(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、ロボット、サービス提供システム、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/2285 20240101AFI20241209BHJP
G05D 1/43 20240101ALN20241209BHJP
【FI】
G05D1/2285
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2024529379
(86)(22)【出願日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 JP2023022043
【審査請求日】2024-05-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】赤穂 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】朴 東錫
(72)【発明者】
【氏名】小田桐 弘岳
(72)【発明者】
【氏名】鶴 直樹
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-152442(JP,A)
【文献】特開2016-090724(JP,A)
【文献】特開2019-175432(JP,A)
【文献】特開2022-067687(JP,A)
【文献】特開2009-131928(JP,A)
【文献】特開2019-018336(JP,A)
【文献】特開2017-221991(JP,A)
【文献】特開2022-140115(JP,A)
【文献】特開2019-053650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/2285
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置であって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え
、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの発言の検出結果である発言情報を含み、
前記判定部は、前記発言情報を用いて発言量を算出し、算出した発言量に基づいて前記サービスを提供するタイミングを決定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記サービスは、前記ユーザへ飲み物を運搬する飲み物運搬サービスを含むことを特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記発言量は、前記ユーザが発言したトータルの時間または前記ユーザが発言した文字数であることを特徴とする請求項
1または
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、気温に基づいて前記ユーザへ運搬する前記飲み物を決定することを特徴とする請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記気温が定められた値未満である場合に、温かい飲み物を含めてユーザのもとへ運搬することを決定し、前記気温が定められた値以上の場合には、冷たい飲み物だけをユーザのもとへ運搬することを特徴とする請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置であって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの作業であるユーザ作業が終了したか否かを示す終了情報を含み、
前記判定部は、前記終了情報に基づいて、前記ユーザ作業が終了したか否かを判定し、前記ユーザ作業が終了したと判定すると、前記ユーザ作業が終了した際に行うあらかじめ定められた前記サービスである第1のサービスを提供すると決定し、前記指令生成部に前記第1のサービスを提供するための前記指令の生成を指示することを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項7】
前記第1のサービスは、前記ユーザの机の上の片付けを行うサービスを含むことを特徴とする請求項
6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ユーザ作業は、机の上のコンピュータを用いた作業であり、前記ユーザ情報は前記コンピュータのシャットダウンを示す情報を含むことを特徴とする請求項
6または
7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置であって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの作業であるユーザ作業が中断したか否かを示す中断情報を含み、
前記判定部は、前記中断情報に基づいて、前記ユーザ作業が中断したか否かを判定し、前記ユーザ作業が中断したと判定すると、前記ユーザ作業が中断した際に行うあらかじめ定められた前記サービスである第2のサービスを提供すると決定し、前記指令生成部に前記第2のサービスを提供するための前記指令の生成を指示することを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項10】
前記第2のサービスは、前記ユーザに飲み物を運搬する飲み物運搬サービスを含むことを特徴とする請求項
9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置であって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの忙しさを示す情報を含み、
前記判定部は、前記忙しさを示す情報に基づいて、前記ユーザの忙しさの度合いを判定し、前記忙しさの度合いに基づいて前記サービスを提供するタイミングを決定することを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項12】
前記判定部は、前記忙しさの度合いがしきい値を超えた場合に、前記サービスとして家事代行サービスを提供すると決定し、前記家事代行サービスを提供するための前記指令の生成を前記指令生成部に指示することを特徴とする請求項1
1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記ユーザの忙しさを示す情報は、前記ユーザの移動速度を示す情報と前記ユーザのスケジュールを示す情報とのうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1
1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置であって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え、
前記判定部は、前記ユーザ情報に基づいて、前記ユーザが睡眠中であるか否かを判定し、前記ユーザが睡眠中である場合、前記ユーザが存在する第1のエリアから遠い第2のエリアにおいて前記サービスを提供することを決定し、前記第2のエリアにおいて前記サービスを提供するための前記指令の生成を前記指令生成部に指示することを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項15】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置であって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え、
前記ユーザ情報は、前記サービスの提供の対象となる対象エリアを撮影して得られる撮影データを含み、
前記判定部は、前記撮影データに基づいて、前記対象エリアが定められた基準状態から変化したか否かを判定し、前記対象エリアが前記基準状態から変化したと判定した場合に、前記サービスとして掃除および片付けのうち少なくとも一方のサービスを提供することを決定し、決定した前記サービスを提供するための前記指令の生成を前記指令生成部に指示することを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項16】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置であって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え、
前記ユーザ情報は、前記サービスの提供の対象となる対象エリアのうち前記ユーザに設定された特定エリアを撮影して得られる撮影データを含み、
前記判定部は、前記撮影データに基づいて、前記特定エリアが定められた基準状態から変化したか否かを判定し、前記特定エリアが前記基準状態から変化したと判定した場合に、前記サービスとして前記特定エリアの掃除および片付けのうち少なくとも一方のサービスを提供することを決定し、決定した前記サービスを提供するための前記指令の生成を前記指令生成部に指示することを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項17】
前記判定部は、前記対象エリアの状態の検出結果を用いて、前記対象エリアに汚れがあるか否かを判定し、汚れがあると判定した場合に、前記サービスとして前記汚れがあると判定された箇所の掃除を行うサービスを提供することを決定し、決定した前記サービスを提供するための前記指令の生成を前記指令生成部に指示することを特徴とする請求項1
5または1
6に記載の情報処理装置。
【請求項18】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置であって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え、
前記ユーザ情報は、前記ユーザが前記サービスを受ける地域を示す情報を含み、
前記判定部は、前記ユーザが存在する地域を示す情報に基づいて、前記サービスの提供を許可する時間帯である許可時間帯を設定し、決定された前記タイミングが前記許可時間帯内である場合に、前記指令生成部に前記サービスを提供するための前記指令の生成を指示することを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項19】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置であって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する指令生成部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え、
前記ユーザ情報は、ユーザの周囲の気温および湿度のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とす
る情報処理装置。
【請求項20】
前記サービスは、前記ユーザへ飲み物を運搬する飲み物運搬サービスを含み、
前記判定部は、前記気温がしきい値を超えると前記飲み物を提供する前記タイミングであると判定することを特徴とする請求項
19に記載の情報処理装置。
【請求項21】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットであって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成し、生成した前記指令を前記可動部に出力する動作制御部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え
、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの作業であるユーザ作業が終了したか否かを示す終了情報を含み、
前記判定部は、前記終了情報に基づいて、前記ユーザ作業が終了したか否かを判定し、前記ユーザ作業が終了したと判定すると、前記ユーザ作業が終了した際に行うあらかじめ定められた前記サービスである第1のサービスを提供すると決定し、前記動作制御部に前記第1のサービスを提供するための前記指令の生成を指示することを特徴とするロボット。
【請求項22】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットと、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を検出する検出装置と、を備え、
前記ロボットは、
前記検出装置から前記ユーザ情報を取得する取得部と、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成し、生成した前記指令を前記可動部に出力する動作制御部と、
を備え、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え
、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの作業であるユーザ作業が終了したか否かを示す終了情報を含み、
前記判定部は、前記終了情報に基づいて、前記ユーザ作業が終了したか否かを判定し、前記ユーザ作業が終了したと判定すると、前記ユーザ作業が終了した際に行うあらかじめ定められた前記サービスである第1のサービスを提供すると決定し、前記動作制御部に前記第1のサービスを提供するための前記指令の生成を指示することを特徴とするサービス提供システム。
【請求項23】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置における情報処理方法であって、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する
取得ステップと、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する
判定ステップと、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する
生成ステップと、
を含み、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え
、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの作業であるユーザ作業が終了したか否かを示す終了情報を含み、
前記判定ステップでは、前記終了情報に基づいて、前記ユーザ作業が終了したか否かが判定され、前記ユーザ作業が終了したと判定されると、前記ユーザ作業が終了した際に行うあらかじめ定められた前記サービスである第1のサービスを提供すると決定され、
