(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】液体ディスペンサー、及び液体ディスペンサーのための保護キャップ
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20241209BHJP
B65D 43/08 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
A61J1/05 313H
B65D43/08 200
(21)【出願番号】P 2023569689
(86)(22)【出願日】2022-05-05
(86)【国際出願番号】 EP2022062112
(87)【国際公開番号】W WO2022243047
(87)【国際公開日】2022-11-24
【審査請求日】2023-11-09
(32)【優先日】2021-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512245713
【氏名又は名称】アプタル ラドルフツエル ゲーエムベーハ
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】グライナー-ペルト, ユルゲン
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-017488(JP,A)
【文献】特表2015-519924(JP,A)
【文献】特表2017-508673(JP,A)
【文献】特表2017-513778(JP,A)
【文献】特表2017-507082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
B65D 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に医薬液体の放出のための液体ディスペンサー(10)であって、
(a)液体ディスペンサー(10)が、液体が放出前に貯蔵される液体貯蔵部(12)を含み、
(b)液体ディスペンサー(10)が、ハウジング(14)及び放出開口(16)を含み、放出開口(16)を通って液体が環境中に分配されることができ、
(c)液体ディスペンサー(10)が、保護キャップ(50)を含み、保護キャップ(50)は、嵌合された状態では、放出開口(16)を保護し、保護キャップ(50)は、液体を放出する目的のために除去可能であり
、
(d)保護キャップ(50)が、固定部分(60)を含み、固定部分(60)が、液体ディスペンサー(10)のハウジング(14)に結合するように構成され、
(e)保護キャップ(50)が、内側部分(80)を含み、内側部分(80)が、固定部分(60)から分離されており、内側部分(80)が、保護キャップ(50)の嵌合された状態では、放出開口(16)を包囲し、
(f)内側部分(80)が、結合装置(66,86)によって固定部分(60)に離脱不能に結合され、前記内側部分が、保護キャップ(50)の長手方向軸(2)のまわりで固定部分(60)に対して自由に回転可能であ
り、
(g)保護キャップ(50)が、通気路(4)を有し、通気路(4)を介して、保護キャップ(50)が嵌合されるとき、放出開口(16)が、液体ディスペンサー(10)を包囲する大気に接続され、
(h)固定部分(60)及び内側部分(80)が、各々少なくとも一つの開口(62,82)を含み、それを通って、通気路(4)が延びること
を特徴とする液体ディスペンサー(10)。
【請求項2】
保護キャップ(50)が、滅菌フィルター(56)を有し、滅菌フィルター(56)が、通気路(4)に配置され、滅菌フィルター(56)が、固定部分(60)中の開口(62)又は内側部分(80)中の開口(82)のいずれかに広が
る、
請求項1に記載の液体ディスペンサー(10)。
【請求項3】
保護キャップ(50)が、内側部分(80)上に与えられる吸収パッド(54)を有し、吸収パッド(54)が、保護キャップ(50)が嵌合されるとき、放出開口(16)に当接するか又は放出開口(16)のすぐ近くに配置される、
請求項1に記載の液体ディスペンサー(10)。
【請求項4】
