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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】無線給電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/05 20160101AFI20241210BHJP
【FI】
H02J50/05
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020173473
(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公開番号】P2022064691
(43)【公開日】2022-04-26
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 智紀
(72)【発明者】
【氏名】長野 昌明
(72)【発明者】
【氏名】谷野 光平
(72)【発明者】
【氏名】久保 正彦
(72)【発明者】
【氏名】角 昂祐
(72)【発明者】
【氏名】吉丸 弘佑
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-114773(JP,A)
【文献】特開2012-085404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L5/00-5/42
B60M1/00-7/00
H02J50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電子機器を支持可能なレール部と、
前記電子機器に電界結合方式によって無線で電力を供給する2本の電極と、
前記2本の電極を保持する保持部材と、を備え、
前記2本の電極は、前記レール部の長手方向に沿って延びており、前記レール部の幅方向において前記レール部を挟むように配置され
前記保持部材は、
本体部と、
前記本体部から外側に向かって前記幅方向に突出し、前記2本の電極の各々に対応して設けられ、前記幅方向及び前記長手方向と交差する前記レール部の厚み方向において互いに対向した一対の第1凸部及び一対の第2凸部を備え、
前記2本の電極の一方は、前記一対の第1凸部の一方と前記一対の第2凸部の一方とによって挟持され、
前記2本の電極の他方は、前記一対の第1凸部の他方と前記一対の第2凸部の他方とによって挟持されている無線給電装置。
【請求項2】
前記一対の第1凸部の各々は、前記第2凸部の各々へ向けて突出した突起を、前記一対の第1凸部の各々の先端部に備え、
前記突起は、前記一対の第1凸部及び前記一対の第2凸部によって挟持された前記2本の電極の各々が前記一対の第1凸部及び前記一対の第2凸部の間から抜け出ることを規制する請求項に記載の無線給電装置。
【請求項3】
前記突起の各々は、前記本体部の外側に向かうように前記一対の第2凸部に対して傾斜する傾斜面を有する請求項に記載の無線給電装置。
【請求項4】
前記保持部材は、前記レール部と係合可能な係合部を備える請求項からのいずれか1項に記載の無線給電装置。
【請求項5】
少なくとも1つの電子機器を支持可能なレール部と、
前記電子機器に電界結合方式によって無線で電力を供給する2本の電極と、
前記2本の電極を保持する保持部材と、を備え、
前記2本の電極は、前記レール部の長手方向に沿って延びており、前記レール部の幅方向において前記レール部を挟むように配置され、
前記保持部材は、前記レール部と係合可能な係合部を備えている無線給電装置。
【請求項6】
前記レール部は、
底部と、
前記底部の前記幅方向の両端部から、前記幅方向及び前記長手方向と交差する前記レール部の厚み方向に突出した一対の側部と、
前記一対の側部の各々から、その外側に向かって前記幅方向に突出した一対のフランジ部と、を備え、
前記係合部は、前記一対のフランジ部の各々を前記レール部の厚み方向の両側から挟持する請求項に記載の無線給電装置。
【請求項7】
前記保持部材は、前記電子機器に設けられている請求項からのいずれか1項に記載の無線給電装置。
【請求項8】
少なくとも1つの電子機器を支持可能なレール部と、
前記電子機器に電界結合方式によって無線で電力を供給する2本の電極と、
前記2本の電極を保持する保持部材と、を備え、
前記2本の電極は、前記レール部の長手方向に沿って延びており、前記レール部の幅方向において前記レール部を挟むように配置され、
前記保持部材は、前記電子機器に設けられている無線給電装置。
【請求項9】
少なくとも1つの電子機器を支持可能なDINレールと、
前記電子機器に電界結合方式によって無線で電力を供給する2本の電極と、を備え、
