IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図1
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図2
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図3
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図4
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図5
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図6
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図7
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図8
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図9
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図10
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図11
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図12
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図13
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図14
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図15
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図16
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図17
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図18
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図19
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図20
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図21
  • 特許-駆動装置、及び、駆動装置の制御方法 図22
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】駆動装置、及び、駆動装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/015 20060101AFI20241210BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J2/015 101
B41J2/01 207
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020212702
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098988
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】折原 大地
(72)【発明者】
【氏名】上柳 雅史
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-240563(JP,A)
【文献】特開2016-182800(JP,A)
【文献】特開2020-138352(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0193903(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電極を具備し、第1配線を介して前記駆動電極に供給される駆動信号により駆動される圧電素子と、
前記第1配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記駆動信号により駆動された前記圧電素子に生じる振動を、前記駆動電極の電位変化として第2配線を介して検出する検出回路と、
前記第2配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第2スイッチと、
前記圧電素子の状態を判定する判定回路と、
を備え、
前記第2スイッチは、
第1期間において、オフ状態を維持し、
前記第1期間に後続する第2期間において、オン状態を維持し、
前記第2期間に後続する第3期間において、オフ状態を維持し、
前記第3期間に後続する第4期間において、オン状態を維持し、
前記判定回路は、
前記第4期間のうちの少なくとも一部の期間における、
前記検出回路による検出結果に基づいて、
前記圧電素子の状態を判定
前記第1スイッチは、
前記第2期間のうち少なくとも一部の期間において、オン状態を維持する、
ことを特徴とする、駆動装置。
【請求項2】
前記第1スイッチは、
前記第3期間のうち少なくとも一部の期間において、オン状態を維持する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
駆動電極を具備し、第1配線を介して前記駆動電極に供給される駆動信号により駆動される圧電素子と、
前記第1配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記駆動信号により駆動された前記圧電素子に生じる振動を、前記駆動電極の電位変化として第2配線を介して検出する検出回路と、
前記第2配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第2スイッチと、
前記圧電素子の状態を判定する判定回路と、
前記第1配線及び前記第2配線を電気的に接続するか否かを切り替える第3スイッチと、
前記第3スイッチ及び前記第2配線の間に電気的に接続された第1抵抗と、
を備え、
前記第2スイッチは、
第1期間において、オフ状態を維持し、
前記第1期間に後続する第2期間において、オン状態を維持し、
前記第2期間に後続する第3期間において、オフ状態を維持し、
前記第3期間に後続する第4期間において、オン状態を維持し、
前記判定回路は、
前記第4期間のうちの少なくとも一部の期間における、
前記検出回路による検出結果に基づいて、
前記圧電素子の状態を判定
前記第3スイッチは、
前記第2期間において、オン状態を維持し、
前記第4期間において、オン状態を維持する、
ことを特徴とする、駆動装置。
【請求項4】
前記第3スイッチは、
前記第1期間において、オフ状態を維持し、
前記第3期間において、オフ状態を維持する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第2期間及び前記第4期間において、
前記駆動信号は、一定の電位を維持する、
ことを特徴とする、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
駆動電極を具備し、第1配線を介して前記駆動電極に供給される駆動信号により駆動される圧電素子と、
前記第1配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記駆動信号により駆動された前記圧電素子に生じる振動を、前記駆動電極の電位変化として第2配線を介して検出する検出回路と、
前記第2配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第2スイッチと、
を備える駆動装置の制御方法であって、
第1期間において、オフ状態を維持し、
前記第1期間に後続する第2期間において、オン状態を維持し、
前記第2期間に後続する第3期間において、オフ状態を維持し、
前記第3期間に後続する第4期間において、オン状態を維持しするように、
前記第2スイッチを制御し、
前記第2期間のうち少なくとも一部の期間において、オン状態を維持するように、
前記第1スイッチを制御し、
前記第4期間のうちの少なくとも一部の期間における、
前記検出回路による検出結果に基づいて、
前記圧電素子の状態を判定する、
ことを特徴とする、駆動装置の制御方法。
【請求項7】
駆動電極を具備し、第1配線を介して前記駆動電極に供給される駆動信号により駆動される圧電素子と、
前記第1配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第1スイッチと、
前記駆動信号により駆動された前記圧電素子に生じる振動を、前記駆動電極の電位変化として第2配線を介して検出する検出回路と、
前記第2配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第2スイッチと、
前記第1配線及び前記第2配線を電気的に接続するか否かを切り替える第3スイッチと、
前記第3スイッチ及び前記第2配線の間に電気的に接続された第1抵抗と、
を備える駆動装置の制御方法であって、
第1期間において、オフ状態を維持し、
前記第1期間に後続する第2期間において、オン状態を維持し、
前記第2期間に後続する第3期間において、オフ状態を維持し、
前記第3期間に後続する第4期間において、オン状態を維持しするように、
前記第2スイッチを制御し、
前記第2期間において、オン状態を維持し、
前記第4期間において、オン状態を維持するように、
前記第3スイッチを制御し、
前記第4期間のうちの少なくとも一部の期間における、
前記検出回路による検出結果に基づいて、
前記圧電素子の状態を判定する、
