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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】安全性を高めたバッテリーパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/581 20210101AFI20241209BHJP
   H01M 50/50 20210101ALI20241209BHJP
   H01M 50/522 20210101ALI20241209BHJP
   H01M 50/526 20210101ALI20241209BHJP
   H01M 50/251 20210101ALI20241209BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241209BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20241209BHJP
【FI】
H01M50/581
H01M50/50 101
H01M50/522
H01M50/526
H01M50/251
H01M50/249
H01M50/296
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023526117
(86)(22)【出願日】2022-08-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 KR2022012768
(87)【国際公開番号】W WO2023027535
(87)【国際公開日】2023-03-02
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0113529
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0106420
(32)【優先日】2022-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】サン-ヒョン・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-フ・オ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ミン・オク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-ボム・チョ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ゴン・ホン
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112310575(CN,A)
【文献】特開2019-140083(JP,A)
【文献】特開2019-160774(JP,A)
【文献】特開2019-160772(JP,A)
【文献】中国実用新案第205645964(CN,U)
【文献】特開2010-257811(JP,A)
【文献】特表2014-519153(JP,A)
【文献】国際公開第2020/090492(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-598
H01M 50/20-392
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つ以上のバッテリーセル及びモジュール端子を備えるバッテリーモジュールと、
前記バッテリーモジュールの外部の少なくとも一部をカバーし、少なくとも一側にパック端子が設けられるパックケースと、
前記モジュール端子と前記パック端子との間、または前記モジュール端子間に接続されて電力経路を提供し、前記バッテリーモジュールから排出されるベントガスによって前記電力経路を遮断する安全バスバーと、
を含み、
前記安全バスバーは、少なくとも前記バッテリーモジュールから排出されるベントガスが向かう部分に2種類以上の金属層を含み、前記金属層は、第1金属層および前記第1金属層よりも融点および電気伝導率が低い第2金属層を含む
バッテリーパック。
【請求項2】
前記安全バスバーは、前記バッテリーモジュールからベントガスが排出される部分に配置される、
請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
複数の前記バッテリーモジュールを含み、少なくとも一方向に積層し、
前記安全バスバーは、前記バッテリーモジュールの積層方向に沿って長く延びる、
請求項1または2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
複数のバッテリーモジュールは、左右方向に並んで配置されており、ベントガスが前方または後方に排出されるように構成され、
前記安全バスバーは、複数のバッテリーモジュール積層体の前方または後方に配置される、
請求項3に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記安全バスバーは、前記第1金属層及び前記第2金属層が互いに接合されてなる、
請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記安全バスバーは、なくとも前記第2金属層が前記ベントガスにより溶融可能に構成される、
請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記安全バスバーは、前記第2金属層前記第1金属層よりも厚く形成される、
請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記安全バスバーは、前記第1金属層が複数の層で形成される、
請求項に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
請求項1または2に記載のバッテリーパックを含む、エネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
請求項1または2に記載のバッテリーパックを含む、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年8月26日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0113529号及び2022年8月24日付け出願の韓国特許出願第10-2022-0106420号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面における開示内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーに関し、さらに詳しくは、熱暴走(thermal runaway)などの事象(イベント)が発生した場合に安全性が向上できるバッテリーパックとこれを含むエネルギー貯蔵システムなどに関する。
【背景技術】
【0003】
近年、スマートフォン、スマートパッドなどのような携帯用電子製品の需要が急増し、ロボット、電気自動車などの商用化が本格化するにつれて、繰り返して充放電可能な高性能二次電池に対する研究が盛んに行われている。
【0004】