前記2本の電極は、前記DINレールの長手方向に沿って延びており、前記DINレールの幅方向において前記DINレールを挟むように配置されている無線給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール部に支持された電子機器に無線で電力を供給する無線給電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レール部に支持された電子機器に無線で電力を供給する無線給電装置が知られている。例えば、特許文献1には、U形ベースを有するハット形マウンティングレールのU形自由スペース内に、エネルギー伝送インターフェイスが配置されたシステムが開示されている。このシステムでは、ハット形マウンティングレールに設置されたバス加入者モジュールに、エネルギー伝送インターフェイスから無線で電力が供給される。
【0003】
無線で電力を供給するための方式の一つに、電界結合方式がある。電界結合方式は、送電側と受電側との各々に電極を設け、これらの電極が互いに近づいたときに発生する電界を利用して電力を伝送する方式である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5928495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたシステムが、エネルギー伝送インターフェイスからバス加入者モジュールに電界結合方式で電力を供給するものである場合、以下の問題がある。
【0006】
この場合、エネルギー伝送インターフェイスが送電側の電極となり、バス加入者モジュールに受電側の電極が設けられる。特許文献1に開示されたシステムでは、エネルギー伝送インターフェイス(送電側の電極)の配置エリアがハット形マウンティングレールのU形自由スペース内に限定される。そのため、送電側の電極の幅を広くすることが困難である。よって、大きな電力をバス加入者モジュールへ供給することは困難である。
【0007】
従って、本発明の目的は、前記課題を解決することにあって、レール部に支持された電子機器へ電界結合方式によって無線で電力を供給するための電極の幅を、レール部の内に電極が配置された構成よりも広く確保することができる無線給電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の一態様に係る無線給電装置は、
少なくとも1つの電子機器を支持可能なレール部と、
前記電子機器に電界結合方式によって無線で電力を供給する2本の電極と、を備え、
前記2本の電極は、前記レール部の長手方向に沿って延びており、前記レール部の幅方向において前記レール部を挟むように配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レール部に支持された電子機器へ電界結合方式によって無線で電力を供給するための電極の幅を、レール部の内に電極が配置された構成よりも広く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る無線給電装置の平面図。
図2図1におけるA-A断面図。
図3】本発明の第1実施形態に係る無線給電装置の等価回路の回路図。
図4】本発明の第1実施形態の変形例に係る無線給電装置の図1におけるA-A断面に対応する図。
図5】本発明の第2実施形態に係る無線給電装置の平面図。
図6図5におけるB-B断面図。
図7】本発明の第3実施形態に係る無線給電装置の平面図。
図8図7におけるC-C断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様に係る無線給電装置は、
少なくとも1つの電子機器を支持可能なレール部と、
前記電子機器に電界結合方式によって無線で電力を供給する2本の電極と、を備え、
前記2本の電極は、前記レール部の長手方向に沿って延びており、前記レール部の幅方向において前記レール部を挟むように配置されている。
【0012】
この構成によれば、電極がレール部の外部に配置されている。そのため、レール部の大きさや形状に制限されることなく、電極を大きくすることができる。
【0013】
この構成によれば、2本の電極がレール部を挟んで互いに反対側に配置されている。そのため、2本の電極が互いに干渉する可能性を低くすることができる。
【0014】
前記2本の電極を保持する保持部材を更に備えていてもよい。この構成によれば、保持部材が2本の電極を保持するため、2本の電極の配置位置を安定させることができる。
【0015】
前記保持部材は、本体部と、前記本体部から外側に向かって前記幅方向に突出し、前記2本の電極の各々に対応して設けられ、前記幅方向及び前記長手方向と交差する前記レール部の厚み方向において互いに対向した一対の第1凸部及び一対の第2凸部を備え、前記2本の電極の一方は、前記一対の第1凸部の一方と前記一対の第2凸部の一方とによって挟持され、前記2本の電極の他方は、前記一対の第1凸部の他方と前記一対の第2凸部の他方とによって挟持されていてもよい。この構成によれば、各電極を各第1凸部及び各第2凸部の間に保持することができる。
