(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】クリーニング装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/165 401
(21)【出願番号】P 2020201914
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-11-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 創
(72)【発明者】
【氏名】梅本 浩章
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-082687(JP,A)
【文献】特開2009-196293(JP,A)
【文献】特開2020-006543(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0225699(US,A1)
【文献】特表2020-511330(JP,A)
【文献】特開2015-039781(JP,A)
【文献】特開2017-019622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する液滴吐出部の吐出面に接触して前記吐出面を清掃するクリーニング部材を複数、備え、
前記複数の前記クリーニング部材は、湿潤状態とされている、
クリーニング装置。
【請求項2】
前記複数の前記クリーニング部材が前記吐出面から吸収した吸収物が、前記クリーニング部材内で固着することを防止する固着防止部を備える、
請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記固着防止部は、少なくとも前記吐出面の清掃時に前記複数の前記クリーニング部材を前記湿潤状態とするように構成されている、
請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記複数の前記クリーニング部材は、所定方向に並んで配置されており、前記吐出面に対して前記所定方向に相対移動可能に構成されている、
請求項2または請求項3に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記湿潤状態のクリーニング部材における含水量を調整する調整部を備え、
前記調整部は、前記クリーニング部材における含水量を、調整前の含水量よりも減少させるように調整する、
請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記調整部は、前記複数の前記クリーニング部材のうち、上流側クリーニング部材よりも、前記複数の前記クリーニング部材の移動方向における下流側に位置する下流側クリーニング部材の含水量を、前記上流側クリーニング部材の含水量よりも少なくする、
請求項5に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記調整部は、前記複数の前記クリーニング部材が、前記所定方向における往路と復路とを往復移動する場合、前記複数の前記クリーニング部材のうち、前記含水量を少なくする方のクリーニング部材を前記往路と前記復路とで切り替え可能に構成される、
請求項6に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記クリーニング部材は、水分を吸収可能な弾性部材で構成され、かつ、ブレード部材およびローラー部材の何れかで構成される、
請求項5~7の何れか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記調整部は、前記液滴吐出部における清掃種別に応じて前記含水量の調整量を、自動またはユーザーの操作によって設定可能に構成されている、
請求項5~8の何れか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記複数の前記クリーニング部材は、前記所定方向における往路と復路との間を往復移動し、
前記複数の前記クリーニング部材の少なくとも一部は、
前記吐出面と接触可能な接触状態と、前記吐出面と接触不能な非接触状態とに遷移可能に構成され、
前記往路への移動および前記復路への移動に応じて前記接触状態と前記非接触状態とに切り替え可能に構成される、
請求項4~9の何れか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記固着防止部は、湿潤液を貯留した貯留部を有し、
前記複数の前記クリーニング部材は、前記貯留部内の前記湿潤液に浸ることにより前記湿潤状態となる、
請求項2~10の何れか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
前記貯留部は、前記複数の前記クリーニング部材の全てを前記湿潤液内に浸すことが可能な1つの領域を有する、
請求項11に記載のクリーニング装置。
【請求項13】
液滴を記録媒体に吐出する液滴吐出部と、
請求項1~12の何れか1項に記載のクリーニング装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項14】
前記複数の前記クリーニング部材を前記湿潤状態とする湿潤液を貯留する貯留部に前記湿潤液を供給/排出可能な供給排出部を備える、
