(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】チャック付き紙容器
(51)【国際特許分類】
B65D 75/58 20060101AFI20241210BHJP
B65D 5/06 20060101ALI20241210BHJP
B65D 5/44 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D5/06 200
B65D5/44 T
(21)【出願番号】P 2020147616
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】武本 一平
(72)【発明者】
【氏名】杉山 有二
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真紀子
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-178833(JP,A)
【文献】登録実用新案第3086212(JP,U)
【文献】特開2013-212853(JP,A)
【文献】特開2003-040290(JP,A)
【文献】特開2006-321531(JP,A)
【文献】特開2015-000747(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0200275(US,A1)
【文献】特開2019-142552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/58
B65D 5/06
B65D 5/44
B65D 30/00-33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を基材とする
2枚の積層シートからな
り、折り曲げ線を備えた表がわブランク板と裏がわブランク板とを接合して組み上げられるチャック付き紙容器において、
前記チャック付き紙容器の上部に、前記表がわブランク板と前記裏がわブランク板とを重ね合わせて接合される上部重ね合わせ板、及び前記上部重ね合わせ板の下がわに連設される天面板とからなる天部と、
前記上部重ね合わせ板の左右両がわの端部に連設される天部の側部板と、
前記天部の左右両がわに連設される天部がわ突出部と、
前記天部の下がわに備わる胴部と、
前記胴部の下がわに備わる底部と、
前記上部重ね合わせ板及び前記天部の側部板の上縁部若しくは前記上縁部の近傍を、横断する上部シール部と、
前記上部シール部の下がわに位置し、前記上部重ね合わせ板及び前記天部の側部板を横断
するチャックテープと、を備え、
前記チャックテープは、雄型チャックテープと雌型チャックテープとからなり、
前記雄型チャックテープ又は雌型チャックテープのいずれか一方が、表がわブランク板
に、他方が裏がわブランク板に接合され、
前記表がわブランク板に表がわチャックテープが接合された表がわチャックテープ接合体部の逆方向曲げ剛度が、前記裏がわブランク板に裏がわチャックテープが接合された裏がわチャックテープ接合体部の逆方向曲げ剛度よりも
1.9mN・m以上大きく、
前記表がわチャックテープ接合体部の逆方向曲げ剛度が、15.3mN・m以下であり、
前記裏がわブランク板に縦断方向に存在する裏がわ第一縦折り曲げ線と、前記裏がわチャックテープ接合体部とは、部分的に重なっていることを特徴とするチャック付き紙容器。
【請求項2】
前記積層シートに用いられる紙の坪量は、80~320g/m
2
である、ことを特徴とする請求項1に記載のチャック付き紙容器。
【請求項3】
前記表がわブランク板と前記裏がわブランク板とを構成する積層シートが同一であり、
前記表がわチャックテープの逆方向曲げ剛度が、前記裏がわチャックテープの逆方向曲げ剛度よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のチャック付き紙容器。
【請求項4】
前記表がわチャックテープは雌型チャックテープであり、前記裏がわチャックテープは雄型チャックテープであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のチャック付き紙容器。
【請求項5】
前記上部シール部と前記チャックテープとの間には、易開封加工線が設けられることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のチャック付き紙容器。
【請求項6】
前記表がわブランク板及び前記裏がわブランク板の前記上部シール部を含む領域に、易剥離加工部が設けられ、
易開封加工線は設けられないことを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のチャック付き紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チャック付き紙容器に関し、特に立体形状を有し、自立性を備えた紙容器の分野において、その取り出し用開口部の開口具合を大きくし、内容物を取り出しやすいチャック付き紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チャック付き紙容器として、特許文献1のような技術が開示されている。すなわち、直方体形状の紙容器の上部にチャックを設けており、内容物を取り出す際にはチャックを開けて、内容物の取り出しが終了したらチャックを閉じることができる。
【0003】
上記の技術により、内容物の保護や、紙容器転倒時の内容物の零れを防止できる。また、紙容器であることから、内容物を消費後の容器の減容化や、廃棄が容易である。
図1に、従来技術のチャック付き紙容器80の製造に用いるブランク板81を示し、
図2に従来技術のチャック付き紙容器80の斜視図を、
図3に天部を開口した状態の斜視図を示す。
【0004】
なお、今後特段の説明がない場合は、
図2を参照に、表がわ壁面板831bを正面として、チャック付き紙容器80の表がわ、裏がわ、左がわ、右がわ、上がわ、下がわを示すものとする。本開示のチャック付き紙容器90においても、同様とする。
【0005】
また、従来技術の説明を行う際に使用する符号は、本開示と区別するために、80番代又は800番代としている。
また、符号の添え字のaは、チャック付き紙容器80の裏がわ部分の要素を示し、添え字のbは表がわ部分の要素を示す。添え字のaとbとの両方がある要素において、添え字がない符号は、aとbの両方を含むものとする。
【0006】
特許文献1に記載されたチャック付き紙容器80においては、その天部を開口し、内容物を取り出す際には、まず天面がわ突出部(耳部)874が胴部872から取り外され(
図2参照)、次に易開封加工線851が切断されたのち、チャックテープ861が開かれて、取り出し用開口部856が開口される(
図3参照)。
そして、その取り出し用開口部856より、匙、トング等の道具を用いて内容物が取り出される。あるいは道具を用いずに人の手により、内容物が取り出される。
【0007】
しかしながら、内容物を取り出す際には、取り出し用開口部856は、大きいことが望ましいが、従来技術のチャック付き紙容器80では、取り出し用開口部856を大きくするための工夫がされていなかった。そのために、取り出し用開口部856が安定して大きな開口寸法となることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その課題は、チャック付き紙容器90において、内容物を取り出すための取り出し用開口部56の開口寸法Xが安定して大きくなるチャック付き紙容器90を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題は、本開示の以下の実施形態により解決することができる。
すなわち、本開示のチャック付き紙容器90は、
紙を基材とする積層シート78からなる表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aとを接合して組み上げられるチャック付き紙容器90において、
前記チャック付き紙容器90の上部に、前記表がわブランク板10bと前記裏がわブランク板10aとを重ね合わせて接合される上部重ね合わせ板34、及び前記上部重ね合わせ板34の下がわに連設される天面板33とからなる天部71と、
前記上部重ね合わせ板34の左右両がわの端部に連設される天部の側部板41と、
前記天部71の左右両がわに連設される天部がわ突出部74と、
前記天部71の下がわに備わる胴部72と、
前記胴部72の下がわに備わる底部73と、
前記上部重ね合わせ板34及び前記天部の側部板41の上縁部21若しくは前記上縁部21の近傍を、横断する上部シール部53と、
前記上部シール部53の下がわに位置し、前記上部重ね合わせ板34及び前記天部の側部板41を横断するチャックテープ61と、を備え、
前記チャックテープ61は、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとからなり、
前記雄型チャックテープ61m又は雌型チャックテープ61fのいずれか一方が、表がわブランク板10aに、他方が裏がわブランク板10aに接合され、
前記表がわブランク板10bに表がわチャックテープ61bが接合された表がわチャックテープ接合体部65bの逆方向曲げ剛度SCSbが、前記裏がわブランク板10aに裏がわチャックテープ61aが接合された裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaよりも大きいことを特徴としている。
【0011】
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記表がわブランク板10bと前記裏がわブランク板10aとを構成する積層シート78が同一であり、
前記表がわチャックテープ61bの逆方向曲げ剛度SCTbが、前記裏がわチャックテープ61aの逆方向曲げ剛度SCTaよりも大きくてもよい。
【0012】
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記表がわチャックテープ61bは雌型チャックテープ61fであり、前記裏がわチャックテープ61aは雄型チャックテープ61mであってもよい。
【0013】
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記上部シール部53と前記チャックテープ61との間には、易開封加工線51が設けられてもよい
【0014】
また、本開示の一実施形態のチャック付き紙容器90において、
前記表がわブランク板10b及び前記裏がわブランク板10aの前記上部シール部53を含む領域に、易剥離加工部58が設けられてもよい。
【発明の効果】
【0015】
上述した本開示の実施形態によれば、内容物を取り出すための取り出し用開口部56の開口具合が安定して大きくできるので、その取り出し用開口部56より、匙、トング等の道具を用いて内容物が容易に取り出される、あるいは道具を用いずに人の手により容易に取り出されるチャック付き紙容器90を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来技術のチャック付き紙容器80の製造に用いるブランク板81の展開図である。
【
図2】従来技術のチャック付き紙容器80の斜視図である。
【
図3】従来技術のチャック付き紙容器80の天部871を開口した状態の斜視図である。
【
図4】本開示の第一の実施形態のチャック付き紙容器90の製造に用いるブランク板93の展開図である。
【
図5】
図4に示したブランク板93を用いてチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。
【
図6】
図4に示したブランク板93を用いてチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(起函状態)92の形状を示す斜視図である。
【
図7】
図4に示したブランク板93を用いて作製したチャック付き紙容器90の斜視図である。
【
図8】
図7に示したチャック付き紙容器90の側面図である。
【
図9】
図7に示したチャック付き紙容器90の平面図である。
【
図10】
図7に示したチャック付き紙容器90の天部71を開口した状態の斜視図である。
【
図11】(a)
図3の上部の端縁部を示す図である。(b)
図10の上部の端縁部を示す図である。
【
図12】(a)本開示(従来技術)のチャックテープ61、861の断面図(解離状態)である。(b)本開示(従来技術)のチャックテープ61、861の断面図(嵌合状態)である。
【
図13】本開示(従来技術)のブランク板93、81の積層シート78、88の断面図である。
【
図14】(a)従来技術のチャックテープ接合体部865の断面図(嵌合状態)である。(b)従来技術のチャックテープ接合体部865の断面図(解離状態)である。
【
図15】(a)本発明のチャックテープ接合体部65の断面図(嵌合状態)である。(b)本発明のチャックテープ接合体部65の断面図(解離状態)である。
【
図16】(a)
図11(a)のB部の拡大図である。(b)
図11(b)のC部の拡大図である。
【
図17】本開示の第二の実施形態のチャック付き紙容器90を作製する際の中間段階の紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示について図面を用いながら説明する。但し、本開示はこれら具体的に示された形態や、各種の具体的に記載された構造に限定されるものではない。
