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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】モータ、および駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/20 20060101AFI20241210BHJP
   F16J 15/08 20060101ALI20241210BHJP
   F16J 15/06 20060101ALI20241210BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20241210BHJP
   H02K 9/16 20060101ALI20241210BHJP
   H02K 1/20 20060101ALI20241210BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H02K5/20
F16J15/08 T
F16J15/06 M
F16J15/10 C
H02K9/16
H02K1/20 Z
H02K7/116
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020140893
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036597
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】石川 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】杉野 優海
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/164889(WO,A1)
【文献】特開2016-226176(JP,A)
【文献】実用新案登録第2513892(JP,Y2)
【文献】特開2018-157644(JP,A)
【文献】特開2009-047050(JP,A)
【文献】特開2016-186224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J15/00-15/14
H02K1/00-1/16
1/18-1/26
1/28-1/34
5/00-9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心として回転可能なシャフトを有するロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
前記ロータおよび前記ステータを内部に収容するモータハウジングと、
前記シャフトを前記中心軸回りに回転可能に支持する第1ベアリングおよび第2ベアリングと、
を備え、
前記モータハウジングは、
前記ステータの径方向外側に位置する筒状部、および前記ステータの軸方向一方側に位置し前記第1ベアリングを保持する蓋部を有するモータハウジング本体と、
前記モータハウジング本体の軸方向他方側に位置し、前記第2ベアリングを保持するカバーと、
前記ステータを内部に収容し、前記筒状部の内周面との径方向の間で流路を構成するステータハウジングと、
前記モータハウジング本体と前記ステータハウジングとの間を封止する第1シール部材および第2シール部材と、
前記モータハウジング本体と前記カバーとを径方向に位置決めするための位置決め部と、
を有し、
前記ステータハウジングは、
前記筒状部と前記ステータとの径方向の間に位置し、内部に前記ステータが固定された筒状のステータハウジング本体と、
前記ステータハウジング本体から径方向外側に突出し、前記モータハウジング本体と前記カバーとの軸方向の間に位置する環状のフランジ部と、
を有し、
前記第1シール部材および前記第2シール部材は、前記中心軸を囲む環状であり、
前記第1シール部材は、前記流路よりも軸方向一方側において前記筒状部と前記ステータハウジング本体との径方向の間を封止し、
前記第2シール部材は、前記流路よりも軸方向他方側において前記モータハウジング本体と前記フランジ部との軸方向の間を封止し、
前記位置決め部は、前記モータハウジング本体および前記カバーに対して、前記ステータハウジングを径方向に位置決めし、
前記筒状部は、
前記ステータハウジング本体の外周面との径方向の間で前記流路を構成する第1流路構成部と、
前記第1流路構成部の軸方向一方側に繋がり、前記第1シール部材によって前記ステータハウジング本体との径方向の間が封止された第1被シール部と、
を有し、
前記ステータハウジング本体は、
前記筒状部の前記第1流路構成部の内周面との径方向の間で前記流路を構成する第2流路構成部と、
前記第2流路構成部の軸方向一方側に繋がり、前記第1シール部によって前記筒状部の前記第1シール部との径方向の間が封止された第2被シール部と、
を有し、
前記第1被シール部の内周面は、前記第1流路構成部の内周面よりも径方向内側に突出し、
前記第2被シール部の外周面は、前記第2流路構成部の外周面よりも径方向内側に位置し、
前記ステータハウジング本体の軸方向一方側の端部は、前記蓋部から軸方向他方側に空隙を介して離れて配置され、
前記第2流路構成部の軸方向一方側の端部は、前記第1被シール部と軸方向に並び、かつ前記第1被シール部から軸方向他方側に空隙を介して離れて配置されている、モータ。
【請求項2】
中心軸を中心として回転可能なシャフトを有するロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
前記ロータおよび前記ステータを内部に収容するモータハウジングと、
前記シャフトを前記中心軸回りに回転可能に支持する第1ベアリングおよび第2ベアリングと、
を備え、
前記モータハウジングは、
前記ステータの径方向外側に位置する筒状部、および前記ステータの軸方向一方側に位置し前記第1ベアリングを保持する蓋部を有するモータハウジング本体と、
前記モータハウジング本体の軸方向他方側に位置し、前記第2ベアリングを保持するカバーと、
前記ステータを内部に収容し、前記筒状部の内周面との径方向の間で流路を構成するステータハウジングと、
前記モータハウジング本体と前記ステータハウジングとの間を封止する第1シール部材および第2シール部材と、
前記モータハウジング本体と前記カバーとを径方向に位置決めするための位置決め部と、
を有し、
前記ステータハウジングは、
前記筒状部と前記ステータとの径方向の間に位置し、内部に前記ステータが固定された筒状のステータハウジング本体と、
前記ステータハウジング本体から径方向外側に突出し、前記モータハウジング本体と前記カバーとの軸方向の間に位置する環状のフランジ部と、
を有し、
前記第1シール部材および前記第2シール部材は、前記中心軸を囲む環状であり、
前記第1シール部材は、前記流路よりも軸方向一方側において前記筒状部と前記ステータハウジング本体との径方向の間を封止し、
前記第2シール部材は、前記流路よりも軸方向他方側において前記モータハウジング本体と前記フランジ部との軸方向の間を封止し、
前記位置決め部は、前記モータハウジング本体および前記カバーに対して、前記ステータハウジングを径方向に位置決めし、
前記位置決め部は、前記モータハウジング本体から前記カバーまで延びるピン部を有し、
前記ピン部は、前記フランジ部および前記第2シール部材を軸方向に貫通している、モータ。
【請求項3】
中心軸を中心として回転可能なシャフトを有するロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
前記ロータおよび前記ステータを内部に収容するモータハウジングと、
前記シャフトを前記中心軸回りに回転可能に支持する第1ベアリングおよび第2ベアリングと、
を備え、
前記モータハウジングは、
前記ステータの径方向外側に位置する筒状部、および前記ステータの軸方向一方側に位置し前記第1ベアリングを保持する蓋部を有するモータハウジング本体と、
前記モータハウジング本体の軸方向他方側に位置し、前記第2ベアリングを保持するカバーと、
前記ステータを内部に収容し、前記筒状部の内周面との径方向の間で流路を構成するステータハウジングと、
