(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-06
(45)【発行日】2024-12-16
(54)【発明の名称】感熱記録体
(51)【国際特許分類】
B41M 5/333 20060101AFI20241209BHJP
B41M 5/42 20060101ALI20241209BHJP
B41M 5/44 20060101ALI20241209BHJP
B41M 5/40 20060101ALI20241209BHJP
【FI】
B41M5/333 220
B41M5/42 221
B41M5/44 220
B41M5/40 220
(21)【出願番号】P 2024559479
(86)(22)【出願日】2024-02-21
(86)【国際出願番号】 JP2024006193
【審査請求日】2024-10-07
(31)【優先権主張番号】P 2023043907
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113022
【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】越 達朗
(72)【発明者】
【氏名】平井 健二
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-137588(JP,A)
【文献】特開2015-80852(JP,A)
【文献】特開2012-56184(JP,A)
【文献】特開2002-326456(JP,A)
【文献】特開2020-66148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 5/333
B41M 5/42
B41M 5/44
B41M 5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層と、感熱記録層上に保護層を設けた感熱記録体であって、該感熱記録層が下記一般式(化1)で表されるウレア化合物を少なくとも1種含有し、該保護層が
2.5~11.5重量部(固形分)のリン酸エステル化合物を含有する、感熱記録体。
【化1】
(式中、Xは-O-又は-NH-を表し、R
1は、水素原子または-SO
2-R
3を表し、R
3は、置換若しくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、R
2は、水素原子又はアルキル基を表し、mは0又は1を表す。)
【請求項2】
前記感熱記録層中のウレア化合物の含有量(固形分)が1.0~70.0重量%である、請求項1に記載の感熱記録体。
【請求項3】
前記保護層が更にバインダーとして、鹸化度95mol以上のカルボキシ変性ポリビニルアルコールを含有する、請求項1に記載の感熱記録体。
【請求項4】
更に、前記支持体の感熱記録層とは反対側にバックコート層を設けた、請求項1に記載の感熱記録体。
【請求項5】
前記バックコート層がエチレン-ビニルアルコール共重合体及びエチレン-アクリル共重合体を含有する、請求項4に記載の感熱記録体。
【請求項6】
前記ウレア化合物が、下記(1)又は(2)である、請求項1~5のいずれか一項に記載の感熱記録体。
(1)下記一般式(化2)で表される第1のウレア化合物
【化2】
(式中、R
1
、R
2
、及びR
3
は、上記と同様に定義される。)
(2)下記一般式(化3)で表される第2のウレア化合物
【化3】
(式中、R
2
は、上記と同様に定義され、R
4
~R
8
は、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表す。)
【請求項7】
前記第1のウレア化合物が下記一般式(化6)で表される、請求項6に記載の感熱記録体。
【化6】
(式中、R
9は、それぞれ同じであっても異なってもよく、アルキル基又はアルコキシ基を表し、oは0~3の整数を表す。)
【請求項8】
前記第2のウレア化合物が、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミドである、請求項7に記載の感熱記録体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料(以下、「ロイコ染料」ともいう。)と電子受容性顕色剤(以下、「顕色剤」ともいう。)との発色反応を利用した感熱記録体であって、ロングラン印字の際の印字走行性が良好な感熱記録体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、感熱記録体は通常無色ないし淡色のロイコ染料と顕色剤とを含有する塗工液を、紙、合成紙、フィルム、プラスチック等の支持体に塗工したものであり、サーマルヘッド、ホットスタンプ、熱ペン、レーザー光等の加熱による瞬時の化学反応により発色し、記録画像が得られる。感熱記録体は、ファクシミリ、コンピューターの端末プリンタ、自動券売機、計測用レコーダー、スーパーマーケットやコンビニなどのレシート等の記録媒体として広範囲に使用されている。
近年、感熱記録体は、各種チケット用、レシート用、ラベル用、銀行のATM用、ガスや電気の検針用、車馬券等の金券用など多様な用途にも拡大してきており、そのため、耐水性、画像部の耐可塑剤性、白紙部の耐熱性、耐油性、過酷な条件下における画像部及び白紙部の保存性など様々な性能が必要とされてきている。
このような用途において、感熱記録体に安定して印字できることが求められている。しかし頻繁に印字すると印字ヘッドに記録紙がスティックしたり、印字ヘッドにヘッドカスが溜まったりして印字が適切に行われなくなることがあり、こういったトラブルを解消するために、保護層などの最表層にリン酸エステル化合物を配合する技術が知られている(特許文献1等)。
また、顕色剤に特定のウレア化合物を用いた高速印字性等が良好な感熱記録体が知られている(特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-56184
【文献】国際公開WO2022/196512
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来技術を用いても、ロングラン印字の際には印字走行性(耐ヘッドカス付着性や耐スティック性)が充分ではないケースがあった。このロングラン印字とは、長距離、例えば、100m以上、特に1000m以上を連続して印字することをいう。
そこで、本発明は、ロングラン印字の際の印字走行性(特に、耐ヘッドカス付着性)が良好な感熱記録体を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討の結果、感熱記録層に、顕色剤として、特定のウレア化合物を含有させ、感熱記録層上に設けた保護層にリン酸エステル化合物を含有させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層と、感熱記録層上に保護層を設けた感熱記録体であって、該感熱記録層が下記一般式(化1)で表されるウレア化合物を少なくとも1種含有し、該保護層が
2.5~11.5重量部(固形分)のリン酸エステル化合物を含有する、感熱記録体である。
【化1】
(式中、Xは-O-又は-NH-を表し、R
1は、水素原子または-SO
2-R
3を表し、R
3は、置換若しくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、R
