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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】無停電電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20241209BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20241209BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20241209BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H02M7/12 W
H02M7/12 H
H02M7/48 N
H02M7/48 M
H02J7/34 G
H02J7/34 J
H02J9/06 120
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023561021
(86)(22)【出願日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2023008313
【審査請求日】2023-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 淳
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-188706(JP,A)
【文献】特開2016-059240(JP,A)
【文献】特表2021-505115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 7/48
H02J 7/34
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源の健全時には、前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して直流ラインに供給し、前記交流電源の停電時には、その運転が停止される第1の電力変換器と、
前記直流ラインから受ける直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する第2の電力変換器と、
前記交流電源の健全時には、前記直流ラインから受ける直流電力を電力貯蔵装置に蓄え、前記交流電源の停電時には、前記電力貯蔵装置の直流電力を前記直流ラインに供給する第3の電力変換器と、
前記電力貯蔵装置の高速充電を行なう第1の場合に、前記第1の電力変換器と連携して動作し、前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して前記直流ラインに供給する第4の電力変換器とを備え、
前記第3の電力変換器は、過負荷運転を行なう第2の場合には、前記交流電源の健全時であっても前記電力貯蔵装置の直流電力を前記直流ラインに供給し、
前記第4の電力変換器は、前記第2の場合には、前記第2の電力変換器と連携して動作し、前記直流ラインから受ける直流電力を交流電力に変換して前記負荷に供給する、無停電電源装置。
【請求項2】
前記第4の電力変換器は、
前記第1の場合には、交流ノードを前記交流電源に接続し、前記第2の場合には、前記交流ノードを前記負荷に接続する切換回路と、
前記第1の場合には、前記交流電源から前記交流ノードを介して供給される交流電力を直流電力に変換して前記直流ラインに供給し、前記第2の場合には、前記直流ラインから受ける直流電力を交流電力に変換し、前記交流ノードを介して前記負荷に供給する第5の電力変換器とを含む、請求項に記載の無停電電源装置。
【請求項3】
前記切換回路は、前記交流電源の停電時には、前記交流ノードを前記交流電源および前記負荷から電気的に切り離す、請求項に記載の無停電電源装置。
【請求項4】
前記第1、第2、および第5の電力変換器の回路構成は同一であり、
前記第1および第2の電力変換器の容量は同一であり、
前記第5の電力変換器の容量は前記第1および第2の電力変換器の各々の容量よりも小さい、請求項に記載の無停電電源装置。
【請求項5】
前記第1の場合における前記第5の電力変換器の出力と前記第1の電力変換器の出力との比は、前記第5の電力変換器の容量と前記第1の電力変換器の各々の容量との比になるように制御され、
前記第2の場合における前記第5の電力変換器の出力と前記第2の電力変換器の出力との比は、前記第5の電力変換器の容量と前記第2の電力変換器の各々の容量との比になるように制御される、請求項に記載の無停電電源装置。
【請求項6】
前記電力貯蔵装置はリチウムイオン電池である、請求項1に記載の無停電電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無停電電源装置に関し、特に、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する無停電電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許第7073590号公報(特許文献1)には、第1、第2、および第3の電力変換器を備える無停電電源装置が開示されている。第1の電力変換器は、交流電源の健全時には、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して直流ラインに供給する。交流電源の停電時には、第1の電力変換器の運転は停止される。第2の電力変換器は、直流ラインから受ける直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する。第3の電力変換器は、交流電源の健全時には、直流ラインから受ける直流電力を電力貯蔵装置に蓄え、交流電源の停電時には、電力貯蔵装置の直流電力を直流ラインに供給する。したがって、交流電源の停電が発生した場合でも、電力貯蔵装置に直流電力が蓄えられている期間は、負荷の運転を継続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第7073590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は電力貯蔵装置として主に鉛蓄電池が使用されてきたが、近年、電力貯蔵装置としてリチウムイオン電池が使用され始めている。リチウムイオン電池は、鉛蓄電池と比べ、単位体積当たりの容量が大きく、高速充電が可能であるという特徴を有する。このため、近年の無停電電源装置では、電力貯蔵装置の高速充電(大電力充電)が要求される場合がある。
【0005】
通常、無停電電源装置では、入力容量(第1の電力変換器の容量)と出力容量(第2の電力変換器の容量)とは同程度に設計されている。このため、負荷を運転しながら電力貯蔵装置の高速充電を行なうと、第1の電力変換器によって生成される直流電力が不足するという問題がある。
【0006】
この対策として、大容量の無停電電源装置を選定する方法が考えられるが、余分な容量が増大し、コスト高になる。また、外付けの充電器を使用してリチウムイオン電池を充電する方法が考えられるが、この方法でも、外付けの充電器の分だけコスト高になる。
【0007】
