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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】光学装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20241209BHJP
【FI】
G01B11/24 K
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024039954
(22)【出願日】2024-03-14
(62)【分割の表示】P 2020155066の分割
【原出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2024060068
(43)【公開日】2024-05-01
【審査請求日】2024-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 博司
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-504230(JP,A)
【文献】特開昭61-75210(JP,A)
【文献】特開2005-241340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長スペクトルを有する第1の光線を照射し、前記第1の波長スペクトルとは異なる第2の波長スペクトルを有する第2の光線を照射する光学素子を有し、前記第1の光線及び前記第2の光線を物体に照射可能な照明部と、
前記物体への前記第1の光線の照射による光と、前記物体への前記第2の光線の照射による光とを受光可能な画素を備え、前記第1の波長スペクトル及び前記第2の波長スペクトルに基づいて前記第1の光線及び前記第2の光線を識別する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、前記第1の光線の第1の光線方向及び前記第2の光線の第2の光線方向を推定する処理部と、
を備え、
前記撮像部、前記照明部及び前記物体の表面の三次元的な位置関係、前記照明部に設けられる前記光学素子の三次元的な位置、並びに、前記撮像部における前記画素の三次元的な位置が予め設定された既知の値であるとき、
前記処理部は、
前記照明部を制御し、前記第1の光線を第1の時刻に前記撮像部に入射させ、前記第2の光線を前記第1の時刻よりも後の第2の時刻に前記撮像部に入射させ、前記撮像部を制御し、前記第1の光線及び前記第2の光線を単一の撮像画像として得られるように前記撮像部で受光させ、
前記単一の撮像画像における前記第1の光線を受光した前記画素と前記第2の光線を受光した前記画素のそれぞれの画素値の組み合わせに基づいて、前記物体の表面形状を推定する、
光学装置。
【請求項2】
第1の波長スペクトルを有する第1の光線を照射し、前記第1の波長スペクトルとは異なる第2の波長スペクトルを有する第2の光線を照射する光学素子を有し、前記第1の光線及び前記第2の光線を物体に照射可能な照明部と、
前記物体への前記第1の光線の照射による光と、前記物体への前記第2の光線の照射による光とを受光可能な画素を備え、前記第1の波長スペクトル及び前記第2の波長スペクトルに基づいて前記第1の光線及び前記第2の光線を識別する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、前記第1の光線の第1の光線方向及び前記第2の光線の第2の光線方向を推定する処理部と、
を備え、
前記撮像部、前記照明部及び前記物体の表面の三次元的な位置関係、前記照明部に設けられる前記光学素子の三次元的な位置、並びに、前記撮像部における前記画素の三次元的な位置が予め設定された既知の値であるとき、
前記処理部は、
前記第1の光線が第1の時刻において前記画素で受光されたことに基づいて、前記撮像部に第1の撮像画像を撮像させ、
前記第2の光線が前記第1の時刻とは異なる第2の時刻において前記画素で受光されたことに基づいて、前記撮像部に第2の撮像画像を撮像させる、
光学装置。
【請求項3】
前記処理部は、
前記撮像画像における前記第1の光線を受光した前記画素に対応する第1の領域に基づいて、前記第1の光線に関する離散色相画素値を含む第1の離散色相画素値の組を算出し、
前記撮像画像における前記第2の光線を受光した前記画素に対応する第2の領域に基づいて、前記第2の光線に関する離散色相画素値を含む第2の離散色相画素値の組を算出し、
前記第1の離散色相画素値の組及び前記第2の離散色相画素値の組の両方に基づいて、前記第1の光線方向及び前記第2の光線方向を算出する、
請求項1又は2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記離散色相画素値が前記離散色相画素値の閾値より小さい場合は、前記離散色相画素値を0に設定する、
請求項3に記載の光学装置。
【請求項5】
前記処理部は、
前記第1の離散色相画素値の組の中で最も大きい前記離散色相画素値に対応する離散色相値である第1の代表離散色相値を算出し、
前記第2の離散色相画素値の組の中で最も大きい前記離散色相画素値に対応する離散色相値である第2の代表離散色相値を算出し、
前記第1の代表離散色相値及び前記第2の代表離散色相値の両方に基づいて、前記第1の光線方向及び前記第2の光線方向を算出する、
請求項3又は4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記照明部は、前記撮像部における前記第1の光線の受光及び前記第2の光線の受光がずれる状態で、前記物体に前記第1の光線及び前記第2の光線を照射可能である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項7】
前記照明部は、前記第1の波長スペクトルとは異なる第3の波長スペクトルを有する第3の光線を、前記第1の光線と実質的に同時に前記第2の光線方向へ射出可能である、
請求項1~6のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項8】
前記照明部は、電気的な作用により選択波長を経時的に変更可能な波長可変フィルターと、前記照明部から射出された前記第1の光線及び前記第2の光線を回折可能で、波長が長いほど回折角を大きくする回折光学素子と、さらに備え、
前記照明部は、
前記選択波長として設定された前記第1の波長スペクトルを有する前記第1の光線を、前記回折光学素子で回折することにより、前記第1の光線方向に射出し、
前記選択波長として設定された前記第2の波長スペクトルを有する前記第2の光線を、前記回折光学素子で回折することにより、前記第2の光線を前記第2の光線方向に射出する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の光学装置。
【請求項9】
前記照明部は、
白色光線を発光する光源と、
前記光源から射出された前記白色光線を反射する反射面を備えるとともに、入射した前記白色光線を平行光として射出する導光体と、
を具備する、請求項1~8のいずれか1項に記載の光学装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業において、非接触による物体の形状測定が用いられている。非接触による物体の形状測定では、例えば、光線が分光されて物体に照明され、撮像素子が分光された光線による画像のそれぞれを取得し、処理部等が光線のそれぞれの光線方向を推定する。このような測定方法では、複数の光線のそれぞれの光線方向を識別できることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第5675407号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、複数の光線のそれぞれの光線方向を識別できる光学装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、光学装置は、照明部と、撮像部と、処理部とを備える。照明部は、第1の波長スペクトルを有する第1の光線を照射し、第1の波長スペクトルとは異なる第2の波長スペクトルを有する第2の光線を照射する光学素子を有し、第1の光線及び第2の光線を物体に照射可能である。撮像部は、物体への第1の光線の照射による光と、物体への第2の光線の照射による光とを受光可能な画素を備え、第1の波長スペクトル及び第2の波長スペクトルに基づいて第1の光線及び第2の光線を識別する。処理部は、撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、第1の光線の第1の光線方向及び第2の光線の第2の光線方向を推定する。撮像部、照明部及び物体の表面の三次元的な位置関係、照明部に設けられる光学素子の三次元的な位置、並びに、撮像部における画素の三次元的な位置が予め設定された既知の値であるとき、処理部は、照明部を制御し、第1の光線を第1の時刻に撮像部に入射させ、第2の光線を第1の時刻よりも後の第2の時刻に撮像部に入射させ、撮像部を制御し、第1の光線及び第2の光線を単一の撮像画像として得られるように撮像部で受光させる。処理部は、単一の撮像画像における第1の光線を受光した画素と第2の光線を受光した画素のそれぞれの画素値の組み合わせに基づいて、物体の表面形状を推定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係る光学装置の一例を示す概略図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る光学装置において、物体の表面により反射された光スペクトルと離散色相値との関係の一例を示す概略図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る光学装置において、撮像部により経時的に取得される撮影画像の一例を示す概略図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る光学装置において、処理部により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態の変形例に係る光学装置の一例を示す概略図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る光学装置において、撮像部により経時的に取得される撮影画像の一例を示す概略図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る光学装置において、処理部により実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、第3の実施形態に係る光学装置において、撮像部により経時的に取得される撮影画像の一例を示す概略図である。
