(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】追尾システム、計画方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/72 20060101AFI20241210BHJP
G01S 13/87 20060101ALI20241210BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01S13/72
G01S13/87
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2020172414
(22)【出願日】2020-10-13
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正徳
(72)【発明者】
【氏名】阿部 祐一
【審査官】安井 英己
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-341023(JP,A)
【文献】特開2006-047050(JP,A)
【文献】特開2009-002794(JP,A)
【文献】特開2008-170268(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104090262(CN,A)
【文献】特開2000-292533(JP,A)
【文献】特開2010-164320(JP,A)
【文献】特開2004-077400(JP,A)
【文献】特開2007-187468(JP,A)
【文献】米国特許第5537118(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/42,
G01S 13/00-13/95,
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象物を追尾するために当該監視対象物をセンシングするN個(Nは2以上の整数)のセンサと、
前記センサのそれぞれに対応して設けられ、前記センサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成するN個の追尾処理部と、
前記追尾処理部により前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類するグループ決定部と、
前記M個のグループのそれぞれに対して設けられ、前記センサ及び前記追尾処理部に対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画するM個の割当計算部と
を有
し、
前記グループ決定部は、所定の時間が経過する度に、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行い、
前記割当計算部は、グループ分けが再度行なわれた場合、新たなグループ分けに従って、前記割り当ての計画を行い、
前記所定の時間は、
(i)前記監視対象物の種類、前記センサの種類、及び前記監視対象物の数のうちの少なくとも1つに応じた時間、
又は、
(ii)前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果に対して所定の基準に従って算定される評価値に基づいて定められた時間である
追尾システム。
【請求項2】
前記グループ決定部は、前記監視対象物の数に応じて前記グループの数を決定する
請求項1に記載の追尾システム。
【請求項3】
前記グループ決定部は、前記監視対象物の位置と、前記センサの検出可能領域とに基づいて、同一の前記グループに分類する前記監視対象物及び前記センサを決定する
請求項1又は2に記載の追尾システム。
【請求項4】
監視対象物を追尾するために当該監視対象物をセンシングするN個(Nは2以上の整数)のセンサと、
前記センサのそれぞれに対応して設けられ、前記センサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成するN個の追尾処理部と、
前記追尾処理部により前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類するグループ決定部と、
前記M個のグループのそれぞれに対して設けられ、前記センサ及び前記追尾処理部に対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画するM個の割当計算部と
を有し、
前記グループ決定部は、所定の時間が経過する度に、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行い、
前記割当計算部は、グループ分けが再度行なわれた場合、新たなグループ分けに従って、前記割り当ての計画を行い、
前記グループ決定部は、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行う場合、
(i)前回のグループ分けに従った計画の計算負荷を参照して、グループ分けを行う
、
又は、
(ii)前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果を参照して、グループ分けを行う
追尾システム。
【請求項5】
監視対象物を追尾するために当該監視対象物をセンシングするN個(Nは2以上の整数)のセンサと、前記センサのそれぞれに対応して設けられ、前記センサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成するN個の追尾処理部とを備える追尾システムが、
前記追尾処理部により前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類し、
前記センサ及び前記追尾処理部に対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画
し、
所定の時間が経過する度に、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行い、
グループ分けが再度行なわれた場合、新たなグループ分けに従って、前記割り当ての計画を行い、
前記所定の時間は、
(i)前記監視対象物の種類、前記センサの種類、及び前記監視対象物の数のうちの少なくとも1つに応じた時間、
又は、
(ii)前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果に対して所定の基準に従って算定される評価値に基づいて定められた時間である
計画方法。
【請求項6】
監視対象物を追尾するために当該監視対象物をセンシングするN個(Nは2以上の整数)のセンサと、前記センサのそれぞれに対応して設けられ、前記センサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成するN個の追尾処理部とを備える追尾システムが、
前記追尾処理部により前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類し、
前記センサ及び前記追尾処理部に対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画し、
所定の時間が経過する度に、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行い、
グループ分けが再度行なわれた場合、新たなグループ分けに従って、前記割り当ての計画を行い、
前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行う場合、