それゆえに、本開示の主たる目的は、負荷を運転しながら電力貯蔵装置の高速充電を行なうことが可能で低コストの無停電電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る無停電電源装置は、第1、第2、第3、および第4の電力変換器を備えたものである。第1の電力変換器は、交流電源の健全時に、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して直流ラインに供給する。交流電源の停電時には、第1の電力変換器の運転は停止される。第2の電力変換器は、直流ラインから受ける直流電力を交流電力に変換して負荷に供給する。第3の電力変換器は、交流電源の健全時には、直流ラインから受ける直流電力を電力貯蔵装置に蓄え、交流電源の停電時には、電力貯蔵装置の直流電力を直流ラインに供給する。第4の電力変換器は、電力貯蔵装置の高速充電を行なう第1の場合に、第1の電力変換器と連携して動作し、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して直流ラインに供給する。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る無停電電源装置では、電力貯蔵装置の高速充電を行なう場合に、第1の電力変換器と連携して動作し、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して直流ラインに供給する第4の電力変換器が設けられる。したがって、高速充電動作時には第1および第4の電力変換器によって直流電力を生成するので、直流電力が不足することを防止し、負荷を運転しながら電力貯蔵装置の高速充電を行なうことができる。また、大容量の無停電電源装置を使用したり、外付けの充電器を追加する場合に比べ、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施の形態に従う無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。
図2図1に示すコンバータ1およびインバータ3の構成を示す回路図である。
図3図1に示す双方向変換器に含まれるコンバータ4の構成を示す回路図である。
図4図1に示す制御装置の構成を示すブロック図である。
図5図4に示す制御回路の構成を示すブロック図である。
図6】起動時における無停電電源装置の動作を説明するための回路ブロック図である。
図7】高速充電動作時における無停電電源装置の動作を説明するための回路ブロック図である。
図8】通常運転動作時における無停電電源装置の動作を説明するための回路ブロック図である。
図9】過負荷運転動作時における無停電電源装置の動作を説明するための回路ブロック図である。
図10】商用交流電源の停電時における無停電電源装置の動作を説明するための回路ブロック図である。
図11】実施の形態の比較例を示す回路ブロック図である。
図12】実施の形態の他の比較例を示す回路ブロック図である。
図13】実施の形態のさらに他の比較例を示す回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本開示の一実施の形態に従う無停電電源装置の構成を示す回路ブロック図である。図1において、この無停電電源装置は、交流入力端子T1、バッテリ端子T2、および交流出力端子T3を備える。交流入力端子T1は、商用交流電源15から商用周波数の交流電力を受ける。
【0012】
バッテリ端子T2は、バッテリ16(電力貯蔵装置)に接続される。バッテリ16は、直流電力を蓄える。バッテリ16としては、リチウムイオン電池が使用される。ただし、リチウムイオン電池の代わりに鉛蓄電池を使用してもよいし、バッテリ16の代わりに電気二重層コンデンサや、フライホイールが接続されていても構わない。交流出力端子T3は、負荷17に接続される。負荷17は、無停電電源装置から供給される交流電力によって駆動される。
【0013】
なお、この無停電電源装置は、実際には商用交流電源15から三相交流電圧を受け、負荷17に三相交流電圧を供給するが、図面および説明の簡単化を図るため、図1では一相交流電圧に関連する部分のみが示されている。
【0014】
この無停電電源装置は、さらに、スイッチS1~S5、コンデンサC1~C4、リアクトルL1~L4、電流検出器CD1~CD4、コンバータ1,4、直流ラインDL、双方向チョッパ2、インバータ3、操作部5、および制御装置6を備える。
【0015】
スイッチS1およびリアクトルL1は、交流入力端子T1とコンバータ1の交流ノード1aとの間に直列接続される。スイッチS1は、制御装置6によって制御される。商用交流電源15から交流電力が正常に供給されている場合(商用交流電源15の健全時)には、スイッチS1はオンされる。商用交流電源15からの交流電力が正常に供給されなくなった場合(商用交流電源15の停電時)には、スイッチS1はオフされる。電流検出器CD1は、商用交流電源15とコンバータ1の間に流れる電流Iiを検出し、その検出値を示す信号Iifを制御装置6に出力する。
【0016】
交流入力端子T1に現れる交流入力電圧VIの瞬時値は、制御装置6によって検出される。制御装置6は、交流入力電圧VIの検出値に基づいて、停電が発生したか否かを判別する。また、制御装置6は、交流入力電圧VIに同期してコンバータ1などを制御する。
【0017】
コンデンサC1は、スイッチS1とリアクトルL1の間のノードN1と、中性点NPとの間に接続される。コンデンサC1およびリアクトルL1は、交流フィルタを構成する。この交流フィルタは、低域通過フィルタであり、商用交流電源15からコンバータ1に商用周波数の交流電力を通過させ、コンバータ1で発生するスイッチング周波数の信号が商用交流電源15に通過することを防止する。
【0018】
コンバータ1は、複数のトランジスタおよび複数のダイオードを含む周知のものであり、制御装置6によって制御される。商用交流電源15の健全時には、コンバータ1は、交流電力を直流電力に変換して直流ノード1dに出力する。直流ノード1dは、直流ラインDLに接続されている。コンバータ1の出力電圧は、所望の値に制御可能になっている。商用交流電源15の停電時には、コンバータ1の運転は停止される。
【0019】
コンデンサC1、リアクトルL1、およびコンバータ1は、交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器11(第1の電力変換器)を構成する。コンデンサC2は、直流ラインDLに接続され、直流ラインDLの電圧を平滑化させる。直流ラインDLに現れる直流電圧VDの瞬時値は、制御装置6によって検出される。
【0020】
制御装置6は、商用交流電源15の健全時には、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるようにコンバータ1を制御し、商用交流電源15の停電時には、コンバータ1の運転を停止させる。
【0021】
直流ラインDLは双方向チョッパ2の高電圧側ノード2aに接続され、双方向チョッパ2の低電圧側ノード2bはリアクトルL2およびスイッチS2を介してバッテリ端子T2に接続される。スイッチS2は、無停電電源装置の使用時にオンされ、たとえば無停電電源装置およびバッテリ16のメンテナンス時にオフされる。リアクトルL2は、双方向チョッパ2とバッテリ16の間に流れる電流Ibを平滑化する。
【0022】
双方向チョッパ2は、複数のトランジスタおよび複数のダイオードを含む周知のものであり、制御装置6によって制御される。双方向チョッパ2の容量は、コンバータ1の容量と同一の値に設定されている。
【0023】
基本的には、双方向チョッパ2は、商用交流電源15の健全時には、直流ラインDLから受ける直流電力をバッテリ16に蓄え、商用交流電源15の停電時には、バッテリ16の直流電力を直流ラインDLに供給する。ただし、商用交流電源15の健全時であっても過負荷運転動作時には、双方向チョッパ2は、バッテリ16の直流電力を直流ラインDLを介してインバータ3に供給する。
【0024】
