(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20241210BHJP
G03B 27/50 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H04N1/04 105
G03B27/50 A
(21)【出願番号】P 2020155402
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】堀口 靖之
【審査官】渡部 幸和
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-093806(JP,A)
【文献】特開平05-030302(JP,A)
【文献】特開2000-069237(JP,A)
【文献】特開2008-107805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
G03B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置されるプラテンガラスと、
前記プラテンガラスの外縁に配置された外縁部材と、
主走査方向に沿って形成された発光部および導光部材を含み、前記プラテンガラスの下方で前記主走査方向に交差する副走査方向に沿って移動可能な走査ユニットと、
前記走査ユニットを前記副走査方向に沿う第1方向または前記第1方向に対し反対の第2方向へ移動させるユニット駆動部と、
前記導光部材によって導かれる光を受光し、受光量を表すライン画像信号を出力するイメージセンサーと、
前記ライン画像信号に対応する複数の画素データを含むライン画像データを処理する画像処理部と、を備え、
前記外縁部材は、
前記プラテンガラスにおける前記主走査方向の一端を成す側縁部に沿う領域の下面を成す
黒色の第1基準面
と、
前記プラテンガラスに対し前記第2方向の隣の領域の部分の下面を成し、前記主走査方向における前記プラテンガラスに沿う領域および前記第1基準面に対して前記第2方向に隣接する領域に亘る均一な白基準面と、を有し、
前記白基準面における前記第1基準面に隣接する領域は前記第1基準面とは光の反射率が異なる
白色の第2基準面
であり、
前記画像処理部は、前記走査ユニットが前記副走査方向における前記第1基準面の領域および前記第2基準面の領域の一方から他方へ亘って移動しているときに順次得られる前記ライン画像データにおける前記第1基準面または前記第2基準面に対応する外縁領域の1つ以上の外縁画素データが予め定められた境界条件を満たすか否かを判別する境界判別処理を実行し、
前記ユニット駆動部は、前記外縁画素データが前記境界条件を満たすと判別されたときの前記走査ユニットの位置を基点として前記走査ユニットを前記第2方向へ予め定められた距離だけ移動させた後に停止させることにより、前記走査ユニットを
前記白基準面に対向するホーム位置に位置決め
し、
前記画像処理部は、前記走査ユニットが前記白基準面に対向するときに得られる前記ライン画像データを用いて前記ライン画像データの補正係数を設定するシェーディング補正を実行する、画像読取装置。
【請求項2】
前記ユニット駆動部は、
駆動源であるモーターと、
前記モーターが予め定められた単位回転量だけ回転するごとに回転パルス信号を出力するパルス出力回路と、
前記モーターを制御するモーター制御部と、を備え、
前記イメージセンサーは、前記回転パルス信号に同期したタイミングで前記ライン画像信号を出力し、
前記モーター制御部は、前記境界条件を満たすと判別された前記外縁画素データに対応する前記回転パルス信号が出力されてから予め定められた数の前記回転パルス信号がさらに出力されたときに前記走査ユニットを停止させる、請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、
前記走査ユニットが前記ホーム位置から前記プラテンガラスの下方へ移動する途中で得られる前記ライン画像データを用いて
前記シェーディング補正を実行する、請求項1または請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記発光部および前記導光部材は、前記プラテンガラスに対し、前記主走査方向における前記外縁領域側へその反対側よりも長く張り出した状態で配置されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記走査ユニットの可動範囲は、前記走査ユニットが前記第1基準面および前記第2基準面の少なくとも一方に対向する範囲に制限されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記走査ユニットが前記第2方向へ移動中に前記境界判別処理を実行し、
前記ユニット駆動部は、前記外縁画素データが前記境界条件を満たすと判別されたときに前記走査ユニットを停止させることなく前記ホーム位置まで移動させる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記走査ユニットは、前記発光部と集光レンズである前記導光部材とCMOSタイプの前記イメージセンサーとを有するコンタクトイメージセンサーユニットを含む、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラテンガラス上に載置された原稿から画像を読み取る画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、静止原稿読取処理を実行する機能を有する場合がある。前記静止原稿読取処理は、プラテンガラス上に載置された原稿から画像を読み取る処理であり、フラットベッド式の画像読取処理と称される場合がある。
【0003】
前記静止原稿読取処理において、ユニット駆動部が、主走査方向に沿って形成された発光部および導光部材を含む走査ユニットを予め定められたホーム位置から前記プラテンガラスの下方へ向けて移動させる。
