IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東洋紡株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-抗炎症剤 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】抗炎症剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/48 20060101AFI20241210BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241210BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 31/132 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20241210BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20241210BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241210BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61K36/48
A61P29/00
A61P17/00
A61K31/132
A61K8/9789
A61Q17/04
A61Q19/00
A61K8/41
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019204512
(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公開番号】P2021075495
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菅原 知宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 周平
(72)【発明者】
【氏名】山下 周子
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/159588(WO,A1)
【文献】特表2002-510618(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0028012(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/48
A61P 17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆種子、大豆胚芽、大豆胚、又は大豆芽の酸抽出物であって、ポリアミン含有する抽出物であり、紫外線への曝露の24時間前から2回/日の頻度で皮膚に塗布することを特徴とする、紫外線による紅斑の予防又は抑制剤。
【請求項2】
前記塗布を3日間継続することを特徴とする、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
前記大豆種子、大豆胚芽、大豆胚、又は大豆芽が、大豆胚芽であり、前記酸が0.01N~6Nの塩酸である、請求項1または2に記載の剤。
【請求項4】
前記大豆種子、大豆胚芽、大豆胚、又は大豆芽が、大豆胚芽であり、前記酸が1N塩酸である、請求項1~のいずれかに記載の剤。
【請求項5】
ポリアミンとして、プトレシン、スペルミジン及びスペルミンからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を含有する、請求項1~のいずれかに記載の剤。
【請求項6】
ポリアミン濃度が、0.00001~100mMである、請求項1~のいずれかに記載の剤。
【請求項7】
ポリアミン濃度が、0.00005~75mMである、請求項に記載の剤。
【請求項8】
ポリアミン濃度が、0.0001~50mMである、請求項に記載の剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物由来、好ましくは大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物の抗炎症剤に関する。さらに詳細には、紫外線照射後の紅斑抑制作用に効果のある抗炎症剤及び該抗炎症剤を含有する皮膚外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、紫外線の皮膚に及ぼす影響や、その作用機構が盛んに研究されている。通常、地表に達する紫外線は、UVA(320~400nm)、UVB(290~320nm)に分けられる。一般に、UVBは太陽から届く紫外線の約1割と量は少ないが、肌への作用が強く、短時間でも肌が赤くなるサンバーン(日焼けによる炎症反応)や、数日後に肌が黒くなるサンタン(色素沈着反応)を引き起こす作用を有する。また、波長が短いUVBは、炎症やしみの原因となるだけでなく、肌表面の表皮細胞やDNAを傷つけるなど、生体への影響が強いことで知られている。
【0003】
肌色を4段階(I-IV)に分けた時、日本人の平均的なタイプIIの人が真夏の東京湾で約20分日光浴すると12~24時間後にうっすら赤くなった状態のサンバーンを紅斑と呼んでいる。この紅斑を引き起こす最小のエネルギー量を最小紅斑量(MED:Minimal Erythema Dose)と呼び、日本人のUVB照射によるMEDは0.04~0.07J/mと言われている(非特許文献1)。
【0004】
このような紫外線に誘発された炎症である紅斑の予防・抑制を目的として、様々な抗炎症剤が提案されている。特許文献1では、款冬(Tussilago farfara L.)及びインチンコウ(Artemisia capillan’s Thunb.)から選ばれる植物又はその抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤が報告されている。特許文献2では、アスコルビン酸及びその誘導体又はその塩と、グリチルリチン酸及びその誘導体又はその塩と、コメヌカ由来成分と、ゲンチアナエキスを含有する皮膚外用剤が報告されている。特許文献3では、リンゴ抽出物が報告されている。
【0005】
一方、製剤の多様化、処方配合上の選択肢の拡大といった観点や、メカニズムの異なる紅斑抑制剤を用いた相乗効果といった観点、より安全で高い有効性を有する紅斑抑制剤といった観点から、新規の紅斑抑制剤の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平8-175958号公報
【文献】特開2010-47535号公報
【文献】特開2013-095704号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】薬学雑誌、Vol.126、p677,693,2006年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の背景を鑑み、紫外線により誘発される紅斑を抑制することができる抗炎症剤を見出すことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記事情に鑑み、紫外線により誘発される紅斑に対して、植物由来、特には大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物がその紅斑を抑制する抗炎症効果を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の概要は、以下の通りである。
項1.
植物由来ポリアミン含有抽出物を含有してなる抗炎症剤。
項2.
植物が大豆または小麦である、項1に記載の抗炎症剤。
項3.
植物由来ポリアミン含有抽出物が、大豆種子、大豆胚芽、大豆胚、大豆芽、小麦種子、小麦胚芽、小麦胚、小麦芽、豆乳及びオカラよりなる群から選択された少なくとも1種以上の材料由来である、項1または2に記載の抗炎症剤。
項4.
植物由来ポリアミン含有抽出物が、大豆胚芽由来である項1~3のいずれかに記載の抗炎症剤。
項5.
ポリアミンとして、プトレシン、スペルミジン及びスペルミンからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の化合物を含有する、項1~4のいずれかに記載の抗炎症剤。
項6.
皮膚の紅斑を抑制する作用を有する、項1~5に記載の抗炎症剤。
項7.
紫外線照射によって誘発される皮膚の紅斑を抑制する作用を有する、項1~6のいずれかに記載の抗炎症剤。
項8.