双方向チョッパ2は、直流電力をバッテリ16に蓄える場合には、直流ラインDLの直流電圧VDを降圧してバッテリ16に与える。また、双方向チョッパ2は、バッテリ16の直流電力をインバータ3に供給する場合は、バッテリ16の端子間電圧VBを昇圧して直流ラインDLに出力する。
【0025】
双方向チョッパ2およびリアクトルL2は、直流ラインDLとバッテリ16の間で直流電力を授受するDC/DCコンバータ12(第3の電力変換器)を構成する。
【0026】
電流検出器CD2は、双方向チョッパ2とバッテリ16の間に流れる電流Ibを検出し、その検出値を示す信号Ibfを制御装置6に出力する。バッテリ端子T2に現れるバッテリ16の端子間電圧VBの瞬時値は、制御装置6によって検出される。
【0027】
基本的には、制御装置6は、商用交流電源15の健全時には、バッテリ電圧VBが参照電圧VBRになるように双方向チョッパ2を制御し、商用交流電源15の停電時には、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるように双方向チョッパ2を制御する。
【0028】
ただし、商用交流電源15の健全時であっても過負荷運転動作時には、制御装置6は、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるように双方向チョッパ2を制御する。
【0029】
また、制御装置6は、バッテリ電圧VBが下限電圧VBL以上である場合(VB≧VBL)には、双方向チョッパ2を制御してバッテリ16を通常の速度で充電させ、バッテリ電圧VBが下限電圧VBLよりも低い場合(VB<VBL)には、双方向チョッパ2を制御してバッテリ16を通常よりも高速で充電させる。直流ラインDLは、インバータ3の直流ノード3aに接続されている。
【0030】
インバータ3は、複数のトランジスタおよび複数のダイオードを含む周知のものであり、制御装置6によって制御される。インバータ3の回路構成とコンバータ1の回路構成とは同一であり、インバータ3の容量(すなわちサイズ)とコンバータ1の容量(すなわちサイズ)とは同一である。インバータ3は、直流ラインDLから直流ノード3aを介して受ける直流電力を商用周波数の交流電力に変換して交流ノード3bに出力する。インバータ3の出力電圧は所望の値に制御可能になっている。
【0031】
インバータ3の交流ノード3bはリアクトルL3を介してスイッチS3の一方端子(ノードN2)に接続され、スイッチS3の他方端子は交流出力端子T3に接続される。コンデンサC3は、ノードN2と中性点NPとの間に接続される。
【0032】
リアクトルL3およびコンデンサC3は、交流フィルタを構成する。この交流フィルタは、低域通過フィルタであり、インバータ3で生成される商用周波数の交流電力を交流出力端子T3に通過させ、インバータ3で発生するスイッチング周波数の信号が交流出力端子T3に通過することを防止する。
【0033】
インバータ3、リアクトルL3、およびコンデンサC3は、直流電力を交流電力に変換するDC/AC変換器13(第2の電力変換器)を構成する。DC/AC変換器13の回路構成とAC/DC変換器11の回路構成とは同一であり、DC/AC変換器13の容量(すなわちサイズ)とAC/DC変換器11の容量(すなわちサイズ)とは同一である。
【0034】
スイッチS3は、制御装置6によって制御され、無停電電源装置の運転時などにオンされ、無停電電源装置の運転停止時などにオフされる。交流出力端子T3に現れる交流出力電圧VOの瞬時値は、制御装置6によって検出される。
【0035】
電流検出器CD3は、インバータ3と負荷17の間に流れる電流Ioを検出し、その検出値を示す信号Iofを制御装置6に与える。制御装置6は、交流出力電圧VOが正弦波状の参照電圧VORになるようにインバータ3を制御する。
【0036】
スイッチS4は、交流入力端子T1と交流ノードN3との間に接続され、制御装置6によって制御される。スイッチS4は、負荷17を運転しながらバッテリ16を高速充電する高速充電動作時にオンされ、それ以外の期間はオフされる。
【0037】
スイッチS5は、交流ノードN3と交流出力端子T3との間に接続され、制御装置6によって制御される。スイッチS5は、通常運転動作時および過負荷運転動作時にオンされる。通常運転動作時には、負荷17の定格電力Pcが負荷17に供給される、過負荷運転動作時には、定格電力Pcよりも大きな電力が負荷17に供給される。商用交流電源15の停電時には、スイッチS4,S5はともにオフされる。スイッチS4,S5は、交流ノードN3を商用交流電源15または負荷17に接続する切換回路の一実施例を構成する。
【0038】
また、直流ラインDLは、コンバータ4の直流ノード4aにも接続されている。コンバータ4は、複数のトランジスタおよび複数のダイオードを含む周知のものであり、制御装置6によって制御される。
【0039】
コンバータ4の回路構成とコンバータ1およびインバータ3の各々の回路構成とは同一であり、コンバータ4の容量(すなわちサイズ)はコンバータ1およびインバータ3の各々の容量(すなわちサイズ)よりも小さい。たとえば、コンバータ1およびインバータ3の各々の容量を100%とすると、コンバータ4の容量は50%である。
【0040】
コンバータ4の交流ノード4bはリアクトルL4を介して交流ノードN3に接続される。コンデンサC4は、交流ノードN3と中性点NPの間に接続される。リアクトルL4およびコンデンサC4は、交流フィルタを構成する。この交流フィルタは、低域通過フィルタであり、商用交流電源15またはコンバータ4から供給される商用周波数の交流電力を通過させ、コンバータ4で発生するスイッチング周波数の信号が交流ノードN3に通過することを防止する。
【0041】
コンバータ4、リアクトルL4、およびコンデンサC4は、商用交流電源15から交流ノードN3を介して供給される交流電力を直流電力に変換して直流ラインDLに供給するAC/DC変換モードと、直流ラインDLから受ける直流電力を交流電力に変換し、交流ノードN3を介して負荷17に供給するDC/AC変換モードとのうちのいずれかの変換モードを選択的に実行する双方向変換器14(第5の電力変換器)を構成する。
【0042】
双方向変換器14の回路構成とAC/DC変換器11およびDC/AC変換器13の各々の回路構成とは同一であり、双方向変換器14の容量(すなわちサイズ)はAC/DC変換器11およびDC/AC変換器13の各々の容量(すなわちサイズ)よりも小さい。たとえば、AC/DC変換器11およびDC/AC変換器13の各々の容量を100%とすると、双方向変換器14の容量は50%である。スイッチS4,S5および双方向変換器14は、第4の電力変換器の一実施例を構成する。
【0043】
交流ノードN3に現れる交流電圧VSの瞬時値は、制御装置6によって検出される。電流検出器CD4は、リアクトルL4に流れる電流Isを検出し、その検出値を示す信号Isfを制御装置6に与える。
【0044】
制御装置6は、高速充電動作時には、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるようにコンバータ1,4を制御する。このとき、コンバータ4の出力とコンバータ1の出力との比は、コンバータ4の容量とコンバータ1の容量との比(たとえば1/2)になるように制御される。
【0045】
また、制御装置6は、過負荷運転動作時には、交流ノードN3に現れる交流電圧VSが正弦波状の参照電圧VORになるようにコンバータ4を制御する。このとき、コンバータ4の出力とインバータ3の出力との比は、コンバータ4の容量とインバータ3の容量との比(たとえば1/2)になるように制御される。
【0046】
操作部5は、無停電電源装置の使用者によって操作される複数のボタン、種々の情報を表示する画像表示部などを含む。使用者が操作部5を操作することにより、種々の電圧VDR,VBR,VOR,VBLを設定したり、無停電電源装置の電源をオンおよびオフしたり、無停電電源装置を自動運転させたり、手動運転させることが可能となっている。