現在、商用化されている二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などが挙げられる。特に、リチウム二次電池は、ニッケル系列の二次電池に比べてメモリー効果が殆ど起きないため充放電が自在であり、自己放電率が非常に低くエネルギー密度が高いという利点で脚光を浴びている。
【0005】
二次電池は単独で使用されることもあるが、一般的には複数の二次電池が互いに電気的に直列及び/又は並列に接続されて構成される場合が多い。特に、複数の二次電池は、互いに電気的に接続された状態で一つのモジュールケース内に収納されて、一つのバッテリーモジュールを構成することができる。さらに、バッテリーモジュールは、単独で使用されてもよいし、または2つ以上が互いに電気的に直列及び/又は並列に接続されて、バッテリーパックなどのより上位レベルの装置を構成することができる。ここで、バッテリーモジュールとバッテリーパックを混用して使用することもできる。
【0006】
近年、電力不足や環境にやさしいエネルギーなどの問題が顕在化する中、生産された電力を貯蔵するためのエネルギー貯蔵システム(ESS;Energy Storage System)が多くの注目を集めている。代表的に、このようなエネルギー貯蔵システムを利用すると、スマートグリッドシステム(Smart Grid System)などの電力管理システムを構築しやすく、特定の地域や都市などにおける電力需給を容易に調整することができる。また、電気自動車の商用化が本格化していることから、電気自動車の充電が可能な充電ステーション(電気充電所)にもこのようなエネルギー貯蔵システムが適用され得る。
【0007】
このようなエネルギー貯蔵システムなどに使用されるバッテリーパックの場合、パックケースの内部空間に一つ以上、特に複数のバッテリーモジュールを収容することができる。また、バッテリーパックは、パックケースの少なくとも一側に設けられたパック端子を介して、外部の構成要素、例えば、外部の充放電装置や他のバッテリーパックなどに接続され得る。このとき、バッテリーパックの内部には、パック端子とモジュール端子との間に接続されて電力を供給するための経路として、パワーケーブルや銅バスバーなどが設けられもよい。特に、複数のバッテリーモジュールが含まれ、正極パック端子と負極パック端子の全てが同じ側面に位置する場合、パック端子が位置する部分から遠い位置にあるバッテリーモジュールのモジュール端子は、パワーケーブルなどが長く延びていてパック端子と接続され得る。
【0008】
しかしながら、このような構成では、特定のバッテリーモジュールで熱暴走(thermal runaway)などの熱事象が発生すると、ベントガスが当該バッテリーモジュールから排出され可能性がある。このとき、バッテリーモジュールから排出されるベントガスは、例えば、約950℃などの高温状態にある可能性がある。さらに、このようなベントガスは、スパークや溶融した電極吐出物、火炎などを含むことができる。
【0009】
このように高熱を有するベントガスが排出されると、バッテリーパック内のパワーケーブルなどの電気的接続部品がベントガスによって損傷を受ける可能性がある。そして、このような損傷により、短絡(short)などの問題が発生する可能性がある。特に、パワーケーブルの場合、銅線が絶縁体で被覆された形態で構成され、高温のベントガスにより被覆層が溶融し、内部の銅線が外部に露出することがある。このとき、パワーケーブルの銅線がバッテリーパックの導電体に接触すると、短絡が発生するおそれがある。さらに、バッテリーパックのパックケースは、スチールなどの導電性金属材質でできていてもよいが、ベントガスの流れや振動等により、パワーケーブルがパックケースに接触すると短絡が発生する場合がある。また、このような短絡は、バッテリーパックの故障や損傷をもたらすことはもとより、発火の原因となり、重大な事故につながる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、熱暴走などにより内部で高温ガス等が発生した場合でも安全性を確保できるバッテリーパック及びこれを含む応用装置などを提供することを目的とする。
【0011】
しかしながら、本発明が解決しようとする課題は、上述した課題に限定されるものではなく、言及されていないさらに他の課題は、後術する発明の説明から当業者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明の一態様に係るバッテリーパックは、一つ以上のバッテリーセル及びモジュール端子を備えるバッテリーモジュールと、前記バッテリーモジュールの外部の少なくとも一部をカバーし、少なくとも一側にパック端子が設けられるパックケースと、前記モジュール端子と前記パック端子との間、または前記モジュール端子間に接続されて電力経路を提供し、前記バッテリーモジュールから排出されるベントガスによって前記電力経路を遮断する安全バスバーと、を含む。
【0013】
ここで、前記安全バスバーは、前記バッテリーモジュールからベントガスが排出される部分に配置されてもよい。
【0014】
また、複数の前記バッテリーモジュールを含み、少なくとも一方向に積層し、前記安全バスバーは、前記バッテリーモジュールの積層方向に沿って長く延びるように形成されてもよい。
【0015】
さらに、複数のバッテリーモジュールは、左右方向に並んで配置されており、ベントガスが前方または後方に排出されるように構成され、前記安全バスバーは、複数のバッテリーモジュール積層体の前方または後方に配置されてもよい。
【0016】
さらにまた、前記安全バスバーは、2種類以上の異なる金属を含んでいてもよい。
【0017】
さらにまた、前記安全バスバーは、前記2種類以上の異なる金属が互いに接合されて構成されてもよい。
【0018】
さらにまた、前記安全バスバーは、前記2種類以上の異なる金属のうちの少なくとも1種類の金属が前記ベントガスにより溶融可能に構成されてもよい。
【0019】
さらにまた、前記安全バスバーは、融点の異なる2種類以上の金属層を含み、融点の低い金属層が融点の高い金属層よりも厚く形成されてもよい。
【0020】
さらにまた、前記安全バスバーは、前記融点の高い金属層が複数の層で形成されてもよい。
【0021】
また、上記目的を達成するための本発明の他の態様に係るエネルギー貯蔵システムは、本発明に係るバッテリーパックを含む。
【0022】
さらに、上記目的を達成するための本発明のまた他の態様に係る自動車は、本発明に係るバッテリーパックを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、熱暴走(thermal runaway)などの事象により内部でベントガスなどが発生した場合でも安全性を確保したバッテリーパックを提供することができる。
【0024】
特に、本発明の一態様によれば、バッテリーモジュールから排出されたベントガスなどによりパワー接続部品に損傷が発生して短絡が生じることをより効果的に防止することができる。
【0025】
したがって、本発明のこの態様によれば、内部短絡による2次発火の発生などの危険要素を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであり、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解するのに役にたつが、本発明は、そのような図面に記載されている事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【0027】