【0004】
前記画像読取装置は、イメージセンサー、AFE(Analog Front End)およびデータ処理部をさらに備える。前記イメージセンサーは、前記導光部材によって導かれる光を受光し、受光量を表すライン画像信号を出力する。前記AFEは、前記ライン画像信号をデジタルの複数の画素データを含むライン画像データへ変換する。前記データ処理部は、前記ライン画像データを処理する。
【0005】
なお、前記走査ユニットがコンタクトイメージセンサーユニットを含む場合もある。前記コンタクトイメージセンサーユニットは、前記発光部と集光レンズである前記導光部材とCMOSタイプのイメージセンサーとを有する。
【0006】
前記ホーム位置は、前記プラテンガラスの下方の領域に対して副走査方向にずれた位置である。前記走査ユニットが前記ホーム位置から前記プラテンガラスの下方の領域へ移動するまでに、前記走査ユニットの移動速度が安定する。
【0007】
従って、前記ユニット駆動部は、前記静止原稿読取処理が実行される前に、前記走査ユニットを前記ホーム位置に位置決めする必要がある。
【0008】
例えば、前記ホーム位置を表すマークが、前記プラテンガラスの隣に配置されたシェーディング補正用の基準板に形成され、前記データ処理部が、前記ライン画像データから前記マークを検出することにより、前記走査ユニットが前記ホーム位置に到達したことを検出することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、前記シェーディング補正は、前記走査ユニットが前記ホーム位置に存在するとき、または、前記ホーム位置から前記プラテンガラスの下方へ移動する途中で行われることが望ましい。これにより、前記静止原稿読取処理が実行されるときに、前記シェーディング補正を効率的に行うことができる。
【0011】
従って、前記ホーム位置を表すマークが前記基準板に形成される場合、前記ホーム位置は、前記プラテンガラスに対し、前記基準板におけるシェーディング補正用の白色領域よりも離れた位置に設定されることになる。この場合、前記走査ユニットが前記ホーム位置から移動を開始してから前記プラテンガラス上の前記原稿の画像の読み取りが開始されるまでの時間が長くなり、ひいては前記静止原稿読取処理の時間が長くなる。
【0012】
また、前記走査ユニットが前記ホーム位置に到達したことを検出する専用のセンサーを設けることは、部品点数が増えるため好ましくない。
【0013】
本発明の目的は、簡易な構成により走査ユニットをホーム位置に位置決めすることができる画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一の局面に係る画像読取装置は、プラテン外縁縁部材、走査ユニット、ユニット駆動部、イメージセンサー、および画像処理部を備える。前記外縁部材は、前記プラテンガラスの外縁に配置されている。前記走査ユニットは、主走査方向に沿って形成された発光部および導光部材を含み、前記プラテンガラスの下方で前記主走査方向に交差する副走査方向に沿って移動可能である。前記ユニット駆動部は、前記走査ユニットを前記副走査方向に沿う第1方向または前記第1方向に対し反対の第2方向へ移動させる。前記イメージセンサーは、前記導光部材によって導かれる光を受光し、受光量を表すライン画像信号を出力する。前記画像処理部は、前記ライン画像信号に対応する複数の画素データを含むライン画像データを処理する。前記外縁部材は、前記プラテンガラスにおける前記主走査方向の一端を成す側縁部に沿う領域の下面を成す第1基準面および前記第1基準面に対して前記第2方向に隣接し前記第1基準面とは光の反射率が異なる第2基準面を有する。前記画像処理部は、前記走査ユニットが前記副走査方向における前記第1基準面の領域および前記第2基準面の領域の一方から他方へ亘って移動しているときに順次得られる前記ライン画像データにおける前記第1基準面または前記第2基準面に対応する外縁領域の1つ以上の外縁画素データが予め定められた境界条件を満たすか否かを判別する境界判別処理を実行する。前記ユニット駆動部は、前記外縁画素データが前記境界条件を満たすと判別されたときの前記走査ユニットの位置を基点として前記走査ユニットを前記第2方向へ予め定められた距離だけ移動させた後に停止させることにより、前記走査ユニットをホーム位置に位置決めする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡易な構成により走査ユニットをホーム位置に位置決めすることができる画像読取装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る画像読取装置の構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る画像読取装置におけるCISユニットの構成図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る画像読取装置におけるユーザーインターフェイスおよびデータ処理装置の構成を表すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る画像読取装置のCPUにおける処理モジュールの構成を表すブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る画像読取装置における本体天板部の下面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る画像読取装置におけるホーム帰還制御の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る画像読取装置の構成図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る画像読取装置における本体天板部の下面図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る画像読取装置における応用例に係る走査ユニットの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0018】