前記生成ステップでは、前記判定ステップで前記第1のサービスを提供すると決定されると、前記第1のサービスを提供するための前記指令が生成されることを特徴とする情報処理方法。
【請求項24】
可動部を備え前記可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御するコンピュータシステムに、
前記ユーザの状態と前記ユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する
取得ステップと、
前記ユーザ情報を用いて、前記サービスを提供するタイミングを決定する
判定ステップと、
決定された前記タイミングに基づいて前記ロボットが前記タイミングで前記サービスを提供するための指令を生成する
生成ステップと、
を実行させ、
前記可動部は、
前記ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、
前記サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、
を備え
、
前記ユーザ情報は、前記ユーザの作業であるユーザ作業が終了したか否かを示す終了情報を含み、
前記判定ステップでは、前記終了情報に基づいて、前記ユーザ作業が終了したか否かが判定され、前記ユーザ作業が終了したと判定されると、前記ユーザ作業が終了した際に行うあらかじめ定められた前記サービスである第1のサービスを提供すると決定され、
前記生成ステップでは、前記判定ステップで前記第1のサービスを提供すると決定されると、前記第1のサービスを提供するための前記指令が生成されることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サービスを提供するロボットを制御する情報処理装置、ロボット、サービス提供システム、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭、職場などの様々な場面でロボットの活用が期待されている。特許文献1には、多関節のアームと、アームの先端に接続され対象物を把持するハンドとを有する自走式ロボットが開示されている。特許文献1に記載の技術では、ユーザからの指示と指示に対応するロボットの動作とがあらかじめ対応付けられており、ロボットは、例えば、「ジュースが飲みたい」といったユーザからの指示が入力されると、当該指示に対応付けられている動作を実施する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、ユーザから指示があった場合に、指示に対応する動作がロボットにより行われる。このため、ユーザは所望の動作に対応する指示を明示的にロボットに対して示す必要があり、ロボットによるサービスの提供を受けるためにユーザの手間がかかるという問題がある。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザの手間を省いてロボットによるユーザへのサービスの提供を可能にする情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる情報処理装置は、可動部を備え可動部を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボットを制御する情報処理装置であって、ユーザの状態とユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部と、ユーザ情報を用いて、サービスを提供するタイミングを決定する判定部と、決定されたタイミングに基づいてロボットが決定されたタイミングでサービスを提供するための指令を生成する指令生成部と、を備え、可動部は、ロボットの位置を移動させる駆動機構である移動機構と、サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構と、を備え、ユーザ情報は、ユーザの発言の検出結果である発言情報を含み、判定部は、発言情報を用いて発言量を算出し、算出した発言量に基づいてサービスを提供するタイミングを決定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる情報処理装置は、ユーザの手間を省いてロボットによるユーザへのサービスの提供を可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1にかかるサービス提供システムの構成例を示す図
【
図2】実施の形態1のロボットによるサービス提供を模式的に示す図
【
図3】実施の形態1のロボットの動作の一例を示すフローチャート
【
図4】実施の形態1におけるサービス提供システムの別の構成例を示す図
【
図5】実施の形態1におけるサービス提供システムの別の構成例を示す図
【
図6】実施の形態1の情報処理装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図
【
図7】実施の形態2にかかるサービス提供システムにより提供されるサービスの一例を示す概念図
【
図8】実施の形態2のロボットの動作の一例を示すフローチャート
【
図9】実施の形態3にかかるサービス提供システムにより提供されるサービスの一例を示す概念図
【
図10】実施の形態3のロボットの動作の一例を示すフローチャート
【
図11】実施の形態4にかかるサービス提供システムにより提供されるサービスの一例を示す概念図
【
図12】実施の形態4のロボットの動作の一例を示すフローチャート
【
図13】実施の形態4の対象エリアの片付けサービスの一例を示す図
【
図14】実施の形態4の対象エリアにおいて液体が床にこぼれた状態を示す図
【
図16】実施の形態5にかかるロボットの動作の一例を示すフローチャート
【
図17】実施の形態5のロボットによるサービスの提供の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる情報処理装置、ロボット、サービス提供システム、情報処理方法およびプログラムを図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるサービス提供システムの構成例を示す図である。本実施の形態のサービス提供システム100は、ユーザにサービスを提供することが可能なロボット1と、ユーザの状態とユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を検出する検出装置4と、ユーザ情報を提供する情報提供装置5とを備える。
図1では、ロボット1がユーザ情報を取得する際の取得元として、検出装置4および情報提供装置5の2種類を図示しているが、ユーザ情報の取得元は、検出装置4と情報提供装置5とのうちの少なくとも一方を含めばよく、サービス提供システム100は、検出装置4と情報提供装置5とのうちのいずれか一方を備えなくてもよい。また、
図1では、検出装置4を2台図示しているが、検出装置4が用いられる場合の検出装置4の台数は1台以上であればよく、この例に限定されない。
【0011】
本実施の形態では、ロボット1は、ユーザ情報を用いて、サービスを提供するタイミングを決定し、決定されたタイミングに基づいてサービスを提供する動作を実行する。したがって、ユーザは、ロボット1によるサービスの提供を受けるために、ロボット1へ指示を行う必要がない。このため、本実施の形態では、ユーザの手間を省いてロボット1によるユーザへのサービスの提供が可能となり、ユーザの生活の快適性が向上する。
【0012】
ユーザ情報は、例えば、ユーザの状態とユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含む情報である。具体的には、ユーザの状態を示す情報は、例えば、ユーザのバイタル、ユーザのスケジュール、ユーザの移動速度、ユーザの位置、ユーザが行う作業の状態、ユーザの音声、ユーザの表情などのうちの少なくとも1つを示す情報を含む。ユーザのバイタルは、例えば、脈拍(心拍)、呼吸数、血圧、体温などのうちの少なくとも1つである。また、ユーザの周囲の環境を示す情報は、具体的には、例えば、気温、湿度、天気、ロボット1がサービスを提供するエリア(例えば、ユーザが使用するまたは管理するエリア)における物の位置、時間帯、ユーザがロボット1からサービスの提供を受ける地域(例えば、ユーザが現在存在する地域)などのうちの少なくとも1つを示す情報である。
【0013】
また、ユーザ情報は、さらに、ユーザの属性を示す属性情報を含んでいてもよい。属性情報は、具体的には、例えば、ユーザの国籍、ユーザの使用する言語、ユーザの性別、ユーザの年齢、ユーザの信仰する宗教などのうちの少なくとも1つを示す情報である。なお、ユーザ情報の具体的な内容は、上述した例に限定されない。属性情報は、提供するサービスの種類の選択に用いられてもよいし、提供するサービスにおけるモードなどサービス内容の設定に用いられてもよい。また、属性情報は、ユーザの状態とユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方とともに、サービスの提供のタイミングの決定に用いられてもよい。
【0014】
検出装置4は、ユーザ情報を検出するセンサであり、例えば、バイタルを検出するセンサ、画像、映像などを撮影するカメラ、音を検出するマイク、対象物の位置を検出する位置センサなどである。情報提供装置5は、コンピュータシステムであり、ユーザによって携帯可能な携帯端末であってもよいし、サーバなどであってもよいし、クラウドシステム上に構築されてもよい。
【0015】
ユーザ情報が、ユーザのバイタルを示す情報であるバイタルデータを含む場合、例えば、検出装置4として、バイタルを検出可能なセンサを内蔵するウェアラブル端末、バイタルを検出可能な非接触式のセンサなどが用いられる。そして、検出装置4によって検出されたバイタルを示すバイタルデータが検出装置4からロボット1へ送信される。
【0016】
ユーザ情報が、ユーザの移動速度を示す情報やユーザの位置を示す情報を含む場合、例えば、情報提供装置5として、ユーザが携帯するスマートフォン、タブレットなどの携帯端末が用いられる。この場合、情報提供装置5は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機を用いて自身の位置を検出する位置検出機能を備え、自身の位置を検出する。情報提供装置5が検出した位置が、当該情報提供装置5を携帯するユーザの位置を示すユーザ情報として用いられる。位置検出は、GPS受信機を用いて行われる例に限定されず、ジャイロを用いて行われてもよく、他の複数の装置との間で送受信する電波の受信強度を用いて行われてもよく、その他の方法で行われてもよい。なお、情報提供装置5はウェアラブル端末であってもよい。ユーザの移動速度は、複数の時刻におけるユーザの位置を用いて、情報提供装置5によって算出され、情報提供装置5からロボット1へユーザの移動速度を示す情報が送信されてもよい。または、複数の時刻におけるユーザの位置を示す情報が、ユーザの移動速度を示す情報として情報提供装置5からロボット1へ送信されてもよい。また、ユーザが携帯する携帯端末とは別に情報提供装置5が設けられ、情報提供装置5が、携帯端末から位置を示す情報を受信し、受信した情報を、当該携帯端末に対応するユーザのユーザ情報としてロボット1へ送信してもよい。ユーザの移動速度を示す情報についても同様に、ユーザが携帯する携帯端末から、情報提供装置5を介してロボット1へ送信されてもよい。
【0017】
また、ユーザ情報が、ユーザの移動速度を示す情報やユーザの位置を示す情報を含む場合、検出装置4として、位置センサ、カメラなどが用いられてもよい。検出装置4としてカメラが用いられる場合には、ユーザを撮影した撮影データがユーザ情報として検出装置4からロボット1へ送信される。ロボット1は、検出装置4の位置と撮影データとを用いて、撮影データを画像解析することで、ユーザの位置を求めることができる。
【0018】
ユーザ情報が、ユーザのスケジュールを示す情報を含む場合、例えば、情報提供装置5として、ユーザが使用する端末装置が用いられる。この端末装置は、ユーザが携帯するスマートフォン、タブレットなどの携帯端末であってもよいし、自宅または勤務先に設置された端末装置であってもよい。また、情報提供装置5は、複数のユーザのスケジュールを管理する情報提供装置5であってもよく、例えば、クラウドシステム上に構築された装置であってもよい。情報提供装置5は、ユーザから入力されたスケジュールを管理し、当該スケジュールを示すスケジュール情報をユーザ情報としてロボット1へ送信する。
【0019】
ユーザ情報が、ユーザが行っている作業の状態を示す情報を含む場合、例えば、情報提供装置5として、ユーザが業務に使用している端末装置(コンピュータシステム)が用いられてもよいし、ユーザが業務に使用している端末装置以外の機械などが用いられてもよいし、ユーザの勤怠を管理する勤怠管理システム、ユーザが勤務している居室エリアへの入退場を管理する入退場システムが用いられてもよい。ユーザが行っている作業の状態を示す情報は、ユーザが作業を終了したことを示す情報であってもよいし、ユーザが作業を中断していることを示す情報であってもよいし、これらの両方であってもよい。
【0020】
ユーザ情報が、ユーザの音声を示す音声データを含む場合、例えば、検出装置4としてマイクが用いられる。このマイクは、単独で設けられるものであってもよいし、ユーザの使用する端末装置に内蔵されていてもよいし、ロボット1に設けられていてもよい。検出装置4としてマイクが用いられる場合、検出装置4によって取得された音声データが検出装置4からロボット1へ送信される。また、ユーザ情報が、ユーザの音声を示す音声データを含む場合、情報提供装置5として、ユーザの音声データを取得する端末装置が用いられてもよい。この場合、情報提供装置5は、内蔵するまたは外付けのマイクから音声データを取得し、取得した音声データをロボット1へ送信する。
【0021】
ユーザ情報が、ユーザの表情を示す情報を含む場合、例えば、検出装置4としてカメラが用いられる。このカメラは、単独で設けられるものであってもよいし、ユーザの使用する端末装置に内蔵されていてもよいし、ロボット1に設けられていてもよい。カメラによってユーザの顔が撮影され、撮影された画像または映像を示す撮影データが、ユーザの表情を示す情報として検出装置4からロボット1へ送信される。また、ユーザ情報が、ユーザの表情を示す情報を含む場合、情報提供装置5として、ユーザの撮影データを取得する端末装置が用いられてもよい。この場合、情報提供装置5は、内蔵するまたは外付けのカメラから撮影データを取得し、取得した撮影データをロボット1へ送信する。
【0022】
