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特許7600410微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法及び方法によって取得されたフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法及び方法によって取得されたフィルタ
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/00 20060101AFI20241209BHJP
   B01D 39/20 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B01D39/00 B
B01D39/20 D
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2023540822
(86)(22)【出願日】2022-02-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 GB2022050341
(87)【国際公開番号】W WO2022171999
(87)【国際公開日】2022-08-18
【審査請求日】2023-07-03
(31)【優先権主張番号】63/200,075
(32)【優先日】2021-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590004718
【氏名又は名称】ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルメスター, サビーナ
(72)【発明者】
【氏名】ホッチキス, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マーベル, デビッド
(72)【発明者】
【氏名】サップスフォード, ジョナソン ポール
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-249124(JP,A)
【文献】特開平10-263340(JP,A)
【文献】特開2011-212671(JP,A)
【文献】特開2011-224514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00-20
B01D 46/00
C04B 41/50、85
F01N 3/021-035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法であって、
a)リザーバに乾燥粉末を収容するステップと、
b)フィルタホルダ内にフィルタを配置するステップであって、前記フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、前記入口面と前記出口面とは、多孔質構造によって隔てられている、配置するステップと、
c)前記フィルタの前記出口面に圧力低下を適用することにより、前記フィルタの前記多孔質構造を通る一次ガス流を確立するステップと、
d)前記乾燥粉末を前記リザーバから前記フィルタの前記入口面の上流に配置された噴霧デバイスに移送するステップと、
e)前記乾燥粉末が、前記一次ガス流に同伴され、前記フィルタの前記入口面を通過して、前記多孔質構造に接触するように、前記噴霧デバイスを使用して、前記フィルタの前記入口面に向けて前記乾燥粉末を噴霧するステップと、
f)少なくともステップe)中に前記フィルタの背圧を監視し、以下のときに、前記フィルタの前記入口面に向かう前記乾燥粉末の前記噴霧を停止するステップと、を含み、
ρBP≧ρtarget-ρoffset
式中、
ρBPが、前記フィルタの前記背圧であり、
ρtargetが、前記フィルタに対する所定の目標背圧であり、
ρoffsetが、予め選択されたオフセット圧力であり、
前記ステップf)において、一次ガス流は、乾燥粉末の噴霧の停止後のある期間にわたって前記フィルタの多孔質構造を通って維持される、方法。
【請求項2】
ステップf)において、ρBP>ρtarget-ρoffsetが、最小期間、tminにわたって真であるときに、前記フィルタの前記入口面に向かう前記乾燥粉末の前記噴霧が停止され、式中、tmin≧0.1秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ρoffsetが、1~10mbaある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ステップf)において、前記フィルタの前記背圧が、少なくともステップe)中、連続的に監視され、任意選択的に、前記背圧が、1サンプル.s-1以上のサンプルレートで前記背圧を測定することによって連続的に監視される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)において、前記フィルタの背圧を監視することと、ステップd)を開始する前に、前記フィルタの前記背圧が安定するまで、前記フィルタの前記多孔質構造に前記一次ガス流を通過させることとを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記フィルタに対する前記所定の目標背圧、ρtargetが、ステップc)において監視された安定した背圧に関連する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
g)前記フィルタの前記背圧を監視し、前記乾燥粉末の前記噴霧が停止された後、前記フィルタの前記背圧が安定するまで、前記フィルタの前記多孔質構造を通る前記一次ガス流を維持するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記フィルタの前記背圧が、
i)一次ガス流量が、所定の流量の0.5%以内であり、
ii)前記一次ガス流量の第1の導関数が、±0.15m-1.s-1以下であり、
iii)前記フィルタの前記背圧の第1の導関数が、±1.5mbar.s-1以下であるとき、安定しているとみなされる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記背圧、ρBPが、大気圧に対して測定された絶対背圧である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、少なくともステップa)~f)を実行するためのコーティング装置を使用し、前記フィルタに対する前記所定の目標背圧、ρtarget、が、
-前記コーティング装置とは異なる試験装置によって測定される際、前記フィルタに対する所望の背圧を選択することと、
-前記試験装置上で測定された背圧を前記コーティング装置上で測定された背圧に変換するための較正マップを確立することと、
-前記較正マップを使用して前記所望の背圧を変換して、前記所定の目標背圧、ρtargetを確立することと、によって計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法であって、
a)リザーバに乾燥粉末を収容するステップと、
b)フィルタホルダ内にフィルタを配置するステップであって、前記フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、前記入口面と前記出口面とは、多孔質構造によって隔てられている、配置するステップと、
c)前記フィルタの背圧を監視しながら、前記フィルタの前記出口面に減圧を適用することによって前記フィルタの前記多孔質構造を通る一次ガス流を確立し、前記フィルタの前記背圧が安定するまで前記フィルタの前記多孔質構造に前記一次ガス流を通過させるステップと、
d)前記フィルタの安定した背圧を確立した後に、前記乾燥粉末を前記リザーバから前記フィルタの前記入口面の上流に配置された噴霧デバイスに移送するステップと、
e)前記フィルタの前記背圧を監視しながら、前記乾燥粉末が前記一次ガス流に同伴され、前記フィルタの前記入口面を通過して、前記多孔質構造に接触するように、前記噴霧デバイスを使用して、前記フィルタの前記入口面に向けて前記乾燥粉末を噴霧するステップと、
f)前記フィルタの前記入口面に向かう前記乾燥粉末の前記噴霧を停止するステップと、
g)前記乾燥粉末の前記噴霧が停止された後、前記フィルタの前記背圧が安定するまで、前記フィルタの前記多孔質構造を通る前記一次ガス流を維持しながら、前記フィルタの前記背圧を監視し続けるステップと、を含み、
前記ステップf)において、一次ガス流は、乾燥粉末の噴霧の停止後のある期間にわたって前記フィルタの多孔質構造を通って維持される、方法。
【請求項12】
一次ガス流量の第1の導関数が、±Xm-1.s-1以下であり、式中、X=0~0.30であるとき、前記フィルタの前記背圧が、安定しているとみなされる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フィルタの前記背圧の第1の導関数が±Ymbar.s-1以下であり、式中、Y=0.5~3.0であるとき、前記フィルタの前記背圧が、安定しているとみなされる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
一次ガス流量が、所定の流量のZ%以内であり、Z=1.5であるとき、前記フィルタの前記背圧が、安定しているとみなされる、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記背圧が、大気圧に対して測定された絶対背圧である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記フィルタの前記背圧が、圧力センサを使用して測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法であって、
a)リザーバに乾燥粉末を収容するステップと、
b)フィルタホルダ内にフィルタを配置するステップであって、前記フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、前記入口面と前記出口面とは、多孔質構造によって隔てられている、配置するステップと、
c)前記フィルタの前記出口面に圧力低下を適用することにより、前記フィルタの前記多孔質構造を通る一次ガス流を確立するステップと、
d)前記乾燥粉末を前記リザーバから前記フィルタの前記入口面の上流に配置された噴霧デバイスに移送するステップと、
e)前記乾燥粉末が、前記一次ガス流に同伴され、前記フィルタの前記入口面を通過して、前記多孔質構造に接触するように、前記噴霧デバイスを使用して、前記フィルタの前記入口面に向けて前記乾燥粉末を噴霧するステップと、
f)少なくともステップe)中に前記フィルタの背圧を監視し、以下のときに、前記フィルタの前記入口面に向かう前記乾燥粉末の前記噴霧を停止するステップと、を含み、
ρest≧ρtarget
式中、
ρtargetが、前記フィルタに対する所定の目標背圧であり、
ρestが、前記フィルタの推定された最終背圧であり、
estが、ステップf)中に取得される、前記フィルタについて測定された背圧データの外挿によって計算され
前記ステップf)において、一次ガス流は、乾燥粉末の噴霧の停止後のある期間にわたって前記フィルタの多孔質構造を通って維持される、方法。
【請求項18】
ρestが、前記測定された背圧データをTs秒の間に時間的に前方に外挿することによって計算され、Tsが、整定時間である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、コーティング装置上で実施され、前記整定時間、Tが、コーティング装置に依存する変数である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ρestが、前記測定された背圧データを曲線フィッティングし、フィッティングされた曲線を時間的に前方に外挿することによって計算される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記乾燥粉末を充填した後に、前記フィルタを焼成するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
ステップb)の前に、ウォッシュコートで前記フィルタをコーティングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
10~40g/lの前記乾燥粉末の前記フィルタの最大充填量を提供すること、又は10g/l未満の前記乾燥粉末の前記フィルタの最大充填量を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記乾燥粉末が、1~3g/cm タップ密度を有するか、又は、前記乾燥粉末が、0.10g/cm満のタップ密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記乾燥粉末が、10マイクロメートル未満のd50(体積による)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
ステップd)において、前記一次ガス流とは別個の二次ガス流が、前記乾燥粉末を前記リザーバから前記噴霧デバイスに移送するために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記二次ガス流が、圧縮ガスの流れを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記乾燥粉末が、熱分解によって金属酸化物を形成するための金属化合物を含むか、又はそれからなる、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気ガスから微粒子状物質を濾過するための微粒子フィルタにおける改善及び微粒子フィルタに関する。具体的には、本発明は、入口表面及び出口表面を有する多孔質基材を備えるフィルタをコーティングする方法に関し、入口表面は、多孔質構造によって出口表面から分離される。フィルタは、ウォールフローフィルタであり得る。
【背景技術】
【0002】
内燃機関からの、特に自動車用途のディーゼル及びガソリンエンジンからの、一般に煤と呼ばれる微粒子状物質(particulate matter、PM)の排出に関する懸念事項が存在している。主な懸念事項は、潜在的な健康への影響、特に、ナノメートル範囲のサイズを有する非常に小さい粒子と関連する。
【0003】
