(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241210BHJP
G03G 15/01 20060101ALI20241210BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241210BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20241210BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241210BHJP
B41J 25/20 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J29/38 601
G03G15/01 Y
G03G15/00 303
B41J2/21
B41J2/01 451
B41J25/20
(21)【出願番号】P 2020139453
(22)【出願日】2020-08-20
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 力
(72)【発明者】
【氏名】松月 優人
(72)【発明者】
【氏名】田口 義之
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 邦生
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 蒔
(72)【発明者】
【氏名】平塚 昌史
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0116734(US,A1)
【文献】特開2019-164033(JP,A)
【文献】特開昭63-066578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0116736(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 15/01
G03G 15/00
B41J 2/21
B41J 2/01
B41J 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブの画像データから位置検知用の画像を抽出する抽出手段と、
前記位置検知用の画像を記録媒体に形成する第一画像形成手段と、
前記第一画像形成手段が形成した前記位置検知用の画像を検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した位置検知用の画像の位置と前記画像データにおける前記位置検知用の画像の位置とから、前記第一画像形成手段に対する前記記録媒体の搬送方向下流側に配置された第二画像形成手段の画像形成位置の補正量を検出する検出手段と、
を有し、
前記抽出手段は、前記記録媒体としての連続紙の裁断位置を示す加工用のマークを位置検知用の画像として抽出する
画像形成装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記画像データに加工用のマークが含まれる場合には、前記加工用のマークを他の画像よりも優先して抽出する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知手段は、前記第一画像形成手段に対する前記搬送方向下流側であって、前記第二画像形成手段に対する前記搬送方向上流側に配置された第一検知手段であり、
前記第一画像形成手段が形成した前記位置検知用の画像を検知する第二検知手段が、前記第二画像形成手段の前記搬送方向下流側に配置され、
前記検出手段は、前記第二検知手段が検知した位置検知用の画像の位置と前記画像データにおける前記位置検知用の画像の位置とから、前記第二検知手段の前記搬送方向下流側の第三画像形成手段の形成位置の補正量を検出する
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記第一画像形成手段が形成する画像のみで構成された単独画像を、前記位置検知用の画像として抽出する
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記抽出手段は、前記ジョブの画像データに前記単独画像が含まれない場合に、前記第
一画像形成手段が形成する第一画像と、前記第二画像形成手段が形成する第二画像と、を前記位置検知用の画像として抽出し、
前記検出手段は、前記第一検知手段が検知した第一画像の位置と前記画像データにおける前記第一画像の位置とから、前記第二画像形成手段の形成位置の補正量を検出し、前記第二検知手段が検知した第二画像の位置と前記画像データにおける前記第二画像の位置とから、前記第三画像形成手段の形成位置の補正量を検出する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記検知手段は、前記第二画像形成手段に対する前記搬送方向下流側に配置され、
前記抽出手段は、前記第一画像形成手段が形成する第一画像と、前記第二画像形成手段が形成する第二画像と、を前記位置検知用の画像として抽出し、
前記検出手段は、前記検知手段が検知した第一画像の位置と前記画像データにおける前記第一画像の位置との差分と、前記検知手段が検知した第二画像の位置と前記画像データにおける前記第二画像の位置との差分とから、前記第二画像形成手段の形成位置の補正量を検出する
請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記記録媒体の画像領域の幅以上の長さを有する
請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記記録媒体の幅以上の長さを有する
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記位置検知用の画像を指定する指示を受け付ける受付手段を有する
請求項1~8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
ジョブの画像データに一色の画像で構成される単独画像が含まれる場合に、前記単独画像を前記画像データから位置検知用の画像として抽出する抽出手段と、
前記位置検知用の画像を記録媒体に形成する第一画像形成手段と、
前記第一画像形成手段が形成した前記位置検知用の画像を検知する検知手段と、
前記検知手段が検知した位置検知用の画像の位置と前記画像データにおける前記位置検
知用の画像の位置とから、前記第一画像形成手段に対する前記記録媒体の搬送方向下流側
に配置された第二画像形成手段の画像形成位置の補正量を検出する検出手段と、
を有する
画像形成装置。
【請求項11】
前記検出手段が検出した前記補正量に基づき前記画像形成位置を補正する補正手段を有する請求項1~10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録媒体を搬送する搬送方向と直交する方向の記録媒体幅に並列に配置され、前記記録媒体幅の画像を記録する複数の記録ヘッドと、繰り返し所定のパターンを記録するパターン記録手段と、前記記録ヘッドのそれぞれの記録ヘッドの記録媒体の搬送方向上流側に配置され、前記パターン記録手段によって記録された所定のパターンを読み取る読取手段と、前記記録ヘッドの前記搬送方向と直交する方向の前記記録ヘッドの記録位置を調整する調整手段と、前記読取手段の読取結果に基づいて前記調整手段によって前記記録位置を調整するように前記調整手段を制御する制御手段と、を備えた記録装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、主走査及び副走査を行うことによって記録媒体にカラー画像を形成する各色毎に設けられた複数の画像形成手段と、画像データに基づいた画像が形成されるように前記複数の画像形成手段を制御すると共に、主走査方向のずれが副走査方向に現れない第1のレジストマーク、及び主走査方向のずれが副走査方向に現れる第2のレジストマークを含み、第1のレジストマーク及び第2のレジストマークの各々が基準色マーク及び該基準色マークに対して副走査方向に所定間隔隔てた基準色と異なる他の色のマークを備えたレジストマークが形成されるように前記複数の画像形成手段を制御する制御手段と、前記記録媒体に形成された第1のレジストマーク及び第2のレジストマークを読取る読取手段と、前記読取手段の読取り結果に基づいて、第1のレジストマークについての前記基準色マークを基準とした前記他の色のマークの副走査方向のずれ量を用いて副走査方向の補正量を算出する第1の算出手段と、前記読取り手段の読取り結果に基づいて、第1のレジストマークについての前記基準色マークを基準とした前記他の色のマークの副走査方向のずれ量、及び第2のレジストマークについての前記基準色マークを基準とした前記他の色のマークの副走査方向のずれ量を用いて主走査方向の補正量を算出する第2の算出手段と、前記第1の算出手段、及び前記第2の算出手段で算出された補正量に基づいて、前記画像データに基づいた画像形成位置を補正する画像形成位置補正手段と、を含む画像形成装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、印刷ジョブを受信する受信手段と、用紙に画像を記録する画像形成手段と、前記画像形成手段により形成される前記印刷ジョブの通常画像のうち、濃度検知のために使用されるパッチとして代用可能な部分画像を抽出する抽出手段と、抽出され用紙に定着された前記部分画像の画像密度情報を読みとる画像読み取り手段と、を備え、読み取られた前記部分画像の画像密度情報に基づいて画質調整を行うことを特徴とする画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-35083号公報