図1】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの構成を概略的に示す斜視図である。
図2図1の一部の構成要素の分解斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックに含まれる一つのバッテリーモジュールを示す斜視図である。
図4図3の一部の構成要素を分離又は除去して示す部分斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの構成を上から見た断面図である。
図6図5のA1部分の拡大斜視図である。
図7図6の構成において、ベントガスにより安全バスバーが切断された構成を概略的に示す図ある。
図8】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの前端部の構成を概略的に示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係る安全バスバーの構成を上から見た概略断面図である。
図10】本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの一部の構成要素を概略的に示す断面図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る安全バスバーの一部の構成要素を概略的に示す斜視図である。
図12】本発明のまた他の実施形態に係る安全バスバーの一部の構成要素を概略的に示す斜視図である。
図13】本発明のまた他の実施形態に係る安全バスバーの一部の構成要素を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0029】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの構成を概略的に示す斜視図であり、図2は、図1の一部の構成要素の分解斜視図である。
【0031】
図1及び図2を参照すると、本発明に係るバッテリーパックは、バッテリーモジュール100、パックケース200及び安全バスバー300を含む。
【0032】
前記バッテリーモジュール100は、エネルギーを貯蔵及び放出するための一つ以上のバッテリーセルを備えていてもよい。ここで、各バッテリーセルは、二次電池を意味し得る。また、一つ以上のバッテリーモジュール100をバッテリーパックに含めることができる。特に、バッテリーパックの容量及び/又は出力などを向上させるために、図1及び図2に示すように、複数のバッテリーモジュール100がバッテリーパックに含まれてもよい。このとき、複数のバッテリーモジュール100は、少なくとも一方向に配置されてもよい。一例として、図1及び図2は、8個のバッテリーモジュール100がX軸方向に配置された形態を示している。
【0033】
このようなバッテリーモジュール100のより具体的な構成の一例を、図3及び図4により詳細に示す。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパックに含まれる一つのバッテリーモジュール100を示す斜視図である。また、図4は、図3の一部の構成要素を分離又は除去して示す部分斜視図である。
【0035】
図3及び図4を参照すると、前記バッテリーモジュール100は、バッテリーセル110(二次電池)を備えていてもよい。
【0036】
ここで、バッテリーセル110は、電極組立体、電解液(電解質)及び電池ケースを備えていてもよい。図3及び図4には、パウチ型二次電池が示されているが、二次電池の他の形態、例えば、円筒形電池や角形電池がバッテリーモジュール100に含まれてもよい。
【0037】
このような二次電池は複数含まれていてもよい。例えば、図に示すように、複数のパウチ型二次電池を横にした状態で上下方向に積み重ねた形態で電池アセンブリを構成してもよい。このとき、各電池の電極リード111は互いに直接接触するか、バスバーなどを介して電気的に接続され得る。
【0038】
また、前記バッテリーモジュール100は、モジュール端子140を備えていてもよい。例えば、バッテリーモジュール100では、各バッテリーセル110の電極リード111が前側及び/又は後側に位置し、モジュール端子140がこのような電極リード111と電気的に接続されて位置してもよい。特に、モジュール端子140は、バッテリーモジュール100の前側及び/又は後側に位置し、前方及び/又は後方に突出していてもよい。さらに、各バッテリーモジュール100は、モジュール端子140として正極モジュール端子140(+)および負極モジュール端子140(-)を備えていてもよい。このとき、正極モジュール端子140(+)および負極モジュール端子140(-)は、バッテリーモジュール100の同じ側面、例えば、図に示すように前側(-Y軸方向)に位置してもよい。このようなモジュール端子140により、バッテリーモジュール100に含まれる二次電池(バッテリーセル110)を、バッテリーモジュール100の外部の他の構成要素、例えば、他のバッテリーモジュール100に電気的に接続することができる。
【0039】
前記パックケース200は、バッテリーモジュール100の外側の少なくとも一部をカバーするように構成されてもよい。さらに、パックケース200は、内部空間を画定し、そのような内部空間に一つまたはそれ以上のバッテリーモジュール100を収容するように構成されてもよい。すなわち、パックケース200は、一つ以上のバッテリーモジュール100の外側の少なくとも一部を取り囲むように構成されてもよい。例えば、前記パックケース200は、図1及び図2に示すように、前ケース210、後ケース220及び左ケース230を備え、複数のバッテリーモジュール100積層体の前端部、後端部及び左側部をカバーするように構成されてもよい。また、前記パックケース200は、右ケース、上ケース及び/又は下ケースを備え、バッテリーモジュール100積層体の右側、上部及び/又は下部をカバーするように構成されてもよい。
【0040】
このとき、パックケース200の少なくとも一側にはパック端子201が備えられてもよい。このようなパック端子201は、バッテリーパックに対して外部の充電装置や放電装置と電力を送受信できる端子として機能することができる。すなわち、パック端子201は、バッテリーパック内部の各バッテリーモジュール100に対して充電電力を供給したり、各バッテリーモジュール100からの電力を外部に放電したりできる端子であってもよい。このようなパック端子201は、正極パック端子201(+)と負極パック端子201(-)とを備えていてもよい。特に、正極パック端子201(+)及び負極パック端子201(-)は、バッテリーパックの同じ側面に位置してもよい。例えば、図1及び図2に示すように、バッテリーパックの正極パック端子201(+)及び負極パック端子201(-)は、左ケース230に位置してもよい。
【0041】