ユーザ情報が、気温を示す情報を含む場合、検出装置4としてユーザの周辺に設けられた温度計が用いられ、ユーザ情報が、湿度を示す情報を含む場合、検出装置4としてユーザの周辺に設けられた湿度計が用いられる。ユーザの周辺とは、例えば、ユーザの居室であってもよいし、ユーザが存在する建物であってもよいし、ユーザが存在する市町村などの地域であってもよい。また、気温、湿度を示す情報のうちの少なくとも一方が、気象情報を提供する情報提供装置5から提供されてもよい。気象情報は、実測値であってもよいし、予報値であってもよいが、ユーザ情報を取得する時点に近い時刻の情報であることが望ましい。ユーザ情報が、天気を示す情報を含む場合、当該情報は、例えば、気象情報を提供する情報提供装置5から提供される。ユーザ情報が、ロボット1がサービスを提供するエリアにおける物の位置を示す場合、例えば、検出装置4として、当該エリアを撮影するカメラが用いられる。ユーザ情報が、時間帯を示す情報(例えば、現在が昼であるか夜であるかといった、現在の時刻に対応する時間帯を示す情報)を含む場合、ロボット1は、内蔵する図示しない計時部から時間帯を示す情報を取得してもよいし、情報提供装置5から時間帯を示す情報を取得してもよい。
【0023】
ユーザ情報が、ユーザがロボット1からサービスの提供を受ける地域を示す情報を含む場合、ロボット1は、内蔵する図示しない位置検出部から自身の位置を取得し、取得した位置情報と地図情報とを用いて当該情報を求めることで、当該情報を取得してもよい。なお、ユーザがロボット1からサービスの提供を受ける地域を示す情報は、気温、湿度、天気を情報提供装置5から取得する際に用いられてもよい。なお、地域は、市町村、都道府県であってもよいし、国であってもよいし、これら以外であってもよい。
【0024】
ユーザ情報が、属性情報を含む場合、当該情報は、ユーザによって情報提供装置5に入力され、情報提供装置5からロボット1に送信されてもよい。または、後述する情報処理部2の取得部21が、入力受付手段としての機能も有し、ユーザから当該情報の入力を受付けてもよい。なお、上述した地域を属性情報として扱ってもよい。
【0025】
以上説明したユーザ情報の取得方法は例示であり、ユーザ情報を取得する具体的な手段は上述した例に限定されない。
【0026】
なお、ロボット1のユーザは、1人であってもよいし複数人であってもよい。例えば、ロボット1が家庭で用いられる場合には家族全員がユーザであってもよいし、ロボット1が職場で用いられる場合には、サービスの提供対象となる職場に所属する従業員がユーザであってもよいし職場に存在する人が全てユーザであってもよい。ユーザが複数人である場合には、属性情報は、ユーザごとに設定されてもよいし、全ユーザに共通する項目だけが設定されてもよい。例えば、属性情報がユーザごとに設定され、ロボット1が飲み物を複数人のユーザに提供する場合、ロボット1は、飲み物の提供対象の各ユーザを、撮影データなどを用いて特定し、特定したユーザに対応する属性情報に基づいて、当該ユーザの使用する言語でユーザに声掛けをしながら飲み物を提供してもよい。すなわち、ロボット1は、ユーザが使用する言語を示す情報に基づいて、サービスにおいてロボット1が用いる言語を決定してもよい。または、属性情報が全ユーザに共通の項目として設定され、共通の項目にユーザの使用する言語が含まれる場合には、ロボット1が飲み物を複数人のユーザに提供する場合には、ユーザを特定せずに、属性情報に基づいて、飲み物の提供対象の全てのユーザに同じ言語で声掛けをしながら飲み物を提供してもよい。
【0027】
ロボット1は、
図1に示すように、情報処理装置である情報処理部2と、サービスを実行する可動部3とを備える。ロボット1は、可動部3を動作させることによりユーザにサービスを提供する。ロボット1が提供するサービスは、移動を伴う作業を行うサービスである。例えば、サービスは、家事、オフィスなどにおける各種作業、飲食物の提供などのうちの少なくとも1つであるが、これらに限定されない。ロボット1は、特定のサービスを提供するロボットであってもよいし、複数の種類のサービスを提供可能な汎用ロボットであってもよい。
【0028】
情報処理部2は、ロボット1を制御する情報処理装置である。情報処理部2は、取得部21と、判定部22と、動作制御部23とを備える。取得部21は、ユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報を判定部22へ出力する。取得部21は、例えば、検出装置4と情報提供装置5とのうちの少なくとも一方からユーザ情報を受信することで、ユーザ情報を取得する。上述したように、取得部21は、入力受付手段としての機能も有し、ユーザからユーザ情報の入力を受付けてもよい。
【0029】
判定部22は、取得部21から受け取ったユーザ情報を用いて、サービスを提供するタイミングを決定し、決定されたタイミングになると、動作制御部23へサービスの提供開始を指示する。例えば、判定部22は、ユーザ情報があらかじめ定めた条件を満たす、またはユーザ情報を用いて算出した指標があらかじめ定めた条件を満たす場合に、サービスの提供を実行すると判定する。この場合、ユーザ情報があらかじめ定めた条件を満たしたタイミング、またはユーザ情報を用いて算出した指標があらかじめ定めた情報を満たしたタイミングが、サービスの提供を実行するタイミング(サービスの提供を開始するタイミング)となる。
【0030】
動作制御部23は、判定部22からの指示に基づいて、サービスを提供するための指令を生成し、生成した指令を可動部3へ出力する。すなわち、動作制御部23は、判定部22によって決定されたタイミングに基づいてロボット1が当該タイミングでサービスを提供するための指令を生成し、生成した指令を可動部3へ出力する。可動部3が、指令に応じた動作を行うことで、ユーザにサービスが提供される。なお、「可動部3へ出力する」とは、ロボット1内の動作制御部23から直接可動部3へ出力される場合に限らず、送受信の機能を有する機能部を介して可動部3へ出力される場合、および別の装置を介して可動部へ伝達される場合などのように、他の機能部および他の装置のうちの少なくとも一方を介して伝達される場合も含む。なお、動作制御部23は、サービスの実行中においても可動部3の動作を制御する。
【0031】
可動部3は、ロボット1の位置を移動させる駆動機構、すなわちロボット1が自走するための機構である移動機構31と、サービスを提供するための作業を実行する駆動機構である作業機構32とを備える。移動機構31は、例えば、車輪と車輪を駆動する駆動部とを備える車輪式の移動機構であってもよいし、クローラとクローラを駆動する駆動部とを備えるクローラ式の移動機構であってもよい。また、ロボット1が人型ロボットまたは多脚ロボットである場合、移動機構31は、2足以上の脚と脚を駆動する駆動部とを備えることでロボット1の歩行を可能にする移動機構であってもよい。移動機構31は、これらに限定されず、どのような構成であってもよい。
【0032】
移動機構31は、例えば、カメラ、赤外線センサ、超音波センサ、LIDAR(LIght Detection And Ranging)などのセンサを備える。センサによって取得されたデータを用いて動作制御部23が移動機構31の動作を制御するための指令を生成し、移動機構31が指令に基づいて動作する。移動の目的地は、サービスの内容に応じて動作制御部23によって決定される。これにより、ロボット1は自律走行を行うことができる。
【0033】
作業機構32は、例えば、マニピュレータであるが、これに限定されない。マニピュレータは、例えば、1つ以上の関節を有するアームと、アームの先端に接続され、物体を把持することが可能なハンド(エンドエフェクタとも呼ばれる)とを備える。作業機構32は、2つ以上のマニピュレータで構成されていてもよい。また、作業機構32は、マニピュレータと特定の作業専用の部品との組み合わせであってもよい。特定の作業専用の部品は、例えば、拭き掃除専用の部品であってもよいし、掃き掃除専用の部品であってもよいし、ゴミを吸引するための部品であってもよいし、コーヒーメーカーとしての機能を有する部品であってもよいし、これら以外であってもよい。
【0034】
作業機構32は、例えば、ハンドの周辺に取り付けられた手先カメラを備える。ロボット1では、手先カメラによって取得されたデータを用いて動作制御部23が作業機構32の動作を制御するための指令を生成し、作業機構32が指令に基づいて動作する。動作制御部23は、サービスに対応する作業の内容に応じて、ハンドの位置および姿勢を決定し、手先カメラによって取得されたデータに基づいてハンドの位置および姿勢を微調整する。
【0035】
なお、動作制御部23による移動機構31および作業機構32の動作の制御はどのような方法によって行われてもよく、上述した例に限定されない。また、ここでは、動作制御部23が、動作中の移動機構31および作業機構32の制御も行う例を説明したが、動作制御部23はサービスに対応する動作の開始を指示するだけとし、動作開始後の移動機構31および作業機構32の制御は、可動部3内の図示しない制御部によって行われてもよい。
【0036】
次に、本実施の形態のロボット1の動作について説明する。
図2は、本実施の形態のロボット1によるサービス提供を模式的に示す図である。
図2に示した例では、検出装置4によってユーザ情報が取得され、
図2の破線で示したように取得されたユーザ情報がロボット1に送信される。なお、検出装置4とロボット1との間の通信回線は、有線回線であってもよいし、無線回線であってもよいし、これらが混在したものであってもよい。ここでは、ロボット1は、ユーザのもとへ移動してサービスを提供するとし、ロボット1の情報処理部2はユーザ情報に基づいてサービスを提供すると判定すると、移動機構31にユーザのもとへ移動してサービスに対応する動作を実施するよう指示する。これにより、ロボット1は、移動機構31によってユーザのもとへ移動し、作業機構32によりサービスを提供する。これにより、ユーザは、ロボット1へ動作実行の指示を行わなくても、ロボット1からサービスの提供を受けることができる。なお、さらに、ロボット1は、ユーザからサービスの提供の実行を要求する明示的な指示があった場合にも、サービスを提供するようにしてもよい。
【0037】
図3は、本実施の形態のロボット1の動作の一例を示すフローチャートである。ロボット1の情報処理部2は、ユーザ情報を取得する(ステップS1)。詳細には、取得部21が、検出装置4および情報提供装置5のうちの少なくとも1つからユーザ情報を受信することで、ユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報を判定部22へ出力する。例えば、ユーザ情報の送信元の装置である、検出装置4および情報提供装置5のうちの少なくとも1つが、自発的に定期的にユーザ情報を送信してもよい。または、取得部21が、定期的にユーザ情報の送信元の装置へユーザ情報の取得を要求し、ユーザ情報の送信元の装置が、要求への応答としてユーザ情報を送信してもよい。なお、ユーザ情報に属性情報が含まれる場合、取得部21がユーザから属性情報の入力を受付けてもよい。属性情報は、一度設定されると変更されるまで同じ情報が用いられるため、属性情報については、定期的な取得は行われずに、判定部22が保持してもよいし図示しない記憶部に記憶されてもよい。
【0038】
次に、ロボット1の情報処理部2は、サービス提供条件を満たすか否かを判定する(ステップS2)。詳細には、判定部22が、取得部21から受け取ったユーザ情報を用いて、あらかじめ定められたサービス提供条件を満たすか否かを判定する。サービス提供条件は、ユーザ情報に関して、またはユーザ情報を用いて算出される指標に関する条件である。例えば、気温がしきい値を超えると飲み物を提供するサービスを提供するという条件をサービス提供条件として定めておく。また、例えば、あらかじめ指定された部屋内の特定の物の位置が基準位置から移動し、移動した位置に一定時間以上留まっていたら当該物を片付ける(元の位置へ戻す)サービスを提供するという条件をサービス提供条件として定めておく。この場合、ユーザ情報を用いて算出される指標は、移動した位置に留まっている時間である。また、基準位置については、あらかじめ定められてもよいし、検出装置4によって取得された撮影データを用いて、判定部22が基準位置を学習してもよい。ロボット1が複数の種類のサービスを提供可能な場合には、サービスごとに(サービスの種類ごとに)サービス提供条件を定めておく。
【0039】
また、ユーザ情報として複数の種類の情報が用いられ、サービス提供条件が、各種類のユーザ情報に関する条件の組み合わせとして定められてもよい。例えば、気温が気温のしきい値を超え、かつ湿度が湿度のしきい値を超えると、飲み物を提供するサービスを提供するという条件をサービス提供条件として定めていてもよい。または、気温が気温のしきい値を超える条件と、湿度が湿度のしきい値を超える条件とのうち、少なくともいずれか一方を満たすという条件をサービス提供条件として定めていてもよい。このように、サービス提供条件が複数の条件の組み合わせである場合、サービス提供条件は、複数の条件のAND条件として定められてもよいし、OR条件として定められていてもよい。また、サービス提供条件が3つ以上の条件の組み合わせである場合には、AND条件とOR条件との組み合わせであってもよい。
【0040】
また、サービス提供条件に、サービスの実行を禁止する時間、またはサービスの実行を許可する時間(日時、時間帯など)に関する条件が含まれていてもよい。例えば、平日のみサービスの実行を許可する、または、8時から17時まで間のみサービスの実行を許可する、12時から13時までの間のサービスの実行を禁止するといったように、サービスの実行を禁止する時間、またはサービスの実行を許可する時間に関する条件が定められてもよい。
【0041】
また、ユーザ情報に応じて、サービスの実行を禁止する時間、またはサービスの実行を許可する時間が定められていてもよい。例えば、判定部22は、ユーザが存在する地域を示す情報に基づいて、サービスの提供を許可する時間帯である許可時間帯を設定し、地域以外のユーザ情報によって決定されたサービスの提供のタイミングが許可時間帯内である場合に、動作制御部23にサービスを提供するための指令の生成を指示してもよい。例えば、地域、信仰する宗教などによっては、飲食が禁止される時間などが定められていることがある。このような例では、例えば、飲食物の提供のサービスに関するサービス提供条件として、気温に関する第1の条件と、ユーザ情報における地域が飲食を禁止する時間帯が設けられている地域である場合には、飲食が禁止されていない時間にサービスを提供する(サービスの提供を実行する)という第2の条件と、の両方を満たすという条件を定めておく。これにより、判定部22は、第1の条件が満たされた場合であっても、第2の条件を満たさないときには、サービス提供条件を満たさないと判定する。また、逆に、特定の時間帯だけに提供されることが要求されるサービスについては、サービスに関するサービス提供条件として、サービスの実行を許可する条件を定めておいてもよい。なお、ここでは、地域に応じた条件を例に挙げたが、これに限らず、ユーザの国籍、信仰する宗教、年齢など、他のユーザ情報に関して、サービスの実行を禁止する時間、またはサービスの実行を許可する時間に関する条件が含まれていてもよい。なお、サービス提供条件の具体例は上述した例に限定されず、指標についても上述した例に限定されない。