【文献】特開2007-322722号公報
【文献】特開2014-10422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
検知専用のマークを記録媒体に形成し、該マークを検知してカラーレジを調整する構成では、該マークを形成する領域を記録媒体に設ける必要があるため、記録媒体におけるユーザが利用可能な画像領域が狭くなる。
【0007】
本発明は、検知専用のマークを記録媒体に形成する構成に比べ、記録媒体におけるユーザが利用可能な画像領域を大きくできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様は、ジョブの画像データから位置検知用の画像を抽出する抽出手段と、前記位置検知用の画像を記録媒体に形成する第一画像形成手段と、前記第一画像形成手段が形成した前記位置検知用の画像を検知する検知手段と、前記検知手段が検知した位置検知用の画像の位置と前記画像データにおける前記位置検知用の画像の位置とから、前記第一画像形成手段に対する前記記録媒体の搬送方向下流側に配置された第二画像形成手段の画像形成位置の補正量を検出する検出手段と、を有する。
【0009】
第2態様では、前記検知手段は、前記第一画像形成手段に対する前記搬送方向下流側であって、前記第二画像形成手段に対する前記搬送方向上流側に配置された第一検知手段であり、前記第一画像形成手段が形成した前記位置検知用の画像を検知する第二検知手段が、前記第二画像形成手段の前記搬送方向下流側に配置され、前記検出手段は、前記第二検知手段が検知した位置検知用の画像の位置と前記画像データにおける前記位置検知用の画像の位置とから、前記第二検知手段の前記搬送方向下流側の第三画像形成手段の形成位置の補正量を検出する。
【0010】
第3態様では、前記抽出手段は、前記第一画像形成手段が形成する画像のみで構成された単独画像を、前記位置検知用の画像として抽出する。
【0011】
第4態様では、前記抽出手段は、前記ジョブの画像データに前記単独画像が含まれない場合に、前記第一画像形成手段が形成する第一画像と、前記第二画像形成手段が形成する第二画像と、を前記位置検知用の画像として抽出し、前記検出手段は、前記第一検知手段が検知した第一画像の位置と前記画像データにおける前記第一画像の位置とから、前記第二画像形成手段の形成位置の補正量を検出し、前記第二検知手段が検知した第二画像の位置と前記画像データにおける前記第二画像の位置とから、前記第三画像形成手段の形成位置の補正量を検出する。
【0012】
第5態様では、前記抽出手段は、加工用のマークを位置検知用の画像として抽出する。
【0013】
第6態様では、前記抽出手段は、前記画像データに加工用のマークが含まれる場合には、前記加工用のマークを他の画像よりも優先して抽出する。
【0014】
第7態様では、前記検知手段は、前記第二画像形成手段に対する前記搬送方向下流側に配置され、前記抽出手段は、前記第一画像形成手段が形成する第一画像と、前記第二画像形成手段が形成する第二画像と、を前記位置検知用の画像として抽出し、前記検出手段は、前記検知手段が検知した第一画像の位置と前記画像データにおける前記第一画像の位置との差分と、前記検知手段が検知した第二画像の位置と前記画像データにおける前記第二画像の位置との差分とから、前記第二画像形成手段の形成位置の補正量を検出する。
【0015】
第8態様では、前記検出手段は、前記記録媒体の画像領域の幅以上の長さを有する。
【0016】
第9態様では、前記検出手段は、前記記録媒体の幅以上の長さを有する。
【0017】
第10態様は、前記位置検知用の画像を指定する指示を受け付ける受付手段を有する。
【0018】
第11態様は、前記検出手段が検出した前記補正量に基づき前記画像形成位置を補正する補正手段を有する。
【発明の効果】
【0019】
第1態様の構成によれば、検知専用のマークを記録媒体に形成する構成に比べ、ユーザが利用可能な画像領域が大きくなる。
【0020】
第2態様の構成によれば、第一画像形成手段が形成する画像に対して、第二画像形成手段が形成する画像と、第三画像形成手段が形成する画像と、を位置合わせできる。
【0021】
第3態様の構成によれば、第一画像形成手段による画像と第二画像形成手段による画像とが重なった画像を位置検知用の画像として抽出する構成に比べ、補正量の検出誤差を抑制できる。
【0022】
第4態様の構成によれば、第一画像形成手段が形成する画像に対して、第二画像形成手段が形成する画像を位置合わせでき、第二画像形成手段が形成する画像に対して、第三画像形成手段が形成する画像を位置合わせできる。
【0023】
第5態様の構成によれば、加工用マーク以外の画像のみを位置検知用の画像として抽出する構成に比べ、位置検知用の画像の抽出処理が簡便となる。
【0024】
第6態様の構成によれば、他の画像を優先して抽出する構成に比べ、位置検知用の画像の抽出処理が簡便となる。
【0025】
第7態様の構成によれば、検知手段が第一画像形成手段に対する前記搬送方向下流側であって第二画像形成手段に対する前記搬送方向上流側に配置される構成に比べ、検知手段の配置の自由度が高い。
【0026】
第8態様の構成によれば、位置検知用の画像が画像領域の幅方向のどの位置に形成されても位置検知用の画像を検知できる。
【0027】
第9態様の構成によれば、位置検知用の画像が画像領域からはみ出して記録媒体に形成された場合でも、位置検知用の画像を検知できる。
【0028】
第10態様の構成によれば、ユーザによって、位置検知用の画像を指定できる。
【0029】
第11態様の構成によれば、第一画像形成手段が形成する画像に対して、第二画像形成手段が形成する画像が位置合わせされる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略図である。
【
図2】第1実施形態に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】第1実施形態に係るCPUの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】第1実施形態に係る制御装置によって実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】第1実施形態に係る制御装置が実行する抽出処理(
図4のステップS101)の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第1実施形態に係る加工用マークが含まれる画像データの画像が連続紙に可視化された状態を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る画像データの画像を各色の画像に分解した状態を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係るK単独画像が含まれる画像データの画像が連続紙に可視化された状態を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係るC単独画像が含まれる画像データの画像が連続紙に可視化された状態を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係るM単独画像が含まれる画像データの画像が連続紙に可視化された状態を示す図である。
【
図11】第1実施形態に係る制御装置が実行する補正量検出処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【
図12】第1実施形態に係る制御装置が実行する補正量検出処理の一例の流れを示すフローチャートである。
【
図13】検知専用のマークを連続紙に形成する構成を示す概略図である。
【
図14】画像データにおけるK画像の特徴部(形状に特徴がある部分)を抽出する変形例を示す概略図である。
【