2は、水素原子又はアルキル基を表し、mは0又は1を表す。)
【発明の効果】
【0006】
本発明の感熱記録体は、印字走行性(耐ヘッドカス付着性、耐スティック性)が良好で、十分な発色感度を有する。特に、耐ヘッドカス付着性について、エネルギーの強いサーマルプリンタでロングラン印字(例えば、100m以上)をした場合にも耐ヘッドカス性が良好である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の感熱記録体は、支持体上に感熱記録層及び該感熱記録層上に保護層を有し、該感熱記録層が、電子受容性顕色剤として、特定のウレア化合物を含有し、該保護層が、リン酸エステル化合物を含有する。
【0008】
以下、本発明の感熱記録体の感熱記録層で使用される各種材料を例示するが、バインダー、架橋剤、顔料などは上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて設けられた各塗工層にも使用することが可能である。
本発明の感熱記録体は、その感熱記録層が顕色剤として下記一般式(化1)で表されるウレア化合物を少なくとも1種含有する。
【化1】
(式中、Xは-O-又は-NH-を表し、R
1は、水素原子または-SO
2-R
3を表し、R
3は、置換若しくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、R
2は、水素原子又はアルキル基を表し、mは0又は1を表す。)
【0009】
このウレア化合物は、好ましくは、下記(1)又は(2)である。
(1)下記一般式(化2)で表される第1のウレア化合物、
【化2】
(式中、R
1、R
2及びR
3は、上記と同様に定義される。)
(2)下式(化3)で表される第2のウレア化合物
【化3】
(式中、R
2は上記と同様に定義され、R
4~R
8の定義は後述する。)
【0010】
本発明で用いる第1のウレア化合物は、好ましくは下式(化4)で表される。
【化4】
【0011】
一般式(化2)及び一般式(化4)中、R3は、置換若しくは無置換であってもよい、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、好ましくは置換若しくは無置換のアリール基である。
これらが置換されている場合、その置換基は、好ましくは、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、炭素数6~12のアリール基又はハロゲン原子である。また、複数のR3は、同じであっても異なっていてもよい。
一般式(化2)のベンゼン環中のR1-O-の位置は、同じであっても異なってもよく、好ましくは、3位、4位又は5位である。
一般式(化2)及び一般式(化4)のベンゼン環中のR3-SO2-O-の位置は、同じであっても異なってもよく、好ましくは、3位、4位又は5位である。
【0012】
このアルキル基は、例えば、直鎖状、分岐鎖状若しくは脂環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1~12である。このアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、2-エチルへキシル基、ラウリル基などが挙げられる。
【0013】
このアラルキル基の炭素数は好ましくは7~12である。このアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、p-メチルベンジル基、m-メチルベンジル基、m-エチルベンジル基、p-エチルベンジル基、p-i-プロピルベンジル基、p-t-ブチルベンジル基、p-メトキシベンジル基、m-メトキシベンジル基、o-メトキシベンジル基、m,p-ジ-メトキシベンジル基、p-エトキシ-m-メトキシベンジル基、p-フェニルメチルベンジル基、p-クミルベンジル基、p-フェニルベンジル基、o-フェニルベンジル基、m-フェニルベンジル基、p-トリルベンジル基、m-トリルベンジル基、o-トリルベンジル基、p-クロロベンジル基などの無置換又はアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基若しくはハロゲン原子で置換されたアラルキル基などが挙げられる。
【0014】
このアリール基の炭素数は好ましくは6~12である。このアリール基としては、例えば、フェニル基、p-トリル基、m-トリル基、o-トリル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、メシチレン基、p-エチルフェニル基、p-i-プロピルフェニル基、p-t-ブチルフェニル基、p-メトキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、p-エトキシフェニル基、p-クロロフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、t-ブチル化ナフチル基などの無置換又はアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アリール基若しくはハロゲン原子で置換されたアリール基などが挙げられる。
【0015】
上記一般式(化1、2、4)中、R
3は、好ましくは下式で表される基である。
【化5】
上記式中、R
4~R
8は、それぞれ同じであっても異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、又はアリールアミノ基を表す。
【0016】
R2は、水素原子又はアルキル基、好ましくは水素原子を表し、このアルキル基としては、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基などである。
一般式(化2)のベンゼン環中のR2の位置は、同じであっても異なってもよく、好ましくは3位、4位又は5位である。
【0017】
本発明の第1のウレア化合物として、下記一般式(化6)で表されるウレア化合物が更に好ましい。
【化6】
一般式(化6)中、R
9はアルキル基又はアルコキシ基、好ましくはアルキル基であり、oは0~3、好ましくは0~2、より好ましくは0~1の整数を表す。このアルキル基の炭素数は、例えば、1~12、好ましくは1~8、より好ましくは1~4である。
一般式(化6)のベンゼン環中のR
9の位置は、同じであっても異なってもよく、好ましくは3位、4位又は5位、好ましくは4位である。
【0018】