前記パックケース200の少なくとも一部分は、機械的剛性などを確保して内部の構成要素を保護するためにスチールなどの材質で構成されてもよい。さらに、前記パックケース200の少なくとも一部がダクトとして機能してもよい。例えば、図1及び図2の構成において、前ケース210はダクトとして機能し得る。このとき、パックケース200の少なくとも一側には、図1のH1で示されるように、ダクトと連通する排出口が形成されてもよい。したがって、前ケース210側に排出されたベントガスは、前ケース210の内面に沿って流れた後、排出口H1を通じてパックケース200の外部に排出され得る。このとき、ベントガス自体が高温であるだけでなく、高温の活物質粒子や火炎などをも含んでいてもよい。したがって、前ケース210は、スチールなどの材質で構成され、このような高温の物質にも十分に耐えるように構成されてもよい。但し、このようなパックケース200は、他の様々な材質や形態で構成されてもよい。また、パックケース200は、部分的に異なる材質で構成されてもよい。
【0042】
前記安全バスバー300は、バッテリーパックにおいて電力経路を提供する部品(構成要素)として含まれてもよい。また、一つ以上の安全バスバー300がバッテリーパックに備えられてもよい。
【0043】
特に、前記安全バスバー300は、バッテリーモジュール100に設けられたモジュール端子140と、パックケース200に設けられたパック端子201との間に接続されてもよい。また、安全バスバー300は、バッテリーモジュール100とパック端子201との間で充電電力や放電電力が移動できる電気的経路を提供し得る。例えば、安全バスバー300の両端は、一つ以上のバッテリーモジュール100の負極モジュール端子140(-)と、パックケース200の負極パック端子201(-)とにそれぞれ接続されてもよい。
【0044】
または、前記安全バスバー300は、複数のバッテリーモジュール100がパックケース200内部に含まれる場合、複数のバッテリーモジュール100のそれぞれに設けられたモジュール端子140の間に接続され、バッテリーモジュール100の間が直列及び/又は並列に接続されてもよい。例えば、安全バスバー300の両端は、一つ以上のバッテリーモジュール100の正極モジュール端子140(+)と、他の一つ以上のバッテリーモジュール100の負極モジュール端子140(-)との間にそれぞれ接続されてもよい。
【0045】
前記安全バスバー300は、電力経路を提供するために電気伝導性(導電性)材質を備えていてもよい。例えば、前記安全バスバー300は、電気伝導性を有する金属材質から構成されてもよい。また、前記安全バスバー300は、他の部品と接触しないように電気絶縁材質を有していてもよい。例えば、前記安全バスバー300は、電気絶縁性を有するプラスチック材質を備え、金属材質の外側を覆うように構成されてもよい。さらに、前記安全バスバー300は、金属板がポリマー材質で包まれた形態で柔軟性を有するフレキシブルバスバーの形態で具現されてもよい。
【0046】
特に、本発明に係るバッテリーパックにおいて、前記安全バスバー300は、電力経路を提供するが、ベントガスによって電力経路を遮断するように構成されてもよい。すなわち、バッテリーパックに含まれる一つ又はそれ以上のバッテリーモジュール100から熱暴走などによりベントガスが発生すると、安全バスバー300は、このようなベントガスによって電力経路を遮断するように構成されてもよい。さらに、バッテリーパックが複数の安全バスバー300を含む場合、安全バスバー300の全部または一部は、このようにベントガスによって電力経路が遮断されるように構成されてもよい。
【0047】
本発明のこのような構成によれば、バッテリーモジュール100からベントガスが発生するときのバッテリーパックの安全性を向上させることができる。さらに、バッテリーモジュール100からベントガスが発生する状況は、異常な状況であると言える。このような異常な状況で安全バスバー300の電力経路が遮断されると、バッテリーパックへの充放電電力の接続が遮断される可能性がある。したがって、異常なバッテリーパックを充電または放電し続けることによって発生する可能性のあるリスク要因を遮断または軽減することができる。
【0048】
一方、本発明に係るバッテリーパックは、安全バスバー300に加えて、一般的な形態のパックバスバーをさらに含んでいてもよい。例えば、複数のバッテリーモジュール100が含まれる場合、バッテリーモジュール100間を接続するバスバーの場合、安全バスバー300ではない一般的な形態、例えば、一つの銅板からなる形態を有していてもよい。また、負極パック端子201(-)側に安全バスバー300がパックバスバーとして採用された場合、正極パック端子201(+)側には通常のパックバスバー、すなわち、銅板からなる一般的な形態のパックバスバーが採用されてもよい。
【0049】
前記安全バスバー300は、バッテリーモジュール100からベントガスが排出される部分に配置されてもよい。これについては、先の図1図4と共に図5及び図6をさらに参照してより詳細に説明する。
【0050】
図5は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの構成を上部から見た断面図である。なお、図6は、図5のA1部分の拡大斜視図である。但し、図6では、図示の便宜上、パックケース200の図示を省略している。
【0051】
図5及び図6を参照すると、いずれか一つのバッテリーモジュール100の内部でベントガスが発生すると、ベントされたガスは、矢印で示すように、前方側に向かって-Y軸方向に排出され得る。また、このようにベントガスが排出される経路であるバッテリーモジュール100の前方側には、安全バスバー300が位置してもよい。
【0052】
特に、前記バッテリーモジュール100は、図3及び図4に示すように、モジュールケース120及びバスバーアセンブリー130を備えていてもよい。
【0053】
ここで、モジュールケース120は、内部空間に一つ以上の二次電池を収容するように構成されてもよい。例えば、モジュールケース120は、図に示すように、上プレート121、下プレート122、側プレート123及び後プレート124を備えていてもよい。また、このような複数のプレートを互いに結合することにより、限られた内部空間に電池アセンブリを収容することができる。
【0054】
ここで、モジュールケース120に含まれる一部のプレート、例えば、下プレート122と側プレート123とを一体化して構成してもよい。この場合、下プレート122と側プレート123との一体形状は、略U字状であってもよい。または、下プレート122と側プレート123(左プレート、右プレート)と上プレート121とを一体化した管状のモノフレーム状に構成してもよい。このようなモジュールケース120の各プレートは、互いに結合された状態で内部空間を限定することができる。また、このような内部空間にセルアセンブリーを収容してもよい。
【0055】
前記モジュールケース120は、少なくとも一側が開放されてもよい。また、このような開放部分にセルアセンブリーの電極リード111が位置してもよい。
【0056】
特に、バッテリーモジュール100は、モジュールケース120の開放部分に結合されるバスバーアセンブリー130を備えていてもよい。例えば、図3及び図4に示すように、バスバーアセンブリー130は、モジュールケース120の前方開放部に結合されてもよい。このようなモジュールケース120の前部には、電池アセンブリの電極リード111が位置してもよい。また、バスバーアセンブリー130は電極リード111と結合されてもよい。より具体的な例として、バスバーアセンブリー130は、図3及び図4に示すように、バスバーハウジング131及びモジュールバスバー132を備えていてもよい。
【0057】