図15】第2実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(インクジェット記録装置10)
まず、インクジェット記録装置10について説明する。
図1は、インクジェット記録装置10の構成を示す概略図である。なお、
図1では、インクジェット記録装置10の側面図が紙面の上側部分に示され、後述の連続紙P及び検知部40C、40M、40Yを上方側から見た平面図が紙面の下側部分に示されている。
【0032】
図1に示されるインクジェット記録装置10は、記録媒体に画像を形成する画像形成装置の一例である。具体的には、インクジェット記録装置10は、
図1に示されるように、連続紙P(記録媒体の一例)にインク滴を吐出して連続紙Pに画像を形成する装置である。したがって、インクジェット記録装置10は、液滴を吐出する吐出装置の一例ともいえる。
【0033】
連続紙Pは、
図1に示されるように、搬送される搬送方向に長さを有する長尺状の記録媒体である。具体的には、連続紙Pは、複数のページP1が搬送方向に沿って配置された用紙である。
【0034】
インクジェット記録装置10は、
図1に示されるように、搬送機構20と、画像形成部30と、検知部40C、40M、40Yと、制御装置50と、を備えている。以下、インクジェット記録装置10の各部(搬送機構20、画像形成部30、検知部40C、40M、40Y、及び制御装置50)の具体的な構成について説明する。
【0035】
(搬送機構20)
図1に示される搬送機構20は、連続紙Pを搬送する機構である。具体的には、搬送機構20は、例えば、
図1に示されるように、複数の巻掛ロール26と、巻出ロール(図示省略)と、巻取ロール(図示省略)と、を有している。
【0036】
搬送機構20では、回転駆動される巻取ロール(図示省略)が、連続紙Pを巻き取ると共に、巻出ロール(図示省略)が連続紙Pを巻き出すことによって、連続紙Pが予め定められた搬送速度で搬送される。複数の巻掛ロール26は、連続紙Pが巻き掛けられるロールである。この複数の巻掛ロール26は、巻出ロール(図示省略)と巻取ロール(図示省略)との間で連続紙Pに巻き掛けられている。これにより、巻出ロール(図示省略)から巻取ロール(図示省略)までの連続紙Pの搬送経路が定められている。各図では、連続紙Pの搬送方向(以下、単に「搬送方向」という場合がある)を、適宜、矢印Aにて示している。
【0037】
なお、搬送機構20の構成としては、前述の構成に限られない。例えば、搬送機構20としては、連続紙Pが折り畳まれた状態で収容された収容部から、連続紙Pが折り畳まれるように収容される収容部まで、連続紙Pを搬送する機構であってもよい。また、搬送機構20としては、連続紙Pを搬送する搬送部材として、一対の搬送ロールや搬送ベルト等を用いた機構であってもよい。
【0038】
さらに、本実施形態では、記録媒体として、連続紙Pを用いたが、これに限られない。例えば、記録媒体としては、枚葉紙(すなわち、カット紙)を用いてもよい。
【0039】
(画像形成部30)
図1に示される画像形成部30は、連続紙Pに画像を形成する機能を有している。具体的には、画像形成部30は、搬送機構20が搬送する連続紙Pに対して非接触でインク滴を吐出して画像を形成する。さらに具体的には、画像形成部30は、
図1に示されるように、吐出ヘッド32K、32C、32M、32Y(以下、32K~32Yという)を有している。
【0040】
各吐出ヘッド32K~32Yは、インク滴を吐出するヘッドである。具体的には、各吐出ヘッド32K~32Yは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のインク滴を連続紙Pに吐出して、連続紙Pに画像を形成する。さらに具体的には、各吐出ヘッド32K~32Yは、以下のように構成されている。
【0041】
図1に示されるように、吐出ヘッド32K~32Yは、この順で、搬送方向の下流側へ向かって配置されている。各吐出ヘッド32K~32Yは、連続紙Pの幅方向に長さを有している。なお、連続紙Pの幅方向とは、搬送方向と交差する方向(具体的には、直交する方向)である。各図では、連続紙Pの幅方向(以下「紙幅方向」という場合がある)を、適宜、矢印Bにて示している。
【0042】
各吐出ヘッド32K~32Yは、ノズル(図示省略)が形成されたノズル面30Sを有している。各吐出ヘッド32K~32Yのノズル面30Sは、下側を向いており、搬送機構20で搬送される連続紙Pに対して隙間を有して対向している。各吐出ヘッド32K~32Yは、サーマル方式、圧電方式等の公知の方式にて、ノズル(図示省略)からインク滴を連続紙Pに吐出して、画像データに基づく画像を形成する。
【0043】
各吐出ヘッド32K~32Yで使用されるインクとしては、例えば、水性インクと、油性インクとがある。水性インクは、例えば、水を主成分とする溶媒と、着色剤(具体的には、顔料や染料等)と、その他添加剤と、を含んでいる。油性インクは、例えば、有機溶媒と、着色剤(具体的には、顔料や染料等)と、その他添加剤と、を含んでいる。
【0044】
以上のように、画像形成部30では、各吐出ヘッド32K~32Yが、各色のインク滴を連続紙Pに吐出して、連続紙Pに画像を形成するため、画像形成部30は、液滴を吐出する吐出機構の一例ともいえる。
【0045】
なお、以下では、吐出ヘッド32Kで形成されるブラック(K)の画像をK画像といい、吐出ヘッド32Cで形成されるシアン(C)の画像をC画像という。また、吐出ヘッド32Mで形成されるマゼンタ(M)の画像をM画像といい、吐出ヘッド32Yで形成されるイエロー(Y)の画像をY画像という。
【0046】
また、本実施形態では、吐出ヘッド32K、32C、32Mの各々が、第一、第二、第三形成手段の各々の一例である。なお、吐出ヘッド32K、32C、32Yの各々、吐出ヘッド32K、32M、32Yの各々、及び吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々のいずれかを、第一、第二、第三形成手段の各々の一例と把握してもよい。
【0047】
また、吐出ヘッド32Kを第一形成手段の一例と把握し、吐出ヘッド32C、32M、32Yのうち、いずれか1つ又は2つを第二形成手段の一例と把握してもよい。また、吐出ヘッド32Cを第一形成手段の一例と把握し、吐出ヘッド32M、32Yのうち、いずれか1つ又は2つを第二形成手段の一例と把握してもよい。また、吐出ヘッド32Mを第一形成手段の一例と把握し、吐出ヘッド32Yを第二形成手段の一例と把握してもよい。
【0048】
(検知部40C、40M、40Y)
図1に示される検知部40C、40M、40Y(以下、40C~40Yという)は、連続紙Pに形成された画像を検知する検知部である。検知部40C~40Yは、一例として、反射型の光センサで構成されている。
【0049】
検知部40C~40Yは、
図1に示されるように、連続紙Pの画像領域Rの幅以上の長さを有している。換言すれば、検知部40C~40Yの検知範囲が、連続紙Pの画像領域Rの幅以上の長さを有している。具体的には、検知部40C~40Yは、連続紙Pの幅以上の長さを有している。すなわち、検知部40C~40Yの検知範囲が、連続紙Pの幅以上の長さを有している。連続紙Pの幅とは、紙幅方向に沿った長さである。
【0050】
本実施形態では、検知部40C~40Yは、吐出ヘッド32K~32Yの間に配置されている。具体的には、検知部40Cは、搬送方向において、吐出ヘッド32Kと吐出ヘッド32Cとの間に配置されている。すなわち、検知部40Cは、吐出ヘッド32Kに対する搬送方向下流側であって、吐出ヘッド32Cに対する搬送方向上流側に配置されている。なお、検知部40Cは、吐出ヘッド32K及び吐出ヘッド32Cに対して距離が等しい位置、又は、吐出ヘッド32K及び吐出ヘッド32Cの一方に接近した位置に配置されていてもよい。
【0051】
検知部40Mは、搬送方向において、吐出ヘッド32Cと吐出ヘッド32Mとの間に配置されている。すなわち、検知部40Mは、吐出ヘッド32Cに対する搬送方向下流側であって、吐出ヘッド32Mに対する搬送方向上流側に配置されている。なお、検知部40Mは、吐出ヘッド32C及び吐出ヘッド32Mに対して距離が等しい位置、又は、吐出ヘッド32C及び吐出ヘッド32Mの一方に接近した位置に配置されていてもよい。
【0052】
検知部40Yは、搬送方向において、吐出ヘッド32Mと吐出ヘッド32Yとの間に配置されている。すなわち、検知部40Yは、吐出ヘッド32Mに対する搬送方向下流側であって、吐出ヘッド32Yに対する搬送方向上流側に配置されている。なお、検知部40Yは、吐出ヘッド32M及び吐出ヘッド32Yに対して距離が等しい位置、又は、吐出ヘッド32M及び吐出ヘッド32Yの一方に接近した位置に配置されていてもよい。
【0053】