なお、各図においては、分かり易くする為に、部材の大きさや比率を変更又は誇張して記載することがある。また、見やすさの為に説明上不要な部分や繰り返しとなる符号は省略することがある。
【0018】
また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用することができる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直、中央等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。
【0019】
本開示のチャック付き紙容器90のブランク板93は、少なくとも基材の紙が積層され、また少なくとも最内層としてポリエチレンなどの熱可塑性樹脂が積層された積層シート78を用いて、外形を矩形状に形成するとともに、ブランク板93の中に設けられた各種の折り曲げ線により、チャック付き紙容器90の形成に必要な各部の形成板が区画されて構成されている。
【0020】
<第一の実施形態>
<ブランク板>
本実施形態のチャック付き紙容器90のブランク板93を、
図4に示す。
図4(a)は、裏がわブランク板10aを表し、
図4(b)は表がわブランク板10bを表す。なお、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bの2枚を、合わせてブランク板93と記述する。
【0021】
また特段の説明がない限り、ブランク板93の後述される各構成要素において、各符号の添え字のaは裏がわブランク板10aの要素を示し、添え字のbは表がわブランク板10bの要素を示す。添え字のaとbの両方がある要素において、添え字がない符号は、aとbの両方を含むものとする。
【0022】
図4(a)の裏がわブランク板10aの図面の下がわである、裏がわ上縁部21aが、チャック付き紙容器90の上がわとなる。
図4(b)の表がわブランク板10bの図面の上がわである、表がわ上縁部21bが、チャック付き紙容器90の上がわとなる。
【0023】
図4(a)、(b)とも、図面の表面がわが、チャック付き紙容器90を組み立てた際の外面がわとなり、裏面がわが内面がわとなる。
図4(a)、(b)は、夫々の上縁部21a、21bを基準にして、線対称となっており、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bの内面同士を、位置を合わせて重ね合わせると、各構成要素(後述する各形成板、線、シール部、チャックテープ接合部など)は重なり合う。
【0024】
位置を合わせて重ねられた上述の裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bが接合されて、
図5のような中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が作製されて、さらに
図6のような中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92が作製されて、チャック付き紙容器90の完成に向けて手順が進んでいくが、この製造方法については、後述する。
【0025】
今後特段の記述がない場合は、
図4(b)を参照として、表がわブランク板10bの上下左右を示すものとする。裏がわブランク板10aについても、その上縁部21aを上がわとして説明する。従って
図4(a)では、上下が逆となる。
チャック付き紙容器90においても、その上縁部21がわを上がわとし、下縁部26がわを下がわとする。
【0026】
なお、形成されたチャック付き紙容器90は、後ほど説明するが、上がわから順次、天部71、胴部72、底部73で構成されており、上述の上がわを天部がわと、下がわを底部がわと称することもある。(
図7参照)。
また、天部71に設けられた各構成要素の上下方向を説明する際に、天部がわとの記載は上縁部21がわを示し、底部73に設けられた各構成要素の上下方向を説明する際に、底部がわとの記載は下縁部26がわを示すこともある。
【0027】
上述のように、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bは、上下に線対称の形状であるので、ブランク板93の説明については、表がわブランク板10bで説明する。
なお、機能に変更が生じない範囲において、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bは、線対称から外れてもよい。
また、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bとは、材質(層構成)、製造方法も同じである。
【0028】
本実施形態のチャック付き紙容器90の表がわブランク板10bは、その外形が略矩形状に形成されており、上がわを表がわ上縁部21b、左右の両がわを表がわ側縁部11b、下がわを表がわ下縁部26bとする。
また、表がわブランク板10bは、その幅方向の中央部を通る鉛直線を対称軸として左右対称な形状である。
なお、ブランク板93を構成する積層シート78については、後ほど説明する。
【0029】
表がわブランク板10bには、左がわから順次、縦断方向に存在する表がわ第一縦折り曲げ線12bと、表がわ第二縦折り曲げ線13bと、表がわ第二縦折り曲げ線13bと、表がわ第一縦折り曲げ線12bが設けられている。
即ち、おのおの表がわブランク板10bの側縁部11bに近い方の縦折り曲げ線が表がわ第一縦折り曲げ線12bであり、表がわブランク板10bの側縁部11bに遠い方の縦折り曲げ線が表がわ第二縦折り曲げ線13bである。
それらの表がわ縦折り曲げ線12b、13bは、各々が表がわブランク板10bの側縁部11bに略平行であることが望ましい。
【0030】
また、表がわブランク板10bには、表がわ上縁部21bがわから順次、横断方向に存在する表がわ第一横折り曲げ線22b、表がわ第二横折り曲げ線23b、表がわ第三横折り曲げ線24b、表がわ第四横折り曲げ線25bが設けられている。
それらの表がわ横折り曲げ線22b、23b、24b、25bは、各々が上縁部21b及び下縁部26bに略平行であることが望ましい。
【0031】
さらに、表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17b、表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18b、が、それぞれ左右に一対で設けられており、チャック付き紙容器90の形成に必要な各部の形成板が区画されて構成されている。
【0032】
表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17bの上端部は、表がわ第一縦折り曲げ線12bと、表がわ第一横折り曲げ線22bとの交点である、表がわ第一天部交点Ebと同じ位置である。
表がわ天部がわ斜め折り曲げ線17bの下端部は、表がわ第二縦折り曲げ線13bと、表がわ第二横折り曲げ線23bとの交点である、表がわ第二天部交点Fbと同じ位置である。
【0033】
表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18bの上端部は、表がわ第二縦折り曲げ線13bと、表がわ第三横折り曲げ線24bとの交点である、表がわ第二底部交点Hbと同じ位置である。
表がわ底部がわ斜め折り曲げ線18bの下端部は、表がわ第一縦折り曲げ線12bと、表がわ第四横折り曲げ線25bとの交点である、表がわ第一底部交点Gbと同じ位置である。
【0034】
なお、上述のそれぞれの表がわ斜め折り曲げ線17bは、上述の各々の交点Eb、Fbとは接せずに、近傍に位置してもよい。さらに、それぞれの表がわ斜め折り曲げ線18bは、上述の各々の交点Gb、Hb、とは接せずに、近傍に位置してもよい。
上記の各々の表がわ斜め折り曲げ線と各々の交点とが、接せずに近傍に位置することにより、充分な折り曲げ性能を有しつつ、なおかつ特定な箇所に折り曲げ線の過度な集中がなく、表がわブランク板10bの積層シート78の強度の低下を防ぐことができる。
【0035】
表がわブランク板10bの左右の両がわの側縁部11bには、表がわ側縁部がわシール代36bが表がわ第一縦折り曲げ線12bを介して形成されている。
【0036】
また、表がわブランク板10bの下がわに位置する表がわ下縁部26bには、表がわ底部がわシール代37bが表がわ第四横折り曲げ線25bにて形成されている。
【0037】
また、表がわブランク板10bには、その最も上がわに位置する表がわ上縁部21bより下がわ方向に、各部の形成板が設けられている。
【0038】
主要部について説明すると、表がわ上縁部21bの下がわに、表がわ上部重ね合わせ板34bが設けられている。その表がわ上部重ね合わせ板34bの下がわに、表がわ第一横折り曲げ線22bを介して、表がわ天面板33bが連設されている。その表がわ天面板33bの下がわに、表がわ第二横折り曲げ線23bを介して、表がわ壁面板31bが連設されている。その表がわ壁面板31bの下がわに、表がわ第三横折り曲げ線24bを介して、表がわ底面板35bが連設されている。
【0039】
また、表がわ上部重ね合わせ板34bの左右の両がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ天部の側部板41bが連設されている。
【0040】
また、表がわ天面板33bの左右の両がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ天部がわ突出部(耳部)代38bが連設されている。
【0041】
また、表がわ壁面板31bの左右の両がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ側面板32bが連設されている。
【0042】
また、表がわ底面板35bの左右の両がわの外方には、表がわ第二縦折り曲げ線13bを介して、表がわ底部がわ突出部(耳部)代43bが連設されている。
【0043】
また、それぞれの表がわ天部の側部板41bの下がわに、表がわ第一横折り曲げ線22bを介して、表がわ天部がわ突出部(耳部)代38bが連設されている。その表がわ天部がわ突出部(耳部)代38bの下がわに、表がわ第二横折り曲げ線23bを介して、表がわ側面板32bが連設されている。その表がわ側面板32bの下がわに、表がわ第三横折り曲げ線24bを介して、表がわ底部がわ突出部(耳部)代43bが連設されている。
【0044】
上記の表がわ底面板35bと左右両がわの表がわ底部がわ突出部(耳部)代43bの下がわに、表がわ底部がわシール代37bが連設されている。
【0045】
上記の表がわ天部の側部板41bと、表がわ天部がわ突出部(耳部)代38bと、表がわ側面板32bと、表がわ底部がわ突出部(耳部)代43bとの外がわには、表がわ第一縦折り曲げ線12bを介して、表がわ側縁部がわシール代36bが連設されている。
【0046】
本実施形態のブランク板93への折り曲げ線を付与する加工(罫線加工)は、積層シート78が完成してから罫線加工して、その後にチャック付き紙容器90を製造する機械に積層シート78を供給する。あるいは、罫線加工はチャック付き紙容器90を製造する機械にて実施してもよい。
【0047】
罫線加工の方法としては、プラテン方式、ロータリーダイ方式など公知の方法から、適切な方法が採用される。
また、罫線加工を実施する前に、積層シート78をシート断ちしてもよい。あるいは、積層シート78はロール状で罫線加工の工程に供給されてもよい。
【0048】
また、積層シート78を打ち抜いて、ブランク板93を製造する打ち抜き工程について説明する。その打ち抜き工程は、プラテン方式、ロータリーダイ方式など公知の方法から、適切な方法が選択される。ロール状の積層シート78から直接にブランク板93を形成してもよく、一度枚葉にシート断ちしてから、打ち抜いてもよい。
また、罫線加工と打ち抜き加工の順番は問わない。同時に加工してもよい。
【0049】
また、所定のロール幅にスリットしたロール状の積層シート78を、チャック付き紙容器90を製造する機械に供給し、ロール状の積層シート78の横断方向に切断し、ブランク板93を作製してもよい。
【0050】
裏がわブランク板10aは、表がわブランク板10bと線対称で同形状である。言い替えれば、ブランク板の層構成が逆になっている同形状のブランク板である。
【0051】
図5は、
図4に示したブランク板93を用いてチャック付き紙容器90を製造する際の、中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91の形状を示す正面図である。最上部が
図4(b)に示した表がわブランク板10bの上縁部21bであり、その裏がわには、裏がわブランク板10aが備えられている。裏がわブランク板10aは目視できないが、透視とすると表がわブランク板10bとほぼ同形状となる。
【0052】
なお、
図5では、裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bが重なっており、各構成要素は、製造上のバラツキの範囲で、図面を透視すると同じ位置関係であるので、表がわの表記及び添え字を、説明の際に割愛することがある。
【0053】