ここで、バスバーハウジング131は、電気絶縁性素材、例えば、プラスチック材質から構成されてもよい。また、バスバーハウジング131は、モジュールバスバー132が載置されて固定されるように構成されてもよい。また、モジュールバスバー132は、電気伝導性材質、例えば、金属材質から構成されてもよい。また、モジュールバスバー132は、二つ以上の電極リード111を電気的に接続するか、一つ以上の電極リード111に接続されて、バッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)などの制御ユニットにセンシング情報を伝達するように構成されてもよい。
【0058】
このように、本発明に係るバッテリーパックに含まれるバッテリーモジュール100の場合、特定の部分、例えば、バスバーアセンブリー130が位置する前方側のみが開放され、それ以外の部分は密閉されてもよい。この場合、バッテリーモジュール100の内部でベントガスなどが発生すると、ベントガスなどは、モジュールケース120の開放部分、例えば、バスバーアセンブリー130が位置する前方側にのみ排出されるように誘導され得る。特に、バスバーアセンブリー130には、電極リード111が通過できるようにスリットが形成されてもよい。このとき、モジュール内部のガス、スパーク、火炎などは、このようなバスバーアセンブリー130のスリットを通じて、図5及び図6に矢印で示すように、モジュールケース120の外部に排出され得る。
【0059】
また、このようにバッテリーモジュール100からベントガスが排出される部分には、安全バスバー300が位置してもよい。したがって、本発明に係るバッテリーパックにおいて、各バッテリーモジュール100は、モジュールケース120およびバスバーアセンブリー130の構成により、内部で発生したベントガスを安全バスバー300側に誘導するように構成されていると言える。すなわち、安全バスバー300は、バッテリーモジュール100からベントガスが排出できるように開放部分に位置すると言える。また、このように、ベントガスが安全バスバー300側に誘導されて排出される場合、安全バスバー300は、電力経路がベントガスの温度及び/又は圧力によって遮断され得る。
【0060】
特に、安全バスバー300は、少なくとも一部がベントガスによって切断されるように構成されてもよい。これについては、図7をさらに参照してより詳細に説明する。
【0061】
図7は、図6の構成において、ベントガスにより安全バスバー300が切断された構成を概略的に示す図である。
【0062】
図6と共に図7を参照すると、ベントガスがバッテリーモジュール100の前方側、特にバスバーアセンブリー130側に排出されるとき、バスバーアセンブリー130の前方側に位置する安全バスバー300に高温のベントガスが高い圧力で排出され得る。また、このようなベントガスの高温及び高圧により、安全バスバー300の該当部分が除去されて切断される可能性がある。特に、安全バスバー300は、ベントガスの排出により所定部分が粉砕されて除外される可能性がある。
【0063】
この場合、安全バスバー300の切断により、電力経路を遮断する効果を安定的に確保することができる。さらに、この場合、安全バスバー300の所定部分、特に電気伝導性を有する部分も微粒子状に完全に除去され得る。これにより、切断された安全バスバー300が導電体であるパックケース200や他の極性の電極端子などに接触することで生じる短絡(ショート)を防止することができる。
【0064】
また、前記安全バスバー300は、少なくとも一部分がバッテリーモジュール100やパックケース200に固定されていてもよい。例えば、前記安全バスバー300は、複数のバッテリーモジュール100のモジュールケース120やバスバーアセンブリー130に固定されていてもよい。この場合、ベントガスの噴出圧力にかかわらず安全バスバー300の位置を固定することができ、ベントガスによる部分除去過程をより円滑に行うことができる。
【0065】
一方、上述したように、本発明に係るバッテリーモジュール100の場合、前方側のみが開放形態に構成されてもよいが、後方側も前方側と共に開放形態に構成されてもよい。この場合、図3のバッテリーモジュール100の構成において、後プレート124の代わりに、バスバーアセンブリー130が含まれてもよい。なお、この場合、パックケース200の後ケース220は、前ケース210と同様にダクトとして機能することができる。
【0066】
図8は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの前端部の構成を概略的に示す図である。
【0067】
図1図2及び図5と共に図8を参照すると、本発明に係るバッテリーパックは、複数のバッテリーモジュール100を含んでいてもよい。このとき、複数のバッテリーモジュール100は、少なくとも一方向に積層されてもよい。例えば、図8を含む複数の図面に示すように、バッテリーパックは、水平方向、特に左右方向(X軸方向)に並んで配置された8個のバッテリーモジュール100を含んでいてもよい。
【0068】
ここで、前記安全バスバー300は、バッテリーモジュール100の積層方向に沿って長く延びていてもよい。すなわち、バッテリーモジュール100が水平方向に並んで配置された場合、前記安全バスバー300は、水平方向に長く延びていてもよい。例えば、図8などに示すように、安全バスバー300は、バッテリーモジュール100の積層方向である左右方向(X軸方向)に沿って長く延びていてもよい。
【0069】
さらに、安全バスバー300を使用して、パック端子201とモジュール端子140との間に接続して電力経路を提供することができる。このとき、パックケース200の一側に位置するパック端子201から最も離れた位置にあるバッテリーモジュール100のモジュール端子140とパック端子201とを互いに接続する必要がある。このような接続構成では、本発明に係る安全バスバー300を使用することができる。
【0070】
例えば、図8の構成において、パック端子201は、バッテリーパックの左側端部に位置してもよい。このとき、バッテリーパックの最も右側に積層されたバッテリーモジュール100のモジュール端子140の一つを、パック端子201に接続する必要がある。このとき、安全バスバー300は、バッテリーパックの左側に位置するパック端子201と、バッテリーパックの右側に位置するバッテリーモジュール100のモジュール端子140との間を接続するために、左右方向に長く延びるように構成されてもよい。より具体的な例として、安全バスバー300は、左側に位置する負極パック端子201(-)と、最右側に配置されるバッテリーモジュール100の負極モジュール端子140(-)との間を接続する形で設けられてもよい。
【0071】
さらに、左右方向に並んで配置された複数のバッテリーモジュール100のそれぞれは、ベントガスを前方または後方に排出するように構成されてもよい。例えば、図8などの構成において、8個のバッテリーモジュール100のそれぞれは、図3図6などで上述したように、バスバーアセンブリー130が位置する前方側は開放されており、このような開放部分を通じてベントガスを前方(-Y軸方向)に排出することができる。
【0072】