図9図9は、第3の実施形態の第1の変形例に係る光学装置の一例を示す概略図である。
図10図10は、第3の実施形態の第1の変形例に係る光学装置において、撮像部により経時的に取得される撮影画像の一例を示す概略図である。
図11図11は、第3の実施形態の第2の変形例に係る光学装置の一例を示す概略図である。
図12図12は、第3の実施形態の第2の変形例に係る光学装置において、撮像部により経時的に取得される撮影画像の一例を示す概略図である。
図13図13は、第4の実施形態に係る光学装置の一例を示す概略図である。
図14図14は、第4の実施形態の変形例に係る光学装置の一例を示す概略図である。
図15図15は、第4の実施形態の変形例に係る光学装置の一例を、図14とは異なる方向から視た状態で示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。既出の内容に関して、詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
また、以下の実施形態等においては、照明部以外の環境光からの光線についてはオフセットする。つまり、環境光の光線強度が照明部の光線強度に比べて無視できない場合、撮像部2により、環境光による撮像画像を予め取得する。そして、当該環境光による撮像画像に対応する強度がオフセットされるように、光学装置1が設定される。あるいは、環境光を考慮して、離散色相画素値の閾値が設定される。また、以下の実施形態等においては、物体の表面5が光を反射することを前提として説明するが、これに限るものではない。例えば、物体が光線に対して透明である場合、物体の表面5は透過面となる。この場合、光線は、透過面を透過して、撮像部2に入射する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る光学装置の一例を示す概略図である。第1の実施形態に係る光学装置1は、撮像部2、照明部3及び処理部4を備える。本実施形態では、光は、電磁波として定義される。光は、例えば、可視光、X線、赤外線、近赤外線、遠赤外線、マイクロ波である。また、光は、コヒーレント光であってもよく、インコヒーレント光であってもよい。コヒーレント光としては、例えば、レーザー光源による光が挙げられる。コヒーレント光としては、例えば、LED(Light emitting device)光源による光が挙げられる。照明部3の光源は、可視光を発するものであればよい。可視光とは、光の波長が400nm以上800nm以下の光である。照明部3の光源としては、例えば、LEDが挙げられる。
【0010】
撮像部2は、センサー21、レンズ22及びシャッター23を備える。センサー21は、独立した複数の画素を備える。複数の画素のそれぞれでは、波長フィルターを用いることで、少なくとも第1の波長及び第2の波長が選択的に受光される。センサー21は、例えば、ラインセンサー又はエリアセンサーである。撮像部2は、レンズ22を介して物体の表面をセンサー21に結像する。撮像部2は、シャッター23を制御することで露光時間を調整できる。シャッター23は、機械的なシャッターであってもよく、電気的なシャッターであってもよい。ある一例では、電気的なシャッターが、ラインセンサー又はエリアセンサーに備えられる。
【0011】
照明部3は、光を物体の表面5に向けて照射する。物体の表面5は、光を反射する。照明部3は、第1の光線R1及び第2の光線R2を照射する。第1の光線R1は、第1の波長を主成分とする第1の波長スペクトルを有する。第2の光線R2は、第2の波長を主成分とする第2の波長スペクトルを有する。第2の波長スペクトルは、第1の波長スペクトルと異なる。図1に示すように、第1の光線R1は、第1の光線経路RP1に沿って、照明部3から照射(射出)される。第2の光線R2は、第2の光線経路RP2に沿って、照明部3から照射(射出)される。ここで、光線経路は、照明部3の光源と、当該光線が反射される物体の位置とを結ぶ仮想的な線(仮想線)に沿う経路である。第1の光線R1が照明部3から射出される時刻(タイミング)は、第2の光線R2が照明部3から射出される時刻(タイミング)とずれている。また、第1の波長と第2の波長との差は比較的小さい。ある一例では、第1の波長は500nm(青光)であり、第2の波長は550nm(緑光)である。すなわち、第1の波長と第2の波長との差は、50nmである。
【0012】
処理部4は、例えば、コンピュータである。処理部4は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むプロセッサ又は集積回路(制御回路)、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。処理部4に設けられるプロセッサ又は集積回路は、1つであってもよく、複数であってもよい。処理部4は、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を実行する。
【0013】
処理部4は、撮像部2及び照明部3を制御する。処理部4は、撮像部2及び照明部3を制御して、撮像部2及び照明部3を同期させる。ある一例では、処理部4は、照明部3から光線を射出させた直後に撮像部2と協働してシャッター23を制御し、撮像部2に物体の撮像を開始させる。処理部4は、撮像部2に物体の表面5で反射された光線が入射した直後に、撮像部2と協働して撮像部2のシャッター23を閉じる。これにより、撮像部2による物体の表面5の撮像が停止される。
【0014】
図1に示すように、本実施形態では、照明部3が第1の光線R1を射出する。処理部4は、第1の光線R1が射出された直後に撮像部2と協働してシャッター23を開き、撮像部2に物体の表面5の撮像を開始させる。第1の光線R1は、物体の表面5の第1の反射領域Q1に入射するとともに、物体の表面5によって反射される。これにより、第1の光線R1の反射光が、第1の時刻において撮像部2に入射する。
【0015】
次に、照明部3が、第2の光線R2を射出する。第2の光線R2は、物体の表面5の第2の反射領域Q2に入射するとともに、物体の表面5によって反射される。第2の反射領域Q2は、物体の表面5において第1の反射領域Q1と異なる反射領域である。これにより、第2の光線R2の反射光が、第2の時刻において撮像部2に入射する。撮像部2は、第2の光線R2が撮像部2に入射するまで撮像を継続する。処理部4は、撮像部2に第2の光線R2が入射した後に、撮像部2と協働して撮像部2のシャッターを閉じる。すなわち、撮像部2は、第2の光線R2による物体の表面5の撮像を停止する。処理部4が、前述のように撮像部2及び照明部3を同期させることにより、撮像部2は物体の表面5を撮像する。これにより、撮像部2は、第1の光線R1による撮像及び第2の光線R2による撮像の両方を含む撮像画像を取得する。ある一例では、撮像画像は単一の撮像画像である。
【0016】
前述のような光学装置1では、照明部3が、第1の光線R1及び第2の光線R2を物体の表面5に順に射出する。撮像部2は、物体の表面5の第1の反射領域Q1で反射された第1の光線R1の反射光、及び、物体の表面5の第2の反射領域Q2で反射された第2の光線R2の反射光を、センサー21に配置された複数の画素により受光する。ある一例では、光学装置1は、第1の光線R1の反射光を第1の画素PX1(図3参照)で受光し、第2の光線R2の反射光を第2の画素PX2(図3参照)で受光する。光学装置1による測定では、撮像部2、照明部3及び物体の表面5の三次元的な位置関係、照明部3に設けられる光学素子の三次元的な位置(光線経路の開始位置)、並びに、撮像部2のセンサー21における画素の三次元的な位置(配置)は、予め設定された値(既知の値)である。
【0017】
この場合、第1の光線R1の光線方向(第1の光線方向)及び第2の光線R2の光線方向(第2の光線方向)は、第1の光線R1及び第2の光線R2を互いに対して区別する(識別する)ことにより算出できる。すなわち、第1の光線R1の光線方向及び第1の反射領域Q1に基づいて、第1の反射領域Q1から第1の画素PX1までの第1の光線R1の光線方向が算出される。また、第2の光線R2の光線方向及び第2の反射領域Q2に基づいて、第2の反射領域Q2から第2の画素PX2までの第2の光線R2の光線方向が算出される。さらに、前述した予め設定された値(撮像部2等の三次元的な位置関係、光学素子の三次元的な位置及び画素の三次元的な位置)、第1の光線R1の光線方向、第2の光線R2の光線方向から、三角測量の原理に基づいて、物体の表面5の反射領域の三次元の位置情報を算出できる。
【0018】
このため、光学装置1では、第1の光線R1の光線方向及び第2の光線R2の光線方向が区別されることが重要である。本実施形態では、照明部3から照射される複数の光線のそれぞれ、すなわち第1の光線R1及び第2の光線R2が、互いに対して異なる波長スペクトルを有する。そのため、後述するように、撮像部2及び処理部4が協働して、複数の光線のそれぞれの離散色相画素値の組を取得することにより、複数の光線のそれぞれの光線方向を識別できる。よって、本実施形態の光学装置1では、複数の光線の波長スペクトルが互いに対して近い場合でも、物体の表面5の形状を取得できる。
【0019】