前記モータハウジング本体と前記ステータハウジングとの間を封止する第1シール部材および第2シール部材と、
前記モータハウジング本体と前記カバーとを径方向に位置決めするための位置決め部と、
を有し、
前記ステータハウジングは、
前記筒状部と前記ステータとの径方向の間に位置し、内部に前記ステータが固定された筒状のステータハウジング本体と、
前記ステータハウジング本体から径方向外側に突出し、前記モータハウジング本体と前記カバーとの軸方向の間に位置する環状のフランジ部と、
を有し、
前記第1シール部材および前記第2シール部材は、前記中心軸を囲む環状であり、
前記第1シール部材は、前記流路よりも軸方向一方側において前記筒状部と前記ステータハウジング本体との径方向の間を封止し、
前記第2シール部材は、前記流路よりも軸方向他方側において前記モータハウジング本体と前記フランジ部との軸方向の間を封止し、
前記位置決め部は、前記モータハウジング本体および前記カバーに対して、前記ステータハウジングを径方向に位置決めし、
前記モータハウジング本体の軸方向他方側の端面と前記第2シール部材と前記フランジ部の軸方向一方側の端面とは、軸方向に見て、互いに全体が重なり合っている、モータ。
【請求項4】
中心軸を中心として回転可能なシャフトを有するロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
前記ロータおよび前記ステータを内部に収容するモータハウジングと、
前記シャフトを前記中心軸回りに回転可能に支持する第1ベアリングおよび第2ベアリングと、
を備え、
前記モータハウジングは、
前記ステータの径方向外側に位置する筒状部、および前記ステータの軸方向一方側に位置し前記第1ベアリングを保持する蓋部を有するモータハウジング本体と、
前記モータハウジング本体の軸方向他方側に位置し、前記第2ベアリングを保持するカバーと、
前記ステータを内部に収容し、前記筒状部の内周面との径方向の間で流路を構成するステータハウジングと、
前記モータハウジング本体と前記ステータハウジングとの間を封止する第1シール部材および第2シール部材と、
前記モータハウジング本体と前記カバーとを径方向に位置決めするための位置決め部と、
を有し、
前記ステータハウジングは、
前記筒状部と前記ステータとの径方向の間に位置し、内部に前記ステータが固定された筒状のステータハウジング本体と、
前記ステータハウジング本体から径方向外側に突出し、前記モータハウジング本体と前記カバーとの軸方向の間に位置する環状のフランジ部と、
を有し、
前記第1シール部材および前記第2シール部材は、前記中心軸を囲む環状であり、
前記第1シール部材は、前記流路よりも軸方向一方側において前記筒状部と前記ステータハウジング本体との径方向の間を封止し、
前記第2シール部材は、前記流路よりも軸方向他方側において前記モータハウジング本体と前記フランジ部との軸方向の間を封止し、
前記位置決め部は、前記モータハウジング本体および前記カバーに対して、前記ステータハウジングを径方向に位置決めし、
前記モータハウジングは、前記フランジ部と前記カバーとの軸方向の間を封止する第3シール部材を有する、モータ。
【請求項5】
前記位置決め部は、前記モータハウジング本体および前記カバーに対して、前記第2シール部材を位置決めしている、請求項1から4のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項6】
前記モータハウジング本体と前記カバーとは、前記フランジ部に設けられた固定孔および前記第2シール部材に設けられた固定孔を軸方向に貫通するネジ部材によって互いに固定されている、請求項2に記載のモータ。
【請求項7】
前記ピン部は、前記モータハウジング本体に設けられた穴部と前記カバーに設けられた穴部とに嵌め合わされ、
前記フランジ部および前記第2シール部材は、前記ピン部が軸方向に通された貫通孔を有し、
前記モータハウジング本体に設けられた前記穴部の内径および前記カバーに設けられた前記穴部の内径の少なくとも一方は、前記フランジ部に設けられた前記貫通孔の内径よりも小さい、請求項2または6に記載のモータ。
【請求項8】
前記モータハウジング本体に設けられた前記穴部の内径および前記カバーに設けられた前記穴部の内径は、前記第2シール部材に設けられた前記貫通孔の内径よりも小さい、請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記モータハウジング本体に設けられた前記穴部の内径と前記カバーに設けられた前記穴部の内径とは、互いに異なる、請求項7または8に記載のモータ。
【請求項10】
前記第2シール部材は、金属製である、請求項1から9のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項11】
前記位置決め部は、前記中心軸を径方向に挟んで一対設けられている、請求項1から10のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項12】
前記モータハウジングの内部において前記ステータに電気的に接続されたバスバーをさらに備え、
前記カバーは、前記バスバーが通されたバスバー貫通孔を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項13】
前記ロータの回転を検出可能な回転検出装置と、
前記回転検出装置に電気的に接続され、前記モータハウジングの外部において前記カバーに固定されたコネクタ部と、
をさらに備え、
前記カバーは、前記回転検出装置を収容する収容部を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項14】
前記カバーは、前記ロータの全体を軸方向他方側から覆っている、請求項1から13のいずれか一項に記載のモータ。
【請求項15】
車両に搭載され、車軸を回転させる駆動装置であって、
請求項1から14のいずれか一項に記載のモータと、
前記ロータに接続され、前記ロータの回転を前記車軸に伝達する伝達装置と、
を備える、駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ、および駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータハウジングが、モータハウジング本体と、ステータを内部に収容しモータハウジング本体との間で流路を構成するステータハウジングと、を有するモータが知られている。例えば、特許文献1には、そのようなモータとして電気自動車用のモータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-23614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなモータにおいては、例えば、モータハウジング本体に固定されるカバーが設けられ、モータハウジング本体とカバーとがそれぞれロータを回転可能に支持するベアリングを保持している。そのため、モータハウジング本体とカバーとステータハウジングとを軸精度よく組み立てる必要がある。一方、モータハウジング本体とステータハウジングとの間に構成された流路内を流れる流体を封止するために、シール部材を設ける必要もある。これらにより、モータの組立工数が増加する問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、組立工数を低減できる構造を有するモータ、および駆動装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータの一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なシャフトを有するロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、前記ロータおよび前記ステータを内部に収容するモータハウジングと、前記シャフトを前記中心軸回りに回転可能に支持する第1ベアリングおよび第2ベアリングと、を備える。