請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記貯留部内の前記湿潤液の液量を検出する液量検出部と、
前記液量検出部の検出結果に基づいて前記貯留部内の前記液量が適正量になるように前記湿潤液を前記貯留部に供給するように前記供給排出部を制御する制御部と、
を備える、
請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記液量検出部の検出結果に基づいて、前記供給排出部により前記貯留部内に前記湿潤液が供給された時間に応じて、エラー状態であることを報知する報知部を備える、
請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記複数の前記クリーニング部材による清掃状態に応じて前記貯留部内の前記湿潤液を排出するように前記供給排出部を制御する、
請求項15または請求項16に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を記録媒体に吐出して画像を形成する画像形成装置において、液滴吐出部における液滴の吐出面に液滴が固着すると、液滴の吐出性能に影響を与えるため、従来、湿潤状態のクリーニング部材で吐出面を清掃する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、湿潤液で湿潤させた第1当接部材と、第1当接部材よりも乾燥した第2当接部材とを有し、第1当接部材および第2当接部材が吐出面に接触してワイプすることで、吐出面の拭き残しを低減する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、当接部材で吐出面を拭き取ることで吸収した吸収物が乾燥して固着した場合、固着した吸収物(固着物)を含む当接部材で吐出面を清掃すると、当該固着物で吐出面を傷つけるおそれがあった。吐出面が傷つくと、吐出部分(ノズル)が欠けて、吐出性能が悪化したり、吐出面の劣化等に起因してクリーニング性能が悪化するおそれがあった。
【0006】
本発明の目的は、クリーニング部材で吸収した吸収物の固着に起因して吐出面を傷つけることを抑制することが可能なクリーニング装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るクリーニング装置は、
液滴を吐出する液滴吐出部の吐出面に接触して前記吐出面を清掃するクリーニング部材を複数、備え、
前記複数の前記クリーニング部材は、湿潤状態とされている。
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、
液滴を記録媒体に吐出する液滴吐出部と、
上記のクリーニング装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、クリーニング部材で吸収した吸収物の固着に起因して吐出面を傷つけることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】本実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【
図4】画像形成装置におけるクリーニング装置の清掃制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図5A】各クリーニング部材に調整部を設けたクリーニング装置の構成を示す図である。
【
図5B】各クリーニング部材に調整部を設けたクリーニング装置の構成を示す図である。
【
図6A】接触状態/非接触状態に遷移可能な第1クリーニング部材を設けたクリーニング装置の構成を示す図である。
【
図6B】接触状態/非接触状態に遷移可能な第1クリーニング部材を設けたクリーニング装置の構成を示す図である。
【
図7】クリーニング部材をローラー部材としたクリーニング装置の構成を示す図である。
【
図8】各クリーニング部材をブレード部材およびローラー部材としたクリーニング装置の構成を示す図である。
【
図9】供給排出部を設けたクリーニング装置の構成を示す図である。
【
図10】画像形成装置における湿潤液の供給制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図11】画像形成装置における湿潤液の排出制御の動作例を示すフローチャートである。
【
図12】本実施の形態に係る検証実験の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、画像形成装置1は、インクジェット方式の画像形成装置であり、ベルト搬送装置2、記録ヘッド3およびクリーニング装置4等を備えている。
【0013】
ベルト搬送装置2には、所定の間隔をおいて平行に配置された駆動ローラー21および従動ローラー22に亘って所定幅の無端状の搬送ベルト23が張架されている。駆動ローラー21および従動ローラー22に架け渡された搬送ベルト23の上面は、記録媒体Pを密着させて載置する載置面とされている。
【0014】
なお、搬送ベルト23の表面には、搬送中の記録媒体Pを搬送ベルト23の上面に密着させるための粘着剤が塗布されている。また、駆動ローラー21は、図示しない副走査モーターによって駆動される。
【0015】
ベルト搬送装置2では、駆動ローラー21が副走査モーターの回転駆動によって、