ことを特徴とする、駆動装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、及び、駆動装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等のように、駆動電極を具備し、当該駆動電極に供給される駆動信号により駆動される圧電素子を備える駆動装置が普及している。このような駆動装置において、駆動信号により駆動された圧電素子に生じる振動を検出し、当該検出結果に基づいて、圧電素子の状態を判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-114049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術において、圧電素子が具備する駆動電極と、圧電素子に生じる振動を検出する検出回路と、を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチにおいて、当該スイッチの開閉に起因したノイズが生じることがある。このため、従来の技術において、検出回路が、圧電素子に生じる振動を正確に検出できない恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係る駆動装置は、駆動電極を具備し、第1配線を介して前記駆動電極に供給される駆動信号により駆動される圧電素子と、前記第1配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第1スイッチと、前記駆動信号により駆動された前記圧電素子に生じる振動を、前記駆動電極の電位変化として第2配線を介して検出する検出回路と、前記第2配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第2スイッチと、前記圧電素子の状態を判定する判定回路と、を備え、前記第2スイッチは、第1期間において、オフ状態を維持し、前記第1期間に後続する第2期間において、オン状態を維持し、前記第2期間に後続する第3期間において、オフ状態を維持し、前記第3期間に後続する第4期間において、オン状態を維持し、前記判定回路は、前記第4期間のうちの少なくとも一部の期間における、前記検出回路による検出結果に基づいて、前記圧電素子の状態を判定する、ことを特徴とする。
【0006】
また、本発明に係る駆動装置の制御方法は、駆動電極を具備し、第1配線を介して前記駆動電極に供給される駆動信号により駆動される圧電素子と、前記第1配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第1スイッチと、前記駆動信号により駆動された前記圧電素子に生じる振動を、前記駆動電極の電位変化として第2配線を介して検出する検出回路と、前記第2配線及び前記駆動電極を電気的に接続するか否かを切り替える第2スイッチと、を備える駆動装置の制御方法であって、第1期間において、オフ状態を維持し、前記第1期間に後続する第2期間において、オン状態を維持し、前記第2期間に後続する第3期間において、オフ状態を維持し、前記第3期間に後続する第4期間において、オン状態を維持しするように、前記第2スイッチを制御し、前記第4期間のうちの少なくとも一部の期間における、前記検出回路による検出結果に基づいて、前記圧電素子の状態を判定する、ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例を示すブロック図である。
図2】インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
図3】吐出部D[m]の構造の一例を説明するための断面図である。
図4】ヘッドユニット3におけるノズルNの配置の一例を示す平面図である。
図5】ヘッドユニット3の構成の一例を示すブロック図である。
図6】検出回路33の構成の一例を示すブロック図である。
図7】ヘッドユニット3の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図8】個別指定信号Sd[m]の一例を説明するための説明図である。
図9】ヘッドユニット3の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図10】個別指定信号Sd[m]の一例を説明するための説明図である。
図11】個別指定信号Sd[m]の一例を説明するための説明図である。
図12】接続状態指定信号Qf及び接続状態指定信号Q1並びに接続状態指定信号Q2の一例を説明するための説明図である。
図13】ヘッドユニット3の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図14】ヘッドユニット3の動作の一例を示す説明図である。
図15】ヘッドユニット3の動作の一例を示す説明図である。
図16】ヘッドユニット3の動作の一例を示す説明図である。
図17】ヘッドユニット3の動作の一例を示す説明図である。
図18】ヘッドユニット3の動作の一例を示す説明図である。
図19】ヘッドユニット3の動作の一例を示す説明図である。
図20】ヘッドユニット3の動作の一例を示す説明図である。
図21】判定ユニット8の動作の一例を説明するための説明図である。
図22】参考例に係るヘッドユニット3の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
<<A.実施形態>>
本実施形態では、インクを吐出して記録用紙Pに画像を形成するインクジェットプリンターを例示して、駆動装置を説明する。なお、本実施形態において、インクとは「液体」の一例であり、記録用紙Pとは「媒体」の一例である。
【0010】
<<1.インクジェットプリンターの概要>>
以下、図1乃至図4を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成の一例について説明する。
【0011】
図1は、インクジェットプリンター1の構成の一例を示す機能ブロック図である。インクジェットプリンター1には、パーソナルコンピューターまたはデジタルカメラ等のホストコンピューターから、インクジェットプリンター1が形成すべき画像を示す印刷データImgが供給される。インクジェットプリンター1は、ホストコンピューターから供給される印刷データImgの示す画像を記録用紙Pに形成する印刷処理を実行する。
【0012】
図1に例示するように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各部を制御する制御ユニット2と、インクを吐出する吐出部Dが設けられたヘッドユニット3と、吐出部Dを駆動するための駆動信号Comを生成する駆動信号生成ユニット4と、ヘッドユニット3に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるための搬送ユニット7と、吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する判定ユニット8と、を備える。
【0013】
なお、本実施形態では、インクジェットプリンター1が、1または複数のヘッドユニット3と、1または複数のヘッドユニット3と1対1に対応する1または複数の駆動信号生成ユニット4と、1または複数のヘッドユニット3と1対1に対応する1または複数の判定ユニット8と、を備える場合を想定する。但し、以下では、説明の便宜上、図1に例示するように、1または複数のヘッドユニット3のうち一のヘッドユニット3と、一のヘッドユニット3に対応して設けられた一の駆動信号生成ユニット4と、一のヘッドユニット3に対応して設けられた一の判定ユニット8と、に着目して説明する。
【0014】
制御ユニット2は、1または複数のCPUを含んで構成される。但し、制御ユニット2は、CPUの代わりに、または、CPUに加えて、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを備えるものでよい。ここで、CPUとは、Central Processing Unitの略称であり、FPGAとは、field-programmable gate arrayの略称である。
【0015】
詳細は後述するが、制御ユニット2は、印刷信号SI、及び、波形指定信号dCom等の、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御するための信号を生成する。
ここで、波形指定信号dComとは、駆動信号Comの波形を規定するデジタルの信号である。また、駆動信号Comとは、吐出部Dを駆動するためのアナログの信号である。駆動信号生成ユニット4は、DA変換回路を含み、波形指定信号dComにより規定される波形を有する駆動信号Comを生成する。また、印刷信号SIとは、吐出部Dの動作の種類を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、印刷信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号Comを供給するか否かを指定することで、吐出部Dの動作の種類を指定する信号である。
【0016】
図1に例示するように、ヘッドユニット3は、供給回路31と、記録ヘッド32と、検出回路33と、を備える。
【0017】
記録ヘッド32は、M個の吐出部Dを備える。ここで、値Mは、「M≧1」を満たす自然数である。なお、以下では、記録ヘッド32に設けられたM個の吐出部Dのうち、m番目の吐出部Dを、吐出部D[m]と称する場合がある。ここで、変数mは、「1≦m≦M」を満たす自然数である。また、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素または信号等が、M個の吐出部Dのうち、吐出部D[m]に対応する場合は、当該構成要素または信号等を表わすための符号に、添え字[m]を付すことがある。
【0018】
供給回路31は、印刷信号SIに基づいて、駆動信号Comを吐出部D[m]に供給するか否かを切り替える。なお、以下では、駆動信号Comのうち、吐出部D[m]に供給される駆動信号Comを、供給駆動信号Vin[m]と称する場合がある。また、供給回路31は、印刷信号SIに基づいて、吐出部D[m]が具備する圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]の電位を示す検出電位信号VX[m]を、検出回路33に供給するか否かを切り替える。なお、圧電素子PZ[m]及び上部電極Zu[m]については、図3において後述する。
【0019】
検出回路33は、吐出部D[m]から供給回路31を介して供給される検出電位信号VX[m]に基づいて、検出信号SK[m]を生成する。具体的には、検出回路33は、例えば、検出電位信号VX[m]を増幅しノイズ成分を除去することで検出信号SK[m]を生成する。
【0020】
判定ユニット8は、検出信号SK[m]に基づいて、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態が正常であるか否か、すなわち、吐出部D[m]において吐出異常が生じていない正常吐出状態であるか否かを判定し、当該判定結果を示す、吐出状態判定情報JH[m]を生成する回路を含む。ここで、吐出異常とは、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態が異常となること、つまり、吐出部D[m]が具備するノズルNからインクを正確に吐出することのできない状態の総称である。例えば、吐出異常とは、吐出部D[m]からインクを吐出できない状態、吐出部D[m]が駆動信号Comにより規定されるインクの吐出量とは異なる量のインクを吐出する状態、及び、吐出部D[m]が駆動信号Comにより規定されるインクの吐出速度とは異なる速度でインクを吐出する状態、等を含む。なお、判定ユニット8に含まれる回路は、「判定回路」の一例である。
【0021】
以下では、判定ユニット8によるインクの吐出状態の判定に係る処理を、吐出状態判定処理と称する。
