(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】避難所管理装置、避難所管理方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
G08B27/00 C
(21)【出願番号】P 2021000309
(22)【出願日】2021-01-05
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】篠田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 規史
(72)【発明者】
【氏名】直島 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】日下 聡
(72)【発明者】
【氏名】別府 重憲
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慶太
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-186036(JP,A)
【文献】特開2013-54543(JP,A)
【文献】特開2006-121535(JP,A)
【文献】特開2020-160664(JP,A)
【文献】特開2018-169687(JP,A)
【文献】特開2021-71940(JP,A)
【文献】特開2022-98912(JP,A)
【文献】国際公開第2018/163822(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 23/00 - 31/00
G06Q 50/00 - 50/20、
50/26 - 99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理用端末として予め登録されている携帯端末装置の所在位置を表す位置情報を取得する取得部と、
避難所に指定されている施設を含む避難所領域内における前記管理用端末の前記位置情報に基づいて前記避難所が開設されたことを判定する判定部と、
前記避難所が開設されたことを報知する報知部と
を備える避難所管理装置。
【請求項2】
前記管理用端末から前記避難所の状況を表す情報を収集する情報収集部をさらに備える請求項1に記載の避難所管理装置。
【請求項3】
ユーザ側端末として予め登録されている携帯端末装置に向けて、前記避難所に指定されている施設以外の場所に避難している状況を表す情報の登録を要求し、また、その要求に応じて前記ユーザ側端末から返信された情報に基づいて、前記避難所に指定されている施設以外の場所での避難状況の情報を登録する登録部をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の避難所管理装置。
【請求項4】
前記報知部は、前記避難所に指定されている施設以外の場所での避難状況の情報をも報知する請求項3に記載の避難所管理装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記管理用端末の前記位置情報に基づいて前記避難所領域内における前記管理用端末の数と滞在時間との一方又は両方を検知し、当該検知した前記管理用端末の数と滞在時間との一方又は両方を利用して前記避難所が開設されたことを判定する請求項1乃至請求項4の何れか一つに記載の避難所管理装置。
【請求項6】
コンピュータによって、
管理用端末として予め登録されている携帯端末装置の所在位置を表す位置情報を取得し、
避難所に指定されている施設を含む避難所領域内における前記管理用端末の前記位置情報に基づいて前記避難所が開設されたことを判定し、
前記避難所が開設されたことを報知する
避難所管理方法。
【請求項7】
管理用端末として予め登録されている携帯端末装置の所在位置を表す位置情報を取得する処理と、
避難所に指定されている施設を含む避難所領域内における前記管理用端末の前記位置情報に基づいて前記避難所が開設されたことを判定する処理と、
前記避難所が開設されたことを報知する処理と
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避難所の開設状況などを管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
災害時に災害の危険から逃れる避難者を滞在させるために、ある程度の人数を収容できる学校や公民館などの施設が避難所として指定されている。災害発生時には、自治体の職員などがその指定された施設に赴き運営することにより当該施設は避難所として機能する。
【0003】
なお、特許文献1(国際公開第2018/163822号)には、避難者の属性を表す情報を取得可能な二次元コードが記載されているカードやそのような情報を保持するIC(Integrated Circuit)カードを利用して、避難所を管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
