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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】光分離アレイ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/08 20060101AFI20241209BHJP
   G02B 6/10 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
G02B6/08
G02B6/10
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023532240
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021072415
(87)【国際公開番号】W WO2022115829
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】63/261,468
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/118,650
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/186,184
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507359579
【氏名又は名称】ショット コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT CORPORATION
【住所又は居所原語表記】2 International Drive,Suite 105,Rye Brook,NY 10573,United States of America
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SCHOTT AG
【住所又は居所原語表記】Hattenbergstr. 10, 55122 Mainz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー ゾーア
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン ロイグナー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン テイバー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ダージー
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス ハン
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-119038(JP,A)
【文献】特開2010-092044(JP,A)
【文献】米国特許第10317624(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0323402(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0139631(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0333514(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0022506(US,A1)
【文献】特表2017-522598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/08
G02B 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 厚さ、光入口面、光出口面、側面、複数の導光管路および複数の光学分離チャネルを有する透明材料、ここで前記透明材料は、単一のガラス材料または単一のポリマー材料で構成され、
(i) 前記複数の導光管路は、前記光入口面に対して実質的に平行である水平の光入口表面、前記光出口面に対して実質的に平行である水平の光出口表面、および前記側面に対して実質的に平行である垂直側壁を有し、且
(ii) 前記複数の光学分離チャネルは、前記導光管路の間の材料中の開口部であり、且つ前記出口面から、前記厚さの約5%~100%にわたって延在する、
および
(b) 前記複数の導光管路の垂直側壁に施与された光学分離材料
を含む光分離アレイであって、
前記光学分離材料が前記導光管路の間を光が移動することを実質的に防ぎながら、前記光分離アレイが各々の導光管路を通じて前記水平の光入口表面から前記水平の光出口表面へと光を透過する、
前記光分離アレイ。
【請求項2】
前記導光管路が、波長350~2500nmで少なくとも90%の光を透過する、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項3】
各々の導光管路からの光の漏れの減衰が、10~150dBの範囲である、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項4】