【0047】
また、制御装置6は、交流入力電圧VI、交流入力電流Ii、直流電圧VD、バッテリ電圧VB、バッテリ電流Ib、交流出力電圧VO、交流出力電流Io、交流電圧VS、交流電流Is、参照電圧VDR,VBR,VOR、下限電圧VBL、操作部5からの信号などに基づいて無停電電源装置全体を制御する。
【0048】
図2は、コンバータ1およびインバータ3の構成を示す回路図である。図1では、三相交流電圧のうちの一相交流電圧に関連する部分のみを示したが、図2では、三相交流電圧に関連する部分が示されている。また、図1では、正側の直流ラインDLのみを示したが、図2では、負側の直流ラインDLnも示されている。
【0049】
図2において、コンバータ1は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)Q1~Q6およびダイオードD1~D6を含む。IGBTは、スイッチング素子を構成する。IGBTQ1~Q3のコレクタはともに直流ノード1bを介して正側の直流ラインDLに接続され、それらのエミッタはそれぞれ交流ノード1a,1c,1dに接続される。
【0050】
交流ノード1a,1c,1dは、商用交流電源15から供給される三相交流電圧にそれぞれ対応して設けられている。IGBTQ4~Q6のコレクタはそれぞれ交流ノード1a,1c,1dに接続され、それらのエミッタはともに負側の直流ラインDLnに接続される。ダイオードD1~D6は、それぞれIGBTQ1~Q6に逆並列に接続される。コンデンサC2は、直流ラインDL,DLn間に接続されている。
【0051】
IGBTQ1,Q4はそれぞれゲート信号A1,B1によって制御され、IGBTQ2,Q5はそれぞれゲート信号A2,B2によって制御され、IGBTQ3,Q6はそれぞれゲート信号A3,B3によって制御される。ゲート信号B1,B2,B3は、それぞれゲート信号A1,A2,A3の反転信号である。
【0052】
IGBTQ1~Q3は、それぞれゲート信号A1,A2,A3が「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号A1,A2,A3が「L」レベルにされた場合にオフする。IGBTQ4~Q6は、それぞれゲート信号B1,B2,B3が「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号B1,B2,B3が「L」レベルにされた場合にオフする。
【0053】
ゲート信号A1,B1,A2,B2,A3,B3の各々は、パルス信号列であり、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。ゲート信号A1,B1の位相とゲート信号A2,B2の位相とゲート信号A3,B3の位相とは、基本的には120度ずつずれている。ゲート信号A1,B1,A2,B2,A3,B3は、制御装置6によって生成される。
【0054】
ゲート信号A1,B1,A2,B2,A3,B3によってIGBTQ1~Q6の各々を所定のタイミングでオンおよびオフさせるとともに、IGBTQ1~Q6の各々のオン時間を調整することにより、交流ノード1a,1c,1dに与えられる三相交流電圧を所望の直流電圧VD(コンデンサC2の端子間電圧)に変換することが可能となっている。
【0055】
インバータ3は、IGBTQ11~Q16およびダイオードD11~D16を含む。IGBTは、スイッチング素子を構成する。IGBTQ11~Q13のコレクタはともに直流ノード3aを介して正側の直流ラインDLに接続され、それらのエミッタはそれぞれ交流ノード3b,3c,3dに接続される。
【0056】
交流ノード3b,3c,3dは、負荷17に供給される三相交流電圧にそれぞれ対応して設けられている。IGBTQ14~Q16のコレクタはそれぞれ交流ノード3b,3c,3dに接続され、それらのエミッタはともに負側の直流ラインDLnに接続される。ダイオードD11~D16は、それぞれIGBTQ11~Q16に逆並列に接続される。
【0057】
IGBTQ11,Q14はそれぞれゲート信号X1,Y1によって制御され、IGBTQ12,Q15はそれぞれゲート信号X2,Y2によって制御され、IGBTQ13,Q16はそれぞれゲート信号X3,Y3によって制御される。ゲート信号Y1,Y2,Y3は、それぞれゲート信号X1,X2,X3の反転信号である。
【0058】
IGBTQ11~Q13は、それぞれゲート信号X1,X2,X3が「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号X1,X2,X3が「L」レベルにされた場合にオフする。IGBTQ14~Q16は、それぞれゲート信号Y1,Y2,Y3が「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号Y1,Y2,Y3が「L」レベルにされた場合にオフする。
【0059】
ゲート信号X1,Y1,X2,Y2,X3,Y3の各々は、パルス信号列であり、PWM信号である。ゲート信号X1,Y1の位相とゲート信号X2,Y2の位相とゲート信号X3,Y3の位相とは、基本的には120度ずつずれている。ゲート信号X1,Y1,X2,Y2,X3,Y3は、制御装置6によって生成される。
【0060】
たとえば、IGBTQ11,Q15がオンすると、直流ラインDLがIGBTQ11を介して交流ノード3bに接続されるとともに、交流ノード3cがIGBTQ15を介して直流ラインDLnに接続され、交流ノード3b,3c間に正電圧が出力される。
【0061】
また、IGBTQ12,Q14がオンすると、直流ラインDLがIGBTQ12を介して交流ノード3cに接続されるとともに、交流ノード3bがIGBTQ14を介して直流ラインDLnに接続され、出力ノード3b,3c間に負電圧が出力される。
【0062】
ゲート信号X1,Y1,X2,Y2,X3,Y3によってIGBTQ11~Q16の各々を所定のタイミングでオンおよびオフさせるとともに、IGBTQ11~Q16の各々のオン時間を調整することにより、直流ラインDL,DLn間の直流電圧VDを三相交流電圧に変換することが可能となっている。
【0063】
図3は、双方向変換器14に含まれるコンバータ4の構成を示す回路図である。図1では、三相交流電圧のうちの一相交流電圧に関連する部分のみを示したが、図3では、三相交流電圧に関連する部分が示されている。また、図1では、正側の直流ラインDLのみを示したが、図3では、負側の直流ラインDLnも示されている。
【0064】
図3において、コンバータ4は、IGBTQ21~Q26およびダイオードD21~D26を含む。IGBTは、スイッチング素子を構成する。IGBTQ21~Q23のコレクタはともに直流ノード4aを介して正側の直流ラインDLに接続され、それらのエミッタはそれぞれ交流ノード4b,4c,4dに接続される。
【0065】
交流ノード4b,4c,4dは、それぞれ三相交流電圧に対応して設けられている。IGBTQ24~Q26のコレクタはそれぞれ交流ノード4b,4c,4dに接続され、それらのエミッタはともに負側の直流ラインDLnに接続される。ダイオードD21~D26は、それぞれIGBTQ21~Q26に逆並列に接続される。コンデンサC2は、直流ラインDL,DLn間に接続されている。
【0066】
IGBTQ21,Q24はそれぞれゲート信号E1,F1によって制御され、IGBTQ22,Q25はそれぞれゲート信号E2,F2によって制御され、IGBTQ23,Q26はそれぞれゲート信号E3,F3によって制御される。ゲート信号F1,F2,F3は、それぞれゲート信号E1,E2,E3の反転信号である。
【0067】