ポリアミン濃度が、0.00001~100mMである、項1~7のいずれかに記載の抗炎症剤。
項9.
ポリアミン濃度が、0.00005~75mMである、項8に記載の抗炎症剤。
項10.
ポリアミン濃度が、0.0001~50mMである、項8に記載の抗炎症剤。
項11.
項1~10のいずれかに記載の抗炎症剤を含有する、皮膚外用組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の植物由来ポリアミン含有抽出物を使用することにより、紫外線により誘発される皮膚の紅斑を抑制することができ、このような効果を応用とした抗炎症剤及び皮膚外用組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1において、被験試料塗布区あるいは無塗布区における皮膚色測定の結果の対比を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、植物由来ポリアミン含有抽出物による抗炎症効果を応用した抗炎症剤に関する。さらに詳細には、紫外線等で誘発される皮膚の紅斑を抑制する効果を有する抗炎症剤に関する。
【0014】
ポリアミンは、第1級アミノ基を2つ以上有する脂肪族炭化水素の総称で生体内に普遍的に存在する天然物であり、20種類以上のポリアミンが見出されている。代表的なポリアミンとしてはプトレシン、スペルミジン、スペルミン等がある。ポリアミンの主な生理作用としては(1)核酸との相互作用による核酸の安定化と構造変化、(2)種々の核酸合成系への促進作用、(3)タンパク質合成系の活性化、(4)細胞膜の安定化や物質の膜透過性の強化、(5)活性酸素の消去、(6)細胞増殖の促進が知られている。
【0015】
ポリアミンは動物の内臓、穀類胚芽、豆類種子や、食用菌類に比較的多く含まれる。なかでも、大豆はポリアミンを豊富に含むことが知られており、ポリアミンの重要な供給源と考えられている。
【0016】
本発明において、大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物を用いる場合の例を以下に示す。抽出物における植物体の部位は主に胚芽を用いるが、これに特定せず全体を用いることもできる。
【0017】
本発明において、「大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物」とは、大豆胚芽から得られる(天然)ポリアミンを含む抽出物である。さらに詳細には、大豆胚芽から得られる3種類の(天然)プトレシン、スペルミジン、スペルミンを含む植物抽出物である。大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物に含有されるポリアミン濃度は、M(モル/リットル)では、通常は0.00001~100mM、好ましくは0.00005~75mM、より好ましくは0.0001~50mMである。また、重量%では、通常は0.0001~100%、好ましくは0.001~75%、より好ましくは0.01~50%である。
【0018】
大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物は、プトレシン、スペルミジン、スペルミンのポリアミン以外の天然有効成分を同時に含有することから、化学合成されたプトレシン、スペルミジン、スペルミンを個々に含有する組成物よりも抗炎症効果に優れることが推察される。天然有効成分としては、例えば、単糖、オリゴ糖等の糖類、ペプチド、蛋白質等が挙げられる。加えて大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物は水溶液であるため、個々のポリアミン化合物に比べて製造条件がマイルドであり、安全性の面でも高いメリットが期待される。
【0019】
本発明においてポリアミンとは、第1級アミノ基を2つ以上有する脂肪族炭化水素の総称である。生体内に普遍的に存在する天然物であり、20種類以上のポリアミンが見出されている。例えば、1,3-ジアミノプロパン、プトレシン、カダベリン、カルジン、スペルミジン、ホモスペルミジン、アミノプロピルカダベリン、テルミン、スペルミン、テルモスペルミン、カナバルミン、アミノペンチルノルスペルミジン、N,N-ビス(アミノプロピル)カダベリン、ホモスペルミン、カルドペンタミン、ホモカルドペンタミン、カルドヘキサミン、ホモカルドヘキサミンなどが挙げられる。代表的なポリアミンとしてはプトレシン、スペルミジン、スペルミン等が挙げられる。
【0020】
本発明における「プトレシン」は代表的なポリアミンの一つで生物体内に普遍的に存在する一般的な天然物であり、第一級アミノ基を2つ有する脂肪族炭化水素化合物である。「スペルミジン」は代表的なポリアミンの一つで生物体内に普遍的に存在する一般的な天然物であり、第一級アミノ基を3つ有する脂肪族炭化水素化合物である。「スペルミン」は代表的なポリアミンの一つで生物体内に普遍的に存在する一般的な天然物であり、第一級アミノ基を4つ有する脂肪族炭化水素化合物である。
【0021】
ポリアミンは大豆胚芽以外の植物にも含まれており、例えば双子葉植物、単子葉植物、草本性植物、木本性植物、ウリ科植物、ナス科植物、イネ科植物、アブラナ科植物、マメ科植物、アオイ科植物、キク科植物、アカザ科植物、マメ科の植物が挙げられ、これらの植物からもポリアミン含有抽出物を調製可能である。さらに具体的には、サツマイモ、トマト、キュウリ、カボチャ、メロン、スイカ、タバコ、シロイヌナズナ、ピーマン、ナス、マメ、サトイモ、ホウレンソウ、ニンジン、イチゴ、ジャガイモ、イネ、トウモロコシ、アルファルファ、小麦、オオムギ、大豆、ナタネ、ソルガム、ユーカリ、ポプラ、ケナフ、杜仲、サトウキビ、シュガービート、キャッサバ、サゴヤシ、アカザ、ユリ、ラン、カーネーション、バラ、キク、ペチュニア、トレニア、キンギョソウ、シクラメン、カスミソウ、ゼラニウム、ヒマワリ、シバ、ワタ、エノキダケ、ホンシメジ、マツタケ、シイタケ、キノコ類、チョウセンニンジン、アガリクス、ウコン、オタネニンジン、柑橘類、緑茶、紅茶、ウーロン茶、バナナ、キウイ、納豆、豆乳、大豆キス、小麦エキス、胚芽エキス、胚エキス、果汁、オカラ、コメ胚芽、小麦胚芽、オオムギ胚芽、大豆胚芽、トウモロコシ胚芽、マイロ胚芽、ヒマワリ胚芽などが挙げられる。
