(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】薬剤包装装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
(21)【出願番号】P 2021035171
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2024-03-05
(31)【優先権主張番号】P 2020150090
(32)【優先日】2020-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】豊田 直道
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086874(JP,A)
【文献】特開2016-187544(JP,A)
【文献】特開2019-103896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの内部に薬剤が充填される複数の薬剤容器と、分配皿と、複数の容器載置手段を有し、
容器載置手段は、前記分配皿の近傍にあって前記薬剤容器を載置可能であり、載置された前記薬剤容器に作用して薬剤を排出させるものであり、
複数の前記薬剤容器には、同一種類の薬剤が充填される二以上の前記薬剤容器が含まれ、
薬剤を前記薬剤容器から排出させ、排出させた薬剤を一包分ずつ包装する分包動作を実行可能であり、
前記分包動作で使用する一種類の薬剤の使用予定量が、当該種類の薬剤を収容した一の前記薬剤容器の薬剤の排出可能量を上回る場合に、二以上の前記薬剤容器のそれぞれから前記種類の薬剤を排出させる第一複数排出動作を実行するものであ
り、
前記排出可能量は、一の前記薬剤容器における薬剤の排出以前の収容量から予め定めた設定量を引いた量である、薬剤包装装置。
【請求項2】
前記第一複数排出動作に先立って、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を定める第一排出量割当動作を実行する、請求項1に記載の薬剤包装装置。
【請求項3】
前記第一複数排出動作では、複数の前記薬剤容器から同時に薬剤を排出させる動作を実行する、請求項1
又は2に記載の薬剤包装装置。
【請求項4】
前記第一排出量割当動作では、前記排出可能量が前記使用予定量よりも少ない一の前記薬剤容器の薬剤の排出量を前記排出可能量とし、一又は複数の他の前記薬剤容器の薬剤の排出量の合計を前記使用予定量から前記排出可能量を引いた量とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項5】
前記第一排出量割当動作は、二つの前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を定める動作である、請求項1乃至4のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項6】
前記分包動作で使用する前記種類の薬剤の使用予定量が規定量以上又は規定量を上回る場合に、二以上の前記薬剤容器のそれぞれから前記種類の薬剤を排出させる第二複数排出動作を実行するものであり、
前記第二複数排出動作に先立って、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を定める第二排出量割当動作を実行し、
前記第二排出量割当動作では、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を同一又は略同一となる量とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項7】
一の前記薬剤容器において、薬剤の前記排出可能量が、前記第二排出量割当動作で定められた一の前記薬剤容器の薬剤の排出量を下回る場合、一の前記薬剤容器の薬剤の排出量を前記排出可能量とし、一又は複数の他の前記薬剤容器の薬剤の排出量の合計を前記使用予定量から前記排出可能量を引いた量とするものである、請求項6に記載の薬剤包装装置。
【請求項8】
容器載置手段は、前記薬剤容器を振動させることによって薬剤を排出させるものであり、
前記分包動作で使用予定の薬剤の量が多量であるか少量であるかを判別し、
薬剤の量が多量であると判別された場合、前記薬剤容器から薬剤が排出されたことが検知されても、振動量を維持したまま薬剤の排出を実行し、
薬剤の量が少量であると判別された場合には、前記薬剤容器から薬剤が排出されたことが検知されたことを条件として、振動量を小さくして薬剤の排出を実行する、請求項1乃至7のいずれかに記載の薬剤包装装置。
【請求項9】
薬剤容器から分配皿に薬剤を投入し、投入した薬剤を一服用分ずつ分割して包装する薬剤包装方法であり、
同一種類の薬剤が充填される二以上の前記薬剤容器が存在し、
処方に基づいて使用する一種類の薬剤の使用予定量が、当該種類の薬剤を収容した一の前記薬剤容器の薬剤の排出可能量を上回る場合に、二以上の前記薬剤容器のそれぞれから前記種類の薬剤を排出させ
、
前記排出可能量は、一の前記薬剤容器における薬剤の排出以前の収容量から予め定めた設定量を引いた量である、薬剤包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤や散薬等の薬剤を包装する薬剤包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
処方に基づいて錠剤や散薬等の薬剤を1服用分ずつ包装する薬剤包装装置が知られている。例えば、特許文献1には、このような薬剤包装装置(薬剤払い出し装置)が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示された薬剤包装装置は、筐体内に複数の薬剤容器(自動式薬品容器)を保持する容器保管部が設けられている。そして、薬剤を一服用分ずつ包装する動作では、完全自動分包動作と、手動分包動作が可能となっている。
完全自動分包動作では、容器保管部に保管された薬剤容器を容器保持台へ移動させ、薬剤容器を容器保持台に載置することで薬剤フィーダを形成し、薬剤フィーダから分配皿に薬剤を供給する。この後、分配皿から包装装置に薬剤を一服用分ずつ供給し、包装装置が供給された薬剤を包装する。このとき、薬剤容器を容器保管部から容器保持台まで移動させて容器保持台に載置する動作と、薬剤容器から規定量の薬剤を分配皿に供給する動作(薬剤を秤量する動作)が自動で実行される。つまり、完全自動分包動作は、薬剤容器の選択、使用する薬剤の秤量(供給量の測定)、一服用分ずつの分包を完全に自動で実施する。
【0004】
手動分包動作では、使用者が予め手動で秤量を実施し、薬剤容器(手動式薬品容器)に規定量(最終的に分配皿に供給する量)だけ薬剤を充填しておく。そして、使用者が薬剤容器を手動で容器保持台に載置し、薬剤フィーダを形成する。そして、上記と同様に、薬剤フィーダから分配皿に薬剤を供給した後、分配皿から包装装置に対して薬剤が一服用分ずつ供給され、包装装置が供給された薬剤を包装する。つまり、手動分包動作は、使用する薬剤の秤量、薬剤容器の容器保持台までの搬送、薬剤容器の容器保持台への載置を作業者が手動で実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の薬剤包装装置は、包装のための動作をいち早く実行し、作業効率を高めるという観点から、改良の余地があった。
【0007】
そこで本発明のいくつかは、作業効率の高い薬剤包装装置を提供することを課題とする。また本発明の具体的課題は、薬剤を排出(供給)する際の排出誤差の発生を防止(抑制)できる薬剤包装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための一つの様相は、それぞれの内部に薬剤が充填される複数の薬剤容器と、分配皿と、複数の容器載置手段を有し、容器載置手段は、前記分配皿の近傍にあって前記薬剤容器を載置可能であり、載置された前記薬剤容器に作用して薬剤を排出させるものであり、複数の前記薬剤容器には、同一種類の薬剤が充填される二以上の前記薬剤容器が含まれ、所定種類の薬剤を前記薬剤容器から排出させ、排出させた薬剤を一包分ずつ包装する分包動作を実行可能であり、前記分包動作で使用する所定種類の薬剤の使用予定量が、当該所定種類の薬剤を収容した一の前記薬剤容器の薬剤の排出可能量を上回る場合に、二以上の前記薬剤容器のそれぞれから前記所定種類の薬剤を排出させる第一複数排出動作を実行するものであり、前記第一複数排出動作に先立って、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を定める第一排出量割当動作を実行する、薬剤包装装置である。
すなわち、それぞれの内部に薬剤が充填される複数の薬剤容器と、分配皿と、複数の容器載置手段を有し、容器載置手段は、前記分配皿の近傍にあって前記薬剤容器を載置可能であり、載置された前記薬剤容器に作用して薬剤を排出させるものであり、複数の前記薬剤容器には、同一種類の薬剤が充填される二以上の前記薬剤容器が含まれ、薬剤を前記薬剤容器から排出させ、排出させた薬剤を一包分ずつ包装する分包動作を実行可能であり、前記分包動作で使用する一種類の薬剤の使用予定量が、当該種類の薬剤を収容した一の前記薬剤容器の薬剤の排出可能量を上回る場合に、二以上の前記薬剤容器のそれぞれから前記種類の薬剤を排出させる第一複数排出動作を実行するものである、薬剤包装装置である。
上記した様相は、前記第一複数排出動作に先立って、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を定める第一排出量割当動作を実行する、ことが好ましい。
【0009】
本様相によると、一つの薬剤容器に収容された薬剤だけでは分包動作が出来ない場合に、薬剤の排出(供給)速度を向上させることが可能であり、包装のための動作を速めることができるので、薬剤包装装置を使用した作業の作業効率を向上させることができる。
【0010】
上記した様相は、前記第一複数排出動作では、複数の前記薬剤容器から同時に薬剤を排出させる動作を実行する、ことが好ましい。
【0011】
この好ましい様相によると、より薬剤の排出(供給)速度を向上させることができる。
【0012】
上記した様相は、前記排出可能量は、一の前記薬剤容器における薬剤の排出以前の収容量から予め定めた設定量を引いた量である、ことが好ましい。
【0013】
この好ましい様相によると、薬剤を排出(供給)する際の排出誤差の発生を防止(抑制)できる。
【0014】
上記した様相は、前記第一排出量割当動作では、前記排出可能量が前記使用予定量よりも少ない一の前記薬剤容器の薬剤の排出量を前記排出可能量とし、一又は複数の他の前記薬剤容器の薬剤の排出量の合計を前記使用予定量から前記排出可能量を引いた量とする、ことが好ましい。
【0015】
この好ましい様相によると、一の薬剤容器の薬剤を使い切りつつ、薬剤の排出(供給)速度を向上させることが可能となる。一の薬剤容器の薬剤を使い切ることで、いち早く一の薬剤容器に薬剤の充填作業を行うこと等が可能となり、全体として作業効率の向上を図ることができる。
【0016】
上記した様相は、前記第一排出量割当動作は、二つの前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を定める動作である、ことが好ましい。
【0017】
上記した様相は、前記分包動作で使用する所定種類の薬剤の使用予定量が規定量以上又は規定量を上回る場合に、二以上の前記薬剤容器のそれぞれから前記所定種類の薬剤を排出させる第二複数排出動作を実行するものであり、前記第二複数排出動作に先立って、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を定める第二排出量割当動作を実行し、前記第二排出量割当動作では、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を同一又は略同一となる量とする、ことが好ましい。
すなわち、上記した様相は、前記分包動作で使用する前記種類の薬剤の使用予定量が規定量以上又は規定量を上回る場合に、二以上の前記薬剤容器のそれぞれから前記種類の薬剤を排出させる第二複数排出動作を実行するものであり、前記第二複数排出動作に先立って、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を定める第二排出量割当動作を実行し、前記第二排出量割当動作では、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を同一又は略同一となる量とする、ことが好ましい。
上記課題を解決するための一つの様相は、それぞれの内部に薬剤が充填される複数の薬剤容器と、分配皿と、複数の容器載置手段を有し、容器載置手段は、前記分配皿の近傍にあって前記薬剤容器を載置可能であり、載置された前記薬剤容器に作用して薬剤を排出させるものであり、複数の前記薬剤容器には、同一種類の薬剤が充填される二以上の前記薬剤容器が含まれ、薬剤を前記薬剤容器から排出させ、排出させた薬剤を一包分ずつ包装する分包動作を実行可能であり、前記分包動作で使用する前記種類の薬剤の使用予定量が規定量以上又は規定量を上回る場合に、二以上の前記薬剤容器のそれぞれから前記種類の薬剤を排出させる複数排出動作を実行するものであり、前記複数排出動作に先立って、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を定める排出量割当動作を実行し、前記排出量割当動作では、二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの薬剤の排出量を同一又は略同一となる量とする、薬剤包装装置である。
【0018】
上記した好ましい様相は、一の前記薬剤容器において、薬剤の前記排出可能量が、前記第二排出量割当動作で定められた一の前記薬剤容器の薬剤の排出量を下回る場合、一の前記薬剤容器の薬剤の排出量を前記排出可能量とし、一又は複数の他の前記薬剤容器の薬剤の排出量の合計を前記使用予定量から前記排出可能量を引いた量とするものである、ことがさらに好ましい。
【0019】
これらの好ましい様相によると、薬剤容器から多量の薬剤を供給する必要がある場合に、薬剤の排出(供給)速度を向上させることが可能である。
【0020】
上記した様相は、前記分包動作で使用予定の薬剤の量が多量であるか少量であるかを判別し、薬剤の量が多量であると判別された場合、前記薬剤容器から薬剤が排出されたことが検知されても、振動量を維持したまま薬剤の排出を実行し、薬剤の量が少量であると判別された場合には、前記薬剤容器から薬剤が排出されたことが検知されたことを条件として、振動量を小さくして薬剤の排出を実行する、ことが好ましい。
すなわち 容器載置手段は、前記薬剤容器を振動させることによって薬剤を排出させるものであり、前記分包動作で使用予定の薬剤の量が多量であるか少量であるかを判別し、薬剤の量が多量であると判別された場合、前記薬剤容器から薬剤が排出されたことが検知されても、振動量を維持したまま薬剤の排出を実行し、薬剤の量が少量であると判別された場合には、前記薬剤容器から薬剤が排出されたことが検知されたことを条件として、振動量を小さくして薬剤の排出を実行する、ことが好ましい。
【0021】
この好ましい様相によると、調剤作業全体において、薬剤の排出速度を向上させつつ排出精度の向上を図ることができる。
上記課題を解決するためのもう一つの様相は、薬剤容器から分配皿に薬剤を投入し、投入した薬剤を一服用分ずつ分割して包装する薬剤包装方法であり、同一種類の薬剤が充填される二以上の前記薬剤容器が存在し、処方に基づいて使用する一種類の薬剤の使用予定量が、当該種類の薬剤を収容した一の前記薬剤容器の薬剤の排出可能量を上回る場合に、二以上の前記薬剤容器のそれぞれから前記種類の薬剤を排出させる薬剤包装方法である。
