッチは、パイロットスーツ、ダイビングスーツ、及び宇宙服などの軍服又は同様の服に含まれ得る。
【0159】
図11では、上記で説明したようなサイズ調整可能な生地の2つのパッチ103、105を設けられた履物の実施形態を例示する。
【0160】
第1のパッチ103は、異なるサイズ及び/又は形状のふくらはぎを有する着用者にフィットするように筒の円周を調整することができるように、筒の円周の調整可能性を提供する目的でブーツの筒上に設けられる。
【0161】
故に、ブーツの筒は、一対の筒部分101、102を備え得、それらは、サイズ調整可能な生地のパッチ103によって垂直方向に沿って分離される(ブーツが水平面上に位置付けられているとき)。サイズ調整可能な生地は、このことから、第1の組の糸10a(図5a~5bを参照)が筒部分101と102との間に、例えば実質的に水平に延在するように、筒部分101、102に接続される。
【0162】
伝導性糸20(図5a~5b)は、第1の組の糸10aに対して実質的に垂直に、例えば実質的に水平に延在する。
【0163】
故に、上記で説明した原理を使用して、第1の組の糸を加熱することによって、ブーツの筒が使用者のふくらはぎに完全にフィットすることを可能にするように、筒部分101と102との間の距離を調整することができる。
【0164】
筒の異なる部分が個々に調整可能であり得るように、筒部分101と102との間に2つ以上の垂直に並置されたパッチ103を配置することも可能である。
【0165】
パッチ103は、筒の後方部分、筒の側面部分、又は筒の正面部分に位置付けられ得る。
【0166】
パッチは、サイズ調整可能な生地が一片の材料によって隠されて、所望の美的外観を提供し、及び/又は汚れ若しくは水分の浸透を防止するように、隠された様式で配置され得る。
【0167】
図11では、つま先革106、甲周り、又は舌革の一部として、先芯104のすぐ後方にサイズ調整可能な生地の第2のパッチ105も例示している。
【0168】
この第2のパッチ105は、先芯104及びつま先革/甲周り/舌革に接続され得る。第2のパッチ105は、第1の組の糸がブーツの幅に実質的に沿って延びるように配向され得、それによってブーツ100の幅及び/又は高さが調整可能であり得る。
【0169】
第1のパッチ103のみ、第2のパッチ105のみ、又は両方のパッチ103、105を有する履物を提供することが考えられる。
【0170】
筒、特に使用者のふくらはぎに沿って部分的に又は全体的に延在する筒を有するブーツの場合、そのようなブーツは、非限定的な例として、乗馬ブーツ又はオートバイブーツなどの機能的ブーツ、及びファッションブーツ、特に女性用ブーツに提供され得る。
【0171】
スキーブーツ、作業ブーツ、又はハイキングブーツなどのショートブーツも、パッチ103、105のうちの一方又は両方を設けられ得る。
【0172】
パッチ103、104は、実際の靴ケーシングの一部として、及び/又は、例えばスラロームブーツにしばしば見られるような靴ライナー(図示せず)の一部として設けられ得る。
【0173】
かかと又は足首を越えて上方に延在しない靴は、第2のタイプのパッチ105を設けられ得る。
【0174】
パッチ103、105で構成されていない履物の一部は、革、ゴム若しくは強化ゴム、ポリマー材料若しくは強化ポリマー材料、又は生地(織布、不織布)などの材料で形成され得る。
【0175】
図12では、スキー又はオートバイに乗る際に使用するための背面プロテクター110の形態の保護服を例示する。
【0176】
背面プロテクター110は、2つ以上の保護体111、112を備え、それらは、衝撃を吸収及び/若しくは分散し、並びに/又は鋭利な物体若しくは刃の貫通に対して保護することを意図された比較的剛性の本体であり得る。
【0177】
上記で開示したようなサイズ調整可能な生地113のパッチは、保護体111と112との間の距離が調整可能であるように、保護体111と112との間に配置され得る。故に、保護服のサイズ調整可能性を提供することが可能であり、そのため、その保護能力を、個々の使用者毎に最適化することができる。
【0178】
保護服は、複数の保護体111、112を備え得るので、サイズ調整可能な生地のパッチ113は、保護体111と112との間の任意の境界領域に沿って配置され得、各そのようなパッチは、個々に制御可能であり得ることが理解される。いくつかのそのような境界領域にサイズ調整可能な生地を設け、それと同時に他の境界領域中に剛性又は弾性の生地を提供することも可能である。
【0179】
保護服のウエスト又は肩領域に1つ以上のパッチ115を設けて、使用者のそのような領域にも完全なフィットを可能にすることも可能である。
【0180】
保護服110は、背面プロテクター及び/又は正面プロテクターであり得る。
【0181】
例えば、アイスホッケー、スキー、オートバイ、及び乗馬で使用するための肩プロテクター、膝プロテクター、腕プロテクターなどの形態の保護服110を提供することも可能である。
【0182】
他の用途は、警察又は軍隊によって使用される暴動服、又は弾道保護服を含み得る。
【0183】
図13は、ブーツなどの履物用の、特にスラローム若しくはテレマークなどのスキー用の、又はスノーボード用のライニングの形態を取り得る履物120を概略的に例示する。そのようなライニングは、乗馬ブーツ、オートバイブーツ、ハンティングブーツ、ハイキングブーツ、レインブーツ(ウェリントン)又はファッションブーツなどであるがこれらに限定されない他のタイプの履物にも使用され得ることが理解される。