【0022】
ポリアミンを抽出する大豆胚芽以外の植物としては、好ましくは、単子葉植物や双子葉植物がよく、さらに好ましくはイネ科植物やマメ科植物がよく、特に好ましい植物又はその加工品として、トウモロコシ、キノコ類、大豆、小麦、納豆、豆乳、オカラ、小麦胚芽、大豆胚芽、トウモロコシ胚芽、大豆エキス、小麦エキス、胚芽エキス、胚エキスが挙げられる。さらに好ましくは、大豆種子、大豆胚芽、大豆胚、大豆芽、小麦種子、小麦胚芽、小麦胚、小麦芽、豆乳、オカラが挙げられる。
【0023】
植物由来ポリアミン含有抽出物を得る植物組織としては、特に限定されない。好ましくは、種子形態、生育過程にあるものである。生育過程にある植物は全体、あるいは部分的な組織から得ることができる。得ることができる部位としては、特に限定されないが全樹、花、蕾、子房、果実、葉、子葉、茎、芽、根、種子、乾燥種子、胚、胚芽、根などである。好ましくは、果実、葉、茎、芽、種子、乾燥種子、胚芽、胚であり、特に好ましくは、種子、乾燥種子、胚芽、胚などである。
【0024】
大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物は大豆胚芽加工物であってもよい。その加工方法は、大豆胚芽を水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合物などを用いて、低温、室温、加温条件下での含浸法、蒸留法、圧搾法、超音波法、超臨界流体法、亜臨界流体法などで抽出物を回収する。さらに植物や植物から回収した抽出物を発酵させるなどの加工処理した加工物なども含まれる。例えば、豆乳、オカラ、小麦粉、発酵エキス、納豆などが挙げられる。
【0025】
大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物を得る方法としては、大豆胚芽及び/又は大豆胚芽加工物に、酸性条件下になるように酸溶液を添加することにある。酸性条件下とは、pHが6以下の条件をいう。抽出時に、pHを酸性条件下にすることにより、組織から効率的かつ安定的なポリアミン組成物回収の効果が得られる。この効果は、pHが6以下であれば一様に得られるが、好ましくはpHが4以下であり、特に好ましくはpHが2以下である。下限については、使用する酸溶液の原液のpHで構わないので、特に制限されないが、好ましくはpH1~2である。
【0026】
酸性条件下(酸水溶液)で抽出物を得ることで、エタノールやメタノールのような有機溶媒で回収した抽出物に比べてポリアミン量の回収率が高く、特に水に溶けにくい化合型ポリアミンは酸性条件によって水に可溶化でき、有機溶媒では抽出効率が低い遊離型ポリアミンの含量も向上する。ポリアミンは酸性条件下では優れた安定性を示し、抽出物中に含まれるポリアミンやその他の有効成分の安定性が向上する。さらに酸性条件下(酸水溶液)で抽出物を得ることで、ポリアミン以外の天然有効成分が同時に回収される。例えば、天然有効成分としては単糖、オリゴ糖等の糖類、ペプチド、蛋白質等が挙げられる。ポリアミンとポリアミン以外の天然有効成分を同時に含むことで抗炎症効果がより増強される。加えて回収した抽出物は水溶液であるため、有機溶媒に比べて安全性の面でも高いメリットが期待される。
【0027】
酸性条件下になるように添加する酸溶液としては、塩酸、硫酸、リン酸などの鉱酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸などの有機酸および酸性水が挙げられる。0.01N~6Nの塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、トリクロロ酢酸、スルホサリチル酸、ギ酸、クエン酸、乳酸や0.1~10%の過塩素酸などの無機酸や有機酸などが特に好ましい。
【0028】
大豆胚芽及び/又は大豆胚芽加工物に、酸性条件下になるように酸溶液を添加して、ポリフェノール吸着剤を添加した後に破砕、粉砕、混合をおこなうことで、大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物の回収量を高めることができる。特に組織の場合は細胞壁を有することから細胞壁に損傷を与えることが望ましい。大豆胚芽加工物の場合には、細胞壁を含まないことから特に細胞壁に損傷を与えるような破砕や粉砕を行う必要はない。破砕や粉砕を行う方法としては、例えば、ミキサー、ブレンダー、ホモジナイザー、乳鉢、超音波破砕機などを利用することができる。
【0029】
大豆胚芽及び/又は大豆胚芽加工物に含まれていたポリアミンを酸溶液中(液体画分)に十分に抽出した後に遠心分離や濾過分離によって液体画分を残査や沈殿と分離する。回収された液体画分にはポリアミンが多く含まれており、「大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物」を得ることができる。
【0030】
植物由来ポリアミン含有抽出物は、抽出溶媒を減圧により留去すれば、濃縮された固形分を得ることができ、必要に応じて賦形剤を添加することもできる。抽出溶媒が無毒のもの、例えば水である場合は、抽出溶媒を含んだまま調剤に使用することもできるが、抽出溶媒を分離した抽出物を調剤に用いることもできる。抽出溶媒分離後の抽出物を適当な溶剤、例えば水に再溶解させて、調剤に使用することもできる。また、このようにして得た抽出物を精製手段、例えば分別抽出、二溶媒間の分配、適当な吸着剤による分別吸着/溶離ないしクロマトグラフィー等によって、精製ないし力価の向上を行うこともできる。
【0031】
上記のように得られた植物由来ポリアミン含有抽出物は、そのまま抗炎症剤として利用しても良いが、皮膚外用組成物として配合して利用することが好ましい。植物由来ポリアミン含有抽出物を配合する濃度は、吸収程度、作用程度、製品形態、使用頻度などによって決められるものであり、特に限定されるのもではないが、通常は0.00001~100mM、好ましくは0.00005~75mM、より好ましくは0.0001~50mMである。