(i)前回のグループ分けに従った計画の計算負荷を参照して、グループ分けを行う、
又は、
(ii)前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果を参照して、グループ分けを行う
計画方法。
【請求項7】
監視対象物を追尾するために当該監視対象物をセンシングするセンサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成する、N個(Nは2以上の整数)のセンサそれぞれに対応するN個の追尾処理ステップと、
前記追尾処理ステップで前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類するグループ決定ステップと、
前記センサ及び前記追尾処理ステップに対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画する、前記M個のグループのそれぞれに対応するM個の割当計算ステップと
をコンピュータに実行させ
、
前記グループ決定ステップでは、所定の時間が経過する度に、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行い、
前記割当計算ステップでは、グループ分けが再度行なわれた場合、新たなグループ分けに従って、前記割り当ての計画を行い、
前記所定の時間は、
(i)前記監視対象物の種類、前記センサの種類、及び前記監視対象物の数のうちの少なくとも1つに応じた時間、
又は、
(ii)前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果に対して所定の基準に従って算定される評価値に基づいて定められた時間である
プログラム。
【請求項8】
監視対象物を追尾するために当該監視対象物をセンシングするセンサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成する、N個(Nは2以上の整数)のセンサそれぞれに対応するN個の追尾処理ステップと、
前記追尾処理ステップで前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類するグループ決定ステップと、
前記センサ及び前記追尾処理ステップに対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画する、前記M個のグループのそれぞれに対応するM個の割当計算ステップと
をコンピュータに実行させ、
前記グループ決定ステップでは、所定の時間が経過する度に、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行い、
前記割当計算ステップでは、グループ分けが再度行なわれた場合、新たなグループ分けに従って、前記割り当ての計画を行い、
前記グループ決定ステップでは、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行う場合、
(i)前回のグループ分けに従った計画の計算負荷を参照して、グループ分けを行う、
又は、
(ii)前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果を参照して、グループ分けを行う
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は追尾システム、計画方法、及びプログラムに関し、特に複数の対象物を複数のセンサで監視するための追尾システム、計画方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
センサを用いて監視対象物を追尾する追尾システムが知られている。例えば、特許文献1では、複数の電子走査アンテナを用いて、目標を追尾するシステムについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
適切な追尾を実現するために各センサによる監視についての担当を計画することがある。この場合、センサ数又は監視対象物の数が多いと、計画を立案するために必要となる計算時間が多くなるという問題がある。
【0005】
本開示はこのような背景を鑑みてなされたものであり、複数のセンサを用いた追尾において、各センサによる監視についての担当の計画を立案するために要する時間を抑制することができる追尾システム、計画方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様にかかる追尾システムは、
N個(Nは2以上の整数)のセンサと、
前記センサのそれぞれに対応して設けられ、前記センサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成するN個の追尾処理部と、
前記追尾処理部により前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類するグループ決定部と、
前記M個のグループのそれぞれに対して設けられ、前記センサ及び前記追尾処理部に対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画するM個の割当計算部と
を有する。
【0007】
本開示の第2の態様にかかる計画方法では、
N個(Nは2以上の整数)のセンサと、前記センサのそれぞれに対応して設けられ、前記センサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成するN個の追尾処理部とを備える追尾システムが、
前記追尾処理部により前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類し、
前記センサ及び前記追尾処理部に対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画する。
【0008】
本開示の第3の態様にかかるプログラムは、
センサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成する、N個(Nは2以上の整数)のセンサそれぞれに対応するN個の追尾処理ステップと、
前記追尾処理ステップで前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類するグループ決定ステップと、
前記センサ及び前記追尾処理ステップに対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画する、前記M個のグループのそれぞれに対応するM個の割当計算ステップと
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数のセンサを用いた追尾において、各センサによる監視についての担当の計画を立案するために要する時間を抑制することができる追尾システム、計画方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態の概要にかかる追尾システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態1にかかる追尾システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3A】グループ決定部による分類の一例を説明する模式図である。
【
図3B】グループ決定部による分類の一例を説明する模式図である。
【
図3C】グループ決定部による分類の一例を説明する模式図である。
【