IGBTQ21~Q23は、それぞれゲート信号E1,E2,E3が「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号E1,E2,E3が「L」レベルにされた場合にオフする。IGBTQ24~Q26は、それぞれゲート信号F1,F2,F3が「H」レベルにされた場合にオンし、それぞれゲート信号F1,F2,F3が「L」レベルにされた場合にオフする。
【0068】
ゲート信号E1,F1,E2,F2,E3,F3の各々は、パルス信号列であり、PWM信号である。ゲート信号E1,F1の位相とゲート信号E2,F2の位相とゲート信号E3,F3の位相とは、基本的には120度ずつずれている。ゲート信号E1,F1,E2,F2,E3,F3は、制御装置6によって生成される。
【0069】
高速充電動作時には、ゲート信号E1,F1,E2,F2,E3,F3によってIGBTQ21~Q26の各々を所定のタイミングでオンおよびオフさせるとともに、IGBTQ21~Q26の各々のオン時間を調整することにより、商用交流電源15から交流ノード4b,4c,4dに与えられる三相交流電圧を所望の直流電圧VD(コンデンサC2の端子間電圧)に変換することが可能となっている。
【0070】
また、過負荷運転動作時には、ゲート信号E1,F1,E2,F2,E3,F3によってIGBTQ21~Q26の各々を所定のタイミングでオンおよびオフさせるとともに、IGBTQ21~Q26の各々のオン時間を調整することにより、直流ラインDL,DLn間の直流電圧VDを三相交流電圧に変換することが可能となっている。
【0071】
図2および図3に示すように、コンバータ1の回路構成とインバータ3の回路構成とコンバータ4の回路構成とは同一である。また、従来の無停電電源装置と同様に、コンバータ1の容量(すなわちサイズ)とインバータ3の容量(すなわちサイズ)とは同一に設計されている。
【0072】
また、コンバータ4の容量(すなわちサイズ)は、コンバータ1およびインバータ3の各々の容量(すなわちサイズ)よりも小さい。たとえば、コンバータ1およびインバータ3の各々の容量(すなわちサイズ)を100%とすると、コンバータ4の容量(すなわちサイズ)は50%である。
【0073】
このように、コンバータ1,4の回路構成を同一とし、コンバータ4の容量をコンバータ1の容量の50%とすることにより、高速充電動作時に、コンバータ1,4を連携して動作させ、コンバータ4の出力がコンバータ1の出力の50%になるように、コンバータ1,4を容易に制御することが可能となる。
【0074】
また、コンバータ4とインバータ3の回路構成を同一とし、コンバータ4の容量をインバータ3の容量の50%とすることにより、過負荷運転動作時に、コンバータ4とインバータ3を連携して動作させ、コンバータ4の出力がインバータ3の出力の50%になるように、コンバータ4およびインバータ3を容易に制御することが可能となる。
【0075】
図4は、制御装置6の要部を示すブロック図である。図4において、制御装置6は、電圧検出器21~25、停電検出器26、比較器27,28、および制御回路29を含む。
【0076】
電圧検出器21は、商用交流電源15から供給される交流入力電圧VIの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号VIfを停電検出器26および制御回路29に出力する。電圧検出器22は、負荷17に供給される交流出力電圧VOの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号VOfを制御回路29に出力する。電圧検出器23は、交流ノードN3に現れる交流電圧VSの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号VSfを制御回路29に出力する。
【0077】
電圧検出器24は、直流ラインDLの直流電圧VDの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号VDfを制御回路29に出力する。電圧検出器25は、バッテリ16の端子間電圧VBの瞬時値を検出し、その検出値を示す信号VBfを制御回路29に出力する。電流検出器CD1~CD4(図1)の出力信号Iif,Ibf,Iof,Isfは、制御回路29に与えられる。
【0078】
停電検出器26は、電圧検出器21の出力信号VIfに基づいて商用交流電源15の停電が発生しているか否かを検出し、その検出結果を示す信号φ26を制御回路29に出力する。商用交流電源15が健全である場合には、信号φ26は「H」レベルにされる。商用交流電源15の停電が発生している場合には、信号φ26は「L」レベルにされる。
【0079】
たとえば、停電検出器26は、交流入力電圧VIが下限値よりも高い場合には、商用交流電源15は健全であると判定し、信号φ26を「H」レベルにする。また、停電検出器26は、交流入力電圧VIが下限値よりも低い場合には、商用交流電源15の停電が発生したと判定し、信号φ26を「L」レベルにする。
【0080】
比較器27は、信号VBfによって示されるバッテリ電圧VBと下限電圧VBLとの高低を比較し、比較結果を示す信号φ27を制御回路29に与える。バッテリ電圧VBが下限電圧VBL以上である場合(VB≧VBL)には、信号φ27は「H」レベルにされる。
【0081】
直流電圧VBが下限電圧VBLよりも低い場合(VBL>VB)には、信号φ27は「L」レベルにされる。信号φ27が「L」レベルであることは、バッテリ16の高速充電動作を行なう条件とされる。信号φ27が「H」レベルである場合には、バッテリ16の高速充電動作は行なわれない。
【0082】
比較器28は、信号Isfによって示されるコンバータ4の交流出力電流Isと上限電流IsHとの大小を比較し、比較結果を示す信号φ28を制御回路29に与える。コンバータ4の交流出力電流Isが上限電流IsH以下である場合(Is≦IsH)には、信号φ28は「L」レベルにされる。
【0083】
コンバータ4の交流出力電流Isが上限電流IsHを超えた場合(Is>IsH)には、信号φ28は「H」レベルにされる。信号φ28が「H」レベルであることは、過負荷運転動作を行なう条件とされる。信号φ28が「L」レベルである場合には、過負荷運転動作は行なわれない。
【0084】
たとえば、コンバータ4の容量とインバータ3の容量との比が1/2であり、コンバータ4の交流出力電流Isはインバータ3の交流出力電流Ioの1/2に制御される場合には、上限電流IsHは、負荷17の定格電流Icの1/3倍の値に設定される。
【0085】
コンバータ4の交流出力電流Isが上限電流IsH=Ic/3になったとき、インバータ3の交流出力電流Iofは負荷17の定格電流Icの2/3倍になり、コンバータ4およびインバータ3から負荷17に定格電流Icが供給される。この場合は、信号φ28は「L」レベルになり、過負荷運転は行なわれない。
【0086】
コンバータ4の交流出力電流Isが上限電流IsH=Ic/3を超えたとき、インバータ3の交流出力電流Iofは負荷17の定格電流Icの2/3倍よりも大きくなり、コンバータ4およびインバータ3から負荷17に定格電流Icよりも大きな電流が供給される。この場合は、信号φ28は「H」レベルになり、過負荷運転が行なわれる。
【0087】
図5は、制御回路29の要部を示すブロック図である。図5において、制御回路29は、制御部31~35および通信回線36を含む。制御部31~35および操作部5は、通信回線36によって互いに接続されている。制御部31~35は、通信回線36を介して種々の信号を授受し、互いに連携して無停電電源装置全体を制御する。
【0088】
制御部31は、停電検出器26の出力信号φ26と、操作部5からの信号とに基づいて、スイッチS1~S3を制御する。信号φ26が「H」レベルである場合(商用交流電源15の健全時)には、制御部31は、スイッチS1~S3をオンさせる。