図2は、第1の実施形態に係る光学装置において、物体の表面により反射された光の光スペクトルと離散色相値との関係の一例を示す概略図である。図2の左側は、物体の表面により反射された光スペクトル(線α)の波長及び強度の関係を概略的に示す。縦軸は波長を示し、横軸は強度を示す。また、図2の左側には、撮像部2のセンサーに設けられる波長フィルターの透過スペクトル(線β、線γ、線ε)を示す。本実施形態では、撮像部2のセンサー21には、3つの波長フィルターが設けられる。第1の波長フィルターの透過スペクトルを線βで示す。第2の波長フィルターの透過スペクトルをγで示す。第3の波長フィルターの透過スペクトルを線εで示す。
【0020】
図2の右側は、物体の表面により反射された光が、撮像部の波長フィルターを通過した後に得られる離散色相値及び離散色相画素値の関係を概略的に示す。離散色相値とは、波長フィルターによって識別される波長のそれぞれに対して設定される離散的な値(番号)である。本実施形態では、第1の波長フィルターに対応する離散色相値は1であり、第2の波長フィルターに対応する離散色相値は2であり、第3の波長フィルターに対応する離散色相値は3である。離散色相値は、RGB等の記号に対応させて設定してもよい。また、離散色相値の個数を離散色相数と称する。本実施形態では、離散色相数は3である。2以上の離散色相数を使用することで、色相の変化が判別しやすい。離散色相画素値は、離散色相値のそれぞれに対応する波長の光の強度を離散的な数値に変換した値である。そのため、撮像部2に入射する光の波長スペクトルによって、離散色相値のそれぞれに対応する離散色相画素値は異なる。離散色相値のうち、最大の離散色相画素値に対応する離散色相値を、代表離散色相値と称する。ある光線に対する離散色相画素値の組み合わせは、離散色相画素値の組として表される。本実施形態では、離散色相画素値の組は、ベクトル表記される。すなわち、離散色相画素値の組は、列番号が離散色相値に対応し、列のそれぞれの値が離散色相値に対応する離散色相画素値である。
【0021】
ある一例では、離散色相画素値は、8ビットの離散階調により表される。この場合、離散色相画素値の上限値は10進数で255であり、離散色相画素値の下限値は10進数で0である。図2の一例では、離散色相値1(第1の波長フィルター)に対応する離散色相画素値は255であり、離散色相値2(第2の波長フィルター)に対応する離散色相画素値は10であり、離散色相値3(第3の波長フィルター)に対応する離散色相画素値は0である。この場合、離散色相画素値の組は(255,10,0)と表記される。なお、離散色相画素値は、離散諧調により表されるものであれば、これに限られない。
【0022】
図2の一例に示すように、波長フィルターの透過スペクトル(波長分布)は、互いに重なりあっていてもよい。この場合、閾値が離散色相画素値に設定される。離散色相画素値が閾値以下である場合、離散色相画素値は0に設定される。離散色相画素値について閾値が設定されることで、透過スペクトルの重なり部分に対応する波長に対して2つの離散色相値が設定されることが防止される。よって、波長フィルターの波長領域と離散色相値とは、一対一に対応する。
【0023】
本実施形態では離散色相数が3であることから、図2の右側に示すように、3つの閾値Ic1~Ic3のそれぞれが、対応する離散色相画素値に設定される。すなわち、離散色相値1の離散色相画素値には閾値Ic1が設定される。離散色相値2の離散色相画素値には閾値Ic2が設定される。離散色相値3の離散色相画素値には閾値Ic3が設定される。離散色相値1の離散色相画素値が閾値Ic1以下である場合、離散色相値1の離散色相画素値は0に設定される。離散色相値2の離散色相画素値が閾値Ic2以下である場合、離散色相値2の離散色相画素値は0に設定される。離散色相値3の離散色相画素値が閾値Ic3以下である場合、離散色相値3の離散色相画素値は0に設定される。3つの閾値Ic1~Ic3は、離散色相値のそれぞれに対して適宜設定される。
【0024】
図3は、第1の実施形態に係る光学装置において、撮像部2により取得される撮影画像の一例を示す概略図である。撮像画像Imgは、撮像部2により撮像された画像である。ここで、撮像画像(受光画像)とは、撮像部2の全ての画素のそれぞれにおける離散色相画素値の組み合わせである。また、第1の領域P1は、撮像部2の第1の画素PX1に対応する撮像画像Imgの領域である。第2の領域P2は、撮像部2の第2の画素PX2に対応する撮像画像Imgの領域である。第1のスポットS1は、第1の光線が第1の画素PX1に入射した際に照らす範囲を、撮像画像Imgにおいて示す範囲である。第2のスポットS2は、第2の光線が第2の画素PX2に入射した際に照らす範囲を、撮像画像Imgにおいて示す範囲である。
【0025】
前述のように、第1の光線R1が、物体の表面5の第1の反射領域Q1で反射されて撮像部2に入射した後、第2の光線R2が、物体の表面5の第2の反射領域Q2で反射されて撮像部2に入射する。すなわち、撮像部2は、第1の光線R1の撮像及び第2の光線R2の撮像の両方を含む撮像画像を取得する。図3の一例では、第1の光線R1が撮像部2の第1の画素PX1により受光され、第2の光線R2が撮像部2の第2の画素PX2により受光される。撮像画像Imgでは、第1の領域P1が第1の画素PX1に対応する領域であり、第2の領域P2が第2の画素PX2に対応する領域である。よって、第1の領域P1は第1の光線R1の撮像であり、第2の領域P2は第2の光線R2の撮像である。また、第1のスポットS1の大きさ及び第2のスポットS2の大きさには、光の回折限界が存在するため、下限値が存在する。そのため、図3の一例に示すように、第1のスポットS1の大きさは、第1の領域P1の大きさ(第1の画素PX1の大きさ)より大きい。第2のスポットS2の大きさは、第2の領域P2の大きさ(第2の画素PX2の大きさ)より大きい。この例の場合、例えば、撮像部2の画素の大きさは10μm未満である。
【0026】
ある一例では、第1の離散色相画素値の組は(255,10,0)であり、第2の離散色相画素値の組は(10,255,0)である。すなわち、第1の光線R1では、離散色相値1の離散色相画素値が255であり、離散色相値2の離散色相画素値が10であり、離散色相値3の離散色相画素値が0である。また、第2の光線R2では、離散色相値1の離散色相画素値が10であり、離散色相値2の離散色相画素値が255であり、離散色相値3の離散色相画素値が0である。処理部4は、第1の離散色相画素値の組及び第2の離散色相画素値の組の差に基づいて、第1の光線の光線方向及び第2の光線の光線方向を識別する。
【0027】
図4は、光学装置1の処理部4により実行される処理の一例を示す。図4の処理は、光学装置1において測定作業がされるたびに、処理部4によって実行される。したがって、図4の処理は、光学装置1の1回の作業において少なくとも実行される処理を示す。
【0028】
光学装置1では、処理部4が、照明部3から第1の光線R1を射出させる(S101)。処理部4は、第1の光線R1が射出されて撮像部2に到達する間は、撮像部2のシャッターを開き、撮像部2に物体の表面の撮像を開始させる(S102)。ここでは、撮像部2のシャッターを開く動作は、第1の光線R1が射出された直後でもそれ以前でも構わない。光線が撮像部2の画素で受光されたときを撮像の開始とする。処理部4は、撮像部2が第1の光線R1の反射光を受光した後(S103)、照明部3から第2の光線R2を射出させる(S104)。処理部4は、撮像部2のシャッターを開いた状態で維持する(S105)。処理部4は、撮像部2が第2の光線R2の反射光の受光をした後(S106)、撮像部2のシャッターを閉じる。すなわち、処理部4は、撮像部2による撮像を終了する(S107)。これにより、第1の光線R1による撮像及び第2の光線R2による撮像を含む撮像画像が、撮像部2により取得される。
【0029】
処理部4は、撮像部2が撮像した単一の撮像画像を取得する(S108)。処理部4は、第1の光線R1の撮像に対応する撮像画像の部位に基づいて、前述のようにして第1の離散色相画素値の組を算出する。処理部4は、第2の光線R2の撮像に対応する撮像画像の部位に基づいて、前述のようにして第2の離散色相画素値の組を算出する(S109)。処理部4は、第1の離散色相画素値の組に基づいて第1の光線R1の光線方向を算出する。処理部4は、第2の離散色相画素値の組に基づいて第2の光線R2の光線方向を算出する(S110)。以上により、第1の光線R1の光線方向及び第2の光線R2の光線方向が算出されるため、光学装置1は、第1の光線R1の光線方向及び第2の光線R2の光線方向を識別できる。
【0030】
本実施形態の光学装置1では、照明部3から物体の表面5に照射された第1の光線R1及び第2の光線R2を、撮像部2の第1の画素PX1及び第2の画素PX2が受光する。撮像部2は当該受光に基づいて撮像画像を撮像し、処理部4は撮像部2の撮像画像に基づいて、第1の光線R1の第1の光線方向及び第2の光線R2の第2の光線方向を算出する。これにより、本実施形態の光学装置1は、第1の光線R1の第1の光線方向及び第2の光線R2の第2の光線方向を識別できる。このように光線方向を識別することにより、物体の表面の形状を算出できる。
【0031】
本実施形態の光学装置1では、処理部4は、第1の画素PX1に対応する撮像画像Imgの第1の領域P1に基づいて、第1の光線R1に関する離散色相画素値を含む第1の離散色相画素値の組を算出する。処理部4は、第2の画素PX2に対応する撮像画像Imgの第2の領域P2に基づいて、第2の光線R2に関する離散色相画素値を含む第2の離散色相画素値の組を算出する。処理部4は、第1の離散色相画素値の組及び第2の離散色相画素値の組の両方に基づいて、第1の光線方向及び第2の光線方向を算出する。これにより、離散色相画素値の大小そのものでは第1の光線R1及び第2の光線R2が識別できない場合であっても、第1の光線及び第2の光線を識別できる。すなわち、第1の光線R1及び第2の光線R2の識別性能が向上する。よって、物体の表面5の形状の算出がより実行しやすくなる。
【0032】