[第1実施形態:画像読取装置1の構成]
第1実施形態に係る画像読取装置1は、原稿9から画像を読み取る画像読取処理を実行する。例えば、画像読取装置1は、複写機、ファクシミリ装置または複合機などの画像処理装置の一部として構成される場合がある。
【0019】
以下の説明において、画像読取装置1の前記画像読取処理によって原稿9から読み取られた画像のことを読取画像と称する。
【0020】
本実施形態において、画像読取装置1は、本体部101、原稿カバー102、走査ユニット1x、AFE(Analog Front End)14x、プラテンガラス16および移動機構17などを備える(
図1参照)。
【0021】
さらに、画像読取装置1は、ユーザーインターフェイス装置3およびデータ処理装置5も備える。
【0022】
走査ユニット1xの長手方向は主走査方向D1である。走査ユニット1xは、CIS(Contact Image Sensor)ユニット140と、CISユニット140を支持するキャリッジ100とを含む。
【0023】
図1において、図面に向かって奥行方向が主走査方向D1であり、図面に向かって左右の方向が副走査方向D2である。副走査方向D2は、主走査方向D1に直交する方向である。
【0024】
本体部101は、走査ユニット1xおよび移動機構17を収容する筐体である。プラテンガラス16は、本体部101の上面に配置されている。
【0025】
移動機構17は、走査ユニット1xを、プラテンガラス16および後述する白基準面18xの下方の領域で副走査方向D2に沿って移動させる。移動機構17は、ユニット支持部17a、モーター17b、動力伝達機構17cおよびモーター駆動回路17dを備える。
【0026】
ユニット支持部17aは、走査ユニット1xをプラテンガラス16および白基準面18xの下方の領域で副走査方向D2に沿って移動可能に支持する。モーター17bは、走査ユニット1xを移動させる機構の駆動源である。動力伝達機構17cは、モーター17bの回転力を副走査方向D2に沿う力へ変換して走査ユニット1xへ伝達する。
【0027】
モーター17bが第1回転方向へ回転することにより、走査ユニット1xが副走査方向D2に沿う第1方向D21へ移動する。モーター17bが第2回転方向へ回転することにより、走査ユニット1xが第1方向D21に対して反対の第2方向D22へ移動する。
【0028】
モーター駆動回路17dは、データ処理装置5からの制御司令に従って、モーター17bの回転方向および回転量を制御することにより、走査ユニット1xを第1方向D21または第2方向D22は指定された移動距離だけ移動させる。モーター駆動回路17dは、モーター17bを制御するモーター制御部の一例である。
【0029】
図2に示されるように、CISユニット140は、発光部11、レンズ13およびイメージセンサー14を備える。発光部11、レンズ13およびイメージセンサー14は、主走査方向D1に沿って形成されている。即ち、発光部11、レンズ13およびイメージセンサー14の長手方向は主走査方向D1である。
【0030】
発光部11は、上方へ光を出射する。具体的には、発光部11は、プラテンガラス16上に載置された原稿9へ向けて光を出射する。
【0031】
発光部11が出射する光は原稿9に反射する。例えば、発光部11は、主走査方向D1に沿って配列された複数のLEDを含むLEDアレイである。また、発光部11が、光源と、光源の光を主走査方向D1に導きつつ上方を放射する導光ガラスとを含む場合もある。
【0032】
レンズ13は、発光部11から出射された光の反射光をイメージセンサー14へ導く集光レンズである。前記反射光は、原稿9または後述する白基準面18xで拡散反射した光である。
【0033】
イメージセンサー14は、前記反射光を受光し、前記反射光の光量を検出する。さらに、イメージセンサー14は、前記反射光の光量の検出結果を表すライン画像信号Ia0をAFE14xへ出力する。
【0034】
本実施形態において、イメージセンサー14は、CMOSタイプのラインセンサーである。レンズ13は、前記反射光をイメージセンサー14へ導く導光部材の一例である。
【0035】
AFE14xは、アナログのライン画像信号Ia0をデジタルのライン画像データId0へ変換し、ライン画像データId0をデータ処理装置5へ出力する。ライン画像データId0は、主走査方向D1の1ライン分の複数の画素データを含む。
【0036】
原稿9の1ページに対応する複数ライン分のライン画像データId0が、原稿9の1ページに対応する前記読取画像のデータである。
【0037】
イメージセンサー14は、原稿9の画像をカラー画像として読み取る。従って、前記読取画像のデータは、赤、緑および青の3色の前記反射光の光量を表すカラー画像のデータである。
【0038】
本実施形態では、発光部11が、それぞれ赤色、緑色および青色の光を出射する赤発光部11R、緑発光部11Gおよび青発光部11Bを含む。そして、赤発光部11R、緑発光部11Gおよび青発光部11Bが順次発光したときに得られる3色のライン画像データId0が前記読取画像のデータを構成する。
【0039】
原稿カバー102は、プラテンガラス16の上面を覆う閉位置とプラテンガラス16の上面を開放する開位置との間で開閉可能に支持されている。
【0040】
画像読取装置1は、静止原稿読取処理を実行可能である。前記静止原稿読取処理は、フラットベッド式の画像読取処理と称される場合がある。
【0041】
前記静止原稿読取処理は、移動機構17が走査ユニット1xを移動させることにより、プラテンガラス16上に載置された原稿9から画像を読み取る処理である。
【0042】