また、本発明の第1のウレア化合物として、例えば、N,N'-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)-4-メチル-フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)-4-エチル-フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)-5-メチル-フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(ベンゼンスルホニルオキシ)-4-プロピル-フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(o-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(m-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)-4-メチル-フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(m-キシレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(メシチレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(1-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(2-ナフタレンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-エチルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-プロピルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-イソプロピルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-t-ブチルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(m-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(o-メトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(m,p-ジメトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-エトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-プロポキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-ブトキシベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-クミルベンジルスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-クミルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(o-フェニルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-フェニルベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(p-クロロベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[4-(ベンゼンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[4-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(エタンスルホニルオキシ)フェニル]尿素、N,N'-ジ-[3-(ベンジルスルホニルオキシ)フェニル]尿素、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明で用いる第2のウレア化合物として、N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミドが好ましく、この化合物は下式で表され、例えば、日本曹達株式会社から商品名NKK1304として入手可能である。
【化7】
【0020】
本発明の感熱記録層中のウレア化合物の含有量(固形分、ウレア化合物を複数含む場合は総量)は、1.0~70.0重量%、好ましくは5.0~65.0重量%、より好ましくは10.0~60.0重量部である。
本発明の感熱記録層中の前記第1のウレア化合物の同含有量は、1.0~50.0重量%、好ましくは5.0~40.0重量%である。また、前記第2のウレア化合物の同含有量は、5.0~50.0重量%、好ましくは5.0~40.0重量%である。
なお、本発明の感熱記録層が、第1及び第2のウレア化合物を含む場合、感熱記録層中の前記第2のウレア化合物の含有量は、前記第1のウレア化合物1.0重量部に対して、好ましくは0.1~30.0重量部、より好ましくは0.5~25.0重量部、更に好ましくは1.0~20.0重量部、特に好ましくは2.0~15.0重量部である。
【0021】
本発明の感熱記録層は、前記第1又は第2のウレア化合物以外の顕色剤を使用してもよく、このような顕色剤として、例えば、活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウムなどの無機酸性物質、4,4'-イソプロピリデンジフェノール、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-イソプロポキシジフェニルスルホン、4-ヒドロキシ-4'-n-プロポキシジフェニルスルホン、ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4-ヒドロキシ-4'-メチルジフェニルスルホン、4-ヒドロキシフェニル-4'-ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4-ジヒドロキシフェニル-4'-メチルフェニルスルホン、1-[4-(4-ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]-4-[4-(4-イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタン、特開2003-154760号公報記載のフェノール縮合組成物、特開平8-59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5-ジ(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキサペンタン、ビス(p-ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p-ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,4-ビス[α-メチル-α-(4'-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3-ビス[α-メチル-α-(4'-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、ジ(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、2,2'-チオビス(3-tert-オクチルフェノール)、2,2'-チオビス(4-tert-オクチルフェノール)、WO02/081229号あるいは特開2002-301873号公報記載の化合物、またN,N'-ジ-m-クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p-クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4-(n-オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4-[2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4-[3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5-[p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、及びこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。