前記光分離アレイが、前記光分離アレイの平方メートルあたり約0.25~約5の導光管路を含む、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項5】
前記導光管路が、約100μm~約50mmの高さおよび約10μm~約10mmの直径を有する、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項6】
前記導光管路のアスペクト比が約30:1~約5:1である、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項7】
前記光学分離チャネルが、前記材料の厚さの100%にわたって延在する、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項8】
前記光学分離チャネルが、前記材料の厚さの約80%~100%にわたって延在する、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項9】
各々の導光管路の水平の光出口表面が、前記光出口面と同一平面上にある、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項10】
前記光学分離チャネルが、1つの導光管路の垂直側壁から他の導光管路の垂直側壁まで完全には延在していない、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項11】
前記光学分離チャネルが、約0.01~約10mmの直径、約0.001~約5mmの幅、および約0.01~約30mmの深さを有する、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項12】
前記光学分離材料が、不透明な材料、吸収材料および/または反射材料を含む、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項13】
前記光学分離材料が、光反射材料上に施与された光吸収材料を含む、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項14】
前記光学分離材料が、光学分離チャネルの底部にも施与される、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項15】
前記光学分離チャネルが、個別の導光管路を取り囲む環である、請求項1に記載の光分離アレイ。
【請求項16】
前記環が、2つ以上の同心の環であり、各々の同心の環の間の半径距離は25μm~100μmである、請求項15に記載の光分離アレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の背景
1. 本開示の分野
本開示は、高い透過効率、および1つの位置、例えばレンズから、他の位置、例えば光検出ダイオード(各々「PD」)のアレイへの光の分離を可能にする光分離アレイ(「ライトパイプ」または「ライトパイプアレイ」とも称され得る)に関する。前記光分離アレイは入力光の光学分離をもたらし、且つクロストークを排除できるので、入ってくる信号のコントラストの高まりによって解像度を強化する。前記光分離アレイは、屋外の装置において使用される場合、PDを汚染から保護することもできる。
【背景技術】
【0002】
2. 本開示の背景
現在利用可能な光分離アレイは低開口数のファイバオプティクスフェースプレートを使用し、それは各々のフォトダイオート検出器についてあまりに多くのファイバを有する結果としてオーバーサンプリングを欠点として有することがある。他の技術、例えば開放型の機械的開口は光学コーティングが可能ではなく、開口部における破片汚染を欠点として有することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の要約
本開示の光分離アレイは現在の光分離アレイの問題の多くを軽減できる。本開示の光分離アレイは、1つの位置から他の位置への光を集め且つ分離できる一方で、入力光の光学分離をもたらし、且つクロストークを排除するかまたは著しく最小限にするので、入ってくる信号のコントラストの高まりによって解像度を強化する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施態様において、光分離アレイは、厚さ、光入口面、光出口面、側面、複数の導光管路、および複数の光学分離チャネルを有する透明材料を含む。複数の導光管路は、光入口面に対して実質的に平行である水平の光入口表面、光出口面に対して実質的に平行である水平の光出口表面、および前記側面に対して実質的に平行である垂直側壁を有し得る。複数の光学分離チャネルは、導光管路の間の材料中の開口部であることができ、光入口面または光出口面から、前記材料の総厚の約5%から前記材料の総厚の100%以下まで延在し得る。各々の光学分離チャネルは、チャネル底部およびチャネル側壁を有し得る(チャネル側壁の1つは導光管路の垂直側壁と同じ表面であることができる)。光学分離材料をチャネル底部またはチャネル側壁に施与することができる。光学分離材料が個別の導光管路の間を光が移動することを実質的に防ぎながら、光分離アレイが各々の導光管路を通じて水平の光入口表面から水平の光出口表面へと(またはその逆の方向に)光を透過できる。導光管路は、その材料を通じて高い効率で光を透過できる単一の固体材料、例えば固体ガラスまたは固体ポリマーであることができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は本発明の実施態様による光分離アレイの透視図である。