図4】実施の形態にかかる追尾システムが備えるコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態1にかかる追尾システムの制御部の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態2にかかる追尾システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】実施の形態2にかかる追尾システムの制御部の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施の形態3にかかる追尾システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図9】実施の形態4にかかる追尾システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態4にかかる追尾システムの制御部の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態の概要>
実施形態の詳細を説明する前に、まず、実施形態の概要について説明する。
図1は、実施形態の概要にかかる追尾システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、追尾システム1は、N個(Nは2以上の整数)のセンサ2と、N個の追尾処理部3と、グループ決定部4と、M個の割当計算部5とを有する。追尾システム1は、監視対象物をセンサ2からの信号に基づいて追尾するためのシステムである。
【0012】
センサ2は、監視対象物をセンシングすることが可能な任意のセンサである。例えば、センサ2は、カメラであってもよい。また、センサ2は、レーダ(RADAR)やライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)、ソナー(SONAR:Sound navigation and ranging)のように、監視対象物に電波や光波、音波を照射し、その反射波を収集及び解析するセンサであってもよい。また、これらに限れず、監視対象物が発する音や振動を収集して監視する場合には、センサ2として、マイクロフォンアレイや振動センサが利用されてもよい。N個のセンサ2のそれぞれは、他のセンサ2と検出可能領域が一部又は全て重複している。検出可能領域とは、空間内において、センシングの対象となっている領域をいう。このように、ある監視対象物は、複数のセンサ2においてセンシングされ得る。
【0013】
なお、監視対象物は、空間を移動しうる任意の物体であり、例えば、航空機、人工衛星、ミサイル、船舶、車両、人物などが挙げられるが、これらに限られない。また、ここでいう空間は、屋外空間に限られず、屋内空間であってもよい。
【0014】
追尾処理部3は、センサ2のそれぞれに対応して設けられ、対応するセンサ2からの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成する。なお、対象物情報は、目標情報とも称される。
【0015】
グループ決定部4は、追尾処理部3により対象物情報が生成された監視対象物と、N個のセンサ2とを、M個のグループに分類する。ここで、MはN以下の整数である。各グループには、例えば、1以上の監視対象物と、1以上のセンサ2とが属するが、グループに属する監視対象物が0個であってもよい。各グループに分類されるセンサ数は、センサの総数Nよりも小さく、各グループに分類される監視対象物の数(目標数)は、監視対象物(目標)の総数よりも小さい。
【0016】
分類について、具体例で説明する。センサ2が10個存在し、目標が50個存在し、これらを3つのグループに分類するとする。ここで、10個のセンサ2をS1からS10で表し、50個の目標をT1からT50で表すこととする。この場合、例えば、1つ目のグループには、S1からS3とT1からT20が分類され、2つ目のグループにはS4からS8と、T21からT40が分類され、3つ目のグループにはS9からS10と、T41からT50が分類される。なお、ここで示した具体例では、各グループには、連続的な番号で表されるセンサ及び目標が分類されているが、これは理解を容易にするためであり、各グループにランダムな番号で表されるセンサ及び目標が分類されてもよい。また、上述した具体例では、各目標は、いずれか1つのグループに属しているが、2以上のグループに属してもよい。
【0017】
割当計算部5は、M個のグループのそれぞれに対して設けられ、センサ2及び追尾処理部3に対する監視対象物の割り当てをグループ毎に計画する。すなわち、i番目(1≦i≦M)の割当計算部5は、i番目のグループに属するそれぞれの監視対象物の監視を、i番目のグループに属するセンサ2と当該センサ2に対応する追尾処理部3からなるペアのどれが担当するかを計画する。
【0018】
追尾システム1によれば、センサ2及び監視対象物はグループに分割され、グループ毎に、計画が行われる。このため、センサ2の総数(すなわち、N)よりも少ない数のセンサ2と、監視対象物の総数よりも少ない数の監視対象物とを計画の対象とすることができる。このため、全てのセンサ2及び監視対象物を一括して計画する場合に比べて、計画の立案を計算する時間を短くすることができる。このように、追尾システム1によれば、各センサによる監視についての担当の計画を立案するために要する時間を抑制することができる。このため、制御の遅延の発生を抑制できる。
【0019】
次に、実施の形態の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、監視対象物について、単に「目標」と称す。
<実施の形態1>
図2は、実施の形態1にかかる追尾システム10の構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、追尾システム10は、N個(Nは2以上の整数)のセンサ200と、N個の追尾処理部300と、制御部100とを有する。追尾システム10は、空間を移動する目標をセンサ200からの信号に基づいて追尾するためのシステムである。
【0020】
センサ200は、
図1のセンサ2に相当し、目標をセンシングすることが可能な任意のセンサである。例えば、センサ200は、静止画又は動画を撮影するカメラであってもよいし、音声を収集するマイクであってもよいし、電波を送信又は受信するアンテナであってもよい。センサ200は、センシングにより得た情報を例えばデジタル信号として出力する。目標の追尾を可能とするため、センサ200によるセンシングは、継続的に行われる。例えば、センサ200がカメラであれば、1秒間あたり数十枚から数百枚の画像が継続的に取得される。なお、センシングの時間間隔は、例えば一定であるが、不定期であってもよい。N個のセンサ200のそれぞれは、他のセンサ200と検出可能領域が一部又は全て重複している。すなわち、ある目標を、複数のセンサ200においてセンシングし得る。
【0021】
追尾処理部300は、
図1の追尾処理部3に相当し、