ディーゼル排気微粒子フィルタ(diesel particulate filter、DPF)及びガソリン排気微粒子フィルタ(gasoline particulate filter、GPF)は、焼結金属、セラミック、又は金属繊維などを含む様々な材料を使用して製作されてきたが、実際の大量生産における最も一般的なタイプは、本体の長さに沿って延びる多くの小さなチャネルのモノリシックアレイの形態で製作された多孔質セラミック材料から作製されたウォールフローの類である。交代チャネルは一方の端部で塞がれているため、排気ガスは多孔質セラミックチャネル壁を通るように押しやられ、多孔質セラミックチャネル壁は微粒子の大部分が通過することを阻止するため、濾過されたガスのみが環境に進入する。商業生産におけるセラミックウォールフローフィルタには、コーディエライトから作製されたもの、様々な形態の炭化ケイ素及びチタン酸アルミニウムが含まれる。車両上の実用的なフィルタの実際の形状及び寸法、並びに、例えば、チャネル壁の厚さ及びその多孔度などの特性は、関係する用途に依存する。ガスが通過するセラミックウォールフローフィルタのフィルタチャネル壁内の細孔の平均寸法は、典型的には、5~50μm、通常は約20μmの範囲にある。著しく対照的なことに、最新の乗用車の高速ディーゼルエンジンからのほとんどのディーゼル排気微粒子状物質のサイズは非常に小さく、例えば10~200nmである。
【0004】
いくつかのPMは、フィルタ壁内の細孔構造内に保持され得るが、これは、いくつかの用途において、細孔がPMのネットワークによって架橋されるまで徐々に構築され得、このPMネットワークは次いで、フィルタチャネルの内壁上に微粒子のケーキを容易に形成させることになる。微粒子ケーキは、優れたフィルタ媒体であり、その存在により、非常に高い濾過効率が得られる。いくつかの用途では、煤は、堆積されるときにフィルタ上で連続的に燃焼され、これにより、微粒子ケーキがフィルタ上に蓄積されることが防止される。いくつかのフィルタ、例えば軽量ディーゼル排気微粒子フィルタでは、エンジン性能に有害であり、また燃費効率を低下させ得る過剰な背圧の増大を防止するために、トラップされたPMをフィルタから除去することが定期的に必要となる。ディーゼル用途では、保持されたPMは、プロセスにおいて空気中で燃焼させることによってフィルタから除去され、このプロセス中、利用可能な空気の量、及び保持されたPMに点火するために必要な高温を達成するために使用される過剰燃料の量は、非常に注意深く制御される。通常は再生と呼ばれるこのプロセスの終わりに向けて、フィルタ内の最後に残留する粒子の除去は、濾過効率を顕著に低下させ、多くの小さな粒子を環境へとバースト放出することにつながり得る。したがって、フィルタは、それらが最初に使用されるときに、それに続く各再生イベントの後に、また各再生プロセスの後半部中に、低い濾過効率を有し得る。
【0005】
したがって、例えば、最初に使用されるときのフィルタの初期寿命中、並びに又は再生中及びその直後、並びに又はフィルタに煤が堆積したときにも、濾過効率を常に改善及び又は維持することが望ましい。
【0006】
Liu,X.,Szente,J.,Pakko,J.,Lambert,C.et al、「Using Artificial Ash to Improve GPF Performance at Zero Mileage」、SAE Technical Paper 2019-01-0974,2019,doi:10.4271/2019-01-0974には、コールドスタート条件下における煤排出を低減するための「人工灰」コーティングを製作するために、アトマイザによって生成されたサブミクロンアルミナ粒子をベアフィルタ基材に充填するプロセスが記載されている。プロセスは、圧縮空気で液体懸濁液を噴霧することによりエアロゾル粒子を生成することと、結果として得られる、灰を含有する液滴を、それらをオーブンに通して流すことによって乾燥させることと、乾燥した灰粒子を濾過によるそれらの捕捉を介してフィルタに充填することと、からなる。プロセスは、高能力のアトマイザ(モデルPLG-2100(PALAS,Germany))を利用して、フルサイズのレンガに対して100l/分の流量を提供する。フィルタの充填は、DustTrakエアロゾルモニタ(TSIInc,Minnesota,USA)によって記録されたフィルタ全体の圧力降下及びフィルタの前後のPM濃度によって監視される。当該プロセス中、コールドスタート条件下における煤排出の低減を示しているが、噴霧乾燥され得る物質に限定され、アトマイザ、乾燥オーブン及びエアロゾルモニタが必要であり、人工灰充填条件は、フィルタ基材に到達する前の液体エアロゾルの完全な乾燥を達成するために必要な条件によって制約され得る。
【0007】
国際公開第2011/151711号には、リーン燃焼内燃機関から放出された排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを作製する方法が記載されている。フィルタは、入口表面及び出口表面を有する多孔質基材を含み、入口表面は、第1の平均孔径の細孔を含む多孔質構造によって出口表面から隔てられている。入口表面は、多孔質構造の細孔の全体にわたって耐火性材料の相互接続粒子を含む架橋ネットワークを含む。この方法は、フィルタ基材の入口表面を、乾燥粉末形態をなす耐火材料を含むエアロゾルと接触させるステップを含む。当該プロセスは、最初に使用されたとき、及びその後の各再生イベント後のフィルタのPM排出量の低減を示しているが、生産されるフィルタのパラメータの制御性に関して、特に改善されたプロセスを提供することが望ましいであろう。
【0008】
米国特許出願公開第2019/0048771号には、基板のフィルタ容積に対して0.01g/L~60g/Lの範囲の濃度でその上に不活性ナノ粒子を有する多孔質基材を含むエンジン排気微粒子フィルタが記載されており、ナノ粒子の一部分は、排気ガス流から微粒子を捕捉するように構成された再生耐性多孔質構造を形成するように構成配置されている。当該フィルタは、微粒子フィルタのゼロ運動効率の改善を提供することを意図したものであるが、特に、プロセスの制御性及び柔軟性を改善するために、改善されたプロセスを提供することが望ましいであろう。
【0009】
本出願人は、(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年8月15日に出願された英国特許第1911704号において完全に記載されているように)最初に使用されるときのフィルタの初期寿命中、並びに/又は再生中及びその直後、並びに/又はフィルタに煤が堆積しているときに、改善された濾過効率を有するフィルタが、以下のステップを含む処理方法によって取得され得ることを発見した:
a)リザーバに乾燥粉末を収容するステップ、
b)フィルタホルダ内にフィルタを配置するステップであって、フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、入口面と出口面とは、多孔質構造によって隔てられている、配置するステップ、
c)フィルタの出口面に圧力低下を適用することにより、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立するステップ、
d)乾燥粉末をリザーバからフィルタの入口面の上流に配置された噴霧デバイスに移送するステップ、
e)乾燥粉末が一次ガス流に同伴され、フィルタの入口面を通過して多孔質構造に接触するように、噴霧デバイスを使用して、フィルタの入口面に向けて乾燥粉末を噴霧するステップ。
【0010】
英国特許第1911704号では、本出願人は、乾燥粉末が、好ましくは、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、又はセリアエアロゲルのうちの1つ以上をどのように含み得るかを説明する。特に、0.05g/lのタップ密度及び5.97マイクロメートルのd50を有するヒュームド酸化アルミニウムでコーティングされたフィルタの例が説明される。
【0011】
この処理方法では、改善された濾過効率特性を有するフィルタを生成することが見出されているが、かかるフィルタの処理を更に改善すること、特に、処理されたフィルタの耐久性を改善することが依然として所望される。
【0012】
結果として、本出願人は、(その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2020年2月21日に出願された英国特許第2002483号に完全に記載されるように)処理されたフィルタの耐久性が、熱分解によって金属酸化物を形成するための金属化合物を含むか、又は金属化合物からなる噴霧プロセスにおいて、乾燥粉末を使用することによって改善され得ることを発見した。
【0013】
英国特許第2002483号において、本出願人は、乾燥粉末として熱分解して金属酸化物になる金属化合物の使用が、例えば、ヒュームド酸化アルミニウムを含む金属酸化物による処理と比較して、処理されたフィルタの耐久性において、特に、乾燥粉末が多孔質構造に接着したままであり、フィルタの後続の動作中に多孔質構造から剥がれないようにする能力において、実質的な改善をもたらし得ることを説明する。
【0014】
驚くべきことに、本出願人は、これらの乾燥粉末の改善された接着性が、いかなる追加の結合剤若しくは接着促進剤の存在なしに、又はフィルタの任意の高温焼結の必要性なしに達成され得ることを発見した。特に、驚くべきことに、かかる乾燥粉末の使用は、高い濾過効率を維持し、許容可能なコールドフロー背圧を伴って、良好な接着をもたらし得ることが見出された。
【0015】
英国特許第1911704号及び英国特許第2002483号の処理方法は、改良されたフィルタを生成するのに有効であることが見出されているが、方法の改善が依然として所望される。
【発明の概要】
【0016】
第1の態様において、本開示は、排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法を提供し、方法は、
a)リザーバに乾燥粉末を収容するステップと、
b)フィルタホルダ内にフィルタを配置するステップであって、フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、入口面と出口面とは、多孔質構造によって隔てられている、配置するステップと、
c)フィルタの出口面に圧力低下を適用することにより、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立するステップと、
d)乾燥粉末をリザーバからフィルタの入口面の上流に配置された噴霧デバイスに移送するステップと、
e)乾燥粉末が、一次ガス流に同伴され、フィルタの入口面を通過して、多孔質構造に接触するように、噴霧デバイスを使用して、フィルタの入口面に向けて乾燥粉末を噴霧するステップと、
f)少なくともステップe)中にフィルタの背圧を監視し、以下のときに、フィルタの入口面に向かって乾燥粉末の噴霧を停止するステップと、を含み、
ρBP≧ρtarget-ρoffset
式中、
ρBPは、フィルタの背圧であり、
ρtargetは、フィルタに対する所定の目標背圧であり、
ρoffsetは、予め選択されたオフセット圧力である。
【0017】
有益なことに、方法は、生成されたフィルタの背圧を所定の目標背圧により厳密に一致させることが可能であり得る。方法は、目標背圧のオーバーシュートを制限し、目標背圧のオーバーシュートの発生を低減させるために役立ち得る。
【0018】
フィルタに対する所定の目標背圧、ρtargetは、フィルタの絶対背圧であり得る。例えば、フィルタに対する所定の目標背圧、ρtargetは、20~180mbarの目標背圧であり得る。代替的に、フィルタに対する所定の目標背圧、ρtargetは、フィルタの相対背圧であり得る。例えば、フィルタに対する所定の目標背圧、ρtargetは、乾燥粉末の噴霧前のフィルタの初期背圧に対する背圧であり得る。例えば、フィルタに対する所定の目標背圧、ρtargetは、フィルタの初期背圧の105%~200%、任意選択的に、125%~150%であり得る。
【0019】
ステップf)において、ρBP≧ρtarget-ρoffsetが、最小期間、tminにわたって真であるとき、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧は、停止され得、式中、tmin0.1秒以上、任意選択的に、0.5秒以上、任意選択的に、1.0秒以上である。このようにして、方法は、例えば、システムノイズに起因し、フィルタの真の背圧を反映しない可能性がある背圧読み取り値における短期変動に起因する噴霧の停止を回避するように構成され得る。
【0020】
ρoffsetは、例えば、1~10mbar、任意選択的に、2~5mbar、任意選択的に、3~5mbarであり得る。例えば、かかるρoffsetは、ρtargetが20~180mbarである場合に使用され得る。
【0021】
ステップf)において、フィルタの背圧は、少なくともステップe)中、連続的に監視され得る。任意選択的に、背圧は、1サンプル.s-1以上、任意選択的に5サンプル.s-1以上、任意選択的に10サンプル.s-1以上のサンプルレートで背圧を測定することによって連続的に監視され得る。
【0022】
方法は、ステップc)において、フィルタの背圧を監視することと、ステップd)を開始する前にフィルタの背圧が安定するまでフィルタの多孔質構造に一次ガス流を通過させることと、を更に含み得る。このようにして、フィルタの初期背圧のより正確で信頼できる測定値が取得され得る。加えて、かかる安定した背圧はまた、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流の安定した流量を取得することを示し得る。フィルタに対する所定の目標背圧、ρtargetは、ステップc)において監視された安定した背圧に対するものであり得る。例えば、フィルタに対する所定の目標背圧、ρtargetは、ステップc)で監視された安定した背圧の105%~200%、任意選択的に、125%~150%であり得る。
【0023】
方法は、フィルタの背圧を監視するステップと、乾燥粉末の噴霧が停止された後、フィルタの背圧が安定するまで、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を維持するステップと、を更に含み得る。これにより、フィルタに対する正確なコールドフロー背圧(cold flow back pressure、CFBP)が取得されたことを判定する能力を改善し得る。
【0024】
フィルタの背圧は、
i)一次ガス流量が、所定の流量の0.5%以内であり、
ii)一次ガス流量の第1の導関数が、±0.15m-1.s-1以下であり、
