(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】枚葉式ウエハー洗浄装置及びこれを用いたウエハー表面粗さ制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 647Z
H01L21/304 643A
(21)【出願番号】P 2023545293
(86)(22)【出願日】2021-02-16
(86)【国際出願番号】 KR2021001966
(87)【国際公開番号】W WO2022163895
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-07-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0011542
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517354250
【氏名又は名称】エスケイ・シルトロン・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】イ,グン・ホ
(72)【発明者】
【氏名】イ,チ・ボク
(72)【発明者】
【氏名】ソ,デ・キ
(72)【発明者】
【氏名】コ,ビョン・ハ
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-115858(JP,A)
【文献】特開2008-159872(JP,A)
【文献】特開2017-183711(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0074872(US,A1)
【文献】国際公開第2005/057640(WO,A1)
【文献】特開2001-068443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部にウエハーが着座し、洗浄工程中に回転するスピンドルテーブルを内蔵しているスピンチャンバーと、
洗浄工程が実行されているうち、洗浄用化学物質Iを回転している前記ウエハーの上部に供給する第1化学物質供給装置と、
洗浄工程が実行されているうち、洗浄用化学物質IIを回転している前記ウエハーの下部に供給する第2化学物質供給装置と、
洗浄工程が実行されているうち、洗浄用化学物質IIIを回転している前記ウエハーの下部に供給する第3化学物質供給装置と、を含み、
前記洗浄用化学物質I及び前記洗浄用化学物質IIはオゾン水であり、前記洗浄用化学物質IIIは弗酸であり、
前記第1化学物質供給装置が前記ウエハーの上部に前記洗浄用化学物質Iを供給しているうちには前記第2化学物質供給装置及び前記第3化学物質供給装置が前記洗浄用化学物質II及び前記洗浄用化学物質IIIを前記ウエハーの下部に供給しなく、
前記第2化学物質供給装置及び前記第3化学物質供給装置が前記洗浄用化学物質II及び前記洗浄用化学物質IIIを前記ウエハーの下部に供給しているうちには前記第1化学物質供給装置が前記ウエハーの上部に前記洗浄用化学物質Iを供給しない、枚葉式ウエハー洗浄装置。
【請求項2】
前記第2化学物質供給装置及び前記第3化学物質供給装置が前記洗浄用化学物質II及び前記洗浄用化学物質IIIを前記ウエハーの下部に供給するとき、前記洗浄用化学物質II及び前記洗浄用化学物質IIIを前記ウエハーの下部に同時に供給する、請求項1に記載の枚葉式ウエハー洗浄装置。
【請求項3】
前記第2化学物質供給装置及び前記第3化学物質供給装置が前記洗浄用化学物質II及び前記洗浄用化学物質IIIを前記ウエハーの下部に供給するとき、前記洗浄用化学物質II及び前記洗浄用化学物質IIIを前記ウエハーの下部に交互に供給する、請求項1に記載の枚葉式ウエハー洗浄装置。
【請求項4】
上部にウエハーが着座し、洗浄工程中に回転するスピンドルテーブルを内蔵しているスピンチャンバーと、
洗浄工程が実行されているうち、洗浄用化学物質Iを回転している前記ウエハーの上部に供給する第1化学物質供給装置と、
洗浄工程が実行されているうち、洗浄用化学物質IIを回転している前記ウエハーの下部に供給する第2化学物質供給装置と、
洗浄工程が実行されているうち、洗浄用化学物質IIIを回転している前記ウエハーの下部に供給する第3化学物質供給装置と、を含み、
前記洗浄用化学物質I及び前記洗浄用化学物質IIはオゾン水であり、前記洗浄用化学物質IIIは弗酸であり、
前記ウエハーの上部には前記洗浄用化学物質Iを供給すると同時に前記ウエハーの下部には前記洗浄用化学物質II及び前記洗浄用化学物質IIIを供給する枚葉式ウエハー洗浄装置。
