(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】衣料用として好適な捺染複合不織布及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D04H 1/498 20120101AFI20241209BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20241209BHJP
A41D 31/02 20190101ALI20241209BHJP
B32B 5/06 20060101ALI20241209BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
D04H1/498
A41D31/00 502E
A41D31/02 D
B32B5/06 A
B32B5/26
(21)【出願番号】P 2023526326
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 US2021057210
(87)【国際公開番号】W WO2022094184
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-28
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ブラント,バロン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ランド,ダラス
(72)【発明者】
【氏名】マクファーランド,ウィリアム シー.,ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】モーガン,ダニエル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】オウ,ヤン-ホア
(72)【発明者】
【氏名】スタウブ,アンドレア ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,デイヴィッド
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-316761(JP,A)
【文献】特開2005-307422(JP,A)
【文献】特開2005-296429(JP,A)
【文献】米国特許第04211593(US,A)
【文献】国際公開第2008/053449(WO,A2)
【文献】国際公開第2019/231544(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02628848(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2011/0034100(US,A1)
【文献】カナダ国特許出願公開第01075449(CA,A1)
【文献】米国特許第04350727(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0126090(US,A1)
【文献】国際公開第2013/151978(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00-18/04
A41D31/00-31/32
B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
捺染複合不織布の製造方法であって、
捺染部品を含む捺染層の第1面を第1繊維ウェブの第2面に隣接して配置して複合構造を形成するステップと、
少なくとも前記第1繊維ウェブ及び前記捺染層をニードル交絡プロセスに付し、前記ニードル交絡プロセスの後、前記捺染部品の少なくとも一部は前記第1繊維ウェブに組み込まれるステップと、を含み、
前記捺染層は
、前記第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとの間に配置される内部繊維ウェブであり、
前記捺染層は、前記捺染部品の第1部分を含む第1領域と、前記捺染部品の第2部分を含む第2領域と、を有し、
前記内部繊維ウェブの前記第1領域は、前記内部繊維ウェブの前記第2領域よりも大きな、前記第1繊維ウェブとの機械的交絡を有
し、
前記ニードル交絡プロセスの後に、前記捺染部品の前記少なくとも一部と、前記第1繊維ウェブの少なくとも一部とが、前記捺染複合不織布の第1面を少なくとも部分的に形成し、前記第2繊維ウェブの少なくとも一部が、前記捺染複合不織布の前記第1面と対向する前記捺染複合不織布の第2面を少なくとも部分的に形成する、
捺染複合不織布の製造方法。
【請求項2】
前記複合構造を前記ニードル交絡プロセスに付した後、前記内部繊維ウェブの前記第1領域における繊維の少なくともいくつかは前記第1繊維ウェブと機械的に交絡し、かつ、前記内部繊維ウェブの前記第2領域における繊維の少なくともいくつかは前記第1繊維ウェブから機械的に独立している、
請求項1に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項3】
前記捺染部品は、着色剤及び昇華性染料から選択される少なくとも1つを含む、
請求項2に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項4】
前記捺染層はスパンレース層である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項5】
前記複合構造を前記ニードル交絡プロセスに付した後、前記第1繊維ウェブの繊維の少なくともいくつかは前記スパンレース層を通って延在し、前記捺染部品の第1部分は前記第1繊維ウェブに組み込まれ、前記捺染部品の第2部分は前記スパンレース層に組み込まれる、
請求項4に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項6】
前記捺染部品の前記第2部分は前記第1繊維ウェブに組み込まれることから除外される、
請求項5に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項7】
前記捺染部品は、着色剤及び昇華性染料から選択される少なくとも1つを含む、
請求項4~6のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項8】
前記捺染層はスパンレース繊維を含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項9】
前記捺染層は繊維ウェブを含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項10】
前記捺染部品は前記捺染層の前記第1面上にある、
請求項1~
9のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項11】
前記捺染層の前記第1面を前記第1繊維ウェブの前記第2面に隣接して
配置して前記複合構造を形成する前に、前記捺染層を形成するために、内部層上に前記捺染部品を捺染するステップをさらに含む、
請求項1~
10のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項12】
前記捺染部品の前記捺染は昇華捺染プロセスである、
請求項
11に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項13】
前記捺染層の前記第1面を前記第1繊維ウェブの前記第2面に隣接して
配置して前記複合構造を形成する前に、前記捺染層を形成するステップをさらに含む、
請求項1~
12のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項14】
前記捺染層を形成するステップは、昇華性染料を内部層に付与するステップと、付与した昇華性染料及び前記内部層に、約185℃から約205℃の温度を約0.5秒から約1.5秒持続して付するステップと、を含む、
請求項
13に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項15】
前記ニードル交絡プロセスは、第1条件を有する第1ニードル交絡プロセスと、前記第1条件と異なる第2条件を有する第2ニードル交絡プロセスと、を含む、
請求項1~
14のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項16】
前記第1繊維ウェブに組み込まれる前記捺染部品の前記少なくとも一部は、前記捺染層の1種又は複数種の繊維を含み、前記捺染層の前記1種又は複数種の繊維は前記第1繊維ウェブ内まで延在している、
請求項1~
15のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項17】
前記第1繊維ウェブに組み込まれる前記捺染部品の前記少なくとも一部は、前記第1繊維ウェブの第1面に少なくとも部分的に延在している、
請求項1~
16のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法。
【請求項18】
捺染非対称面複合不織布の製造方法であって、
捺染技術を用いて、内部層
である捺染層の捺染部品を形
成するステップと、
前記捺染技術を用いた後、第1繊維ウェブ
と第2繊維ウェブとの間に前記捺染層を配置して複合構造を形成するステップと、
前記複合構造を可変交絡プロセスに付すステップと、を含み、
前記可変交絡プロセスの後に、前記捺染部品の少なくとも一部と前記第1繊維ウェブの
少なくとも一部とが、前記捺染非対称面複合不織布の第1
面を少なくとも部分的に形成し、
前記第2繊維ウェブの少なくとも一部が、前記捺染非対称面複合不織布の前記第1面と対向する第2面を少なくとも部分的に形成し、前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブは異なる特徴を有し、
前記複合構造を前記可変交絡プロセスに付した後、前記捺染部品の第1部分は前記第1繊維ウェブに組み込まれ、前記捺染部品の第2部分は前記第1繊維ウェブに組み込まれることから除外される、
捺染非対称面複合不織布の製造方法。
【請求項19】
前記捺染技術は着色剤を前記内部層の第1面に付与する
ことを含む、
請求項
18に記載の捺染非対称面複合不織布の製造方法。
【請求項20】
前記内部層は繊維ウェブである、
請求項
18又は
19に記載の捺染非対称面複合不織布の製造方法。
【請求項21】
前記内部層はスパンレース層である、
請求項
18又は
19に記載の捺染非対称面複合不織布の製造方法。
【請求項22】
前記捺染技術は、前記内部層の前記第1面上に昇華性染料を昇華捺染する
ことを含む、
請求項
18に記載の捺染非対称面複合不織布の製造方法。
【請求項23】
前記複合構造を前記可変交絡プロセスに付した後、昇華染色された内部層の第1部分は前記昇華染色された内部層の第2部分よりも多く前記第1繊維ウェブに組み込まれる、
請求項
22に記載の捺染非対称面複合不織布の製造方法。
【請求項24】
前記内部層は繊維ウェブである、
請求項
23に記載の捺染非対称面複合不織布の製造方法。
【請求項25】
前記内部層はスパンレース層である、
請求項
23に記載の捺染非対称面複合不織布の製造方法。
【請求項26】
第1
面と
第2面を有する捺染複合不織布であって、
当該捺染複合不織布は、
当該捺染複合不織布の前記第1
面を少なくとも部分的に
含む第1交絡繊維ウェブと、
当該捺染複合不織布の前記第2面を少なくとも部分的に含む第2交絡繊維ウェブと、
前記第1交絡繊維ウェブ
と前記第2交絡繊維ウェブとの間に配置される
内部層
と、
を含み、
前記内部層
は、第1部分及び第2部分を有する捺染部品を含み、前記捺染部品の前記第1部分
は、前記捺染部品の前記第2部分よりも多く前記第1交絡繊維ウェブに組み込まれ
る、
捺染複合不織布。
【請求項27】
前記内部層は交絡繊維ウェブである、
請求項
26に記載の捺染複合不織布。
【請求項28】
前記内部層はスパンレース層である、
請求項
26に記載の捺染複合不織布。
【請求項29】
前記捺染部品は昇華性染料又は着色剤を含む、
請求項
27又は
28に記載の捺染複合不織布。
【請求項30】
第1面と
、該第1面に対向する第2面とを有する捺染非対称面複合不織布であって、
当該捺染非対称面
複合不織布は、
当該捺染非対称面複合不織布の前記第1面
を少なくとも部分的に含む第1交絡繊維ウェブと、
当該捺染非対称面複合不織布の前記第2面を少なくとも部分的に含む第2交絡繊維ウェブと、
前記第1交絡繊維ウェブ
と前記第2交絡繊維ウェブとの間に配置される
内部層
と、
を含み、
前記内部層
は、第1部分及び第2部分を有する捺染部品を含み、前記捺染部品の前記第1部分が前記
第1交絡繊維ウェブを少なくとも部分的に形成し、前記捺染部品の前記第2部分が前記第1交絡繊維ウェブから除外され、
前記第1交絡繊維ウェブと前記第2交絡繊維ウェブは異なる特徴を有する、
捺染非対称面複合不織布。
【請求項31】
前記内部層は内部交絡繊維ウェブを含む、
請求項
30に記載の捺染非対称面複合不織布。
【請求項32】
前記内部層は内部スパンレース繊維ウェブを含む、
請求項
30に記載の捺染非対称面複合不織布。
【請求項33】
前記捺染部品は昇華性染料又は着色剤を含む、
請求項
30~
32のいずれか1項に記載の捺染非対称面複合不織布。
【請求項34】
前記第1交絡繊維ウェブと前記第2交絡繊維ウェブとの間に
配置されるエラストマー層をさらに含む、
請求項
30に記載の捺染非対称面複合不織布。
【請求項35】
第3交絡繊維ウェブをさらに含む、
請求項
30に記載の捺染非対称面複合不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の各態様は、衣料及び他の物品に適した捺染複合不織布(printed composite nonwoven textile)及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の不織布は、一般に衣料品には適さない特徴を有していた。従来の不織布は、これらの特徴と、例えばクリーニング産業及び個人衛製造業における最終的な使用のために、捺染が困難であり、外観性に欠く可能性がある。また、不織布を捺染する場合、捺染による美しさは、一般に最も外側の表面に施されており、品質が悪く、磨耗などにより経時的に弱まる。このような捺染による美しさは、衣料品として好適な不織布には好ましくない。
【0003】
以下では、図面を参照して、本願の各態様の例を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本願の各態様による、例示的な捺染複合不織布の例示的なライフサイクルを示す図である。
【
図2】本願の各態様による、
図1の例示的な複合不織布用の第1繊維ウェブを示す図である。
【
図3】本願の各態様による、
図1の例示的な複合不織布用の捺染層を示す図である。
【
図4】本願の各態様による、
図1の例示的な複合不織布用の第2繊維ウェブを示す図である。
【
図5】本願の各態様による、
図1の例示的な複合不織布用の任意の第3繊維ウェブを示す図である。
【
図6】本願の各態様による、
図1の例示的な複合不織布用のエラストマー層を示す図である。
【
図7】本願の各態様による、
図1の例示的な捺染複合不織布及び