災害発生時に自治体が避難所を開設しなければならない事態になると、自治体の職員などが避難所となる施設に赴き、避難所を開設し、避難所の運営を開始することとなる。しかしながら、避難所を開設する際には、避難所となる施設に関して多数のチェック項目を確認する作業が必要であり、人手不足のために避難所を開設したという連絡が、自治体の災害対策本部に速やかに伝えられない場合がある。この場合には、避難所が開設したことを自治体の住民に知らせる連絡が遅れ、このため、住民の避難の遅れの要因になってしまうことが懸念される。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために考え出された。すなわち、本発明の主な目的は、災害時に,人の手によらずに災害対策本部が避難所の開設を検知できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の避難所管理装置は、その一形態として、
管理用端末として予め登録されている携帯端末装置の所在位置を表す位置情報を取得する取得部と、
避難所に指定されている施設を含む避難所領域内における前記管理用端末の前記位置情報に基づいて前記避難所が開設されたことを判定する判定部と、
前記避難所が開設されたことを報知する報知部と
を備える。
【0008】
また、本発明の避難所管理方法は、その一形態として、
コンピュータによって、
管理用端末として予め登録されている携帯端末装置の所在位置を表す位置情報を取得し、
避難所に指定されている施設を含む避難所領域内における前記管理用端末の前記位置情報に基づいて前記避難所が開設されたことを判定し、
前記避難所が開設されたことを報知する。
【0009】
さらに、本発明のコンピュータプログラムは、その一形態として、
管理用端末として予め登録されている携帯端末装置の所在位置を表す位置情報を取得する処理と、
避難所に指定されている施設を含む避難所領域内における前記管理用端末の前記位置情報に基づいて前記避難所が開設されたことを判定する処理と、
前記避難所が開設されたことを報知する処理と
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、災害時に,人の手によらずに災害対策本部が避難所の開設を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態の避難所管理装置を含む避難所管理システムを表すイメージ図である。
【
図2】第1実施形態の避難所管理装置の構成を説明するブロック図である。
【
図3】避難所が開設したことを報知する表示形態の一例を表す図である。
【
図4】避難所に関する情報を報知する表示形態の一例を表す図である。
【
図5】避難所に関する情報を報知する表示形態の別の一例を表す図である。
【
図6】管理用端末における自動会話の例を説明する図である。
【
図7】第1実施形態の避難所管理装置における避難所の開設判定動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図8】第2実施形態の避難所管理装置の構成を説明するブロック図である。
【
図9】第2実施形態の避難所管理装置により取得された指定外避難所の情報の活用例を説明する図である。
【
図10】避難所管理装置のその他の実施形態を説明するブロック図である。
【
図11】
図11における避難所管理装置における避難所の開設判定動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の避難所管理装置を含む避難所管理システムのイメージを表す図である。この避難所管理システム1は、災害発生時に開設される避難所5を管理するシステムである。避難所とは、災害の危険性があるために避難した住民等を滞在させる場所であり、ある程度の人員を収容できる学校や体育館や公民館などの施設が避難所として指定されている。災害の発生、あるいは、災害の発生の虞がある場合に、そのような指定されている施設に、例えば自治体の職員など(以下、係員と記す)が派遣され、当該施設に避難所が開設される。避難所管理システム1では、避難所となる施設に派遣される係員は、予め管理用端末として登録されている携帯端末装置(以下、管理用端末と記す)3を所持している。避難所管理システム1は、災害時に、管理用端末3の位置情報を利用して、人の手を煩わせることなく避難所5が開設されたことを検知する機能を備えている。
【0014】
