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  • 特許-積層型キャパシタ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】積層型キャパシタ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
H01G4/30 515
H01G4/30 201L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018204663
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2019195038
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-09-28
【審判番号】
【審判請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】10-2018-0050241
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ユ ラ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハク クワン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ジン ボク
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミョン ジョー
【合議体】
【審判長】井上 信一
【審判官】篠原 功一
【審判官】須原 宏光
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-204113(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0184143(US,A1)
【文献】Fernandez-Garcia et al.,Dielectric behavior of ceramic-graphene composites around the percolation threshold,Nanoscale research Letters,2015年05月13日,216
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
H01G 4/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記誘電体層は、複数の結晶粒及び隣接する結晶粒の間に形成された結晶粒界を含み、
前記結晶粒界は複数のグラフェンを含み、
前記グラフェンの一面が前記結晶粒の表面に沿って配置され、
前記誘電体層は、チタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とし、
前記グラフェンの含量は、前記チタン酸バリウム(BaTiO )に対して0.3~3.0wt%であり、
前記複数のグラフェンのうち互いに10層以上積層されているグラフェンは、全体グラフェンの5%以下である
積層型キャパシタ。
【請求項2】
前記グラフェンは、不安定指数(instability index)が0.1以下である、請求項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項3】
前記誘電体層の結晶粒のサイズは、500nm以下である、請求項または2に記載の積層型キャパシタ。
【請求項4】
誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、
前記本体に配置され、前記内部電極と連結される外部電極と、を含み、
前記誘電体層は、複数の結晶粒及び隣接する結晶粒の間に形成された結晶粒界を含み、
前記結晶粒界は、ラマン(Raman)分析時、Dバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出され、
前記結晶粒界は、複数のグラフェンを含み、
前記グラフェンの一面が前記結晶粒の表面に沿って配置され、
前記誘電体層は、チタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とし、
前記グラフェンの含量は、前記チタン酸バリウム(BaTiO )に対して0.3~3.0wt%であり、
前記複数のグラフェンのうち互いに10層以上積層されているグラフェンは、全体グラフェンの5%以下である
積層型キャパシタ。
【請求項5】
前記グラフェンは、不安定指数(instability index)が0.1以下である、請求項に記載の積層型キャパシタ。
【請求項6】
前記誘電体層の結晶粒のサイズは、500nm以下である、請求項4または5に記載の積層型キャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は積層型キャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
積層型キャパシタの一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン、携帯電話などの様々な電子製品の印刷回路基板に装着されて電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながら高容量が保証され、実装が容易であるという利点により、多様な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器などの各種電子機器が小型化及び高出力化するにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増大している。積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化を同時に達成するためには、高誘電率の誘電体を使用するか、積層数又は電極面積を増加させる必要があるが、小型化の傾向に伴い、積層数及び電極面積を増加させるには限界があるのが実情である。