これらの顕色剤は、単独又は2種以上混合して使用することもできる。1-[4-(4-ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ]-4-[4-(4-イソプロポキシフェニルスルホニル)フェノキシ]ブタンは、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY-214として入手可能であり、特開2003-154760号公報記載のフェノール縮合組成物は、例えば、株式会社エーピーアイコーポレーション製商品名JKY-224として入手可能である。また、WO02/081229号等に記載の化合物は、日本曹達(株)製商品名NKK-395、D-100として入手可能である。この他、特開平10-258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
【0022】
本発明の感熱記録層が、第1又は第2のウレア化合物以外の顕色剤を含有する場合、感熱記録層中に含有される全顕色剤(前記第1及び/又は第2のウレア化合物を含む)に対する、使用する第1及び/又は第2のウレア化合物の合計含有量(固形分)は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。
【0023】
本発明で使用するロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系化合物、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0024】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0025】
<フルオラン系ロイコ染料>
3-ジエチルアミノ-6-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o,p-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(m-メチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-n-オクチルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-n-オクチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-ベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-p-メチルアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-エトキシエチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-ベンゾ〔a〕フルオラン、3-ジエチルアミノ-ベンゾ〔c〕フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(o,p-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-エトキシエチル-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-p-メチルアニリノフルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジブチルアミノ-7-(o-フルオロアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ペンチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ-n-ペンチルアミノ-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ペンチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジ-n-ペンチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジ-n-ペンチルアミノ-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ピペリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-プロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-メチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-シクロヘキシルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-キシルアミノ)-6-メチル-7-(p-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-p-トルイディノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-エトキシプロピルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロロフルオラン、2-(4-オキサヘキシル)-3-ジメチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-(4-オキサヘキシル)-3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-(4-オキサヘキシル)-3-ジプロピルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、2-メチル-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-メトキシ-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-クロロ-3-メチル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-クロロ-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ニトロ-6-p-(p-ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-アミノ-6-p-(p-ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-フェニル-6-メチル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ベンジル-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2-ヒドロキシ-6-p-(p-フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-メチル-6-p-(p-ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-p-(p-ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン、2,4-ジメチル-6-〔(4-ジメチルアミノ)アニリノ〕-フルオラン