【0042】
サービス提供条件を満たしていない場合(ステップS2 No)、ステップS1からの処理が繰り返される。サービス提供条件を満たした場合(ステップS2 Yes)、ロボット1の情報処理部2は、サービスを提供するための指令を生成する(ステップS3)。詳細には、判定部22が、サービス提供条件を満たすと判定すると、サービスの提供の開始を指示する指示情報を生成し、生成した指示情報を動作制御部23へ出力し、動作制御部23が当該指示情報に基づいてサービスを提供するための指令を生成し、生成した指令を可動部3へ出力する。ロボット1が複数の種類のサービスを提供可能な場合には、判定部22は、指示情報に提供するサービスの種類を指定する情報も含める。
【0043】
また、判定部22は、サービス提供条件を満たすと判定すると、ユーザ情報に基づいてサービスにおけるモード、対象物などのサービスの内容を決定してもよい。例えば、飲食物を提供するサービスに関して、気温がT1度を超えT2(T2>T1)度未満である場合には、冷たい飲み物をユーザのもとへ運搬し、気温がT2度以上である場合には、飲み物に加えてアイスをユーザのもとへ運搬するといったように、気温に応じた設定内容を設定情報として定めておく。そして、判定部22が、ユーザ情報における気温と設定情報とを用いて、サービスにおいてユーザに提供する対象物を決定してもよい。また、ロボット1が複数の言語を発話することが可能であり、言語のモード(言語モード)を設定可能な場合、判定部22は、ユーザ情報における言語(ユーザが使用する言語)に応じて、ロボット1が発話する際の言語モードを設定してもよい。また、判定部22は、ユーザ情報に基づいて、ユーザの感情を推定し、推定した感情に基づいて、サービスの内容を決定してもよい。
【0044】
ステップS3の後、ロボット1は、サービスを提供し(ステップS4)、ステップS1からの処理が繰り返される。詳細には、ステップS4では、可動部3が、動作制御部23から受け取った指令に応じて動作を開始することで、ユーザにサービスが提供される。なお、ロボット1は可動部3を用いてサービスを提供するが、さらに、信号を送信することでサービスを提供可能であってもよい。例えば、ユーザの周囲の気温が一定値以上である場合に、冷たい飲み物を提供するとともに、ユーザが存在する部屋のエアコン(エアコンディショナ)のスイッチを押すことで、エアコンを冷房運転させるようにしてもよいし、冷たい飲み物を提供するとともに、エアコンに冷房運転させるための信号を送信することでエアコンを冷房運転させるようにしてもよい。このように、ロボット1は、サービスの提供のために、何らかの装置を動作させる際に、ユーザの代わりに可動部3を用いて入力手段または操作画面などを操作してもよいし、動作の開始を指示する信号を装置へ送信してもよい。
【0045】
また、ユーザ情報は、サービスを提供する動作をロボット1が行っている間のロボット1の動作の制御に用いられてもよい。例えば、検出装置4にカメラが含まれ、カメラによって撮影された撮影データに基づいて、動作制御部23が、ユーザまでの経路の状態(例えば、凹凸、急なカーブの有無など)を判定し、ロボット1が静かにユーザに近づくことができるように、状態のよい経路を経由して移動するように可動部3を制御してもよい。
【0046】
なお、
図1に示した構成例では、サービスの提供のタイミングを決定する判定部22がロボット1内に設けられたが、判定部22はロボット1とは別に設けられてもよい。すなわち、
図1では、情報処理装置である情報処理部2がロボット1内に設けられたが、ロボット1とは別に情報処理装置が設けられ、当該情報処理装置が、情報処理部2の機能のうち少なくとも一部の機能を有していてもよい。
【0047】
図4は、本実施の形態におけるサービス提供システムの別の構成例を示す図である。
図4に示した例では、サービス提供システム100aは、
図1におけるロボット1の代わりに、情報処理装置6およびロボット1aを備える。
図1と同様の機能を有する構成要素は、
図1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0048】
図4に示した構成例では、情報処理装置6が、
図1に示した情報処理部2における取得部21、判定部22および動作制御部23を備える。情報処理装置6は、さらに、動作制御部23によって生成された指令をロボット1aへ送信する送信部24を備える。ロボット1aは、
図1に示した例と同様の可動部3を備え、さらに、情報処理装置6から指令を受信する受信部33を備える。受信部33は、受信した指令を可動部3へ出力する。これにより、可動部3が指令に応じた動作を行い、
図1に示した構成例と同様に可動部3によってサービスが提供される。
図4に示した例では、サービスの提供の開始後のサービスの実行中の可動部3の制御も情報処理装置6によって行われる。
【0049】
図5は、本実施の形態におけるサービス提供システムの別の構成例を示す図である。
図5に示した例では、サービス提供システム100bは、
図1におけるロボット1の代わりに、情報処理装置6aおよびロボット1bを備える。
図1と同様の機能を有する構成要素は、
図1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0050】
図5に示した構成例では、情報処理装置6aが、
図1に示した情報処理部2における取得部21および判定部22を備える。情報処理装置6aは、さらに、
図1に示した動作制御部23における機能のうちサービスの実行を指示する(サービス提供の開始を指示する)指令を生成する機能を有する指令生成部25と、指令生成部25によって生成された指令をロボット1bへ送信する送信部24とを備える。ロボット1bは、
図1に示した例と同様の可動部3を備え、さらに、情報処理装置6aから指令を受信する受信部33と、サービスの実行中に可動部3の動作を制御する動作制御部23aとを備える。受信部33は、受信した指令を動作制御部23aへ出力する。動作制御部23aは、受信部33から指令を受けとると、受け取った指令に基づいてサービスを提供するための動作を行うように可動部3を制御する。これにより、可動部3が、情報処理装置6aによって生成された指令に応じた動作を開始することができ、
図1に示した構成例と同様に可動部3によってサービスが提供される。
【0051】
このように、
図5に示した例では、サービスの提供の開始の指令は、指令生成部25によって生成され、サービスの提供の開始後のサービスの実行中の可動部3の制御はロボット1bの動作制御部23aによって行われる。換言すると、
図1および
図4に示した動作制御部23は、
図5に示した指令生成部25の機能と、
図5に示した動作制御部23aとの機能との両方を備えていることになる。すなわち、
図1および
図4に示した構成例では、動作制御部23は、指令生成部25でもある。
【0052】
なお、
図4および
図5に示した構成例は例示であり、ロボットが可動部3を備え、情報処理装置が、サービスの提供の開始を指示する指令を生成すればよく、各装置の機能の切り分けは、
図4,5に示した例に限定されない。例えば、
図5の構成例における動作制御部23aが、情報処理装置6aおよびロボット1bとは別の装置に設けられてもよい。また、動作制御部23aが可動部3内に設けられてもよい。
【0053】
次に、本実施の形態の情報処理装置(情報処理部2および情報処理装置6,6a)のハードウェア構成について説明する。本実施の形態の情報処理装置は、コンピュータシステム上で、情報処理装置における処理が記述されたプログラム(コンピュータプログラム)が実行されることにより、コンピュータシステムが情報処理装置として機能する。
図6は、本実施の形態の情報処理装置を実現するコンピュータシステムの構成例を示す図である。
図6に示すように、このコンピュータシステムは、制御部101と入力部102と記憶部103と表示部104と通信部105と出力部106とを備え、これらはシステムバス107を介して接続されている。
【0054】
図6において、制御部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、本実施の形態の情報処理装置における処理が記述されたプログラムを実行する。入力部102は、たとえばキーボード、マウスなどで構成され、コンピュータシステムの使用者が、各種情報の入力を行うために使用する。記憶部103は、RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)などの各種メモリおよびハードディスクなどのストレージデバイスを含み、上記制御部101が実行すべきプログラム、処理の過程で得られた必要なデータ、などを記憶する。また、記憶部103は、プログラムの一時的な記憶領域としても使用される。制御部101および記憶部103は、例えば、処理回路を構成する。処理回路は、1つの回路であってもよいし複数の回路であってもよい。表示部104は、ディスプレイ、LCD(液晶表示パネル)などで構成され、コンピュータシステムの使用者に対して各種画面を表示する。なお、入力部102と表示部104が一体化され、タッチパネルなどにより実現されてもよい。通信部105は、通信処理を実施する受信機および送信機である。出力部106は、プリンタ、スピーカなどである。なお、
図6は、一例であり、コンピュータシステムの構成は
図6の例に限定されない。例えば、コンピュータシステムは入力部102、表示部104および出力部106のうちの1つ以上を備えていなくてもよい。
【0055】
ここで、本実施の形態のプログラムが実行可能な状態になるまでのコンピュータシステムの動作例について説明する。上述した構成をとるコンピュータシステムには、たとえば、図示しないCD(Compact Disc)-ROMドライブまたはDVD(Digital Versatile Disc)-ROMドライブにセットされたCD-ROMまたはDVD-ROMから、プログラムが記憶部103にインストールされる。そして、プログラムの実行時に、記憶部103から読み出されたプログラムが記憶部103の主記憶領域に格納される。この状態で、制御部101は、記憶部103に格納されたプログラムに従って、本実施の形態の情報処理装置としての処理を実行する。
【0056】
なお、上記の説明においては、CD-ROMまたはDVD-ROMを記録媒体として、情報処理装置における処理を記述したプログラムを提供しているが、これに限らず、コンピュータシステムの構成、提供するプログラムの容量などに応じて、たとえば、通信部105を経由してインターネットなどの伝送媒体により提供されたプログラムを用いることとしてもよい。
【0057】
本実施の形態のプログラムは、例えば、ロボット1を制御するコンピュータシステムである情報処理部2に、ユーザ情報を取得するステップと、ユーザ情報を用いてサービスを提供するタイミングを決定するステップと、決定されたタイミングに基づいてロボット1が決定されたタイミングでサービスを提供するための指令を生成するステップと、を実行させる。
【0058】
図1に示した判定部22および動作制御部23は、
図6に示した記憶部103に記憶されたプログラムが
図6に示した制御部101により実行されることにより実現される。
図1に示した判定部22および動作制御部23の実現には、
図6に示した記憶部103も用いられる。
図1に示した取得部21は、
図6に示した通信部105により実現される。
図1に示した取得部21の実現には、さらに、入力部102が用いられてもよい。また、
図1に示した取得部21の実現に、さらに、制御部101および記憶部103が用いられてもよい。
【0059】
図4に示した判定部22および動作制御部23は、
図6に示した記憶部103に記憶されたプログラムが
図6に示した制御部101により実行されることにより実現される。
図4に示した判定部22および動作制御部23の実現には、
図6に示した記憶部103も用いられる。
図4に示した取得部21および送信部24は、
図6に示した通信部105により実現される。
図4に示した取得部21の実現には、さらに、入力部102が用いられてもよい。また、
図4に示した取得部21の実現に、さらに、制御部101および記憶部103が用いられてもよい。
【0060】
図5に示した判定部22および指令生成部25は、
図6に示した記憶部103に記憶されたプログラムが
図6に示した制御部101により実行されることにより実現される。
図5に示した判定部22および指令生成部25の実現には、
図6に示した記憶部103も用いられる。
図5に示した取得部21および送信部24は、
図6に示した通信部105により実現される。
図5に示した取得部21の実現には、さらに、入力部102が用いられてもよい。また、
図5に示した取得部21の実現に、さらに、制御部101および記憶部103が用いられてもよい。また、
図5に示したロボット1bの受信部33および動作制御部23aも例えばコンピュータシステムにより実現され、動作制御部23aは、
図6に示した記憶部103に記憶されたプログラムが
図6に示した制御部101により実行されることにより実現される。動作制御部23aの実現には、
図6に示した記憶部103も用いられる。
【0061】
また、
図4に示した情報処理装置6、
図5に示した情報処理装置6aは、それぞれ複数のコンピュータシステムにより実現されてもよい。例えば、
図4に示した情報処理装置6、
図5に示した情報処理装置6aは、クラウドシステムにより実現されてもよい。
【0062】
以上のように、本実施の形態では、情報処理装置(情報処理部2、情報処理装置6,6a)が、ユーザ情報を用いて、サービスを提供するタイミングを決定し、決定されたタイミングに基づいて、ロボット(ロボット1,1a,1b)の可動部3にサービスを提供する動作を実行させるための指令を生成する。したがって、ユーザは、ロボットによるサービスの提供を受けるために、ロボットへ指示を行う必要がない。このため、本実施の形態では、ユーザの手間を省いてロボットによるユーザへのサービスの提供が可能となる。これにより、ユーザの生活の快適性が向上する。
【0063】
実施の形態2.