すなわち、避難所管理システム1は、避難所管理装置2を備えている。避難所管理装置2は、コンピュータ装置であり、例えば、災害時に立ち上げられる災害対策本部6に備えられる。この避難所管理装置2は、管理用端末3と情報通信網を介して接続する。また、避難所管理装置2は、表示装置25と接続されており、表示装置25に文字や画像を利用して様々な情報を表示させることができる。さらに、避難所管理装置2は、データベース7に接続されている。データベース7には、避難所5の管理に必要なデータが格納されている。例えば、データベース7には、避難所5となる施設の位置を含む地図データや、避難所5となる複数の施設にそれぞれ対応する避難所情報が格納されている。避難所情報は、避難所5となる施設の名称と、その位置情報と、開設と閉鎖の何れの状態であるかを表す情報(開設状況情報)と、収容可能な人数の情報と、開設時における避難者の人数の情報などが関連付けられている情報(データ)である。データベース7は、例えば、自治体が利用している他のシステムにおけるコンピュータ装置と共通に接続することが可能になっている。
【0015】
さらに、避難所管理装置2は、防災無線の発信装置8や情報配信装置9に接続されていてもよい。発信装置8は、防災無線システムにおけるスピーカーや防災無線ラジオなどに情報を発信する装置である。情報配信装置9は、予め登録されている登録者が所持している情報機器(例えば携帯端末装置)に向けて、自治体からのお知らせ等の情報を例えば電子メールやSMS(Short Message Service)などにより一斉配信する装置である。
【0016】
図2は、避難所管理装置2と、当該避難所管理装置2に接続する管理用端末3との構成例を表すブロック図である。なお、
図2では、避難所管理装置2に接続する管理用端末3の台数は1台であるが、災害発生時には、複数の管理用端末3が接続される。
【0017】
管理用端末3は、プロセッサ30と、通信インターフェース31と、記憶装置32と、表示装置33とを有して構成されている。表示装置33は、映像や文字などの情報を表示する構成を備えた装置であり、その表示動作はプロセッサ30により制御される。通信インターフェース31は、情報通信網を利用して、他の通信機能を備えた装置と通信する装置である。
【0018】
記憶装置32は、データや、コンピュータプログラム(以下、プログラムとも記す)35を記憶する記憶媒体を備えている。記憶装置32には複数の種類があり、管理用端末3に搭載される記憶装置32の種類は限定されるものではなく、ここでは、記憶装置32の構成や動作の説明は省略される。また、複数種の記憶装置32が管理用端末3に備えられてもよく、この場合には、それらをまとめて記憶装置32と記すこととする。避難所管理システム1においては、記憶装置32には、避難所管理装置2から取得されたアプリケーションプログラム(以下、アプリAPmとも記す)が、プログラム35の一つとして格納されている。
【0019】
プロセッサ30は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサであり、記憶装置32に記憶されているプログラム35を読み出して実行することにより、当該プログラム35に基づいた様々な機能を持つことができる。ここでは、プロセッサ30は、避難所管理装置2から供給されたアプリAPmに基づいて、避難所管理システム1を利用するための機能部として、受信部17と、発信部18と、収集部19とを有している。
【0020】
受信部17は、管理用端末3の所在位置を特定するために必要な情報をGPS(Global Positioning System)等の測位システムから受信する。
【0021】
発信部18は、測位システムから受信した情報に基づいた管理用端末3の所在位置を表す位置情報を、避難所管理装置2に向けて発信する。
【0022】
収集部19は、避難所管理装置2からの指令に応じた情報を収集するために、管理用端末3への情報の入力を促すメッセージ等を表示装置33に表示させたり、管理用端末3に備えられている入力装置(図示せず)によって入力された情報を受け付ける。受け付けられた情報は、発信部18によって、避難所管理装置2に向けて発信される。
【0023】
避難所管理装置2は、プロセッサ20と、通信インターフェース21と、記憶装置22とを有して構成されている。通信インターフェース21は、情報通信網を利用して、他の通信装置と通信する装置である。
【0024】
記憶装置22は、データや、プログラム24を記憶する記憶媒体を備えている。記憶装置には、磁気ディスク装置や、半導体メモリ素子などの複数の種類があり、さらに、半導体メモリ素子には、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの複数の種類があるというように、多数の種類がある。避難所管理装置2が備える記憶装置22の種類は1つに限定されるものではなく、複数種の記憶装置22が避難所管理装置2に備えられることが多い。ここでは、避難所管理装置2に備えられる記憶装置22の種類や数は限定されず、その説明は省略される。また、避難所管理装置2に複数種の記憶装置22が備えられる場合には、それらをまとめて記憶装置22と記すこととする。
【0025】
記憶装置22に記憶されているプログラム24の一つとして、避難所管理システム1を構成するための機能を避難所管理装置2に持たせるアプリケーションプログラム(以下、アプリAPsとも記す)が格納されている。また、記憶装置22には、プログラム24の別の一つとして、避難所管理システム1を利用するための機能を管理用端末3に持たせるアプリAPmが格納されている。このアプリAPmは、例えば、管理用端末3からの要求に応じて管理用端末3に提供される。
