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特許7600509絶縁性コート層が形成された分離膜を含む二次電池用ユニットセル、およびその製造方法
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  • 特許-絶縁性コート層が形成された分離膜を含む二次電池用ユニットセル、およびその製造方法 図1
  • 特許-絶縁性コート層が形成された分離膜を含む二次電池用ユニットセル、およびその製造方法 図2
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  • 特許-絶縁性コート層が形成された分離膜を含む二次電池用ユニットセル、およびその製造方法 図6
  • 特許-絶縁性コート層が形成された分離膜を含む二次電池用ユニットセル、およびその製造方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】絶縁性コート層が形成された分離膜を含む二次電池用ユニットセル、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/449 20210101AFI20241210BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/531 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20241210BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20241210BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241210BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20241210BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M50/449
H01M50/446
H01M50/531
H01M10/0585
H01M4/13
H01M10/052
H01M50/426
H01M50/586
H01M50/591 101
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023519247
(86)(22)【出願日】2022-01-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 KR2022000335
(87)【国際公開番号】W WO2022149921
(87)【国際公開日】2022-07-14
【審査請求日】2023-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2021-0002664
(32)【優先日】2021-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、クワンジン
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-170552(JP,A)
【文献】特表2020-530185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/449
H01M 50/446
H01M 50/531
H01M 50/46
H01M 50/463
H01M 10/0585
H01M 4/13
H01M 50/426
H01M 10/052
H01M 50/403
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池用ユニットセルであって、
前記二次電池用ユニットセルは、タブが形成されている電極板、および分離膜を含み、
前記分離膜はベース基材の少なくとも一面に有機/無機複合多孔性コート層が形成されている第1コート部と、絶縁性コート層が形成されている第2コート部を含み、
前記第2コート部が、前記電極板の前記タブが形成される位置に位置する、二次電池用ユニットセル。
【請求項2】
前記タブは前記電極板の一側に形成されており、前記タブの形成方向を基準として、前記タブと重なる部位の前記分離膜の一端には前記第2コート部が形成されており、残りの部分には前記第1コート部が前記第2コート部と平行に形成されており、前記タブが前記分離膜の第2コート部に位置するように電極が前記分離膜に積層されている、請求項1に記載の二次電池用ユニットセル。
【請求項3】
前記タブは前記電極板の一側または両側に形成されており、前記タブの形成方向を基準として前記タブと重なる部位の前記分離膜の一端とこれに対応する前記分離膜の他端には前記第2コート部が形成されており、残りの部分には前記第1コート部が前記第2コート部と平行に形成されており、前記タブが一端または両端の前記第2コート部に位置するように電極が前記分離膜に積層されている、請求項1または2に記載の二次電池用ユニットセル。
【請求項4】
前記電極板は正極板である、請求項1から3のいずれか一項に記載の二次電池用ユニットセル。
【請求項5】
前記二次電池用ユニットセルは負極板をさらに含み、前記正極板と前記負極板の間に前記分離膜が介在する、請求項4に記載の二次電池用ユニットセル。
【請求項6】
前記負極板は前記正極板よりもその大きさが4面でさらに大きい、請求項5に記載の二次電池用ユニットセル。
【請求項7】
前記二次電池用ユニットセルは、前記分離膜と同一に前記第1コート部と前記第2コート部を含む追加分離膜をさらに含み、前記追加分離膜は前記正極板または前記負極板で前記分離膜が対面しない他面に積層されている、請求項5または6に記載の二次電池用ユニットセル。
【請求項8】
前記分離膜の第2コート部と前記追加分離膜の第2コート部は互いに接合されている、請求項7に記載の二次電池用ユニットセル。