固定部分(60)中の開口(62)が、滅菌フィルター(56)及び/又は吸収パッド(54)と整合して形成される、
請求項
2又は3に記載の液体ディスペンサー(10)
。
【請求項5】
以下の特徴をさらに含む、請求項1に記載の液体ディスペンサー(10):
保護キャップ(50)が、ねじキャップ(50)の形であり、ねじキャップ(50)の雌ねじ(52)が、固定部分(60)上に配置される。
【請求項6】
内側部分(80)が、軸方向に可動な態様で固定部分(60)に固定される、
請求項1に記載の液体ディスペンサー(10)
。
【請求項7】
固定部分(60)が、内側部分(80)が離脱不能に配置される受容空間(64)を含み、受容空間(64)が、内側部分(80)の外径より小さい正味の断面を規定する保持縁(66)によって固定部分の開放端で終わる、
請求項1に記載の液体ディスペンサー(10)
。
【請求項8】
内側部分(80)及び固定部分(60)が、異なる材料から構成される、
請求項1に記載の液体ディスペンサー(10)
。
【請求項9】
内側部分(80)の材料が、固定部分(60)の材料より軟らかい
、
請求項1に記載の液体ディスペンサー(10)。
【請求項10】
液体貯蔵部(12)が、医薬液体で満たされ
る、
請求項1に記載の液体ディスペンサー(10)。
【請求項11】
以下の特徴を含む、請求項1に記載の液体ディスペンサー(10)のための保護キャッ
プ:
(a)保護キャップ(50)が、液体ディスペンサー(10)のハウジング(14)に結合するように構成される固定部分(60)を含み、
(b)保護キャップ(50)が、内側部分(80)を含み、内側部分(80)が、固定部分(60)から分離されており、内側部分(80)が、保護キャップ(50)の嵌合された状態では、放出開口(16)を包囲し、
(c)内側部分(80)が、前記内側部分が保護キャップ(50)の長手方向軸(2)のまわりで前記固定部分に対して自由に回転可能であるように結合装置(66,86)によって固定部分(60)に結合され
、
(d)保護キャップ(50)が、通気路(4)を有し、通気路(4)を介して、保護キャップ(50)が嵌合されるとき、放出開口(16)が、液体ディスペンサー(10)を包囲する大気に接続され、
(e)固定部分(60)及び内側部分(80)が、各々少なくとも一つの開口(62,82)を含み、それを通って、通気路(4)が延びる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体ディスペンサー、特にその保護キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なタイプの液体ディスペンサーは、液体貯蔵部を有し、それは、特に医薬液体で満たされている。液体ディスペンサーは、液体を放出開口を通して、例えば患者の目に付与される液滴の形で分配するために使用される。
【0003】
放出開口を保護するためには、一般的なタイプの液体ディスペンサーは、使用されないとき、液体ディスペンサーのハウジング上に嵌合される保護キャップを含む。保護キャップは、外部の機械的影響に対して放出開口を保護する。それは、特に放出開口の通気、又は放出開口での残留液体の吸収のようなさらなる機能を追加して実施することができる。
【0004】
嵌合された状態では、一般的な保護キャップは、液体ディスペンサーのハウジングに対して封止して寄りかかる。もし保護キャップが除去されるなら、この封止点は遮断されるが、保護キャップとハウジングの相対的な動きは、封止点で支配する摩擦によって難しくなり、ここで摩耗が起こり、それは、保護キャップが再び嵌合されるときに封止作用を損わせる。
【0005】
US2015/0043958A1は、内部キャップ及び外部キャップを有する保護キャップを開示する。嵌合された状態では、内部キャップは、放出開口を包囲し、ねじ接続によって液体ディスペンサーのハウジング上に固定される。外部キャップは、内部キャップに対して、特に回転及び直線の両方の動きで最初に動くことができる。この相対的な動きは、通路を開放させ、その通路を介して残留液体がキャップ嵌合時に放出開口から逃避することを可能にする。
【0006】
