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特許7600592ヘッドシステム、液体供給システム、印刷装置、及び液体流通方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ヘッドシステム、液体供給システム、印刷装置、及び液体流通方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241210BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20241210BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20241210BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J2/175 503
B41J2/18
B41J2/14 605
B41J2/14 607
B41J2/14 603
B41J2/01 401
B41J2/175 121
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020164332
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2021160345
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-09-01
(31)【優先権主張番号】P 2020059583
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】石▲崎▼ 裕稔
(72)【発明者】
【氏名】森本 樹
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-155808(JP,A)
【文献】特開2013-193371(JP,A)
【文献】特開2008-036988(JP,A)
【文献】特開2020-001330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドと、
液体が供給される供給口を有し、且つ該供給口と前記ヘッドとの間に延びる供給流路と、
液体を排出する排出口を有し、且つ該排出口と前記ヘッドとの間に延びる排出流路とを備えるヘッドシステムであって、
前記ヘッドは4つの群を有し、該4つの群の各々が第1方向に沿って延びるマニホールド、及び複数の圧力室であって各々がノズルと前記マニホールドとに接続された複数の圧力室を含み、
前記4つの群は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って第1群、第2群、第3群、第4群の順に並ぶ4つの群であり、
前記4つの群の各々に含まれる前記マニホールドの一端が前記第1方向の一方に位置し、前記4つの群の各々に含まれる前記マニホールドの他端が前記第1方向の他方に位置し、
前記供給流路は、前記4つの群のうちの2つの群である群Aに含まれる前記マニホールドの前記一端と、前記4つの群のうちの他の2つの群である群Bに含まれる前記マニホールドの前記他端に接続されており、
前記排出流路は、前記群Aに含まれる前記マニホールドの前記他端と、前記群Bに含まれる前記マニホールドの前記一端に接続されており、
前記群Aが第1群及び第3群であり且つ前記群Bが第2群及び第4群であるか、又は前記群Aが第1群及び第4群であり且つ前記群Bが第2群及び第3群であるヘッドシステム。
【請求項2】
前記群Aが第1群及び第3群であり且つ前記群Bが第2群及び第4群である請求項1に記載のヘッドシステム。
【請求項3】
前記群Aが第1群及び第4群であり且つ前記群Bが第2群及び第3群である請求項1に記載のヘッドシステム。
【請求項4】
前記供給流路は、共通供給流路及び2つの供給支流路を有し、
前記共通供給流路は上流端において前記供給口と接続されており、
前記2つの供給支流路の一方は、上流端において前記共通供給流路の下流端に接続されており、且つ下流端において前記群Aに含まれる前記マニホールドの前記一端に接続されており、
前記2つの供給支流路の他方は、上流端において前記共通供給流路の前記下流端に接続されており、且つ下流端において前記群Bに含まれる前記マニホールドの前記他端に接続されており、
前記2つの供給支流路の一方の流路抵抗と、前記2つの供給支流路の他方の流路抵抗とが同一である請求項1~3のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項5】
前記2つの供給支流路の一方の流路長と、前記2つの供給支流路の他方の流路長とが同一であり、
前記2つの供給支流路の一方の断面積と、前記2つの供給支流路の他方の断面積とが同一である請求項4に記載のヘッドシステム。
【請求項6】
前記2つの供給支流路の一方は、
上流端において前記共通供給流路の前記下流端に接続された第1共通供給支流路と、
上流端において該第1共通供給支流路の下流端に接続され、且つ下流端において前記群Aに含まれる前記マニホールドの一方の前記一端に接続された第1分岐供給支流路と、
上流端において前記第1共通供給支流路の前記下流端に接続され、且つ下流端において前記群Aに含まれる前記マニホールドの他方の前記一端に接続された第3分岐供給支流路をと含み、
前記2つの供給支流路の他方は、
上流端において前記共通供給流路の前記下流端に接続された第2共通供給支流路と、
上流端において該第2共通供給支流路の下流端に接続され、且つ下流端において前記群Bに含まれる前記マニホールドの一方の前記他端に接続された第2分岐供給支流路と、
上流端において前記第2共通供給支流路の前記下流端に接続され、且つ下流端において前記群Bに含まれる前記マニホールドの他方の前記他端に接続された第4分岐供給支流路とを含む請求項4又は5に記載のヘッドシステム。
【請求項7】
前記第1分岐供給支流路、前記第2分岐供給支流路、前記第3分岐供給支流路、及び前記第4分岐供給支流路の各々は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面に交差する方向であって鉛直方向とは異なる方向に延びる傾斜部を有し、該傾斜部は前記第1分岐供給支流路、前記第2分岐供給支流路、前記第3分岐供給支流路、及び前記第4分岐供給支流路の各々の半分以上の領域である請求項6に記載のヘッドシステム。
【請求項8】
前記第1分岐供給支流路の前記傾斜部と前記第3分岐供給支流路の前記傾斜部とは、前記第1分岐供給支流路の前記上流端及び前記第3分岐供給支流路の前記上流端に向かうにしたがって互いに近づくように傾斜しており、前記第2分岐供給支流路の前記傾斜部と前記第4分岐供給支流路の前記傾斜部とは、前記第2分岐供給支流路の前記上流端及び前記第4分岐供給支流路の前記上流端に向かうにしたがって互いに近づくように傾斜している請求項7に記載のヘッドシステム。
【請求項9】
前記排出流路は、共通排出流路及び2つの排出支流路を有し、
前記共通排出流路は下流端において前記排出口と接続されており、
前記2つの排出支流路の一方は、下流端において前記共通排出流路の上流端に接続されており、且つ上流端において前記群Aに含まれる前記マニホールドの前記他端に接続されており、
前記2つの排出支流路の他方は、下流端において前記共通排出流路の前記上流端に接続されており、且つ上流端において前記群Bに含まれる前記マニホールドの前記一端に接続されており、
前記2つの排出支流路の一方の流路抵抗と、前記2つの排出支流路の他方の流路抵抗とが同一である請求項1~8のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項10】
前記2つの排出支流路の一方の流路長と、前記2つの排出支流路の他方の流路長とが同一であり、
前記2つの排出支流路の一方の断面積と、前記2つの排出支流路の他方の断面積とが同一である請求項9に記載のヘッドシステム。
【請求項11】
前記2つの排出支流路の一方は、
下流端において前記共通排出流路の前記上流端に接続された第1共通排出支流路と、
下流端において該第1共通排出支流路の上流端に接続され、且つ上流端において前記群Aに含まれる前記マニホールドの一方の前記他端に接続された第1分岐排出支流路と、
下流端において前記第1共通排出支流路の前記上流端に接続され、且つ上流端において前記群Aに含まれる前記マニホールドの他方の前記他端に接続された第3分岐排出支流路とを含み、
前記2つの排出支流路の他方は、
下流端において前記共通排出流路の前記上流端に接続された第2共通排出支流路と、
下流端において該第2共通排出支流路の上流端に接続され、且つ上流端において前記群Bに含まれる前記マニホールドの一方の前記一端に接続された第2分岐排出支流路と、
下流端において前記第2共通排出支流路の前記上流端に接続され、且つ上流端において前記群Bに含まれる前記マニホールドの他方の前記一端に接続された第4分岐排出支流路とを含む請求項9又は10に記載のヘッドシステム。
【請求項12】
前記第1分岐排出支流路、前記第2分岐排出支流路、前記第3分岐排出支流路、及び前記第4分岐排出支流路の各々は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面に交差する方向であって鉛直方向とは異なる方向に延びる傾斜部を有し、該傾斜部は前記第1分岐排出支流路、前記第2分岐排出支流路、前記第3分岐排出支流路、及び前記第4分岐排出支流路の各々の半分以上の領域である請求項11に記載のヘッドシステム。
【請求項13】
前記第1分岐排出支流路の前記傾斜部と前記第3分岐排出支流路の前記傾斜部とは、前記第1分岐排出支流路の前記下流端及び前記第3分岐排出支流路の前記下流端に向かうにしたがって互いに近づくように傾斜しており、前記第2分岐排出支流路の前記傾斜部と前記第4分岐排出支流路の前記傾斜部とは、前記第2分岐排出支流路の前記下流端及び前記第4分岐排出支流路の前記下流端に向かうにしたがって互いに近づくように傾斜している請求項12に記載のヘッドシステム。
【請求項14】
前記第1方向において前記一方側に位置する第1流路ブロックと前記他方側に位置する第2流路ブロックとを備え、
前記供給流路のうちの、前記群Aに含まれる前記マニホールドの前記一端に接続される領域が前記第1流路ブロックに形成されており、
前記供給流路のうちの、前記群Bに含まれる前記マニホールドの前記他端に接続される領域が前記第2流路ブロックに形成されている請求項1~13のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項15】
前記第1方向において前記一方側に位置する第1流路ブロックと前記他方側に位置する第2流路ブロックとを備え、
前記排出流路のうちの、前記群Bに含まれる前記マニホールドの前記一端に接続される領域が前記第1流路ブロックに形成されており、
前記排出流路のうちの、前記群Aに含まれる前記マニホールドの前記他端に接続される領域が前記第2流路ブロックに形成されている請求項1~13のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項16】
前記第1方向において前記一方側に位置する第1流路ブロックと前記他方側に位置する第2流路ブロックとを備え、
前記供給流路のうちの、前記群Aに含まれる前記マニホールドの前記一端に接続される領域、及び前記排出流路のうちの、前記群Bに含まれる前記マニホールドの前記一端に接続される領域が前記第1流路ブロックに形成されており、
前記供給流路のうちの、前記群Bに含まれる前記マニホールドの前記他端に接続される領域、及び前記排出流路のうちの、前記群Aに含まれる前記マニホールドの前記他端に接続される領域が前記第2流路ブロックに形成されている請求項1~13のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項17】
前記供給口は単一の供給口であり、
前記供給流路は、該単一の供給口と前記ヘッドの前記4つの群の各々との間に延びる請求項1~16のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項18】
前記第1群から前記第4群の各々において、所定の群に含まれる前記複数の圧力室には、当該所定の群に含まれる前記マニホールドを介した液体のみが供給される請求項1~17のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項19】
前記第1群から前記第4群の各々に含まれる前記マニホールドは、上下方向において互いに同一の位置に設けられている請求項1~18のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項20】
前記群Aに含まれる前記マニホールドの数と前記群Bに含まれる前記マニホールドの数とが等しい請求項1~19のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項21】
前記4つの群の少なくとも1つに含まれる前記マニホールドが、前記一端と前記他端との間の領域の少なくとも一部において、前記第2方向に離間した複数の流路に分岐している請求項1~20のいずれか一項に記載のヘッドシステム。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか一項に記載のヘッドシステムと、
前記供給流路に接続された供給タンクと、
前記排出流路に接続された排出タンクと、
前記供給タンクと前記排出タンクとの間で差圧を発生させる差圧機構とを備える液体供給システム。
【請求項23】
請求項22に記載の液体供給システムと、
媒体を搬送する媒体搬送部とを備えた印刷装置。
【請求項24】