【0016】
前記一対の第1凸部の各々は、前記第2凸部の各々へ向けて突出した突起を、前記一対の第1凸部の各々の先端部に備え、前記突起は、前記一対の第1凸部及び前記一対の第2凸部によって挟持された前記2本の電極の各々が前記一対の第1凸部及び前記一対の第2凸部の間から抜け出ることを規制していてもよい。この構成によれば、各電極が各第1凸部及び各第2凸部の間から抜け出ることを防止することができる。
【0017】
前記突起の各々は、前記本体部の外側に向かうように前記一対の第2凸部に対して傾斜する傾斜面を有していてもよい。この構成によれば、電極が第1凸部及び第2凸部の間に挿入されるとき、電極が突起の面を押すことによって、第1凸部に、第2凸部から離れる向きの力が作用する。これにより、第1凸部が撓み、第1凸部と第2凸部との間の間隔が広くなる。その結果、電極を第1凸部及び第2凸部の間に容易に挿入することができる。
【0018】
前記保持部材は、前記レール部と係合可能な係合部を備えていてもよい。この構成によれば、係合部がレール部と係合することによって、保持部材がレール部によって保持される。
【0019】
前記レール部は、底部と、前記底部の前記幅方向の両端部から、前記幅方向及び前記長手方向と交差する前記レール部の厚み方向に突出した一対の側部と、前記一対の側部の各々から、その外側に向かって前記幅方向に突出した一対のフランジ部と、を備え、前記係合部は、前記一対のフランジ部の各々を前記レール部の厚み方向の両側から挟持してもよい。この構成によれば、係合部の構成を、レール部のフランジ部を挟持するという単純な構成とすることができる。
【0020】
前記保持部材は、前記電子機器に設けられていてもよい。この構成によれば、保持部材を配置するためのスペースと、電子機器を配置するためのスペースとを共用できる。そのため、保持部材及び電子機器の配置スペースを節約することができる。
【0021】
例えば、前記レール部は、DINレールである。
【0022】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る無線給電装置の平面図である。図2は、図1におけるA-A断面図である。
【0023】
無線給電装置10は、DINレール20に取り付けられた電子機器50に無線で電極を供給する。
【0024】
図1及び図2に示すように、無線給電装置10は、DINレール20と、電極30と、保持部材40とを備える。
【0025】
DINレール20は、ドイツ工業規格(DIN)に従って製造されている。第1実施形態では、DINレール20は、壁60に取り付けられる。DINレール20には、後述するように電子機器50が取り付け可能である。DINレール20は、レール部の一例である。
【0026】
DINレール20は、長手方向2に延びている。DINレール20の幅方向3の長さは、DINレール20の長手方向2の長さより短い。DINレール20の幅方向3は、平面視においてDINレール20の長手方向2と直交する。DINレール20の厚み方向4の長さは、DINレール20の幅方向3の長さより短い。DINレール20の厚み方向4は、DINレール20の長手方向2及びDINレール20の幅方向3と直交する。図2に示すように、DINレール20の断面は、概ねU字形状を有する。
【0027】
なお、以下の説明において、DINレール20の長手方向を長手方向2とし、DINレール20の幅方向を幅方向3とし、及びDINレール20の厚み方向を厚み方向4とする。また、以下の電極30及び保持部材40の説明において、電極30及び保持部材40がDINレール20と共に配置された状態において、長手方向2、幅方向3、及び厚み方向4が規定される。
【0028】
DINレール20は、底部21と、一対の側部22A,22Bと、一対のフランジ部23A,23Bとを備える。DINレール20は、板状の部材が屈曲されることによって、図2に示すような断面が概ねU字である形状に構成されている。
【0029】
図1に示すように、底部21は、長手方向2及び幅方向3に拡がっている。
【0030】
図2に示すように、一対の側部22A,22Bは、底部21の幅方向3の両端部から厚み方向4に突出している。つまり、一対の側部22A,22Bと底部21とは直交している。側部22Aは、底部21の幅方向3の一端部から突出している。側部22Bは、底部21の幅方向3の他端部から突出している。
【0031】
一対のフランジ部23A,23Bは、一対の側部22A,22Bの各々の先端部から、一対の側部22A,22Bの外側に向かって幅方向3に突出している。つまり、側部22A,22Bは、互いに反対方向へ突出している。また、フランジ部23Aと側部22Aとは直交しており、フランジ部23Bと側部22Bとは直交している。
【0032】