図3に示されるように、ユーザーインターフェイス装置3は、操作装置3aおよび表示装置3bを含む。操作装置3aは、人の操作を受け付ける装置であり、例えば操作ボタンおよびタッチパネルなどを含む。
【0043】
表示装置3bは、画像およびその他の情報を表示可能な液晶パネルなどの表示パネルを含む。なお、前記人の操作は、人の手による操作の他、人の声による操作または人の目線による操作なども含む。
【0044】
データ処理装置5は、CPU(Central Processing Unit)51、RAM52、二次記憶装置53、第1通信装置54および第2通信装置55などを含む。
【0045】
二次記憶装置53は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置53は、コンピュータープログラムおよび各種のデータを記憶可能である。例えば、SSD(Solid State Drive)およびハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置53として採用される。
【0046】
CPU51は、二次記憶装置53に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。なお、DSPなどの他のプロセッサーが、CPU51の代わりに前記データ処理および制御を実行することも考えられる。
【0047】
RAM52は、コンピューター読み取り可能な揮発性記憶装置である。RAM52は、CPU51によってアクセスされる。RAM52は、CPU51による処理の対象となるデータおよびCPU51によって生成されるデータを一次記憶する。RAM52は、二次記憶装置53よりもデータアクセスの速度が速い。
【0048】
CPU51は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを通じて、外部装置である不図示のホスト装置と通信可能である。前記ホスト装置は、画像読取装置1と通信可能なコンピューターである。
【0049】
第1通信装置54は、CPU51と画像読取装置1が備える他の機器との間で行われる信号伝送またはデータ通信を中継するインターフェイス装置である。例えば、CPU51は、第1通信装置54を通じてモーター駆動回路17dへ制御司令を送信する。また、CPU51は、AFE14xから第1通信装置54を通じてライン画像データId0を取得する。
【0050】
第2通信装置55は、前記ネットワークを通じて前記ホスト装置との間で通信を行う通信インターフェイスデバイスである。CPU51は、前記ホスト装置との間のデータの送信および受信の全てを、第2通信装置55を通じて行う。
【0051】
例えば、CPU51は、前記画像読取処理によって得られる前記読取画像のデータを、第2通信装置55を通じて前記ホスト装置へ送信する。
【0052】
CPU51は、前記コンピュータープログラムの実行により実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主制御部5a、読取制御部5bおよび画像処理部5cなどを含む(
図4参照)。
【0053】
主制御部5aは、主として操作装置3aに対する操作および第2通信装置55によるデータ受信を監視し、操作またはデータ受信を検出したときに、検出内容に応じた処理の開始を制御する。
【0054】
読取制御部5bは、ADF15、モーター駆動回路17dおよびCISユニット140を制御することにより、画像読取装置1に前記画像読取処理を実行させる。画像処理部5cは、前記画像読取処理により得られるライン画像データId0に対する各種の処理を実行する。画像処理部5cは、ライン画像信号Ia0に対応する複数の画素データを含むライン画像データId0を処理するデータ処理部の一例である。
【0055】
読取制御部5bは、モーター駆動回路17dを制御することにより、走査ユニット1xを予め定められたホーム位置P1へ移動させた後に停止させる。ホーム位置P1は、走査ユニット1xの初期位置であり、プラテンガラス16に対して第2方向D22側の位置である。
【0056】
読取制御部5bは、操作装置3aに対する予め定められたスキャン開始操作が検出されたときに、静止原稿読取制御を実行する。
【0057】
読取制御部5bは、前記静止原稿読取制御において、移動機構17およびCISユニット140に前記静止原稿読取処理を実行させる。
【0058】
読取制御部5bは、前記静止原稿読取制御において、モーター駆動回路17dを制御することにより、走査ユニット1xをホーム位置P1から第1方向D21へ移動させる。さらに、読取制御部5bは、走査ユニット1xがプラテンガラス16の下方を移動しているときに、CISユニット140に前記画像読取処理を実行させる。
【0059】
画像読取装置1は、プラテンガラス16の外縁に配置された外縁部材18を備える(
図1,5参照)。
【0060】
外縁部材18は、プラテンガラス16に対し第2方向D22の隣の領域の部分の下面を成す均一な白基準面18xを有する(
図1,5参照)。外縁部材18におけるプラテンガラス16に対し第2方向D22側に隣接する部分の下面が白基準面18xである。
【0061】
白基準面18xは、拡散反射率が高い均一な色の面である。例えば、白基準面18xは、均一な白色面などである。
【0062】
CPU51の画像処理部5cは、走査ユニット1xが白基準面18xに対向するときに得られるライン画像データId0を用いてシェーディング補正を実行する。前記シェーディング補正は、ライン画像データId0の補正係数を設定する処理である。
【0063】
本実施形態において、走査ユニット1xは、ホーム位置P1に存在するときに白基準面18xに対向する。読取制御部5bは、ホーム位置P1を始点として走査ユニット1xを第1方向D21へ移動させ、走査ユニット1xが予め定められた助走距離を移動したタイミングでCISユニット140に前記画像読取処理を開始させる。