本実施形態の光学装置1では、処理部4は、離散色相画素値が閾値より小さい場合は、離散色相画素値を0に設定する。これにより、波長フィルターの透過スペクトルが重なり合っている場合であっても、適切に離散色相値を設定できる。そのため、光学装置1に用いる波長フィルターとして選択可能な波長フィルターの種類が増える。これにより、物体の表面5の形状の算出が一層実行しやすくなる。
【0033】
(第1の実施形態の変形例)
図5に示すように、第1の実施形態の変形例では、照明部3の光源は、二次光源であってもよい。二次光源は、発光素子31を備える。発光素子31は、二次光源において、最も小さい発光面積を有する制御可能なデバイスである。発光素子31が十分に小さいことから、発光素子31は、点光源とみなせる。二次光源は、例えば、LEDアレイ及びLED等の光源によって照明された液晶パネル等である。液晶パネルは、例えば、複数の画素を備えるとともに、複数の画素のそれぞれの発光が制御される。なお、発光素子31が前述したほど小さくない場合であっても、発光素子31から射出される光線群が平行光であると実質的にみなせる場合には、発光素子31は点光源とみなせる。
【0034】
照明部3は、結像光学素子32を備えていてもよい。結像光学素子32は、点光源から発せられた複数の光線(光線群)を、光学的に共役の関係にある位置(共役位置)に集光させる。結像光学素子32は、例えば、レンズ及び凸面ミラー等である。ある一例では、発光素子31が光線群を射出する。発光素子31から射出された光線は、結像光学素子32によって、発光素子31の位置と光学的に共役の関係にある位置(発光素子31の共役位置)において集光される。本変形例では、発光素子31の共役位置が、物体の表面5における第1の反射領域Q1である。すなわち、発光素子31の位置と、物体の表面5の第1の反射領域Q1とは、光学的に共役の関係である。第1の光線経路RP1は、発光素子31と物体の表面5の第1の反射領域Q1とを結ぶ線(仮想線)に沿う経路である。光線方向は、発光素子31と物体の表面5の光線の第1の反射領域Q1とを結ぶ線に沿う方向である。
【0035】
本変形例では、前述したように照明部3の構成が第1の実施形態と異なるが、照明部3は第1の実施形態と同様に、第1の光線R1及び第2の光線R2を物体の表面5に照射する。そのため、処理部4は、第1の実施形態と同様の処理を実行する。すなわち、処理部4は、図4に示す処理S101~S110を実行する。よって、光学装置1は、第1の実施形態と同様に、第1の光線R1の光線方向及び第2の光線R2の光線方向を識別できる。
【0036】
本変形例では、前述の実施形態等と同様の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。すなわち、本変形例では、照明部3が前述のように発光素子31及び結像光学素子32を備える。そのため、照明部3は、第1の反射領域Q1に向かって、様々な方向から光線を当てることができる。また、光線を照射する方向を変化させることで、第1の反射領域Q1から様々な方向に光線が反射される。そのため、光線の反射光が撮像部2に到達しやすい。例えば、物体の表面5が金属等の光沢面の場合、すなわち物体の表面5における正反射が強い場合であっても、光線が撮像部2に到達しやすくなる。したがって、光学装置1は物体の表面5に拘わらず光線方向を識別できるため、物体の表面5の形状の算出がより一層実行しやすくなる。
【0037】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る光学装置1は、前述の実施形態に係る光学装置1と同様であり、撮像部2、照明部3、処理部4を備える。本実施形態の光学装置1では、照明部3から射出される第1の光線R1及び第2の光線R2について、第1の光線R1の波長スペクトル及び第2の光線R2の波長スペクトルが互いに対して異なり、かつ、第1の光線R1の主波長と第2の光線R2の主波長が近い。ここで、主波長とは、撮像部2が完全白色板により反射させた光線を撮像した場合に、最大の離散色相画素値を有する離散色相値に対応する波長フィルターの透過スペクトルの透過領域内において、当該光線の波長スペクトルが最大となる波長である。また、完全白色板とは、全ての波長に対して同じ反射率スペクトルを持つものである。以下では、第1の実施形態と同様に、第1の画素PX1に第1の光線R1が入射し、第2の画素PX2に第2の光線R2が入射する場合を説明する。
【0038】
本実施形態では、照明部3が第1の光線R1を射出すると、処理部4は、第1の光線R1が射出された直後あるいはそれよりも以前にシャッター23を開き、撮像部2に物体の表面5の撮像を開始させる。第1の光線R1は、物体の表面5の第1の反射領域Q1に入射するとともに、物体の表面5によって反射される。これにより、第1の光線R1の反射光が、第1の時刻t1において撮像部2の第1の画素PX1に入射する。次に、照明部3が、第2の光線R2を射出する。第2の光線R2は、物体の表面5の第2の反射領域Q2に入射するとともに、物体の表面5によって反射される。第2の反射領域Q2は、物体の表面5において第1の反射領域Q1と異なる反射領域である。これにより、第2の光線R2の反射光が、第2の時刻t2において撮像部2の第2の画素PX2に入射する。処理部4は、第2の光線R2が撮像部2の第2の画素PX2に入射したのとほとんど同時又は直後に、撮像部2と協働して撮像部2のシャッター23を閉じる。すなわち、撮像部2は、第1の光線R1による物体の表面5の撮像を停止する。
【0039】
この場合、撮像部2の第2の画素PX2は、第2の光線R2の反射光をほとんど受光しない。つまり、撮像部2において、第2の光線R2の反射光による受光(露光)時間は、第1の光線R1の反射光による受光(露光)時間に比べて短い。このようにして、撮像部2は、主に第1の光線R1による第1の撮像画像Img1を取得する。次に、処理部4は、撮像部2と協働して撮像部2のシャッター23を開く。照明部3は、撮像部2のシャッター23が閉じている間も第2の光線R2を射出し続ける。これにより、第2の光線R2の反射光が、第2の時刻t2において撮像部2に入射する。処理部4は、第2の光線R2が撮像部2に入射した後に、撮像部2と協働して撮像部2のシャッターを閉じる。すなわち、撮像部2は、第2の光線による物体の表面5の撮像を停止する。このようにして、撮像部2は、第2の光線R2による第2の撮像画像Img2を取得する。言い換えれば、本実施形態では、撮像部2は、第1の光線R1による第1の撮像画像Img1及び第2の光線による第2の撮像画像Img2を取得する。
【0040】
図6は、第2の実施形態に係る光学装置において、撮像部2により取得される撮像画像Img1,Img2の一例を時系列に沿って示す概略図である。縦軸は、光学装置1による測定の経過時間を示す。第1の撮像画像Img1は、撮像部2による第1の光線R1に基づく撮像画像である。第2の撮像画像Img2は、撮像部2による第2の光線R2に基づく撮像画像である。本実施形態では、前述のようにして第1の撮像画像Img1及び第2の撮像画像Img2が取得される。そのため、第1の画素PX1の撮像に対応する第1の領域P1は、第1の撮像画像Img1に存在し、第2の画素PX2の撮像に対応する第2の領域P2は、第2の撮像画像Img2に存在する。処理部4は、第1の撮像画像Img1に基づいて、第1の領域P1の第1の離散色相画素値の組を算出する。処理部4は、第2の撮像画像Img2に基づいて、第2の領域P2の第2の離散色相画素値の組を算出する。前述の実施形態と同様に、処理部4は、第1の離散色相画素値の組及び第2の離散色相画素値の組の差に基づいて、第1の光線の光線方向及び第2の光線の光線方向を識別する。
【0041】
図7は、光学装置1の処理部4により実行される処理の一例を示す。処理S201~S204は、図4に示す第1の実施形態の処理S101~S104と同様である。本実施形態では、処理部4は、処理S204を実行した後に、第2の光線R2が撮像部2の第2の画素PX2に入射したのとほとんど同時又は直後に、撮像部2のシャッターを閉じる。これにより、処理部4は、撮像部2による撮像を停止させる(S205)。これにより、主に第1の光線に基づく第1の撮像画像Img1が取得される。処理部4は、撮像部2による撮像を再開させる(S206)。処理S208~S211は、図4に示す第1の実施形態の処理S107~S110と同様である。ただし、処理S209及びS210では、処理部4は、第1の撮像画像Img1に基づいて第1の光線R1に関連する処理を実行し、第2の撮像画像Img2に基づいて第2の光線R2に関連する処理を実行する。以上により、第1の光線R1の光線方向及び第2の光線R2の光線方向が算出されるため、光学装置1は、第1の光線R1の光線方向及び第2の光線R2の光線方向を識別できる。
【0042】
本実施形態では、前述の実施形態等と同様の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。すなわち、本実施形態では、第1の撮像画像Img1に基づいて第1の光線R1の光線方向が算出され、第2の撮像画像Img2に基づいて第2の光線R2の光線方向が算出される。そのため、第1の波長スペクトルの主波長と第2の波長スペクトルの主波長が近い場合でも、光学装置1は、第1の光線R1の光線方向及び第2の光線R2の光線方向を識別できる。これにより、光線方向の識別の誤差が低減され、光線方向が高精度に識別される。そのため、物体の表面5の形状の算出精度がより一層向上する。
【0043】
また、本実施形態では、照明部3から射出される光線の主波長が、第1の光線R1と第2の光線R2とで、ずれている。そのため、光学装置1では、撮像部2と照明部3との同期の状態がモニタリング可能である。したがって、撮像部2と照明部3とが互いに対して同期しなくなった場合、撮像部2と照明部3との制御を調整することで、同期の補正が実行可能である。例えば、撮像部2と照明部3との同期のずれは、撮像部2においてシャッター23の開閉を高速に実行する場合に発生する。本実施形態では、同期の補正を実行できるため、撮像部2のシャッター23の開閉をより高速に実行できる。したがって、物体の表面の形状の算出速度が一層速くなる。
【0044】