EP3119529B1は、吸収バッファーを有する保護キャップを開示し、それは、保護キャップにおける装着を容易にするためにリング体中に挿入される。
【発明の概要】
【0007】
本発明によって対処される課題は、液体貯蔵部及びその保護キャップを与えることであり、それらは、繰り返し使用しても満足のいく液体封止を可能にし、それでもなお保護キャップの簡単な除去が可能であるものである。
【0008】
この目的のため、本発明は、液体が放出前に貯蔵される液体貯蔵部を公知の態様で含む液体ディスペンサーを提案する。適用目的に応じて、前記液体貯蔵部は、200mL未満、特に50mL未満の容積を有する。液体ディスペンサーは、ハウジング及び放出開口をさらに含み、放出開口を通って液体が環境中に放出されることができる。放出開口は、ハウジングを直接貫通して与えられるか、又はハウジングに対して可動な作動押しボタン上に与えられる。ポンプ装置は、液体貯蔵部から放出開口への液体の運搬のために与えられることが好ましい。前記ポンプ装置は、前述の作動押しボタンによって作動されることができる。しかしながら、もし放出開口から分離された作動押しボタンがポンプ装置を作動するために与えられるなら、特に好ましくはハウジングの側方の外殻面上に与えられるなら、特に有利である。
【0009】
液体ディスペンサーは、医薬液体の放出のために構成されることが好ましい。対応して、出荷状態では、液体貯蔵部は、かかる液体で満たされることが好ましい。しかしながら、他の適用分野、特に化粧液、技術的な液体、及び食品も包含される。
【0010】
特に、液体ディスペンサーの本発明による設計は、液滴の分配のために構成される。かかる液滴ディスペンサーの場合には、放出開口は、放出開口の下流に液滴形成輪郭を割り当てられている。ここで、例えば目の中への適用のため、液滴の形で解放されるために液体が蓄積する。特に液滴形態で分配されかつ意図したように使用中にディスペンサーの外表面に蓄積する医薬液体の場合には、残留液体の汚染のリスクがある。
【0011】
本発明による液体ディスペンサーは、本発明による保護キャップを含む。嵌合された状態では、この保護キャップは、放出開口を保護し、液体を放出する目的のため、特にこの目的のためにハウジングから回転させてゆるめることによって除去可能である。
【0012】
保護キャップは、少なくとも二つの構成要素、特に固定部分及び内側部分を含む。
【0013】
固定部分は、液体ディスペンサーのハウジングに結合するために構成される。従って、固定部分の主な機能は、例えばねじキャップの場合にはねじによって、又はプッシュオンキャップの場合にはクランプ領域によって、ハウジングへ保護キャップを機械的に結合することであり、前記クランプ領域は、ハウジングの外部輪郭に対して摩擦的に保持するクランプ接続を形成する。
【0014】
保護キャップは、固定部分から分離された上述の内側部分をさらに含む。保護キャップの嵌合された状態では、前記内側部分は、放出開口を包囲する。このため、それは、放出開口を包囲する表面とともに、放出開口空間を形成し、液体ディスペンサーの作動押しボタン又はハウジングに対してその放出開口空間を封止する。
【0015】
内側部分は、結合装置によって固定部分に離脱不能に結合され、前記内側部分は、保護キャップの長手方向軸のまわりに固定部分に対して自由に回転可能である。
【0016】
長手方向軸のまわりに互いに対して回転可能であるように互いに取り付けられる固定部分と内側部分を有するキャップを設計することは、多数の利点に導く。特に、それは、内側部分によって形成された封止点に対して有利である結合解除をもたらす。例えばねじキャップの形の保護キャップを回転させてゆるめるとき、内側部分は、少なくとも最初に、回転が固定された態様でハウジングに対して寄りかかり続ける一方で、固定部分は、既に変位され、回転される。これは、封止点の摩耗を回避する。
【0017】