前記モータハウジングは、前記ステータの径方向外側に位置する筒状部、および前記ステータの軸方向一方側に位置し前記第1ベアリングを保持する蓋部を有するモータハウジング本体と、前記モータハウジング本体の軸方向他方側に位置し、前記第2ベアリングを保持するカバーと、前記ステータを内部に収容し、前記筒状部の内周面との径方向の間で流路を構成するステータハウジングと、前記モータハウジング本体と前記ステータハウジングとの間を封止する第1シール部材および第2シール部材と、前記モータハウジング本体と前記カバーとを径方向に位置決めするための位置決め部と、を有する。前記ステータハウジングは、前記筒状部と前記ステータとの径方向の間に位置し、内部に前記ステータが固定された筒状のステータハウジング本体と、前記ステータハウジング本体から径方向外側に突出し、前記モータハウジング本体と前記カバーとの軸方向の間に位置する環状のフランジ部と、を有する。前記第1シール部材および前記第2シール部材は、前記中心軸を囲む環状である。前記第1シール部材は、前記流路よりも軸方向一方側において前記筒状部と前記ステータハウジング本体との径方向の間を封止している。前記第2シール部材は、前記流路よりも軸方向他方側において前記モータハウジング本体と前記フランジ部との軸方向の間を封止している。前記位置決め部は、前記モータハウジング本体および前記カバーに対して、前記ステータハウジングを径方向に位置決めしている。
【0007】
本発明の駆動装置の一つの態様は、車両に搭載され、車軸を回転させる駆動装置であって、上記のモータと、前記ロータに接続され、前記ロータの回転を前記車軸に伝達する伝達装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、モータの組立工数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態の駆動装置を模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態のモータを示す断面図であって、図4におけるII-II断面図である。
図3図3は、本実施形態のモータハウジングを示す分解斜視図である。
図4図4は、本実施形態のモータを左側から見た図である。
図5図5は、本実施形態の位置決め部を示す断面図である。
図6図6は、他の実施形態のモータを示す断面図である。
図7図7は、さらに他の実施形態のモータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す本実施形態の駆動装置100は、車両に搭載され、車軸94を回転させる駆動装置である。駆動装置100は、モータ10と、伝達装置90と、を備える。伝達装置90は、モータ10の後述するロータ71に接続され、ロータ71の回転を車軸94に伝達する。本実施形態の伝達装置90は、ギヤハウジング91と、モータ10に接続される減速装置92と、減速装置92に接続される差動装置93と、を有する。
【0011】
ギヤハウジング91は、減速装置92と差動装置93とオイルOとを内部に収容している。減速装置92は、第1のギヤ92aと、第2のギヤ92bと、第3のギヤ92cと、中間シャフト92dと、を有する。差動装置93は、リングギヤ93aを有する。
【0012】
図2に示すように、モータ10は、ロータ71と、ステータ72と、第1ベアリング76aと、第2ベアリング76bと、モータハウジング11と、バスバーホルダ73と、バスバー74と、回転検出装置75と、コネクタ部77と、を備える。ロータ71は、中心軸Jを中心として回転可能なシャフト71aと、シャフト71aの外周面に固定されたロータ本体71bと、を有する。ロータ本体71bは、例えば、ロータコアと、マグネットと、を有する。
【0013】
本実施形態において中心軸Jは、鉛直方向と直交する水平方向に延びている。中心軸Jが延びる方向は、例えば、モータ10が搭載される車両の左右方向である。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち中心軸Jの軸回りを単に「周方向」と呼ぶ。また、図面においては適宜、軸方向をY軸で示し、Y軸のうち矢印が向く側を「左側」と呼び、Y軸のうち矢印が向く側と逆側を「右側」と呼ぶ。本実施形態において、右側は「軸方向一方側」に相当し、左側は「軸方向他方側」に相当する。
【0014】
また、図面においては適宜、軸方向と直交する鉛直方向をZ軸で示し、Z軸のうち矢印が向く側を上側と呼び、Z軸のうち矢印が向く側と逆側を「下側」と呼ぶ。また、図面においては適宜、軸方向および鉛直方向と直交する車両の前後方向をX軸で示している。なお、「平行な方向」は略平行な方向も含み、「直交する方向」は略直交する方向も含む。
【0015】
ステータ72は、ロータ71の径方向外側に位置する。ステータ72は、ロータ本体71bを囲む環状のステータコア72aと、ステータコア72aに取り付けられた複数のコイル72bと、を有する。ステータコア72aは、例えば、中心軸Jを中心とする円筒状である。コイル72bは、ステータコア72aから軸方向の両側にそれぞれ突出するコイルエンドを有する。コイル72bは、例えば、図示しないインシュレータを介してステータコア72aに取り付けられている。
【0016】
第1ベアリング76aおよび第2ベアリング76bは、シャフト71aを中心軸J回りに回転可能に支持している。第1ベアリング76aは、シャフト71aのうちロータ本体71bが固定された部分よりも右側に位置する部分を回転可能に支持している。第2ベアリング76bは、シャフト71aのうちロータ本体71bが固定された部分よりも左側に位置する部分を回転可能に支持している。第2ベアリング76bは、例えば、シャフト71aの左側の端部を回転可能に支持している。第1ベアリング76aおよび第2ベアリング76bは、例えば、ボールベアリングである。
【0017】
モータハウジング11は、ロータ71およびステータ72を内部に収容している。モータハウジング11の内部には、例えば、オイルOが収容されている。モータハウジング11内のオイルOは、例えば、第1ベアリング76aおよび第2ベアリング76bの潤滑用、およびステータ72の冷却用などに用いられる。モータハウジング11内においてオイルOの油面は、例えば、ロータ71よりも下側に位置する。
【0018】
モータハウジング11は、モータハウジング本体20と、ステータハウジング30と、カバー40と、第1シール部材51と、第2シール部材52と、第3シール部材53と、位置決め部61と、を有する。モータハウジング本体20とステータハウジング30とカバー40とは、例えば、それぞれ互いに異なる単一の部材である。モータハウジング本体20とステータハウジング30とカバー40とは、例えば、ダイカストによって作られている。
【0019】
モータハウジング本体20は、蓋部21と、筒状部22と、本体フランジ部23と、を有する。蓋部21は、ステータ72の右側に位置する。図示は省略するが、蓋部21は、例えば、軸方向に見て、中心軸Jを中心とする円形状である。蓋部21は、径方向の中央部に蓋部21を軸方向に貫通する孔部21aを有する。孔部21aには、第1ベアリング76aが嵌め合わされている。これにより、蓋部21は、第1ベアリング76aを保持している。孔部21aには、シャフト71aが通されている。
【0020】
筒状部22は、ステータ72の径方向外側に位置する。筒状部22は、例えば、蓋部21の径方向外周縁部から左側に延びている。筒状部22は、例えば、中心軸Jを中心とする円筒状である。筒状部22は、左側に開口している。本実施形態において筒状部22は、流路構成部22aと、被シール部22bと、を有する。流路構成部22aおよび被シール部22bは、例えば、中心軸Jを囲む円筒状である。流路構成部22aは、後述するステータハウジング本体31の外周面との径方向の間で流路80を構成する部分である。流路構成部22aの左側の端部は、例えば、筒状部22の左側の端部である。
【0021】