iii)フィルタの背圧の第1の導関数が、±1.5mbar.s-1以下であるとき、安定しているとみなすことができる。
【0025】
背圧、ρBPは、大気圧に対して測定された絶対背圧であり得る。
【0026】
方法は、少なくともステップa)~f)を実行するためのコーティング装置を使用することができ、フィルタに対する所定の目標背圧、ρtargetは、
-コーティング装置とは異なる試験装置によって測定される際、フィルタに対する所望の背圧を選択することと、
-試験装置上で測定された背圧をコーティング装置上で測定された背圧に変換するための較正マップを確立することと、
-較正マップを使用して所望の背圧を変換して、所定の目標背圧、ρtargetを確立すること、によって計算することができる。
【0027】
有益なことに、このように較正マップを使用することは、フィルタの最終背圧が、フィルタのコーティングプロセス中に、その試験装置を使用する必要なく、試験装置上で測定されるような数値で目標にすることを可能にし得る。これは、フィルタの背圧が、典型的には、フィルタの購入者によって自分たち自身の試験装置で測定されて、フィルタが自分たちの必要条件を満たすことを確認するので、有利であり得る。例えば、購入者は、Sussex,WI,USAのSuperflowから入手可能なSuperflow Flow Bench 1050などの試験装置でフィルタを試験し得る。必要条件は、フィルタが、Superflow Flow Bench 1050上で試験されるとき、例えば、65mbar±5mbarの背圧を有することであり得る。較正マップの使用は、Superflow Flow Bench 1050上で必要とされる背圧を達成するために、コーティング装置によって測定される所定の目標背圧ρtargetが選択されることを可能にし得る。
【0028】
第2の態様において、本開示は、排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法を提供し、方法は、
a)リザーバに乾燥粉末を収容するステップと、
b)フィルタホルダ内にフィルタを配置するステップであって、フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、入口面と出口面とは、多孔質構造によって隔てられている、配置するステップと、
c)フィルタの背圧を監視しながら、フィルタの出口面に減圧を適用することによってフィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立し、フィルタの背圧が安定するまでフィルタの多孔質構造に一次ガス流を通過させるステップと、
d)フィルタの安定した背圧を確立した後に、乾燥粉末をリザーバからフィルタの入口面の上流に配置された噴霧デバイスに移送するステップと、
e)フィルタの背圧を監視しながら、乾燥粉末が一次ガス流に同伴され、フィルタの入口面を通過して、多孔質構造に接触するように、噴霧デバイスを使用して、フィルタの入口面に向けて乾燥粉末を噴霧するステップと、
f)フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップと、
g)乾燥粉末の噴霧が停止された後、フィルタの背圧が安定するまで、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を維持しながら、フィルタの背圧を監視し続けるステップと、を含む。
【0029】
フィルタの背圧は、一次ガス流量の第1の導関数が、±Xm-1.s-1以下であり、式中、X=0~0.30、任意選択的に、X=0.10~0.20、X=0.15であるとき、安定しているとみなすことができる。
【0030】
追加的又は代替的に、フィルタの背圧は、フィルタの背圧の第1の導関数が±Ymbar.s-1以下であり、式中、Y=0.5~3.0、任意選択的に、Y=1.0~2.0、任意選択的に、Y=1.5であるとき、安定しているとみなすことができる。
【0031】
追加的又は代替的に、フィルタの背圧は、一次ガス流量が、Z%の所定の流量以内、Z=1.5、任意選択的に、Z=1.0、任意選択的に、Z=0.5であるとき、安定しているとみなすことができる。
【0032】
背圧は、大気圧に対して測定された絶対背圧であり得る。フィルタの背圧は、圧力センサ、任意選択的に、フィルタの出口面に流体接続されたフィルタホルダ又は他のハウジング内に配置された、単一の圧力センサを使用して測定され得る。
【0033】
第3の態様において、本開示は、排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法を提供し、方法は、
a)リザーバに乾燥粉末を収容するステップと、
b)フィルタホルダ内にフィルタを配置するステップであって、フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、入口面と出口面とは、多孔質構造によって隔てられている、配置するステップと、
c)フィルタの出口面に圧力低下を適用することにより、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立するステップと、
d)乾燥粉末をリザーバからフィルタの入口面の上流に配置された噴霧デバイスに移送するステップと、
e)乾燥粉末が、一次ガス流に同伴され、フィルタの入口面を通過して、多孔質構造に接触するように、噴霧デバイスを使用して、フィルタの入口面に向けて乾燥粉末を噴霧するステップと、
f)少なくともステップe)中にフィルタの背圧を監視し、以下のときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップと、を含み、
ρest≧ρtarget
式中、
ρtargetは、フィルタに対する所定の目標背圧であり、
ρestは、フィルタの推定された最終背圧であり、
ρestは、ステップf)中に取得される、フィルタについて測定された背圧データの外挿によって計算される。
【0034】
有益なことに、方法は、生成されたフィルタの背圧を所定の目標背圧により厳密に一致させることが可能であり得る。方法は、目標背圧のオーバーシュートを制限し、目標背圧のオーバーシュートの発生を低減させるために役立ち得る。特に、方法は、互いに異なる充填量特性を有するフィルタについて、所定の目標背圧への背圧のより良好な適合を可能にし得る。例えば、異なるフィルタ(フィルタの1つのバッチ内であっても)は、乾燥粉末が装填されたとき、背圧において異なる変化率を呈し得る。第3の態様の方法は、個々のフィルタごとに計算され得る、推定された最終背圧パラメータを使用することによって、異なる充填量特性に対して適応させることに役立ち得る。結果として、方法は、フィルタのCFBPにおける変化が小さい状態でフィルタを生成することが可能になり得る。
【0035】
フィルタの推定された最終背圧、ρestは、測定された背圧データをT秒にわたって時間的に前方に外挿することによって計算され得、Tは、整定時間である。
【0036】
方法は、コーティング装置上で実施され得、整定時間、Tは、コーティング装置に依存する変数であり得、好ましくは、フィルタから独立していてもよい。
【0037】
例えば、コーティング装置の整定時間は、コーティング装置の設計態様、例えば、弁閉鎖時間、粉末噴霧速度、流導管のサイズ、圧力センサによる圧力測定の任意のラグなどによって影響を受ける場合がある。それゆえ、整定時間、Tのパラメータは、コーティング装置の性能を特徴付けるように選択され得る。整定時間、Tは、コーティング装置について理論的に計算され得る。代替的に、整定時間、Tは、サンプルフィルタを試験することによって、コーティング装置について実験的に決定されてもよい。
【0038】
フィルタの推定された最終背圧、ρestは、測定された背圧データを曲線フィッティングし、フィッティングされた曲線を時間的に前方に外挿することによって計算され得る。
【0039】
上記の態様のうちのいずれかはまた、以下の特徴のうちの1つ以上も追加的に含み得る。
【0040】
乾燥粉末は、いくつかの実施例では、好ましくは、1つ以上のヒュームド耐火性粉末を含む1つ以上の耐火性粉末、及び/又は1つ以上のエアロゲルを含むか、又はそれらからなり得る。1つ以上のヒュームド耐火性粉末は、発熱性のプロセス、例えば火炎熱分解によって生成され得る。1つ以上のヒュームド耐火性粉末は、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、ヒュームドチタニア、他のヒュームド金属酸化物及びヒュームド混合酸化物のうちの1つ以上を含み得る。1つ以上のエアロゲルは、シリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含み得る。
【0041】
これらの実施形態では、方法は、10g/l未満の乾燥粉末、任意選択的に、5g/l未満の乾燥粉末、任意選択的に、2g/l未満の乾燥粉末のフィルタの最大充填量を提供することを更に含む。乾燥粉末は、0.10g/cm未満、任意選択的に、0.08g/cm未満、任意選択的に、0.07g/cm未満、任意選択的に、0.06g/cm未満、任意選択的に、0.05g/cm未満のタップ密度を有し得る。乾燥粉末は、25マイクロメートル未満、好ましくは、20マイクロメートル未満、より好ましくは、10マイクロメートル未満のd50(体積による)を有し得る。
【0042】
いくつかの他の例では、乾燥粉末は、熱分解によって金属酸化物を形成するための金属化合物を含むか、又はそれからなり得る。乾燥粉末は、単一の金属化合物からなり得、2つ以上の金属化合物の混合物、ブレンド、若しくは連続用量からなり得る。金属化合物又は各金属化合物は、1つ以上の金属カチオンを含有し得る。複数の金属カチオンが存在する場合、これらは、同じ金属であっても、又は異なる金属であってもよい。金属化合物は、金属水酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属過塩素酸塩、金属ヨウ化物、金属シュウ酸塩、金属酢酸塩、金属塩素酸塩、又はこれらの混合物を含み得るか、又はこれらからなり得る。金属化合物の金属は、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、リチウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、又はガリウムのうちの1つ以上を含み得るか、又はこれらからなり得る。乾燥粉末は、金属酸化物又は混合金属酸化物を追加的に含み得る。好ましくは、乾燥粉末は、熱分解によって金属酸化物を形成するための90重量%以上の金属化合物と、10重量%以下の金属酸化物若しくは混合金属酸化物と、を含む。より好ましくは、乾燥粉末は、熱分解によって金属酸化物を形成するための95重量%以上の金属化合物と、5重量%以下の金属酸化物若しくは混合金属酸化物と、を含む。任意選択的に、乾燥粉末は、熱分解によって金属酸化物を形成するための99重量%以上の金属化合物と、1重量%以下の金属酸化物又は混合金属酸化物と、を含む。金属酸化物又は混合金属酸化物の金属は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、リチウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、又はガリウムのうちの1つ以上を含み得るか、又はこれらからなり得る。好ましくは、乾燥粉末は、金属水酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、又はこれらの混合物を含むか、又はこれらからなる。金属水酸化物は、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、及び水酸化バリウムからなる群から選択され得る。金属リン酸塩は、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸ストロンチウム、及びリン酸バリウムからなる群から選択され得る。金属炭酸塩は、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、及び炭酸バリウムからなる群から選択され得る。
【0043】
これらの例では、方法は、10~40g/l、任意選択的に、15~30g/l、任意選択的に、約20g/lのフィルタの最大充填量を提供することを更に含み得る。乾燥粉末は、1~3g/cm、任意選択的に、1.5~2.5g/cm、任意選択的に、約2g/cmのタップ密度を有し得る。乾燥粉末は、10マイクロメートル未満、任意選択的に、5マイクロメートル未満、任意選択的に、約2マイクロメートルのd50(体積による)を有し得る。驚くべきことに、本出願人は、かかる相対的に小さい粒径を有する金属水酸化物、金属リン酸塩、及び/又は金属炭酸塩粉末の使用が、多孔質基材の壁上に有効な壁面濾過層を依然として生成し得ることを発見した。
【0044】
乾燥粉末は、単一の粉末タイプ又は粉末タイプの混合物からなり得る。
【0045】
方法は、フィルタを焼成するステップを更に含み得る。フィルタの焼成は、乾燥粉末が、熱分解によって金属酸化物を形成するための金属化合物を含むか、又はそれからなる例において、乾燥粉末の熱分解を生成するように選択された温度で実行され得る。好ましくは、かかる乾燥粉末の少なくとも大部分、より好ましくは、乾燥粉末の全て又は実質的に全てが、焼成中に熱分解され得る。しかしながら、未分解の乾燥粉末の残留量が焼成後に残る可能性があることが理解されるであろう。
【0046】
焼成温度は、少なくとも150℃、任意選択的に、少なくとも250℃、任意選択的に、少なくとも500℃であるように選択され得る。いくつかの実施形態では、焼成温度は、550℃以下であることが好ましい。しかしながら、他の実施形態では、焼成温度は、550℃を超えるように選択されてもよい。焼成温度は、最大900℃、任意選択的に、最大1150℃であるように選択され得る。一例では、焼成温度は、300℃~500℃であるように選択され得る。別の例では、焼成温度は、約520℃であるように選択され得る。別の例では、焼成温度は、約580℃であるように選択され得る。別の例では、焼成温度は、約900℃であるように選択され得る。
【0047】
焼成は、30~90分間、任意選択的に、30~60分間実行され得る。一例では、期間は、約35分である。別の例では、期間は、約60分である。いずれのかかる焼成においても、各フィルタの滞留時間は、好ましくは、1~15分、好ましくは、5~10分である。
【0048】
