(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】金属錯体及びその応用
(51)【国際特許分類】
C07F 15/00 20060101AFI20241209BHJP
C07D 405/04 20060101ALI20241209BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20241209BHJP
H10K 85/30 20230101ALI20241209BHJP
H10K 50/12 20230101ALI20241209BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20241209BHJP
H10K 101/10 20230101ALN20241209BHJP
【FI】
C07F15/00 E CSP
C07D405/04
C07D405/14
H10K85/30
H10K50/12
H10K50/17
H10K101:10
(21)【出願番号】P 2023534076
(86)(22)【出願日】2021-10-24
(86)【国際出願番号】 CN2021125928
(87)【国際公開番号】W WO2022116733
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-06-04
(31)【優先権主張番号】202011397748.1
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111129537.4
(32)【優先日】2021-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515177907
【氏名又は名称】広東阿格蕾雅光電材料有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】▲焉▼ 亮亮
(72)【発明者】
【氏名】戴 雷
(72)【発明者】
【氏名】蔡 麗菲
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111377969(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111620910(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C07D
H10K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Ir(La)(Lb)(Lc)で示される金属錯体であって、式(1)で示され、
式(1)中、
は、配位子Laであり、
Xは、O、S、及びSeのうちから選択され、
R
1-R
5は、独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基、
ニトリル、
及びイソニトリルのうちから選択され、
R
1-R
5のうちの少なくとも1つはFであり、その他の1つは置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基であり、
R
6は、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、
又は置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のヘテロアルキル基
であり、
前記ヘテロアルキル基、
又はヘテロシクロアルキル基
のヘテロ原子は、S、O、及びNのうちの少なくとも1つであり、
Lbは、式(2)で示され、
式(2)中、破線の位置は、金属Irと連結される位置を表し、
R
a-R
gは、独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、及び置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基のうちから選択されるか、又は、R
a、R
b、及びR
cの2つが連結されて脂肪環状構造を形成し、R
e、R
f、及びR
gの2つが連結されて脂肪環状構造を形成し、
前記置換は、重水素、F、Cl、Br、C1-C4アルキル基、
C3-C6シクロアルキル基、
ニトリル、又はイソニトリルによる置換であ
り、
LcとLaは同じ構造であり、(La)
2Ir(Lb)構造を有する、ことを特徴とする
金属錯体。
【請求項2】
R
a、R
b、及びR
cはそれぞれR
e、R
f、及びR
gと同じである、ことを特徴とする請求項
1に記載の金属錯体。
【請求項3】
R
a、R
b、R
c、R
e、R
f、及びR
gは、独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、及び置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基のうちから選択されるか、又は、R
a、R
b、及びR
cの2つが連結されて脂肪環状構造を形成し、R
e、R
f、及びR
gの2つが連結されて脂肪環状構造を形成し、
前記置換は、重水素、F、Cl、Br、C1-C4アルキル基、又はC3-C6シクロアルキル基による置換であり、R
dは、水素、重水素、ハロゲン、及び置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基のうちから選択される、ことを特徴とする請求項
2に記載の金属錯体。
【請求項4】
Lbは、以下の式のいずれかで表される、
ことを特徴とする請求項
1に記載の金属錯体。
【請求項5】
R
6は、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数4以下のアルキル基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素原子6以下のシクロアルキル基である、ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか一項に記載の金属錯体。
【請求項6】
前記Fは、R
5の位置になく、Xは、酸素原子Oである、ことを特徴とする請求項
5に記載の金属錯体。
【請求項7】
R
1-R
5のうちの1つはFであり、その他の1つは、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数4以下のアルキル基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素原子6以下のシクロアルキル基であり、残りの3つはいずれも水素である、ことを特徴とする請求項
6に記載の金属錯体。