底部21には、複数の貫通孔(不図示)が形成されている。当該貫通孔にネジ等が挿入されることによって、DINレール20は、図2に示すように、壁60の壁面60aに取り付けられる。このとき、底部21が壁面60aに接触され、一対の側部22A,22Bが壁面60aから厚み方向4に突出した状態となる。
【0033】
図1に示すように、DINレール20は、少なくとも1つの電子機器50を支持可能である。図1では、2つの電子機器50が、DINレール20に支持されている。電子機器50は、例えば、電源装置、温度調節装置、センサユニット、通信ユニット、端子台等である。各電子機器50は、DINレール20と係合可能な溝を備えている。この溝が、一対の側部22A,22B及び一対のフランジ部23A,23Bと係合することによって、電子機器50はDINレール20に支持される。
【0034】
電極30は、銅やアルミニウム等の導電体で構成された板状の部材である。図1に示すように、電極30の長手方向2の長さは、電極30の幅方向3の長さより長い。つまり、電極30は、長手方向2に沿って延びている。図2に示すように、電極30の厚み方向4の長さは、電極30の幅方向3の長さより短い。なお、電極30の形状は、前述したような板状に限らず、例えば円柱形状等であってもよい。
【0035】
図1及び図2に示すように、無線給電装置10は、電極30として、2本の電極30A,30Bを備えている。2本の電極30A,30Bは、幅方向3に間隔を開けて配置されている。2本の電極30A,30Bの間には、DINレール20が位置している。つまり、2本の電極30A,30Bは、幅方向3において、DINレール20を挟むように配置されている。電極30Aは、一対の側部22A,22B及び一対のフランジ部23A,23Bのうち、側部22A及びフランジ部23Aの側に配置されている。電極30Bは、一対の側部22A,22B及び一対のフランジ部23A,23Bのうち、側部22B及びフランジ部23Bの側に配置されている。
【0036】
図3は、本発明の第1実施形態に係る無線給電装置10の等価回路の回路図である。
【0037】
図3において、無線給電装置10の電極30A,30Bは、DINレール20に支持された電子機器50へ、電界結合方式によって無線で電極を供給する。
【0038】
図3に示すように、電子機器50は、2つの電極51A,51Bを備えている。電極51A,51Bは、負荷52を介して電気的に接続されている。負荷52は、流れる電流を熱等に変換するデバイスであり、例えば、抵抗、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ等の種々の電子部品を有する回路である。電子機器50がDINレール20に支持された状態において、電子機器50の電極51Aは、無線給電装置10の電極30Aと対向しており、電子機器50の電極51Bは、無線給電装置10の電極30Bと対向している。
【0039】
無線給電装置10の電極30A,30Bは、交流電源70を介して電気的に接続されている。交流電源70の代わりに、直流電源が設けられ、直流電源と電極30A,30BとがD/Aコンバータを介して電気的に接続されてもよい。
【0040】
以上のように構成されることにより、互いに対向した電極30A,51Aと、互いに対向した電極30B,51Bとは、それぞれコンデンサとして機能する。交流電源70が作動されると、高周波の電流が、当該コンデンサを介して流れる。これにより、電極30A,30Bから電子機器50へ無線で電力が供給される。
【0041】
また、図1及び図2に示すように、保持部材40は、2本の電極30A,30Bを保持するものである。図2に示すように、保持部材40の断面は、概ねU字形状を有する。
【0042】
図2に示すように、保持部材40は、基部41と、一対の側部42A,42Bと、一対の凸部43A,43Bと、一対の凸部44A,44Bと、一対の凸部45A,45Bとを備える。
【0043】
第1実施形態において、基部41は、直方体形状である。基部41の長手方向2の長さは、基部41の幅方向3の長さより短い。基部41の厚み方向4の長さは、基部41の長手方向2の長さより短く、基部41の幅方向3の長さより短い。
【0044】
一対の側部42A,42Bは、基部41の幅方向3の両端部から厚み方向4に突出している。側部42Aは、基部41の幅方向3の一端部から突出している。側部42Bは、基部41の幅方向3の他端部から突出している。
【0045】
基部41及び一対の側部42A,42Bは、本体部の一例である。
【0046】
一対の凸部43A,43Bは、一対の側部41A,42Bの各々の先端部から幅方向3の内側へ突出している。つまり、一対の凸部43A,43Bは、互いに反対方向へ突出している。凸部43Aは、側部42Aの先端部から突出している。凸部43Bは、側部42Bの先端部から突出している。凸部43A,43Bは、幅方向3において基部41の面41aと対向している。
