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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】現像剤コンテナ、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
G03G15/08 343
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020200102
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022087946
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】林 幸一
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-087528(JP,A)
【文献】特開2018-049053(JP,A)
【文献】特開平07-306584(JP,A)
【文献】特開2014-209268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉状の現像剤を収容し、下面に前記現像剤の供給先に連通する供給口が形成された筐体と、
前記筐体によって回転可能に支持され、回転駆動される回転軸と、
前記回転軸に連結され、前記回転軸に連動して回転するときに前記筐体の内側下面における前記供給口に亘る領域を経由して旋回する先端縁部を有する可撓部材と、
前記回転軸における前記可撓部材に隣接する部分から鍔状に張り出して形成され、前記供給口の縁に沿う外縁部を有し、前記回転軸に連動して回転する回転板と、を備え、
前記回転板の前記外縁部における前記供給口側の面に、周方向に並ぶ複数の凸部が形成されている、現像剤コンテナ。
【請求項2】
粉状の現像剤を収容し、下面に前記現像剤の供給先に連通する供給口が形成された筐体と、
前記筐体によって回転可能に支持され、回転駆動される回転軸と、
前記回転軸に連結され、前記回転軸に連動して回転するときに前記筐体の内側下面における前記供給口に亘る領域を経由して旋回する先端縁部を有する可撓部材と、
前記回転軸における前記可撓部材に隣接する部分から鍔状に張り出して形成され、前記供給口の縁に沿う外縁部を有し、前記回転軸に連動して回転する回転板と、を備え、
前記回転板の前記外縁部に、周方向に並ぶ複数の凹部が形成されている、現像剤コンテナ。
【請求項3】
前記回転板が、前記回転軸に直交する面に対し傾斜して形成されている、請求項1または請求項2に記載の現像剤コンテナ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の現像剤コンテナと、
表面に静電潜像が形成される感光体と、
前記現像剤コンテナから供給される前記現像剤によって前記静電潜像を現像する現像部と、
前記感光体の表面の像をシートに転写する転写部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤のブリッジを防ぐ構造を有する現像剤コンテナおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置において、現像剤コンテナが現像部へ現像剤を供給し、前記現像部が、感光体の表面の静電潜像を現像する。前記現像剤コンテナは、下面に前記現像部に連通する供給口が形成された筐体と、前記筐体内に配置され回転駆動される回転体と、を備える。
【0003】
前記回転体が回転することにより、前記現像剤は前記供給口へ搬送され、さらに前記供給口を通じて前記現像部へ供給される。例えば、前記回転体は、軸部材および前記軸部材に連結された可撓部材を含む。前記可撓部材は、回転することによって前記現像剤を撹拌するフィルム材である。
【0004】
また、前記可撓部材が、その弾性力によって下方から前記筐体内における前記供給口が形成された部分へ前記現像剤を跳ね上げることが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-246268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記現像剤コンテナにおいて前記現像剤のブリッジを防ぐ必要がある。前記現像剤のブリッジは、前記現像剤が前記供給口を跨る状態で凝縮する現象である。前記現像剤のブリッジは、前記現像部への前記現像剤の供給を阻害する。
【0007】
前記回転体の回転速度を上げることは、前記現像剤のブリッジの防止に効果的である反面、前記現像剤の劣化を早める要因となる。そのため、前記回転体の回転速度を抑制しつつ前記現像剤のブリッジを防ぐことが重要である。また、前記現像剤コンテナの構造の簡素化が望まれている。
【0008】
本発明の目的は、回転体の回転速度を上げることなく、簡素な構造により現像剤のブリッジを防止できる現像剤コンテナおよびそれを備える画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る現像剤コンテナは、筐体と、回転軸と、可撓部材と、回転板と、を備える。前記筐体は、粉状の現像剤を収容し、下面に前記現像剤の供給先に連通する供給口が形成されている。前記回転軸は、前記筐体によって回転可能に支持され、回転駆動される。前記可撓部材は、前記回転軸に連結され、前記回転軸に連動して回転するときに前記筐体の内側下面における前記供給口に亘る領域を経由して旋回する先端縁部を有する。前記回転板は、前記回転軸における前記可撓部材に隣接する部分から鍔状に張り出して形成され、前記供給口の縁に沿う外縁部を有し、前記回転軸に連動して回転する。