また、光線方向が識別できる条件の範囲内において、第1の光線R1の射出タイミングと第2の光線R2の射出タイミングとを近づけることができる。これにより、光学装置1により物体の表面5が測定される場合に、当該測定におけるリードタイムが短縮される。さらに、第1の光線R1及び第2の光線R2が撮像部2に同時に露光する場合であっても、光学装置1は、第1の光線R1の光線方向及び第2の光線R2の光線方向を識別できる。よって、光線方向の識別性能がさらに向上するとともに、物体の表面の形状の算出速度がさらに一層速くなる。
【0045】
(第2の実施形態の変形例)
ある変形例では、照射部3は、撮像部2における第1の光線R1の受光及び第2の光線R2の受光がずれる状態で、物体に第1の光線R1及び第2の光線R2を照射可能である。ある一例では、第1の光線R1が照明部3から射出された後に、第2の光線R2が照明具3から射出された場合でも、撮像部2は、物体の表面5の形状により、第2の光線R2を受光した後に、第1の光線R1を受光する。すなわち、撮像部2における第1の光線R1の受光及び第2の光線R2の受光はずれているが、照明部3からの光線の照射順序と、撮像部2の光線の受光順序が一致しない。この場合、処理部4は、第1の光線R1及び第2の光線R2を、それぞれに対応する主波長により、識別できる。言い換えれば、処理部4は、第1の光線R1及び第2の光線R2を、それぞれの色相により識別できる。例えば、光線が物体により反射されて撮像部2に到達するまでの時間を用いて物体までの距離を測定するTOF(Time of Flight)の場合、光学装置1は、前述のようにして第1の光線R1及び第2の光線R2を識別できる。そのため、本変形例の光学装置1では、光線方向の識別性能が一層向上するとともに、物体の表面5の形状を高精度かつ高速に推定できる。また、本変形例においても、光学装置1では前述と同様の処理が実行されるため、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0046】
ある変形例では、光学装置1は、複数の撮像部2を備えていてもよい。複数の撮像部2の構成は同一であっても異なっていてもよい。ただし、複数の撮像部2は、照明部3から射出された光線を受光できる構成を少なくとも備える。ある一例では、光学装置1は、2つの撮像部を備える。これにより、本変形例では、光学装置1が、物体の表面5の形状に関する情報をより多く取得できる。この場合、複数の撮像部2の互いに対する同期がずれていても、処理部4は、光線のそれぞれの色相を識別することにより、複数の撮像部2を同期させられる。また、本変形例においても、光学装置1では前述と同様の処理が実行されるため、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0047】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係る光学装置1は、前述の実施形態に係る光学装置1と同様である。また、第2の実施形態に係る光学装置1と同様に、本実施形態の光学装置1では、第1の光線R1の波長スペクトル及び第2の光線R2の波長スペクトルが互いに対して異なり、かつ、第1の光線R1の主波長と第2の光線R2の主波長が近い。以下では、前述の実施形態と同様に、第1の画素PX1に第1の光線R1が入射し、第2の画素PX2に第2の光線R2が入射する場合を説明する。
【0048】
本実施形態では、撮像部2において、第2の画素PX2は第1の画素PX1の近傍に位置する。ある一例では、第2の画素PX2は、第1の画素PX1に隣接する。また、処理部4は、第2の実施形態と同様にして、撮像部2及び照明部3を制御する。ただし、本実施形態では第2の実施形態とは異なり、処理部4は、第1の光線R1の反射光が撮像部2の第1の画素PX1に入射した直後に、撮像部2のシャッター23を閉じる。言い換えれば、処理部4は、第2の光線R2の反射光が撮像部2に入射する直前に、撮像部2のシャッター23を閉じる。このようにして、撮像部2は、第1の光線R1による第1の撮像画像Img1を取得する。そのため、本実施形態では、第1の撮像画像Img1には第2の光線R2の反射光が撮像されない。
【0049】
図8は、第3の実施形態に係る光学装置において、撮像部2により取得される撮像画像Img1,Img2の一例を時系列に沿って示す概略図である。縦軸は、光学装置1による測定の経過時間を示す。本実施形態では、撮像部2において、第2の画素PX2は第1の画素PX1の近傍に位置する。そのため、図8の一例に示すように、第1の撮像画像Img1及び第2の撮像画像Img2において、第2の領域P2は第1の領域P1の近傍に位置する。前述した光の回折限界により、第1のスポットS1の大きさ及び第2のスポットS2の大きさは、第1の領域P1及び第2の領域P2よりも大きい。そのため、第1のスポットS1の一部は第2の領域P2の一部と重なり、第2のスポットS2の一部は第1の領域P1の一部と重なる。すなわち、第1の光線R1は第2の画素PX2の一部で受光される可能性があり、第2の光線R2は第1の画素PX1の一部で受光される可能性がある。
【0050】
本実施形態では、前述のように、処理部4は、第2の光線R2の反射光が撮像部2に入射する直前に、撮像部2のシャッター23を閉じる。そのため、前述のようにスポットS1,S2が画素PX1,PX2の両方に重なっている場合でも、第2の光線R2が、第1の画素PX1に照射されず、第1の光線R1が第2の画素PX2に照射されない。そして、第2の実施形態と同様に、処理部4は、第1の撮像画像Img1及び第2の撮像画像Img2に基づいて、第1の離散色相画素値の組及び第2の離散色相画素値の組を算出する。
【0051】
本実施形態では、処理部4は、図7に示す第2の実施形態の処理S201~S211と同様の処理を実行する。ただし、処理部4は、処理S204を実行した後に、第2の光線R2が撮像部2の第2の画素PX2に入射する直前に、撮像部2のシャッター23を閉じる。これにより、撮像部2による撮像を停止させる(S205)。以上により、第1の光線方向及び第2の光線方向が算出されるため、光学装置1は、第1の光線方向及び第2の光線方向を識別できる。
【0052】
本実施形態では、前述の実施形態等と同様の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。すなわち、本実施形態では、処理部4は、第2の光線R2が撮像部2の第2の画素PX2に入射する直前に、撮像部2のシャッター23を閉じ、撮像部2が第1の撮像画像Img1を取得する。そのため、第1の撮像画像Img1は、第2の光線R2に露光していない状態で取得される。よって、光線方向の識別の誤差がさらに低減され、光線方向がより一層高精度に識別される。そのため、物体の表面の形状の算出精度がさらに一層向上する。
【0053】
(第3の実施形態の第1の変形例)
第3の実施形態の第1の変形例に係る光学装置1は、前述の実施形態に係る光学装置1と同様である。図9に示すように、本変形例では、照明部3は、第1の光線R1及び第2の光線R2に加えて、第3の光線R3及び第4の光線R4を照射することが、前述の実施形態等とは異なる。第3の光線R3及び第4の光線R4のそれぞれは、第3の波長を主成分とする第3の波長スペクトル及び第4の波長を主成分とする第4の波長スペクトルを有する。第1の波長スペクトル~第4の波長スペクトルは互いに対して異なる。また、第1の波長と第4の波長との差はほとんどない又は比較的小さく、第3の波長と第2の波長との差は比較的大きい。ある一例では、第1の波長は450nm(青光)であり、第2の波長は650nm(赤光)である。また、第3の波長は450nm(青光)であり、第4の波長は550nm(緑光)である。すなわち、第3の波長は第1の波長と同じである。なお、第1の波長~第4の波長は、これに限られるものではない。
【0054】
図9に示すように、第1の光線R1及び第3の光線R3は、第1の光線経路RP1に沿って、照明部3から射出される。第4の光線R4及び第2の光線R2は、第2の光線経路RP2に沿って、照明部3から射出される。すなわち、第3の光線R3の光線方向は、第1の光線R1の光線方向(第1の光線方向)と一致又は略一致する。第4の光線R4の光線方向は、第2の光線R2の光線方向(第2の光線方向)と一致又は略一致する。第1の光線R1が照明部3から射出される時刻は、第4の光線R4が照明部3から射出される時刻とほとんど同じである。また、第3の光線R3が照明部3から射出される時刻は、第2の光線R2が照明部3から射出される時刻とほとんど同じである。すなわち、第1の光線R1は第4の光線R4と実質的に同じ時刻に照明部3から射出され、第3の光線R3は第2の光線R2と実質的に同じ時刻に照明部3から射出される。なお、照明部3から射出される時刻が実質的に同じ(実質的に同時)であるとは、処理部4(撮像部2)が、少なくとも2種の光線が撮像部2に同時に到達したと認識することを意味する。つまり、処理部4の時間分解能を基準にして同時か否かが定義される。
【0055】
本変形例では、照明部3が第1の光線R1及び第4の光線R4を射出すると、処理部4が、第1の光線R1及び第4の光線R4が射出された直後にシャッター23を開き、撮像部2に物体の表面5の撮像を開始させる。第1の光線R1は第1の反射領域Q1により反射され、第4の光線R4は第2の反射領域Q2により反射される。これにより、第1の光線R1の反射光が撮像部2の第1の画素PX1に入射し、第4の光線R4の反射光が撮像部2の第2の画素PX2に入射する。処理部4は、第1の光線R1の反射光(第4の光線R4の反射光)が第1の画素PX1(第2の画素PX2)に入射した直後に、撮像部2のシャッター23を閉じる。このようにして、撮像部2は、第1の光線R1及び第4の光線R4による第1の撮像画像Img1を取得する。
【0056】
次に、照明部3が、第3の光線R3及び第2の光線R2を射出する。第3の光線R3は第1の反射領域Q1により反射され、第2の光線R2は第2の反射領域Q2により反射される。処理部4は、第3の光線R3の反射光及び第2の光線R2の反射光が撮像部2に入射する前に撮像部2のシャッター23を開く。これにより、第1の光線R1の反射光が撮像部2の第1の画素PX1に入射し、第2の光線R2の反射光が撮像部2の第2の画素PX2に入射する。その後、処理部4は撮像部2のシャッター23を閉じる。すなわち、撮像部2は、第3の光線R3及び第2の光線R2による物体の表面5の撮像を停止する。このようにして、撮像部2は、第3の光線R3及び第2の光線R2による第2の撮像画像Img2を取得する。