【0047】
凸部43Bの面43Baは、幅方向3に対して傾斜している。面43Baは、保持部材40の厚み方向4の外側を向く面である。面43Baは、保持部材40の幅方向3の外側へ向かうにしたがって、保持部材40の厚み方向4の外側へ向かうように延びている。
【0048】
一対の凸部44A,44Bは、一対の側部42A,42Bの各々の先端部から幅方向3の外側へ突出している。つまり、一対の凸部44A,44Bは、互いに反対方向へ突出している。凸部44Aは、側部42Aの先端部から突出している。凸部44Bは、側部42Bの先端部から突出している。一対の凸部44A,44Bは、一対の第2凸部の一例である。
【0049】
一対の凸部45A,45Bは、一対の側部42A,42Bの各々から外側に向かって幅方向3に突出している。つまり、一対の凸部45A,45Bは、互いに反対方向へ突出している。凸部45Aは、側部42Aから突出している。凸部45Aは、凸部44Aより側部41Aの基端側に位置している。凸部45Aは、凸部44Aと厚み方向4に対向している。凸部45Bは、側部42Bから突出している。凸部45Bは、凸部44Bより側部41Bの基端側に位置している。凸部45Bは、凸部44Bと厚み方向4に対向している。一対の凸部45A,45Bは、一対の第1凸部の一例である。
【0050】
第1実施形態において、凸部44Aと凸部45Aとは、幅方向3に同じ長さである。しかし、凸部44Aと凸部45Aとは、幅方向3に異なる長さであってもよい。同様に、凸部44Bと凸部45Bとは、幅方向3に同じ長さであるが、幅方向3に異なる長さであってもよい。
【0051】
凸部45Aは、突起46Aを備えている。突起46Aは、凸部45Aの先端部に設けられている。突起46Aは、凸部45Aから凸部44Aへ向けて厚み方向4に突出している。凸部45Bは、突起46Bを備えている。突起46Bは、凸部45Bの先端部に設けられている。突起46Bは、凸部45Bから凸部44Bへ向けて厚み方向4に突出している。
【0052】
突起46Aは、幅方向3の外側を向く面46Aaを備える。面46Aaは、保持部材40の幅方向3の外側を向く面である。面46Aaは、幅方向3に対して傾斜している。面46Aaは、保持部材40の幅方向3の内側へ向かうにしたがって、凸部44Aへ近づくように延びている。つまり、面46Aaは、側部42Aの外側に向かうように凸部44Aに対して傾斜している。
【0053】
突起46Bは、幅方向3の外側を向く面46Baを備える。面46Baは、保持部材40の幅方向3の外側を向く面である。面46Baは、幅方向3に対して傾斜している。面46Baは、保持部材40の幅方向3の内側へ向かうにしたがって、凸部44Bへ近づくように延びている。つまり、面46Baは、側部42Bの外側に向かうように凸部44Bに対して傾斜している。
【0054】
面46Aa,46Baは、傾斜面の一例である。
【0055】
以下、DINレール20に保持部材40が支持され、保持部材40に電極30A,30Bが保持される手順が説明される。当該手順は、典型的には以下の通りである。最初に、DINレール20が壁60の壁面60aに取り付けられる。次に、保持部材40がDINレール20に係合されることによって、保持部材40がDINレール20に支持される。次に、電極30A,30Bが保持部材40に挿入されることによって、電極30A,30Bが保持部材40に保持される。なお、DINレール20に保持部材40が支持され、保持部材40に電極30A,30Bが保持される手順は、前述とは異なっていてもよい。例えば、電極30A,30Bが保持部材40に保持された後に、保持部材40がDINレール20に係合されてもよい。
【0056】
以下に詳述するように、保持部材40は、DINレール20と係合して、DINレール20に支持される。
【0057】
DINレール20は、保持部材40の一対の側部42A,42Bの間に入り込んだ状態で、保持部材40を支持する。
【0058】
ここで、一対の側部42A,42Bの間の空間42aの奥側(基部41の面41aの側)は、空間42aの手前側よりも幅広となっている。空間42aの手前側には、一対の凸部43A,43Bがあるためである。一対の凸部43A,43Bの間の幅方向3の長さ(空間42aの手前側の幅方向3の長さ)は、DINレール20の側部22Aの外面から側部22Bの外面までの幅方向3の長さと略同一である。
【0059】
保持部材40の基部41の面41aと凸部43A,43Bとの間には、それぞれ隙間40bが形成されている。空間40aの奥側の幅方向3の長さは、隙間40bの幅方向3の長さを含めた長さとなる。つまり、空間40aの奥側の幅方向3の長さは、一対の側部42A,42Bの間の幅方向の長さとなる。空間40aの奥側の幅方向3の長さは、DINレール20のフランジ部23Aの先端部からフランジ部23Bの先端部までの幅方向3の長さと略同一である。
【0060】