図1の例示的な捺染複合不織布による衣料品の例示的な製造方法を示す図である。
【
図8】本願の各態様による、
図7の製造プロセスを使用して製造された、内部繊維ウェブと捺染部品とを含む例示的な捺染層を示す図である。
【
図9】本願の各態様による、
図8の断面線9-9で切り取られた横断面図を示す。
【
図10】本願の各態様による、
図8の例示的な捺染層の代替捺染部品の横断面図を示す。
【
図11】本願の各態様による、
図7の製造プロセスを使用して製造された
図8の捺染層を有する例示的な捺染複合不織布を示す図である。
【
図12】本願の各態様による、
図1の切断線12-12で切り取られた横断面図を示す。
【
図13】本願の各態様による、
図12のエリア13で切り取られた拡大図を示す。
【
図14】本願の各態様による、
図12のエリア14で切り取られた拡大図を示す。
【
図15】本願の各態様による、
図7の製造プロセスを使用して製造された、スパンレース層と捺染部品とを含む例示的な捺染層を示す図である。
【
図16】本願の各態様による、
図15の切断線16-16で切り取られた横断面図を示す。
【
図17】本願の各態様による、
図15の例示的な捺染層の代替捺染部品の横断面図を示す。
【
図18】本願の各態様による、
図7の製造プロセスを使用して製造された
図15の捺染層を有する例示的な捺染複合不織布を示す図である。
【
図19】本願の各態様による、
図18の切断線19-19で切り取られた横断面図を示す。
【
図20】本願の各態様による、
図19のエリア20で切り取られた拡大図を示す。
【
図21】本願の各態様による、
図19のエリア21で切り取られた拡大図を示す。
【
図22】本願の各態様による、例示的な上半身用衣料品を示す図である。
【
図23】本願の各態様による、例示的な下半身用衣料品を示す図である。
【
図24】本願の各態様による、
図22の切断線24-24で切り取られた横断面図を示す。
【
図25】本願の各態様による、
図23の切断線25-25で切り取られた横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本願の主題は、法的要件を満たすために、本願において具体的に説明される。しかしながら、説明自体は、本開示の範囲を限定することを意図していない。むしろ、本発明者らは、請求項に係る主題又は開示された主題が、異なるステップ又は本願に記載されたステップに類似した組み合わせを含むために、他の態様で他の現在又は未来の技術と結合して現化されてもよいことを想定している。また、「ステップ」及び/又は「ブロック」という用語は、本願では、使用される方法の異なる要素を示唆するために使用されてもよいが、個々のステップの順序が明示的に示されている場合を除き、本願で開示されるステップ間の任意の特定の順序を示唆していると解釈すべきではない。
【0006】
従来の不織布は、一般に衣料品には適さない特徴を有していた。これらの特徴には、延伸性及び回復性の欠如、大きな重量、ドレープ性の欠如、ざらざらした感触、対称的な面又は表面、及び断熱が期待される場合には断熱性の欠如が含まれ得る。従来の不織布は、これらの特徴と、例えばクリーニング産業及び個人衛製造業における最終的な使用のために、捺染が困難であり、外観性に欠く可能性がある。また、不織布を捺染する場合、捺染による美しさが最も外側の表面に施されており、品質が悪く、磨耗などにより経時的に弱まる。このような捺染による美しさは、衣料品として好適な不織布には好ましくない。
【0007】
本願の各態様は、衣料及び他の物品に適した捺染複合不織布及びその製造方法に関する。高いレベルでは、捺染複合不織布は、1つ以上の交絡繊維ウェブと、捺染層(例えば、捺染部品を含む内部層)とを含む。例示的な態様では、捺染複合不織布は、第1交絡繊維ウェブと、内部層とを含む。第1交絡繊維ウェブは、第1面と、これに対向する第2面と、を含む。第1交絡ウェブの第1面は、捺染複合不織布の第1装飾面側を少なくとも部分的に形成する。内部層は、第1交絡繊維ウェブの第2面に隣接して位置する第1面を有する。内部層の第1面は、捺染部品の第2部分よりも多く第1交絡繊維ウェブに組み込まれる第1部分を有する捺染部品を含む。
【0008】
他の例示的な態様では、捺染複合不織布は、一体に積層される及び/又は第1交絡ウェブ及び/又は内部層と交絡する1つ以上の追加層(例えば、第2交絡繊維ウェブ、第3交絡繊維ウェブ及び/又はエラストマー層)を含むことができる。1つの態様では、捺染複合不織布は、第1面と、捺染複合不織布の第2装飾面側を少なくとも部分的に形成する前記第1面に対向する第2面とを有する第2交絡繊維ウェブを含む。したがって、内部層は、内部層の第1面が第1交絡繊維ウェブの第2面に隣接し、内部層の第2面が第2交絡繊維ウェブの第1面に隣接するように、第1交絡繊維ウェブと第2交絡繊維ウェブの間に位置する。
【0009】
これに加えて、本願の各態様によれば、捺染複合不織布は、第1交絡繊維ウェブ及び第2交絡繊維ウェブの特徴、ならびに内部層及び/又は任意の追加層の特徴のために、非対称に面していてもよい(例えば、捺染非対称面複合不織布)。別の例示的な態様では、これらの特徴は、捺染複合不織布が衣料品に適合するように構成され得る。捺染複合不織布が衣料品に組み込まれたとき、第1装飾面側は衣料品の外側対向表面を形成し、第2装飾面側は物品の内側対向表面を形成する。したがって、第1交絡ウェブは、捺染非対称面複合不織布が衣料品に組み込まれたときに、第1交絡繊維ウェブが外部環境に露出するのに適している特徴を有していてもよい。例えば、第1交絡ウェブを形成する繊維のデニールを、第2交絡ウェブを形成する繊維のデニールよりも約2倍大きくすることができるので、第1交絡ウェブが繊維を破壊することなく摩耗力に強く耐えることができ、これにより、捺染部品の耐久性を向上させることができる。
【0010】
第2交絡繊維ウェブは、その特徴により、捺染非対称面複合不織布が衣料品を形成する際に、皮膚に面する表面を形成するのに適している。例えば、第2交絡ウェブを形成する繊維のデニールは、第2装飾面側が摩耗力にさらされることが少ないことから、第1交絡ウェブを形成する繊維のデニールの約半分とすることができる。また、より小さいデニールは、肌や肌に近い接触に対して快適なソフトな風合いを生み出すことができる。また、第2交絡ウェブは、ソフトな風合いを付与し、布地のドレープ性を向上させる(すなわち、布地を硬くしない)シリコーン樹脂被覆繊維を含んでいてもよい。
【0011】
本願で想定される捺染複合不織布の他の非対称な特徴は、捺染部品及び/又は第1装飾面側及び第2装飾面側に関連する異なる色特性を含む。一態様では、捺染部品は、第2装飾面側よりも第1装飾面側で視認性が高い。別の態様では、捺染部品は、第1装飾面側には視認可能であるが、第2装飾面側には視認できない。他の態様では、色特性は、第2装飾面側と比較して第1装飾面側でより顕著なヘザー効果の形であってもよい。捺染部品及び異なる色特性は、不織布で形成された衣料品に所望の美しさを付与することができ、また、衣料品のどちらの側が外側に向いていて、どちらの側が内側に向いているかについての視覚的な目印を着用者に提供することができる。また、さまざまな色特性により、衣料品を両面着用(「内側を外にして着用する」衣料品)に適したものとすることができる。例えば、布地の異なる層を形成する繊維を特定の色のものとし、及び/又は第2面と比較して着色繊維が第1面に選択的により移動するように交絡パラメータを選択することによって、異なる色特性を側面に付与することができる。
【0012】
捺染複合不織布の1つ以上の追加層は、第1交絡繊維ウェブと第2交絡繊維ウェブとの間にエラストマー層をさらに含んでもよい。エラストマー層は、捺染複合不織布に延伸性及び回復性を付与し、捺染複合不織布を上半身用衣類及び下半身用衣類のような衣料品に好適に使用可能にする。エラストマー層自体では、通常の摩耗に耐えるのに十分な引張強度を欠いている可能性がある。したがって、エラストマー層は、交絡プロセスを使用して、異なるウェブからの繊維を通して延在させて凝集構造を生成することにより、捺染複合不織布に組み込まれる。
【0013】
いくつかの例示的な態様では、捺染複合不織布の1つ以上の追加層は、エラストマー層とともに積層された追加交絡ウェブ(例えば、第3交絡繊維ウェブ)を含む。予め交絡されたウェブの重量は、交絡された後に最小の厚さを有する軽量複合不織布を得るように選択され得る。また、交絡ウェブの数、繊維デニール、繊維タイプ、繊維長などを選択して、布地を形成する繊維間に空気を捕捉することにより、強化された断熱性を提供する最終的な捺染複合不織布を形成する。これに加えて、捺染複合不織布を形成するために使用される異なるウェブの特性及び/又はウェブの数は、捺染複合不織布の各側面の異なる所望の最終特性を含む捺染不織布の異なる所望の最終特性を達成するように調整することができる。その結果、延伸性と回復性を有し、ドレープ性に優れ、視覚的美しさに面白みがあり、耐摩耗性に優れ、ソフトな風合いを有する軽量な捺染非対称面複合不織布が得られ、これにより、捺染複合不織布はスポーツウェアに適した衣料品を形成するのに好適なものとなる。
【0014】
さらなる例示的な態様では、1つ以上の繊維ウェブ、捺染層(例えば、捺染部品を含む内部層)、及び1つ以上の任意の追加層は、不織布(例えば、複合構造)を形成することができる。これらの態様は、1つ以上の繊維ウェブ、内部層、捺染層、1つ以上の任意の追加層、不織布及び/又は捺染複合不織布が様々な方法で仕上げられることを想定している。例えば、選択された捺染技術は不織布に含まれる1つ以上の模様、図形、記号等を捺染することができる。1つの例示的な態様では、交絡の前に1つ以上の繊維ウェブに捺染を施すことができ、これにより、交絡の間に捺染部品が不織布に組み込まれる。また、不織布及び/又は捺染複合不織布が衣料品を形成する際には、異なる技法を用いて布地の縁部を縫合することができる。例えば、布地の縁部を重ね合わせることができ、交絡プロセスを用いて布地の縁部から繊維を交絡させて縫い目を形成することができる。
【0015】
本願の各態様では、捺染複合不織布がリサイクル可能であることも想定されており、いくつかの態様では、布地は完全にリサイクル可能であり得る。したがって、各態様では、交絡ウェブを形成するために選択される繊維は、一般にポリエステル繊維と呼ばれるリサイクルポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を含むリサイクル材を含むことができる。これに加えて、エラストマー層を形成するために選択された材料は、完全にリサイクル可能であってもよい。リサイクル繊維及び材料の使用は、捺染複合不織布のカーボンフットプリントを減少させる。
【0016】
捺染層(例えば、捺染部品を含む内部層)を第1繊維ウェブと1つ以上の追加層との間に配置して複合構造を形成することにより、捺染複合不織布が形成される。複合構造を形成する前に、捺染技術を利用して捺染部品を内部層上に形成することにより捺染層を形成することができる。また、ウェブの数、繊維デニール、個々のウェブの重量、繊維長、繊維色、及び繊維被覆など、第1繊維ウェブ、内部層、及び1つ以上の追加層の性能の選択は、捺染複合不織布の所望の最終性能に基づいている。捺染層を形成した後、第1繊維ウェブ及び1つ以上の追加層と組み合わせて複合構造を形成した後に機械的交絡プロセスが実施される。1つの例示的な態様では、機械的交絡プロセスはニードルパンチである。針の選択、縫い目密度、貫通深さ、貫通方向、針通過回数などのニードルパンチプロセスに関連する各パラメータは、非対称面捺染複合不織布の所望の最終特性に基づいて選択される。例えば、パラメータは、所望の厚さ、所望の延伸及び回復の程度、所望の重量、所望のドレープ性又は剛性等を有する不織布を製造するために選択され得る。
【0017】
本願の他の態様は、捺染複合不織布の製造方法に関するものであり、一般に、この方法は、捺染層を形成すること、捺染層を第1繊維ウェブ及び/又は1つ以上の追加層と組み合わせて複合構造を形成すること、及び複合構造を交絡プロセスに付すことに関連する1つ以上のステップを含む。例示的な態様では、捺染複合不織布の製造方法は、捺染層の第1面を第1繊維ウェブの第2面に隣接して位置して複合構造を形成するステップを含む。捺染層は、予め内部層に付与された着色剤から少なくとも部分的に形成され得る捺染部品を含む。該製造方法はさらに、複合構造をニードル交絡プロセスに付し、ニードル交絡プロセス後、捺染部品の少なくとも一部を第1繊維ウェブに結合するステップをさらに含む。
【0018】
いくつかの例示的な態様では、捺染非対称面複合不織布の製造方法は、捺染技術を用いて内部層上に捺染部品を形成して捺染層を形成するステップと、捺染層の第1面を第1繊維ウェブの第2面に隣接して位置して複合構造を形成するステップとを含む。該方法は、複合構造を可変交絡プロセスに付す別のステップを含み、このステップでは、捺染部品の少なくとも一部と第1繊維ウェブの第1面とが、非対称面複合不織布の第1装飾面側を少なくとも部分的に形成する。
【0019】
さらに例示的な態様では、捺染技術(例えば、デジタル捺染による着色剤の付与、昇華捺染による昇華性染料の付与など)を使用して、内部層上に捺染部品を形成することができる。これらの態様では、捺染部品は、(すなわち、捺染複合不織布に含まれる1つ以上の交絡繊維ウェブの繊維が交絡する前に)内部層上に予め交絡して形成され得ることが想定される。これらの態様は、内部層が繊維ウェブ(例えば、予め交絡繊維ウェブ)を含むことを想定し、さらに内部層がスパンレース層であること及び/又はスパンレース繊維を含んでもよいことを想定している。
【0020】
本願で使用されるように、用語「衣料品」は、着用者によって着用される物品を含むことを意図している。これにより、上半身用衣類(例えば、上着、Tシャツ、セーター、パーカー、ジャケット、コート等)と下半身用衣類(例えば、ズボン、短パン、タイツ、カプリパンツ、ユニタード等)とを含むことができる。衣料品は、帽子、手袋、袖(腕カバー、ふくらはぎスリーブ)、履物物品(靴の甲被(upper)等)等も含むことができる。衣料品に関連する場合、「内側対向表面」という用語は、着用者の身体表面に対向するように構成された表面を意味し、「外側対向表面」という用語は、着用者の身体表面から離れて外部環境に対向するように構成された表面を意味する。「最内側対向表面」という用語は、衣料品の他の層に対して着用者の身体表面に最も近い表面を意味し、「最外側対向表面」という用語は、衣料品の他の層に対して着用者の身体表面から最も遠い表面を意味する。
【0021】
