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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20241209BHJP
   H01L 31/0216 20140101ALI20241209BHJP
   H01L 31/18 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
H01L31/04 262
H01L31/04 240
H01L31/04 420
【請求項の数】 35
(21)【出願番号】P 2024502542
(86)(22)【出願日】2023-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 CN2023077629
(87)【国際公開番号】W WO2023226487
(87)【国際公開日】2023-11-30
【審査請求日】2024-01-16
(31)【優先権主張番号】202210560944.9
(32)【優先日】2022-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517366220
【氏名又は名称】横店集団東磁股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】任勇
(72)【発明者】
【氏名】何悦
(72)【発明者】
【氏名】任海亮
(72)【発明者】
【氏名】郭▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】石兆春
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼磊
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112531035(CN,A)
【文献】中国実用新案第214203702(CN,U)
【文献】中国実用新案第202513162(CN,U)
【文献】中国実用新案第208701204(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110391304(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111106186(CN,A)
【文献】特表2020-506529(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H01L 31/18-31/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
PECVD法でシリコンウェハの正面に、積層構造であって、厚さが25~50nmで屈折率が2.8~3.4である最内層のSiN層を含む膜層を堆積し、正面被膜付きシリコンウェハを取得するステップ(1)と、
得られた正面被膜付きシリコンウェハに対して裏面PECVDおよびレーザーグルービングを行い、粗製シリコン太陽電池を取得するステップ(2)と、
得られた粗製シリコン太陽電池に対してスクリーン印刷および電気注入を行った後、全黒の結晶シリコン太陽電池を取得するステップ(3)と、を含み、
前記スクリーン印刷の方法は、グルービングを行った後、1回目の印刷を行って乾燥し、2回目の印刷を行って乾燥し、3回目の印刷を行って乾燥し、4回目の印刷を行って乾燥し、焼成し、電池の線幅をテストした後、スクリーン印刷を完了することを含み、前記電池の線幅のテストの誤差は5μm以下であり、前記4回目の印刷は、線幅漸変型スクリーンを用いて押出印刷を行い、前記線幅漸変型スクリーンの線幅は、外側から内側に向かって勾配で減少する、
全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項2】
ステップ(1)に記載の膜層は、内側から外側に向かって積層して構成された最内層のSiN層、中間のSiN層、SiO層およびSiO層を含む、
請求項1に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項3】
ステップ(1)に記載の膜層の最外層はSiO層を含む、
請求項1に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記SiO層の厚さは20nm以上である、
請求項3に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記SiO層の厚さは20~40nmである、
請求項4に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記SiO層の屈折率は1.45~1.55である、
請求項3に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項7】
ステップ(1)に記載の堆積の形態は、
真空引き後、定圧条件でシランおよびアンモニアガスを予備導入するステップ(a)と、
シリコンウェハの正面に最内層のSiN層を堆積するステップ(b)と、
最内層のSiN層の上に中間のSiN層を堆積し、中間のSiN層の上にSiO層を堆積するステップ(c)と、
真空引き後、定圧条件でシランおよび笑気を予備導入するステップ(d)と、
SiO層の上にSiO層を堆積するステップ(e)と、を含む、
請求項2に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項8】
ステップ(a)に記載の定圧の圧力は200~250Paである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項9】
ステップ(a)に記載の予備導入の時間は15~30sである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項10】
ステップ(a)に記載のシランの予備導入流量は2200~2500sccmである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項11】