図1中の反時計方向(矢印を参照)に所定速度で回転することにより、従動ローラー22との間に架け渡された搬送ベルト23を回転移動させる。かかる動作により、搬送ベルト23の上面に載置されている記録媒体Pは、副走査方向である図中の矢印A方向に向けて搬送される。
【0016】
記録媒体Pには、例えば、紙、布帛、プラスチックフィルム、ガラス板等、インクジェット記録に通常使用される記録媒体を使用することができる。記録媒体Pは、所定サイズに裁断されたシート状であってもよいし、ロール状に巻回された元巻から連続して繰り出される長尺状であってもよい。
【0017】
なお、ベルト搬送装置2における記録媒体Pの搬送面とは反対側には、図示しないベルトクリーニング装置が設けられている。このベルトクリーニング装置によって、搬送ベルト23に付着した異物が除去される。
【0018】
記録ヘッド3は、複数の記録素子(インクジェットヘッド)を有しており、搬送ベルト23上の記録媒体Pが載置される面の上方に所定の間隔をおいて配設されている。記録ヘッド3は、その下面に設けられた多数のノズルにおける吐出面3Aからインク滴(液滴)を吐出することにより、搬送ベルト23の回転移動によって搬送される記録媒体P上に所望の画像を記録する。記録ヘッド3は、本発明の「液滴吐出部」に対応する。
【0019】
本実施の形態では、記録ヘッド3は、搬送ベルト23の幅方向に亘って固定状に架け渡され、連続的に搬送される記録媒体P上にインク滴を吐出することによって画像を記録するライン型の記録ヘッドが用いられる。この場合、記録時に、搬送ベルト23は、連続的に移動(回転動作)するように、駆動ローラー21の駆動が制御される。
【0020】
なお、記録ヘッド3は、図示しないキャリッジに搭載されて、間欠的に搬送される記録媒体Pの搬送方向と直交する主査方向に往復移動するシャトル型の記録ヘッドが用いられても良い。この場合、記録時に、搬送ベルト23は、待機状態と駆動状態を繰り返す間欠動作を行うように、駆動ローラー21の駆動が制御される。
【0021】
クリーニング装置4は、記録ヘッド3が吐出するインク滴の吐出面3Aをクリーニングする装置であり、清掃部41と、固着防止部42と、調整部43とを有する(
図3参照)。クリーニング装置4は、画像形成時においては、記録ヘッド3の吐出面3Aに対応する位置とは異なる位置に配置されている。なお、
図1では、搬送ベルト23の幅方向において、記録ヘッド3に対応する位置の外側に配置されたものが例示されている。クリーニング装置4の詳細については後述する。
【0022】
図2は、画像形成装置1の主要な機能構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、制御部100、記録ヘッド駆動部110、搬送駆動部120、入出力インターフェース130、クリーニング駆動部140および報知部150を備える。
【0023】
制御部100は、CPU101(Central Processing Unit)、RAM102(Random Access Memory)、ROM103(Read Only Memory)および記憶部104を有する。
【0024】
CPU101は、ROM103に記憶された各種制御用のプログラムや設定データを読み出してRAM102に記憶させ、当該プログラムを実行して各種の演算処理を行う。また、CPU101は、画像形成装置1の全体動作を統括的に制御する。
【0025】
RAM102は、CPU101に作業用のメモリー空間を提供し、一時データを記憶する。なお、RAM102は、不揮発性メモリーを含んでいても良い。
【0026】
ROM103は、CPU101により実行される各種制御用のプログラムや設定データ等を格納する。なお、ROM103に代えて、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリー等の書き換え可能な不揮発性メモリーが用いられても良い。
【0027】
記憶部104には、入出力インターフェース130を介して外部装置6から入力されたプリントジョブ(画像記録命令)および当該プリントジョブに係る画像データが記憶される。記憶部104としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)が用いられ、また、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等が併用されても良い。
【0028】
記録ヘッド駆動部110は、制御部100の制御に基づいて記録ヘッド3に対して適切なタイミングで画像データに応じた駆動信号を供給することにより、記録ヘッド3のノズルから画像データの画素値に応じた量のインクを吐出させる。
【0029】
搬送駆動部120は、制御部100の制御に基づいて駆動ローラー21の副走査モーターに駆動信号を供給することにより、搬送ベルト23を所定の速度およびタイミングで回転移動させる。
【0030】
入出力インターフェース130は、外部装置6と制御部100との間におけるデータの送受信を媒介する。入出力インターフェース130は、例えば各種シリアルインターフェース、各種パラレルインターフェースの何れか、または、これらの組み合わせで構成される。
【0031】
外部装置6は、例えばパーソナルコンピューターであり、入出力インターフェース130を介して画像記録命令(プリントジョブ)および画像データ等を制御部100に供給する。
【0032】
クリーニング駆動部140は、例えば、制御部100の制御に基づいてクリーニング装置4に駆動信号を供給することによりクリーニング装置4を移動させる。