図2に示すように、センサ200のそれぞれに対応して設けられている。追尾処理部300は、センサ200からの出力情報(信号)に基づいて、目標を検出し、目標を追尾する処理を行う。具体的には、追尾処理部300は、対応するセンサ200からの出力情報(信号)に基づいて、目標情報を生成する。追尾処理部300は、生成した目標情報を制御部100に出力する。なお、追尾処理部300は、ユーザが追尾状況を確認するために、目標情報をディスプレイに表示してもよい。追尾処理部300は、センサからの出力情報を公知の技術を用いて解析することにより、目標情報を生成する。ここで、目標情報は、少なくとも目標の位置情報を含む。目標の位置は、例えば、センサ200からの相対的な位置、すなわち、センサ200からの距離及び方向により表される。ただし、追尾処理部300は、センサ200からの相対的な位置だけでなく、センサ200の位置及びセンサ200の向いている方向を参照することにより、目標の絶対的な位置(絶対座標)を特定してもよい。例えば、追尾処理部300は、センサ200がカメラである場合、画像中の目標を公知の画像認識技術を用いて特定することにより、目標の位置を特定する。また、例えば、追尾処理部300は、センサ200がアンテナなどである場合、センサ200から発せられた音波又は電磁波に対する目標からの反射波を公知の解析技術により解析することにより、目標の位置を特定する。なお、目標情報は、位置に限らず、目標の移動方向、移動速度、加速度を含んでもよいし、目標の大きさ、色、種類などを含んでもよい。また、追尾処理部300は、カルマンフィルタ、拡張カルマンフィルタ、パーティクルフィルタなどの公知のフィルタを用いて処理を行ってもよい。
【0022】
制御部100は、目標の追従について制御を行う構成要素であり、
図2に示すように、識別部110、グループ決定部120、及び、割当計算部130を有する。
【0023】
識別部110は、N個の追尾処理部300からそれぞれ出力された目標情報に基づいて、目標に識別情報(識別子)を付与する。これにより、ある追尾処理部300から出力された目標情報と、他の追尾処理部300から出力された目標情報とが、同一の目標についての目標情報であるか否かが判定可能になる。すなわち、目標が適切に識別可能となる。つまり、ある目標が、どの複数のセンサ200により重複して検出されているかが判断可能になる。
【0024】
識別部110は、例えば、目標情報に基づいて得られる目標の絶対位置を用いて、それぞれの追尾処理部300が出力した目標情報を識別する。なお、目標情報が示す位置がセンサ200の位置を基準とする相対位置である場合には、識別部110は、センサ200の位置及びセンサ200の方向に基づいて、絶対位置を算出してもよい。
【0025】
例えば、識別部110は、次のように、識別情報の付与を行う。j番目の追尾処理部300が出力した目標情報に対応する目標の位置と、k番目の追尾処理部300が出力した目標情報に対応する目標の位置とが同じである場合、識別部110は、これらの目標情報が同一の目標に対するものであると判定する。ここで、1≦j≦Nであり、1≦k≦Nである。ただし、jとkは異なる。このため、識別部110は、これらの目標情報に対応する目標に同じ識別情報を付与する。これに対し、j番目の追尾処理部300が出力した目標情報に対応する目標の位置と、k番目の追尾処理部300が出力した目標情報に対応する目標の位置とが異なる場合、識別部110は、これらの目標情報が異なる目標に対するものであると判定する。このため、識別部110は、これらの目標情報に対応する目標に別々の識別情報を付与する。このようにして、識別部110は、目標を識別ための識別情報を付与する。
【0026】
グループ決定部120は、
図1のグループ決定部4に相当し、識別情報が付与された目標と、N個のセンサ200とを、M個のグループに分類する。グループ決定部120は、所定の任意の分類規則に従って、これらを分類する。グループ決定部120は、各グループの構成要素、すなわちグループに属する目標及びセンサ200を、グループに対応する割当計算部130に通知する。
【0027】
グループ決定部120は、常に予め定められたグループ数に分類してもよいが、可変のグループ数を用いてもよい。すなわち、上述したMの値は、固定値であってもよいし、動的に変動する値であってもよい。例えば、グループ決定部120は、目標の数に応じてグループの数を決定してもよい。すなわち、グループ決定部120は、目標の数が多くなるにしたがい、徐々に、グループ数を増加させてもよい。例えば、グループ決定部120は、目標の数が閾値以下である場合、第1のグループ数を用い、目標の数が当該閾値よりも大きい場合、第1のグループ数よりも大きい第2のグループ数を用いてもよい。このように、目標の数に応じてグループの数を決定することにより、各グループに分類される目標の数を抑制することができる。このため、計画の立案を計算する時間を抑制することができる。
【0028】
例えば、グループ決定部120は、目標の位置と、センサ200の検出可能領域とに基づいて、同一のグループに分類する目標及びセンサ200を決定する。例えば、グループ決定部120は、ある部分領域に存在する目標と、当該部分領域を検出可能領域に含むセンサ200のうち所定の選択規則に従って選択されたセンサ200とを、同一のグループに分類する。ここで、この部分領域は、各センサ200の検出可能領域をマージした領域内における部分領域である。この部分領域は、例えば各センサ200の検出可能領域をマージした領域内における東側又は西側の領域などであるが、部分領域の配置はこれに限られない。なお、部分領域の数は、例えばグループ数と同じである。
図3Aから
図3Cは、グループ決定部120による分類の一例を説明する模式図である。
図3Aは、4つのセンサ200の検出可能領域210a、210b、210c、210dと、それらをマージした領域250と、目標90とを示す図である。
図3Bは、グループ決定部120による分類により第1のグループに属することとなるセンサ200と目標90の例を示す図である。同様に、
図3Cは、グループ決定部120による分類により第2のグループに属することとなるセンサ200と目標90の例を示す図である。この例では、グループ決定部120は、2つのグループへの分類を行うために、4つのセンサ200のそれぞれの検出可能領域210a、210b、210c、210dをマージした領域250を2個の部分領域250a、250bに分割している。そして、グループ決定部120は、一方の部分領域250aに位置する目標90と、この部分領域250aを検出可能領域が含むセンサ200のうち選択規則に従って選択したセンサ200を同一のグループ(第1のグループ)に分類している(
図3B参照)。同様に、グループ決定部120は、他方の部分領域250bに位置する目標90と、この部分領域250bを検出可能領域が含むセンサ200のうち選択規則に従って選択したセンサ200を同一のグループ(第2のグループ)に分類している(
図3C参照)。この図で示した例では、具体的には、選択規則として、検出可能領域と部分領域のそれぞれの中心の距離が近い順に2個のセンサ200を選択するという規則が用いられている。具体的には、第1のグループに属するセンサ200として、検出可能領域210aを有するセンサ200と、検出可能領域210bを有するセンサ200が選択されている。また、第2のグループに属するセンサ200として、検出可能領域210cを有するセンサ200と、検出可能領域210dを有するセンサ200が選択されている。なお、
図3B又は
図3Cに示されるように、各目標が、目標と同じグループに属する少なくとも1つのセンサ200の検出可能領域に含まれるように、分類が行われている。
図3Aから
図3Cでは、各センサ200の検出可能領域をマージした領域250を均等に2分割した部分領域250a、250bが用いられたが、目標90の密集度合い又はセンサ200の検出可能領域の密集度合いに応じて、部分領域が設定されてもよい。例えば、密集度合いが高い領域ほど、細かく部分領域が設定されてもよい。
【0029】