【請求項8】
R
1-R
5のうちの1つがFであり、その他の1つは、C1-C4アルキル基置換を有する分岐した主鎖炭素原子数4以下のアルキル基であり、残りの3つはいずれも水素である、ことを特徴とする請求項
7に記載の金属錯体。
【請求項9】
Laは、以下の式のいずれかで表される、ことを特徴とする請求項1に記載の金属錯体。
【請求項10】
エレクトロルミネッセンスデバイスであって、陰極、陽極、及び陰極と陽極との間に配置された有機層を備え、前記有機層の少なくとも1つの層は、請求項1~
9のいずれか一項に記載の金属錯体を含む、ことを特徴とするエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項11】
前記有機層は発光層であり、前記請求項1~
9のいずれか一項に記載の金属錯体は、発光層の赤色発光ドーピング材料として使用されるか、又は、前記有機層は正孔注入層であり、前記請求項1~
9のいずれか一項に記載の金属錯体は、正孔注入層の正孔注入材料として使用される、ことを特徴とする請求項
10に記載のエレクトロルミネッセンスデバイス。
【請求項12】
以下の式で示される構造を有する配位子Laであって、
R1-R6、及びXは、請求項1~
8のいずれか一項に記載のとおりである、ことを特徴とする配位子La。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス技術の分野に関し、殊に有機発光材料に関し、特に金属錯体及び有機エレクトロルミネッセンスデバイスにおけるその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、新世代のディスプレイ技術として、有機エレクトロルミネッセンスデバイス(OLED)は、ディスプレイと照明技術の分野でますます注目されており、応用の見通しが非常に広い。しかしながら、市場の応用要件と比較して、OLEDデバイスの発光効率、駆動電圧、使用寿命などの性能はまた、強化し改善し続ける必要がる。
【0003】
一般的に、OLEDデバイスの基本構造は、金属電極間に様々な異なる機能の有機機能材料薄膜を介在させた、サンドイッチのような構造である。電流の駆動下で、陰極と陽極からそれぞれ正孔と電子が注入され、正孔と電子が一定距離移動した後、発光層で再結合し、光又は熱の形式で放出され、それによって、OLEDの発光が生成される。
【0004】
しかしながら、有機機能材料は、有機エレクトロルミネッセンスデバイスのコア構成部分であり、材料の熱安定性、光化学的安定性、電気化学的安定性、量子収率、成膜安定性、結晶性、彩度などが、デバイスのパフォーマンスに影響を与える主な要因である。
【0005】
一般に、有機機能材料は、蛍光材料と燐光材料を含む。通常、蛍光材料は、有機小分子材料であり、一般に25%一重項状態を利用して発光することができるため、発光効率が比較的低い。一方、燐光材料は、重原子効果によるスピン軌道結合作用により、25%一重項状態に加えて、75%三重項励起子のエネルギーを利用することができるため、発光効率を大幅に向上させることができる。ただし、蛍光材料に比べて、燐光材料は開始が比較的遅く、材料の熱安定性、寿命、彩度を改善する必要があり、これは挑戦的なテーマである。このような燐光材料として、様々な有機金属化合物が開発されている。例えば、発明特許文献CN107973823は、キノリン類のイリジウム化合物を開示しているが、そのような化合物の彩度及びデバイス性能、特に発光効率及びデバイス寿命を改善する必要がある。発明特許文献CN106459114は、β-ジケトン配位子で配位されたイリジウム化合物を開示しているが、そのような化合物の昇華温度が高く、彩度が良くなく、特に、デバイス性能のパフォーマンスが理想的ではなく、さらに改善する必要がある。発明特許CN109721628は、フルオレニルチエノピリミジン構造の化合物、及び該化合物を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスと化合物を開示している。発明特許CN111377969A及びCN111620910Aは、ジベンゾフランビイソキノリン構造の錯体、及び該錯体を含む有機エレクトロルミネッセンスデバイスと化合物を開示している。
【0006】
しかしながら、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの性能を改善する新しい材料をさらに開発することが依然として望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、高性能な有機エレクトロルミネッセンスデバイス、及びそのような有機エレクトロルミネッセンスデバイスを実現できる新規な材料を提供することである。
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、下記式(1)で表される構造を配位子として含む金属錯体を使用することにより、高性能な有機エレクトロルミネッセンスデバイスを得ることができることを見出した。
【0009】
本発明の目的の1つは、低い昇華温度、高い光学的及び電気化学的安定性、高い彩度、高い発光効率、長いデバイス寿命などの利点を有し、有機エレクトロルミネッセンスデバイスに使用できる金属錯体を提供することである。特に赤色発光ドーパントとして、OLED産業への応用の可能性がある。
【0010】
金属錯体は、一般式Ir(La)(Lb)(Lc)を有し、その構造式が式(1)で示される。
は、配位子Laであり、
Xは、独立して、O、S、Seから選択され、
R
1-R
5は、独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10ヘテロアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3-C30アルキルシリル基、置換若しくは無置換のC1-C10アルコキシ基、置換若しくは無置換のC7-C30アラルキル基、置換若しくは無置換のC6-C30アリールオキシ基、置換若しくは無置換のC2-C20アルケニル基、置換若しくは無置換のC2-C20的アルキニル基、置換若しくは無置換のC6-C30アリール基、置換若しくは無置換のC3-C30ヘテロアリール基、置換若しくは無置換のC3-C30アリールシリル基、置換若しくは無置換のC0-C20アルキルアミノ基、シアノ基、ニトリル、イソニトリル、ホスフィノ基から選択され、
R
1-R
5のうちの少なくとも1つはFであり、1つは置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基であり、
R
6は、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基であり、