上記課題を解決するためのもう一つの様相は、薬剤容器から分配皿に薬剤を投入し、投入した薬剤を一服用分ずつ分割して包装する薬剤包装方法であり、同一種類の薬剤が充填される二以上の前記薬剤容器が存在し、処方に基づいて使用する一種類の薬剤の使用予定量が、規定量以上又は規定量を上回る場合に、二以上の前記薬剤容器のそれぞれから前記種類の薬剤を排出させ、その際に二以上の前記薬剤容器のそれぞれからの同一量又は略同一量の薬剤を排出させる薬剤包装方法である。
【0022】
ところで、上記した従来の薬剤包装装置は、使用者の人為的ミスを防止するという観点から、改良の余地があった。
【0023】
そこで、本発明の関連発明の一つの様相は、分配皿と、複数の容器載置手段を有し、前記容器載置手段は、前記分配皿の近傍にあって、載置された薬剤容器に作用して薬剤を排出させるものであり、複数の前記容器載置手段のそれぞれが報知部材を有し、予め秤量した薬剤を導入した手動式薬剤容器を使用する手動分包動作が可能であって、複数の前記容器載置手段の少なくとも一つが、前記手動分包動作を実行する際に前記手動式薬剤容器を載置する手動時容器載置手段となるものであり、前記手動時容器載置手段で不具合が生じたことを条件として、他の前記容器載置手段を代替の前記手動時容器載置手段とする動作を実施し、代替の前記手動時容器載置手段が前記手動式薬剤容器の載置場所となることを報知する報知動作を実行する、薬剤包装装置である。
【0024】
本様相の薬剤包装装置によると、手動分包動作時の人為的ミスの発生を抑制(防止)できる。
【0025】
上記した様相は、前記報知動作では、代替の前記手動時容器載置手段の前記報知部材が、他の容器載置手段の報知部材とは異なる動作を実行する、ことが好ましい。
【0026】
上記した様相は、一の前記報知部材は、一又は複数のランプを有し、前記報知動作は、一又は複数の前記報知部材に所定の点灯パターンで発光動作を実行させる動作である、ことが好ましい。
【0027】
ところで、従来の薬剤包装装置は、包装のための動作をいち早く実行し、作業効率を高めるという観点から、改良の余地があった。
【0028】
そこで、本発明の関連発明の一つの様相は、内部に薬剤が充填される薬剤容器と、分配皿と、容器載置手段を有し、前記薬剤容器は、薬剤を収容する薬剤収容部と、薬剤の排出口を形成する薬剤排出部とを有し、容器載置手段は、前記分配皿の近傍にあって前記薬剤容器を載置可能であり、載置された前記薬剤容器に作用して薬剤を排出させるものであり、前記薬剤容器には、前記薬剤収容部に空気を供給する空気供給孔が形成されており、当該空気供給孔は、薬剤の排出口とは異なる位置であり、前記薬剤容器を前記容器載置手段に載置させた状態で前記薬剤容器の上側となる位置に形成される、薬剤包装装置である。
【0029】
本様相によると、粉の大きさが小さい散薬を円滑に排出可能となり、散薬の供給速度を向上させることができる。
【0030】
上記した様相は、前記薬剤容器は、所定方向に長さを有する筒状の部材であり、前記空気供給孔は、側壁部分に形成される、ことが好ましい。
【0031】
上記した様相は、前記空気供給孔を開閉可能な閉塞部材を有する、ことが好ましい。
【0032】
上記した好ましい様相は、前記薬剤容器は、縦置き姿勢で保管され、横置き姿勢で前記容器載置手段に載置されるものであり、前記縦置き姿勢から前記横置き姿勢に姿勢変更することで、前記閉塞部材が前記空気供給孔を閉じた状態から前記空気供給孔を開いた状態に移行する、ことがより好ましい。
【0033】
上記した好ましい様相は、薬剤の排出口を開閉させることが可能な蓋部材を有し、前記蓋部材が薬剤の排出口を開いた状態とすることで、前記閉塞部材が前記空気供給孔を開いた状態とし、前記蓋部材が薬剤の排出口を閉じた状態とすることで、前記閉塞部材によって前記空気供給孔が閉塞された状態となる、ことがより好ましい。
【0034】
上記した関連発明の他の様相は、薬剤を内部に収容した状態で保管することが可能な薬剤容器と、前記薬剤容器と組み合わされる容器載置手段によって構成される薬剤フィーダであって、前記薬剤容器は、薬剤を収容する薬剤収容部と、薬剤の排出口を形成する薬剤排出部とを有し、前記容器載置手段は、載置された前記薬剤容器に作用して薬剤を排出させるものであり、前記薬剤容器には、前記薬剤収容部に空気を供給する空気供給孔が形成されており、当該空気供給孔は、薬剤の排出口とは異なる位置であり、前記薬剤容器を前記容器載置手段に載置させた状態で前記薬剤容器の上側となる位置に形成される、薬剤フィーダである。
【0035】
上記した関連発明の他の様相は、薬剤を内部に収容することが可能な薬剤容器であって、薬剤を収容する薬剤収容部と、薬剤の排出口を形成する薬剤排出部とを有し、薬剤の排出口とは異なる位置に前記薬剤収容部に空気を供給する空気供給孔が形成されている、薬剤容器である。
【0036】
上記した様相は、薬剤の排出口を開閉させることが可能な蓋部材と、前記空気供給孔を閉塞する閉塞部材を有し、薬剤の排出口を閉じた状態とし、前記空気供給孔を閉塞することで、前記薬剤収容部が密閉される、ことが好ましい。
【0037】
ところで、従来の薬剤包装装置は、清掃動作のための部材の耐久性を向上させるという観点から、改良の余地があった。
【0038】
そこで、本発明の関連発明の一つの様相は、導入ホッパに導入された薬剤を1包分の薬剤として包装することが可能な薬剤包装装置において、前記導入ホッパの開口部分を閉塞するホッパ閉塞部材と、前記導入ホッパ内に吸引口を有する吸引手段を有し、前記ホッパ閉塞部材は、蓋本体部と、前記蓋本体部の裏面側に設けられた板部材を有し、前記ホッパ閉塞部材を前記開口部分に近接させた近接状態において、前記吸引手段が吸引動作を実行することで前記板部材が姿勢変更し、前記板部材が前記開口部分を閉塞する、薬剤包装装置である。
【0039】
本様相によると、簡素な構造でホッパ閉塞部材を製造可能であり、ホッパ閉塞部材の耐久性を向上させることが可能となり、清掃動作のための部材の耐久性を向上できる。
【0040】
上記した様相は、前記板部材は、前記蓋本体部に片持ち状に取り付けられており、前記吸引動作により、前記板部材の自由端側が前記ホッパ閉塞部材に近づく方向に引き寄せられる、ことが好ましい。
【0041】
上記した様相は、前記導入ホッパを清掃するホッパ清掃動作が可能であり、前記ホッパ清掃動作では、前記ホッパ閉塞部材が前記開口部分を閉塞し、前記吸引手段が前記導入ホッパ内を負圧に吸引することで、前記導入ホッパ内の薬剤の残渣を吸引する、ことが好ましい。
【0042】
上記した様相は、前記板部材は、前記近接状態において、前記蓋本体部と前記開口部分のいずれとも重ならない部分を有する、ことが好ましい。
【0043】
上記した様相は、前記板部材は、前記近接状態において、基端側の部分と自由端側の部分とが前記開口部分と重ならない位置にある、ことが好ましい。
【0044】
ところで、従来の薬剤包装装置では、掻出装置にシール部材を取り付けて運用することがある。ところが、使用者がこのシール部材の取り付けを忘れたり、シール部材が経年使用によって劣化してしまったりすると、薬剤包装装置が正しく運用できなくなる可能性がある。つまり、従来の薬剤包装装置では、内部の装置に付属部材が正常に取り付けられていないことに起因する不具合を防止(抑制)するという観点から、改良の余地があった。
【0045】
そこで、本発明の関連発明の一つの様相は、環状の薬剤投入溝が設けられ動力によって回転される分配皿と、掻出装置を備えた薬剤包装装置において、前記掻出装置は、先端側が昇降する掻出用アームと、掻出用アームの先端に設けられた掻出機構を備え、前記分配皿に投入された散薬を掻き寄せて集める掻寄動作と、当該掻寄動作で集めた散薬を前記薬剤投入溝の外部に掻き出す掻出動作が可能であり、前記掻出機構には、シール部材が取り付けられており、前記掻寄動作と前記掻出動作からなる一連の動作に先立って、前記シール部材が正常に取り付けられているか否かを判別するシール判別動作を実行する、薬剤包装装置である。
【0046】
本様相によると、シール部材が正常に取り付けられていないことに起因する不具合の発生を防止(抑制)できる。
【0047】
上記した様相は、前記シール判別動作では、前記シール部材が取り付けられているか否かを判別する第一判別動作を実行し、当該第一判別動作の結果、前記シール部材が取り付けられていると判別された場合に、前記シール部材が摩耗しているか否かを検知する第二判別動作を実行する、ことが好ましい。
【0048】
上記した様相は、前記掻寄動作は、前記掻出機構を下方に移動させる掻出機構降下動作と、前記掻寄板と前記分配皿を相対的に移動させる動作を実行するものであり、前記第一判別動作は、前記掻出機構降下動作を伴う動作である、ことが好ましい。
【0049】
上記した様相は、前記掻出機構は、掻寄板と掻出板を有し、前記掻出板は、前記掻寄板の一主面の外側に位置し、前記掻寄板と一体に設けられ、前記掻出動作は、前記掻寄板を前記薬剤投入溝に接触させたまま、前記掻出板が前記溝状部分の周方向を横切る方向に移動させるように前記掻寄板を回転させる掻寄板回転動作を実行するものであり、前記第二判別動作は、前記掻寄板回転動作を伴う動作である、ことが好ましい。
【0050】
上記した様相は、前記掻出機構は、掻寄板を有し、前記シール部材は、前記掻寄板に対して着脱自在であり、前記掻寄板に取り付けられた状態において、前記掻寄板の縁部分に沿って延びている、ことが好ましい。
【0051】
ところで、従来の薬剤包装装置は、消耗品の交換作業を容易化するという観点から、改良の余地があった。
【0052】
そこで、本発明の関連発明の一つの様相は、分包紙をロール状に巻いて形成されるシートロールを取り付ける薬包紙保持手段と、前記シートロールの始端側部分が所定箇所を通過したことを検知可能な分包紙検知手段を有し、薬包紙保持手段は、前記シートロールの巻芯と共に回転する軸部を備え、前記分包紙検知手段が前記シートロールの始端側部分が所定箇所を通過したことを検知したことを条件として、前記軸部に対して前記シートロールの繰り出し方向の回転に対して負荷をかけるブレーキ動作が実行される、薬剤包装装置である。
【0053】
本様相によると、シートロールの装着作業(交換作業)を容易化できる。
【0054】
上記した様相は、前記分包紙検知手段は、前記シートロールの残量の有無を検知可能なものである、ことが好ましい。
【0055】
上記した様相は、小型のモータを有するモータブレーキ機構によって前記ブレーキ動作が実行されるものであり、前記ブレーキ動作では、ブレーキ力を可変させることが可能である、ことが好ましい。
【0056】
ところで、従来の薬剤包装装置は、薬剤包装装置を別の上位制御装置や調剤機器と共に使用する場合に、使用者の作業を容易化するという観点から、改良の余地があった。
【0057】
そこで、本発明の関連発明の一つの様相は、処方データに基づいて薬剤を一包分ずつ包装した薬剤包装を作製可能な薬剤包装手段を複数有し、情報読取手段をさらに有し、前記情報読取手段で情報の読み取り動作を実行することで、読み取った情報を一の前記薬剤包装手段が取得可能であり、一の前記薬剤包装手段とは異なる前記薬剤包装手段で薬剤包装の作製が中止されたことを条件として、薬剤包装の作製が中止されたことに関する情報である中止関連情報を出力する出力動作を実行可能であり、前記出力動作は、前記中止関連情報を前記情報読取手段で読み取り可能な状態で出力する、ことを特徴とする調剤支援システムである。
【0058】
本様相によると、一の薬剤包装手段で他の薬剤包装手段で中止された薬剤の包装を行うとき、作業の容易化を図ることができる。
【0059】
上記した様相は、前記出力動作は、ユーザが携帯可能な媒体に対して中止関連情報を出力する、ことが好ましい。
【0060】
上記した様相は、前記中止関連情報は、作製が中止された薬剤包装に内包予定であった薬剤に対応する処方を特定する情報である、ことが好ましい。
【0061】
上記した様相は、前記薬剤包装手段の少なくとも一つは、自動散薬分包装置であり、少なくとも他の一つは、それぞれ別体の薬剤秤量装置と散薬分包機によって構成された手動散薬分包手段であり、前記自動散薬分包機は、散薬が収容された複数の薬剤容器を保管する容器保管部と、分配皿と、包装装置とを内部に有し、且つ、前記容器保管部に保管された前記薬剤容器から散薬を計量しつつ排出させ、排出させた散薬を直接又は他の容器に一時収容させた後に他の容器から前記分配皿に投入し、前記分配皿から散薬を一包分ずつ前記包装装置に投入して個別包装する動作を自動で実行可能であり、前記薬剤秤量装置は、対象薬剤を秤量するものであり、前記散薬分包機は、導入された秤量済みの散薬を一包分ずつ包装して排出するものであり、前記出力動作は、前記自動散薬分包機で薬剤包装の作製が中止されたことを条件として実行される動作であり、前記情報読取手段で前記中止関連情報を読み取ることで、前記薬剤秤量装置が前記中止関連情報を取得する、ことが好ましい。
【0062】
上記した様相は、前記出力動作は、前記中止関連情報を示すコードを紙媒体に印刷して出力する動作である、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0063】
本発明は、作業効率の高い薬剤包装装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】本発明の実施形態に係る薬剤包装装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1の薬剤包装装置を示す斜視図であり、筐体を透過して示す。
【
図4】(a)は、
図2の掻出装置を示す斜視図であり、(b)は、(a)の掻出機構の周辺を拡大して示す斜視図である。
【
図5】
図2の容器載置装置に薬剤容器を載置して薬剤フィーダを構成した様子を示す斜視図である。
【
図6】
図2の薬剤分割領域の一部を拡大して示す説明図である。
【
図7】(a)は、
図5の薬剤容器を示す断面図であり、(b)は、(a)とは異なる実施形態に係る薬剤容器を示す断面図である。
【
図8】
図2の包装装置とホッパ閉塞部材を示す説明図である。
【
図9】(a)は、
図8の導入ホッパとホッパ閉塞部材を示す斜視図であって、ホッパ閉塞部材を導入ホッパに近接させた様子を示す図であり、(b)は、(a)のホッパ閉塞部材を下方側からみた様子を示す斜視図である。
【
図10】
図1の薬剤包装装置でホッパ清掃動作を実行している様子を模式的に示す図であり、(a)~(c)の順に実行する。
【
図11】
図10のホッパ清掃動作において、導入ホッパをホッパ閉塞部材によって閉塞する様子を示す図であり、(a)、(b)の順に実行する。
【
図12】
図3の分割領域において、容器載置装置に薬剤容器を載置した様子を模式的に示す説明図である。
【
図13】
図12の分割領域において、掻寄動作と掻出動作を順に実行している様子を示す説明図であり、(a)~(c)の順に実行する。
【
図14】(a)は、掻出装置確認動作の実行前の様子を模式的に示す説明図であり、(b)は、掻出装置確認動作において掻出機構を下降させた後、掻寄板を回転させる様子を模式的に示す説明図である。(c)は、掻出装置確認動作において、シール部材が取り付けられていない状態で掻出機構を下降させた様子を模式的に示す説明図である。
【
図15】
図1の薬剤包装装置を備えた調剤支援システムを示すブロック図である。
【
図16】(a)は、
図8の導入ホッパと
図9とは異なる実施形態に係るホッパ閉塞部材を示す斜視図であって、ホッパ閉塞部材を導入ホッパに近接させた様子を示す。(b)は、左図が、導入ホッパに散薬を導入する様子を示す説明図であり、右図が、上記した実施形態とは異なる実施形態に係る薬剤包装装置にホッパ閉塞部材及び導入ホッパを設け、錠剤を散薬とは逆側から導入する様子を示す説明図である。
【
図17】
図16で示すホッパ閉塞部材が移動する様子を示す説明図であり、(a)は、導入ホッパに近づく方向に移動する様子を示し、(b)は、(a)に続いて回動部が導入ホッパの上方に位置した状態を示し、(c)は、導入ホッパから離れる方向に移動する様子を示す。