本願で使用される用語「不織布」は、機械的及び/又は化学的相互作用によってともに保持された、ニット、編み、編組構造、又は他の構造化構造の形態ではない繊維を意味する。特定の態様では、不織布は、マット状材料を形成するために機械的に操作された繊維の集合体を含む。すなわち、不織布は、繊維から直接製造されている。不織布は、凝集構造を形成する異なる繊維ウェブを含むことができ、異なる繊維ウェブは、異なる又は類似の繊維組成及び/又は異なる性質を有することができる。また、本願で想定される不織布のあらゆる態様及びすべての態様、ならびにそれらのいかなる変更も、捺染複合不織布に含まれ得る。用語「繊維ウェブ」は、1つ以上の他の繊維ウェブと機械的に交絡する前の繊維ウェブを意味する。繊維ウェブは、X、Y平面に沿って延びる1つ以上の共通の方向に繊維を整列させるコーミング及びラッピングプロセスを経た繊維を含み、所望の目付が得られる。繊維ウェブはまた、繊維ウェブが操作可能な凝集構造を形成する(例えば、ロールへの巻き取り、ロールからの巻き戻し、積層等)ようにウェブの繊維をある程度交絡するライトニードルパンチプロセス又は機械的交絡プロセスを受けてもよい。繊維ウェブはまた、他の繊維ウェブと交絡する前に、捺染などの1つ以上の追加の処理ステップを受けてもよい。不織布に関連する場合、「交絡繊維ウェブ」という用語は、1つ以上の他の繊維ウェブと機械的に交絡した繊維ウェブを意味する。したがって、交絡繊維のウェブは、この層を形成する繊維ウェブ内に最初に存在する繊維と、交絡プロセスによって交絡繊維ウェブ内に移動した他のウェブ内に存在する繊維とを含むことができる。本願で使用される「内部層」という用語は、不織布の少なくとも2つの他の層の間に位置する不織布層を意味する。本願で使用される「捺染層」という用語は、捺染部品を含む不織布層を意味する。
【0022】
例示的な態様では、捺染層は、捺染複合不織布の最外層の繊維ウェブ(例えば、第1繊維ウェブ)又は層の内側に位置するように配置される。これらの態様は、捺染層、及び捺染部品が外部環境にさらされることの少ない、又はさらされないことを想定している。そのため、捺染層や捺染部品がすり減ったり、破れたり、磨耗したりしにくくなる。別の例示的な態様では、内部層における捺染層の配置は、捺染複合不織布内の適切な位置に捺染層を固定することにも有利である。また、捺染層の特徴は、捺染複合不織布の他の繊維ウェブ及び/又は層よりも少ない交絡をもたらすことができる。したがって、捺染層は、捺染複合不織布の内部層であるように2つの繊維ウェブ及び/又は層の間に配置され、捺染複合不織布の外側層又は最外層として配置されるよりも多くの交絡を捺染層に提供することができる。
【0023】
本願で想定される機械的交絡プロセスには、トゲ付き針又は構造化針(例えば、二股針)を使用したニードル交絡(一般にニードルパンチと呼ばれる)、又は、流体交絡が含まれ得る。本願で想定される態様では、使用される繊維の小さなデニールとニードルパンチプロセスに関連する様々なパラメータを微調整する能力のために、ニードルパンチを使用することができる。ニードルパンチは、一般に、一定の割合の繊維を、ほぼ水平方向(x、y平面に沿って延びる方向)からほぼ垂直方向(z方向)に再配置するために、トゲ又はスパイク付き針を使用する。一般に、ニードルパンチプロセスを参照すると、コーミング、ラッピング、予めニードルパンチを受けたウェブは、コーミング、ラッピング、予めニードルパンチを受けた他のウェブと積層され、積層されたウェブ構造体の反対側に位置するベッドプレートとストリッパプレートとの間を通過することができる。針板に固定されたトゲ付き針は、積層ウェブ構造体を通って出入りし、針が積層ウェブ構造体に出入りした後、ストリッパプレートは、針から繊維を剥離する。ニードルパンチ中のウェブ圧縮はストリッパプレートとベッドプレートとの間の距離を調整することにより制御され得る。積層ウェブ構造体が搬送システムに沿って機械方向に移動する間、針板は積層ウェブ構造体の長さをニードルパンチするように、積層ウェブ構造体に対して繰り返し係合及び係合解除する。本願の態様では、搬送システムに沿って異なる点に順次配置される複数の針板の使用が想定され、異なる針板は、積層ウェブ構造体が機械方向に移動するときに、積層ウェブ構造体の異なる面(例えば、上面及び下面)から積層ウェブ構造体を係合することができる。針板と積層ウェブ構造体との各係合は、ここでは「パス」と呼ばれる。特定の針板に関連するパラメータを調整することで、得られるニードルパンチ不織布の所望の性能(例えば、目付、厚さ等)を得ることができる。異なるパラメータは、交絡通過中に使用されるcm2(n/cm2)あたりの針の数である縫い目密度(SD)と、針が積層ウェブ構造体から引き出される前に積層ウェブ構造体を通過する距離である貫通深さ(PD)とを含んでもよい。ニードルパンチプロセスに関連するパラメータ、例えば、ベッドプレートとストリッパプレートとの間の間隔、及び積層ウェブ構造体の搬送速度も一般に調整することができる。
【0024】
他のタイプの針も想定しているが、本願の各態様では、トゲ付き針(針の長さに沿って配置されたトゲ付き針)の使用を想定している。針上の返しは、重ねられたウェブ構造の第1面から反対側の第2面に移動するときに繊維を「捕捉」する。積層ウェブ構造体を通る針の動きは、第1装飾面側に近い位置から第2装飾面側に近い位置まで、トゲによって捕捉された繊維を効果的に移動又は押し込み、さらに他の繊維との物理的相互作用を引き起こし、移動した繊維を摩擦などによって所定の位置に「ロック」するのを助ける。本願では、これらの針が第2装飾面側から第1装飾面側に向かって積層ウェブ構造体を通過することも想定される。例示的な態様では、針上の繊維と相互作用するトゲの数は、針の貫通深さに基づいてもよい。例えば、貫通深さが第1量である場合、すべてのトゲが繊維と相互作用することができ、貫通深さが減少するにつれて、繊維と相互作用することができるトゲはすべてのトゲよりも少なくなる。さらなる例示的な態様では、トゲのサイズは、ウェブで使用される繊維のデニールに基づいて調整することができる。例えば、トゲのサイズは、デニールの小さい(例えば、細い)繊維とは係合するが、デニールの大きい繊維とは係合しないように選択され、これにより、デニールの大きい繊維の代わりにデニールの小さい繊維の選択的な移動を引き起こす。別の例では、トゲのサイズは、デニールの小さい繊維及びデニールの大きい繊維の両方と係合するように選択され、それにより、2種類の繊維を移動させてウェブを通すことができる。
【0025】
交絡の後、不織布は、第1装飾面側と、これに対向する第2装飾面側とを含むことができ、これらの2つの装飾面側は、不織布の内側に対して外側に対向し、かつ不織布の最外面を含む。これにより、不織布を観察したときに、第1装飾面側と第2装飾面側の両方が完全に視認される。第1装飾面側及び第2装飾面側の両方は、一般に互いに平行でずれているx、y平面に沿って延びてもよい。
【0026】
本願で使用される「エラストマー層」という用語は、少なくとも1つの配向軸上で延伸性及び回復性を有する(すなわち、弾力回復性を有する)層を意味し、単一の配向軸上で延伸性及び回復性を有する層と、複数の配向軸上で延伸性及び回復性を有する層とを含む。配向軸の例としては、長さ方向、幅方向、x方向、y方向、及び長さ方向、幅方向、x方向及びy方向から角度をなしてずれた任意の方向が含まれる。エラストマー層は、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー(TPEE)、TPUとTPEEの組み合わせなどの熱可塑性エラストマーで形成することができる。エラストマー層は、スパンボンド層、フィルム、ウェブ等を含むことができる。例示的な態様では、エラストマー層はスパンボンドTPEE又はメルトブローンTPUを含むことができる。不織布エラストマー材料(例えば、スパンボンドTPEE又はメルトブローTPU)は、エラストマーフィルムよりも低い目付を可能にする。同様に、ウェブは、通常、フィルムに対する繊維の性質のために、通気性及び透過性が高く、通常、フィルムよりも柔軟性がある(すなわち、硬度が低い)。これらの要因(低い目付、通気性及び浸透性、柔軟性)は、特にこれらが望ましい特徴である衣料、本願に記載された例示的な不織布に好適に使用することを可能にする。
【0027】
繊維の場合、デニール又は繊維1本あたりのデニールという用語は、繊維の直線的な質量密度の測定単位であり、より具体的には、繊維9000メートルあたりの質量をグラム単位で表したものである。1つの例示的な態様では、繊維のデニールは、ASTMD1577-07を使用して測定することができる。繊維の直径は繊維のデニールと繊維の密度とに基づいて算出することができる。ここで想定される繊維は、一般にポリエステルと呼ばれるポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、多くの異なる材料(例えば、綿、ナイロンなど)で形成され得る。PET繊維は、元のPET繊維(未リサイクル繊維)とリサイクルPET繊維とを含むことができる。リサイクルPET繊維は、細断物由来の細断PET繊維と、再押し出しPET繊維(リサイクルPETチップを用いた再押し出し繊維)とを含む。さらに別の態様では、本願で想定される繊維は、不織布に疎水性を付与するものとして構成され得る。
【0028】
本願で使用される「シリコーン被覆繊維」という用語は、シリコーン被覆がその長さに沿って繊維を完全に覆うように、連続したシリコーン被覆を有する繊維を指すことができる。一例では、繊維はコアを形成し、シリコーン樹脂はコアを取り囲むシースを形成することができる。他の例では、「シリコーン樹脂被覆繊維」という用語は、繊維の長さに沿って少なくともいくつかの領域にシリコーン樹脂の断続的被覆を有する繊維を指すことができる。例えば、繊維にシリコーン樹脂被覆を吹き付けてもよい。この態様では、特定の繊維ウェブが100重量%のシリコーン被覆繊維を含む場合、本願では、ウェブを形成する繊維がシリコーン被覆を含まない領域を有していてもよいと想定される。不織布を形成する繊維ウェブにシリコーン被覆繊維を組み込むことを想定している。すなわち、例えばシリコーン樹脂スプレー仕上げ剤を用いて不織布を形成した後、繊維にシリコーン樹脂被覆を施さない。
【0029】
不織布に関連する場合、本願で使用される「色」又は「色特性」という用語は、通常、不織布を形成する繊維の観察可能な色を意味する。これらの態様では、色が、当業者に知られている染料、顔料、及び/又は着色剤を使用して繊維に提供される任意の色であり得ることを想定している。これにより、繊維は、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、インディゴ色、紫色、白色、黒色及びそれらの色合いを含むがこれらに限定されない色にしてもよい。1つの例示的な態様では、繊維の形成において、色を繊維に付与することができる(一般に、原液染めと呼ばれる)。原液染めでは、成形後のステップ(例えば、後染めステップ)で繊維に色を付加するのではなく、繊維を押し出す際に繊維に色を付加して繊維と一体化させる。
【0030】
色に関連する態様では、ある色が他の色と異なるか否かを決定することも想定する。これらの態様では、色は、色知覚に影響を与える可能性のある要因を標準化及び/又は定量化することによって、オブジェクト色の色値を客観的に測定及び/又は計算する装置を使用することによって決定され得る数値色値を含むことができる。このような装置には、分光放射計、分光光度計、測色計などが含まれるが、これらに限定されるものではない。したがって、本願の各態様では、繊維によって提供される不織布の「色」は、分光放射計及び/又は分光光度計を使用して測定及び/又は計算された数値色値を含むことができると想定される。また、数値色値は、カラー表現を提供する色の特定の組織である色空間又は色モデルに関連付けることができ、したがって、各数値色値は、色空間又は色モデルで表現される単一の色に対応する。
【0031】
これらの態様では、各色の数値色値が異なる場合、当該色は他の色と異なると判定することができる。このような判定は以下のように行われ得る。分光放射計、分光光度計又は測色計を用いて、第1色を有する第1繊維ウェブの数値色値を測定及び/又は計算し、同じ装置を用いて、第2色を有する第2繊維ウェブの数値色値を測定及び/又は計算し(すなわち、第1色の数値色値を、測色計を用いて測定する場合、第2色の数値色値を、測色計を用いて測定する)、第1色の数値色値と第2色の数値色値とを比較する。別の例では、該判定は以下のように行われる。分光放射計、分光光度計又は測色計を用いて、不織布の第1領域の数値色値を測定及び/又は計算し、同じ装置を用いて、第2色を有する不織布の第2領域の数値色値を測定及び/又は計算し、第1色の数値色値と第2色の数値色値とを比較する。数値色値が等しくない場合、第1色又は第1色特性は、第2色又は第2色特性とは異なり、その逆も同様である。
【0032】
また、2つの色の視覚的な差異は、第1色と第2色の数値色値のパーセンテージの差異と関連付けることができ、色値のパーセンテージの差異が大きいほど視覚的な差異が大きくなることも想定される。さまた、視覚的な区別は、色空間又は色モデル内の色値の色表現間の比較に基づいてもよい。例えば、第1色が黒又は紺の表現色に対応する数値色値を有し、第2色が赤又は黄色の表現色に対応する数値色値を有する場合、第1色と第2色との間の視覚的な区別は、赤色で表される色を有する第1色と黄色で表される色を有する第2色との間の視覚的な区別よりも大きい。
【0033】
「半透明」という用語は光の透過を意味し、「半透明」とは、光が物体の表面に照射されたときの物体の物理的特性を意味し、光の一部は物体を通過又は透過し、光の一部は拡散、反射及び/又は吸収される。したがって、不織布の繊維ウェブ及び/又は1つ以上の追加層を記述するとき、「半透明」という用語は、光の部分が通過する繊維ウェブ又は層を意味する。また、本願では、繊維ウェブ又は層が「少なくとも部分的に」半透明と記載される場合、「少なくとも部分的に」とは、繊維ウェブ又は層の部分、エリア、領域、又は位置を意味し、ここで、繊維ウェブ又は層は半透明であり、その透過率を意味しないことが理解されるべきである。例えば、少なくとも部分的に半透明な不織布の繊維ウェブ又は層は、光が層のある部分、エリア、領域又は位置を部分的に通過することを意味する。別の例では、少なくとも部分的に半透明な繊維ウェブ又は層は、繊維ウェブ又は層の1つ以上の部分では光が部分的に通過し、繊維ウェブ又は層の他の異なる部分では光が部分的に通過してもよく、あるいは通過しなくてもよいことを意味する。
【0034】
本願で使用される「捺染技術」という用語は、一般に、着色物質を基材(例えば、捺染不織布複合布地の内部層)に適用するプロセスを意味し、当業者に知られている任意の捺染プロセス、技術又は方法を含む。一般に、着色物質は、着色剤、昇華性染料、又はその両方であってもよく、着色剤及び昇華性染料は、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、インディゴ色、紫色、白色、黒色及びそれらの色合いを含むがこれらに限定されない色を有するように構成されてもよい。したがって、例示的な態様では、本願で想定される捺染技術は、1つ以上の着色剤を基材に転写する直接捺染技術を含み、直接捺染技術の例は、スクリーン捺染、回転捺染、デジタル捺染などを含む。本願で使用される「着色剤」という用語は、通常、インク、顔料、染料、又は何かを着色する任意の他の物質を指し、本願で論じた少なくとも1つの直接捺染技術と互換性のあるインク、顔料、又は染料の広い範囲を含むことができる。例示的な態様では、着色剤は、当業者に知られている市販のインク、又はデジタル捺染技術とともに使用される独自のインクを含むことができる。このインクは、水性又は油性であってもよく、クラッキングインキ、抜染インキ、グリッター又はシマーインキ、グロスインキ、メタリックインキ、鏡面銀インキ、プラスチゾルインキ、ポリ塩化ビニルインキ(PVCインキ)、非PVCインキ、フタル酸インキ、非フタル酸インキ、アクリルインキ、スエードインク、油性アクリルインク、ポリウレタンインク、高密度インク、溶剤インク、紫外線インク、及びこれらの組み合わせ。を含むことができるが、これに限定されない。また、インクは、一般に市販インクに含まれない1つ以上の特性を有していてもよい特殊インクを含んでいてもよいと想定される。このような特性は、特殊インクに金属的、真珠光沢、変色性又は反射性の外観を与えることができる視覚的特性を含むことができる。また、これらのインクのいずれも、インクの特定の特性又は成分に影響を与えるか、又はインクに追加の特性又は成分を与える添加剤を含むことができる。例えば、添加剤は、インクと特定のインク及び材料との相溶性を向上させることができ、したがって、インクと捺染複合不織布層の表面との相溶性を促進するために使用することができる。様々な態様では、一部のタイプのインクは、他のタイプのインクよりも、捺染複合不織布を製造する方法の1つ以上のステップと互換性がある。これらの態様では、捺染複合不織布の互換性及び/又は所望の特徴を提供するために、インクタイプ及び/又は捺染複合不織布を製造するための方法の特定のステップを選択及び/又は修正することができることを想定している。例えば、着色剤が水性インクである場合、ニードル交絡プロセスは、水力交絡プロセスよりも互換性があり、及び/又は水力交絡プロセスよりも優れた利点を提供することができる。