上部重ね合わせ板34及び表がわ天部の側部板41には、上述の2枚のブランク板が互いに重なり合う所定の位置に、横断方向の密封手段としての上部シール部53と、チャックテープ接合部52とが、上縁部21がわから順次に設けられている。
【0054】
上部シール部53は、上部重ね合わせ板34及びそれぞれの天部の側部板41の上縁部21、若しくは上縁部21の近傍に設けられる。
上部シール部53が上縁部21に略平行であると、上部シール部53の長さを短くすることができ、かつブランク板93に無駄が生じない。
【0055】
横断方向の密封手段としての上部シール部53は、相対することになる表がわ上部シール部53bと裏がわ上部シール部53aとが接合されて形成される。その接合は、チャック付き紙容器90の上縁部21、若しくは上縁部21の近傍を、全幅に渡って横断するように接合されるため、チャック付き紙容器90の密閉が保たれる。
【0056】
また、上部シール部53は、上縁部21に略平行であることが望ましい。さらに、チャックテープ接合部52は、上縁部21に略平行であることが望ましい。
そのような形態では、チャックテープ61の開閉及び、内容物の取り出しが容易となる。また、チャックテープ61の長さを短くすることができる。
【0057】
<易開封加工線>
易開封加工線51について説明する。
表がわ上部重ね合わせ板34b及び表がわ天部の側部板41bには、開封手段としての表がわ易開封加工線51bが設けられてもよい。
易開封加工線51bが設けられることで、鋏などの道具を使用しなくても、チャック付き紙容器90を開封できる。
【0058】
図5を参照として、易開封加工線51は、ブランク板93の一方の側縁部11から他方の側縁部11まで繋がっており、上部シール部53とチャックテープ61の間に存在する。
【0059】
易開封加工線51の端部のどちらかにノッチ77が設けられてもよく、本実施形態では右がわの側縁部11にノッチ77が設けられている。また、ノッチ77は左がわの側縁部11に設けられてもよい。あるいは左右の両方の側縁部11にノッチ77が設けられてもよい。ノッチ77が設けられることにより、初期の開封が容易になる。
【0060】
易開封加工線51を一方の側縁部(ここでは右がわ)11がわから切断し、他方の側縁部(ここでは左がわ)11まで至ることで、上部重ね合わせ板34が及び表がわ天部の側部板41が横断的に切除されて、あわせて上部シール部53が切除されて、チャックテープ61が露出する。
【0061】
なお、開封手段の易開封加工線51に、断続的なハーフカット線又は直線状のハーフカット線を使用する場合は、通常の刃物による方法で形成してもよいが、レーザ光照射による方法、超音波を利用する方法、ダイヤモンドカットと呼ばれる方法を使用することにより、より精度と安定性に優れたハーフカット線を形成することができる。
【0062】
また、易開封加工線51は、幅を有する帯状であってもよい。また、易開封加工線51は複数設けられてもよい。
【0063】
なお、表がわブランク板10bの積層シート78の材質、層構成、易開封処理の状況などによっては、易開封加工線51bを設けなくてもよい。易開封加工線51bが無くても、人の手にて開封可能な場合がある。
【0064】
さらに、上記のように易開封加工線51bが設けられない場合は、鋏などの刃物で開封されてもよい。その場合は、開封予定線が印刷によって表示されてもよい。また、その印刷の位置は、
図4に示された易開封加工線51bの位置に印刷されてもよい。また、チャック付き紙容器90には開封予定線を明示せずに、添付する説明書などに記載してもよい。
【0065】
<チャックテープ>
図12は、本開示のチャックテープ付き紙容器90に用いるチャックテープ61の一例の構成を示す模式断面図である。
図12(a)に示したチャックテープ61は、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとが、それぞれ押出成形にて成形されており、それぞれを組み合わせる前の状態である。凸条の雄型チャックテープ嵌合部63mが設けられた雄型チャックテープ体部62mと、凹条の雌型チャックテープ嵌合部63fが設けられた雌型チャックテープ体部62fとで構成されている。
【0066】
チャックテープ61は、熱可塑性樹脂の押出成形などにより成形されるが、チャックテープ61の各構成要素(チャックテープ体部62、チャックテープ嵌合部63等)の要求性能に応じた樹脂を採用して、多層の押出成形としてもよい。
【0067】
チャックテープ体部62のブランク板93と接合されるがわの材質は、熱溶着されることから低めの融点であることが望ましいが、チャックテープ体部62のブランク板93と接合されないがわ、若しくは外面に接していない箇所(内部の層である。)は、ヒートシールの温度に耐えられる耐熱性を有してもよい。
【0068】
前者の低めの融点の材質としては、低密度ポリエチレン(LDPE)や、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などが例示される。また、後者の耐熱性を有する材質としては、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)などが例示される。
【0069】
また、雌型チャックテープ嵌合部63fは、雄型チャックテープ嵌合部63mと嵌合する際に、変形する必要があることから、柔らかめの材質であってもよく、低密度ポリエチレン(LDPE)や、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)などが例示される。
【0070】
また、雄型チャックテープ嵌合部63mは、雌型チャックテープ嵌合部63fと嵌合する際に、変形する必要がないため、雌型チャックテープ嵌合部63fよりも硬くてもよい(材質、形状による硬さ)。
また、雄型チャックテープ嵌合部63mの材質は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)などが例示される。
【0071】
別々に押出成形された、雄型チャックテープ61mと、雌型チャックテープ61fは、
図12(b)のように、それぞれの雄型チャックテープ嵌合部63mと、雌型チャックテープ嵌合部63fとが嵌合されて、チャックテープ61が完成する。
【0072】
<チャックテープの接合手順>
チャック付き紙容器90の組み立ての手順は後ほど説明するが、その手順のうち、ここではチャックテープ61のブランク板93への接合手順を説明する。
【0073】
チャックテープ接合部52は、この場合、チャック付き紙容器90を組み立てる際のチャックテープ61の接合予定部である。
【0074】
裏がわブランク板10aと表がわブランク板10bとが重ね合わされて、側縁部がわシール代36同士、及び上部シール部53同士がヒートシールされる。
その際に、予め雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとが、それぞれの雄型チャックテープ嵌合部63mと、雌型チャックテープ嵌合部63fとで嵌合されたチャックテープ61がこの部分に挿入され、同時に2枚のブランク板93の外面がわからチャックテープ接合部52が加熱、加圧されヒートシールされる。そして、ブランク板93とチャックテープ61とが、ヒートシールされる。
【0075】
なお、チャックテープ61のブランク板93への接合は、上記のようなヒートシールに限らず、接着剤や接着テープなど、その他の方法にて接合されてもよい。
【0076】
なお、ここでは雄型チャックテープ61mが裏がわチャックテープ61aであり、雌型チャックテープ61fが表がわチャックテープ61bとなる例を示したが、雄型チャックテープ61mが表がわチャックテープ61bであり、雌型チャックテープ61fが裏がわチャックテープ61aであってもよい。
【0077】
このような方法でチャックテープ61がヒートシールされることにより、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとを別々にチャックテープ接合部52にヒートシールする方法と比較して、ヒートシールの位置ずれが少なくなり、また、取り付け工程が簡略化されるので、生産効率よくチャックテープ61を取り付けることができる。
【0078】
<ブランク板の積層シート>
ブランク板93に用いる積層シート78は、前述したように、少なくとも紙基材層782を積層し、少なくとも最内層の熱可塑性樹脂層783としてポリエチレンなどの熱可塑性樹脂を積層した積層シート78を用いるが、中間層には必要に応じて、水蒸気や酸素やその他のバリア層785や、強度向上層などを設けることができる。
【0079】
また、本実施形態のチャック付き紙容器90に絵柄等の印刷層を設ける場合、通常は紙基材層782の表面に印刷するが、仮に紙基材層782の印刷適性が良くない場合は、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどに絵柄等の印刷層を設け、そのフィルムを紙基材層782の外がわのいずれかの層に積層することもできる。
【0080】
紙基材層782は、剛性があり、且つ、折り曲げ線などで折り曲げた時、割れの生じにくい紙が好ましいが、特に限定はされずチャック付き紙容器90に充填される内容物に応じて、耐水性(サイズ度)なども考慮して適するものを適宜に選定して使用することができる。
具体例として、上質紙、晒クラフト紙、カップ原紙、ミルクカートン原紙などを好適に使用することができ、その坪量は、80~320g/m2の範囲が適切である。
【0081】
最内層、及び必要に応じて最外層、中間層の熱可塑性樹脂層(シーラント層)の樹脂としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のほか、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸のランダム共重合体(EMAA)、エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)、アイオノマー、そして、ポリプロピレン及びその共重合体、ポリエステル系樹脂などを使用することができ、これらの中から、充填される内容物や、保管及び使用される条件に応じて、適するものを適宜に選定して使用することができる。
【0082】
上記の熱可塑性樹脂のうち、特にエチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)及びエチレン・メタクリル酸のランダム共重合体(EMAA)は、押し出しコートなどの加工時の熱安定性、各種の基材に対する接着性、低温ヒートシール性などに優れると共に、薄膜形成性にも優れているので、厚みをそれほど必要としない最外層の熱可塑性樹脂層を、例えば、6~10μmのような比較的薄い厚さで押し出しコートして積層することも容易であり、プラスチック材料の使用比率を低減できると同時に、コスト面でもメリットを得ることができる。
【0083】
以上のような最内層、及び必要に応じて最外層の熱可塑性樹脂層は、その積層面に必要に応じてアンカーコート、コロナ処理、フレーム(火炎)処理などの易接着性処理を施した後、その上に樹脂を押し出しコートして積層できるほか、熱可塑性樹脂を予めフィルム状に製膜しておいて、そのフィルムを公知のドライラミネート又は押し出しラミネート(サンドイッチラミネート)などで貼り合わせて積層することができる。
【0084】
積層シート78の中間層にバリア層785を積層する場合、バリア層785としては、アルミニウム箔などの金属箔のほか、アルミニウム、シリカ、アルミナなどの金属又は無機酸化物を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルム)、二軸延伸ナイロンフィルム(以下、ONフィルム)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルム)などの基材フィルムに、厚み20~100nmに蒸着した蒸着フィルムなどを使用することができる。あるいは、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム(以下、EVOHフィルム)、ナイロンMXD6の二軸延伸フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、そして、ポリ塩化ビニリデンの塗膜層を設けたPETフィルム、ONフィルム、OPPフィルムなどを使用することができる。
【0085】
このようなバリア層785は、通常、中間層の紙基材層782の内がわの面に積層することが、そのガスバリア性を効果的に利用できる点で好ましいが、バリア層785にアルミニウムなどの金属箔や金属蒸着フィルムを使用した場合は、そのメタリック感をデザインにも利用するため、紙基材層782の外がわの面に積層することもできる。バリア層785の積層は、公知のドライラミネート又は押し出しラミネート(サンドイッチラミネート)などにより容易に積層することができる。
【0086】
本実施形態のチャック付き紙容器90のブランク板93の積層シート78の層構成を例示する。
図13(a)は、3層からなるブランク板93の積層シート78の断面図であり、その層構成は、
最外層の熱可塑性樹脂層781 / 紙基材層782 /
最内層の熱可塑性樹脂層783
からなる。
【0087】
図13(b)は、2層からなるブランク板93の積層シート78の断面図であり、その層構成は、
紙基材層782 / 最内層の熱可塑性樹脂層783
からなる。