本明細書において「焼成」とは、フィルタが、典型的には、排他的ではないが、所望の温度で所望の長さの時間、空気中で燃焼されるプロセスを意味する。しかしながら、概して、マイクロ波支援を使用しても、フィルタ温度を指示された温度に即座に上昇させることは可能ではないことが理解されるであろう。代わりに、当業者は、典型的な焼成プロセスにおいて、フィルタがベルト上で動的炉内に供給されるか、又はフィルタのパレットが静的炉内に設置され、いずれの場合も、炉又は炉温度が所望の温度に上昇され、炉の場合、これは、温度を所望の温度に増加させる炉内のゾーンによって達成され得ることを理解するであろう。すなわち、フィルタを所望の温度まで上昇させるのに時間がかかる可能性がある。したがって、本明細書で定義される焼成温度は、フィルタが焼成される好ましいピーク温度を指す。フィルタは、最終的に、全焼成サイクルの相対的に短い期間(いわゆる「滞留時間」)の間、ピーク温度に到達し、ピーク温度で保持され得る。本出願人の発明者らが見出したことは、滞留時間の期間が、それ自体及び特にフィルタの多孔質構造の両方への粉末の所望の接着を達成するために重要であるということである。したがって、本明細書における「焼成」とは、燃焼プロセスの加熱、滞留時間及び冷却の期間又はサイクル全体を意味する。したがって、加熱、滞留時間及び冷却を含む全体としての焼成プロセスは、90分の長さであり得るが、滞留時間は、その90分内で1~15分のみであり得る。
【0049】
理論によって拘束されることを望まないが、金属水酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、又はこれらの混合物を乾燥粉末として適用し、続いて焼成することにより、乾燥粉末の少なくとも一部分が多孔質基材の壁上に保持されることを含む、特に有効な多孔質層を生成することができると考えられる。特に、金属水酸化物、金属リン酸塩、及び/又は金属炭酸塩の金属酸化物への分解は、乾燥粉末の粒子間及び乾燥粉末と多孔質基材との間の両方でセメント質効果を生成すると考えられる。
【0050】
焼成された車両排気フィルタは、0.02g/lの煤充填量において、90%超、好ましくは、95%超、好ましくは、98%超、好ましくは、99%超の濾過効率を有し得る。焼成された車両排気フィルタは、600m/時の流量で20~180mbarの背圧を有し得る。
【0051】
焼成された車両用排気フィルタは、0.1g/lを超える、煤充填量に対して、好ましくは、0.05g/lを超える煤充填量に対して、実質的に直線状の充填量-背圧応答を呈し得る。
【0052】
方法は、ウォッシュコート、好ましくは、触媒ウォッシュコートでフィルタをコーティングすることを更に含み得る。
【0053】
一次ガス流とは別個の二次ガス流が、乾燥粉末をリザーバから噴霧デバイスに移送するために使用され得、任意選択的に、二次ガス流は、一次ガス流とは独立して制御可能である。
【0054】
二次ガス流は、圧縮ガス、好ましくは空気の流れを含み得る。
【0055】
二次ガス流は、単一のバースト又は複数の断続的バーストとして適用され得る。
【0056】
真空発生器を使用して、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立することができる。真空発生器によって発生した圧力低減レベルは、リザーバから噴霧デバイスへの乾燥粉末の移送の速度又は質量流量とは独立して制御可能であり得る。
【0057】
一次ガス流は、10m/時~5,000m/時、好ましくは400m/時~2,000m/時、好ましくは600m/時~1000m/時の体積流量を有し得る。
【0058】
圧力センサ、好ましくは、単一の圧力センサを使用して、背圧を監視することができる。圧力センサ、好ましくは単一の圧力センサは、フィルタの出口面に流体接続されたフィルタホルダ又は他のハウジング内に配置され得る。同じ圧力センサ、好ましくは、同じ単一の圧力センサが、少なくともステップc)及びf)中、フィルタの背圧を監視するために使用され得る。
【0059】
ステップe)において、乾燥粉末は噴霧デバイスの1つ以上の出口から噴霧され得る。
【0060】
噴霧デバイスの1つ以上の出口は、1~10mm、任意選択的には、0.5~5.0mm、任意選択的には、1.0~2.5mm、任意選択的には、1.0~2.0mmの開口サイズを含み得る。
【0061】
乾燥粉末は、噴霧デバイスの1つ以上の固定出口から噴霧され得る。代替的に、乾燥粉末は、噴霧デバイスの1つ以上の可動出口から、好ましくは、1つ以上の揺動型出口から噴霧され得る。
【0062】
方法は、ステップe)において、噴霧デバイスから流導管内のフィルタの入口面に乾燥粉末をチャネリングすることを更に含み得る。流導管は、噴霧デバイスとフィルタの入口面との間に無妨害の流路を提供し得る。代替的に、流導管は、噴霧デバイスとフィルタの入口面との間に挿入された流量調整器を備え得、流量調整器は、ガス流内における乾燥粉末の分散を促進するように作用する。流量調整器は、静的ミキサー、メッシュ、ふるい、バッフル、及びオリフィスプレートのうちの1つ以上を含み得る。
【0063】
フィルタの入口面は、スプレーノズルのノズル出口から10cmを超えて、任意選択的に、20cmを超えて配置され得る。フィルタの入口面がスプレーノズルのノズル出口から75cmを超えて、任意選択的に、100cmを超えて配置されるとき、特定の利点が見出され得る。有益なことに、かかる間隔は、乾燥粉末を受容するフィルタの入口面のパーセンテージエリアを増加させ、フィルタへの乾燥粉末適用の均一性を改善することにつながる。追加的に又は代替的に、噴霧ノズルの出口ノズルは、フィルタの入口面から、フィルタの入口面の直径の最大4倍の距離において配置され得る。
【0064】
方法は、ステップd)において、リザーバから乾燥粉末を注入することを更に含み得る。注入することは、重量、体積、粒子数、時間のうちの1つ以上によって注入することを含み得る。
【0065】
方法は、注入デバイスに乾燥粉末を重量測定的に供給することを含み得る。
【0066】
注入することは、ロスインウェイトフィーダを使用し得る。
【0067】
ステップa)において、乾燥粉末は、1つ以上のホッパーに収容され得る。
【0068】
ステップb)において、フィルタは、入口面を最上方にして、垂直配向にホルダー内に配置され得る。ステップd)において、噴霧デバイスは、入口面の垂直方向上方に配置されてもよく、好ましくは、噴霧デバイスの噴霧方向は、フィルタの長手方向軸線と同軸をなしてもよく、好ましくは、噴霧方向と長手方向軸線とは一致する。
【0069】
多孔質基材は、ウォールフローフィルタであり得る。
【0070】
本開示は、上で説明された方法のいずれかによって取得可能なフィルタに延在する。
【0071】
フィルタは、触媒された煤フィルタ(catalysed soot filter、CSF)、選択的触媒還元フィルタ(selective catalytic reduction filter、SCRF)、リーンNOxトラップフィルタ(lean NOx trap filter、LNTF)、又はガソリン微粒子フィルタ(gasoline particulate filter、GPF)であり得る。
【0072】
本明細書において、「フィルタ」という用語は、排気ガスから微粒子状物質を濾過するのに好適な多孔質構造を有する多孔質基材を指す。多孔質基材は、例えば、焼結金属、セラミック、又は金属繊維などから形成され得る。フィルタは、多孔質材料、例えば、本体の長さに沿って延びる多数の小さなチャネルのモノリシックアレイの形態で製作されたセラミックから作製されたウォールフローの類であってもよい。例えば、フィルタは、コーディエライト、様々な形態の炭化ケイ素又はチタン酸アルミニウムから形成され得る。
【0073】
フィルタは、「ベア」フィルタであってもよく、又は代替的に、酸化、NOxトラップ、又は選択的触媒還元活性などの組み込まれた触媒機能性を有するものであってもよい。多孔質基材は、フィルタの多孔質構造をコーティングする組成物(ウォッシュコートとして知られる)を含み得る。ウォッシュコートは、触媒ウォッシュコートであり得る。触媒ウォッシュコートは、炭化水素トラップ、三元触媒(three-way catalyst、TWC)、NOx吸収剤、酸化触媒、選択的触媒還元(selective catalytic reduction、SCR)触媒、リーンNOx触媒、及びそれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択された触媒を含み得る。触媒、例えば、TWC、NOx吸収剤、酸化触媒、炭化水素トラップ、及びリーンNOx触媒は、1つ以上の白金族金属、特に白金、パラジウム、及びロジウムからなる群から選択されたものを含有し得る。
【0074】
結果として、コーティングされたフィルタは、例えば、触媒化された煤フィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF)、リーンNOxトラップフィルタ(LNTF)、ガソリン排気微粒子フィルタ(GPF)、アンモニアスリップ触媒フィルタ(ammonia slip catalyst filter、ASCF)、又はそれらの2つ以上の組み合わせ(例えば、選択的触媒還元(SCR)触媒とアンモニアスリップ触媒(ammonia slip catalyst、ASC)とを含むフィルタ)であり得る。
【0075】
フィルタの形状及び寸法、例えば、チャネル壁厚及びその多孔性などの特性は、フィルタの意図される用途に応じて異なり得る。フィルタは、内燃機関によって放出された排気ガスを濾過するために内燃機関と共に使用するように構成され得る。内燃機関は、ガソリン火花点火エンジンであり得る。しかしながら、フィルタは、ディーゼル又はガソリンエンジンの形態の内燃機関と共に使用するように構成された場合、特定の用途を見出す。
【0076】
本明細書において、「乾燥粉末」という用語は、液体中に懸濁又は溶解されない微粒子組成物を指す。このことは、全ての水分子が完全に存在しないことを必ずしも意味するものではない。乾燥粉末は、好ましくは、易流動性である。
【0077】
本明細書では、「タップ密度」という用語は、欧州薬局方7.0のセクション2.9.35の方法1に従って、1250回のタップで測定された粉末のタップ密度を指す。
【0078】
本明細書では、「g/l」という用語(グラム/リットル)は、乾燥粉末の質量をフィルタの体積で割ったものを指す。
【0079】
本明細書では、乾燥粉末の量を指す場合の「充填量」及び「質量充填量」という用語は、フィルタに添加された粉末の質量を指し、フィルタへの粉末の添加前及び添加後にフィルタを秤量することによって測定され得る。
【0080】
本明細書では、「d50(体積による)」という用語は、Malvern Panalytics Ltd,(Malvern,UK)から入手可能なAero s分散ユニット付きのMalvern Mastersizer(登録商標)3000によって測定されたd50(体積による)測定値を指す。分散条件:空気圧=2barg、供給速度=65%、ホッパーギャップ=1.2mm。屈折率及び吸収率のパラメータは、Malvern Mastersizer(登録商標)3000ユーザマニュアルにて提供される指示に従って設定する。
【0081】
本明細書では、「真空発生器」という用語は、圧力低下を生成するように機能する装置又は装置の組み合わせを指す。好適な装置の非限定的な例としては、ベンチュリ原理に基づいて動作する真空発生器、真空ポンプ、例えば、回転翼及び液封真空ポンプ、並びに渦流ブロワが挙げられる。
【0082】
本明細書では、「圧力センサ」という用語は、絶対圧力及び/又は相対圧力を測定するように機能する装置又は装置の組み合わせを指す。好適な装置の非限定的な例としては、ダイヤフラム式圧力変換器であり得る圧力変換器が挙げられる。例えば、WIKA Alexander Wiegand SE&Co.KG(Klingenberg,Germany)から入手可能なWika(登録商標)P30圧力発信器が使用されてもよい。
【0083】
本明細書では、「コントローラ」という用語は、ハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る機能を指す。コントローラは、制御ユニットを備えてもよく、又は専用若しくは共有のコンピューティングリソース上で稼働するコンピュータプログラムであってもよい。コントローラは、単一のユニットを備えてもよく、又は動作可能に接続された複数のサブユニットから構成されてもよい。コントローラは、1つの処理リソース上に配置されてもよく、又は空間的に分離された処理リソースにわたって分散されてもよい。コントローラは、マイクロコントローラ、1つ以上のプロセッサ(1つ以上のマイクロプロセッサなど)、メモリ、構成可能なロジック、ファームウェアなどを含み得る。
【0084】
本明細書では、範囲及び量は、「約」特定の値又は範囲として表現され得る。約はまた、正確な量を含む。例えば、「約2マイクロメートル」は、「約2マイクロメートル」及び「2マイクロメートル」もまた意味する。概して、「約」という用語は、実験誤差内であると予想される量を含む。「約」という用語は、提供される値の5%未満~5%超内にある値を含み得る。例えば、「約2マイクロメートル」は、「1.9マイクロメートル~2.1マイクロメートル」を意味する。
【0085】
本明細書において、乾燥粉末が「からなる」という表現は、当業者によって認識されるように通常遭遇するような不可避の不純物を除いて、特定の成分のみから本質的になる乾燥粉末を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
これから、本開示の態様及び実施形態について、添付の図面を参照して単に例として説明することにする。
図1】本開示による、排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための装置の概略図である。
図2図1の装置を使用してフィルタを処理するための方法を組み込んだ本開示によるフィルタを製造するための方法を示すフロー図である。
図3図1の装置を使用して、排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法を示すフロー図である。
図4】異なる質量充填量の乾燥粉末で処理された2つのフィルタについての時間に対する背圧を示すグラフである。
図5】乾燥粉末を噴霧するための2つの異なる方式を受けた2つのフィルタについての時間に対する背圧を示すグラフである。
図6】乾燥粉末を噴霧するための2つの異なる方式を受けた2つのフィルタについての時間に対する背圧を示すグラフである。