【請求項9】
前記絶縁性コート層はPVdF系物質を含む高分子コート層である、請求項1から8のいずれか一項に記載の二次電池用ユニットセル。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の二次電池用ユニットセルを含む、電極組立体。
【請求項11】
請求項10に記載の電極組立体、およびリチウム塩非水系電解質を含む、リチウム二次電池。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一項に記載の二次電池用ユニットセルを製造する方法であって、
(a)タブが形成されている電極板を準備する段階;
(b)ベース基材の少なくとも一面に有機/無機複合多孔性コート層の第1コート部と、絶縁性コート層の第2コート部を形成して分離膜を製造する段階;および
(c)電極と分離膜を積層する段階;
を含む、二次電池用ユニットセルの製造方法。
【請求項13】
前記第1コート部と第2コート部は同時にコートすることによって形成される、請求項12に記載の二次電池用ユニットセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2021年1月8日付韓国特許出願第10-2021-0002664号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は絶縁性コート層が形成された分離膜を含む二次電池用ユニットセル、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料使用の急激な増加によって代替エネルギやクリーンエネルギの使用への求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野は電気化学を用いた発電、蓄電分野である。
【0004】
現在、このような電気化学的エネルギを用いる電気化学素子の代表的な例として二次電池が挙げられ、日増しにその使用領域が拡大している傾向にある。
【0005】
最近では携帯用コンピュータ、携帯電話、カメラなどの携帯用機器に対する技術開発と需要の増加によりエネルギ源としての二次電池の需要が急激に増加しており、そのような二次電池のうち、高い充放電特性と寿命特性を示し、環境にやさしいリチウム二次電池について多くの研究が行われてきており、また商用化されて広く使用されている。
【0006】
一般に、リチウム二次電池は正極と負極および多孔性分離膜からなる電極組立体にリチウム非水系電解質を含浸させて製造する。
【0007】
この時、前記正極と負極などの電極は活物質突出などを防止するために電極活物質をコートした後に電極タブ部分に絶縁液をコートするか、絶縁テープを付着する絶縁処理を行っている。
【0008】
このような絶縁処理は活物質突出を防止してLiめっきなどを減らし得る工程であってセルの安全性を向上させることに寄与する。
【0009】
特に、ESS(Energy Storage System)電極は、前記絶縁処理を活物質スラリーのコート時に絶縁コート液を同時にコートする方式で正極電極を生産し、これを分離膜と積層する形態で二次電池用ユニットセルを形成している。
【0010】
これを下記図1および図2に示した。
【0011】
先に、図1を参照すると、正極スラリーコート時にタブ部分に絶縁コート液を共にコートして、活物質層11とタブ12の境界部分に絶縁性コート層13が適用された正極10が形成され、これを分離膜20と積層して、ユニットセル30を製造することができる。
【0012】
また、これと共に、前記図1図2とともに参照すると、このように製造されたタブ12部分に絶縁性コート層13が形成されている正極10と分離膜20を含むユニットセル30は負極40と追加分離膜50と共に積層される形態で新たなユニットセル60を形成することもできる。
【0013】
しかし、このような構成の電極は電極スラリーと絶縁コート液が同時にコートされる時、絶縁コート液の整列を合わせにくく、このような過程で電極スラリーの損失が多く発生する。
【0014】
さらに、二次電池用ユニットセルを形成する時にも電極と分離膜を積層時に高分子基材である分離膜の折り畳みがしばしば発生して二次電池の安全性を脅かす。
【0015】
したがって、かかる問題を解決し、かつ絶縁性コート層を形成して二次電池の安全性を確保できる技術開発が切実な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は前記のような従来技術の問題点と過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0017】
具体的には、本発明の目的は、絶縁性コート層の適用により二次電池の安全性を向上させながらも絶縁コート液の適用時には整列を合わせにくく、それに伴う電極の損失が発生する問題を解決できるだけでなく、分離膜の折り畳みの問題まで防止できる二次電池用ユニットセルおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような目的を達成するための本発明の一実施形態による二次電池用ユニットセルは、
前記ユニットセルは、タブが形成されている電極板、および分離膜を含み、
前記分離膜はベース基材の少なくとも一面に有機/無機複合多孔性コート層が形成されている第1コート部と、絶縁性コート層が形成されている第2コート部を含むことを特徴とする。
【0019】
一つの具体的な例で、前記タブは電極板の一側に形成されており、前記タブの形成方向を基準として、タブと重なる部位の分離膜の一端には前記第2コート部が形成されており、残りの部分には第1コート部が第2コート部と平行に形成されており、前記タブが前記分離膜の第2コート部に位置するように前記電極が分離膜に積層されていてもよい。
【0020】