ステップ(a)に記載のアンモニアガスの予備導入流量は9000~9300sccmである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項12】
ステップ(a)に記載の予備導入の温度は400~600℃である、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項13】
ステップ(b)に記載の堆積の時間は60~80sである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項14】
ステップ(b)に記載の堆積の温度は400~600℃である、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項15】
ステップ(b)に記載の堆積の圧力は200~250Paである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項16】
ステップ(b)に記載の堆積過程でシランおよびアンモニアガスを導入する、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項17】
前記シランの導入流量は2200~2500sccmである、
請求項16に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項18】
前記アンモニアガスの導入流量は9000~9300sccmである、
請求項16に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項19】
ステップ(b)に記載の堆積過程のRF電力は14000~16000Wである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項20】
ステップ(b)に記載の堆積過程のパルスのオン/オフ比は(3~5)/(50~70)である、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項21】
ステップ(d)に記載の定圧の圧力は150~200Paである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項22】
ステップ(d)に記載の予備導入の時間は5~15sである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項23】
ステップ(d)に記載のシランの予備導入流量は600~700sccmである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項24】
ステップ(d)に記載の笑気の予備導入流量は10000~12000sccmである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項25】
ステップ(d)に記載の予備導入の温度は400~600℃である、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項26】
ステップ(e)に記載の堆積の時間は150~200sである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項27】
ステップ(e)に記載の堆積の温度は400~600℃である、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項28】
ステップ(e)に記載の堆積の圧力は100~150Paである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項29】
ステップ(e)に記載の堆積過程でシランおよび笑気を導入する、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項30】
前記シランの導入流量は600~700sccmである、
請求項29に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項31】
前記笑気の導入流量は10000~12000sccmである、
請求項29に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項32】
ステップ(e)に記載の堆積過程のRF電力は14000~16000Wである、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項33】
ステップ(e)に記載の堆積過程のパルスのオン/オフ比は(1~3)/(30~50)である、
請求項7に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項34】
前記線幅漸変型スクリーンの線幅は、外縁から内側に向かって多くとも5mmおきに多くとも1μm減少する、
請求項1に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【請求項35】
前記線幅漸変型スクリーンの精度は±1μmである、
請求項1に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、電池の技術分野に関し、例えば、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法に関し、特に、全黒の結晶シリコン太陽電池、その製造方法および光起電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
再生不可能エネルギーが徐々に枯渇し、地球温暖化がますます深刻となり、再生可能エネルギーを主とするエネルギーシステムを確立し、環境保護で持続可能な発展を実現することは既に共通の認識となる。再生可能エネルギーの利用率は依然として不足し、広い発展空間を有し、ここで、光発電は、経済性に優位性が著しく、エネルギーコストには石炭電気よりも低く、将来も低下しつつあり、発展の潜在力が軽視するべきではない。