【
図18】
図17(b)で示す状態のホッパ閉塞部材を閉状態から開状態に移行させる様子を示す図であり、(a)は、左図が閉状態の斜視図であり、右図が閉状態の断面図であって、(b)は、左図が開状態の斜視図であり、右図が開状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した例であり、本発明がこれらの例に限定されるものではない。また、前後、上下、左右の方向は、特に断りのない限り、
図1の姿勢を基準に説明する。そして、以下の説明において「散薬」とは、錠剤等の固形の薬剤をすり潰す等により粉末状にした薬剤を含むものとする。
【0066】
本実施形態の薬剤包装装置1は、
図1、
図2で示されるように、本体装置2と、操作表示部3を備えている。なお、操作表示部3は、所謂タッチパネルであり、液晶パネル等の表示装置と、タッチパッド等の位置入力装置を組み合わせて形成されている。すなわち、この操作表示部3に対して各種操作を行うことで、各種動作の実行が可能となっている。
【0067】
薬剤包装装置1は、筐体10内に各種機器が内蔵されたものである。具体的には、
図2で示されるように、筐体10の内部が容器配置領域12、薬剤分割領域13、薬剤包装領域14に区分されている。また、筐体10の内部には、各種動作を制御するための制御装置(図示しない)が内蔵されている。この制御装置は、CPU等の演算部と、ROM、RAM等の主記憶装置を有する記憶部(記憶手段)と、I/Оポート等の通信部を備える。
【0068】
筐体10の容器配置領域12及び薬剤分割領域13の外側壁面を形成する部分には、
図1に示されるように、2つの扉部15が設けられている。この2つの扉部15は、個別に開閉可能な両開き(観音開き)の扉である。一方の扉部15には、上側小扉16と第一下側小扉17が設けられ、もう一方の扉部15には、第二下側小扉18が設けられている。
つまり、薬剤包装装置1は、扉部15を開閉する他、扉部15を閉じたまま3つの子扉がそれぞれ開閉することができる。子扉が開くと、筐体10の内外が連通する。
上側小扉16は、容器保管装置21から手前側に離れた位置に形成されている(
図2参照)。第一下側小扉17は、上側小扉16の下方側に形成されている。第二下側小扉18は、第一下側小扉17から左右方向(水平方向)に離れた位置に形成されている。
【0069】
容器配置領域12(容器保管部)には、
図2で示されるように、薬剤容器20を保持する容器保管装置21が設けられている。なお、作図の都合上、一部の薬剤容器20にのみ符号を付し、他の薬剤容器20への符号を省略する。また、以下の説明においても同様に、それぞれの図面で同じもの又は主だった部分が同じものが複数描写される場合、必要に応じて一部の符号を省略するものとする。なお、容器保管装置21に替わって棚部材を設けてもよい。
【0070】
容器保管装置21は、上下方向に延びる回転軸回りに回転するドラム部材の外周面に、複数の容器設置部を設けたものである。それぞれの容器設置部は、機械的な係合によって薬剤容器20を保持可能となっている。
【0071】
容器保管装置21によって筐体10の内部に保管される複数の薬剤容器20は、それぞれ個別に散薬(薬剤)を収容可能なものである。ここで、容器保管装置21では、複数種類の散薬が種類毎にn個(nは1以上の整数)の薬剤容器20に収容されている。例えば、容器保管装置21に保持される複数の薬剤容器20のうち、2つの薬剤容器20のそれぞれにA薬剤が収容され、他の1つの薬剤容器20にB薬剤が収容され、さらに他の3つの薬剤容器20のそれぞれにC薬剤が収容される、といった具合である。
【0072】
つまり、容器保管装置21に保持される複数の薬剤容器20は、複数の容器グループに分けられる。そして、一つの容器グループに1又は複数の薬剤容器20が属し、同じ容器グループに属する薬剤容器20には、同じ種類(同じ薬名)の散薬が収容される。
このように、容器保管装置21では、一つの薬剤容器20に一種類の散薬が収容されている。そして、保管される複数の薬剤容器20には、同じ種類の散薬を収容したものがある。同じ種類の散薬を収容する薬剤容器20の数は、例えば、提供頻度に基づいて決定してもよい。詳細には、複数種類の散薬のうち、提供頻度が高い散薬を複数の薬剤容器20に収容し、提供頻度が低い散薬を1つの薬剤容器20に収容する、といった具合である。
【0073】
また、薬剤包装装置1には、容器保管装置21に保管されるそれぞれの薬剤容器20に収容されている薬剤(散薬)の種類、量に関する情報が記憶される。さらに、容器保管装置21に保管される容器グループに関する情報が記憶される。すなわち、それぞれの容器グループで収容する薬剤の種類に関する情報、それぞれの容器グループに属する薬剤容器20の数に関する情報が記憶される。
【0074】
容器配置領域12から薬剤分割領域13に至る領域には、容器移動手段25が設けられている。容器移動手段25は一種のロボットであり、アーム部25aと、アーム部25aを昇降させる昇降機構25bと、アーム部25aの先端側に設けられたハンド部25cを有する。ハンド部25cには、薬剤容器20を吸着するための電磁石(図示せず)が設けられている。
【0075】
薬剤分割領域13には、分配皿方式によって薬剤を所望の個数に分割する機器が配置されている。すなわち、
図3で示されるように、分配皿30と、掻出装置31と、容器載置装置32(容器載置手段)と、薬剤投入部33が設けられている。
【0076】
分配皿30は、円環状に連続する薬剤投入溝38が形成されており、図示しない回転機構によって回転可能な部材である。この回転機構はモータを含む。
【0077】
ここで、本実施形態では、複数個(2個)の分配皿30a、30bが並列して配されている。そして、それぞれの分配皿30a、30bには、1つの掻出装置31と、複数(3つ)の容器載置装置32が対応付けられている。一の分配皿30に対応付けられた掻出装置31、容器載置装置32は、その一の分配皿30の周辺に配される。
【0078】
具体的には、一方の分配皿30aには、第一下側小扉17(
図2参照)に近い方から順に、第一載置装置32a、第二載置装置32b、第三載置装置32cからなる3つの容器載置装置32が対応付けられている。これらは、この分配皿30aの薬剤投入溝38の外縁と隣接する部分に配される。また、この分配皿30bの薬剤投入溝38の内側には、この分配皿30aに対応付けられた掻出装置31が配される。
同様に、もう他方の分配皿30bには、第二下側小扉18(
図2参照)から遠い方から順に、第一載置装置32d、第二載置装置32e、第三載置装置32fからなる3つの容器載置装置32が対応付けられている。これらは、この分配皿30bの薬剤投入溝38の外縁と隣接する部分に配される。また、この分配皿30bの薬剤投入溝38の内側には、この分配皿30bに対応付けられた掻出装置31が配される。
【0079】
掻出装置31は、
図4で示されるように、掻出用アーム45と、掻出用アーム45を支持する支持部材46と、掻出用アーム45の先端に設けられた掻出機構47を有する。
【0080】
掻出用アーム45は、支持部材46に対して揺動自在に設けられ、先端部分を昇降させることが可能である。詳細には、先端部分が上昇することで基端部分が下降し、先端部分が下降することで基端部分が上昇する。すなわち、先端部分が昇降するとき、基端部分が逆方向に昇降する。掻出用アーム45の基端側部分には、装着検知センサ48が設けられている。装着検知センサ48は、接触式センサであり、支持部材46の一部である突起部46aに接触することで、掻出用アーム45の先端側(掻出機構47)が所定の高さ以下となる高さまで下降したことを検知する。つまり、先端側の下降時に、移動量が一定以上となったことを検知可能である。
【0081】
掻出機構47は、一体に形成された掻寄板50と掻出板51を備えている。掻寄板50は、薄板で作られ、動力によって回転するディスク状の部材(円盤)である。掻出板51は、掻寄板50の一主面の外側に位置し、板状の掻出部51aと仕切板部51bによって構成される。
【0082】
ここで、掻寄板50の円周部には、シール部材52が取り付けられている。掻寄板50に対して着脱自在であり、掻寄板50の周縁部分に取り付けられ、掻寄板50の端面を覆った状態となる。また、掻寄板50に取り付けられた状態では、掻寄板50の縁部分(端面)に沿って円環状に連続している。つまり、このシール部材52は、ゴム等の樹脂、シリコンラバー等の高摩擦材料、合成樹脂等によって形成された環状の弾性体であり、薬剤投入溝38と密着(密接)する部分である(
図13参照、詳しくは後述する)。
【0083】
容器載置装置32は、
図5で示されるように、薬剤容器20と共に薬剤フィーダ60を構成する。
【0084】
容器載置装置32は、
図5で示されるように、加振手段65が設けられた振動台66と、重量測定手段67(計量手段であり、排出量検知手段)を有し、加振手段65に通電することで振動台66が振動する。
【0085】
振動台66は、樋状の容器保持部68を有する。容器保持部68には、
図6で示されるように、薬剤容器20を保持するための容器保持手段68aが設けられている。なお、本実施形態では、容器保持手段68aとして磁石(電磁石)を採用している。また、重量測定手段67は、薬剤容器20の重量を直接又は間接的に測定するものである。
なお、容器保持手段68aは、このような磁石や電磁石を採用する方式とは異なり、容器保持部側に薬剤容器の少なくとも一部を嵌め込む嵌合式の保持手段でもよい。
【0086】
容器保持部68の後端側(
図6では手前側)には、報知部材69が設けられている。報知部材69は、LED等のランプによって構成されており、本実施形態では、複数色のランプが使用されている。より具体的には、赤色、緑色、青色のランプが報知部材69として採用されている。
【0087】
この報知部材69は、詳しくは後述するが、手動分包動作において薬剤容器20を載置すべき容器載置装置32を報知する報知動作が可能なものである。
報知部材69は、複数色のランプが使用されており、発光動作を実行するとき、それぞれのランプを個別に様々な点灯パターンで動作させることができる。
例えば、上記した薬剤容器20を載置すべき容器載置装置32を示す報知動作と、故障等の不具合が生じた容器載置装置32を示す報知動作では、それぞれの異なる内容の発光動作を実行する、といった具合である。
【0088】
本実施形態では、容器載置装置32に薬剤容器20を載置して薬剤容器20を振動させ、薬剤容器20に収容された散薬を分配皿30に排出することが可能である。そしてこの散薬の排出に伴う薬剤容器20の重量変化を重量測定手段67によって検知可能である。本実施形態では、重量測定手段67が排出量検知手段として機能し、薬剤容器20の重量変化によって散薬の排出量が検出される。
【0089】
薬剤容器20は、外形が略直方体状であり、所定方向に長さを有する筒状の容器であって、
図5で示されるように、容器本体72と蓋部73を有する。蓋部73は容器本体72に対して着脱自在である。本実施形態では、薬剤容器20に散薬を充填するとき、容器本体72から蓋部73を取り外し、容器本体72の一端側を大きく開口させて充填を行う。
【0090】
この薬剤容器20は、内部空間である散薬収容部75に薬剤を収容可能(貯留可能)なものである。ここで、蓋部73は、
図7で示されるように、蓋本体部73aに対して、蓋板部73bが揺動可能に取り付けられている。そして、蓋板部73bを揺動させることで、薬剤容器20の開状態と閉状態を切り替えることができる。
【0091】
開状態は、散薬収容部75と外部が薬剤排出部76を介して連通する状態である。薬剤排出部76は、蓋部73を開くことで形成される開口部分である。つまり、蓋部73を開くことで、容器本体72の一端側の一部が開口した状態(内外が連通した状態)となる。
対して、閉状態では、蓋板部73bによって薬剤排出部76が閉塞され、散薬収容部75が密閉された空間となる。すなわち、蓋板部73bが閉じられ、容器本体72の一端側が閉塞された状態となる。このように、薬剤排出部76は、薬剤容器20の長手方向の一端側に設けられている。
【0092】
ここで、本実施形態では、薬剤容器20が容器保管装置21に保管される際の姿勢(
図2参照)と、薬剤容器20が容器載置装置32に載置される際の姿勢(
図5参照)は、異なる姿勢となる。薬剤容器20を保管する際の姿勢(保管時姿勢)は、薬剤容器20を立てた姿勢(縦置き姿勢)であり、蓋部73(薬剤排出部76)が上方を向く姿勢である。
対して、薬剤容器20を容器載置装置32に載置する際の姿勢(載置時姿勢)は、薬剤容器20を寝かせた姿勢(横置き姿勢)であり、蓋部73(薬剤排出部76)が側方を向く姿勢である。
【0093】
この薬剤容器20は、容器移動手段25によって容器保管装置21と容器載置装置32の間で移動するとき、移動中に容器移動手段25によって姿勢変更される。つまり、薬剤フィーダ60を構成し、薬剤容器20を振動させて分配皿30に散薬を排出する際には、薬剤容器20は載置時姿勢となる。
【0094】
ここで、薬剤容器20に収容する散薬の粉の大きさ(粒子の大きさ)は、散薬の種類毎に異なり、薬剤容器20には、粉の大きさが小さい散薬が収容される場合がある。そして、薬剤フィーダ60を構成して分配皿30に散薬を排出するとき、収容された散薬の粉の大きさが小さい場合には、多くの量を短時間で排出させようとすると、散薬が薬剤排出部76を塞いでしまうことがある。この場合、薬剤容器20内に空気が入らず、時間当たりの散薬の排出量が少なくなることが考えられる。
【0095】
そこで、本実施形態では、このような問題の発生を防止すべく、薬剤容器20に空気孔78(空気供給孔)を設けている。この空気孔78は、薬剤容器20の内外(散薬収容部75と外部)を連通する孔である。また、空気孔78は、薬剤容器20を載置時姿勢としたとき、上側部分に形成される。なお、ここでいう「上側部分」とは、薬剤容器20を載置時姿勢としたとき、上下方向の中心部分よりも上方に位置する部分である。
つまり、空気孔78は、薬剤容器20の側壁部分であり、載置時姿勢としたときに天面を形成する壁部分を貫通する孔である。
【0096】
本実施形態の薬剤容器20は、空気孔78を閉塞する閉塞部材79を有する。
図7(a)で示されるように、本実施形態の閉塞部材79は、薬剤容器20(空気孔78)に着脱可能(分離可能)な栓部材である。この閉塞部材79は、容器移動手段25等のロボットアームで着脱してもよく、作業者が必要に応じて手動で着脱してもよい。
【0097】
また、この閉塞部材79に替わって、
図7(b)のように、薬剤容器20に対して一体に設けられた平板状の部材を回動可能(姿勢変更可能)に取り付けた閉塞部材179を設けてもよい。この閉塞部材179は、薬剤容器20を立てた姿勢(保管時姿勢)とすることで、空気孔78を閉塞する閉塞姿勢を維持し、寝かした姿勢とすることで、空気孔78を開放する開放姿勢を維持する。
この他、閉塞部材は、蓋部73と連動する構造としてもよい(図示しない)。すなわち、閉塞部材と蓋部73の間に動力伝達部材を設け、蓋板部73bを揺動させることで、閉塞部材が空気孔78を開閉する構造としてもよい。この場合、閉塞部材は、蓋板部73bを揺動させて薬剤排出部76を開口させることで、空気孔78を開放する開放姿勢が維持される。そして、蓋板部73bによって薬剤排出部76を閉塞することで、空気孔78を閉塞する閉塞姿勢が維持される。
また、閉塞部材は、薬剤排出部76を閉塞し、薬剤容器20を密閉して薬剤容器20の内部空間が負圧となったとき、空気孔78を閉塞する閉塞姿勢が維持される構造としてもよい。この場合、閉塞部材は、薬剤排出部76を開放して薬剤容器20の内部空間が負圧でなくなることで、閉塞姿勢が維持されなくなり、空気孔78を開放する開放姿勢に移行する。
【0098】
すなわち、閉塞部材を設ける場合、薬剤排出部76を開口させるとき、空気孔78が開放され、薬剤排出部76を閉塞するとき、空気孔78が閉塞するように設けることが好ましい。