一対の凸部43A,43Bの間に、DINレール20の底部21及び一対の側部22A,22Bが位置する。
【0061】
また、面41aと凸部43A,43Bとの間の各隙間40bに、DINレール20のフランジ部23A,23Bが挿入される。これにより、基部41の面41aと凸部43A,43Bとが、フランジ部23A,23Bを厚み方向4の両側から挟持する。つまり、保持部材40の基部41の面41aと凸部43A,43Bとが、DINレール20のフランジ部23A,23Bと係合する。その結果、保持部材40は、DINレール20によって支持される。保持部材40の基部41の面41aと凸部43A,43Bとは、係合部の一例である。
【0062】
保持部材40は、DINレール20によって支持される過程において、厚み方向4に沿ってDINレール20のフランジ部23A,23Bに接近される。このとき、保持部材40の凸部43Bの面43Baがフランジ部23Bに接触する。すると、フランジ部23Bから面43Baに反力が作用する。面43Baは幅方向3に対して傾斜しているため、この反力の一部は、凸部43Bを幅方向3の外側へ押す力となる。そのため、凸部43Bが幅方向3の外側へ撓む。これにより、一対の凸部43A,43Bの間の幅方向3の長さ(空間40aの手前側の幅方向3の長さ)が長くなるため、フランジ部23A,23Bが空間40aの手前側を通過して空間40aの奥側へ到達する。その結果、フランジ部23A,23Bが、面41aと凸部43A,43Bとの間の各隙間40bに挿入され、保持部材40がDINレール20に支持された状態となる。
【0063】
以下に詳述するように、保持部材40は、2本の電極30A,30Bを保持する。
【0064】
保持部材40の凸部44A,45Aの間には、隙間40cが形成されている。隙間40cの厚み方向4の長さは、電極30Aの厚み方向4の長さと略同一である。保持部材40の凸部44B,45Bの間には、隙間40dが形成されている。隙間40dの厚み方向4の長さは、電極30Bの厚み方向4の長さと略同一である。これにより、電極30Aは凸部44A,45Aの間に挟持され、電極30Bは凸部44B,45Bの間に挟持される。つまり、保持部材40は、電極30Aを保持する凸部44A,45Aと、電極30Bを保持する凸部44B,45Bとを備える。すなわち、保持部材40は、電極30Aに対応して、厚み方向4において互いに対向した凸部44A,45Aを備え、電極30Bに対応して、厚み方向4において互いに対向した凸部44B,45Bを備える。
【0065】
電極30Aは、保持部材40によって保持される過程において、保持部材40の幅方向3の外側から幅方向3に沿って凸部44A,45Aの先端部に接近される。ここで、凸部45Aの先端部には、突起46Aが設けられている。突起46Aがある部分では、凸部44A,45Aの間の厚み方向4の長さは、電極30Aの厚み方向4の長さより短い。そのため、電極30Aは、凸部45Aに設けられた突起46Aの面46Aaに接触して押圧する。面46Aaは幅方向3に対して傾斜しているため、面46Aaに作用する押圧力の一部は、凸部45Aを凸部44Aから離れるように厚み方向4へ撓ませる力となる。これにより、凸部44A,45Aの間隔が広がるため、電極30Aが突起46Aを通過して凸部44A,45Aの間に挿入される。その結果、電極30Aは、凸部44A,45Aに挟持された状態となり、保持部材40に支持される。当該状態において、電極30Aが凸部44A,45Aの間から抜け落ちることは、突起46Aによって規制される。
【0066】
電極30Bは、電極30Aと同様にして、幅方向3に沿って凸部44B,45Bの先端部に接近される。電極30Bが凸部45Bの先端部に設けられた突起46Bの面46Baを押圧することによって、凸部44B,45Bの間隔が広がる。これにより、電極30Bは、突起46Bを通過して、凸部44B,45Bに挟持された状態となり、保持部材40に支持される。当該状態において、電極30Bが凸部44B,45Bの間から抜け落ちることは、突起46Bによって規制される。
【0067】
第1実施形態によれば、電極30A,30BがDINレール20の外部に配置されている。そのため、DINレール20の大きさや形状に制限されることなく、電極30A,30Bを大きくすることができる。
【0068】
第1実施形態によれば、2本の電極30A,30BがDINレール20を挟んで互いに反対側に配置されている。そのため、2本の電極30A,30Bが互いに干渉する可能性を低くすることができる。
【0069】
第1実施形態によれば、保持部材40が2本の電極30A,30Bを保持するため、2本の電極30A,30Bの配置位置を安定させることができる。
【0070】
第1実施形態によれば、2本の電極30A,30Bの各々を凸部44A,45Aの間及び凸部44B,45Bの間に保持することができる。
【0071】