【0089】
信号φ26が「L」レベルである場合(商用交流電源15の停電時)には、制御部31は、スイッチS1をオフさせるとともに、スイッチS2,S3をオン状態に維持する。また、制御部31は、操作部5からの信号に従って、手動運転動作時にスイッチS1~S3の各々を個別にオンおよびオフさせる。
【0090】
制御部32は、電圧検出器21,24の出力信号VIf,VDfと、電流検出器CD1,CD4の出力信号Iif,Isfと、停電検出器26および比較器27の出力信号φ26,φ27と、操作部5からの信号とに基づき、ゲート信号A1~A3,B1~B3(図2)を生成してコンバータ1を制御する。
【0091】
信号φ26,φ27がともに「H」レベルである場合(通常運転動作時および過負荷運転動作時)には、制御部32は、信号VIf,VDf,Iifに基づいて、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるようにコンバータ1を制御する。
【0092】
信号φ26が「L」レベルである場合(商用交流電源15の停電時)には、制御部32は、コンバータ1の運転を停止させる。このとき、ゲート信号A1~A3,B1~B3がともに「L」レベルにされて、コンバータ1のIGBTQ1~Q6(図2)がともにオフされる。
【0093】
信号φ26,φ27がそれぞれ「H」レベルおよび「L」レベルである場合(高速充電動作時)には、制御部32は、制御部35と連携して動作し、信号VIf,VDf,Iif,Isfに基づいて、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるようにコンバータ1を制御する。
【0094】
このとき、コンバータ4に流れる電流Isとコンバータ1に流れる電流Iiとの比(Is/Ii)は、コンバータ4の容量とコンバータ1の容量との比(たとえば1/2)になるように、コンバータ1が制御される。また、制御部32は、操作部5からの信号に従って、手動運転動作時にはコンバータ1を起動または停止させる。
【0095】
制御部33は、電圧検出器24,25の出力信号VDf,VBfと、電流検出器CD2の出力信号Ibfと、停電検出器26および比較器27,28の出力信号φ26,φ27,φ28と、操作部5からの信号とに基づいて、双方向チョッパ2を制御する。
【0096】
信号φ26,φ27,φ28がそれぞれ「H」レベル、「H」レベル、および「L」レベルである場合(通常運転動作時)には、制御部33は、信号VBf,Ibfに基づいて、バッテリ電圧VBが参照電圧VBRになるように双方向チョッパ2を制御する。
【0097】
信号φ26,φ27,φ28がそれぞれ「H」レベル、「L」レベル、および「L」レベルである場合(高速充電動作時)には、制御部33は、信号VBf,Ibfに基づいて、バッテリ電圧VBが参照電圧VBRになるように双方向チョッパ2を制御する。
【0098】
ここで、制御部33は、通常運転動作時には、双方向チョッパ2を制御してバッテリ16を通常の速度で充電させ、高速充電動作時には、双方向チョッパ2を制御してバッテリ16を通常よりも高速で充電させる。
【0099】
たとえば、制御部33は、通常運転動作時には、参照電圧VBRとバッテリ電圧VBの差ΔVB=VBR-VBにゲインK1を乗じた値の電流Ib=K1×(VBR-VB)が直流ラインDLからバッテリ16に流れるように、双方向チョッパ2を制御する。ただし、K1は、正の実数である。
【0100】
また、制御部33は、高速充電動作時には、参照電圧VBRとバッテリ電圧VBの差ΔVB=VBR-VBにゲインK2を乗じた値の電流Ib=K2×(VBR-VB)が直流ラインDLからバッテリ16に流れるように、双方向チョッパ2を制御する。ただし、K2は、K1よりも大きな正の実数である。
【0101】
したがって、高速充電動作時には、通常運転動作時に比べ、バッテリ16に大きな充電電流を流してバッテリ16を高速で充電することができる。
【0102】
信号φ26,φ27,φ28がともに「H」レベルである場合(過負荷運転動作時)には、制御部33は、信号VDf,Ibfに基づいて、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるように双方向チョッパ2を制御する。
【0103】
信号φ26が「L」レベルである場合(商用交流電源15の停電時)には、制御部33は、信号VBf,Ibfに基づいて、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるように双方向チョッパ2を制御する。また、制御部33は、操作部5からの信号に従って、手動運転動作時に双方向チョッパ2を起動または停止させる。
【0104】
制御部34は、電圧検出器21,22の出力信号VIf,VOfと、電流検出器CD3の出力信号Iofと、停電検出器26の出力信号φ26と、操作部5からの信号とに基づき、ゲート信号X1~X3,Y1~Y3(図2)を生成してインバータ3を制御する。
【0105】
信号φ26が「H」レベルである場合(商用交流電源15の健全時)には、制御部34は、制御部35と連携して動作し、信号VIfに同期して動作し、信号VOf,Iofに基づいて、交流出力電圧VOが正弦波状の参照電圧VORになるようにインバータ3を制御する。
【0106】
このとき、コンバータ4に流れる電流Isとインバータ3に流れる電流Ioとの比(Is/Io)は、コンバータ4の容量とインバータ3の容量との比(たとえば1/2)になるように、インバータ3が制御される。
【0107】
信号φ26が「L」レベルである場合(商用交流電源15の停電時)には、制御部34は、信号VIfに同期して動作し、信号VOf,Iofに基づいて、交流出力電圧VOが正弦波状の参照電圧VORになるようにインバータ3を制御する。
【0108】
制御部35は、電圧検出器21~24の出力信号VIf,VOf,VSf,VDfと、電流検出器CD1,CD3,CD4の出力信号Iif,Iof,Isfと、停電検出器26および比較器27,28の出力信号φ26,φ27,φ28と、操作部5からの信号とに基づき、スイッチS4,S5を制御するとともに、ゲート信号E1~E3,F1~F3(図3)を生成しておよびコンバータ4を制御する。
【0109】
信号φ26,φ27,φ28がそれぞれ「H」レベル、「L」レベル、および「L」レベルである場合(高速充電動作時)には、制御部35は、スイッチS4をオンさせるとともにスイッチS5をオフさせ、双方向変換器14をAC/DC変換器11に並列接続させる。また、制御部35は、制御部22と連携して動作し、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるようにコンバータ4を制御する。
【0110】
このとき、コンバータ4に流れる電流Isとコンバータ1に流れる電流Iiとの比(Is/Ii)は、コンバータ4の容量とコンバータ1の容量との比(たとえば1/2)になるように、コンバータ4が制御される。
【0111】
信号φ26,φ27がともに「H」レベルである場合(通常運転動作時および過負荷運転動作時)には、信号φ28の論理レベルに関係なく、制御部35は、スイッチS4,S5をオフさせ、コンバータ4を制御して交流電圧VSを交流出力電圧VOに一致させてからスイッチS5をオンさせ、双方向変換器14をDC/AC変換器13に並列接続させる。また、制御部35は、制御部24と連携して動作し、交流電圧VSが正弦波状の参照電圧VORになるようにコンバータ4を制御する。
【0112】
このとき、コンバータ4に流れる電流Isとインバータ3に流れる電流Ioとの比(Is/Io)は、コンバータ4の容量とインバータ3の容量との比(たとえば1/2)になるように、コンバータ4が制御される。