【0099】
なお、薬剤容器20には、異なる二面にそれぞれ鉄板80,81が取り付けられている。一方の面に設けられた鉄板80は、アーム部25aで薬剤容器20を保持する際、アーム部25aの磁石に吸着させるための部分である。また、他方の面に設けられた鉄板81は、薬剤容器20を容器載置装置32に設置するとき、容器載置装置32の電磁石に吸着させるための部分である。
また、薬剤容器20には、
図5で示されるように、情報記憶手段としてRFIDタグ83が設けられている。RFIDタグ83は、収容される薬剤に関する情報が記憶されており、情報を読み取ることで、収容された薬剤の種類、量、薬剤容器20が属する容器グループが特定できる。
【0100】
薬剤包装領域14には、
図2、
図8で示されるように、内部包装装置85が設けられている。この内部包装装置85(包装装置)は、薬剤を一包分ずつ包装するための機械であり、
図8で示されるように、導入ホッパ90と、包装部91を有する。
【0101】
導入ホッパ90は、ロート状の部材であり、薬剤投入部33(
図3参照)の下側に位置する。すなわち、薬剤投入部33に投入された包装前の薬剤が導入される部材である。
【0102】
この導入ホッパ90は、開口面積が大きな上側の導入側開口90aと、開口面積が小さい下側の排出側開口90bを有する。排出側開口90bは、導入ホッパ90の下端にあり、開閉板95が設けられる。開閉板95は、動力によって開閉可能であり、排出側開口90bを開閉できる。また、排出側開口90bは、包装部91に至っており、折り曲げられた分包紙116(詳しくは後述する)に散薬を導入する際の薬剤の排出口となる。
【0103】
本実施形態では、導入ホッパ90の中途部分に、吸引装置96が接続されている。吸引装置96(吸引手段)は、公知の真空吸引機であり、ブロアー等の負圧発生装置と、真空ホースによって構成されている。本実施形態では、真空ホースが導入ホッパ90の中途部分に接続されている。つまり、導入ホッパ90の内部に吸引口を有する。
【0104】
また、本実施形態の薬剤包装装置1は、導入ホッパ90の導入側開口90aを閉塞する蓋部材であるホッパ閉塞部材98を有する。ホッパ閉塞部材98は、移動可能な部材であり、導入側開口90aに近接させた状態と、導入側開口90aから離れた位置に待機させた姿勢を切り替えることができる。
【0105】
ホッパ閉塞部材98は、
図9で示されるように、閉塞部材本体部98a(蓋本体部)と、閉塞部材本体部98aの裏面側に固定された薄板部98b(板部材)を有する。
【0106】
閉塞部材本体部98aは、平板状の部分を有する蓋部材であり、平面視したときの大きさが導入ホッパ90の導入側開口90a(
図8参照)よりも大きく形成されている。
薄板部98bは、金属製の板状体であり、厚さを一定以下(1mm以下)として薄く形成された略平板状の部材である。特に限定されるものではないが、本実施形態の薄板部98bは、ステンレス製であり、厚さが0.1mm程度としている。なお、「程度」とは、数パーセントの誤差を含む。
【0107】
薄板部98bは、閉塞部材本体部98aに対して片持ち状に取り付けられている。
すなわち、薄板部98bは、所定方向の一端側が自由端部となっており、自由端側の一部が平面視において閉塞部材本体部98aと重ならないはみ出し部100となっている。はみ出し部100は、薄板部98bの基端側部分に対して傾斜して延びる部分であり、斜め上方(
図9(b)では斜め下方)に延びている。言い換えると、はみ出し部100は、薄板部98bの一部を斜め上方に折り曲げて形成される部分である。
なお、本実施形態では、はみ出し部100の一部に、延び方向の先端側から基端側に向かって延びる切り欠き部100aが形成されている。
【0108】
また、薄板部98bは、所定方向の他端側に、閉塞部材本体部98aに対して固定される部分である固定部101を有する。
そして、固定部101とはみ出し部100の間に位置する部分が、ホッパ閉塞部材98と導入ホッパ90を近接させたとき(
図9(a)参照)、導入側開口90a(
図8参照)を覆う閉塞板部102となる。固定部101と閉塞板部102は、閉塞部材本体部98aの下方側に全体(略全体)が位置する。
【0109】
なお、上記の所定方向であり、固定部101、閉塞板部102、はみ出し部100の並び方向を長手方向とし、平面視で長手方向を交わる方向を幅方向とすると、閉塞板部102、固定部101、はみ出し部100の順で長手方向の長さが長い。また、閉塞板部102、はみ出し部100の幅方向の長さが同じであり、これらに比べて固定部101の幅方向の長さが短い。
そして、ホッパ閉塞部材98と導入ホッパ90を近接させたとき(
図9(a)参照)、はみ出し部100、固定部101は、平面視で導入側開口90a(
図8参照)とは重ならない位置に配される。その一方で、このとき、閉塞板部102は、導入側開口90aの全域を上方から覆った状態となる。すなわち、平面視において閉塞板部102は、導入ホッパ90の導入側開口90aと、導入側開口90aの周囲の縁部分のそれぞれと重なる。
【0110】
ここで、本実施形態の薬剤包装装置1が実行可能なホッパ清掃動作について説明する。
ホッパ清掃動作は、導入ホッパ90を清掃する動作である。
本実施形態の薬剤包装装置1は、
図10で示されるように、導入ホッパ90の導入側開口90aの近傍に清掃剤投入装置105が設けられている。また、開閉板95の外側近傍に、エアーノズル106が設けられている。
【0111】
まず、第1の工程として、
図10(a)で示されるように、開閉板95を閉じた状態とし、導入ホッパ90内に清掃剤を投入する。続いて、導入側開口90aをホッパ閉塞部材98で閉塞する。
【0112】
具体的には、
図11(a)で示されるように、ホッパ閉塞部材98を導入ホッパ90の上方であり、導入ホッパ90と近接する位置に移動させる。そして、この状態(近接状態)で吸引装置96に吸引動作を実行させる。このことにより、閉塞部材本体部98aの位置はそのままの状態で、薄板部98bが導入ホッパ90側に吸い寄せられる。つまり、薄板部98bの自由端側の部分である閉塞板部102とはみ出し部100が下方側へ移動するように、薄板部98bが姿勢変更する。そして、
図11(b)で示されるように、閉塞板部102の下面が導入ホッパ90の上側部分、すなわち、導入側開口90aの周囲に位置する縁部分と接触(密着)する。このことにより、薄板部98bによって導入側開口90aが閉塞された状態となる。
【0113】
ここで、導入側開口90aが閉塞された状態では、閉塞部材本体部98aの下面と薄板部98b(閉塞板部102)の間に隙間(符号108で示す部分)が形成される。なお、薄板部98bの移動前に閉塞部材本体部98aと薄板部98bの間に隙間が形成されている場合は、これらの間の隙間が大きくなる。
【0114】
そして、
図10(b)で示されるように、導入側開口90aをホッパ閉塞部材98で閉塞した後も吸引装置96を動作させ続けることで、導入側開口90aが閉塞された状態で吸引装置96が吸引動作を実行される。このことで、導入ホッパ90内が負圧に吸引され、導入ホッパ90内に激しい空気流が発生し、清掃剤が激しく渦巻いた状態となる。そして、清掃剤が導入ホッパ90の内壁と衝突し、内壁に付着した散薬が剥ぎ落とされる。
【0115】
さらに、一定時間の経過後、
図10(c)で示されるように、開閉板95を開いた状態とする。より望ましくは、開閉板95の開閉を繰り返す。
開閉板95を開くと、排出側開口90bから空気が導入される。このため、空気流は、導入ホッパ90の内壁に沿った旋回を伴い、下側から上側に向かって進む。このことから、投入された清掃剤が導入ホッパ90の内壁に付着した散薬をはぎ取り、これが清掃剤と共に巻き上げられて吸引装置96によって排出される。
開閉板95の開閉を繰り返す場合は、導入ホッパ90内に清掃剤を止めつつ行う清掃剤の攪拌と、空気を導入して清掃剤の一部を排出しつつ行う清掃剤の攪拌が繰り返される。
【0116】
また、開閉板95の外側面に付着した薬剤を、エアーノズル106から空気を吹きつけることで除去する。エアーノズル106は、開閉板95が開いた姿勢のとき、噴射した空気が開閉板95に当たる位置に設けられている。また、開閉板95の近傍には、分包紙116があるので、エアーによって剥離させた薬剤を分包紙116内に回収する。
【0117】
つまり、ホッパ清掃動作では、導入ホッパ90内に清掃剤を投入して吸引を開始し、吸引の後半で開閉板95を開閉し始め、その際にエアーノズル106から、開閉板95の外側に向かって直接空気を吹きつける。そして、5秒から10秒後に吸引とエアーの吹き付けを停止する。
【0118】
図8で示されるように、包装部91は、導入ホッパ90を経て導入された散薬を一服用分ずつに包装する装置である。この包装部91は、薬包紙保持手段110と、送りローラ111と、エンドセンサ112(分包紙検知手段)と、印字手段113と、三角板114と、加熱ローラ115と、切断手段(図示しない)を有する。
【0119】
薬包紙保持手段110は、分包紙116(薬包紙)をロール状に巻いたシートロールRを回転自在な状態で保持する部材である。この薬包紙保持手段110は、シートロールRが装着される支持軸部110aを備えている。支持軸部110aは、中心軸と、中心軸の外側に軸受を介して回転自在に取り付けられる中空軸(軸部)とを有する(詳細な図示を省略する)。そして、支持軸部110aの中空軸にシートロールRの巻芯を装着する(一体に固定する)ことで、シートロールR及び中空軸が中心軸に対して回転自在となる。
この薬包紙保持手段110は、シートロールR及び中空軸の回転に対して負荷をかけるブレーキ機構(図示しない)を有する。ブレーキ機構は、モータブレーキ機構であり、小型の交流モータを有する。すなわち、ブレーキ機構は、供給電源として直流電圧を加えることで、ブレーキ力(制動力)を与えるものであり、印加電圧を変化させることで、ブレーキ力を可変することが可能である。
【0120】
なお、ブレーキ機構は、シートロールRの巻芯と共に回転する軸(中空軸)にゴム板等を押し当てるブレーキ機構や、シートロールRの巻芯と共に回転する軸を挟持するブレーキ機構といった、機械式のブレーキ機構であってもよい。
【0121】
送りローラ111は、ロール状の分包紙116を繰り出して送るシート送り手段として機能するローラであり、繰り出した分包紙116に一定の張力を付加するテンションローラとしても機能する。
【0122】
エンドセンサ112は、シートロールRから引き出した分包紙116を通すことで、シートロールRの残量の有無を検知可能なものである。また、シートロールRの終端部分を検知可能なものである。このエンドセンサ112は、分包紙116の繰り出し方向で、最も上流側に位置する一つ目の第一送りローラ111aの下流側であり、上流側から2つ目となる第二送りローラ111bの上流側に位置する。すなわち、最もシートロールRに近接する位置にある第一送りローラ111aの下流側に位置する。
【0123】
ここで、本実施形態のエンドセンサ112は、シートロールRの終端を検知するだけでなく、シートロールRの始端側部分が通されたことを検知する動作(以下、始端側検知動作とも称す)が可能となっている。すなわち、エンドセンサ112は、シートロールRから繰り出された分包紙116(分包紙116の始端側部分)を検知する分包紙検知センサとしても機能する。したがって、新たなシートロールRを薬包紙保持手段110に保持させ、シートロールRから分包紙116を繰り出し、エンドセンサ112の検知領域を通過させると、シートロールRの始端側部分が通されたことが検知される。
始端側検知動作は、例えば、エンドセンサ112に分包紙116が通されていない状態から、エンドセンサ112に分包紙116が通され、シートロールRの終端が検知されなかったことを条件として、シートロールRの始端が通されたものと判別してもよい。
【0124】
印字手段113は、薬剤包装120(分包袋)に対して所定の情報を印字するための機械である。具体的には、袋状とする前の分包紙116に対して印字する。
三角板114は、送られた分包紙116を幅方向の略中央部分で2つ折りとするための部材である。
加熱ローラ115は、ヒータローラ等を備え、重ね合わせた状態の分包紙116を熱融着によってヒートシールするシール装置である。これら三角板114と加熱ローラ115は、薬剤包装120(分包袋)を形成する袋形成手段として機能する。すなわち、2つ折りとした分包紙116の内側面の間に導入ホッパ90から薬剤が投入された後、薬剤が投入された部分の周囲を閉塞することで、薬剤包装120を形成する。なお、加熱ローラ115に替わって、圧着等によって分包紙116をシールするシール装置を採用してもよい。シール装置は、分包紙116を分離しない状態に密着させて袋状にできればよい。
【0125】
切断手段は、分包紙116を切断可能なカッター(切断刃)を備えており、内部に薬剤を収容して袋状とした分包紙116を切断することで、薬剤包装120や、薬剤包装120が連なった薬剤包装帯を形成する。
【0126】
本実施形態の薬剤包装装置1では、特徴的な動作として、新たなシートロールRを内部包装装置85に取り付けるとき、シートロールRの過剰な繰り出しを防止する取付支援動作が実行される。
すなわち、作業者が新たなシートロールRを薬包紙保持手段110に保持させ、シートロールRから分包紙116を繰り出し、繰り出したシートロールRの始端側部分をエンドセンサ112に通す(導入する)と、始端側検知動作が実行される。
そして、始端側検知動作により、エンドセンサ112に分包紙116(シートロールRの始端側部分)が通されたことが検知されると、薬包紙保持手段110がシートロールRの繰り出し方向の回転に対して負荷をかけるブレーキ動作を実施する。なお、シートロールRの繰り出し方向とは、シートロールRから分包紙116の繰り出す(引っ張り出す)とき、分包紙116の繰り出しに応じて巻芯が回転する方向である。このことにより、シートロールRの繰り出し方向への回転に抵抗力が付与され、同方向への回転が抑制される。このように、取付支援動作は、始端側検知動作、ブレーキ動作を順次実行する動作である。そして、取付支援動作が実行されることで、新たなシートロールRの装着時に分包紙116を引っ張って繰り出すとき、シートロールRが過剰に回転してしまい、分包紙116が必要以上に繰り出されるといった問題の発生を防止(抑制)できる。
【0127】
次に本実施形態の薬剤包装装置1で実行可能な動作について説明する。
本実施形態の薬剤包装装置1は、外部の機器から処方に関する情報が入力され、その情報に基づいて散薬を一包ずつ(例えば、一服用分ずつ)包装する分包動作(包装動作)を実施することができる。薬剤包装装置1は、分包動作として、自動分包動作と手動分包動作が可能となっている。
【0128】
[自動分包動作]
自動分包動作では、薬剤包装装置1は、容器保管装置21から薬剤容器20を取り出す動作、取り出した薬剤容器20を分配皿30の近傍に移動させる動作、薬剤容器20を容器載置装置32に載置して薬剤フィーダ60を構成させる動作、所定量の薬剤を分配皿30に投入する動作、分配皿30から薬剤を一包分ずつ内部包装装置85に供給する動作、薬剤容器20を容器保管装置21に戻す動作を自動的に行う。これらの各動作は、図示しない制御装置によって制御される。
【0129】
すなわち、自動分包動作では、容器移動手段25により、包装する薬剤が収容された薬剤容器20を容器保管装置21から取り出す。そして、容器移動手段25が取り出した薬剤容器20を分配皿30の近傍まで移動させ、容器載置装置32の上に載置する(
図12参照)。そして、薬剤容器20が容器載置装置32の上に載置されると、使用する薬品が収容された薬剤容器20が正しく選択され、運搬されたかを確認する確認動作が実施される。なお、この確認動作では、容器載置装置32の近傍に設けられた情報読取手段が薬剤容器20のRFIDタグ83から情報を読み取り、薬剤容器20に収容された薬剤の種類を特定する動作が実行される。
【0130】