前記置換は、重水素、F、Cl、Br、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C4アルキル基で置換されたアミノ基、シアノ基、ニトリル、イソニトリル、ホスフィノ基による置換であり、
前記ヘテロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基又はヘテロアリール基中のヘテロ原子は、S、O、Nの少なくとも1つであり、
LbとLcは両方ともモノアニオン性二座配位子であり、La、Lb及びLcの三者中の任意の2つずつが連結されて多座配位子を形成するか、又は三者が1つの基を介して連結され、
La、Lb、Lcの三者中の少なくとも2つは同じである。
【0011】
好ましい金属錯体として、Lbは、式(2)で示される構造であり、
式中、破線の位置は、金属Irと連結される位置を表し、
R
a-R
gは、独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基から選択され、又は、R
a、R
b、R
cは2つずつ連結されて脂肪環状構造を形成し、R
e、R
f、R
gは2つずつ連結されて脂肪環状構造を形成し、前記置換は、重水素、F、Cl、Br、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C4アルキル基で置換されたアミノ基、シアノ基、ニトリル、イソニトリル、ホスフィノ基による置換である。
【0012】
好ましい金属錯体として、LcとLaが同じ構造であり、(La)2Ir(Lb)構造が形成される。
【0013】
Ra、Rb、RcはそれぞれRe、Rf、Rgと同じである。
【0014】
Ra、Rb、Rc、Re、Rf、Rgは、独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基から選択され、又は、Ra、Rb、Rcは2つずつ連結されて脂肪環状構造を形成し、Re、Rf、Rgは2つずつ連結されて脂肪環状構造を形成し、前記置換は、重水素、F、Cl、Br、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基による置換であり、Rdは、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基から選択される。
【0015】
好ましい金属錯体として、R6は、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数4以下のアルキル基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素原子6以下のシクロアルキル基である。
【0016】
好ましい金属錯体として、前記Fは、R5の位置にない。
【0017】
Xは、酸素原子Oである。
【0018】
好ましい金属錯体として、R1-R5のうちの1つはFであり、もう1つは、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数4以下のアルキル基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素原子6以下のシクロアルキル基であり、残りの3つはいずれも水素である。
【0019】
好ましい金属錯体として、R1-R5のうちの1つがFである場合、もう1つは、C1-C4アルキル基置換を有する分岐した主鎖炭素原子数4以下のアルキル基である。
【0020】
好ましい金属錯体として、Laは、独立して、以下の構造式の1つ、又はそれらに対応する部分的若しく完全な重水素化物、又はそれらに対応する部分的若しく完全なフッ化物から選択される。
【0021】
【0022】
好ましい金属錯体として、Lbは、独立して、以下の構造式の1つ、又はそれらに対応する部分的若しく完全な重水素化物若しくはフッ化物から選択される。
【0023】
【0024】
配位子Laであって、以下に示される構造を有し、
R1-R6、Xは、上記で定義したとおりである。
【0025】
本発明の別の発明目的は、エレクトロルミネッセンスデバイスを提供することである。このエレクトロルミネッセンスデバイスは、陰極、陽極、及び陰極と陽極との間に配置された有機層を備え、前記有機層の少なくとも1つの層は、前記金属錯体を含む。
【0026】
前記有機層は発光層であり、前記金属錯体は、発光層の赤色発光ドーピング材料として使用されるか、
又は、前記有機層は正孔注入層であり、前記金属錯体は、正孔注入層中の正孔注入材料として使用される。
【0027】
本発明の材料は、低い昇華温度、高い光学的及び電気化学的安定性、高い彩度、高い発光効率、長いデバイス寿命などの利点を有するだけではない。本発明の材料は、燐光材料として、三重項励起状態を光に変換することができるので、有機エレクトロルミネッセンスデバイスの発光効率を向上させることができ、それによってエネルギー消費を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の化合物La027の重水素化クロロホルム溶液中の1HNMRスペクトルである。
【
図2】本発明の化合物Ir(La027)
2(Lb005)の重水素化クロロホルム溶液中の1HNMRスペクトルである。
【
図3】発明の化合物Ir(La027)
2(Lb005)のジクロロメタン溶液中の紫外吸収スペクトル及び発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
金属錯体は、一般式Ir(La)(Lb)(Lc)を有し、その構造式が式(1)で示される。
は、配位子Laであり、
Xは、独立して、O、S、Seから選択され、
R
1-R
5は、独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10ヘテロアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基、置換若しくは無置換のC3-C30アルキルシリル基、置換若しくは無置換のC1-C10アルコキシ基、置換若しくは無置換のC7-C30アラルキル基、置換若しくは無置換のC6-C30アリールオキシ基、置換若しくは無置換のC2-C20アルケニル基、置換若しくは無置換のC2-C20的アルキニル基、置換若しくは無置換のC6-C30アリール基、置換若しくは無置換のC3-C30ヘテロアリール基、置換若しくは無置換のC3-C30アリールシリル基、置換若しくは無置換のC0-C20アルキルアミノ基、シアノ基、ニトリル、イソニトリル、ホスフィノ基から選択され、
R
1-R