請求項1~21のいずれか一項に記載のヘッドシステムを用いて該ヘッドシステムの前記ヘッド内に液体を流通させる液体流通方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドシステム、液体供給システム、印刷装置、及び液体流通方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インク等の液体を液体吐出ヘッドを介して用紙等の媒体に吐出して画像を記録する画像記録装置が存在する。液体吐出ヘッドは、一般に、液体を収容する多数の圧力室と、当該多数の圧力室にそれぞれ接続された多数のノズルと、当該多数の圧力室に液体を分配する流路と、圧力室に圧力を付与するアクチュエータとを備える(例えば特許文献1)。液体吐出ヘッドによる液体の吐出は、アクチュエータを用いて所望の圧力室の内圧を高め、当該圧力室に接続されたノズルからインクを押し出すことによりなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-36218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の発明者は、既存の液体吐出ヘッドが形成する画像の品質について鋭意研究し、液体の温度変化に起因する画像品質の低下が生じ得ることを見出した。
【0005】
本発明は、液体の温度変化に起因する画像品質の低下を抑制することのできるヘッドシステム、液体供給システム、印刷装置、及び液体流通方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、
ヘッドと、
液体が供給される供給口を有し、且つ該供給口と前記ヘッドとの間に延びる供給流路と、
液体を排出する排出口を有し、且つ該排出口と前記ヘッドとの間に延びる排出流路とを備えるヘッドシステムであって、
前記ヘッドは、第1方向に沿って延びるマニホールド、及び複数の圧力室であって各々がノズルと前記マニホールドとに接続された複数の圧力室を含む群を4つ有し、
前記4つの群は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って第1群、第2群、第3群、第4群の順に並ぶ4つの群であり、
前記4つの群の各々に含まれる前記マニホールドの一端が前記第1方向の一方に位置し、前記4つの群の各々に含まれる前記マニホールドの他端が前記第1方向の他方に位置し、
前記供給流路は、前記4つの群のうちの2つの群である群Aに含まれる前記マニホールドの前記一端と、前記4つの群のうちの他の2つの群である群Bに含まれる前記マニホールドの前記他端に接続されており、
前記排出流路は、前記群Aに含まれる前記マニホールドの前記他端と、前記群Bに含まれる前記マニホールドの前記一端に接続されており、
前記群Aが第1群及び第3群であり且つ前記群Bが第2群及び第4群であるか、又は前記群Aが第1群及び第4群であり且つ前記群Bが第2群及び第3群であるヘッドシステムが提供される。
【0007】
本発明の第2の態様に従えば、
第1の態様のヘッドシステムと、
前記供給流路に接続された供給タンクと、
前記排出流路に接続された排出タンクと、
前記供給タンクと前記排出タンクとの間で差圧を発生させる差圧機構とを備える液体供給システムが提供される。
【0008】
本発明の第3の態様に従えば、
第2の態様の液体供給システムと、
媒体を搬送する媒体搬送部とを備えた印刷装置が提供される。
【0009】
本発明の第4の態様に従えば、
ヘッド内に液体を流通させる液体流通方法であって、
前記ヘッドは、第1方向に沿って延びるマニホールド、及び複数の圧力室であって各々がノズルと前記マニホールドとに接続された複数の圧力室を含む群を4つ有し、
前記4つの群は、第1方向に交差する第2方向に沿って第1群、第2群、第3群、第4群の順に並ぶ4つの群であり、
前記4つの群のうちの2つの群である群Aに含まれる前記マニホールドにおいて、前記第1方向の一方側から他方側に向けて液体を流すことと、
前記4つの群のうちの他の2つの群である群Bに含まれる前記マニホールドにおいて、前記第1方向の他方側から一方側に向けて液体を流すことを含み、
前記群Aが第1群及び第3群であり且つ前記群Bが第2群及び第4群であるか、又は前記群Aが第1群及び第4群であり且つ前記群Bが第2群及び第3群である方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のヘッドシステム、液体供給システム、印刷装置、及び液体流通方法によれば、液体の温度変化に起因する画像品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、プリンタの概略的な構成を示す図である。
図2図2は、ヘッドユニットの概略的な構成を示す平面図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態のヘッドシステムの斜視図である。
図4図4は、インク供給管、インク排出管、第1、第2流路ブロック、フレーム部材、及びヘッドの位置関係を示す側面図である。
図5図5(a)は第1、第2流路ブロックの分解斜視図である。図5(b)は、第1、第2流路ブロックの流路形成部の側面図である。
図6図6は、フレーム部材及びヘッドの分解斜視図である。
図7図7は、流路ユニットおよびアクチュエータの平面図である。
図8図8は、図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
図9図9は、本発明の第1実施形態のインク供給システムにより形成される流路を示す説明図である。
図10図10(a)は変形例1-1の第1、第2流路ブロックの分解斜視図である。図10(b)は、変形例1-1の第1、第2流路ブロックの流路形成部の側面図である。
図11図11は、変形例1-1のインク供給システムにより形成される流路を示す説明図である。
図12図12は、本発明の第2実施形態のヘッドシステムの斜視図である。
図13図13は、流路部材の分解斜視図である。
図14図14は、本発明の第2実施形態のインク供給システムにより形成される流路を示す説明図である。
図15図15は、変形例2-1のインク供給システムにより形成される流路を示す説明図である。
図16図16は、変形例2-2の流路部材の分解斜視図である。
図17図17は、変形例2-2のインク供給システムにより形成される流路を示す説明図である。
図18図18は、マニホールドの変形態様を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態のヘッドシステムHS1(図2)、インク供給システムISS1、印刷装置1000、及びインク流通方法について、図1図9を参照して説明する。
【0013】
<プリンタ1000>
図1に示す通り、プリンタ1000は、4つのヘッドユニット100と、プラテン700と、一対の搬送ローラ801、802と、インクタンクITと、制御装置CONTと、これらを収容する筐体900とを主に備える。筐体900の内部には更に、サブタンク(フィルタンク、供給タンク)ST(図2)及びドレインタンク(回収タンク)DT(図2)が、4つのヘッドユニット100の各々に対して1つずつ設けられている。
【0014】
以下の説明においては、一対の搬送ローラ801、802が並ぶ方向、即ち画像形成時に媒体PMが搬送される方向をプリンタ1000の「媒体送り方向」と呼ぶ。「媒体送り方向」については、媒体PMが搬送される方向の上流側を「給送側」と呼び、下流側を「排送側」と呼ぶ。
【0015】
また、媒体送り方向と直交する水平面内の方向、即ち、搬送ローラ801、802の回転軸の延びる方向を「媒体幅方向」と呼ぶ。「媒体幅方向」については、媒体送り方向の排送側から給送側を見た際の左側、右側を、媒体幅方向の左側、右側と呼ぶ。「媒体送り方向」及び「媒体幅方向」に直交する方向を「上下方向」と呼ぶ。
【0016】
本明細書の流路の説明において「上流側」、「下流側」とは、内部を流れる液体の流れ方向における上流側、下流側を意味する。
【0017】
4つのヘッドユニット100の各々は、いわゆるラインタイプのヘッドであり、媒体幅方向の両端部において支持体100aに支持されている。本実施形態では、4つのヘッドユニット100は、互いに異なる4色のインクを吐出するように構成されている。この4色は、一例としてシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックである。ヘッドユニット100の各々の具体的な構造、機能は後述する。
【0018】
プラテン700は、ヘッドユニット100から媒体PMに向けてインクが吐出される際に、媒体PMをヘッドユニット100とは反対側(下方)から支持する板状部材である。プラテン700の媒体幅方向の幅は、プリンタ1000による画像記録が可能な最も大きな媒体の幅よりも大きい。
【0019】
一対の搬送ローラ801、802は、プラテン700を媒体送り方向に挟んで配置されている。一対の搬送ローラ801、802は、ヘッドユニット100による媒体PMへの画像形成時に、媒体PMを所定の態様で媒体送り方向の排送側に送る。搬送ローラ801、802が本発明の「媒体搬送部」の一例である。
【0020】
インクタンクITは、4色のインクを収容できるよう4つに区分されている。サブタンクST及びドレインタンクDTは、各ヘッドユニット100の上方に、1つずつ設けられている。
【0021】
インクタンクITは、インク流路部材IC1を介して、4つのサブタンクSTの各々に接続されている。インク流路部材IC1は、サブタンクSTに対して1つずつ、即ち各色に対して1つ設けられている。
【0022】
図2に示す通り、4つのサブタンクSTの各々は、対応するヘッドユニット100にインクを供給するように、ヘッドユニット100に含まれるヘッドシステムHS1(詳細後述)に、インク流路部材IC2を介して接続されている。4つのドレインタンクDTの各々は、対応するヘッドユニット100からインクが排出されるように、ヘッドユニット100のヘッドシステムHS1に、インク流路部材IC3を介して接続されている。サブタンクSTとドレインタンクDTとの間には、ポンプ(差圧機構)PPが設けられている。ヘッドシステムHS1と、これに接続されたサブタンクST、ドレインタンクDT、及びポンプPPとにより、第1実施形態のインク供給システムISS1が構成される。
【0023】
制御装置CONTは、プリンタ1000の備える各部を全体的に制御し、媒体PMへの画像形成等を行わせる。制御装置CONTは、FPGA(Field Programmable Gate Array)、EEPROM(Electrically Eracable Programmable Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。なお、制御装置CONTはCPU(Central Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Curcuit)等を備えてもよい。制御装置CONTは、PC等の外部装置(不図示)とデータ通信可能に接続されており、当該外部装置から送られた印刷データに基づいてプリンタ1000の各部を制御する。
【0024】
<ヘッドユニット100>
ヘッドユニット100は、図2に示す通り、保持部材10と、保持部材10によって一体に支持された9個のヘッドシステムHS1とを備える。
【0025】
保持部材10は、媒体幅方向を長手方向とし、媒体送り方向を短手方向とする平面視矩形の板状部材である。保持部材10の長手方向の両端部が、支持体100aによって支持される被支持部である。
【0026】
9個のヘッドシステムHS1は、保持部材10の複数の開口部(不図示)の内部にそれぞれが配置されることにより、保持部材10によって一体に保持されている。9個のヘッドシステムHS1は、平面視において、媒体幅方向にそって千鳥状に配置されている。ヘッドシステムHS1の各々はその最下部に複数のノズル3(詳細後述)を有する。
【0027】
<ヘッドシステムHS1>
複数のヘッドシステムHS1の各々は、図3図4に示す通り、インク供給管20、インク排出管30、第1流路ブロック41、第2流路ブロック42、フレーム部材50、及びヘッド60を主に有する。
【0028】
<インク供給管20>
インク供給管20は、サブタンクSTのインクをヘッド60へと流すための供給流路S(図9)の一部を形成する。インク供給管20は、1つの上流端20aと、分岐部20xと、2つの下流端20b1、20b2とを有する分岐管である。上流端20aが下流端20b1、20b2よりも上方に配置されている。
【0029】
インク供給管20は、上流端20aに、インク供給口SP20を有する。インク供給口SP20には、上流端がサブタンクSTに接続されたインク流路部材IC2の下流端が接続されている。
【0030】
<インク排出管30>
インク排出管30は、ヘッド60のインクをドレインタンクDTへと流すための排出流路D(図9)の一部を形成する。インク排出管30は、2つの上流端30a1、30a2と、分岐部30xと、1つの下流端30bとを有する分岐管である。下流端30bが上流端30a1、30a2よりも上方に配置されている。
【0031】
インク排出管30は、下流端30bに、インク排出口DP30を有する。インク排出口DP30には、下流端がドレインタンクDTに接続されたインク流路部材IC3の上流端が接続されている。
【0032】
<第1、第2流路ブロック41、42>
第1、第2流路ブロック(第1、第2流路部材)41、42は、サブタンクSTのインクをヘッド60へと流すための供給流路Sの一部、及びヘッド60のインクをドレインタ
ンクDTへと流すための排出流路Dの一部を形成する。第1、第2流路ブロック41、42は、インク供給管20の下流側且つインク排出管30の上流側に配置されている。
【0033】
第1、第2流路ブロック41、42は同一の構造を有するため、ここでは第1流路ブロック41について説明する。
【0034】
図5に示す通り、第1流路ブロック41は、流路形成部411と、流路形成部411に取り付けられる一対の蓋部412、413とを主に有する。
【0035】
流路形成部411は、直方体状の本体部MBと、本体部MBの上面MBuから上方に突出する2つの接続管CT1、CT2と、本体部MBの下面MBdから下方に突出する4つの接続管CT3、CT4、CT5、CT6とを有する。
【0036】