被シール部22bは、流路構成部22aの右側に繋がっている。被シール部22bの右側の端部は、例えば、筒状部22の右側の端部であり、蓋部21に繋がっている。被シール部22bは、第1シール部材51によって後述するステータハウジング本体31との径方向の間が封止された部分である。被シール部22bの内周面は、流路構成部22aの内周面よりも径方向内側に突出している。言い換えれば、被シール部22bの内径は、流路構成部22aの内径よりも小さい。被シール部22bの外周面は、例えば、流路構成部22aの外周面と径方向において同じ位置に位置する。被シール部22bの軸方向の寸法は、例えば、流路構成部22aの軸方向の寸法よりも小さい。
【0022】
本体フランジ部23は、筒状部22の左側の端部から径方向外側に突出している。図3に示すように、本体フランジ部23は、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。本体フランジ部23は、雌ネジ穴23aと、穴部23bと、を有する。雌ネジ穴23aおよび穴部23bは、例えば、右側に底部を有し、左側に開口する円形状の穴である。雌ネジ穴23aは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の雌ネジ穴23aは、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。雌ネジ穴23aは、例えば、8つ設けられている。
【0023】
本実施形態において穴部23bは、2つ設けられている。2つの穴部23bは、例えば、中心軸Jを径方向に挟んで互いに反対側に配置されている。2つの穴部23bは、それぞれ、周方向に隣り合う雌ネジ穴23a同士の間に配置されている。穴部23bの内径は、例えば、雌ネジ穴23aの内径よりも小さい。
【0024】
図2に示すように、ステータハウジング30は、ステータ72を内部に収容している。ステータハウジング30は、筒状部22の内周面との径方向の間で流路80を構成する部材である。ステータハウジング30は、ステータハウジング本体31と、フランジ部33と、を有する。
【0025】
ステータハウジング本体31は、内部にステータ72が固定された筒状である。ステータハウジング本体31の内部には、例えば、焼き嵌めによりステータコア72aが固定されている。ステータハウジング本体31は、例えば、軸方向両側に開口し、中心軸Jを中心とする円筒状である。ステータハウジング本体31は、筒状部22とステータ72との径方向の間に位置する。ステータハウジング本体31は、筒状部22の内部に嵌め合わされている。ステータハウジング本体31の外周面は、例えば、筒状部22の内周面と接触している。ステータハウジング本体31の内周面には、ステータコア72aの外周面が接触している。
【0026】
ステータハウジング本体31は、流路構成部31aと、被シール部31bと、を有する。流路構成部31aおよび被シール部31bは、例えば、中心軸Jを囲む円筒状である。流路構成部31aは、筒状部22における流路構成部22aの内周面との径方向の間で流路80を構成する部分である。流路構成部31aの左側の端部は、例えば、ステータハウジング本体31の左側の端部である。流路構成部31aは、流路構成部22aの内部に嵌め合わされている。
【0027】
流路構成部31aは、外周面から径方向内側に窪む溝32を有する。図3に示すように、溝32は、例えば、流路構成部31aを囲む螺旋状である。図2に示すように、溝32の径方向外側の開口は、流路構成部22aの内周面によって塞がれている。これにより、流路構成部22aと流路構成部31aとの径方向の間に流路80が構成されている。
【0028】
流路80の内部は、例えば、溝32の内部である。流路80は、例えば、ステータ72を囲む螺旋状である。流路80を流れる流体は、例えば、水Wである。なお、流路80を流れる流体は、特に限定されず、オイルであってもよい。流路80には、モータ10の外部から水Wが流入する。流路80に流入された水Wは、流路80に沿ってステータ72の径方向外側を螺旋状に流れて、モータ10の外部に排出される。流路80内を通る水Wによって、ステータ72が冷却される。
【0029】
被シール部31bは、流路構成部31aの右側に繋がっている。被シール部31bは、被シール部22bの内部に嵌め合わされている。被シール部31bの右側の端部は、例えば、ステータハウジング本体31の右側の端部である。被シール部31bの右側の端部は、蓋部21から左側に離れて配置されている。被シール部31bは、第1シール部材51によって筒状部22における被シール部22bとの径方向の間が封止された部分である。被シール部31bの外周面は、流路構成部31aの外周面よりも径方向内側に窪んでいる。言い換えれば、被シール部31bの外径は、流路構成部31aの外径よりも小さい。被シール部31bの内周面は、例えば、流路構成部31aの内周面と径方向において同じ位置に位置する。被シール部31bの軸方向の寸法は、例えば、流路構成部31aの軸方向の寸法よりも小さい。被シール部31bは、第1シール部材51が嵌め込まれたシール溝31cを有する。シール溝31cは、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。
【0030】
フランジ部33は、ステータハウジング本体31から径方向外側に突出している。本実施形態においてフランジ部33は、ステータハウジング本体31の左側の端部から径方向外側に突出している。フランジ部33は、モータハウジング本体20とカバー40との軸方向の間に位置する環状である。本実施形態においてフランジ部33は、本体フランジ部23とカバー40の後述するカバーフランジ部43との軸方向の間に位置する。図3に示すように、フランジ部33は、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。
【0031】
フランジ部33は、固定孔33aと、貫通孔33bと、を有する。固定孔33aおよび貫通孔33bは、フランジ部33を軸方向に貫通する円形状の孔である。固定孔33aは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の固定孔33aは、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。固定孔33aは、例えば、8つ設けられている。
【0032】
本実施形態において貫通孔33bは、2つ設けられている。2つの貫通孔33bは、例えば、中心軸Jを径方向に挟んで互いに反対側に配置されている。2つの貫通孔33bは、それぞれ、周方向に隣り合う固定孔33a同士の間に配置されている。貫通孔33bの内径は、例えば、固定孔33aの内径よりも小さい。
【0033】
カバー40は、モータハウジング本体20の左側に位置する。カバー40は、天壁部41と、周壁部42と、カバーフランジ部43と、を有する。図2に示すように、天壁部41は、ロータ71およびステータ72の左側に位置する。天壁部41は、ロータ71の全体およびステータ72の全体を左側から覆っている。これにより、本実施形態においてカバー40は、ロータ71の全体を左側から覆っている。そのため、カバー40によって、モータハウジング11内に異物が侵入することを抑制しやすい。
【0034】
図3に示すように、天壁部41は、例えば、軸方向に見て、中心軸Jを中心とする円形状である。図2に示すように、天壁部41は、天壁部41の右側の面から左側に窪む保持凹部41aを有する。保持凹部41aには、第2ベアリング76bが嵌め合わされている。これにより、カバー40は、第2ベアリング76bを保持している。
【0035】
周壁部42は、例えば、天壁部41の径方向外周縁部から右側に延びる円筒状である。周壁部42は、周壁部42を径方向に貫通するバスバー貫通孔42aを有する。つまり、カバー40は、バスバー貫通孔42aを有する。バスバー貫通孔42aには、バスバー74が通されている。バスバー貫通孔42aは、例えば、周壁部42のうち上側に位置する部分を鉛直方向に貫通している。
【0036】
カバーフランジ部43は、周壁部42の右側の端部から径方向外側に突出している。図3に示すように、カバーフランジ部43は、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。カバーフランジ部43は、固定孔43aと、穴部43bと、を有する。本実施形態において固定孔43aおよび穴部43bは、カバーフランジ部43を軸方向に貫通する円形状の孔である。固定孔43aは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の固定孔43aは、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。固定孔43aは、例えば、8つ設けられている。