また、本実施形態において、インクジェットプリンター1は、吐出状態判定処理を実行するに先立ち、吐出状態判定処理における判定の制度を高めるための処理である、吐出状態判定準備処理を実行する。詳細は後述するが、吐出状態判定準備処理とは、駆動信号Comにより吐出部D[m]を駆動し、当該吐出部D[m]の具備する上部電極Zu[m]の電位を示す検出電位信号VX[m]を検出回路33に供給する処理である。
なお、以下では、吐出状態判定処理の対象となる吐出部D[m]を、判定対象吐出部DHと称する場合がある。また、以下では、吐出状態判定準備処理の対象となる吐出部D[m]を、判定準備吐出部DJと称する場合がある。また、以下では、判定対象吐出部DH及び判定準備吐出部DJを、検出対象吐出部DKと称する場合がある。また、以下では、検出対象吐出部DKには該当しない吐出部D[m]を、検出対象外吐出部DPと称する場合がある。
【0022】
制御ユニット2は、印刷処理が実行される場合、印刷データImgに基づいて、印刷信号SI等のヘッドユニット3を制御するための信号を生成する。また、制御ユニット2は、印刷処理が実行される場合、波形指定信号dCom等の駆動信号生成ユニット4を制御するための信号を生成する。また、制御ユニット2は、印刷処理が実行される場合、搬送ユニット7を制御するための信号を生成する。これにより、制御ユニット2は、印刷処理において、ヘッドユニット3に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるように搬送ユニット7を制御しつつ、吐出部D[m]からのインクの吐出の有無、インクの吐出量、及び、インクの吐出タイミング等を調整し、印刷データImgに対応する画像が記録用紙Pに形成されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御する。
【0023】
また、制御ユニット2は、吐出状態判定処理が実行される場合、吐出部D[m]が判定対象吐出部DHとして駆動されることを指定する印刷信号SIを生成し、当該印刷信号SIを供給回路31に供給する。この場合、印刷信号SIは、吐出部D[m]から検出回路33に対して検出電位信号VX[m]が供給される旨を指定する。その後、検出回路33は、吐出状態判定処理において、判定対象吐出部DHとして駆動された吐出部D[m]から供給回路31を介して供給される検出電位信号VX[m]に基づいて、検出信号SK[m]を生成する。そして、判定ユニット8は、吐出状態判定処理において、検出回路33から供給される検出信号SK[m]に基づいて、吐出状態判定情報JH[m]を生成する。
【0024】
また、制御ユニット2は、吐出状態判定準備処理が実行される場合、吐出部D[m]が判定準備吐出部DJとして駆動されることを指定する印刷信号SIを生成し、当該印刷信号SIを供給回路31に供給する。この場合、印刷信号SIは、吐出部D[m]から検出回路33に対して検出電位信号VX[m]が供給される旨を指定する。なお、判定ユニット8は、吐出状態判定準備処理において、吐出状態判定情報JH[m]を生成しない。
【0025】
図2は、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
図2に例示するように、本実施形態では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を想定する。具体的には、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する場合、副走査方向に記録用紙Pを搬送しつつ、副走査方向に交差する主走査方向にヘッドユニット3を往復動させながら、吐出部D[m]からインクを吐出させることで、記録用紙P上に、印刷データImgに応じたドットを形成する。
以下では、+X方向とその逆方向である-X方向とを「X軸方向」と総称し、X軸方向に交差する+Y方向とその逆方向である-Y方向とを「Y軸方向」と総称し、X軸方向及びY軸方向に交差する+Z方向とその逆方向である-Z方向とを「Z軸方向」と総称する。そして、本実施形態では、図2に例示するように、上流側である-X側から下流側である+X側に向かう方向を副走査方向とし、+Y方向及び-Y方向を主走査方向とする。
【0026】
図2に例示するように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、筐体100と、筐体100内をY軸方向に往復動可能であり、1または複数のヘッドユニット3を搭載するキャリッジ110と、を備える。
本実施形態では、図2に例示するように、キャリッジ110が、シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラックの、4色のインクと1対1に対応する4個のインクカートリッジ120を格納している場合を想定する。また、本実施形態では、一例として、インクジェットプリンター1が、4個のインクカートリッジ120と1対1に対応する4個のヘッドユニット3を備える場合を想定する。各吐出部D[m]は、当該吐出部D[m]が設けられたヘッドユニット3に対応するインクカートリッジ120からインクの供給を受ける。これにより、各吐出部D[m]は、供給されたインクを内部に充填し、充填したインクをノズルNから吐出することができる。なお、インクカートリッジ120は、キャリッジ110の外部に設けられてもよい。ノズルNについては、図3で後述する。
【0027】
また、上述のとおり、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、搬送ユニット7を備える。搬送ユニット7は、図1に例示するように、キャリッジ110をY軸方向に往復動させるためのキャリッジ搬送機構71と、キャリッジ110をY軸方向に往復自在に支持するキャリッジガイド軸76と、記録用紙Pを搬送するための媒体搬送機構73と、キャリッジ110の-Z側に設けられたプラテン75と、を具備する。このため、搬送ユニット7は、印刷処理が実行される場合に、キャリッジ搬送機構71により、ヘッドユニット3をキャリッジ110と共にキャリッジガイド軸76に沿ってY軸方向に往復動させるとともに、媒体搬送機構73により、プラテン75上の記録用紙Pを+X方向に搬送することで、記録用紙Pのヘッドユニット3に対する相対位置を変化させ、記録用紙Pの全体に対するインクの着弾を可能とする。
【0028】
図3は、吐出部D[m]を含むように記録ヘッド32を切断した、記録ヘッド32の概略的な一部断面図である。
【0029】
図3に例示するように、吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]と、内部にインクが充填されたキャビティ322と、キャビティ322に連通するノズルNと、振動板321と、を備える。吐出部D[m]は、圧電素子PZ[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動されることにより、キャビティ322内のインクをノズルNから吐出させる。キャビティ322は、キャビティプレート324と、ノズルNが形成されたノズルプレート323と、振動板321と、により区画される空間である。キャビティ322は、インク供給口326を介してリザーバ325と連通している。リザーバ325は、インク取入口327を介して、吐出部D[m]に対応するインクカートリッジ120と連通している。圧電素子PZ[m]は、上部電極Zu[m]と、下部電極Zd[m]と、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に設けられた圧電体Zm[m]と、を有する。なお、上部電極Zu[m]は、「駆動電極」の一例である。下部電極Zd[m]は、電位VBSに設定された給電線Lbと電気的に接続される。そして、上部電極Zu[m]に供給駆動信号Vin[m]が供給されて、上部電極Zu[m]及び下部電極Zd[m]の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子PZ[m]が+Z方向または-Z方向に変位し、その結果、圧電素子PZ[m]が振動する。振動板321には、下部電極Zd[m]が接合されている。このため、圧電素子PZ[m]が供給駆動信号Vin[m]により駆動されて振動すると、振動板321も振動する。そして、振動板321の振動によりキャビティ322の容積及びキャビティ322内の圧力が変化し、キャビティ322内に充填されたインクがノズルNより吐出される。
【0030】
図4は、-Z方向からインクジェットプリンター1を平面視した場合の、キャリッジ110に搭載された4個のヘッドユニット3と、当該4個のヘッドユニット3に設けられた合計4M個のノズルNの配置の一例を説明するための説明図である。
【0031】
図4に例示するように、キャリッジ110に設けられた各ヘッドユニット3には、ノズル列NLが設けられる。ここで、ノズル列NLとは、所定方向に列状に延在するように設けられた複数のノズルNである。本実施形態では、各ノズル列NLが、X軸方向に延在するように配置されたM個のノズルNから構成される場合を、一例として想定する。
【0032】
<<2.ヘッドユニットの構成>>
以下、図5及び図6を参照しつつ、ヘッドユニット3の構成について説明する。
【0033】
図5は、ヘッドユニット3の構成の一例を示すブロック図である。上述のとおり、ヘッドユニット3は、供給回路31と、記録ヘッド32と、検出回路33と、を備える。なお、図5では、一例として、記録ヘッド32に4個の吐出部Dが設けられる場合、つまり、「M=4」の場合を例示している。
【0034】
図5に例示するように、ヘッドユニット3は、駆動信号生成ユニット4から駆動信号Comが供給される配線Lcと、検出電位信号VX[m]を検出回路33に供給するための配線Lsと、を備える。なお、配線Lcは、「第1配線」の一例であり、配線Lsは、「第2配線」の一例である。
【0035】
また、図5に例示するように、供給回路31は、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のスイッチWc[1]~Wc[M]と、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個のスイッチWs[1]~Ws[M]と、スイッチWfと、抵抗Rfと、各スイッチの接続状態を指定する接続状態指定回路310と、を備える。
接続状態指定回路310は、制御ユニット2から供給される印刷信号SI、ラッチ信号LAT、期間指定信号Tsig、及び、チェンジ信号CHの、少なくとも一部の信号に基づいて、スイッチWc[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Qc[m]と、スイッチWs[m]のオンオフを指定する接続状態指定信号Qs[m]と、スイッチWfのオンオフを指定する接続状態指定信号Qfと、後述する接続状態指定信号Q1と、後述する接続状態指定信号Q2と、を生成する。
【0036】
スイッチWc[m]は、接続状態指定信号Qc[m]に基づいて、配線Lcと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWc[m]は、接続状態指定信号Qc[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWc[m]がオンする場合、配線Lcに供給される駆動信号Comが、供給駆動信号Vin[m]として、吐出部D[m]の上部電極Zu[m]に供給される。なお、スイッチWc[m]は、「第1スイッチ」の一例である。