【0064】
前記助走距離は、ホーム位置P1からプラテンガラス16上の原稿9の先端に対応する位置までの距離である。走査ユニット1xがホーム位置P1から前記助走距離を移動する間に、走査ユニット1xの移動速度が安定する。
【0065】
読取制御部5bは、走査ユニット1xを前記助走距離とプラテンガラス16上の原稿9の長さに応じた距離とを合計した距離だけ第1方向D21へ移動させる。その後、読取制御部5bは、CISユニット140による前記画像読取処理を終了させ、走査ユニット1xをホーム位置P1まで第2方向D22へ移動させる。
【0066】
以下の説明において、外縁部材18における白基準面18xが形成されている部分のことを基準板と称する。
【0067】
ところで、参考例として、ホーム位置P1を表すマークが、プラテンガラス16の隣に配置されたシェーディング補正用の前記基準板に形成されることが考えられる。この参考例において、画像処理部5cは、ライン画像データId0から前記マークを検出することにより、走査ユニット1xがホーム位置P1に到達したことを検出する。
【0068】
一方、前記シェーディング補正は、走査ユニット1xがホーム位置P1に存在するとき、または、ホーム位置P1からプラテンガラス16の下方へ移動する途中で行われることが望ましい。これにより、前記静止原稿読取処理が実行されるときに、前記シェーディング補正を効率的に行うことができる。
【0069】
本実施形態において、画像処理部5cは、走査ユニット1xがホーム位置P1から第1方向D21へ前記助走距離を移動中に得られるライン画像データId0を用いて前記シェーディング補正を実行する。
【0070】
従って、ホーム位置P1を表す前記マークが前記基準板に形成される場合、ホーム位置P1は、プラテンガラス16に対し、前記基準板におけるシェーディング補正用の白色領域よりも第2方向D22へ離れた位置に設定されることになる。この場合、走査ユニット1xがホーム位置P1から移動を開始してからプラテンガラス16上の原稿9の画像の読み取りが開始されるまでの時間が長くなり、ひいては前記静止原稿読取処理の時間が長くなる。
【0071】
また、走査ユニット1xがホーム位置P1に到達したことを検出する専用のセンサーを設けることは、部品点数が増えるため好ましくない。
【0072】
以下、画像読取装置1における、走査ユニット1xをホーム位置P1に位置決めするための構成について説明する。
【0073】
図5は、プラテンガラス16および外縁部材18を含む本体天板部の下面図である。
【0074】
図5に示されるように、外縁部材18は、第1基準面18aおよび第2基準面18bを有する。第1基準面18aは、プラテンガラス16における主走査方向D1の一端を成す側縁部に沿う領域の下面を成す部分である。第2基準面18bは、第1基準面18aに対して第2方向D22に隣接する面である。
【0075】
第2基準面18bは、第1基準面18aとは光の拡散反射率が異なる。本実施形態において、第2基準面18bは、第1基準面18aよりも光の拡散反射率が高い。換言すれば、第1基準面18aは、第2基準面18bよりも光の拡散反射率が低い。
【0076】
例えば、第1基準面18aおよび第2基準面18bの一方が黒色の面であり、他方が白色の面であることが考えられる。このように、第1基準面18aおよび第2基準面18bの光の拡散反射率の差が大きいことが望ましい。
【0077】
また、
図5に示されるように、第1基準面18aおよび第2基準面18bの境界線が主走査方向D1に沿う直線であることが望ましい。
【0078】
以下の説明において、主走査方向D1における原稿9の画像が読み取られる領域のことを読取対象領域A1と称し、主走査方向D1における第1基準面18aまたは第2基準面18bが占める領域のことを外縁領域A2と称する(
図5参照)。
【0079】
本実施形態において、白基準面18xは、主走査方向D1におけるプラテンガラス16に沿う読取対象領域A1および外縁領域A2に亘る均一な面である。そして、白基準面18xにおける外縁領域A2の部分が第2基準面18bである。従って、第2基準面18bは白色の面である。この場合、第1基準面18aが黒色の面であることが好ましい。
【0080】
発光部11、レンズ13およびイメージセンサー14は、読取対象領域A1および外縁領域A2に亘る範囲において主走査方向D1に延びて形成されている。本実施形態において、発光部11およびレンズ13は、プラテンガラス16に対し、主走査方向D1の外縁領域A2側へその反対側よりも長く張り出した状態で配置されている(
図5参照)。なお、イメージセンサー14も同様に配置されている。
【0081】
イメージセンサー14は、読取対象領域A1および外縁領域A2に対応するライン画像信号Ia0を出力する。また、ライン画像データId0は、読取対象領域A1の複数の画素データおよび外縁領域A2の1つ以上の画素データを含む。
【0082】
走査ユニット1xの第2方向D22の可動範囲は、走査ユニット1xが白基準面18xに対向する範囲に制限されている。さらに、走査ユニット1xの第1方向D21の可動範囲は、走査ユニット1xがプラテンガラス16および第1基準面18aに対向する範囲に制限されている。即ち、走査ユニット1xの可動範囲は、走査ユニット1xが第1基準面18aおよび第2基準面18bの少なくとも一方に対向する範囲に制限されている。
【0083】
[ホーム帰還制御]
次に、
図6に示されるフローチャートを参照しつつ、ホーム帰還制御の手順の一例について説明する。
【0084】
読取制御部5bおよび画像処理部5cは、予め定められた帰環開始イベントが発生したときに前記ホーム帰環制御を実行する。前記ホーム帰環制御は、走査ユニット1xをホーム位置P1へ移動させる制御である。
【0085】
前記帰還開始イベントは、画像読取装置1が起動したとき、前記静止原稿読取処理において走査ユニット1xの第1方向D21への移動が終了したとき、および前記搬送原稿読取処理が終了したときに発生する。