図7は、実施の形態2にかかるサービス提供システム100により提供されるサービスの一例を示す概念図である。本実施の形態では、実施の形態1で述べたロボット1によって提供されるサービスとサービス提供条件との具体例について説明する。本実施の形態のサービス提供システム100の構成、およびサービス提供システム100を構成する各装置の構成は実施の形態1と同様である。なお、ここでは、実施の形態1の
図1に示した構成のサービス提供システム100を例に挙げて説明するが、実施の形態1の
図4または
図5に示した構成例においても、本実施の形態の動作を同様に適用できる。また、実施の形態1で述べたように、各装置の機能の切り分けは、
図4,5に示した例に限定されない。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して説明する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0064】
図7に示すように、本実施の形態では、ユーザが、オンラインまたは対面で発言する発言量に基づいて、ロボット1がサービスを提供する例を説明する。なお、
図7では、ユーザが、オンラインの会議で発言する例を示しているが、ユーザが発言する場面は、この例に限定されず、例えば、対面の会議であってもよいし、オンラインまたは対面のセミナー、講義、教育のイベント、懇談など、会議以外の場面であってもよい。
【0065】
本実施の形態では、ロボット1は、飲み物71をユーザのもとへ運搬する飲み物運搬サービスを提供することが可能である。また、ロボット1は、果物72などの食べ物についてもユーザのもとへ運搬してもよい。本実施の形態では、判定部22は、ユーザの発言量に基づいて飲み物運搬サービスを提供するタイミングを決定する。
【0066】
図7に示した例では、実施の形態1で述べた検出装置4の具体例は、ユーザがオンライン会議に用いるマイク付きWebカメラ41であり、マイク付きWebカメラ41によって検出された音声を示す音声データが、ロボット1の情報処理部2における取得部21によって取得される。音声データは、ユーザの発言の検出結果である発言情報の一例であり、例えば、ユーザがオンライン会議に用いるコンピュータシステムを介してマイク付きWebカメラ41からロボット1へ送信されてもよいし、ユーザがオンライン会議に用いるコンピュータシステムおよびネットワーク(例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)など)を介してマイク付きWebカメラ41からロボット1へ送信されてもよい。
【0067】
なお、
図7では、検出装置4の具体例として、マイク付きWebカメラ41を図示しているが、音声データを取得する検出装置4は、これに限らず、ユーザがオンライン会議に用いるコンピュータシステムに内蔵されるマイクであってもよいし、コンピュータシステムに接続されるヘッドセットであってもよいし、コンピュータシステムに接続されるマイクであってもよい。また、ロボット1にマイクが搭載され、当該マイクが検出装置4として用いられてもよい。ユーザがオンライン会議に用いるコンピュータシステムは、ノート型のコンピュータシステムに限定されず、デスクトップ型のコンピュータシステムであってもよいし、スマートフォン、タブレットなどであってもよい。また、
図7では、コンピュータシステムを用いてユーザが発言する例を示しているが、電話会議システム、または電話などの通話システムであり、通話システムから音声データを取得可能な場合には、通話システムを検出装置4として用いてもよい。また、対面の会議などである場合には、ユーザの周辺に設置されたマイク、ユーザが操作するコンピュータシステムに内蔵されるマイク、ユーザが操作するコンピュータシステムに外付けされるマイク、ロボット1に搭載されるマイクなどを検出装置4として用いてもよい。
【0068】
図7では、検出装置4として、さらに、ユーザの周辺の気温を取得する温度計42を用いているが、気温は気象情報を提供する情報提供装置5から取得されてもよい。また、
図7では、音声データと気温とがユーザ情報として取得される例を示しているが、これに限定されず、ユーザ情報は、音声データだけであってもよいし、音声データと気温以外のデータとが用いられてもよいし、音声データおよび気温に加えて気温以外のデータが用いられてもよい。
【0069】
図8は、本実施の形態のロボット1の動作の一例を示すフローチャートである。ロボット1の情報処理部2は、音声データを取得する(ステップS11)。詳細には、取得部21が、検出装置4および情報提供装置5のうちの少なくとも一方から、ユーザの音声データを取得し、取得した音声データを判定部22へ出力する。なお、
図8では、ユーザ情報として音声データを取得する例を示しているが、
図7を用いて説明したように、ユーザ情報として、さらに気温を取得してもよく、気温以外のデータを取得してもよい。
【0070】
ロボット1の情報処理部2は、発言量がしきい値を超えたか否かを判定する(ステップS12)。詳細には、判定部22が、音声データを用いて発言量を算出し、算出した発言量がしきい値を超えたか否かを判定する。発言量は、発言したトータルの時間であってもよいし、発言した文字数であってもよい。発言量として発言した文字数が用いられる場合には、判定部22は、音声認識処理により音声を文字に変換し、文字数を計数する。発言量を算出する際の起点は、前回、ユーザへ飲み物を運搬したとき、すなわち前回ユーザへサービスを提供したときであってもよいし、会議が開始されたときであってもよいし、これら以外であってもよい。
【0071】
会議などでは、検出装置4が、ユーザ以外の人の音声を検出する場合もあるが、判定部22が、話者識別処理を行ってユーザの音声を認識し、ユーザの発言量を算出してもよいし、会議における全員の発言量の合計を算出してもよい。後者の場合に設定されるしきい値は、前者の場合に設定されるしきい値より少ない値(低い値)としてもよい。話者識別を行う場合には、例えば、あらかじめユーザの音声データを学習しておき、判定部22は、学習した結果を用いて話者識別を行う。話者識別の学習は、判定部22が行ってもよいし、ロボット1以外の学習装置が学習を行い、学習装置によって学習された結果を判定部22が用いてもよい。また、サービスの提供対象が複数人である場合には、判定部22は、話者識別を行い複数人の発言量の合計を求めてもよいし、複数人のユーザのそれぞれの発言量を算出し、一人以上のユーザの発言量がしきい値を超えるか否かを判定してもよい。ステップS12の処理は、実施の形態1で述べたステップS2のサービス提供条件を満たすか否かの処理の具体例である。本実施の形態では、ユーザ情報を用いて算出される指標は、発言量であり、サービス提供条件は、発言量がしきい値を超えるという条件である。
【0072】
発言量がしきい値を超えていない場合(ステップS12 No)、ステップS11からの処理が繰り返される。発言量がしきい値を超えた場合(ステップS12 Yes)、ロボット1の情報処理部2は、飲み物運搬サービスを提供するための指令を生成する(ステップS13)。詳細には、判定部22が、発言量がしきい値を超えたと判定すると、飲み物運搬サービスの提供の開始を指示する指示情報を生成し、生成した指示情報を動作制御部23へ出力し、動作制御部23が、当該指示情報に基づいてサービスを提供するための指令を生成し、生成した指令を可動部3へ出力する。また、
図7に示したように、飲み物に加えて果物72を提供してもよいし、果物72以外の食べ物を提供してもよい。飲み物の運搬先であるユーザの位置については、ユーザ情報として取得されてもよいし、あらかじめ設定されていてもよい。ユーザの位置があらかじめ設定される場合も、ユーザまたはオペレータなどによってユーザの位置の設定を変更可能であってもよい。
【0073】
また、判定部22は、発言量がしきい値を超えたと判定すると、ユーザ情報に基づいて飲み物運搬サービスにおけるサービスの内容を決定してもよい。例えば、
図7に示したように、ユーザ情報として気温も取得され、気温がT
1度を超えT
2度未満である場合には、冷たい飲み物を提供し、気温がT
2度以上である場合には、アイスを提供するといったように、気温に応じた設定内容を設定情報として定めておく。ステップS11において、音声データに加えて気温も取得され、判定部22が、ユーザ情報における気温と設定情報とを用いて、サービスにおいてユーザに提供する飲み物を決定してもよい。また、ロボット1が複数の言語を発話することが可能であり、言語モードを設定可能な場合、判定部22は、ユーザ情報として属性情報も取得し、ユーザが使用する言語に応じて、ロボット1がユーザのもとへ飲み物を運搬してユーザへ声掛けをする際の言語モードが設定されてもよい。また、ロボット1が飲み物を運搬する際には、複数の飲み物をロボット1が運搬してユーザが選択できるようにしてもよいし、ユーザに応じた飲み物が運搬されてもよい。例えば、属性情報の1項目として、会議において提供を希望する飲み物を設定可能としておき、会議において提供を希望する飲み物がユーザによってあらかじめ設定されてもよい。これにより、判定部22は、指示情報に、属性情報において設定された飲み物を提供することを指定する情報を含めておくことができる。
【0074】
ステップS13の後、ロボット1は、飲み物運搬サービスを提供し(ステップS14)、ステップS11からの処理が繰り返される。詳細には、ステップS14では、可動部3が、動作制御部23から受け取った指令に応じて動作を開始することで、飲み物運搬サービスが提供される。
【0075】
図8では、サービス提供条件が、発言量がしきい値を超えるという条件である例を説明したが、サービス提供条件はこの例に限定されない。例えば、サービス提供条件を、発言量がしきい値を超えるという条件とした上で、気温に応じてしきい値を変更してもよい。例えば、気温が定められた値以上である場合には、気温が定められた値未満である場合に比べてしきい値を低くしてもよい。また、気温が定められた値未満である場合に、温かい飲み物を含めてユーザのもとへ運搬し、気温が定められた値以上の場合には、冷たい飲み物だけをユーザのもとへ運搬するといったように、判定部22は、サービスの内容を、気温に応じて決定してもよい。サービスの内容の決定に用いられるユーザ情報は、湿度、天気、地域などであってもよく、気温に限定されない。
【0076】
以上のように、本実施の形態では、サービス提供条件として、発言量を用いた条件を設定するようにした。これにより、ユーザは、ロボット1による飲み物の提供のサービスの提供を受けるために、ロボット1へ指示を行う必要がない。このため、本実施の形態では、ユーザの手間を省いてユーザは飲み物の提供のサービスを受けることができる。例えば、ユーザが、会議中に発言が多くなり喉が渇いた場合、ロボット1へ指示をしなくても、飲み物の提供のサービスを受けることができる。これにより、ユーザの生活の快適性が向上する。
【0077】
実施の形態3.