【0026】
プロセッサ20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの1つあるいは複数のプロセッサにより構成され、記憶装置22に記憶されているプログラム24を読み出して実行することにより、当該プログラム24に基づいた様々な機能を持つことができる。ここでは、プロセッサ20は、アプリAPsに基づいて、機能部として、取得部11と、判定部12と、情報収集部13と、報知部14とを有している。
【0027】
取得部11は、予め定められたタイミング毎(例えば所定の時間間隔毎)に、管理用端末3から位置情報を取得する。
【0028】
判定部12は、取得された管理用端末3の位置情報に基づき、避難所5が開設されたか否かを判定する。例えば、判定部12は、管理用端末3の位置情報を利用して、避難所5となる施設を含む予め定められた避難所領域内における管理用端末3の数を計数し、当該管理用端末3の数が開設判定用の閾値以上であるか否かを判定する。開設判定用の閾値は、避難所5となる施設に設定されている避難者の収容可能な人数などに応じて適宜に設定される。
【0029】
さらに、判定部12は、避難所領域内に開設判定用の閾値以上の数の管理用端末3が存在(滞在)していると判定した場合には、その状態が予め定められた着任判定期間に亘り継続しているか否かを判定する。着任判定期間は、避難所5となる施設に係員が立ち寄ったのではなく着任したと想定される適宜な時間が設定される。
【0030】
避難所領域内に開設判定用の閾値以上の数の管理用端末3が存在している状態(端末数条件適合状態とも記す)が着任判定期間に亘り継続しているか否かを判定する手法には、次のような手法が考えられる。例えば、避難所領域内に開設判定用の閾値以上の数の管理用端末3が存在していると最初に検知された時刻の情報が期間始点の時刻として、当該避難所を識別する避難所識別情報に関連付けられて記憶装置22に格納される。その後、管理用端末3から次の取得タイミングで取得された位置情報に基づいて、端末数条件適合状態である旨が判定された場合には、この判定時の時刻と、期間始点の時刻とに基づいて、端末数条件適合状態が着任判定期間に亘り継続しているか否かが判定される。なお、端末数条件適合状態ではないと判定された場合には、記憶装置22における期間始点の時刻の情報はリセットされる。
【0031】
また、次のような判定手法が行われてもよい。例えば、端末数条件適合状態であると判定された連続回数がカウントされ、連続回数が着任判定期間に相当するカウント数以上である場合に、端末数条件適合状態が着任判定期間に亘り継続していると判定されてもよい。
【0032】
上記のように、判定部12は、開設判定用の閾値以上の台数の管理用端末3が避難所領域内に着任判定期間に亘って存在していることを検知した場合には、その避難所領域内の施設は避難所5として開設したと判定する。つまり、判定部12は、管理用端末3の位置情報に基づいた管理用端末3の数だけでなく、滞在時間も考慮して避難所5の開設を判定する。
【0033】
判定部12は、また、避難所5が開設したと判定した場合には、データベース7に格納されている避難所情報を更新する。つまり、判定部12は、避難所5が開設したと判定した場合には、データベース7において、開設した避難所5に対応する避難所情報の開設状況情報を閉鎖から開設に変更する。なお、自治体が公開しているウェブサイトがあり、避難所5の開設状況を表す情報を含む防災関連ページがある場合であって、ウェブサイトを管理しているコンピュータ装置がデータベース7における避難所情報を参照しているとする。このような場合には、判定部12がデータベース7における避難所情報を更新することにより、この更新に伴って自治体における防災関連ページの避難所5の開設状況の情報も更新される。
【0034】
報知部14は、判定部12によって避難所5が開設されたと判定された場合に、当該避難所5が開設されたことを報知するために、予め定められた報知動作を実行する。例えば、報知部14は、表示装置25に、開設された避難所5を報知する情報を表示させる。避難所5が開設されたことを報知する表示装置25の表示形態は限定されるものではないが、例えば、その表示形態の一例が
図3に表されている。
図3の例では、表示装置25には、避難所5の位置を含む地図が表示され、この地図には避難所5の位置がマーク26によって記されている。さらに、表示装置25に表示されている地図において、開設した避難所5に対応するマーク26から吹き出し27が表され、吹き出し27には、開設したことが表され、また、避難所5に関する情報が表示されている。
【0035】
なお、表示装置25に
図3のような画面が表示されている場合に、例えば、避難所管理装置2のユーザが入力装置(図示せず)を操作することにより、別のマーク26が指定されたとする。この場合に、報知部14は、