【0033】
報知部150は、画像形成装置1における表示部や音声出力部等のユーザーに所定の情報を報知可能な部分である。
【0034】
次に、クリーニング装置4の詳細について説明する。
図3は、クリーニング装置4の構成を示す図である。なお、本実施の形態のクリーニング装置4の構造を説明するにあたり、直交座標系(X,Y,Z)を使用する。後述する図においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。例えば、
図3等においては、紙面の奥行き方向をX方向、左右方向をY方向、上下方向をZ方向としている。
【0035】
図3に示すように、クリーニング装置4は、上述したように、清掃部41と、固着防止部42と、調整部43とを有しており、記録ヘッド3の吐出面3Aに対してY方向(所定方向)に相対移動可能に構成されている。クリーニング装置4は、例えば、吐出面3Aの清掃時において、記録ヘッド3におけるY方向の端部に対応する位置に設けられ、Y方向に相対移動することによって、吐出面3Aに付着したインク滴Dを拭き取るようにして清掃する。
【0036】
なお、クリーニング装置4がY方向に移動することで、吐出面3Aがクリーニング装置4によって清掃されても良いし、記録ヘッド3がY方向に移動することで、吐出面3Aがクリーニング装置4によって清掃されても良い。また、記録ヘッド3が移動不能な構成である場合、クリーニング装置4が移動可能な領域を確保するため、例えば、ベルト搬送装置2が当該領域から退避するように構成される。また、記録ヘッド3が移動可能な構成である場合、例えば、クリーニング装置4が、ベルト搬送装置2とはY方向で異なる位置に配置されており、記録ヘッド3がクリーニング装置4に対応する位置に移動するように構成される。また、Y方向は、搬送ベルト23の搬送方向や、搬送ベルト23の幅方向等、適宜な方向とすることができる。
【0037】
清掃部41は、記録ヘッド3の吐出面3Aのインク滴D(液滴)を清掃する第1クリーニング部材411Aおよび第2クリーニング部材411B(複数のクリーニング部材411)を有する。なお、以下の説明では第1クリーニング部材411Aおよび第2クリーニング部材411Bを特に区別しない場合は、単にクリーニング部材411と称することとする。
【0038】
複数のクリーニング部材411は、インク滴D(水分)を吸収可能な弾性部材(例えば、スポンジ等)であり、上下方向に延びるブレード部材で構成されている。複数のクリーニング部材411は、上端部分で記録ヘッド3の吐出面3Aに接触可能になるように配置されており、Y方向に並んで配置されている。
【0039】
第1クリーニング部材411Aは、クリーニング装置4の清掃開始時において、第2クリーニング部材411Bよりも記録ヘッド3に近い位置に配置されている。言い換えると、第2クリーニング部材411Bは、クリーニング装置4が相対的に移動する方向(以下、移動方向、矢印A1参照)において、第1クリーニング部材411Aよりも下流側に配置されている。第1クリーニング部材411Aは、本発明の「上流側クリーニング部材」に対応し、第2クリーニング部材411Bは、本発明の「下流側クリーニング部材」に対応する。
【0040】
固着防止部42は、複数のクリーニング部材411が吐出面3Aから吸収した吸収物がクリーニング部材411内で固着することを防止するためのものであり、複数のクリーニング部材411を湿潤状態とするための湿潤液Wを貯留した貯留部421を有している。湿潤液Wは、例えば純水等、吐出面3Aを清掃可能な液体である限り、どのようなものであっても良い。
【0041】
複数のクリーニング部材411は、下端部が貯留部421内に位置するように配置されており、貯留部421の湿潤液Wに浸っている。これにより、複数のクリーニング部材411は、湿潤状態とされている。つまり、固着防止部42は、複数のクリーニング部材411を常時、湿潤状態とするように構成されている。
【0042】
このように、複数のクリーニング部材411が湿潤状態とされることで、吐出面3Aに付着したインク滴Dをクリーニング部材411が拭き取った際に、クリーニング部材411によって吸収された吸収物(インク滴)が乾燥して固着することを防止することが可能となっている。
【0043】
また、貯留部421は、第1貯留部421Aおよび第2貯留部421Bで構成されている。第1貯留部421Aは、第1クリーニング部材411Aを湿潤状態とするための貯留部であり、第1クリーニング部材411Aに対応して配置されている。第2貯留部421Bは、第2クリーニング部材411Bを湿潤状態とするための貯留部であり、第2クリーニング部材411Bに対応して配置されている。
【0044】
なお、各クリーニング部材411は、クリーニング装置4が移動する構成の場合、貯留部421内に固定され、貯留部421が移動するように構成されていても良い。また、各クリーニング部材411は、記録ヘッド3が移動する構成の場合、貯留部421等、適宜な位置に固定されていても良い。
【0045】
調整部43は、湿潤状態のクリーニング部材411における含水量を、調整前の含水量よりも減少させるように調整するものであり、第2貯留部421B内に配置されている。調整部43は、第2貯留部421Bの側壁に向けて第2クリーニング部材411Bを押圧するように構成された押圧部材で構成されている。
【0046】