【0184】
履物120は、つま先部分121、かかと部分122、足首部分123、及び舌革部分124を有し得る。
【0185】
例えば、つま先部分121において、1つ以上のサイズ調整可能な生地パッチ又は材料部分126は、履物の長さが調整可能であるように、履物の長さ方向に対して実質的に平行な方向Da2に延在する第1の組の糸10aを設けられ得る。特に、履物の先芯は、着用者のつま先のために利用可能にされる空間が完全に調整され得るように、サイズ調整可能な生地から生産され得る。
【0186】
履物のつま先革又は甲周り部分にサイズ調整可能な生地のパッチ129を配置することも可能であり、その一方で、先芯は、従来の固定サイズ材料で形成される。第1の組の糸10aは、このことから、履物の長さ方向に対して実質的に平行な方向に延在し得、履物の長さは、履物の残りの部分に対する先芯の位置を調整することによって調整することができる。
【0187】
ライナー120の長さを調整することができるように、かかと部分122に1つ以上のサイズ調整可能な生地パッチ125を設けることも可能である。この目的のために、第1の組の糸10a(図5a~5bを参照)は、実質的に水平に延在し得る。
【0188】
ライナー120の足首幅を調整することができるように、足首部分123に1つ以上のサイズ調整可能な生地パッチ125を設けることも可能である。この目的のために、第1の組の糸10a(図5a~5bを参照)は、実質的に水平に延在し得る。
【0189】
一実施形態では、サイズ調整可能な生地パッチは、履物の中敷きから履口までなど、履物の背面全体に沿って延在し、その第1の組の糸10aは、実質的に水平に延在する。
【0190】
そのような履物は、第2の組の糸10bを通して電流を供給して、サイズ調整可能な生地を加熱し、使用者に履物をフィットさせることによって、使用者にフィットするように調整され得、それによって、第1の組の糸10aは、履物が使用者によって着用されている間に冷却されることを可能にされる。
【0191】
電力の供給は、履物が使用者によってフィットされる前に、又は履物が使用者によって着用されている間に行われ得る。
【0192】
上記で説明したような履物は、上記で説明したようなパッチ125、126、129のうちの1つ以上を設けられ得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] サイズ調整可能な織られた生地であって、
熱収縮ポリマー材料で各々形成された第1の組の糸(10a~10i)と、
導電性材料で形成された少なくとも1つの伝導性糸(20)と
を備え、前記第1の組の糸(10a~10i)は、互いと実質的に平行に延び、
前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)を実質的に横切って延びる、生地。
[2] 前記第1の組の糸(10a~10i)は、1組の経糸を形成し、前記伝導性糸(20)は、緯糸を形成する、[1]に記載の生地。
[3] 前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)に対して80~100度の角度で延在する、[1]又は[2]に記載の生地。
[4] 前記熱収縮ポリマー材料は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル(PVC)、フルオロカーボン系合成ゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エラストマー、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)から成る群から選択された少なくとも1つの材料を備える、[1]~[3]のうちのいずれか一項に記載の生地。
[5] 前記熱収縮ポリマー材料は、架橋され、その後伸長されたポリマー材料である、[1]~[4]のうちのいずれか一項に記載の生地。
[6] 少なくとも1つの非伝導性糸(40)を更に備え、それは、前記伝導性糸(20)と大部分は平行に延在する、[1]~[5]のうちのいずれか一項に記載の生地。
[7] 前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)全体を横切って延びる、[1]~[6]のうちのいずれか一項に記載の生地。
[8] 前記伝導性糸(20)は、前記第1の組の糸(10a~10i)の長さ方向に沿った少なくともあるセクションにおいて、前記第1の組の糸(10a~10i)の全ての糸よりも少なく横切って延びる、[1]~[6]のうちのいずれか一項に記載の生地。
[9] 前記第1の組の糸(10a~10i)の糸は、少なくとも2つの異なる長さを呈する、[1]~[8]のうちのいずれか一項に記載の生地。
[10] 少なくとも1つの伸長制限糸(41,41’)を更に備え、それは、前記第1の組の糸(10a~10i)と平行に延在し、前記伸長制限糸(41,41’)は、前記第1の組の糸(10a~10i)が収縮状態にあるとき、前記伝導性糸(20)の交差部分間に湾曲部分を呈する、[1]~[9]のうちのいずれか一項に記載の生地。
[11] 前記伝導性糸(20)は、経糸を形成し、前記第1の組の糸(10a~10i)は、緯糸を形成する、[1]に記載の生地。