【0032】
本発明の抗炎症剤および抗炎症剤用皮膚外用組成物は、植物由来ポリアミン含有抽出物を有効成分として含有する。本発明において、抗炎症とは、紫外線等で誘発される皮膚の紅斑を抑制する効果を指す。
【0033】
本発明の植物由来ポリアミン含有抽出物を含有する皮膚外用組成物は、植物由来ポリアミン含有抽出物を有効成分とするものである。本発明における植物由来ポリアミン含有抽出物の抗炎症効果は、抽出物に含まれるポリアミンを代表とする有効成分が皮膚の表皮細胞の内外において作用し、紫外線等によって誘発される炎症作用を緩和しているものと推察される。さらに詳細には、抽出物に含まれるポリアミンを代表とする生理活性物質が、紫外線等で誘発される皮膚の紅斑を抑制すると考えられる。この紅斑抑制効果は、紫外線照射後の皮膚色を測定することで評価することができる。
【0034】
本発明の抗炎症剤及び皮膚外用組成物は、大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の原料を含むことができる。そのような原料の例としては水、賦形剤、抗酸化剤、防腐剤、湿潤剤、粘稠剤、緩衝剤、吸着剤、溶剤、乳化剤、安定化剤、界面活性剤、滑沢剤、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料、アルコール類等が挙げられる。また、本発明の抗炎症剤及び皮膚外用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の有効成分を含むことができる。有効成分の具体例として、例えば、抗酸化成分、老化防止成分、抗炎症成分、美白成分、細胞賦活化成分、ビタミン類、血行促進成分、保湿成分、DNAの損傷の予防及び/又は修復作用を有する成分、抗糖化成分、ペプチド又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、ヒドロキノン配糖体及びそのエステル類等が挙げられる。
【0035】
本発明の抗炎症剤及び皮膚外用組成物は、植物由来ポリアミン含有抽出物の必須成分に加えて、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲内で、化粧品類、医薬部外品類、飲食品類、医薬品類等に使用される成分や添加剤を併用して配合することができる。
【0036】
例えば、油脂類としては、アボガド油、アルモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オリーブ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、カカオ脂、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、大豆油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油,ミンク油、卵黄油、カカオ脂、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂、硬化油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0037】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ等が挙げられる。
【0038】
鉱物油としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス、ポリエチレン末、スクワレン、スクワラン、プリスタン等が挙げられる。
【0039】
脂肪酸類としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸等の天然脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソペンタン酸等の合成脂肪酸が挙げられる。
【0040】
アルコール類としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール等の天然アルコール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等の合成アルコール、酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、バチルアルコール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ブドウ糖、ショ糖等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0041】
エステル類としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
【0042】
金属セッケンとしては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等が挙げられる。
【0043】
ガム質及び水溶性高分子化合物としては、例えば、アラビアゴム、ベンゾインゴム、ダンマルゴム、グアヤク脂、アイルランド苔、カラヤゴム、トラガントゴム、キャロブゴム、クインシード、寒天、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、カルボキシアルキルキチン、キトサン、ヒドロキシアルキルキチン、低分子キトサン、キトサン塩、硫酸化キチン、リン酸化キチン、アルギン酸及びその塩、ヒアルロン酸及びその塩、コンドロイチン硫酸、ヘパリン、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
【0044】