図7】コーティング装置及び試験装置におけるコールドフロー背圧(CFBP)を比較する較正マップを示す。
図8】コーティング装置及び試験装置上のCFBPを比較する更なる較正マップを示す。
図9】コーティング装置及び試験装置上のCFBPを比較する更なる較正マップを示す。
図10】8つのフィルタに関する時間に対する背圧を示すグラフを示す。
図11図10の8つのフィルタのうちの2つに関する時間に対する背圧を示すグラフを示す。
図12】乾燥粉末を噴霧するための2つの異なるレジームに供された図10の8つのフィルタのうちの1つに対する背圧を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0087】
本開示の一態様又は実施形態の1つ以上の特徴は、直近の文脈がそうでないことを教示しない限り、本開示の任意の他の態様又は実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされ得ることを当業者は認識するであろう。
【0088】
ここで、本開示の方法を実施するための装置の一例が、図1を参照して説明されるが、図1は、排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタ2を処理するための装置1の概略図を示す。フィルタ2は、入口面及び出口面を有する多孔質基材を含むタイプであり、入口面と出口面とは、多孔質構造によって隔てられている。
【0089】
装置1は、乾燥粉末4を収容するためのリザーバ3を備える。フィルタ2を保持するためのフィルタホルダ5が設けられている。フィルタ2の出口面に圧力低下を適用することにより、使用中にフィルタ2の多孔質構造を通る一次ガス流を確立するための真空発生器6が設けられている。乾燥粉末4をリザーバ3から噴霧デバイス7に輸送するための輸送デバイス8が設けられている。噴霧デバイス7は、輸送デバイス8から乾燥粉末4を受け取り、乾燥粉末4をフィルタ2の入口面に向けて噴霧するために設けられている。装置1の動作を制御するように構成されたコントローラ9が設けられている。
【0090】
リザーバ3は、乾燥粉末入口11から乾燥粉末4を受け取ることができる。乾燥粉末入口11は、乾燥粉末の上流バルク供給の出力であり得る。例えば、乾燥粉末入口11は、乾燥粉末4の更なるリザーバの上流に接続された導管であり得る。乾燥粉末入口11は、リザーバ3の蓋又は開口部を通じた、リザーバ3の手動、半自動又は自動再充填を表し得る。
【0091】
リザーバ3は、1つ以上のホッパーを備え得る。リザーバ3は、1つのホッパーを備え得る。図1の示された例では、リザーバ3は、第1のホッパー12及び第2のホッパー13を備える。第2のホッパー13は、第1のホッパー12から出力された乾燥粉末4を受け取るように、第1のホッパー12の下流にあってもよい。1つ以上のホッパーが、別個のハウジング内に設けられてもよい。代替的に、1つ以上のホッパーが、単一のハウジング内に設けられてもよい。1つ以上のホッパーは、単一の容器の1つ以上のチャンバを備え得る。
【0092】
リザーバ3は、注入デバイス15を備え得る。注入デバイス15は、乾燥粉末4を、重量、体積、粒子数、時間のうちの1つ以上によって注入し得る。注入デバイス15は、リザーバ3の出口に、又はその近くに配置され得る。注入デバイス15は、リザーバ3の1つ以上のホッパーの出口に、又はその近くに配置され得る。注入デバイスは、第1のホッパー12の出口に、又はその近くに配置され得る。
【0093】
注入デバイス15は、リザーバ3から乾燥粉末4を重量測定的に供給され得る。
【0094】
注入デバイス15は、ロスインウェイトフィーダであり得る。注入デバイス15は、オーガ又はねじ山構成を備える容積式フィーダであり得る。好適な注入デバイスの非限定的な例としては、Coperion GmbH,Stuttgart,Germanyから入手可能なCoperion(登録商標)K-Tron Type K2-ML-T35 Gravimetric二軸スクリューフィーダ、並びにAll-Fill International Ltd,Sandy,UKから入手可能なAll-Fill(登録商標)Series S1 Micro-Fill及びAll-Fill(登録商標)Series 10重量測定又は容積測定オーガフィラが挙げられる。
【0095】
輸送デバイス8は、乾燥粉末4をリザーバ3から噴霧デバイス7に輸送する。輸送デバイス8は、少なくとも途中まで噴霧デバイス7に向けて乾燥粉末4を重量測定的又は体積測定的に供給し得る。
【0096】
輸送デバイス8は、1つ以上の構成要素を備え得る。輸送デバイス8は、1つ以上の導管、例えば、通路、パイプ、ホースなどを備え得る。
【0097】
リザーバ3が2つ以上のホッパーを備える場合、輸送デバイス8は、ホッパー間で乾燥粉末4を輸送し得る。輸送デバイス8は、ホッパー間で乾燥粉末4を重量測定的又は体積測定的に供給し得る。輸送デバイス8は、第1のホッパー12と第2のホッパー13との間に延びる第1の導管14を備え得る。第1の導管14は、第1のハウジングから第2のハウジングに延び得る。代替的に、第1の導管14は、単一の容器の第1のチャンバから第2のチャンバに延び得る。乾燥粉末4は、第1の導管14に沿って重量測定的に供給され得る。
【0098】
輸送デバイス8は、第2のホッパー13から噴霧デバイス7に延びる第2の導管16を備え得る。
【0099】
噴霧デバイス7は、輸送デバイス8から乾燥粉末4を受け取り、乾燥粉末4をフィルタ2の入口面に向けて噴霧するために設けられている。噴霧デバイス7は、フィルタ2の入口面に向けて乾燥粉末4を噴霧するために使用され得る二次ガス流を発生させるための二次ガス流発生器を備え得る。
【0100】
噴霧デバイス7は、フィルタ2の入口面に向けて乾燥粉末4を吐出するための1つ以上の出口を更に備え得る。噴霧デバイスの1つ以上の出口は、0.5~10mmのアパーチャサイズを備え得る。アパーチャは、円形、部分的な円形、又はスロット形状であり得る。1つ以上の出口は、1つ以上の固定出口であり得る。代替的に、1つ以上の出口は、1つ以上の可動出口、例えば、1つ以上の揺動型出口であり得る。
【0101】
1つ以上の出口は、1つ以上のノズル内に設けられ得る。1つ以上のノズルの各々は、1つ以上の噴霧出口を備え得る。図1の図示された例では、複数の噴霧出口を備える単一のノズル25が設けられている。
【0102】
二次ガス流発生器は、圧縮ガス発生器を備え得る。図1の図示された例では、二次ガス流発生器は、圧縮器22を備え得る圧縮空気発生器を備える。圧縮器22は、空気入口21から空気を受け取り、供給ライン23を介して噴霧デバイス7の1つ以上の出口に圧縮空気を供給し得る。戻りライン24が設けられてもよい。動作に必要な弁及び制御は、当業者に知られているように提供され得る。
【0103】
輸送デバイス8と噴霧デバイス7との間に相互接続が設けられてもよく、これにおいて乾燥粉末4が輸送デバイス8から噴霧デバイス7へと輸送される。相互接続は、噴霧デバイス7の1つ以上の出口に、又はその近くに設けられ得る。一例では、相互接続は、ノズル25に設けられ得る。代替的に、相互接続は、リザーバ3に、又はその近くに、例えば、リザーバ3の第2のホッパー13に、又はその近くに設けられ得る。一例では、相互接続は、供給ライン23と第2の導管16との間の流体接続である。例えば、噴霧デバイス7の二次ガス流は、乾燥粉末4を流動化して、第2の導管16の少なくとも一部分に沿った乾燥粉末4の輸送を支援するために、第2のホッパー13の出口において、又はその近くで第2の導管16と流体接続され得る。別の例では、乾燥粉末4は、第2の導管16に沿って重力によって供給され得る。第2の導管16を下る乾燥粉末4の流れは、第2の導管16の出口に向かって乾燥粉末4を引き込む吸引力によって支援され得る。例えば、噴霧ノズル25は、乾燥粉末4を第2の導管16に沿って及び噴霧ノズル25を通して引き込むのを支援するための吸引力を生成し得る。例えば、噴霧ノズル25は、ベンチュリデバイス又は同様の装置によって、噴霧ノズル25の粉末流導管内に吸引力を生成するために、供給ライン23からの二次ガス流を使用し得る。
【0104】
一例では、噴霧デバイス7は、圧縮エアガンを備える。好適な圧縮エアガンの非限定的な例は、STAR Professional重力供給噴霧ガン1.4mm、部品番号STA 2591100Cである。
【0105】
フィルタホルダ5は、処理中にフィルタ2を静止位置に維持するように機能し得る。フィルタホルダ5は、フィルタ2の上方端部及び/又は下方端部を把持し得る。フィルタホルダ5は、フィルタ2のそれぞれの上方端部及び下方端部を支持する膨張式上方シールブラダ31(上方膨張式カラーとも呼ばれる)及び/又は膨張式下方シールブラダ30(下方膨張式カラーとも呼ばれる)を備え得る。膨張式上方シールブラダ31及び膨張式下方シールブラダ30は、フィルタ2の外面と接触及び/又は係合し得る。各々が、フィルタ2の周囲に液密シール又は気密シールを形成し得る。膨張式上方シールブラダ31及び膨張式下方シールブラダ30は、1つ以上のハウジングによって支持され得る(例えば、1つ以上のハウジングの内壁によって支持され得る)。
【0106】
装置1は、フィルタ2がフィルタの入口面を最上方にする垂直配向にてフィルタホルダ5内に配置されるように構成され得る。噴霧デバイス7の少なくとも一部分は、入口面の上方に垂直に配置され得る。噴霧デバイス7の噴霧方向は、フィルタ2の長手方向軸線と同軸をなし得る。フィルタ2の噴霧方向と長手方向軸線とは一致してもよい。
【0107】
装置1は、噴霧デバイス7とフィルタ2の入口面との間に配置された流導管10を更に備え得る。流導管10は、フィルタ2の入口面に向けて一次ガス流を制約及びチャネリングするように機能し得る。流導管10は、一次ガス流を整列させるように機能し得、それにより、一次ガス流がフィルタ2の入口面に接触するときの一次ガス流の流動方向は、入口面に対して垂直になる。
【0108】
流導管10は、噴霧デバイス7とフィルタ2の入口面との間に無妨害の流路を提供するために、空であってもよい。代替的に、流導管10は、噴霧デバイス7とフィルタ2の入口面との間に挿入された流量調整器を備えてもよく、流量調整器は、乾燥粉末4の分散を促進するように作用する。例えば、流量調整器は、静的ミキサー、メッシュ、ふるい、バッフル、及びオリフィスプレートのうちの1つ以上を含み得る。
【0109】
流導管10は、チューブを含み得る。流導管10は、フィルタ2の入口面の断面形状と一致する断面形状を備え得る。流導管10は、フィルタ2の入口面のサイズと一致するサイズを備え得る。
【0110】
噴霧デバイス7は、流導管10の中へと延び得る。噴霧デバイス7の1つ以上の出口は、流導管10内に配置され得る。例えば、ノズル25は、流導管10の上部領域内に配置され得る。ノズル25は、フィルタ2の長手方向軸線と一致させて配置され得る。
【0111】
フィルタ2の入口面は、噴霧デバイスから、例えば、噴霧デバイス7のノズル25から10cmを超えて、任意選択的に、20cmを超えて配置され得る。フィルタ2の入口面が、スプレーノズル25のノズル出口から75cmを超えて、任意選択的に、100cmを超えて配置されるとき、特定の利点が見出され得る。追加的に、又は代替的に、噴霧デバイスは、例えば、噴霧デバイス7のノズル25から、フィルタ2の入口面の直径の最大4倍である、フィルタ2の入口面からの距離を置いて配置され得る。
【0112】
フィルタ2の出口面に圧力低下を適用することにより、使用中にフィルタ2の多孔質構造を通る一次ガス流を確立するための真空発生器6が設けられている。真空発生器6は、フィルタ2の出口面と係合する漏斗を画定し得る真空コーン40を備え得る。膨張式下方シールブラダ30は、フィルタ2の出口面と真空コーン40との間にシールを形成し得る。真空発生器6は、導管43によってフローコーンに接続された真空ポンプ42を備え得る。真空ポンプ42は、一次ガス流の体積流量を制御するように制御され得る。
【0113】
真空発生器6は、体積流量センサを備えてもよい。体積流量センサは、導管43に沿って配置された圧力センサ45と組み合わせたオリフィスプレート44であり得る。真空発生器6は、取り入れ口47まで延びるバイパス導管46を備え得る。
【0114】
装置1は、フィルタ2の背圧を監視するための圧力センサ41を更に備え得る。単一の圧力センサ41が使用されてもよい。単一の圧力センサ41は、真空発生器6内に、好ましくは、真空発生器のフィルタホルダ又は他のハウジング、例えば真空コーン40内に配置され得る。
【0115】
コントローラ9は、少なくとも真空発生器6及び噴霧デバイス7の動作を制御する。図1では、コントローラ9と装置1の残部との間の動作接続は、明確にするために省略されている。しかしながら、当業者には、任意の好適な手段の必要な接続が提供され得ることが認識されよう。そのような接続は、有線であっても無線であってもよい。
【0116】
コントローラ9は、真空発生器6によって生成された一次ガス流を制御することとは独立して、輸送デバイス8によって、リザーバ3から噴霧デバイス7への乾燥粉末4の移送を制御するように構成され得る。例えば、コントローラ9は、注入デバイス15の動作を制御し得る。
【0117】
コントローラ9は、一次ガス流を制御することとは独立して、フィルタ2の入口面に向けた乾燥粉末4の噴霧を制御するように構成され得る。本明細書における「独立して」という用語の使用は、コントローラ9が、乾燥粉末4の噴霧及び一次ガス流の変数の各々を、個別にかつ他の変数のステータスに関係なく制御する能力を指す。例えば、コントローラ9は、乾燥粉末4を同時に噴霧することなく、一次ガス流を確立し得る。例えば、コントローラ9は、一次ガス流の体積流量を変更することなく、乾燥粉末4の噴霧速度を増加させるか、又は減少させ得る。例えば、コントローラ9は、乾燥粉末4の噴霧速度を変更することなく、一次ガス流の体積流量を増加又は減少させ得る。例えば、コントローラ9は、真空ポンプ42の動作を制御することとは独立して、噴霧デバイス7の動作を制御し得る。
【0118】
コントローラ9は、乾燥粉末4が噴霧デバイス7に移送され、フィルタ2の入口面に向けて噴霧される前に、真空発生器6を動作させて一次ガス流を確立するように構成され得る。
【0119】
コントローラ9は、二次ガス流発生器、例えば圧縮機22を、真空発生器6とは独立して制御するように構成され得る。コントローラ9は、真空発生器6を操作して一次ガス流を多孔質構造を通る連続的なガス流として維持するように、また、一次ガス流の期間のうちの一部に対してのみ、二次ガス流発生器、例えば圧縮機22を操作するように構成され得る。
【0120】