5のうちの少なくとも1つはFであり、1つは置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基であり、
R
6は、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基であり、
前記置換は、重水素、F、Cl、Br、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C4アルキル基で置換されたアミノ基、シアノ基、ニトリル、イソニトリル、ホスフィノ基による置換であり、
前記ヘテロアルキル基又はヘテロアリール基中のヘテロ原子は、S、O、Nの少なくとも1つであり、
LbとLcは両方ともモノアニオン性二座配位子であり、La、Lb及びLcの三者中の任意の2つずつが連結されて多座配位子を形成するか、三者が1つの基を介して連結され、
La、Lb、Lcの三者中の少なくとも2つは同じである。
【0030】
好ましい金属錯体として、Lbは、式(2)で示される構造であり、
式中、破線の位置は、金属Irと連結される位置を表し、
R
a-R
gは、独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のヘテロアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のヘテロシクロアルキル基から選択され、又は、R
a、R
b、R
cは2つずつ連結されて脂肪環状構造を形成し、R
e、R
f、R
gは2つずつ連結されて脂肪環状構造を形成し、前記置換は、重水素、F、Cl、Br、C1-C4アルキル基、C1-C4アルコキシ基、C3-C6シクロアルキル基、C1-C4アルキル基で置換されたアミノ基、シアノ基、ニトリル、イソニトリル、ホスフィノ基による置換である。
【0031】
好ましい金属錯体として、LcとLaが同じ構造であり、(La)2Ir(Lb)構造が形成される。
【0032】
Ra、Rb、RcはそれぞれRe、Rf、Rgと同じである。
【0033】
Ra-Rgは、独立して、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基、置換若しくは無置換の環形成炭素原子数3~20のシクロアルキル基から選択され、又は、Ra、Rb、Rcは2つずつ連結されて脂肪環状構造を形成し、Re、Rf、Rgは2つずつ連結されて脂肪環状構造を形成し、前記置換は、重水素、F、Cl、Br、C1-C4アルキル基、C3-C6シクロアルキル基による置換である。
【0034】
Rdは、水素、重水素、ハロゲン、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数1~10のアルキル基から選択される。
【0035】
好ましい金属錯体として、R6は、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数4以下のアルキル基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素原子6以下のシクロアルキル基である。
【0036】
好ましい金属錯体として、前記Fは、R5の位置にない。
【0037】
Xは、酸素原子Oである。
【0038】
好ましい金属錯体として、R1-R5のうちの1つはFであり、もう1つは、置換若しくは無置換の主鎖炭素原子数4以下のアルキル基、又は置換若しくは無置換の環形成炭素原子6以下のシクロアルキル基であり、残りの3つはいずれも水素である。
好ましい金属錯体として、R1-R5のうちの1つがFである場合、もう1つは、C1-C4アルキル基置換を有する分岐した主鎖炭素原子数4以下のアルキル基である。
【0039】
以下、式(1)で表される化合物の各基の例について説明する。
【0040】
なお、本明細書では、「置換又は無置換の炭素数a~bのX基」という表現における「炭素数a~b」は、X基が無置換の場合の炭素数を表し、X基が置換された場合の置換基の炭素数を含まない。
【0041】
C1~C10のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル及びその異性体、n-ヘキシル及びその異性体、n-ヘプチル及びその異性体、n-オクチル及びその異性体、n-ノニル及びその異性体、n-デシル及びその異性体などであり、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルであり、より好ましくはプロピル、イソプロピル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルである。
【0042】
C3~C20のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-アダマンチル、2-アダマンチル、1-ノルボルニル、2-ノルボルニル等が挙げられ、シクロペンチル、シクロヘキシルが好ましい。
【0043】
C2~C10のアルケニル基としては、ビニル、プロペニル、アリル、1-ブタジエニル、2-ブタジエニル、1-ヘキサトリエニル、2-ヘキサトリエニル、3-ヘキサトリエニルなどが挙げられ、プロペニル、アリルが好ましい。
【0044】
C1-C10ヘテロアルキル基としては、炭素と水素以外の原子を含む直鎖又は分岐鎖のアルキル基、シクロアルキル基などであり、メルカプトメチルメタン基、メトキシルメタン基、エトキシルメタン基、tert-ブトキシルメタン基、N,N-ジメチルメタン基、エポキシブタン基、エポキシペンタン基、エポキシヘキサン基などが挙げられ、メトキシルメタン基、エポキシペンタン基が好ましい。
【0045】
アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントレニル基、ナフタセニル基、ピレニル基、クリセニル基、ベンゾ[c]フェナントレニル基、ベンゾ[g]クリセニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、ビフェニルイル基、テルフェニルイル基、クアテルフェニルイル基、フルオロアントリル基などであり、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
【0046】