[12] 着用可能な物品であって、
第1の柔軟性のある固定サイズ生地部分(3a,3b,30a,30b,35a,35b,50,60,70,80,90)と、
第2の柔軟性のある固定サイズ生地部分(3a,3b,30a,30b,35a,35b,50,60,70,80,90)と、
[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載のサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の柔軟性のある固定サイズ生地部分と前記第2の柔軟性のある固定サイズ生地部分との間に配置され、それらを接続するパッチと
を備え、前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記伝導性糸(20)よりも大きい角度で前記第1及び第2の柔軟性のある固定サイズ生地部分(3a,3b,30a,30b,35a,35b,50,60,70,80,90)のうちの少なくとも1つまで延在する、着用可能な物品。
[13] [1]~[11]のうちのいずれか一項に記載の生地のサイズを拡大する方法であって、
前記熱収縮ポリマー材料の伸長温度(T e )まで前記第1の組の糸(10a~10i)を加熱するのに十分な時間にわたって、前記伝導性糸(20)を通して電流を供給することと、前記伸長温度は、前記熱収縮ポリマー材料の融解温度(T m )から前記融解温度(T m )プラス200度までの範囲内にあり、
前記伸長温度(T e )に達したときに、前記第1の組の糸(10a~10i)の範囲と実質的に平行な方向に引張力を印加することと、
前記伸長温度(T e )を維持しながら、所望の第1の伸長度、好ましくは110~250%まで前記方向に前記生地を伸長させることと、
その後、前記熱収縮ポリマー材料の前記融解温度(T m )よりも少なくとも50度だけ低い温度まで、伸長された前記生地を冷却することを可能にすることと
を備える、方法。
[14] 前記熱収縮ポリマー材料の収縮温度(T c )まで前記第1の組の糸(10a~10i)を加熱するのに十分な時間にわたって、前記伝導性糸を通して電流を供給することと、前記収縮温度は、前記熱収縮ポリマー材料の前記融解温度(T m )マイナス50度から前記融解温度(T m )プラス10度までの範囲内にあり、
前記収縮温度(T c )を維持しながら、前記生地が収縮することを可能にすることと、
その後、前記熱収縮ポリマー材料の前記融解温度(T m )よりも少なくとも50度だけ低い温度まで、収縮された前記生地を冷却することを可能にすることと、
前記伸長温度(T e )まで前記第1の組の糸(10a~10i)を加熱するのに十分な時間にわたって、前記伝導性糸(20)を通して電流を供給することと、
前記伸長温度(T e )に達したときに、前記第1の組の糸(10a~10i)の範囲と実質的に平行な方向に引張力を印加することと、
前記伸長温度(T e )を維持しながら、所望の第2の伸長度、好ましくは110~250%まで前記方向に前記生地を伸長させることと、
その後、前記熱収縮ポリマー材料の前記融解温度(T m )よりも少なくとも50度だけ低い温度まで、伸長された前記生地を冷却することを可能にすることと
を更に備え、前記第2の伸長度は、前記第1の伸長度とは異なる、[13]に記載の方法。
[15] 前記伸長温度(T e )は、T m +0度~T m +5度、T m +5度~T m +10度、T m +10度~T m +15度、T m +15度~T m +20度、T m +20度~T m +30度、T m +30度~T m +40度、T m +40度~T m +50度、T m +50度~T m +60度、T m +60度~T m +80度、T m +80度~T m +100度、T m +100度~T m +125度、T m +125度~T m +150度、T m +150度~T m +175度、及びT m +175度~T m +200度から成る群から選択された範囲内にある、[13]又は[14]に記載の方法。
[16] 前記収縮温度(T c )は、T m -50度~T m -40度、T m -40度~T m -30度、T m -30度~T m -20度、T m -20度~T m -10度、T m -10度~T m 、T m ~T m +5度、及びT m +5度~T m +10度から成る群から選択された範囲内にある、[14]又は[15]に記載の方法。
[17] [1]~[11]のうちのいずれか一項に記載の生地のサイズを縮小する方法であって、
前記熱収縮ポリマー材料の収縮温度(T c )まで前記第1の組の糸(10a~10i)を加熱するのに十分な時間にわたって、前記伝導性糸(20)を通して電流を供給することと、前記収縮温度は、前記熱収縮ポリマー材料の融解温度(T m )マイナス50度から前記融解温度(T m )プラス10度までの範囲内にあり、
前記収縮温度(T c )を維持しながら、前記生地が収縮することを可能にすることと、
その後、前記熱収縮ポリマー材料の前記融解温度(T m )よりも少なくとも50度だけ低い温度まで、伸長された前記生地を冷却することを可能にすることと
を備える、方法。
[18] 履物であって、
第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分(101)と、