図4に表されるように、その指定されたマーク26に対応する避難所5の情報を吹き出し27を利用して表示してもよい。
【0036】
また、避難所5が開設されたことを報知する表示装置25の別の表示形態としては、例えば、複数の避難所5に関する避難所情報が
図5のように一覧表示され、避難所5のそれぞれの開設状況が表されてもよい。なお、
図3や
図5のような表示形態において、「開設」と「閉鎖」の文字の大きさや文字色や文字装飾などを異ならせることにより、開設と閉鎖が明瞭に区別できるように表示されてもよい。
【0037】
また、報知部14は、開設した避難所5があるという開設情報を管理用端末3に向けて発信する。さらに、避難所管理装置2が防災無線システムの発信装置8や情報配信装置9に接続されている場合には、報知部14は、発信装置8や情報配信装置9を利用して避難所5の開設を報知すべく、開設した避難所5があるという開設情報を発信装置8や情報配信装置9に発信する。これにより、発信装置8や情報配信装置9によって、開設した避難所5があるという開設情報がその地域の住民に報知される。
【0038】
さらに、報知部14は、次のような個別配信を行ってもよい。例えば、データベース7には、地域のそれぞれの世帯についての連絡先の情報と、住所等に基づき定められた避難所の情報との関係データが格納されている。このデータを利用して、報知部14は、開設した避難所5に関連付けられている世帯のそれぞれに向けて、避難所5が開設したことを報知する開設情報を個別に配信してもよい。
【0039】
さらにまた、報知部14は、次のような個別配信を行ってもよい。例えば、データベース7には、避難所5の開設情報の配信を要求するユーザの登録情報が格納されている。この登録情報には、ユーザの携帯端末装置と通信するために必要な情報が含まれている。避難所管理装置2は、そのような登録済みのユーザの携帯端末装置に備えられている位置情報の発信機能を利用して、ユーザの携帯端末装置の位置情報を取得する機能を備える。報知部14は、取得した位置情報に基づいて、開設した避難所5に避難する対象となっている地域に所在している携帯端末装置を検知し、当該携帯端末装置に向けて、所在している地域の避難所5が開設したことを報知する開設情報を配信してもよい。
【0040】
なお、報知部14は、上記以外の予め定められた報知先に、避難所5の開設情報を発信してもよい。
【0041】
情報収集部13は、判定部12により開設していると判定された避難所5を含む避難所領域内に位置する管理用端末3に向けて、予め定められた情報を収集するための情報収集指令を発信する。収集対象の情報としては、例えば、避難所の状況を表す情報であり、避難している人の人数や、施設の被害の有無や、病人や怪我人の有無や、不足物資の有無などが挙げられる。
【0042】
情報を収集する手法は限定されないが、例えば、チャットボットを利用することが考えられる。チャットボットとは、人が入力した文字や音声に対してコンピュータが回答する自動会話プログラムである。チャットボットを利用する場合には、例えば、回答する管理用端末3の表示装置33には、
図6に表されるような会話(対話)を表す画面が表示される。また、情報を収集する手法の別の例としては、回答する管理用端末3の表示装置33には収集対象の情報の項目が一覧表示され、項目に対応する情報を文字入力により受け付けるという情報収集手法であってもよい。
【0043】
なお、避難所領域内に所在している管理用端末3が複数であって、情報収集部13からの情報収集の指令をそれら管理用端末3が同様に受信した場合には、例えば、それら管理用端末3のうちの1台が回答用の端末となった場合に、他は回答できないように制御される。
【0044】
情報収集部13は、また、情報収集指令を受けた管理用端末3から返信された情報を受け付け、管理用端末3から返信された情報に基づき、例えばデータベース7の避難所情報などを更新する。このように情報収集部13によりデータベース7の情報が更新されることにより、データベース7の情報に基づいた情報を報知している例えば表示装置25の表示や、自治体のウェブサイトの情報が更新される。
【0045】
なお、上記のような情報収集部13による情報収集動作は、開設されたと判定された場合のタイミングだけでなく、開設されたと判定された以降の予め定められたタイミング毎に実行されてもよい。また、情報収集部13による情報収集動作が複数回行われる場合には、情報収集動作が行われる度に収集対象の情報内容が異なっていてもよいし、同じでもよい。
【0046】
第1実施形態の避難所管理装置2を含む避難所管理システム1は上記のように構成されている。次に,避難所管理装置2における避難所5の開設を判定する動作の一例を
図7を利用して説明する。
図7は、避難所管理装置2における避難所5の開設判定動作の一例を表すフローチャートである。
【0047】
例えば、まず、避難所管理装置2の取得部11は、予め定められたタイミングでもって管理用端末3の位置情報を取得する(