【0035】
他の例示的な態様では、本願で想定される捺染技術は、昇華捺染技術を含む。本願で使用される「昇華捺染プロセス」という用語は、熱と圧力を利用して染料を基材に付与する捺染技術を意味する。一般に、昇華捺染プロセスは、基材(例えば、捺染複合不織布の内部層)に親和性を有することができ、昇華捺染によって基材に付与される1つ以上の昇華性染料を適用することができる。昇華性染料は、植物由来又は合成由来の着色剤を含むことができ、これらの着色剤は、微細に粉砕されて分散剤に含まれていてもよく、昇華性染料は、分子レベルで基材に注入され、材料に色を含浸させることができる。当業者が理解しているように、昇華捺染は、固体に熱を印加して、吸熱反応により固体を、液相を介さずに気体にする昇華科学を利用している。
【0036】
昇華捺染は、液体中に溶解され、熱及び圧力下で気体となり、相溶性基材と結合した後、再び固体に戻る固体感熱染料を含むことができる。そのため、昇華性染料が分子レベルで基材に注入される。また、本願で想定される昇華捺染プロセスは、様々な成分及び技術を利用して、昇華性染料を基材(例えば、捺染複合不織布の内部層)に付与することができ、異なる昇華捺染プロセスは、類似及び/又は異なる態様を含むことができる。例えば、1つのプロセスは昇華性染料を基材に直接付与することができるが、別のプロセスは転写シートを使用することができる。また、昇華捺染技術のいくつかは、昇華プリンタを含むことができ、及び/又は熱又はエネルギーを使用して昇華性染料を基材へ付着させることもできる。1つの非限定的な例では、1つ以上の昇華性染料は、熱プレスを使用して内部層に転写することができ、内部層及びその上に付与された1つ以上の昇華性染料は約195℃の温度に約1秒間さらされる。そのため、1つ以上の昇華性染料が内部層に転写され、内部層の少なくとも一部に吸収される。その他の態様では、1つ以上の昇華性染料は、熱プレスを用いて内部層に転写されてもよく、これにより、内部層及びその上に付与された1つ以上の昇華性染料は、約225℃から約165℃、約220℃から約170℃、約215℃から約175℃、約210℃から約180℃、約205℃から約185℃、約200℃から約190℃、又は約195℃に約30秒、約25秒、約20秒、約15秒、約10秒、約5秒さらされる。本願で使用される「約」という用語は、通常、示される値の±10%以内であることを意味する。
【0037】
本願で使用される「捺染部品」という用語は、本願の各態様による捺染技術によって層上に適用される1つ以上の着色剤又は昇華性染料によって層上に形成される画像、図形、デザイン又は視覚的なマークを意味する。また、捺染部品は、ロゴ、画像など、幾何学的形状、有機的形状、パターン、文字、数字など、ブランドに関連する形状を含む形状を含んでもよい。また、捺染部品は、少なくとも部分的に、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、インディゴ色、紫色及びそれらの色合いを含むがこれらに限定されない任意の色に構成され得る1つ以上の着色剤又は昇華性染料によって提供される1つ以上の色で形成され得る。
【0038】
本願では、予め交絡されたウェブ及び得られた不織布に関する種々の測定を提供する。得られた不織布の厚さは、精密厚さ計を用いて測定することができる。例えば、厚さを測定するために、不織布を平坦なアンビルの上に置き、その上面から標準的な固定荷重で押え足を押し付けることができる。精密厚さ計のダイヤルインジケータは厚さをmm単位で示す。目付はISO 3801試験標準を使用して、グラム/平方メートル(gsm)単位で測定される。布地の剛性は通常、ドレープ性に対応しており、ASTMD 4032(2008)試験標準を使用して、キログラム力(Kgf)単位で測定される。布地の延伸性及び回復性は、ASTM 2594試験標準を使用してパーセンテージで測定される。本願で使用される「延伸」という用語は、所定の張力の下で特定の距離として測定された増加した布地特性を意味し、通常、元の基準距離(すなわち、静止長さ又は幅)に対するパーセンテージとして表される。本願で使用される「成長」という用語は、所定の張力に延伸された後、張力が解放された後にある期間の間隔で、特定の基準(すなわち、静止長さ又は幅)の距離が増加することを意味し、通常、元の基準距離に対するパーセンテージとして表される。本願で使用される「回復性」とは、布地が元の基準距離(つまり、静止長さ又は幅)に戻る能力を指し、元の基準距離に対するパーセンテージとして表される。熱抵抗は通常、ISO 11092試験標準を用いてRCT(M2*K/W)で測定した断熱特徴に相当する。
【0039】
特に明記されていない限り、本願に記載されているすべての測定は、不織布が静止(未延伸)の状態で、標準的な周囲温度及び圧力(25℃又は298.15K、1バール)で測定される。
【0040】
図1は、本願で想定される捺染複合不織布の例示的なライフサイクルの概略図であり、該布地は符号100で示され、第1繊維ウェブ110、捺染部品130(例えば、捺染層)を有する内部層120、及び交絡する前の1つ以上の追加層140(例えば、第2繊維ウェブ、第3繊維ウェブ、及び/又はエラストマー層)は示されている。本願では、いくつかの例示的な態様では、1つ以上の追加層140のうちのいずれかが任意であってもよいことが予想される。例示的な態様では、第1繊維ウェブ110、内部層120、及び1つ以上の追加層140を形成するために使用される繊維は、リサイクル繊維、特にリサイクルPET繊維を含むことができる。これに加えて、1つ以上の追加層140がエラストマー層を含む場合、本願の例示的な態様では、エラストマー層がリサイクル可能な材料で形成され得ることが想定される。矢印102は、第1繊維ウェブ110、内部層120及び/又は1つ以上の追加層140内の繊維が互いに交絡し、1つ以上の繊維が他の層内に延在して凝集捺染複合不織布150を形成する交絡ステップを概略的に示す。矢印104は、捺染複合不織布150を、捺染部品130を含む衣料品160に形成する加工ステップを概略的に示す。衣料品160は、上着用衣類として示されているが、本願では、衣料品160は、上着用衣類、アッパー、帽子、手袋、袖などの他の形態をとってもよいと想定される。衣料品160の寿命が終わると、着用者は、衣料品160を、例えば製造業者/小売業者に返却することができることが想定され、そこでは、衣料品160は、第1繊維ウェブ110、内部層120、及び/又は1つ以上の追加層140のような繊維ウェブを形成するために使用される細断繊維及び/又は再押し出し繊維を形成するために、矢印106で示されるように完全にリサイクルされて、自己保持ループを形成することができる。この自己保持ループは、捺染衣料品(編み物、織布及び不織布衣料品を含む)の製造に一般に関連する炭素影響を低減する。
【0041】
図2は、他のウェブと交絡する前及び/又は他の層と積層する前の第1繊維ウェブ110を示している。例示的な態様では、捺染複合不織布150の所望の最終特性を達成するために、第1繊維ウェブ110に関連する特性を選択することができる。上述したように、第1繊維ウェブ110は、他のウェブと交絡した及び/又は他の層と積層されたときに、捺染複合不織布150の第1装飾面側を形成するものと想定される。捺染複合不織布150を衣料品として形成する場合、第1装飾面側は外側対向表面を形成し、いくつかの態様では衣料品の最外側対向表面を形成すると想定される。したがって、第1繊維ウェブ110に関連する所望の性能は、例えば、耐久性及び耐摩耗性と隠蔽性とを含む。例示的な態様では、第1繊維ウェブ110の目付は、約1m2あたり20g(gsm)から約150gsm、約35gsmから約65gsm、約40gsmから約60gsm、約45gsmから約55gsm、又は約50gsmである。第1繊維ウェブ110の目付をこの範囲に設定することにより、第1繊維ウェブ110が他のウェブ及び/又は層と組み込まれる後の目付が所望の範囲にある捺染複合不織布150が提供される。
【0042】
第1繊維ウェブ110は、例えば繊維210(概略的に示す)のような繊維で形成されており、この繊維210は、コーミング及びラッピングプロセスにより、実質的に共通の方向に配向することができる。例示的な態様では、繊維210はPET繊維(リサイクル又はバージン)を含むことができるが、ここでは他のバージン及びリサイクル繊維タイプ(例えば、ポリアミド、綿など)も想定される。1つの例示的な態様では、繊維210は、100重量%のリサイクル繊維、例えば100重量%のリサイクルPET繊維を含むことができる。しかしながら、他の態様では、必要に応じて、繊維210は、100重量%のバージン繊維、又はバージン繊維とリサイクル繊維との他の組み合わせを含むことができる。繊維210の短繊維長は、約40mmから約60mm、約45mmから約55mm又は約51mmの範囲内であってもよい。この繊維長を使用することにより、最適な交絡が得られる。例えば、40mm未満では、繊維210が交絡するのに十分な長さを有しない場合があり、60mm以上では、交絡中に針が不織布からニードルが引き抜かれると、繊維210が実質的に交絡しなくなる場合がある。例示的な態様では、繊維210は、例えば、バージン押し出しPET又は再押し出しPETで形成され、規定された長さに切断されるときに、均一な長さを含むことができる。他の態様では、繊維210は、例えば、繊維210が細断された繊維源からのものである場合に、短繊維長さの変化を含むことができる。任意の態様及びすべての態様、ならびにそれらの変更は、本願の各態様内に含まれると想定される。
【0043】
繊維210は、約1.2D以上、又は約1.2Dから約3.5D、約1.2Dから約1.7D、約1.3Dから約1.6D、又は約1.5Dのデニールを含むことができる。この範囲のデニールを用いることにより、繊維210が破断しにくくなり、また捺染複合不織布150の第1装飾面側の耐久性及び耐摩耗性が向上する。また、第1繊維ウェブ110の目付を維持したまま、この範囲内でデニールが選択されることにより、第1装飾面側の良好で均一な被覆が提供され、これは、第1装飾面側の耐久性特性の向上に寄与する。第1繊維ウェブ110の目付を維持したまま、例えば3.5Dよりも大きいデニールを選択することにより、一部の場合、例えば捺染部品を露出させることが望ましい場合、又は少なくとも部分的に露出させることが望ましい場合に、第1装飾面側に対してより少ない被覆を提供することができる。
【0044】
例示的な態様では、第1繊維ウェブ110を形成するために使用される繊維210は、第1色特性を含むことができる。例えば、繊維210が原液染めされるように形成されている場合、押出プロセス中に繊維210に第1色特性を付与することができる。例示的な態様では、本願では、他の色を想定しているが、色特性は白色であってもよい。原液染め繊維を使用して捺染複合不織布150を形成することにより、形成後の染色プロセスが不要となり、捺染複合不織布150のカーボンフットプリントの低減にさらに貢献する。別の例示的な態様では、繊維210は、第1繊維ウェブ110が少なくとも部分的に半透明になるように構成されてもよい。すなわち、予め交絡又は後交絡の第1繊維ウェブ110は、捺染複合不織布150の内部層120の捺染部品130が、第1繊維ウェブ110を介して第1装飾面側に少なくとも部分的に視認できるようにする。
【0045】
図3は、他のウェブ及び/又は層と交絡及び/又は積層する前に捺染部品130を有する内部層120を示している。例示的な態様では、捺染部品130及び/又は捺染複合不織布150の所望の最終特性を達成するために、内部層120に関連する特性を選択することができる。通常、内部層120は、本願で想定される少なくとも1つの捺染技術と互換性があり、所望の審美的特性を有する捺染部品130を含むことができるように構成されてもよい。一例では、内部層120は、第1色特性(白色)と、1つ以上の着色物質を受容するように適合された少なくとも1つの面とを有し、これらは共同で捺染部品130を形成する。例示的な態様では、内部層120は、本願で想定される繊維に関連する特徴を有する任意の選択された繊維で形成される繊維ウェブであってもよい。他の例示的な態様では、内部層120は、捺染部品130に所望の審美的特性を提供するように構成された特徴を有するスパンレース層である。内部層120に関連する他の態様について、以下でより詳細に説明する。
【0046】
図4~
図6は、それぞれ、捺染複合不織布150の1つ以上の追加層140に含まれてもよい、例示的な繊維ウェブ又は例示的な層を示す。
図4は、他のウェブと交絡する前及び/又は他の層と積層する前の第2繊維ウェブ112を示す。例示的な態様では、捺染複合不織布150の所望の最終特性を達成するために、第2繊維ウェブ112に関連する特性を選択することができる。上述したように、本願では、第2繊維ウェブ112は、他のウェブと交絡するときに、捺染複合不織布150の反対側の第2装飾面側を形成すると想定する。捺染複合不織布150が衣料品を形成するとき、本願では、第2装飾面側は衣料品の内側対向表面を形成し、いくつかの態様では、最内側対向表面を形成することが想定される。したがって、第2繊維ウェブ112に関連する特性は、例えば、ソフトな風合い又は手触りを含む。例示的な態様では、第2繊維ウェブ112の目付は、約20gsmから約150gsm、約1m2あたり35g(gsm)から約65gsm、約40gsmから約60gsm、約45gsmから約55gsm、又は約50gsmである。例示的な態様では、第2繊維ウェブ112は、第1繊維ウェブ110と実質的に同じ目付を有する。第2繊維ウェブ112の目付は、第2繊維ウェブ112が他のウェブと一体化された後及び/又は他の層と積層された後に、捺染複合不織布150が所望の範囲内の目付を有するように、この範囲内に設定される。
【0047】
第2繊維ウェブ112は、コーミング及びクロスラッピングプロセスのために実質的に共通の方向に配向することができる繊維310(概略的に示す)及び繊維312(概略的に示す)のような2種類の繊維で形成することができる。例示的な態様では、繊維310及び/又は312はPET繊維(リサイクル又はバージン)を含むことができるが、本願では、他のバージン及びリサイクル繊維タイプ(例えば、ポリアミド、綿など)も想定される。1つの例示的な態様では、繊維310及び/又は312は、100重量%のリサイクル繊維、例えば100重量%のリサイクルPET繊維を含むことができる。しかしながら、他の態様では、必要に応じて、繊維310及び/又は312は、100重量%のバージン繊維、又はバージン繊維とリサイクル繊維との他の組み合わせを含むことができる。