具体的には、調整部43は、例えばクリーニング部材411のY方向の表面に平行な板状の部材で構成されており、Y方向に移動することでクリーニング部材411を押圧可能に構成されている(矢印B1参照)。
【0047】
調整部43は、第2クリーニング部材411Bを第2貯留部421Bの側壁に押し付けることで、第2クリーニング部材411Bに含まれる水分を搾り出して、第2クリーニング部材411Bの含水量を減少させる側に調整可能に構成されている。つまり、調整部43は、第2クリーニング部材411Bの含水量を第1クリーニング部材411Aの含水量よりも少なくすることが可能に構成されている。なお、調整部43は、クリーニング部材411の含水量を調整可能な構成である限り、どのような構成であっても良い。
【0048】
調整部43は、記録ヘッド3における清掃種別に応じて第2クリーニング部材411Bの含水量の調整量(減少量)を設定可能に構成されている。調整部43は、制御部100の制御の下、自動で上記の調整量を設定する。なお、上記の調整量は、ユーザーの操作によって設定されても良い。
【0049】
例えば、調整部43は、記録ヘッド3におけるノズルの欠や曲がりを回復するためのパージを行った後の清掃においては、含水量が少なくなるように調整量を設定する。パージは、記録ヘッド3のノズルからインク滴を強制的に吐出するものであるので、パージが行われた後、吐出面3Aには、液状のインク滴が多くなる。そのため、この場合、含水量の少ないクリーニング部材411で拭き取る方が当該インク滴を吸収しやすい。
【0050】
本実施の形態では、この場合、第2クリーニング部材411Bの含水量が少なくなるように調整量を設定することで、第2クリーニング部材411Bの湿潤状態を維持しつつも、第1クリーニング部材411Aによる拭き取り後の吐出面3Aのインク滴を第2クリーニング部材411Bで確実に吸収することができる。
【0051】
また、調整部43は、記録ヘッド3におけるインク滴の固着汚れを除去するための清掃においては、第2クリーニング部材411Bの含水量が多くなるように調整量を設定する。具体的には、調整部43は、第2クリーニング部材411Bが十分な湿潤状態となるように、例えば、調整量を0に設定して、第2クリーニング部材411Bへの押圧を解除する。
【0052】
このようにすることで、十分な湿潤状態である複数のクリーニング部材411によって、吐出面3Aを清掃することにより、上記の固着汚れを除去しやすくすることができる。
【0053】
以上のように構成された画像形成装置1におけるクリーニング装置4の清掃制御の動作例について説明する。
図4は、画像形成装置1におけるクリーニング装置4の清掃制御の動作例を示すフローチャートである。
図4における処理は、例えば、画像形成装置1が清掃制御の実行指令を受け付けた際に適宜実行される。
【0054】
図4に示すように、制御部100は、パージが行われた後の清掃制御であるか否かについて判定する(ステップS101)。判定の結果、パージが行われた後の清掃制御である場合(ステップS101、YES)、制御部100は、調整部43で含水量の調整を行う(ステップS102)。
【0055】
一方、パージが行われた後の清掃制御ではない場合(ステップS101、NO)、制御部100は、調整部43で含水量の調整を行わない(ステップS103)。ステップS102またはステップS103の後、制御部100は、クリーニング装置4により清掃を行う(ステップS104)。ステップS104の後、本制御は終了する。
【0056】
以上のように構成された本実施の形態によれば、複数のクリーニング部材411が湿潤状態とされているので、吐出面3Aから拭き取って吸収したインク滴の吸収物が固着することを防止することができる。
【0057】
クリーニング部材で吸収した吸収物が固着すると、その吸収物(固着物)を含むクリーニング部材で吐出面を清掃すると、固着物で吐出面を傷つけるおそれがある。
【0058】
それに対し、本実施の形態では、クリーニング部材411で吸収した吸収物の固着を防止することができるので、吸収物の固着に起因して吐出面3Aを傷つけることを抑制することができる。その結果、クリーニング装置4におけるクリーニング性能を向上させることができる。
【0059】
また、複数のクリーニング部材411で吐出面3Aを清掃するので、第1クリーニング部材411Aで拭き残したインク滴を第2クリーニング部材411Bで清掃することができる。その結果、クリーニング装置4におけるクリーニング性能を向上させることができる。
【0060】
また、第2クリーニング部材411Bの含水量を調整前の含水量よりも減少させることができるので、清掃種別に応じて第2クリーニング部材411Bの含水量を調整することができる。その結果、状況に応じて適切な清掃を行うことができ、ひいてはクリーニング装置4におけるクリーニング性能を向上させることができる。
【0061】
また、複数のクリーニング部材411が湿潤液Wに浸っているので、クリーニング部材411が乾燥することがない。そのため、クリーニング部材411内に吸収された吸収物が固着することを確実に防止することができ、ひいては、クリーニング装置4におけるクリーニング性能を向上させることができる。
【0062】
また、クリーニング部材411がブレード部材で構成されているので、クリーニング装置4の構成を簡素化することができる。
【0063】
なお、上記実施の形態では、調整部43が第2クリーニング部材411Bの含水量のみを調整可能であったが、本発明はこれに限定されない。例えば
図5Aおよび