図7におけるステップ101)。その後、判定部12は、避難所管理装置2が管理している複数の避難所毎に、管理用端末3の位置情報を利用して、避難所領域内の管理用端末3の数を計数する(ステップ102)。さらに、判定部12は、避難所領域内の管理用端末3の数が開設判定用の閾値以上であるか否かを判定する(ステップ103)。避難所領域内の管理用端末3の数が開設判定用の閾値以上でない(開設判定用の閾値未満である)避難所5に関しては、判定部12は、開設していないと判定する。そして、全ての避難所5について、判定部12が開設していないと判定した場合には、避難所管理装置2は、次のステップ101以降の動作に備えて待機し、然る後に、ステップ101以降の動作を繰り返す。
【0048】
一方、判定部12は、避難所領域内の管理用端末3の数が開設判定用の閾値以上であると判定した避難所5に関しては、その状態(端末数条件適合状態)が着任判定期間を経過したか否かを判定する(ステップ104)。端末数条件適合状態である避難所5の全てが着任判定期間を経過していないと判定した場合には、避難所管理装置2は、次のステップ101以降の動作に備えて待機し、然る後に、ステップ101以降の動作を繰り返す。
【0049】
これに対し、端末数条件適合状態が着任判定期間を経過した避難所5に関しては、判定部12は、避難所5は開設されたと判定する(ステップ105)。その後、報知部14が、開設された避難所5について、避難所5が開設されたことを表示装置25等を利用して報知する(ステップ106)。
【0050】
第1実施形態の避難所管理装置2を含む避難所管理システム1は上記のように構成されている。この避難所管理システム1では、避難所管理装置2が管理用端末3の位置情報を利用して避難所5の開設を検知しており、災害時に,人の手によらずに災害対策本部6が避難所の開設を検知できる。これにより、災害対策本部6は、避難所5が開設したことを住民に知らせる連絡が人手不足により遅れるという事態を防止できる。また、避難所管理装置2は、避難所5を開設する係員の負荷の軽減を図ることができる。
【0051】
さらに、避難所管理装置2の情報収集部13が、自動会話プログラムを利用して、避難所5の状況を収集する構成とすることによって、管理用端末3を所持している係員は、質問に回答していくだけで避難所5の状況を簡単に災害対策本部6に連絡できる。
【0052】
なお、避難所5の状況を取得する手法として、カメラ付き携帯端末装置のカメラによる撮影画像が利用されてもよい。例えば、避難所5の開設時に当該避難所5の入口に設置されたカメラ付き携帯端末装置のカメラによって、避難所5に入場する避難者を撮影することとする。そして、避難所管理装置2の取得部11が、そのカメラの撮影画像を取得し、情報収集部13が、撮影画像に撮影されている避難所5に入場する避難者を計数することにより、その避難所5に避難している避難者の数を検知してもよい。撮影画像から人を計数する手法は、ここでは限定されず、撮影画像の解像度や避難所管理装置2の性能等を考慮した適宜な手法が採用され、その説明は省略される。また、同じ人が重複してカウントされることを防止するために、避難所5に最初に入場する入口と、再入場する場合の入口とを別に設けるという手段が講じられてもよい。
【0053】
また、避難所5の状況を取得する手法として、監視カメラが設置されている避難所5であれば、その既設の監視カメラによる撮影画像を利用して避難所5の状況が取得されてもよい。
【0054】
さらに、第1実施形態では、判定部12は、管理用端末3の位置情報に基づいた管理用端末3の数と滞在時間の両方に基づいて、避難所5の開設を判定する。これに代えて、判定部12は、管理用端末3の数と滞在時間とのうちの一方に基づいて、避難所5の開設を判定してもよい。つまり、判定部12は、避難所領域内に開設判定用の閾値以上の数の管理用端末3が存在していると判定した場合に、管理用端末3の滞在時間を考慮せずに、その避難所領域内の施設は避難所5として開設したと判定してもよい。あるいは、判定部12は、管理用端末3が、避難所領域内に開設判定用の期間以上、滞在していると判定した場合に、管理用端末3の数を考慮せずに、その避難所領域内の施設は避難所5として開設したと判定してもよい。
【0055】
<第2実施形態>
以下に、本発明に係る第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態の説明で使用した名称と同一名称部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0056】
第2実施形態では、指定されている避難所以外の場所を避難所(以下、指定外避難所とも記す)として避難している人たちに着目している。すなわち、
図8に表されているように、避難所管理装置2は、ユーザ側端末として予め登録されている携帯端末装置(以下、ユーザ側端末とも記す)4と、情報通信網を利用して接続可能となっている。