このとき、安全バスバー300は、複数のバッテリーモジュール100の積層体の前方側または後方側に配置されてもよい。例えば、図8などの構成に示すように、一つの安全バスバー300は、8個のバッテリーモジュール100全体に対して前方側または後方側に配置されてもよい。特に、各バッテリーモジュール100から前方側にベントガスが排出される場合、安全バスバー300は、左右方向に長く延びるように構成され、8個のバッテリーモジュール100の前方側に配置されてもよい。すなわち、安全バスバー300は、バッテリーモジュール100における、ベントガスが排出される開放部分外側に配置されてもよい。さらに、ベントガスが各バッテリーモジュール100からバスバーアセンブリー130のスリット側に排出される場合、安全バスバー300は、バスバーアセンブリー130の外側、例えば、バスバーアセンブリー130のスリット前方側に配置されてもよい。
【0073】
本発明のこの実施形態の構成によれば、バッテリーパックに含まれる複数のバッテリーモジュール100のうちのいかなるバッテリーモジュール100でベントガスが発生しても、ベントガスによって安全バスバー300を切断することができる。したがって、この場合、一つの安全バスバー300で、複数のバッテリーモジュール100のベンティング時の安全性を確保するための構成を効果的に実現することができる。
【0074】
図9は、本発明の一実施形態に係る安全バスバー300の構成を上から見た概略断面図である。例えば、図9は、図7のA3-A3’線に沿った断面構成を示す図といえる。
【0075】
図9を参照すると、前記安全バスバー300は、2種類以上の異なる金属を含んで構成されてもよい。特に、前記安全バスバー300は、融点の異なる2種類以上の金属を含んでいてもよい。また、前記安全バスバー300は、電気伝導率(導電率)の異なる2種類以上の金属を含んでいてもよい。
【0076】
例えば、前記安全バスバー300は、図9における、M1で示される部分の第1金属と、M2で示される部分の第2金属とを含んでいてもよい。このとき、第2金属は、第1金属よりも融点が低く、電気伝導率が低い金属であってもよい。より具体的な例として、前記安全バスバー300は、銅及びアルミニウムを含んでいてもよい。
【0077】
本発明のこの実施形態の構成によれば、融点及び電気伝導率の高い金属、例えば、銅材質を用いて安全バスバー300自体の電力伝送機能を一定以上に維持することができる。また、安全バスバー300に含まれる、融点及び電気伝導率の低い金属の場合、ベントガスによって熱が加えられると、溶融して安全バスバー300から離脱または除去されることにより、安全バスバー300が切断されて電力経路遮断及び短絡防止機能を安定して発揮することができる。したがって、この場合、安全バスバー300は、平常時には電力伝送機能を安定して発揮し、非常時には電力遮断及び短絡防止機能を安定して発揮することができる。
【0078】
さらに、前記安全バスバー300は、2種類以上の異なる金属が接合された形態で構成されてもよい。特に、前記安全バスバー300は、2種類以上の金属板が互いに面接触した状態で接合されて構成されてもよい。この場合、安全バスバー300は、2種類以上の金属を有するクラッドメタルで構成されていると言える。
【0079】
例えば、図9の構成を参照すると、前記安全バスバー300は、第1金属板と第2金属板とが接合されて構成されてもよい。ここで、第1金属板は、銅製の金属板、すなわち、銅板であってもよく、第2金属板は、アルミニウム製の金属板、すなわち、アルミニウム板であってもよい。このとき、安全バスバー300は、銅とアルミニウムからなるクラッドメタルを有すると言える。
【0080】
本発明のこの実施形態の構成によれば、異なる種類、特に融点などの異なる2種類以上の金属板を用いて、電力伝送機能、電力遮断機能及び短絡防止機能の全てを容易に容易に実現することができる。
【0081】
また、前記安全バスバー300は、2種類以上の異なる金属を含む場合、少なくとも1種類の金属がベントガスによって溶融し得る。例えば、安全バスバー300に含まれる少なくとも1種類の金属は、ベントガスの温度よりも低い融点を有する材質でできていてもよい。より具体的な例として、バッテリーパックに含まれるバッテリーモジュール100からベントガスが発生するとき、ベントガスの温度が約950℃である場合、第2金属板としては、これよりも融点の低い金属材質を使用することができる。例えば、第2金属板は、約660℃の融点を有するアルミニウム材質から形成され得る。したがって、この場合、バッテリーモジュール100からのガスベンティング時に、第2金属板は、ベントガスによって溶融しやすい。さらに、第2金属板の溶融物は、ベントガスの圧力によって安全バスバー300から離脱し得る。
【0082】
このとき、第1金属板は、第2金属板よりも融点の高い材質からなっていてもよい。特に、第1金属板は、約1084℃の融点を有する銅材質からなっていてもよい。このような銅製の第1金属板の融点はベントガスの温度よりも多少高いとしても、第2金属板の存在によって厚さが厚くない場合がある。したがって、第1金属板もベントガスによって粉砕されて除外される可能性がある。
【0083】
さらに、前記安全バスバー300は、融点の異なる2種類以上の金属層を含むとき、融点の低い金属層が融点の高い金属層よりも厚く形成されてもよい。言い換えれば、安全バスバー300では、融点の高い金属層が融点の低い金属層よりも薄く形成されてもよい。
【0084】
例えば、図9の実施形態において、第1金属板(第1金属層M1)の厚さをT1とし、第2金属板(第2金属層M2)の厚さをT2とするとき、T1及びT2が次の関係を有するように安全バスバー300を設計することができる。
【0085】
T1<T2.
【0086】
さらに、第1金属板は、内側金属板M11と外側金属板M12の2つの層で形成されてもよい。このとき、内側金属板M11の厚さをT11とし、外側金属板M12の厚さをT12とするとき、第1金属板M1の厚さT1は、内側金属板M11の厚さT11と外側金属板M12の厚さT12との和となる。このとき、第2金属板M2は、このような内側金属板M11と外側金属板M12の厚さとの和よりも大きい厚さを有することができる。
【0087】
また、第2金属板の厚さは、第1金属板の厚さの2倍以上、さらに3~4倍以上、さらにまた7~8倍以上であってもよい。例えば、第1金属板として銅板を使用し、第2金属板としてアルミニウム板を使用する場合、銅板の厚さT1は0.05mmであり、アルミニウム板の厚さT2は0.45mmであってもよい。
【0088】
本発明のこのような構成によれば、安全バスバー300による電力伝送、遮断機能及び短絡防止機能などをより安定的に確保することができる。すなわち、前記実施形態の構成によれば、電力伝送機能を向上させるために、融点は高いが電気伝導性が良好な第1金属板を安全バスバー300に含めても、融点の低い第2金属板を相対的に多く含むことができる。したがって、非常時には、ベントガスによって安全バスバー300の電力遮断及び短絡防止機能をより効果的に達成することができる。
【0089】
一方、前記安全バスバー300は、絶縁層Pをさらに含み得る。このような絶縁層Pは、電気絶縁性を有する材質、例えば、プラスチック材質からなり、安全バスバー300の外側に位置してもよい。例えば、図9に示すように、絶縁層Pは、第1金属層M1及び第2金属層M2を包むように構成されてもよい。したがって、図9の実施形態に示す断面構成の場合、安全バスバー300は、内側絶縁層P、第1金属層M1(内側金属板)、第2金属層M2、第1金属層M1(外側金属板)、及び外側絶縁層Pを含んでいてもよい。