【請求項5】
上部にウエハーが着座したスピンドルテーブルを回転させるスピンドルテーブル回転段階と、
前記スピンドルテーブルと一緒に回転している前記ウエハーの上部に洗浄用化学物質Iを供給する第1化学物質供給段階と、
前記スピンドルテーブルと一緒に回転している前記ウエハーの下部に洗浄用化学物質II及び洗浄用化学物質IIIを供給する第2及び第3化学物質同時供給段階と、を実行し、
前記スピンドルテーブル回転段階、前記第1化学物質供給段階、及び前記第2及び第3化学物質同時供給段階を最小12回から最大18回まで繰り返し実行する、枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法。
【請求項6】
前記第1化学物質供給段階では、500~1,500rpmの速度で回転しているウエハーの上部に5~20ppmの濃度を有する0.5~1.5lpmの量のオゾン水を1~5秒間供給し、
前記第2及び第3化学物質供給段階では、500~1,500rpmの速度で回転しているウエハーの下部に5~20ppmの濃度を有する0.5~1.5lpmの量のオゾン水及び0.2~1.0wt%の濃度を有する0.5~1.5lpmの量の弗酸を1~5秒間供給する、請求項5に記載の枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法。
【請求項7】
上部にウエハーが着座したスピンドルテーブルを回転させるスピンドルテーブル回転段階と、
前記スピンドルテーブルと一緒に回転している前記ウエハーの上部に洗浄用化学物質Iを供給する第1化学物質供給段階と、
前記スピンドルテーブルと一緒に回転している前記ウエハーの下部に洗浄用化学物質II及び洗浄用化学物質IIIを交互に供給する第2及び第3化学物質交互供給段階と、を実行し、
前記スピンドルテーブル回転段階、前記第1化学物質供給段階、及び前記第2及び第3化学物質交互供給段階を最小12回から最大18回まで繰り返し実行する、枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法。
【請求項8】
前記第1化学物質供給段階では、500~1,500rpmの速度で回転しているウエハーの上部に5~20ppmの濃度を有する0.5~1.5lpmの量のオゾン水を1~5秒間供給し、
前記第2及び第3化学物質供給段階では、500~1,500rpmの速度で回転しているウエハーの下部に5~20ppmの濃度を有する0.5~1.5lpmの量のオゾン水及び0.2~1.0wt%の濃度を有する0.5~1.5lpmの量の弗酸を1~5秒間供給する、請求項7に記載の枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法。
【請求項9】
上部にウエハーが着座したスピンドルテーブルを回転させるスピンドルテーブル回転段階と、
前記スピンドルテーブルと一緒に回転している前記ウエハーの上部に第1化学物質を供給すると同時にウエハーの下部に第2化学物質及び第3化学物質を供給する第1~第3化学物質同時供給段階と、を実行する、枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法。
【請求項10】
前記第1~第3化学物質同時供給段階では、500~1,500rpmの速度で回転している前記ウエハーの上部には5~20ppmの濃度を有する0.5~1.5lpmの量のオゾン水を6~120秒間供給すると同時に前記ウエハーの下部には5~20ppmの濃度を有する0.5~1.5lpmの量のオゾン水及び0.2~1.0wt%の濃度を有する0.5~1.5lpmの量の弗酸を6~120秒間供給する、請求項9に記載の枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウエハーの洗浄装置に関するものであり、特に、ウエハーの前面の粗さとウエハーの裏面の粗さとを異にすることができる枚葉式ウエハー洗浄装置及び枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハーの表面を洗浄する技術は、大別して湿式及び乾式に区分することができる。製造工程が実行されている半導体ウエハーの表面にはスラリーまたはパーティクル(particle)などの不純物が付いている。洗浄工程(Cleaning Process)は半導体ウエハー表面上の物質を除去するという点では食刻工程(Etching Process)と類似している点があるが、除去対象が不純物という点で違いがある。
【0003】
湿式工程はさらにバッチ方式(Batch)及びスプレー方式(Spray)に区分することができる。