図5Bに示すように、調整部43が複数のクリーニング部材411の全ての含水量を調整可能であっても良い。
【0064】
この構成では、例えば複数のクリーニング部材411が、Y方向(所定方向)における往路と復路との間を往復移動する際、往路における清掃と、復路における清掃とを行う場合、各調整部43における調整の有無を切り替えることが可能である。往路は、Y方向の+側に向かう方向(
図5Aの矢印A1の方向)への経路である。復路は、Y方向の-側に向かう方向(
図5Bの矢印A2の方向)への経路である。
【0065】
具体的には、
図5Aに示すように、往路における清掃の際、調整部43は、クリーニング部材411の移動方向(矢印A1参照)における上流側に位置する第1クリーニング部材411Aよりも下流側に位置する第2クリーニング部材411Bの含水量を調整する。
【0066】
つまり、調整部43は、第2クリーニング部材411Bのみを押圧して(矢印B1参照)、第2クリーニング部材411Bの含水量のみを調整前の含水量よりも減少させる。往路における清掃の際の第1クリーニング部材411Aは、本発明の「上流側クリーニング部材」に対応し、往路における清掃の際の第2クリーニング部材411Bは、本発明の「下流側クリーニング部材」に対応する。
【0067】
そして、
図5Bに示すように、復路における清掃の際、調整部43は、クリーニング部材411の移動方向(矢印A2参照)における上流側に位置する第2クリーニング部材411Bよりも下流側に位置する第1クリーニング部材411Aの含水量を調整する。
【0068】
つまり、第1クリーニング部材411Aのみを押圧して(矢印B2参照)、第1クリーニング部材411Aの含水量のみを調整前の含水量よりも減少させる。復路における清掃の際の第2クリーニング部材411Bは、本発明の「上流側クリーニング部材」に対応し、復路における清掃の際の第1クリーニング部材411Aは、本発明の「下流側クリーニング部材」に対応する。
【0069】
すなわち、調整部43は、複数のクリーニング部材411がY方向における往路と復路とを往復移動する際、複数のクリーニング部材411のうち、含水量を少なくする方のクリーニング部材411を往路と復路とで切り替え可能に構成される。
【0070】
このようにすることで、往路における清掃と、復路における清掃とで各クリーニング部材411における含水量の状態を適切なものとすることができる。
【0071】
また、移動方向における上流側に位置するクリーニング部材411についても、含水量を調整しても良い。移動方向における上流側に位置するクリーニング部材411は、
図5Aでは、第1クリーニング部材411Aであり、
図5Bでは、第2クリーニング部材411Bである。この場合、当該クリーニング部材411の含水量を、当該クリーニング部材411よりも下流側に位置するクリーニング部材411における含水量よりも多くなるように調整すると良い。
【0072】
また、上記実施の形態では、複数のクリーニング部材411が清掃時においては吐出面3Aに接触可能であったが、本発明はこれに限定されない。例えば、
図6Aおよび
図6Bに示すように、複数のクリーニング部材411の少なくとも一部が、吐出面3Aと接触可能な接触状態と、吐出面3Aと接触不能な非接触状態とに遷移可能に構成されていても良い。
【0073】
例えば、
図6Aおよび
図6Bに示す構成では、第1クリーニング部材411Aが接触状態と非接触状態とに遷移可能に構成されている。この構成では、第1貯留部421Aが吐出面3Aに対して進退可能に構成されている。具体的には、第1貯留部421Aが、第1クリーニング部材411Aが接触状態となる第1位置(
図6Aに示す位置)と、第1クリーニング部材411Aが非接触状態となる第2位置(
図6Bに示す位置)とに遷移可能に構成されている。
【0074】
第2位置は、例えば、第1位置よりも吐出面3Aから下方に退避した位置である。第1貯留部421Aが進退する機構については公知の技術を用いることが可能である。なお、
図6Aおよび
図6Bに示す構成では、調整部43は、第2クリーニング部材411Bに対応する位置に設けられている。
【0075】
このような構成とすることで、例えば複数のクリーニング部材411が、Y方向における往路と復路との間を往復移動する際、往路の移動および復路の移動に応じて第1クリーニング部材411Aが接触状態と非接触状態とに切り替わるようにすることが可能である。
【0076】
例えば、
図6Aに示すように、往路では、第1クリーニング部材411Aを接触状態とし、第2クリーニング部材411Bの含水量を減少させて、吐出面3Aの清掃を行う。そして、
図6Bに示すように、復路では、第1クリーニング部材411Aを非接触状態とし、第2クリーニング部材411Bを、往路の状態のままとする。
【0077】
こうすることで、復路により、清掃前の位置にクリーニング部材411を戻す際に、含水量を減少させた第2クリーニング部材411Bで吐出面3Aを拭き取りつつ、含水量の多い第1クリーニング部材411Aが、吐出面3Aに触れないようにすることが可能となる。
【0078】
含水量が十分な第1クリーニング部材411Aを接触させると、往路では吐出面3Aのインク滴を十分に吸収することができるが、復路で元の位置に戻る際に、再度第1クリーニング部材411Aが吐出面3Aと接触すると、吸収したインク滴が吐出面3Aに吐き出される可能性がある。
【0079】