ここで、薬剤包装装置1は、1つの分配皿30に対して複数の薬剤容器20から散薬を同時に排出させることが可能である。この場合、
図12で示されるように、1つの分配皿30に対応付けられた複数の容器載置装置32に対して薬剤容器20を載置する。上記した確認動作は、薬剤容器20を容器載置装置32の上に載置する度に実行される。
【0131】
例えば、一包の薬剤包装120に3種類の薬剤を内包させる場合、それぞれ別の種類の散薬が収容された3つの薬剤容器20を一つずつ別の容器載置装置32に載置する、といった具合である。
【0132】
薬剤容器20を容器載置装置32の上に載置させる動作に前後して(例えば、載置させる前に)、分配皿30を回転させる動作を実行する。また、薬剤容器20を容器載置装置32の上に載置させた後、容器移動手段25が薬剤容器20の蓋部73を開状態とする。そして、薬剤容器20から薬剤を排出させる薬剤排出動作を実行する。
【0133】
薬剤排出動作は、容器載置装置32の振動台66が振動動作を開始し、載置された薬剤容器20を振動させることで、薬剤容器20の薬剤排出部76から散薬を排出させる動作である。ここで、薬剤排出動作が実行中であるとき、薬剤を排出している薬剤容器20の重量が常時検知されており、排出量が規定量となったことを条件として、振動動作を停止し、薬剤排出動作を終了する。排出量は、薬剤排出動作の開始前に取得した薬剤容器20の原重量と、薬剤排出動作の実行中に取得し続ける薬剤容器20の現重量を比較することで取得する。つまり、薬剤排出動作の実行中、薬剤包装装置1は、薬剤の排出量を常時算出し続ける。
【0134】
分配皿30に対し、全ての薬剤容器20(1又は複数の薬剤容器20)からの散薬の供給(排出)が完了すると、分配皿30の回転を停止する。このとき、分配皿30の薬剤投入溝38には全体に供給された薬剤が満遍なく広がった状態となる(
図13参照)。この状態で、後述する掻寄動作及び掻出動作を実行し、分配皿30上の散薬を一包分ずつ薬剤投入部33に投入する。そして、投入された薬剤が内部包装装置85で一包分ずつ包装される。この一連の動作が終了し、分配皿30に供給された薬剤が全て内部包装装置85に供給され、分包が完了することで、自動分包動作が完了する。
【0135】
なお、分配皿30に規定量の散薬が供給され、振動動作が停止されると、分配皿30に薬剤の供給が完了した際の薬剤容器20の重量が測定され、RFIDタグ83に測定した重量を記憶させる情報書込動作が実施される。そして、容器移動手段25によって薬剤容器20が容器保管装置21に戻される。このことにより、薬剤の供給が完了した際の薬剤容器20の薬剤の収容量が取得できる。
【0136】
上記した掻寄動作では、
図13で示されるように、掻出装置31の掻出機構47を降下させる掻出機構降下動作と、掻寄板50のシール部材52を分配皿30に接触(近接)させた状態で、分配皿30を分割数に応じた角度だけ回転させる回転動作が実行される。このことにより、所定量(一包分)の薬剤が掻出機構47の周辺に寄せられた状態となる。つまり、掻寄動作は、掻寄板50と分配皿30を相対移動させて分配皿30上の散薬を掻寄板50の近傍に掻き寄せる動作である。なお、下記の掻出動作の後に続いて実行される掻寄動作は、掻出機構47を降下させた状態のまま回転動作を実行する動作となる。
【0137】
上記した掻出動作は、
図13(c)で示されるように、掻出機構47の周辺に薬剤が寄せられた状態で、掻寄板50を薬剤投入溝38に接触させたまま、掻寄板50を回転させる動作である。具体的には、掻出板51(掻出部51a)が薬剤投入溝38の周方向を横切る方向に移動するように掻寄板50を回転させる掻寄板回転動作を実行する。すなわち、薬剤投入溝38の断面の円弧方向に沿う方向であって、分配皿30の内側から外側へ向かう方向(
図13(c)では左側から右側へ向かう方向)に掻出板51が移動するように、掻寄板50を回転させる。このことにより、掻出部51aが分配皿30の径方向内側から寄せられた散薬に接触し、そのまま寄せられた散薬を分配皿30の外に押し出して薬剤投入部33に落とし込む。つまり、掻出動作は、掻寄板50の近傍に掻き寄せられた薬剤を掻出板51によって分配皿30の外に掻き出す動作である。なお、薬剤投入部33を薬剤投入溝38の内側に形成する場合は、掻出部51aの回転方向が逆方向となる。
【0138】
ここで、本実施形態の薬剤包装装置1では、同じ容器グループに属する薬剤容器20が複数ある場合、同じ容器グループに属する薬剤容器20のそれぞれに、通常の自動分包動作で使用する際の優先順位が定められている。
例えば、A薬剤を収容した容器グループに薬剤容器A1、薬剤容器A2が属していたとする。そして、通常の自動分包動作で薬剤容器A1、薬剤容器A2の順で使用すると定められていたとする。この場合、A薬剤を包装する自動分包動作が実行される度に、薬剤容器A1が使用される(薬剤容器A1を容器載置装置32の上に載置して薬剤を排出させる動作が実行される)。そして、薬剤容器A1に収容された薬剤の量が割当量(設定量)と同じ量になると、薬剤容器A1に替わって薬剤容器A2が使用される。
【0139】
なお、割当量とは、予め定められた規定量であり、例えば、0.5gのような微細な量である。この割当量は、操作表示部3を操作する等によって変更可能である。本実施形態の薬剤包装装置1では、割当量設定モードと、割当量非設定モードを切り替え可能である。割当量設定モードは、薬剤容器20に収容された薬剤を最後まで使い切らずに各種動作を実行する(薬剤包装装置1を運用する)モードであり、薬剤容器A1の薬剤の収容量が割当量となった状態では、その薬剤容器A1からの薬剤の供給動作(排出動作)を実行しない。対して、割当量非設定モードは、薬剤容器20に収容された薬剤を最後まで使い切る動作が可能となるモードである。
【0140】
すなわち、薬剤容器20の薬剤の収容量が理論上0gとなるまで排出動作を実行しても、実際には、薬剤容器A1内にわずかに薬剤が残ってしまうことが考えられる。つまり、薬剤容器A1の理論上の在庫量(収容量)である理論在庫量を0gとしても、実際の在庫量(収容量)である実在庫量が0gとならず、理論在庫量と実在庫量が異なる状態になることが考えられる。このような、理論在庫量と実在庫量に意図しない差が生じることに起因する問題の発生を抑制するため、薬剤包装装置1は、割当量設定モードで運用することが好ましい。つまり、割当量とは、理論在庫量と実在庫量に差が生じることを予測した上で、より確実かつ安定した払い出しを実現すべく、薬剤容器に対して予め意図的に割り当てた量であり、払い出しの際にその薬剤容器内に意図的に残存させる薬剤の量である。
【0141】
なお、薬剤容器A1内の全ての薬剤を使用すると、薬剤容器A1に新たな薬剤を充填することになる。ここで、薬剤容器A1内の薬剤が残った状態で、新たに同種の薬剤を充填する場合について考える。この場合、薬剤容器A1内に残存する薬剤と、新たに充填する薬剤の製造会社によるロット(有効期限を含む)が異なる場合がある。そして、同じ薬剤容器A1内にロットの異なる薬剤を混在させることが好ましくないという観点から、割当量非設定モードで運用することも考えられる。
【0142】
すなわち、自動分包動作で薬剤容器A1から規定量(使用予定量)の薬剤が分配皿30に排出された後、薬剤容器A1の薬剤の収容量(残量)が割当量となった(又は無くなった)場合、次回からのA薬剤を包装する自動分包動作で薬剤容器A2を使用する。
【0143】
対して、一の自動分包動作で薬剤容器A1から分配皿30への薬剤の排出を開始し、規定量の薬剤が分配皿30に排出される前に、薬剤容器A1内の薬剤の量が割当量となった(又は無くなった)場合、薬剤容器を交換して一の自動分包動作を継続する。
例えば、一の自動分包動作でのA薬剤の排出予定量が10gであり、一の自動分包動作の開始前の薬剤容器A1内の薬剤の量が4.5gであり、薬剤容器A1の割当量が0.5gであったとする。この場合、一の自動分包動作が開始されると、薬剤容器A1を容器載置装置32の上に載置して薬剤容器A1から分配皿30に薬剤を排出する動作を実行する。そして、薬剤容器A1から4gの薬剤が排出されると、薬剤の排出(振動動作)を停止し、薬剤容器A1を容器保管装置21に戻す動作が実行される。続いて、薬剤容器A2を容器保管装置21から容器載置装置32の近傍まで移動させる動作、薬剤容器A2を容器載置装置32に載置させる動作、薬剤容器A2から薬剤を排出させる動作を実行する。そして、薬剤容器A2から6gの薬剤が排出されると薬剤の排出を停止し、分配皿30へのA薬剤の排出を完了する、といった具合である。
なお、同じ容器グループに属する薬剤容器20が3以上ある場合、2つ目以降も同様に、優先順位の高いものから使用していく。
【0144】
ここで、本実施形態の薬剤包装装置1は、特徴的な動作として、薬剤の分配皿30への供給速度を早める高速供給動作を実行可能となっている。高速供給動作では、自動分包動作で薬剤を分配皿30に供給するとき、複数の薬剤容器20の容器毎の薬剤の供給量(排出量)を事前に決定する動作(排出量割当動作)を実行する。そして、複数の薬剤容器20のそれぞれから予め定められた供給量の薬剤を排出させる動作を実行する。
【0145】
具体的には、処方に関する情報(処方データ)が入力されたとき、自動分包動作の実行に先立って、保管状況確認動作を実行する。保管状況確認動作は、容器保管装置21での薬剤の保管状況を確認する動作であり、これから行う自動分包動作で包装する薬剤(使用予定の薬剤)が収容された薬剤容器20の数が確認される。また、使用予定の薬剤が収容されている薬剤容器20の薬剤の収容量が確認される。使用予定の薬剤が複数の薬剤容器20に収容されている場合、容器毎の薬剤の収容量が確認される。言い換えると、使用予定の薬剤が収容された容器グループを特定し、容器グループに属する薬剤容器20の数と、容器グループに属する薬剤容器20の容器毎の薬剤の収容量が確認される。さらに、処方データに基づき、これから行う自動分包動作で使用予定の薬剤の量(使用予定量)が特定される。また、使用予定量と、容器グループのうちで優先順位が最も高い薬剤容器20の薬剤の収容量とを比較する比較動作を実行する。
【0146】
そして、保管状況確認動作の結果、使用予定の薬剤を収容した容器グループに属する薬剤容器20が複数あり、容器グループ全体での薬剤の収容量が使用予定量以上である場合に、供給量割当動作を実行する。なお、使用予定の薬剤を収容した容器グループに属する薬剤容器20が一つのみの場合は、高速供給動作を行わず、通常の供給動作で自動分包動作を実行する。また、容器グループ全体での薬剤の収容量が使用予定量より少ない場合は、その旨を報知する報知動作を実行する。
【0147】
供給量割当動作は、対象となる一つの自動分包動作において、同じ種類の薬剤を排出させる薬剤容器20の数と、薬剤の排出(供給)に使用する複数の薬剤容器20と、それぞれの薬剤容器から排出させる薬剤の量を決定する動作である。本実施形態では、供給量割当動作として、欠品時割当動作(第一排出量割当動作)と、多量時割当動作(第二排出量割当動作)とが実行される。以下、同じ種類の薬剤を供給(排出)させる薬剤容器20の数が2つ(薬剤容器A1,A2)であり、割当量設定モードである場合を例に挙げて説明する。
【0148】
欠品時割当動作は、上記した比較動作の結果、優先順位が最も高い薬剤容器A1の薬剤の収容量が使用予定量よりも少ない場合、すなわち、優先順位が最も高い薬剤容器A1を使用して供給すると薬剤が不足することが予測される場合に実行される動作である。
欠品時割当動作では、優先順位が最も高い薬剤容器A1に排出可能な最大量(排出可能量)を割り当て、薬剤容器A2に残量を割り当てる。例えば、薬剤Aの使用予定量が6gであり、薬剤容器A1の薬剤Aの収容量が3gであったとする。この場合、薬剤容器A1に2.5g(薬剤の収容量から割当量を引いた値)を割り当て、薬剤容器A2に残量である3.5gを割り当てる。
【0149】
そして、欠品時割当動作が完了すると、第一複数排出動作を実行する。第一複数排出動作では、欠品時割当動作で排出量を割り当てた複数の薬剤容器A1,A2を、それぞれ別の容器載置装置32に載置する動作と、薬剤容器A1,薬剤容器A2から分配皿30に薬剤を排出する排出動作(供給動作)を実行する。
【0150】
このとき、一方の薬剤容器(例えば、薬剤容器A1)からの薬剤排出動作と、他方の薬剤容器(例えば、薬剤容器A2)からの薬剤排出動作を同時に実行することが好ましい。例えば、2つの薬剤排出動作を同時に開始してもよい。この他、一方の薬剤容器からの薬剤排出動作と、他方の薬剤容器からの薬剤排出動作を順次開始してもよい。この場合、先行して開始した薬剤容器からの薬剤排出動作の開始から終了までの間に、他方の薬剤排出動作を開始する。すなわち、他方の薬剤排出動作が開始された後、2つの薬剤排出動作が同時に実行される。
このような構成によると、薬剤容器を交換して自動分包動作を継続する上記した動作に比べ、分配皿30への薬剤の供給時間の短縮を図ることができる。
【0151】
また、一方の薬剤容器の薬剤排出動作が完了した後、連続して又は実質的に連続して他方の薬剤容器からの薬剤排出動作を開始することも考えられる。この場合、一方の薬剤容器の薬剤排出動作が完了する前までに、他方の薬剤容器を容器載置装置32に載置する動作を完了させる。
なお、「実質的に連続する」とは、数秒程度のわずかな間隔が空く場合を含む。
【0152】
このような構成においても、上記した薬剤容器を交換して一つの自動分包動作を継続する動作に比べ、分配皿30への薬剤の供給動作を早めることができる。具体的には、上記した交換を行う動作では、一方の薬剤容器を使用した排出動作の完了後に、交換のために容器を移動させる時間が必要となり、他方の薬剤容器を使用した排出動作を開始するまでに多くの時間が掛かってしまう。
これに対し、本実施形態の高速供給動作(欠品時割当動作後の排出動作)では、一方の薬剤容器からの薬剤の供給完了後に薬剤容器の交換を実行しないので、供給時間を短縮できる。
【0153】
また、割当量非設定モードとし、一方の薬剤容器から収容されている薬剤を全て排出する場合、薬剤容器から全ての薬剤が排出されたことを確認する動作が必要となる。この動作は、薬剤容器を振動させ続けた状態で薬剤が排出されなくなって所定時間以上(例えば5秒以上)経過したことを条件として、収容された薬剤が全て排出されたものと判別する。このため、この動作を実行した後、薬剤容器を交換した場合に、一つの薬剤の供給開始から供給完了(2つの薬剤容器のそれぞれから薬剤を排出完了させる)までに特に長い時間が必要となってしまう。
したがって、割当量非設定モードで運用する場合は、高速供給動作を実行し、薬剤の供給時間を短縮することが好ましい。
【0154】
多量時割当動作は、使用予定量が規定量以上であった場合に実行される動作であり、一つの薬剤容器20を使用して供給すると多くの時間がかかることが予測される場合に実行する動作である。なお、この場合の規定量は、予め設定される量であり、通常の分包動作での使用予定量を大きく上回る量であって、例えば、100gである。
【0155】
多量時割当動作では、複数の薬剤容器A1,A2にそれぞれ均等に供給量(排出量)を割り当てる。例えば、薬剤Aの使用予定量が100gである場合、2つの薬剤容器A1,A2にそれぞれ50gを割り当てる。このとき、一方の薬剤容器の薬剤の収容量が割り当て予定の量50gを下回る場合は、上記した欠品時割当動作と同様に、一方の薬剤容器に排出可能な最大量を割り当て、残量を他方の薬剤容器に割り当てる。
【0156】
そして、多量時割当動作が完了すると、第二複数排出動作を実行する。第二複数排出動作では、多量時割当動作で排出量を割り当てた複数の薬剤容器A1,A2を、それぞれ別の容器載置装置32に載置する動作と、薬剤容器A1,薬剤容器A2から薬剤を分配皿30に供給する排出動作とを実行する。この第二複数排出動作の具体的な手順は、上記した第一複数排出動作と同様であるので、重複する説明を省略する。
【0157】