【0086】
以下の説明において、S1,S2,…は、前記ホーム帰環制御における複数の工程の識別符号を表す。前記ホーム帰環制御において、読取制御部5bは、まず工程S1の処理を開始する。
【0087】
<工程S1>
工程S1において、読取制御部5bは、発光部11およびイメージセンサー14にライン画像読取処理を実行させ、画像処理部5cは、前記ライン画像読取処理により得られるライン画像データId0をAFE14xから取得する。
【0088】
読取制御部5bは、前記ライン画像読取処理において、発光部11を発光させるとともにイメージセンサー14を動作させる。例えば、読取制御部5bは、前記ライン画像読取処理において、赤発光部11R、緑発光部11Gおよび青発光部11Bのうちの予め定められた1つまたは複数を発光させる。
【0089】
さらに、工程S1において、画像処理部5cは、外縁画素データの値である外縁画素値が予め定められたしきい値を上回るか否かを判定する。前記外縁画素データは、前記ライン画像読取処理により得られるライン画像データId0における外縁領域A2の1つ以上の画素データである。
【0090】
ライン画像データId0が複数の前記外縁画素データを含む場合、前記外縁画素値は、複数の前記外縁画素データの代表値である。例えば、前記代表値は、平均値または最大値である。
【0091】
画像処理部5cは、前記外縁画素値が前記しきい値を上回ると判定した場合に、処理を工程S2へ移行させ、そうでない場合に処理を工程S5へ移行させる。
【0092】
前記外縁画素値が前記しきい値を上回る状態は、走査ユニット1xが第2基準面18bに対向する位置に存在する状態であり、前記外縁画素値が前記しきい値を下回る状態は、走査ユニット1xが第1基準面18aに対向する位置に存在する状態である。
【0093】
即ち、画像処理部5cは、前記外縁画素値と予め定められた前記しきい値とを比較することにより、走査ユニット1xが第1基準面18aおよび第2基準面18bのいずれに対向する位置に存在するかを判定する。
【0094】
<工程S2>
工程S2において、読取制御部5bは、走査ユニット1xを第1方向D21へ移動させつつイメージセンサー14に前記ライン画像読取処理を連続して実行させる。さらに、画像処理部5cは、走査ユニット1xが移動中に工程S3の処理を実行する。
【0095】
<工程S3>
工程S3において、画像処理部5cは、走査ユニット1xを第1方向D21へ移動中に順次得られるライン画像データId0それぞれについて、前記外縁画素値が前記しきい値以下であるか否かを判定する。
【0096】
工程S3の処理は、前記外縁画素値が前記しきい値以下であると判定されるまで繰り返される。前記外縁画素値が前記しきい値以下であると判定される状態は、走査ユニット1xが第1基準面18aに対向する位置まで移動した状態である。
【0097】
画像処理部5cは、前記外縁画素値が前記しきい値以下であると判定したときに処理を工程S4へ移行させる。
【0098】
走査ユニット1xは、前記外縁画素値が前記しきい値以下であると判定されたときに、第1基準面18aと第2基準面18bとの境界に対向する境界位置P2に存在する(
図5参照)。
【0099】
<工程S4>
工程S4において、読取制御部5bは、走査ユニット1xを、前記外縁画素値が前記しきい値以下であると判定されたときの位置を基点として第1方向D21へ第1既定距離だけ移動させたときに停止させる。その後、読取制御部5bは、処理を工程S5へ移行させる。
【0100】
走査ユニット1xは、工程S4の処理により、境界位置P2から第1方向D21へ前記第1既定距離だけ離れた位置で停止する。
【0101】
<工程S5>
工程S5において、読取制御部5bは、走査ユニット1xを第2方向D22へ移動させつつイメージセンサー14に前記ライン画像読取処理を連続して実行させる。さらに、画像処理部5cは、走査ユニット1xが移動中に工程S6の処理を実行する。
【0102】
<工程S6>
工程S6において、画像処理部5cは、走査ユニット1xを第2方向D22へ移動中に順次得られるライン画像データId0それぞれについて、前記外縁画素値が前記しきい値を上回るか否かを判定する。
【0103】
工程S6の処理は、前記外縁画素値が前記しきい値を上回ると判定されるまで繰り返される。走査ユニット1xが境界位置P2を通過するときに、前記外縁画素値が前記しきい値を上回ると判定される。
【0104】
画像処理部5cは、前記外縁画素値が前記しきい値を上回ると判定したときに処理を工程S7へ移行させる。
【0105】
<工程S7>
工程S7において、読取制御部5bは、走査ユニット1xを、前記外縁画素値が前記しきい値を上回ると判定されたときの位置を基点として第2方向D22へ第2既定距離だけ移動させたときに停止させる。走査ユニット1xは、工程S7の処理によってホーム位置P1で停止する。その後、読取制御部5bは、前記ホーム帰環制御を終了させる。
【0106】
以上に示されるように、画像処理部5cは、走査ユニット1xが副走査方向D2における第1基準面18aの領域から第2基準面18bの領域へ亘って移動しているときに工程S6の処理を実行する。即ち、画像処理部5cは、走査ユニット1xが第2方向D22へ移動中に工程S6の処理を実行する。
【0107】
工程S6の処理は、走査ユニット1xが移動中に順次得られるライン画像データId0における外縁領域A2の1つ以上の前記外縁画素データが予め定められた境界条件を満たすか否かを判別する境界判別処理である。
【0108】
本実施形態において、前記境界条件は、前記外縁画素値が前記しきい値を上回るという条件である。
【0109】
そして、工程S7において、読取制御部5bおよび読取制御部5bによって制御される移動機構17は、前記外縁画素データが前記境界条件を満たすと判別されたときの走査ユニット1xの位置を基点として走査ユニット1xを第2方向D22へ予め定められた距離だけ移動させた後に停止させることにより、走査ユニット1xをホーム位置P1に位置決めする。