ヘテロアリール基の具体例としては、ピロリル基、ピラジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、インドリル基、イソインドリル基、イミダゾリル基、フラニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、アザジベンゾフラニル基、アザジベンゾチエニル基、ジアザジベンゾフラニル基、ジアザジベンゾチエニル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、カルバゾリル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェノキサジニイル基、オキサゾリニル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジヒドロアクリジニル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基、キナゾリニル基などが挙げられ、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、アザジベンゾフラニル基、アザジベンゾチエニル基、ジアザジベンゾフラニル基、ジアザジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、アザカルバゾリル基、ジアザカルバゾリル基が好ましい。
【0047】
以下の実施例は、単に技術発明の理解を容易にするためのものであり、本発明の具体的な制限とみなすべきではない。
【0048】
本発明における化合物の合成に関与する原材料及び溶媒はすべて、AlfaやAcrosなどの当業者に周知の供給業者から購入されている。
【0049】
【0050】
化合物3の合成
化合物1(20.00g,76.78mmol,1.0eq)、化合物2(10.12g,115.17mmol,1.5eq)、ジクロロビス[ジ‐tert‐ブチル(4‐ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)(2.72g,3.84mmol,0.05eq)、無水リン酸カリウム(40.74g,191.95mmol,2.5eq)、トルエン(300ml)を1Lの三つ口フラスコに加え、真空引きし、3回窒素置換し、窒素保護下、100℃で4時間撹拌し反応させた。TLCで監視すると、化合物1は完全に反応した。室温まで冷却し、減圧濃縮して有機溶媒を除去し、ジクロロメタン(150ml)と脱イオン水(60ml)を加えて抽出し、スピン乾燥後にカラムクロマトグラフィーで分離し(溶出剤は酢酸エチル:n-ヘキサン=1:100)、濃縮後、化合物3として淡黄色の固体を得た(9.68g,収率:56.35%)。質量スペクトル:224.67(M+H)。
【0051】
化合物La001の合成:
化合物3(9.20g,41.13mmol,1.0eq)、化合物4(10.23g,45.24mmol,1.1eq)、ジクロロビス[ジ‐tert‐ブチル(4‐ジメチルアミノフェニル)ホスフィン]パラジウム(II)(1.46g,2.06mmol,0.05eq)、炭酸カリウム(11.37g,082.26mmol,2.00eq)、トルエン(138ml)、エタノール(46ml)、脱イオン水(46ml)を500mLの三つ口フラスコに入れ、真空引きし3回窒素置換し、窒素保護下、70℃で1時間撹拌し反応させた。TLCで監視すると、化合物3は完全に反応した。室温まで冷却し、減圧濃縮して有機溶媒を除去し、ジクロロメタン(200ml)と脱イオン水(80ml)を加えて抽出し、スピン乾燥後にカラムクロマトグラフィーで分離し(溶出剤は酢酸エチル:n-ヘキサン=1.5:100)、濃縮後、化合物La001として白色の固体を得た(9.49g,収率:62.44%)、質量スペクトル:370.43(M+H)。
【0052】
【0053】
化合物Ir(La001)-1の合成:
化合物La001(8.18g,22.13mmol,3.5eq)、IrCl3.3H2O(2.23g,6.32mmol,1.0eq)を500mlの一つ口丸底フラスコに入れ、エチレングリコールエチルエーテル(82ml)と脱イオン水(27ml)を加え、真空置換を3回行い、混合液をN2保護下、110℃で20時間撹拌した。室温まで冷却した後、メタノール(90ml)を加え、撹拌して固体を析出させた。固体を濾過により集め、乾燥させて、化合物Ir(La001)-1として暗赤色の油状物を得た(5.51g,90.28%)。得られた化合物をさらに精製することなく次のステップで直接使用した。
【0054】
化合物Ir(La001)2Lb005の合成:
化合物Ir(La001)-1(5.50g,5.7mmol,1.0eq)、Lb005(6.05g,28.51mmol,5.0eq)、炭酸ナトリウム(6.04g,57.02mmol,10.0eq)を250mlの一つ口丸底フラスコに入れ、エチレングリコールエチルエーテル(55ml)を加え、真空置換を3回行い、混合液をN2保護下、30℃で19時間撹拌して反応させ、TLCで監視すると、La001-1が完全に反応した。室温まで冷却した後、60mlのメタノールを加えて、室温で2時間スラリー化し、吸引濾過した。フィルターケーキをジクロロメタン(80ml)で溶解し清澄した後、シリカゲルで濾過し、濾液に脱イオン水(80ml)を加えて3回洗浄し、分液し、有機相を集めて濃縮し、乾燥させて暗赤色の固体を得た。テトラヒドロフラン/メタノール(生成物/テトラヒドロフラン/メタノール=1g/6ml/4ml)を使用して3回再結晶3し、乾燥させて化合物Ir(La001)2Lb005である赤色の固体を得た(2.72g、収率:41.82%)。2.72gのIr(La001)2Lb005粗生成物を昇華精製した後、昇華純のIr(La001)2Lb005を得た(1.63g、収率:59.92%)。質量スペクトル:1141.38(M+H)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.70 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.31(d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.78 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.55 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.50 - 7.39 (m, 4H), 7.38- 7.29 (m, 4H), 7.25 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 4.84 (s, 1H), 2.16 - 2.06 (m, 2H), 1.65- 1.51(m, 9H), 1.24 (t, J = 11.1 Hz, 3H), 1.10 - 0.98 (m, 12H), 0.86 - 0.71 (m, 4H), 0.51 (t, J = 7.4 Hz, 6H), -0.11 (t, J = 7.3 Hz, 6H).