【0004】
したがって、従来よりも誘電率が高い誘電体の必要性が持続的に提起されているが、従来のBaTiO誘電体よりも誘電率が高く、使用に適した材料がないのが実情である。
【0005】
誘電体を構成する基本物質であるチタン酸バリウム(BaTiO)に金属元素をドープ又はコーティングすることにより、金属元素と誘電体の界面での空間電荷(space charge)効果を用いた界面分極(interfacial polarization)現象を活用する方法などが検討されている。
【0006】
特許文献1には、BaTiO内に金属粒子を分散させてBaTiO/金属界面における空間電荷効果を追加することにより、誘電率を向上させる方法が開示されている。しかし、この場合、誘電率の向上に限界があり、かつ信頼性が低下し得るという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国公開特許第2016-0007219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一目的は、誘電体層内の結晶粒界に複数のグラフェンを含ませることにより、誘電特性が極大化した積層型キャパシタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するための方法として、本発明は、一例を介して新規構造の積層型キャパシタを提案する。具体的には、本発明の一実施形態による積層型キャパシタは、誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記誘電体層は、複数の結晶粒及び隣接する結晶粒の間に形成された結晶粒界を含み、上記結晶粒界は複数のグラフェンを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態による積層型キャパシタは、誘電体層内の結晶粒界に複数のグラフェンを含ませることにより、誘電特性が極大化した積層型キャパシタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの斜視図を概略的に示したものである。
図2図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものである。
図3図2のAの拡大断面図を概略的に示したものである。
図4図3のBの拡大断面図を概略的に示したものである。
図5】本発明の一実施形態による積層型キャパシタの結晶粒界にグラフェンが分布している様子を示した模式図である。
図6】グラフェン含量がチタン酸バリウムに対して0.5wt%である誘電体シートを用いて製造されたサンプルチップ(実施形態1)と、グラフェンが含まれていない誘電体シートを用いてサンプルチップ(比較例1)を製作した後、誘電定数(dielectric constant)、DC Bias特性、温度による誘電率(permittivity)の変化、周波数による誘電率(permittivity)、及び結晶粒サイズ分布を測定したものである。
図7】グラフェン含量がチタン酸バリウムに対して0.5wt%である誘電体シートを用いて製造されたサンプルチップ(実施形態1)と、グラフェンが含まれていない誘電体シートを用いてサンプルチップ(比較例1)を製作した後、誘電定数(dielectric constant)、DC Bias特性、温度による誘電率(permittivity)の変化、周波数による誘電率(permittivity)、及び結晶粒サイズ分布を測定したものである。
図8】グラフェン(graphine)を含む誘電体層の結晶粒界(実施形態1~3)及びグラファイト(graphite)を含む誘電体層の結晶粒界(比較例2)に対するラマン(Raman)分析結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがある。また、各実施形態の図面に示された同一の思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を使用して説明する。
【0013】
そして、本発明を明確に説明するために、図面において説明と関係ない部分は省略し、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、同一思想の範囲内において機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外する意味ではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0014】
図面において、X方向は第1方向又は長さ方向、Y方向は第2方向又は幅方向、Z方向は第3方向、厚さ方向又は積層方向として理解することができるが、これに制限されるものではない。
【0015】
[積層型キャパシタ]
図1は本発明の一実施形態による積層型キャパシタの斜視図を概略的に示したものであり、図2図1のI-I'線に沿った断面図を概略的に示したものである。図3図2のAの拡大断面図を概略的に示したものである。図4図3のBの拡大断面図を概略的に示したものである。
【0016】
以下、図1図4を参照して本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100について説明する。
【0017】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による積層型キャパシタ100は、本体110と、本体110の外側に配置された外部電極131、132と、を含む。
【0018】
図2を参照すると、本体110は、誘電体層111と交互に配置される内部電極121、122を含む。