図13(a)に示した3層からなるブランク板93から、最外層の熱可塑性樹脂層781を削除した層構成である。
【0088】
また、ブランク板93にバリア性(水蒸気、酸素、保香性など)を要する場合は、バリア層785を備えることができる。
図13(c)は、5層ならなるブランク板93の積層シート78の断面図であり、その層構成は、
最外層の熱可塑性樹脂層781 / 紙基材層782 / 中間の接着層 784 /
バリア層785 / 最内層の熱可塑性樹脂層783
からなる。
【0089】
図13(d)は、4層からなるブランク板93の積層シート78の断面図であり、その層構成は、
紙基材層782 / 中間の接着層 784 / バリア層785 /
最内層の熱可塑性樹脂層783
からなる。
図13(c)に示した5層からなるブランク板93から、最外層の熱可塑性樹脂層781を削除した層構成である。
【0090】
上記の各積層シート78の各層間の接合は、公知のドライラミネート、押出コーティング、接着剤などにより行われる。なお、各層間の接合のための層は、厚さが薄いため、示していない。
【0091】
なお、従来技術のチャック付き紙容器80の積層シート88も、本開示のチャック付き紙容器90の積層シート78と同様である。
図13を参照に、最外層の熱可塑性樹脂層881、紙基材層882、最内層の熱可塑性樹脂層883、中間の接着層884、バリア層885となる。
【0092】
<チャック付き紙容器の作製>
以下に、チャック付き紙容器90のブランク板93から、中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が作製され、さらに中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92が作製され、そして内容物が充填されたチャック付き紙容器90の包装体が完成させられるまでの手順の概要を説明する。
【0093】
<中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)の作製>
上記の2枚のブランク板10a、10bが重ね合された際に、チャックテープ接合部52同士が重なる位置に、予め雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとが嵌合されたチャックテープ61が挿入され、ブランク板93の外面がわからチャックテープ接合部52が加熱、加圧されヒートシールされる。
【0094】
次いで上部シール部53の内面同士がヒートシールされ、ブランク板93の側縁部11に隣接したそれぞれの側縁部がわシール代36の内面同士がヒートシールされる。そのようにして、下縁部26が開口する袋状に形成される。
【0095】
また、易開封加工線51の外縁部の各端部(両がわの側縁部と接する箇所)にノッチ77が設けられてもよい。なお、ノッチ77は、どちらか一箇所の端部に設けてもよい。
【0096】
チャック付き紙容器90は、実際の製造の際には特に限定はされないが、生産性をよくするため、紙容器の組み立てと、内容物の充填と、各接合箇所のシールとをインラインで行う装置を用いてもよい。
【0097】
その装置において、ロール状に巻き上げられた長尺の印刷済み積層シート78を繰り出して、紙容器が横につながった形式で、折り曲げ線の加工、及びチャックテープ61の挿入及びヒートシール、側縁部がわシール代36のヒートシール、上部シール部53のヒートシール、ノッチ77の打ち抜きなどを行ってもよい。
【0098】
なお、所望のチャック付き紙容器90が得られるならば、上記工程の順番以外でも構わない。
【0099】
次いで、個々の紙容器に切断する方法によって、
図5に示した形状の中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が作製され、続いて、立体形状への成形がなされ、
図6のような中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92が作製される。
【0100】
<中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)の作製>
この中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91の底部73の開口部からマンドレルが差し込まれて、上部重ね合わせ板34が残されて、その下がわの天面板33が、第一横折り曲げ線22により前後に広げられて、上部重ね合わせ板34が上方向に起立させられる。
【0101】
ここで、胴部72の稜部72dの折り曲げ加工を確実に行うために、胴部72の内がわ及び/又は外がわから、稜部72dの近傍(当接を含む)に補助部材を接触させてもよい。
【0102】
上部重ね合わせ板34の下がわに天面板33による天部71と、さらに水平断面の形状が略矩形状である胴部72が続き、底部73が略矩形状に開口する中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92が形成される。
この段階では
図6のように、上部重ね合わせ板34は、上方向に起立している。
【0103】
なお、設計では胴部72の水平断面の形状及び底部73の開口の形状は、矩形状を想定しているが、紙を主体とした柔軟性がある積層シートからなるチャック付き紙容器90であるため、完全な矩形状とならない場合を含め、略矩形状としている。
【0104】
<チャック付き紙容器の成形・充填>
次に、上方向に起立する上部重ね合わせ板34が、背面がわ(裏がわ天面板33aがわ)に折り曲げて寝かされて、左右両がわに突出する天部がわ突出部(耳部)74が、側面板32の方向に折り曲げられて、胴部72に接合される。
【0105】
接合する方法は、接着剤(ホットメルト等)を使用する方法、接着テープを使用する方法、機械的に接合する方法(係合させるもの、接合具を用いるもの)などでもよい。また、ブランク板93の最外層に熱可塑性樹脂層(シーラント層)が備えられる場合は、その熱可塑性樹脂層がヒートシールされる方法がある。
後述する底部がわ突出部(耳部)75の接合も、同様な方法が用いられる。
【0106】
なお、天部がわ突出部(耳部)74の先端部が、チャック付き紙容器90の胴部72に接合されてもよい。
また、天部がわ突出部(耳部)74の先端部以外の箇所が、チャック付き紙容器90の胴部72に接合してもよい。その場合は、天部がわ突出部(耳部)74の先端部は、チャック付き紙容器90の胴部72に接合されなくてもよい。
【0107】
上記のように形成された中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92の底部73が上に向けられて、開口する底部73から内容物が充填され、次いで、底部73が折り曲げられて、底部がわシール代37同士が合掌シール形式でヒートシールされる。
【0108】
その後、底部がわシール代37が、背面がわ(裏がわ底面板35aがわ)に折り曲げて寝かされて、左右両がわに突出する底部がわ突出部(耳部)75が底面板35がわに折り曲げられて接合されることにより、略直方体形状のチャック付き紙容器90の包装体が完成させられる。
【0109】
図7は、本開示のチャック付き紙容器90の第一の実施形態を示す斜視図である。
図8は、
図7に示したチャック付き紙容器90の側面図である。
図9は、
図7に示したチャック付き紙容器90の平面図である。
【0110】
図7に示したチャック付き紙容器90は、外形を略直方体形状に形成したものであり、その胴部72の稜部72dを備えている。
なお、設計では直方体形状のチャック付き紙容器90を想定しているが、紙を主体とした柔軟性がある積層シート78からなるチャック付き紙容器90であるため、完全な直方体形状とならない場合を含め、略直方体形状としている。
【0111】
<チャック付き紙容器の内容物の取り出しのための開口動作>
完成した内容物入りチャック付き紙容器90の包装体の天部71を、内容物を取り出すために開口した状態を
図10に示す。
【0112】
易開封加工線51が、一方(ここでは右がわ)の側縁部11がわに設けられたノッチ77より、人の手により開封が開始されて、他方(ここでは左がわ)の側縁部11に至るまで切断される。
【0113】
次に、表がわ易開封加工線51bと表がわチャックテープ61bの間の表がわ開封掴み代57bと、裏がわ易開封加工線51aと裏がわチャックテープ61aの間の裏がわ開封掴み代57aとを、それぞれ人の手で掴み、チャック付き紙容器90の外がわ方向に拡げることにより、易開封加工線51にて露出したチャックテープ61が開口させられる。
【0114】
このチャックテープ61の開口動作の際に、チャックテープ61のそれぞれのブランク板93の側縁部11がわの端部は、それぞれの側縁部がわシール代36まで略全幅に渡って開口する。
上記のようにチャックテープ61の雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとが解離することで、取り出し用開口部56が形成される。
【0115】
<チャックテープの性状と取り付け位置>
開口された従来技術のチャック付き紙容器80の取り出し用開口部856を上から見た際の、上がわの端縁部を
図11(a)に示す。また、本開示のチャック付き紙容器90の取り出し用開口部56を上から見た際の、上がわの端縁部を
図11(b)に示す。
【0116】
従来技術のチャックテープ861の断面図を
図12に示す。
図12(a)は、雄型チャックテープ861mと雌型チャックテープ861fとが解離している状態を示している。また、
図12(b)は、雄型チャックテープ861mと雌型チャックテープ861fとが嵌合している状態を示している。
【0117】
また、本開示のチャックテープ61も、上記と同様な形状をしているので、同じく
図12を用いて説明する。符号については、従来技術のチャックテープ861と本開示のチャックテープ61に対する符号を併記している。
本開示のチャックテープ61の断面図を
図12に示す。
図12(a)は、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとが解離している状態を示している。また、
図12(b)は、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとが嵌合している状態を示している。
【0118】
図5の断面位置A-Aにて切断した、従来技術のチャックテープ861とブランク板81とが接合されたチャックテープ接合体部865の断面図を
図14(a)に示す。なお、
図5は本開示の中間段階の紙容器(平面状態)を示す図であるが、断面位置の説明のために従来技術のチャックテープ接合体部865に対しても使用している。
【0119】
この段階では、雄型チャックテープ861mと雌型チャックテープ861fとが嵌合された状態である。
上記の
図14(a)の状態から、雄型チャックテープ861mと雌型チャックテープ861fとの嵌合を開放した状態の断面図を
図14(b)に示す。
【0120】
図14(a)において、表がわブランク板81bに表がわチャックテープ861bが接合されており、表がわチャックテープ861bは雄型チャックテープ861mとなっている。
また、裏がわブランク板81aに裏がわチャックテープ861aが接合されており、裏がわチャックテープ861aは雌型チャックテープ861fとなっている。
【0121】
チャックテープ接合体部865について説明する。チャックテープ接合体部865は、チャック付き紙容器90の表がわにある表がわチャックテープ接合体部865bと、裏がわにある裏がわチャックテープ接合体部865aとがある。
【0122】
図14(a)のように、表がわチャックテープ接合体部865bは、表がわチャックテープ体部862bの幅と同じ大きさの幅にて、表がわブランク板81bが接合された領域を示す。言い替えれば、表がわチャックテープ体部862bに表がわブランク板81bが接合された構成を持ち、表がわチャックテープ861bと同じ幅の要素である。
【0123】
後述するが、表がわチャックテープ接合体部865bの剛度を測定する際には、テープ状に表がわチャックテープ接合体部865bを切り出すことになる。
裏がわチャックテープ接合体部865aも、表がわチャックテープ接合体部865bと同様に定義される。
【0124】
図15は、本実施形態のチャックテープ接合体部65を示している。
図15(a)において、表がわブランク板10bに表がわチャックテープ61bが接合されており、表がわチャックテープ61bは雌型チャックテープ61fとなっている。
また、裏がわブランク板10aに裏がわチャックテープ61aが接合されており、裏がわチャックテープ61aは雄型チャックテープ61mとなっている。
【0125】
ところで、本実施形態とは異なり、表がわチャックテープ61bが雄型チャックテープ61mであり、裏がわチャックテープ61aが雌型チャックテープ61fの場合もある。
いずれも場合も、チャックテープ61は、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとの一対の組み合わせとなる。
【0126】
チャックテープ接合体部65について説明する。チャックテープ接合体部65は、チャック付き紙容器90の表がわにある表がわチャックテープ接合体部65bと、裏がわにある裏がわチャックテープ接合体部65aとがある。
【0127】
従来技術のチャックテープ接合体部865と同様、