【0037】
本実施形態において穴部43bは、2つ設けられている。2つの穴部43bは、例えば、中心軸Jを径方向に挟んで互いに反対側に配置されている。2つの穴部43bは、それぞれ、周方向に隣り合う固定孔43a同士の間に配置されている。穴部43bの内径は、例えば、固定孔43aの内径よりも小さい。
【0038】
図2に示すように、本実施形態においてカバー40は、回転検出装置75を収容する収容部44を有する。収容部44は、天壁部41と周壁部42とによって構成されている。収容部44の内部は、ステータハウジング30の内部の左側に位置し、ステータハウジング30の内部と繋がっている。収容部44は、例えば、左側に突出する筒形状である。収容部44は、例えば、左側に膨らむドーム形状である。
【0039】
第1シール部材51および第2シール部材52は、モータハウジング本体20とステータハウジング30との間を封止する部材である。図3に示すように、第1シール部材51および第2シール部材52は、中心軸Jを囲む環状である。第1シール部材51および第2シール部材52は、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。第1シール部材51および第2シール部材52は、ステータハウジング本体31を囲んでいる。
【0040】
第1シール部材51は、例えば、シール溝31cに嵌め込まれたOリングである。第1シール部材51は、例えば、シール溝31cの溝底面と被シール部22bの内周面とに接触し、径方向に圧縮弾性変形した状態となっている。第1シール部材51は、流路80よりも右側において筒状部22とステータハウジング本体31との径方向の間を封止している。本実施形態では、第1シール部材51は、被シール部22bの内周面と被シール部31bの外周面との径方向の間を封止している。
【0041】
図3に示すように、第2シール部材52は、例えば、板面が軸方向を向く板状である。図2に示すように、第2シール部材52の右側の面は、本体フランジ部23の左側の面に接触している。第2シール部材52の左側の面は、フランジ部33の右側の面に接触している。第2シール部材52は、流路80よりも左側においてモータハウジング本体20とフランジ部33との軸方向の間を封止している。本実施形態において第2シール部材52は、金属製である。本実施形態において、第2シール部材52は、主材料である電気亜鉛めっき鋼板をコンパウンドでコーティングした部材である。第2シール部材52を構成する金属は、例えば、チタン、アルミニウム、銅、鉄などであってもよい。
【0042】
第2シール部材52は、固定孔52aと、貫通孔52bと、を有する。図3に示すように、固定孔52aおよび貫通孔52bは、第2シール部材52を軸方向に貫通する円形状の孔である。固定孔52aは、周方向に間隔を空けて複数設けられている。複数の固定孔52aは、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。固定孔52aは、例えば、8つ設けられている。
【0043】
本実施形態において貫通孔52bは、2つ設けられている。2つの貫通孔52bは、例えば、中心軸Jを径方向に挟んで互いに反対側に配置されている。2つの貫通孔52bは、それぞれ、周方向に隣り合う固定孔52a同士の間に配置されている。貫通孔52bの内径は、例えば、固定孔52aの内径よりも小さい。
【0044】
モータハウジング本体20の雌ネジ穴23aとステータハウジング30の固定孔33aとカバー40の固定孔43aと第2シール部材52の固定孔52aとは、軸方向に見て互いに重なっている。固定孔33a,43a,52aの内径は、雌ネジ穴23aの内径よりも大きい。
【0045】
図2に示すように、本実施形態においてモータハウジング本体20とカバー40とは、フランジ部33に設けられた固定孔33aおよび第2シール部材52に設けられた固定孔52aを軸方向に貫通するネジ部材60によって互いに固定されている。ネジ部材60は、カバーフランジ部43の左側から、固定孔43a、固定孔33a、および固定孔52aに通されて、雌ネジ穴23aに締め込まれている。これにより、本実施形態においてモータハウジング本体20とステータハウジング30とカバー40と第2シール部材52とは、ネジ部材60によって共締めされている。図4に示すように、ネジ部材60は、例えば、8つ設けられている。
【0046】
モータハウジング本体20の穴部23bとステータハウジング30の貫通孔33bとカバー40の穴部43bと第2シール部材52の貫通孔52bとは、軸方向に見て互いに重なっている。図5に示すように、モータハウジング本体20に設けられた穴部23bの内径D2とカバー40に設けられた穴部43bの内径D4とは、互いに異なる。本実施形態において穴部23bの内径D2は、穴部43bの内径D4よりも小さい。例えば、一対の穴部23b,43bおよび一対の貫通孔33b,52bのそれぞれにおいて、一方は、他方を周方向に180°回転させた位置に対して、周方向にずれた位置に配置されている。
【0047】
モータハウジング本体20に設けられた穴部23bの内径D2およびカバー40に設けられた穴部43bの内径D4の少なくとも一方は、フランジ部33に設けられた貫通孔33bの内径D3よりも小さい。本実施形態では、穴部23bの内径D2が、貫通孔33bの内径D3よりも小さい。穴部43bの内径D4は、例えば、貫通孔33bの内径D3と同じである。本実施形態においてモータハウジング本体20に設けられた穴部23bの内径D2、ステータハウジング30に設けられた貫通孔33bの内径D3、およびカバー40に設けられた穴部43bの内径D4は、第2シール部材52に設けられた貫通孔52bの内径D5よりも小さい。
【0048】
本実施形態において、モータハウジング本体20の左側の端面と第2シール部材52とフランジ部33の右側の端面とは、軸方向に見て、互いに全体が重なり合っている。つまり、モータハウジング本体20の左側の端面と第2シール部材52とフランジ部33の右側の端面とは、軸方向に見て、互いに同じ形状であり、かつ、互いに同じ大きさである。本実施形態においてモータハウジング本体20の左側の端面は、本体フランジ部23の左側の端面である。
【0049】
第3シール部材53は、フランジ部33とカバー40との軸方向の間を封止している。これにより、第3シール部材53によって、フランジ部33とカバー40との間からモータハウジング11の内部に異物が侵入することを抑制できる。また、モータハウジング11内のオイルOが外部に漏れ出ることを抑制できる。本実施形態において第3シール部材53は、フランジ部33とカバーフランジ部43との軸方向の間に位置する。第3シール部材53は、例えば、液状ガスケットが硬化して構成されている。
【0050】
位置決め部61は、モータハウジング本体20とカバー40とを径方向に位置決めするための部分である。本実施形態において位置決め部61は、モータハウジング本体20からカバー40まで延びるピン部61aを有する。本実施形態において位置決め部61は、ピン部61aのみからなる。ピン部61aは、例えば、軸方向に延びる円柱状の部材である。本実施形態においてピン部61aは、モータハウジング本体20に設けられた穴部23bとカバー40に設けられた穴部43bとに嵌め合わされている。これにより、本実施形態において位置決め部61は、モータハウジング本体20とカバー40とを径方向および周方向に位置決めしている。
【0051】
ピン部61aは、例えば、モータハウジング本体20の穴部23bに圧入されて、モータハウジング本体20に固定されている。ピン部61aは、例えば、カバー40の穴部43bに隙間嵌めされている。ピン部61aは、モータハウジング本体20から、第2シール部材52の貫通孔52bおよびステータハウジング30の貫通孔33bを通って、カバー40まで延びている。つまり、本実施形態においてピン部61aは、貫通孔33b,52bに軸方向に通されて、フランジ部33および第2シール部材52を軸方向に貫通している。