【0026】
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6'-トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン-9,3'-フタリド〕、3,6,6'-トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン-9,3'-フタリド〕
【0027】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3-ビス-〔2-(p-ジメチルアミノフェニル)-2-(p-メトキシフェニル)エテニル〕-4,5,6,7-テトラブロモフタリド、3,3-ビス-〔2-(p-ジメチルアミノフェニル)-2-(p-メトキシフェニル)エテニル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3,3-ビス-〔1,1-ビス(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラブロモフタリド、3,3-ビス-〔1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド
【0028】
<その他>
3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3-(4-シクロヘキシルエチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,6-ビス(ジエチルアミノ)フルオラン-γ-(3'-ニトロ)アニリノラクタム、3,6-ビス(ジエチルアミノ)フルオラン-γ-(4'-ニトロ)アニリノラクタム、1,1-ビス-〔2',2',2'',2''-テトラキス-(p-ジメチルアミノフェニル)-エテニル〕-2,2-ジニトリルエタン、1,1-ビス-〔2',2',2'',2''-テトラキス-(p-ジメチルアミノフェニル)-エテニル〕-2-β-ナフトイルエタン、1,1-ビス-〔2',2',2'',2''-テトラキス-(p-ジメチルアミノフェニル)-エテニル〕-2,2-ジアセチルエタン、ビス-〔2,2,2',2'-テトラキス-(p-ジメチルアミノフェニル)-エテニル〕-メチルマロン酸ジメチルエステル
【0029】
本発明で使用する増感剤としては、従来公知の増感剤を使用することができる。かかる増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アマイド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2-ビス-(3-メチルフェノキシ)エタン、p-ベンジルビフェニル、β-ベンジルオキシナフタレン、4-ビフェニル-p-トリルエーテル、m-ターフェニル、1,2-ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p-クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p-メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ-p-トリルカーボネート、フェニル-α-ナフチルカーボネート、1,4-ジエトキシナフタレン、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸フェニルエステル、o-キシレン-ビス-(フェニルエーテル)、4-(m-メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4'-エチレンジオキシ-ビス-安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2-ジ(3-メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2-(4-メトキシ-フェノキシ)エチル]エーテル、p-ニトロ安息香酸メチル、p-トルエンスルホン酸フェニル、o-トルエンスルホンアミド、p-トルエンスルホンアミドなどを例示することができる。これらの増感剤は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0030】
本発明で使用する顔料としては、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ等が挙げられ、要求品質に応じて併用することもできる。
【0031】
本発明で使用できるバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類、シラン変性アクリル系樹脂、高Tgアクリル系樹脂(好ましくは、非コアシェル型アクリル系樹脂であって、そのガラス転移点(Tg)は、50℃より高く95℃以下である。このTgは示差走査熱量測定(DSC)によって測定する。)、(メタ)アクリル酸及び、(メタ)アクリル酸と共重合可能な単量体成分(オレフィンを除く)からなるその他のアクリル系樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロース誘導体、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉などの澱粉類、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、カゼイン、アラビヤゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロース及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂などを例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することもできる。
【0032】
本発明で使用する滑剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪
酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。
【0033】
本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、画像部の耐油性等を向上させる安定剤として、4,4′-ブチリデン(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、2,2′-ジ-t-ブチル-5,5′-ジメチル-4,4′-スルホニルジフェノール、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン等を添加することもできる。このほかにベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、酸化防止剤、蛍光染料等を使用することができる。