【0057】
ユーザ側端末4は、例えば住民が所持している端末である。当該ユーザ側端末4は、プロセッサ40と、通信インターフェース41と、記憶装置42と、表示装置43とを有して構成されている。表示装置43は、映像や文字などの情報を表示する構成を備えた装置であり、その表示動作はプロセッサ40により制御される。通信インターフェース41は、情報通信網を利用して、他の通信機能を備えた装置と通信する装置である。
【0058】
記憶装置42は、データや、プログラム45を記憶する記憶媒体を備えている。記憶装置42には複数の種類があり、ユーザ側端末4に搭載される記憶装置42の種類は限定されるものではなく、ここでは、記憶装置42の構成や動作の説明は省略される。また、複数種の記憶装置42がユーザ側端末4に備えられてもよく、この場合には、それらをまとめて記憶装置42と記すこととする。避難所管理システム1においては、記憶装置42には、避難所管理装置2から供給された避難所管理システム用のアプリケーションプログラム(以下、アプリAPhとも記す)が、プログラム45の一つとして格納されている。
【0059】
プロセッサ40は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサであり、記憶装置42に記憶されているプログラム45を読み出して実行することにより、当該プログラム45に基づいた様々な機能を持つことができる。ここでは、プロセッサ40は、避難所管理装置2から供給されたアプリAPhに基づいて、避難所管理システム1を利用するための機能部として、通信部47と、収集部48と、通知部49とを有している。
【0060】
通信部47は、避難所管理装置2との間で情報(データ)や要求を通信する。
【0061】
通知部49は、避難所管理装置2から通信部47を介して受け取った情報やメッセージや要求などを表示装置43に表示させたり、スピーカー(図示せず)によって音声により報知する。避難所管理装置2から受け取る情報としては、災害が発生する虞がある場合や災害が発生している場合には、例えば、指定されている避難所5の開設状況を含む避難所情報や、災害の発生の有無を含む災害状況の情報などの避難関連情報が挙げられる。また、メッセージとしては、指定されている避難所5が例えば混雑している等の理由により当該避難所5に避難せず指定外避難所に避難すると決めた避難者に向けて、例えば、指定外避難所の広さを考慮しつつ塊となって避難して欲しい旨のメッセージがある。さらに、避難所管理装置2から受け取る要求としては、例えば、災害が発生する虞がある場合や、災害が発生した場合には、避難所5ではない場所を避難所(指定外避難所)としている場合に当該状況(避難状況)を登録して欲しいという登録要求がある。このような登録要求を受け取った場合には、例えば、通知部49は、登録を要求するメッセージを表示装置43に表示させ、また、登録対象の情報を入力する欄を表示装置43に表示させる。登録対象の情報としては、例えば、指定外避難所としている場所の住所や施設名の情報や、避難者の人数やその代表者名などの情報が挙げられる。
【0062】
収集部48は、避難所管理装置2からの要求に応じた情報がユーザ側端末4に入力されると、入力された情報を受け付け当該情報を通信部47を介して避難所管理装置2に向けて出力する。
【0063】
第2実施形態の避難所管理装置2は、
図8に表されているように、第1実施形態の構成に加えて、登録部15が備えられている。登録部15は、ユーザ側端末としての登録を要求する携帯端末装置についての情報を例えばデータベース7にユーザ登録情報として格納する。また、登録部15は、災害が発生する虞がある場合や災害が発生している場合に、ユーザ側端末4に向けて、前述したような指定外避難所に関する情報を登録する要求を発信する。また、その要求に応じて指定外避難所に関する情報が返信されてきた場合には、登録部15は、その指定外避難所に関する情報を指定外避難所情報として例えばデータベース7に登録する。
【0064】
このように登録部15によりデータベース7に登録された指定外避難所情報は、例えば、報知部14の報知動作によって、表示装置25に表示される。また、そのような指定外避難所情報は、避難所管理装置2から管理用端末3やユーザ側端末4に送信され、管理用端末3やユーザ側端末4の表示装置33,43にて閲覧可能としてもよい。
【0065】
また、前述したようなユーザ側端末4が避難所管理装置2から受け取る情報は、報知部14によりユーザ側端末4に送信される。
【0066】
第2実施形態における避難所管理装置2および当該避難所管理装置2を備えた避難所管理システム1の上記以外の構成は、第1実施形態の構成と同様である。
【0067】