【0004】
【0005】
図1を参照すると、バッチ方式は、1次的には化学物質(Chemical)を含む左側沈殿槽に複数のウエハーを沈澱させてウエハーの両面の不純物を除去し、化学物質を用いてウエハーの両面の不純物を除去した後には、右側沈殿槽に沈澱させてウエハーの表面に残留する不純物及び化学物質をさらに除去することで洗浄過程を実行する。
【0006】
スプレー方式は、回転するウエハーに液状または気状の化学物質を噴射して不純物を除去する方式である。
【0007】
バッチ方式は、多数枚のウエハーをいっぺんに洗浄するのに有利であり、スプレー方式はウエハーを一枚ずつ洗浄するのに有利である特徴がある。従来は、集団浸漬方式はバッチ方式の使用比率が高かったが、最近は、微細工程の高度化、使用物質の変化によってスプレー方式(Single Wafer Type、以下、枚葉式という)の比率が高くなっている。
【0008】
半導体製造工程で、ウエハーの裏面(Back side)が工程ステージ(stage)に着座する過程でステージの表面での滑りによって不純物粒子(particle)が発生する場合が多い。このときに発生した粒子が工程進行中のウエハーの前面(Front side)に転移する問題が発生する。
【0009】
図2はステージで発生するウエハーの滑り及びこのときに発生する粒子を説明する。
【0010】
図2を参照すると、ステージ210の上部に着座したウエハー220の裏面がステージ210の上面で滑りながら不純物粒子230が発生し、発生した不純物粒子230がウエハー220の上面に移動することを確認することができる。
【0011】
図2で説明したように、半導体製造工程中に発生する問題点を解決するために、ウエハーの前面の表面粗さと裏面の表面粗さ(u-roughness)とを異にすることで、ウエハーが工程ステージで滑ることを最小にする方式が提案されて使用されている。
【0012】
図3は両面の粗さが互いに異なるウエハーの例を説明する。
【0013】
図3を参照すると、実際に半導体製造工程の対象となるウエハーの上面(Front side)の表面粗さとウエハーの裏面(Back side)の表面粗さとが互いに異なることを確認することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする技術的課題は、ウエハーの洗浄過程でウエハーの両面に互いに異なる洗浄過程を実行するようにし、洗浄しようとするウエハーの面によって使用する化学物質も異なるようにすることで、両面の粗さを異にすることができる枚葉式ウエハー洗浄装置を提供することにある。
【0015】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、ウエハーの洗浄過程でウエハーの両面に互いに異なる洗浄過程を実行するようにし、洗浄しようとするウエハーの面によって使用する化学物質も異にすることで、両面の粗さを互いに異なるようにすることができる枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記技術的課題を達成するための本発明の一面(one aspect)による枚葉式ウエハー洗浄装置は、回転するスピンドルテーブルの上部に着座したウエハーの上部には第1化学物質を供給して洗浄し、前記ウエハーの下部には前記第1化学物質及び前記第1化学物質と異なる第2化学物質を供給して洗浄し、前記第1化学物質はオゾン水であり、前記第2化学物質は弗酸である。
【0017】
前記技術的課題を達成するための本発明の他の一面(another aspect)による枚葉式ウエハー洗浄装置は、スピンチャンバー、第1化学物質供給装置、第2化学物質供給装置、及び第3化学物質供給装置を含む。前記スピンチャンバーは、上部にウエハーが着座し、洗浄工程中に回転するスピンドルテーブルを内蔵する。前記第1化学物質供給装置は、洗浄工程が実行されているうち洗浄用化学物質Iを回転している前記ウエハーの上部に供給する。前記第2化学物質供給装置は、洗浄工程が実行されているうち洗浄用化学物質IIを回転している前記ウエハーの下部に供給する。前記第3化学物質供給装置は、洗浄工程が実行されているうち洗浄用化学物質IIIを回転している前記ウエハーの下部に供給する。ここで、前記洗浄用化学物質I及び前記洗浄用化学物質IIはオゾン水であり、前記洗浄用化学物質IIIは弗酸である。
【0018】