【0113】
信号φ26が「L」レベルである場合(商用交流電源15の停電時)には、制御部35は、スイッチS4,S5をオフさせ、交流ノードN3を商用交流電源15および負荷17から電気的に切り離す。
【0114】
また、制御部35は、操作部5からの信号に従って、スイッチS4,S5の各々をオンおよびオフさせ、コンバータ4を運転または停止させる。たとえば、無停電電源装置の使用者は、操作部5を操作することにより、高速充電動作および過負荷運転動作のうちのいずれか一方のみを行なわせることが可能である。
【0115】
高速充電を行なうが過負荷運転を行なわない場合には、スイッチS5はオフ状態に固定され、コンバータ4はAC/DC変換動作のみを行なう。逆に、過負荷運転を行なうが高速充電を行なわない場合には、スイッチS4はオフ状態に固定され、コンバータ4はDC/AC変換動作のみを行なう。
【0116】
また、無停電電源装置の使用者は、操作部5を操作することにより、コンバータ4の運転を停止させ、スイッチS3をオフさせるとともにスイッチS4,S5をオンさせ、商用交流電源15からの交流電力をスイッチS4,S5を介して負荷17に供給させることが可能である。
【0117】
次に、この無停電電源装置の動作について説明する。図6は、起動時における無停電電源装置の動作を説明するための回路ブロック図である。図6において、図面および説明の簡単化のため、端子T1~T3、コンデンサC1,C3,C4、リアクトルL1~L4、電流検出器CD1~CD4、操作部5、および制御装置6(図1)の図示は省略されている。
【0118】
また、コンバータ1の容量と双方向チョッパ2の容量とインバータ3の容量とは同一値に設定されており、コンバータ4の容量とコンバータ1、双方向チョッパ2、およびインバータ3の各々の容量との比は1/2に設定されているものとする。このため、コンバータ1、双方向チョッパ2、およびインバータ3は同じ大きさのブロックで示され、コンバータ4はそれらのブロックよりも小さなブロックで示されている。
【0119】
また、起動の前には、バッテリ16の端子間電圧VBが下限電圧VBLよりも低下し、比較器27(図4)の出力信号φ27が「L」レベルにされているものとする。また、起動時には、商用交流電源15は健全であり、停電検出器26の出力信号φ26は「H」レベルにされているものとする。
【0120】
操作部5(図1図5)を使用して無停電電源装置の起動が指示されると、予備充電回路(図示せず)によってコンデンサC2が所定電圧に予備充電された後、制御部31(図5)によってスイッチS1がオンされ、制御部32(図5)によってコンバータ1の運転が開始される。コンバータ1は、商用交流電源15からスイッチS1を介して供給される交流電力を直流電力に変換して直流ラインDLに供給する。
【0121】
次に、制御部35(図5)によってスイッチS4がオンされるとともにコンバータ4の運転が開始される。このとき、商用交流電源15からコンバータ1,4に突入電流が流れることを防止するため、スイッチS1がオンされてから所定時間の経過後にスイッチS4がオンされる。コンバータ4は、コンバータ1と連携して動作し、商用交流電源15からスイッチS4を介して供給される交流電力を直流電力に変換して直流ラインDLに供給する。
【0122】
次いで、制御部34(図5)によってインバータ3の運転が開始され、制御部31によってスイッチS3がオンされる。インバータ3は、直流ラインDLから受ける直流電力を交流電力に変換し、スイッチS3を介して負荷17に供給する。
【0123】
次に、制御部31によってスイッチS2がオンされ、制御部33(図5)によって双方向チョッパ2の運転が開始される。これにより、直流ラインDLから双方向チョッパ2およびスイッチS2を介してバッテリ16に電流が流され、バッテリ16の高速充電が開始される。
【0124】
図7は、高速充電動作時おける無停電電源装置の動作を説明するための回路ブロック図である。図7において、矢印は電力が供給される経路を示している。商用交流電源15から供給される交流電力は、コンバータ1,4によって直流電力に変換されて直流ラインDLに供給される。直流ラインDLに供給された直流電力は、双方向チョッパ2を介してバッテリ16に蓄えられるとともに、インバータ3によって交流電力に変換されて負荷17に供給される。
【0125】
高速充電動作時には、制御部32,35は、互いに連携して動作し、コンバータ4に流れる電流Isとコンバータ1に流れる電流Iiとの比(Is/Ii)が、コンバータ4の容量とコンバータ1の容量との比(ここでは1/2)になるように、コンバータ1,4を制御する。
【0126】
このため、負荷17の定格電力Pcを100%とすると、図7に示すように、コンバータ1,4によって150%の直流電力を生成し、インバータ3によって100%の交流電力を負荷17に供給しながら、50%の直流電力をバッテリ16に供給することが可能となる。
【0127】
バッテリ電圧VBが上昇して下限電圧VBLを超えると、比較器27(図4)の出力信号φ27が「H」レベルにされる。信号φ27が「H」レベルにされると、制御部35によってコンバータ4の運転が一旦、停止され、スイッチS4がオフされる。
【0128】
次に、制御部35によってコンバータ4の運転が開始され、交流ノードN3の交流電圧VSが交流出力電圧VOに一致するようにコンバータ4が制御される。交流電圧VSが交流出力電圧VOに一致すると、制御部35によってスイッチS5がオンされ、制御部32,35によってインバータ3およびコンバータ4が並列運転される。
【0129】
このときコンバータ4は、インバータ3と連携して動作し、直流ラインDLから受ける直流電力を交流電力に変換し、スイッチS5を介して負荷17に供給する。制御部34,35は、互いに連携して動作し、コンバータ4の出力電流Isとインバータ3の出力電流Ioとの比(Is/Io)が、コンバータ4の容量とインバータ3の容量との比(ここでは1/2)になるように、インバータ3およびコンバータ4を制御する。
【0130】
負荷17を定格電力Pcで運転する通常運転動作時には、制御部33により、バッテリ電圧VBが参照電圧VBRになるように双方向チョッパ2が制御される。図8は、通常運転動作時おける無停電電源装置の動作を説明するための回路ブロック図である。
【0131】
図8において、商用交流電源15から供給される交流電力は、コンバータ1によって直流電力に変換されて直流ラインDLに供給される。直流ラインDLに供給された直流電力は、双方向チョッパ2を介してバッテリ16に蓄えられるとともに、インバータ3およびコンバータ4によって交流電力に変換されて負荷17に供給される。
【0132】
負荷17の定格電力Pcを100%とすると、図8に示すように、商用交流電源15からコンバータ1に100%の交流電力が供給され、コンバータ1から直流ラインDLに100%の直流電力が供給され、インバータ3から負荷17に(2/3)×100%の交流電力が供給され、コンバータ4から負荷17に(1/3)×100%の交流電力が供給されることになる。ただし、バッテリ電圧VBは参照電圧VBRに到達しており、双方向チョッパ2からバッテリ16に供給される直流電力は十分に小さいものとする。
【0133】
また、負荷17を定格電力Pcよりも大きな電力で運転する過負荷運転動作時には、制御部33により、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるように双方向チョッパ2が制御される。図9は、過負荷運転動作時おける無停電電源装置の動作を説明するための回路ブロック図である。
【0134】