【0057】
図10は、本変形例の光学装置において、撮像部2により取得される撮像画像の一例を時系列に沿って示す概略図である。縦軸は、光学装置1による測定の経過時間を示す。本変形例でも、撮像部2において、第2の画素PX2は第1の画素PX1の近傍に位置する。そのため、図10の一例に示すように、第1の光線R1及び第3の光線R3は第2の画素PX2の一部で受光される可能性があり、第4の光線R4及び第2の光線R2は第1の画素PX1の一部で受光される可能性がある。また、本変形例では、第1の光線R1と第4の光線R4とは実質的に同時に撮像部2に入射し、第3の光線R3と第2の光線R2とは実質的に同時に撮像部2に入射する。
【0058】
第1の撮像画像Img1において、第1の画素PX1は、第1の光線R1を主に受光するとともに、第4の光線R4を第1の光線R1と実質的に同時に受光する。第2の画素PX2は、第4の光線R4を主に受光するとともに、第1の光線R1を第4の光線R4と実質的に同時に受光する。処理部4は、第1の撮像画像Img1において、第1の画素PX1に対応する第1の離散色相画素値の組、及び、第2の画素PX2に対応する第2の離散色相画素値の組を算出する。具体的には、第1の画素PX1における離散色相画素値及び第2の画素PX2における離散色相画素値は、第1の光線R1に対応する離散色相画素値と、第4の光線R4に対応する離散色相画素値とを足し合わせた値となる。この場合、前述のように第1の波長と第4の波長との差が小さいことから、第1の光線R1と第4の光線R4との組み合わせ次第では、第1の離散色相画素値の組及び第2の離散色相画素値の組が、互いに対して同じ又はほとんど同じになることがある。すなわち、第1の離散色相画素値の組と第2の離散色相画素値の組との差がほとんどない。そのため、処理部4は、第1の撮像画像Img1に基づいて、第1の光線方向及び第2の光線方向を識別することが難しい。
【0059】
第2の撮像画像Img2において、第1の画素PX1は、第3の光線R3を主に受光するとともに、第2の光線R2を第3の光線R3と実質的に同時に受光する。第2の画素PX2は、第2の光線R2を主に受光するとともに、第3の光線R3を第2の光線R2と実質的に同時に受光する。処理部4は、第1の撮像画像Img1の場合と同様にして、第2の撮像画像Img2に基づいて、第1の離散色相画素値の組及び第2の離散色相画素値の組を算出する。この場合、前述のように第3の波長と第2の波長との差が比較的大きいことから、第1の離散色相画素値の組及び第2の離散色相画素値の組が比較的大きく異なる。そのため、処理部4は、第2の撮像画像Img2に基づいて、第1の光線方向及び第2の光線方向を識別できる。
【0060】
ある一例では、第1の撮像画像Img1において、第1の画素PX1が受光する第1の光線R1の離散色相画素値の組は(240,60,0)であり、第1の画素PX1が受光する第4の光線R4の離散色相画素値の組は(50,200,50)である。また、第2の画素PX2が受光する第1の光線R1の離散色相画素値の組は(200,50,0)であり、第2の画素PX2が受光する第4の光線R4の離散色相画素値の組は(60,240,60)である。第2の撮像画像Img2において、第1の画素PX1が受光する第3の光線R3の離散色相画素値の組は(240,60,0)であり、第1の画素PX1が受光する第2の光線R2の離散色相画素値の組は(0,50,200)である。また、第2の画素PX2が受光する第3の光線R3の離散色相画素値の組は(200,50,0)であり、第2の画素PX2が受光する第2の光線R2の離散色相画素値の組は(0,60,200)である。
【0061】
この例では、離散色相画素値の上限値は、10進数において255である。そのため、前述のように離散色相画素値の組を算出すると、第1の撮像画像Img1において、第1の画素PX1における第1の離散色相画素値の組は(255,255,50)となり、第2の画素PX2における第2の離散色相画素値の組は(255,255,60)となる。そのため、第1の離散色相画素値の組と第2の離散色相画素値の組の差が小さい。この場合、処理部4は、第1の撮像画像Img1に基づいて、第1の光線R1の光線方向及び第4の光線R4の光線方向を識別することが難しい。一方、第2の撮像画像Img2において、第1の画素PX1における第1の離散色相画素値の組は(240,110,200)となり、第2の画素PX2における第2の離散色相画素値の組は(200,110,240)となる。そのため、第1の離散色相画素値の組と第2の離散色相画素値の組の差が比較的大きい。よって、この場合、処理部4は、第2の撮像画像Img2に基づいて、第3の光線R3の光線方向及び第2の光線R2の光線方向を識別できる。
【0062】
本変形例では、処理部4は、図7に示す第2の実施形態の処理S201~S211と同様の処理を実行する。ただし、S201において、処理部4は第1の光線R1に加えて第4の光線R4を射出する。撮像部2は、S203において、第1の光線R1及び第4の光線R4を受光する。S204において、処理部4は第2の光線R2に加えて第3の光線R3を射出する。また、処理部4は、処理S204を実行した後に、第2の光線R2及び第3の光線R3が撮像部2の第2の画素PX2に入射する直前に、撮像部2のシャッターを閉じる。これにより、撮像部2による撮像を停止させる(S205)。撮像部2は、S207において、第2の光線R2及び第3の光線R3を受光する。以上により、第3の光線R3の光線方向及び第2の光線R2の光線方向が算出されるため、光学装置1は、第3の光線R3の光線方向及び第2の光線R2光線方向を識別できる。
【0063】
本変形例では、前述の実施形態等と同様の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。すなわち、本変形例では、照明部3は、第1の光線R1及び第2の光線R2に加えて、第3の光線R3及び第4の光線R4を物体の表面5に、前述のように照射する。物体の表面5の形状や色の分布が測定時に不明である場合、測定前に光線の波長における最適な組み合わせを設定することは難しい。このような場合であっても、本変形例の光学装置1では、第1の光線R1~第4の光線R4を前述のように設定し、かつ、第1の撮像画像Img1及び第2の撮像画像Img2を用いることで、光線の方向が識別される。したがって、物体の表面5の形状がより確実に算出される。
【0064】
(第3の実施形態の第2の変形例)
第3の実施形態の第2の変形例に係る光学装置1は、前述の実施形態に係る光学装置1と同様である。図11に示すように、本変形例では、照明部3は、第1の光線R1~第4の光線R4に加えて、第5の光線R5及び第6の光線R6を照射することが、前述の実施形態等とは異なる。第1の光線R1~第6の光線R6のそれぞれは、第1の光線経路RP1~第6の光線経路RP6に沿って照明部3から射出される。第1の光線R1~第6の光線R6のそれぞれは、第1の反射領域Q1~第6の反射領域Q6により反射される。第5の光線R5及び第6の光線R6のそれぞれは、第5の波長を主成分とする第5の波長スペクトル及び第6の波長を主成分とする第6の波長スペクトルを有する。第1の波長スペクトル~第6の波長スペクトルは互いに対して異なる。ある一例では、第1の波長は450nm(青光)であり、第2の波長は650nm(赤光)である。また、第3の波長は450nm(青光)であり、第4の波長は550nm(緑光)である。第5の波長は650nm(赤光)であり、第6の波長は550nm(緑光)である。すなわち、第3の波長は第1の波長と同じであり、第5の波長は第2の波長と同じであり、第6の波長は第4の波長と同じである。なお、第1の波長~第6の波長は、これに限られるものではない。
【0065】
図11に示すように、第1の光線R1~第6の光線R6のそれぞれは、第1の光線経路RP1~第6の光線経路RP6に沿って、照明部3から照射される。第1の光線R1、第4の光線R4及び第5の光線R5が照明部3から射出される時刻は、互いに対してほとんど同じである。第2の光線R2、第3の光線R3及び第6の光線R6が照明部3から射出される時刻は、互いに対してほとんど同じである。すなわち、第5の光線R5は、第1の光線R1及び第4の光線R4と実質的に同じ時刻に、照明部3から射出される。第6の光線R6は、第2の光線R2及び第3の光線R3と実質的に同じ時刻に、照明部3から射出される。
【0066】
本変形例では、前述の第1の変形例と同様にして、撮像部2及び照明部3を制御する。ただし、本変形例では前述の第1の変形例とは異なり、第1の光線R1、第4の光線R4及び第5の光線R5のそれぞれが、照明部3から実質的に同じ時刻に射出され、第1の反射領域Q1、第4の反射領域Q4及び第5の反射領域Q5により反射される。これにより第1の光線R1の反射光、第4の光線R4の反射光及び第5の光線R5の反射光のそれぞれが、第1の画素PX1、第2の画素PX2及び第3の画素PX3に入射する。撮像部2は、第1の光線R1、第4の光線R4及び第5の光線R5による第1の撮像画像Img1を取得する。また、第2の光線R2、第3の光線R3及び第6の光線R6のそれぞれが、照明部3から実質的に同じ時刻に射出され、第2の反射領域Q2、第3の反射領域Q3及び第6の反射領域Q6により反射される。これにより、第3の光線R3の反射光、第2の光線R2の反射光及び第6の光線R6の反射光のそれぞれが、第4の画素PX4、第5の画素PX5及び第6の画素PX6に入射する。撮像部2は、第2の光線R2、第3の光線R3及び第6の光線R6による第2の撮像画像Img2を取得する。
【0067】