しかし、こうすることで、第1クリーニング部材411Aで吸収したインク滴を復路の移動によって吐出面3Aに吐き出すことを抑制することができる。また、含水量を減少させた第2クリーニング部材411Bで二度拭き取るので、吐出面3Aにおける拭き残しの発生をさらに低減させることができる。
【0080】
また、上記実施の形態では、クリーニング部材411がブレード部材で構成されていたが、本発明はこれに限定されず、例えば
図7に示すように、ローラー部材412で構成されていても良い。
【0081】
この構成におけるローラー部材412(クリーニング部材)は、水分を吸収可能な弾性部材で構成される表層を有する。調整部44は、例えば、ローラー部材412の表層に接触可能な軸部材で構成される。調整部44は、表層に対して進退可能に構成され、ローラー部材412の軸との間で表層を挟み込むことで、ローラー部材412の含水量を調整可能である。
【0082】
このような構成では、ローラー部材412でクリーニング部材を構成することで、吐出面3Aに対するクリーニング部材の移動をスムーズにすることができる。また、ローラー部材412が回転することで、吐出面3Aの拭き取り部分を湿潤液Wで洗浄することができるので、クリーニング装置4におけるクリーニング性能を向上させることができる。
【0083】
また、
図8に示すように、ブレード部材413とローラー部材414とを組み合わせて複数のクリーニング部材を構成しても良い。この構成では、移動方向(矢印A1参照)の上流側にブレード部材413が設けられ、移動方向の下流側にローラー部材414が設けられている。
【0084】
また、この構成では、貯留部421は、2つのクリーニング部材の全てを浸すように構成されている。つまり、貯留部421は、複数のクリーニング部材の全てを湿潤液W内に浸すことが可能な1つの領域を有する。このように構成することで、クリーニング部材毎に領域分けする必要がないので、構成を簡素化することができる。
【0085】
また、上記実施の形態では、貯留部421内の湿潤液Wの供給や排出について言及されていなかったが、貯留部421内の湿潤液Wを供給排出可能な構成としても良い。
【0086】
例えば、
図9に示すクリーニング装置4は、供給排出部45と、液量検出部46とを有する。供給排出部45は、供給部451と、排出部452とを有する。供給部451は、湿潤液Wが貯留された図示しないタンク等に接続されており、例えば制御部100の制御の下、貯留部421内に湿潤液Wを供給する。
【0087】
排出部452は、貯留部421の内部と連通しており、例えば制御部100の制御の下、図示しないバルブ等を開放することで貯留部421内の湿潤液Wを排出する。
【0088】
液量検出部46は、貯留部421内の湿潤液Wの液量を検出するセンサーであり、クリーニング装置4の適宜な位置に設けられている。液量検出部46は、レーザー検知、フロートセンサー検知等、液面を検出可能なものでも良いし、液容量検知等、貯留部421の重量を検出可能なものでも良い。
【0089】
供給排出部45(供給部451)は、例えば制御部100の制御の下、液量検出部46の検出結果に基づいて貯留部421内の液量が適正量になるように湿潤液Wを供給する。適正量は、クリーニング部材411が、吐出面3Aを清掃する際に必要な程度に湿潤状態となることが可能な量であり、適宜な量に設定される。
【0090】
例えば、液量検出部46の検出結果により、貯留部421内の液量が適正量に達していない場合、制御部100が、供給部451を制御して、貯留部421内の液量が適正量になるようにする。こうすることで、貯留部421内の湿潤液Wの量を適正量に維持することができる。
【0091】
また、制御部100は、液量検出部46の検出結果に基づいて、供給部451の湿潤液Wの供給時間に応じて、エラー状態であるか否かについて判定する。例えば、制御部100は、湿潤液Wの供給時間が所定時間(例えば、60秒)となっても、液量(液量検出部46の検出結果)が適正量に達しない場合、エラー状態であると判定する。
【0092】
そして、制御部100は、エラー状態であると判定した場合、例えば、画像形成装置1の報知部150等に、エラー状態であることを報知する報知指令を出力する。この場合、報知部150は、クリーニング装置4がエラー状態であることをユーザーに報知する。
【0093】
これにより、ユーザーが貯留部421周辺で何らかの問題が発生していることを迅速に把握することができる。
【0094】
また、制御部100は、複数のクリーニング部材411による清掃状態に応じて貯留部421内の湿潤液Wを排出するように排出部452を制御する。例えば、複数のクリーニング部材411により所定回数(例えば、5回)以上清掃が行われた場合、ある程度、クリーニング部材411で拭き取ったインク滴により、湿潤液Wが汚れていると考えられる。
【0095】
そのため、この場合、制御部100は、貯留部421内の湿潤液Wを排出する。そして、制御部100は、湿潤液Wを排出後、供給部451を制御して、貯留部421内に湿潤液Wを供給する。
【0096】
こうすることで、貯留部421に貯留される湿潤液Wを適正な状態に維持することができる。なお、清掃状態の判定については、上記のように、清掃回数によって行っても良いし、液濃度や液の透過度を検出するセンサーの検出結果に基づいて行っても良い。また、上記の清掃回数(所定回数)は、画像形成装置1の規模や記録ヘッド3の大きさに応じて適宜設定可能である。
【0097】