【0003】
太陽光エネルギーは、クリーンエネルギーとして、その研究開発が既に新しい段階に進み、電池モジュールの外観の美観の課題に注目し始めた。全黒の太陽光起電モジュールは、その外観の一致性および美観により、ますます広く認められている。
【0004】
全黒のモジュールを取得するために、一方、モジュール材料については黒色のバスバー、被膜ガラス等の補助手段を採用して実現することができ、他方、重要な電池材料は電池生産製造側でよく制御される必要があり、これは、黒モジュールの核心である。結晶シリコン太陽電池の製造過程で理想的な黒色の電池をどのように取得するのかは、技術改良の鍵である。
【0005】
CN204497240Uは、結晶シリコン高効率黒電池のパッシベーション反射防止多層膜の設計を開示し、その内容は、主に以下を含む。前記パッシベーション反射防止多層膜の最下層はSiO層であり、SiO層の屈折率が1.48~1.8で、厚さが2~20nmであり、複数層のパッシベーション反射防止膜の中間層はSiN層であり、SiN層が単層のSiNであってもよいし、異なる屈折率の多層のSiNであってもよく、屈折率範囲が1.90~2.20で、厚さが30~70nmであり、パッシベーション反射防止多層膜の最上層はSiO層であり、SiO層の屈折率が1.6~1.95で、厚さが20~60nmであり、パッシベーション反射防止多層膜は総膜厚が80~140umで、屈折率が1.9~2.1である。該高効率黒太陽電池の多層パッシベーション反射防止膜は、電池シート表面の界面準位を低減し、パッシベーション効果を向上させることができるし、電池シート表面の反射率を低減し、短絡電流を向上させることができるし、それとともに良好なPID減衰耐性特性を有し、且つ、製造された黒電池は、ラミネート後に色が暗くて均一で色差がない。
【0006】
CN205452298Uは、新たな光起電黒色モジュールを開示し、その内容は、主に以下を含む。上から下に向かって順次設けられたガラス板、上封止材、太陽電池シート、下封止材、バックプレート、ガラスおよびバックプレートの縁に被覆されたフレームを備え、バックプレートおよびフレームは黒色であり、太陽電池シートの表面に窒化シリコン膜があり、窒化シリコン膜の屈折率が2.0~2.2で、膜厚が60~90nmであり、ガラス板の表面上の反射防止膜の厚さが100~180nmである。該実用新案の設計原理は、電池シート表面の窒化シリコン膜の厚さおよび屈折率を光起電ガラスおよびガラスの被膜層に合致させ、被膜ガラスと窒化シリコン膜層とよく合致した場合、モジュールの外観が均一な色効果を呈できることにある。該実用新案のモジュールを採用することにより、応用側の色差に対する厳しい要求を満たすことができるとともに、モジュールに高い電力を持たせることができるし、手動で色を細分化するためにかかる時間コストを節約し、作業効率を大きく向上させることもできる。
【0007】
CN208753345Uは、全黒のBIPVモジュールを開示し、その内容は、主に以下を含む。正面にマトリックス状に分布しているパターンシーケンスブロックユニットが設けられた正面ガラスと、正面の封止を行うための透明なPVB接着膜と、太陽光エネルギーと電気エネルギーとの間の変換を実現するための電池シートモジュールと、裏面の封止を行うための黒色のPVB接着膜と、正面および裏面がいずれも艶消面である裏面ガラスとを、上から下に向かって順次備える。該実用新案における全黒のBIPVモジュールは、正面にパターンシーケンスブロックユニットが設けられた正面ガラスを採用することにより、アンチグレアを効果的に実現できて、裏面に黒色のPVB接着膜を採用することにより、周りの建築環境の色に効果的に合致できるとともに、吸光を効果的に行ってモジュールのグレアを弱めることもできる。裏面ガラスの正面および裏面がいずれも艶消面であることにより、BIPVモジュールはどの角度からもグレア低減効果を有する。
【0008】
以上の技術案においても太陽電池の黒色度を向上させるが、CN204497240Uにおける屈折率に対する限定は、著しく欠陥があり、1.9~2.20の屈折率は限界性が小さすぎる。それとともに、外層には酸窒化シリコン層による要求のみを限定し、酸化シリコン層のような他の状況については言及されず、且つ、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition)の単回めっき工程だけであり、他の工程の合致までは展開されていない。CN205452298UおよびCN208753345Uは、モジュールを改良するものに過ぎず、電池の改良が言及されない。
【0009】
従って、太陽電池の外観の全黒を改善する方法の提供は、太陽電池の技術分野で早急に解決すべき問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以下は、本文について詳細に説明する主題の概要である。本概要は、特許請求の範囲を制限するものではない。
【0011】
本願の実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池、その製造方法および光起電モジュールを提供し、PECVD法でシリコンウェハの正面に膜層を堆積し、最内層のSiN層の材料および厚さを設定し、特に、厚さが20nm以上である場合、電池表面に対する入射光の吸収および反射効果に影響していることで、入射光はほぼ完全に吸収されて極めて少量が反射されて、全黒のシリコン結晶太陽電池を取得する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の実施例は、以下の技術案を採用する。
【0013】
態様1において、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法であって、
PECVD法でシリコンウェハの正面に、積層構造で最内層のSiN層を含んで厚さが20nm以上である膜層を堆積し、正面めっき膜付きシリコンウェハを取得するステップ(1)と、