【0090】
このように、安全バスバー300の外側が絶縁層Pで包まれる形態によれば、平常時には第1金属層M1及び第2金属層M2などの導電体が外部に露出することがない。したがって、平常時には、安全バスバー300とその周辺の導電体との接触による漏電や短絡の問題を防止することができる。ただし、このような絶縁層Pは、ベントガスによって溶融することができる。それにしても、本発明の前記実施形態の構成によれば、ベントガスによって内部に含まれる金属層まで溶融または粉砕されて除去されるので、安全バスバー300による短絡防止機能をより安定的に確保することができる。
【0091】
前記安全バスバー300は、高融点金属層が複数の層で形成されてもよい。例えば、図9の実施形態で上述したように、融点が相対的に高い第1金属板(第1金属層M1)、例えば、銅板は複数の層で形成されてもよい。すなわち、図9の実施形態において、第1金属板は銅板であり、内側銅板と外側銅板とを有すると言える。
【0092】
特に、このような複数の第1金属板を低融点の第2金属板の両面に配置してもよい。例えば、安全バスバー300は、一つのアルミニウム層とその両面に位置する2つの銅層とを金属層として有する形態で構成されてもよい。
【0093】
本発明のこの実施形態によれば、第1金属板の厚さをより薄く構成してもよい。すなわち、安全バスバー300の電気伝導率を一定以上確保するために、第1金属板の厚さを一定以上にする必要がある場合、第1金属板を複数の層から構成し、各層を薄くしてもよい。例えば、安全バスバー300の電気伝導率を確保するために、第1金属板の厚さを0.05mm以上にする必要がある場合、0.05mmの厚さを二つ以上に分けてそれぞれの第1金属板の厚さを薄くしてもよい。例えば、第1金属板が内側金属板と外側金属板とからなる場合、内側金属板と外側金属板のそれぞれは0.025mmであってもよい。
【0094】
本発明のこの実施構成によれば、第1金属板M1の全体の厚さを一定以上に確保することにより、安全バスバー300の電気伝導率を安定的に維持することができる。また、第1金属板M1のそれぞれの厚さを薄くすることにより、ベントガスによる粉末などへの粉砕効果を容易に達成することができる。特に、第1金属板が銅板である場合、銅の融点はベントガスの温度よりも高くてもよいが、その厚さが薄くなるため、ベントガスによる分解の効果がより達成されやすくなる。
【0095】
また、第1金属板M1が内側金属板と外側金属板とを備える場合、内側金属板は外側金属板と同じ厚さを有することができる。この場合、内側金属板及び外側金属板の厚さを極力薄くすることができるので、第1金属板の分解効果をより発揮しやすくなる。
【0096】
あるいは、前記安全バスバー300において、内側金属板の厚さが外側金属板の厚さよりも薄くてもよい。ベントガスがバッテリーモジュール100から排出されるとき、ベントガスは最初に内側金属板に衝突することができる。この場合、内側金属板の厚さが薄いほど、内側金属板をより容易に除去するこができ、第2金属板をより迅速に溶融させることができる。
【0097】
一方、上述したように、前記安全バスバー300は、バッテリーモジュール100から排出されるベントガスによって少なくとも一部が切断され、電力遮断及び短絡防止機能を実現することができる。このとき、バッテリーパックの他の構成、例えば、バッテリーモジュール100は、ベントガスによる安全バスバー300の切断構成をより容易に実施するように構成されてもよい。これに関連する実施形態を、図10を参照してより詳細に説明する。
【0098】
図10は、本発明の一実施形態に係るバッテリーパックの一部の構成要素を概略的に示す断面図である。特に、図10では、説明の便宜上、他の構成要素を除き、バスバーアセンブリー130のバスバーハウジング131及び安全バスバー300を示している。
【0099】
図10を参照すると、バスバーハウジング131には、バッテリーモジュール100の内側から外側に貫通するスリットS1~S6が形成されてもよい。図10において、左側がバッテリーモジュール100の内側部分であり、右側がバッテリーモジュール100の外側部分である。また、二次電池の電極リード111は、これらのスリットS1~S6にに挿入され、外側のモジュールバスバー132に接続されてもよい。また、バッテリーモジュール100の内部でベントガスが発生する場合、ベントガスは、矢印で示すように、これらのスリットS1~S6を通じて外部に排出されることができる。
【0100】
このとき、バスバーアセンブリー130のスリットS1~S6、特にバスバーハウジング131のスリットは、通過したベントガスが安全バスバー300に向けられるように構成されてもよい。図10の構成をより詳細に説明すると、バスバーアセンブリー130の前方側(外側)には、安全バスバー300が位置してもよい。このとき、バスバーアセンブリー130のスリットS1~S6のうちの少なくとも一部は、安全バスバー300が位置する方向にベントガスが流れるように傾斜した形状を有していてもよい。
【0101】
さらに、安全バスバー300は、バスバーアセンブリー130の前方側に位置しているが、上下方向(Z軸方向)の中央部分に位置してもよい。このとき、バスバーアセンブリー130のスリットS1~S6の少なくとも一部は、前方側の中央部分に向かって傾斜した形状に構成されてもよい。すなわち、S1及びS2のように、バスバーアセンブリー130における、安全バスバー300よりも垂直方向(Z軸方向)で上部に位置するスリットは、内側から外側に向かって下向きに傾斜して構成されていてもよい。また、S5及びS6のように、バスバーアセンブリー130における、安全バスバー300よりも垂直方向(Z軸方向)で下部に位置するスリットは、内側から外側に向かって上向きに傾斜して構成されていてもよい。そして、S3及びS4のように、バスバーアセンブリー130における、上下方向で中央に位置するスリットは、垂直方向(Z軸方向)で安全バスバー300と同様に位置するため、ガス排出方向は、水平方向(地面に平行な方向)として構成されてもよい。
【0102】
本発明のこのような構成によれば、バスバーアセンブリー130のスリットを通過したベントガスを安全バスバー300に集中させることができる。これにより、安全バスバー300の切断及び除去効果をさらに向上させることができる。
【0103】
また、バスバーアセンブリー130のスリットを傾斜させた場合、少なくとも一部のスリットの傾斜角度が互いに異なっていてもよい。ここで、傾斜角度とは、水平方向(Y軸方向)から傾いた角度であってもよい。
【0104】
さらに、同じ下向きに傾斜するスリットの間でも、傾斜角度が異なるように構成してもよい。例えば、図10の実施形態において、安全バスバー300よりも上部に位置するスリットであるS1及びS2は、下方に向かって傾斜させることができるが、異なる勾配を有することができる。特に、相対的に上部に位置するスリットS1は、相対的に下部に位置するスリットS2よりも、下方への傾斜角度が大きくなるように構成されていてもよい。すなわち、上下方向において安全バスバー300よりも高く位置するスリットほど、下方に向けて傾斜する傾斜角度が大きく形成されてもよい。
【0105】