図15(a)のように、表がわチャックテープ接合体部65bは、表がわチャックテープ体部62bの幅と同じ大きさの幅にて、表がわブランク板10bが接合された領域を示す。言い替えれば、表がわチャックテープ体部62bに表がわブランク板10bが接合された構成を持ち、表がわチャックテープ61bと同じ幅の要素である。
【0128】
後述するが、表がわチャックテープ接合体部65bの剛度を測定する際には、テープ状に表がわチャックテープ接合体部65bを切り出すことになる。
裏がわチャックテープ接合体部65aも、表がわチャックテープ接合体部65bと同様に定義される。
【0129】
本実施形態では、表がわチャックテープ接合体部65bの逆方向曲げ剛度SCSbが、裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaより大きいことを特徴としている。このようにすることにより、取り出し用開口部56を大きくすることができて、内容物が取り出しやすい。
【0130】
なお、ここでは雄型チャックテープ接合体部65mの逆方向曲げ剛度SCSmの方が、雌型チャックテープ接合体部65fの逆方向曲げ剛度SCSfよりも小さい例としたが、実際には、雄型チャックテープ61m、及び雌型チャックテープ61fの形状、配置よりも、それらの接合されたチャックテープ接合体部65の逆方向曲げ剛度SCSの方が重要である。
【0131】
ここで、取り出し用開口部56が大きくなる理由を説明する。
図16(a)は、従来技術のチャック付き紙容器80を開口した際の第一縦折り曲げ線812の近傍において、チャックテープ861の嵌合部863の位置での水平方向の断面図である
図11(a)のB部参照)。
【0132】
その箇所では、表がわブランク板81bと、その表がわブランク板81bに接合された表がわチャックテープ861b(上記に説明した表がわチャックテープ接合体部865bである。)とは、大きく曲げられることはなく、ほぼ直線状である。
【0133】
一方、裏がわブランク板81aと、その裏がわブランク板81aに接合された裏がわチャックテープ861a(上記に説明した裏がわチャックテープ接合体部865aである。)とは、大きく曲げられており、当該箇所は屈曲している。このため、裏がわチャックテープ接合体部865aには、曲げ応力がかかる。
【0134】
図16(b)は、本実施形態のチャック付き紙容器90を開口した際の第一縦折り曲げ線12の近傍において、チャックテープ61の嵌合部63の位置での水平方向の断面図である
図11(b)のC部参照)。
【0135】
その箇所では、表がわブランク板10bと、その表がわブランク板10bに接合された表がわチャックテープ61b(上記に説明した表がわチャックテープ接合体部65bである。)とは、大きく曲げられることはなく、ほぼ直線状である。
【0136】
一方、裏がわブランク板10aと、その裏がわブランク板10aに接合された裏がわチャックテープ61a(上記に説明した裏がわチャックテープ接合体部65aである。)とは、大きく曲げられており、当該箇所は屈曲している。このため、裏がわチャックテープ接合体部65aには、曲げ応力がかかる。
【0137】
ここで曲げ応力がかかる裏がわチャックテープ接合体部65aについて検討する。
雄型チャックテープ接合体部65mの逆方向曲げ剛度SCSmと、雌型チャックテープ接合体部65fの逆方向曲げ剛度SCSfとが、形状や材質などの諸条件に因り、異なる場合には、曲げ応力がかかる状況の裏がわチャックテープ接合体部65aに、雄型チャックテープ接合体部65m及び雌型チャックテープ接合体部65fのうち、チャックテープ接合体部の逆方向曲げ剛度SCSの低い方のチャックテープ接合体部65を充当することが望ましい。
【0138】
従来技術である裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度SCSaが、表がわチャックテープ接合体部865bの逆方向曲げ剛度SCSbより大きい場合より、本実施形態の場合の方が、裏がわ第一縦折り曲げ線12aにてより裏がわブランク板10aが大きく折り曲がる。そのため、本実施形態のチャック付き紙容器90の取り出し用開口部56は、従来技術のチャック付き紙容器80の取り出し用開口部856より大きくなる。
【0139】
なお、今までの説明において、表がわチャックテープ61bに雌型チャックテープ61fを配置し、裏がわチャックテープ61aに雄型チャックテープ61mを配置してきた。本実施形態では、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fの形状、配置にとらわれずに、表がわチャックテープ接合体部65bの逆方向曲げ剛度SCSbと、裏がわチャックテープ接合体部65aとの逆方向曲げ剛度SCSaを指標としている。
【0140】
また、本実施形態においては、表がわチャックテープ接合体部65bの逆方向曲げ剛度SCSbと、裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaを指標としている。ここで、表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aにおいて、それらの積層シート78が同じ場合は、雄型チャックテープ61mの逆方向曲げ剛度SCTmと雌型チャックテープ61fの逆方向曲げ剛度SCTfの大小関係が、そのまま雄型チャックテープ接合体部65mの逆方向曲げ剛度SCSmと、雌型チャックテープ接合体部65fの逆方向曲げ剛度SCSfの大小関係となる。
【0141】
したがって、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fのうち、剛性が低い方のチャックテープの部材を裏がわチャックテープ61aとして配置すると、裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaが、表がわチャックテープ接合体部65bの逆方向曲げ剛度SCSbよりも小さくなる。
【0142】
また、本実施形態のチャックテープ61では、雄型チャックテープ61mの逆方向曲げ剛度SCTmの方が、雌型チャックテープ61fの逆方向曲げ剛度SCTfよりも小さい例を示している。
これは、雄型チャックテープ嵌合部63mは、一条の凸部が雄型チャックテープ体部62mから突起するのに対して、雌型チャックテープ嵌合部63fは、凹部を形成するために、二条の凸部が雌型チャックテープ体部62fから突起しているためである。そのために曲げにくくなり、チャックテープ61の逆方向曲げ剛度SCTが大きくなることが多い。
【0143】
なお、雄型チャックテープ61mと雌型チャックテープ61fとが、同様な材質、層構成である場合に、上記の関係が当てはまる。
上記の関係の場合は、チャックテープ61の逆方向曲げ剛度SCTが低い雄型チャックテープ61mが裏がわチャックテープ61aに配置されてもよい。
【0144】
また、上部シール部53とチャックテープ61との間には、易開封加工線51が存在してもよい。本実施形態のチャック付き紙容器90の初期の開封を実施する際には、予め開封しやすいように加工された易開封加工線51が切断されることで、上縁部21を密封していた上部シール部53が取り除かれることにより、チャックテープ61が露出する。
【0145】
次に、表がわ易開封加工線51bと表がわチャックテープ61bの間の表がわ開封掴み代57bと、裏がわ易開封加工線51aと裏がわチャックテープ61aの間の裏がわ開封掴み代57aとを、それぞれ人の手で掴み、チャック付き紙容器90の外がわ方向に拡げることにより、易開封加工線51にて露出したチャックテープ61が開口させられる。
【0146】
このチャックテープ61の開口動作の際に、チャックテープ61のそれぞれの側縁部11がわの端部は、それぞれの側縁部がわシール代36まで開口する。
【0147】
<第二の実施形態>
本実施形態の中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)を
図17に示す。
上部シール部53を含むブランク板93の内がわの箇所に、易剥離加工部58が設けられている。易剥離加工部58は、上部シール部53の略全域に渡って設けられており、上部シール部53が接合された際に、適切な強さ(弱さ)のシール状態を得るためのものである。
【0148】
適切なシール状態とは、チャック付き紙容器90の内容物が漏れることがなく、かつその形態の維持にも寄与できる程度の強さを示す。また、人の手にて上部シール部53を剥離できる程度の強さ(弱さ)も示す。
【0149】
本実施形態のチャック付き紙容器90の初期の開封を実施する際には、まず表がわ上縁部21bと表がわ上部シール部53bの間の表がわ開封掴み代57bと、裏がわ上縁部21aと裏がわ上部シール部53aの間の裏がわ開封掴み代57aとを、それぞれ人の手で掴み、チャック付き紙容器90の外がわ方向に拡げる。そのことにより、予め剥離しやすいように加工された上部シール部53のシール状態が剥がされて、上縁部21が解放されて、チャックテープ61が露出する。
【0150】
さらに、表がわ上縁部21bと表がわチャックテープ61bの間の表がわ開封掴み代57bと、裏がわ上縁部21aと裏がわチャックテープ61aの間の裏がわ開封掴み代57aとを、それぞれ人の手で掴み、チャック付き紙容器90の外がわ方向に拡げることにより、露出したチャックテープ61が開口させられる。
【0151】
このチャックテープ61の開口動作の際に、チャックテープ61のそれぞれの側縁部11がわの端部は、それぞれの側縁部がわシール代36まで開口する。
【0152】
上記のような適切なシール強度を有する上部シール部53を得るための易剥離加工部58は、グラビア印刷またはフレキソ印刷など手段でパターン状に、イージーピール性の熱可塑性樹脂や、抗ヒートシール剤と呼ばれる樹脂の塗布液を塗布、乾燥しておいて、その部分をヒートシールする方法で形成することができる。
【0153】
剥離可能な前記弱シール部は、密封性を有すると同時に適度の力で剥離できることが好ましく、そのヒートシール強度は、1~20N/15mm幅の範囲が好ましい。
【0154】
また、易剥離加工部58がイージーピール性の熱可塑性樹脂で形成される場合は、そのイージーピール性の熱可塑性樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレンやエチレン-酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂に、ポリスチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリブテン-1、無機または有機の充填剤、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイドなどを、添加剤として適宜に混合した樹脂組成物などが使用されてもよい。
【0155】
上記の無機または有機の充填剤は、無機の充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウムなどの粉末を使用することができ、特にシリカの粉末が好ましい。また、有機の充填剤としては、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、フッ化エチレン系樹脂、シリコーン樹脂などの粉末を使用することができる。
【0156】
上記の樹脂組成物中の上記の添加剤の含有量は、4~40質量%の範囲が好ましく、添加剤の含有量が4質量%未満の場合は、ヒートシール強度が強くなり、良好な弱シール部(イージーピール性)を得られず、また、添加剤の含有量が40質量%を超える場合は、ヒートシール強度が弱くなりすぎるため好ましくない。
【0157】
上記のようなイージーピール性の熱可塑性樹脂の塗布量は、乾燥時の塗布量で2~8g/m2が好ましく、3~5g/m2が更に好ましい。
【0158】
また、易剥離加工部58を抗ヒートシール剤で形成する場合は、その抗ヒートシール剤としては、基剤の樹脂に離型剤を適宜の量で混合した樹脂組成物を使用することができる。
この基剤の樹脂には、例えば、エチルセルロース、環化ゴム、アクリル系樹脂などを使用することができ、離型剤には、例えば、シリコーン樹脂、ポリエチレンワックス、大豆レシチン、高級脂肪酸アマイドなどを使用することができる。抗ヒートシール剤を塗布する場合、その塗布量は少なくてよく、厚みにして、0.3~2μmの範囲が適切である。
【0159】
なお、易剥離加工部58は、ブランク板93の内面同士の接合力を弱くするものであるから、強固に接合したい箇所には設けないことが望ましい。本実施形態では、側縁部がわのシール代36の領域には、易剥離加工部58は、掛からないことが望ましい。製造上のバラツキを考慮すると、側縁部がわシール代36と易剥離加工部58は離間していることが望ましい。その離間している間隔は0.5mm以上15mm以下であってもよい。
【0160】
その間隔が0.5mm未満であると、製造上のバラツキにより、側縁部がわシール代36と易剥離加工部58が重なってしまう虞れがある。
その間隔が15mmを超えると、チャック付き紙容器90の天部71を全面開口した際の開口部が小さくなり、少量となった内容物の残量が取り出しにくくなる。
【0161】
本実施形態のチャック付き紙容器90は、第一の実施形態のチャック付き紙容器90の上部の開封手段である易開封加工線51に替えて、易剥離加工部58を設けている。その他の材質、加工方法等は第一の実施形態と同じである。