得られた正面めっき膜付きシリコンウェハに対して裏面PECVDおよびレーザーグルービングを行い、粗製シリコン太陽電池を取得するステップ(2)と、
得られた粗製シリコン太陽電池に対してスクリーン印刷および電気注入を行った後、前記全黒の結晶シリコン太陽電池を取得するステップ(3)と、を含む、
全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法。
【0014】
本願に係る製造方法において、PECVD法でシリコンウェハの正面に膜層を堆積し、最内層のSiN層の材料および厚さを設定し、特に、厚さが20nm以上である場合、電池表面に対する入射光の吸収および反射効果に影響していることで、入射光はほぼ完全に吸収されて極めて少量が反射され、全黒のシリコン結晶太陽電池を取得する。
【0015】
本願に係る製造方法における最内層のSiN層の厚さは、電池の外観を黒色に制御する重要な要素であり、厚さが厚いほど20nm以上になると、電池モジュールがラミネートされた黒色効果は良好である。
【0016】
好ましくは、ステップ(1)に記載の膜層は、内側から外側に向かって積層して構成された最内層のSiN層、中間のSiN層、SiO層およびSiO層を含む。
【0017】
好ましくは、ステップ(1)に記載の膜層の最外層はSiO層を含む。
【0018】
好ましくは、前記最内層のSiN層の厚さは20~50nmであり、例えば、20nm、25nm、30nm、40nm、45nm、または50nmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0019】
好ましくは、前記最内層のSiN層の屈折率は2.3以上であり、例えば、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、または2.8であってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用し、2.3~3.4であることが好ましい。
【0020】
本願に係る最内層のSiN層の屈折率は、電池変換効率の影響因子であり、最内層のSiN層の屈折率が2.3以上であることで、太陽電池は全黒の外観に加え、高い変換性能を持つことを確保する。
【0021】
好ましくは、前記SiO層の厚さは20nm以上であり、例えば、20nm、25nm、30nm、40nm、50nm、または60nmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用し、20~40nmであることが好ましい。
【0022】
好ましくは、前記SiO層の屈折率は1.45~1.55であり、例えば、1.45、1.47、1.49、1.51、1.53、または1.55であってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0023】
本願に係るSiO層は、ガラス界面層の低い屈折率に近く、屈折率が1.45~1.55であり、ほぼガラスの屈折率に近く、光の直接入射吸収に有利し、影響しなく屈折および反射現象が発生せず、光の吸収を大きく増加し、電池は視覚的に黒く見える。
【0024】
好ましくは、ステップ(1)に記載の堆積の形態は、
真空引き後、定圧条件でシランおよびアンモニアガスを予備導入するステップ(a)と、
シリコンウェハの正面に最内層のSiN層を堆積するステップ(b)と、
最内層のSiN層の上に中間のSiN層を堆積し、中間のSiN層の上にSiO層を堆積するステップ(c)と、
真空引き後、定圧条件でシランおよび笑気を予備導入するステップ(d)と、
SiO層の上にSiO層を堆積するステップ(e)と、を含む。
【0025】
好ましくは、ステップ(a)に記載の定圧の圧力は200~250Paであり、例えば、200Pa、210Pa、220Pa、230Pa、240Pa、または250Paであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0026】
好ましくは、ステップ(a)に記載の予備導入の時間は15~30sであり、例えば、15s、18s、20s、22s、25s、28s、または30sであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0027】
好ましくは、ステップ(a)に記載のシランの予備導入流量は2200~2500sccmであり、例えば、2200sccm、2250sccm、2300sccm、2400sccm、2450sccm、または2500sccmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0028】
好ましくは、ステップ(a)に記載のアンモニアガスの予備導入流量は9000~9300sccmであり、例えば、9000sccm、9050sccm、9100sccm、9200sccm、または9300sccmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0029】
好ましくは、ステップ(a)に記載の予備導入の温度は400~600℃であり、例えば、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃であってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0030】
好ましくは、ステップ(b)に記載の堆積の時間は60~80sであり、例えば、60s、65s、70s、75s、または80sであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0031】
好ましくは、ステップ(b)に記載の堆積の温度は400~600℃であり、例えば、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃であってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0032】
好ましくは、ステップ(b)に記載の堆積の圧力は200~250Paであり、例えば、200Pa、210Pa、220Pa、230Pa、240Pa、または250Paであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0033】