接続管CT1は、上面MBuの、媒体送り方向の中央部よりも排送側に位置し、接続管CT2は、上面MBuの、媒体送り方向の中央部よりも給送側に位置する。4つの接続管CT3、CT4、CT5、CT6は、媒体送り方向の排送側から給送側に向けて、この順番で並んでいる。
【0037】
本体部MBの、媒体幅方向の右側の側面MBrには、逆V字型の凹溝G1が形成されている。凹溝G1は、頂部G1tp図5(b))から下側及び媒体送り方向の排送側へと延びて下端部G1bt1へと至る第1部分G11と、頂部G1tpから下側及び媒体送り方向の給送側へと延びて下端部G1bt2へと至る第1部分G12とを含む。頂部G1tpは、側面MBrの、媒体送り方向中央部よりも排送側の領域に位置する。
【0038】
本体部MBの、媒体幅方向の左側の側面MBlには、逆V字型の凹溝G2が形成されている。凹溝G2は、媒体幅方向にみて、凹溝G1と同一の形状を有する。凹溝G2は具体的には、頂部G2tpから下側及び媒体送り方向の排送側へと延びて下端部G2bt1へと至る第1部分G21と、頂部G2tpから下側及び媒体送り方向の給送側へと延びて下端部G2bt2へと至る第2部分G22とを含む。頂部G2tpは、側面MBlの、媒体送り方向中央部よりも給送側の領域に位置する。即ち、凹溝G1と凹溝G2とは、媒体送り方向において互いに対してシフトした位置に形成されている。
【0039】
第1部分G11、G21の延在方向、及び第2部分G12、G22の延在方向は、第1部分G11、G21と第2部分G12、G22とが上方に向かうにしたがって互いに近づくように、上下方向(鉛直方向)に対して、角度θだけ傾いている。角度θは本実施形態では45°程度であるが、90°未満の任意の角度に設定し得る。流路を鉛直方向とは異なる方向に延ばす際には、このように流路の延在方向を水平方向とは異ならせることで、流路底面への顔料の沈殿を抑制することができる。また、インク内に混入した気泡の流路上面での滞留を抑制し、より確実に上方に流すことができる。
【0040】
本体部MBの内部には、媒体送り方向において頂部G1tp、下端部G1bt1、下端部G1bt2と重複する位置にそれぞれ、上下方向に延びる流路ch1、ch3、ch5が形成されている。また、媒体送り方向において頂部G2tp、下端部G2bt1、下端部G2bt2と重複する位置にそれぞれ、上下方向に延びる流路ch2、ch4、ch6が形成されている。
【0041】
流路ch1の下端部は凹溝G1の頂部G1tpに形成された開口A1を介して凹溝G1に連通しており、流路ch1の上端部は本体部MBの上面MBuの接続管CT1に連通している。流路ch3の上端部は凹溝G1の下端部G1bt1に形成された開口A3を介して凹溝G1に連通しており、流路ch3の下端部は本体部MBの下面MBdの接続管CT
3に連通している。流路ch5の上端部は凹溝G1の下端部G1bt2に形成された開口A5を介して凹溝G1に連通しており、流路ch5の下端部は本体部MBの下面MBdの接続管CT5に連通している。
【0042】
流路ch2の下端部は凹溝G2の頂部G2tpに形成された開口A2を介して凹溝G2に連通しており、流路ch2の上端部は本体部MBの上面MBuの接続管CT2に連通している。流路ch4の上端部は凹溝G2の下端部G2bt1に形成された開口A4を介して凹溝G2に連通しており、流路ch4の下端部は本体部MBの下面MBdの接続管CT4に連通している。流路ch6の上端部は凹溝G2の下端部G2bt2に形成された開口A6を介して凹溝G2に連通しており、流路ch6の下端部は本体部MBの下面MBdの接続管CT6に連通している。
【0043】
蓋部412、413は、本体部MBの凹溝G1、G2を覆うための部材である。蓋部412、413は平板であり、媒体幅方向に見た形状及び寸法は、本体部MBと略同一である。蓋部412、413はそれぞれ、ねじ等の任意の締結具により、本体部MBの側面MBr、MBlに取り付けられて、凹溝G1、G2を覆っている。凹溝G1、G2をより確実に密封するために、凹溝G1、G2の輪郭に沿って延びるOリングを、本体部MBと蓋部412、413との間に設けてもよい。
【0044】
本体部MBの凹溝G1を蓋部412で覆うことにより、第1流路ブロック41の内部に、接続管CT1、CT3、CT5、流路ch1、ch3、ch5、及び凹溝G1により構成される分岐流路が形成される。また、本体部MBの凹溝G2を蓋部413で覆うことにより、接続管CT2、CT4、CT6、流路ch2、ch4、ch6、及び凹溝G2により構成される分岐流路が形成される。
【0045】
第1流路ブロック41の接続管CT1にはインク供給管20の下流端20b1が接続されており、接続管CT2にはインク排出管30の上流端30a1が接続されている。第2流路ブロック42の接続管CT1にはインク排出管30の上流端30a2が接続されており、接続管CT2にはインク供給管20の下流端20b2が接続されている。
【0046】
<フレーム部材50>
フレーム部材50は、第1、第2流路ブロック41、42とヘッド60とを接続し、且つこれらを支持板10に固定するための構造である。フレーム部材50は、第1、第2流路部材41、42の下方に配置されている。
【0047】
図3及び図6に示す通り、フレーム部材50は、アライメントフレーム51、バックエンドクレーム52、及びフロントエンドフレーム53が、上からこの順番で積層された積層構造体である。
【0048】
アライメントフレーム51は、一例としてSUS製の平板部材である。アライメントフレーム51は、中央部を上下に貫通する平面視矩形の中央貫通孔TH51と、中央貫通孔TH51の周囲に設けられた平面視円形の8個の流路用貫通孔th51とを有する。流路用貫通孔th51は、中央貫通孔TH51の媒体幅方向の両側にそれぞれ4つずつ、媒体送り方向に並んで設けられている。
【0049】
バックエンドフレーム52は、一例として樹脂製且つ長方体状の部材である。バックエンドフレーム52は、中央部を上下に貫通する平面視矩形の中央貫通孔TH52と、中央貫通孔TH52の周囲に設けられた平面視円形の8個の流路用貫通孔th52とを有する。流路用貫通孔th52は、中央貫通孔TH52の媒体幅方向の両側にそれぞれ4つずつ、媒体送り方向に並んで設けられている。
【0050】
フロントエンドフレーム53は、一例としてSUS製の平板部材である。フロントエンドフレーム53は、中央部を上下に貫通する平面視矩形の中央貫通孔TH53と、中央貫通孔TH53の周囲に設けられた平面視略矩形の8個の流路用貫通孔th53とを有する。流路用貫通孔th53は、中央貫通孔TH53の媒体幅方向の両側にそれぞれ4つずつ、媒体送り方向に並んで設けられている。
【0051】
アライメントフレーム51、バックエンドフレーム52、フロントエンドフレーム53が、上からこの順番で積層された状態において、アライメントフレーム51の中央貫通孔TH51、バックエンドフレーム52の中央貫通孔TH52、及びフロントエンドフレーム53の中央貫通孔TH53が連通し、中央貫通孔THを形成する(図4)。また、アライメントフレーム51の8個の流路用貫通孔th51の各々、バックエンドフレーム52の8個の流路用貫通孔th52の各々、及びフロントエンドフレーム53の8個の流路用貫通孔th53の各々が連通して、8個の流路用貫通孔thを形成する(図4)。
【0052】
フレーム部材50は、アライメントフレーム51を介して支持板10に固定されている。
【0053】
中央貫通孔THの媒体幅方向の左側に形成された4個の流路用貫通孔thに、第1流路ブロック41の接続管CT3~CT6が挿入されており、中央貫通孔THの媒体幅方向の右側に形成された4個の流路用貫通孔thに、第2流路ブロック42の接続管CT3~CT6が挿入されている。流路用貫通孔thの内周面と接続管CT3~CT6の外周面との間にOリング(不図示)を配置してもよい。
【0054】
<ヘッド60>
ヘッド60は、図6図7図8に示す通り、流路ユニット61と、圧電アクチュエータ62と、吐出制御部63とを備える。
【0055】
図8に示す通り、流路ユニット61は、インク封止膜61A、プレート61B~61E、及びノズルプレート61Fが、上からこの順に積層された積層構造体である。流路ユニット61の内部には、プレート61B~61E、及びノズルプレート61Fの各々の一部を除去することにより流路CH(図7)が形成されている。
【0056】
図7図8に示す通り、流路CHは、8個のインク流通口CP61と、4本のマニホールド流路M1、M2、M3、M4と、48個の個別流路ICHとを含む。
【0057】
8個のインク流通口CP61は、流路ユニット61の媒体幅方向の両端部に4つずつ、媒体送り方向に並んで設けられている。8個のインク流通口CP61の各々は、インク封止膜61A及びプレート61B、61Cの各々に貫通孔を同軸状に設けることにより形成されている。
【0058】
4本のマニホールド流路M1~M4の各々は、媒体幅方向に延びる直線状の流路である。即ち4本のマニホールド流路M1~M4は、互いに対して平行に延在している。4本のマニホールド流路M1~M4は、媒体送り方向の排送側から給送側に向けて、この順番で設けられている。
【0059】
4本のマニホールド流路M1~M4の各々は、プレート61Dの一部を除去して形成されている。即ち、4本のマニホールド流路M1~M4は、上下方向において同一の位置に形成されている。4本のマニホールド流路M1~M4の各々の上面Mtは互いに面一であり、4本のマニホールド流路M1~M4の各々の底面Mdは互いに面一である。
【0060】
マニホールド流路M1~M4はそれぞれ、媒体幅方向の両端部において、インク流通口CP61に連通している。
【0061】
48個の個別流路ICHの各々は、図8に示す通り、圧力室1、ディセンダ流路2、ノズル3を含む。
【0062】
圧力室1は、圧電アクチュエータ62による圧力をインクに付与するための空間であり、プレート61Bの一部を取り除いて形成されている。圧力室1の上面はインク封止膜61Aにより形成されている。圧力室1の平面視形状は、媒体送り方向に長い長円形であり(図7)、一方の円弧部の近傍にマニホールド流路M1(又はマニホールド流路M2~M4のいずれか)へと延びる流路が接続しており、他方の円弧部の近傍にディセンダ流路2が接続している。
【0063】
ディセンダ流路2は、圧力室1のインクをノズル3へと流す流路であり、プレート61C~61Eの各々に円形の貫通孔を同軸状に設けることにより形成されている。ディセンダ流路2は圧力室1からノズル3に向けて、上下方向に延びている。
【0064】
ノズル3は、インクを媒体PMに向けて吐出する微小開口であり、ノズルプレート61Fに形成されている。
【0065】
個別流路ICHは、4本のマニホールド流路M1~M4の各々に対して、12個ずつ接続されている。1本のマニホールド流路に対して接続された12個の個別流路ICHにより、媒体幅方向に並ぶ個別流路列LICHが形成される。また、1つの個別流路列LICHを形成する12個の個別流路ICHの各々のノズル3により、ノズル列Lが形成される。各個別流路列LICHに含まれる複数の個別流路ICHの圧力室1は、対応するマニホールド流路にのみ接続されており、他のマニホールド流路には接続されていない。そのため、各個別流路列LICHに含まれる複数の個別流路ICHの圧力室1へは、対応するマニホールド流路を介したインクのみが供給される。本実施形態では、所定のノズル列Lが備える各ノズル3と、当該ノズル列に隣接するノズル列Lが備える各ノズル3とは、媒体幅方向にわずかにずれた位置に設けられている。
【0066】
圧電アクチュエータ62は、図8に示す通り、流路ユニット61の上面に設けられた第1圧電層621と、第1圧電層621の上方の第2圧電層622と、第1圧電層621、第2圧電層622に挟まれた共通電極623と、第2圧電層622の上面に設けられた複数の個別電極624により構成されている。
【0067】
第1圧電層621は、流路ユニット61に形成された複数の個別流路ICHの全てを覆うように、インク封止膜61Aの上面に設けられている。第1圧電層621の上面には、第1圧電層621の上面のほぼ全域を覆って共通電極623が設けられており、共通電極623の上面には、第1圧電層621及び共通電極623の全域を覆って第2圧電層622が設けられている。
【0068】
共通電極623は配線(不図示)を介して接地されており、常にグランド電位に保持されている。
【0069】
複数の個別電極624の各々は、媒体送り方向を長手方向とする略矩形の平面形状を有する。複数の個別電極624は、複数の個別流路ICHの圧力室1の上方にそれぞれが位置するように、第2圧電層622の上面に設けられている。複数の個別電極624の各々は、対応する圧力室1の中央部の上方に位置するように位置合わせされている。
【0070】
第1圧電層621、第2圧電層622、共通電極623、及び複数の個別電極624が上記の通り配置された構造において、第2圧電層622のうち、共通電極623と複数の個別電極624の各々とに挟まれた部分は、厚み方向に分極した活性部622aとなる。
【0071】
吐出制御部63は、図6に示す通り、保持板631と、保持板631に巻き付けられたFPC(Flexible Printed Circuits、フレキシブルプリント回路基板)632と、FPC632に実装された2つのドライバIC633とを備える。
【0072】
FPC632の、保持板631の下面631d側に位置する部分には、複数の接点(不図示)が形成されている。FPC632の、保持板631の上面631u側に位置する部分には、2つのドライバIC633が実装されている。
【0073】
吐出制御部63は、FPC632の複数の接点の各々が、圧電アクチュエータ62の複数の個別電極624の各々と電気的に接続するように、圧電アクチュエータ62の上面に配置される。これにより、圧電アクチュエータ62の複数の個別電極624の各々が、FPC632を介して、ドライバIC633に接続される。具体的には、媒体幅方向の右側に配置されたドライバIC633が媒体幅方向において中央よりも右側に位置する個別電極624に接続され、媒体幅方向の左側に配置されたドライバIC633が媒体幅方向において中央よりも左側に位置する個別電極624に接続される。また、ドライバIC633は、不図示の配線を介して制御部CONTに接続される。