【0162】
以上のように、本開示のチャック付き紙容器90の取り出し用開口部56の開口の大きさは、従来技術のチャック付き紙容器80の取り出し用開口部856よりも大きくなる。よって、内容物を匙、トング等の道具を用いて内容物が容易に取り出され、あるいは道具を用いずに人の手により容易に取り出される。
【0163】
また、ブランク板93の作成方法などは、主に表がわブランク板10bについて説明してきたが、裏がわブランク板10aについては、その形状は同一で、それぞれの上縁部21a、21bを対称線として線対称であり、製造の方法は同一であるので、裏がわブランク板10aについての説明は割愛する。
【0164】
<剛度の測定方法>
各部材の剛度の測定方法について説明する。本明細書では、テーバーこわさ試験機法に準じる測定値を使用している。JIS-P-8125(2000)のテーバーこわさ試験機法では、測定片の大きさを、幅38mm×長さ70mmと規定しているが、本開示のチャック付き紙容器90では、その大きさを確保できずに、その大きさの試験片を取り出すことができない。よって、ここでは幅13mm×長さ70mmの試験を採取することとする。その他の測定方法は、JIS-P-8125(2000)に準じて測定する。
【0165】
測定対象の試験片は、雄型チャックテープ61m、雌型チャックテープ61f、雄型チャックテープ接合体部65m、雌型チャックテープ接合体部65fである。
剛度を測定するにあたり、雄型チャックテープ61m及び雌型チャックテープ61fは、表裏が対称ではなく、それぞれのチャックテープ体部62の一方の面にチャックテープ嵌合部63が突設されており、他方の面は平滑である。したがって、チャックテープ嵌合部63を曲率半径の内がわにするか、曲率半径の外がわにするかの曲げ方向によって、剛度の測定値が異なることがある。
【0166】
ここでは、チャックテープ嵌合部63を曲率半径の内がわにする方向の曲げを、正方向の曲げとする。逆に、チャックテープ嵌合部63を曲率半径の外がわにする方向の曲げを、逆方向の曲げとする。
本明細書におけるチャックテープに関連する剛度の測定は、上記の方法で実施している。
【0167】
なお、本明細書の剛度の測定に使用する測定機は、以下の機器である。
型番:ST-201テーバー式ステフネステスター
製造業者:テスター産業株式会社
【0168】
また、試験片の採取方法として、試験片の幅(短手)方向の略中央付近に、試験片の長さ方向に沿ってチャックテープ嵌合部63が配置されるように、試験片を採取する。
ブランク板93とチャックテープ61とが接合されているチャックテープ接合体部65の試験片の採取方法も、チャックテープ61と同様であり、試験片の大きさも同様である。剛度を測定する際の曲げ方向の定義も、チャックテープ嵌合部63が設けられているがわを基準にして同様である。
【実施例】
【0169】
以下に、実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。
<実施例1>
実施例1では、第一の実施形態に相当する
図4のブランク板93を用いて、
図7に示した構成のチャック付き紙容器90を作製した。
【0170】
図4の2枚のブランク板10a、10bを準備して、その内面同士が位置を合わせて重ね合され、
図5のように、対向する両がわの側縁部がわシール代36がヒートシールされ、また、上部シール部53もヒートシールされた。あわせてチャックテープ61もヒートシールされた。そのようにして、底部がわシール代37が未シールである中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が作製された。
【0171】
次いで、
図6のように立体形状に起こし、底部73が開口する中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92を作製してから、実施例1のチャック付き紙容器90を作製した。
【0172】
ブランク板93の積層シート78には、下記の構成の積層シート78を用いた。
(外面がわ)
絵柄等印刷層(グラビア印刷) /
紙基材層782(日本製紙 晒クラフト(S)120g/m2) /
中間の接着層784(EMAA 20μm 三井・ダウポリケミカル
N0908N) /
バリア層785(シリカ蒸着PET 12μm 大日本印刷
IB-PET-UBP) /
最内層の熱可塑性樹脂層783(LDPE 40μm 日本ポリエチレン
LC520)
(内面がわ)
【0173】
上記の積層シート78の製造方法について説明する。
まず、紙基材層782の内面がわに、バリア層785(シリカ蒸着PET 12μm)が、溶融した中間の接着層784(EMAA 20μm)を中間に介在させて、押出ラミネート(サンドイッチラミネート)により積層された。
【0174】
次に、バリア層785の紙基材層782の反対がわ(内面がわ)に、押出ラミネートにより、最内面の熱可塑性樹脂層783(LDPE 40μm)が形成された。
次に、紙基材層782の外面がわに、グラビア印刷機にて、絵柄が印刷された。
【0175】
また、各接合層間には接合力を向上させるための、必要に応じてアンカーコート処理、コロナ処理、フレーム処理(火炎処理)などを実施してもよい。あるいは、溶融した樹脂にオゾン処理などをしてもよい。
【0176】
次に、積層シート78に、罫線加工及び打ち抜き加工を施し、ブランク板93が完成した。
【0177】
チャック付き紙容器90の上部重ね合わせ板34及び天部の側部板41の内面にヒートシールされて取り付けられるチャックテープ61は、雄型チャックテープ61m及び雌型チャックテープ61fとも、ヒートシールされるチャックテープ体部62が二層の層構成である。
【0178】
そのチャックテープ61は、チャック付き紙容器90にヒートシールされる面の樹脂層がLLDPEで形成され、その反対がわの面の樹脂層がMDPEで形成され、また、雄型チャックテープ嵌合部63m及び雌型チャックテープ嵌合部63fはいずれもLLDPEで形成されたもので、チャックテープ体部62の幅がいずれも13mmのものを用いた。
【0179】
本実施例では、表がわチャックテープ61bを雌型チャックテープ61fとして、裏がわチャックテープ61aを雄型チャックテープ61mとして、それぞれのチャックテープ61m、61fがブランク板93の所定の位置に接合された。
【0180】
ここで、紙基材層782の紙目について、説明する。チャックテープ61の長手方向を基準として、紙基材層782の紙目を、平行または直交としている。本実施例では、紙基材層782の紙目を、平行としている。
【0181】
裏がわブランク板10a及び表がわブランク板10bの寸法は、縦220mm、横169mmの矩形状で、周囲の端縁部にシール代として、左右両がわの側縁部11には幅7mmの側縁部がわシール代36が設けられた。
【0182】
また、下がわの下縁部26にはそれぞれ幅が10mmの底部がわシール代37を設けられた。
また、上部重ね合わせ板34及び天部の側部板41の上縁部21の近傍には、それぞれ幅7mmの上部シール部53のシール代が設けられた。
【0183】
ブランク板93には、上縁部21から下がわ方向に順次、上部重ね合わせ板34、第一横折り曲げ線22、天面板33、第二横折り曲げ線23、壁面板31、第三横折り曲げ線24、底面板35がこの順に設けられた。
【0184】
また、上部重ね合わせ板34の左右両がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、天部の側部板41が設けられた。
【0185】
また、天面板33の左右両がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、天部がわ突出部(耳部)代38が設けられた。
【0186】
また、壁面板31の左右両がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、側面板32が設けられた。
【0187】
また、底面板35の左右両がわの外方には、第二縦折り曲げ線13を介して、底部がわ突出部(耳部)代43が設けられた。
【0188】
また、左右両がわの天部の側部板41の下がわに、第一横折り曲げ線22を介して、天部がわ突出部(耳部)代38が連設された。
【0189】
その天部がわ突出部(耳部)代38の下がわに、第二横折り曲げ線23を介して、側面板32が連設された。
【0190】
その側面板32の下がわに、第三横折り曲げ線24を介して、底部がわ突出部(耳部)代43が連設された。
【0191】
底面板35と左右両がわの底部がわ突出部(耳部)代43の下がわに、底部がわシール代37が連設された。
【0192】
そして、上部重ね合わせ板34及び天部の側部板41には、2枚のブランク板10a、10bの内面同士の位置が合わされて重ね合された際に、上縁となる上縁部21から8mm下方の位置に、
図5のように容器の開封手段として易開封加工線51(ここではミシン目線)が横断方向に積層シート78の紙基材層782に印刷と共に設けられた。
【0193】
また、易開封加工線51の下に、3mmの間隔をあけて上部重ね合わせ板34及びそれぞれの天部の側部板41の内面にチャックテープ61(幅13mm)がヒートシールされた。
【0194】
また、前述した方法で、2枚のブランク板10a、10bの接合と、チャックテープ61のヒートシール、側縁部がわシール代36のヒートシール、及び上部シール部53のヒートシールを行った後、易開封加工線51の右がわの側縁部11がわにノッチ77が設けられ、底部73が未シール状態の中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が作製された。(
図5参照)。
【0195】
次いで、この中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)91が、底部73の未シール状態の開口部からマンドレルが差し込まれて、上部重ね合わせ板34が残されて、その下がわの天面板33が第一横折り曲げ線22により前後に広げられて、上部重ね合わせ板34が上方向に起立させられた。その下に天面板33による天部71と、さらに水平方向の断面(底面に略平行な平面)が略矩形状の胴部72が続き、底部73が略矩形状に開口する中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)92が形成された。(
図6参照)。
【0196】
そして、重ね合わせた上部重ね合わせ板34が裏がわ天面板33aがわに折り曲げられた。
なお、裏がわ天面板33aがわに折り曲げられた上部重ね合わせ板34は、天部71の構成要素の一部である。
【0197】
さらに、チャック付き紙容器90の天部71の左右両がわに連設される天部がわ突出部(耳部)74が、チャック付き紙容器90の胴部72へ接合された。この接合は、天部がわ突出部(耳部)74の下がわの表面の紙基材層782と、胴部72の表面の紙基材層782とが、ホットメルトを使用して接合された。
【0198】
完成後の略直方体形状のチャック付き紙容器90の寸法が、幅が95mm、高さが120mm、奥行きが60mmとなるように形成した。
【0199】
<実施例2>
本実施例では、紙基材層782の紙目を直交とした以外は、実施例1と同じであった。表がわチャックテープ61bを雌型チャックテープ61fとして、裏がわチャックテープ61aを雄型チャックテープ61mとした。
【0200】
<実施例3>
本実施例では、紙基材層782を変更した以外は、実施例1と同じであった。紙基材層の782の紙目は平行とした。下記の構成の積層シート78を用いた。
(外面がわ)
絵柄等印刷層(グラビア印刷) /
紙基材層782(日本製紙 液体紙容器用原紙150g/m2) /
中間の接着層784(EMAA 20μm 三井・ダウポリケミカル
N0908N) /
バリア層785(シリカ蒸着PET 12μm 大日本印刷
IB-PET-UBP) /
最内層の熱可塑性樹脂層783(LDPE 40μm 日本ポリエチレン
LC520)
(内面がわ)
【0201】
表がわチャックテープ61bを雌型チャックテープ61fとして、裏がわチャックテープ61aを雄型チャックテープ61mとした。
【0202】
<実施例4>
本実施例では、紙基材層782の紙目を直交とした以外は、実施例3と同じであった。表がわチャックテープ61bを雌型チャックテープ61fとして、裏がわチャックテープ61aを雄型チャックテープ61mとした。
【0203】
<実施例5>
本実施例では、紙基材層782を変更した以外は、実施例1と同じであった。紙基材層の782の紙目は平行とした。下記の構成の積層シート78を用いた。
(外面がわ)
絵柄等印刷層(グラビア印刷) /
紙基材層782(日本製紙 晒クラフト(S)100g/m2) /
中間の接着層784(EMAA 20μm 三井・ダウポリケミカル
N0908N) /
バリア層785(シリカ蒸着PET 12μm 大日本印刷
IB-PET-UBP) /
最内層の熱可塑性樹脂層783(LDPE 40μm 日本ポリエチレン
LC520)
(内面がわ)
【0204】
表がわチャックテープ61bを雌型チャックテープ61fとして、裏がわチャックテープ61aを雄型チャックテープ61mとした。
【0205】
<実施例6>
本実施例では、紙基材層782の紙目を直交とした以外は、実施例5と同じであった。表がわチャックテープ61bを雌型チャックテープ61fとして、裏がわチャックテープ61aを雄型チャックテープ61mとした。