さらに、キャップの除去もまた、簡略化される。なぜなら封止点での摩擦を克服するために力又はトルクを直接付与する必要がもはやないからである。代わりに、ねじキャップの場合には、最初に固定部分だけが回転される。前記固定部分がハウジングに対して軸方向にある距離にわたって変位された後でのみ、生じた引張力は、ハウジングから内側部分を引き離すのに十分な強さで内側部分に間接的に作用する。ハウジングと固定部分の間のねじ結合又はプラグオン結合を解放するために必要な力の消費は、ハウジングから内側部分を解放するために必要な力の消費から時間的に分離される。
【0018】
内側部分と固定部分の別個の設計の利点はまた、異なる材料を使用する可能性である。従って、各場合において主要な機能に十分に適応される材料を使用することが可能である。固定部分の材料選択は、特に固定機能に関して実施されることができる。好ましくは、低い摩擦面を有する相対的に硬いプラスチックがねじ山のために有利である。相対的に軟らかい材料は、内側部分、及びそのハウジングとの封止の主要な機能のために有利である。
【0019】
内側部分と固定部分の別個の構成のさらなる利点は、内側部分が固定部分に対して少なくとも限定された範囲で傾斜可能であるときに与えられる。それによって達成されるものは、固定部分のプラグオン又はねじ留めがわずかに傾斜した配向で行われる場合であっても内側部分の同様に傾斜した嵌合、従って損われた封止作用をもたらさないことである。むしろ、特にハウジングに対応するように開放端で円錐形に又は他の方法で広がる形状によって、内側部分は、固定部分から離れた態様で独自に配向されることができ、理想的な封止作用を得ることができる。
【0020】
ハウジングと保護キャップの間の封止点での封止作用を損なう、外部スリーブを形成する固定部分の機械的負荷のリスクもまた、軽減される。固定部分に対する機械的影響は、意図せずに開放される液体ディスペンサーの内側部分とハウジングの間の封止点よりむしろ内側部分に対して相対的な変位を起こす。
【0021】
好ましくは、固定部分に対する内側部分の可動性は、回転可動性、及びおそらく傾斜可動性に限定されず、特に軸方向の可動性を与えられてもよい。特に好ましくは、内側部分は、二つの端位置間で固定部分に対して少なくとも0.5mmだけ、好ましくは少なくとも1mmだけ軸方向に可動である。これは、保護キャップを引き離すか、又は保護キャップを回転させてゆるめるとき、固定部分が対応する距離の分だけ、ハウジングに対して既に軸方向に変位された後にのみ封止点が解放されるという効果を持つ。
【0022】
内側部分を受け、内側部分と固定部分の間の可動性を得るために、固定部分が受容空間を規定し、そこに内側部分が離脱不能に配置されることが好ましい。この受容空間は、固定部分の開放端に向かって、即ち実際のディスペンサー又はその液体貯蔵部の方向に、特に円周の内側に向くウェブ上に与えられる内側に向く保持縁によって終結されることが好ましい。保持縁は、装着中、内側部分がその上に、特に保持縁に与えられたリードインベベルによって押され、次いで受容空間中にラッチされるように、内側部分の外径より小さい正味の断面を有する。保持縁とは反対に、受容空間は、固定部分の端壁によって画定されることが好ましい。
【0023】
好ましくは、固定部分上の保持縁は、均一な内径の円周保持縁の形である。しかしながら、固定部分上の保持縁はまた、円周方向にオフセット態様で配置された複数の保持縁部分によって形成されてもよい。
【0024】
さらに、固定部分上の保持縁と協働し、かつ特に好ましくは円周方向に均一な外形を画定する保持縁が、内側部分上に与えられることが好ましい。特に好ましくは、内側部分の保持縁は、外側に突出する円周ウェブ上に与えられる。
【0025】
好ましくは、保護キャップは、通気路を有し、通気路を介して、保護キャップが嵌合されるとき、放出開口が液体ディスペンサーを包囲する大気に接続される。これは、保護キャップが嵌合されるときであっても、空気が放出開口空間に入り、放出開口での残留液体の迅速な乾燥を促進することを意味する。
【0026】
通気路は、各々が少なくとも一つの開口を含む固定部分及び内側部分によって実現されることが好ましい。通気路は、これらの二つの開口を通って延びる。好ましくは、開口は、各場合において内側部分及び固定部分の端面上に与えられる。
【0027】