【0074】
ヘッド60は、フレーム部材50のフロントエンドフレーム53の下面53d(図4)に固定されている。この状態において、8つのインク流通口CP61が、8つの流路用貫通孔thとそれぞれ連通する。また、圧電アクチュエータ62及び吐出制御部63は、中央貫通孔THの内部に配置される。
【0075】
<インク供給システムISS1の流路構成>
上記の構成を有するヘッドシステムHS1を含むインク供給システムISS1により形成される流路について、図9を参照して整理する。
【0076】
サブタンクSTのインクをヘッド60に送るための供給流路Sは、インク供給管20と、第1流路ブロック41の接続管CT1から接続管CT3、CT5へと延びる流路と、第2流路ブロック42の接続管CT2から接続管CT4、CT6へと延びる流路と、フレーム部材50の流路用貫通孔thとにより形成される。
【0077】
サブタンクSTから、インク流路部材IC2を介してインク供給管20の上流端20aのインク供給口SP20に供給されたインクは、インク供給管20内を分岐20xまで流れた後、2つに分かれ、一方はインク供給管20の下流端20b1及び第1流路ブロック41に向かって流れ、他方はインク供給管20の下流端20b2及び第2流路ブロック42に向かって流れる。
【0078】
第1流路ブロック41に向かって流れたインクは、インク供給管20の下流端20b1に接続された接続管CT1を経て凹溝G1に至り、凹溝G1の頂部G1tpにおいて、2つに分かれる。
【0079】
2つに分かれたインクの一方は、凹溝G1の第1部分G11、流路ch3、接続管CT3、フレーム部材50の流路用貫通孔th、ヘッド60の、媒体幅方向左側且つ媒体送り方向の最も排送側のインク流通口CP61を経て、マニホールドM1に流入する。2つに分かれたインクの他方は、凹溝G1の第2部分G12、流路ch5、接続管CT5、フレ
ーム部材50の流路用貫通孔th、ヘッド60の、媒体幅方向左側且つ媒体送り方向の排送側端部から3番目のインク流通口CP61を経て、マニホールドM3に流入する。
【0080】
第2流路ブロック42に向かって流れたインクは、インク供給管20の下流端20b2に接続された接続管CT2を経て凹溝G2に至り、凹溝G2の頂部G2tpにおいて、2つに分かれる。
【0081】
2つに分かれたインクの一方は、凹溝G2の第1部分G21、流路ch4、接続管CT4、フレーム部材50の流路用貫通孔th、ヘッド60の、媒体幅方向右側且つ媒体送り方向の排送側端部から2番目のインク流通口CP61を経て、マニホールドM2に流入する。2つに分かれたインクの他方は、凹溝G2の第2部分G22、流路ch6、接続管CT6、フレーム部材50の流路用貫通孔th、ヘッド60の、媒体幅方向右側且つ媒体送り方向の排送側端部から4番目のインク流通口CP61を経て、マニホールドM4に流入する。
【0082】
ヘッド60のインクをドレインタンクDTに送るための排出流路Dは、インク排出管30と、第1流路ブロック41の接続管CT2から接続管CT4、CT6へと延びる流路と、第2流路ブロック42の接続管CT1から接続管CT3、CT5へと延びる流路と、フレーム部材50の流路用貫通孔thとにより形成される。
【0083】
マニホールドM1を経て、媒体幅方向右側且つ媒体送り方向の最も排送側に位置するインク流通口CP61に至ったインクは、フレーム部材50の流路用貫通孔thを経て、第2流路ブロック42の接続管CT3から第2流路ブロック内に流入する。マニホールドM3を経て、媒体幅方向右側且つ媒体送り方向の排送側端部から3番目のインク流通口CP61に至ったインクは、フレーム部材50の流路用貫通孔thを経て、第2流路ブロック42の接続管CT5から第2流路ブロック内に流入する。これらのインクは、第2流路ブロック42の凹溝G1の頂部G1tpにおいて合流されて、第2流路ブロック42の接続管CT1、インク排出管30を経て、インク排出口DP30からドレインタンクDTに送られる。
【0084】
マニホールドM2を経て、媒体幅方向左側且つ媒体送り方向の排送側端部から2番目に位置するインク流通口CP61に至ったインクは、フレーム部材50の流路用貫通孔thを経て、第1流路ブロック41の接続管CT4から第1流路ブロック内に流入する。マニホールドM4を経て、媒体幅方向左側且つ媒体送り方向の排送側端部から4番目のインク流通口CP61に至ったインクは、フレーム部材50の流路用貫通孔thを経て、第1流路ブロック41の接続管CT6から第1流路ブロック内に流入する。これらのインクは、第1流路ブロック41の凹溝G2の頂部G2tpにおいて合流されて、第1流路ブロック41の接続管CT2、インク排出管30を経て、インク排出口DP30からドレインタンクDTに送られる。
【0085】
供給流路S、マニホールドM1~M4、及び排出流路Dにおけるインクの流れる方向は、図9に矢印で示す通りである。図9に示す通り、本実施形態のヘッドシステムHS1を含むインク供給システムISS1においては、マニホールドM1、M3においては、インクは、媒体幅方向の右側に向かって流れ、マニホールドM2、M4においては、インクは、媒体幅方向の左側に向かって流れる。即ち、媒体送り方向において、他のマニホールドを挟むことなく互いに隣接する2本のマニホールドには、互いに対して反対向きにインクが流されている。このようにインクを流す理由は後述する。
【0086】
ここで、インク供給管20の上流端20aと分岐20xとの間に形成される流路が共通供給流路Sであり、インク供給管20の分岐20xから第1流路ブロック41を介して
ヘッド60に至る流路が第1供給支流路S、第2流路ブロック42を介してヘッド60に至る流路が、第2供給支流路Sである。
【0087】
インク供給管20及び第1、第2流路ブロック41、42は、第1供給支流路Sの流路抵抗と第2供給支流路Sの流路抵抗とが同一となるように構成されていてもよい。具体的には例えば、インク供給管20及び第1、第2流路ブロック41、42を、第1供給支流路Sの流路長と第2供給支流路Sの流路長とが同一となり、且つ第1供給支流路Sの断面積(流路の延びる方向に直交する面による断面積)と第2供給支流路Sの断面積とが同一となるように構成してもよい。これにより分岐20xから第1、第2供給支流路S、Sに送られるインクの量が等しくなり(等量分岐が可能となり)、安定した流速でのインクの流通が可能となる。また、これにより、マニホールドM1、M3を流れるインクの流速と、マニホールドM2、M4を流れるインクの流速とが同一となり、マニホールドM1~M4を流れるインクの温度ムラの解消、ひいては画像形成における濃度ムラの解消がより良好になされる(詳細後述)。
【0088】
第1供給支流路Sのうち、インク供給管の分岐20xと第1流路ブロック41の凹溝G1の頂部G1tpとの間に形成される流路が第1共通供給支流路S10であり、頂部G1tpとマニホールドM1、M3との間の流路が第1、第3分岐供給支流路S11、S13である。第2供給支流路Sのうち、インク供給管の分岐20xと第2流路ブロック42の凹溝G2の頂部G2tpとの間に形成される流路が第2共通供給支流路S20であり、頂部G2tpとマニホールドM2、M4との間の流路が第2、第4分岐供給支流路S22、S24である。第1、第2流路ブロック41、42の凹溝G1、G2は、媒体幅方向と媒体送り方向とを含む面(水平面)に交差する方向であって鉛直方向とは異なる方向に延びる第1部分G11、第2部分G12の流路長が第1、第2、第3、第4分岐供給支流路S11、S22、S13、S24の流路長の半分以上となるように構成されていてもよい。
【0089】
また、インク排出管30の下流端30bと分岐30xとの間に形成される流路が共通排出流路Dであり、インク排出管30の分岐30xから第1流路ブロック41を介してヘッド60に至る流路が第1排出支流路D、第2流路ブロック42を介してヘッド60に至る流路が第2排出支流路Dである。
【0090】
インク排出管30及び第1、第2流路ブロック41、42は、第1排出支流路Dの流路抵抗と第2排出支流路Dの流路抵抗とが同一となるように構成されていてもよい。具体的には例えば、インク排出管30及び第1、第2流路ブロック41、42を、第1排出支流路Dの流路長と第2排出支流路Dの流路長とが同一となり、且つ第1排出支流路Dの断面積(流路の延びる方向に直交する面による断面積)と第2排出支流路Dの断面積とが同一となるように構成してもよい。これにより、第1、第2排出支流路D、Dから分岐30xに送られるインクの量が等しくなり、安定した流速でのインクの流通が可能となる。また、これにより、マニホールドM1、M3を流れるインクの流速と、マニホールドM2、M4を流れるインクの流速とが同一となり、マニホールドM1~M4を流れるインクの温度ムラの解消、ひいては画像形成における濃度ムラの解消がより良好になされる(詳細後述)。
【0091】
第1排出支流路Dのうち、インク排出管の分岐30xと第1流路ブロック41の凹溝G2の頂部G2tpとの間に形成される流路が第1共通排出支流路D10であり、頂部G2tpとマニホールドM2、M4との間の流路が第2、第4分岐排出支流路D12、D14である。第2排出支流路Dのうち、インク排出管30の分岐30xと第2流路ブロック42の凹溝G1の頂部G1tpとの間に形成される流路が第2共通排出支流路D20であり、頂部G1tpとマニホールドM1、M3との間の流路が第1、第3分岐排出支流路D21、D23である。第1、第2流路ブロック41、42の凹溝G1、G2は、媒体幅方向と媒体送り方向を含む面(水平面)に交差する方向であって鉛直方向とは異なる方向に延びる第1部分G11、第2部分G12の流路長が第1、第2、第3、第4分岐排出支流路D21、D12、D23、D14の流路長の半分以上となるように構成されていてもよい。
【0092】
なお、流路を構成する各部品の製造誤差、流路を構成する各部品同士の組付け誤差、組み立て時に生じ得る各部品の形状変化(樹脂管の変形等)に起因する誤差などに鑑みれば、2つの流路の流路抵抗を完全に同一とすることは必ずしも容易ではなく、必須でもない。本実施形態においては、例えば、第1供給支流路Sの流路抵抗の、第2供給支流路Sの流路抵抗に対する誤差が、第2供給支流路Sの流路抵抗の10%以内であれば等量分岐を実現して画像形成における濃度ムラ(詳細後述)を良好に抑制できる。同様に、第1排出支流路Dの流路抵抗の、第2排出支流路Dの流路抵抗に対する誤差が、第2排出支流路Dの流路抵抗の10%以内であれば等量分岐を実現して画像形成における濃度ムラ(詳細後述)を良好に抑制できる。
【0093】
本明細書及び本発明において、ある流路の流路抵抗が他の流路の流路抵抗に同一であるとは、ある流路の流路抵抗の他の流路の流路抵抗に対する誤差が、当該他の流路の流路抵抗の10%以内であることを意味する。ある流路の断面積と他の流路の断面積が同一であるとは、ある流路の断面積の他の流路の断面積に対する誤差が、当該他の流路の断面積の10%未満であることを意味する。ある流路の流路長が他の流路の流路長に同一であるとは、ある流路の流路長の他の流路の流路長に対する誤差が、当該他の流路の流路長の10%未満であることを意味する。なお、ある流路の断面積と他の流路の断面積とを比較する場合、断面積が流路の全域において一定ではない場合は、流路全域における断面積の平均値を用い得る。また、ある流路を流れる液体の流速が他の流路を流れる液体の流速に同一であるとは、ある流路を流れる液体の流速の他の流路を流れる液体の流速に対する誤差が、当該他の流路を流れる液体の流速の10%以内であることを意味する。
【0094】
<画像形成方法>
プリンタ1000及びヘッドユニット100を用いた媒体PMへの画像形成は次のように行われる。
【0095】
まず、給送トレイ(不図示)の媒体PMが搬送ローラ801の給送側へと送られ、搬送ローラ801によってプラテン700の上へと送られる。ヘッドユニット100の複数のヘッドシステムHS1は、搬送ローラ801、802によって媒体送り方向に送られる媒体PMに対して連続的にインクの液滴を吐出し、媒体PMに画像を形成していく。画像が形成された媒体PMは、搬送ローラ802の排送側へと送られ、排送トレイ(不図示)へと排出される。
【0096】
ヘッドシステムHS1を用いたインクの液滴の吐出は、圧電アクチュエータ62を用いて所定の圧力室1(「対象圧力室」と呼ぶ)のインクに圧力を付与することにより行う。具体的には、まずドライバIC633が、制御装置CONTの指示の下、FPC632を介して対象圧力室に対応する個別電極624に駆動電位を付与する。これにより、駆動電位が付与された個別電極624と共通電極623とに挟まれた活性部622aに、分極方向と平行な電界が発生し、活性部622aが分極方向と直交する水平方向に収縮する。その結果、対象圧力室の上方のインク封止膜61Aが振動し、対象圧力室内のインクに圧力が付与され、ディセンダ流路2を介して圧力室1に連通するノズル3からインクの液滴が吐出される。
【0097】
圧力室1には、サブタンクST内のインクが、供給流路S、マニホールドM1~M4を介して連続的に供給される。また、マニホールドM1~M4内のインクのうち、圧力室1に供給されなかったインクは、排出流路Dを介してドレインタンクDTに送られる。サブタンクSTからドレインタンクDTまでの、供給流路S、排出流路Dを介したインクの流れは、一例としてポンプPPにより生じる。また、ドレインタンクDTに戻されたインクは、フィルタ(不図示)を経てポンプPPによりサブタンクSTに戻される。
【0098】
ここで、本実施形態のヘッドシステムHS1において、マニホールドM1、M3内におけるインクの流れる向きと、マニホールドM2、M4内におけるインクの流れる向きとを
互いに反対としている理由は以下の通りである。
【0099】
一般に、ヘッドのノズルから吐出されるインクには、インクタンクからノズルへと流れる流路内において温度低下が生じる。これは、外気温がインクの適温(一例として約40℃)よりも低いためである。
【0100】
本発明の発明者は、このようなインクの温度低下に応じて、形成される画像の品質に低下が生じ得ることを見出した。具体的には次の理由による。
【0101】