図2図2は本発明の実施態様による光分離アレイの側面図である。
図3A図3Aは本発明の実施態様による個別の導光管路を示す。
図3B図3Bは本発明の実施態様による複数の導光管路を示す。
図3C図3Cは本発明の実施態様による複数の導光管路を示す。
図4図4は本発明の実施態様による個別の導光管路を示す。
図5図5は本発明の実施態様による光分離アレイを示す。
図6図6は本発明の実施態様による光分離アレイを示す。
図7図7は本発明の実施態様による光分離アレイを示す。
図8図8は本発明の実施態様による光学分離チャネルの側面図である。
図9図9は光学分離チャネルが不連続な環の形状である本発明の実施態様を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の詳細な説明
前記光分離アレイは、厚さ、光入口面、光出口面、側面、複数の導光管路、および複数の光学分離チャネルを有する透明材料を含み得る。導光管路を含む光分離アレイは、発光体およびPD/センサの性能について対象の波長において高い透過率(例えば90%を上回る)を有する任意の材料から作製されることができ、例えばそれらは単一のガラス材料または単一のポリマー材料で構成される板状の材料から作製されることができる。PDについて対象の典型的な透過波長範囲は約350~2500nmであり、理想的には、典型的な905nm、1310nmおよび1550nmのレーザー発光波長を透過するために適している。可視スペクトルおよび近赤外スペクトルにおいて約97~約99%の透過率を有する光学ガラスが適した例である。
【0007】
図1および2は、厚さ2、光入口面3、光出口面4、側面5、複数の導光管路6、および複数の光学分離チャネル7を有する透明な板状材料から作られる光分離アレイ1を示す。板状材料は、深さよりも実質的に大きい長さおよび幅を有する材料、例えば平坦なガラスシートである。適した透明材料は、所望の波長において90%を上回る光を透過する大半のガラスおよびポリマー材料を含む。図1および2は出口面4の側のみの導光管路および光学分離チャネル7を示すが、導光管路および光学分離チャネル7が追加的または代替的に光入口面3の側に配置されてもよい。さらに、光学分離チャネル7は材料の厚さ全体にわたって延在できる。
【0008】
複数の光学分離チャネル7を光分離アレイ1に形成して、導光管路6を作り出すことができる。光学分離チャネル7を形成するために適したプロセスはレーザーフィラメンテーションと引き続くエッチングを含む。そのようなプロセスにおいては、光学分離チャネルを有さない前駆材料、例えば平坦なガラスシートにレーザーが適用される。レーザー処理および引き続くエッチングプロセスが前記ガラス前駆材料の選択的な一部を正確に除去して、複数の光学分離チャネルを作り出す。複数の光学分離チャネルは、前駆材料の一部を除去することによって作り出される本質的に空の空間であり、それが導光管路6の側方の境界を定義する。換言すれば、導光管路6は、前駆材料の特定の区域が除去されて複数の光学分離チャネル7が作り出された後に残る前駆材料の区域である。
【0009】
図2、3A、3Bおよび4は、各々、透明な板状材料の光入口面3に対して実質的に平行である水平の光入口表面8、光出口面4に対して実質的に平行である水平の光出口表面9、および前記側面5に対して実質的に平行である垂直側壁10を有する、複数の導光管路6を示す。導光管路を含む板状材料は、単一の固体材料から形成されることができ、且つ集光された光線を前記板状材料を通じて且つ導光管路を通じて高い効率で透過できる。
【0010】
個別の導光管路は、その表面または光学分離チャネルに施与される光学分離材料を有して、各々の個別の導光管路をその隣接する導光管路から分離することができ、それによって高いコントラストおよび高い解像度をもたらす。光学分離材料は例えば不透明な材料、吸収材料および/または反射材料であることができる。前記材料は1層またはそれより多くの層の組み合わせで、および/または光学分離チャネルのための充填材として施与され得る。導光管路を通じて透過される光は、レンズまたはレンズアレイによってもたらされる光学波面の著しい歪みなくセンサ/検出器に向かって導かれることができる。光学分離の程度は、光の減衰量によって測定され得る。
【0011】
レーザーフィラメンテーションプロセスは、前駆材料中に形成されるフィラメントの寸法を制御できる。多重の連続的に配置された個別のフィラメントを形成し、引き続きエッチングしてそれらのフィラメントをつないで、光学分離チャネルを形成することができる。
【0012】