【0048】
繊維312は破線で示されており、繊維310とは異なる特徴を有することを示している。繊維312は、例えば、シリコーン樹脂被覆繊維を含む。繊維312を第2繊維ウェブ112に組み込む前に、繊維312をシリコーン樹脂で被覆してもよい。例示的な態様では、第2繊維ウェブ112は、約10重量%から約100重量%の繊維312、約40重量%の繊維310と約60重量%の繊維312、約45重量%の繊維310と約55重量%の繊維312、約55重量%の繊維310と約45重量%の繊維312、又は約60重量%の繊維310と約40重量%の繊維312を含むことができる。第2繊維ウェブ112は、約100重量%の繊維312を含むことができることが示されているとき、本願では、繊維312は、その長さに沿って間欠的にシリコーン樹脂で被覆されることが想定される。上記範囲内で繊維310及び繊維312を用いることにより、第2繊維ウェブ112によって形成される第2面に良好な風合いを与えることができる。また、捺染複合不織布150に良好なドレープ性を与える。言い換えれば、捺染複合不織布150は、従来のクリーンスペースやパーソナルサニタリースペースで使用されていた不織布のように硬くない。また、上記範囲の繊維310及び繊維312を用いることにより、シリコーン樹脂被覆繊維が交絡時の移動を容易にするため、本願に記載の繊維ウェブの交絡に必要な針力の量を低減することができる。上記範囲を下回る範囲のシリコーン樹脂被覆繊維を組み込むと、着用時に、第2装飾面側では、乾燥や不快感を与えることがある。一方、上記範囲以上のシリコーン樹脂被覆繊維を組み込むと、第2装飾面側が滑らかに感じられ、これによっても、着用者に不快感を与える可能性がある。また、上記範囲以上のシリコーン樹脂被覆繊維を使用すると、コーミングワイヤが繊維と摩擦係合して均一なコーミングウェブを得ることができず、コーミングプロセスが困難になる可能性がある。さらに、上記範囲以上のシリコーン樹脂被覆繊維を使用すると、シリコーン樹脂によって摩擦力が低下し、捺染複合不織布150の構造的完全性に影響を与えるため、繊維間に十分な交絡が生じない場合もある。
【0049】
シリコーン樹脂被覆繊維を利用することにより、後加工プロセスにおいて、捺染複合不織布150にシリコーン樹脂仕上げ剤を添加する必要がなくなる。よく知られているように、布地の分野では、後加工プロセスでシリコーン柔軟仕上げ剤を編み物や織編物に添加することが一般的である。このプロセスを省略することにより、捺染複合不織布150のカーボンフットプリントがさらに低減する。
【0050】
繊維310及び312のそれぞれの短繊維長は、約40mmから約60mm、約45mmから約55mm又は約51mmの範囲内であってもよい。繊維210と同様に、この長さは最適な交絡を提供することができる。例示的な態様では、例えば、繊維310及び/又は312は、バージン押し出しPET又は再押し出しPETで形成され、規定された長さに切断された場合に、均一な長さを含むことができる。他の態様では、繊維310及び/又は312は、例えば、繊維310及び/又は312が細断された繊維からのものである場合に、短繊維の長さの変化を含むことができる。任意の態様及びすべての態様、ならびにそれらの変更は、本願の各態様おいて含まれると想定される。
【0051】
繊維310及び312の各々は、約1D以下のデニールを含むことができる。デニールは、例えば、約0.1D、約0.2D、約0.3D、約0.4D、約0.5D、約0.6D、約0.7D、約0.8D、又は約0.9Dとすることができる。例示的な態様では、繊維310及び312のデニールは、約0.6Dから約1D、約0.7Dから約0.9D、又は約0.8Dとすることができる。この範囲のデニールを使用することは、第2繊維ウェブ112によって形成される第2装飾面側にソフトな風合い又は手触りを与えることに寄与する。また、第2繊維ウェブ112の目付を維持したまま、この範囲内のデニールを選択することは、第2装飾面側の良好な被覆を提供する。
【0052】
例示的な態様では、第2繊維ウェブ112を形成するために使用される繊維310及び312の各々は、同じ色特性又は異なる色特性を有してもよい。例示的な態様では、繊維310及び312の両方は、繊維210の第1色特性を含む。繊維210と同様に、各繊維310及び312の各々を原液染めすることができ、これにより、捺染複合不織布150の後処理染色プロセスの必要性をさらに低減することができる。
【0053】
図5は、他のウェブと交絡する前及び/又は他の層と積層する前の任意の第3繊維ウェブ114を示す。本願では、第3繊維ウェブ114は、捺染複合不織布150に1つ以上の追加層140の一部として組み込まれる場合、第1繊維ウェブ110と第2繊維ウェブ112との間に位置することが想定される。例示的な態様では、捺染複合不織布150の所望の最終特性を達成するために、第3繊維ウェブ114に関連する特性を選択することができる。例示的な態様では、第3繊維ウェブ114は、捺染複合不織布150の所望の目付、捺染複合不織布150の所望の厚さ、捺染複合不織布150の所望の断熱性、捺染複合不織布150の所望のパイル等を達成するために、捺染複合不織布150に組み込まれ得る。以下でさらに説明されるように、捺染複合不織布150に視覚的な美しさを与えるために、第3繊維ウェブ114を形成する繊維は、第1繊維ウェブ110及び第2繊維ウェブ112を形成するために使用される繊維とは異なる色特性を有することができる。第3繊維ウェブ114は、第1繊維ウェブ110及び第2繊維ウェブ112と同様に、目付が20gsmから約150gsm、1m2あたり約35g(gsm)から約65gsm、約40gsmから約60gsm、約45gsmから約55gsm、又は約50gsmである。第3繊維ウェブ114と他のウェブ及び/又は層とを組み合わせた後、第3繊維ウェブ114の目付をこの範囲内に設定することにより、目付が所望の範囲内にある捺染複合不織布150が提供される。
【0054】
第3繊維ウェブ114は、例えば繊維410(概略的に示す)のような繊維で形成されており、この繊維410は、コーミング及びクロスラッピングプロセスにより、実質的に共通の方向に配向することができる。例示的な態様では、繊維410はPET繊維(リサイクル又はバージン)を含むことができるが、本願では、他のバージン及びリサイクル繊維タイプ(例えば、ポリアミド、綿など)を想定している。1つの例示的な態様では、繊維410は、100重量%のリサイクル繊維、例えば100重量%のリサイクルPET繊維を含むことができる。しかしながら、他の態様では、必要に応じて、繊維410は、100重量%のバージン繊維、又はバージン繊維とリサイクル繊維との他の組み合わせを含むことができる。繊維210、310、及び312と同様に、繊維410の短繊維長は、約40mmから約60mm、約45mmから約55mm、又は約51mmの範囲内であってもよい。例示的な態様では、繊維410は、例えば、バージン押し出しPET又は再押し出しPETで形成され、規定された長さに切断されるときに、均一な長さを含むことができる。他の態様では、繊維410は、例えば、繊維410が細断された繊維由来からの場合、短繊維の長さの変化を含むことができる。任意の態様及びすべての態様、ならびにそれらの変更は、本願の各態様内に含まれると想定される。
【0055】
繊維410は、約1.2以上、約1.2Dから約3.5D、約1.3Dから約1.6D、又は約1.5Dのデニールを含むことができる。この範囲のデニールを用いることにより、繊維410が破断しにくくなり、また捺染複合不織布150の耐久性及び耐摩耗性が向上する。第3繊維ウェブ114は、使用時に第1繊維ウェブ110と第2繊維ウェブ112との間に位置するので、ソフトな風合いを持つことが例えば第2繊維ウェブ112ほど重要ではない。第3繊維ウェブ114の目付を維持したまま、この範囲のデニールを選択することにより、捺染複合不織布150の全体的な被覆率及び/又は不透明度が向上する。
【0056】
いくつかの態様では、第3繊維ウェブ114を形成するために使用される繊維410は、第1色特性とは異なる第2色特性を含むことができる。これは、
図5において斜線を用いて説明されている。本願では、繊維410が原液染めされ、捺染複合不織布150のカーボンフットプリントがさらに低減されることを想定している。以下により詳細に説明されるように、第1繊維ウェブ110、第2繊維ウェブ112、及び第3繊維ウェブ114の交絡の間、繊維410は他方の装飾面側ではなく、一方の装飾面側へより多く移動し、これにより、第2色特性が他の装飾面側よりも一方の装飾面側でより視覚的に識別可能又は区分可能となるようにしてもよい。本願では、第1繊維ウェブ110の繊維210、第2繊維ウェブ112の繊維310、及び第3繊維ウェブ114の繊維410は、シリコーン樹脂で被覆されていないものとする。
【0057】
図6は、1つ以上の追加層140の一部として含むことができるエラストマー層116を示している。例示的な態様では、エラストマー層116の目付は、約20gsmから約150gsm、約50gsmから約70gsm、約55gsmから約65gsm、又は約60gsmであってもよい。エラストマー層116の目付は、捺染複合不織布150の所望の目付を得るために選択することができる。本願の各態様では、熱可塑性エラストマー(熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー(TPEEE)、TPUとTPEEEの組み合わせなど)からエラストマー層116を形成することを想定している。エラストマー層は、スパンボンド層、フィルム、ウェブ等を含むことができる。特定の例示的な態様では、エラストマー層116は、TPEEスパンボンド層を含むことができる。いくつかの例示的な態様では、スパンボンド層は、延伸及び回復性を維持しながら、例えばフィルムと比較してニードルパンチプロセスに優れていることが見出されている。一般に、エラストマー層116は、交絡過程において構造的完全性を実質的に維持しながら、捺染複合不織布150に所望の延伸性及び回復性を付与するように選択される。本願では、エラストマー層116が色特性を有することを想定している。例示的な態様では、本願では他の色特性を想定しているが、色特性は繊維210、310、及び312に関連する第1色特性とすることができる。
【0058】
図7は、例示的な捺染複合不織布150を製造し、衣料品160に組み込むための例示的な製造プロセスを示しており、このプロセスは符号700で示される。
図7における製造部品の説明は単に例示的なものであり、製造プロセス700の様々なステップの一般的な特徴を伝えることを意図している。さらに、これらのステップは順序で実行されるように示されているが、本願の各態様では、製造プロセス700は、1つ以上のステップの任意の組み合わせを含みうることが想定されており、ここで、任意のステップは、繰り返し又は示されているものとは異なる順序で実行されてもよい。高いレベルでは、
図7は、製造プロセス700のいくつかの個別のステップを示しており、捺染技術を用いて捺染部品130を内部層120上に形成して捺染層170を形成するステップと、捺染層170の第1面を第1繊維ウェブ110の第2面に隣接して位置して複合構造180を形成するステップと、複合構造180に交絡プロセスを施して捺染複合不織布150を形成するステップと、捺染複合不織布150を衣料品160に組み込むステップとを含む。
【0059】
ステップ702から、内部層120が取得され、及び/又は提供される。ステップ704において、捺染技術を用いて捺染部品130を形成し、該捺染技術は、一般に内部層120の第1面に着色物質132を付与するものとして記載される。ステップ706は、使用される捺染技術に関連する任意及び/又は追加のステップを記載し、この例では、使用された着色物質132及び内部層120が熱源707によって生成された熱を受ける硬化プロセスを一般に記載する。ステップ708において、捺染層170の第1面は、第1繊維ウェブ110の第2面に隣接して位置され、任意のサブステップにおいて、捺染層170の対向する第2面は、1つ以上の追加層140の第1面に隣接して位置する。第1繊維ウェブ110及び捺染層170は、任意に1つ以上の追加層140を含んでもよい複合構造180を形成する。
【0060】
ステップ710は、一般に、複合構造180に第1条件711及び第2条件712を含む交絡プロセスを施すことを説明する。例示的な態様では、第1条件711は、第1組のパラメータに関連するニードルパンチの第1パスであり、第2条件712は、第2組のパラメータに関連するニードルパンチの第2パスである。第1条件711及び第2条件712は例示的なものに過ぎず、本願では、所望の捺染複合不織布を達成するために、より多く又はより少ない針パスを使用することができると想定される。他の例示的な態様では、交絡プロセスは可変交絡プロセスを含み、可変交絡プロセスは、複合構造180の異なる部分において異なる態様で繊維を交絡させるように構成された1つ以上の条件を含むプロセスであってもよい。ステップ714に示されるように、交絡プロセスの完了後、複合構造180は、捺染複合不織布150になる。次いで、ステップ716において、捺染複合不織布150が衣料品160に組み込まれる。製造プロセス700のステップに関連する追加の態様について、捺染層170及び捺染複合不織布150の構成例に関連して、以下でより詳細に説明する。
【0061】
図8は、第1繊維ウェブ110及び/又は1つ以上の追加層140と組み合わされる前の例示的な捺染層870を示す。図示するように、捺染層870は、第1面871を有し、内部繊維ウェブ820と捺染部品130とを含む。様々な態様では、内部繊維ウェブ820は、第3繊維ウェブ114に類似した1つ以上の特徴を有し、したがって、内部繊維ウェブ820を形成する繊維412も、繊維410に類似した1つ以上の特徴を含むことができる。しかしながら、この例では、繊維412は、繊維410とは異なる色特性を有するように記載され、捺染部品130が繊維820の内部繊維ウェブから視覚的に識別又は区分できるように、繊維412の色特性が構成されてもよいと想定される。1つの例示的な態様では、繊維412の色特性は白色とすることができ、他の例示的な態様では、この色特性は、灰色又は赤色、橙色、黄色、緑色、青色、インディゴ色又は紫色のより明るい色調とすることができる。繊維412は原液染めされてもよく、他の繊維ウェブとの交絡の間、繊維412は、他方の装飾面側よりも一方の装飾面側に向かって移動してもよく、色特性が他方の装飾面側よりも一方の装飾面側の方でより視覚的に識別可能であるか、区分可能であるようにする。本願では、繊維412はシリコーン樹脂で被覆されていないことも想定される。
【0062】