第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分(102)と、
[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載のサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と前記第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続するパッチ(103)と
を備え、前記パッチは、前記履物の筒部分に位置付けられ、
前記第1の組の糸(10a~10i)は、筒幅が調整可能であるように、前記履物の筒の円周方向に実質的に沿って延在する、履物。
[19] 履物であって、
第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分(104)と、
第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分(106)と、
[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載のサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と前記第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続するパッチ(105)と
を備え、前記パッチは、前記履物のつま先部分に位置付けられ、
前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記履物の幅及び/又は高さが調整可能であるように、前記履物の幅方向に実質的に沿って延在する、履物。
[20] 保護服であって、
第1の保護体(111)と、
第2の保護体(112)と、
[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載のサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の保護体(111)と前記第2の保護体(112)との間に配置され、それらを接続するパッチ(113)と
を備え、前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記保護体(111,112)間の距離が調整可能であるように、前記第1の保護体(111)と前記第2の保護体(112)との間に実質的に延在する、保護服。
[21] 履物であって、
第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分(101)と、
第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分(102)と、
[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載のサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と前記第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続するパッチ(103)と
を備え、前記パッチは、前記履物の後方部分に位置付けられ、
前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記履物の長さが調整可能であるように、前記履物の中敷きと実質的に平行な方向(Da1)に延在する、履物。
[22] 前記パッチは、前記中敷きから上方に、少なくとも前記履物のかかと部分を越えて、好ましくは実質的に前記履物の履口部分に延在する、[21]に記載の履物。
[23] 履物であって、
柔軟性のある固定サイズ材料部分(127)と、
[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載のサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記柔軟性のある固定サイズ材料部分(127)と接続された部分(126)と
を備え、前記部分(126)は、前記履物のつま先部分に位置付けられ、
前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記履物の長さが調整可能であるように、前記履物の長さ方向(Da2)に実質的に沿って延在する、履物。
[24] 履物であって、
第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分(127)と、
第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分(128)と、
[1]~[11]のうちのいずれか一項に記載のサイズ調整可能な生地(1,2,3,4,4’)で形成され、前記第1の柔軟性のある固定サイズ材料部分と前記第2の柔軟性のある固定サイズ材料部分との間に配置され、それらを接続するパッチ(129)と
を備え、前記パッチは、前記履物のつま先革又は甲周り部分に位置付けられ、
前記第1の組の糸(10a~10i)は、前記履物の長さが調整可能であるように、前記履物の中敷きと実質的に平行な方向(Da2)に延在する、履物。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13