スイッチWs[m]は、接続状態指定信号Qs[m]に基づいて、配線Lsと、吐出部D[m]に設けられた圧電素子PZ[m]の上部電極Zu[m]との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWs[m]は、接続状態指定信号Qs[m]がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWs[m]がオンする場合、吐出部D[m]の上部電極Zu[m]の電位が、検出電位信号VX[m]として、配線Lsを介して検出回路33に供給される。なお、スイッチWs[m]は、「第2スイッチ」の一例である。
スイッチWfは、接続状態指定信号Qfに基づいて、配線Lcと配線Lsとの導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチWfは、接続状態指定信号Qfがハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。スイッチWfがオンする場合、配線Lcに供給される駆動信号Comが、スイッチWf及び配線Lsの間に電気的に接続された抵抗Rfを介して、配線Lsの一部であるノードNd0に供給される。
なお、スイッチWfは、「第3スイッチ」の一例であり、抵抗Rfは、「第1抵抗」の一例である。
【0037】
図6は、検出回路33の構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
図6に例示するように、検出回路33は、容量CP1~CP3と、オペアンプOP1~OP2と、スイッチW1~W2と、抵抗RS1~RS5と、を備える。
【0039】
容量CP1は、一方の電極がノードNd0に電気的に接続され、他方の電極がノードNd1に電気的に接続される。
抵抗RS1は、一端がノードNd1に電気的に接続され、他端が固定電位に設定されたアナロググランドAGNDに電気的に接続される。具体的には、アナロググランドAGNDの電位は、例えば、ヘッドユニット3に供給される高電位側の電源電位と、低電位側の電源電位との、中心電位であってもよい。
スイッチW1は、抵抗RS1の一端と、アナロググランドAGNDとの、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチSW1は、接続状態指定信号Q1がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
なお、本実施形態において、容量CP1、抵抗RS1、及び、スイッチSW1は、ハイパスフィルターとして機能する。
【0040】
オペアンプOP1は、ノードNd1に電気的に接続された非反転入力端子と、ノードNd2に電気的に接続された出力端子と、抵抗RS2を介してノードNd2に電気的に接続されるとともに、抵抗RS3を介してアナロググランドAGNDに電気的に接続された反転入力端子と、を備える。本実施形態において、オペアンプOP1、抵抗RS2、及び、抵抗RS3は、ノードNd1に入力される信号の振幅を増幅してノードNd2に出力する増幅回路して機能する。
【0041】
オペアンプOP2は、ノードNd2に電気的に接続された非反転入力端子と、ノードNd3に電気的に接続された反転入力端子と、ノードNd3に電気的に接続された出力端子と、を備える。本実施形態において、オペアンプOP2は、インピーダンスを変換してローインピーダンスの信号をノードNd3に出力するバッファとして機能する。
【0042】
スイッチW2は、ノードNd3と、ノードNd4との、導通及び非導通を切り替える。本実施形態において、スイッチSW2は、接続状態指定信号Q2がハイレベルの場合にオンし、ローレベルの場合にオフする。
【0043】
容量CP2は、一方の電極がノードNd4に電気的に接続され、他方の電極がアナロググランドAGNDに電気的に接続される。
抵抗RS4は、一端がノードNd4に電気的に接続され、他端が固定電位に設定された給電線LHに電気的に接続される。具体的には、給電線LHの電位は、例えば、ヘッドユニット3に供給される高電位側の電源電位であってもよい。
抵抗RS5は、一端がノードNd4に電気的に接続され、他端がアナロググランドAGNDに電気的に接続される。
容量CP3は、一方の電極がノードNd4に電気的に接続され、他方の電極がノードNd5に電気的に接続される。なお、ノードNd5は、判定ユニット8と電気的に接続される。本実施形態において、ノードNd5に出力される信号が、検出信号SK[m]に該当する。
【0044】
以上のように、検出回路33は、ノードNd0に対して入力された検出電位信号VX[m]に基づいて、検出信号SK[m]を生成し、生成した検出信号SK[m]を、ノードNd5から出力する。
【0045】
<<3.ヘッドユニットの動作>>
以下、図7乃至図20を参照しつつ、ヘッドユニット3の動作について説明する。
【0046】
本実施形態において、インクジェットプリンター1が、印刷処理、吐出状態判定処理、または、吐出状態判定準備処理を実行する場合、インクジェットプリンター1の動作期間として、1または複数の単位期間TPが設定される。本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位期間TPにおいて、印刷処理、吐出状態判定処理、または、吐出状態判定準備処理のために各吐出部D[m]を駆動することができる。なお、以下では、連続するK個の単位期間TPのうち、k番目の単位期間TPを、単位期間TP(k)と表現する場合がある。ここで、値Kは、「K≧1」を満たす自然数であり、変数kは、「1≦k≦K」を満たす自然数である。
【0047】
図7は、単位期間TPにおいて印刷処理が実行されている場合に、当該単位期間TPにおいて、ヘッドユニット3に供給される各種信号の一例を説明するためのタイミングチャートである。なお、以下では、印刷処理が実行される単位期間TPを、印刷単位期間TPPと称する場合がある。
【0048】
図7に例示するように、制御ユニット2は、パルスPLLを有するラッチ信号LATを出力する。これにより、制御ユニット2は、パルスPLLの立ち上がりから次のパルスPLLの立ち上がりまでの期間として、単位期間TPを規定する。
また、制御ユニット2は、単位期間TPにおいて、パルスPLCを有するチェンジ信号CHを出力する。そして、制御ユニット2は、単位期間TPを、パルスPLLの立ち上がりからパルスPLCの立ち上がりまでの制御期間TQ1と、パルスPLCの立ち上がりからパルスPLLの立ち上がりまでの制御期間TQ2と、に区分する。
また、制御ユニット2は、単位期間TPにおいて、期間指定信号Tsigを出力する。なお、期間指定信号Tsigについては、後述する。
【0049】
本実施形態に係る印刷信号SIは、M個の吐出部D[1]~D[M]と1対1に対応するM個の個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む。個別指定信号Sd[m]は、各単位期間TPにおける吐出部D[m]の駆動の態様を指定する。
制御ユニット2は、図7に例示するように、各単位期間TPに先立って、個別指定信号Sd[1]~Sd[M]を含む印刷信号SIを、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路310に供給する。そして、接続状態指定回路310は、当該単位期間TPにおいて、個別指定信号Sd[m]に基づいて、接続状態指定信号Qc[m]、接続状態指定信号Qs[m]、及び、接続状態指定信号Qfを生成する。
【0050】
なお、本実施形態では、吐出部D[m]が、印刷単位期間TPPにおいて、大ドットと、大ドットよりも小さい中ドットと、中ドットよりも小さい小ドットとのうち、何れかのドットを形成可能である場合を想定する。
そして、本実施形態では、個別指定信号Sd[m]が、印刷単位期間TPPにおいて、吐出部D[m]を、大ドットに相当する量のインクを吐出する検出対象外吐出部DPである大ドット形成吐出部DP-1として指定する値「1」と、中ドットに相当する量のインクを吐出する検出対象外吐出部DPである中ドット形成吐出部DP-2として指定する値「2」と、小ドットに相当する量のインクを吐出する検出対象外吐出部DPである小ドット形成吐出部DP-3として指定する値「3」と、インクを吐出しない検出対象外吐出部DPであるドット非形成吐出部DP-4として指定する値「4」との、4つの値のうち、何れか1つの値をとることができる場合を想定する。
【0051】
図7に示すように、本実施形態では、印刷単位期間TPPにおいて、駆動信号Comは、制御期間TQ1に設けられた波形PP1と、制御期間TQ2に設けられた波形PP2と、を有する。このうち、波形PP1は、基準電位V0から、基準電位V0よりも低電位の電位VL1、及び、基準電位V0よりも高電位の電位VH1を経て、基準電位V0に戻る波形である。波形PP1を有する供給駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]から、インク量ξ1に相当するインクが吐出されるように、波形PP1が定められる。また、波形PP2は、基準電位V0から、基準電位V0よりも低電位の電位VL2、及び、基準電位V0よりも高電位の電位VH2を経て、基準電位V0に戻る波形である。波形PP2を有する供給駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]から、インク量ξ2に相当するインクが吐出されるように、波形PP2が定められる。
本実施形態において、インク量ξ1は、中ドットに相当するインク量である。また、インク量ξ2は、インク量ξ1よりも少ないインク量であって、小ドットに相当するインク量である。また、インク量ξ1とインク量ξ2との合計は、大ドットに相当するインク量である。
なお、本実施形態では、一例として、吐出部D[m]に供給される供給駆動信号Vin[m]の電位が高電位の場合に、低電位の場合と比較して、吐出部D[m]の備えるキャビティ322の容積が小さくなる場合を想定する。このため、吐出部D[m]が波形PP1または波形PP2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動される場合、供給駆動信号Vin[m]の電位が低電位から高電位に変化することで、吐出部D[m]内のインクがノズルNから吐出される。
【0052】
図8は、印刷単位期間TPPにおける、個別指定信号Sd[m]と、接続状態指定信号Qc[m]、接続状態指定信号Qs[m]、及び、接続状態指定信号Qfとの関係を説明するための説明図である。
【0053】