検知部40C、40M、40Yは、検知手段の一例である。具体的には、吐出ヘッド32Cを第二形成手段の一例と把握した場合に、検知部40Cが、検知手段又は第一検知手段の一例と把握される。また、吐出ヘッド32Mを第二形成手段の一例と把握した場合に、検知部40Mが、検知手段又は第一検知手段の一例と把握される。また、吐出ヘッド32Yを第二形成手段の一例と把握した場合に、検知部40Yが、検知手段の一例と把握される。
【0054】
さらに、吐出ヘッド32Mを第三形成手段の一例と把握した場合に、検知部40Mが、第二検知手段の一例と把握される。吐出ヘッド32Yを第三形成手段の一例と把握した場合に、検知部40Yが、第二検知手段の一例と把握される。
【0055】
(制御装置50)
図2は、本実施形態に係る制御装置50のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2に示される制御装置50は、インクジェット記録装置10の各部(例えば、搬送機構20及び画像形成部30等)の動作を制御する装置である。具体的には、制御装置50は、
図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)51と、メモリ52と、ストレージ53と、通信インタフェース54と、入力部55と、を有している。制御装置50の各部は、バス59を介して相互に通信可能に接続されている。
【0056】
ストレージ53は、制御プログラムを含む各種プログラムと、制御データを含む各種データと、を格納する。制御プログラムは、CPU51を含んで構成されるコンピュータを制御装置50として機能させるプログラムである。ストレージ53は、具体的には、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及びフラッシュメモリ等の記録装置により実現される。
【0057】
メモリ52は、CPU51が各種プログラムを実行するための作業領域であり、CPU51が処理を実行する際に一時的に各種プログラム又は各種データを記録する。CPU51は、ストレージ53から制御プログラムを含む各種プログラムをメモリ52に読み出し、メモリ52を作業領域としてプログラムを実行する。
【0058】
通信インタフェース54は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース54は、有線又は無線の各種の通信回線を用いた通信により、外部の装置との間で各種データの送受信を行う。
【0059】
入力部55は、使用者により、各種の入力操作が行われる機能部である。入力部55は、具体的には、キーボード等の機械的な操作キーや、タッチパネルなどで構成されている。
【0060】
制御装置50において、CPU51は制御プログラムを実行することにより、インクジェット記録装置10を制御する各種の機能を実現する。以下、ハードウェア資源としてのCPU51とソフトウェア資源としての制御プログラムの協働によって実現される機能構成について説明する。
図3は、CPU51の機能構成を示すブロック図である。
【0061】
図3に示されるように、制御装置50において、CPU51は、制御プログラムを実行することにより、取得部51A、抽出部51B、検出部51C、制御部51D及び受付部51Eとして機能する。抽出部51Bは抽出手段の一例であり、検出部51Cは検出手段の一例であり、受付部51Eは受付手段の一例である。
【0062】
(取得部51A)
取得部51Aは、画像形成に係るジョブを実行するジョブ実行指示と、該ジョブに関するジョブ情報と、を取得する。
【0063】
具体的には、取得部51Aは、例えば、通信インタフェース54を通じて、外部の装置からジョブ実行指示及びジョブ情報を受信することで、ジョブ実行指示及びジョブ情報を取得する。
【0064】
ジョブとは、一回の画像形成の実行指示によって実行される画像形成動作の処理単位をいう。ジョブ情報には、少なくとも、加工用のマーク(以下、「加工用マーク」という)を付すか否かの情報、及び画像データが含まれる。
【0065】
加工用マークは、連続紙Pの加工に用いられるマークであり、予め定められたマークとされている。具体的には、加工用マークは、予め定められた形状、大きさのマークとされている。本実施形態では、加工用マークは、連続紙Pの裁断位置を示すマーク(いわゆるトンボマーク)である。本実施形態では、加工用マークは、一例として、搬送方向に沿った予め定められた太さ且つ長さの線と、紙幅方向に沿った予め定められた太さ且つ長さの線とが、交差して構成されている。さらに、加工用マークは、最上流側に配置された吐出ヘッド32KによるK画像により形成されるマークとされている。
【0066】
なお、連続紙Pの裁断は、一例として、画像が形成された後に、インクジェット記録装置10とは別の裁断装置において、後工程として実行される。該裁断装置では、加工用マークをセンサ等により読み取って、加工用マークに合わせて連続紙Pを裁断する。裁断された連続紙Pは、例えば製本される。
【0067】
加工用マークの画像データは、ストレージ53に記録されており、取得部51Aが加工用マークを付す情報を取得した場合には、CPU51は、ジョブ情報に加工用マークの画像データを追加する。
【0068】
このように、ジョブ情報における画像データとは、ユーザにより生成された画像データと、制御装置50が予め有する画像データと、が含まれる。なお、加工用マークとしては、ユーザにより生成された画像データを用いてもよい。
【0069】
なお、原稿を読取装置(具体的にはスキャナ)で読み取ることで、ジョブ実行指示及びジョブ情報が生成され、該ジョブ実行指示及び該ジョブ情報を取得部51Aが取得してもよい。また、取得部51Aは、入力部55を通じてジョブ実行指示及びジョブ情報が入力されることで、ジョブ実行指示及びジョブ情報を取得してもよい。
【0070】
(抽出部51B)
抽出部51Bは、ジョブの画像データから位置検知用の画像を抽出する。具体的には、抽出部51Bは、取得部51Aが取得したジョブ情報に含まれる画像データから、検知部40C、40M、40Yの検知対象となる検知用画像(位置検知用の画像の一例)を抽出する。
【0071】
抽出部51Bは、ジョブの画像データに加工用マークが含まれる場合には、加工用マークを検知部40C、40M、40Yで検知する検知用画像として抽出する。本実施形態では、抽出部51Bは、画像データに加工用マークが含まれる場合には、加工用マークを他の画像(加工用マーク以外の画像)よりも優先して抽出する。
【0072】
抽出部51Bは、ジョブの画像データに加工用マークが含まれない場合において、ジョブに画像データに、K画像のみで構成されたK単独画像が含まれる場合に、K単独画像を検知部40C、40M、40Yで検知する検知用画像として抽出する。
【0073】
単独画像とは、予め定められた領域において、最下流側にある検知部40Yで検知されるまでの間、他の色の画像が形成されずに、一色の画像で構成される画像である。したがって、K単独画像とは、予め定められた領域において、C画像及びM画像が形成されずに、最下流側にある検知部40Yで検知されるまでの間、K画像のみで構成される画像である。なお、Y画像は、最下流側にある検知部40Yで検知された後に形成されるので、予め定められた領域においてK画像とY画像との二色で構成される画像も、K単独画像に含まれる。また、加工用マークも単独画像と把握することも可能である。予め定められた領域は、一例として、搬送方向及び紙幅方向の各々において、インクの10ドット分(長さにして例えば、0.4mm程度)の領域とされる。予め定められた領域は、上記の領域に限られず、インクの複数ドット分以上の領域であればよく、検知部40C、40M、40Yの検出能力によって設定される。
【0074】
また、抽出部51Bは、ジョブの画像データにK単独画像が含まれない場合には、K画像(以下、「K検知画像」という)を、検知部40Cで検知する検知用画像として抽出する。K検知画像は、予め定められた領域において、最下流側にある検知部40Yで検知されるまでに、他の色の画像(具体的には、C画像及びM画像の少なくとも1つ)が重ねられる画像である。なお、K検知画像は、検知部40Cで検知される際には、他の色の画像が形成される前であるため、単独で存在する状態にある。K検知画像は、第一画像の一例である。
【0075】
抽出部51Bは、ジョブの画像データにK単独画像が含まれない場合において、ジョブの画像データに、C画像のみで構成されたC単独画像が含まれる場合に、C単独画像を検知部40M、40Yで検知する検知用画像として抽出する。抽出部51Bは、ジョブの画像データにC単独画像が含まれない場合に、C画像(以下、「C検知画像」という)を、検知部40Mで検知する検知用画像として抽出する。C検知画像は、予め定められた領域において、最下流側にある検知部40Yで検知されるまでに、他の色の画像(具体的には、K画像及びM画像の少なくとも1つ)と重ねられる画像である。なお、C検知画像は、検知部40Mで検知される際には、K画像と重ねられた状態、又は、単独で存在する状態にある。C検知画像は、第二画像の一例である。