界面活性剤としては、例えば、アニオン界面活性剤(カルボン酸塩,スルホン酸塩,硫酸エステル塩,リン酸エステル塩)、カチオン界面活性剤(アミン塩,四級アンモニウム塩)、両性界面活性剤(カルボン酸型両性界面活性剤,硫酸エステル型両性界面活性剤,スルホン酸型両性界面活性剤,リン酸エステル型両性界面活性剤)、非イオン界面活性剤(エーテル型非イオン界面活性剤,エーテルエステル型非イオン界面活性剤,エステル型非イオン界面活性剤,ブロックポリマー型非イオン界面活性剤,含窒素型非イオン界面活性剤)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤,タンパク質加水分解物の誘導体,高分子界面活性剤,チタン・ケイ素を含む界面活性剤,フッ化炭素系界面活性剤)等が挙げられる。
【0045】
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA群ではレチノール、レチナール(ビタミンA1)、デヒドロレチナール(ビタミンA2)、カロチン、リコピン(プロビタミンA)、ビタミンB群では、チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン(ビタミンB6)、シアノコバラミン(ビタミンB12)、葉酸類、ニコチン酸類、パントテン酸類、ビオチン類、コリン、イノシトール類、ビタミンC群では、アスコルビン酸及びその誘導体、ビタミンD群では、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、ジヒドロタキステロール、ビタミンE群では、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン類、ビタミンK群では、フィトナジオン(ビタミンK1)、メナキノン(ビタミンK2)、メナジオン(ビタミンK3)、メナジオール(ビタミンK4)等が挙げられる。
【0046】
アミノ酸としては、例えば、バリン、ロイシン、イソロイシン、トレオニン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アラニン、アスパラギン、グルタミン、セリン、システイン、シスチン、チロシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒドロキシリジン、アルギニン、オルニチン、ヒスチジン等や、それらの硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、あるいはピロリドンカルボン酸の如きアミノ酸誘導体等が挙げられる。
【0047】
美白剤としては、例えば、アスコルビン酸又はその誘導体、イオウ、胎盤加水分解物、エラグ酸又はその誘導体、コウジ酸又はその誘導体、グルコサミン又はその誘導体、アルブチン又はその誘導体、ヒドロキシケイヒ酸又はその誘導体、グルタチオン、アルニカエキス、オウゴンエキス、ソウハクヒエキス、サイコエキス、ボウフウエキス、マンネンタケ菌糸体培養物又はその抽出物、シナノキエキス、モモ葉エキス、エイジツエキス、クジンエキス、ジユエキス、トウキエキス、ヨクイニンエキス、カキ葉エキス、ダイオウエキス、ボタンピエキス、ハマメリスエキス、マロニエエキス、オトギリソウエキス、油溶性カンゾウエキス等が挙げられる。
【0048】
保湿剤としては、例えば、ヒアルロン酸、ポリグルタミン酸、セリン、グリシン、スレオニン、アラニン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ヒドロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸ヘパリン、グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、リノール酸又はそのエステル類、エイコサペンタエン酸又はそのエステル類、ペクチン、ビフィズス菌発酵物、乳酸発酵物、酵母抽出物、レイシ菌糸体培養物又はその抽出物、小麦胚芽油、アボガド油、米胚芽油、ホホバ油、ダイズリン脂質、γ-オリザノール、ビロウドアオイエキス、ヨクイニンエキス、ジオウエキス、タイソウエキス、カイソウエキス、キダチアロエエキス、ゴボ
ウエキス、マンネンロウエキス、アルニカエキス、小麦フスマ等が挙げられる。
【0049】
育毛剤としては、例えば、ペンタデカン酸グリセリド、コレウスエキス、ゲンチアナエキス、マツカサエキス、ローヤルゼリーエキス、クマザサエキス、t-フラバノン、6-ベンジルアミノプリン、センブリエキス、塩化カルプロニウム、ミノキシジル、フィナステリド、アデノシン、ニコチン酸アミド、桑の根エキス、ジオウエキス、5-アミノレブリン酸等が挙げられる。
【0050】
動物或いは植物、生薬の抽出物やエキスとしては、例えば、アセンヤク(阿仙薬)、アシタバ、アセロラ、アルテア、アルニカ、アボカド、アマチャ(甘茶)、アロエ、アロエベラ、イラクサ、イチョウ(銀杏葉,銀杏)、ウイキョウ(茴香)、ウコン(鬱金)、ウスバサイシン(細辛)、ウメ(烏梅)、ウラジロガシ、ウワウルシ、ノイバラ(営実)、ヒキオコシ(延命草)、オウギ(黄耆)、コガネバナ(オウゴン)、ヤマザクラ(桜皮)、キハダ(黄柏)、オウレン(黄連)、オタネニンジン(人参)、オトギリソウ(弟切草)、オドリコソウ、オランダガラシ、オレンジ、イトヒメハギ(遠志)、ウツボグサ(夏枯草)、ツルドクダミ(何首烏)、エンジュ(槐花)、ヨモギ(ガイ葉)、ガジュツ(莪朮)、クズ(葛根)、カノコソウ(吉草根)、カミツレ、キカラスウリ(瓜呂根)、カワラヨモギ(茵チン蒿)、カンゾウ(甘草)、フキタンポポ(款冬花,款冬葉)、キイチゴ、キウイ果実、キキョウ(桔梗)、キク(菊花)、キササゲ(梓実)、ミカン属植物果実(枳実)、タチバナ(橘皮)、キュウリ、ウドまたはシシウド(羌活,独活)、アンズ(杏仁)、クコ(地骨皮,枸杞子,枸杞葉)、クララ(苦参)、クスノキ、クマザサ、グレープフルーツ果実、ニッケイ(桂皮)、ケイガイ(ケイガイ)、エビスグサ(決明子)、マルバアサガオ又はアサガオ(ケン牛子)、ベニバナ(紅花)、ゴバイシ(五倍子)、コンフリー、コパイバ、クチナシ(山梔子)、ゲンチアナ、ホオノキ(厚朴)、ヒナタイノコズチ(牛膝)、ゴシュユ(呉茱萸)、ゴボウ、チョウセンゴミシ(五味子)、米、米ぬか、コムギ、ミシマサイコ(柴胡)、サフラン、サボンソウ、サンザシ(山ザ子)、サンショウ(山椒)、サルビア、サンシチニンジン(三七人参)、シイタケ(椎茸)、ジオウ(地黄)、シクンシ(使君子)、ムラサキ(紫根)、シソ(紫蘇葉,紫蘇子