なお、上述したグループ決定部120のグループの決定方法は一例に過ぎず、グループ決定部120は他の方法によりグループを決定してもよい。すなわち、グループの決定には、センサ200及び目標の位置関係だけでなく、様々な情報が考慮されてもよい。例えば、割当計算を行う計算機の計算リソースに応じて、グループが決定されてもよい。例えば、2つのグループの割当計算を2台の計算機や2つの計算ユニットで実施する場合、片方の計算リソースがひっ迫したら、グループの構成を見直して計算リソースのひっ迫度を低減する。また、例えば、センサ200の能力(例えば、感度、解像度、フレームレートなど)に応じて、センサ200のグループ分けが行われてもよい。すなわち、能力が相対的に高いセンサ200が属するグループと能力が相対的に低いセンサが属するグループが設定されてもよい。このとき、能力が相対的に高いセンサ200が属するグループに割り当てられる目標の数と能力が相対的に低いセンサ200が属するグループに割り当てられる目標の数の偏りの大きさが所定の範囲内になるように、目標が各グループに割り当てられてもよい。また、逆に、偏りの大きさが所定基準値以上になるように目標が各グループに割り当てられてもよい。
【0030】
グループ決定部120は、グループを更新してもよい。すなわち、グループ決定部120は、所定の時間が経過する度に、目標とセンサ200のグループ分けを再度行ってもよい。ここで、所定の時間は、常に一定の時間であってもよいが、センサが監視する環境や状況に応じて設定される時間であってもよい。例えば、この所定の時間は、目標の種類に応じた時間であってもよい。目標の種類により目標の移動速度は異なる。例えば目標が人物である場合と、目標が車である場合では、その移動速度は異なる。移動速度が速い目標ほど、より状況の変化が大きくなる。このため、移動速度が速いほど、短い時間間隔でグループの更新が行われるようにしてもよい。なお、目標の種類は、追尾処理部300により生成された目標情報により特定されてもよい。また、上述した所定の時間は、目標の数に応じた時間であってもよい。目標の数が多いほど、より状況の変化が大きくなる。このため、目標の数が多いほど、短い時間間隔でグループの更新が行われるようにしてもよい。また、上述した所定の時間は、センサ200の種類に応じた時間であってもよい。センサ200の種類によりセンシングの時間間隔は異なる。例えば、カメラに比べ、レーダは、あるセンシング結果が得られてから次のセンシング結果が得られるまでの時間間隔が長い。このため、センシングの時間間隔が長いほど、長い時間間隔でグループの更新が行われるなどのように、センサ200の種類に適した更新間隔が設定されてもよい。なお、上述した所定の時間は、これらの要因の組み合わせに応じて設定されてもよい。すなわち、上述した所定の時間は、目標の種類、センサ200の種類、及び目標の数のうちの少なくとも1つに応じた時間であってもよい。このように、センサが監視する環境や状況に応じて更新間隔を設定することにより、適切な更新間隔で更新を行うことができる。
【0031】
割当計算部130は、
図1の割当計算部5に相当し、M個のグループのそれぞれに対して設けられ、センサ200及び追尾処理部300に対する目標の割り当てをグループ毎に計画する。すなわち、i番目(1≦i≦M)の割当計算部130は、i番目のグループに属するそれぞれの目標の監視を、i番目のグループに属するセンサ200と当該センサ200に対応する追尾処理部300からなるペアのどれが担当するかを計画する。割当計算部130は、計画を生成するための計算を予め定められた計算周期で繰り返す。すなわち、割当計算部130は、ある計算タイミングから次の計算タイミングまでの期間の計画を立案する。この計画は、目標をどのセンサ200及び追尾処理部300のペアが担当するかを定めたタイムスケジュールである。例えば、上述した計算周期の時間をtとし、0<t
1<tとすると、例えば、計画は、次のようなタイムスケジュールである。例えば、計画は、時刻0から時刻t
1までの間、目標T1をセンサS1及びこれに対応する追尾処理部300で監視し、時刻t
1から時刻tまでの間、目標T1をセンサS2及びこれに対応する追尾処理部300で監視するなどのようなタイムスケジュールである。このように、割当計算部130は、各目標の監視スケジュールを決定する。
【0032】
割当計算部130は、目標情報を用いて、所定の方針に従った計画を立案する。割当計算部130による計画は、公知の計画立案方法を適用できる。一例として、割当計算部130は、所定の基準に従って算定される、割り当てに対する評価値を用いて計画を立案する。割当計算部130は、例えば以下のような所定の評価項目に基づく評価値を用いて計画を立案する。なお、以下に列記する評価項目の一部だけが用いられてもよい。
【0033】
・追尾継続時間
目標の追尾継続時間、すなわち目標をこの目標を担当するセンサ200の検出可能領域内に捉えている時間が長くなるように割当が行われることが好ましい。つまり、追尾の空白時間が短いことが好ましい。このため、目標の追尾継続時間が長い計画ほど高い評価値が与えられる。なお、割当計算部130は、例えば、立案された計画に従って監視が行われた場合の各目標の追尾継続時間を、各目標の目標情報に含まれる目標の位置、移動方向及び速度と、センサ200の検出可能領域に基づいて算出する。
・センサ切り替え回数
目標を監視するセンサ200が切り替わる回数が多いほどが、目標を見失う危険性が増す。同一のセンサで監視し続けること、つまりセンサ200の切り替え回数が少なくなるように割当が行われることが好ましい。このため、目標を監視するセンサ200が切り替わる回数が少ない計画ほど高い評価値が与えられる。
・センサ重複度
遠くの目標、面積又は体積が小さい目標、高速移動する目標などといった所定の条件を満たす目標は、追尾精度の低下をもたらしやすい。このような目標には、複数のセンサ200が割り当てられることが好ましい。1つの目標に対して複数のセンサ200を用いることで、追尾しにくい目標でも見失う可能性が低減できるためである。このため、例えば、同一の目標に対して、割り当てられたセンサ200及び追尾処理部300のペアの数が多い計画ほど高い評価値が与えられる。
・センサ適性度
センサ200が監視する環境や状況がセンシングに適さない場合、そのようなセンサ200とは別のセンサ200、すなわち監視する環境や状況に適したセンサ200が目標に割り当てられることが好ましい。このため、センシングに適した環境で用いられているセンサ200が目標に割り当てられている計画ほど高い評価値が与えられる。例えば、割当計算部130は、センサ200からの出力情報に含まれるノイズが少ないほど、当該センサ200がセンシングに適していると判定する。他には、クラッタや逆光、オクルージョン、残響が少ないほどセンシングに適していると判定する。
【0034】
上記評価項目に基づく評価値は、追尾性能を示す評価値とも称すことができる。割当計算部130は、例えば目標ごとに、各評価項目の評価値を計算し、グループ内の全ての目標についての全ての評価項目の評価値の合計を計画の評価値とする。割当計算部130は、例えば、全てのパターンの計画を生成し、それら全ての計画について評価値を算出する。そして、割当計算部130は最も高い評価値を実現する計画を、最終的な計画として決定する。すなわち、割当計算部130は、候補の計画を作成し、その中から評価値に基づいて最終的な計画を選択する。なお、計算時間を削減するために、候補の計画として必ずしも全てのパターンを作成しなくてもよい。
【0035】
割当計算部130は、最終的に決定した計画にしたがった監視を実現するために、決定した計画を各追尾処理部300に通知する。これにより、各追尾処理部300は、割当計算部130により立案された計画に従って、割り当てられた目標の目標情報を生成する。
【0036】
なお、割当計算部130は、グループの更新が行われた場合、すなわち、目標とセンサ200のグループ分けが再度行われた場合、新たなグループ分けに従って、割り当ての計画を行う。
【0037】
次に、追尾システム10が備えるコンピュータ180のハードウェア構成の一例について説明する。