【0076】
抽出部51Bは、ジョブの画像データにC単独画像が含まれない場合において、ジョブの画像データに、M画像のみで構成されたM単独画像が含まれる場合に、M単独画像を検知部40Yで検知する検知用画像として抽出する。抽出部51Bは、ジョブの画像データにM単独画像が含まれない場合に、M画像(以下、「M検知画像」という)を、検知部40Yで検知する検知用画像として抽出する。M検知画像は、予め定められた領域において、検知部40Yで検知されるまでに、他の色の画像(具体的には、K画像及びC画像の少なくとも1つ)と重ねられる画像である。なお、該M画像は、検知部40Yで検知される際には、K画像及びC画像の少なくとも1つと重ねられている状態にある。以下では、抽出部51Bが検知用画像として抽出した画像を抽出画像という場合がある。
【0077】
(検出部51C)
検出部51Cは、検知部40C、40M、40Yの各々が検知した抽出画像の位置と、ジョブの画像データにおける抽出画像の位置とから、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置(画像形成位置の一例)の補正量を検出する。具体的な検出処理については、後述する。
【0078】
(制御部51D)
制御部51Dは、吐出ヘッド32K~32Yの各々の駆動を制御する機能を有している。具体的には、制御部51Dは、吐出ヘッド32Kの駆動を制御し、ジョブの画像データに基づきK画像を形成する処理を行う。
【0079】
また、制御部51Dは、検出部51Cが検出した吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量に基づき、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の駆動を制御し、ジョブの画像データに基づき、C画像、M画像及びY画像の各々を形成する処理を行う。すなわち、制御部51Dは、検出部51Cが検出した吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量に基づき、吐出ヘッド32C、32M、32Yの吐出位置を補正する。具体的な画像形成処理については、後述する。なお、制御部51Dは、補正手段の一例である。
【0080】
(受付部51E)
受付部51Eは、検知用画像を指定する指示を受け付ける機能を有している。受付部51Eは、例えば、ユーザにより、通信インタフェース54を通じて、外部の装置から、検知部40C、40M、40Yの各々で検知する検知用画像を指定する指示を受信することで、該指示を受け付ける。受付部51Eが、該指示を受け付けた場合では、抽出部51Bによる抽出処理は、行われない。
【0081】
(本実施形態の制御処理)
次に、本実施形態の制御処理の一例について説明する。
図4は、制御装置50によって実行される制御処理の流れを示すフローチャートである。
【0082】
CPU51は、ジョブ実行指示及びジョブ情報を取得すると、ストレージ53から制御プログラムを読み出して、本制御処理の実行を開始する。
【0083】
図4に示されるように、本制御処理が開始されると、CPU51は、まず、検知部40C、40M、40Yの検知対象となる検知用画像を、ジョブの画像データから抽出する抽出処理を実行する(ステップS101)。次に、CPU51は、ジョブの画像データに基づきK画像を形成するK画像形成処理を実行する(ステップS102)。
【0084】
次に、CPU51は、吐出ヘッド32Cの吐出位置の補正量を検出する補正量検出処理を実行する(ステップS103)。次に、CPU51は、吐出ヘッド32Cにおける補正量検出処理にて検出した補正量に基づき吐出ヘッド32Cの吐出位置を補正し、ジョブの画像データに基づきC画像を形成するC画像形成処理を実行する(ステップS104)。
【0085】
次に、CPU51は、吐出ヘッド32Mの吐出位置の補正量を検出する補正量検出処理を実行する(ステップS105)。次に、CPU51は、吐出ヘッド32Mにおける補正量検出処理にて検出した補正量に基づき吐出ヘッド32Mの吐出位置を補正し、ジョブの画像データに基づきM画像を形成するM画像形成処理を実行する(ステップS106)。
【0086】
次に、CPU51は、吐出ヘッド32Yの吐出位置の補正量を検出する補正量検出処理を実行する(ステップS107)。次に、CPU51は、吐出ヘッド32Yにおける補正量検出処理にて検出した補正量に基づき吐出ヘッド32Yの吐出位置を補正し、ジョブの画像データに基づきY画像を形成するY画像形成処理を実行する(ステップS108)。
【0087】
なお、抽出処理(ステップS101)は、吐出ヘッド32Cにおける補正量検出処理(ステップS103)の実行前に実行すればよく、K画像形成処理(ステップS102)の実行後に実行してもよい。以下、各処理の具体的な内容について説明する。
【0088】
(抽出処理)
図5は、制御装置50が実行する抽出処理(
図4のステップS101)の流れを示すフローチャートである。
【0089】
CPU51は、
図5に示されるように、抽出処理の実行を開始すると、ジョブの画像データに加工用マークが含まれるか否かを判定する(ステップS201)。
【0090】
CPU51は、
図6に示されるように、ジョブの画像データに加工用マークが含まれる場合に(ステップS201:YES)、加工用マークを、検知部40C、40M、40Yで検知する検知用画像として抽出し(ステップS202)、抽出処理を終了する。なお、
図6を含む後述の
図7~10では、ジョブの画像データが連続紙P上で可視化された状態を示している。
【0091】
CPU51は、ジョブの画像データに加工用マークが含まれない場合には(ステップS201:NO)、
図7に示されるように、画像データの画像を各色の画像に分解する(ステップS203)。なお、
図7では、K画像が文字で構成されている。また、
図7では、C画像を縦線で示し、M画像を横線で示し、Y画像をドットで示している。
【0092】
次に、CPU51は、ジョブの画像データに、K画像のみで構成されたK単独画像が含まれるか否かを判定する(ステップS204)。CPU51は、
図8に示されるように、ジョブの画像データにK単独画像が含まれる場合に(ステップS204:YES)、K単独画像を、検知部40C、40M、40Yで検知する検知用画像として抽出し(ステップS205)、抽出処理を終了する。なお、K単独画像は、
図8において、二点鎖線で囲まれた画像である。
【0093】
CPU51は、
図9に示されるように、ジョブの画像データにK単独画像が含まれない場合には(ステップS204:NO)、K検知画像を、検知部40Cで検知する検知用画像として抽出する(ステップS206)。なお、
図9において一点鎖線で囲まれた画像をK検知画像として用いることが可能である。
【0094】
次に、CPU51は、ジョブの画像データに、C画像のみで構成されたC単独画像が含まれるか否かを判定する(ステップS207)。CPU51は、
図9に示されるように、ジョブの画像データにC単独画像が含まれる場合に(ステップS207:YES)、C単独画像を、検知部40M、40Yで検知する検知用画像として抽出し(ステップS208)、抽出処理を終了する。なお、C単独画像は、
図9において、二点鎖線で囲まれた画像である。
【0095】
CPU51は、
図10に示されるように、ジョブの画像データにC単独画像が含まれない場合には(ステップS207:NO)、C検知画像を、検知部40Mで検知する検知用画像として抽出する(ステップS209)。なお、
図10において一点鎖線で囲まれた画像をC検知画像として用いることが可能である。
図10において一点鎖線で囲まれた画像はK検知画像としても用いることが可能である。
【0096】
次に、CPU51は、ジョブの画像データに、M画像のみで構成されたM単独画像が含まれるか否かを判定する(ステップS210)。CPU51は、
図10に示されるように、ジョブの画像データにM単独画像が含まれる場合に(ステップS210:YES)、M単独画像を、検知部40Yで検知する検知用画像として抽出し(ステップS211)、抽出処理を終了する。なお、M単独画像は、
図10において、二点鎖線で囲まれた画像である。
【0097】
CPU51は、ジョブの画像データにM単独画像が含まれない場合には(ステップS210:NO)、M検知画像を、検知部40Yで検知する検知用画像として抽出し(ステップS212)、抽出処理を終了する。
【0098】