前記他の技術的課題を達成するための本発明の一面(one aspect)による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法は、上部にウエハーが着座したスピンドルテーブルを回転させるスピンドルテーブル回転段階、前記スピンドルテーブルと一緒に回転している前記ウエハーの上部に洗浄用化学物質Iを供給する第1化学物質供給段階、及び前記スピンドルテーブルと一緒に回転している前記ウエハーの下部に洗浄用化学物質II及び洗浄用化学物質IIIを供給する第2及び第3化学物質同時供給段階を実行する。
【0019】
前記他の技術的課題を達成するための本発明の他の一面(another aspect)による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法は、上部にウエハーが着座したスピンドルテーブルを回転させるスピンドルテーブル回転段階、前記スピンドルテーブルと一緒に回転している前記ウエハーの上部に洗浄用化学物質Iを供給する第1化学物質供給段階、及び前記スピンドルテーブルと一緒に回転している前記ウエハーの下部に洗浄用化学物質II及び洗浄用化学物質IIIを交互に供給する第2及び第3化学物質交互供給段階を実行する。
【0020】
前記他の技術的課題を達成するための本発明のさらに他の一面(still another aspect)による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法は、上部にウエハーが着座したスピンドルテーブルを回転させるスピンドルテーブル回転段階、及び前記スピンドルテーブルと一緒に回転している前記ウエハーの上部に第1化学物質を供給すると同時にウエハーの下部に第2化学物質及び第3化学物質を供給する第1~第3化学物質同時供給段階を実行する。
【発明の効果】
【0021】
上述したように、本発明による枚葉式ウエハー洗浄装置及び枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法は、ウエハーの洗浄過程でウエハーの前面とウエハーの裏面とに互いに異なる洗浄用化学物質を使用する方式でウエハーの裏面をウエハーの前面より粗くすることができるので、ウエハー及び半導体の製造工程過程でウエハーの滑りによる不純物粒子(particle)の発生及び不純物粒子がウエハーの前面に転移する問題を最小にすることができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】従来のバッチ方式の洗浄工程の例を説明する図である。
【0023】
【
図2】ステージで発生するウエハーの滑り及びこのときに発生する粒子を説明する図である。
【0024】
【
図3】両面の粗さが互いに異なるウエハーの例を説明する図である。
【0025】
【
図4】本発明による枚葉式ウエハー洗浄装置の一実施例を説明する図である。
【0026】
【
図5】本発明による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法の一実施例を示す図である。
【0027】
【
図6】
図5に示す枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法の一実施例において供給される化学物質の時間、濃度、及び流量とスピンドルテーブルの回転速度の例を説明する図である。
【0028】
【
図7】本発明による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法の他の一実施例を示す図である。
【0029】
【
図8】
図7に示す枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法の他の実施例において供給される化学物質の時間、濃度、及び流量とスピンドルテーブルの回転速度の例を説明する図である。
【0030】
【
図9】本発明による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法のさらに他の一実施例を示す図である。
【0031】
【
図10】
図9に示す枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法のさらに他の実施例において供給される化学物質の時間、濃度、及び流量とスピンドルテーブルの回転速度の例を説明する図である。
【0032】
【
図11】ウエハーの上部及び下部を同時にまたは相異なる時間に洗浄したときのウエハーの両面の粗さ程度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明と本発明の動作上の利点及び本発明の実施によって達成される目的を充分に理解するためには、本発明の例示的な実施例を説明する添付図面及び添付図面に記載された内容を参照しなければならない。