【0034】
本発明の感熱記録層で使用するロイコ染料、顕色剤、増感剤、その他の各種成分の種類及び量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ染料1重量部に対して顕色剤0.5~10重量部、増感剤0.1~10重量部、顔料0.5~20重量部、安定化剤0.01~10重量部、その他の成分0.01~10重量部程度を使用する。バインダーは感熱記録層固形分中5~25重量%程度が適当である。
【0035】
本発明において、ロイコ染料、顕色剤並びに必要に応じて添加する材料は、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗工液とする。この塗工液に用いる溶媒としては水あるいはアルコール等を用いることができ、その固形分は20~40重量%程度である。
【0036】
本発明の感熱記録体において、保護層は、リン酸エステル化合物を含有する。
本発明で使用されるリン酸エステル化合物は、例えば、モノカプロイルリン酸エステル、モノオクチルリン酸エステル、モノカプリルリン酸エステル、モノラウリルリン酸エステル、モノミリスチルリン酸エステル、モノセチルリン酸エステル、モノステアリルリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノネオペンチルエーテルのモノリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのモノリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのモノリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのモノリン酸エステル、ジカプロイルリン酸エステル、ジオクチルリン酸エステル、ジカプリルリン酸エステル、ジラウリルリン酸エステル、ジミリスチルリン酸エステル、ジセチルリン酸エステル、ジステアリルリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノネオペンチルエーテルのジリン酸エステル、トリエチレングリコールモノトリデシルエーテルのジリン酸エステル、テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルのジリン酸エステル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテルのジリン酸エステルなどを挙げることができ、 例えば、中京油脂製の「セパール328」、「セパール365」、「セパール380」、「セパール440」、「セパール441」、「セパール517」、「セパール521」、「セパールM835」(以上、商品名)などとして入手可能である。
このうち、本願では、セパールM835が好ましい。常温で液状の物質であり、特定の融点を持たないことから、通常滑剤として使用されるステアリン酸亜鉛と比較して、長時間印字した際にサーマルヘッドに付着しにくいと考えられる。
本発明で使用されるリン酸エステル化合物の配合量としては、最表層の塗工層全固形分100重量部に対して、好ましくは2.5~15.0重量部(以下、重量部は固形分換算とする)、より好ましくは2.5~11.5重量部である。リン酸エステル化合物の配合量が2.5重量部未満であると良好な耐スティック性が得られず、11.5重量部を超えると、印字保存性(耐可塑剤性)が低下することがある。
【0037】
本発明の保護層は、必要に応じて、感熱記録層について示したバインダーや顔料などの任意成分を含有してもよい。
保護層中のバインダーの量又はバインダーと顔料の総量は、固形分で、通常80.0~100.0重量%、好ましくは90.0~100.0重量%であり、顔料100重量部に対してバインダーは30.0~300.0重量部程度であることが好ましい。
【0038】
また、本発明の保護層中に架橋剤を併用することもできる。架橋剤としては、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂等のエピクロロヒドリン系樹脂、ポリアミド尿素系樹脂、ポリアルキレンポリアミン樹脂、ポリアルキレンポリアミド樹脂、ポリアミンポリ尿素系樹脂、変性ポリアミン樹脂、変性ポリアミド樹脂、ポリアルキレンポリアミン尿素ホルマリン樹脂、又はポリアルキレンポリアミンポリアミドポリ尿素樹脂等のポリアミン/ポリアミド系樹脂、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニウムなどを例示することができる。
本発明において、保護層中に、架橋剤としてエピクロロヒドリン系樹脂及びポリアミン/ポリアミド系樹脂を、それぞれ含有させると、耐水性が特に良好となるため好ましい。
【0039】
本発明の感熱記録体は、支持体の感熱記録層とは反対面にバックコート層を有してもよい。このバックコート層は、水溶性高分子、水分散系樹脂、顔料などを含有してもよい。
この水溶性高分子としては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコールなどの、エチレン-ビニルアルコール共重合体以外のポリビニルアルコール類、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
この水分散系樹脂としては、天然ゴム、ジエン系ゴム、非ジエン系ゴム及び熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。
この顔料としては、感熱記録層に使用可能な顔料が適宜使用可能であるが、水酸化アルミニウム、シリカ、カオリン、焼成カオリンが好ましく、水酸化アルミニウムがより好ましい。
このバックコート層は、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、さらに必要に応じて、感熱記録層に使用可能な滑剤、架橋剤、紫外線吸収剤、分散剤、消泡剤、蛍光染料等を適宜含有してもよい。
【0040】
このバックコート層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体及びエチレン-アクリル共重合体を含有することが好ましい。
このエチレン-ビニルアルコール共重合体は、エチレン単位及びビニルアルコール単位を有する重合体である。エチレン-ビニルアルコール共重合体は、通常、エチレンとビニルエステルとを重合し、得られるエチレン-ビニルエステル共重合体をケン化して得られ、エチレン含有量は3~20モル%が好適である。またバリア性を付与するため、ケン化度は80~100モル%が好適である。ケン化度が80モル%未満では、バリア性、耐湿性が十分に得られない。
【0041】
本発明で使用するエチレン-アクリル共重合体は、エチレンとアクリル単量体とを乳化重合することによって得られる共重合体である。アクリル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が好ましく、アクリル酸がより好ましい。
エチレン-アクリル共重合体としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・メタクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体およびエチレン・メタクリル酸ブチル共重合体のうちいずれか1種以上であることが好ましい。共重合体には、エチレンおよびアクリル単量体と共重合可能なその他の化合物からなる単量体が少量共重合されていてもよい。