レーザー処理およびエッチング後の光分離アレイおよび透明材料の厚さは、レーザー処理およびエッチング前の前駆材料の厚さに相応し得る。これは、導光管路は、前駆材料の区域が除去されて光学分離チャネルが形成された後に光分離アレイ中に残る前駆材料の区域であるからである。多くの場合、各々の導光管路の水平の光出口表面は、レーザー処理およびエッチング前の前駆材料の光出口面と同一平面上にあり、それらの場合、光分離アレイの厚さは、導光管路の水平の光出口表面(前駆材料の光出口面に対して同一平面)から、光分離アレイの光入口面まで測定される。光学分離チャネルが光分離アレイの厚さ全体にわたって延在しない実施態様において、前駆材料の一部は光学分離チャネルの底部の下に残る。光分離アレイの厚さの区域は、光分離アレイの光入口面から、光学分離チャネルの底部まで存在することがあり、光分離アレイの側方から見て、この区域は導光路のための支持体のように見えることがある(例えば図2参照)。この区域の厚さは、光分離アレイの厚さから光学分離チャネルの深さを減算したものである。
【0013】
光分離アレイおよび前駆材料は、意図される用途に適する任意の厚さを有し得る。いくつかの実施態様において、前記厚さは約0.1~約50mm、約0.1~約30mm、約0.1~約10mm、約0.1~約5mm、または約0.1~約1mmであることができる。
【0014】
光学分離チャネルが光分離アレイの厚さ全体にわたって完全に延在する必要はないが、いくつかの実施態様においては、光学分離チャネルが前記の厚さにわたって完全に延在することが望ましいことがある。光学分離チャネルを前記の厚さにわたって完全に延在させるために、光学分離チャネルを光学分離材料で充填して、導光管路を一緒に保持し、次いで導光管路の材料を、その厚さ(導光管路の高さを含む)を減少させることによって薄くして、基材の厚さ全体にわたって完全に光学分離チャネルが延在することができる。いくつかの実施態様において、光学分離チャネルは光入口面または光出口面から、光分離アレイの厚さの約5%~約100%以下、光分離アレイの厚さの約50%~100%以下、または光分離アレイの厚さの約80~100%以下に延在する。例えば、図4における光学分離チャネル7は出口面4から厚さの約80%にわたって延在する。図3Aおよび図5における光学分離チャネル7は出口面4から完全に厚さ全体にわたって延在する。
【0015】
光学分離チャネルが1つの導光管路の垂直側壁から他の導光管路の垂直側壁まで完全に延在する必要はない。そのような場合、光学分離チャネルは、例えば図3A、3Bおよび4に示されるように、個別の導光管路を取り囲む「環」とみなされ得る。2つ以上の同心の環7および7Bは、図3Cに示されるように提供されることができ、いくつかの実施態様においては、各々の同心の環の間の半径距離は25μm~100μmである。それらの実施態様において、光学分離チャネルは、その光学分離チャネルにおいて使用される光学分離材料に応じて、意図される用途について所望の光減衰を達成するために十分に大きな幅を有するべきである。他方で光学分離チャネルの幅が大きすぎると、光分離アレイの構造的な完全性が損なわれることがあり、なぜなら、各々の導光管路の間に残る材料が少なくなるからである。
【0016】
図3Aおよび3Bに示されるとおり、レーザー処理およびエッチングプロセスは各々の光学分離チャネルの間の光分離アレイの一部を除去していない。対照的に、図4の光分離アレイを製造したレーザー処理およびエッチングプロセスは、各々の光分離チャネルの間に存在した前駆材料の大半を除去して、導光管路6、例えば前記導光管路6を取り囲む環の形状の光学分離チャネル7、前記光学分離チャネル7を取り囲む透明な前駆材料の一部20(図4において環としても示される)、および前記一部20と隣接する導光管路(図4には示されていない)との間の空の空間を残している。
【0017】
光学分離チャネルが例えば環の形状で連続している必要はない。図9は光学分離チャネル7が不連続な環の形状である実施態様を示す。それらの環は不連続区域22を有し、それはチャネル7によって作り出される周縁に沿って測定される場合、不連続区域7が連続区域2の間で交互になり得る。図9は、各々の不連続且つ同心の光学分離チャネル7が1つ以上の不連続且つ同心の光学分離チャネル7によって取り囲まれ得ることも示す。連続区域および不連続区域は、最初の出発材料から除去されるガラスの量を最小限にし、それは失われるガラス強度の量を最小限にする。
【0018】
不連続区域を通じて逃れる光の量を最小限にするために、逃れる光が第1または第2の光学分離チャネルのいずれかによって減衰されるように、図9に示すとおり2つの隣接する光学分離チャネル7の区域を互いにオフセットさせることができる。
【0019】
いくつかの実施態様において、光学分離チャネルは約0.01~約10mm、または約0.05~約5mmの直径(チャネル直径は光分離アレイの一方の側面から対抗する側面まで測定される)、約0.001~約5mm、約0.001~約2mm、または約0.015~約1mmの幅(チャネル幅はチャネル側壁間の距離として測定される)、および約0.01~約30mm、または約0.01~約10mm、または約0.05~約30mm、または約0.05~約10mm、または約0.05~約5mmの深さ(チャネル深さは導光管路の垂直側壁10の長さとして測定される)を有し得る。各々の個別の光学分離チャネルは、他の個別の光学分離チャネルに比して異なる寸法を有し得る。さらに、光学分離チャネルの幅が1つの導光管路から他の導光管路に及ぶ実施態様において、その光学分離チャネルの幅はそれらの導光アレイの垂直側壁間の距離である。
【0020】
光学分離チャネルの最初の深さおよび幅はレーザーによって作り出され、引き続きエッチングによって最終的な値に向かって拡大される。図2、3Aおよび7は、チャネル深さ15、チャネル幅16、およびチャネル直径17を有する光学分離チャネル7を備えた導光アレイを示す。