図8に示すように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を大ドット形成吐出部DP-1として指定する値「1」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qc[m]を、制御期間TQ1及び制御期間TQ2に亘りハイレベルに設定する。この場合、スイッチWc[m]が単位期間TPに亘りオン状態を維持する。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PP1及び波形PP2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、大ドットに相当する量のインクを吐出する。
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を中ドット形成吐出部DP-2として指定する値「2」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qc[m]を、制御期間TQ1においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWc[m]が制御期間TQ1においてオン状態を維持する。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PP1を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、中ドットに相当する量のインクを吐出する。
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を小ドット形成吐出部DP-3として指定する値「3」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qc[m]を、制御期間TQ2においてハイレベルに設定する。この場合、スイッチWc[m]が制御期間TQ2においてオン状態を維持する。このため、吐出部D[m]は、単位期間TPにおいて、波形PP2を有する供給駆動信号Vin[m]により駆動され、小ドットに相当する量のインクを吐出する。
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]をドット非形成吐出部DP-4として指定する値「4」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qc[m]を、単位期間TPに亘りローレベルに設定する。この場合、スイッチWc[m]が、単位期間TPに亘りオフ状態を維持する。このため、吐出部D[m]には、単位期間TPにおいて供給駆動信号Vin[m]が供給されず、吐出部D[m]からはインクが吐出しない。
なお、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を検出対象外吐出部DPとして指定する印刷単位期間TPPにおいて、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qs[m]及び接続状態指定信号Qfを、当該印刷単位期間TPPに亘りローレベルに設定する。すなわち、スイッチWs[m]及びスイッチWfは、印刷単位期間TPPに亘りオフ状態を維持する。
【0054】
図9は、単位期間TPにおいて吐出状態判定処理または吐出状態判定準備処理が実行されている場合に、当該単位期間TPにおいて、ヘッドユニット3に供給される各種信号の一例を説明するためのタイミングチャートである。なお、以下では、吐出状態判定処理または吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TPを、吐出判定単位期間TPSと称する場合がある。
【0055】
図9に例示するように、制御ユニット2は、単位期間TPにおいて、パルスPLT1及びパルスPLT2を有する期間指定信号Tsigを出力する。そして、制御ユニット2は、単位期間TPを、パルスPLLの立ち上がりからパルスPLT1の立ち上がりまでの期間である制御期間TT1と、パルスPLT1の立ち上がりからパルスPLT1の立ち下がりまでの期間である制御期間TT2と、パルスPLT1の立ち下がりからパルスPLT2の立ち上がりまでの期間である制御期間TT3と、パルスPLT2の立ち上がりからパルスPLT2の立ち下がりまでの期間である制御期間TT4と、パルスPLT2の立ち上がりからパルスPLLの立ち上がりまでの期間である制御期間TT5と、に区分する。
【0056】
図9に例示するように、本実施形態では、吐出判定単位期間TPSにおいて、駆動信号Comは、波形PSを有する。ここで、波形PSは、制御期間TT1において、基準電位V0から、基準電位V0よりも低電位の電位VS1を経て、基準電位V0よりも高電位の電位VS2に変化し、制御期間TT2、制御期間TT3、及び、制御期間TT4において、電位VS2を維持し、制御期間TT5において、電位VS2から基準電位V0に変化する波形である。なお、本実施形態では、一例として、波形PSを有する供給駆動信号Vin[m]が吐出部D[m]に供給される場合に、吐出部D[m]からインクが吐出されないように、波形PSが定められている場合を想定する。
【0057】
図10は、吐出判定単位期間TPSにおける、個別指定信号Sd[m]と、接続状態指定信号Qc[m]との関係を説明するための説明図である。
【0058】
本実施形態では、図10に例示するように、個別指定信号Sd[m]が、吐出判定単位期間TPSにおいて、吐出部D[m]を、判定準備吐出部DJとして指定する値「5」と、判定対象吐出部DHとして指定する値「6」との、2つの値のうち、何れか1つの値をとることができる場合を想定する。
【0059】
図10に例示するように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を判定準備吐出部DJとして指定する値「5」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qc[m]が、制御期間TT1及び制御期間TT2においてハイレベルを維持し、制御期間TT3、制御期間TT4、及び、制御期間TT5においてローレベルを維持するように、接続状態指定信号Qc[m]を設定する。この場合、スイッチWc[m]が、制御期間TT1及び制御期間TT2においてオン状態を維持する。
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を判定対象吐出部DHとして指定する値「6」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qc[m]が、制御期間TT1、制御期間TT2、及び、制御期間TT5においてハイレベルを維持し、制御期間TT3及び制御期間TT4においてローレベルを維持するように、接続状態指定信号Qc[m]を設定する。この場合、スイッチWc[m]が、制御期間TT1、制御期間TT2、及び、制御期間TT5においてオン状態を維持する。
【0060】
図11は、吐出判定単位期間TPSにおける、個別指定信号Sd[m]と、接続状態指定信号Qs[m]との関係を説明するための説明図である。
【0061】
図11に例示するように、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を判定準備吐出部DJとして指定する値「5」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qs[m]が、制御期間TT2、制御期間TT3、及び、制御期間TT4においてハイレベルを維持し、制御期間TT1及び制御期間TT5においてローレベルを維持するように、接続状態指定信号Qs[m]を設定する。この場合、スイッチWs[m]が、制御期間TT2、制御期間TT3、及び、制御期間TT4においてオン状態を維持する。
また、個別指定信号Sd[m]が、単位期間TPにおいて吐出部D[m]を判定対象吐出部DHとして指定する値「6」を示す場合、接続状態指定回路310は、接続状態指定信号Qs[m]が、制御期間TT2、制御期間TT3、及び、制御期間TT4においてハイレベルを維持し、制御期間TT1及び制御期間TT5においてローレベルを維持するように、接続状態指定信号Qs[m]を設定する。この場合、スイッチWs[m]が、制御期間TT2、制御期間TT3、及び、制御期間TT4においてオン状態を維持する。
【0062】
図12は、吐出判定単位期間TPSにおける、接続状態指定信号Qf、接続状態指定信号Q1、及び、接続状態指定信号Q2を説明するための説明図である。
【0063】
図12に例示するように、接続状態指定回路310は、吐出判定単位期間TPSにおいて、接続状態指定信号Qfが、制御期間TT2、制御期間TT3、及び、制御期間TT4においてハイレベルを維持し、制御期間TT1及び制御期間TT5においてローレベルを維持するように、接続状態指定信号Qfを設定する。
また、接続状態指定回路310は、吐出判定単位期間TPSにおいて、接続状態指定信号Q1が、制御期間TT1、制御期間TT2、制御期間TT4、及び、制御期間TT5においてハイレベルを維持し、制御期間TT3においてローレベルを維持するように、接続状態指定信号Q1を設定する。
また、接続状態指定回路310は、吐出判定単位期間TPSにおいて、接続状態指定信号Q2が、制御期間TT3においてハイレベルを維持し、制御期間TT1、制御期間TT2、制御期間TT4、及び、制御期間TT5においてローレベルを維持するように、接続状態指定信号Q2を設定する。
【0064】
図13は、インクジェットプリンター1において吐出状態判定準備処理及び吐出状態判定処理が実行される場合に、ヘッドユニット3に供給される各種信号、及び、ヘッドユニット3の動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。また、図14乃至図20は、インクジェットプリンター1において、図13と同様の吐出状態判定準備処理及び吐出状態判定処理が実行される場合に、ヘッドユニット3の動作の一例を説明するための回路図である。以下では、図13乃至図20に示すインクジェットプリンター1の動作の一例を、単に「判定動作例」と称する場合がある。
【0065】
なお、本実施形態において、インクジェットプリンター1は、1の単位期間TP(k+1)において1回の吐出状態判定処理を実行する場合、及び、複数の連続した単位期間TP(k+1)~単位期間TP(K)において複数回の吐出状態判定処理を実行する場合に、当該1回または複数回の吐出状態判定処理が最初に実行される単位期間TP(k+1)の直前の単位期間TP(k)において、吐出状態判定準備処理を実行する。図13乃至図20に示す判定動作例では、インクジェットプリンター1が、単位期間TP(k)において、吐出部D[m]を判定準備吐出部DJとする吐出状態判定準備処理を実行し、単位期間TP(k+1)において吐出部D[m]を判定対象吐出部DHとする吐出状態判定処理を実行する場合を想定する。
なお、図13乃至図20に示す判定動作例では、制御ユニット2が、単位期間TP(k)において判定準備吐出部DJとして選択する吐出部D[m]と、単位期間TP(k+1)において判定対象吐出部DHとして選択する吐出部D[m]とが、同一の吐出部Dである場合を想定するが、これは一例であり、本実施形態はこのような態様に限定されるものではない。例えば、制御ユニット2は、単位期間TP(k)において判定準備吐出部DJとして選択する吐出部Dとは異なる吐出部Dを、単位期間TP(k+1)において判定対象吐出部DHとして選択してもよい。