上記した例では、欠品時割当動作と多量時割当動作において、2つの薬剤容器A1,A2に薬剤の供給量を割り当てる例を示したが、本発明はこれに限るものではない。欠品時割当動作、多量時割当動作で薬剤の供給量を割り当てる薬剤容器の数n1は、複数(2以上の整数)であり、使用する分配皿30に対応付けられた容器載置装置32の数(本実施形態では3)以下となる数である。本実施形態の薬剤包装装置1では、n1は2又は3である。
【0158】
欠品時割当動作では、3以上の薬剤容器に薬剤の供給量を割り当てるとき、優先順位が最も高い薬剤容器20に排出可能な最大量を割り当て、残量を残りの薬剤容器20に割り当てる。この場合、残量は均等又は略均等に分けてもよく、不均等に分けてもよい。
【0159】
上記した多量時割当動作では、薬剤の供給量を複数の薬剤容器にそれぞれ均等に割り当てた例を示したが、それぞれの薬剤容器に割り当てる薬剤の量は不均等であってもよい。しかしながら、それぞれの薬剤容器に薬剤の供給量を均等又は略均等に割り当て、それぞれの薬剤容器から薬剤排出動作を同時、又は、略同時に連続して開始することが、薬剤供給のための時間を短縮する上で好ましい。なお、「略均等」とは、均等に割り切れない場合に、いずれかの薬剤容器にあまりの分を割り当てる、又は、複数の薬剤容器にあまりの分を分けて割り当てる場合を含む。
【0160】
[手動分包動作]
手動分包動作では、操作表示部3を操作することで、第一下側小扉17、第二下側小扉18の少なくとも一方が開かれた状態とする(
図1、
図2参照)。すなわち、一方の分配皿30a(
図3参照)を使用して実行する場合は、第一下側小扉17が開かれ、他方の分配皿30bを使用して実行する場合は、第二下側小扉18が開かれる。
【0161】
そして、開かれた下側子扉から、作業者が手動式薬剤容器(図示しない)を筐体10内に差し入れ、手動で容器載置装置32に載置する。なお、これに先立って、手動式薬剤容器には、作業者が予め秤量した薬剤を収容させておく。
ここで、本実施形態では、一つの分配皿30に対応付けられた複数の容器載置装置32のうちの一つを、手動分包動作で手動式薬剤容器を載置可能な容器載置装置32(手動時容器載置手段であり、以下、手動用載置装置とも称する)としている。具体的には、一方の分配皿30aを使用して手動分包動作を行う場合の手動用載置装置が第一載置装置32aであり、他方の分配皿30bを使用して手動分包動作を行う場合の手動用載置装置が第三載置装置32fである。
【0162】
また、本実施形態では、下側子扉が開かれたとき、いずれの容器載置装置32が手動用載置装置であるのかを示す載置場所報知動作を実行する。例えば、一方の分配皿30aを使用して手動分包動作を行う場合、手動用載置装置である第一載置装置32aの報知部材69(
図6参照)を所定色で点灯させ、第二載置装置32b、第三載置装置32cの報知部材69は消灯状態を維持する動作であってもよい。反対に、第一載置装置32aでは消灯状態を維持し、他では点灯状態を維持する動作であってもよい。この他、手動用載置装置の報知部材69が予め定めた所定内容(他の報知動作で実行しない内容)の発光動作を行ってもよい。
つまり、載置場所報知動作は、同じ分配皿30に対応付けられた複数の容器載置装置32のうち、手動用載置装置の報知部材69において、他の容器載置装置32の報知部材69とは異なる動作を実行させる動作である。載置場所報知動作は、手動用載置装置の報知部材69が単独で動作を実行してもよく、同じ分配皿30に対応付けられた容器載置装置32の報知部材69と共に動作を実行してもよい。
【0163】
手動式薬剤容器が容器載置装置に載置されると、手動式薬剤容器が正しく載置されているか否かを確認する確認動作が実行される。この確認動作では、上記と同様に、手動式薬剤容器の情報記憶手段から情報を読み取る動作が実行される。手動式薬剤容器が正しく載置されていると判別された場合、操作表示部3を操作することで(又は自動で)、下側子扉が閉じた状態となる。なお、確認動作で手動式薬剤容器が正しく載置されていると判別されたことを条件として、載置場所報知動作を終了してもよい。
【0164】
そして、分配皿30を回転させる動作が実行され、手動式薬剤容器から分配皿30に薬剤を落下させる薬剤排出動作が実行される。薬剤排出動作では、上記した自動分包動作と同様に、容器載置装置32の振動台66が振動動作を開始する。このことにより、手動式薬剤容器が振動し、手動式薬剤容器から散薬が排出される。ここで、手動分包動作では、上記した自動分包動作とは異なり、薬剤の排出量(供給量)を測定する動作を実施せず、手動式薬剤容器に収容された薬剤を全て分配皿30に供給する。
【0165】
分配皿30に対する散薬の供給(排出)が完了すると、上記した自動分包動作と同様に、分配皿30の回転を停止する動作、分配皿30上の散薬を一包分ずつ薬剤投入部33に投入する動作、内部包装装置85で投入された薬剤を一包分ずつ包装する動作が実行される。この一連の動作が終了することで、手動分包動作が完了する。
【0166】
ところで、一方の分配皿30aを使用して手動分包動作を実行しようとした場合、何等かの理由で第一載置装置32aが故障してしまう場合がある。この場合、他方の分配皿30bを使用して手動分包動作を実行することが考えられるが、他方の分配皿30bで他の分包動作が実行中である場合、この分包動作の完了を待つ必要がある。また、この場合、他方の分配皿30bで手動分包動作の実行が可能な場合であっても、他方の分配皿30bを使用して手動分包動作を実行すると、その手動分包動作が完了するまでの間、他方の分配皿30bを使用した他の分包動作が実行できない。つまり、第一載置装置32aで不具合が生じた際に、一方の分配皿30aで実行予定であった手動分包動作を他方の分配皿30bで実行することは、薬剤包装装置1で複数の分包動作を連続的に実行していく際の作業効率の低下を招くので好ましくない。
【0167】
そこで、本実施形態の薬剤包装装置1では、手動用載置装置で不具合が生じた場合、本来であれば手動式薬剤容器を載置するために使用しない容器載置装置32を手動用載置装置として使用可能とする載置先変更動作が実行可能となっている。載置先変更動作は、不具合が生じた元々の手動式薬剤容器と同じ分配皿30に対応付られた他の容器載置装置32のうち、いずれか一つの容器載置装置32を代替の手動式薬剤容器とする動作である。
【0168】
載置先変更動作は、本来の手動用載置装置で不具合が検知された際に自動で実行される動作でもよく、使用者が操作表示部3を操作することで実行される動作でもよい。すなわち、手動用載置装置の不具合を報知する動作が実行された後、それを知った使用者が操作表示部3を操作することで実行される動作としてもよい。
なお、代替の手動用載置装置とする容器載置装置32を使用者が指定可能な構成としてもよい。自動で実行される場合は、予めどの容器載置装置32を手動用載置装置とするのかを指定しておき、代替の手動用載置装置とする容器載置装置32を特定するための情報を設定情報として記憶させておく。対して、操作表示部3を操作して実行する場合は、開始前に使用者が操作表示部3を操作して指定する。
【0169】
例えば、第一載置装置32aで不具合が生じ、載置先変更動作が実行されると、第二載置装置32b、第三載置装置32cのいずれかが代替の手動用載置装置となる。そして、上記した載置場所報知動作は、代替の手動用載置装置が手動式薬剤容器の載置場所となることを報知する動作となる。例えば、自動又は使用者の指定により、第二載置装置32bが代替の手動用載置装置となった場合、載置場所報知動作では、第二載置装置32bの報知部材69が、第一載置装置32a、第三載置装置32cの報知部材69とは異なる動作を実行する。
なお、当然のことながら、第三載置装置32fで不具合が生じた場合も、上記と同様に、載置先変更動作が可能である。
【0170】
ここで、本実施形態の薬剤包装装置1は、上記した分包動作を実行する前に、掻出装置31(
図4参照)が正常に使用可能であるか否かを検知する掻出装置確認動作(シール判別動作)を実行可能となっている。
【0171】
掻出装置確認動作は、具体的には、掻寄板50にシール部材52(
図4参照)が取り付けられているか否かを判別する第一判別動作を含む。また、第一判別動作において、シール部材52が取り付けられていると判別された場合に、シール部材52が摩耗しているか否かを判別する第二判別動作を含む。すなわち、掻出装置確認動作では、まず、第一判別動作を実行し、結果に応じて第二判別動作が実行される。なお、以下の掻出装置確認動作の説明では、掻寄板50に取り付けられたシール部材52が正常である状態を正常状態とし、掻寄板50に取り付けられたシール部材52が摩耗している状態を摩耗状態とする。また、掻寄板50にシール部材52が取り付けられていない状態を未取付状態とする。
【0172】
第一判別動作では、
図14(a)、
図14(b)で示されるように、掻出機構47を下方側に移動させる掻出機構降下動作を実行する。ここで、未取付状態である場合(
図14(c)参照)には、正常状態である場合(
図14(b)参照)と比べて、掻寄板50がより下方側まで移動可能となる。
【0173】
つまり、正常状態では、
図14(b)で示されるように、シール部材52が分配皿30(薬剤投入溝38)に接触するまで掻寄板50が下降可能となる。なお、この際の掻寄板50の配置高さは、掻寄動作や掻出動作を実行するときの掻寄板50の配置高さ(以下、動作時高さとも称す)である。掻寄板50を動作時高さに配したとき、掻寄板50の下端側部分は、分配皿30の薬剤投入溝38の最も低位置となる部分よりも上側に配される。
【0174】
対して、未取付状態では、
図14(c)で示されるように、掻寄板50を動作時高さに配すると、掻寄板50の周縁部分と薬剤投入溝38に隙間(符号125で示す部分)が形成される。このため、この隙間が掻寄板50の移動代となるので、掻寄板50がより下方側まで移動可能となる。
【0175】
そこで、第一判別動作では、掻出機構47を下方側に移動させ、掻寄板50の配置高さが規定高さ以下となるまで下降したことを条件として、掻寄板50にシール部材52が取り付けられていないものと判別する。この際、上記の装着検知センサ48(
図4参照)が突起部46aに接触することにより、掻出機構47(掻寄板50)が一定以下の高さまで下降したことを検知する。
【0176】
なお、ここでいう「規定高さ」は、動作時高さよりも低い高さであり、掻寄板50を薬剤投入溝38と接触するまで下降させた際の配置高さ(以下、最低配置高さとも称す)以上となる高さである。最低配置高さは、掻寄板50を移動可能範囲内で最も低位置まで移動させた際の配置高さである。
また、「規定高さ」を最低配置高さより高い高さとし、掻寄板50の配置高さが規定高さとなったとき、掻寄板50の下降を停止させることが好ましい。この構成によると、掻寄板50と分配皿30が接触することに起因する掻寄板50や分配皿30の破損を防止できる。
【0177】
そして、掻寄板50にシール部材52が取り付けられていると判別された場合、
図14(b)で示されるように、掻寄板50を下降させた状態で回転させる掻寄板回転動作を実行する。具体的には、掻寄板50の厚さ方向を視線方向とした平面視において、時計回り又は反時計回りに1回転させる。
【0178】
そして、掻寄板回転動作では、掻寄板50を1回転させるために必要な時間を取得する。すなわち、摩耗状態では、シール部材52が摩耗しておらず薬剤投入溝38にシール部材52が密着する場合と比べ、抵抗が少ない(又は無い)ため、1回転させるために必要な時間が短くなる。したがって、1回転させるために必要な時間が所定時間以下となったことを条件として、シール部材52が摩耗していると判別する。
【0179】
以上のように、掻出装置確認動作では、掻寄板50へのシール部材52の装着の有無を判別する第一判別動作を実行する。そして、第一判別動作の結果、シール部材52が装着されていると判別された場合には、シール部材52が摩耗しているか否かを判別する第二判別動作を実行する。本実施形態の掻出装置確認動作は、掻寄動作で実行する掻出機構47を下方側に移動させる動作(掻出機構降下動作)と、掻出動作で実行する掻寄板50を回転させる動作(掻寄板回転動作)により、シール部材52が正しく取り付けられているか否かを判別できる。
【0180】
第一判別動作でシール部材52が装着された場合と、第二判別動作でシール部材52が摩耗していると判別された場合には、その旨を報知する報知動作を実行する。報知動作は、操作表示部3にメッセージを表示させる動作や、薬剤包装装置1に設けたスピーカー装置等の音声発生装置に音声(エラーアナウンス)や警告音を発生させる動作である。
【0181】
なお、上記した第二判別動作では、掻寄板50を1回転させる例について説明したが、第二判別動作で回転させる掻寄板50の回転量は変更してもよい。例えば、1回転半でもよく、2回転であってもよい。正常状態において規定の回転量で回転させる場合の所要時間と、同じ回転量で回転させた場合の所要時間とを比較すればよい。なお、掻寄板50が規定の回転量で回転したか否かは、掻寄板50を回転駆動させるモータのパルス数を取得することで判別できる。
【0182】
また、第二判別動作は、掻寄板50を規定の回転量で回転させた際の所要時間を比較する動作に替わって、掻寄板50を規定の回転量で回転させた際のモータ(掻寄板50を回転駆動させるモータ)の電流値を比較する動作であってもよい。すなわち、掻寄板50を回転させる際の抵抗が下がると、モータの電流値は低下傾向となる。したがって、正常状態において掻寄板50を規定の回転量で回転させる際のモータの電流値と、掻寄板50を同じ回転量で回転させた際のモータの電流値を比較し、電流値が規定値以下となったことを条件として、シール部材52が摩耗していると判別してもよい。
【0183】
続いて、上記した薬剤包装装置1を含んで構成される調剤支援システム130について説明する。調剤支援システム130は、
図15で示されるように、上位制御装置131と、薬剤秤量装置132(散薬秤量装置)と、散薬分包機133と、ジャーナルプリンタ134と、上記した薬剤包装装置1(薬剤包装手段、自動散薬分包装置)を備えている。これらの機器は、構内通信網(LAN)等を介して互いにデータ(信号)を送受信可能な状態で接続されている。
【0184】
上位制御装置131は、CPU等の演算部、各種プログラムやデータを記憶する記憶部、I/Оポート等の通信部、液晶、有機EL等のディスプレイによって構成される表示装置、マウスやキーボード等の入力装置を備えている。
【0185】
薬剤秤量装置132は、天秤台、平衡回路、フォースコイル等を含んで形成される天秤ユニットを備えたものである。この薬剤秤量装置132は、各種情報を表示すると共に各種入力を受け付ける操作表示手段と、情報読書手段を有する。操作表示手段は、具体的には、タッチパネルである。情報読書手段は、秤量用容器(図示しない)に設けられた情報記憶媒体(RFIDタグやICタグ)に対して情報の読み書きが可能なリーダライタであり、本実施形態では、RFIDリーダライタである。なお、秤量用容器として、上記した手動式薬剤容器を使用してもよい。
【0186】
散薬分包機133は、容器配置領域12や容器移動手段25を持たないタイプの分包機であり、供給ホッパから散薬を投入することで、投入した散薬を一服用分ずつ(1包ずつ)分割して包装するものである。
【0187】
ジャーナルプリンタ134は、分包動作の履歴や処方の記録といった、各種情報を紙等の媒体に印字して出力する印刷装置である。
【0188】
さらに、本実施形態の調剤支援システム130は、薬剤秤量装置132と一体、又は、信号の送受信可能に形成された情報読取装置(情報読取手段)を有する。情報読取装置は、一次元コードや二次元コード等のコードから情報を読み取るリーダ装置(例えば、バーコードリーダ)である。すなわち、情報読取装置が情報の読み取り動作を実行することで、薬剤秤量装置132が読み取った情報を取得できる。
【0189】