第1実施形態によれば、電極30Aが凸部44A,45Aの間から抜け出ること、及び電極30Bが凸部44B,45Bの間から抜け出ることが、突起46A,46Bによって防止可能である。
【0072】
第1実施形態によれば、電極30Aが凸部44A,45Aの間に挿入されるとき、電極30Aが突起46Aの面46Aaを押すことによって、凸部45Aに、凸部44Aから離れる向きの力が作用する。これにより、凸部45Aが撓み、凸部44A,45Aの間の間隔が広くなる。また、電極30Bが凸部44B,45Bの間に挿入されるとき、電極30Bが突起46Bの面46Baを押すことによって、凸部45Bに、凸部44Bから離れる向きの力が作用する。これにより、凸部45Bが撓み、凸部44B,45Bの間の間隔が広くなる。その結果、電極30Aを凸部44A,45Aの間に容易に挿入することができる。また、電極30Bを凸部44B,45Bの間に容易に挿入することができる。
【0073】
第1実施形態によれば、凸部43Aと基部41の面41aがDINレール20のフランジ部23Aと係合し、凸部43Bと基部41の面41aがDINレール20のフランジ部23Bと係合することによって、保持部材40がDINレール20によって保持される。
【0074】
第1実施形態によれば、一対の凸部43A,43Bと基部41の面41aとによってフランジ部23A,23Bを挟持するという単純な構成で、保持部材40とDINレール20とを係合させることができる。
【0075】
第1実施形態では、突起46A,46Bは、それぞれ凸部45A,45Bに設けられていた。しかし、突起46A,46Bは、それぞれ凸部44A,44Bに設けられていてもよい。この場合、一対の凸部44A,44Bが、一対の第2凸部に相当し、一対の凸部45A,45Bが、一対の第1凸部に相当する。また、突起46A,46Bは、凸部45A,45B及び凸部44A,44Bの双方に設けられていてもよい。
【0076】
第1実施形態では、凸部43A,43Bのうち、凸部43Bが幅方向3に対して傾斜する面43Baを有していた。しかし、凸部43Aが幅方向3に対して傾斜する面を有していてもよい。また、凸部43A,43Bの双方が幅方向3に対して傾斜する面を有していてもよい。
【0077】
第1実施形態では、DINレール20がレール部に相当していた。しかし、レール部は、電子機器50を取り付け可能なものであればよく、DINレール20に限らない。例えば、レール部は、複数の部材(例えば、底部21に相当する部材、及び一対の側部22A,22Bに相当する部材)が組み合わされることによってレール状に形成された部材であってもよい。この場合、レール部の一対の側部22A,22Bに相当する部材は、底部21に相当する部材に対して傾斜していてもよい。つまり、この場合、レール部の一対の側部22A,22Bに相当する部材は、長手方向2及び幅方向3と直交する厚み方向4ではなく、長手方向2及び幅方向3と直交していないが交差している厚み方向に沿って、底部21に相当する部材から延びていてもよい。
【0078】
保持部材40の形状は、2本の電極30A,30Bを保持できることを条件として、図1及び図2に示す形状に限らない。
【0079】
図4は、本発明の第1実施形態の変形例に係る無線給電装置の図1におけるA-A断面に対応する図である。以下、図4が参照されつつ、第1実施形態の変形例に係る無線給電装置10Aの構成が説明される。なお、以下の説明では、図1及び図2に示す無線給電装置10との相違点が説明される。一方で、図1及び図2に示す無線給電装置10との共通点については、同一の符号が付された上で、その説明が省略される。これは、後述する第2実施形態及び第3実施形態においても同様である。
【0080】
図4に示す無線給電装置10Aの保持部材40Aは、一対の凸部44A,44Bと一対の凸部45A,45Bとの代わりに、一対の凸部47A,47Bと一対の凸部48A,48Bとを備える。一対の凸部47A,47Bと一対の凸部48A,48Bとは、それぞれ一対の側部42A,42Bの各々から幅方向3の外側へ突出している。凸部47Aは、凸部48Aより側部42Aの先端側に位置している。凸部47Bは、凸部48Bより側部42Bの先端側に位置している。
【0081】
一対の凸部47A,47Bの先端部に、屈曲部49A,49Bが形成されている。屈曲部49Aは、幅方向3において凸部48Aと対向する。屈曲部49Bは、幅方向3において凸部48Bと対向する。屈曲部49Aの先端部に突起49Aaが形成され、屈曲部49Bの先端部に突起49Baが形成されている。突起49Aaは凸部48Aへ向けて突出し、突起49Baは凸部48Bへ向けて突出している。
【0082】