【0206】
<実施例7>
本実施例において、ブランク板93の積層シート78には、下記の構成の積層シート78を用いた。その他は、実施例1と同じである。
紙基材層の782の紙目は平行であり、表がわチャックテープ61bを雌型チャックテープ61fとして、裏がわチャックテープ61aを雄型チャックテープ61mとした。
【0207】
本実施例のブランク板93の積層シート78は、下記の構成であった。
(外面がわ)
絵柄等印刷層(グラビア印刷) /
最外層の熱可塑性樹脂層781(LDPE 20μm 日本ポリエチレン
LC520) /
紙基材層782(日本製紙 液体紙容器用原紙150g/m2) /
中間の接着層784(EMAA 20μm 三井・ダウポリケミカル
N0908N) /
バリア層785(シリカ蒸着PET 12μm 大日本印刷
IB-PET-UBP) /
最内層の熱可塑性樹脂層783(LDPE 40μm 日本ポリエチレン
LC520)
(内面がわ)
【0208】
<比較例1>
本比較例では、表がわチャックテープ61bを雄型チャックテープ61mとして、裏がわチャックテープ61aを雌型チャックテープ61fとした以外は、実施例1と同じであった。
【0209】
<比較例2>
本比較例では、表がわチャックテープ61bを雄型チャックテープ61mとして、裏がわチャックテープ61aを雌型チャックテープ61fとした以外は、実施例2と同じであった。
【0210】
<比較例3>
本比較例では、表がわチャックテープ61bを雄型チャックテープ61mとして、裏がわチャックテープ61aを雌型チャックテープ61fとした以外は、実施例3と同じであった。
【0211】
<比較例4>
本比較例では、表がわチャックテープ61bを雄型チャックテープ61mとして、裏がわチャックテープ61aを雌型チャックテープ61fとした以外は、実施例4と同じであった。
【0212】
<比較例5>
本比較例では、表がわチャックテープ61bを雄型チャックテープ61mとして、裏がわチャックテープ61aを雌型チャックテープ61fとした以外は、実施例5と同じであった。
【0213】
<比較例6>
本比較例では、表がわチャックテープ61bを雄型チャックテープ61mとして、裏がわチャックテープ61aを雌型チャックテープ61fとした以外は、実施例6と同じであった。
【0214】
<比較例7>
本比較例では、表がわチャックテープ61bを雄型チャックテープ61mとして、裏がわチャックテープ61aを雌型チャックテープ61fとした以外は、実施例7と同じであった。
【0215】
<評価>
実施例1から7、及び比較例1から7のチャック付き紙容器を各100個作製した。
【0216】
上記のように作製した実施例1から7のチャック付き紙容器90に、それぞれ底部73から内容物として小麦粉を充填した。次いで、底部73が折り込まれ、そして底部がわシール代37がヒートシールされて、そのヒートシールされた部分が裏がわ底面板35aの方向へ寝かされた。
【0217】
さらに、実施例1から6のチャック付き紙容器90の底部73の左右両がわから突出する底部がわ突出部(耳部)75が、底面板35がわへ折り曲げられた。さらに、表がわ底面板35b及び/又は表がわ底部がわシール代37bへ接着剤(ホットメルト)にて接合されて、略直方体形状のチャック付き紙容器90の包装体が完成した。
なお、実施例1から6のチャック付き紙容器90の天部がわ突出部(耳部)74も、小麦粉を充填する前に胴部72へ接着剤(ホットメルト)を用いて接合されていた。
【0218】
また、比較例1から7のチャック付き紙容器80に、それぞれ底部873から内容物として小麦粉を充填した。次いで、底部873が折り込まれ、そして底部がわシール代837がヒートシールされて、そのヒートシールされた部分が裏がわ底面板835aの方向へ寝かされた。
【0219】
さらに、比較例1から6のチャック付き紙容器80の底部873の左右両がわから突出する底部がわ突出部(耳部)が、底面板835がわへ折り曲げられた。さらに、表がわ底面板835b及び/又は表がわ底部がわシール代837bへ接着剤(ホットメルト)にて接合されて、略直方体形状のチャック付き紙容器80の包装体が完成した。
なお、比較例1から6のチャック付き紙容器90の天部がわ突出部(耳部)874も、小麦粉を充填する前に胴部872へ接着剤(ホットメルト)を用いて接合されていた。
【0220】
また、実施例7のチャック付き紙容器90の底部73の左右両がわから突出する底部がわ突出部(耳部)75が、底面板35がわへ折り曲げられた。さらに、底部がわ突出部(耳部)75が、表がわ底面板35b及び/又は表がわ底部がわシール代37bへ、ヒートシールされて、略直方体形状のチャック付き紙容器90の包装体が完成した。
なお、実施例7のチャック付き紙容器90の天部がわ突出部(耳部)74も、小麦粉を充填する前に胴部72へヒートシールにて接合されていた。
【0221】
また、比較例7のチャック付き紙容器80の底部873の左右両がわから突出する底部がわ突出部(耳部)が、底面板835がわへ折り曲げられた。さらに、底部がわ突出部(耳部)が、表がわ底面板835b及び/又は表がわ底部がわシール代837bへ、ヒートシールされて、略直方体形状のチャック付き紙容器90の包装体が完成した。
なお、比較例7のチャック付き紙容器80の天部がわ突出部(耳部)874も、小麦粉を充填する前に胴部872へヒートシールにて接合されていた。
【0222】
また、上記のように作製した実施例1から7のチャック付き紙容器90と、比較例1から7のチャック付き紙容器80の包装体について、内容物の取り出し適性、及びチャックによる再封性をテストした。
【0223】
実施例1から7のチャック付き紙容器90の包装体は、上部重ね合わせ板34及び天部の側部板41の上部に開封手段として設けられた易開封加工線51、および易開封加工線51の一端に設けられたノッチ77により、容易に上部シール部53が切り取られ、取り出し用開口部56を形成できた。
【0224】
次いで、開封された取り出し用開口部56の開封掴み代57が、掴まれて両がわに引き離されることにより、チャックテープ61の嵌合を容易に解離できた。
また、チャック付き紙容器90の包装体の上部の取り出し用開口部56が、チャック付き紙容器90の略全幅に渡って開口され、内部に充填された小麦粉を取り出すことができた。
【0225】
また、比較例1から7のチャック付き紙容器80の包装体も実施例1から7と同様に、その取り出し用開口部856が、チャック付き紙容器80の略全幅に渡って開口された。
【0226】
ここで、チャックテープ61が解離されて、チャック付き紙容器90の天部が全面開口している状態について検討する。
【0227】
図11(a)に、従来技術のチャック付き紙容器80の上部の端縁部を示し、
図11(b)に、本開示のチャック付き紙容器90の上部の端縁部を示している。本図は模式的に作成されており、実寸とは異なることがある。
【0228】
従来技術のチャック付き紙容器80の取り出し用開口部856の開口寸法Xに比較して、本開示のチャック付き紙容器90の取り出し用開口部56の開口寸法Xは大きい。
【0229】
なお、ここで従来技術のチャック付き紙容器80と、本開示のチャック付き紙容器90の取り出し用開口部の開口寸法Xの比較は、チャックテープ61の雄型・雌型の取り付けの配置が逆であること以外の各要素、例えば積層シート78、88や、紙基材層782、882の紙目(チャック付き紙容器の取り都合)、チャック付き紙容器80、90の形状等は同じである場合の比較である。
たとえば、実施例と比較例の番号が同じ例示が、上記の関係である。即ち、実施例1と比較例1とは、雄型チャックテープ61m、861m及び雌型チャックテープ61f、861fのどちらかを、表がわブランク板10b、81bに接合させるかの違いである。
【0230】
各実施例、各比較例のチャックテープ接合体部65、865の逆方向曲げ剛度SCSを、表1に示す。採取したサンプルの大きさは13mm×70mmであった。
【0231】
【0232】
また、各実施例、各比較例のチャック付き紙容器90、80の取り出し用開口部56、856の開口寸法Xについて、測定値を表2に示す。いずれの測定値も、5つのサンプルをデジタルノギスで測定した。
図11にデジタルノギスの測定箇所を示す。取り出し開口部の奥行方向(表裏方向)の大きさをXにて指示している。
【0233】
【0234】
図16(b)を参照にして、チャック付き紙容器90の上部を略全幅に渡って開口する際には、裏がわチャックテープ接合体部65aの裏がわ第一縦折り曲げ線12aの付近が、最も曲げられ、かつ逆方向の折り曲げとなる。対して、表がわチャックテープ接合体部65bは、折り曲げられることはない。
したがって、取り出し用開口部56の形状を規定する際には、裏がわチャックテープ接合体部65aが折り曲げられる箇所の変形に最も力を必要とする。よって、裏がわチャックテープ接合体部65aを逆方向に折る力が小さいこと、即ち、裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaが小さいことが望ましい。
【0235】
従来技術のチャック付き紙容器では、チャックテープ861のうち、チャックテープの逆方向曲げ剛度SCTが大きい雌型チャックテープ861fが裏がわチャックテープ861aに配置され、チャックテープの逆方向曲げ剛度SCTが小さい雄型チャックテープ861mが表がわチャックテープ61bに配置されることがあった。
この場合、取り出し用開口部を開口する際には裏がわチャックテープ接合体部65aは逆方向に折れ曲がるので、比較例1では裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaは、雌型チャックテープ接合体部865fの逆方向曲げ剛度SCSfであり、その測定値は11.8mN・mであった。
一方、表がわチャックテープ接合体部865bは、ほとんど折り曲がらないため、表がわチャックテープ接合体部865bの逆方向曲げ剛度SCSbは、取り出し用開口部856の開口寸法Xの大きさと関係は小さかった。
【0236】
本実施例のチャック付き紙容器90では、チャックテープ61のうち、チャックテープ61の逆方向曲げ剛度SCTが大きい雌型チャックテープ61fが表がわチャックテープ61bに配置され、チャックテープ61の逆方向曲げ剛度SCTが小さい雄型チャックテープ61mが裏がわチャックテープ61aに配置された。
【0237】
この場合、取り出し用開口部56を開口する際には裏がわチャックテープ接合体部65aは逆方向に折れ曲がるので、実施例1では裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaは、雄型チャックテープ接合体部65mの逆方向曲げ剛度SCSmであり、その測定値は9.9mN・mであった。
【0238】
一方、表がわチャックテープ接合体部65bは、ほとんど折り曲がらないため、表がわチャックテープ接合体部65bの逆方向曲げ剛度SCSbは取り出し用開口部56の開口寸法Xの大きさと関係は小さいので、表1には記載していない。
【0239】
本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度STSaは9.9mN・mであり、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度STSaは11.8mN・mであった。
したがって、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度STSaが、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度STSaより小さかった。
【0240】
表2に取り出し用開口部56、856の開口寸法Xを示している。その開口寸法Xは
図11に示した取り出し用開口部56、856の奥行の大きさで示している。
本実施例の開口寸法Xは75mmであり、本比較例の開口寸法Xは45mmであることから、本実施例の方が取り出し用開口部56が大きく、したがって匙などで内容物を取り出しやすかった。
【0241】
実施例2と比較例2を比較する。
なお、実施例2と比較例2とは、チャックテープ61、861の雄型・雌型の取り付け位置が逆であること以外の各要素、例えば積層シート78、88や、紙基材層782、882の紙目(チャック付き紙容器の取り都合)、チャック付き紙容器90、80の形状等は同じであった。
【0242】
表1より、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaは、6.7mN・mであり、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度SCSaは10.4mN・mであった。
したがって、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度STSaが、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度STSaより小さかった。
【0243】
表2より、本実施例の開口寸法Xは87mmであり、本比較例の開口寸法Xは73mmであることから、本実施例の方が取り出し用開口部56が大きく、したがって匙などで内容物を取り出しやすかった。
【0244】
実施例3と比較例3を比較する。