【0034】
以下、添付図面に基づいて本発明の好適な実施例を説明することで、本発明を詳細に説明する。各図に示す同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0035】
本発明の核心アイディアは、ウエハーの上部の洗浄とウエハーの下部の洗浄とを互いに異なる時間に実施し、ウエハーを洗浄するとき、ウエハーの上部に使用する洗浄剤とウエハーの下部に使用する洗浄剤とを異にすることで、ウエハーの上部(または前面)の表面粗さとウエハーの下部(または後面)の表面粗さとを選択的に制御することができるようにすることである。このような過程により、ウエハーの上部の表面粗さよりもウエハーの下部の表面粗さが粗くなるであろう。
【0036】
例えば、ウエハーの上部の表面粗さは第1化学物質、すなわちオゾン水(O3)を用いて制御し、ウエハーの下部の表面粗さは第1化学物質及び第2化学物質、すなわち弗酸(HF)を用いて表面粗さを制御する。
【0037】
本発明で提案する方式でウエハーの上部及び下部を洗浄した後、1μm×1μm当たりの表面粗さを比較すると、オゾン水を用いたウエハーの上部の表面粗さは0.9Å~1.0Åであるが、オゾン水及び弗酸を用いたウエハーの下部の表面粗さは1.5Å以上であるという実験結果を得た。
【0038】
特に、ウエハーの下部に供給するオゾン水及び弗酸を同時に投入する場合とオゾン水及び弗酸を互いに異なる時間に投入する場合とを比較すると、オゾン水及び弗酸を同時に投入した場合のウエハーの下部の表面粗さがオゾン水及び弗酸を交互に投入(交互投入)した場合より粗いという実験結果を得た。
【0039】
また、オゾン水及び弗酸を交互に投入する場合、ウエハーの上部の洗浄過程とウエハーの下部の洗浄過程とを区分して実施する場合はもちろんのこと、オゾン水を投入するときにはウエハーの上部及びウエハーの下部に同時に投入し、弗酸を投入するときにはウエハーの下部にのみ投入する実施例も可能である。
【0040】
実験結果、前記のような方式で実行したウエハーの上部の表面粗さが0.9Å~1.0Åであることから、パッド工程の際にパッド(PAD)の厚さも調節することができるという利点も実験結果として確認した。
【0041】
以下の説明は上述した実験結果に基づく。
【0042】
図4は本発明による枚葉式ウエハー洗浄装置の一実施例を説明する。
【0043】
図4を参照すると、本発明による枚葉式ウエハー洗浄装置400は、スピンチャンバー410、スピンドルテーブル420、第1化学物質供給装置430、第2化学物質供給装置440、及び第3化学物質供給装置450を含む。
【0044】
スピンチャンバー410は、上部にウエハー460が着座し、洗浄工程中に回転するスピンドルテーブル420を内蔵している。スピンチャンバー410は、洗浄工程中には内部を真空状態に維持する。第1化学物質供給装置430は、洗浄工程が実行されているうちに洗浄用化学物質Iを回転しているウエハー460の上部に供給する。第2化学物質供給装置440は、洗浄工程が実行されているうちに洗浄用化学物質IIを回転しているウエハー460の下部に供給する。第3化学物質供給装置450は、洗浄工程が実行されているうちに洗浄用化学物質IIIを回転しているウエハー460の下部に供給する。
【0045】
実施例によっては、洗浄用化学物質Iの供給と洗浄用化学物質II及び洗浄用化学物質IIIの供給とを互いに異なる時間に行うことも可能であるが、同時に供給する実施例も可能である。
【0046】
本発明では、洗浄用化学物質I及び洗浄用化学物質IIとしてはオゾン(O3)またはオゾン水を、かつ洗浄用化学物質IIIとしては弗酸(HF)を使用することを提案する。
【0047】
図5は本発明による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法の一実施例を示す。
【0048】
図5を参照すると、本発明による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法500は、スピンドルテーブル回転段階510、第1化学物質供給段階520、及び第2及び第3化学物質同時供給段階530を含む。
【0049】
スピンドルテーブル回転段階510では、上部にウエハーが着座したスピンドルテーブルを回転させる。
【0050】
第1化学物質供給段階520では、スピンドルテーブルと一緒に回転しているウエハーの上部に第1化学物質、すなわち化学物質Iである脱イオン化(De-ionized)したオゾン水を供給する。このとき、ウエハーの下部には何の洗浄用化学物質も供給しない。