コントローラ9は、フィルタ2の入口面に向けて噴霧される乾燥粉末4の速度又は質量流量を制御するために、輸送デバイス8及び/又は噴霧デバイス7を制御することとは独立して、真空発生器6を制御して、フィルタ2の出口面に適用される圧力低下のレベルを制御するように構成され得る。
【0121】
コントローラ9は、例えば、圧力センサ41によって検出されるように、フィルタ2の背圧の要求値が達成されたとき、フィルタ2の入口面に向けた乾燥粉末4の噴霧を停止するように構成され得る。
【0122】
装置1は、任意選択的に、1つ以上のヒュームド耐火性粉末、及び/又は1つ以上のエアロゲルを含む、1つ以上の耐火性粉末を含むか、それらからなる乾燥粉末4でフィルタを処理するために使用され得る。追加的に又は代替的に、装置1は、熱分解によって金属酸化物を形成するための金属化合物を含むか、又は金属化合物からなる乾燥粉末4でフィルタを処理するために使用され得る。実施例では、金属化合物は、金属水酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属過塩素酸塩、金属ヨウ化物、金属シュウ酸塩、金属酢酸塩、金属塩素酸塩、又はこれらの混合物を含むか、又はこれらからなり得る。
【0123】
ここで、本開示によるフィルタを処理する方法の例が、図2を参照して説明されるが、図2は、装置1の使用を取り入れたフィルタ2を製造するための方法を説明するフロー図を示す。例として、方法は、触媒コーティングを備えたフィルタ2を参照して説明される。
【0124】
ステップS21において、触媒スラリーが、当該技術分野で既知の方法によって調製される。
【0125】
ステップS22において、ウォッシュコートが、当該技術分野で既知の方法によって触媒スラリーから調製される。ウォッシュコートは、例えば、炭化水素トラップ、三元触媒(TWC)、NOx吸収剤、酸化触媒、選択的触媒還元(SCR)触媒、リーンNOx触媒、及びこれらの任意の2つ以上の組み合わせであり得る。
【0126】
ステップS23において、ウォッシュコートは、当該技術分野で既知の方法によって、ベアフィルタ2に注入及び適用される。例えば、ウォッシュコートは、フィルタ2の第1の面(例えば、上面)に適用されてもよく、フィルタ2の反対側の第2の面(例えば、下面)は、フィルタ2の多孔質構造を通るウォッシュコートの移動を達成するために少なくとも部分的な真空に供され得る。フィルタ2は、1回の注入でコーティングすることができ、ウォッシュコートは、フィルタ2を単一の向きのままにして、単一のステップでフィルタ2に適用され得る。代替的に、フィルタ2は2回の注入でコーティングされてもよい。例えば、1回目の注入では、フィルタ2は、第1の面を最上方にし、第2の面を最下方にした第1の向きをなし得る。コーティングは第1の面に適用されてもよく、フィルタ2の長さの一部分をコーティングする。その後、フィルタ2は、第2の面が最上方になるように反転され得る。次に、フィルタ2のうちの1回目の注入でコーティングされなかった部分をコーティングするために、コーティングが第2の面に適用され得る。有利にも、2回注入プロセスは、フィルタ2の各端部に異なるコーティングを適用することを可能する。
【0127】
ステップS24において、フィルタ2は乾燥され得る。
【0128】
ステップS25において、フィルタ2は、当該技術分野で既知の方法によって焼成され得る。
【0129】
任意選択のステップS26において、処理前のフィルタ2の背圧が測定され得る。
【0130】
任意選択のステップS27において、フィルタ2は処理を待機するためにストックに置かれ得る。その後、ステップS28において、フィルタ2はストックから取り出され、処理のために送られ得る。代替的に、フィルタ2は、すぐに処理されてもよく、すなわち、ステップS29に直接進むことによって処理されてもよい。
【0131】
ステップS29において、フィルタ2は、図3を参照して以下で更に詳細に説明されるように、本開示に従って処理される。
【0132】
ステップS30において、処理後、フィルタ2は、焼成され得る。
【0133】
フィルタの焼成は、乾燥粉末4の熱分解を生成するように選択された温度で実行され得る。
【0134】
焼成温度は、少なくとも150℃、任意選択的に、少なくとも250℃、任意選択的に、少なくとも500℃であるように選択され得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、焼成温度は、550℃以下であることが好ましい。しかしながら、他の実施形態では、焼成温度は、550℃を超えるように選択されてもよい。焼成温度は、最大900℃、任意選択的に、最大1150℃であるように選択され得る。
【0136】
一例では、焼成温度は、300℃~500℃であるように選択され得る。別の例では、焼成温度は、約520℃であるように選択され得る。別の例では、焼成温度は、約580℃であるように選択され得る。別の例では、焼成温度は、約900℃であるように選択され得る。
【0137】
焼成は、30~90分間、任意選択的に、30~60分間実行され得る。一例では、期間は、約35分である。別の例では、期間は、約60分である。焼成において、滞留時間は、1~15分、好ましくは、5~10分である。
【0138】
任意選択のステップS31において、処理後のフィルタ2の背圧が測定され得る。
【0139】
ステップS32において、完成したフィルタ2が、顧客への発送のために用意されてもよい。
【0140】
図3は、図2のステップS29の処理を示すフロー図を示す。
【0141】
ステップS29-1において、フィルタはフィルタホルダ5に装填され得る。フィルタ2は、処理中、静止位置に保持され得る。フィルタ2は、フィルタホルダ5によりフィルタ2の上端部及び/又は下端部を把持され得る。膨張式上方シールブラダ31及び膨張式下方シールブラダ30は、フィルタ2の外面と接触及び/又は係合するように膨張され得る。フィルタ2は、フィルタの入口面を最上方にして垂直配向に保持され得る。フィルタホルダ5の操作、例えば、膨張式上方シールブラダ31及び膨張式下方シールブラダ30の膨張は、コントローラ9によって制御され得る。
【0142】
ステップS29-2において、真空発生器6がコントローラ9によって作動されて、フィルタ2を通る一次ガス流が確立され得る。好ましくは、一次ガス流は、乾燥粉末4が噴霧デバイス7に移送され、フィルタ2の入口面に向けて噴霧される前に確立される。真空発生器6によって発生された圧力低下のレベルは、リザーバ3から噴霧デバイス7への乾燥粉末4の移送の速度又は質量流量とは独立して、コントローラ9によって制御され得る。一次ガス流は、10m/時~5,000m/時、好ましくは、400m/時~2,000m/時、好ましくは、600m/時~1000m/時の体積流量を有し得る。
【0143】
ステップS29-3において、フィルタ2の背圧は、一次ガス流は確立されているが、二次ガス流は確立される前である間に測定され得る。背圧は、背圧が安定するまでこのステップで測定され得る。
【0144】
フィルタ2の背圧は、一次ガス流量の第1の導関数が±Xm-1.s-1以下であり、式中、X=0~0.30、任意選択的にX=0.10~0.20、X=0.15であるときに安定しているとみなすことができる。追加的又は代替的に、フィルタ2の背圧は、フィルタの背圧の第1の導関数が±Ymbar.s-1以下であり、式中、Y=0.5~3.0、任意選択的に、Y=1.0~2.0、任意選択的に、Y=1.5であるとき、安定しているとみなすことができる。追加的又は代替的に、フィルタ2の背圧は、一次ガス流量が、Z%の所定の流量以内、Z=1.5、任意選択的に、Z=1.0、任意選択的に、Z=0.5であるとき、安定しているとみなすことができる。
【0145】
背圧は、圧力センサ41の使用によって測定され得る。ステップS29-3における背圧測定は、ステップS26の背圧測定に加えたものであっても、又はそれに代わるものであってもよい。代替的に、ステップS26の背圧測定は、ステップS29-3の背圧測定に代わって使用され得る。ステップS26の背圧測定及び/又はステップS29-3の背圧測定は、処理前のフィルタ2の第1の背圧の測定値としてコントローラ9によって使用され得る。
【0146】
ステップS29-4において、乾燥粉末4は、噴霧デバイス7によってフィルタ2の入口面に噴霧される。乾燥粉末4の噴霧中、乾燥粉末4は輸送デバイス8によって噴霧デバイス7に供給され得る。
【0147】
フィルタ2の入口面に向けた乾燥粉末4の噴霧は、好ましくは、一次ガス流を確立及び制御することとは独立して、コントローラ9によって制御可能である。
【0148】
ステップS29-4中、例えば、一次ガス流とは別の、圧縮機22によって供給される二次ガス流が、乾燥粉末4をリザーバ3から噴霧デバイス7に移送するために使用され得る。好ましくは、二次ガス流は、一次ガス流とは独立してコントローラ9によって制御可能である。例えば、コントローラ9は、真空ポンプ42の動作を制御することとは独立して、噴霧デバイス7の圧縮器22及び/又は弁及び/又はノズル25の動作を制御し得る。乾燥粉末4は、二次ガス流を使用することによって、フィルタ2の入口面に向けて噴霧され得る。二次ガス流は、圧縮ガス、好ましくは空気の流れを含み得る。
【0149】
ステップS29-4中、一次ガス流は、好ましくは連続流として維持される。ステップS29-4中、二次ガス流は、単一のバースト又は複数の断続的バーストとして適用され得る。
【0150】
ステップS29-5において、乾燥粉末4が噴霧されている間、フィルタ2の背圧が監視される。背圧は、圧力センサ41の使用によって監視され得る。コントローラ9は、フィルタ2の背圧が要求値に達したとき、フィルタ2の入口面に向けて乾燥粉末4の噴霧を停止するように構成され得る。背圧に対する要求値にまだ達していない場合、次いでコントローラ9は、ステップS29-4に戻り、乾燥粉末4の噴霧を継続するように構成される。このフィードバックは、連続的であり得、乾燥粉末4の噴霧においていかなる一時停止も伴う必要はなく、すなわち、コントローラ9は、乾燥粉末4の噴霧が進行中であるときにフィルタ2の背圧を連続的に監視し得る。フィルタ2の背圧は、少なくともステップS29-5中、連続的に監視され得る。背圧は、1サンプル.s-1以上、任意選択的に、5サンプル.s-1以上、任意選択的に、10サンプル.s-1以上のサンプルレートで背圧を測定することによって連続的に監視され得る。圧力センサ41は、ノイズに関連し得る過渡読取値の影響を低減するか、又は排除するために、ある程度の減衰を組み込み得る。
【0151】
ステップS29-6において、乾燥粉末4の噴霧が停止される。例えば、これは、コントローラ9が輸送デバイス8による乾燥粉末の移送を停止することによって、及び/又は、噴霧デバイス7の二次ガス流を停止することによって達成され得る。ステップS29-6において、一次ガス流は、乾燥粉末4の噴霧の停止後のある期間にわたってフィルタ2の多孔質構造を通って維持され得る。コントローラ9は、乾燥粉末4の噴霧の停止後のある期間にわたって真空発生器6を動作させるように構成され得る。例えば、一次ガス流は、このステップで測定される背圧が安定するまで維持され得る。
【0152】
上記のように、フィルタ2の背圧は、一次ガス流量の第1の導関数が±Xm-1.s-1以下であり、式中、X=0~0.30、任意選択的に、X=0.10~0.20、X=0.15であるとき、安定しているとみなされ得る。追加的又は代替的に、フィルタ2の背圧は、フィルタの背圧の第1の導関数が±Ymbar.s-1以下であり、式中、Y=0.5~3.0、任意選択的に、Y=1.0~2.0、任意選択的に、Y=1.5であるとき、安定しているとみなすことができる。追加的又は代替的に、フィルタ2の背圧は、一次ガス流量が、Z%の所定の流量以内、Z=1.5、任意選択的に、Z=1.0、任意選択的に、Z=0.5であるとき、安定しているとみなすことができる。
【0153】
任意選択的に、ステップS29-6において、フィルタ2の入口面に向けて送達される乾燥粉末4の量が測定されてもよい。コントローラ9は、例えば、注入デバイス15からの信号出力から、例えば、ロスインウェイトフィーダからの出力から、送達された乾燥粉末4の量を決定するように構成される。
【0154】
方法は、乾燥粉末4の10~40g/l、任意選択的に、15~30g/l、任意選択的に、約20g/lのフィルタの最大充填量を送達するか、又は、乾燥粉末4の<10g/l、任意選択的に、<5g/l、任意選択的に、<2g/lのフィルタの最大充填量を送達するように構成され得る。
【0155】
ステップS29-7において、フィルタ2を通る一次ガス流が停止される。これは、コントローラ9が真空発生器6を停止すること、すなわち真空ポンプ42を停止することによって達成され得る。代替的に、これは、コントローラが真空発生器6の弁を操作して、取り入れ口47を通じて空気を引き込むようにバイパス導管46を通じた吸引を方向転換させることによって達成され得る。これは、より速いサイクル時間をもたらし得る連続するフィルタ2の処理間で真空ポンプ42を停止する必要性を回避し得る。
【0156】
ステップS29-8において、フィルタ2は、例えば、膨張式上方シールブラダ31及び膨張式下方シールブラダ30を収縮させることによって、フィルタホルダ5から取り外される。フィルタ2は次いで除去され、上記のようにステップS30に進んでもよい。
【0157】
ステップ29-5に戻り、乾燥粉末4の噴霧の停止をトリガするイベントをより詳細に考察する。
【0158】
フィルタ2を処理するとき、本出願人は、フィルタ2に適用される乾燥粉末4の質量充填量を単に制御することによってフィルタの最終背圧を制御することはできないということを見出した。例えば、図4は、コーティング前に同様の初期背圧(36及び38mbar)を有する、2つのフィルタA及びBの処理を例解する。乾燥粉末4による処理後、両方のフィルタは、64mbar及び67mbarの同様の背圧を有する。しかしながら、フィルタの質量充填量は、非常に異なっていた。フィルタAは、7秒間にわたって噴霧された2.8gの乾燥粉末で処理された。フィルタBを、20秒にわたって噴霧された8gの乾燥粉末で処理した。背圧において同様の増加を達成するために必要とされる乾燥粉末の質量充填量における差は、任意の適用されたウォッシュコートの孔径及び場所を含むがこれらに限定されない、フィルタの基材特性における差に起因すると考えられる。
【0159】
結果として、ステップS29-5において乾燥粉末4の噴霧中にフィルタ2の背圧を監視し、上述したように、コントローラ9が、フィルタ2の背圧が必要な値に達したときにフィルタ2の入口面に向かう乾燥粉末4の噴霧を停止することが有益であり得る。
【0160】