【0010】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、前記現像剤コンテナと、感光体と、現像部と、転写部と、を備える。前記感光体は、表面に静電潜像が形成される部材である。前記現像部は、前記現像剤コンテナから供給される前記現像剤によって前記静電潜像を現像する。前記転写部は、前記感光体の表面の像をシートに転写する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回転体の回転速度を上げることなく、簡素な構造により現像剤のブリッジを防止できる現像剤コンテナおよびそれを備える画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係るトナーコンテナを備える画像形成装置の構成図である。
図2図2は、第1実施形態に係るトナーコンテナの構成図である。
図3図3は、第1実施形態に係るトナーコンテナの一部切り欠き正面図である。
図4図4は、第2実施形態に係るトナーコンテナの一部切り欠き正面図である。
図5図5は、第3実施形態に係るトナーコンテナの一部切り欠き正面図である。
図6図6は、第3実施形態に係るトナーコンテナにおける回転体の正面図である。
図7図7は、第4実施形態に係るトナーコンテナにおける回転体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
[第1実施形態:画像形成装置10の構成]
第1実施形態に係る現像剤コンテナ5は、電子写真方式の画像形成装置10の一部を構成している。
【0015】
画像形成装置10は、プリント処理を実行するプリント処理部4を備える。前記プリント処理は、シート9に画像を形成する処理である。シート9は、用紙または樹脂フィルムなどのシート状の画像形成媒体である。
【0016】
図1に示されるように、画像形成装置10は、本体100内に配置されたシート搬送機構3、プリント処理部4および現像剤コンテナ5などを備える。
【0017】
シート搬送機構3は、シート収容部101に収容されたシート9を、シート搬送路300へ送り出し、さらに、シート9をシート搬送路300に沿って搬送する。
【0018】
プリント処理部4は、感光体41、帯電装置42、現像装置43、転写装置44、クリーニング装置45、光走査ユニット46および定着装置47などを備える。
【0019】
ドラム状の感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の表面を帯電させる。光走査ユニット46が、帯電した感光体41の表面にビーム光を走査することにより、感光体41の表面に静電潜像を書き込む。これにより、感光体41の表面に前記静電潜像が形成される。
【0020】
現像装置43は、感光体41の表面に粉状の現像剤90を供給することにより、前記静電潜像を現像する。現像剤90はトナーである。現像装置43は、現像剤コンテナ5から供給される現像剤90によって前記静電潜像を現像する現像部の一例である。
【0021】
転写装置44は、感光体41の表面に形成された現像剤90の像を、シート搬送路300を移動中のシート9に転写する。転写装置44は転写部の一例である。定着装置47は、シート9上の現像剤90の像をシート9に定着させる。
【0022】
クリーニング装置45は、感光体41の表面に残存する現像剤90を除去する。現像剤コンテナ5は、現像剤90を現像装置43へ補給する。現像剤コンテナ5は、画像形成装置10の本体100に対して装着および取り外しが可能である。
【0023】
現像剤コンテナ5は、現像剤90を収容するコンテナ筐体50、そのコンテナ筐体50内に回転可能に支持された回転体51を備える。コンテナ筐体50の下面には、現像装置43の受入口430に連通する供給口500が形成されている。現像装置43は、現像剤コンテナ5による現像剤90の供給先である。
【0024】
回転体51は、コンテナ筐体50内で回転駆動されることによって現像剤90を撹拌する。さらに、回転体51は、コンテナ筐体50の供給口500から現像装置43へ現像剤90を送り出す。これにより、現像剤90は、自然落下により現像装置43へ供給される。
【0025】
ところで、現像剤コンテナ5において現像剤90のブリッジを防ぐ必要がある。現像剤90のブリッジは、現像剤90が供給口500を跨る状態で凝縮する現象である。現像剤90のブリッジは、現像装置43への現像剤90の供給を阻害する。
【0026】
回転体51の回転速度を上げることは、現像剤90のブリッジの防止に効果的である反面、現像剤90の劣化を早める要因となる。そのため、回転体51の回転速度を抑制しつつ現像剤90のブリッジを防ぐことが重要である。また、現像剤コンテナ5の構造の簡素化が望まれている。
【0027】
現像剤コンテナ5は、回転体51の回転速度を上げることなく現像剤90のブリッジを防止するための構成を備える。以下、現像剤コンテナ5の構成について説明する。
【0028】
[現像剤コンテナ5の構成]
図2,3に示されるように、現像剤コンテナ5の回転体51は、回転軸52、可撓部材53、回転板54およびギヤ55を備える。回転軸52は、コンテナ筐体50によって回転可能に支持されている。
【0029】
各図において、回転軸52に沿う方向が軸方向D1として表記され、軸方向D1に直交する水平な方向が横方向D2として記載され、鉛直方向が縦方向D3として表記されている。
【0030】
ギヤ55は、コンテナ筐体50の外側において、回転軸52の端部に連結されている。ギヤ55は、コンテナ筐体50の外部に配置された不図示の駆動部から回転力を受ける。これにより、回転軸52は、前記駆動部によって回転駆動される。
【0031】
可撓部材53は、例えばPET(ポリエチレンテレフタラート)などの合成樹脂を主成分とするフィルム状の部材である。そのため、可撓部材53は可撓性を有する。なお、可撓部材53が、塩化ビニルまたはポリカーボネートなどの他の合成樹脂がフィルム状に成型された部材であることも考えられる。