図4は、追尾システム10が備えるコンピュータ180のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、コンピュータ180は、ネットワークインタフェース181、メモリ182、及びプロセッサ183を含む。ネットワークインタフェース181、メモリ182、及びプロセッサ183は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0038】
ネットワークインタフェース181は、センサ200などと通信するために使用される。ネットワークインタフェース181は、例えば、ネットワークインタフェースカード(NIC)を含んでもよい。
【0039】
メモリ182は、例えば、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ182は、プロセッサ183により実行される、1以上の命令を含むソフトウェア(コンピュータプログラム)、及び追尾システム10の各種処理に用いるデータなどを格納するために使用される。
【0040】
プロセッサ183は、メモリ182からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで、上述した識別部110、グループ決定部120、割当計算部130、及び追尾処理部300の処理を行う。すなわち、これらの構成要素は、プロセッサ183がメモリ182から読み出した命令を実行することで実現される。例えば、各構成要素は、例えばプロセスとして実現される。この場合、N個の追尾処理部300は、例えばN個のプロセスとして実現される。同様に、M個の割当計算部130は、例えば、M個のプロセスとして実現される。
【0041】
プロセッサ183は、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processor Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などであってもよい。プロセッサ183は、複数のプロセッサを含んでもよい。
【0042】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0043】
次に、制御部100の動作の流れについて説明する。
図5は、実施の形態1にかかる追尾システム10の制御部100の動作の流れの一例を示すフローチャートである。以下、
図5を参照しつつ、制御部100の動作の流れについて説明する。
【0044】
ステップS100において、制御部100は、追尾処理部300のそれぞれが出力した目標情報を取得する。なお、追尾処理部300は、計画がまだ立案されていない段階、すなわち制御部100から割当が指示されていない段階では、例えば、当該追尾処理部300に対応するセンサ200が検出した全ての目標を監視対象として、目標情報を生成する。
次に、ステップS101において、識別部110は、目標を識別するために、ステップS100で得られた目標情報に基づいて、目標に識別情報(識別子)を付与する。これにより各センサ200が捉えた目標が重複を排除して識別される。
次に、ステップS102において、グループ決定部120は、識別された目標とセンサ200とを、グループに分類する。
次に、ステップS103において、それぞれの割当計算部130は、センサ200及び追尾処理部300に対する目標の割り当てをグループ毎に計画する。
次に、ステップS104において、それぞれの追尾処理部300は、ステップS103で立案された計画に従って目標の追尾処理を行う。
【0045】
グループの更新タイミングが到来するまで、ステップS102で設定されたグループに基づく計画に従い、追尾処理が行われる。グループの更新タイミングが到来すると(ステップS105でYes)、目標とセンサ200のグループ分けが再度行われる。すなわち、グループを更新するために、再度、ステップS100以降の処理が行われる。なお、グループの更新の際、グループ決定部120は、前回のグループ分けに従った計画の計算負荷を参照して、グループ分けを行ってもよい。例えば、いずれかの割当計算部130の計算負荷が所定の基準を超えた場合、当該割当計算部130に対応するグループに属する目標の数又はセンサ200の数を前回のグループ分けの際の数よりも少なくしてグループ分けを行ってもよい。また、いずれかの割当計算部130の計算負荷が所定の基準を超えた場合、前回のグループ分けの際よりもグループ数を増やしてグループ分けを行ってもよい。このようにすることで、計算負荷を抑制することができる。なお、計算負荷は、例えば、プロセッサ183の負荷であってもよいし、メモリ182の消費量であってもよい。
【0046】
以上、実施の形態1について説明した。本実施の形態によれば、センサ200及び目標はグループに分割され、グループ毎に、計画が行われる。このため、全てのセンサ200及び目標を一括して計画する場合に比べて、計画の立案を計算する時間を短くすることができる。
【0047】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態は、作成された計画に対し、グループを横断した調整が行われる点で、実施の形態1と異なっている。
図6は、実施の形態2にかかる追尾システム10aの構成の一例を示すブロック図である。追尾システム10aは、制御部100が制御部100aに置き換わった点で、実施の形態1にかかる追尾システム10と異なっている。制御部100aは、割当調整部140が追加されている点で、実施の形態1にかかる制御部100と異なっている。割当調整部140の処理は、例えば、プロセッサ183が、メモリ182からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで行われる。以下、実施の形態1と異なる点について説明し、重複する説明は適宜省略する。
【0048】
割当調整部140は、割当計算部130により計画された割り当てが、所定の条件を満たす割り当て結果である場合、第1のグループに属する一部の目標を、第1のグループとは異なる第2のグループに属するセンサ200に割り当てる。つまり、割当調整部140は、当該目標を、当該目標が所属するグループとは別のグループに属するセンサ200及び当該センサ200に対応する追尾処理部300に割り当てて計画を修正する。
【0049】
例えば、割当調整部140は、割当計算部130により計画された割り当てについての評価値(すなわち、上述した追尾性能を示す評価値)を参照する。そして、割当調整部140は、割当計算部130により計画された割り当てについての評価値が所定の閾値以下である場合、グループを横断した調整を行う。具体的には、例えば、割当調整部140は、割当計算部130により計画された割り当てについての目標毎の評価値を参照し、追尾性能を示す評価値が所定の閾値以下である場合、そのような評価値を有する目標を他のグループに属するセンサ200に割り当てる。割当調整部140は、他のグループに属するセンサ200の中から、割り当ての変更対象の目標に対して所定の閾値を超える評価値が得られるセンサ200を探し出すことにより、新たな割り当てを決定する。なお、割当調整部140が参照する評価値は、各評価項目の評価値の合計値であってもよいし、いずれかの評価項目の評価値であってもよい。
【0050】
次に、制御部100aの動作の流れについて説明する。
図7は、実施の形態2にかかる追尾システム10aの制御部100aの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図7に示したフローチャートは、ステップS200が追加されている点で、