図9において、商用交流電源15から供給される交流電力は、コンバータ1によって直流電力に変換されて直流ラインDLに供給される。また、バッテリ16の直流電力は、双方向チョッパ2を介して直流ラインDLに供給される。コンバータ1および双方向チョッパ2から直流ラインDLに供給された直流電力は、インバータ3およびコンバータ4によって交流電力に変換されて負荷17に供給される。
【0135】
定格電力Pcの150%の交流電力が負荷17に供給されるものとすると、図9に示すように、商用交流電源15からコンバータ1に100%の交流電力が供給され、バッテリ16から双方向チョッパ2に50%の直流電力が供給され、インバータ3から負荷17に100%の交流電力が供給され、コンバータ4から負荷17に50%の交流電力が供給されることになる。
【0136】
通常運転動作時または過負荷運転動作時に商用交流電源15の停電が発生すると、制御部31によってスイッチS1がオフされ、制御部32によってコンバータ1の運転が停止される。制御部35によってスイッチS5がオフされるとともにコンバータ4の運転が停止される。また、制御部33により、直流ラインDLの直流電圧VDが参照電圧VDRになるように双方向チョッパ2が制御される。
【0137】
図10は、商用交流電源15の停電時における無停電電源装置の動作を説明するための回路ブロック図である。図10において、バッテリ16の直流電力は、双方向チョッパ2を介して直流ラインDLに供給される。双方向チョッパ2から直流ラインDLに供給された直流電力は、インバータ3によって交流電力に変換されて負荷17に供給される。
【0138】
負荷17の定格電力Pcを100%とすると、図10に示すように、バッテリ16から双方向チョッパ2を介してインバータ3に100%の直流電力が供給され、インバータ3から負荷17に100%の交流電力が供給されることになる。したがって、商用交流電源15の停電が発生した場合でも、バッテリ16に直流電力が蓄えられている期間は、負荷17に定格電力Pcを供給することができる。
【0139】
以上のように、この実施の形態では、高速充電動作時に、AC/DC変換器11と連携して動作し、商用交流電源15から供給される交流電力を直流電力に変換して直流ラインDLに供給する双方向変換器14が設けられる。したがって、高速充電動作時に直流電力が不足することを防止することができ、負荷17を運転しながらバッテリ16の高速充電を行なうことができる。また、大容量の無停電電源装置を使用したり、外付けの充電器を追加する場合に比べ、低コスト化を図ることができる。
【0140】
また、双方向変換器14は、過負荷運転動作時には、DC/AC変換器13と連携して動作し、直流ラインDLから受ける直流電力を交流電力に変換して負荷17に供給する。したがって、バッテリ16に直流電力が蓄えられている期間には、定格電力Pcよりも大きな電力を負荷17に供給することができる。
【0141】
なお、図11は、実施の形態の比較例1を示す回路ブロック図であって、図7と対比される図である。図11を参照して、比較例1が実施の形態と異なる点は、コンバータ4およびスイッチS4,S5が除去されている点である。すなわち、比較例1は、従来の無停電電源装置である。
【0142】
比較例1では、コンバータ1の容量と、双方向チョッパ2の容量と、インバータ3の容量と、負荷17の定格容量Pcとは同じ値に設定されている。負荷17の定格容量Pcを100%とする。高速充電動作時には、商用交流電源15からコンバータ1に100%の交流電力が供給され、コンバータ1によって100%の直流電力が生成され、双方向チョッパ2からバッテリ16に50%の直流電力が供給され、インバータ3から負荷17に50%の交流電力が供給される。
【0143】
したがって、高速充電動作時には、定格電力Pcの50%の交流電力しか負荷17に供給することができず、負荷17を正常に運転することができなくなる。したがって、この比較例1では、負荷17を運転しながら、バッテリ16を高速充電することはできない。
【0144】
また図12は、実施の形態の他の比較例2を示す回路ブロック図であって、図11と対比される図である。図12を参照して、比較例2が比較例1と異なる点は、コンバータ1、双方向チョッパ2、およびインバータ3がそれぞれコンバータ1A、双方向チョッパ2A、およびインバータ3Aで置換されている点である。コンバータ1A、双方向チョッパ2A、およびインバータ3Aの容量は、それぞれコンバータ1、双方向チョッパ2、およびインバータ3の容量の1.5倍に設定されている。
【0145】
高速充電動作時には、商用交流電源15からコンバータ1Aに150%の交流電力が供給され、コンバータ1Aによって150%の直流電力が生成され、双方向チョッパ2Aからバッテリ16に50%の直流電力が供給され、インバータ3Aから負荷17に100%の交流電力が供給される。
【0146】
したがって、高速充電動作時には、定格電力Pcとなる100%の交流電力を負荷17に供給することができ、負荷17を運転しながらバッテリ16を高速充電することができる。しかし、この比較例2では、余分な容量を保有することとなり、装置が大型になり、コスト高になるという問題がある。
【0147】
また図13は、実施の形態のさらに他の比較例2を示す回路ブロック図であって、図11と対比される図である。図13を参照して、比較例3が比較例1と異なる点は、外付けの充電器41が追加されている点である。充電器41の容量は、負荷17の定格容量Pcの50%に設定されている。
【0148】
高速充電動作時には、商用交流電源15から充電器41に50%の交流電力が供給され、充電器41からバッテリ16に50%の直流電力が供給される。また、商用交流電源15からコンバータ1に100%の交流電力が供給され、コンバータ1によって100%の直流電力が生成され、インバータ3から負荷17に100%の交流電力が供給される。
【0149】
したがって、負荷17を運転しながらバッテリ16を高速充電することができる。しかし、充電器41を外付けするので、コスト高になり、システムの保守性が悪化する。また、バッテリ16を高速充電する以外に充電器41の使途がない。
【0150】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0151】
T1 交流入力端子、T2 バッテリ端子、T3 交流出力端子T3、S1~S5 スイッチ、C1~C4 コンデンサ、L1~L4 リアクトル、CD1~CD4 電流検出器、1,1A,4 コンバータ、DL 直流ライン、2,2A 双方向チョッパ、3,3A インバータ、5 操作部、6 制御装置、15 商用交流電源、16 バッテリ、17 負荷、Q1~Q6,Q11~Q16,Q21~Q26 IGBT、D1~D6,D11~D16,D21~D26 ダイオード、21~25 電圧検出器、26 停電検出器、27,28 比較器、29 制御回路、31~35 制御部、36 通信回線、41 充電器。
【要約】
無停電電源装置は、商用交流電源(15)から供給される交流電力を直流電力に変換して直流ライン(DL)に供給するAC/DC変換器11と、直流ラインから受ける直流電力を交流電力に変換して負荷(17)に供給するDC/AC変換器(13)と、直流ラインとバッテリ(16)との間で直流電力を授受するDC/DC変換器(12)と、バッテリの高速充電を行なう場合に、AC/DC変換器(11)と連携して動作し、商用交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して直流ラインに供給する双方向変換器(14)とを備える。したがって、高速充電動作時に直流電力が不足することを防止し、負荷に定格電力を供給しながら、バッテリの高速充電を行なうことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13