【0019】
このとき、内部電極121、122は、第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、外部電極131、132は、第1及び第2内部電極とそれぞれ接する第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。
【0020】
本体110は、複数の誘電体層111を厚さ方向(Z方向)に積層した後に焼成して形成される。但し、かかる本体110の形状、寸法、及び誘電体層111の積層数は、本実施形態に示されたものに限定されない。
【0021】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であり、隣接する誘電体層111の間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認し難いほど一体化することができる。
【0022】
本体110の上部及び下部はそれぞれ、内部電極が形成されない誘電体層を積層して形成されるカバー層112を含むことができる。カバー層112は、外部衝撃に対して積層型キャパシタの信頼性を維持する役割を果たすことができる。
【0023】
図3図2のAの拡大断面図を概略的に示したものである。図4図3のBの拡大断面図を概略的に示したものである。
【0024】
図3及び図4に示されたように、本発明の一実施形態による誘電体層111には、複数の結晶粒111a、隣接する結晶粒の間に形成された結晶粒界111b、及び結晶粒界内に複数のグラフェン111cが均一に分布している。
【0025】
図5は結晶粒界にグラフェン111cが分布した様子を示した模式図である。図5の場合、結晶粒111aとの関係において分布形態を明確にするために結晶粒界は省略して示し、結晶粒は多面体で簡単に表現して多面体の上面及び側面を示した。
【0026】
図5に示されたように、グラフェン111cの一面が結晶粒111aの上面及び側面に沿って配置されることができる。
【0027】
グラフェンは、複数のグラフェンのうち一部が互いに積層されている形態で存在することができるが、10層以上積層されているグラフェンは、全体グラフェンの5%以下であることができる。10層以上積層されているグラフェンが全体グラフェンの5%を超える場合には、グラフェンの分散性に劣り、誘電率上昇効果が減少する恐れがある。
【0028】
このとき、グラフェンを均一に分散させるために、グラフェンの表面を改質してグラフェンの不安定指数(instability index)が0.1以下となるように制御することができる。これは、エタノールとトルエンの混合溶媒環境のスラリーにグラフェンが均一に分散された状態で適用しないと、焼成後の結晶粒界に均一に分布したグラフェンが得られないためである。
【0029】
不安定指数(instability index)は、分散性を評価できる尺度であって、分散安定性分析装置(LUMiSizer Dispersion Analyzer)を利用して測定した値であ
【0030】
グラフェン111cは炭素原子からなり、原子1個の厚さからなる薄い膜の形態を有する。即ち、グラフェン111cは2次元板状構造を有する。グラフェンは約0.2nmの厚さで、物理的、化学的安定性が非常に高く、銅よりも導電率が100倍以上大きく、機械的強度も、鋼よりも200倍以上強いことが知られている。
【0031】
結晶粒界に含まれたグラフェンは、誘電体とのショットキー障壁(Schottky barrier)を大きくしてグラフェンの周囲に空間電荷層(space charge layer)が形成されるようにすることで、誘電体組成物の誘電率を向上させることができる。
【0032】
ショットキー障壁(Schottky barrier)は、金属と半導体を接触させたときに発生する電位障壁(エネルギー障壁)であって、金属と半導体を接触させると、両物体のフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動し、半導体表面に空間電荷層(space charge layer)が形成されることで電位障壁を構成する。金属と半導体を接触させたときと同様に、誘電体とグラフェンが接触するときも、誘電体とグラフェン表面との間にショットキー障壁(Schottky barrier)が発生し、これによって空間電荷効果が発現して誘電率が向上する。
【0033】
また、グラフェンが結晶粒界に位置することで歪み緩和(strain relaxation)効果を誘導し、結晶相で正方晶系(tetragonal)相の安定性を向上させて誘電特性を向上させることができる。
【0034】
グラフェンではなく、金属微粒子を用いた場合には、焼結過程での金属微粒子の分散性が低下するという問題があり、空間電荷(space charge)効果によって誘電特性が向上する効果が、高温、高周波、又は高電界になるほど急激に減少するという欠点があった。
【0035】
これに対し、本発明の一実施形態に従って金属微粒子ではないグラフェンを用いる場合には、高温焼成環境でもグラフェンの分散性が維持され、グラフェンが保有している多くの電子が結晶粒の酸素欠陥を補う効果によって、高周波条件でも向上した誘電特性を維持することができる。
【0036】
一方、誘電体層111は、チタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とすることができる。誘電体層111が高い誘電率を有する強誘電体であるチタン酸バリウム(BaTiO)を主成分とすることにより、代表的な常誘電体であるSrTiOやCaSr(1-x)ZrTi(1-y)ペロブスカイト(perovskite)混合酸化物を使用した場合に比べて、より高い誘電率を有するとともに高い容量を実現することができる。
【0037】