第2実施形態の避難所管理装置2は、第1実施形態と同様の構成を備えているので、第1実施形態の避難所管理装置2と同様の効果を得ることができる。その上、避難所管理装置2は、指定外避難所の場所や当該指定外避難所に避難している避難者の人数などの指定外避難所情報を収集し、データベース7に登録する構成を備えている。これにより、災害対策本部6は、指定外避難所に避難している避難者の状況把握の迅速化を図ることができる。また、災害対策本部6では、指定外避難所を把握できることにより、指定されている避難所5に避難している避難者だけでなく、指定外避難所に避難している避難者にも支援物資が支給されるように手配することが可能となる。
【0068】
なお、避難所管理装置2は、上記構成に加えて、異なる指定外避難所に避難している避難者同士が塊となって避難するように促す構成を備えていてもよい。例えば、避難所管理装置2は、ユーザ側端末4からの登録情報に基づいて、
図9においてマーク27により表される位置の施設や住宅を指定外避難所として避難している避難者がいるという情報を取得できたとする。また、
図9において点Oで表されている位置の施設は、例えば、マンションのコミュニティルームであり、住宅に比べれば広い施設であるとする。このような場合に、その点Oの位置の指定外避難所に近い指定外避難所の避難者は、点Oの指定外避難所に集約した方が好ましいと災害対策本部6により判定されたとする。この判定に基づき、避難所管理装置2の例えば
図8の点線に表される出力部16は、点Oを中心にして予め設定された半径(例えば300メートル)の範囲Mの内部に位置する指定外避難所に避難している避難者のユーザ側端末4に向けて、集約を促すメッセージを出力する。このような避難所管理装置2の構成によって、指定外避難所の集約化が図られることにより、例えば、指定外避難所へ支援物資が供給されるのに要する時間を短縮できる。
【0069】
また、避難所管理装置2の登録部15は、ユーザ側端末4の登録に際し、例えば、お友達として関連付ける他のユーザ側端末4を表す情報をも登録するようにユーザに促してもよい。これに応じて、お友達のユーザ側端末4の情報が入力された場合には、登録部15は、登録対象のユーザ側端末4のユーザ登録情報として、お友達のユーザ側端末4の情報をも登録する。避難所管理装置2は、災害時に、互いにお友達として登録されている複数のユーザ側端末4がそれぞれ別々の指定外避難所に避難していることを検知した場合には、それらユーザ側端末4のそれぞれに向けて、お友達が別の指定外避難所にて避難していることを出力部16によって知らせてもよい。この際、お友達同士が安全を確保しつつ集まって指定外避難所にて避難することを促すメッセージなどが出力部16により出力されてもよい。
【0070】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、第1と第2の実施形態に限定されず、様々な実施の形態を採り得る。例えば、避難所5が開設される場合には、テントなどのアウトドア活動で利用される機材や、パーテンションなどが必要となる場合がある。このような場合を想定し、避難所管理装置2は、そのような機材をレンタルするレンタルシステムと接続する。そして、避難所管理装置2は、機材のレンタルが必要となる避難所5が開設したと判定部12により判定された場合に、レンタルシステムに機材のレンタルを依頼する構成を備えていてもよい。
【0071】
図10は、本発明に係る避難所管理装置の最小構成例を表すブロック図である。避難所管理装置55は、例えば、コンピュータ装置であり、機能部として、避難所管理装置55は取得部56と判定部57と報知部58を備える。取得部56は、管理用端末として予め登録されている携帯端末装置の所在位置を表す位置情報を取得する。判定部57は、避難所に指定されている施設を含む避難所領域内における前記管理用端末の前記位置情報に基づいた所在状況に基づいて前記避難所が開設されたことを判定する。報知部58は、前記避難所が開設されたことを報知する。これら取得部56と判定部57と報知部58の機能は、例えば、第1や第2の実施形態と同様に、プロセッサがコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0072】
このような避難所管理装置55は、次のような避難所の開設判定動作を実行する。
図11は避難所管理装置55における避難所の開設判定動作の一例を説明するフローチャートである。
【0073】
例えば、取得部56が、管理用端末として予め登録されている携帯端末装置の所在位置を表す位置情報を取得する(ステップ201)。その後、判定部57が、避難所に指定されている施設を含む避難所領域内における管理用端末の位置情報に基づいて避難所が開設されたことを判定する(ステップ202)。然る後に、報知部58が、避難所が開設されたことを報知する(ステップ203)。
【0074】
このような避難所管理装置55は、管理用端末の位置情報を利用することにより、災害時に,人の手によらずに災害対策本部が避難所の開設を検知できるという効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
2,55 避難所管理装置
3 管理用端末
4 ユーザ側端末
11,56 取得部
12,57 判定部
14,58 報知部