図12は、本変形例の光学装置において、撮像部2により取得される撮像画像Img1,Img2の一例を時系列に沿って示す概略図である。縦軸は、光学装置1による測定の経過時間を示す。本変形例では、第1の光線R1、第4の光線R4及び第5の光線R5は実質的に同時に撮像部2に入射し、第3の光線R3、第2の光線R2及び第6の光線R6は実質的に同時に撮像部2に入射する。図12の一例では、第1の光線R1、第4の光線R4及び第5の光線R5のそれぞれが、第1の画素PX1、第2の画素PX2及び第3の画素PX3により受光される。そして、第1の撮像画像Img1では、第1の領域P1、第2の領域P2及び第3の領域P3のそれぞれが、第1の画素PX1、第2の画素PX2及び第3の画素PX3に対応する。また、第3の光線R3、第2の光線R2及び第6の光線R6のそれぞれが、第4の画素PX4、第5の画素PX5及び第6の画素PX6により受光される。そして、第2の撮像画像Img2では、第4の領域P4、第5の領域P5及び第6の領域P6のそれぞれが、第4の画素PX4、第5の画素PX5及び第6の画素PX6に対応する。
【0068】
本変形例では、複数の画素のそれぞれにおいて、前述した代表離散色相値を用いる。代表離散色相値は、複数の画素のそれぞれにおける離散色相値のうち最も大きい離散色相画素値に対応する離散色相値である。第1の撮像画像Img1において、処理部4は、第1の画素PX1~第3の画素PX3に対応する第1の離散色相画素値~第3の離散色相画素値を前述のようにして算出する。本変形例では、離散色相数は3であることから、第1の画素PX1~第3の画素PX3のそれぞれに対応する代表離散色相値は1,2,3のいずれかの値である。また、第2の撮像画像Img2において、処理部4は、第4の画素PX4~第6の画素PX6に対応する第4の離散色相画素値~第6の離散色相画素値を前述のようにして算出する。第1の撮像画像Img1と同様に、第4の画素PX4~第6の画素PX6のそれぞれに対応する代表離散色相値は1,2,3のいずれかの値である。
【0069】
ある一例では、第1の波長及び第3の波長は450nm(青光)であり、第2の波長及び第5の波長は650nm(赤光)であり、第4の波長及び第6の波長は550nm(緑光)である。また、RGBにおいて、離散色相値1を記号Bに対応させ、離散色相値2を記号Gに対応させ、離散色相値3を記号Rに対応させる。そして、第1の光線R1~第6の光線R6のそれぞれが、前述のように第1の画素PX1~第6の画素PX6により受光される。この場合、第1の画素は第1の光線R1を受光するため、第1の代表離散色相値は1である。第2の画素は第4の光線R4を受光するため、第2の代表離散色相値は2である。第3の画素は第5の光線R5を受光するため、第3の代表離散色相値は3である。第4の画素は第3の光線R3を受光するため、第4の代表離散色相値は1である。第5の画素は第2の光線R2を受光するため、第5の代表離散色相値は3である。第6の画素は第6の光線R6を受光するため、第6の代表離散色相値は2である。
【0070】
この場合、第1の画素PX1~第3の画素PX3のそれぞれの代表離散色相値は、第1の画素PX1~第3の画素PX3のそれぞれの離散色相画素値よりも、明確かつロバストである。これは、離散色相画素値が物体の表面5によって大きく変化する可能性がある一方で、物体の表面5による光線の強度変化と比べて、光線の主波長の変化が小さいことに起因する。処理部4は、代表離散色相値を用いることで、第1の撮像画像Img1に基づいて、第1の光線R1の光線方向、第4の光線R4の光線方向及び第5の光線R5の光線方向を識別可能である。また、処理部4は、第2の撮像画像Img2に基づいて、第2の光線R2の光線方向、第3の光線R3の光線方向及び第6の光線R6の光線方向を識別可能である。
【0071】
本変形例では、処理部4は、図7に示す第2の実施形態の処理S201~S211と同様の処理を実行する。ただし、S201において、処理部4は第1の光線R1に加えて第4の光線R4及び第5の光線R5を射出する。撮像部2は、S203において、第1の光線R1、第4の光線R4及び第5の光線R5を受光する。S204において、処理部4は第2の光線R2に加えて第3の光線R3及び第6の光線R6を射出する。また、処理部4は、処理S204を実行した後に、第2の光線R2、第3の光線R3及び第6の光線R6が撮像部2の第2の画素PX2に入射する直前に、撮像部2のシャッターを閉じる。これにより、撮像部2による撮像を停止させる(S205)。撮像部2は、S207において、第2の光線R2、第3の光線R3及び第6の光線R6を受光する。また、処理部4は、S210において離散色相画素値の組に加えて、代表離散色相値を算出する。以上により、第1の光線R1の光線方向~第6の光線R6の光線方向が算出されるため、光学装置1は、第1の光線R1の光線方向~第6の光線R6の光線方向を識別できる。
【0072】
本変形例では、前述の実施形態等と同様の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。すなわち、本変形例では、前述のように、第1の撮像画像Img1及び第2の撮像画像Img2に基づいて、第1の光線R1の光線方向~第6の光線R6の光線方向を識別できる。したがって、本変形例では、離散色相数より多い数の光線方向を識別できる。また、処理部4は、第1の光線R1の代表離散色相値~第6の光線R6の代表離散色相値に基づいて、第1の光線R1の光線方向~第6の光線R6の光線方向を識別する。そのため、光学装置1では、離散色相画素値の微小な測定誤差等に影響されることなく、光線方向を識別することができる。よって、物体の表面5の形状がさらに確実に算出される。
【0073】
(第4の実施形態)
図13に示すように、第4の実施形態に係る光学装置1は、前述の実施形態等に係る光学装置1と同様である。本実施形態に係る光学装置1では、照明部3が、初期光源41、初期レンズ42、波長可変フィルター43、回折光学素子44及び結像レンズ45を備える。初期光源41は、少なくとも第1の波長及び第2の波長を含む白色光を射出可能である。初期光源41は、例えば白色LEDである。ある一例では、第1の波長は450nmであり、第2の波長は650nmである。初期レンズ42は、初期光源41から射出された光線を平行光に変換する。波長可変フィルター43は、波長可変フィルター43に入射した光線から特定の波長スペクトルを選択する。
【0074】
本実施形態では、波長可変フィルター43は、初期光源41から射出されるとともに初期レンズ42により平行光に変換された光線から、特定の波長スペクトルを有する光線を選択する。波長可変フィルター43は、選択する波長を電気的な作用により経時的に変化させることができる。すなわち、波長可変フィルター43は、機械的な駆動により波長を経時的に変化させるもの(例えば、ガルバノミラー)ではない。ある一例では、波長可変フィルター43は、液晶チューナブルフィルターである。液晶チューナブルフィルターとしては、例えば、Thorlabs社製Kurios-VBIが挙げられる。なお、波長可変フィルター43はこれに限るものではない。
【0075】
回折光学素子44は、光線を回折させるとともに、光線の進行方向を変化させる。回折光学素子44は、透過型であってもよく、反射型であってもよい。本実施形態では、回折光学素子44は、透過型であるとともに、ピッチΛの周期的なグレーティング構造を備える。照明部3において、結像レンズ45は、結像レンズ45の光軸が回折光学素子44の法線方向と一致又は略一致する状態で、配置される。なお、これに限られるものではない。
【0076】
本実施形態では、前述したように、初期光源41から射出された光線群は初期レンズ42によって平行光に変換され、波長可変フィルター43により特定の波長を主成分とする平行光に変換される。ここでは、特定の波長をλとする。この平行光は、回折光学素子44によって回折され、結像レンズ45を通過して物体の表面5に到達する。回折光学素子44における回折角θは、結像レンズ45の光軸、すなわち回折光学素子44の法線方向と光線方向のなす角である。このとき、回折角θ及び波長λは次の関係を満たす。
【0077】
sinθ=±mλ/Λ (1)
ここで、mは整数である。
【0078】
ある一例において、Λが10μmであり、かつ、mが1である場合、式(1)に基づくと、1μm以下の波長範囲では、波長が長いほど回折角が大きくなる。本実施形態では、前述したように、第2の波長は第1の波長よりも波長が大きい。よって、第2の波長を有する第2の光線R2の回折角θ2は、第1の波長を有する第1の光線R1の回折角θ1よりも大きい。また、前述のように、波長可変フィルター43の選択波長を経時的に切り替えることにより、波長可変フィルター43を透過する光線が経時的に変化する。そのため、例えば、波長可変フィルター43の選択波長を経時的に大きくしていくにつれて、波長可変フィルター43を透過する光線の波長が経時的に大きくなる。これにより、回折角θが経時的に大きくなる。
【0079】
本実施形態の光学装置1では、処理部4は、波長可変フィルター43の選択波長として第1の波長を設定する。初期光源41から射出された白色光線は、波長可変フィルター43により、第1の波長を主成分とする平行光である第1の光線R1に変換される。第1の光線R1は、回折光学素子44により第1の光線経路RP1に沿って射出される。前述の実施形態等と同様に、第1の光線R1は、物体の表面5の第1の反射領域Q1において反射される。処理部4は、前述の実施形態等と同様に、撮像部2のシャッター23を開閉して撮像部2に第1の光線R1を受光させる。処理部4は、波長可変フィルター43の選択波長を第2の波長に設定する。初期光源から射出された白色光線は、波長可変フィルター43により第2の波長を主成分とする平行光である第2の光線R2に変換される。第2の光線R2は、回折光学素子44により第2の光線経路RP2に沿って射出される。前述の実施形態等と同様に、第2の光線R2は、物体の表面5の第2の反射領域Q2において反射される。処理部4は、前述の実施形態と同様に、撮像部2のシャッター23を開閉して、撮像部2に第2の光線R2を受光させる。
【0080】