また、グラフェンはBaTiOに対して0.3~3wt%であることができる。グラフェン含量が0.3wt%未満の場合には、十分な空間電荷効果を得ることができず、3wt%を超える場合には、グラフェンの分散性が低下する恐れがある。
【0038】
図6及び図7は、グラフェン含量がチタン酸バリウムに対して0.5wt%である誘電体シートを用いて製造されたサンプルチップ(実施例1)と、グラフェンが含まれていない誘電体シートを用いて製造されたサンプルチップ(比較例1)に対して、誘電定数(dielectric constant)、DC Bias特性、温度による誘電率(permittivity)の変化、周波数による誘電率(permittivity)、及び結晶粒サイズ分布を測定したものである。
【0039】
図6から確認できるように、誘電定数は約15%以上上昇し、DC Bias特性も上昇した。また、高温及び高周波下においても向上した誘電特性が維持されることが確認できる。
【0040】
図7から確認できるように、グラフェン含量がチタン酸バリウムに対して0.5wt%である場合、結晶粒の平均サイズはむしろ小さくなったことが分かる。一般に、結晶粒の平均サイズが小さくなるほど誘電特性は低下するため、誘電特性向上の原因はグラフェンの添加による効果から判断することができる。
【0041】
次に、内部電極121、122は、誘電体層と交互に積層され、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の両端部にそれぞれ露出することができる。このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。第1及び第2内部電極121、122を形成する材料は特に制限されず、例えば、パラジウム(Pd)、パラジウム-銀(Pd-Ag)合金などの貴金属材料、及びニッケル(Ni)及び銅(Cu)のうち1つ以上の物質からなる導電性ペーストを用いて形成されることができる。上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれに限定されない。また、第1及び第2内部電極121、122の厚さは、用途などに応じて適宜決定することができ、特に制限されないが、例えば、0.1~5μm又は0.1~2.5μmであることができる。
【0042】
外部電極131、132は、本体110に配置され、内部電極121、122と連結される。図2に示された形態のように、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ接続された第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。本実施形態では、積層型キャパシタ100が2つの外部電極131、132を有する構造に対して説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態や他の目的に応じて変更されることができる。
【0043】
一方、外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されることができ、さらに多層構造を有することができる。例えば、本体及び内部電極と接するNiからなる電極層、電極層上に形成されためっき層を含むことができる。
【0044】
以下、本発明の他の一側面による積層型キャパシタについて詳細に説明する。但し、上述の説明と同一の構成については、重複する説明を避けるために省略する。
【0045】
本発明の他の一側面による積層型キャパシタは、誘電体層と交互に配置される内部電極を含む本体と、上記本体に配置され、上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記誘電体層は、複数の結晶粒及び隣接する結晶粒の間に形成された結晶粒界を含み、上記結晶粒界は、ラマン(Raman)分析時、Dバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出される。
【0046】
グラフェン(graphine)は、その大きさが非常に小さいため、透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)などを用いても明確に観察することが困難であり、グラファイト(graphite)のような他の炭素同素体との区別が難しいという問題がある。
【0047】
図8はグラフェン(graphine)を含む誘電体層の結晶粒界(実施例1~3)及びグラファイト(graphite)を含む誘電体層の結晶粒界(比較例2)に対するラマン(Raman)分析結果を示したグラフである。
【0048】
図8を参照すると、本発明の他の一側面による積層型キャパシタの結晶粒界(実施例1~3)は、ラマン(Raman)分析時、Dバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出される。
【0049】
一方、グラフェンの炭素同素体であるグラファイトを含む誘電体層の結晶粒界(比較例2)では、Gバンドでのみピークが検出され、Dバンドではピークが検出されない。
【0050】
したがって、ラマン分析法によってグラフェンの有無が確認可能であり、かつ他の炭素同素体との区別が可能である。また、本発明の他の一側面による積層型キャパシタの結晶粒界は、ラマン(Raman)分析時、Dバンド(D-band)及びGバンド(G-band)でピーク(Peak)が検出されることが確認できる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
【符号の説明】
【0052】
100 積層型キャパシタ
110 本体
111 誘電体層
111a 結晶粒
111b 結晶粒界
111c グラフェン
112 カバー層
121、122 内部電極
131、132 外部電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8