【0051】
第2及び第3化学物質同時供給段階530では、スピンドルテーブルと一緒に回転しているウエハーの下部に第2化学物質及び第3化学物質、すなわち第2化学物質である洗浄用化学物質II及び洗浄用化学物質IIIを供給する。上述したように、洗浄用化学物質II及び洗浄用化学物質IIIはオゾン水及び弗酸である。このとき、ウエハーの上部には何の洗浄用化学物質も供給しない。
【0052】
第1化学物質供給段階520及び第2及び第3化学物質供給段階530はどの段階を先行しても問題がないが、ウエハーの一面(例えば、上部)を洗浄するときにはウエハーの反対面(例えば、下部)には洗浄工程を実行しないようにする。
【0053】
ただ、洗浄の効果を極大化するためには、スピンドルテーブル回転段階510、第1化学物質供給段階520、及び第2及び第3化学物質同時供給段階530を少なくとも12回から最大18回まで繰り返し実行することを提案する。
【0054】
図6は
図5に示す枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法の一実施例において供給される化学物質の時間、濃度、及び流量とスピンドルテーブルの回転速度の例を説明する。
【0055】
図6を参照すると、第1化学物質供給段階520では、500~1,500rpm(revolution per minute)の速度で回転しているウエハーの上部に5~20ppm(part per million)の濃度を有する0.5~1.5lpm(litter per minute)の量のオゾン水を1~5秒(second)の間に供給し(
図6の左側部分)、第2及び第3化学物質供給段階530では、500~1,500rpmの速度で回転しているウエハーの下部に5~20ppmの濃度を有する0.5~1.5lpmの量のオゾン水及び0.2~1.0wt%の濃度を有する0.5~1.5lpmの量の弗酸を1~5秒間供給する(
図6の右側部分)ことが分かる。
【0056】
上述したように、ウエハーの上部及び下部を交互に洗浄する過程を少なくとも12回から最大18回までは実施することが好ましい。
【0057】
図7は本発明による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法の他の一実施例を示す。
【0058】
図7を参照すると、本発明による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法700は、スピンドルテーブル回転段階710、第1化学物質供給段階720、及び第2及び第3化学物質交互供給段階730を含む。
【0059】
スピンドルテーブル回転段階710では、上部にウエハーが着座したスピンドルテーブルを回転させる。第1化学物質供給段階720では、スピンドルテーブルと一緒に回転しているウエハーの上部に第1化学物質を供給する。第2及び第3化学物質交互供給段階730では、スピンドルテーブルと一緒に回転しているウエハーの下部に第2化学物質及び第3化学物質を交互に供給する。
【0060】
図7に示す枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法700は、ウエハーの上部の洗浄とウエハーの下部の洗浄とを互いに異なる時間に実行するという点では
図5に示す枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法500と同一であるが、ウエハーの下部の洗浄の際、第2化学物質及び第3化学物質を同時に投入せず、交互に投入するという点が
図5に示す枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法500と違う点である。
【0061】
図8は
図7に示す枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法の他の実施例において供給される化学物質の時間、濃度、及び流量とスピンドルテーブルの回転速度の例を説明する。
【0062】
図8を参照すると、第1化学物質供給段階720では、500~1,500rpmの速度で回転しているウエハーの上部に5~20ppmの濃度を有する0.5~1.5lpmの量のオゾン水を1~5秒間供給する(
図8の左側部分)。第2及び第3化学物質交互供給段階730では、500~1,500rpmの速度で回転しているウエハーの下部に5~20ppmの濃度を有する0.5~1.5lpmの量のオゾン水及び0.2~1.0wt%の濃度を有する0.5~1.5lpmの量の弗酸を1~5秒間供給する(