【0052】
ピン部61aは、例えば、ステータハウジング30の貫通孔33bに隙間嵌めされている。これにより、位置決め部61は、モータハウジング本体20およびカバー40に対して、ステータハウジング30を径方向および周方向に位置決めしている。また、ピン部61aが第2シール部材52の貫通孔52bを通っていることで、ピン部61aによって第2シール部材52が周方向に移動することが抑制される。これにより、本実施形態において位置決め部61は、モータハウジング本体20およびカバー40に対して、第2シール部材52を径方向および周方向に位置決めしている。
【0053】
図4に示すように、本実施形態において位置決め部61は、中心軸Jを径方向に挟んで一対設けられている。つまり、本実施形態では、ピン部61aが中心軸Jを径方向に挟んで一対設けられている。各位置決め部61は、周方向に隣り合うネジ部材60同士の間に位置する。
【0054】
一方の位置決め部61は、他方の位置決め部61を周方向に180°回転させた位置に対して、周方向にずれた位置に配置されている。そのため、位置決め部61によって位置決めされる各部材同士は、周方向に180°回転した状態では組み立てられなくなっている。これにより、位置決め部61によって位置決めしつつ各部材を組み立てる際、各部材が誤った向きで組み立てられることを抑制できる。
【0055】
図2に示すように、バスバーホルダ73は、バスバー74を保持する樹脂部材である。バスバーホルダ73は、例えば、ステータ72の左側に取り付けられている。バスバーホルダ73は、例えば、収容部44内に収容されている。バスバーホルダ73は、上側に延びてバスバー貫通孔42aに嵌め合わされた延伸部73aを有する。
【0056】
バスバー74は、モータハウジング11の内部においてステータ72に電気的に接続されている。バスバー74は、コイル接続部74aと、端子部74bと、を有する。コイル接続部74aは、モータハウジング11の内部においてコイル72bから引き出された引出線72cに電気的に接続されている。端子部74bは、バスバー貫通孔42aを通って、モータハウジング11の外部に突出している。端子部74bの下側部分は、延伸部73aに保持されている。端子部74bのうちモータハウジング11の外部に突出した部分は、例えば、図示しないインバータに電気的に接続される。図4に示すように、バスバー74は、例えば、複数設けられている。バスバー74は、例えば、3つ設けられている。
【0057】
図2に示す回転検出装置75は、ロータ71の回転を検出可能である。回転検出装置75は、例えば、収容部44の内部においてバスバーホルダ73の左側に位置する。回転検出装置75は、例えば、レゾルバである。回転検出装置75は、レゾルバロータ75aと、レゾルバステータ75bと、を有する。レゾルバロータ75aは、シャフト71aの外周面に固定されている。レゾルバステータ75bは、レゾルバロータ75aの径方向外側に位置する。レゾルバステータ75bは、レゾルバロータ75aを囲む環状である。レゾルバステータ75bは、例えば、天壁部41の右側の面に固定されている。
【0058】
図示は省略するが、レゾルバステータ75bは、コイルを有する。シャフト71aとともにレゾルバロータ75aが回転することによって、レゾルバステータ75bのコイルに、レゾルバロータ75aの周方向位置に応じた誘起電圧が生じる。回転検出装置75は、レゾルバステータ75bのコイルに生じた誘起電圧の変化に基づいて、レゾルバロータ75aおよびシャフト71aの回転を検出できる。これにより、回転検出装置75は、ロータ71の回転を検出可能である。
【0059】
コネクタ部77は、モータハウジング11の外部においてカバー40に固定されている。コネクタ部77は、例えば、カバー40における天壁部41の左側の面にネジで固定されている。コネクタ部77は、コネクタケース77aと、コネクタケース77aに保持された複数の端子77bと、を有する。端子77bは、配線77cによってレゾルバステータ75bと電気的に接続されている。これにより、コネクタ部77は、回転検出装置75に電気的に接続されている。配線77cは、例えば、天壁部41内を通っている。
【0060】
本実施形態においてモータ10を組み立てる作業者等は、モータハウジング本体20の各穴部23bに各ピン部61aを圧入して固定する。なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0061】
次に作業者等は、第2シール部材52をモータハウジング本体20に左側から近づけ、第2シール部材52の各貫通孔52bに各ピン部61aを通す。次に作業者等は、ステータ72および第1シール部材51が取り付けられた状態のステータハウジング30を、モータハウジング本体20に左側から近づけ、ステータハウジング本体31を第2シール部材52の内側に通しつつ、筒状部22の内部に嵌め合わせる。このとき、作業者等は、フランジ部33の各貫通孔33bに各ピン部61aを通す。筒状部22の内部にステータハウジング本体31が嵌め合わされることで、ステータハウジング本体31の外周面に取り付けられた第1シール部材51によって、筒状部22とステータハウジング本体31との径方向の間が封止される。
【0062】
なお、図3に示すように、ステータハウジング本体31が筒状部22に嵌め合わされる前において、シール溝31cに嵌め込まれた第1シール部材51は、例えば、被シール部31bの外周面よりも径方向外側に突出し、かつ、流路構成部31aの外周面よりも径方向内側に位置した状態となっている。
【0063】
次に作業者等は、ステータ72に対して、バスバーホルダ73およびバスバー74を含むバスバーアッシーを取り付ける。なお、バスバーホルダ73およびバスバー74の取付作業は、ステータハウジング30をモータハウジング本体20に組み付ける前に行ってもよい。
【0064】
次に作業者等は、第2ベアリング76b、ロータ71、回転検出装置75、およびコネクタ部77が組み付けられた状態のカバー40をステータハウジング30に左側から近づけ、カバー40の各穴部43bに各ピン部61aを通す。このとき、カバーフランジ部43の右側の端面またはフランジ部33の左側の端面には、硬化して第3シール部材53となる前の液状ガスケットを塗布しておく。なお、コネクタ部77は、カバー40を組み付けた後に、カバー40に取り付けられてもよい。
【0065】
次に作業者等は、カバーフランジ部43の左側からネジ部材60を穴部43bに挿入し、固定孔33a,52aを介して、ネジ部材60をモータハウジング本体20の雌ネジ穴23aに締め込む。これにより、モータハウジング本体20とステータハウジング30とカバー40と第2シール部材52とが共締めされる。以上により、モータハウジング本体20とステータハウジング30とカバー40と第2シール部材52とが互いに固定され、モータ10が組み立てられる。
【0066】
本実施形態によれば、モータハウジング本体20とカバー40とを径方向に位置決めするための位置決め部61によって、モータハウジング本体20およびカバー40に対して、ステータハウジング30を径方向に位置決めすることができる。そのため、ステータハウジング30を径方向に位置決めするための部分を位置決め部61の他に別途設ける必要がない。これにより、モータ10の組立工数を低減しつつ、モータハウジング本体20とステータハウジング30とカバー40とを径方向に位置決めできる。モータハウジング本体20とカバー40とを径方向に位置決めできることで、モータハウジング本体20に保持された第1ベアリング76aとカバー40に保持された第2ベアリング76bとを軸精度よく配置することができる。そのため、第1ベアリング76aおよび第2ベアリング76bによって回転可能に支持されるシャフト71aを軸精度よく配置できる。また、ステータハウジング30をモータハウジング本体20およびカバー40に対して径方向に位置決めできることで、ステータハウジング30に固定されたステータ72をロータ71に対して軸精度よく配置できる。
【0067】