以下、判定動作例について説明する。
【0066】
図14は、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)の制御期間TT1における、ヘッドユニット3の動作の一例を示す図である。
【0067】
図13に例示するように、単位期間TP(k)の制御期間TT1において、接続状態指定信号Qc[m]はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Qs[m]はローレベルを維持し、接続状態指定信号Qfはローレベルを維持し、接続状態指定信号Q1はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Q2はローレベルを維持する。このため、図13及び図14に例示するように、単位期間TP(k)の制御期間TT1において、スイッチWc[m]はオン状態を維持し、スイッチWs[m]はオフ状態を維持し、スイッチWfはオフ状態を維持し、スイッチW1はオン状態を維持し、スイッチW2はオフ状態を維持する。従って、単位期間TP(k)の制御期間TT1において、配線Lcから、スイッチWc[m]を介して、圧電素子PZ[m]が具備する上部電極Zu[m]に対して、駆動信号Comが供給される。この結果、圧電素子PZ[m]が駆動される。
なお、単位期間TP(k)の制御期間TT1において、ノードNd2の電位は、アナロググランドAGNDの電位となり、ノードNd4の電位は、アナロググランドAGNDの電位となる。
【0068】
図15は、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)の制御期間TT2における、ヘッドユニット3の動作の一例を示す図である。
【0069】
図13に例示するように、単位期間TP(k)の制御期間TT2において、接続状態指定信号Qc[m]はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Qs[m]はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Qfはハイレベルを維持し、接続状態指定信号Q1はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Q2はローレベルを維持する。このため、図13及び図15に例示するように、単位期間TP(k)の制御期間TT2において、スイッチWc[m]はオン状態を維持し、スイッチWs[m]はオン状態を維持し、スイッチWfはオン状態を維持し、スイッチW1はオン状態を維持し、スイッチW2はオフ状態を維持する。従って、単位期間TP(k)の制御期間TT2において、配線Lcから、スイッチWc[m]を介して、圧電素子PZ[m]が具備する上部電極Zu[m]に対して、電位VS2の駆動信号Comが供給される。また、単位期間TP(k)の制御期間TT2において、配線Lcから、スイッチWc[m]及びスイッチWs[m]を介して、ノードNd0に対して、電位VS2の駆動信号Comが供給されると共に、配線Lcから、スイッチWf及び抵抗Rfを介して、ノードNd0に対して、電位VS2の駆動信号Comが供給される。この結果、単位期間TP(k)の制御期間TT2において、ノードNd0の電位が、電位VS2に設定される。
なお、図14乃至図20に例示するように、スイッチWs[m]には、容量CPsが寄生する場合がある。具体的には、例えば、スイッチWs[m]に設けられたトランジスターが具備するゲートと、配線Lsとの間には、容量CPsが寄生する場合がある。本実施形態では、単位期間TP(k)の制御期間TT2において、配線Lcから、スイッチWc[m]及びスイッチWs[m]を介して、容量CPsに対して流れる電流と、配線Lcから、スイッチWf及び抵抗Rfを介して、容量CPsに対して流れる電流とによって、容量CPsを充電することができる。
なお、単位期間TP(k)の制御期間TT2において、ノードNd2の電位は、アナロググランドAGNDの電位となり、ノードNd4の電位は、アナロググランドAGNDの電位となる。
【0070】
図16は、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)の制御期間TT3における、ヘッドユニット3の動作の一例を示す図である。
【0071】
図13に例示するように、単位期間TP(k)の制御期間TT3において、接続状態指定信号Qc[m]はローレベルを維持し、接続状態指定信号Qs[m]はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Qfはハイレベルを維持し、接続状態指定信号Q1はローレベルを維持し、接続状態指定信号Q2はハイレベルを維持する。このため、図13及び図16に例示するように、単位期間TP(k)の制御期間TT3において、スイッチWc[m]はオフ状態を維持し、スイッチWs[m]はオン状態を維持し、スイッチWfはオン状態を維持し、スイッチW1はオフ状態を維持し、スイッチW2はオン状態を維持する。従って、単位期間TP(k)の制御期間TT3において、ノードNd0の電位は、配線LcからスイッチWf及び抵抗Rfを介して供給される駆動信号Comの電位VS2と、上部電極Zu[m]からスイッチWs[m]を介して供給される検出電位信号VX[m]の電位と、に基づく電位に設定される。そして、単位期間TP(k)の制御期間TT3において、ノードNd2の電位は、検出電位信号VX[m]の電位に基づく電位となり、ノードNd4の電位は、検出電位信号VX[m]の電位に基づく電位の電位となる。この場合、単位期間TP(k)の制御期間TT3において、ノードNd5からは、検出電位信号VX[m]の電位変化に応じた波形を有する信号が出力される。なお、単位期間TP(k)の制御期間TT3においても、配線Lcから、スイッチWc[m]及びスイッチWs[m]を介して、容量CPsに対して流れる電流によって、容量CPsを充電することができる。
【0072】
図17は、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)の制御期間TT4における、ヘッドユニット3の動作の一例を示す図である。
【0073】
図13に例示するように、単位期間TP(k)の制御期間TT4において、接続状態指定信号Qc[m]はローレベルを維持し、接続状態指定信号Qs[m]はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Qfはハイレベルを維持し、接続状態指定信号Q1はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Q2はローレベルを維持する。このため、図13及び図17に例示するように、単位期間TP(k)の制御期間TT4において、スイッチWc[m]はオフ状態を維持し、スイッチWs[m]はオン状態を維持し、スイッチWfはオン状態を維持し、スイッチW1はオン状態を維持し、スイッチW2はオフ状態を維持する。従って、単位期間TP(k)の制御期間TT4において、ノードNd0の電位は、配線LcからスイッチWf及び抵抗Rfを介して供給される駆動信号Comの電位VS2と、上部電極Zu[m]からスイッチWs[m]を介して供給される検出電位信号VX[m]の電位と、に基づく電位に設定される。
なお、単位期間TP(k)の制御期間TT4において、ノードNd2の電位は、検出電位信号VX[m]の電位に基づく電位となり、ノードNd4の電位は、アナロググランドAGNDの電位となる。
【0074】
図18は、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)の制御期間TT5における、ヘッドユニット3の動作の一例を示す図である。
【0075】
図13に例示するように、単位期間TP(k)の制御期間TT5において、接続状態指定信号Qc[m]はローレベルを維持し、接続状態指定信号Qs[m]はローレベルを維持し、接続状態指定信号Qfはローレベルを維持し、接続状態指定信号Q1はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Q2はローレベルを維持する。このため、図13及び図18に例示するように、単位期間TP(k)の制御期間TT5において、スイッチWc[m]はオフ状態を維持し、スイッチWs[m]はオフ状態を維持し、スイッチWfはオフ状態を維持し、スイッチW1はオン状態を維持し、スイッチW2はオフ状態を維持する。従って、単位期間TP(k)の制御期間TT5において、ノードNd0の電位は、電位VS2を維持する。
なお、単位期間TP(k)の制御期間TT5において、ノードNd2の電位は、アナロググランドAGNDの電位となり、ノードNd4の電位は、アナロググランドAGNDの電位となる。
【0076】
図13に例示するように、ヘッドユニット3は、吐出状態判定処理が実行される単位期間TP(k+1)の制御期間TT1において、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)の制御期間TT1と同様に動作する。このため、単位期間TP(k+1)の制御期間TT1において、配線Lcから、スイッチWc[m]を介して、圧電素子PZ[m]が具備する上部電極Zu[m]に対して、駆動信号Comが供給される。この結果、圧電素子PZ[m]が駆動され、吐出部D[m]に振動が生じる。
【0077】
図13に例示するように、ヘッドユニット3は、吐出状態判定処理が実行される単位期間TP(k+1)の制御期間TT2において、単位期間TP(k)の制御期間TT2と同様に動作する。このため、単位期間TP(k+1)の制御期間TT2において、配線Lcから、スイッチWc[m]及びスイッチWs[m]を介して、ノードNd0に対して、電位VS2の駆動信号Comが供給されると共に、配線Lcから、スイッチWf及び抵抗Rfを介して、ノードNd0に対して、電位VS2の駆動信号Comが供給される。
なお、単位期間TP(k+1)の制御期間TT1において吐出部D[m]に生じた振動は、単位期間TP(k+1)の制御期間TT2においても残留する。そして、単位期間TP(k+1)の制御期間TT2において、吐出部D[m]に残留する振動により、吐出部D[m]が具備する上部電極Zu[m]の電位が変化する。そして、単位期間TP(k+1)の制御期間TT2において、吐出部D[m]が具備する上部電極Zu[m]の電位は、スイッチWs[m]を介して、検出電位信号VX[m]として、ノードNd0に供給される。
【0078】