図8の右側部分)。
【0063】
ウエハーの上部及び下部を交互に洗浄する過程を少なくとも12回から最大18回まで実施することが好ましい。
【0064】
図7に示す実施例は、ウエハーの上部の洗浄時刻とウエハーの下部の洗浄の時刻とを異にすることは
図5に示す実施例と同一であるが、下部を洗浄するとき、第2化学物質及び第3化学物質を同時に使用せず、交互に使用するという点で
図5に示す実施例と違う。
【0065】
図9は本発明による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法のさらに他の一実施例を示す。
【0066】
図9を参照すると、本発明による枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法900は、スピンドルテーブル回転段階910、及び第1~第3化学物質同時供給段階920を含む。
【0067】
スピンドルテーブル回転段階910では、上部にウエハーが着座したスピンドルテーブルを回転させる。
【0068】
第1~第3化学物質同時供給段階920では、スピンドルテーブルと一緒に回転しているウエハーの上部に第1化学物質を供給すると同時に、ウエハーの下部に第2化学物質及び第3化学物質を供給する。
【0069】
図10は
図9に示す枚葉式ウエハー表面粗さ制御方法のさらに他の実施例で供給される化学物質の時間、濃度、及び流量とスピンドルテーブルの回転速度の例を説明する。
【0070】
図10を参照すると、第1~第3化学物質同時供給段階920では、500~1,500rpmの速度で回転しているウエハーの上部に5~20ppmの濃度を有する0.5~1.5lpmの量のオゾン水を6~120秒間供給する。
【0071】
図9の実施例は、6~120秒間の1回の洗浄作業から完成されるという点で
図5及び
図7に示す実施例と違うことが分かる。
【0072】
図11はウエハーの上部及び下部を同時にまたは相異なる時間に洗浄したときのウエハーの両面の粗さ程度を示す。
【0073】
図11は
図5~
図7に示す実施例を実行した結果を表示し、ウエハーの上部(Front side)及びウエハーの下部(Back side)のそれぞれの中心(center)と中心から一定の距離離れた地点との粗さをそれぞれ測定したものである。
【0074】
ウエハーの前面の粗さは約0.9Å(Angstrom、オングストローム)で、同一であるが、交互供給の例に比べて同時供給の例はウエハーの裏面の粗さが約0.9Åだけもっと粗くなったことが分かる。
【0075】
図11の左側に示す交互供給によるウエハーの裏面(Back side)の表面粗さは、中央部(Center)が1.5Åであり、中央部から50mm、100mm及び140mm離れた地点の粗さはそれぞれ1.6Å、1.7Å及び1.6Åであって、いずれも1.5Å以上の粗さを有することが分かる。
【0076】
図11の右側に示す同時供給によるウエハーの裏面の表面粗さは、中央部が2.4Åであり、中央部からそれぞれ50mm、100mm及び140mm離れた地点の粗さはそれぞれ2.5Å、2.6Å及び2.5Åであって、いずれも2.4Å以上の粗さを有することが分かる。
【0077】
図11の左側(交互供給の例)と右側(同時供給の例)とを比較すると、ウエハーの下部に第2化学物質及び第3化学物質であるオゾン及び弗酸を交互に供給したときより同時に供給したときにウエハーの裏面がウエハーの前面より粗さが大きいことが分かる。
【0078】
結論として、本発明によって交互供給方式で洗浄を実行する場合及び同時供給方式で洗浄を実行する場合のいずれも、ウエハーの前面及びウエハーの裏面に相異なる洗浄用化学物質を使用するときには、ウエハーの裏面がウエハーの前面より粗いということが分かる。
【0079】
したがって、本発明による方式でウエハーの前面及び裏面を洗浄することで、ウエハーの裏面をウエハーの前面より粗く製造することができるので、その後に実施される工程でウエハーがステージに着座するときに滑ることを最小にすることができ、よって従来の場合のようにウエハーの滑りによる不純物粒子の発生を最小化することができる。
【0080】
従来使用比率が高かったバッチ方式の洗浄はウエハーの前面及び裏面の粗さを同一にするしかなかったし、さらに粗さ程度の制御が容易でなかった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明はウエハー洗浄装置に関するものであり、ウエハーの製造過程で不純物粒子がウエハーの前面に転移する問題を解決することができるので、半導体産業の製造収率を向上させることができる。