本実施形態では、前述のように、CPU51は、ジョブの画像データに加工用マークが含まれるか否かの判定(ステップS201)を、ジョブの画像データに他の画像(例えば、K単独画像、C単独画像及びM単独画像)が含まれるか否かの判定(後述のステップS204、S207、S210)よりも先に行う。そして、CPU51は、ジョブの画像データに加工用マークが含まれる場合に(ステップS201:YES)、加工用マークを検知部40C、40M、40Yで検知する検知用画像として抽出する(ステップS202)。すなわち、CPU51は、ジョブの画像データに加工用マークが含まれる場合には、加工用マークを他の画像(例えば、K単独画像等)よりも優先して抽出する。
【0099】
(K画像形成処理)
CPU51は、ジョブの画像データのK画像に基づき、吐出ヘッド32Kの吐出制御を行う。これにより、吐出ヘッド32Kがブラック(K)のインク滴を連続紙Pに吐出して、連続紙PにK画像を形成する。該K画像には、抽出処理によって抽出された抽出画像を含んでいる。換言すれば、吐出ヘッド32Kは、抽出処理によって抽出された抽出画像を連続紙Pに形成する。この抽出画像を含むK画像は、検知部40Cによって検知される。なお、吐出ヘッド32Kによって形成される抽出画像は、加工用マーク(ステップS202参照)、K単独画像(ステップS205参照)、及びK検知画像(ステップS206参照)のいずれかである。
【0100】
(吐出ヘッド32Cにおける補正量検出処理)
CPU51は、検知部40Cが検知した抽出画像の位置と、ジョブの画像データにおける抽出画像の位置とから、吐出ヘッド32Cの吐出位置の補正量を検出する。具体的には、CPU51は、一例として、以下のように、吐出ヘッド32Cの吐出位置の搬送方向における補正量を検出する。
【0101】
まず、CPU51は、
図11に示されるように、画像データにおける抽出画像の位置から基準タイミングを求める(ステップS301)。基準タイミングは、検知部40Cが抽出画像を検出するタイミングの基準となるタイミングである。すなわち、検知部40Cが、抽出画像を基準タイミングで検出した場合には、吐出ヘッド32Cの搬送方向における吐出位置の補正が不要となる(すなわち、補正量が0となる)。換言すれば、基準タイミングは、連続紙Pに搬送方向での変動が発生していない場合に、検知部40Cが抽出画像を検知するタイミングともいえる。
【0102】
なお、連続紙Pの搬送方向での変動とは、連続紙Pが早く又は遅く搬送される状態であり、K画像が吐出ヘッド32Cの吐出位置へ到達するタイミングが早く又は遅くなる状態である。連続紙Pの搬送方向での変動は、例えば、連続紙Pの伸びや連続紙Pの張力の変動などにより発生する。連続紙Pの伸びは、例えば、連続紙Pがインクを含んで膨潤することで発生する。
【0103】
次に、CPU51は、検知部40Cが実際に抽出画像を検知した検知タイミングと、基準タイミングと、が一致するか否かを判定する(ステップS302)。CPU51は、検知タイミングと基準タイミングとが一致する場合は(ステップS302:YES)、補正量を0と検知する(ステップS303)。すなわち、CPU51は、補正不要と判定する。
【0104】
CPU51は、検知タイミングと基準タイミングとが一致しない場合は(ステップS302:NO)、検知タイミングと基準タイミングとの差分を補正量として検出する(ステップS304)。具体的には、例えば、検知タイミングが、基準タイミングよりも遅れた場合では、その遅れ分を補正量として検出する。例えば、検知タイミングが、基準タイミングよりも早まった場合では、その早まった分を補正量として検出する。
【0105】
このように、CPU51は、検知部40Cが実際に抽出画像を検知した検知タイミングと、基準タイミングと、から吐出ヘッド32Cの吐出タイミングの補正量を検出する。
【0106】
CPU51は、紙幅方向における補正量については、一例として、以下のように、検出する。
【0107】
まず、CPU51は、画像データにおける抽出画像の位置から紙幅方向における基準位置を求める(ステップS401)。基準位置は、検知部40Cが抽出画像を検出する紙幅方向の基準となる位置である。すなわち、検知部40Cが、抽出画像を基準位置で検出した場合には、吐出ヘッド32Cの紙幅方向における吐出位置の補正が不要となる(すなわち、補正量が0となる)。換言すれば、基準位置は、連続紙Pに紙幅方向での変動が発生していない場合に、検知部40Cが抽出画像を検知する検知位置ともいえる。
【0108】
なお、連続紙Pの紙幅方向での変動とは、連続紙Pが紙幅方向の一方へずれた状態である。連続紙Pの紙幅方向での変動は、例えば、連続紙Pの蛇行により発生する。
【0109】
次に、CPU51は、検知部40Cが実際に抽出画像を検知した検知位置と、基準位置と、が一致するか否かを判定する(ステップS402)。CPU51は、検知位置と基準位置とが一致する場合は(ステップS402:YES)、補正量を0と検出する(ステップS403)。すなわち、CPU51は、補正不要と判定する。
【0110】
CPU51は、検知位置と基準位置とが一致しない場合は(ステップS402:NO)、検知位置と基準位置との差分を補正量として検出する(ステップS404)。具体的には、例えば、検知位置が、基準位置よりも紙幅方向の一方へずれている場合では、そのずれ分を補正量として検出する。
【0111】
(C画像形成処理)
CPU51は、補正量検出処理によって検出した吐出ヘッド32Cの吐出位置の補正量に基づき、吐出ヘッド32Cの駆動を制御し、ジョブの画像データに基づくC画像を形成する処理を行う。
【0112】
具体的には、CPU51は、補正量検出処理によって検出された吐出ヘッド32Cの吐出タイミングの補正量に基づき、吐出ヘッド32Cの吐出タイミングを制御する。また、CPU51は、補正量検出処理によって検出された吐出ヘッド32Cの吐出位置の補正量に基づき、インク滴を吐出するノズルを変更することで、吐出ヘッド32Cの吐出位置を紙幅方向にずらす。これにより、吐出ヘッド32Cがシアン(C)のインク滴を連続紙Pに吐出して、連続紙PにC画像を形成する。このように、CPU51は、補正量検出処理によって検出された吐出ヘッド32Cの吐出位置の補正量に基づき、吐出ヘッド32Cの吐出位置を補正する。
【0113】
なお、吐出ヘッド32C自体を紙幅方向に移動させることで、吐出ヘッド32Cの吐出位置を紙幅方向にずらす構成であってもよい。
【0114】
抽出処理において、C単独画像(ステップS208参照)又はC検知画像(ステップS209参照)が抽出されている場合には、連続紙Pに形成されたC画像には、抽出画像としてのC単独画像又はC検知画像を含んでいる。すなわち、この場合では、吐出ヘッド32Cは、抽出処理によって抽出された抽出画像を連続紙Pに形成する。この抽出画像を含むC画像は、検知部40Mによって検知される。
【0115】
なお、抽出処理において、加工用マーク(ステップS202参照)又はK単独画像(ステップS205参照)が、検知用画像として抽出されている場合には、C単独画像(ステップS208参照)及びC検知画像(ステップS209参照)は検出用画像としては、抽出されない。この場合では、検知部40Mによって加工用マーク(ステップS202参照)又はK単独画像(ステップS205参照)が、検知される。
【0116】
なお、本実施形態では、連続紙Pにおける検知用画像が形成されたページにおいて、補正量に基づく画像形成処理が実行される。連続紙Pにおける検知用画像が形成されたページの次ページ以降に対して、補正量に基づく画像形成処理を実行してもよい。
【0117】
(吐出ヘッド32Mにおける補正量検出処理)
CPU51は、検知部40Mが検知した抽出画像の位置と、ジョブの画像データにおける抽出画像の位置とから、吐出ヘッド32Mの吐出位置の補正量を検出する。具体的には、CPU51は、前述の吐出ヘッド32Cにおける補正量検出処理の場合と同様に、吐出ヘッド32Mの吐出位置の搬送方向における補正量を検出する(
図11参照)。
【0118】
また、CPU51は、前述の吐出ヘッド32Cにおける補正量検出処理の場合と同様に、吐出ヘッド32Mの吐出位置の紙幅方向における補正量を検出する(
図12参照)。
【0119】
(M画像形成処理)
CPU51は、補正量検出処理によって検出した吐出ヘッド32Mの吐出位置の補正量に基づき、吐出ヘッド32Mの駆動を制御し、ジョブの画像データに基づくM画像を形成する処理を行う。
【0120】
具体的には、CPU51は、補正量検出処理によって検出された吐出ヘッド32Mの吐出タイミングの補正量に基づき、吐出ヘッド32Mの吐出タイミングを制御する。また、CPU51は、補正量検出処理によって検出された吐出ヘッド32Mの吐出位置の補正量に基づき、インク滴を吐出するノズルを変更することで、吐出ヘッド32Mの吐出位置を紙幅方向にずらす。これにより、吐出ヘッド32Mがマゼンタ(M)のインク滴を連続紙Pに吐出して、連続紙PにM画像を形成する。このように、CPU51は、補正量検出処理によって検出された吐出ヘッド32Mの吐出位置の補正量に基づき、吐出ヘッド32Mの吐出位置を補正する。
【0121】
なお、吐出ヘッド32M自体を紙幅方向に移動させることで、吐出ヘッド32Mの吐出位置を紙幅方向にずらす構成であってもよい。