他の例示的な態様では、第3繊維ウェブ114と同様に、内部繊維ウェブ820に関連する特性が、捺染複合不織布150の所望の最終特性を達成するために選択されてもよいと想定される。例示的な態様では、所望の目付、所望の厚さ、所望の断熱性、所望のパイル等を達成するために、内部繊維ウェブ820を捺染複合不織布150に組み込むことができる。第3繊維ウェブ114と同様に、内部繊維ウェブ820の目付は、約20gsmから約150gsm、約1m2あたり35g(gsm)から約65gsm、約40gsmから約60gsm、約45gsmから約55gsm、又は約50gsmである。内部繊維ウェブ820の目付は、内部繊維ウェブ820が他のウェブ及び/又は層と組み込まれる後に、捺染複合不織布150が所望の範囲内の目付を有するように、この範囲内に設定される。
【0063】
上述したように、内部繊維ウェブ820は繊維412(概略的に示す)のような繊維で形成され、コーミング及びクロスラッピングプロセスにより、実質的に共通の方向に配向することができる。例示的な態様では、繊維412はPET繊維(リサイクル又はバージン)を含むことができるが、本願では、他のバージン及びリサイクル繊維タイプ(例えば、ポリアミド、綿など)も想定される。1つの例示的な態様では、繊維412は、100重量%のリサイクル繊維、例えば100重量%のリサイクルPET繊維を含むことができる。しかしながら、他の態様では、必要に応じて、繊維412は、100重量%のバージン繊維、又はバージン繊維とリサイクル繊維との他の組み合わせを含むことができる。繊維410と同様に、繊維412の短繊維長は、約40mmから約60mm、約45mmから約55mm、又は約51mmの範囲内であってもよい。例示的な態様では、繊維412は、例えば、繊維がバージン押し出しPET又は再押し出しPETで形成され、規定された長さに切断されるときに、均一な長さを含むことができる。他の態様では、繊維412は、例えば、繊維412が細断された繊維由来からの場合、短繊維の長さの変化を含むことができる。任意の態様及びすべての態様、ならびにそれらの変更は、本願の各態様内に含まれると想定される。
【0064】
繊維412は、約1.2D以上、約1.2Dから約3.5D、約1.3Dから約1.6D、又は約1.5Dのデニールを含むことができる。この範囲のデニールを用いることにより、繊維412が破断しにくくなり、また、捺染複合不織布150の耐久性及び耐摩耗性が向上する。内部繊維ウェブ820は、使用時に第1繊維ウェブ110と第2繊維ウェブ112との間に位置するので、ソフトな風合いを持つことは、例えば第2ウェブ112ほど重要ではない。内部繊維ウェブ820の目付を維持したまま、この範囲のデニールを選択することにより、捺染複合不織布150の全体的な被覆率及び/又は不透明度が向上する。
【0065】
図8に示すように、捺染部品130は、第1面871にデジタル捺染法により付与された着色剤134で形成されている。上述のように、着色剤134は、捺染部品130に、例えば、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、インディゴ色、紫色、及び/又はその色合いのような1つ以上の色特性を付与することができる。また、捺染部品130は、内部繊維ウェブ820の1つ以上の領域(未図示)に配置されており、また、捺染部品130が長方形として描かれている場合であっても、本願の例示的な態様では、捺染部品130は、画像、図形、デザイン、視覚的なマーク、ロゴ、幾何学的形状、有機的形状、パターン、文字、数字などのようなブランドに関連する形状を含む1つ以上の形状を含むことができると想定される。
【0066】
図9は、
図8の捺染層870の横断面を示している。図示のように、捺染部品130を形成する着色剤134は、捺染層870の第1面871上に位置し、内部繊維ウェブ820を通って捺染層870の対向する第2面872に向かって部分的に延在する。着色剤134は、第1面871及び内部繊維ウェブ820上に明瞭に描かれて表示されるが、着色剤134のこのような表示は例示的であることが理解されるべきである。したがって、本願の各態様では、着色剤134が、より少ない描画及び/又は不規則な態様で捺染層870に含まれ得ることを想定している。着色剤134は、内部繊維ウェブ820の繊維412に付着し、及び/又は繊維412に少なくとも部分的に吸収された部分を含み、繊維412に付着していない他の部分を含むことも想定される。
【0067】
図10は、捺染部品が着色剤の代わりに昇華性染料136によって形成される捺染層870の代替横断面を示す。したがって、昇華性染料136は、昇華捺染プロセスによって第1面871に付与することができる。昇華捺染プロセスとデジタル捺染プロセスとの違い、昇華性染料136と着色剤134との違いにより、昇華性染料136は着色剤134とは異なる方式で捺染層870に含有される。図示のように、昇華性染料136は捺染層870により多く吸着される。すなわち、昇華性染料136は、第1面871よりも上方には延在せず、部分的に内部繊維ウェブ820の内部を通って着色剤134よりも大きく延在している。同様に、
図9と同様に、昇華性染料136が第1面871上に明確に描かれ、内部繊維ウェブ820を貫通する表示は例示的なものであり、本願の各態様では、昇華性染料136が、より少ない描画及び/又は不規則な態様で捺染層870に含まれ得ることを想定している。昇華性染料136は、内部繊維ウェブ820の繊維412に結合され、付着し、及び/又は繊維412に少なくとも部分的に吸収される部分を含み、さらに、繊維412に接続されない、及び/又は繊維412から分離している他の部分を含むことも想定される。
【0068】
図11~
図14は、第1繊維ウェブ110、捺染層870(例えば、捺染部品130を含む内部繊維ウェブ820)、第2繊維ウェブ112、及びエラストマー層116に交絡プロセスを施して形成される例示的な捺染複合不織布850の各態様を示している。
図11は、第1交絡繊維ウェブ810から少なくとも部分的に形成された捺染複合不織布850の第1装飾面側851を示す。
図12(捺染複合不織布850の横断面が示されている)に最良に示すように、第1交絡繊維ウェブ810は、第1繊維ウェブ110からの繊維210と、第2繊維ウェブ112からの繊維310及び312と、内部繊維ウェブ820からの繊維412とを含む。また、捺染複合不織布850の第2装飾面側852は、主として繊維310及び312を含む第2交絡繊維ウェブ812によって少なくとも部分的に形成されている。また、主に繊維412を含む内部交絡繊維ウェブ814は第1交絡繊維ウェブ810と第2交絡繊維ウェブ812との間に位置する。内部交絡繊維ウェブ814は、第1交絡繊維ウェブ810の第2面に隣接して位置する第1面の捺染部品130をさらに含む。また、エラストマー層116は、第1交絡繊維ウェブ810と第2交絡繊維ウェブ812との間にも位置し、内部交絡繊維ウェブ814に隣接している。
【0069】
例示的な態様では、捺染部品130は、交絡パラメータ、繊維412の特徴、及び/又は着色剤134の特徴のために、捺染複合不織布850の第1装飾面側851に捺染部品130が視認できるように、少なくとも部分的に第1交絡繊維ウェブ810を通して視認される。これに加えて、同じ理由で、内部交絡繊維ウェブ814の異なる領域と、捺染部品130の異なる部分とが、第1交絡繊維ウェブ810に異なる態様で組み込まれている。例示的な態様では、第1交絡繊維ウェブ810は、少なくとも部分的に半透明であってもよい。他の例示的な態様では、交絡プロセスのパラメータは、着色剤及び/又は昇華性染料の離散粒子と、捺染部品130を形成する着色剤及び/又は昇華性染料を含む繊維とが、第1交絡繊維ウェブ810及び/又は第1装飾面側851に移行するように構成することができる。
【0070】
図13は、
図12の捺染複合不織布850の横断面の拡大図を示す。
図13には、内部交絡繊維ウェブ814の第1領域821が示されており、繊維210、310、312、412及び捺染部品130の構成例が示されている。第1領域821は、捺染部品130の第1部分831を含み、第1領域821において、少なくともいくつかの着色剤134が繊維412に付着されて、繊維414を形成する。また、繊維412及び414と繊維310及び312は第1交絡繊維ウェブ810に組み込まれている。繊維414は、少なくとも1つの繊維414が捺染複合不織布850の第1装飾面側851まで延在するように組み込まれている。また、捺染部品130の第1部分831は、繊維412に付着していない着色剤134の少なくともいくつかの離散粒子を含む。したがって、第1領域821において、第1装飾面側851は、少なくとも部分的に、捺染部品130の第1部分での着色剤134と繊維414とによって形成される。
【0071】
図14は、
図12の捺染複合不織布850の横断面の拡大図を示す。
図14には、内部交絡繊維ウェブ814の第2領域822が示されており、繊維210、310、312、412及び捺染部品130の構成例が示されている。第2領域822は、捺染部品130の第2部分832を含み、第1領域821と同様に、第2領域822において、着色剤134が繊維412に付着して繊維414を形成するとともに、繊維412に付着しない離散粒子としても含まれる。しかし、第1領域821とは異なり、第2領域822では、繊維412及び414は第1交絡繊維ウェブ810から排除されている。繊維210、310及び312は、第1領域821及び第2領域822においても同様の構成を有する。具体的には、繊維210の少なくとも一部は、内部交絡繊維ウェブ814内に延在し、残りの繊維210は、内部交絡繊維ウェブ814及びエラストマー層116を通って第2交絡繊維ウェブ812内にさらに延在している。また、繊維310及び312の少なくとも一部は、エラストマー層116及び内部交絡繊維ウェブ814を通って延在して、第1交絡繊維ウェブ810内に入る。
【0072】
例示的な態様では、繊維210、310、312、412、414及び/又は捺染部品130のうちの1つ以上は、捺染複合不織布850の異なる部分において異なる構成を有することができる。
図13及び
図14に示すように、第1交絡繊維ウェブ810に対する内部交絡繊維ウェブ814の交絡度合いは、第2領域822よりも第1領域821の方が大きい。本願で使用される交絡度合いとは、捺染複合不織布の単位面積あたり、別の交絡繊維ウェブと機械的に交絡した、及び/又は別の交絡繊維ウェブに組み込まれる交絡繊維ウェブの繊維量である。これにより、捺染複合不織布の1cm×1cmの面積(cm2と定義される)の単位面積当たり、内部交絡繊維ウェブ814の第1領域821において、内部交絡繊維ウェブ814の第2領域822の単位面積当たりよりも、多くの繊維412及び414は繊維210及び/又は第1交絡繊維ウェブ810に交絡している。言い換えれば、第2領域822の単位面積あたり、第1領域821の単位面積よりも、多くの繊維412及び414は第1交絡繊維ウェブ810から排除され、及び/又は、第1交絡繊維ウェブ810から機械的に独立している。
【0073】
図15は、第1繊維ウェブ110及び/又は1つ以上の追加層140と組み合わされる前の例示的な捺染層970を示す。図示のように、捺染層970は、第1面971を有し、スパンレース層920と捺染部品130とを含む。様々な態様では、スパンレース層920は、捺染部品130に所望の美しさを提供するように構成され、したがって、スパンレース層920は、捺染部品130を捺染及び保持するのに適した1つ以上の特徴を含むことができる。例示的な態様では、スパンレース層920は、捺染部品130がスパンレース層920から視覚的に識別又は区分されるように構成されてもよい。1つの例示的な態様では、スパンレース層920の色特性は白色であってもよく、他の例示的な態様では、該色特性は、灰色又は赤色、橙色、黄色、緑色、青色、インディゴ色又は紫色のより明るい色調であってもよい。他の例示的な態様では、スパンレース層920は、ウェブの形態であってもよいスパンレース繊維を含むことができる。別の例の態様では、スパンレース層920の目付は、約20gsmから約150gsm、約30gsmから約50gsm、約35gsmから約45gsm、又は約40gsmであってもよい。
【0074】
さらなる例示的な態様では、スパンレース層920はPETで形成されることが予想される。これらの態様では、また、スパンレース層920がPET繊維(リサイクル又はバージン)を含むことを想定しているが、他のバージン及びリサイクル繊維タイプ(例えば、ポリアミド、綿など)も想定される。1つの例示的な態様では、スパンレース層920の繊維は、100重量%のリサイクル繊維、例えば100重量%のリサイクルPET繊維を含むことができる。しかしながら、他の態様では、スパンレース層920の繊維は、必要に応じて、100重量%のバージン繊維、又はバージン繊維とリサイクル繊維との他の組み合わせを含むことができる。さらに別の態様では、スパンレース層920の繊維の短繊維長は、捺染複合不織布950の他の繊維ウェブに含まれる繊維の短繊維長よりも長くてもよい。1つの例示的な態様では、スパンレース層920の繊維は、短繊維長の変化を含んでいてもよく、他の例示的な態様では、スパンレース層920の繊維は、スパンレース層920全体にわたって連続していてもよい。さらに別の態様では、スパンレース層920の繊維は、捺染部品130に所望の美しさを提供するスパンレース層920の特性を提供するように構成されたデニールを含むことができると想定される。別の例示的な態様では、スパンレース層920の繊維は、スパンレース層920に疎水性を与えるように、さらには捺染複合不織布950に疎水性を与えるように構成することができる。任意の態様及びすべての態様、ならびにそれらの変更は、本願の各態様内に含まれると想定される。
【0075】
図15の例に戻る。捺染部品130は、昇華捺染プロセスにより第1面971に付与された昇華性染料136により形成されている。上述したように、昇華性染料136は、赤色、橙色、黄色、緑色、青色、インディゴ色、紫色、及び/又はその色合いのような1つ以上の色特性を捺染部品130に提供することができる。また、捺染部品130は、スパンレース層920の1つ以上の領域(未図示)に位置し、また、捺染部品130が長方形として描かれている場合であっても、本願の例示的な態様では、捺染部品130は、画像、図形、デザイン、視覚的なマーク、ロゴ、幾何学的形状、有機的形状、パターン、文字、数字などのようなブランドに関連する形状を含む1つ以上の形状を含むことができると想定される。
【0076】
図16は、
図15の捺染層970の横断面図を示す。図示のように、昇華性染料136は、第1面971に付与され、捺染層970の対向する第2面972に向かって少なくとも部分的にスパンレース層920に吸収される。昇華性染料136は、第1面971上に明瞭に描かれ、捺染層970を貫通して表示されるが、昇華性染料136のこのような表示は説明的であることが理解されるべきである。したがって、本願の各態様では、昇華性染料136が、より少ない描画及び/又は不規則な態様で捺染層970に含まれることを想定している。昇華性染料136は、スパンレース層920及びその繊維に結合され、付着し、及び/又は、スパンレース層920及びその繊維に少なくとも部分的に吸収される部分を含み、さらに、スパンレース層920及びその繊維に接続されない、及び/又はスパンレース層920及びその繊維から分離している他の部分を含むことも想定される。
【0077】