いくつかの例では、乾燥粉末4の噴霧が停止するとき、フィルタ2の背圧の必要値は、フィルタ2の所定の目標背圧ρtargetであり得る。所定の背圧ρtargetは、装置1、すなわち、コーティング装置によって測定される際、フィルタ2の所望の最終背圧であり得る。所定の背圧ρtargetは、絶対背圧であり得る。絶対背圧は、例えば、600m/時の流量において20~180mbarであり得る。
【0161】
本出願人は、必要な値が所定の背圧、ρtargetとして選択された場合、フィルタ2の最終背圧が、目標をオーバーシュートし得ることを発見した。例えば、図5の例において例解される際、フィルタは、63mbarの所定の背圧に対する目標、ρtargetで処理された。乾燥粉末噴霧は、フィルタの背圧が安定した約17秒で開始し、フィルタの背圧、ρBPが、63mbarの目標に達した約29秒で停止した。しかしながら、フィルタの背圧は増加し続け、すなわち、オーバーシュートし、最終的に70mbarの周囲で安定した。
【0162】
結果として、本出願人は、ステップS29-5において、フィルタ2の背圧を監視し、以下の場合に、フィルタ2の入口面に向かう燥粉末4の噴霧を停止することによって、改善された処理方法が達成され得ることを発見し、
ρBP≧ρtarget-ρoffset
式中、
ρBPは、フィルタ2の背圧であり、
ρtargetは、フィルタ2に対する所定の目標背圧であり、
ρoffsetは、予め選択されたオフセット圧力である。
【0163】
例えば、図6は、上記のように、所定の背圧に対する目標、ρtargetが、63mbarであった場合、修正された処理プロセスを示す。3mbarのオフセット圧力ρoffsetを選択した。乾燥粉末噴霧は、フィルタの背圧が安定した約14秒で開始し、フィルタの背圧、PBPが60mbar、すなわち、63mbar~3mbarに達した約37秒で停止した。フィルタの背圧は、乾燥粉末の噴霧の停止後も増加し続け、最終的には、約63mbar、すなわち、所望の最終背圧で安定した。
【0164】
フィルタに対する目標背圧、ρtargetは、フィルタ2の絶対背圧であり得る。例えば、フィルタ2に対する所定の目標背圧、ρtargetは、20~180mbarの目標背圧であり得る。代替的に、フィルタ2に対する所定の目標背圧、ρtargetは、フィルタ2の相対背圧であり得る。例えば、フィルタ2に対する所定の目標背圧、ρtargetは、乾燥粉末4の噴霧前のフィルタ2の初期背圧に対する背圧であり得る。例えば、フィルタ2に対する所定の目標背圧、ρtargetは、フィルタ2の初期背圧の105%~200%、任意選択的に、125%~150%であり得る。
【0165】
ρBP≧ρtarget-ρoffsetが、最小期間、tminにわたって真であるとき、フィルタ2の入口面に向かう乾燥粉末4の噴霧が停止され得る。最小期間は、tmin≧0.1秒、任意選択的に、≧0.5秒、任意選択的に、≧1.0秒であり得る。
【0166】
ρoffsetは、例えば、1~10mbar、任意選択的に、2~5mbar、任意選択的に、3~5mbarであり得る。例えば、かかるρoffsetは、ρtargetが20~180mbarである場合に使用され得る。
【0167】
フィルタの所定の目標背圧、ρtargetは、
-コーティング装置1とは異なる試験装置によって測定される際、フィルタに対する所望の背圧を選択することと、
-試験装置上で測定された背圧をコーティング装置1上で測定された背圧に変換するための較正マップを確立することと、
-較正マップを使用して所望の背圧を変換して、所定の目標背圧ρtargetを確立することと、によって計算され得る。
【0168】
例えば、図7は、コーティング装置1上の背圧(x軸上に示され、「Inline CFBP」と題される)と、試験装置、この場合Superflow of Sussex,Wl,USAから入手可能なSuperflow Flow Bench 1050上の背圧との間で変換するための較正マップの第1の実施例を示す。コーティング装置1及び試験装置の両方の背圧は、600m/時の流量でmbar単位で測定されるコールドフロー背圧(CFBP)である。見られ得るように、この場合、同じ流量で測定されたときの両装置の背圧間に線形関係が確立され得る。この例では、関心のあるCFBPの範囲に関して、本出願は、線形又は二次適合の形態における較正マップが、コーティング装置1及び試験装置上でのCFBPの変換を正確に可能にし得ることを見出した。図7の例では、CFBPが測定された流量は、コーティング装置1及び試験装置の両方で600M/時であった。
【0169】
更に、本出願人は、同じ選択流量がコーティング装置1及び試験装置で使用される限り、選択流量又はフィルタ2の直径、長さ、若しくは基板特性にかかわらず、単一の線形又は二次適合が、コーティング装置1及び試験装置でのCFBPの変換を正確に可能にし得ることを見出した。例えば、図8は、単一の線形適合又は二次適合の形態の較正マップが、図8においてパート1及びパート2とラベル付けされた2つの異なるフィルタに対するCFBPの変換を正確に可能にすることを示す。それだけでなく、パート1及び2の両方が、600M/時の流量で試験されるとき、及び両方が800M/時で試験されるときに、同じ線形又は二次適合が適用される。
【0170】
コーティング装置1におけるCFBPと、各装置において異なる流量が使用される試験装置におけるCFBPとの間で変換することが望ましい場合がある。本出願人は、これが一組の線形又は二次適合ラインを含む較正マップを使用することによって可能であることを発見した。例えば、図9は、2つの適合ラインを有する較正マップを示す。最も左の適合ラインは、コーティング装置1及び試験装置上の流量が両方とも600M/時である、2つの異なるフィルタ(パート1及びパート2)に対するCFBPの変換を表す。最も右の適合ラインは、同じパート1及びパート2についてのCFBPの変換を表し、コーティング装置1における流量は、800M/時であり、試験装置における流量は、600M/時であった。較正マップは、コーティング及び試験CFBPの任意の必要とされる組み合わせに対して、任意の必要とされる数の適合ラインを含み得ることが理解されよう。
【0171】
上で説明されたようなオフセット圧力、ρoffsetの使用は、フィルタ2の最終背圧に対して改善された許容可能な結果をもたらし得る。しかしながら、本出願人は、更なる改善がなされ得ることを発見した。例えば、本出願人は、フィルタ2の特性が、乾燥粉末の充填量に影響を及ぼし得ること、特に、時間に関する乾燥粉末4の充填率が、フィルタ2の孔径、フィルタ2の多孔性、壁厚、及び/又はセル密度を含む特性によって影響を受ける可能性があることを発見した。結果として、上で説明したように、一定のオフセット圧力、ρoffsetを使用することは、取得された最終的な背圧におけるいくらかの変動に依然としてつながり得る。これは、異なる孔径を有する8つのフィルタ2の粉末充填量段階を示す、図10に示される。見られ得るように、背圧-時間応答曲線の勾配は、フィルタ間で異なる。このため、固定されたオフセット圧力の使用は、8つのフィルタ2の全てに対して均一な最終背圧を取得しないであろう。図10の8つの例示的なフィルタに関して、最終的に取得された背圧は、(63mbarの目標と比較して)64.5mbarの平均背圧及び1.2mbarの標準偏差を有した。
【0172】
例えば、図11は、例として、図10からのフィルタ番号4及び6を使用して、これを示す。両方の場合において、乾燥粉末4の噴霧は、フィルタが60mbar(63mbarの目標背圧から3mbarのオフセット圧力を引いたもの)に達するときに停止される。フィルタ番号6は、その応答曲線の相対的に浅い勾配を有し(すなわち、背圧が1mbar増加するごとに相対的に大きい量の粉末を必要とする)、最終的に取得される背圧は、63.1mbarの目標に厳密に整合する。しかしながら、フィルタ番号4は、その応答曲線のより急な勾配を有し(すなわち、背圧が1mbar増加するごとに相対的に小さい量の粉末を必要とする)、最終的に取得される背圧は、目標を通り過ぎ、66.6mbarに達する。
【0173】
結果として、本出願人は、ステップS29-5において、乾燥粉末4の噴霧中にフィルタ2の背圧を監視し、以下の場合にフィルタ2の入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止することによって、改善された処理方法が達成され得ることを発見し、
ρest≧ρtarget
式中、
ρtargetは、フィルタに対する所定の目標背圧であり、
ρestは、フィルタの推定された最終背圧であり、
ρestは、乾燥粉末4の噴霧中に取得される、フィルタについて測定された背圧データの外挿によって計算される。
【0174】
フィルタの推定された最終背圧、ρestは、測定された背圧データをT秒にわたって時間的に前方に外挿することによって計算され得、Tは、整定時間である。
【0175】
方法は、コーティング装置1上で実施され得、整定時間、Tは、コーティング装置に依存する変数であり得、好ましくは、フィルタ2から独立していてもよい。整定時間、Tのパラメータは、コーティング装置1の性能を特徴付けるように選択され得る。整定時間、Tは、コーティング装置1に関して理論的に計算され得る。代替的に、整定時間、Tは、サンプルフィルタを試験することによって、コーティング装置1について実験的に決定されてもよい。例えば、実験は、反復的に実行されて、整定時間の良好な推定値を取得し得る。
【0176】
フィルタ2の推定された最終背圧、ρestは、測定された背圧データを曲線フィッティングし、フィッティングされた曲線を時間的に前方に外挿することによって計算され得る。例えば、フィルタ2の乾燥粉末4を最初に充填する間に、好ましくは、高いサンプリング速度で背圧測定を行うことができる。次いで、プロセッサ9(又は他の計算リソース)は、記録された背圧データに一致する適合ラインを計算し、次いで、適合ラインを使用して、時間的に前方に外挿し得る。いくつかの例では、適合ラインは、記録された背圧測定値の全て又は大部分に適合する二次適合ラインであり得る。他の例では、適合ラインは、記録された背圧測定値の現在又は最近の部分に一致する線形適合ラインであり得る。
【0177】
図12は、図11で参照されたフィルタ番号4への方法の適用を示す。整定時間、Tは、図10における8つのフィルタの結果の調査から、使用したコーティング装置1について3.5秒と計算された。
【0178】
図12では、4.1は、図11を参照して上で説明されたような固定オフセット圧力を用いて処理されたフィルタ番号4を指す。上述したように、フィルタが60mbarの背圧(63mbarの目標背圧から3mbarのオフセット圧力を引いた値)に達し、最終的に取得された背圧が、目標を通り過ぎ、66.6mbarに達したときに、粉末噴霧を停止した。
【0179】
4.2と記された結果は、T秒、すなわち、この実施例では3.5秒の間、測定された背圧データを時間的に前方に外挿する改善された方法を使用する効果を示す。見られ得るように、最終的に取得された背圧は、62.8mbarであり、63mbarの目標に非常に近かった。図10の8つの例示的なフィルタに関して、改善された方法は、固定オフセット圧力を使用する方法の結果と比較して著しく改善された、63.7mbarの平均背圧(63mbarの目標と比較して)及び0.85mbarの標準偏差を有する最終背圧を取得することができる。
【0180】
本開示によれば、従来技術のフィルタと比較して、1つ以上の利点を有する処理済みのフィルタが提供され得る。限定されるものではないが、好ましくは、処理済みのフィルタは、本開示に従って処理され得、及び/又は本開示に従って装置を使用して処理され得る。
【0181】
本開示の更なる態様及び実施形態を以下の条項に記載する。
【0182】
項A1.排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法であって、
a)リザーバに乾燥粉末を収容するステップと、
b)フィルタホルダ内にフィルタを配置するステップであって、フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、入口面と出口面とは、多孔質構造によって隔てられている、配置するステップと、
c)フィルタの出口面に圧力低下を適用することにより、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立するステップと、
d)乾燥粉末をリザーバからフィルタの入口面の上流に配置された噴霧デバイスに移送するステップと、
e)乾燥粉末が、一次ガス流に同伴され、フィルタの入口面を通過して、多孔質構造に接触するように、噴霧デバイスを使用して、フィルタの入口面に向けて乾燥粉末を噴霧するステップと、
f)少なくともステップe)中にフィルタの背圧を監視し、以下のときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップと、を含み、
ρBP≧ρtarget-ρoffset
式中、
ρBPが、フィルタの背圧であり、
ρtargetが、フィルタに対する所定の目標背圧であり、
ρoffsetが、予め選択されたオフセット圧力である、方法。
【0183】
項A2.ステップf)において、ρBP>ρtarget-ρoffsetが、最小期間、tminにわたって真であるときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧が停止され、式中、tmin≧0.1秒、任意選択的に、≧0.5秒、任意選択的に、≧1.0秒である、項A1に記載の方法。
【0184】
項A3.ρoffsetが、1~10mbar、任意選択的に、2~5mbar、任意選択的に、3~5mbarである、項A1又はA2に記載の方法。
【0185】
項A4.ステップf)において、少なくともステップe)中、フィルタの背圧は、連続的に監視され、及び任意選択的に、背圧が、1サンプル.s-1以上、任意選択的に、5サンプル.s-1以上、任意選択的に、10サンプル.s-1以上のサンプルレートで背圧を測定することによって連続的に監視され得る、項A1~A3のいずれか一項に記載の方法。
【0186】
項A5.ステップc)において、フィルタの背圧を監視することと、ステップd)を開始する前に、フィルタの背圧が安定するまで、フィルタの多孔質構造に一次ガス流を通過させることとを更に含む、項A1~A4のいずれか一項に記載の方法。
【0187】
項A6.フィルタに対する所定の目標背圧、ρtargetが、ステップc)において監視された安定した背圧に対する、項A5に記載の方法。
【0188】
項A7.