供給排出部45を有する画像形成装置1におけるクリーニング装置4の湿潤液Wの供給制御の動作例について説明する。
図10は、画像形成装置1における湿潤液Wの供給制御の動作例を示すフローチャートである。
図10における処理は、例えば、画像形成装置1が清掃制御の実行指令を受け付けた際に適宜実行される。
【0098】
図10に示すように、制御部100は、湿潤液Wが適正量であるか否かについて判定する(ステップS201)。判定の結果、湿潤液Wが適正量である場合(ステップS201、YES)、本制御は終了する。
【0099】
一方、湿潤液Wが適正量ではない場合(ステップS201、NO)、制御部100は、湿潤液Wを供給するように供給部451を制御する(ステップS202)。次に、制御部100は、湿潤液Wの供給を開始してから所定時間経過しても湿潤液Wが適正量ではないか否かについて判定する(ステップS203)。
【0100】
判定の結果、所定時間経過して湿潤液Wが適正量である場合(ステップS203、NO)、制御部100は、湿潤液Wの供給を停止する(ステップS204)。一方、所定時間経過して湿潤液Wが適正量ではない場合(ステップS203、YES)、制御部100は、湿潤液Wの供給を停止して、エラー状態であることを報知する(ステップS205)。ステップS204またはステップS205の後、本制御は終了する。
【0101】
次に、供給排出部45を有する画像形成装置1におけるクリーニング装置4の湿潤液Wの排出制御の動作例について説明する。
図11は、画像形成装置1における湿潤液Wの排出制御の動作例を示すフローチャートである。
図11における処理は、例えば、画像形成装置1が清掃制御の実行指令を受け付けた際に適宜実行される。
【0102】
図11に示すように、制御部100は、クリーニング装置4の清掃回数が所定回数以上であるか否かについて判定する(ステップS301)。判定の結果、清掃回数が所定回数未満である場合(ステップS301、NO)、本制御は終了する。
【0103】
一方、清掃回数が所定回数以上である場合(ステップS301、YES)、制御部100は、湿潤液Wを排出するように排出部452を制御する(ステップS302)。ステップS302の後、本制御は終了する。なお、本制御が終了した後、
図10に示すフローチャートに係る制御が実行される。
【0104】
また、上記実施の形態では、クリーニング部材が2つ設けられていたが、本発明はこれに限定されず、クリーニング部材が3つ以上設けられていても良い。
【0105】
また、上記実施の形態では、クリーニング部材が貯留部内の湿潤液に常時浸っていたが、本発明はこれに限定されず、清掃時において湿潤状態とされている限り、クリーニング部材が貯留部内に湿潤液に常時浸っていなくても良い。
【0106】
また、上記実施の形態では、貯留部内の湿潤液に浸ることでクリーニング部材が湿潤状態とされていたが、本発明はこれに限定されず、例えば湿潤液を付与可能な装置等、その他の固着防止部により湿潤状態とされていても良い。
【0107】
また、上記実施の形態では、調整部が設けられていたが、本発明はこれに限定されず、調整部が設けられていなくても良い。
【0108】
次に、本実施の形態に係るクリーニング装置4における検証実験について説明する。当該検証実験は、
図1に示す画像形成装置1を用い、インクとしては、染料インク(水性インク)を用いた。クリーニング装置4としては、例えば
図8に示す構成のように、ブレード部材およびローラー部材を有する清掃部を備える構成とした。また、クリーニング条件としては、クリーニング装置4における移動速度は50mm/s、ローラー部材の回転速度は50mm/s、調整部における押し込み量は1mm、湿潤液は純水とした。
【0109】
本検証実験では、パージを行った後の清掃において、吐出面の傷が発生するか否かについての確認を行った。比較例は、特許文献1に記載の構成のように、クリーニング部材が、湿潤液に常に浸っていない構成とした。
【0110】
図12に示すように、比較例の構成では、清掃回数が増えるにつれ吐出面の傷に起因した不具合の検出回数が比較的高い頻度で検出されていることが確認された(破線L1参照)。具体的には、清掃回数がN回(約500回程度)で数百個以上もの不具合が検出された。
【0111】
それに対し、本実施の形態では、清掃回数がN回で20個未満の不具合が検出され、比較例に対して、大幅に不具合検出回数が低減されたことが確認された(実線L2参照)。すなわち、本実施の形態では、吸収物の固着に起因して吐出面を傷つけることを抑制することができ、ひいてはクリーニング装置におけるクリーニング性能を向上させることができることが確認された。
【0112】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置
2 ベルト搬送装置
3 記録ヘッド
3A 吐出面
4 クリーニング装置
21 駆動ローラー
22 従動ローラー
23 搬送ベルト
41 清掃部
42 固着防止部
43 調整部
44 調整部
45 供給排出部
46 液量検出部
100 制御部
110 記録ヘッド駆動部
120 搬送駆動部
130 入出力インターフェース
140 クリーニング駆動部
150 報知部
411 クリーニング部材
411A 第1クリーニング部材
411B 第2クリーニング部材
412 ローラー部材
413 ブレード部材
414 ローラー部材
421 貯留部
421A 第1貯留部
421B 第2貯留部
451 供給部
452 排出部
W 湿潤液