インクが液体であり温度に応じて粘度が変化するところ、温度が低下して粘度が高くなったインクが供給された個別流路では、圧力室での圧力付与に応じてノズルから吐出されるインクの量が減少し得る。インクの温度はインクタンクから圧力室へと向かう流路内で徐々に低下するため、より下流側に位置する圧力室にはより温度の低い(粘度の高い)インクが供給される。このように所定の圧力室に粘度の高いインクが供給されることにより、当該圧力室からの吐出量が少なくなり、媒体PMに形成される画像に濃度ムラ等の品質低下が生じ得る。
【0102】
具体例として、図7に示すマニホールドM1~M4の全てに同一方向にインクを流した場合を考える。仮に、マニホールドM1~M4の全てに媒体幅方向の左側から右側に向けてインクを流した場合、上流側である左端近傍の個別流路ICHには比較的高温のインクが供給され、下流側である右端近傍の個別流路ICHには比較的低温のインクが供給される。したがって、右端近傍の個別流路ICHのノズル3から吐出されるインクの量が、左端近傍の個別流路ICHのノズル3から吐出されるインクの量に比較して少なくなり、形成される画像に濃度ムラが生じる。
【0103】
これに対して第1実施形態のヘッドシステムHS1は、ヘッド60に対するインクの供給、排出を、マニホールドM1、M3内におけるインク流れの向きと、マニホールドM2、M4内におけるインク流れの向きとが互いに反対となるように行う。これにより、各マニホールドに対応するノズル列Lにより形成される画像の濃度ムラが相殺される。
【0104】
マニホールドM1とマニホールドM2とについて具体的に考えると、マニホールドM1においては、媒体幅方向の左側(上流側)においてマニホールドM1に接続された個別流路ICHに比較的高温のインクが供給され、媒体幅方向の右側(下流側)においてマニホールドM1に接続された個別流路ICHに比較的低温のインクが供給される。したがって、マニホールドM1に接続された圧力室列LICHのノズル列Lからのインク吐出により形成される画像は、媒体幅方向の左側において濃度が高く右側に向かうにしたがって濃度が低下する傾向にある。
【0105】
一方で、マニホールドM2においては、媒体幅方向の右側(上流側)においてマニホールドM2に接続された個別流路ICHに比較的高温のインクが供給され、媒体幅方向の左側(下流側)においてマニホールドM2に接続された個別流路ICHには比較的低温のインクが供給される。したがって、マニホールドM3に接続された圧力室列LICHのノズル列Lからのインク吐出により形成される画像は、媒体幅方向の右側において濃度が高く左側に向かうにしたがって濃度が低下する傾向にある。
【0106】
ここで、マニホールドM1に接続されたノズル列LとマニホールドM2に接続されたノズル列Lとは近接しているため、媒体PMに形成される画像においては、マニホールドM1に接続されたノズル列Lが形成する画像の濃度ムラと、マニホールドM2に接続されたノズル列Lが形成する画像の濃度ムラとがある程度相殺される。即ち、マニホールドM1に接続されたノズル列Lが形成する、媒体幅方向の左端において最も濃く媒体幅方向の右側に向かうにしたがって薄くなる傾向のある画像と、マニホールドM2に接続されたノズル列Lが形成する、媒体幅方向の右端において最も濃く媒体幅方向の左側に向かうにしたがって薄くなる傾向のある画像とが近接して形成されることにより、両画像の濃度ムラが平均化され、全体として濃度ムラが解消又は抑制される。
【0107】
このように、第1実施形態のヘッドシステムHS1においては、あるノズルが形成する画像の濃度と、当該ノズルに隣接するノズルが形成する画像の濃度とを組み合わせることにより、画像品質の低下を抑制する。ここで、あるノズルは、対応する単一のマニホールドにのみ接続されており、他のマニホールドには接続されていない。また、あるノズルに隣接するノズルも、対応する単一のマニホールドにのみ接続されており、他のマニホールドには接続されていない。あるノズルが接続されるマニホールドと、当該ノズルに隣接するノズルが接続されるマニホールドとは、互いに隣接する異なるマニホールドである。即ち、第1実施形態のヘッドシステムHS1における濃度ムラの平均化は、マニホールドを共有しないノズル間においてなされる。また、第1実施形態のヘッドシステムHS1における濃度ムラの平均化は、ヘッド60内で異なる温度のインクを合流させるのではなく、隣接するノズルから吐出されたインクをヘッド60の外部、具体的には媒体PMの上において近接又は重複させることによりなされる。これにより、流路構造の複雑化や、これに応じたヘッドの大型化を生じることなく、画像の品質低下を抑制できる。
【0108】
同様の濃度ムラの相殺(平均化)が、マニホールドM2とマニホールドM3との間、マニホールドM3とマニホールドM4との間においてもなされる。
【0109】
第1実施形態のヘッドシステムHS1の効果を以下にまとめる。
【0110】
第1実施形態のヘッドシステムHS1の供給流路S、排出流路Dは、ヘッド60の、媒体送り方向に互いに隣接して並ぶマニホールドに対して、インクの流れる向きが互いに反対となるようにインクの供給、排出を行う構成を有する。したがって、各マニホールドに対応するノズル列Lが形成する画像に生じ得る濃度ムラを、媒体送り方向に隣接するマニホールド間(媒体送り方向に隣接するノズル列間)で相殺することができ、形成される画像の品質低下を抑制することができる。
【0111】
第1実施形態のヘッドシステムHS1においては、ヘッド60のマニホールドM1~M4がいずれも、媒体幅方向に延びる直線状である。したがって例えば、インク供給口(上流端)から媒体幅方向の一方側に延びた後に折り返してインク排出側(下流端)へと延びる平面視U字形のマニホールドに比較すると、流路長が短い。したがって、マニホールドの上流端近傍に接続された圧力室に供給されるインクの温度と、マニホールドの下流端近傍に接続された圧力室に供給されるインクの温度との差が小さく、インクの温度変化に応じた画像品質の低下が抑制される。
【0112】
第1実施形態のヘッドシステムHS1においては、供給流路Sの第1、第2、第3、第4分岐供給支流路S11、S22、S13、S24、及び排出流路Dの第1、第2、第3、第4分岐排出支流路D21、D12、D23、D14を、第1、第2流路ブロック41、42により形成している。このように、供給流路S、排出流路Dのうち、2段目の分岐がなされ流路の数が最も多い領域をブロック状の部材の内部に形成することにより、ヘッド60上の限られたスペースに効率よく流路を配置し、ヘッドシステムHS1を小型化することができる。
【0113】
第1実施形態のインク供給システムISS、印刷装置1000、及びインク流通方法も、ヘッドシステムHS1と同様の効果を奏する。
【0114】
[変形例1-1]
次に、変形例1-1のヘッドシステムHS1’について、図10(a)、図10(b)、図11を参照して説明する。
【0115】
変形例1-1のヘッドシステムHS1’は、第1実施形態のヘッドシステムHS1が備える第1、第2流路ブロック41、42に代えて、第1、第2流路ブロック41’、42’(図10(a)、図10(b))を備える。その他の点は第1実施形態のヘッドシステムHS1と同一であるため、説明を省略する。
【0116】
第1、第2流路ブロック41’、42’は、第1、第2流路ブロック41、42とは異なり、凹溝G1の第2部分G12が流路ch6に接続されており、凹溝G2の第2部分G22が流路ch5に接続されている。
【0117】
具体的には、流路ch1の下端部は凹溝G1の頂部G1tpに形成された開口A1を介して凹溝G1に連通しており、流路ch1の上端部は本体部MBの上面MBuの接続管CT1に連通している。流路ch3の上端部は凹溝G1の下端部G1bt1に形成された開口A3を介して凹溝G1に連通しており、流路ch3の下端部は本体部MBの下面MBdの接続管CT3に連通している。流路ch6の上端部は凹溝G1の下端部G1bt2に形成された開口A6を介して凹溝G1に連通しており、流路ch6の下端部は本体部MBの下面MBdの接続管CT6に連通している。
【0118】
流路ch2の下端部は凹溝G2の頂部G2tpに形成された開口A2を介して凹溝G2に連通しており、流路ch2の上端部は本体部MBの上面MBuの接続管CT2に連通している。流路ch4の上端部は凹溝G2の下端部G2bt1に形成された開口A4を介して凹溝G2に連通しており、流路ch4の下端部は本体部MBの下面MBdの接続管CT4に連通している。流路ch5の上端部は凹溝G2の下端部G2bt2に形成された開口A5を介して凹溝G2に連通しており、流路ch5の下端部は本体部MBの下面MBdの接続管CT5に連通している。
【0119】
第1、第2流路ブロック41’、42’においては、凹溝G1の第1部分G11の流路長が第2部分G12の流路長よりも短い。したがって、第1部分G11の流路抵抗と第2部分G12の流路抵抗とが等しくなるように、第2部分G12の断面積が第1部分G11の断面積よりも大きい。同様に、凹溝G2の第1部分G21の流路抵抗と第2部分G22の流路抵抗とが等しくなるように、第2部分G22の断面積が第1部分G21の断面積よりも小さい。
【0120】
第1、第2流路ブロック41’、42’は、その他、本体部MBの一面に流路ch1、ch2の一方と流路ch3及び流路ch6とをつなぐ流路が形成され、且つ本体部MBの他面に流路ch1、ch2の他方と流路ch4及び流路ch5とをつなぐ流路が形成された任意の構成とすることができる。
【0121】
変形例1-1のヘッドシステムHS1’を含む変形例1-1のインク供給システムISS1’は、第1、第2流路ブロック41、42に代えて第1、第2流路ブロック41’、42’を備えることにより、供給流路S、排出流路Dに代えて、供給流路S’、D’(図11)を構成する。供給流路S’、排出流路D’は、マニホールドM1、M4に対しては媒体幅方向の左側から右側に向けてインクを流し、マニホールドM2、M3に対しては媒体幅方向の右側から左側に向けてインクを流すように構成されている。
【0122】
具体的には、図11に示すように、サブタンクSTから、第1流路ブロック41’に向かって流れたインクは、凹溝G1の頂部G1tpにおいて、2つに分かれ、一方は、凹溝G1の第1部分G11、流路ch3、接続管CT3を経てマニホールドM1に流入し、他方は、凹溝G1の第2部分G12、流路ch6、接続管CT6を経て、マニホールドM4に流入する。サブタンクSTから第2流路ブロック42’に向かって流れたインクは、凹溝G2の頂部G2tpにおいて、2つに分かれ、一方は、凹溝G2の第1部分G21、流路ch4、接続管CT4を経てマニホールドM2に流入し、他方は、凹溝G2の第2部分G22、流路ch5、接続管CT5を経てマニホールドM3に流入する。
【0123】
マニホールドM1を経て、第2流路ブロック42’の接続管CT3から第2流路ブロック42’内に流入したインクと、マニホールドM4を経て、第2流路ブロック42’の接続管CT6から第2流路ブロック42’内に流入したインクは、第2流路ブロック42’の凹溝G1の頂部G1tpにおいて合流されて、第2流路ブロック42’の接続管CT1を経てドレインタンクDTに送られる。 マニホールドM2を経て、第1流路ブロック41’の接続管CT4から第1流路ブロック41’内に流入したインクと、マニホールドM3を経て、第1流路ブロック41’の接続管CT5から第1流路ブロック41’内に流入したインクは、第1流路ブロック41’の凹溝G2の頂部G2tpにおいて合流されて、第1流路ブロック41’の接続管CT2を経てドレインタンクDTに送られる。
【0124】
ここで、インク供給管20の上流端20aと分岐20xとの間に形成される流路が共通供給流路S’であり、インク供給管20の分岐20xから第1流路ブロック41’を介してヘッド60に至る流路が第1供給支流路S’、第2流路ブロック42’を介してヘッド60に至る流路が、第2供給支流路S’である。
【0125】
第1供給支流路S’のうち、インク供給管の分岐20xと第1流路ブロック41の凹溝G1の頂部G1tpとの間に形成される流路が第1共通供給支流路S10’であり、頂部G1tpとマニホールドM1、M4との間の流路が第1、第3分岐供給支流路S11’、S13’である。第2供給支流路S’のうち、インク供給管の分岐20xと第2流路ブロック42’の凹溝G2の頂部G2tpとの間に形成される流路が第2共通供給支流路S20’であり、頂部G2tpとマニホールドM2、M3との間の流路が第2、第4分岐供給支流路S22’、S24’である。
【0126】
また、インク排出管30の下流端30bと分岐30xとの間に形成される流路が共通排出流路D’であり、インク排出管30の分岐30xから第1流路ブロック41’を介してヘッド60に至る流路が第1排出支流路D’、第2流路ブロック42’を介してヘッド60に至る流路が第2排出支流路D’である。
【0127】
第1排出支流路D’のうち、インク排出管の分岐30xと第1流路ブロック41’の凹溝G2の頂部G2tpとの間に形成される流路が第1共通排出支流路D10’であり、頂部G2tpとマニホールドM2、M3との間の流路が第2、第4分岐排出支流路D12’、D14’である。第2排出支流路D’のうち、インク排出管30の分岐30xと第2流路ブロック42’の凹溝G1の頂部G1tpとの間に形成される流路が第2共通排出支流路D20’であり、頂部G1tpとマニホールドM1、M4との間の流路が第1、第3分岐排出支流路D21’、D23’である。
【0128】
変形例1-1のヘッドシステムHS1’においても、第1実施形態のヘッドシステムHS1と同様の機序により、マニホールドM1とマニホールドM2の間、及びマニホールドM3とマニホールドM4の間で濃度ムラの相殺(平均化)がなされ、形成される画像の品質低下が抑制される。
【0129】
第1実施形態のヘッドシステムHS1、変形例のヘッドシステムHS1’において、次の変形態様を用いることもできる。下記の各変形態様は第1実施形態のヘッドシステムHS1について記載されているが、同様の変形を変形例1-1のヘッドシステムHS1’において用い得る。
【0130】