【0055】
【0056】
化合物6の合成
化合物3の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物6を得た。質量スペクトル:224.67(M+H)。
【0057】
化合物La002の合成:
化合物La001の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物La002を得た。質量スペクトル:370.43(M+H)。
【0058】
【0059】
化合物Ir(La002)-1の合成:
化合物Ir(La001)-1の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、得られた化合物Ir(La002)-1を精製せずに次のステップで直接使用した。
【0060】
化合物Ir(La002)2Lb005の合成:
化合物Ir(La001)2Lb005の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、化合物Ir(La002)2Lb005として赤色の固体を得た(2.44g、収率:40.21%)であった。2.44gのIr(La002)2Lb005粗生成物を昇華精製した後、昇華純のIr(La002)2Lb005を得た(1.56g,収率:59.42%)。質量スペクトル:1141.38(M+H)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.62 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 8.21(d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.52(d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.42(d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.40 - 7.33 (m, 4H), 7.31- 7.26 (m, 4H), 7.23 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 4.83 (s, 1H), 2.16 - 2.06 (m, 2H), 1.65- 1.51(m, 9H), 1.24 (t, J = 11.1 Hz, 3H), 1.12 - 0.99(m, 12H), 0.86 - 0.71 (m, 4H), 0.52 (t, J = 7.4 Hz, 6H), -0.11 (t, J = 7.3 Hz, 6H).
【0061】
【0062】
化合物8の合成
化合物3の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物8を得た。質量スペクトル:238.07(M+H)。
【0063】
化合物La027の合成:
化合物La001の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物La027を得た。質量スペクトル:384.46(M+H)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.74 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 7.98 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 7.90 (s, 1H), 7.55 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.41 (d, J = 3.2 Hz, 2H), 7.37 - 7.32 (m, 1H), 7.27 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 2.74 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 2.60 (s, 3H), 2.07 - 1.98 (m, 1H), 0.98 (d, J = 6.6 Hz, 6H).
【0064】
【0065】
化合物Ir(La027)-1の合成:
化合物Ir(La001)-1の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、得られた化合物Ir(La027)-1を精製せずに次のステップで直接使用した。
【0066】
化合物Ir(La027)2Lb005の合成:
化合物Ir(La001)2Lb005の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、化合物Ir(La027)2Lb005として赤色の固体を得た(2.15g、収率:42.33%)。2.15gのIr(La027)2Lb005粗生成物を昇華精製した後、昇華純のIr(La027)2Lb005を得た(1.32g,収率:61.39%)。質量スペクトル:1169.44(M+H)。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ 8.73 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.33 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.80 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.52 - 7.42 (m, 4H), 7.40 - 7.31 (m, 4H), 7.28 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 4.84 (s, 1H), 2.82 (dd, J = 15.0, 6.9 Hz, 4H), 2.17 - 2.07 (m, 2H), 1.68 - 1.53 (m, 9H), 1.27 (t, J = 11.1 Hz, 3H), 1.12 - 0.99 (m, 12H), 0.87 - 0.72 (m, 4H), 0.49 (t, J = 7.4 Hz, 6H), -0.10 (t, J = 7.3 Hz, 6H).
【0067】
【0068】
化合物Ir(La027)2Lb031の合成:
化合物Ir(La001)2Lb005の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、化合物Ir(La027)2Lb031として赤色の固体を得た(2.67g、収率:44.68%)。2.67gのIr(La027)2Lb031粗生成物を昇華精製した後、昇華純のIr(La027)2Lb031を得た(1.54g,収率:57.67%)。質量スペクトル:1193.46(M+H)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) 8.73 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 8.33 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.80 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.52 - 7.42 (m, 4H), 7.40 - 7.31 (m, 4H), 7.28 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 4.84 (s, 1H), 2.82 (dd, J = 15.0, 6.9 Hz, 4H), 2.17 - 2.07 (m, 2H), 1.92 (s, 6H), 1.83(d, 4H), 1.78- 1.65 (m, 16H), 0.90- 0.75 (m, 4H), 0.53 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 0.13 (t, J = 7.3 Hz, 6H).
【0069】
【0070】
化合物9の合成
化合物3の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物9を得た。質量スペクトル:238.07(M+H)。
【0071】
化合物La028の合成:
化合物La001の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物La028を得た。質量スペクトル:384.46(M+H)。
【0072】
【0073】
化合物Ir(La028)-1の合成:
化合物Ir(La001)-1の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、得られた化合物Ir(La028)-1を精製せずに次のステップで直接使用した。
【0074】
化合物Ir(La028)2Lb005の合成:
化合物Ir(La001)2Lb005の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、化合物Ir(La028)2Lb005として赤色の固体を得た(1.96g、収率:38.77%)。1.96gのIr(La028)2Lb005粗生成物を昇華精製した後、昇華純のIr(La028)2Lb005を得た(1.14g,収率:58.16%)。質量スペクトル:1169.44(M+H)。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ 8.77 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 8.35 (d, J = 6.6Hz, 2H), 7.82(d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.59 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.54 - 7.44 (m, 4H), 7.43 - 7.34 (m, 4H), 7.31 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 4.83 (s, 1H), 2.83 (dd, J = 15.1, 6.7Hz, 4H), 2.19 - 2.08 (m, 2H), 1.68 - 1.55 (m, 9H), 1.28 (t, J = 11.3Hz, 3H), 1.13 - 0.99 (m, 12H), 0.88 - 0.73 (m, 4H), 0.51 (t, J = 7.4 Hz, 6H), -0.09 (t, J = 7.3 Hz, 6H).