g)フィルタの背圧を監視し、乾燥粉末の噴霧が停止された後、フィルタの背圧が安定するまで、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を維持するステップを更に含む、項A1~A6に記載の方法。
【0189】
項A8.フィルタの背圧が、
i)一次ガス流量が、所定の流量の0.5%以内であり、
ii)一次ガス流量の第1の導関数が、±0.15m-1.s-1以下であり、
iii)フィルタの背圧の第1の導関数が、±1.5mbar.s-1以下であるとき、安定しているとみなされる、項A5~A7のいずれか一項に記載の方法。
【0190】
項A9.背圧、ρBPが、大気圧に対して測定された絶対背圧である、項A1~A8のいずれか一項に記載の方法。
【0191】
項A10.方法が、少なくともステップa)~f)を実行するためのコーティング装置を使用し、フィルタに対する所定の目標背圧、ρtarget、が、
-コーティング装置とは異なる試験装置によって測定される際、フィルタに対する所望の背圧を選択することと、
-試験装置上で測定された背圧をコーティング装置上で測定された背圧に変換するための較正マップを確立することと、
-較正マップを使用して所望の背圧を変換して、所定の目標背圧、ρtargetを確立することと、によって計算される、項A1~A9のいずれか一項に記載の方法。
【0192】
項B1.排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法であって、
a)リザーバに乾燥粉末を収容するステップと、
b)フィルタホルダ内にフィルタを配置するステップであって、フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、入口面と出口面とは、多孔質構造によって隔てられている、配置するステップと、
c)フィルタの背圧を監視しながら、フィルタの出口面に減圧を適用することによってフィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立し、フィルタの背圧が安定するまでフィルタの多孔質構造に一次ガス流を通過させるステップと、
d)フィルタの安定した背圧を確立した後に、乾燥粉末をリザーバからフィルタの入口面の上流に配置された噴霧デバイスに移送するステップと、
e)フィルタの背圧を監視しながら、乾燥粉末が一次ガス流に同伴され、フィルタの入口面を通過して、多孔質構造に接触するように、噴霧デバイスを使用して、フィルタの入口面に向けて乾燥粉末を噴霧するステップと、
f)フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップと、
g)乾燥粉末の噴霧が停止された後、フィルタの背圧が安定するまで、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を維持しながら、フィルタの背圧を監視し続けるステップと、を含む、方法。
【0193】
項B2.一次ガス流量の第1の導関数が、±Xm-1.s-1以下であり、式中、X=0~0.30、任意選択的に、X=0.10~0.20、X=0.15であるとき、フィルタの背圧が安定しているとみなされる、項B1に記載の方法。
【0194】
項B3.フィルタの背圧の第1の導関数が、±Ymbar.s-1以下であり、式中、Y=0.5~3.0、任意選択的に、Y=1.0~2.0、任意選択的に、Y=1.5であるとき、フィルタの背圧が、安定しているとみなされる、項B1又はB2に記載の方法。
【0195】
項B4.一次ガス流量が、所定の流量のZ%以内であり、Z=1.5、任意選択的に、Z=1.0、任意選択的に、Z=0.5であるとき、フィルタの背圧が、安定しているとみなされる、項B1~B3のいずれか一項に記載の方法。
【0196】
項B5.背圧が、大気圧に対して測定された絶対背圧である、項B1~B4のいずれか一項に記載の方法。
【0197】
項C1.フィルタの背圧が、圧力センサ、任意選択的に、フィルタの出口面に流体接続されたフィルタホルダ又は他のハウジング内に配置された、単一の圧力センサを使用して測定される、項A1~A10又はB1~B5のいずれか一項に記載の方法。
【0198】
項D1.排気ガスから微粒子状物質を濾過するためのフィルタを処理するための方法であって、
a)リザーバに乾燥粉末を収容するステップと、
b)フィルタホルダ内にフィルタを配置するステップであって、フィルタは、入口面及び出口面を有する多孔質基材を備え、入口面と出口面とは、多孔質構造によって隔てられている、配置するステップと、
c)フィルタの出口面に圧力低下を適用することにより、フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立するステップと、
d)乾燥粉末をリザーバからフィルタの入口面の上流に配置された噴霧デバイスに移送するステップと、
e)乾燥粉末が、一次ガス流に同伴され、フィルタの入口面を通過して、多孔質構造に接触するように、噴霧デバイスを使用して、フィルタの入口面に向けて乾燥粉末を噴霧するステップと、
f)少なくともステップe)中にフィルタの背圧を監視し、以下のときに、フィルタの入口面に向かう乾燥粉末の噴霧を停止するステップと、を含み、
ρest≧ρtarget
式中、
ρtargetが、フィルタに対する所定の目標背圧であり、
ρestが、フィルタの推定された最終背圧であり、
ρestが、ステップf)中に取得される、フィルタについて測定された背圧データの外挿によって計算される、方法。
【0199】
項D2.ρestが、測定された背圧データをT秒にわたって時間的に前方に外挿することによって計算され、Tは整定時間である、項D1に記載の方法。
【0200】
項D3.方法が、コーティング装置上で実施され、整定時間、Tが、コーティング装置に依存する変数であり、好ましくは、フィルタから独立している、項D2に記載の方法。
【0201】
項D4.ρestが、測定された背圧データを曲線フィッティングし、フィッティングされた曲線を時間的に前方に外挿することによって計算される、項D1~D3のいずれか一項に記載の方法。
【0202】
項E1.乾燥粉末が、
a)熱分解によって金属酸化物を形成するための金属化合物、
b)金属酸化物、又は
c)エアロゲルを含むか、又はこれらからなる、項A1~A10、又はB1~B5、又は項C1~C2、又はD1~D4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【0203】
項E2.金属化合物が、金属水酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属過塩素酸塩、金属ヨウ化物、金属シュウ酸塩、金属酢酸塩、金属塩素酸塩、又はこれらの混合物を含むか、又はこれらからなる、項E1に記載の方法。
【0204】
項E3.金属化合物の金属が、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ジルコニウム、マンガン、リチウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、又はガリウムのうちの1つ以上を含むか、又はこれらからなる、項E1又はE2に記載の方法。
【0205】
項E4.選択肢c)の金属酸化物が、1つ以上のヒュームド金属酸化物又はヒュームド混合酸化物、例えば、ヒュームドアルミナ、ヒュームドシリカ、又はヒュームドチタニアを含む、項E1~E3のいずれか一項に記載の方法。
【0206】
項E5.エアロゲルが、1つ以上のシリカエアロゲル、アルミナエアロゲル、カーボンエアロゲル、チタニアエアロゲル、ジルコニアエアロゲル、セリアエアロゲル、金属酸化物エアロゲル、及び混合酸化物エアロゲルのうちの1つ以上を含む、項E1~E4のいずれか一項に記載の方法。
【0207】
項E6.乾燥粉末が、1~3g/cm、任意選択的に、1.5~2.5g/cm、任意選択的に、約2g/cmのタップ密度を有するか、又は、乾燥粉末が、0.10g/cm未満、任意選択的に、0.08g/cm未満、任意選択的に、0.07g/cm未満、任意選択的に、0.06g/cm未満、任意選択的に、0.05g/cm未満のタップ密度を有する、項E1~E5のいずれか一項に記載の方法。
【0208】
項E7.乾燥粉末が、10マイクロメートル未満、任意選択的に、5マイクロメートル未満、任意選択的に、約2マイクロメートルのd50(体積による)を有する、項E1~E6のいずれか一項に記載の方法。
【0209】
項E8.10~40g/l、任意選択的に、15~30g/l、任意選択的に、約20g/lの乾燥粉末のフィルタの最大充填量を提供すること、又は10g/l未満の乾燥粉末、任意選択的に、5g/l未満の乾燥粉末、任意選択的に、2g/l未満の乾燥粉末のフィルタの最大充填量を提供することを含む、項E1~E7のいずれか一項に記載の方法。
【0210】
項E9.ステップb)の前に、ウォッシュコート、好ましくは、触媒ウォッシュコートでフィルタをコーティングすることを更に含む、項E1~E8のいずれか一項に記載の方法。
【0211】
項F1.乾燥粉末を充填した後に、フィルタを焼成するステップを更に含む、項A1~E9のいずれか一項に記載の方法。
【0212】
項F2.焼成が、少なくとも150℃、任意選択的に、少なくとも250℃、任意選択的に、少なくとも500℃の温度である、項F1に記載の方法。
【0213】
項F3.焼成が、550℃以下の温度、代替的に、550℃超の温度、任意選択的に、最大900℃の温度、任意選択的に、最大1150℃の温度である、項F1又はF2に記載の方法。
【0214】
項F4.焼成が、30~90分、任意選択的に、30~60分の期間で、1~15分、好ましくは、5~10分の滞留時間を含めて実行される、項F1~F3のいずれか一項に記載の方法。
【0215】
項G1.ステップd)において、一次ガス流とは別個の二次ガス流が、乾燥粉末をリザーバから噴霧デバイスに移送するために使用され、任意選択的に、二次ガス流が、一次ガス流とは独立して制御可能である、項A1~F4のいずれか一項に記載の方法。
【0216】
項G1.二次ガス流は、圧縮ガス、好ましくは、空気の流れを含む、項G1に記載の方法。
【0217】
項G2.二次ガス流が、単一のバースト又は複数の断続的なバーストとして適用される、項G1又はG2に記載の方法。
【0218】
項G3.フィルタの多孔質構造を通る一次ガス流を確立するために真空発生器を使用することを含む、項A1~G2のいずれか一項に記載の方法。
【0219】
項G4.真空発生器によって発生された圧力低下のレベルは、リザーバから噴霧デバイスへの乾燥粉末の移送の速度又は質量流量とは独立して制御可能である、項G3に記載の方法。
【0220】
項G5.一次ガス流が、10m/時~5,000m/時、好ましくは、400m/時~2,000m/時、好ましくは、600m/時~1000m/時の体積流量を有する、項A1~G4のいずれか一項に記載の方法。
【0221】
項G6.背圧を監視するために、圧力センサ、好ましくは単一の圧力センサを使用することを更に含む、項G5に記載の方法。
【0222】
項G7.圧力センサ、好ましくは単一の圧力センサは、フィルタの出口面に流体接続されたフィルタホルダ又は他のハウジング内に配置される、項G6に記載の方法。
【0223】
項G8.同じ圧力センサ、好ましくは、同じ単一の圧力センサが、少なくともステップc)及びf)中、フィルタの背圧を監視するために使用される、項G6又はG7に記載の方法。
【0224】
項G9.ステップe)において、乾燥粉末は噴霧デバイスの1つ以上の出口から噴霧される、項A1~G8いずれか一項に記載の方法。
【0225】
項G10.噴霧デバイスの1つ以上の出口が、1~10mm、任意選択的には、0.5~5.0mm、任意選択的には、1.0~2.5mm、任意選択的には、1.0~2.0mmの開口サイズを含む、項G9に記載の方法。
【0226】
項G11.乾燥粉末は、噴霧デバイスの1つ以上の固定出口から噴霧される、項G9又はG10に記載の方法。
【0227】
項G12.乾燥粉末は、噴霧デバイスの1つ以上の可動出口から、好ましくは1つ以上の揺動型出口から噴霧される、項G9又はG10に記載の方法。
【0228】
項G13.ステップe)において、噴霧デバイスから流導管内のフィルタの入口面に乾燥粉末をチャネリングすることを更に含む、項A1~G12のいずれか一項に記載の方法。
【0229】
項G14.流導管は、噴霧デバイスとフィルタの入口面との間に無妨害の流路を提供する、項G13に記載の方法。
【0230】
項G15.流導管は、噴霧デバイスとフィルタの入口面との間に挿入された流量調整器を備え、流量調整器は、ガス流内における乾燥粉末の分散を促進するように作用する、項G13に記載の方法。
【0231】
項G16.流量調整器は、静的ミキサー、メッシュ、ふるい、バッフル、及びオリフィスプレートのうちの1つ以上を含む、項G15に記載の方法。
【0232】
項G17.フィルタの入口面は、噴霧デバイスから10~80cm、好ましくは15~20cmに配置され、かつ/又は、噴霧デバイスは、フィルタの入口面からある距離をおいて配置され、距離は、フィルタの入口面の直径の最大4倍である、項A1~G16のいずれか一項に記載の方法。
【0233】
項G18.ステップd)において、リザーバから乾燥粉末を注入することを更に含む、項A1~G17のいずれか一項に記載の方法。
【0234】
項G19.注入することは、重量、体積、粒子数、時間のうちの1つ以上によって注入することを含む、項G18に記載の方法。
【0235】
項G20.注入デバイスに乾燥粉末を重量測定的に供給することを含む、項G18又はG19に記載の方法。
【0236】
項G21.注入することは、ロスインウェイトフィーダを使用する、項G18~G20のいずれか一項に記載の方法。
【0237】
項G22.ステップa)において、乾燥粉末は1つ以上のホッパーに収容される、項A1~G21のいずれか一項に記載の方法。
【0238】
項G23.ステップb)において、フィルタは、入口面を最上方にして、垂直配向にホルダー内に配置される、項A1~G22のいずれか一項に記載の方法。
【0239】
項G24.ステップd)において、噴霧デバイスは、入口面の垂直方向上方に配置され、好ましくは、噴霧デバイスの噴霧方向は、フィルタの長手方向軸線と同軸をなし、好ましくは、噴霧方向と長手方向軸線とは一致する、項G23に記載の方法。
【0240】
項G25.多孔質基材は、ウォールフローフィルタである、項A1~G24のいずれか一項に記載の方法。
【0241】
項H1.項A1~G25のいずれか一項に記載の方法によって取得可能なフィルタ。
【0242】
項H2.触媒された煤フィルタ(CSF)、選択的触媒還元フィルタ(SCRF)、リーンNOxトラップフィルタ(LNTF)、及びガソリン排気微粒子フィルタ(GPF)のうちの1つ以上である、項H1に記載のフィルタ。
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