【0122】
抽出処理において、M単独画像(ステップS211参照)又はM検知画像(ステップS212参照)が抽出されている場合には、連続紙Pに形成されたM画像には、抽出画像としてのM単独画像又はM検知画像を含んでいる。すなわち、この場合では、吐出ヘッド32Mは、抽出処理によって抽出された抽出画像を連続紙Pに形成する。この抽出画像を含むM画像は、検知部40Yによって検知される。
【0123】
なお、抽出処理において、加工用マーク(ステップS202参照)、K単独画像(ステップS205参照)及びC単独画像(ステップS208参照)のいずれかが、検知用画像として抽出されている場合には、M単独画像(ステップS211参照)及びM検知画像(ステップS212参照)は検出用画像としては、抽出されない。この場合では、検知部40Yによって、加工用マーク(ステップS202参照)、K単独画像(ステップS205参照)及びC単独画像(ステップS208参照)のいずれかが、検知される。
【0124】
なお、本実施形態では、連続紙Pにおける検知用画像が形成されたページにおいて、補正量に基づく画像形成処理が実行される。連続紙Pにおける検知用画像が形成されたページの次ページ以降に対して、補正量に基づく画像形成処理を実行してもよい。
【0125】
(吐出ヘッド32Yにおける補正量検出処理)
CPU51は、検知部40Yが検知した抽出画像の位置と、ジョブの画像データにおける抽出画像の位置とから、吐出ヘッド32Yの吐出位置の補正量を検出する。具体的には、CPU51は、前述の吐出ヘッド32Cにおける補正量検出処理の場合と同様に、吐出ヘッド32Yの吐出位置の搬送方向における補正量を検出する(
図11参照)。
【0126】
また、CPU51は、前述の吐出ヘッド32Cにおける補正量検出処理の場合と同様に、吐出ヘッド32Yの吐出位置の紙幅方向における補正量を検出する(
図12参照)。
【0127】
(Y画像形成処理)
CPU51は、補正量検出処理によって検出した吐出ヘッド32Yの吐出位置の補正量に基づき、吐出ヘッド32Yの駆動を制御し、ジョブの画像データに基づくY画像を形成する処理を行う。
【0128】
具体的には、CPU51は、補正量検出処理によって検出された吐出ヘッド32Yの吐出タイミングの補正量に基づき、吐出ヘッド32Yの吐出タイミングを制御する。また、CPU51は、補正量検出処理によって検出された吐出ヘッド32Yの吐出位置の補正量に基づき、インク滴を吐出するノズルを変更することで、吐出ヘッド32Yの吐出位置を紙幅方向にずらす。これにより、吐出ヘッド32Yがイエロー(Y)のインク滴を連続紙Pに吐出して、連続紙PにY画像を形成する。このように、CPU51は、補正量検出処理によって検出された吐出ヘッド32Yの吐出位置の補正量に基づき、吐出ヘッド32Yの吐出位置を補正する。
【0129】
なお、本実施形態では、連続紙Pにおける検知用画像が形成されたページにおいて、補正量に基づく画像形成処理が実行される。連続紙Pにおける検知用画像が形成されたページの次ページ以降に対して、補正量に基づく画像形成処理を実行してもよい。
【0130】
また、吐出ヘッド32Y自体を紙幅方向に移動させることで、吐出ヘッド32Yの吐出位置を紙幅方向にずらす構成であってもよい。
【0131】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
【0132】
本実施形態によれば、ジョブの画像データから検知用画像を抽出し、その抽出画像の検知結果を利用して、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量を検出する。換言すれば、本実施形態では、ジョブ実行の指示によってジョブの画像データに基づき連続紙Pの画像領域Rに形成される画像を用いて、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量を検出する。
【0133】
ここで、検知専用のマークを連続紙Pに形成する構成(以下、第1構成という)では、連続紙Pに形成した検知専用のマークを検知した検知結果を用いて、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量を検出する。第1構成では、
図13に示されるように、画像領域Rとは別に検知専用のマークM1を形成する領域N1を設ける必要があるため、領域N1を設ける分、画像領域Rが狭くなる。
【0134】
これに対して、本実施形態では、前述のように、ジョブ実行の指示によってジョブの画像データに基づき連続紙Pの画像領域Rに形成される画像を用いて、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量を検出するので、ユーザが利用可能な画像領域Rが大きくなる。
【0135】
また、本実施形態では、吐出ヘッド32Kの吐出により形成された加工用マーク(ステップS202参照)又はK単独画像(ステップS205参照)を検出用画像として抽出した場合では、検知部40C、40M、40Yの各々がその抽出画像を検知する。そして、検知部40C、40M、40Yの各々が検知した抽出画像の位置と、ジョブの画像データにおける抽出画像の位置とから、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量を検出する(ステップS103、S105、S107)。このため、吐出ヘッド32Kが形成する画像に対して、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々が形成する画像が位置合わせされる。
【0136】
また、本実施形態では、
図5に示されるように、ジョブの画像データにK単独画像が含まれる場合に(ステップS204:YES)、K単独画像を、検知部40C、40M、40Yで検知する検知用画像として抽出する(ステップS205)。そして、検知部40C、40M、40Yの各々が検知した抽出画像の位置と、ジョブの画像データにおける抽出画像の位置とから、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量を検出する(ステップS103、S105、S107)。
【0137】
ここで、吐出ヘッド32KによるK画像と吐出ヘッド32CによるC画像とが重なった画像を検知用画像として抽出する構成(以下、第2構成という)では、吐出ヘッド32Kの吐出位置と吐出ヘッド32Cの吐出位置とがずれていると、位置ずれした状態で重ねられた画像を検知することになる。このため、吐出ヘッド32M、32Yの各々の吐出位置の補正量に検出誤差が生じる場合がある。
【0138】
これに対して、K単独画像を、検知部40C、40M、40Yで検知する検知用画像として抽出する場合では、吐出ヘッド32K単独で形成された画像を用いるため、第2構成に比べ、補正量の検出誤差が抑制される。
【0139】
また、本実施形態では、ジョブの画像データにK単独画像が含まれない場合には(ステップS204:NO)、K検知画像を、検知部40Cで検知する検知用画像として抽出する(ステップS206)。そして、検知部40Cが検知した抽出画像の位置と、ジョブの画像データにおける抽出画像の位置とから、吐出ヘッド32Cの吐出位置の補正量を検出する(ステップS103)。さらに、C単独画像(ステップS208)又はC検知画像(ステップS209)を抽出し、検知部40Mが検知した抽出画像の位置と、ジョブの画像データにおける抽出画像の位置とから、吐出ヘッド32Mの吐出位置の補正量を検出する(ステップS105)。
【0140】
この場合では、吐出ヘッド32Kが形成するK画像に対して、吐出ヘッド32Cが形成するC画像が位置合わせされ、吐出ヘッド32Cが形成するC画像に対して、吐出ヘッド32Mが形成するM画像が位置合わせされる。
【0141】
本実施形態では、ジョブの画像データに加工用マークが含まれる場合に(ステップS201:YES)、加工用マークを、検知部40C、40M、40Yで検知する検知用画像として抽出する(ステップS202)。加工用マークは、連続紙Pの加工に用いられるマークであり、予め定められたマークとされている。また、本実施形態では、加工用マークは、ストレージ53に記録された既定のマークである。
【0142】
このため、加工用マーク以外の画像(例えば、ユーザにより指定された画像)のみを検知用画像として抽出する構成に比べ、検知用画像の抽出処理が簡便となる。
【0143】
また、本実施形態では、CPU51は、ジョブの画像データに加工用マークが含まれる場合には、加工用マークを他の画像(例えば、K単独画像等)よりも優先して抽出する。このため、他の画像を優先して抽出する構成に比べ、検知用画像の抽出処理が簡便となる。
【0144】
(抽出処理の変形例)