好ましくは、ステップ(b)に記載の堆積過程でシランおよびアンモニアガスを導入する。
【0034】
好ましくは、前記シランの導入流量は2200~2500sccmであり、例えば、2200sccm、2250sccm、2300sccm、2350sccm、2400sccm、2450sccm、または2500sccmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0035】
好ましくは、前記アンモニアガスの導入流量は9000~9300sccmであり、例えば、9000sccm、9050sccm、9100sccm、9200sccm、または9300sccmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0036】
好ましくは、ステップ(b)に記載の堆積過程のRF電力は14000~16000Wであり、例えば、14000W、14500W、15000W、15500W、または16000Wであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0037】
好ましくは、ステップ(b)に記載の堆積過程のパルスのオン/オフ比は(3~5)/(50~70)であり、例えば、3/50、4/60、5/70、3/70、または5/50であってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0038】
好ましくは、ステップ(d)に記載の定圧の圧力は150~200Paであり、例えば、150Pa、180Pa、200Pa、210Pa、220Pa、230Pa、240Pa、または250Paであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0039】
好ましくは、ステップ(d)に記載の予備導入の時間は5~15sであり、例えば、5s、8s、10s、12s、または15sであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0040】
好ましくは、ステップ(d)に記載のシランの予備導入流量は600~700sccmであり、例えば、600sccm、620sccm、640sccm、660sccm、680sccm、または700sccmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0041】
好ましくは、ステップ(d)に記載の笑気の予備導入流量は10000~12000sccmであり、例えば、10000sccm、10500sccm、11000sccm、11500sccm、または12000sccmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0042】
好ましくは、ステップ(d)に記載の予備導入の温度は400~600℃であり、例えば、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃であってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0043】
好ましくは、ステップ(e)に記載の堆積の時間は150~200sであり、例えば、150s、160s、170s、180s、190s、または200sであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0044】
好ましくは、ステップ(e)に記載の堆積の温度は400~600℃であり、例えば、400℃、450℃、500℃、550℃、600℃であってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0045】
好ましくは、ステップ(e)に記載の堆積の圧力は100~150Paであり、例えば、150Pa、180Pa、200Pa、210Pa、220Pa、230Pa、240Pa、または250Paであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0046】
好ましくは、ステップ(e)に記載の堆積過程でシランおよび笑気を導入する。
【0047】
好ましくは、前記シランの導入流量は600~700sccmであり、例えば、600sccm、620sccm、640sccm、660sccm、680sccm、または700sccmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0048】
好ましくは、前記笑気の導入流量は10000~12000sccmであり、例えば、10000sccm、10500sccm、11000sccm、11500sccm、または12000sccmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0049】
好ましくは、ステップ(e)に記載の堆積過程のRF電力は14000~16000Wであり、例えば、14000W、14500W、15000W、15500W、または16000Wであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0050】
好ましくは、ステップ(e)に記載の堆積過程のパルスのオン/オフ比は(1~3)/(30~50)であり、例えば、1/30、2/40、3/50、1/50、または3/30であってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0051】
好ましくは、ステップ(3)に記載のスクリーン印刷は、線幅漸変型スクリーンを用いてスクリーン印刷を行う。
【0052】
好ましくは、前記線幅漸変型スクリーンの線幅は、外側から内側に向かって勾配で減少する。
【0053】
好ましくは、前記線幅漸変型スクリーンの線幅は、外縁から内側に向かって多くとも5mmおきに多くとも1μm減少する。
【0054】