図13に例示するように、ヘッドユニット3は、吐出状態判定処理が実行される単位期間TP(k+1)の制御期間TT3において、単位期間TP(k)の制御期間TT3と同様に動作する。このため、単位期間TP(k+1)の制御期間TT3において、ノードNd0の電位は、配線LcからスイッチWf及び抵抗Rfを介して供給される駆動信号Comの電位VS2と、上部電極Zu[m]からスイッチWs[m]を介して供給される検出電位信号VX[m]の電位と、に基づく電位に設定される。この場合、ノードNd2の電位は、検出電位信号VX[m]の電位に基づく電位となり、ノードNd4の電位は、検出電位信号VX[m]の電位に基づく電位の電位となる。従って、単位期間TP(k+1)の制御期間TT3において、ノードNd5からは、検出電位信号VX[m]の電位変化に応じた波形を有する信号が、検出信号SK[m]として出力される。すなわち、単位期間TP(k+1)の制御期間TT3において吐出部D[m]から検出される検出電位信号VX[m]に基づいて生成される検出信号SK[m]の波形は、単位期間TP(k+1)の制御期間TT3において吐出部D[m]に残留する振動の波形を示す。
【0079】
図19は、吐出状態判定処理が実行される単位期間TP(k+1)の制御期間TT4における、ヘッドユニット3の動作の一例を示す図である。
【0080】
図13に例示するように、単位期間TP(k+1)の制御期間TT4において、接続状態指定信号Qc[m]はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Qs[m]はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Qfはハイレベルを維持し、接続状態指定信号Q1はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Q2はローレベルを維持する。このため、図13及び図19に例示するように、単位期間TP(k+1)の制御期間TT4において、スイッチWc[m]はオン状態を維持し、スイッチWs[m]はオン状態を維持し、スイッチWfはオン状態を維持し、スイッチW1はオン状態を維持し、スイッチW2はオフ状態を維持する。従って、単位期間TP(k+1)の制御期間TT4において、ノードNd0の電位は、配線LcからスイッチWf及び抵抗Rfを介して供給される駆動信号Comの電位VS2に設定される。
なお、単位期間TP(k+1)の制御期間TT4において、ノードNd2の電位は、アナロググランドAGNDの電位となり、ノードNd4の電位は、アナロググランドAGNDの電位となる。
【0081】
図20は、吐出状態判定処理が実行される単位期間TP(k+1)の制御期間TT5における、ヘッドユニット3の動作の一例を示す図である。
【0082】
図13に例示するように、単位期間TP(k+1)の制御期間TT5において、接続状態指定信号Qc[m]はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Qs[m]はローレベルを維持し、接続状態指定信号Qfはローレベルを維持し、接続状態指定信号Q1はハイレベルを維持し、接続状態指定信号Q2はローレベルを維持する。このため、図13及び図20に例示するように、単位期間TP(k+1)の制御期間TT5において、スイッチWc[m]はオン状態を維持し、スイッチWs[m]はオフ状態を維持し、スイッチWfはオフ状態を維持し、スイッチW1はオン状態を維持し、スイッチW2はオフ状態を維持する。
【0083】
以上のように、本実施形態において、制御ユニット2は、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)の制御期間TT2において、スイッチWc[m]がオン状態を維持し、スイッチWs[m]がオン状態を維持するように、ヘッドユニット3を制御する。このため、本実施形態によれば、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)の制御期間TT2において、スイッチWc[m]、または、スイッチWs[m]がオフ状態を維持する態様と比較して、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)の制御期間TT2において、容量CPsを確実に充電することが可能となる。
【0084】
なお、図13及び図20に例示する判定動作例において、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)のうち、制御期間TT1を、期間TA1と称する場合がある。また、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)のうち、制御期間TT2、制御期間TT3、及び、制御期間TT4を、期間TA2と称する場合がある。また、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)のうち、制御期間TT5と、吐出状態判定処理が実行される単位期間TP(k+1)のうち、制御期間TT1とを、期間TA3と称する場合がある。また、吐出状態判定処理が実行される単位期間TP(k+1)のうち、制御期間TT2、制御期間TT3、及び、制御期間TT4を、期間TA4と称する場合がある。
図13に例示するように、判定動作例において、スイッチWs[m]は、期間TA1においてオフ状態を維持し、期間TA2においてオン状態を維持し、期間TA3においてオフ状態を維持し、期間TA4においてオン状態を維持する。そして、判定ユニット8は、期間TA4のうち、制御期間TT3におけるノードNd5の電位を示す検出信号SK[m]に基づいて、圧電素子PZ[m]の状態を判定する。
なお、本実施形態において、期間TA1は「第1期間」の一例であり、期間TA2は「第2期間」の一例であり、期間TA3は「第3期間」の一例であり、期間TA4は「第4期間」の一例である。
【0085】
<<4.判定ユニットの動作>>
以下、図21を参照しつつ、判定ユニット8の動作について説明する。
【0086】
一般的に、吐出部D[m]に残留する振動は、吐出部D[m]の有するノズルNの形状、吐出部D[m]の有するキャビティ322に充填されたインクの重量、及び、吐出部D[m]の有するキャビティ322に充填されたインクの粘度、等により決定される固有振動周期を有する。そして、一般的に、吐出部D[m]のキャビティ322に気泡が混入しているために吐出異常が生じている場合には、吐出状態が正常な場合と比較して、吐出部D[m]に残留する振動の周期が短くなる。また、一般的に、吐出部D[m]のノズルN付近に紙粉等の異物が付着しているために吐出異常が生じている場合には、吐出状態が正常な場合と比較して、吐出部D[m]に残留する振動の周期が長くなる。また、一般的に、吐出部D[m]のキャビティ322内のインクが増粘しているために吐出異常が生じている場合には、吐出状態が正常な場合と比較して、吐出部D[m]に残留する振動の周期が長くなる。このように、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態に応じて、吐出部D[m]に残留する振動の周期が変動する。このため、吐出部D[m]に残留する振動の周期に基づいて、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定することができる。
また、一般的に、吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]が故障しているために吐出異常が発生している場合には、吐出状態が正常な場合と比較して、吐出部D[m]に残留する振動の振幅が小さくなる。このため、吐出部D[m]に残留する振動の振幅に基づいて、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定することができる。
【0087】
上述のとおり、検出信号SK[m]の波形は、判定対象吐出部DHとして駆動された吐出部D[m]に残留する振動の波形を示す。すなわち、検出信号SK[m]の波形が有する周期NTC[m]は、判定対象吐出部DHとして駆動された吐出部D[m]に残留する振動の周期となる。よって、検出信号SK[m]の波形が有する周期NTC[m]に基づいて、判定対象吐出部DHとして駆動された吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定することができる。また、検出信号SK[m]の波形が有する振幅VM[m]は、判定対象吐出部DHとして駆動された吐出部D[m]に残留する振動の振幅に応じた大きさの振幅となる。よって、検出信号SK[m]の波形が有する振幅VM[m]に基づいて、判定対象吐出部DHとして駆動された吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定することができる。
【0088】
本実施形態において、判定ユニット8は、検出信号SK[m]に基づいて、検出信号SK[m]の波形が有する周期NTC[m]と振幅VM[m]とを特定する。そして、本実施形態において、判定ユニット8は、図21に例示するように、周期NTC[m]と、閾値Tth-L及び閾値Tth-Hの一方または両方とを比較し、且つ、振幅VM[m]と、閾値Vthとを比較することで、判定対象吐出部DHとして駆動された吐出部D[m]におけるインクの吐出状態を判定し、当該判定の結果を示す吐出状態判定情報JH[m]を生成する。
ここで、閾値Tth-Lは、吐出部D[m]の吐出状態が正常である場合における吐出部D[m]に生じる振動の周期NTC[m]と、吐出部D[m]のキャビティ322に気泡が混入した場合における吐出部D[m]に生じる振動の周期NTC[m]との、境界の推定値である。また、閾値Tth-Hは、閾値Tth-Lよりも大きい値であって、吐出部D[m]の吐出状態が正常である場合における吐出部D[m]に生じる振動の周期NTC[m]と、吐出部D[m]のノズルN付近に異物が付着した場合、または、吐出部D[m]のキャビティ322内のインクが増粘した場合において吐出部D[m]に生じる振動の周期NTC[m]との、境界の推定値である。また、閾値Vthは、吐出部D[m]の吐出状態が正常である場合における吐出部D[m]に生じる振動の振幅VM[m]と、吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]が故障した場合における吐出部D[m]に生じる振動の振幅VM[m]との、境界の推定値である。
【0089】
図21に例示するように、判定ユニット8は、振幅VM[m]が、「Vth≦VM[m]」を満たし、且つ、周期NTC[m]が、「Tth-L≦NTC[m]≦Tth-H」を満たす場合、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態が正常であると看做し、吐出状態判定情報JH[m]に対して、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態が正常であることを示す値「1」を設定する。また、判定ユニット8は、振幅VM[m]が、「Vth≦VM[m]」を満たし、且つ、周期NTC[m]が、「NTC[m]<Tth-L」を満たす場合、吐出部D[m]のキャビティ322に気泡が混入しているために吐出異常が生じていると看做し、吐出状態判定情報JH[m]に対して、吐出部D[m]において気泡に起因する吐出異常が生じている旨を示す値「2」を設定する。また、判定ユニット8は、振幅VM[m]が、「Vth≦VM[m]」を満たし、且つ、周期NTC[m]が、「Tth-H<NTC[m]」を満たす場合、吐出部D[m]のノズルN付近に紙粉等の異物が付着しているため、または、吐出部D[m]のキャビティ322内のインクが増粘しているために吐出異常が生じていると看做し、吐出状態判定情報JH[m]に対して、吐出部D[m]において異物または増粘に起因する吐出異常が生じている旨を示す値「3」を設定する。また、判定ユニット8は、振幅VM[m]が、「VM[m]<Vth」を満たす場合、吐出部D[m]の圧電素子PZ[m]が故障しているために吐出異常が発生していると看做し、吐出状態判定情報JH[m]に対して、吐出部D[m]において故障に起因する吐出異常が生じている旨を示す値「4」を設定する。以上のように、判定ユニット8は、検出信号SK[m]の波形が有する周期NTC[m]及び振幅VM[m]に基づいて、吐出状態判定情報JH[m]を生成する。