図17は、昇華性染料136の代わりに着色剤134によって捺染部品130が形成された捺染層970の代替横断面を示している。したがって、着色剤134は、デジタル捺染プロセスによって第1面971に付与されることができる。デジタル捺染プロセスと昇華捺染プロセスとの違い、及び着色剤134と昇華性染料136との違いにより、着色剤134は昇華性染料136とは異なる方式で捺染層970に含有される。図示のように、着色剤134は、捺染層970の第1面971の上に部分的に延在し、また、捺染層970の対向する第2面972に向かって部分的にスパンレース層920を通って延在する。着色剤134は、第1面971及びスパンレース層920の上に明瞭に描かれて表示されるが、着色剤134のこのような表示は説明的であることが理解されるべきである。したがって、本願の各態様では、着色剤134が、より少ない描画及び/又は不規則な態様で捺染層970に含まれ得ることを想定している。着色剤134は、スパンレース層920及びその繊維に少なくとも部分的に付着及び/又は吸収された部分を含み、さらに、スパンレース層920及びその繊維に接続されない他の部分を含むことも想定される。
【0078】
図18~
図21は、第1繊維ウェブ110、捺染層970(例えば、捺染部品130を含むスパンレース層920)、第2繊維ウェブ112、第3繊維ウェブ114、及びエラストマー層116に交絡プロセスを施して形成される例示的な捺染複合不織布950の各態様を示す。
図18は、第1交絡繊維ウェブ910から少なくとも部分的に形成された捺染複合不織布950の第1装飾面側951を示す。
図19(捺染複合不織布950の横断面が示されている)に最良に示すように、第1交絡繊維ウェブ910は、第1繊維ウェブ110からの繊維210と、第2繊維ウェブ112からの繊維310及び312と、第3繊維ウェブ114からの繊維410とを含む。また、捺染複合不織布950の第2装飾面側952は、主として繊維310及び312を含む第2交絡繊維ウェブ912によって少なくとも部分的に形成されている。また、主に繊維410を含む第3交絡繊維ウェブ914は第1交絡繊維ウェブ910と第2交絡繊維ウェブ912との間に位置する。スパンレース層920は、第1交絡繊維ウェブ910とび第3交絡繊維ウェブ914との間に位置し、第1交絡繊維ウェブ910の第2面に隣接して位置する第1面の捺染部品130をさらに含む。またに、エラストマー層116は、第2交絡繊維ウェブ912と第3交絡繊維ウェブ914との間に位置する。
【0079】
例示的な態様では、捺染部品130は、交絡パラメータ、繊維110の特徴、スパンレース層920、及び/又は昇華性染料136の特徴のために、捺染部品130が捺染複合不織布950の第1装飾面側951に視認できるように、少なくとも部分的に第1交絡繊維ウェブ910を通して視認される。これに加えて、同じ理由で、スパンレース層920の異なる領域と、捺染部品130の異なる部分とが、第1交絡繊維ウェブ910に異なる態様で組み込まれている。
【0080】
図20は、
図19の捺染複合不織布950の横断面の拡大図を示す。
図20には、スパンレース層920の第1領域921が示されており、繊維210、310、312、410、スパンレース層920の繊維416、及び捺染部品130の構成例が示されている。第1領域921は、捺染部品130の第1部分931を含み、第1領域921において、少なくともいくつかの昇華性染料136が繊維416に付着されて、繊維418を形成する。また、繊維416及び418と繊維310、312及び410は第1交絡繊維ウェブ910に組み込まれている。繊維418は、少なくとも1つの繊維418が捺染複合不織布950の第1装飾面側951まで延在するように組み込まれている。また、捺染部品130の第1部分931は、繊維416に付着していない昇華性染料136の少なくともいくつかの離散粒子を含む。したがって、第1領域921において、第1装飾面側951は、捺染部品130の第1部分931での昇華性染料136と繊維418とによって少なくとも部分的に形成される。
【0081】
図21は、
図19の捺染複合不織布950の横断面の拡大図を示す。
図21には、スパンレース層920の第2領域922が示されており、繊維210、310、312、410、416、418及び捺染部品130の構成例が示されている。第2領域922は、捺染部品130の第2部分932を含み、第1領域921と同様に、第2領域922において、昇華性染料136が繊維416に付着及び/又は結合されて繊維418を形成するとともに、繊維416に付着しない離散粒子としても含まれる。しかし、第1領域921とは異なり、第2領域922では、繊維416及び418は第1交絡繊維ウェブ910から排除されている。繊維210、310、312及び410は、第1領域921及び第2領域922においても同様の構成を有する。具体的には、繊維210の少なくとも一部は、スパンレース層920を通って第3交絡繊維ウェブ914内に延在し、残りの繊維210は、エラストマー層116を通って第2交絡繊維ウェブ912にさらに延在している。また、繊維310及び312の少なくとも一部は、エラストマー層116、第3交絡繊維ウェブ914、及びスパンレース層920を通って延在して、第1交絡繊維ウェブ910内に入る。また、繊維410の少なくとも一部は、スパンレース層920を通って第1交絡繊維ウェブ910内に延在し、残りの繊維410は、エラストマー層116を通って第2交絡繊維ウェブ912内に延在している。
【0082】
例示的な態様では、繊維210、310、312、412、416、及び418、及び/又は捺染部品130の第1部分931及び第2部分932のうちの1つ以上は、捺染複合不織布950の異なる部分において異なる構成を有することができる。
図20及び
図21に示すように、捺染部品130の第1部分931は、捺染部品130の第2部分932よりも多く第1交絡繊維ウェブ910に組み込まれている。より具体的には、スパンレース層920の第1領域921に隣接する第1交絡繊維ウェブ910の単位面積(例えば、第1単位面積)は、スパンレース層920の第2領域922に隣接する第1交絡繊維ウェブ910の単位面積(例えば、第2単位面積)よりも多くの繊維418及び昇華性染料136を含む。捺染部品130の第1部分931及び第2部分932はそれぞれスパンレース層920の第1領域921及び第2領域922に含まれるので、第1単位面積に含まれる捺染部品130の第1部分931(例えば、繊維418、昇華性染料136及びその離散粒子)の量は、第2単位面積に含まれる捺染部品130の第2部分932の量よりも多い。言い換えれば、捺染部品130の第2部分932は、第1交絡繊維ウェブ910の第2単位面積の少なくとも一部から除外され、捺染部品130の第1部分931は、第1交絡繊維ウェブ910の第1単位面積の大部分に存在する。
【0083】
説明の目的のために、本願の各態様は、例示的及び/又は簡略化された方法で図を介して図示されてもよいことが理解されるべきである。このような説明は限定的なものではなく、本願で予想される態様は、図面に示される例とは異なる場合がある。例えば、
図12~
図14及び
図19~
図21では、個々の繊維は、捺染複合不織布850、950の特定の部分に示されており、各特定の部分において異なる態様で示されており、捺染複合不織布850、950の交絡繊維ウェブ及び/又は層を貫通する繊維の機械的交絡及び/又は結合の相違に関する態様を示している。したがって、本願の各態様では、捺染複合不織布150、850、950には、
図12~
図14及び
図19~
図21の例とは異なる様々な態様で、交絡繊維ウェブ及び/又は層の繊維が含まれ得ることを想定している。一態様では、第1交絡繊維ウェブ810の繊維210の少なくともいくつかは、捺染複合不織布850の内部層(例えば、捺染層870、内部交絡繊維ウェブ814及び捺染部品130)に組み込まれる。別の態様では、第1交絡繊維ウェブ910の繊維210の少なくともいくつかは、捺染複合不織布950の内部層(例えば、捺染層970、スパンレース層920、及び捺染部品130)に組み込まれる。
【0084】
本願の各態様によれば、繊維ウェブ及び/又は層に関連する特性(例えば、ウェブ及び/又は層の数、個々のウェブ及び/又は層の目付、個々のウェブの繊維のタイプ及び重量の割合、繊維デニール、繊維長及び/又は繊維被覆、個々の層の材料タイプ等)、複合構造における繊維ウェブ及び/又は層の配置、捺染技術及びそれに関連するパラメータ(例えば、デジタル捺染、昇華捺染等)、及び/又は交絡プロセス及びそれに関連するパラメータ(例えば、機械的交絡、縫い目密度、貫通深さ、ニードル交絡等)を選択することによって。交絡繊維ウェブ及び/又は層の繊維は、所望の態様で捺染複合不織布150、850、950に含まれ得る。したがって、交絡繊維ウェブ及び/又は層の繊維は、捺染複合不織布150、850、950の異なる部分に異なる態様で含まれ得る。例えば、捺染複合不織布150、850、950の一部には、交絡繊維ウェブ及び/又は層の繊維は、他の異なる部分の繊維とは異なる構成を有していてもよく、その結果、1つの交絡繊維ウェブ及び/又は層の繊維は、捺染複合不織布の異なる部分での他の交絡繊維ウェブ及び/又は層の繊維との交絡がより大きいか、より小さいか、及び/又は、その他の交絡繊維ウェブ及び/又は層の繊維に多少組み込まれる。また、捺染複合不織布の異なる部分での他の交絡繊維ウェブ及び/又は層の繊維に、交絡繊維ウェブ及び/又は層の繊維に含まれる捺染部品及び/又はそのいずれかの部分を多少組み込むこともできる。
【0085】
図22は、ジャケット、パーカー、長袖シャツ、ノースリーブシャツ、ベストなどの他の構成が想定されるが、半袖を有する上着用衣類の形態である例示的な下半身用衣料品1000を示している。図に示すように、下半身用衣料品1000は、第1複合不織布1010と第2複合不織布1020とで形成されている。本願の各態様では、第1複合不織布1010及び/又は第2複合不織布1020が、捺染複合不織布150、850、950のいずれかと同一又は類似の特徴を有してもよいことを想定している。図示されていないが、本願の各態様では、第1複合不織布1010及び/又は第2複合不織布1020が捺染層170、870、970のいずれかを含んでもよく、さらに、本願の各態様では、下半身用衣料品1000が捺染部品130を含んでもよいことも想定される。
【0086】
下半身用衣料品1000はいくつかの縫い目位置を含み、第1複合不織布1010及び/又は第2複合不織布1020は互いに接合されるか、下半身用衣料品1000の他の部分(例えば、袖部分、襟部分など)に接合される。第1縫い目位置1002は、下半身用衣料品1000の側部(例えば、サイド縫い目)の近傍にあり、第2縫い目位置1004は、下半身用衣料品1000の上部(例えば、襟部と袖との間に延びる縫い目)の近傍にある。また、第3縫い目位置1006は下半身用衣料品1000の襟部近傍にあり、第4縫い目位置1008は下半身用衣料品1000の袖部分の近傍にある。
【0087】
図23は、下半身用衣類の形態である例示的な下半身用衣料品1100を示す。なお、本願では、下半身用衣料品1100は、パンツとして示されているが、パンツ、七分丈、タイツ等の形態であってもよいことが想定される。図に示すように、下半身用衣料品1100は、第1複合不織布1110と第2複合不織布1120とで形成されている。本願の各態様では、第1複合不織布1110及び/又は第2複合不織布1120が、捺染複合不織布150、850、950のいずれかと同一又は類似の特徴を有してもよいことを想定している。図示されていないが、本願の各態様では、第1複合不織布1110及び/又は第2複合不織布1120が捺染層170、870、970のいずれかを含んでもよく、さらに、本願の各態様では、下半身用衣料品1100が捺染部品130を含んでもよいことも想定される。
【0088】
下半身用衣料品1100はいくつかの縫い目位置を含み、第1複合不織布1110及び/又は第2複合不織布1120は互いに結合されるか、下半身用衣料品1100の他の部分(例えば、腰、ポケット部分など)に接合される。第1縫い目位置1102は、下半身用衣料品11000の外側部分(例えば、サイド縫い目)の近傍にあり、第2縫い目位置1104は、下半身用衣料品11000の内側部分(例えば、インナー縫い目)の近傍にある。また、第3縫い目位置1106は、下半身用衣料品1100のウエスト部(例えば、ベルト)の近傍にあり、第4縫い目位置1108は、下半身用衣料品1100のポケットの近傍にある。
【0089】
図24は、
図22の上半身用衣料品の横断面図を示し、第1縫い目1001の例を示している。一般に、第1縫い目1001は、第1複合不織布1010の繊維1030と第2複合不織布1020の繊維1040との交絡によって形成される。また、第1複合不織布1010は、第1複合不織布1010の第1装飾面側1011を少なくとも部分的に形成する第1交絡繊維ウェブ1031と、第1複合不織布1010の対向する第2装飾面側1012を少なくとも部分的に形成する第2交絡繊維ウェブ1032と、第1交絡繊維ウェブ1031と第2交絡繊維ウェブ1032との間に位置する第3交絡繊維ウェブ1033と、を含む。同様に、第2複合不織布1020は、第2複合不織布1020の第1装飾面側1021を少なくとも部分的に形成する第1交絡繊維ウェブ1041と、第2複合不織布1020の対向する第2装飾面側1022を少なくとも部分的に形成する第2交絡繊維ウェブ1042と、第1交絡繊維ウェブ1041と第2交絡繊維ウェブ1042との間に位置する第3交絡繊維ウェブ1043と、をさらに含む。例示的な態様では、第1縫い目1001を形成することは、第1複合不織布1010の第1装飾面側1111が第2複合不織布1020の第1装飾面側1021に隣接するか又は接触するように、第1複合不織布1010の第1縁部1014を、第2複合不織布1020の第2縁部1024に隣接して位置することを含んでもよい。そして、第1複合不織布1010、第2複合不織布1020をその位置に保持したまま、第1交絡繊維ウェブ1031、第2交絡繊維ウェブ1032、第3交絡繊維ウェブ1033のいずれかから得られる繊維1030と、第1交絡繊維ウェブ1041、第2交絡繊維ウェブ1042、第3交絡繊維ウェブ1043のいずれかから得られる繊維1040とが交絡するように、第1縁部1014と第2縁部1024に交絡プロセスを施す。
【0090】
図25は、
図23の下半身用衣料品1100の横断面図を示し、第2縫い目1101の例を示している。一般に、第2縫い目1101は、第1複合不織布1110の繊維1130と第2複合不織布1120の繊維1140との交絡によって形成される。また、第1複合不織布1110は、第1複合不織布1110の第1装飾面側1111を少なくとも部分的に形成する第1交絡繊維ウェブ1131と、第1複合不織布1110の対向する第2装飾面側1112を少なくとも部分的に形成する第2交絡繊維ウェブ1132と、第1交絡繊維ウェブ1131と第2交絡繊維ウェブ1132との間に位置する第3交絡繊維ウェブ1133と、を含む。同様に、第2複合不織布1120は、第2複合不織布1120の第1装飾面側1121を少なくとも部分的に形成する第1交絡繊維ウェブ1141と、第2複合不織布1120の対向する第2装飾面側1122を少なくとも部分的に形成する第2交絡繊維ウェブ1142と、第1交絡繊維ウェブ1141と第2交絡繊維ウェブ1142との間に位置する第3交絡繊維ウェブ1143と、を含む。例示的な態様では、第2縫い目1101を形成することは、第1複合不織布1110の第2装飾面側1112が第2複合不織布1120の第1装飾面側1121に隣接するか又は接触するように、第1複合不織布1110の第1縁部1114を第2複合不織布1120の第2縁部1124に隣接して位置することを含むことができる。そして、第1複合不織布1110、第2複合不織布1120をその位置に保持したまま、第1交絡繊維ウェブ1131、第2交絡繊維ウェブ1132、第3交絡繊維ウェブ1133のいずれかから得られる繊維1130と、第1交絡繊維ウェブ1141、第2交絡繊維ウェブ1142、第3交絡繊維ウェブ1143のいずれから得られる繊維1140とが交絡するように、第1縁部1114、第2縁部1124に交絡処理を施す。