【0075】
【0076】
化合物11の合成
化合物3の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物11を得た。質量スペクトル:238.07(M+H)。
【0077】
化合物La037の合成:
化合物La001の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物La037を得た。質量スペクトル:384.46(M+H)。
【0078】
【0079】
化合物Ir(La037)-1の合成:
化合物Ir(La001)-1の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、得られた化合物Ir(La037)-1を精製せずに次のステップで直接使用した。
【0080】
化合物Ir(La037)2Lb005の合成:
化合物Ir(La001)2Lb005の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、化合物Ir(La037)2Lb005である赤色の固体を得た(1.96g、収率:38.77%)。1.96のIr(La037)2Lb005粗生成物を昇華精製した後、昇華純のIr(La037)2Lb005を得た(1.14g,収率:58.16%)。質量スペクトル:1169.44(M+H)。1H NMR (400 MHz, CDCl3)δ 8.71 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 8.29 (d, J = 6.6Hz, 2H), 7.76(d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.54 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.50- 7.39 (m, 4H), 7.37 - 7.27 (m, 4H), 7.22 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 4.83 (s, 1H), 2.83 (dd, J = 15.1, 6.7Hz, 4H), 2.19 - 2.08 (m, 2H), 1.68 - 1.55 (m, 9H), 1.28 (t, J = 11.3Hz, 3H), 1.13 - 0.99 (m, 12H), 0.88 - 0.73 (m, 4H), 0.51 (t, J = 7.4 Hz, 6H), -0.09 (t, J = 7.3 Hz, 6H).
【0081】
【0082】
化合物13の合成
化合物3の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物13を得た。質量スペクトル:252.73(M+H)。
【0083】
化合物La080の合成:
化合物La001の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物La080を得た。質量スペクトル:398.48(M+H)。
【0084】
【0085】
化合物Ir(La080)-1の合成:
化合物Ir(La001)-1の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、得られた化合物Ir(La080)-1を精製せずに次のステップで直接使用した。
【0086】
化合物Ir(La080)2Lb005の合成:
化合物Ir(La001)2Lb005の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、化合物Ir(La080)2Lb005として赤色の固体を得た(1.87g、収率:43.22%)。1.87gのIr(La080)2Lb005粗生成物を昇華精製した後、昇華純のIr(La080)2Lb005を得た(1.04g,収率:55.61%)。質量スペクトル:1197.49(M+H)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.77 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 8.35 (d, J = 6.6Hz, 2H), 7.82(d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.59 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.54 - 7.44 (m, 4H), 7.43 - 7.34 (m, 4H), 7.31 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 4.83 (s, 1H), 2.83 (s, 4H), 2.19 - 2.08 (m, 2H), 1.86 (s, 6H), 1.27 (m, 4H), 1.01 (m, 4H), 0.94 (s, 12H), 0.85 (s, 18H).
【0087】
【0088】
化合物15の合成
化合物3の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物15を得た。質量スペクトル:250.71(M+H)。
【0089】
化合物La106の合成:
化合物La001の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物La106を得た。質量スペクトル:396.47(M+H)。
【0090】
【0091】
化合物Ir(La106)-1の合成:
化合物Ir(La001)-1の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、得られた化合物Ir(La106)-1を精製せずに次のステップで直接使用した。
【0092】
化合物Ir(La106)2Lb005の合成:
化合物Ir(La001)2Lb005の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、化合物Ir(La106)2Lb005として赤色の固体を得た(2.06g、収率:45.77%)。2.06gのIr(La106)2Lb005粗生成物を昇華精製した後、昇華純のIr(La106)2Lb005を得た(1.28g,収率:62.13%)。質量スペクトル:1193.46(M+H)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.76 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 8.34 (d, J = 6.6Hz, 2H), 7.80(d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.57 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.52 - 7.42 (m, 4H), 7.41- 7.31 (m, 4H), 7.28 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 4.83 (s, 1H), 2.19 - 2.08 (m, 2H), 1.86 (s, 6H), 1.62 (m, 4H), 1.43 (m, 8H), 1.31 (m, 4H), 1.24 (m, 4H), 1.01 (m, 6H), 0.94 (s, 12H).