【0021】
作り出される光学分離チャネルおよび相応する導光管路の総数は特に限定されない。光学分離チャネルおよび相応の導光管路の周期性および寸法を、LiDARセンサのPDアレイの周期性および寸法に合致するように構造化して、各々の導光管路を通じて透過される光が相応のPDによって受け取られるようにすることが望ましいことがある。例えば、PDアレイが特定のPDサイズおよび間隔を有する100×100のPDのグリッドである場合、本発明の光分離アレイは、各々別個の相応するPDに光を透過させる別個の導光管路の100×100のアレイを備えて構造化され得る。光分離アレイとPDとの間のこの数値的および寸法的な相応は、入力光の光学分離をもたらし、且つクロストークを排除できるので、入ってくる信号のコントラストの高まりによって解像度を強化する。
【0022】
いくつかの実施態様において、光分離アレイの平方ミリメートルあたり約0.25~約10000、約0.25~約100、または約0.25~約5の導光管路をもたらすように、適した数の光学分離チャネルを形成する。
【0023】
前駆材料の一部を除去することによって光学分離チャネルを形成した後に残る導光管路は、形状およびサイズについて限定されない。導光管路をそれらの出口表面から見た場合、例えば円形、四角形または六角形であることができ、相応するPDのために望ましい任意の形状を作り出すことが可能である。導光管路を材料の光入口面または光出口面の実質的な大部分にわたって、またはその任意の一部にわたって配置することができる。いくつかの実施態様において、各々の導光管路は約100μm~約50mm、約100μm~約30mm、約100μm~約10mm、または約100μm~約5mmの高さ、および約10μm~約10mm、または約10μm~約5mmの直径または他の同様の寸法を有し得る。各々の個別の導光管路は、他の個別の導光管路に比して異なる寸法を有し得る。図2および3Aは、長さが導光管路の高さである垂直側壁10、および水平の出口表面9を有する導光管路6を有し、各々の個別の管路が管路幅21を有する、導光アレイを示す。
【0024】
各々の導光管路のアスペクト比(高さの直径に対する比)は、例えば約100:1~約1:1、または約100:1~約10:1、または約30:1~約10:1、または約30:1~約5:1の範囲内であることができる。高いアスペクト比は、光学分離チャネルおよび引き続くコーティングを作り出すためにより困難であることがあり、つまり、レーザーフィラメンテーションおよびエッチングは、望ましくないテーパーを有する導光管路を製造しかねないフォトリソグラフィーに比して、より望ましいプロセスであることができることを意味する。
【0025】
本発明の光分離アレイは、光出口面に対して平行である光入口面を有する必要がない。光分離アレイは曲がっていてもよく、それは3次元的な表面上にPDを収容するために特に有用であることができ、例えば各々の導光管路(および相応する光入口面および/または光出口面)が、相応するPDに向かって、例えばPDに対して80~100°内の角度で光を導くように傾けられることができる。
【0026】
レーザーの動作および適したレーザーの仕様は当業者に公知であり、特に限定されない。適した波長は400~1600nm、好ましくは1064/532nm(Nd:YAG)、または1030/515nm(Er:YAG)である。パルス持続時間は、1ns>t>50fsで18バーストを有する超短パルス(UKP)であることができる。繰り返し周波数は10kHz~2MHzであることができる。出力は平均で5200Wであることができる。エネルギーは50μJ~40mJであることができる。生ビームはガウシアン、フラットトップ、ドーナツまたはエアリーであることができる。機械部は、二重(または多重)のビーム経路(1つの固定光学系+1つのスキャナ)を有し、XY軸速度100~2000mm/秒およびスキャナ速度500~5000mm/秒で、<5μmの精度/繰り返し精度を有するXYZモーションドライブであることができる。
【0027】
本発明の光学分離チャネルおよび関連する導光管路を形成するための1つの可能な方法は、レーザーを使用してフィラメントのアレイを形成し、引き続き前記フィラメントをエッチングして、前記フィラメントを拡大してつなぎ、光学分離チャネルを形成することである。レーザー処理およびエッチングプロセスは、個別の導光管路の間の材料の全てを除去してもよいが、あまりに過剰な材料の除去は光分離アレイの機能にとって不要であることがあり、且つ光分離アレイの構造的な完全性を弱めかねない。適したエッチングプロセス当業者に公知であり、特に限定されない。例えば、アルカリ液、酸および他の添加剤を用いるかまたは用いないエッチング液を使用できる。プラズマまたはスチームアシストを用いたドライエッチングも使用できる。
【0028】
光学分離材料、例えばコーティングまたは充填材を、例えば図6に示すとおり、光学分離チャネルの1つ以上の表面または導光管路の1つ以上の表面に施与して各々の導光管路を光学的に分離することができる。前記材料は不透明な材料、吸収材料および/または反射材料であることができる。光学材料を施与することもできる。前記材料は、ねじれおよび曲げを減衰することによって光分離アレイのための機械的な安定材として作用することもできる。不透明な吸収および反射材料は、各々の導光管路内の光の含有を助けることができ、前記光学材料は光分離アレイの機能を変えるかまたは強化することができる。他の適した材料は反射防止(AR)コーティングおよびバンドバス(BP)コーティングを含む。前記材料は公知の技術を介して施与され得る。