本実施形態では、CPU51は、ジョブの画像データにK単独画像が含まれる場合に(ステップS204:YES)、K単独画像を、検知部40C、40M、40Yで検知する検知用画像として抽出していたが(ステップS205)、これに限られない。例えば、CPU51は、ジョブの画像データにK単独画像が含まれるか否かの判定(ステップS204)を行わずに、K検知画像を、検知部40Cで検知する検知用画像として抽出してもよい(ステップS206)。すなわち、CPU51は、ジョブの画像データにK単独画像が含まれるか否かに関わらず、K検知画像を、検知部40Cで検知する検知用画像として抽出してもよい。
【0145】
CPU51は、同様に、ジョブの画像データにC単独画像が含まれる場合に(ステップS207:YES)、C単独画像を、検知部40M、40Yで検知する検知用画像として抽出していたが(ステップS208)、これに限られない。例えば、CPU51は、ジョブの画像データにC単独画像が含まれるか否かの判定(ステップS207)を行わずに、C検知画像を、検知部40Mで検知する検知用画像として抽出してもよい(ステップS209)。すなわち、CPU51は、ジョブの画像データにC単独画像が含まれるか否かに関わらず、C検知画像を、検知部40Mで検知する検知用画像として抽出してもよい。
【0146】
さらに、CPU51は、同様に、ジョブの画像データにM単独画像が含まれる場合に(ステップS210:YES)、M単独画像を、検知部40Yで検知する検知用画像として抽出していたが(ステップS211)、これに限られない。例えば、CPU51は、ジョブの画像データにM単独画像が含まれるか否かの判定(ステップS210)を行わずに、M検知画像を、検知部40Yで検知する検知用画像として抽出してもよい(ステップS212)。すなわち、CPU51は、ジョブの画像データにM単独画像が含まれるか否かに関わらず、M検知画像を、検知部40Yで検知する検知用画像として抽出してもよい。
【0147】
また、本実施形態では、制御装置50は、検知用画像を指定する指示を受け付ける受付部51Eを有している。このため、ユーザによって、検知用画像を指定可能となる。
【0148】
また、本実施形態では、検知部40C~40Yは、連続紙Pの画像領域Rの幅以上の長さを有している。このため、検知用画像が画像領域Rの幅方向のどの位置に形成されても検知用画像が検知可能となる。
【0149】
さらに、具体的には、検知部40C~40Yは、連続紙Pの幅以上の長さを有している。このため、検知用画像が画像領域Rからはみ出して連続紙Pに形成された場合でも、検知用画像が検知可能となる。
【0150】
(吐出ヘッド32C、32M、32Yにおける補正量検出処理の変形例)
検知部40C、40M、40Yの各々が検知した抽出画像の位置と、ジョブの画像データにおける抽出画像の位置とから、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量を検出していたが、これに限られない。例えば、検知部40C、40M、40Yの各々が検知した抽出画像の形状と、ジョブの画像データにおける抽出画像の形状とから、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量を検出してもよい。
【0151】
具体的には、ジョブの画像データにおけるK画像(例えば、K単独画像)の特徴部(形状に特徴がある部分)を抽出し、該抽出画像の形状に基づき、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量を検出してもよい。特徴部としては、環状に形成された部分(例えば、
図14において二点鎖線で囲まれた部分)が挙げられる。
【0152】
また、例えば、検知用画像として、紙幅方向に離れた2点の画像(例えば、
図14において破線で囲まれた部分)を抽出してもよい。この場合では、検知部40C、40M、40Yの各々が検知した2点の抽出画像の位置と、ジョブの画像データにおける2点の抽出画像の位置とから、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々のスキュー(傾き)の補正量を検出してもよい。
【0153】
このように、抽出画像から吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量を検出できればよく、補正量の検出方式は、公知の方式を含む種々の方式を用いることが可能である。
【0154】
《第2実施形態》
次に、第2実施形態に係るインクジェット記録装置200について説明する。
図15は、第2実施形態に係るインクジェット記録装置200の構成を示す概略図である。なお、第1実施形態と同一に構成された部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0155】
第1実施形態では、検知部40C、40M、40Yの各々が、吐出ヘッド32K~32Yの各々の間に配置されていたが、本実施形態では、単一の検知部240が、搬送方向の最下流側に配置された吐出ヘッド32Yに対する搬送方向下流側に配置されている。検知部240は、検知手段の一例である。
【0156】
本実施形態では、抽出部51Bは、K画像、C画像、M画像及びY画像の各々を、検知部240が検知する検知用画像として抽出する。K画像としては、例えば、前述の加工用マーク、K単独画像及びK検知画像のいずれかが抽出される。C画像、M画像及びY画像の各々としては、例えば、C単独画像、M単独画像及びY単独画像の各々が抽出される。
【0157】
検出部51Cは、「検知部240が検知したK画像の位置と、ジョブの画像データにおけるK画像の位置との搬送方向及び紙幅方向でのずれ量」から「検知部240が検知したC画像の位置と、ジョブの画像データにおけるC画像の位置との搬送方向及び紙幅方向でのずれ量」を差し引いた量を、吐出ヘッド32Cの吐出位置の補正量として検出する。換言すれば、検出部51Cは、「画像データ上のK画像の位置とC画像の位置の差分」から「検知部240が検知した画像上でのK画像の位置とC画像の位置との差分」を差し引いた量を吐出ヘッド32Cの吐出位置の補正量として検出する。
【0158】
また、検出部51Cは、同様に、「画像データ上のC画像の位置とM画像の位置の差分」から「検知部240が検知した画像上でのC画像の位置とM画像の位置との差分」を差し引いた量を吐出ヘッド32Mの吐出位置の補正量として検出する。
【0159】
さらに、検出部51Cは、同様に、「画像データ上のM画像の位置とY画像の位置の差分」から「検知部240が検知した画像上でのM画像の位置とY画像の位置との差分」を差し引いた量を吐出ヘッド32Mの吐出位置の補正量として検出する。
【0160】
そして、制御部51Dは、検出部51Cが検出した吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の吐出位置の補正量に基づき、吐出ヘッド32C、32M、32Yの各々の駆動を制御し、ジョブの画像データに基づき、C画像、M画像及びY画像の各々を形成する処理を行う。なお、本実施形態では、検知用画像が形成されたページの次ページ以降において、補正量に基づく画像形成処理が実行される。
【0161】
本実施形態では、検知部240が、搬送方向の最下流側に配置された吐出ヘッド32Yに対する搬送方向下流側に配置されているので、検知部が吐出ヘッド32K~32Yの各々の間に配置される構成に比べ、検知部の配置の自由度が高い。また、本実施形態では、単一の検知部240で構成されているので、部品点数の低減、コストの低減、及び構成の簡素化が図れる。
【0162】
(変形例)
第1、第2実施形態では、画像形成装置の一例として、インクジェット記録装置10、200を用いたが、これに限られない。例えば、帯電、露光、現像、転写、定着の各工程を経て、連続紙Pにトナー像を形成する電子写真方式の画像形成装置であってよい。
【0163】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0164】
また、上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば、前述のCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0165】
また、上記実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0166】
10、200 インクジェット記録装置(画像形成装置の一例)
32K 吐出ヘッド(第一形成手段の一例)
32C 吐出ヘッド(第二形成手段の一例)
32M 吐出ヘッド(第三形成手段の一例)
40C 検知部(検知手段の一例、第一検知手段の一例)
40M 検知部(第二検知手段の一例)
51B 抽出部(抽出手段の一例)
51C 検出部(検出手段の一例)
51E 受付部(受付手段の一例)
240 検知部(検知手段の一例)
P 連続紙(記録媒体の一例)