【0091】
以下の項は、本願で想定される概念の例示的な態様を表す。以下の項のいずれかは、複数の従属形態で結合されて、1つ以上の他の項に依存することができる。また、従属項(前の項に明示的に依存する項)の任意の組み合わせは、本願で想定される態様の範囲内を逸脱することなく、任意に組み合わせてもよい。以下の項は例示に過ぎず、限定的なものではない。
項1. 捺染複合不織布の製造方法であって、捺染部品を含む捺染層の第1面を第1繊維ウェブの第2面に隣接して位置して複合構造を形成するステップと、前記複合構造をニードル交絡プロセスに付し、前記ニードル交絡プロセス後、前記捺染部品の少なくとも一部を前記第1繊維ウェブに組み込むステップと、を含む。
項2. 項1に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染層は内部繊維ウェブであり、前記内部繊維ウェブは前記捺染部品の第1部分を含む第1領域と、前記捺染部品の第2部分を含む第2領域と、を有する。
項3. 項2に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記内部繊維ウェブの前記第2領域よりも、前記内部繊維ウェブの前記第1領域及び前記第1繊維ウェブは大きな機械的交絡を有する。
項4. 項2~3のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記複合構造を前記ニードル交絡プロセスに付した後、前記内部繊維ウェブの前記第1領域における繊維の少なくともいくつかは前記第1繊維ウェブと機械的に交絡し、かつ、前記内部繊維ウェブの前記第2領域における繊維の少なくともいくつかは前記第1繊維ウェブから機械的に独立している。
項5. 項4に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染部品は、着色剤及び昇華性染料から選択される少なくとも1つを含む。
項6.項1~5のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染層はスパンレース層である。
項7. 項6に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記複合構造を前記ニードル交絡プロセスに付した後、前記第1繊維ウェブの繊維の少なくともいくつかは前記スパンレース層を通って延在し、前記捺染部品の第1部分は前記第1繊維ウェブに組み込まれ、前記捺染部品の第2部分は前記スパンレース層に組み込まれる。
項8. 項7に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染部品の前記第2部分は前記第1繊維ウェブに組み込むことから除外される。
項9. 項6~8のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染部品は、着色剤及び昇華性染料から選択される少なくとも1つを含む。
項10. 項1~9のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染層はスパンレース繊維を含む。
項11. 項1~9のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染層は繊維ウェブを含む。
項12. 項1~11のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記複合構造は、前記捺染層の第2面に隣接する第2繊維ウェブをさらに含む。
項13. 項1~12のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染部品は前記捺染層の前記第1面上にある。
項14. 項1~13のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染層の前記第1面を前記第1繊維ウェブの前記第2面に隣接して前記複合構造を形成する前に、内部層上に前記捺染部品を捺染して前記捺染層を形成するステップをさらに含む。
項15. 項14に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染部品の前記捺染は昇華捺染プロセスである。
項16. 項1~12のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染層の前記第1面を前記第1繊維ウェブの前記第2面に隣接して前記複合構造を形成する前に、前記捺染層を形成するステップをさらに含む。
項17. 項16に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記捺染層を形成するステップは、昇華性染料を内部層に付与するステップと、付与した昇華性染料及び前記内部層に約185℃から約205℃の温度を約0.5秒から約1.5秒持続して付するステップと、を含む。
項18. 項1~17のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記ニードル交絡プロセスは、第1条件を有する第1ニードル交絡プロセスと、前記第1条件と異なる第2条件を有する第2ニードル交絡プロセスと、を含む。
項19. 項1~18のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記第1繊維ウェブに組み込まれる前記捺染部品の前記少なくとも一部は、前記捺染層の1種又は複数種の繊維を含み、前記捺染層の前記1種又は複数種の繊維は前記第1繊維ウェブ内まで延在している。
項20. 項1~19のいずれか1項に記載の捺染複合不織布の製造方法であって、前記第1繊維ウェブに組み込まれる前記捺染部品の前記少なくとも一部は、前記第1繊維ウェブの第1面に少なくとも部分的に延在している。
項21. 捺染非対称面複合不織布の製造方法であって、捺染技術を用いて内部層上に捺染部品を形成して捺染層を形成するステップと、前記捺染技術を用いた後、前記捺染層の第1面を第1繊維ウェブの第2面に隣接して位置して複合構造を形成するステップと、前記複合構造を可変交絡プロセスに付すステップと、をさらに含み、前記可変交絡プロセス後に、前記捺染部品の少なくとも一部と前記第1繊維ウェブの第1面とが、前記捺染非対称面複合不織布の第1装飾面側を少なくとも部分的に形成する。
項22. 項21に記載の捺染非対称面複合不織布の製造方法であって、前記捺染技術は着色剤を前記内部層の第1面に付与するステップを含む。
項23. 項21~22のいずれか1項に記載の前記捺染非対称面複合不織布の捺染方法であって、前記複合構造を前記交絡プロセスに付した後、前記捺染部品の第1部分は前記第1繊維ウェブに組み込まれ、前記捺染部品の第2部分は前記第1繊維ウェブに組み込まれることから除外される。
項24. 項21~23のいずれか1項に記載の捺染非対称面複合不織布の捺染方法であって、前記内部層は繊維ウェブである。
項25. 項21~23のいずれか1項に記載の捺染非対称面複合不織布の捺染方法であって、前記内部層はスパンレース層である。
項26. 項21に記載の捺染非対称面複合不織布の捺染方法であって、前記捺染技術は、前記内部層の前記第1面上に昇華性染料を昇華捺染するステップを含む。
項27. 項26に記載の捺染非対称面複合不織布の捺染方法であって、前記複合構造を前記可変交絡プロセスに付した後、昇華染色された内部層の第1部分は前記昇華染色された内部層の第2部分よりも多く前記第1繊維ウェブに組み込まれる。
項28. 項27に記載の捺染非対称面複合不織布の捺染方法であって、前記内部層は繊維ウェブである。
項29. 項27に記載の捺染非対称面複合不織布の捺染方法であって、前記内部層はスパンレース層である。
項30. 第1装飾面側を有する捺染複合不織布であって、前記第1装飾面側を少なくとも部分的に形成する第1面と、これに対向する第2面と、を有する第1交絡繊維ウェブと、前記第1交絡繊維ウェブの前記第2面に隣接して位置する第1面を有し、第1面が第1部分及び第2部分を有する捺染部品を含み、前記捺染部品の前記第1部分が前記捺染部品の前記第2部分よりも多く前記第1交絡繊維ウェブに組み込まれる内部層と、を含む。
項31. 項30に記載の捺染複合不織布であって、前記内部層は交絡繊維ウェブである。
項32. 項30に記載の捺染複合不織布であって、前記内部層はスパンレース層である。
項33. 項30~32のいずれか1項に記載の捺染複合不織布であって、前記捺染部品は昇華性染料又は着色剤を含む。
項34. 第1装飾面側を有する捺染非対称面複合不織布であって、非対称面不織布は、前記第1装飾面側を少なくとも部分的に形成する第1面と、これに対向する第2面と、を含む第1交絡繊維ウェブと、前記第1交絡繊維ウェブの前記第2面に隣接して位置する第1面を有し、第1面が第1部分及び第2部分を有する捺染部品を含み、前記捺染部品の前記第1部分が前記第1装飾面側を少なくとも部分的に形成し、前記捺染部品の前記第2部分が前記第1交絡繊維ウェブから除外される内部層と、を含む。
項35. 項34に記載の捺染非対称面複合不織布であって、前記内部層は内部交絡繊維ウェブを含む。
項36. 項34に記載の捺染非対称面複合不織布であって、前記内部層は内部スパンレース繊維ウェブを含む。
項37. 項34~36のいずれか1項に記載の捺染非対称面複合不織布であって、前記捺染部品は昇華性染料又は着色剤を含む。
項38. 項34~37のいずれか1項に記載の捺染非対称面複合不織布であって、第2交絡繊維ウェブをさらに含む。
項39. 項38に記載の捺染非対称面複合不織布であって、前記第1交絡繊維ウェブと前記第2交絡繊維ウェブとの間に位置するエラストマー層をさらに含む。
項40. 項38~39のいずれか1項に記載の捺染非対称面複合不織布であって、第3交絡繊維ウェブをさらに含む。
項41. 上身用衣料品であって、第1縁部を有し、第1交絡繊維ウェブを含む第1複合不織布と、第2縁部と、前記第1複合不織布の前記第1縁部のうち、前記第2縁部に隣接する部分に沿って形成された第1縫い目と、を有し、第2交絡繊維ウェブを含む第2複合不織布と、を含み、前記第1交絡繊維ウェブの繊維の少なくともいくつかと前記第2交絡繊維ウェブの繊維の少なくともいくつかとが交絡して前記第1縫い目を形成し、前記第1縫い目は前記上身用衣料品の第1縫い目位置に形成される。
項42. 項41に記載の上身用衣料品であって、前記第1縫い目位置は前記上身用衣料品の側面部分の近傍にある。
項43. 項41に記載の上身用衣料品であって、前記第1縫い目位置は前記上身用衣料品の襟部分の近傍にある。
項44. 項41に記載の上身用衣料品であって、前記第1縫い目位置は前記上身用衣料品の袖部分の近傍にある。
項45. 項41~44のいずれか1項に記載の上身用衣料品であって、前記第1複合不織布は前記第1縁部に沿う接着剤層をさらに含む。
項46. 項41~45のいずれか1項に記載の上身用衣料品であって、前記第1複合不織布は第3縁部を含み、前記第2複合不織布は前記第1複合不織布の前記第3縁部に隣接する第4縁部を含む。
項47. 項46に記載の上身用衣料品であって、前記第1複合不織布の前記第3縁部のうち、前記第2複合不織布の前記第4縁部に隣接する部分に沿って形成された第2縫い目をさらに含み、前記第1交絡繊維ウェブの繊維の少なくともいくつかと前記第2交絡繊維ウェブの繊維の少なくともいくつかとが交絡して前記第2縫い目を形成し前記第2縫い目は前記上身用衣料品の第2縫い目位置に形成される。
項48. 項47に記載の上身用衣料品であって、前記第1縫い目位置は前記上身用衣料品の側面部分の近傍にあり、前記第2縫い目位置は前記上身用衣料品の襟部分の近傍にある。
項49. 項47に記載の上身用衣料品であって、前記第1複合不織布は前記第3縁部に沿う接着剤層をさらに含む。
項50. 下身用衣料品であって、第1縁部を有し、第1交絡繊維ウェブを含む第1複合不織布と、第2縁部と、前記第1複合不織布の前記第1縁部のうち、前記第2縁部に隣接する部分に沿って形成された第1縫い目とを有し、第2交絡繊維ウェブを含む第2複合不織布と、を含み、前記第1交絡繊維ウェブの繊維の少なくともいくつかと前記第2交絡繊維ウェブの繊維の少なくともいくつかとが交絡して第1縫い目を形成し、前記第1縫い目は前記下身用衣料品の第1縫い目位置に形成される。
項51. 項50に記載の下身用衣料品であって、前記第1縫い目位置は前記下身用衣料品の外側部分の近傍にある。
項52. 項50に記載の下身用衣料品であって、前記第1縫い目位置は前記下身用衣料品の内側部分の近傍にある。
項53. 項50に記載の下身用衣料品であって、前記第1縫い目位置は前記下身用衣料品の腰部分の近傍にある。
項54. 項50~53のいずれか1項に記載の下身用衣料品であって、前記第1複合不織布は前記第1縁部に沿う接着剤層をさらに含む。
項55. 項50~54のいずれか1項に記載の下身用衣料品であって、前記第1複合不織布は第3縁部を含み、前記第2複合不織布は、前記第1複合不織布の前記第3縁部に隣接する第4縁部を含む。
項56. 項55に記載の下身用衣料品であって、前記第1複合不織布の前記第3縁部のうち、前記第2複合不織布の前記第4縁部に隣接する部分に沿って形成された第2縫い目をさらに含み、前記第1交絡繊維ウェブの繊維の少なくともいくつかと前記第2交絡繊維ウェブの繊維の少なくともいくつかとが交絡して前記第2縫い目を形成し、前記第2縫い目は前記下身用衣料品の第2縫い目位置に形成される。
項57. 項56に記載の下身用衣料品であって、前記第1複合不織布は前記第3縁部に沿う接着剤層をさらに含む。
項58. 衣料品の製造方法であって、前記衣料品は、第1複合不織布と第2複合不織布を含み、前記方法は、第1繊維ウェブを第2繊維ウェブの上方に配置するステップと、前記第1繊維ウェブの繊維と前記第2繊維ウェブの繊維とを機械的に交絡して、前記第1繊維ウェブを第1交絡ウェブにし、前記第2繊維ウェブを第2交絡ウェブにするステップであって、前記第1交絡ウェブ及び前記第2交絡ウェブは前記第1複合不織布を形成するステップと、第3繊維ウェブを第4繊維ウェブの上方に配置するステップと、前記第3繊維ウェブの繊維と前記第4繊維ウェブの繊維とを機械的に交絡して、前記第3繊維ウェブを第3交絡ウェブにし、前記第4繊維ウェブを第4交絡ウェブにするステップであって、前記第3交絡ウェブ及び前記第4交絡ウェブは前記第2複合不織布を形成するステップと、前記第1複合不織布の第1縁部が前記第2複合不織布の第2縁部に隣接するように前記第1複合不織布及び前記第2複合不織布を配置するステップと、前記第1交絡ウェブと前記第2交絡ウェブの繊維の少なくともいくつか、及び前記第3交絡ウェブと前記第4交絡ウェブの繊維の少なくともいくつかを機械的に交絡して、前記第1複合不織布の前記第1縁部が前記第2複合不織布の前記第2縁部に隣接して位置する位置に第1縫い目を形成するステップと、を含む。
項59. 項58に記載の衣料品の製造方法であって、前記衣料品は上身用衣料品である。
項60. 項58に記載の衣料品の製造方法であって、前記衣料品は下身用衣料品である。