多くとも5mmおきにとは、例えば、1mm、2mm、3mm、4mm、または5mmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0055】
多くとも1μm減少するとは、例えば、0.2μm、0.4μm、0.6μm、0.8μm、または1μmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0056】
好ましくは、前記線幅漸変型スクリーンの精度は±1μmであり、例えば、±0.1μm、±0.2μm、±0.5μm、±0.8μm、または±1μmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0057】
本願に係る好ましい技術案として、前記線幅漸変型スクリーンは、縁を開始として内側への12~15mmで、4~5mmおきに線幅が0.5~1μm減少し、開始位置の線幅が19~21μmである。
【0058】
関連技術において、印刷過程のスクリーンの線幅は、実際の電池の線幅との間に差があり、電池モジュールのラミネート後の外観の視覚的な色に影響し、線幅が狭いほど黒くなるが、線幅が広いほど灰色になる。それとともに、裏面のメッキ膜が正面にオーバーフローコーティングされるため、電池の周辺は青く見える。
【0059】
本願は、特殊な線幅構造の線幅漸変型スクリーンを設計し、スクリーンの周辺の拡幅設計を行うことにより、青く見える効果を隠し、ラミネート後に視覚的に黒くなる効果を形成し、ステップ(2)における裏面PECVD時にメッキのオーバーフローコーティングが発生しやすいことにより、電池の周辺が青く見える現象を解決し、太陽電池は視覚的に全黒となる。
【0060】
好ましくは、ステップ(3)に記載のスクリーン印刷の方法は、ウェハを入れてグルービングを行った後、1回目の印刷を行って乾燥し、2回目の印刷を行って乾燥し、3回目の印刷を行って乾燥し、4回目の印刷を行って乾燥し、焼成し、電池の線幅をテストした後、スクリーン印刷を完了することを含む。
【0061】
好ましくは、前記4回目の印刷は、線幅漸変型スクリーンを用いて押出印刷を行う。
【0062】
好ましくは、前記線幅漸変型スクリーンの線幅は、外側から内側に向かって勾配で減少する。外側から内側に向かうとは、線幅漸変型スクリーンの最外縁から内側に向かって勾配で減少することを意味する。
【0063】
好ましくは、前記線幅漸変型スクリーンの線幅は、外縁から内側に向かって多くとも5mmおきに多くとも1μm減少する。
【0064】
多くとも5mmおきにとは、例えば、1mm、2mm、3mm、4mm、または5mmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0065】
多くとも1μm減少するとは、例えば、0.2μm、0.4μm、0.6μm、0.8μm、または1μmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0066】
好ましくは、前記電池の線幅のテストの誤差は5μm以下であり、例えば、1μm、2μm、3μm、4μm、または5μmであってもよいが、挙げられた数値に限定されず、数値範囲内の挙げられていない他の数値も同様に適用する。
【0067】
電池間の線幅の誤差が5μmを超えると、電池全体には顕著な色飛びがあり、視覚的な黒色効果に影響しやすい。
【0068】
態様2において、本願の実施例は、態様1に記載の製造方法により得られる全黒の結晶シリコン太陽電池を提供する。
【0069】
態様3において、本願の実施例は、態様2に記載の全黒の結晶シリコン太陽電池を含む光起電モジュールを提供する。
【発明の効果】
【0070】
以上の技術案により、本願の実施例の有益な効果は以下のとおりである。
【0071】
(1)本願の実施例に係る製造方法において、PECVD法でシリコンウェハの正面に膜層を堆積し、最内層のSiN層の材料および厚さを設定し、特に、厚さが20nm以上である場合、電池表面に対する入射光の吸収および反射効果に影響していることで、入射光はほぼ完全に吸収されて極めて少量が反射されて、視覚的な黒色効果が全体で良好な全黒のシリコン結晶太陽電池を取得する。
【0072】
(2)太陽電池は全黒の外観に加え、高い変換性能を更に持つことを確保する。
【0073】
(3)本願の実施例は、特殊な線幅構造の線幅漸変型スクリーンを設計し、印刷過程を調整することにより、裏面PECVD時にメッキのオーバーフローコーティングが発生しやすいことにより、電池の周辺が青く見える現象を解決し、太陽電池は視覚的に色が全黒となり、外観が均一で色差がなく、一致性が良好である。
【0074】
図面および詳細な説明を閲読し理解してから、他の態様も理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図面は、本願の技術案に対する理解を提供するためのものであり、明細書の一部を構成し、本願の実施例と共に本願の技術案を解釈するためのものであり、本願の技術案を限定するものではない。
【0076】
図1】本願に係る膜層の構造模式図である。
図2】実施例1に係る漸変型線幅スクリーンの構造模式図である。
【符号の説明】
【0077】
1:シリコンウェハ;2:最内層のSiN層;3:中間のSiN層;4:SiO層;5:SiO層。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら本願の技術案について更に説明する。しかし、下記実施例は本願の簡単な例に過ぎず、本願の特許請求の範囲を代表又は制限するものではなく、本願の保護範囲は特許請求の範囲を基準とするものである。
【実施例1】
【0079】
本実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、前記方法は、以下のステップ(1)~(3)を含む。
【0080】