【0029】
光学分離材料は、個別の導光管路の間で光が移動することを実質的に防ぐことができる。いくつかの実施態様において、光学分離材料が目標のPDによって検知される波長範囲において高い吸光度を有して、関連する波長の光が隣接する導光管路およびPDを汚染しないことが望ましい。これに関し、各々の導光管路からの光の漏れの減衰が10~150dB、好ましくは10~90dB、および最も好ましくは30~65dBの範囲であることが望ましいことがある。適した光学分離材料は吸収材料、例えばガラスフリット、好ましくはブラックガラスフリット、グラファイト、カーボンブラック、金属、および/または他の吸収材料であって、関連する波長において0.01を上回る吸光係数A(k値)を有するものを含み、例えばSiC、TiNおよびシリコンオキシカーバイドであることができる。前記材料は吸収顔料、例えばブラックスピネル、例えばマンガンフェライトスピネル、カーボンブラックおよび/またはグラファイトを含有し得る。吸収顔料のために適した結合剤はシリコーン、有機結合剤(例えばエポキシ、ポリウレタンまたはアクリル樹脂)、および/または無機と有機とのハイブリッド結合剤(例えばormocer)を含む。
【0030】
吸収材料に追加して、または代替的に、反射材料を光学分離チャネルおよび/または導光管路に施与できる。図8は光入口面3、光出口面4、光学分離チャネル7、導光管路6の垂直側壁10(これはチャネル側壁19と同じ表面である)とチャネル底部18とに施与された反射コーティング11、反射コーティング11に施与され且つ光学分離チャネル7の大部分を充填する吸収コーティング12、導光管路6の水平の出口表面9に施与されたバンドパスフィルタコーティング13、およびバンドパスフィルタコーティング13に施与された反射防止コーティング14を有する実施態様を示す。他の実施態様において、1つ以上のそれらの光学分離材料が、1つ以上の異なる表面に施与され得る。それらの材料のいくつかが、光学分離チャネルを充填して、導光管路を一緒に「接着」することができ、そのことが安定性を強化し、且つ水平の出口表面9を破壊なく完全またはほぼ完全に平坦であるように容易に研磨することと共にアレイ全体の機械的強度を保持することを可能にする。記載された材料の全ては、液体コーティング、気相堆積、および物理的堆積技術、例えばCVD、PE CVD、ALDおよびPE ALDを含む公知の技術によって施与され得る。
【0031】
適した吸収材料は、関連する波長の光を吸収し同時に光分離アレイ構造全体の安定性を支えるHigh-k材料(例えば低融点金属およびはんだペースト; 関連する波長の光を吸収する顔料を有する光アレイの安定性を支える結合剤系; および光学分離チャネルを充填し且つ充填後に急速レーザー加熱または不活性雰囲気下での熱処理によって炭化され得る有機基を含有する結合剤系)を含み得る。適した結合剤系は、有機ポリマー(例えばエポキシ、ポリウレタンおよびアクリル)、シリコーン系ポリマー(例えばシルセスキオキサンおよび低架橋シリコーン)、無機と有機とのハイブリッド材料(例えばormocer)およびガラスフリットを含む。
【0032】
適した反射材料は関連する波長において高い反射率を有する材料(例えば金属の銀、アルミニウム、インジウムドープされた酸化スズおよびアルミニウムドープされた酸化亜鉛)、導光管路のために使用された材料よりも低い屈折率を有して全反射を伝搬する材料、および特定の波長を反射するためのブラッグ反射器を構築する特定の層厚を有する低屈折率材料と高屈折率材料との交互の層(例えばSiO2・TiO2・SiO2の交互の層)を含む。
【0033】
本開示の光分離アレイは、例えば、自動車、トラックおよび航空機、例えばドローンにおいて人間が操作するかまたは自律的な車両の衝突の回避におけるクロストーク防止装置として、および衝突の回避が必要とされるあらゆるところで有用である。それらは、多重波長の光学信号の選択的分析のための(多重)スペクトルカメラ、例えばスマートフォンにおいても有用であり、並びに高解像度の医療用途並びに宇宙および自動車用途において有用である。前記光分離アレイはLiDARシステムにおいて、およびX線イメージングフェースプレートおよびX線コリメーションアレイおよび生体認証センサにおいて有用である。
【0034】
本開示は1つ以上の例示的な実施態様を参照して説明されたが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができ且つ均等物がその要素を置き換えられることができることが当業者に理解される。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために多くの修正を行うことができる。従って、本開示は、考えられる最良の方式として開示された特定の実施態様に限定されるのではなく、前記開示が付属の特許請求の範囲内に入る全ての実施態様を含むことが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9