【0093】
【0094】
化合物17の合成
化合物3の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物17を得た。質量スペクトル:266.71(M+H)。
【0095】
化合物La171の合成:
化合物La001の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、目的の化合物La171を得た。質量スペクトル:412.47(M+H)。
化合物Ir(La171)
2Lb005の合成:
【0096】
化合物Ir(La171)-1の合成:
化合物Ir(La001)-1の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、得られた化合物Ir(La171)-1を精製せずに次のステップで直接使用した。
【0097】
化合物Ir(La171)2Lb005の合成:
化合物Ir(La001)2Lb005の合成と精製方法を参照すると、対応する原材料を変更すればよく、化合物Ir(La171)2Lb005として赤色の固体を得た(1.82g、収率:34.87%)であった。1.82gのIr(La171)2Lb005粗生成物を昇華精製した後、昇華純のIr(La171)2Lb005を得た(1.01g,収率:55.49%)。質量スペクトル:1225.46(M+H)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.81 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 8.37 (d, J = 6.6Hz, 2H), 7.86(d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.61 (d, J = 6.5 Hz, 2H), 7.58 - 7.47 (m, 4H), 7.44- 7.33 (m, 4H), 7.31 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 4.82 (s, 1H), 2.23 - 2.14(m, 2H), 1.88 (s, 6H), 1.64 (m, 4H), 1.51 (m, 4H), 1.41(m, 6H), 1.27 (m, 8H), 1.07 - 0.89 (m, 16H)。
【0098】
応用例:有機エレクトロルミネッセンスデバイスの製造
ITO(70 A゜ /1000 A゜ /110 A゜)陽極電極を有する50mm*50mm*1.0mmのガラス基板をエタノール中で10分間超音波洗浄し、次に、150度で乾燥させた後、N2 Plasmaで30分間処理した。洗浄後のガラス基板を真空蒸着装置の基板ホルダーに設置した。まず、陽極電極線がある側の面に、電極を覆うように化合物HTM1とP-dopant(比率は97%:3%)を共蒸着モードで蒸着し、膜厚100 A゜の薄膜を形成した。そのすぐ後に、HTM1の層を蒸着して、膜厚約1720 A゜の薄膜を形成した。次に、HTM1薄膜上にHTM2の層を蒸着して、膜厚100 A゜の薄膜を形成した。その後、HTM2膜層上に、ホスト材料1とホスト材料2とドーピング化合物(比率は48.5%:48.5%:3%、比較化合物X、本発明の化合物)を再度共蒸着モードで蒸着した。膜厚は400 A゜であり、ホスト材料とドーピング材料の比率は90%:10%であった。発光層上に、ETL:LiQ(350 A゜、比率は50%:50%)を共蒸着モードで蒸着した。次いで、電子輸送層材料上にYb(10 A゜)を蒸着した。最後に、金属Agの層(150 A゜)を電極として蒸着した。
【0099】
【0100】
【0101】
評価:上記のデバイスに対してデバイス性能試験を行い、各実施例と比較例において、定電流電源(Keithley 2400)を使用し、一定の電流密度を発光素子に流し、分光放射輝度計(CS 2000)を使用して発光スペクトルを測定した。同時に、電圧値を測定し、輝度が初期輝度の90%になる時間(LT90)を試験した。結果は以下のとおりである。電流効率及びデバイス寿命はいずれも比較化合物5の値を100%として計算された。
【0102】
上記表のデータの比較から、本発明の化合物をドーパントとして使用する有機エレクトロルミネッセンスデバイスは、同じ色コードのデバイスにおいて、比較化合物と比較して、駆動電圧、発光効率、デバイス寿命に関して優れた性能を示すことがわかる。
【0103】
ジクロロメタン溶液中の発光波長の比較: 次のように定義される。対応する化合物をジクロロメタンで10
-5mol/Lの溶液に調製し、日立(HITACH)F2700蛍光分光光度計を用いて発光波長を測定し、発光ピークが最大になる発光の波長を得た。試験結果は以下のとおりである。
以上の表中のデータの比較から、本発明の金属イリジウム錯体は、比較化合物と比較して、大きな赤方偏移を有し、深赤色光、特にBT2020色域に対する工業的要求を満たすことができることが分かる。
【0104】
昇華温度比較:昇華温度は、10-7Torrの真空度で蒸着速度が1 オングストローム/秒に対応する温度として定義されている。試験結果は以下のとおりである。
【0105】
以上の表中のデータの比較から、本発明の金属イリジウム錯体は、より低い昇華温度を有し、これは工業的応用に有益であることが分かる。
【0106】
本発明は、置換基の特別な組み合わせにより、従来技術と比較して、予想外により良好なデバイス発光効率と改善された寿命を提供し、より低い昇華温度とより飽和した赤色発光を提供する。上記の結果は、本発明の化合物が、低い昇華温度、高い光学的及び電気化学的安定性、高い彩度、高い発光効率、長いデバイス寿命などの利点を有し、有機エレクトロルミネッセンスデバイスに使用できることを示している。特に赤色発光ドーパントとして、OLED産業、特にディスプレイ、照明、自動車尾灯への応用の可能性がある。
本発明の化合物は、高い光学的及び電気化学的安定性、高い彩度、高い発光効率、長いデバイス寿命などの利点を有し、有機エレクトロルミネッセンスデバイスに使用することができる。特に赤色発光ドーパントとして、OLED産業への応用の可能性がある。