図5に示したフローチャートと異なっている。以下、
図5に示したフローチャートと異なる点について説明する。
【0051】
本実施の形態では、ステップS103の後、処理はステップS200へ移行する。すなわち、割当計算部130が、グループ毎に割り当てを計画すると、処理はステップS200へ移行する。
ステップS200において、割当調整部140は、上述したように、グループを横断して割り当てを調整する。
その後、処理は、ステップS104へ移行する。
【0052】
以上、実施の形態2について説明した。本実施の形態によれば、割当調整部140により、グループを横断した割り当ての調整が行われる。このため、追尾性能を向上することができる。
【0053】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。本実施の形態は、割り当て結果を、グループ決定部120bが利用する点で、実施の形態1と異なっている。
図8は、実施の形態3にかかる追尾システム10bの構成の一例を示すブロック図である。追尾システム10bは、制御部100が制御部100bに置き換わった点で、実施の形態1にかかる追尾システム10と異なっている。制御部100bは、グループ決定部120がグループ決定部120bに置き換わった点で、実施の形態1にかかる制御部100と異なっている。グループ決定部120bの処理は、例えば、プロセッサ183が、メモリ182からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで行われる。以下、実施の形態1と異なる点について説明し、重複する説明は適宜省略する。
【0054】
グループ決定部120bは、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果を利用する点で、実施の形態1にかかるグループ決定部120と異なる。グループ決定部120bは、グループの更新の間隔に、割り当て結果を利用する。具体的には、グループ決定部120bは、所定の時間が経過する度に、目標とセンサ200のグループ分けを再度行うが、その際、所定の時間として次のような時間を用いる。すなわち、本実施の形態では、更新の間隔を定める所定の時間は、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果に対して所定の基準に従って算定される評価値に基づいて定められた時間である。ここで、所定の基準にしたがって算定される評価値として、上述した追尾性能を示す評価値が用いられてもよい。具体的には、例えば、各グループの計画のそれぞれの評価値の合計に基づいて、上述の所定の時間が定められてもよい。評価値が低いほど、より短期間で更新が行われるように、所定の時間が設定されることが好ましい。換言すると、評価値が高いほど、より長期間で更新が行われるように、所定の時間が設定されることが好ましい。このようにすることにより、適切ではないグループ分けが行われている場合には、早期にグループ分けの再設定を行うことができる。
【0055】
また、グループ決定部120bは、目標とセンサ200のグループ分けを再度行う場合、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果を参照して、グループ分けを行う。例えば、グループ決定部120bは、あるグループにおいて、割り当てられた目標数が少ないセンサ200があれば、そのセンサ200は別のグループに移すように、グループの更新を行ってもよい。すなわち、グループ決定部120bは、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果において、割り当てられた目標の数が第1の閾値以下であるセンサ200がある場合、当該センサ200を他のグループに移動させるようグループの更新を行ってもよい。また、グループ決定部120bは、あるグループにおいて、目標数に対してセンサ200が不足していれば、当該グループのセンサ200の数を増やすようにグループの更新を行ってもよい。すなわち、グループ決定部120bは、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果において、割り当てられた目標の数が第2の閾値以上であるセンサ200がある場合、当該センサが属するグループのセンサ200の数を増やすように更新を行ってもよい。このように、再度行われるグループ分けの際に、前回のグループ分けの結果を参照することにより、より適切なグループ分けを行うことができる。
【0056】
次に、制御部100bの動作の流れについて説明する。本実施の形態にかかる制御部100bの動作の流れは、
図5に示した実施の形態1にかかる制御部100の動作の流れと同様である。ただし、本実施の形態では、ステップS105において、更新タイミングの到来が判定される際、上述のようにして定められた所定の時間が用いられる。また、グループの更新タイミングが到来すると(ステップS105でYes)、グループ決定部120bは、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果を参照して、グループ分けを行う。
【0057】
以上、実施の形態3について説明した。本実施の形態では、グループ決定部120bは、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果を利用する。第1に、グループ決定部120bは、グループの更新の間隔に、割り当て結果を利用する。これにより、割り当て結果に応じて更新間隔を調整することができる。また、第2に、グループ決定部120bは、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果を参照して、グループ分けを行う。これにより、前回のグループ分けの結果を次のグループ分けに反映させることができる。なお、本実施の形態では、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果の利用として、上述した2つの利用方法を示したが、いずれか一方の利用方法だけが採用されてもよい。
【0058】
<実施の形態4>
次に、実施の形態4について説明する。本実施の形態は、ユーザからの情報に従ってグループ分けが行われる点で、実施の形態1と異なっている。
図9は、実施の形態4にかかる追尾システム10cの構成の一例を示すブロック図である。追尾システム10cは、制御部100が制御部100cに置き換わった点で、実施の形態1にかかる追尾システム10と異なっている。制御部100cは、設定受付部150が追加され、グループ決定部120がグループ決定部120cに置き換わっている点で、実施の形態1にかかる制御部100と異なっている。設定受付部150及びグループ決定部120cの処理は、例えば、プロセッサ183が、メモリ182からソフトウェア(コンピュータプログラム)を読み出して実行することで行われる。以下、実施の形態1と異なる点について説明し、重複する説明は適宜省略する。
【0059】
設定受付部150は、目標とセンサ200のグループへの分類についての設定情報の入力を受付ける。例えば、設定受付部150は、追尾システム10cのコンピュータ180に接続されたマウス、キーボードなどの入力装置を介して、設定情報を取得してもよいし、ネットワークを介して追尾システム10cが受信した設定情報を取得してもよい。また、設定受付部150は、予めメモリ182などに記憶された設定情報を読み出すことにより、設定情報を取得してもよい。例えば、作業員(ユーザ)は、ディスプレイに表示された目標情報を確認しながら追尾状況をリアルタイムに把握及び分析し、その結果に基づいて、追尾システム10cに反映させる設定情報を作成してもよい。