また、同じ上向きに傾斜するスリットの間でも、傾斜角度が異なるように構成してもよい。例えば、図10の実施形態において、安全バスバー300よりも下部に位置するスリットであるS5及びS6は、上方に向かって傾斜させることができるが、異なる勾配を有することができる。特に、相対的に下部に位置するスリットS6は、相対的に上部に位置するスリットS5よりも、上方への傾斜角度が大きくなるように構成されていてもよい。すなわち、上下方向において安全バスバー300よりも低く位置するスリットほど、上方に向けて傾斜する傾斜角度が大きく形成されてもよい。
【0106】
すなわち、前記実施形態のように複数のスリットが含まれる場合、安全バスバー300よりも上下方向にさらに遠く離れたスリットの場合、相対的に大きな傾斜角度を有することができる。
【0107】
本発明のこの実施構成によれば、スリットを通過したベントガスを安全バスバー300に集中させる効果をさらに高めることができる。したがって、この場合、ベントガスによる安全バスバー300の切断及び除去の効果をさらに高めることができる。
【0108】
図11は、本発明の他の実施形態に係る安全バスバー300の一部の構成要素を概略的に示す斜視図である。特に、図11は、安全バスバー300の内側表面、すなわち、バッテリーモジュール100から見た方向の表面を示している。上述の実施形態との相違点に焦点を当てながら、本実施形態について説明する。
【0109】
図11を参照すると、Gで示すように、安全バスバー300に溝を形成することができる。この溝Gは、安全バスバー300の表面から内側に向かって凹状に形成されてもよい。特に、溝Gは、安全バスバー300の内側表面からバッテリーパックの外側に向かって凹状に形成されてもよい。さらに、溝Gは、安全バスバー300の厚さを薄くする形状に形成されてもよい。
【0110】
本発明のこの実施形態の構成によれば、ベントガスによる安全バスバー300の切断構成をより効果的に行うことができる。特に、図11に矢印で示すように、ベントガスがバッテリーモジュール100側から安全バスバー300に向かって噴出されるとき、溝Gにより、ベントガスによる安全バスバー300の切断をより容易に行うことができる。
【0111】
さらに、この場合、ベントガスによる安全バスバー300の切断位置を、溝Gによってガイドすることができる。特に、図11に示すように、安全バスバー300における、ベントガスと遭遇する部分の両側に2つの溝Gが形成されていてもよい。この場合、2つの溝Gの間の部分にベントガスが噴出され、この2つの溝Gの間の部分がベントガスにより消失することがある。したがって、この場合、安全バスバー300をより確実に切断することができ、切断位置を明確に規定することができる。
【0112】
図12は、本発明のまた他の実施形態に係る安全バスバー300の一部の構成要素を概略的に示す斜視図である。図12もまた、安全バスバー300の内側表面を示している。
【0113】
図12を参照すると、溝Gは、安全バスバー300の内側表面における、ベントガスが噴出される部分に直接遭遇するように形成されていてもよい。すなわち、図12に矢印で示すように、ベントガスがバッテリーモジュール100側から噴出されるとき、ベントガスと遭遇する部分に、安全バスバー300の溝Gが形成されていてもよい。このとき、溝Gは、図11の実施形態で形成された溝Gよりも広い面積で形成されてもよい。
【0114】
本発明のこの実施形態の構成によれば、一つの溝Gを有していても、ベントガスによる安全バスバー300の切断力を向上させる効果を得ることができる。また、この場合、安全バスバー300及びバッテリーパックの製造工程性をさらに向上させることができる。
【0115】
図13は、本発明のまた他の実施形態に係る安全バスバー300の一部の構成要素を概略的に示す断面図である。例えば、図13は、安全バスバー300の構成を上から見た断面図である。さらに、図13は、図12の実施形態の変形例である。
【0116】
図13を参照すると、溝Gは、安全バスバー300の内側表面における、ベントガスと遭遇する部分に形成されていてもよい。このとき、安全バスバー300の溝Gは、GSで示すように特定の方向に傾斜する傾斜面を有していてもよい。このとき、傾斜面GSは、安全バスバー300の厚さが溝Gの中央部分GCに向かって薄くなる形状に形成されてもよい。すなわち、安全バスバー300の溝Gは、両端から中央部分GCに向かって深さが深くなる形状に構成されてもよい。
【0117】
本発明のこの実施形態の構成によれば、図13に矢印で示すように、ベントガスが安全バスバー300の溝Gに噴出される際に、このベントガスを溝Gの特定の部分に集中させることができる。特に、ベントガスは、溝Gの傾斜面GSに沿って中央部分GCに移動するので、ベントガスの熱や圧力を溝Gの中央部分GCに更に集中させることができる。したがって、安全バスバー300をより迅速かつ確実に切断することができる。その結果、ベントガスによる安全バスバー300の切断効果をさらに向上させることができる。
【0118】
本発明に係るバッテリーパックは、本発明の出願時点で公知のバッテリーパックの様々な他の構成要素をさらに含んでいてもよい。例えば、本発明に係るバッテリーパックは、バッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)や電流センサー、ヒューズなどの構成要素をさらに含んでいてもよい。
【0119】
本発明に係るエネルギー貯蔵システムは、本発明に係るバッテリーパックを一つ以上含んでいてもよい。特に、エネルギー貯蔵システムは、大きなエネルギー容量を有するために、本発明に係るパックが互いに電気的に接続された形態で、複数のパックを含んでいてもよい。さらに、本発明に係るエネルギー貯蔵システムは、本発明の出願時点で公知のエネルギー貯蔵システムの他の様々な構成要素をさらに含んでいてもよい。さらに、このようなエネルギー貯蔵システムは、スマートグリッドシステムや充電ステーションなど様々な場所や装置に使用されてもよい。
【0120】
また、本発明に係る自動車は、本発明に係るバッテリーパックを一つ以上含んでいてもよい。また、本発明に係る自動車は、このようなバッテリーパックに加えて、自動車に含まれる他の様々な構成要素などをさらに含んでいてもよい。例えば、本発明に係る自動車は、本発明に係るバッテリーパックに加えて、車体やモーター、電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)等の制御装置などをさらに含んでいてもよい。
【0121】
一方、本明細書では、上、下、左、右、前、後などの方向を示す用語を用いてもよいが、これらの用語は、説明の便宜のためのものに過ぎず、対象となる事物の位置や観測者の位置などによって変わり得ることは、本発明の当業者にとって自明である。
【0122】
以上、本発明をたとえ限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0123】
100 バッテリーモジュール
110 バッテリーセル
111 電極リード
120 モジュールケース
121 上プレート
122 下プレート
123 側プレート
124 後プレート
130 バスバーアセンブリー
131 バスバーハウジング
132 モジュールバスバー
140 モジュール端子
200 パックケース
210 前ケース
220 後ケース
230 左ケース
300 安全バスバー
H1 排出口
M1 第1金属層
M2 第2金属層
P 絶縁層
S1~S6 スリット
G 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13