一つの具体的な例で、前記タブは電極板の一側または両側に形成されており、前記タブの形成方向を基準としてタブと重なる部位の分離膜の一端とこれに対応する分離膜の他端には第2コート部が形成されており、残りの部分には第1コート部が第2コート部と平行に形成されており、前記タブが一端または両端の第2コート部に位置するように前記電極が分離膜に積層されていてもよい。
【0021】
一方、前記電極板は正極板であり得る。
【0022】
この場合、前記二次電池用ユニットセルは負極板をさらに含み、前記正極板と前記負極板の間に前記分離膜が介在し得る。
【0023】
この時、前記負極板は前記正極板よりもその大きさが4面でさらに大きくてもよい。
【0024】
延いては、前記二次電池用ユニットセルは、前記分離膜と同一に第1コート部と第2コート部を含む追加分離膜をさらに含み、前記追加分離膜は正極板または負極板で前記分離膜が対面しない他面に積層されていてもよい。
【0025】
この時、前記分離膜の第2コート部と前記追加分離膜の第2コート部は互いに接合されていてもよい。
【0026】
一つの具体的な例で、前記絶縁性コート層はPVdF系物質を含む高分子コート層であり得る。
【0027】
一方、本発明のまた他の一実施形態によれば、前記二次電池用ユニットセルを含む電極組立体、および前記電極組立体、およびリチウム塩非水系電解質を含むリチウム二次電池が提供される。
【0028】
さらに、本発明のまた他の一実施形態によれば、二次電池用ユニットセルを製造する方法であって、
(a)タブが形成されている電極板を準備する段階;
(b)ベース基材の少なくとも一面に有機/無機複合多孔性コート層の第1コート部と、絶縁性コート層の第2コート部を形成して分離膜を製造する段階;および
(c)前記電極と分離膜を積層する段階;
を含み、
前記第1コート部と第2コート部は同時にコートすることによって形成される二次電池用ユニットセルの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】従来の二次電池用ユニットセルの製造過程の模式図である。
図2図1のユニットセルの断面図である。
図3】本発明の一実施形態による二次電池用ユニットセルの製造過程の模式図と断面図である。
図4】本発明のまた他の一実施形態による二次電池用ユニットセルの製造過程の模式図と断面図である。
図5】本発明のまた他の一実施形態による二次電池用ユニットセルの製造過程の模式図と断面図である。
図6】本発明のまた他の一実施形態による二次電池用ユニットセルの断面図である。
図7】本発明のまた他の一実施形態による二次電池用ユニットセルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る理解を助けるために本発明をより詳細に説明する。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲に使用された用語や単語は、通常的または辞典的な意味に限定して解釈すべきではなく、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義できるという原則に則して本発明の技術的思想に適う意味と概念で解釈すべきである。
【0032】
本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を示さない限り、複数の表現を含む。
【0033】
本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するためであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものとして理解されなければならない。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、
二次電池用ユニットセルであって、
前記ユニットセルは、タブが形成されている電極板、および分離膜を含み、
前記分離膜はベース基材の少なくとも一面に有機/無機複合多孔性コート層が形成されている第1コート部と、絶縁性コート層が形成されている第2コート部を含む二次電池用ユニットセルが提供される。
【0035】
ここで、「ユニットセル」は二次電池を製造するための電極組立体の一部構成を意味する。すなわち、スタック-折り畳み(folding)型またはL&S(ラミネーション・アンド・スタック)型などの電極組立体を製造するための別途の部材、すなわち、バイセル、フルセルなどの単位セルを意味することもできるが、すべての類型の電極組立体で、前記電極組立体をなす一部を意味するものでもある。したがって、全体電極組立体の少なくとも一つ以上の分離膜に前記有機/無機複合多孔性コート層の第1コート部と絶縁性コート層の第2コート部が形成されている構成を有する場合、本発明の範疇に含まれる。
【0036】
前記第1コート部と第2コート部の形成位置は、第2コート部が前記電極板のタブが形成される位置に位置する構成であれば限定されない。
【0037】
例えば、前記タブは電極板の一側に形成されており、前記タブの形成方向を基準として、タブと重なる部位の分離膜の一端には前記第2コート部が形成されており、残りの部分には第1コート部が第2コート部と平行に形成されており、前記タブが前記分離膜の第2コート部に位置するように前記電極が分離膜に積層されている形態であり得る。
【0038】
このような構造を図3に模式的に示した。
【0039】
図3を参照すると、二次電池用ユニットセル100は一側にタブ111が形成された電極板110および分離膜120を積層した構造を有する。
【0040】
この時、分離膜120において、電極のタブ111が形成された方向を基準としてタブ111と重なる部位の分離膜の一端にはベース基材121上に絶縁性コート層の第2コート部123が形成されており、残りの部分にはベース基材121上に有機/無機複合多孔性コート層の第1コート部122が第2コート部123と平行に形成されている。
【0041】