)、カキ(柿蒂)、シャクヤク(芍薬)、オオバコ(車前子,車前草)、ショウガ(生姜)、ショウブ(菖蒲)、トウネズミモチ(女貞子)、シモツケソウ、シラカバ、スイカズラ(金銀花,忍冬)、セイヨウキヅタ、セイヨウノコギリソウ、セイヨウニワトコ、アズキ(赤小豆)、ニワトコ(接骨木)、ゼニアオイ、センキュウ(川キュウ)、センブリ(当薬)、クワ(桑白皮,桑葉)、ナツメ(大棗)、ダイズ、タラノキ、チクセツニンジン(竹節人参)、ハナスゲ(知母)、ワレモコウ(地楡)、ドクダミ(十薬)、フユムシナツクサタケ(冬虫夏草)、トウガラシ、ホオズキ(登呂根)、タチジャコウソウ、リョクチャ(緑茶)、コウチャ(紅茶)、チョウジ(丁子)、ウンシュウミカン(陳皮)、ツバキ、ツボクサ、トウガラシ(番椒)、トウキ(当帰)、トウキンセンカ、ダイダイ(橙皮)、ワレモコウ(地楡)、トウモロコシ(南蛮毛)、トチュウ(杜仲,杜仲葉)、トマト、ナンテン(南天実)、ニンニク(大サン)、オオムギ(麦芽)、ハクセン(白蘚皮)、ジャノヒゲ(麦門冬)、パセリ、バタタ、ハッカ(薄荷)、ハマメリス、バラ、ビワ葉(枇杷葉)、マツホド(茯リョウ)、ブドウまたはその葉、ヘチマ、ボダイジュ、ボタン(牡丹皮)、ホップ、マイカイ(マイ瑰花)、松葉、マロニエ、マンネンロウ、ムクロジ、メリッサ、メリロート、ボケ(木瓜)、モヤシ、モモ(桃仁,桃葉)、ヒオウギ(射干)、ビンロウジュ(檳ロウ子)、メハジキ(益母草)、ヤグルマギク、ユキノシタ(虎耳草)、ヤマモモ(楊梅皮)、ヤシャブシ(矢車)、ハトムギ(ヨクイニン)、モウコヨモギ、ヤマヨモギ、ラベンダー、リンゴ果実、マンネンタケ(霊芝)、レモン果実、レンギョウ(連翹)、レンゲソウ、ゲンノショウコ(老鸛草)、ハシリドコロ(ロート根)、鶏トサカ、牛・人の胎盤抽出物、豚・牛の胃、十二指腸、或いは腸の抽出物若しくはその分解物、水溶性コラーゲン、水溶性コラーゲン誘導体、コラーゲン加水分解物、エラスチン、エラスチン加水分解物、水溶性エラスチン誘導体、シルク蛋白、シルク蛋白分解物、牛血球蛋白分解物等が挙げられる。
【0051】
微生物培養代謝物としては、例えば、酵母エキス、亜鉛含有酵母エキス、ゲルマニウム含有酵母エキス、セレン含有酵母エキス、マグネシウム含有酵母エキス、米醗酵エキス、ユーグレナ抽出物、脱脂粉乳の乳酸発酵物等が挙げられる。
【0052】
α-ヒドロキシ酸としては、例えば、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等が挙げられる。
【0053】
無機顔料としては、例えば、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、カオリン、ベントナイト、マイカ、雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、グンジョウ、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、カラミン等が挙げられる。
【0054】
紫外線吸収剤としては、例えば、p-アミノ安息香酸誘導体、サルチル酸誘導体、アントラニル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、ベンゾトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体、カンファー誘導体、フラン誘導体、ピロン誘導体、核酸誘導体、アラントイン誘導体、ニコチン酸誘導体、ビタミンB6誘導体、オキシベンゾン、ベンゾフェノン、グアイアズレン、シコニン、バイカリン、バイカレイン、ベルベリン等が挙げられる。
【0055】
収斂剤としては、例えば、乳酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、アラントイン、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、カラミン、p-フェノールスルホン酸亜鉛、硫酸アルミニウムカリウム、レソルシン、塩化第二鉄、タンニン酸等が挙げられる。
【0056】
抗酸化剤としては、例えば、アスコルビン酸及びその塩、ステアリン酸エステル、トコフェロール及びそのエステル誘導体、ノルジヒドログアセレテン酸、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、パラヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、セサモール、セサモリン、ゴシポール等が挙げられる。
【0057】
抗炎症剤としては、例えば、イクタモール、インドメタシン、カオリン、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、アセチルサリチル酸、塩酸ジフェンヒドラミン、d又はdl-カンフル、ヒドロコルチゾン、グアイアズレン、カマズレン、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びその塩等が挙げられる。
【0058】
殺菌・消毒薬としては、例えば、アクリノール、イオウ、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルロザニリン、クレゾール、グルコン酸カルシウム、グルコン酸クロルヘキシジン、スルファミン、マーキュロクロム、ラクトフェリン又はその加水分解物等が挙げられる。
【0059】
頭髪用剤としては、例えば、二硫化セレン、臭化アルキルイソキノリニウム液、ジンクピリチオン、ビフェナミン、チアントール、カスタリチンキ、ショウキョウチンキ、トウガラシチンキ、塩酸キニーネ、強アンモニア水、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、チオグリコール酸等が挙げられる。
【0060】