本実施形態の調剤支援システム130では、薬剤秤量装置132、散薬分包機133によって手動散薬分包手段138(一の薬剤包装手段)が構成されている。そして、薬剤包装装置1で分包動作を実行させる他、手動散薬分包手段138によって分包を行うことが可能となっている。
手動散薬分包手段138で分包を行う際には、調剤者が散薬を秤量用容器(図示しない)に載せて薬剤秤量装置132で秤量し、その後、秤量した散薬が載置された秤量用容器を散薬分包機133まで移動させ、散薬を散薬分包機133に投入する。そして、投入された散薬が散薬分包機133で一服用分ずつ(1包ずつ)分割されて包装される。
【0190】
ここで、調剤支援システム130では、薬剤包装装置1で実行予定であった分包動作を中止し、中止した分包動作で作製予定であった薬剤包装を手動散薬分包手段によって作製できる。
【0191】
すなわち、薬剤包装装置1に所定の処方に基づく情報が入力され、薬剤包装装置1での所定の処方に基づく分包動作の実行が決定されたとする。この状態では、実際に分包動作が実行される前に使用者が操作表示部3を操作することで、実行予定である分包動作の実行を中止できる。ここで、分包動作の実行が中止されると、薬剤包装装置1からジャーナルプリンタ134にその旨を示す信号が送信され、ジャーナルプリンタ134で印字動作が実行される。本実施形態では、中止された分包動作に対応する処方を特定可能な情報(中止関連情報)がジャーナルプリンタ134に送信される。そして、中止関連情報をコードとして印字する動作(出力動作)が実行される。具体的には、紙媒体にコードを印字して出力する。なお、処方を特定可能な情報は、具体的にはレシピ番号等である。
【0192】
そして、使用者が出力された紙媒体を受け取り、紙媒体に印字されたコードを情報読取装置で読み取ると、薬剤秤量装置132が中止関連情報を取得する。
ここで、通常、手動散薬分包手段138で分包を行うとき、薬剤秤量装置132の操作表示手段を手動で操作し、操作表示手段に表示されたリスト等から、これから行う秤量に対応する処方を特定する必要がある。そして、処方を特定した後、薬剤秤量装置132で秤量を実行する。
これに対し、本実施形態では、紙媒体に印字されたコードを情報読取装置で読み取り、そのまま秤量を行うことが可能となるため、処方(分包動作の実行が中止された処方)の特定が容易であり、秤量作業が容易となる。
【0193】
上記した例では、コード(一次元コード)を紙媒体に印字して出力する出力動作を行う例を示したが、情報を出力する媒体は紙媒体に限るものではない。例えば、スマートフォンのようなユーザが携帯可能な携帯端末にコードを表示させる出力動作であってもよい。情報読取手段で読み取り可能に出力すればよい。
【0194】
上記した実施形態の調剤支援システム130は、薬剤包装装置1、散薬分包機133からなる2つの分包機(分包装置)が属するものとしたが、調剤支援システム130に属する分包機は3以上であってもよい。
また、調剤支援システムは、システムに属するいずれかの分包機(例えば、薬剤包装装置1)で実行予定であった分包動作を中止し、中止した分包動作をシステムに属する他の分包機や手動散薬分包手段138で実行する場合に、以下の動作を実行してもよい。
すなわち、いずれかの分包機で中止動作が実行されたことを条件として、その分包機の表示装置(操作表示部3やモニタ等)に、他の分包機や他の手動散薬分包手段138(薬剤秤量装置132)といった他の調剤機器をリスト表示する。
【0195】
ここで、リスト表示される調剤機器は、中止した分包動作を実行可能な分包機や、中止した分包動作で作製予定であった薬剤包装を作製するために必要な作業(秤量等)を実行可能な調剤機器である。また、リスト表示では、分包機等の調剤機器の名前、調剤機器に割り当てられた番号(何号機であるかを示す情報)等、調剤機器を個別に特定可能な情報をリスト表示する。
【0196】
作業者は、リスト表示された調剤機器の中から分包で使用する所望の調剤機器を選択する。そして、調剤機器が選択されると、中止した分包動作に関する処方情報が選択した調剤機器に送信され、選択した調剤機器の表示装置(表示画面)に受信した処方情報に関する情報が表示される。例えば、薬剤秤量装置132が選択されたとする。この場合、薬剤秤量装置132の画面に受信した処方情報に関する情報、例えば、処方番号等の処方を特定可能な情報が表示される。そして、作業者が表示された処方を選択することで、秤量が可能となる。すなわち、処方情報が送信された調剤機器で作業者が処方を選択することにより、その処方に基づく分包動作、又は、その処方に基づいて作成される薬剤包装を作製するための動作が実行される(又は実行可能となる)。
【0197】
上記した高速供給動作は、薬剤の分配皿30への供給速度を早める動作としたが、薬剤の供給対象は、分配皿30に限るものではない。
具体的に説明すると、薬剤包装装置は、内部で散薬を保管する保管用の薬剤容器(以下、散薬収容容器とも称す)と、分配皿に散薬を払い出す際に用いる薬剤容器(以下、散薬一時保管容器とも称す)を同じ容器ではなく、別の容器としてもよい。すなわち、処方データに基づく所定量を散薬収容容器から散薬一時保管容器に排出させ、その後、散薬一時保管容器を分配皿(円盤)に対応付けられた載置部(加振装置)に載置し、散薬一時保管容器に収容した容器内の薬剤(散薬)の全てを分配皿に排出する動作を実施してもよい。
このような薬剤包装装置では、複数の散薬収容容器から一つの散薬一時保管容器に薬剤を排出させてもよい。このような場合、高速供給動作は、散薬収容容器から一時保管容器への薬剤の供給を早める動作であってもよく、一時保管容器への薬剤の供給の前に供給量の割り当てを行ってもよい。
【0198】
ところで、薬剤容器20(自動式薬剤容器)や、手動式薬剤容器から分配皿30に薬剤を排出(散薬を供給)する排出動作(薬剤排出動作)を実行するとき、散薬の排出速度を向上させつつ排出精度の向上を図るため、以下のような動作を実行してもよい。
【0199】
まず、排出動作の実行に先立って、これから排出する散薬(薬剤)が少量であるのか、多量であるのかを判別する使用量判別動作を実行する。具体的には、使用予定量が所定量X以上であれば、多量の排出であると判別し、所定量X未満であれば、少量の排出であると判別する。
ここで、排出する散薬は、その種類によって薬剤容器から排出され易いもの(流動性の高いもの)や、排出され難いものがある。そこで、本実施形態では、散薬の種類に応じで、所定量Xを異なる量としている。例えば、A薬剤であれば、使用予定量が50g以上であれば多量の排出であると判別し、B薬剤であれば、使用予定量が100g以上であれば多量の排出であると判別するといった具合である。
すなわち、使用量判別動作は、排出動作で使用する散薬(薬剤)の種類と使用予定量に基づき、これから排出する薬剤の量が多量であるのか少量であるのかを判別する動作である。
【0200】
そして、排出量が多量であると判別された場合、薬剤容器から散薬が排出され始めた(散薬が落ち始めた)ことが検知されても、振動を緩めずに振動量の大きさを維持したまま排出を実行する。
対して、排出量が少量であると判別された場合、薬剤容器から散薬が排出され始めた(散薬が落ち始めた)ことが検知されると、振動を緩める動作、すなわち、振動量を小さくする動作を実行する。本実施形態では、振動を一旦緩める動作を実行しており、具体的には、振動量を大きく下げた後、徐々に振動量を大きくしていく動作を実行する。
【0201】
多量の排出である場合、処方に基づく目標量(使用予定量)を排出するまでに時間がかかるので、強い振動量で目標量近くの量まで排出することで、排出速度を速めることができる。少量の排出である場合、一旦振動を緩めることで、散薬が落ちすぎること(目標量以上排出してしまうこと)を防ぐことができる。
【0202】
上記した徐々に振動量を大きくしていく動作は、所定時間の経過毎に振動量の大きさを上げる動作を実行してもよく、所定量の散薬の排出が検知される毎に振動量の大きさを上げる動作を実行してもよい。複数回に亘って振動量の大きさを上げる動作を実行するとき、一回当たりに上昇させる振動量(振動量の上げ幅)は、同じであっても異なっていてもよい。振動量を下げた後に振動量を上げる動作を一又は複数回実行するとき、最終的な振動量は、下げる前の振動量よりも高くしてもよく、低くしてもよい。しかしながら、精度向上の観点から低くすることが好ましい。また、上記した例では、散薬の種類に基づいて所定量Xを異なる量としたが、全ての散薬で所定量Xを同じ量とすることも考えられる。
振動量の上昇又は下降は、単位時間当たりの振動数(周波数)や、振幅の大きさを変更することで実行する。
【0203】
ところで、上記した薬剤包装装置1では、分包動作において正しい量の薬剤が排出されたかどうかの確認動作を実行する。この動作は、分包動作で薬剤容器20から分配皿30に散薬を排出する際、重量測定手段67が故障していなかったか否かを判別する故障検知動作でもある。
通常実行する確認動作では、まず、薬剤の排出完了後の薬剤容器20の重量を容器載置装置32の重量測定手段67によって測定する。続いて、薬剤容器20を小扉(上側小扉16、第一下側小扉17、第二下側小扉18のいずれか)の近傍まで移動させる。さらに、小扉の近傍にある別の重量測定手段(図示しない)により、移動させた薬剤容器20の重量を測定する。そして、事前に重量測定手段67で測定した薬剤容器20の重量の値と、小扉の近傍にある重量測定手段(図示しない)で測定した薬剤容器20の重量の値とが同一であった場合に、正しい量の薬剤が排出されたと判別する。対して、これらが同一でなかった場合に、正しい量の薬剤が排出されなかった(排出時に重量測定手段67が故障していた)と判別する。
【0204】
ここで、薬局等では、同じ薬剤包装を大量に作製して作り置きする予製分包を行うことがあり、この予製分包に薬剤包装装置1が使用される場合がある。
このとき、薬剤包装装置1では、2つの分配皿30の一方(例えば、分配皿30a)を使用して延々と分包動作を実行し続ける。そして、この際に実行する確認動作では、2つの分配皿30の他方(例えば、分配皿30b)に対応付けられた他の容器載置装置32まで薬剤容器20を移動させ、薬剤容器20を他の容器載置装置32に載置させる。そして、薬剤容器20の重量を他の容器載置装置32の重量測定手段67で測定する。
【0205】
つまり、薬剤(散薬)を排出する際に載置させた一の容器載置装置32の重量測定手段67により、薬剤排出後の薬剤容器20の重量を測定する。そして、薬剤(散薬)を排出する際に使用した分配皿30とは異なる分配皿30に対応付けられた他の容器載置装置32の重量測定手段67により、薬剤排出後の薬剤容器20の重量を測定する。そして、それぞれ測定した薬剤容器20の重量の値が同一であった場合に、正しい量の薬剤が排出されたと判別する。
【0206】
本実施形態の薬剤包装装置1は、上記のような確認動作を実行するので、薬剤包装装置1で実行する分包動作全体の高速化や、薬剤容器20を容器載置装置32に載置して散薬を分配皿30に供給する一連の動作の高速化を図ることができる。
具体的に説明すると、例えば、一方の分配皿30aを使用して予製分包のための分包動作を行い、他方の分配皿30bを使用して他の分包動作を実行する場合において、予製分包のための分包動作で使用する所定の薬剤容器20を他の分包動作でも使用することがある。つまり、予製分包のための分包動作と他の分包動作で同じ散薬(同じ薬剤容器20に収容された散薬)を使用する場合がある。
このような場合、所定の薬剤容器20から一方の分配皿30aに予製分包のための散薬を供給した後、この所定の薬剤容器20を他方の分配皿30bに対応付けられた容器載置装置32に載置し、上記した確認動作を実行する。すなわち、一方の分配皿30aに供給した予製分包のための散薬が正しい量であったか否かを判別する。そして、そのまま所定の薬剤容器20から散薬を排出させる動作を実行し、他方の分配皿30bに散薬を供給する。つまり、一つの薬剤容器20から一つの分配皿30aと、他の分配皿30bに順に散薬を供給する場合において、一つの分配皿30aに供給した散薬の量が正しい量であるか否かを判別する動作を、次に散薬を供給する分配皿30bに対応付けられた容器載置装置32を使用して実行する。この動作によると、薬剤容器20を小扉の近傍まで移動させて確認動作を実行した後、薬剤容器20を他方の分配皿30に対応付けられた容器載置装置32まで移動させたりする必要がない。このため、薬剤包装装置1で実行する分包動作全体の高速化を図ることが可能であり、予製分包のための分包動作と同時、又は、同分包動作に続いて行う他の分包動作に係る一連の動作を高速化できる。
【0207】
また、上記の確認動作を実行する構成とした場合、これから実行される分包動作が予製分包か否かを判別する予製判別動作を実行してもよい。そして、予製判別動作によってこれから予製分包を実行するものと判別された場合、上記の動作を実行してもよい。また、予製判別動作は、作製する薬剤包装の数に基づいて判別する動作であってもよい。つまり、作製予定の薬剤包装の数が所定数(例えば50包)以上であることを条件として、これから予製分包を実行するものと判別する動作としてもよい。また、作製に使用する薬剤の使用予定量に基づいて判別してもよく、例えば、使用予定量が所定量以上であるとき、これから予製分包を実行するものと判別してもよい。また、操作表示部3に使用者が所定の入力をしたことを条件として、これから予製分包を実行するものと判別してもよい。
なお、上記の例では、先行して行う測定と後発の測定のそれぞれで、異なる分配皿30に対応付けられた容器載置装置32を使用した。しかしながら、同じ分配皿30に対応付けられた異なる2つの容器載置装置32を使用することも考えられる。例えば、第一載置装置32aに薬剤容器20を載置して散薬を排出し、その後に薬剤容器20の重量を測定することで、先行して行う測定を実行する。そして、薬剤容器20を第三載置装置32cまで移動させて載置し、後発の測定を実行する、といった具合である。
【0208】
上記した実施形態では、薄板部98bを有するホッパ閉塞部材98を設けた例を示した。しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、例えば、ホッパ閉塞部材として、
図16(a)で示されるホッパ閉塞部材298を採用してもよい。
ホッパ閉塞部材298は、
図16で示されるように、閉塞部材本体部298aと、回動部298bを有する。
【0209】
閉塞部材本体部298aは、板状の部材であり、貫通孔部200を有する。貫通孔部200は、閉塞部材本体部298aを厚さ方向に貫通している。回動部298bは、板状の部材であり、閉塞部材本体部298aに回転可能な状態で軸支されている。
【0210】
ホッパ閉塞部材298は、回動部298bが回動して姿勢変更することで、閉姿勢と開姿勢との切り替えが可能となっている。なお、回動部298bの回動は、図示しないモータ等の動力源から動力を供給され、自動で実行可能となっている。
閉姿勢では、
図16(a)で示されるように、閉塞部材本体部298aの厚さ方向と、回動部298bの厚さ方向が同方向となる。そして、回動部298bの大部分が貫通孔部200内に配され、貫通孔部200の全域又は略全域を塞いだ状態となる。つまり、薬剤が貫通孔部200を通過できない状態となる。閉姿勢では、回動部298bの2つの主面が水平姿勢(水平面に対して平行な姿勢)となる。なお、回動部298bは、ガイド面部201を有しており、本実施形態では、閉姿勢で下側に位置する主面がガイド面部201となる(
図18(a)右図等参照)。すなわち、ガイド面部201は、閉姿勢において下側(導入側開口90a側)を向いている。
【0211】
開姿勢では、例えば、
図16(b)の左図で示されるように、回動部298bの2つの主面が傾斜姿勢(水平面に対して傾斜する姿勢)となる。このとき、回動部298bは、ガイド面部201が薬剤の導入方向(導入元側)を向く姿勢となる。つまり、
図16(b)の左図のように、右斜め上方から薬剤が導入されるのであれば、右斜め上方を向く姿勢となる。また、本実施形態では、ガイド面部201が薬剤の導入側(導入元)に向かうにつれて下り勾配となるように傾斜する。すなわち、