第1実施形態のヘッドシステムHS1の供給流路Sにおいては、共通供給流路Sを分岐20xで第1、第2共通供給支流路S10、S20に分岐し、これを更に、第1、第2流路ブロック41、42において第1、第2、第3、第4分岐供給支流路S11、S22、S13、S24に分岐しているが、これには限られない。供給流路Sは、マニホールドM1、M3に対しては媒体幅方向に一方側からインクを供給し、マニホールドM2、M4に対しては媒体幅方向の他方側からインクを供給する、任意の構成とし得る。
【0131】
具体的には例えば、共通供給流路Sを4分岐させた構成、即ち、共通供給流路Sの下流端に第1、第2、第3、第4分岐供給支流路S11、S22、S13、S24の上流端が接続された構成を採用し得る。このような流路は例えば、インク供給管20、第1、第2流路ブロック41、42に代えて、経路上で四分岐する管状部材を用いて形成し得る。
【0132】
第1実施形態のヘッドシステムHS1の排出流路Dについても、同様である。
【0133】
第1実施形態のヘッドシステムHS1において、第1、第2流路部材41、42に代えて、経路上で二分岐する管状部材を用いてもよい。また、供給流路S、及び/又は排出流路Dの全域を樹脂チューブなどの管状部材で形成してもよい。
【0134】
第1実施形態のヘッドシステムHS1においては、共通供給流路S、及び第1、第2共通供給支流路S10、S20の大部分をインク供給管20により形成しているが、これには限られない。共通供給流路S、及び第1、第2共通供給支流路S10、S20を例えば第1、第2流路ブロック41、42の内部に形成してもよい。また、供給流路S、及び/又は排出流路Dの全域をブロック状の部材の内部に形成してもよい。
【0135】
第1実施形態のヘッドシステムHS1において、第1、第2流路部材41、42を一体の部材としてもよい。
【0136】
第1実施形態のヘッドシステムHS1は、4つのマニホールドにインクを流通させるように構成されているが、これには限られない。ヘッドシステムHS1は、2つのマニホールドにインクを流通させるように構成されていてもよく、6本、8本等、任意の偶数個のマニホールドにインクを流通させるように構成されていてもよい。媒体幅方向の一方側から他方側に向けてインクが流されるマニホールドの数と媒体幅方向の他方側から一方側に向けてインクが流されるマニホールドの数とが同一であれば、マニホールドを流れるインクの温度ムラの解消、ひいては画像形成における濃度ムラの解消がより良好になされる。
【0137】
媒体送り方向に隣接する2つのマニホールドに、インクの流れる方向が互いに反対となるようにインクを流通させる変形態様は、例えば、第1流路部材41、第2流路部材42において、凹溝G1の第2部分G12、凹溝G2の第2部分G22、接続管CT5、CT6を省略することにより得られる。
【0138】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態のヘッドシステムHS2について、図12図14を参照して説明する。
【0139】
第2実施形態のヘッドシステムHS2は、1つのヘッドユニット100に対して異なる2種類のインク(一例としてブラックインクとイエローインク)を流通できるように構成されている。第2実施形態のヘッドシステムHS2は、具体的には、第1実施形態のインク供給管20、インク排出管30、第1ブロック流路41、第2ブロック流路42に代えて、流路部材70(図12図13)を用いる。
【0140】
また、第2実施形態のヘッドシステムHS2と共に用いる印刷装置1000は、サブタンク(フィルタンク)STに代えて第1、第2サブタンク(フィルタンク)ST1、ST2を備え、ドレインタンクDTに代えて第1、第2ドレインタンクDT1、DT2を備える(図14)。第1サブタンクST1と第1ドレインタンクDT1の間にはポンプPP1が、第2サブタンクST2と第1ドレインタンクDT2の間にはポンプPP2が、それぞれ設けられている。ヘッドシステムHS2と、これに接続された第1、第2サブタンクST1、ST2、第1、第2ドレインタンクDT1、DT2、第1、第2ポンプPP1、PP2により、第2実施形態のインク供給システムISS2が構成される。
【0141】
その他の構成については、第1実施形態のヘッドシステムHS1と同一であるため、説明を省略する。
【0142】
図12図13に示す通り、流路部材70は、第1流路ブロック(第1流路形成部材)71、第2流路ブロック(第2流路形成部材)72、及びこれらの間に介在するゴムシート(弾性シート)73を有する。
【0143】
第1流路ブロック71は、一例としてPOM等の樹脂で形成されており、矩形板状の主部MPと、主部MPの媒体幅方向左側且つ下側の角部から給送側及び下側に突出する第1台部BP1と、主部MPの媒体幅方向右側且つ下側の角部から給送側及び下側に突出する第2台部BP2とを有する。
【0144】
主部MPの上面MPuには、インク流通口CP1、CP2が、媒体幅方向に並んで形成されている。インク流通口CP1は主部MPの媒体幅方向の中央部の左側に位置しており、インク流通口CP2は主部MPの媒体幅方向の中央部の右側に位置している。
【0145】
台部BP1の下面にはそれぞれ、インク流通口CP3、CP4が、媒体送り方向に並んで形成されている。インク流通口CP3が給送側、インク流通口CP4が排送側に位置している。台部BP2の下面にはそれぞれ、インク流通口CP5、CP6が、媒体送り方向に並んで形成されている。インク流通口CP6が給送側、インク流通口CP5が排送側に位置している。
【0146】
主部MPの内面MPi(媒体送り方向の排送側を向く面)には、第1凹溝GG1と、第2凹溝GG2とが形成されている。
【0147】
第1凹溝GG1は、ほぼ逆V字型であり、頂部GG1tpから下側及び媒体幅方向の左側へと延びて下端部GG1bt1へと至る第1部分GG11と、頂部GG1tpから下側及び媒体幅方向の右側へと延びて下端部GG1bt2へと至る第2部分GG12とを含む。
【0148】
頂部GG1tpは、内面MPiの媒体幅方向の中央部よりも左側に位置している。下端部GG1bt1は、内面MPiの左端近傍に位置しており、下端部GG1bt2は、内面
MPiの右端近傍に位置している。媒体送り方向に見ると、下端部GG1bt1は第1台部BP1が設けられた領域内に位置し、下端部GG1bt2は第2台部BP2が設けられた領域内に位置する。頂部GG1tpが、内面MPiの媒体幅方向の中央部よりも左側に位置しているため、第1部分GG11の流路長さが第2部分GG12の流路長よりも短い。
【0149】
第1部分GG11、第2部分GG12の延在方向は、上下方向(鉛直方向)に対して、所定の角度だけ傾いている。第1部分GG11は、頂部GG1tpから下端部GG1bt
へと至る経路上において2回屈曲しており、屈曲の度に、上下方向に対する傾きの角度が変化している。第2部分GG12も同様に、頂部GG1tpから下端部GG1bt2へと至る経路上において2回屈曲しており、屈曲の度に、上下方向に対する傾きの角度が変化している。このように、流路を鉛直方向とは異なる方向に延ばす場合には、流路の延在方向を水平方向に対して傾けることで、流路底面への顔料の沈殿を抑制することができ、ひいては流路底面に沈殿した顔料が一度にまとめて流れることにより生じ得る流路の閉塞を防止することができる。また、インク内に混入した気泡の流路上面での滞留を抑制し、より確実に上方に流すことができる。第1部分GG11、第2部分GG12の、頂部GG1tpから下方に延びる鉛直軸に対する傾斜角度は90°以下の任意の角度に設定し得る。また、経路上における屈曲の回数を変えることで流路長を調整することができる。屈曲の回数を増やすことで流路長を長くすることができ、屈曲の回数を減らすことで流路長を短くすることができる。
【0150】
第2凹溝GG2は、第1凹溝GG1の上方に形成されている。第2凹溝GG2はほぼ逆V字型であり、頂部GG2tpから下側及び媒体幅方向の左側へと延びて下端部GG2bt1へと至る第1部分GG21と、頂部GG2tpから下側及び媒体幅方向の右側へと延びて下端部GG2bt2へと至る第2部分GG22とを含む。
【0151】
頂部GG2tpは、内面MPiの媒体幅方向の中央部よりも右側に位置している。下端部GG2bt1は、内面MPiの左端近傍に位置しており、下端部GG2bt2は、内面
MPiの右端近傍に位置している。媒体送り方向に見ると、下端部GG2bt1は第1台部BP1が設けられた領域内に位置し、下端部GG2bt2は第2台部BP2が設けられた領域内に位置する。頂部GG2tpが、内面MPiの媒体幅方向の中央部よりも右側に位置しているため、第2部分GG22の流路長さが第1部分GG21の流路長よりも短い。
【0152】
主部MPの内部には、媒体幅方向において頂部GG1tp、GG2tpと重複する位置にそれぞれ、上下方向に延びる流路cch1、cch2が形成されている。流路cch1の下端部は第1凹溝GG1の頂部GG1tpに形成された開口AA1を介して第1凹溝GG1に連通しており、流路cch1の上端部は主部MPの上面MPuのインク流通口CP1に連通している。流路cch2の下端部は第2凹溝GG2の頂部GG2tpに形成された開口AA2を介して第2凹溝GG2に連通しており、流路cch2の上端部は主部MPの上面MPuのインク流通口CP2に連通している。
【0153】
主部MP及び台部BP1の内部には、第1凹溝GG1の下端部GG1bt1と、台部BP1の下面のインク流通孔CP3とを繋ぐ流路cch3と、第2凹溝GG2の下端部GG2bt1と、台部BP1の下面のインク流通孔CP4とを繋ぐ流路cch4とが形成されている。
【0154】
流路cch3の上端部は、第1凹溝GG1の下端部GG1bt1に形成された開口AA3を介して第1凹溝GG1に連通している。流路cch3は、上端部から媒体送り方向の給送側に延びた後、下方に向けて屈曲してインク流通孔CP3へと延びている。流路cch4の上端部は、第2凹溝GG2の下端部GG2bt1に形成された開口AA4を介して第2凹溝GG2に連通している。流路cch4は、上端部から媒体送り方向の給送側に延びた後、下方に向けて屈曲して、流路cch3の横を通りインク流通孔CP4へと延びている。図13に示す通り、媒体送り方向の給送側に向けて水平に延びる領域の流路長は、流路cch3において、流路cch4におけるよりも長い。
【0155】
主部MP及び台部BP2の内部には、第1凹溝GG1の下端部GG1bt2と、台部BP2の下面のインク流通孔CP5とを繋ぐ流路cch5と、第2凹溝GG2の下端部GG2bt2と、台部BP2の下面のインク流通孔CP6とを繋ぐ流路cch6とが形成されている。
【0156】
流路cch5の上端部は、第1凹溝GG1の下端部GG1bt2に形成された開口AA5を介して第1凹溝GG1に連通している。流路cch5は、上端部から媒体送り方向の給送側に延びた後、下方に向けて屈曲してインク流通孔CP5へと延びている。流路cch6の上端部は、第2凹溝GG2の下端部GG2bt2に形成された開口AA6を介して第2凹溝GG2に連通している。流路cch6は、上端部から媒体送り方向の給送側に延びた後、下方に向けて屈曲してインク流通孔CP6へと延びている。図13に示す通り、媒体送り方向の給送側に向けて水平に延びる領域の流路長は、流路cch6において、流路cch5におけるよりも長い。また、媒体送り方向の給送側に向けて水平に延びる領域の流路長は、流路cch3と流路cch6とにおいて互いに等しく、流路cch4と流路cch5とにおいて互いに等しい。
【0157】
第2実施形態の第1流路ブロック71においては、インク流通口CP1とインク流通口CP3との間の流路の流路長とインク流通口CP1とインク流通口CP5との間の流路の流路長とが互いに等しくなるように、第1凹溝GG1の流路長、及び流路cch3、cch5の流路長が設定されている。即ち、インク流通口CP3の位置とインク流通口CP5の位置とが媒体送り方向にずれていることに起因する流路cch3と流路cch5との流路長の差を、第1凹溝GG1の頂部GG1tpを媒体幅方向の左側に位置させて、第1部分GG11の流路長を第2部分GG12の流路長より短くすることにより相殺している。
【0158】
第2実施形態の第1流路ブロック71においては、同様に、インク流通口CP2とインク流通口CP4との間の流路の流路長と、インク流通口CP2とインク流通口CP6との間の流路の流路長とが互いに等しくなるように、第2凹溝GG2の第1部分GG21、第2部分GG22の流路長、及び流路cch4、cch6の流路長が設定されている。
【0159】
第2流路ブロック72は、上下方向及び媒体幅方向に広がる面に関して、第1流路ブロック71と鏡面対称の構造を有する。以下の説明においては、第1流路ブロック71の各部分と鏡面対称の位置にある第2流路ブロック72の各部分については、第1流路ブロック71の各部分と同一の符号により言及する。
【0160】
ゴムシート73は、一例としてEPDMやシリコーン(silicone)のシートである。ゴムシート73は、媒体送り方向に見て、第1、第2流路ブロック71、72と略同一の形状を有する。ゴムシート73の厚さは一例として0.1~0.5mm程度とし得る。
【0161】
第1流路ブロック71と第2流路ブロック72とは、各々の主部MPの内面MPiを対
向させた状態で、ゴムシート73を挟んで一体に接合されている。
【0162】
第1、第2流路ブロック71、72の第1凹溝GG1、第2凹溝GG2をゴムシート73で覆うことにより、第1、第2流路ブロック71、72の内部にそれぞれ、流路cch1、cch3、cch5、及び第1凹溝GG1により構成される分岐流路と、流路cch2、cch4、cch6、及び第2凹溝GG2により構成される分岐流路とが形成される。第1、第2凹溝GG1、GG2をゴムシート73で覆って流路を形成しているため、当該流路内においては、流路の断面形状が可変であり、流量変化に起因する液圧の変動が抑制される。
【0163】
第1流路ブロック71と第2流路ブロック72とを接合した状態においては、第1流路ブロック71のインク流通口CP3、CP4と、第2流路ブロック72のインク流通口C
P3、CP4とが、媒体幅方向の左端において媒体送り方向に並ぶ。同様に、第1流路ブロック71のインク流通口CP5、CP6と、第2流路ブロック72のインク流通口CP5、CP6とが、媒体幅方向の右端において媒体送り方向に並ぶ。