香料としては、例えば、ジャコウ、シベット、カストリウム、アンバーグリス等の天然動物性香料、アニス精油、アンゲリカ精油、イラン精油、イリス精油、ウイキョウ精油、オレンジ精油、カナンガ精油、カラウェー精油、カルダモン精油、グアヤクウッド精油、クミン精油、黒文字精油、ケイ皮精油、シンナモン精油、ゲラニウム精油、コパイババルサム精油、コリアンデル精油、シソ精油、シダーウッド精油、シトロネラ精油、ジャスミン精油、ジンジャーグラス精油、杉精油、スペアミント精油、西洋ハッカ精油、大茴香精油、チュベローズ精油、丁字精油、橙花精油、冬緑精油、トルーバルサム精油、バチュリー精油、バラ精油、パルマローザ精油、檜精油、ヒバ精油、白檀精油、プチグレン精油、ベイ精油、ベチバ精油、ベルガモット精油、ペルーバルサム精油、ボアドローズ精油、芳樟精油、マンダリン精油、ユーカリ精油、ライム精油、ラベンダー精油、リナロエ精油、レモングラス精油、レモン精油、ローズマリー精油、和種ハッカ精油等の植物性香料、その他合成香料等が挙げられる。
【0061】
色素・着色剤としては、例えば、赤キャベツ色素、赤米色素、アカネ色素、アナトー色素、イカスミ色素、ウコン色素、エンジュ色素、オキアミ色素、柿色素、カラメル、金、銀、クチナシ色素、コーン色素、タマネギ色素、タマリンド色素、スピルリナ色素、ソバ全草色素、チェリー色素、海苔色素、ハイビスカス色素、ブドウ果汁色素、マリーゴールド色素、紫イモ色素、紫ヤマイモ色素、ラック色素、ルチン等が挙げられる。
【0062】
甘味料としては、例えば、砂糖、甘茶、果糖、アラビノース、ガラクトース、キシロース、マンノース、麦芽糖、蜂蜜、ブドウ糖、ミラクリン、モネリン等が挙げられる。
【0063】
栄養強化剤としては、例えば、貝殻焼成カルシウム、シアノコラバミン、酵母、小麦胚芽、大豆胚芽、卵黄粉末、ヘミセルロース、ヘム鉄等が挙げられる。
【0064】
その他には、ホルモン類、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、キレート剤、防腐・防バイ剤、清涼剤、安定化剤、乳化剤、動・植物性蛋白質及びその分解物、動・植物性多糖類及びその分解物、動・植物性糖蛋白質及びその分解物、血流促進剤、消炎剤・抗アレルギー剤、細胞賦活剤、角質溶解剤、創傷治療剤、増泡剤、増粘剤、口腔用剤、消臭・脱臭剤、苦味料、調味料、酵素等が例として挙げられる。
【0065】
本発明の剤型は任意であり、アンプル状、カプセル状、粉末状、顆粒状、丸剤、錠剤状、固形状、液状、ゲル状、気泡状、乳液状、クリーム状、軟膏状、シート状、ムース状等の医薬部外品類、皮膚・頭髪用化粧品類及び浴用剤化、飲食品類、医薬品類に配合して用いることができる。
【0066】
具体的に化粧品類、医薬部外品類としては、例えば内用・外用薬用製剤、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パック等の基礎化粧料、洗顔料や皮膚洗浄料、シャンプー、リンス、ヘアートリートメント、ヘアクリーム、ポマード、ヘアスプレー、整髪料、パーマ剤、ヘアートニック、染毛料、育毛・養毛料等の頭髪化粧料、ファンデーション、白粉、おしろい、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、眉墨、まつ毛等のメークアップ化粧料、美爪料等の仕上げ用化粧料、香水類、浴用剤、その他、歯磨き類、口中清涼剤・含嗽剤、液臭・防臭防止剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュ等が挙げられる。
【0067】
飲食品類としては、例えば清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料、アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓、そば、うどん、はるさめ、餃子の皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類、飴、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子類、カニ、サケ、アサリ、マグロ、イワシ、エビ、カツオ、サバ、クジラ、カキ、サンマ、イカ、アカガイ、ホタテ、アワビ、ウニ、イクラ、トコブシ等の水産物、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、粉乳、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品、ソース、たれ等の調味料、カレー、シチュー、親子丼、お粥、雑炊、中華丼、かつ丼、天丼、うな丼、ハヤシライス、おでん、マーボドーフ、牛丼、ミートソース、玉子スープ、オムライス、餃子、シューマイ、ハンバーグ、ミートボール等のレトルトパウチ食品、種々の形態の健康・栄養補助食品、保健機能食品、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、トローチ等が挙げられる。
【0068】
本発明の抗炎症剤及び皮膚外用組成物は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が期待できる限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【0069】
本発明において、化粧料の態様は、特に限定されないが、例えば、洗顔料、洗浄料、化粧水(例えば、美白化粧水)、クリーム(例えば、バニシングクリーム、コールドクリーム)、乳液、ゲル、美容液、パック(例えば、ゼリー状ピールオフタイプ、ペースト状拭き取りタイプ、粉末状洗い流しタイプ)、フェイスマスク、クレンジング、ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、頬紅、化粧下地、シェービングローション、サンスクリーン、アフターサンローション、デオドラントローション、ボディローション(ハンドケアローション、フットケアローションを含む)、ボディオイル等が挙げられる。
【0070】
以下、本発明を実施例に基づき、より詳細に説明する。なお、本発明は実施例に特に限定されるものではない。
【実施例
【0071】
製造例1:大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物の調製