これらの中でもエチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体がより好ましく、エチレン・アクリル酸共重合体がさらに好ましい。
エチレン-アクリル共重合体の具体例として、例えば、エチレン・アクリル酸共重合体アンモニウム塩の水性分散液が、ザイクセン(登録商標)AC(アクリル酸の共重合比率20%、住友精化株式会社製)等として入手可能である。
【0042】
バックコート層中のエチレン-ビニルアルコール共重合体の含有量(固形分)は、好ましくは10~80重量%、より好ましくは10~50重量%である。
バックコート層中のエチレン-アクリル共重合体の含有量(固形分)は、好ましくは10~80重量%、より好ましくは50~80重量%である。
但し、バックコート層中のエチレン-ビニルアルコール共重合体及びエチレン-アクリル共重合体の合計含有量(固形分)は、好ましくは50~100重量%、より好ましくは50~90重量%、更に好ましくは70~90重量%である。
またエチレン-ビニルアルコール共重合体に対するエチレン-アクリル共重合体の含有比(固形分)は、エチレン-ビニルアルコール共重合体10質量部に対して、好ましくは2.5部~40部、より好ましくは10~40部である。
また、バックコート層中の顔料の含有量(固形分)は、好ましくは50~10重量%、より好ましくは30~10重量%である。
バックコート層の塗布量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、一般的な塗布量は固形分で0.1~5g/m2程度である。このうち、2.5~4.5g/m2程度であると、優れた水蒸気バリア性を有し、かつ、感熱記録体としての品質が良好であるため好ましい。
【0043】
本発明の感熱記録体は、支持体と感熱記録層との間に更に下塗り層を設けてもよい。
この下塗り層は、主としてバインダーと顔料とから成る。
下塗り層に用いるバインダーとしては、一般的に使用されている水溶性高分子あるいは疎水性高分子のエマルジョン等が適宜使用可能である。具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、等のセルロース誘導体、デンプンとその誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等の疎水性高分子のエマルジョンを用いることができる。これらのバインダーは1種又は2種以上用いてもよい。
【0044】
下塗り層に用いる顔料としては、従来一般的に使用されている公知の顔料、具体例としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、焼成カオリン、クレー、タルク等の無機顔料などを使用することができる。これらの顔料は1種又は2種以上用いてもよい。
下塗り層中の顔料は、全固形分100重量部に対して、通常50~95重量部、好ましくは70~90重量部である。
下塗り層の塗工液には必要に応じて、分散剤、可塑剤、pH調整剤、消泡剤、保水剤、防腐剤、着色染料、紫外線防止剤等の各種助剤を適宜配合してもよい。
【0045】
本発明において、感熱記録層及び感熱記録層以外の塗工層、即ち保護層、下塗り層などを塗工する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗布することができる。例えばエアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。
感熱記録層及び感熱記録層以外の塗工層の塗工量は、要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、感熱記録層の一般的な塗工量は固形分で2~12g/m2程度であり、保護層の塗工量は固形分で0.5~5.0g/m2が好ましい。
また、各塗工層の塗工後にスーパーカレンダー掛けなどの平滑化処理を施すなど、感熱記録体分野における各種公知の技術を必要適宜付加することができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。なお、各実施例及び比較例中、特にことわらない限り「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
【0047】
[各塗工液の調製]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して、下塗り層用塗工液を調製した。
<下塗り層用塗工液>
焼成カオリン(イメリス社製、アルファテックスHP) 50部
プラスチック中空粒子(ゼオン社製、MH8109) 50部
スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(日本ゼオン社製、ST5526、
固形分48%) 10部
水 50部
【0048】
下記配合の顕色剤分散液(A1~A2液)、ロイコ染料分散液(B液)、増感剤分散液(C液)を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径0.5μmになるまで湿式磨砕を行い、調製した。
顕色剤分散液(A1液)
N-[2-(3-フェニルウレイド)フェニル]ベンゼンスルホンアミド
(日本曹達社製、NKK1304、以下「ウレア化合物1」という。)
6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、PVA117、
固形分10%) 5.0部
水 1.5部
顕色剤分散液(A2液)
N,N'-ジ-[3-(p-トルエンスルホニルオキシ)フェニル]尿素
(以下、「ウレア化合物2」という。) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
ロイコ染料分散液(B液)
3-ジブチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン(山本化成社製、
ODB-2) 6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
増感剤分散液(C液)
1,2-ビス-(3-メチルフェノキシ)エタン(三光社製、KS232)
6.0部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 5.0部
水 1.5部
【0049】
次いで、下記の割合で各分散液を混合して感熱記録層用塗工液を調製した。
<感熱記録層用塗工液1>
顕色剤分散液(A1液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 36.0部
シリカ分散液(水澤化学社製、ミズカシルP-537、固形分25%)
17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 30.0部
<感熱記録層用塗工液2>
顕色剤分散液(A2液) 18.0部
ロイコ染料分散液(B液) 18.0部
増感剤分散液(C液) 36.0部
シリカ分散液(ミズカシルP-537) 17.5部
完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(PVA117) 30.0部