【0164】
図12に示す通り、流路部材70は、フレーム部材50の上面に接続される。この状態において、流路部材70の8つのインク流通口CP3~CP6が、フレーム部材50の8つの流路用貫通孔thにそれぞれ連通する。
【0165】
<ヘッドシステムHS2の流路構成>
上記の構成を有するヘッドシステムHS2により形成される流路について、図14を参照して整理する。ここでは、第1サブタンクST1にはブラックインクが収容され、第2サブタンクST2にはイエローインクが収容されているものとする。
【0166】
第1サブタンクST1のブラックインクをヘッド60に送るための第1供給流路S1、及びヘッド60のブラックインクをドレインタンクDT1に送るための第1排出流路D1は、流路部材70の第1流路ブロック71と、フレーム部材50の流路用貫通孔thとにより形成される。
【0167】
第1サブタンクST1から、インク流路部材IC2を介して第1流路ブロック71のインク流通口(第1供給口)CP1に供給されたインクは、流路cch1を経て第1凹溝GG1に至り、第1凹溝GG1の頂部GG1tpにおいて、2つに分かれる。
【0168】
2つに分かれたインクの一方は、第1凹溝GG1の第1部分GG11、流路cch3、インク流通口CP3、フレーム部材50の流路用貫通孔th、ヘッド60の、媒体幅方向左側且つ媒体送り方向の最も給送側のインク流通口CP61を経て、マニホールドM4に流入する。2つに分かれたインクの他方は、第1凹溝GG1の第2部分GG12、流路cch5、インク流通口CP5、フレーム部材50の流路用貫通孔th、ヘッド60の、媒体幅方向右側側且つ媒体送り方向の給送側端部から2番目のインク流通口CP61を経て、マニホールドM3に流入する。
【0169】
マニホールドM4を経て、媒体幅方向右側且つ媒体送り方向の最も給送側に位置するインク流通口CP61に至ったインクは、第1流路ブロック71のインク流通口CP6、流路cch6、第2凹溝GG2の第2部分GG22を経て、第2凹溝GG2の頂部GG2tpに至る。マニホールドM3を経て、媒体幅方向左側且つ媒体送り方向の給送側端部から2番目に位置するインク流通口CP61に至ったインクは、第1流路ブロック71のインク流通口CP4、流路cch4、第2凹溝GG2の第1部分GG21を経て、第2凹溝GG2の頂部GG2tpに至る。これらのインクは、頂部GG2tpにおいて合流し、流路cch2、インク流通口(第1排出口)CP2、インク流路部材IC3を経てドレインタンクDT1へと流れる。第1ドレインタンクDT1のインクは、第1ポンプPP1により第1サブタンクST1に送られる。
【0170】
第2サブタンクST2のイエローインクをヘッド60に送るための第2供給流路S2、及びヘッド60のイエローインクを第2ドレインタンクDT2に送るための第2排出流路D2は、流路部材70の第2流路ブロック72と、フレーム部材50の流路用貫通孔thとにより形成される。
【0171】
第2サブタンクST2から、インク流路部材IC2を介して第2流路ブロック72のインク流通口CP2(第2供給口)に供給されたインクは、流路cch2を経て第2凹溝GG2に至り、第2凹溝GG2の頂部GG2tpにおいて、2つに分かれる。
【0172】
2つに分かれたインクの一方は、第2凹溝GG2の第1部分GG21、流路cch4、インク流通口CP4、フレーム部材50の流路用貫通孔th、ヘッド60の、媒体幅方向左側且つ媒体送り方向の給送側端部から3番目のインク流通口CP61を経て、マニホールドM2に流入する。2つに分かれたインクの他方は、第2凹溝GG2の第2部分GG22、流路cch6、インク流通口CP6、フレーム部材50の流路用貫通孔th、ヘッド60の、媒体幅方向右側側且つ媒体送り方向の給送側端部から4番目のインク流通口CP61を経て、マニホールドM1に流入する。
【0173】
マニホールドM2を経て、媒体幅方向右側且つ媒体送り方向の給送側端部から3番目のインク流通口CP61に至ったインクは、第2流路ブロック72のインク流通口CP5、流路cch5、第1凹溝GG1の第2部分GG12を経て、第1凹溝GG1の頂部GG1tpに至る。マニホールドM1を経て、媒体幅方向左側且つ媒体送り方向の給送側端部から4番目のインク流通口CP61に至ったインクは、第2流路ブロック72のインク流通口CP3、流路cch3、第1凹溝GG1の第1部分GG11を経て、第1凹溝GG1の頂部GG1tpに至る。これらのインクは、頂部GG1tpにおいて合流し、流路cch1、インク流通口CP1(第2排出口)、インク流路部材IC3を経てドレインタンクDT2へと流れる。第2ドレインタンクDT2のインクは、第2ポンプPP2により第2サブタンクST2に送られる。
【0174】
ここで、第1供給流路S1のうち、第1流路ブロック71のインク流通口CP1(第1供給口)と第1凹溝GG1の頂部GG1tpとの間に形成される流路が共通供給流路(第1共通供給流路)S1であり、頂部GG1tpからマニホールドM4、M3に至る流路がそれぞれ供給支流路(第1供給支流路)S1である。
【0175】
第1流路ブロック71、フレーム部材50は、二つの供給支流路S1の流路抵抗が同一となるように構成されていてもよい。具体的には例えば、第1流路ブロック71を、二つの供給支流路S1の流路長が互いに同一となり、且つ二つの供給支流路S1の断面積(流路の延びる方向に直交する面による断面積)が互いに同一となるように構成してもよい。これにより第1凹溝GG1の頂部GG1tpから二つの供給支流路S1の各々に送られるインクの量が等しくなり(等量分岐が可能となり)、安定した流速でのインクの流通が可能となる。また、マニホールドM3を流れるインクの流速と、マニホールドM4を流れるインクの流速とが同一となり、マニホールドM3、M4を流れるインクの温度ムラの解消、ひいては画像形成における濃度ムラの解消がより良好になされる。
【0176】
第1流路ブロック71は、第1凹溝GG1の、媒体幅方向と媒体送り方向とを含む面(水平面)に交差する方向であって鉛直方向とは異なる方向に延びる領域(傾斜部)の流路長が第1供給流路S1の流路長の半分以上となるように構成されていてもよい。
【0177】
第1排出流路D1のうち、第1流路ブロック71のインク流通口CP2(第1排出口)と第2凹溝GG2の頂部GG2tpとの間に形成される流路が共通排出流路(第1共通排出流路)D1であり、頂部GG2tpからマニホールドM4、M3に至る流路がそれぞれ排出支流路(第1排出支流路)D1である。
【0178】
第1流路ブロック71、フレーム部材50は、二つの排出支流路D1の流路抵抗が同一となるように構成されていてもよい。具体的には例えば、第1流路ブロック71を、二つの排出支流路D1の流路長が互いに同一となり、且つ二つの排出支流路D1の断面積(流路の延びる方向に直交する面による断面積)が互いに同一となるように構成してもよい。これにより第2凹溝GG2の頂部GG2tpに向けて二つの排出支流路D1の各々から送られるインクの量が等しくなり(等量分岐が可能となり)、安定した流速でのインクの流通が可能となる。また、マニホールドM3を流れるインクの流速と、マニホールドM4を流れるインクの流速とが同一となり、マニホールドM3、M4を流れるインクの温度ムラの解消、ひいては画像形成における濃度ムラの解消がより良好になされる。
【0179】
第1流路ブロック71は、第2凹溝GG2の、媒体幅方向と媒体送り方向とを含む面(水平面)に交差する方向であって鉛直方向とは異なる方向に延びる領域(傾斜部)の流路長が第1排出流路D1の流路長の半分以上となるように構成されていてもよい。
【0180】
第2供給流路S2のうち、第2流路ブロック72のインク流通口CP2(第2供給口)と第2凹溝GG2の頂部GG2tpとの間に形成される流路が共通供給流路(第2共通供給流路)S2であり、頂部GG2tpからマニホールドM2、M1に至る流路がそれぞれ供給支流路(第2供給支流路)S2である。
【0181】
第2排出流路D2のうち、第2流路ブロック72のインク流通口CP1(第2排出口)と第1凹溝GG1の頂部GG1tpとの間に形成される流路が共通排出流路(第2共通排出流路)D2であり、頂部GG1tpからマニホールドM2、M1に至る流路がそれぞれ排出支流路(第2排出支流路)D2である。
【0182】
第1流路ブロック71、第2流路ブロック72は、第1供給流路S1の流路抵抗と第2供給流路S2の流路抵抗とが同一となるように構成されていてもよく、第1排出流路D1の流路抵抗と第2排出流路D2の流路抵抗とが同一となるように構成されていてもよい。これにより、互いに独立した2系統のインク流路をほぼ同質の流路とみなすことが可能となるため、両流路間での流量の差が生じにくくなり、画像の品質劣化をより好適に抑制できる。
【0183】
本実施形態においては、例えば、二つの供給支流路S1の一方の流路抵抗の、二つの供給支流路S1の他方の流路抵抗に対する誤差が、二つの供給支流路S1の他方の流路抵抗の10%以内であれば、等量分岐を実現して画像形成における濃度ムラを良好に抑制できる。同様に、二つの排出支流路D1の一方の流路抵抗の、二つの排出支流路D1の他方の流路抵抗に対する誤差が、二つの排出支流路D1の他方の流路抵抗の10%以内であれば、等量分岐を実現して画像形成における濃度ムラを良好に抑制できる。また、第1供給流路S1の流路抵抗の第2供給流路S2の流路抵抗に対する誤差が、第2供給流路S2の流路抵抗の10%以内であれば、両流路間での流量の差が生じにくくなり、画像の品質劣化をより好適に抑制できる。
【0184】
本明細書及び本発明に関して上記した通り、本実施形態及びその変形例についても、ある流路の流路抵抗が他の流路の流路抵抗に同一であるとは、ある流路の流路抵抗の他の流路の流路抵抗に対する誤差が、当該他の流路の流路抵抗の10%以内であることを意味する。ある流路の断面積と他の流路の断面積が同一であるとは、ある流路の断面積の他の流路の断面積に対する誤差が、当該他の流路の断面積の10%未満であることを意味する。ある流路の流路長が他の流路の流路長に同一であるとは、ある流路の流路長の他の流路の流路長に対する誤差が、当該他の流路の流路長の10%未満であることを意味する。なお、ある流路の断面積と他の流路の断面積とを比較する場合、断面積が流路の全域において一定ではない場合は、流路全域における断面積の平均値を用い得る。また、ある流路を流れる液体の流速が他の流路を流れる液体の流速に同一であるとは、ある流路を流れる液体の流速の他の流路を流れる液体の流速に対する誤差が、当該他の流路を流れる液体の流速の10%以内であることを意味する。
【0185】
第1、第2供給流路S1、S2、マニホールドM1~M4、及び第1、第2排出流路D1、D2におけるインクの流れる方向は、図14に矢印で示す通りである。図14に示す通り、本実施形態のヘッドシステムHS2においては、マニホールドM1、M3においては、インクは、媒体幅方向の左側に向かって流れ、マニホールドM2、M4においては、インクは、媒体幅方向の右側に向かって流れる。これにより、第1実施形態のヘッドシステムHS1と同様の機序により、画像の品質低下が抑制される。
【0186】
第2実施形態のヘッドシステムHS2の効果を以下にまとめる。
【0187】
第2実施形態のヘッドシステムHS2の供給流路S1、S2、排出流路D1、D2は、
ヘッド60の、媒体送り方向に互いに隣接して並ぶマニホールドに対して、インクの流れる向きが互いに反対となるようにインクの供給、排出を行う構成を有する。したがって、各マニホールドに対応するノズル列Lが形成する画像に生じ得る濃度ムラを、媒体送り方向に隣接するマニホールド間(媒体送り方向に隣接するノズル列間)で相殺することができ、形成される画像の品質低下を抑制することができる。
【0188】
第2実施形態のヘッドシステムHS2においては、ヘッド60のマニホールドM1~M4がいずれも、媒体幅方向に延びる直線状である。したがって例えば、インク供給口(上流端)から媒体幅方向の一方側に延びた後に折り返してインク排出側(下流端)へと延びる平面視U字形のマニホールドに比較すると、流路長が短い。したがって、マニホールドの上流端近傍に接続された圧力室に供給されるインクの温度と、マニホールドの下流端近傍に接続された圧力室に供給されるインクの温度との差が小さく、インクの温度変化に応じた画像品質の低下が抑制される。
【0189】
第2実施形態のヘッドシステムHS2は、インク供給口からヘッドまでの全域において互いに分離された供給流路S1及び供給流路S2と、ヘッドからインク排出口までの全域において互いに分離された排出流路D1及び排出流路D2を備える。そのため、単一のヘッドに対して、異なる2種類のインクを流通させることができる。
【0190】
第2実施形態のヘッドシステムHS2においては、供給流路S1、排出流路D1の大部分を一体の流路ブロック71により形成し、供給流路S2、排出流路D2の大部分を一体の流路ブロック72により形成している。さらに、流路ブロック71と流路ブロック72とを一体に接合して、ヘッド60の上方に配置している。これにより、ヘッド60上の限られたスペースに効率よく流路を配置し、ヘッドシステムHS2を小型化することができる。また、POM等により流路を形成することでインクに対する流路の耐久性を高めることができる。
【0191】
第2実施形態のインク供給システムISS2、印刷装置1000、及びインク流通方法も、ヘッドシステムHS2と同様の効果を奏する。
【0192】
[変形例2-1]
次に、変形例2-1のインク供給システムISS2’について、図15を参照して説明する。
【0193】
変形例2-1のインク供給システムISS2’においても、第2実施形態のインク供給システムISS2と同様に 第2サブタンクST2のイエローインクをヘッド60に送るための第2供給流路S2’、及びヘッド60のイエローインクを第2ドレインタンクDT2に送るための第2排出流路D2’が、流路部材70の第2流路ブロック72と、フレーム部材50の流路用貫通孔thとにより形成される。ただし、第2流路ブロック72におけるインク流れの方向が第2実施形態のインク供給システムISS2とは反対である。
【0194】