1kgの大豆胚芽(フォーユー製)に希釈内部標準液(1,7-diaminoheptane、内部標準量=10μmol)、5Lの1N塩酸溶液を加えて室温下で1時間放置した。その後、ポリフェノール吸着剤であるポリクラールVT(ISP製)を80g添加し、ホモジナイザーでダイズ胚芽を十分に破砕後、室温下で1時間放置して酸性条件下で抽出した。破砕物を2℃、22,000×gで30分間遠心分離して液体画分を採取し、30%の水酸化ナトリウム溶液で中和して本液を大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物とした。大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物は電気透析装置(アシライザー, アストム製)により脱塩を行い、凍結乾燥により濃縮した。この粉末を30%ブチレングリコール溶液に5.0%となるように溶解し、大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物として種々の評価に用いた。
【0072】
実施例2:紅斑抑制試験
前記大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物を被験試料として用い、下記試験方法により紅斑抑制試験を実施した。
【0073】
被験者
表1に示した、20~30代の男女12名を被験者とした。被験者の平均年齢は33.8±4.9歳(21~39歳)であった。
【0074】
【表1】
【0075】
被験試料
前記大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物を、1.0質量%(粉末0.05%配合)となるように30%ブチレングリコール溶液に溶解したものを被験試料として用いた。
【0076】
紫外線照射による紅斑の作製
紫外線照射は光源としてMultiport SOLAR UV Simulator Model 601 (SOLAR Light Co. Inc.、波長範囲:290~400nm、ピーク波長:356nm) を使用し、その照射強度は多機能計測システムモデルPMA2100 (SOLAR Light Co. Inc.) を用いて測定した。はじめに被験者の上腕内側に、0.64、0.80、1.00、1.25、1.56、1.95 MEDの紫外線を照射した(MED判定用照射)。照射24時間後に、各被験者のMEDを判定した(MED判定)。次に被験者毎に各々の1.5 MEDに相当する紫外線を左上腕内側に照射し、直径約1cmの色素沈着を4箇所作成した(本照射)。本照射から24時間後に、皮膚色測定を実施した。
【0077】
被験試料の使用
被験試料は、1日2回、上腕内側に適量塗布した。塗布は、MED判定用照射日、MED判定・本照射日、皮膚色測定日の3日間実施した。
【0078】
皮膚色測定
本照射前、照射1日後に、分光測色計 (CM2600d、コニカミノルタ社製) を用いて、紫外線照射部位およびその隣接する非照射部位の、あらかじめ設定した解析範囲における皮膚色を測定した。紅斑の指標として、a*値を用いた。各部位を3~7回測定し、安定した3回の測定値の平均値を用いた。紅斑の程度として、Δa*値=a*値 (紫外線照射部位)-a*値 (非照射部位)を算出した。さらに、被験試料塗布区と無塗布区について、Δa*値(24時間後)-Δa*値(照射前)を算出し、比較を行うことで、紅斑抑制の程度を評価した。
【0079】
得られた結果を図1に示す。被験試料塗布区を無塗布区と比較した結果、被験試料塗布区において、Δa*値の変化(照射前から照射24時間後の変化)が抑えられた。このことから、紫外線照射によって誘発された皮膚の紅斑を抑制することが確認された。
【0080】
実施例2:皮膚外用組成物の処方
以下に、本発明における大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物を含有する皮膚外用組成物としての処方例を示す。これらの製剤は、いずれも大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物に起因する紅斑抑制効果が期待され、抗炎症剤として有効なものである。
【0081】
化粧水
下記組成に従い、化粧水を常法により調製した。
・精製水・・・89.80g
・グリセリン・・・3.00g
・フェノキシエタノール・・・0.20g
・ブチレングリコール・・・5.00g
・ペンチレングリコール・・・1.00g
・大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物・・・1.00g
【0082】
ジェル
下記組成に従い、ジェルを常法により調製した。
・精製水・・・88.50g
・カルボマー・・・0.30g
・キサンタンガム・・・0.10g
・アルギニン・・・0.40g
・グリセリン・・・5.00g
・フェノキシエタノール・・・0.20g
・ブチレングリコール・・・5.00g
・大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物・・・0.50g
【0083】
クリーム
下記組成に従い、クリームを常法により調製した。
・精製水・・・58.50g
・ブチレングリコール・・・10.00g
・グリセリン・・・5.00g
・フェノキシエタノール・・・0.20g
・エチルヘキシルグリセリン・・・0.20g
・スクワラン・・・10.00g
・オリーブ油・・・10.00g
・ベヘニルアルコール・・・2.50g
・ペンタステアリン酸ポリグリセリル-10・・・1.90g
・ステアロイル乳酸Na・・・0.60g
・パルミチン酸セチル・・・1.00g
・大豆胚芽由来ポリアミン含有抽出物・・・0.10g
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の植物由来ポリアミン含有抽出物を含有する皮膚外用組成物を利用することにより、紫外線等によって誘発される紅斑を抑制することが可能となり、抗炎症剤としての利用が期待される。特に化粧品、あるいは医薬部外品として、皮膚外用剤への適用が可能である。
図1