【0060】
グループ決定部120cは、設定受付部150が受付けた設定情報を用いて、グループを決定する点で、実施の形態1にかかるグループ決定部120と異なる。
【0061】
設定情報は、例えば、グループ数を指定する情報であってもよいし、グループを構成する目標又はセンサ200を指定する情報であってもよい。また、設定情報は、グループの生成ルールであってもよい。例えば、生成ルールは、「目標の数がpでセンサの数がqの場合、グループ数はrにする」などのように、目標の数及びセンサの数からグループ数を指定するルールであってもよい。また、生成ルールは、予め定められた条件(例えば、目標の位置、移動方向などの条件)に該当する目標を所定の1以上のセンサ200(例えば、3つのセンサA、B、C)と同一のグループに属させることを指定するルールであってもよい。
【0062】
次に、制御部100cの動作の流れについて説明する。
図10は、実施の形態4にかかる追尾システム10cの制御部100cの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図10に示したフローチャートは、ステップS400が追加されている点で、
図5に示したフローチャートと異なっている。以下、
図5に示したフローチャートと異なる点について説明する。
【0063】
本実施の形態では、ステップS101の後、処理はステップS400へ移行する。すなわち、グループの分類を決定する前に、ステップS400の処理が行われる。
ステップS400において、設定受付部150は、目標とセンサ200のグループへの分類についての設定情報を取得する。
その後、処理は、ステップS102へ移行する。ステップS102では、グループ決定部120cは、ステップS400で取得された設定情報を用いて、目標とセンサ200を、グループに分類する。
以降、
図5に示したフローチャートと同様の処理が行われる。
【0064】
以上、実施の形態4について説明した。本実施の形態によれば、設定情報の入力が受付けられ、この設定情報を用いたグループ分けが行われる。このため、より柔軟なシステムの運用を可能にすることができる。なお、上述した説明では、設定情報として、グループを作成するための情報を例に挙げたが、設定情報はグループ分けの候補の中からいずれかを選択する指示であってもよい。例えば、グループ決定部120cはグループ分けの候補を複数作成し、ディスプレイなどを介して、それら複数のグループ分けの候補をユーザに提示する。これに対し、ユーザは、いずれかの候補を選択する指示を設定情報として入力してもよい。
【0065】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述した各実施の形態の特徴は適宜組み合わされてもよい。
【0066】
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0067】
(付記1)
N個(Nは2以上の整数)のセンサと、
前記センサのそれぞれに対応して設けられ、前記センサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成するN個の追尾処理部と、
前記追尾処理部により前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類するグループ決定部と、
前記M個のグループのそれぞれに対して設けられ、前記センサ及び前記追尾処理部に対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画するM個の割当計算部と
を有する追尾システム。
(付記2)
前記グループ決定部は、前記監視対象物の数に応じて前記グループの数を決定する
付記1に記載の追尾システム。
(付記3)
前記グループ決定部は、前記監視対象物の位置と、前記センサの検出可能領域とに基づいて、同一の前記グループに分類する前記監視対象物及び前記センサを決定する
付記1又は2に記載の追尾システム。
(付記4)
前記グループ決定部は、所定の時間が経過する度に、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行い、
前記割当計算部は、グループ分けが再度行なわれた場合、新たなグループ分けに従って、前記割り当ての計画を行う
付記1乃至3のいずれか1項に記載の追尾システム。
(付記5)
前記所定の時間は、前記監視対象物の種類、前記センサの種類、及び前記監視対象物の数のうちの少なくとも1つに応じた時間である
付記4に記載の追尾システム。
(付記6)
前記所定の時間は、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果に対して所定の基準に従って算定される評価値に基づいて定められた時間である
付記4に記載の追尾システム。
(付記7)
前記グループ決定部は、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行う場合、前回のグループ分けに従った計画の計算負荷を参照して、グループ分けを行う
付記4乃至6のいずれか1項に記載の追尾システム。
(付記8)
前記グループ決定部は、前記監視対象物と前記センサのグループ分けを再度行う場合、前回のグループ分けに従って計画された割り当て結果を参照して、グループ分けを行う
付記4乃至6のいずれか1項に記載の追尾システム。
(付記9)
前記割当計算部により計画された割り当てが、所定の条件を満たす割り当て結果である場合、第1のグループに属する一部の前記監視対象物を、第2のグループに属する前記センサに割り当てる割当調整部をさらに有する
付記1乃至8のいずれか1項に記載の追尾システム。
(付記10)
前記監視対象物と前記センサのグループへの分類についての設定情報の入力を受付ける設定受付部をさらに有し、
前記グループ決定部は、前記設定情報を用いて、グループを決定する
付記1乃至9のいずれか1項に記載の追尾システム。
(付記11)
N個(Nは2以上の整数)のセンサと、前記センサのそれぞれに対応して設けられ、前記センサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成するN個の追尾処理部とを備える追尾システムが、
前記追尾処理部により前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類し、
前記センサ及び前記追尾処理部に対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画する
計画方法。
(付記12)
センサからの出力情報に基づいて、少なくとも監視対象物の位置に関する情報を含む対象物情報を生成する、N個(Nは2以上の整数)のセンサそれぞれに対応するN個の追尾処理ステップと、
前記追尾処理ステップで前記対象物情報が生成された監視対象物と、前記N個のセンサとを、M個(MはN以下の整数)のグループに分類するグループ決定ステップと、
前記センサ及び前記追尾処理ステップに対する前記監視対象物の割り当てをグループ毎に計画する、前記M個のグループのそれぞれに対応するM個の割当計算ステップと
をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0068】
1、10、10a、10b、10c 追尾システム
2、200 センサ
3、300 追尾処理部
4、120、120b、120c グループ決定部
5、130 割当計算部
100、100a、100b、100c 制御部
110 識別部
140 割当調整部
150 設定受付部
180 コンピュータ
181 ネットワークインタフェース
182 メモリ
183 プロセッサ