【0110】
工程S6,S7において、読取制御部5bおよび移動機構17は、前記外縁画素データが前記境界条件を満たすと判別されたときに走査ユニット1xを停止させることなくホーム位置P1まで移動させる。
【0111】
読取制御部5bおよび読取制御部5bによって制御される移動機構17は、走査ユニット1xを副走査方向D2に沿う第1方向D21または第2方向D22へ移動させるユニット駆動部の一例である。
【0112】
画像読取装置1が採用されることにより、簡易な構成により走査ユニット1xをホーム位置P1に位置決めすることができる。
【0113】
また、前述したように、走査ユニット1xの可動範囲は、第1基準面18aおよび第2基準面18bの少なくとも一方に対向する範囲に制限されている。
【0114】
従って、画像処理部5cは、前記外縁画素値と前記しきい値との比較により、走査ユニット1xが第1基準面18aおよび第2基準面18bのいずれに対向する位置に存在するかを容易に判定することができる。
【0115】
本実施形態において、モーター17bはステッピングモーターであり、モーター駆動回路17dは、制御パルス信号をモーター17bへ出力することによってモーター17bの回転量を制御する。
【0116】
前記制御パルス信号は、モーター17bが予め定められた単位回転量だけ回転するごとに出力される回転パルス信号の一例である。モーター駆動回路17dは、前記回転パルス信号を出力するパルス出力回路の一例である。
【0117】
本実施形態において、不図示のタイミング制御回路が、前記制御パルス信号に同期したライン同期信号をイメージセンサー14へ出力する。これにより、イメージセンサー14は、前記ライン同期信号に同期してライン画像信号Ia0を出力する。即ち、イメージセンサー14は、前記制御パルス信号に同期したタイミングでライン画像信号Ia0を出力する。
【0118】
そして、工程S4,S7において、モーター駆動回路17dは、前記境界条件を満たすと判別された前記外縁画素データに対応する前記制御パルス信号が出力されてから予め定められた目標数の前記制御パルス信号がさらに出力されたときに走査ユニット1xを停止させる。
【0119】
工程S4における前記目標数は、前記第1既定距離に対応する前記制御パルス信号の数である。工程S7における前記目標数は、前記第2既定距離に対応する前記制御パルス信号の数である。
【0120】
前記ライン同期信号が、前記制御パルス信号と同期した信号であることにより、走査ユニット1xの移動速度が不安定な場合においても、前記ホーム帰環制御において走査ユニット1xを高い精度で目的の位置に位置決めすることができる。
【0121】
なお、前記ライン同期信号が、前記制御パルス信号と同期した信号ではない場合、モーター駆動回路17dは、走査ユニット1xの移動時間を制御することにより、走査ユニット1xを前記第1既定距離または前記第2既定距離だけ移動させる。
【0122】
[第2実施形態]
次に、
図7,8を参照しつつ、第2実施形態に係る画像読取装置1Aについて説明する。以下、画像読取装置1Aにおける画像読取装置1と異なる点についてのみ説明する。
【0123】
画像読取装置1Aは、画像読取装置1にADF(Automatic Documents Feeder)15およびコンタクトガラス16aが追加され、さらに、画像読取装置1における白基準面18xが白基準面18yに置き換えられた構成を備える。
【0124】
図8は、プラテンガラス16、コンタクトガラス16aおよび外縁部材18を含む本体天板部の下面図である。
【0125】
コンタクトガラス16aは、本体部101の上面の読取対象領域A1における白基準面18yに対し第2方向D22側の隣に配置されている。コンタクトガラス16aの長手方向は主走査方向D1である(
図8参照)。
【0126】
原稿カバー102は、プラテンガラス16およびコンタクトガラス16aの上面を覆う前記閉位置とプラテンガラス16およびコンタクトガラス16aの上面を開放する前記開位置との間で開閉可能に支持されている。
【0127】
移動機構17は、走査ユニット1xを、プラテンガラス16およびコンタクトガラス16aの下方の領域で副走査方向D2に沿って移動させる。本実施形態において、発光部11は、プラテンガラス16上に載置された原稿9、または、コンタクトガラス16a上を通過する原稿9へ向けて光を出射する。
【0128】
ADF15は、原稿カバー102に組み込まれている。また、原稿9の搬送路150が、原稿カバー102内に形成されている。搬送路150は、原稿トレイ151からコンタクトガラス16a上を経由し排出トレイ152に至る原稿9の移動経路である。
【0129】
ADF15は、原稿トレイ151に載置された複数の原稿9を一枚ずつ搬送路150に沿って搬送し、さらに原稿9を搬送路150から排出トレイ152へ排出する。
【0130】
画像読取装置1Aは、前記静止原稿読取処理と搬送原稿読取処理と、を選択的に実行可能である。前記搬送原稿読取処理は、原稿フィード式の画像読取処理と称される場合がある。
【0131】
前記搬送原稿読取処理は、走査ユニット1xがコンタクトガラス16aに対向する静止読取位置P3に保持された状態で、ADF15によって搬送される原稿9から画像を読み取る処理である。
【0132】
本実施形態において、ホーム位置P1は、副走査方向D2におけるプラテンガラス16とコンタクトガラス16aとの間の位置である。
【0133】
読取制御部5bは、操作装置3aに対する前記スキャン開始操作が検出されたときに、搬送原稿読取制御または静止原稿読取制御を実行する。読取制御部5bは、原稿トレイ151上の原稿9が不図示の原稿センサーによって検出されている場合に前記搬送原稿読取制御を実行し、そうでない場合に前記静止原稿読取制御を実行する。
【0134】