【0032】
可撓部材53は、回転軸52に連結された基端縁部53aと、基端縁部53aに対し反対側の縁部である先端縁部53bと、を有する。可撓部材53は、回転軸52に連動して回転する。基端縁部53aは固定端であり、先端縁部53bは自由端である。
【0033】
先端縁部53bは、可撓部材53が回転軸52に連動して回転するときに、回転軸52を中心に旋回する。先端縁部53bは、コンテナ筐体50の内側下面における供給口500に亘る領域を経由して旋回する。先端縁部53bは、コンテナ筐体50の内側下面に接しつつ旋回する。
【0034】
可撓部材53は、回転することによって現像剤90を撹拌する。さらに、可撓部材53は、その先端縁部53bが供給口500に沿って旋回するときにコンテナ筐体50内の現像剤90を、供給口500を通じて送り出す。
【0035】
回転板54は、回転軸52に連結されている。回転板54は、回転軸52における可撓部材53に隣接する部分から鍔状に張り出して形成されている。本実施形態において、回転板54は、回転軸52に直交する円板状に形成されている。回転板54は、回転軸52に連動して回転する。
【0036】
回転板54は、供給口500における軸方向D1の一端を成す縁である外側縁500aに沿う外縁部54aを有する。
【0037】
回転板54の外縁部54aは、供給口500の縁部に存在する現像剤90を解す。また、回転軸52の回転速度が遅くても、回転板54は、連続的に現像剤90を解し続ける。従って、現像剤コンテナ5は、回転体51の回転速度を上げることなく現像剤90のブリッジを防ぐ。
【0038】
さらに、回転板54の回転は、現像剤90の撹拌への影響が小さいため、現像剤90の劣化への影響が小さい。また、回転板54は、回転し続けても現像剤90の送り出しへの影響が小さい。
【0039】
また、現像剤コンテナ5は、搬送スクリューを備えておらず、簡易な構造によって現像剤90のブリッジを防ぐ。
【0040】
[第2実施形態]
次に、図4を参照しつつ、第2実施形態に係る現像剤コンテナ5xについて説明する。図4において、図2,3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0041】
以下、現像剤コンテナ5xにおける現像剤コンテナ5と異なる点について説明する。現像剤コンテナ5xは、現像剤コンテナ5における回転板54が回転板54xに置き換えられた構成を備える。
【0042】
回転板54xは、回転軸52に連結されている。回転板54xは、回転軸52における可撓部材53に隣接する部分から鍔状に張り出して形成されている。本実施形態において、回転板54xは、回転軸52に直交する面に対し傾斜して形成されている。
【0043】
回転板54xも、供給口500の外側縁500aに沿う外縁部54aを有する。回転板54xの外縁部54aは、供給口500の付近において軸方向D1に揺動する。そのため、現像剤コンテナ5xは、供給口500の縁部に存在する現像剤90を解す効果がより高い。
【0044】
[第3実施形態]
次に、図5,6を参照しつつ、第3実施形態に係る現像剤コンテナ5yについて説明する。図5,6において、図2,3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0045】
以下、現像剤コンテナ5yにおける現像剤コンテナ5と異なる点について説明する。現像剤コンテナ5yは、現像剤コンテナ5における回転板54が回転板54yに置き換えられた構成を備える。
【0046】
回転板54yは、回転軸52に連結されている。回転板54yは、回転軸52における可撓部材53に隣接する部分から鍔状に張り出して形成されている。
【0047】
本実施形態において、回転板54yの外縁部54aにおける供給口500側の面に、周方向に並ぶ複数の凸部54bが形成されている。これにより、回転板54yの外縁部54aにおける供給口500側の面は、凹凸状に形成されている。
【0048】
現像剤コンテナ5yは、回転板54yが複数の凸部54bを有することにより、供給口500の縁部に存在する現像剤90を解す効果がより高い。なお、回転板54yが現像剤コンテナ5xに適用されてもよい。
【0049】
[第4実施形態]
次に、図7を参照しつつ、第4実施形態に係る現像剤コンテナについて説明する。図5,6において、図2,3に示される構成要素と同じ構成要素は、同じ参照符号が付されている。
【0050】
以下、本実施形態における現像剤コンテナ5と異なる点について説明する。本実施形態における現像剤コンテナは、現像剤コンテナ5における回転板54が回転板54zに置き換えられた構成を備える。
【0051】
回転板54zは、回転軸52に連結されている。回転板54zは、回転軸52における可撓部材53に隣接する部分から鍔状に張り出して形成されている。
【0052】
本実施形態において、回転板54zの外縁部54aに、周方向に並ぶ複数の凹部54cが形成されている。これにより、回転板54yの外縁部54aが、周方向において凹凸状に形成されている。
【0053】
本実施形態が採用されることにより、供給口500の縁部に存在する現像剤90を解す効果がより高い現像剤コンテナを実現することができる。なお、回転板54zが現像剤コンテナ5xに適用されてもよい。
【符号の説明】
【0054】
5,5x,5y:現像剤コンテナ
10 :画像形成装置
41 :感光体
42 :帯電装置
43 :現像装置
44 :転写装置
50 :コンテナ筐体
51 :回転体
52 :回転軸
53 :可撓部材
53a :基端縁部
53b :先端縁部
54 :回転板
54a :外縁部
54x,54y,54z:回転板
55 :ギヤ
90 :現像剤
500 :供給口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7