このように構成されていることにより、図4に示す構成では、突起49Aa及び凸部48Aと凸部47Aとの間の空間40eに電極30Aが保持され、突起49Ba及び凸部48Bと凸部47Bとの間の空間40fに電極30Bが保持される。また、図4に示す構成では、電極30A,30Bが保持される空間40e,40fは、それぞれ厚み方向4へ開口している。なお、図2に示す構成では、凸部44A,45Aの間の隙間40c(電極30Aが挿入される空間)、及び凸部44B,45Bの間の隙間40d(電極30Bが挿入される空間)は、それぞれ幅方向3へ開口していた。
【0083】
突起49Aaは、凸部48Aを向く面49Abを備える。面49Abは、厚み方向4に対して傾斜している。同様に、突起49Baは、凸部48Bを向く面49Bbを備える。面49Bbは、厚み方向4に対して傾斜している。
【0084】
電極30A,30Bは、保持部材40によって保持される過程において、厚み方向4に沿って突起49Aa,49Baの面49Ab,49Bbに接近される。電極30A,30Bは、面49Ab,49Bbに接触して押圧する。これにより、屈曲部49A,49Bが撓み、突起49Aaと凸部48Aとの間隔と、突起49Baと凸部48Bとの間隔とが、それぞれ広がる。その結果、電極30Aは、突起49Aa及び凸部48Aと凸部47Aとによって空間40eに保持され、電極30Bは、突起49Ba及び凸部48Bと凸部47Bとによって空間40fに保持される。
【0085】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態に係る無線給電装置の平面図である。図6は、図5におけるB-B断面図である。第2実施形態に係る無線給電装置10Bが第1実施形態に係る無線給電装置10と異なる点は、第2実施形態に係る無線給電装置10Bが保持部材40を備えていない点である。
【0086】
第2実施形態では、電極30A,30Bは、図6に示すように、壁60の壁面60aに取り付けられている。電極30A,30Bが壁面60aに取り付けられる構成は、公知の種々の構成が採用される。例えば、電極30A,30Bには、DINレール20と同様に、複数の貫通孔(不図示)が形成されていてもよい。この場合、当該貫通孔にネジ等が挿入されることによって、電極30A,30Bは、壁面60aに取り付け可能である。また、例えば、電極30A,30Bは、嵌合等の公知の手段によって壁面60aに取り付けられてもよい。
【0087】
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態に係る無線給電装置の平面図である。図8は、図7におけるC-C断面図である。第3実施形態に係る無線給電装置10Cが第1実施形態に係る無線給電装置10と異なる点は、無線給電装置10Cが電極30A,30Bを保持する保持部材40Bを備え、保持部材40Bが電子機器50に設けられている点である。
【0088】
図8に示すように、保持部材40Bの一対の側部42A,42Bは、電子機器50の面50aから幅方向3に突出している。つまり、第3実施形態では、電子機器50が、保持部材の本体部としても機能している。
【0089】
第3実施形態の無線給電装置10Cの保持部材40Bは、一対の側部42A,42Bに加えて、一対の凸部43A,43Bと、一対の凸部44A,44Bと、一対の凸部45A,45Bとを備える。第3実施形態では、一対の凸部43A,43Bと電子機器50の面50aとがDINレール20のフランジ部23A,23Bと係合する。また、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、凸部44A,45Aが電極30Aを挟持し、凸部44B,45Bが電極30Bを挟持する。これにより、電子機器50がDINレール20に支持されると共に、電子機器50に設けられた保持部材40Bが30A,30Bを保持する。
【0090】
第3実施形態によれば、保持部材40Bを配置するためのスペースと、電子機器50を配置するためのスペースとを共用できる。そのため、保持部材40B及び電子機器50の配置スペースを節約することができる。
【0091】
なお、前記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【0092】
本発明は、適宜図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0093】
2 長手方向
3 幅方向
4 厚み方向
20 DINレール(レール部)
21 底部
22A 側部
22B 側部
23A フランジ部
23B フランジ部
30A 電極
30B 電極
40 保持部材
41 基部(本体部)
41a 面(係合部)
42A 側部(本体部)
42B 側部(本体部)
43A 凸部(係合部)
43B 凸部(係合部)
44A 凸部(第2凸部)
44B 凸部(第2凸部)
45A 凸部(第1凸部)
45B 凸部(第1凸部)
46A 突起
46Aa 面(傾斜面)
46B 突起
46Ba 面(傾斜面)
50 電子機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8