保護キャップは、好ましくは通気路に配置された滅菌フィルターを有することができる。前記滅菌フィルターは、固定部分中の開口の領域に与えられ、この開口を通って流れる空気を濾過することができる。しかしながら、特に好ましくは、滅菌フィルターは、内側部分中の開口に与えられ、前記開口に広がる。保護キャップが嵌合されるとき、放出開口室は、もっぱら滅菌フィルターを通して環境に接続される。
【0028】
本発明の文脈において、滅菌フィルターは、デプスフィルターの形、又は好ましくはメンブランフィルターの形のフィルターであり、それは、流入する周囲空気から全ての細菌の少なくとも99.9%を除去するために好適な分離限界を有する。好ましくは、滅菌フィルターは、0.3μm以下、特に好ましくは0.2μm以下の分離限界を有する。滅菌フィルターは、特に液体ディスペンサーが開放通気路で出荷されることを可能にする。しかしながら、通気路が例えば開口に広がる接着ラベルによって出荷状態で閉鎖されることが有利でありうる。
【0029】
好ましくは、滅菌フィルターの代替として、又は特に滅菌フィルターに加えて、保護キャップは、吸収パッドを含み、吸収パッドは、内側部分上に与えられ、吸収パッドは、放出操作後にここに残る液体を吸収するために、保護キャップが嵌合されるときに放出開口に当接するように、放出開口空間に配置される。吸収パッドはまた、放出開口から又は周囲の放出輪郭から残留液滴を吸収することができるようにするために、それが近くに達する限り、放出開口からわずかな間隔で配置されることができる。
【0030】
吸収パッドは、繊維材料又は多孔質材料から構成されることが好ましい。それは、硬質であるか、又は弾性的に変形可能な形態であることができる。特に、吸収バッドの材料は、液体を迅速に吸収し、従って放出開口からそれを除去することができるようにするために、親水性を示すことができる。
【0031】
特に好ましくは、滅菌フィルター及び吸収パッドは、同じ層複合体の二つの層として形成され、それらは、内側部分上の共通の固定によって間接的に又は直接的に互いに接続されることが可能である。
【0032】
この層複合体又は吸収パッド又は滅菌フィルターは、内側部分において、又は可能なら固定部分に、好ましくはオーバーモールドによって固定される。特に、固定部分、吸収パッド、又は層複合体は、一体的な態様で保持構成要素によって両側でまわりで係合される。オーバーモールドは、固定部分又は内側部分のプラスチックと滅菌フィルター又は吸収パッドの周囲との間に特に密着した緊密な接続を生み出す。
【0033】
固定部分及び内側部分は、各々側面と端側端壁を含むことが好ましい。開口は、各々この端壁に与えられることが好ましい。なぜならこれは、製造を簡略化するからである。開口は、互いに整列されることが好ましく、それは、固定部分における開口の最も狭い直径又は最も狭い正味の幅が最大5mmであることが有利である。これは、内側部分の開口に与えられた滅菌フィルターが外側から不注意で損傷されることを防止する。
【0034】
上で既に述べたように、保護キャップは、ねじキャップの形であることが好ましい。従って、それは、ねじ、特に雌ねじを備え、ねじは、固定部分上に与えられる。対向ねじ、好ましくは雄ねじが、液体ディスペンサーのハウジングの外側上に与えられる。
【0035】
しかしながら、保護キャップの他の設計も考えられ、特に嵌合及び除去目的のために回転させる必要がなく、むしろいかなる回転運動なしで引き離し又は嵌合されることができるプラグオンキャップも包含される。かかるプラグオンキャップの場合には、固定部分は、ハウジングとクランプ接続を形成するように構成される。クランプ接続を得る目的のため、ハウジングの外径とプラグオンキャップのクランプ領域は、互いに適合される。固定部分は、キャップの封止に関していかなる機能も実施する必要はないので、良好なクランプ作用と簡単な引き離し操作を同時に実現できるように、内側のクランプ領域は、特に細長いリブを有するように設計されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明のさらなる利点及び態様は、図面を参照して以下に説明される、本発明の好ましい例示的な実施形態の以下の記載から、そして特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【0037】