そして、このようなタブ111が形成された電極板110と分離膜120を積層した時、タブ111は分離膜120の第2コート部123に位置する。
【0042】
したがって、タブ111が形成された電極板110に絶縁性コート層を形成しなくても、分離膜120に形成することによって、電池セル安全性の効果を確保することができる。
【0043】
または、前記タブは電極板の一側または両側に形成されており、前記タブの形成方向を基準としてタブと重なる部位の分離膜の一端とこれに対応する分離膜の他端には第2コート部が形成されており、残りの部分には第1コート部が第2コート部と平行に形成されており、前記タブが一端または両端の第2コート部に位置するように前記電極が分離膜に積層されている形態であり得る。
【0044】
このような構造を図4および図5に模式的に示した。
【0045】
先に、図4を参照すると、二次電池用ユニットセル200は一側にタブ211が形成された電極板210および分離膜220を積層した構造を有する。
【0046】
この時、分離膜220で、電極のタブ211が形成された方向を基準としてタブ211と重なる部位の分離膜の一端とこれに対応する分離膜の他端にはベース基材221上に絶縁性コート層の第2コート部223が形成されており、残りの部分にはベース基材221上に有機/無機複合多孔性コート層の第1コート部222が第2コート部223と平行に形成されている。
【0047】
そして、このようなタブ211が形成された電極板210と分離膜220を積層した時、タブ211は分離膜220の一端の第2コート部223に位置する。
【0048】
また、図5を参照すると、二次電池用ユニットセル300は両側にタブ311,312が形成された電極板310および分離膜320を積層した構造を有する。
【0049】
この時、分離膜320で、電極のタブ311,312が形成された方向を基準としてタブ311,312と重なる部位の分離膜の一端と他端にはベース基材321上に絶縁性コート層の第2コート部323が形成されており、残りの部分にはベース基材321上に有機/無機複合多孔性コート層の第1コート部322が第2コート部323と平行に形成されている。
【0050】
そして、このようなタブ311,312が形成された電極板310と分離膜320を積層した時、タブ311,312は分離膜320の両端の第2コート部323に位置する。
【0051】
したがって、どの場合でも、分離膜がタブと接する部位に絶縁性コート層の第2コート部を含むことによって、電池セル安全性の効果を確保できるだけでなく、電極板を製造するためのスラリーコート時に絶縁コートを行わないので、整列不良による電極スラリーの損失を防止することができる。
【0052】
この時、前記第1コート部の有機/無機複合多孔性コート層は、従来のSRSと知られている分離膜のコート層と同一であり、例えば、無機物粒子およびバインダ高分子を含むことができる。
【0053】
前記無機物粒子は、例えば、誘電率定数が1以上、5以上、好ましくは10以上である高誘電率無機物粒子、圧電性(piezoelectricity)を有する無機物粒子、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子またはこれらの混合体であり得る。
【0054】
前記バインダ高分子は、限定されないが、例えば、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン(polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン(polyvinylidene fluoride-cotrichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(polyvinylacetate)、エチレンビニルアセテート共重合体(polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキシド(polyethylene oxide)、セルロースアセテート(celluloseacetate)、セルロースアセテートブチルレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylpolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)、アクリロニトリルスチレンブタジエン共重合体(acrylonitrile-styrene-butadiene copolymer)、ポリイミド(polyimide)またはこれらの混合体などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、上述した特性を含む物質であればどの材料でも単独または混合して使用することができる。
【0055】
前記第2コート部は絶縁性を有する物質を含めば限定されないが、絶縁性を有する高分子コート層であり得、例えば、熱可塑性樹脂を含むことができ、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレン共重合樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)系物質を含み得、詳細にはPVdF系物質を含む高分子コート層であり得る。
【0056】
一方、このような二次電池用ユニットセルの電極板は正極板であってもよく、負極板であってもよい。ただし、このような電極電池セル安全性の問題は主に負極が正極より大きく形成され、負極から脱離したリチウムが正極で突出形態で形成される問題になるので、このような絶縁性コート層が形成された分離膜を含むユニットセルの電極板は詳細には正極板であり得る。
【0057】
また、前記二次電池用ユニットセルは一つの電極板および一つの分離膜を含む形態でなく、二つ以上の電極板を含んだり、二つ以上の分離膜を含む形態であってもよい。
【0058】