(1)PECVD法でシリコンウェハ1(LONGI社のシリコンウェハ、比抵抗0.4~1.1、厚さ160μm、サイズ166mm)の正面に膜層を堆積し(図1)、前記膜層は積層構造であり、正面めっき膜付きシリコンウェハを取得する。前記膜層は、内側から外側に向かって最内層のSiN層2、中間のSiN層3、SiO層4およびSiO層5が積層されて構成された。最内層のSiN層2は、厚さが20nmで、屈折率が2.3である。前記SiO層5は最外層であり、厚さが20nmで、屈折率が1.5である。
【0081】
前記膜層の堆積方法は、以下(a)~(e)を含む。
【0082】
(a)真空引き後、定圧230Paの条件でシランおよびアンモニアガスを予備導入し、時間が20sで、シランの流量が2316sccmで、アンモニアガスの流量が9276sccmで、温度が500℃である。
【0083】
(b)シリコンウェハ1の正面に最内層のSiN層2を堆積し、堆積時間が70sで、温度が500℃で、定圧240Paで、シランの流量が2316sccmで、アンモニアガスの流量が9276sccmで、RF電力が14500Wで、パルスのオン/オフ比が4/60である。
【0084】
(c)最内層のSiN層2の上に中間のSiN層3を堆積し、中間のSiN層3の上にSiO層4を堆積する。
【0085】
(d)真空引き後、定圧180Paの条件で、温度が500℃で、シランおよび笑気を10s予備導入し、シランの流量が686sccmで、笑気の流量が10990sccmである。
【0086】
(e)SiO層4の上にSiO層5を堆積し、時間が190sで、温度が500℃で、定圧130paで、シランの流量が686sccmで、笑気の流量が10990sccmで、RF電力が14500Wで、パルスのオン/オフ比が2/38である。
【0087】
(2)得られた正面めっき膜付きシリコンウェハに対して裏面PECVDおよびレーザーグルービングを行い、粗製シリコン太陽電池を取得する。
【0088】
(3)得られた粗製シリコン太陽電池に対してスクリーン印刷および電気注入を行った後、前記全黒の結晶シリコン太陽電池を取得する。
【0089】
スクリーン印刷の方法は、ウェハを入れてグルービングを行った後、1回目の印刷を行って乾燥し、2回目の印刷を行って乾燥し、3回目の印刷を行って乾燥し、線幅漸変型スクリーンを採用して4回目の印刷を行って乾燥し、焼成し、電池の線幅をテストした後、スクリーン印刷を完了することを含む。
【0090】
前記線幅漸変型スクリーン(図2)は、縁を開始として内側への15mmで、5mmおきに線幅が1μm減少し、開始位置の線幅が20μmである。
【実施例2】
【0091】
本実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、前記方法は、以下のステップ(1)~(3)を含む。
【0092】
(1)PECVD法でシリコンウェハ1の正面に膜層を堆積し(図1)、前記膜層は積層構造であり、正面めっき膜付きシリコンウェハを取得する。前記膜層は、内側から外側に向かって最内層のSiN層2、中間のSiN層3、SiO層4およびSiO層5が積層されて構成された。最内層のSiN層2の厚さが22nmで、屈折率が2.5である。前記SiO層5が最外層であり、厚さが22nmで、屈折率が1.45である。
【0093】
前記膜層の堆積方法は、以下(a)~(e)を含む。
【0094】
(a)真空引き後、定圧250Paの条件でシランおよびアンモニアガスを予備導入し、時間が30sで、シランの流量が2200sccmで、アンモニアガスの流量が9300sccmで、温度が400℃である。
【0095】
(b)シリコンウェハ1の正面に最内層のSiN層2を堆積し、堆積時間が80sで、温度が400℃で、定圧250Paで、シランの流量が2500sccmで、アンモニアガスの流量が9300sccmで、RF電力が16000Wで、パルスのオン/オフ比が3/70である。
【0096】
(c)最内層のSiN層2の上に中間のSiN層3を堆積し、中間のSiN層3の上にSiO層4を堆積する。
【0097】
(d)真空引き後、定圧200Paの条件で、温度が400℃で、シランおよび笑気を15s予備導入し、シランの流量が700sccmで、笑気の流量が12000sccmである。
【0098】
(e)SiO層4の上にSiO層5を堆積し、時間が200sで、温度が400℃で、定圧150paで、シランの流量が700sccmで、笑気の流量が12000sccmで、RF電力が16000Wで、パルスのオン/オフ比が1/50である。
【0099】
(2)得られた正面めっき膜付きシリコンウェハに対して裏面PECVDおよびレーザーグルービングを行い、粗製シリコン太陽電池を取得する。
【0100】
(3)得られた粗製シリコン太陽電池に対してスクリーン印刷および電気注入を行った後、前記全黒の結晶シリコン太陽電池を取得する。
【0101】
スクリーン印刷の方法は、ウェハを入れてグルービングを行った後、1回目の印刷を行って乾燥し、2回目の印刷を行って乾燥し、3回目の印刷を行って乾燥し、線幅漸変型スクリーンを採用して4回目の印刷を行って乾燥し、焼成し、電池の線幅をテストした後、スクリーン印刷を完了することを含む。
【0102】
前記線幅漸変型スクリーンは、縁を開始として内側への12mmで、4mmおきに線幅が0.5μm減少し、開始位置の線幅が21μmである。
【実施例3】
【0103】
本実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、前記方法は、以下のステップ(1)~(3)を含む。
【0104】
(1)PECVD法でシリコンウェハ1の正面に膜層を堆積し(図1)、前記膜層は積層構造であり、正面めっき膜付きシリコンウェハを取得する。前記膜層は、内側から外側に向かって最内層のSiN層2、中間のSiN層3、SiO層4およびSiO層5が積層されて構成された。最内層のSiN層2の厚さが28nmで、屈折率が2.5であり、前記SiO層5が最外層である。厚さが25nmで、屈折率が1.55である。
【0105】
前記膜層の堆積方法は、以下(a)~(e)を含む。
【0106】
(a)真空引き後、定圧200Paの条件で、シランおよびアンモニアガスを予備導入し、時間が15sで、シランの流量が2200sccmで、アンモニアガスの流量が9000sccmで、温度が400℃である。
【0107】