図9は、実施の形態3にかかるサービス提供システム100により提供されるサービスの一例を示す概念図である。本実施の形態では、実施の形態1で述べたロボット1によって提供されるサービスとサービス提供条件との具体例について説明する。本実施の形態のサービス提供システム100の構成、およびサービス提供システム100を構成する各装置の構成は実施の形態1と同様である。なお、ここでは、実施の形態1の
図1に示した構成のサービス提供システム100を例に挙げて説明するが、実施の形態1の
図4または
図5に示した構成例においても、本実施の形態の動作を同様に適用できる。また、実施の形態1で述べたように、各装置の機能の切り分けは、
図4,5に示した例に限定されない。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して説明する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0078】
図9に示すように、本実施の形態では、ユーザが使用するコンピュータシステムであるPC(Personal Computer)43が、検出装置4として用いられる。なお、PC43を、情報提供装置5と考えてもよい。ロボット1の情報処理部2は、PC43から、PC43のシャットダウン、スリープへの遷移などの稼動状態を示す情報をユーザ情報として取得し、PC43から取得した情報に基づいてロボット1によるサービス提供のタイミングを決定する。
【0079】
なお、PC43の稼動状態を示す情報は、ユーザの作業の状態を示す作業状態情報の一例である。作業状態情報は、ユーザの作業であるユーザ作業が終了したか否かを示す終了情報と、ユーザ作業が中断したか否かを示す中断情報とのうちの少なくとも一方を含む。終了情報は、例えば、PC43がシャットダウンされたことを示すシャットダウン情報であり、中断情報は、例えば、PC43がスリープ(スリープ状態)に遷移したことを示すスリープ情報である。作業状態情報は、これに限らず、実施の形態1で述べたように、勤怠管理システムが管理する勤怠情報などが用いられてもよい。
【0080】
図9に示した例では、ユーザがPC43を用いた作業を行っており、ロボット1は、PC43からスリープ情報を受信すると、ユーザが作業を中断したと判断し、
図9の左下に示すように、ユーザに飲み物を提供するサービス(飲み物運搬サービス)を提供する。ロボット1は、スリープ情報が送信されていないときはPC43がスリープ状態に遷移していないと判定することができ、スリープ情報が送信されるとPC43がスリープ状態(以下、スリープとも呼ぶ)に遷移したと判定することができる。
【0081】
なお、PC43は、スリープに遷移する条件を満たすと、スリープに遷移するとともにスリープに遷移したことを示す信号をロボット1へ送信する。なお、PC43は、ユーザがスリープに遷移することを指示する入力を行った場合にPC43がスリープに遷移してもよいし、一定時間以上入力がないといったようにあらかじめ定められた条件を満たした場合に、スリープに遷移してもよい。
【0082】
また、ロボット1は、PC43から、シャットダウン情報を受信すると、ユーザが作業を終了したと判断し、
図9の右下に示すように、ユーザの机の上を片付けるサービスを提供する。PC43は、例えば、シャットダウンすることを示す入力をユーザから受付けると、シャットダウンするための処理を開始するとともにシャットダウンされたことを示すシャットダウン情報をロボット1へ送信する。シャットダウンされたことを示す信号は、シャットダウン情報の一例である。
【0083】
なお、PC43は、定期的に、通常状態であるかスリープ状態であるかを示す情報を送信してもよく、この情報がスリープ情報として用いられてもよい。また、取得部21が、PC43に、定期的に現在の状態(通常状態であるかスリープ状態であるかシャットダウン処理中であるか)を問合せ、PC43からの問合せへの応答がスリープ情報およびシャットダウン情報として用いられてもよい。
【0084】
図10は、本実施の形態のロボット1の動作の一例を示すフローチャートである。ロボット1の情報処理部2は、作業状態情報を取得する(ステップS21)。詳細には、取得部21が、検出装置4および情報提供装置5のうちの少なくとも一方から、作業状態情報を取得し、取得した作業状態情報を判定部22へ出力する。
【0085】
ロボット1の情報処理部2は、作業が中断したか否かを判定する(ステップS22)。詳細には、判定部22が、作業状態情報が、ユーザの作業が中断したことを示す情報であるか否かを判定する。ユーザの作業が中断したことを示す情報は、例えば、上述したように、PC43から取得されるスリープ情報である。
【0086】
作業が中断した場合(ステップS22 Yes)、ロボット1の情報処理部2は、飲み物運搬サービスを提供するための指令を生成する(ステップS23)。詳細には、判定部22が、作業が中断したと判定すると、実施の形態2と同様に飲み物運搬サービスの提供の開始を指示する指示情報を生成し、生成した指示情報を動作制御部23へ出力し、動作制御部23が、当該指示情報に基づいてサービスを提供するための指令を生成し、生成した指令を可動部3へ出力する。また、実施の形態2と同様に、飲み物に加えて食べ物も提供してもよい。
【0087】
ステップS23の後、ロボット1は、飲み物運搬サービスを提供し(ステップS24)、ステップS21からの処理が繰り返される。詳細には、ステップS24では、可動部3が、動作制御部23から受け取った指令に応じて動作を開始することで、ユーザに飲み物運搬サービスが提供される。なお、
図9に示した例では、飲み物の運搬先は、PC43の周辺のユーザであり、ロボット1はPC43の位置を目標として飲み物を運搬し、PC43からの距離が一定値以内となると、ロボット1に搭載されたカメラによって撮影された撮影データに基づいてユーザを検出し、検出したユーザのもとへ飲み物を運搬してもよい。または、運搬開始時または運搬中に、PC43に搭載されたカメラまたはPC43の周辺に搭載されたカメラによって撮影された撮影データに基づいてユーザを検出し、検出したユーザのもとへ飲み物を運搬してもよい。また、撮影データから複数の人が検出された場合には、複数の人のなかからあらかじめ登録されたユーザを特定して、特定したユーザに飲み物を運搬してもよいし、ユーザを特定せずに、検出された複数の人全員に飲み物を提供してもよい。複数の人のなかからあらかじめ登録されたユーザを特定する場合には、例えば、動作制御部23は、あらかじめユーザの画像を機械学習などによって学習しておく。
【0088】
作業が中断していない場合(ステップS22 No)、ロボット1の情報処理部2は、作業が終了したか否かを判断する(ステップS25)。詳細には、判定部22が、作業状態情報が、ユーザの作業が終了したことを示す情報であるか否かを判定する。ユーザの作業が終了したことを示す情報は、例えば、上述したように、PC43から取得されるシャットダウン情報である。
【0089】
作業が終了していない場合(ステップS25 No)、ステップS21からの処理が繰り返される。作業が終了した場合(ステップS25 Yes)、ロボット1の情報処理部2は、片付けサービスを提供するための指令を生成する(ステップS26)。詳細には、判定部22が、ユーザの作業が終了したと判定すると、ユーザの机の上を片付ける片付けサービスの提供の開始を指示する指示情報を生成し、生成した指示情報を動作制御部23へ出力し、動作制御部23が、当該指示情報に基づいてサービスを提供するための指令を生成し、生成した指令を可動部3へ出力する。
【0090】
ステップS26の後、ロボット1は、片付けサービスを提供し(ステップS27)、ユーザの作業状態に応じたサービスの提供処理を終了する。詳細には、ステップS27では、可動部3が、動作制御部23から受け取った指令に応じて動作を開始することで、ユーザに片付けサービスが提供される。なお、片付けの対象は、
図9に示した例では、片付けの対象となるPC43が載置されている机であるが、片付けの対象はこれに限定されない。例えば、作業の終了時にユーザが片付けを行う場所をあらかじめ設定しておいてもよい。
【0091】
図10に示した例では、ステップS27の後に処理を終了しているが、複数のユーザにサービスを提供する場合には、ステップS27の後に、別のユーザのPCを監視対象として、ステップS21からの処理が行われてもよい。また、
図10では、作業中断時に提供するサービスと作業終了時に提供するサービスとの両方が提供可能な例を示しているが、ロボット1は、いずれか一方のサービスを提供してもよい。例えば、ステップS22でNoの場合にステップS21からの処理が繰り返されてもよいし、ステップS21の後、ステップS22が実施されずに、ステップS25以降の処理が実施されてもよい。
【0092】
ステップS22およびステップS25の処理は、実施の形態1で述べたステップS2のサービス提供条件を満たすか否かの処理の具体例である。ユーザの作業の中断時および作業の終了時にそれぞれ提供されるサービスは、
図9および
図10に示した例に限定されず、あらかじめ定められればよい。例えば、ロボット1は、作業の中断時にエクササイズのためのグッズを運搬するサービスを提供してもよく、ユーザが職場で作業している場合には、作業の終了時に、ユーザの荷物をロッカーなどから運搬するサービスを提供してもよく、
図9および
図10に示した例以外のサービスが提供されてもよい。
【0093】
以上述べたように、本実施の形態では、判定部22は、終了情報に基づいて、ユーザ作業が終了したか否かを判定し、ユーザ作業が終了したと判定すると、ユーザ作業が終了した際に行うあらかじめ定められたサービスである第1のサービスを提供すると決定し、動作制御部23に第1のサービスを提供するための指令の生成を指示する。また、判定部22は、中断情報に基づいて、ユーザ作業が中断したか否かを判定し、ユーザ作業が中断したと判定すると、ユーザ作業が中断した際に行うあらかじめ定められたサービスである第2のサービスを提供すると決定し、動作制御部23に第2のサービスを提供するための指令の生成を指示する。例えば、第1のサービスは、ユーザの机の上を片付けるサービスを含み、第2のサービスは飲み物運搬サービスを含む。
【0094】
また、ロボット1は、実施の形態2で述べた動作と、実施の形態3で述べた動作との両方を行うようにしてもよい。すなわち、ロボット1は、発言量に基づいてサービス提供条件を満たした場合に実施の形態2で述べたサービスを提供し、作業状態情報に基づいてサービス提供条件を満たした場合に本実施の形態で述べたサービスを提供してもよい。
【0095】
以上のように、本実施の形態では、サービス提供条件として、作業状態情報がユーザの作業が中断したことを示すという条件と、作業状態情報がユーザの作業が終了したことを示すという条件と、のうちの少なくとも一方を含むようにした。これにより、ユーザは、作業の中断時、終了時などに、ロボットへ指示を行うことなくサービスの提供を受けることができる。これにより、ユーザの生活の快適性が向上する。
【0096】
実施の形態4.