本実施形態では、処理部4による撮像部2のシャッターの制御は、前述の実施形態等に記載した制御のいずれであってもよい。すなわち、処理部4は、撮像部2に第1の光線R1が入射する前にシャッター23を開き、かつ、撮像部2に第2の光線R2が入射した後にシャッター23を閉じてもよい。また、処理部4は、撮像部2に第1の光線R1が入射する前にシャッター23を開くとともに、撮像部2に第1の光線R1が入射した直後、かつ、撮像部2に第2の光線R2が入射した直後に撮像部2のシャッター23を開閉し、撮像部2に第2の光線R2が入射した後にシャッター23を閉じてもよい。また、処理部4は、撮像部2に第1の光線R1が入射する前にシャッターを開くとともに、撮像部2に第1の光線R1が入射した直後、かつ、撮像部2に第2の光線R2が入射する直前に撮像部2のシャッター23を開閉し、撮像部2の第2の光線R2が入射した後にシャッター23を閉じてもよい。処理部4による撮像部2の制御は、第1の光線R1及び第2の光線R2の組み合わせ等により、適宜設定される。
【0081】
以上のようにして、撮像部2は、第1の光線R1及び/又は第2の光線R2に基づく撮像画像を取得する。処理部4は、当該撮像画像に基づいて、第1の離散色相画素値の組及び第2の離散色相画素値の組を算出する。処理部4は、第1の離散色相画素値の組及び第2の離散色相画素値の組の差に基づいて、第1の光線R1の光線方向及び第2の光線R2の光線方向を識別する。また、処理部4は、第1の離散色相画素値の組から第1の代表離散色相値を算出し、第2の離散色相画素値の組から第2の代表離散色相値を算出してもよい。この場合、処理部4は、第1の代表離散色相値及び第2の代表離散色相値に基づいて、第1の光線R1の光線方向及び第2の光線R2の光線方向を識別する。
【0082】
本実施形態では、前述の実施形態等と同様の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。すなわち、本実施形態では、照明部3が波長可変フィルター43及び回折光学素子44を備える。照明部3では、初期光源41から射出された白色光が波長可変フィルター43を透過することで、特定の波長スペクトルを有する光線が選択的に透過される。波長可変フィルター43は、選択する波長を経時的に変化させることで、回折光学素子44による光線の回折角θを変化させる。これにより、本実施形態の光学装置1は、物体の表面5の測定箇所に対して光線を照射できる。
【0083】
また、本実施形態では、波長可変フィルター43が、選択する波長を電気的な作用により経時的に変化させる。そのため、光線方向の切り替えが高速に実行される。これにより、異なる波長スペクトルを有する光線が物体の表面5に素早く照射されるため、光学装置1による光線方向の識別がより速く実行される。したがって、物体の表面5の形状の算出がさらに速く実行しやすくなる。また、波長可変フィルター43が電気的な作用により選択する波長を変化させるため、例えば光学装置1が振動しても、光学装置1は物体の表面5を安定して測定できる。なお、本実施形態では離散色相数が1であってもよい。この場合、撮像部2は、例えばモノクロカメラであってもよい。
【0084】
(第4の実施形態の変形例)
図14に示すように、本変形例では、光軸Oに沿って、初期レンズ42、回折光学素子44、波長可変フィルター43、結像レンズ45が、この順に配置される。初期光源41は、初期レンズ42の焦点に配置される。そして、光軸Oは、複数の光学素子のそれぞれの中心を通る。図14及び図15に示すように、本変形例では、初期レンズ42は導光体である。導光体は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、ガラス、石英等から形成される。導光体としては、例えば、複合放物面型集光器(CPC;Compound parabolic concentrator)である。初期レンズ42は、回折光学素子44が位置する側に、光線の射出面42Tを備える。初期レンズ42は、回折光学素子44が位置する側とは反対側に、反射面42Sを備える。本変形例では、反射面42Sは放物面である。また、初期レンズ42の光軸Oに沿って延設される一対の側面は、初期レンズ42の内部を通過した光線が全反射する状態で形成される。すなわち、初期レンズ42の一対の側面は、内部全反射する状態で形成される。ある一例では、初期レンズ42の一対の側面は、鏡面研磨されている。
【0085】
本変形例では、初期光源41から射出された光線群は、初期レンズ42の反射面42Sによって反射される。初期光源41から射出された光線群が発散光である場合、反射面42Sで反射された反射光は、光軸Oに沿う方向について平行光に変換される。ただし、反射光は、光軸Oに交差する方向について平行光に変換されない。反射光は前述の状態で、初期レンズ42中を導光され、射出面42Tに到達する。反射光は、射出面42Tから射出されることで、光軸Oに交差する方向についても平行光に変換される。以上により、初期光源41から射出された光線群は、平行光に変換される。
【0086】
本変形例では、前述の実施形態等と同様の作用及び効果に加えて、以下の作用及び効果を奏する。すなわち、本変形例では、前述のような構成であるため、初期光源41からの光が、実質的にすべて初期レンズ42に入射する。そして、初期レンズ42により、初期光源41からの光が平行光に変換される。そのため、初期光源41からの光の平行光への変換効率が向上する。
【0087】
なお、上述の各実施形態及び変形例に係る技術は、適宜組み合わせられる。ある一例では、第4の実施形態に係る技術は、第1の実施形態~第3の実施形態等に係る技術と組み合わせられる。別のある一例では、第4の実施形態の変形例に係る技術は、第1の実施形態~第3の実施形態等に係る技術と組み合わせられる。
【0088】
これらの少なくとも一つの実施形態の光学装置1では、照明部から物体に照射された第1の光線及び第2の光線を、撮像部の第1の画素及び第2の画素が受光する。撮像部は当該受光に基づいて撮像画像を撮像し、処理部は撮像部の撮像画像に基づいて、第1の光線の第1の光線方向及び第2の光線の第2の光線方向を算出する。これにより、光学装置1では、複数の光線のそれぞれの光線方向を識別できる。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下、原出願の特許出願時の特許請求の範囲を付記する。
[付記1]
第1の波長を有する第1の光線と、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有する第2の光線とを物体に照射可能な照明部と、
前記物体への前記第1の光線の照射による光を受光可能な第1の画素と、前記物体への前記第2の光線の照射による光を受光可能な第2の画素とを備え、前記第1の画素による前記第1の光線の受光及び前記第2の画素による前記第2の光線の受光に基づいて、撮像画像を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記撮像画像に基づいて、前記第1の光線の第1の光線方向及び前記第2の光線の第2の光線方向を算出する処理部と、
を備える光学装置。
[付記2]
前記処理部は、
前記第1の光線が前記第1の画素で受光されたことに基づいて、前記撮像部に第1の撮像画像を撮像させ、
前記第2の光線が前記第2の画素で受光されたことに基づいて、前記撮像部に第2の撮像画像を撮像させる、
付記1に記載の光学装置。
[付記3]
前記処理部は、
前記撮像画像における前記第1の画素に対応する第1の領域に基づいて、前記第1の光線に関する離散色相画素値を含む第1の離散色相画素値の組を算出し、
前記撮像画像における前記第2の画素に対応する第2の領域に基づいて、前記第2の光線に関する離散色相画素値を含む第2の離散色相画素値の組を算出し、
前記第1の離散色相画素値の組及び前記第2の離散色相画素値の組の両方に基づいて、前記第1の光線方向及び前記第2の光線方向を算出する、
付記1又は2に記載の光学装置。
[付記4]
前記処理部は、前記離散色相画素値が前記離散色相画素値の閾値より小さい場合は、前記離散色相画素値を0に設定する、
付記3に記載の光学装置。
[付記5]
前記処理部は、
前記第1の離散色相画素値の組の中で最も大きい前記離散色相画素値に対応する離散色相値である第1の代表離散色相値を算出し、
前記第2の離散色相画素値の組の中で最も大きい前記離散色相画素値に対応する離散色相値である第2の代表離散色相値を算出し、
前記第1の代表離散色相値及び前記第2の代表離散色相値の両方に基づいて、前記第1の光線方向及び前記第2の光線方向を算出する、
付記3又は4に記載の光学装置。
[付記6]
前記照明部は、前記撮像部における前記第1の光線の受光及び前記第2の光線の受光がずれる状態で、前記物体に前記第1の光線及び前記第2の光線を照射可能である、
付記1~5のいずれか1に記載の光学装置。
[付記7]
前記照明部は、前記第1の波長とは異なる第3の波長を有する第3の光線を、前記第1の光線と実質的に同時に前記第2の光線方向へ射出可能である、
付記1~6のいずれか1に記載の光学装置。
[付記8]
前記照明部は、電気的な作用により選択波長を変更可能な波長可変フィルターと、前記照明部から射出された前記第1の光線及び前記第2の光線を回折可能な回折光学素子と、さらに備え、
前記照明部は、
前記選択波長として設定された前記第1の波長を有する前記第1の光線を、前記回折光学素子で回折することにより、前記第1の光線方向に射出し、
前記選択波長として設定された前記第2の波長を有する前記第2の光線を、前記回折光学素子で回折することにより、前記第2の光線を前記第2の光線方向に射出する、
付記1~7のいずれか1に記載の光学装置。
[付記9]
前記照明部は、
白色光線を発光する光源と、
前記光源から射出された前記白色光線を反射する反射面を備えるとともに、入射した前記白色光線を平行光として射出する導光体と、
を具備する、付記1~8のいずれか1に記載の光学装置。
【符号の説明】
【0090】
1…光学装置、2…撮像部、3…照明部、4…処理部、42…初期レンズ、42S…反射面、43…波長可変フィルター、44…回折光学素子、Ic1~Ic3…閾値、Img…撮像画像、PX1…第1の画素、PX2…第2の画素、R1…第1の光線、R2…第2の光線。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15