(b)シリコンウェハ1の正面に最内層のSiN層2を堆積し、堆積時間が60sで、温度が600℃で、定圧200Paで、シランの流量が2200sccmで、アンモニアガスの流量が9000sccmで、RF電力が14000Wで、パルスのオン/オフ比が5/70である。
【0108】
(c)最内層のSiN層2の上に中間のSiN層3を堆積し、中間のSiN層3の上にSiO層4を堆積する。
【0109】
(d)真空引き後、定圧150Paの条件で、温度が400℃で、シランおよび笑気を15s予備導入し、シランの流量が600sccmで、笑気の流量が10000sccmである。
【0110】
(e)SiO層4の上にSiO層5を堆積し、時間が190sで、温度が500℃で、定圧130paで、シランの流量が600sccmで、笑気の流量が10000sccmで、RF電力が14000Wで、パルスのオン/オフ比が1/30である。
【0111】
(2)得られた正面めっき膜付きシリコンウェハに対して裏面PECVDおよびレーザーグルービングを行い、粗製シリコン太陽電池を取得する。
【0112】
(3)得られた粗製シリコン太陽電池に対してスクリーン印刷および電気注入を行った後、前記全黒の結晶シリコン太陽電池を取得する。
【0113】
スクリーン印刷の方法は、ウェハを入れてグルービングを行った後、1回目の印刷を行って乾燥し、2回目の印刷を行って乾燥し、3回目の印刷を行って乾燥し、線幅漸変型スクリーンを採用して4回目の印刷を行って乾燥し、焼成し、電池の線幅をテストした後、スクリーン印刷を完了することを含む。
【0114】
前記線幅漸変型スクリーンは、縁を開始として内側への15mmで、5mmおきに線幅が1μm減少し、開始位置の線幅が19μmである。
【実施例4】
【0115】
本実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、最内層のSiN層の屈折率が2である以外は、実施例1と同じである。
【実施例5】
【0116】
本実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、SiO層の屈折率が1.3である以外は、実施例1と同じである。
【実施例6】
【0117】
本実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、SiO層の屈折率が1.6である以外は、実施例1と同じである。
【実施例7】
【0118】
本実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、ステップ(3)では漸変式線幅スクリーンを採用せずに通常のスクリーンに置き換える以外は、実施例1と同じである。
【実施例8】
【0119】
本実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、最内層のSiN層の厚さが55nmである以外は、実施例1と同じである。
【実施例9】
【0120】
本実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、SiO層の厚さが15nmである以外は、実施例1と同じである。
【実施例10】
【0121】
本実施例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、SiO層の厚さが45nmである以外は、実施例1と同じである。
【0122】
[比較例1]
本比較例は、全黒の結晶シリコン太陽電池の製造方法を提供し、最内層のSiN層の厚さが15nmである以外は、実施例1と同じである。
【0123】
[比較例2]
本比較例は、シリコン太陽電池の製造方法を提供し、前記方法は、CN204497240Uに従って得られる。
【0124】
上記製造方法で得られた太陽電池をテストして検出した結果、以下の表1に示すとおりである。
【0125】
【表1】
【0126】
上記表1から、以下のような結論が得られる。
【0127】
(1)実施例1~3から、本願に係る製造方法が、電池表面に対する入射光の吸収および反射効果に影響していることで、入射光はほぼ完全に吸収されて極めて少量が反射されて、全黒のシリコン結晶太陽電池を取得するとともに、高い変換性能を更に備えることが分かった。
【0128】
(2)実施例4と実施例1との比較から、最内層のSiN層の屈折率が2.3以上でない場合、製造された全黒の結晶シリコン太陽電池の黒色効果が悪いことが分かった。
【0129】
(3)実施例5、6と実施例1との比較から、SiO層の屈折率が本願に係る1.45~1.55の範囲内にない場合、製造された全黒の結晶シリコン太陽電池の黒色効果が悪いことが分かった。
【0130】
(4)実施例7と実施例1との比較から、本願に係る漸変式線幅スクリーンを採用しない場合、製造された全黒の結晶シリコン太陽電池の周辺が青く見えることが分かった。
【0131】
(5)実施例8と実施例1との比較から、最内層のSiN層の厚さが55nmよりも大きい場合、製造された全黒の結晶シリコン太陽電池の黒色効果が悪いことが分かった。
【0132】
(6)実施例9、10と実施例1との比較から、SiO層の厚さが20~40nmの範囲内にない場合、製造された全黒の結晶シリコン太陽電池の黒色効果が悪いことが分かった。
【0133】
(7)比較例1と実施例1との比較から、最内層のSiN層の厚さが本願に係る20nm以上でない場合、製造された全黒の結晶シリコン太陽電池の黒色効果が悪いことが分かった。
【0134】
(8)比較例2と実施例1との比較から、本願の関連技術における改良は、全黒の結晶シリコン太陽電池の黒色効果および変換効率を向上させることが分かった。
【0135】
本願は、上記実施例により本願の詳細な構造特徴を説明したが、本願は上記詳細な構造特徴に限定するものではなく、すなわち、本願は上記詳細な構造特徴に依存して実施しなければならないことを意味するものではない。当業者であれば、本願に対するいかなる改良、本願に使用される部材に対する等価的な置換および補助部品の追加、具体的な形態の選択等は、全て本願の保護範囲および開示範囲内に含まれることを理解すべきである。
図1
図2