なお、実施例3と比較例3とは、チャックテープ61、861の雄型・雌型の取り付け位置が逆であること以外の各要素、例えば積層シート78、88や、紙基材層782、882の紙目(チャック付き紙容器の取り都合)、チャック付き紙容器90、80の形状等は同じであった。
【0245】
表1より、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaは、9.4mN・mであり、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度SCSaは11.5mN・mであった。
したがって、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度STSaが、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度STSaより小さかった。
【0246】
表2より、本実施例の開口寸法Xは92mmであり、本比較例の開口寸法Xは71mmであることから、本実施例の方が、取り出し用開口部56が大きく、したがって匙などで内容物を取り出しやすかった。
【0247】
実施例4と比較例4を比較する。
なお、実施例4と比較例4とは、チャックテープ61、861の雄型・雌型の取り付け位置が逆であること以外の各要素、例えば積層シート78、88や、紙基材層782、882の紙目(チャック付き紙容器の取り都合)、チャック付き紙容器90、80の形状等は同じであった。
【0248】
表1より、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaは、7.2mN・mであり、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度SCSaは9.4mN・mであった。
したがって、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度STSaが、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度STSaより小さかった。
【0249】
表2より、本実施例の開口寸法Xは80mmであり、本比較例の開口寸法Xは68mmであることから、本実施例の方が、取り出し用開口部56が大きく、したがって匙などで内容物を取り出しやすかった。
【0250】
実施例5と比較例5を比較する。
なお、実施例5と比較例5とは、チャックテープ61、861の雄型・雌型の取り付け位置が逆であること以外の各要素、例えば積層シート78、88や、紙基材層782、882の紙目(チャック付き紙容器の取り都合)、チャック付き紙容器90、80の形状等は同じであった。
【0251】
表1より、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaは、9.3mN・mであり、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度SCSaは12.0mN・mであった。
【0252】
したがって、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度STSaが、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度STSaより小さかった。
表2より、本実施例の開口寸法Xは60mmであり、本比較例の開口寸法Xは40mmであることから、本実施例の方が、取り出し用開口部56が大きく、したがって匙などで内容物を取り出しやすかった。
【0253】
実施例6と比較例6を比較する。
なお、実施例6と比較例6とは、チャックテープ61、861の雄型・雌型の取り付け位置が逆であること以外の各要素、例えば積層シート78、88や、紙基材層782、882の紙目(チャック付き紙容器の取り都合)、チャック付き紙容器90、80の形状等は同じであった。
【0254】
表1より、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaは、6.6mN・mであり、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度SCSaは9.0mN・mであった。
したがって、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度STSaが、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度STSaより小さかった。
【0255】
表2より、本実施例の開口寸法Xは95mmであり、本比較例の開口寸法Xは70mmであることから、本実施例の方が、取り出し用開口部56が大きく、したがって匙などで内容物を取り出しやすかった。
【0256】
実施例7と比較例7を比較する。
なお、実施例7と比較例7とは、チャックテープ61、861の雄型・雌型の取り付け位置が逆であること以外の各要素、例えば積層シート78、88や、紙基材層782、882の紙目(チャック付き紙容器の取り都合)、チャック付き紙容器90、80の形状等は同じであった。
【0257】
表1より、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaは、12.3mN・mであり、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度SCSaは15.3mN・mであった。
したがって、本実施例の裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度STSaが、本比較例の裏がわチャックテープ接合体部865aの逆方向曲げ剛度STSaより小さかった。
【0258】
表2より、本実施例の開口寸法Xは70mmであり、本比較例の開口寸法Xは64mmであることから、本実施例の方が、取り出し用開口部56が大きく、したがって匙などで内容物を取り出しやすかった。
【0259】
また、チャックテープ61の逆方向曲げ剛度SCTの測定結果を示す。雄型チャックテープ61mの逆方向曲げ剛度SCTm、及び雌型チャックテープ61fの逆方向曲げ剛度SCTfを、表3に示す。測定したサンプル数は各々5つであった。
【0260】
【0261】
表がわブランク板10b及び裏がわブランク板10aのそれぞれの構成する積層シート78、及び紙基材層782の紙目が同じ場合は、表がわチャックテープ接合体部65bの逆方向曲げ剛度SCSbと、裏がわチャックテープ接合体部65aの逆方向曲げ剛度SCSaとの大小関係は、表がわチャックテープ61bの逆方向曲げ剛度SCTbと、裏がわチャックテープ61aの逆方向曲げ剛度SCTaの大小関係と一致する。
【0262】
本実施形態では、表がわブランク板10bと裏がわブランク板10aを構成する積層シート78及び紙基材層782の紙目が同じであるため、チャックテープ61の逆方向曲げ剛度SCTの小さい雄型チャックテープ61mを裏がわチャックテープ61aに配置し、チャックテープ61の逆方向曲げ剛度SCTの大きい雌型チャックテープ61fを表がわチャックテープ61bに配置している。
【0263】
この場合、チャックテープ接合体部65と同じく、裏がわブランク板10aに接合される裏がわチャックテープ61aの逆方向曲げ剛度SCTaが小さい場合の方が、取り出し用開口部56の開口寸法Xが大きくなる。なお、裏がわチャックテープ61aは、チャック付き紙容器90の上部が開口される際には、逆方向に折り曲げられる。
【0264】
本実施形態の雄型チャックテープ61mの逆方向曲げ剛度SCTmは1.7mN・mであり、雌型チャックテープ61fの逆方向曲げ剛度SCTfは2.8mN・mである。したがって、本実施形態では、雄型チャックテープ61mを取り付けた裏がわチャックテープ61aの逆方向曲げ剛度SCTaが、雌型チャックテープ61fを取り付けた表がわチャックテープ61bの逆方向曲げ剛度SCTbより小さいため、裏がわチャックテープ接合体部65aの折り曲げが容易となることから、取り出し用開口部56の開口寸法Xを大きくすることができる。
【0265】
また、小麦粉の一部を取り出した後は、実施例1から7のチャック付き紙容器90の包装体とも、容易にチャックを再嵌合させて紙容器を再封することができ、残りの小麦粉を適切に保存することができた。
【0266】
また、実施例1から7のチャック付き紙容器90は、紙容器全体の質量に対する紙の質量比率は約60質量%であり、紙容器としての基準である51質量%以上を充分に満たすものであった。
【符号の説明】
【0267】
10a 裏がわブランク板
10b 表がわブランク板
11 側縁部
12 第一縦折り曲げ線
13 第二縦折り曲げ線
17 天部がわ斜め折り曲げ線
18 底部がわ斜め折り曲げ線
21 上縁部
22 第一横折り曲げ線
23 第二横折り曲げ線
24 第三横折り曲げ線
25 第四横折り曲げ線
26 下縁部
31 壁面板
32 側面板
33 天面板
34 上部重ね合わせ板
35 底面板
36 側縁部がわシール代
37 底部がわシール代
38 天部がわ突出部(耳部)代
41 天部の側部板
43 底部がわ突出部(耳部)代
51 易開封加工線
52 チャックテープ接合部
53 上部シール部
56 取り出し用開口部
57 開封掴み代
58 易剥離加工部
61 チャックテープ
61a 裏がわチャックテープ
61b 表がわチャックテープ
61m 雄型チャックテープ
61f 雌型チャックテープ
62 チャックテープ体部
62a 裏がわチャックテープ体部
62b 表がわチャックテープ体部
62m 雄型チャックテープ体部
62f 雌型チャックテープ体部
63 チャックテープ嵌合部
63a 裏がわチャックテープ嵌合部
63b 表がわチャックテープ嵌合部
63m 雄型チャックテープ嵌合部
63f 雌型チャックテープ嵌合部
65 チャックテープ接合体部
65a 裏がわチャックテープ接合体部
65b 表がわチャックテープ接合体部
65m 雄型チャックテープ接合体部
65f 雌型チャックテープ接合体部
71 チャック付き紙容器の天部
72 チャック付き紙容器の胴部
72d 胴部の稜部
73 チャック付き紙容器の底部
74 天部がわ突出部(耳部)
75 底部がわ突出部(耳部)
77 ノッチ
78 積層シート
781 最外層の熱可塑性樹脂層
782 紙基材層
783 最内層の熱可塑性樹脂層
784 中間の接着層
785 バリア層
80 従来技術のチャック付き紙容器
81 従来技術のブランク板
81a 従来技術の裏がわブランク板
81b 従来技術の表がわブランク板
812 従来技術の第一縦折り曲げ線
821 従来技術の中間横折り曲げ線(半折り線)
831 従来技術の壁面板
833 従来技術の天面板
834 従来技術の上部重ね合わせ板
835 従来技術の底面板
836 従来技術の側縁部がわシール代
837 従来技術の底部がわシール代
851 従来技術の易開封加工線
856 従来技術の取り出し用開口部
861 従来技術のチャックテープ
861a 従来技術の裏がわチャックテープ
861b 従来技術の表がわチャックテープ
861m 従来技術の雄型チャックテープ
861f 従来技術の雌型チャックテープ
862 従来技術のチャックテープ体部
862a 従来技術の裏がわチャックテープ体部
862b 従来技術の表がわチャックテープ体部
862m 従来技術の雄型チャックテープ体部
862f 従来技術の雌型チャックテープ体部
863 従来技術のチャックテープ嵌合部
863a 従来技術の裏がわチャックテープ嵌合部
863b 従来技術の表がわチャックテープ嵌合部
863m 従来技術の雄型チャックテープ嵌合部
863f 従来技術の雌型チャックテープ嵌合部
865 従来技術のチャックテープ接合体部
865a 従来技術の裏がわチャックテープ接合体部
865b 従来技術の表がわチャックテープ接合体部
865m 従来技術の雄型チャックテープ接合体部
865f 従来技術の雌型チャックテープ接合体部
871 従来技術のチャック付き紙容器の天部
872 従来技術のチャック付き紙容器の胴部
873 従来技術のチャック付き紙容器の底部
874 従来技術の天部がわ突出部(耳部)
88 従来技術の紙容器の積層シート
881 従来技術の最外層の熱可塑性樹脂層
882 従来技術の紙基材層
883 従来技術の最内層の熱可塑性樹脂層
884 従来技術の中間の接着層
885 従来技術のバリア層
90 本開示の一実施形態のチャック付き紙容器
91 本開示の一実施形態の中間段階のチャック付き紙容器(平面状態)
92 本開示の一実施形態の中間段階のチャック付き紙容器(起函状態)
93 本開示の一実施形態のブランク板
E 第一天部交点(第一縦折り曲げ線と第一横折り曲げ線との交点)
F 第二天部交点(第二縦折り曲げ線と第二横折り曲げ線との交点)
G 第一底部交点(第一縦折り曲げ線と第四横折り曲げ線との交点)
H 第二底部交点(第二縦折り曲げ線と第三横折り曲げ線との交点)
SCS チャックテープ接合体部の逆方向曲げ剛度
SCSa 裏がわチャックテープ接合体部の逆方向曲げ剛度
SCSb 表がわチャックテープ接合体部の逆方向曲げ剛度
SCSm 雄型チャックテープ接合体部の逆方向曲げ剛度
SCSf 雌型チャックテープ接合体部の逆方向曲げ剛度
SCT チャックテープの逆方向曲げ剛度
SCTa 裏がわチャックテープの逆方向曲げ剛度
SCTb 表がわチャックテープの逆方向曲げ剛度
SCTm 雄型チャックテープの逆方向曲げ剛度
SCTf 雌型チャックテープの逆方向曲げ剛度
X チャック付き紙容器の取り出し開口部の開口寸法