読取制御部5bは、前記搬送原稿読取制御において、モーター駆動回路17dを制御することによって走査ユニット1xをホーム位置P1から静止読取位置P3まで移動させた後に停止させる。さらに、読取制御部5bは、原稿トレイ151上の原稿9が前記原稿センサーによって検出されなくなるまでADF15に原稿9を1枚ずつ搬送させるとともに、CISユニット140に前記画像読取処理を実行させる。
【0135】
前記画像読取処理において、発光部11が発光し、イメージセンサー14が前記反射光の光量を検出するとともにライン画像信号Ia0を出力する処理を繰り返し実行する。
【0136】
画像読取装置1Aにおいて、外縁部材18は、プラテンガラス16およびコンタクトガラス16aの外縁に配置されている(
図7,8参照)。外縁部材18におけるプラテンガラス16とコンタクトガラス16aとの間の部分の下面が白基準面18yである。
【0137】
白基準面18yは、白基準面18xと同様に、外縁部材18におけるプラテンガラス16とコンタクトガラス16aとの間の部分の下面を含む。さらに、白基準面18yは、外縁部材18の下面における外縁領域A2において、プラテンガラス16とコンタクトガラス16aの間の領域からコンタクトガラス16aにおける主走査方向D1の一端を成す側縁部に沿う領域に亘って形成されている。
【0138】
換言すれば、白基準面18yは、プラテンガラス16とコンタクトガラス16aの間の領域から外縁領域A2におけるコンタクトガラス16aの隣の領域まで回り込んだL字状に形成されている。
【0139】
本実施形態において、走査ユニット1xの第2方向D22の可動範囲は、走査ユニット1xがコンタクトガラス16aに対向する範囲に制限されている。さらに、走査ユニット1xの第1方向D21の可動範囲は、走査ユニット1xがプラテンガラス16に対向する範囲に制限されている。
【0140】
従って、本実施形態においても、走査ユニット1xの可動範囲は、第1基準面18aおよび第2基準面18bの少なくとも一方に対向する範囲に制限されている。画像読取装置1Aが採用される場合も、画像読取装置1が採用される場合と同様の効果が得られる。
【0141】
[第1応用例]
以下、
図9を参照しつつ、画像読取装置1の第1応用例について説明する。
【0142】
第1応用例に係る画像読取装置は、画像読取装置1の走査ユニット1xが
図9に示される走査ユニット1yに置き換えられた構成を備える。
【0143】
走査ユニット1yは、発光部11と、1つまたは複数のミラー12と、レンズ13と、イメージセンサー14aと、キャリッジ100とを含む。キャリッジ100は、発光部11、ミラー12、レンズ13およびイメージセンサー14aを支持する。
【0144】
ミラー12およびレンズ13は、イメージセンサー14aへ前記反射光を導く導光部材の一例である。イメージセンサー14aは、CCD(Charge Coupled Device)タイプのラインセンサーである。
【0145】
イメージセンサー14aも、イメージセンサー14と同様に、前記導光部材によって導かれる光を受光し、受光量を表すライン画像信号Ia0を出力する。本応用例が採用される場合も、画像読取装置1が採用される場合と同様の効果が得られる。
【0146】
[第2応用例]
次に、画像読取装置1の第2応用例について説明する。本応用例は、前記第1応用例の応用例である。
【0147】
本応用例において、キャリッジ100は、移動速度の異なる第1キャリッジと第2キャリッジとに区分される。前記第1キャリッジは、発光部11および複数のミラー12の一部を支持し、前記第2キャリッジは、複数のミラー12の残りの一部を支持する。
【0148】
また、レンズ13およびイメージセンサー14aは、本体部101内に固定される。
【0149】
そして、前記第1キャリッジに支持されたミラー12は、原稿9で反射した光を前記第2キャリッジに支持されたミラー12へ導き、前記第2キャリッジに支持されたミラー12は、光を本体部101内に固定されたレンズ13およびイメージセンサー14aへ導く。本応用例が採用される場合も、第1応用例が採用される場合と同様の効果が得られる。
【0150】
[第3応用例]
次に、画像読取装置1の第3応用例について説明する。
【0151】
本応用例において、読取制御部5bおよび移動機構17は、
図6の工程S4において、工程S7の処理を実行した後に前記ホーム帰環制御を終了させる。この場合、画像処理部5cは、工程S3において、走査ユニット1xが第1方向D21へ移動中に前記境界判別処理を実行することになる。工程S3における前記境界条件は、前記外縁画素値が前記しきい値以上であるという条件である。
【0152】
さらに、読取制御部5bおよび移動機構17は、工程S4において実行される工程S7の処理により、走査ユニット1xの移動方向を反転させる。
【0153】
そして、読取制御部5bおよび移動機構17は、工程S3において前記外縁画素データが前記境界条件を満たすと判別されたときの走査ユニット1xの位置を基点として走査ユニット1xを第2方向D22へ予め定められた距離だけ移動させた後に停止させる。
【0154】
本応用例が採用される場合も、画像読取装置1が採用される場合と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0155】
1,1A:画像読取装置
1x,1y:走査ユニット
5 :データ処理装置
5a :主制御部
5b :読取制御部
5c :画像処理部
11 :発光部
12 :ミラー
13 :レンズ
14 :イメージセンサー
14a :イメージセンサー
16 :プラテンガラス
16a :コンタクトガラス
17 :移動機構
17a :ユニット支持部
17b :モーター
17c :動力伝達機構
17d :モーター駆動回路(モーター制御部)
18 :外縁部材
18a :第1基準面
18b :第2基準面
18x,18y:白基準面
140 :CISユニット
A1 :読取対象領域
A2 :外縁領域