【0050】
次いで、下記割合からなる配合物を混合して保護層用塗工液を調製した。
<保護層用塗工液>
水酸化アルミニウム分散液(マーティンスベルグ社製、商品名:
マーティフィンOL、固形分50%) 9.0部
カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:KL318、
重合度:約1700、鹸化度:95~99mol%、固形分10%)
30.0部
ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(星光PMC社製、商品名:WS4030、
固形分25%) 4.0部
変性ポリアミン樹脂(住友化学社製、商品名:スミレーズレジンSPI-102A、
固形分45%) 2.2部
リン酸エステル化合物(中京油脂社製、セパールM835、固形分20%)
3.5部
水 22.8部
【0051】
次いで、下記割合からなる配合物を混合してバックコート層用塗工液を調製した。
<バックコート層用塗工液>
カオリン(イメリス社製、商品名:コンツァー1500) 20部
エチレン-ビニルアルコール共重合体(クラレ社製、商品名:エクセバールRS4104)
10部
エチレン-アクリル共重合体(住友精化社製、商品名:ザイクセンAC、
融点:80~95℃) 40部
【0052】
[実施例1]
支持体(坪量60g/m2の上質紙)の片面に、下塗り層用塗工液を、固形分で塗工量6.0g/m2となるようにベントブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、下塗り層塗工紙を得た。
この下塗り層塗工紙の下塗り層上に、感熱記録層用塗工液1を、固形分で塗工量3.0g/m2となるようにロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行い、スーパーカレンダーで平滑度が500~1000秒になるように処理して感熱記録層塗工紙を作製した。
次いで、この感熱記録層塗工紙の感熱記録層上に、保護層用塗工液を、固形分で塗工量3.0g/m2となるように、ロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、感熱記録体を作製した。
【0053】
[実施例2]
保護層用塗工液のリン酸エステル化合物3.5部を1.75部に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例3]
保護層用塗工液のリン酸エステル化合物3.5部を7.0部に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例4]
保護層用塗工液のリン酸エステル化合物3.5部を、ステアリルリン酸エステルカリウム塩エマルジョン(商品名:ウーポール1800、松本油脂社製、固形分濃度35%)3.5部に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例5]
感熱記録層用塗工液1を感熱記録層用塗工液2に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例6]
保護層塗工液を塗工後、保護層とは反対面に、バックコート層用塗工液を、固形分で塗工量3.5g/m2となるように、ロッドブレード法で塗工した後、乾燥を行ない、感熱記録体を作製した以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[実施例7]
保護層用塗工液のカルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(KL318)30.0部を、カルボキシ変性ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製、商品名:KL118、重合度:約1700、鹸化度:85~90mol%、固形分10%)30.0部に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0054】
[比較例1]
感熱記録層用塗工液1中の顕色剤(ウレア化合物1)を4-ヒドロキシ-4'-ベンジルオキシジフェニルスルホン(日華化学社製、商品名:BPS-MA3)に代えた以外は、実施例2と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例2]
保護層用塗工液のリン酸エステル化合物3.5部をステアリン酸亜鉛(商品名:ハイドリンZ-7-30、固形分30%)3.5部に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例3]
保護層用塗工液のリン酸エステル化合物3.5部をステアリン酸亜鉛(中京油脂社製、ハイドリンZ-7-30)1.75部に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
[比較例4]
保護層用塗工液のリン酸エステル化合物3.5部をステアリン酸亜鉛(ハイドリンZ-7-30)7.0部に代えた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を作製した。
【0055】
作製した感熱記録体について、下記評価を行った。
<発色性能(印字濃度)>
作製した感熱記録体について、大倉電機社製のTH-PMD(感熱記録紙印字試験機、京セラ社製サーマルヘッドを装着)を用い、印加エネルギー0.35mJ/dot、印字速度50mm/secで市松模様を印字した。印字部の印字濃度をマクベス濃度計(RD-914、アンバーフィルター使用)で測定し、発色性能を評価した。
【0056】
<耐スティック性>
大倉電機社製のTH-PMDを使用し、感熱記録体に印加エネルギー0.34mJ/dot、印字速度50mm/sec、-10℃の環境下で印字を行なった際の、スティックの具合及び記録時の騒音について次の基準で評価した。
○:白飛びの発生がなく、騒音もほとんどない
△:若干の白飛びはするが、騒音はほとんどない
×:白飛びが頻発し、騒音も大きい
【0057】
<耐ヘッドカス付着性>
SONY社製のUP-X898MD(医療用感熱印字機)を用い、Sモードの条件で20m~1000m、ベタ模様を印字した後、サーマルヘッドヘの付着物を以下の基準で目視評価した。
○:付着物が発生しない
△:付着物がわずかに堆積する。
×:付着物の堆積が見られる
【0058】
【0059】
表1に示すように、本発明の感熱記録体は、発色感度に悪影響を及ぼさずにロングラン印字した際のヘッド粕付着を防止する、耐ヘッド粕付着性に優れた効果を有する。
【要約】
【課題】ロングラン印字の際にも印字走行性(特に、耐ヘッドカス付着性)が良好な感熱記録体を提供する。
【解決手段】支持体上に、無色ないし淡色の電子供与性ロイコ染料及び電子受容性顕色剤を含有する感熱記録層と、感熱記録層上に保護層を設けた感熱記録体であって、該感熱記録層が下記一般式(化1)で表されるウレア化合物を少なくとも1種含有し、該保護層がリン酸エステル化合物を含有する、感熱記録体である。
【化1】
(式中、Xは-O-又は-NH-を表し、R
1は、水素原子または-SO
2-R
3を表し、R
3は、置換若しくは無置換のアルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、R
2は、水素原子又はアルキル基を表し、mは0又は1を表す。)
【選択図】なし