図11は、実施の形態4にかかるサービス提供システム100により提供されるサービスの一例を示す概念図である。本実施の形態では、実施の形態1で述べたロボット1によって提供されるサービスとサービス提供条件との具体例について説明する。本実施の形態のサービス提供システム100の構成、およびサービス提供システム100を構成する各装置の構成は実施の形態1と同様である。なお、ここでは、実施の形態1の
図1に示した構成のサービス提供システム100を例に挙げて説明するが、実施の形態1の
図4または
図5に示した構成例においても、本実施の形態の動作を同様に適用できる。また、実施の形態1で述べたように、各装置の機能の切り分けは、
図4,5に示した例に限定されない。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して説明する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0097】
本実施の形態では、ロボット1の情報処理部2は、ユーザ情報に基づいてユーザが忙しいと判定すると、
図11に示すように、家事代行サービスを提供する。
図11では、家事代行サービスとして、ロボット1が洗濯を行うサービスを提供する例を図示しているが、家事代行サービスの具体的な内容はこの例に限定されず、掃除、料理、片付けなどを行うサービスであってもよく、これら以外であってもよい。また、家事代行サービスは、掃除と洗濯など複数の家事を組み合わせて行うサービスであってもよい。
【0098】
本実施の形態では、ユーザの忙しさの度合いを示す忙しさ情報が、ユーザの状態を示すユーザ状態情報から算出される。本実施の形態のユーザ状態情報は、ユーザ情報の一例であり、ユーザ状態情報はユーザの忙しさを示す情報である。本実施の形態のユーザ状態情報は、例えば、ユーザの移動速度を示す情報である。より具体的には、ユーザ状態情報は、例えば、複数の時刻におけるユーザの位置を示す情報であってもよい。ユーザの移動速度を示す情報は、例えば、
図11に示すように、検出装置4でありユーザが身に着けるウェアラブル端末44、検出装置4でありユーザによって携帯される携帯端末45などのうちの1つ以上によって取得され、ロボット1へ送信される。また、ロボット1がユーザの周辺に存在する場合には、ユーザの移動速度を示す情報は、ロボット1に搭載されるカメラ46によって取得された撮影データであってもよいし、図示しない他のカメラによって取得された撮影データであってもよい。
【0099】
ロボット1の情報処理部2における判定部22は、ユーザ状態情報を用いてユーザの忙しさの度合いを算出する。判定部22は、忙しさの度合いがしきい値を超えた場合に、家事代行サービスを提供すると決定し、家事代行サービスを提供するための指令の生成を動作制御部23に指示する。忙しさの度合いは、忙しさの度合いが、忙しいか否かの2段階(2値)である例を説明するが、これに限らず、3段階以上で示されてもよい。判定部22は、ユーザ情報として取得された移動速度と対応情報とに基づいて忙しさの度合いを示す忙しさ情報を算出することで、忙しさ情報を取得する。また、判定部22は、ユーザの移動速度を示す情報として、複数の時刻におけるユーザの位置を示す情報が取得される場合には、複数の時刻におけるユーザの位置を示す情報を用いて移動速度を算出し、算出した移動速度と対応情報とに基づいて忙しさの度合いを示す忙しさ情報を算出する。移動速度としては、例えば、定められた時間における平均速度を用いることができるが、これに限定されない。
【0100】
また、移動速度が、徒歩による移動として想定される速度を超える場合には、車両、飛行機などの乗り物によって移動していると想定し、移動速度を用いた忙しさの判定を行わないようにしてもよい。例えば、移動速度が、徒歩による移動として想定される速度より速い速度を上限値として定めておき、移動速度が上限値を超えるときには、移動速度を用いた忙しさの判定を行わないようにしてもよい。または、移動速度に上限値は設定せず、対応情報において、乗り物によって移動していると想定される移動速度の範囲についても、対応する忙しさの段階を定めてもよい。
【0101】
また、ユーザ状態情報は、携帯端末45または携帯端末45以外の図示しないコンピュータシステムに登録されたスケジュール情報であってもよい。スケジュール情報は、ユーザのスケジュールを示す情報である。この場合、例えば、情報提供装置5である携帯端末45または携帯端末45以外の図示しないコンピュータシステムから、スケジュール情報がロボット1へ送信される。ロボット1の情報処理部2は、例えば、スケジュール情報に基づいて、定められた単位時間内に登録されているイベントの数がしきい値を超えるとユーザが忙しいと判定してもよいし、イベント間の空時間がしきい値未満である場合にユーザが忙しいと判定してもよい。また、ロボット1の情報処理部2は、例えば、スケジュール情報に基づいて、特定のあらかじめ定められたイベントが予定されている時間帯をユーザが忙しい時間帯であると判定してもよいし、これら以外の判定方法によってユーザが忙しいか否かを判定してもよい。移動速度の場合と同様に、忙しさの度合いとスケジュール情報に関する条件(イベントの数などに関する条件)との対応を対応情報として定めておき、判定部22が、対応情報とスケジュール情報とを用いて忙しさの度合いを示す忙しさ情報を算出してもよい。また、判定部22は、スケジュール情報と移動速度との両方を用いて忙しさの度合いを示す忙しさ情報を算出してもよい。この場合、例えば、対応情報として、忙しさの度合いごとに、スケジュール情報に関する条件と移動速度の範囲との対応を対応情報として定めておく。このように、本実施の形態では、ユーザ情報はユーザの忙しさを示す情報を含み、ユーザの忙しさを示す情報は、ユーザの移動速度を示す情報とユーザのスケジュールを示す情報とのうち少なくとも一方を含む。
【0102】
また、さらに、ロボット1の情報処理部2の判定部22は、ユーザの感情を推定し、推定した感情をさらに用いて、ユーザの忙しさの度合いを判定してもよい。例えば、ユーザ状態情報として、ユーザのバイタルデータおよびカメラにより撮影された撮影データのうちの少なくとも一方を含めておき、判定部22は、ユーザのバイタルデータおよびカメラにより撮影された撮影データのうちの少なくとも一方を用いてユーザの感情を推定してもよい。ユーザのバイタルデータおよびカメラにより撮影された撮影データのうちの少なくとも一方から感情を推定する方法は、どのような方法を用いてもよいが、例えば機械学習により、ユーザのバイタルデータおよびカメラにより撮影された撮影データのうちの少なくとも一方と感情との関係を学習しておき、学習結果を用いる方法を用いることができる。例えば、判定部22は、移動速度がしきい値以上でありかつユーザの感情がイライラしている状態であると推定される場合には、ユーザは忙しいと判定してもよい。感情を用いた忙しさの判定方法はこの例に限定されない。また、ここでは、忙しさの判定に感情を用いたが、実施の形態2,3においても、さらに感情を用いてもよい。例えば、実施の形態2,3において、飲み物を提供する際に、ユーザが怒りを感じている場合、または不安を感じている場合には、不安や緊張感などを緩和するような飲み物を提供してもよい。
【0103】
図12は、本実施の形態のロボット1の動作の一例を示すフローチャートである。ロボット1の情報処理部2は、ユーザ状態情報を取得する(ステップS31)。詳細には、取得部21が、検出装置4および情報提供装置5のうちの少なくとも一方から、ユーザ状態情報を取得し、取得したユーザ状態情報を判定部22へ出力する。
【0104】
ロボット1の情報処理部2は、忙しさ情報を取得する(ステップS32)。詳細には、判定部22が、ユーザ状態情報を用いて忙しさ情報を算出することで、忙しさ情報を取得する。次に、判定部22は、ユーザは忙しいか否かを判定する(ステップS33)。詳細には、判定部22は、忙しさ情報を用いて、ユーザが忙しいか否かを判定する。本実施の形態では、ユーザ状態情報を用いて算出される指標は、ユーザの忙しさの度合いであり、サービス提供条件は、ユーザが忙しいという条件(ユーザの忙しさの度合いがしきい値を超えるという条件)である。
【0105】
ユーザが忙しくない場合(ステップS33 No)、ステップS31からの処理が繰り返される。ユーザが忙しい場合(ステップS33 Yes)、ロボット1の情報処理部2は、家事代行サービスを提供するための指令を生成する(ステップS34)。詳細には、判定部22が、ユーザが忙しいと判定すると、家事代行サービスの提供の開始を指示する指示情報を生成し、生成した指示情報を動作制御部23へ出力し、動作制御部23が、当該指示情報に基づいて家事代行サービスを提供するための指令を生成し、生成した指令を可動部3へ出力する。
【0106】
また、忙しさ情報が3段階以上で忙しさの度合いを示す場合には、判定部22は、忙しさの度合いがしきい値を超える場合に、ステップS33でYesと判定し、忙しさの度合いがしきい値以下である場合に、ステップS33でNoと判定してもよい。なお、ここでは、忙しさの度合いは値が大きいほど忙しいことを示すとする。また、判定部22は、忙しさの度合いに応じて、家事代行サービスの内容を決定してもよい。例えば、忙しさが1から3までの3段階の数値で示される場合、判定部22は、忙しさの度合いが2である場合に、洗濯の家事を代行する家事代行サービスを提供すると判定し、忙しさの度合いが3である場合に、洗濯および掃除の家事を代行する家事代行サービスを提供するといったように、忙しさの度合いに応じて家事代行サービスの内容を決定してもよい。
【0107】
ステップS34の後、ロボット1は、家事代行サービスを提供し(ステップS35)、ステップS31からの処理が繰り返される。詳細には、ステップS35では、可動部3が、動作制御部23から受け取った指令に応じて動作を開始することで、家事代行サービスが提供される。
【0108】
また、上述した例では、ユーザが忙しい場合に、家事代行サービスを行うようにしたが、家事代行サービスに、定められた対象エリアの片付けおよび掃除のうちの少なくとも一方を行うサービスが含まれている場合、判定部22は、対象エリアの状態を示す情報を用いて、当該サービスを実行するタイミングを決定してもよい。対象エリアは、サービスの提供の対象となるエリアであり、ユーザが管理するエリアの一例である。対象エリアの状態を示す情報もユーザ情報の一例である。
【0109】
図13は、本実施の形態の対象エリアの片付けサービスの一例を示す図である。
図13には、上部に対象エリアの基準状態を示す基準映像を図示し、下部に対象エリアが撮影された映像を図示している。例えば、ロボット1に搭載されるカメラ46または図示を省略した対象エリアを撮影可能な他のカメラによって、対象エリアが撮影された映像を示す撮影データがユーザ情報として取得される。
【0110】
ロボット1の情報処理部2の判定部22は、あらかじめ対象エリアにおける基準状態の映像を基準映像として記憶しておく。基準映像は、ユーザが、対象エリアが片付いた状態において、ロボット1へ、基準映像の取得を指示することで、ロボット1の判定部22が、取得部21を介して基準映像を取得してもよい。すなわち、ユーザが片付いている状態であるという正解データを与えて対応する撮影データが取得されることで、基準映像が学習されてもよい。または、例えば、判定部22は、1週間、1か月などのある程度の期間である一定期間において、対象エリアが撮影された撮影データを取得する。そして、判定部22は、撮影データを映像が類似するグループに分類し、分類したグループのうち、最も対象エリアにおける床の部分が多いと推定されるグループの撮影データを基準映像として用いてもよい。基準映像の決定方法は、上述した例に限定されない。また、基準映像の決定は、判定部22によって行われる例に限定されず、ロボット1とは別の学習装置によって行われ、学習装置によって決定された基準映像をロボット1の判定部22が保持するようにしてもよい。
【0111】
判定部22は、撮影データに基づいて、対象エリアが定められた基準状態から変化したか否かを判定し、対象エリアが基準状態から変化したと判定した場合に、掃除および片付けのうち少なくとも一方のサービスを提供することを決定し、決定したサービスを提供するための指令の生成を動作制御部23に指示する。例えば、判定部22は、現在の対象エリアの状態を示す撮影データを用いて、対象エリアにおける物の状態が基準状態から変化があったと判定した場合に、片付けサービスを実行すると判定する。例えば、判定部22は、基準映像には物がなく床となっている部分に一定時間以上物が存在すると判定した場合に、対象エリアにおける物の状態が基準状態から変化したと判定する。
図13に示した例では、下部に示した映像(撮影データが示す映像)では、基準状態(基準映像に対応する状態)より物が散らばっている。この状態が一定時間以上継続すると、ロボット1は、片付けサービスを実行する。なお、判定部22は、ユーザが忙しくかつ対象エリアにおける物の状態が基準状態から変化があったと判定した場合に、片付けサービスを実行すると判定してもよいし、ユーザが忙しいか否かに関わらず、対象エリアにおける物の状態が基準状態から変化があったと判定した場合に、片付けサービスを実行すると判定してもよい。
【0112】
また、基準状態として、片付け対象の物ごとに、あらかじめ基準位置が設定されてもよい。判定部22は、撮影データに基づいて、物が、一定時間以上の間、基準位置から一定距離以上離れていると判定した場合に、片付けサービスを実行すると判定してもよい。
【0113】
また、判定部22は、汚れた状態を表す映像と対象エリアの撮影データとを用いて、対象エリアに汚れがあるか否かを判定し、汚れがあると判定した場合に、汚れがあると判定された箇所の掃除を行うサービスを提供することを決定してもよい。例えば、判定部22は、汚れている状態の映像を学習しておくことで、撮影データに基づいて対象エリアに汚れが生じたと判定した場合に、汚れを除去するための掃除サービスを実行すると判定し、動作制御部23に掃除サービスの実行を指示する。
図14は、本実施の形態の対象エリアにおいて液体が床にこぼれた状態を示す図である。液体がこぼれた映像をあらかじめ汚れている状態の映像として学習しておくことで、判定部22は、液体が床にこぼれると、汚れを清掃するための掃除サービスを実行すると判定し、動作制御部23に汚れを清掃するための掃除サービスの実行を指示してもよい。また、液体の汚れが生じた状態と、土や粉などの固形物による汚れが生じた状態とを分けて学習しておくことで、判定部22は、対象エリアの状態に応じて、拭き掃除、ゴミを吸引する掃除など掃除の内容を決定してもよい。なお、汚れがあるか否かを判定する方法は、例えば、埃センサなどのように汚れ自体を計測するセンサの検出結果を用いて対象エリアに汚れがあるか否かを判定する方法、汚れそのものを表す映像(ゴミや汚れの画像)と対象エリアの撮影データとを用いて対象エリアに汚れがあるか否かを判定する方法などであってもよい。すなわち、判定部22は、例えば、対象エリアの状態の検出結果を用いて、対象エリアに汚れがあるか否かを判定すればよく、汚れがあるか否かを判定する方法は、上述した例に限定されない。
【0114】
また、判定部22は、対象エリアのうち、ユーザに設定された特定エリアが撮影されて得られる撮影データに基づいて、特定エリアが定められた基準状態から変化したか否かを判定し、特定エリアが基準状態から変化したと判定した場合に、特定エリアの掃除および片付けのうち少なくとも一方のサービスを提供することを決定してもよい。例えば、ユーザが、常に片付けた状態としておきたい特定エリアを設定するようにしてもよい。
図15は、本実施の形態の特定エリアの一例を示す図である。例えば、ロボット1が掃除を行う対象エリアが
図15に示した2部屋であったとする。そして、例えば、乳幼児が
図15における左側の部屋にいることが多い場合、乳幼児が落ちている物を拾って口にしたりすることを避けるために、ユーザは特定エリア401を指定し、特定エリア401は常に物がないように指定する。これにより、判定部22は、特定エリア401を撮影した撮影データに基づいて、特定エリア401に物があると判定すると、物を片付ける片付けサービスを実行すると判定し、動作制御部23に物を片付ける片付けサービスの実行を指示してもよい。
【0115】
また、ロボット1は、実施の形態2の動作と、実施の形態3の動作とのうちの少なくとも一方と、実施の形態4で述べた動作とを行うようにしてもよい。例えば、ロボット1は、発言量に基づいてサービス提供条件を満たした場合に実施の形態2で述べたサービスを提供し、作業状態情報に基づいてサービス提供条件を満たした場合に本実施の形態で述べたサービスを提供し、ユーザが忙しいというサービス提供条件を満たした場合に本実施の形態で述べたサービスを提供してもよい。また、例えば、ロボット1は、発言量に基づいてサービス提供条件を満たした場合に実施の形態2で述べたサービスを提供し、対象エリアまたは特定エリアの状態に基づくサービス提供条件を満たした場合(例えば、基準状態から変化した場合、汚れがあると判定されて場合など)にサービスを提供してもよい。また、ロボット1は、作業状態情報に基づくサービス提供条件を満たした場合にサービスを提供するとともに、対象エリアまたは特定エリアの状態に基づくサービス提供条件を満たした場合(例えば、基準状態から変化した場合、汚れがあると判定されて場合など)にサービスを提供してもよい。
【0116】
以上のように、本実施の形態では、サービス提供条件として、ユーザが忙しいという条件を用い、ユーザが忙しい場合に、ロボット1が家事代行サービスを提供するようにした。これにより、ユーザは、忙しいときに、ロボットへ指示を行うことなく家事代行サービスの提供を受けることができる。これにより、ユーザの生活の快適性が向上する。
【0117】
また、対象エリアの状態が基準状態から変化があった場合に、ロボット1が家事代行サービスを提供するようにしてもよく、この場合も、ユーザがロボット1へ指示を行うことなく家事代行サービスの提供を受けることができる。これにより、ユーザの生活の快適性が向上する。
【0118】
実施の形態5.