前記のように、前記電極板が正極板である場合、前記二次電池用ユニットセルは負極板をさらに含み、前記正極板と前記負極板の間に前記分離膜が介在する構造を有することもできる。
【0059】
逆に前記電極板が負極板である場合、前記二次電池用ユニットセルは正極板をさらに含み、前記正極板と前記負極板の間に前記分離膜が介在する構造を有することもできる。
【0060】
この時、前記で説明したように、前記負極板は前記正極板よりもその大きさが4面でさらに大きくてもよい。
【0061】
また、延いては、前記二次電池用ユニットセルは前記分離膜と同様に第1コート部と第2コート部を含む追加分離膜をさらに含み、前記追加分離膜は正極板または負極板で前記分離膜が対面しない他面に積層されていてもよい。
【0062】
このような構造の模式図を下記図6および図7に示した。
【0063】
先に図6を参照すると、二次電池用ユニットセル400は、一側にタブ411が形成されている正極板410、ベース基材421上に有機/無機複合多孔性コート層の第1コート部422と、絶縁性コート層の第2コート部423が形成されている分離膜420を含み、延いては、一側にタブ431が形成されている負極板430と前記分離膜420と同一にベース基材441第1コート部442と、第2コート部443が形成されている追加分離膜440を含む。
【0064】
ここで、分離膜420は正極板410と負極板430の間に介在して、追加分離膜440は負極板430から分離膜420が対面しない他面に積層されている。
【0065】
この時、分離膜420の第2コート部423と追加分離膜440の第2コート部443は前記で説明した通り、高分子コート層であり得、詳細にはPVdF系物質を含む高分子コート層であり得る。
【0066】
したがって、前記分離膜420の第2コート部423と追加分離膜440の第2コート部443は後のラミネーションなどにより接合され、接着力に優れるので、後に分離膜折り畳みなどの問題を最小化して、電池安全性をより向上させることができる。
【0067】
図7を参照すると、二次電池用ユニットセル500は、一側にタブ511が形成されている正極板510、分離膜520、一側にタブ531が形成されている負極板530と前記分離膜520と同じ構造の分離膜540を含む。
【0068】
この時、図6との差異点は、分離膜520の第2コート部523と追加分離膜540の第2コート部543が両端に形成されていることにある。この場合、より一層分離膜の折り畳み問題を効果的に解決することができる。
【0069】
もちろん、一部の分離膜は一端にのみ第2コート部が形成されており、残りの分離膜は両端に第2コート部が形成されている組み合わせ構造も本発明の範疇に含まれる。
【0070】
一方、本発明のまた他の一実施形態によれば、
二次電池用ユニットセルを製造する方法であって、
(a)タブが形成されている電極板を準備する段階;
(b)ベース基材の少なくとも一面に有機/無機複合多孔性コート層の第1コート部と、絶縁性コート層の第2コート部を形成して分離膜を製造する段階;および
(c)前記電極と分離膜を積層する段階;
を含み、
前記第1コート部と第2コート部は同時にコートすることによって形成される二次電池用ユニットセルの製造方法が提供される。
【0071】
この時、前記電極板は正極板または負極板であり得、集電体に電極スラリーをコート、乾燥、および圧延して製造することができる。
【0072】
具体的な工程および物質などは当業界に公知されているので、本発明では具体的な説明を省略して、当業界に公知された構成の電極板に本発明が適用されることができる。
【0073】
後に前記製造される分離膜は、前記第1コート部と第2コート部は別に形成されることもできるが、製造工程性の効率などを考慮して同時にコートすることによって形成されることができる。
【0074】
前記コート方式は従来より知られているコート方式をすべて含むことができ、例えば、ダイコート、インクジェットプリンティング、スプレーコート、ブレードコートなどの方法で行われることができる。
【0075】
したがって、有機/無機複合多孔性コート層を形成する時、絶縁性コート層も形成できるので、別途の工程を必要とせず、簡単な方法で形成することができる。
【0076】
前記有機/無機複合多孔性コート層と絶縁性コート層の具体的な物質は前記で説明したとおりである。
【0077】
その後、前記電極と分離膜は積層され得、ラミネーションされ得る。
【0078】
また、これについて追加電極板および追加分離膜も含んで積層、ラミネーションすることによって二次電池用ユニットセルを製造することもできる。
【0079】
一方、本発明のまた他の一実施形態によれば、前記二次電池用ユニットセルを含む電極組立体、および前記電極組立体とリチウム塩非水系電解質を含むリチウム二次電池が提供される。
【0080】
前記構成は従来に良く知られているので、本発明では具体的な説明は省略する。
【0081】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば、上記の内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用および変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上で説明した通り、本発明の一実施形態による二次電池ユニットセルは、絶縁性コート層が電極でない分離膜に形成されているので、絶縁性コート層を形成するためのコート時に整列を合わせることにより発生した電極スラリーの損失がなく、かつ絶縁性コート層の形成で得ようとした電池セルの安全性を確保できる効果がある。
【0083】
また、絶縁性コート層を高分子コート層として分離膜に適用することによって、分離膜間に両端での接着力を向上させ得るので、分離膜の折り畳みの問題も減少させることができる効果がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7