【
図1】
図1は、本発明による液体ディスペンサーの断面図を示す。
【0038】
【
図2】
図2は、
図1による液体ディスペンサーの保護キャップの断面図を示す。
【0039】
【
図3】
図3は、本発明による保護キャップの第二変形例の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1及び2は、本発明による液体ディスペンサー及びその保護キャップを示す。
【0041】
本ケースでは、液体ディスペンサー10は、液滴ディスペンサーの形である。それは、液体貯蔵部12、ポンプ装置20、及び放出開口16を有し、それらは、液滴形成面18によって包囲されている。液滴ディスペンサーとして、液体ディスペンサー10は、意図した目的のために、放出開口16が下方に向く頭上の位置で使用される。この位置で、使用者は、作動ボタン22を押し、それによって液体は、ポンプ装置20によって液体貯蔵部12から放出開口16の方向に運搬される。放出開口16の上流は、放出弁24であり、放出弁24は、十分な圧力の場合に開放し、液体を液滴形成面18に逃すことができる。
【0042】
特に放出開口16、しかし作動ボタン22も保護するために、
図2に拡大した形で別個に示される保護キャップ50が与えられる。保護キャップ50は、二つの主要構成要素、具体的には固定部分60及び内側部分80を有する。
【0043】
固定部分60は、側壁60A及び端壁60Bを含む。雌ねじ52は、
図2の透視図において側壁60Aの下端に与えられる。なぜなら保護キャップ50は、ねじキャップの形であるからである。それに対応して、雄ねじが液体ディスペンサー10のハウジング14の外側上に与えられる。
【0044】
さらに、リング状不正開封防止部分70が前述の保護キャップ50の下端に与えられ、薄いプラスチックブリッジによって側壁60Aに接続される。端壁60Bは、開口62によって貫かれている。内側上で、保護キャップ50は、固定部分60の受容空間64を下方で画定する保持縁66を有する円周保持ウェブを含む。
【0045】
既に述べた内側部分80は、受容空間64に配置される。前記内側部分はまた、側壁80A及び端壁80Bを含む。保持縁86を有する外側に向く保持ウェブは、固定部分60に対して内側部分80を固定する。しかしながら、受容空間64は、内側部分80がその中で可動であるように、特に固定部分60に対して特に長手方向軸2のまわりで回転可能であるように寸法決定される。
【0046】
端壁60Bと同様に、端壁80Bは、開口82を与えられ、この開口には、滅菌フィルター56及び吸収パッド54から構成された層複合体が広がる。この層複合体は、内側部分80のプラスチック材料によって、その周囲領域においてオーバーモールドされている。
【0047】
回転可動性に加えて、内側部分80はまた、好ましくは約0.5~1mm分だけ、長手方向軸2の方向に固定部分60に対して軸方向に変位可能である。
【0048】
もし保護キャップ50が
図1に示された態様で嵌合されるなら、側壁80Aの内側88は、ハウジング14のわずかに先細の封止面14Aでの封止を実行し、ここでのガス交換を防止する。
【0049】
受容空間64中、及び内部体によって規定される出口開口空間84中への空気の侵入は、開口62,82を通って通気路4に沿って、それでもなお可能であり、ここに入る空気は、滅菌フィルター56によって細菌を除去されている。
【0050】
保護キャップのツーパート構成により、封止点88,14Aでの良好な封止を得ることができる。もしねじキャップ50が回転されてゆるめられるなら、封止面88,14A間の円周の摩擦相対運動が起こらない。代わりに、固定部分80だけが回転される。前記固定部分が、ねじ52のため、ある程度軸方向に変位された後でのみ、内側部分80がハウジング14から引き離される。
【0051】
図3は、保護キャップ50の代替設計を示す。これは、プラグオンキャップの形である。対応して、ねじ52の代わりに、それは、リブを含み、その内側面は、クランプ面53を形成する。