また、本実施形態によれば、中心軸Jを囲む環状の第1シール部材51および第2シール部材52が設けられている。第1シール部材51は流路80よりも右側において筒状部22とステータハウジング本体31との径方向の間を封止し、第2シール部材52は流路80よりも左側においてモータハウジング本体20とフランジ部33との軸方向の間を封止している。そのため、上述したようにしてステータハウジング本体31をモータハウジング本体20の内部に挿し込んでステータハウジング30をモータハウジング本体20に組み付けることで、第1シール部材51と第2シール部材52とによって、モータハウジング本体20とステータハウジング30との間を流路80の軸方向の両側において封止できる。これにより、流路80内の水Wがモータハウジング11の内部およびモータハウジング11の外部に漏れることを抑制できる。また、第1シール部材51によって、モータハウジング11内のオイルOが流路80内に侵入することを抑制できる。
【0068】
また、本実施形態のように第1シール部材51を弾性変形する部材とすることで、第1シール部材51に生じる弾性力を利用して、ステータハウジング30をモータハウジング本体20に対して軸精度よく配置できる。具体的には、第1シール部材51が径方向に圧縮弾性変形することで、ステータハウジング本体31は、環状の第1シール部材51から全周に亘って径方向内側向きの弾性力を受ける。これにより、ステータハウジング本体31の径方向中心が筒状部22の径方向中心に受動的に合わせられる。したがって、ステータハウジング30をモータハウジング本体20に組み付けて第1シール部材51によって筒状部22とステータハウジング本体31との径方向の間を封止することで、第1シール部材51によってもステータハウジング30をモータハウジング本体20に対して径方向に位置決めできる。そのため、モータハウジング本体20とステータハウジング30との間を封止するとともに、ステータハウジング30をモータハウジング本体20に対して、より軸精度よく配置できる。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、ステータハウジング30をモータハウジング本体20に対して位置決めして組み立てるとともに、ステータハウジング30とモータハウジング本体20との間を第1シール部材51および第2シール部材52によって封止できる。したがって、モータ10の組立工数をより低減できる。
【0070】
また、本実施形態によれば、位置決め部61は、モータハウジング本体20およびカバー40に対して、第2シール部材52を位置決めしている。そのため、第2シール部材52を位置決めする部分を位置決め部61の他に別途設ける必要がない。これにより、モータ10の組立工数をより低減しつつ、第2シール部材52の位置がずれることを抑制できる。これにより、第2シール部材52によって、モータハウジング本体20とフランジ部33との軸方向の間を好適に封止できる。
【0071】
また、本実施形態によれば、位置決め部61は、ステータハウジング30のフランジ部33および第2シール部材52を軸方向に貫通してモータハウジング本体20からカバー40まで延びるピン部61aを有する。そのため、ピン部61aをフランジ部33および第2シール部材52に対して周方向に引っ掛けることができる。これにより、ピン部61aによって、モータハウジング本体20およびカバー40に対して、ステータハウジング30および第2シール部材52を周方向に位置決めできる。
【0072】
また、本実施形態によれば、モータハウジング本体20とカバー40とは、フランジ部33に設けられた固定孔33aおよび第2シール部材52に設けられた固定孔52aを軸方向に貫通するネジ部材60によって互いに固定されている。そのため、ネジ部材60による固定とピン部61aによる位置決めとを、ともにフランジ部33および第2シール部材52を通る径方向位置において行うことができる。これにより、ネジ部材60による固定とピン部61aによる位置決めとを、同じ径方向位置において行うことができる。したがって、ネジ部材60による固定とピン部61aによる位置決めとを異なる径方向位置において行う場合に比べて、各作業を効率的に行いやすい。そのため、モータ10の組立作業性を向上できる。
【0073】
また、本実施形態によれば、ピン部61aは、モータハウジング本体20に設けられた穴部23bとカバー40に設けられた穴部43bとに嵌め合わされている。そのため、ピン部61aによって、モータハウジング本体20とカバー40とを径方向に位置決めできるとともに、モータハウジング本体20とカバー40とを周方向に位置決めすることもできる。また、本実施形態によれば、モータハウジング本体20に設けられた穴部23bの内径D2およびカバー40に設けられた穴部43bの内径D4の少なくとも一方は、フランジ部33に設けられた貫通孔33bの内径D3よりも小さい。そのため、モータハウジング本体20の穴部23bとカバー40の穴部43bとの少なくとも一方に対してピン部61aを圧入して固定した状態で、フランジ部33の貫通孔33bに対してピン部61aを隙間嵌めする構成を採用できる。これにより、モータ10の組立作業性をより向上できる。
【0074】
また、本実施形態によれば、モータハウジング本体20に設けられた穴部23bの内径D2およびカバー40に設けられた穴部43bの内径D4は、第2シール部材52に設けられた貫通孔52bの内径D5よりも小さい。そのため、第2シール部材52の貫通孔52bの内径D5を比較的大きくできる。これにより、ピン部61aを各穴部23b,43bに嵌め合わせてモータハウジング本体20とカバー40とを好適に位置決めしつつ、第2シール部材52を組み付ける際に貫通孔52bにピン部61aを通しやすくできる。したがって、モータ10の組立作業性をより向上できる。
【0075】
また、本実施形態によれば、モータハウジング本体20に設けられた穴部23bの内径D2とカバー40に設けられた穴部43bの内径D4とは、互いに異なる。そのため、モータハウジング本体20の穴部23bとカバー40の穴部43bとの一方にピン部61aを圧入して固定しつつ、モータハウジング本体20の穴部23bとカバー40の穴部43bとの他方にピン部61aを隙間嵌めする構成を採用できる。これにより、ピン部61aをモータハウジング本体20とカバー40との一方に固定しつつ、モータハウジング本体20とカバー40との他方の穴部にピン部61aを嵌め合わせやすくできる。したがって、モータ10の組立作業性をより向上できる。
【0076】
また、本実施形態によれば、第2シール部材52は、金属製である。そのため、第2シール部材52に対して、貫通孔52bを精度よく作りやすい。これにより、貫通孔52bに通されたピン部61aによって、第2シール部材52を好適に位置決めしやすい。また、例えば第2シール部材52をOリングにする場合と異なり、第2シール部材52を嵌め込むための溝を設ける必要がない。
【0077】
また、本実施形態によれば、位置決め部61は、中心軸Jを径方向に挟んで一対設けられている。そのため、位置決め部61によって、モータハウジング本体20とステータハウジング30とカバー40とをより好適に位置決めできる。
【0078】
また、本実施形態によれば、ステータハウジング本体31の右側の端部、すなわち被シール部31bの右側の端部は、蓋部21から左側に離れて配置されている。そのため、ステータハウジング本体31を筒状部22内に挿し込んでいく際に、ステータハウジング本体31の右側の端部が蓋部21に接触する前に、フランジ部33を第2シール部材52に接触させて、フランジ部33とモータハウジング本体20とによって第2シール部材52を挟むことができる。これにより、第2シール部材52をフランジ部33とモータハウジング本体20とに好適に接触させることができる。したがって、第2シール部材52によってフランジ部33とモータハウジング本体20との軸方向の間を好適に封止できる。
【0079】
また、本実施形態によれば、筒状部22において被シール部22bの内周面は、流路構成部22aの内周面よりも径方向内側に突出している。そのため、第1シール部材51が取り付けられた被シール部31bが筒状部22の被シール部22bの内部に挿入される前までの間において、第1シール部材51が被シール部31bの外周面より径方向外側に突出していても、第1シール部材51が流路構成部22aの内周面に擦れることを抑制できる。したがって、第1シール部材51が取り付けられた状態のステータハウジング本体31をモータハウジング本体20に対して組み付けやすくできる。また、第1シール部材51が損傷することを抑制でき、第1シール部材51による封止性が低下することを抑制できる。