図16(b)の左図のように、右斜め上方から薬剤が導入されるのであれば、回動部298bの下方側が、上方側に比べて右側(薬剤の導入側)により近い位置に配される。
開姿勢とすると、閉姿勢と比べ貫通孔部200の多くの部分が上下方向に連通した状態となる。つまり、ホッパ閉塞部材298の上方から導入された薬剤が貫通孔部200を通過可能な状態となる。本実施形態では、回動部298bの一部が導入側開口90aよりも下方側であって導入ホッパ90の内部に位置し、他の一部が閉塞部材本体部298aの上面よりも上方(貫通孔部200の上側開口よりも上方)に位置する。
なお、開姿勢は、回動部298bの2つの主面が垂直姿勢(水平面に対して垂直となる姿勢)となる姿勢としてもよい。
【0212】
ホッパ閉塞部材298は、
図17で示されるように、中板部材205の下方であり、導入ホッパ90の上方で移動可能となっている。すなわち、ホッパ閉塞部材298は、図示しないモータ等の動力源から動力を供給され、全体が自動で水平移動(直線移動)する。
なお、中板部材205は、分配皿30の下方に位置し、分配皿30を支持する金属製の板状部材である。この中板部材205は、導入側開口90aの上方に薬剤導入孔部205aを有する。薬剤導入孔部205aは、中板部材205を上下方向(厚さ方向)に貫通する貫通孔である。
【0213】
すなわち、
図17(a)、
図17(b)で示されるように、ホッパ閉塞部材298を移動させ、導入ホッパ90の上方に位置させる。すなわち、回動部298bが中板部材205の薬剤導入孔部205aと、導入ホッパ90の導入側開口90aの間に位置した状態する(
図17(b)参照)。
この状態から、導入ホッパ90に薬剤を導入する場合、
図18で示されるように、ホッパ閉塞部材298を閉状態(
図18(a)参照)から開状態(
図18(b)参照)へ移行させ、薬剤を導入する。このとき、回動部298bは、一部が薬剤導入孔部205aの上部開口よりも上方に位置し、他の一部が薬剤導入孔部205a内に位置する。さらに、上記したように、他の一部が貫通孔部200内に位置し、下側部分が導入ホッパ90内に位置する。このことにより、薬剤導入孔部205a、貫通孔部200を経て導入ホッパ90内に至る薬剤の導入経路が確保(形成)される。このとき、上記したように、ガイド面部201が薬剤の導入方向を向いた状態となる(
図16(b)左図参照)。ガイド面部201は、薬剤が導入されるとき、薬剤が当接する当接面となる。つまり、回動部298bが、薬剤を導入する際にガイド部材として機能する。より詳細には、例えば、
図16(b)左図のように散薬を投入する場合、上記したように、掻寄板50の回転に伴って掻出板51(掻出部51a)が回転し、散薬を分配皿30上から分配皿30の外に掻き出して薬剤投入部33(
図4、
図13等参照)に投入する。このとき、回転による勢いで導入ホッパ90(薬剤投入部33)を超えようとする散薬がガイド面部201に当接し、導入ホッパ90の内側に案内される。すなわち、回動部298bは、勢いよく飛んだ散薬の移動を遮断して導入ホッパ90に案内するガイド部材として機能する。
【0214】
また、
図17(b)で示される状態から、導入ホッパ90を閉塞する場合、ホッパ閉塞部材298の少なくとも一部を下方側に移動させ、ホッパ閉塞部材298の下面の一部が導入ホッパ90と接触する。なお、上記と同様に、吸引によってホッパ閉塞部材298の一部を移動させてもよい。すなわち、ホッパ閉塞部材298は、導入側開口90aを上方から覆って閉塞する蓋部材として機能する。なお、閉姿勢では、回動部298bが貫通孔部200を閉塞するので、上記した薬剤の導入経路は形成されない(中途部分で分断(遮蔽)される)。
本実施形態においても、導入ホッパ90を閉塞した状態で、上記と同様の清掃動作を実行してもよい。導入ホッパ90への薬剤の導入動作を実行した後、ホッパ閉塞部材298を開姿勢から閉姿勢とし、導入ホッパ90を閉塞して清掃動作を実行すると、薬剤の導入動作でガイド面部201に付着した薬剤(散薬)等を清掃できる。
【0215】
ここで、本実施形態では、
図17で示されるように、導入ホッパ90から水平方向に離れた位置に、蓋清掃部材210を設けている。蓋清掃部材210は、弾性体(ゴム)で形成された板状部を有しており、板状部がホッパ閉塞部材298の下面に接触する位置に配されている。すなわち、
図17(c)で示されるように、ホッパ閉塞部材298の下面を蓋清掃部材210に接触させた状態とし、ホッパ閉塞部材298を平行移動させることで、ホッパ閉塞部材298(回動部298b)の下面に付着した散薬等を清掃できる。このことから、上記清掃動作で除去できなかったホッパ閉塞部材298の下面に付着した散薬を、あたかもこそげ取るように除去できる。
【0216】
上記した構成によると、薬剤を導入する際のガイド部材を、導入ホッパ90を閉塞する蓋部材とは別に設ける必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。さらに、別途設けたガイド部材を取り外して清掃したりする必要がなく、清掃の手間を軽減できる。
また、上記した薬剤包装装置1は、薬剤投入部33に錠剤を投入する錠剤手撒装置や、カセットに保管した錠剤を供給する錠剤供給装置を設けてもよい。すなわち、散薬と錠剤の一方又は双方を包装した薬剤包装を作製可能な装置としてもよい。この場合、
図16(b)で示されるように、導入ホッパ90に散薬を導入する場合と、導入ホッパ90に錠剤を導入する場合とで、逆方向から薬剤を導入してもよい。この場合、散薬を導入する場合と、錠剤を導入する場合とでホッパ閉塞部材298を開状態としたときのガイド面部201の向きを逆向きとしてもよい。
【0217】
上記した例では、閉姿勢において、回動部298bの大部分が貫通孔部200内に配されるものとした。しかしながら、ホッパ閉塞部材に設ける回動部は、閉姿勢としたとき、水平姿勢となる回動部の下面が、貫通孔部200の上部開口の上側に隣接する位置に配されていてもよい。この場合、回動部の軸部分もまた、閉塞部材本体部の上面よりも上方に設けられる。すなわち、平面視において回動部が貫通孔部200の全域又は略全域と重なる位置に配されていればよい。したがって、水平姿勢をとる回動部の少なくとも一部が貫通孔部200の内部に位置してもよく、全体が貫通孔部200の上側に位置してもよい。
【0218】
ところで、本実施形態の薬剤包装装置1は、分包動作の実行後に分包結果(払い出し結果)を出力する分包結果出力動作を実行している。分包結果出力動作では、処方に関する情報や、分包動作時に重量測定手段で取得した実測値に基づいて算出される実際の散薬の排出量(以下、単に実際の排出量とも称す)等の情報が視認可能な状態で、紙媒体や表示手段等の出力媒体に表示される。
ここで、薬剤包装装置1で分包動作を実行する場合、上記したように、処方に基づく目標量(使用予定量)を排出するが、何等かの理由で分配皿30に排出する散薬の量に誤差が生じる可能性がある。すなわち、実際の散薬の排出量が、処方に基づく目標量(排出目標量)とは異なる値となってしまうことが考えられる。
そこで、分包結果出力動作では、排出目標量と実際の散薬の排出量が異なっていた場合、誤差率をパーセント表記で表示する。例えば、排出目標量が0.2gであり、実際の散薬の排出量が0.18gである場合、「誤差率」が-10%であることを示す情報を表示する。また、排出目標量が0.2gであり、実際の散薬の排出量が0.21gである場合、「誤差率」が+5%であることを示す情報を表示する。つまり、実際の散薬の排出量が排出目標量よりも多いのか少ないのかを示す情報と、実際の散薬の排出量が排出目標量とどの程度異なるのかを示す情報とを合わせて一目で把握可能な状態で表示する。なお、特に限定されるものではないが、調剤指針で定められた誤差に関する表示がパーセント表記であり、薬剤師が日常の調剤業務において確認しやすい表記であることから、上記したようにパーセント表記で表示することが好ましい。
【0219】
なお、分包結果出力動作は、薬剤包装装置1が印刷手段を有するものとし、出力される紙媒体に情報を表示する動作であってもよい。この場合、印刷手段は、例えば、本体装置2と一体に設けられたプリンタ装置であってもよい。また、印刷手段は、本体装置2とは別に設けられたプリンタ装置であり、本体装置2と有線通信又は無線通信によって情報の送受信が可能なものでもよい。また、印刷手段は、内部包装装置85に設けられた印字装置であってもよい。この場合、分包結果出力動作は、薬包紙に情報を印字する動作であってもよい。例えば、薬剤包装を作製する際、薬剤包装と連なる位置に空包部分(薬剤が導入されていない空の包装体部分)を設け、空包部分に情報を印字してもよい。また、作製する薬剤包装に情報を印字してもよい。また、分包結果出力動作は、操作表示部3に情報を表示する動作であってもよい。また、ディスプレイ等の表示手段を有する外部装置(例えば、使用者が携帯する携帯端末)に情報を表示する動作であってもよい。
【0220】
ところで、上記した薬剤容器20には、錠剤等の固形の薬剤をすり潰す等により粉末状にした薬剤(粉砕した薬剤であり、以下に単に粉末加工薬剤とも称す)を収容する場合がある。この場合、薬剤の種類によっては潰したままの状態(粉末状にしたままの状態)で長く保管しないことが好ましい薬剤がある(保管日数に制限を掛けることが好ましい薬剤がある)。
そこで、本実施形態の薬剤包装装置1では、一日の作業開始時等において薬剤包装装置1に電源を入れたとき、又は、分包動作を実行することが決定してから実行を開始する前等に、保存日数確認動作を実行している。
【0221】
具体的に説明すると、保存日数確認動作では、予め記憶された粉末加工薬剤の保存日数に関する情報を取得し、粉末加工薬剤が保存日数を超えて保存されているか否かを判別する。そして、保存日数を超えていた場合、その旨を報知する報知動作を実行する。報知動作は、操作表示部3の表示手段にメッセージを表示させる動作であってもよく、薬剤包装装置1に設けたスピーカー装置等の音声発生装置に音声(エラーアナウンス)や警告音を発生させる動作であってもよい。
【0222】
なお、粉末加工薬剤の保存日数に関する情報は、使用者が実際に粉砕した日を含めて手入力で入力してもよく、予め薬剤の種類と保存日数を実際に粉砕した日を含めて関連付けて記憶(データベースとして記憶)させておいてもよい。また、粉末加工薬剤の保存日数に関する情報は、薬剤容器20のRFIDタグ83に記憶させてもよく、薬剤包装装置1の制御装置の記憶部に記憶させておいてもよい。
例えば、薬剤を粉砕して薬剤容器20に収容するときに記憶させてもよく、秤量後の粉末加工薬剤を収容した薬剤容器20を上記した薬剤秤量装置132に載置し、薬剤秤量装置132を操作して手入力で薬剤容器20のRFIDタグ83に記憶させてもよい。すなわち、薬剤包装装置1とは異なる外部機器を操作して記憶させてもよい。または、粉末加工薬剤を収容した薬剤容器20を容器保管装置21に保管するとき、操作表示部3を操作して手入力で記憶部に記憶させてもよい。これらの場合、保存日数に関する情報が薬剤容器20のIDに関する情報(薬剤容器20を一意に特定する情報)と関連付けて記憶されてもよい。また、予め上記したデータベースを作製して制御装置の記憶部に記憶させてもよい。そして、保存日数確認動作を実行するとき、RFIDタグ83や制御装置の記憶部を参照することで、粉末加工薬剤の保存日数に関する情報を取得する。
【0223】
上記した例では、重量測定手段67を排出量検知手段として機能させた例について説明した。すなわち、排出動作(薬剤排出動作)は、薬剤容器20の重量変化を測定することで、薬剤容器20から薬剤が排出され始めたことを検知した。しかしながら、排出動作で薬剤が排出され始めたことを検知する構成は、これに限るものではない。
例えば、容器載置装置32(薬剤フィーダ60)の近傍に、所定の位置に薬剤があるか否かを検知するセンサ部材を設けてもよい。このセンサ部材としては、超音波センサ、光学式センサ等を採用することが考えられる。
すなわち、センサ部材により、容器載置装置32に載置した薬剤容器20の薬剤排出部76よりも下方側に薬剤(散薬)が存在するか否かを検知する。そして、薬剤の存在が検知されたことを条件として、薬剤が排出され始めたものと判別する。一例として、薬剤排出部76の直ぐ下にセンサ部材を配置し、薬剤容器20からの薬剤排出の有無を即座に捉えられるようにしても良い。
【0224】
このような構成によると、重量変化によって薬剤の排出開始を検知する構造に比べ、いち早く薬剤の排出が開始されたことを検知することができる。すなわち、重量変化によって薬剤の排出開始を検知する場合、薬剤の排出開始が検知された際には、すでに所定量の薬剤の排出が完了してしまった状態(所定量の薬剤が分配皿30に供給されてしまった状態)となる。これに対し、上記したセンサ部材を設ける構成とした場合、薬剤を排出動作で排出する散薬のうち、最初に落下していく散薬の存在を検知できるため、薬剤が排出開始されたことをより早く検知できる。
【0225】
このため、上記したセンサ部材を設ける構成において排出動作を実行する場合、薬剤が排出開始されたことが検知されたことを条件として、振動量を小さくする動作を実行してもよい。すなわち、薬剤容器20を振動させ始めてから薬剤が排出開始されるまでは振動量を比較的大きくし、排出開始までの時間を短縮する。そして、排出開始されてからは、薬剤の過剰な排出を防ぐため、振動量を小さくする。
【0226】
ここで、振動量を小さくするまでの時間、及び/又は、振動量を小さくする際に下降させる振動量(振動量の下げ幅)は、薬剤容器20に収容された薬剤の量、及び/又は、薬剤容器20に収容された薬剤の種類に基づいて決定(変更)されてもよい。
例えば、薬剤容器20に収容された薬剤の量が多い場合、排出が開始されると直ぐに多くの薬剤が排出される(落下する)ことが考えられる。このため、より早く振動量を小さくしたり、振動量を大きく下げたりすることが好ましい。反対に、薬剤容器20に収容された薬剤の量が少ない場合、排出開始直後に排出される(落下する)量はごく少量であり、本格的に排出される(同じ振動量での単位時間当たりの排出量が過度に少ない状態から一定量以上となる)まで時間がかかることが考えられる。このため、振動量を小さくするまでの時間をより長くしたり、振動量を小さく下げたりすることが好ましい。
【0227】
また例えば、薬剤は、上記したように、その種類によって排出され易いもの(流動性の高いもの)や、排出され難いものがある。したがって、排出され易いものである場合、振動量を小さくするまでの時間をより短くしたり、振動量を大きく下げたりすることが好ましい。対して、排出され難いものである場合、振動量を小さくするまでの時間をより長くしたり、振動量を小さく下げたりすることが好ましい。
【0228】
なお、薬剤の種類に基づいて振動量を小さくするまでの時間等を変更する場合、実験等によって薬剤の流れ易さ(排出容易性)を予め実験して、排出対象となり得る全ての薬剤を複数段階に区分してもよい。例えば、これを「流れ係数」と称するものとし、薬剤を流れ係数「1」から流れ係数「3」に区分しておく。そして、それぞれの流れ係数の区分に対し、振動量を小さくするまでの時間や振動量の下げ幅を対応づけておく。例えば、流れ係数「1」の薬剤であれば、振動量を小さくするまでの時間をX秒とし、流れ係数「2」の薬剤であれば、振動量を小さくするまでの時間をY秒とするといった具合である。
同様に、薬剤容器20の薬剤の収容量に基づいて振動量を小さくするまでの時間等を変更する場合もまた、収容量を段階的に区分してもよい。また、薬剤の種類(流れ易さ)と収容量の双方に基づいて振動量を小さくするまでの時間等を変更する場合、いずれか一方を優先的に判別の基準としてもよく、それぞれを段階的に区分した上で双方を複合的に判別の基準としてもよい。
【符号の説明】
【0229】
1;薬剤包装装置、20;薬剤容器、30;分配皿、32;容器載置装置