【0090】
<<5.参考例>>
以下、図22を参照しつつ、参考例に係るヘッドユニット3の動作について説明する。
【0091】
図22は、参考例に係るヘッドユニット3の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0092】
図22に示すように、参考例においては、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)において、接続状態指定信号Qc[m]及び接続状態指定信号Qs[m]がローレベルを維持する点において、図13に例示する判定動作例と相違する。
【0093】
参考例においては、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)のうち、制御期間TT2、制御期間TT3、及び、制御期間TT4において、配線Lcから、スイッチWf及び抵抗Rfを介して、容量CPsに対して流れる電流によって、容量CPsを充電する。
しかし、参考例においては、スイッチWfから容量CPsに至る経路上に、抵抗Rfが存在するため、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)において、容量CPsの充電が完了しない場合があった。そして、参考例においては、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)において、容量CPsの充電が完了しない場合、吐出状態判定処理が実行される単位期間TP(k+1)のうち、制御期間TT2において、容量CPsを充電するための突入電流が発生し、当該突入電流に起因するノイズが、検出電位信号VX[m]及び検出信号SK[m]に重畳するという問題が生じる可能性があった。他方、参考例においては、容量CPsの充電を完了させるためには、複数の単位期間TPにおいて、複数回の吐出状態判定準備処理を繰り返す必要があり、吐出状態判定処理の開始が遅くなるという問題が生じる可能性があった。更に、参考例においては、吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TP(k)において、容量CPsの充電が完了しない場合、吐出状態判定処理が実行される単位期間TP(k+1)のうち、制御期間TT3の開始時点において、ノードNd0の電位が電位VS2とは異なる電位であるため、スイッチW2のスイッチングに伴う突入電流が発生し、当該突入電流に起因するノイズが、検出電位信号VX[m]及び検出信号SK[m]に重畳するという問題が生じる可能性があった。
【0094】
これに対して、本実施形態によれば、配線Lcから、スイッチWc[m]及びスイッチWs[m]を介して、容量CPsに対して流れる電流と、配線Lcから、スイッチWf及び抵抗Rfを介して、容量CPsに対して流れる電流とによって、容量CPsを充電する。このため、本実施形態によれば、参考例と比較して、容量CPsを急速に充電することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、参考例と比較して、容量CPsを充電するための突入電流に起因するノイズを低減することが可能となるとともに、スイッチW2のスイッチングに伴う突入電流に起因するノイズを低減することが可能となる。よって、本実施形態によれば、参考例と比較して、検出電位信号VX[m]及び検出信号SK[m]に対して重畳するノイズを低減することが可能となる。これにより、本実施形態によれば、参考例と比較して、吐出部D[m]におけるインクの吐出状態をより正確に判定することが可能となる。
【0095】
<<6.実施形態の纏め>>
以上のように、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、上部電極Zu[m]を具備し、配線Lcを介して上部電極Zu[m]に供給される駆動信号Comにより駆動される圧電素子PZ[m]と、配線Lc及び上部電極Zu[m]を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチWc[m]と、駆動信号Comにより駆動された圧電素子PZ[m]に生じる振動を、上部電極Zu[m]の電位変化として配線Lsを介して検出する検出回路33と、配線Ls及び上部電極Zu[m]を電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチWs[m]と、圧電素子PZ[m]の状態を判定する判定ユニット8と、を備え、スイッチWs[m]は、期間TA1においてオフ状態を維持し、期間TA1に後続する期間TA2においてオン状態を維持し、期間TA2に後続する期間TA3においてオフ状態を維持し、期間TA3に後続する期間TA4においてオン状態を維持し、判定ユニット8は、期間TA4のうち制御期間TT3における検出回路33による検出結果を示す検出信号SK[m]に基づいて、圧電素子PZ[m]の状態を判定する、ことを特徴とする。
すなわち、本実施形態によれば、期間TA2において、スイッチWs[m]がオン状態となるため、検出回路33による検出が実行される期間TA4よりも前に、スイッチWs[m]を介して、スイッチWs[m]に寄生する容量CPsを充電することができる。このため、本実施形態によれば、検出回路33による検出が実行される期間TA4において、容量CPsを充電するための突入電流の発生を抑制することが可能となり、検出回路33による、上部電極Zu[m]の電位変化の検出精度を高くすることが可能となる。
【0096】
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1において、スイッチWc[m]は、期間TA2のうち制御期間TT2においてオン状態を維持する、ことを特徴とする。
このため、本実施形態によれば、期間TA2において、配線Lc、スイッチWc[m]、及び、スイッチWs[m]を介して、駆動信号Comにより容量CPsを充電することが可能となる。
【0097】
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1において、スイッチWc[m]は、期間TA3のうち制御期間TT1においてオン状態を維持する、ことを特徴とする。
このため、本実施形態によれば、期間TA4よりも前に、駆動信号Comにより圧電素子PZ[m]を駆動することができる。
【0098】
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、配線Lc及び配線Lsを電気的に接続するか否かを切り替えるスイッチWfと、スイッチWf及び配線Lsの間に電気的に接続された抵抗Rfと、を備え、スイッチWfは、期間TA2においてオン状態を維持し、期間TA4においてオン状態を維持する、ことを特徴とする。
このため、本実施形態によれば、検出回路33による検出が実行される期間TA4よりも前に、スイッチWfを介して、スイッチWs[m]に寄生する容量CPsを充電することができる。
【0099】
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1において、スイッチWfは、期間TA1においてオフ状態を維持し、期間TA3においてオフ状態を維持する、ことを特徴とする。
このため、本実施形態によれば、検出回路33に対して、駆動信号Comの電位変化の影響が及ぶことを防止することができる。
【0100】
また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1において、期間TA2及び期間TA4において、駆動信号Comは電位VS2を維持する、ことを特徴とする。
このため、本実施形態によれば、期間TA2において、配線Lsの電位を電位VS2に設定することができる。また、本実施形態によれば、期間TA4において、検出回路33が上部電極Zu[m]の電位変化を正確に検出することができる。
【0101】
<<B.変形例>>
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0102】
<<変形例1>>
上述した実施形態では、印刷処理が実行される単位期間TPと、吐出状態判定処理または吐出状態判定準備処理が実行される単位期間TPとが、異なる期間である場合を想定したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。
例えば、印刷処理が実行される単位期間TPにおいて、吐出状態判定処理または吐出状態判定準備処理が実行されてもよい。この場合、駆動信号生成ユニット4から、ヘッドユニット3に対して、信号を伝送する配線として、波形PP1及び波形PP2を有する駆動信号Comを伝送する信号線とは別個に、波形PSを有する駆動信号Comを伝送する信号線を設けてもよい。
【0103】
<<変形例2>>
上述した実施形態及び変形例1では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。インクジェットプリンター1は、ヘッドユニット3において、複数のノズルNが、記録用紙Pの幅よりも広く延在するように設けられた、所謂ラインプリンターであってもよい。
【0104】
<<変形例3>>
上述した実施形態並びに変形例1及び2では、「駆動装置」として、「容量性負荷」の一例である圧電素子PZ[m]を具備するインクジェットプリンター1を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。「容量性負荷」を具備する「駆動装置」であれば、本発明を適用することができる。本発明に係る「駆動装置」としては、例えば、スピーカー等の音響機器、または、自動車のインジェクター等を採用することができる。
【符号の説明】
【0105】
1…インクジェットプリンター、2…制御ユニット、3…ヘッドユニット、4…駆動信号生成ユニット、7…搬送ユニット、8…判定ユニット、31…供給回路、32…記録ヘッド、33…検出回路、310…接続状態指定回路、D…吐出部、Lc…配線、Ls…配線、PZ[m]…圧電素子、Rf…抵抗、Wc[m]…スイッチ、Ws[m]…スイッチ、Wf…スイッチ、Zu[m]…上部電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22