【0080】
また、本実施形態によれば、モータハウジング本体20の左側の端面と第2シール部材52とフランジ部33の右側の端面とは、軸方向に見て、互いに全体が重なり合っている。そのため、各部材同士の接触面を大きくしやすく、第2シール部材52による封止性をより向上できる。
【0081】
また、本実施形態によれば、カバー40は、バスバー74が通されたバスバー貫通孔42aを有する。そのため、カバー40を組み付ける前にバスバー74をステータ72に対して電気的に接続し、カバー40を組み付ける際に、バスバー74をバスバー貫通孔42aに通す組立方法を採用できる。これにより、例えばカバー40がステータハウジング30と単一の部材として一体に成形されている場合に比べて、バスバー74をステータ72に接続しやすい。
【0082】
また、本実施形態によれば、回転検出装置75に電気的に接続され、モータハウジング11の外部においてカバー40に固定されたコネクタ部77が設けられている。カバー40は、回転検出装置75を収容する収容部44を有する。このような構成において、カバー40がステータハウジング30と別部材として設けられていることで、例えばカバー40がステータハウジング30と単一の部材として一体に成形されている場合に比べて、回転検出装置75とコネクタ部77との配線を容易に行うことができる。
【0083】
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。位置決め部は、モータハウジング本体とカバーとを径方向に位置決めでき、かつ、モータハウジング本体およびカバーに対して、ステータハウジングを径方向に位置決めできるならば、どのような構成であってもよい。上述した実施形態のピン部61aは、カバー40の穴部43bに圧入され、かつ、モータハウジング本体20の穴部23bに隙間嵌めされてもよい。この場合、穴部43bの内径D4は、穴部23bの内径D2よりも小さい。また、上述した実施形態においてピン部61aは、穴部23bと穴部43bとの両方に圧入されてもよいし、穴部23bと穴部43bとの両方に隙間嵌めされてもよい。
【0084】
位置決め部のピン部は、例えば、図6に示すモータ210のピン部261aのような構成であってもよい。図6に示すように、ピン部261aは、モータハウジング本体220に設けられている。ピン部261aとモータハウジング本体220とは、同一の単一部材の部分である。ピン部261aは、モータハウジング本体220の本体フランジ部223の径方向外周縁部から左側に延びている。ピン部261aは、第2シール部材252に設けられた凹部252bとステータハウジング230に設けられた凹部233bとを軸方向に貫通して、カバー240に設けられた凹部243bに嵌め合わされている。凹部252bは、第2シール部材252の径方向外周縁部から径方向内側に窪んでいる。凹部233bは、ステータハウジング230のフランジ部233の径方向外周縁部から径方向内側に窪んでいる。凹部243bは、カバー240のカバーフランジ部243の径方向外周縁部から径方向内側に窪んでいる。ピン部261aは、凹部233bに嵌め合わされている。
【0085】
図6の構成によれば、ピン部261aが他の部材と別体である場合に比べて、モータ210の部品点数を低減できる。そのため、モータ210の組立工数をより低減できる。なお、ピン部261aは、カバー240に設けられていてもよい。つまり、ピン部261aとカバー240とが同一の単一部材の部分であり、ピン部261aがモータハウジング本体220に設けられた凹部に嵌め合わされてもよい。また、図6の構成において、ピン部261aが通される各凹部の代わりに貫通孔が設けられてもよい。
【0086】
位置決め部は、ステータハウジングのフランジ部に設けられていてもよい。位置決め部は、ピン部を有しなくてもよい。位置決め部は、1つのみ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。
【0087】
第2シール部材は、流路よりも軸方向他方側においてモータハウジング本体とステータハウジングのフランジ部との軸方向の間を封止するならば、どのような構成であってもよい。第2シール部材の材料は、特に限定されない。上述した実施形態において第2シール部材52の貫通孔52bの内径D5は、カバー40の穴部43bの内径D4と同じであってもよい。
【0088】
第2シール部材は、図7に示すモータ310の第2シール部材352のような構成であってもよい。図7に示すように、第2シール部材352は、中心軸Jを囲む環状のOリングである。第2シール部材352は、例えば、ステータハウジング330に設けられたシール溝333cに嵌め込まれている。シール溝333cは、ステータハウジング330のフランジ部333の右側の面から左側に窪んでいる。シール溝333cは、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。
【0089】
モータハウジング本体は、筒状部と蓋部とを有するならば、どのような構成であってもよい。モータハウジング本体に設けられた穴部は、モータハウジング本体を貫通する孔であってもよい。上述した実施形態においてモータハウジング本体20は、本体フランジ部23を有しなくてもよい。この場合、第2シール部材52は、筒状部22の左側の端部とフランジ部33との軸方向の間を封止してもよい。
【0090】
カバーは、モータハウジング本体の軸方向他方側に位置し、第2ベアリングを保持するならば、どのような構成であってもよい。カバーに設けられた穴部は、カバーを貫通しない底部を有する穴であってもよい。カバーは、収容部を有しなくてもよい。上述した実施形態においてカバー40は、天壁部41のみを有する構成であってもよい。つまり、カバー40は、径方向に広がる平坦な形状であってもよい。この場合、例えば、天壁部41の径方向外周縁部に、固定孔43aおよび穴部43bが設けられてもよい。
【0091】
モータハウジング本体とカバーとを固定するネジ部材は、カバーに設けられた雌ネジ穴に締め込まれてもよい。モータハウジング本体とカバーとは、ネジ部材以外の部材によって固定されてもよい。モータハウジング本体とカバーとは、例えば、リベットによって固定されてもよい。
【0092】
ステータハウジングは、ステータハウジング本体とフランジ部とを有するならば、どのような構成であってもよい。上述した実施形態においてフランジ部33の貫通孔33bの内径D3は、カバー40の穴部43bの内径D4より大きくてもよい。
【0093】
本発明が適用されるモータの用途は、特に限定されない。モータは、車両に搭載される機器以外の機器に搭載されてもよい。モータの中心軸が延びる方向は、特に限定されず、鉛直方向であってもよいし、水平方向および鉛直方向の両方に対して傾いた方向であってもよい。以上に本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0094】
10,210,310…モータ、11…モータハウジング、20,220…モータハウジング本体、21…蓋部、22…筒状部、22a…流路構成部、22b…被シール部、23b,43b…穴部、30,230,330…ステータハウジング、31…ステータハウジング本体、33,233,333…フランジ部、33a,43a,52a…固定孔、33b,52b…貫通孔、40,240…カバー、42a…バスバー貫通孔、44…収容部、51…第1シール部材、52,252,352…第2シール部材、53…第3シール部材、60…ネジ部材、61…位置決め部、61a,261a…ピン部、71…ロータ、71a…シャフト、72…ステータ、74…バスバー、75…回転検出装置、76a…第1ベアリング、76b…第2ベアリング、77…コネクタ部、80…流路、90…伝達装置、94…車軸、100…駆動装置、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7