図15に示す通り、変形例2-1のインク供給システムISS2’においては、第2サブタンクST2と第2流路ブロック72のインク流通口CP1とがインク流路部材IC2で繋がれており、第2ドレインタンクDT2と第2流路ブロック72のインク流通口CP2とがインク流路部材IC3で繋がれている。
【0195】
第2サブタンクST2から、インク流路部材IC2を介して第2流路ブロック72のインク流通口CP1(第2供給口)に供給されたインクは、流路cch1を経て第1凹溝GG1に至り、第1凹溝GG1の頂部GG1tpにおいて、2つに分かれる。
【0196】
2つに分かれたインクの一方は、第1凹溝GG1の第1部分GG11、流路cch3、インク流通口CP3を経て、媒体幅方向の左側からマニホールドM1に流入する。2つに分かれたインクの他方は、第1凹溝GG1の第2部分GG12、流路cch5、インク流通口CP5を経て、媒体幅方向の右側からマニホールドM2に流入する。
【0197】
マニホールドM1を経て第2流路ブロック72のインク流通口CP6に至ったインクは、第2凹溝GG2の第2部分GG22を経て、第2凹溝GG2の頂部GG2tpに至る。マニホールドM2を経て第2流路ブロック72のインク流通口CP4に至ったインクは、第2凹溝GG2の第1部分GG21を経て、第2凹溝GG2の頂部GG2tpに至る。これらのインクは、頂部GG2tpにおいて合流し、流路cch2、インク流通口CP2(第2排出口)、インク流路部材IC3を経てドレインタンクDT2へと流れる。
【0198】
第2供給流路S2’のうち、第2流路ブロック72のインク流通口CP1(第2供給口)と第1凹溝GG1の頂部GG1tpとの間に形成される流路が共通供給流路(第2共通供給流路)S2’であり、頂部GG1tpからマニホールドM2、M1に至る流路がそれぞれ供給支流路(第2供給支流路)S2’である。
【0199】
第2排出流路D2’のうち、第2流路ブロック72のインク流通口CP2(第2排出口)と第2凹溝GG2の頂部GG2tpとの間に形成される流路が共通排出流路(第2共通排出流路)D2’であり、頂部GG2tpからマニホールドM2、M1に至る流路がそれぞれ排出支流路(第2排出支流路)D2’である。
【0200】
変形例2-1のインク供給システムISS2’においては、図15に示す通り、マニホールドM1、M4においてはインクは媒体幅方向の右側に向かって流れ、マニホールドM2、M3においてはインクは媒体幅方向の左側に向かって流れる。マニホールドM1とマニホールドM2の間、及びマニホールドM3とマニホールドM4の間で濃度ムラの相殺(平均化)がなされ、形成される画像の品質低下が抑制される。
【0201】
なお、第2実施形態のインク供給システムISS2において、第1サブタンクST1と第1流路ブロック71のインク流通口CP2とをインク流路部材IC2で繋ぎ、第1ドレインタンクDT1と第1流路ブロック71のインク流通口CP1とをインク流路部材IC3で繋いでもよい。この場合は、マニホールドM1、M4においてはインクは媒体幅方向の左側に向かって流れ、マニホールドM2、M3においてはインクは媒体幅方向の右側に向かって流れる。
【0202】
[変形例2-2]
次に、変形例2-2のインク供給システムISS2”について、図16図17を参照して説明する。
【0203】
変形例2-2のインク供給システムISS2”においては、第2実施形態のインク供給システムISS2が備える流路ブロック70に変えて、流路ブロック70”を用いる。その他の点は第2実施形態のインク供給システムISS2と同一であるため、説明を省略する。
【0204】
流路ブロック70”は、第1流路ブロック71に変えて第1流路ブロック71”を備える点において、第2実施形態の流路ブロック70とは異なる。
【0205】
第1流路ブロック71”においては、流路cch3~流路cch6の構成が、第1流路ブロック71の流路cch3~流路cch6の構成とは異なる。
【0206】
具体的には、流路cch3の上端部は、第1凹溝GG1の下端部GG1bt1に形成された開口AA3を介して第1凹溝GG1に連通している。流路cch3は、上端部から媒体送り方向の給送側に延びた後、下方に向けて屈曲してインク流通孔CP4へと延びている。流路cch4の上端部は、第2凹溝GG2の下端部GG2bt1に形成された開口AA4を介して第2凹溝GG2に連通している。流路cch4は、上端部から媒体送り方向の給送側に延びた後、下方に向けて屈曲して、インク流通孔CP3へと延びている。図16に示す通り、媒体送り方向の給送側に向けて水平に延びる領域の流路長は、流路cch4において、流路cch3におけるよりも長い。
【0207】
流路cch5の上端部は、第1凹溝GG1の下端部GG1bt2に形成された開口AA5を介して第1凹溝GG1に連通している。流路cch5は、上端部から媒体送り方向の給送側に延びた後、下方に向けて屈曲してインク流通孔CP6へと延びている。流路cch6の上端部は、第2凹溝GG2の下端部GG2bt2に形成された開口AA6を介して第2凹溝GG2に連通している。流路cch6は、上端部から媒体送り方向の給送側に延びた後、下方に向けて屈曲し、流路cch5の横を通ってインク流通孔CP5へと延びている。図16に示す通り、媒体送り方向の給送側に向けて水平に延びる領域の流路長は、流路cch5において、流路cch6におけるよりも長い。また、媒体送り方向の給送側に向けて水平に延びる領域の流路長は、流路cch3と流路cch6とにおいて互いに等しく、流路cch4と流路cch5とにおいて互いに等しい。
【0208】
第1流路ブロック71”においては、開口AA1とインク流通口CP4との間の流路の流路長が、開口AA1とインク流通口CP6との間の流路の流路長よりも短い。したがって、両流路の流路抵抗が互いに等しくなるように、開口AA1とインク流通口CP6との間の流路の断面積が開口AA1とインク流通口CP4との間の流路の断面積よりも大きい。なお、第1凹溝GG11、第2凹溝GG12の屈曲する回数を変えたり、頂部GG1tpの位置を媒体幅方向にシフトさせたりすることにより、開口AA1とインク流通口CP4との間の流路の流路長と、開口AA1とインク流通口CP6との間の流路の流路長とを互いに等しくしてもよい。この場合は、両流路の断面積は互いに等しくてもよい。
【0209】
同様に、第1流路ブロック71”においては、開口AA2とインク流通口CP5との間の流路の流路長が、開口AA2とインク流通口CP3との間の流路の流路長よりも短い。したがって、両流路の流路抵抗が互いに等しくなるように、開口AA2とインク流通口CP3との間の流路の断面積が開口AA2とインク流通口CP5との間の流路の断面積よりも大きい。
【0210】
変形例2-2のインク供給システムISS2”は、流路ブロック70に代えて流路ブロック70”を備えることにより、供給流路S1、排出流路D1に代えて、供給流路S1”、D1”(図17)を構成する。
【0211】
具体的には、図17に示すように、第1サブタンクST1から、インク流路部材IC2を介して第1流路ブロック71”のインク流通口(第1供給口)CP1に供給されたインクは、流路cch1を経て第1凹溝GG1に至り、第1凹溝GG1の頂部GG1tpにおいて、2つに分かれる。
【0212】
2つに分かれたインクの一方は、第1凹溝GG1の第1部分GG11、流路cch3、インク流通口CP4を経て、媒体幅方向の左側からマニホールドM3に流入する。2つに分かれたインクの他方は、第1凹溝GG1の第2部分GG12、流路cch5、インク流通口CP6を経て、媒体幅方向の右側からマニホールドM4に流入する。
【0213】
マニホールドM3を右向きに流れた後、第1流路ブロック71”のインク流通口CP5から流入したインクは、流路cch6、第2凹溝GG2の第2部分GG22を経て、第2凹溝GG2の頂部GG2tpに至る。マニホールドM4を左向きに流れた後、第1流路ブロック71”のインク流通口CP3から流入したインクは、流路cch4、第2凹溝GG2の第1部分GG21を経て、第2凹溝GG2の頂部GG2tpに至る。これらのインクは、頂部GG2tpにおいて合流し、流路cch2、インク流通口(第1排出口)CP2、インク流路部材IC3を経てドレインタンクDT1へと流れる。第1ドレインタンクDT1のインクは、第1ポンプPP1により第1サブタンクST1に送られる。
【0214】
ここで、第1供給流路S1”のうち、第1流路ブロック71”のインク流通口CP1(第1供給口)と第1凹溝GG1の頂部GG1tpとの間に形成される流路が共通供給流路(第1共通供給流路)S1”であり、頂部GG1tpからマニホールドM4、M3に至る流路がそれぞれ供給支流路(第1供給支流路)S1”である。第1排出流路D1”のうち、第1流路ブロック71”のインク流通口CP2(第1排出口)と第2凹溝GG2の頂部GG2tpとの間に形成される流路が共通排出流路(第1共通排出流路)D1”であり、頂部GG2tpからマニホールドM4、M3に至る流路がそれぞれ排出支流路(第1排出支流路)D1”である。
【0215】
変形例2-2のインク供給システムISS2”においては、図17に示す通り、マニホールドM1、M4においてはインクは媒体幅方向の左側に向かって流れ、マニホールドM2、M3においてはインクは媒体幅方向の右側に向かって流れる。マニホールドM1とマニホールドM2の間、及びマニホールドM3とマニホールドM4の間で濃度ムラの相殺(平均化)がなされ、形成される画像の品質低下が抑制される。
【0216】
なお、第2実施形態のインク供給システムISS2において、流路ブロック70の第2流路ブロック72を、上記の第1流路ブロック71”と同様に(即ち、第2流路ブロック72が媒体送り方向に直交する面を基準として第1流路ブロック71”と鏡面対称となるように)改変してもよい。この場合は、マニホールドM1、M4においてはインクは媒体幅方向の右側に向かって流れ、マニホールドM2、M3においてはインクは媒体幅方向の左側に向かって流れる。
【0217】
第2実施形態のヘッドシステムHS2、変形例2-1のインク供給システムISS’が備えるヘッドシステム、変形例2-2のインク供給システムISS”が備えるヘッドシステムにおいて、次の変形態様を用いることもできる。下記の各変形態様は第2実施形態のヘッドシステムHS2について記載されているが、同様の変形を各変形例のヘッドシステムにおいて用い得る。
【0218】
第2実施形態のヘッドシステムHS2は、2系統の供給・排出流路、即ち、供給流路S1、S2、排出流路D1、D2を備えるが、これには限られない。ヘッドシステムHS2は、供給流路S1と排出流路D1のみ、又は供給流路S2と排出流路D2のみを備える構成であってもよい。また、供給流路S1、S2、排出流路D1、D2に同一のインクを流通させて、実質的に1系統の供給・排出流路として使用してもよい。
【0219】
第2実施形態のヘッドシステムHS2は、流路部材70により供給流路S1、S2、排出流路D1、D2を構成しているがこれには限られない。樹脂製のチューブ等の管状部材を用いて、供給流路S1、S2、排出流路D1、D2を構成してもよい。
【0220】
第2実施形態のヘッドシステムHS2において、ゴムシート73に代えて、ゴム以外の材料を用いてもよい。第1、第2流路ブロック71、72の第1凹溝、第2凹溝GG1、GG2に蓋を与えて流路を形成し得る任意の材料を用いることができ、流量変化に起因する液圧変動を変形により抑制する機能(ダンパ機能)を更に奏する材料であればより好ましい。第1流路ブロック71、第2流路ブロック72の形成する材料よりも柔軟な材料で当該シートを形成することが望ましいが、これには限られない。樹脂や金属等の、ゴムに比較してたわみの小さい材料を用いても第1、第2凹溝GG1、GG2に蓋をして流路を形成することができる。
【0221】
以上、ヘッドシステムHS1、HS2からインクを吐出して媒体PMに画像形成する場合を例として実施形態及び変形例を説明した。ヘッドシステムHS1、HS2は、画像成形のために任意の液体を吐出する液体吐出システムであってよく、画像を形成される媒体PMは、例えば用紙、布、樹脂等であってもよい。また、ヘッドシステムHS1、HS2を、シリアルヘッド型のプリンタのヘッドシステムとして用いても良い。
【0222】
また、ヘッドシステムHS1、HS2、及び各変形例において、マニホールドM1~M4の少なくとも一つが、図18に示すマニホールドMのように、両端部の間の領域の少なくとも一部において媒体送り方向に分岐していてもよい。
【0223】
図18に示すマニホールドMは、媒体幅方向の左端近傍と右端近傍との間において、媒体送り方向に離間した3つの小マニホールドMa、Mb、Mcに分岐している。小マニホールドMa、Mb、Mcは互いに平行である。小マニホールドMa、Mb、Mcの各々には媒体幅方向に並ぶ複数の個別流路(不図示)が接続されている。当該複数の個別流路の各々によりノズル列が構成されている。小マニホールドMa~Mcは、本発明の機序に基づく画像品質低下の抑制においては、実質的に1つのマニホールドとしてふるまう。
【0224】
本明細書に記載の実施形態は、全ての点で例示であって、限定的なものではないと考えられるべきである。例えば、ヘッドユニット100の数、構成等は変更し得る。印刷装置1000が同時に印刷可能な色の数も限定はされず、単色印刷のみが可能な構成であってもよい。また、個別流路ICHの数、配置等も適宜変更し得る。また、各実施形態にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができる。
【0225】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0226】
本発明のヘッドシステムによれば、インクの温度変化に起因する画像品質の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0227】
1 圧力室
3 ノズル
20 インク供給管
30 インク排出管
41、71 第1流路ブロック
42、72 第2流路ブロック
50 フレーム部材
60 ヘッド
70 流路部材
100 ヘッドユニット
700 プラテン
801、802 搬送ローラ
1000 印刷装置
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