図16は、実施の形態5にかかるロボット1の動作の一例を示すフローチャートである。本実施の形態では、実施の形態1で述べたロボット1によって提供されるサービスとサービス提供条件との具体例について説明する。本実施の形態のサービス提供システム100の構成、およびサービス提供システム100を構成する各装置の構成は実施の形態1と同様である。なお、ここでは、実施の形態1の
図1に示した構成のサービス提供システム100を例に挙げて説明するが、実施の形態1の
図4または
図5に示した構成例においても、本実施の形態の動作を同様に適用できる。また、実施の形態1で述べたように、各装置の機能の切り分けは、
図4,5に示した例に限定されない。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は、実施の形態1と同一の符号を付して説明する。以下、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
【0119】
本実施の形態では、ロボット1の情報処理部2は、ユーザのバイタルデータおよびユーザを撮影した撮影データのうち少なくとも一方に基づいて、ユーザが睡眠中であるか否かを判定し、ユーザが睡眠中である場合、ロボット1は、ユーザが睡眠中である場合に適した条件で作業サービスを提供する。ユーザが睡眠中である場合に適した条件は、通常のモードより騒音の少ない静音モードを設定することであってもよいし、ユーザが存在する第1のエリアから遠い第2のエリアにおいてサービスを提供することであってもよい。作業サービスは、例えば、家事代行サービスであるが、ロボット1の可動部3を用いるサービスであればよく、これに限定されない。ユーザのバイタルデータおよびユーザを撮影した撮影データのうち少なくとも一方は、ユーザ情報の例である。
【0120】
図16に示した処理は、例えば、ロボット1が、ユーザ情報に基づいて、作業サービスを開始するサービス提供条件を満たしたと判定した場合に、作業サービスの開始の前に行われる。例えば、実施の形態4で述べたように対象エリアが変化した場合に、
図16に示した処理が開始される。または、ロボット1が毎日定時にあらかじめ定められた作業を行ったり、ユーザによって予約された作業を行ったりする際に、
図16に示した処理が行われてもよい。
【0121】
図16に示すように、ロボット1の情報処理部2は、ユーザ状態情報を取得する(ステップS41)。ステップS41では、詳細には、取得部21が、検出装置4から、ユーザ情報としてユーザ状態情報を取得し、取得したユーザ状態情報を判定部22へ出力する。本実施の形態におけるユーザ状態情報は、例えば、ユーザのバイタルデータおよびユーザを撮影した撮影データのうち少なくとも一方を含む。バイタルデータは、例えば、実施の形態1で述べたように、バイタルを検出可能なセンサを内蔵するウェアラブル端末44、バイタルを検出可能な非接触式のセンサなどである検出装置4によって取得される。
【0122】
ロボット1の情報処理部2は、睡眠情報を取得する(ステップS42)。詳細には、判定部22が、ユーザ状態情報を用いて、ユーザの睡眠状態(睡眠中であるか、または睡眠中でないか)を推定することで、ユーザの睡眠状態を示す睡眠情報を取得する。次に、判定部22は、ユーザは睡眠中であるか否かを判定する(ステップS43)。詳細には、判定部22は、睡眠情報を用いて、睡眠中であるか否かを判定する。本実施の形態では、ユーザ情報を用いて算出される指標は、ユーザの睡眠状態であり、サービス提供条件は、ユーザが睡眠中という条件である。
【0123】
ユーザが睡眠状態である場合(ステップS43 Yes)、ロボット1の情報処理部2は、睡眠中に対応する条件で作業サービスを提供するための指令を生成する(ステップS44)。詳細には、判定部22が、ユーザが睡眠状態であると判定すると、睡眠中に対応する条件で作業サービスの提供を開始することを指示する指示情報を生成し、生成した指示情報を動作制御部23へ出力し、動作制御部23が、当該指示情報に基づいて睡眠中に対応する条件で作業サービスを提供するための指令を生成し、生成した指令を可動部3へ出力する。睡眠中に対応する条件は、睡眠中のユーザを起こさないように作業を行うための条件である。例えば、作業サービスが、掃除機を用いて掃除を行うサービスである場合、睡眠中に対応する条件は、睡眠中のユーザがいる部屋(第1のエリア)から遠い部屋(第2のエリア)の掃除を行うという条件であってもよいし、通常の運転より静かな静音モードで掃除を行うという条件であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0124】
ステップS44の後、ロボット1は、睡眠中に対応する条件で作業サービスを提供し(ステップS45)、ステップS41からの処理が繰り返される。詳細には、ステップS45では、可動部3が、動作制御部23から受け取った指令に応じて動作を開始することで、睡眠中に対応する条件で作業サービスが提供される。
【0125】
図17は、本実施の形態のロボット1によるサービスの提供の一例を示す図である。
図17に示すように、バイタルデータを取得可能なウェアラブル端末44を身に着けたユーザが紙面の左上の部屋で睡眠中であるとする。この場合、ロボット1は、左上の部屋から最も遠い紙面の右下の部屋の掃除を行う。また、ロボット1は、左上の部屋から最も遠い右下の部屋だけでなく、2番目に遠い部屋の掃除も行うようにしてもよい。例えば、遠い順に定められた数の部屋の掃除を許可することがあらかじめ定められていてもよいし、睡眠中のユーザがいる部屋からの距離が一定値以上の部屋を掃除するといったように距離で条件が定められていてもよい。ロボット1の判定部22は、例えば、
図17に示したように、掃除の対象エリアの間取り図を示す情報を保持し、ユーザの位置と間取り図とに基づいて、掃除を行う部屋を決定する。
【0126】
図16の説明に戻る。ユーザが睡眠状態でない場合(ステップS43 No)、ロボット1の情報処理部2は、通常の作業サービスを提供するための指令を生成する(ステップS46)。詳細には、判定部22が、ユーザが睡眠状態でないと判定すると、通常の作業サービスを提供することを指示する指示情報を生成し、生成した指示情報を動作制御部23へ出力し、動作制御部23が、当該指示情報に基づいて通常の作業サービスを提供するための指令を生成し、生成した指令を可動部3へ出力する。例えば、作業サービスが、掃除機を用いて掃除を行うサービスである場合、通常の作業サービスは、睡眠中のユーザがいる部屋も含めて掃除を行うという条件であってもよいし、通常の運転モードで掃除を行うという条件であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
【0127】
ステップS46の後、ロボット1は、通常の作業サービスを提供し(ステップS47)、ステップS41からの処理が繰り返される。詳細には、ステップS47では、可動部3が、動作制御部23から受け取った指令に応じて動作を開始することで、通常の作業サービスが提供される。
【0128】
本実施の形態では、サービス提供条件を満たしてロボット1が作業を実行する際に、ユーザが睡眠中であるか否かを判定し、睡眠中であると判定すると、睡眠中に対応する条件で作業サービスを提供するようにした。これにより、ユーザは、睡眠中に、ロボットへ指示を行うことなく、睡眠中に対応する条件で作業サービスの提供を受けることができる。これにより、ユーザの睡眠を妨げずに、ユーザは作業サービスの提供を受けることができる。
【0129】
また、ロボット1が毎日定時にあらかじめ定められた作業を行ったり、ユーザによって予約された作業を行ったりする際に、
図16に示した処理が行われる場合についても、ロボット1は、ユーザ情報に基づいて算出される指標に基づいて、睡眠中に対応する条件で行われる作業サービスを実行するタイミングを決定していることになる。この場合、サービス提供条件として、ユーザが睡眠中であるという条件を用い、ユーザが睡眠中であると判定すると、睡眠中に対応する条件で作業サービスを提供する。また、この場合も、ロボット1は、実施の形態2の動作と、実施の形態3の動作と、実施の形態4の動作とのうちの少なくとも1つと、実施の形態5で述べた動作とを行うようにしてもよい。
【0130】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0131】
1,1a,1b ロボット、2 情報処理部、3 可動部、4 検出装置、5 情報提供装置、6,6a 情報処理装置、21 取得部、22 判定部、23,23a 動作制御部、24 送信部、25 指令生成部、31 移動機構、32 作業機構、33 受信部、41 マイク付きWebカメラ、42 温度計、44 ウェアラブル端末、45 携帯端末、46 カメラ、100,100a,100b サービス提供システム。
【要約】
本開示にかかる情報処理部(2)は、可動部(3)を備え可動部(3)を動作させることによりユーザにサービスを提供するロボット(1)を制御する情報処理装置であって、ユーザの状態とユーザの周囲の環境とのうち少なくとも一方を含むユーザ情報を取得する取得部(21)と、ユーザ情報を用いて、サービスを提供するタイミングを決定する判定部(22)と、決定されたタイミングに基づいてロボット(1)が決定されたタイミングでサービスを提供するための指令を生成する動作制御部(23)と、を備える。