(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】液体循環装置、液体吐出装置、及び液体吐出装置の気泡排出方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/19 20060101AFI20241210BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20241210BHJP
B41J 2/175 20060101ALI20241210BHJP
B41J 2/18 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J2/19
B41J2/165 205
B41J2/175 121
B41J2/175 153
B41J2/175 171
B41J2/175 501
B41J2/175 503
B41J2/18
(21)【出願番号】P 2021005162
(22)【出願日】2021-01-15
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 昭寛
(72)【発明者】
【氏名】猪股 聡史
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-023436(JP,A)
【文献】特開2011-201149(JP,A)
【文献】特開2018-099791(JP,A)
【文献】特開2006-069025(JP,A)
【文献】特開2000-103075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する液体供給源から前記液体を吐出する液体吐出ヘッドに前記液体を供給する供給流路と、
前記液体吐出ヘッドから回収した前記液体を前記供給流路に戻す回収流路と、
前記供給流路、前記液体吐出ヘッド、及び前記回収流路を含む循環流路内で前記液体を流動させる液体流動部と、を備え、
前記供給流路、及び前記回収流路の少なくとも一方の流路には、気泡を捕捉可能な空気捕捉部が設けられ、
前記空気捕捉部は、前記流路に設けられた複数の折り返し部により構成されるとともに、前記液体吐出ヘッドよりも高い位置に設けられ、
前記複数の折り返し部のそれぞれは、前記液体が上昇する上昇流路と、前記上昇流路よりも下流に設けられ、前記液体が下降する下降流路とにより構成される、
ことを特徴とする液体循環装置。
【請求項2】
液体を収容する液体供給源から前記液体を吐出する液体吐出ヘッドに前記液体を供給する供給流路と、
前記液体吐出ヘッドから回収した前記液体を前記供給流路に戻す回収流路と、
前記供給流路、前記液体吐出ヘッド、及び前記回収流路を含む循環流路内で前記液体を流動させる液体流動部と、を備え、
前記供給流路、及び前記回収流路の少なくとも一方の流路には、気泡を捕捉可能な空気捕捉部が設けられ、
前記空気捕捉部は、前記液体吐出ヘッドよりも高い位置に設けられ、
前記供給流路は、前記液体を貯留可能な上流貯留部及び下流貯留部と有し、
前記下流貯留部は、前記供給流路において前記上流貯留部より下流に設けられ、
前記回収流路は、前記液体吐出ヘッドと前記上流貯留部とを連通する、
ことを特徴とする液体循環装置。
【請求項3】
前記液体流動部が一度に流動させる前記液体の容量は、前記上流貯留部に貯留可能な最大容量から該上流貯留部が貯留する前記液体の容量を除いた空気容量よりも少ない、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体循環装置。
【請求項4】
前記液体流動部が一度に流動させる前記液体の容量は、前記下流貯留部が貯留する前記液体の容量よりも少ない、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体循環装置。
【請求項5】
前記供給流路に設けられるバルブをさらに備え、
前記バルブは、前記上流貯留部から前記下流貯留部に供給される前記液体の流れを許容し、且つ前記下流貯留部から前記上流貯留部への前記液体の流れを制限する、
ことを特徴とする請求項2から請求項4のうちいずれか一項に記載の液体循環装置。
【請求項6】
前記空気捕捉部は、前記回収流路に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項
5のうちいずれか一項に記載の液体循環装置。
【請求項7】
前記液体流動部が一度に流動させる前記液体の容量は、前記液体吐出ヘッドから前記空気捕捉部までの容量と、前記空気捕捉部から前記供給流路までの容量と、のうち、多い方の容量よりも多い、
ことを特徴とする請求項
6に記載の液体循環装置。
【請求項8】
前記空気捕捉部は、前記流路において最も高い位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項
7のうちいずれか一項に記載の液体循環装置。
【請求項9】
請求項2から請求項5のうちいずれか一項に記載の液体循環装置を複数有し、
前記液体を吐出する前記液体吐出ヘッドを備え、
複数の前記液体循環装置は、共通する1つの前記液体流動部を備え、
1つの前記液体流動部は、複数の前記下流貯留部に空気を供給して該下流貯留部内を加圧する空気加圧部を有し、
前記空気加圧部は、複数の前記下流貯留部内を同時に加圧可能である、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項10】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体を収容する液体供給源から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給する供給流路と、前記液体吐出ヘッドから回収した前記液体を前記供給流路に戻す回収流路と、前記供給流路、前記液体吐出ヘッド、及び前記回収流路を含む循環流路内で前記液体を流動させる液体流動部と、を備え、前記供給流路、及び前記回収流路の少なくとも一方の流路には、気泡を捕捉可能な空気捕捉部が設けられ、前記空気捕捉部は、前記流路において前記液体吐出ヘッドよりも高い位置に設けられた折り返し部により構成され、前記折り返し部は、前記液体が上昇する上昇流路と、前記上昇流路よりも下流に設けられ、前記液体が下降する下降流路とにより構成される液体吐出装置の気泡排出方法であって、
前記液体吐出ヘッド内に存在する気泡が、前記上昇流路または前記下降流路に到達するまで前記液体流動部により前記液体を流動させる第1流動工程と、
前記液体の流動を停止させた状態で空気捕捉時間だけ待機する待機工程と、
前記空気捕捉部に捕捉された前記気泡が前記供給流路に送られるまで前記液体流動部により前記液体を流動させる第2流動工程と、
を含む液体吐出装置の気泡排出方法。
【請求項11】
前記供給流路は、前記回収流路が接続されて前記液体を貯留可能な上流貯留部と、前記上昇流路より下流に設けられて前記液体を貯留可能な下流貯留部と、を有し、
前記第1流動工程と前記第2流動工程の各工程で流動させる前記液体の容量は、前記上流貯留部に貯留可能な最大容量から該上流貯留部が貯留する前記液体の容量を除いた空気容量よりも少ない、
ことを特徴とする請求項
10に記載の液体吐出装置の気泡排出方法。
【請求項12】
前記第1流動工程と前記第2流動工程の各工程で流動させる前記液体の容量は、各工程を開始する前に前記下流貯留部が貯留する前記液体の容量よりも少ない、
ことを特徴とする請求項
11に記載の液体吐出装置の気泡排出方法。
【請求項13】
前記第1流動工程と前記第2流動工程の各工程で流動させる前記液体の容量は、前記液体吐出ヘッドから前記空気捕捉部までの容量と、前記空気捕捉部から前記上流貯留部までの容量と、のうち、多い方の容量よりも多い、
ことを特徴とする請求項
11又は請求項
12に記載の液体吐出装置の気泡排出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体循環装置、液体吐出装置、及び液体吐出装置の気泡排出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、液体吐出ヘッドの一例であるヘッドユニットから液体の一例であるインクを吐出して印刷する液体吐出装置の一例である記録装置がある。記録装置は、液体循環装置の一例であるインク供給ユニットを備える。インク供給ユニットは、サブタンクからヘッドユニットへインクを供給するための供給流路と、ヘッドユニットからサブタンクへインクを回収するための回収流路と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体には、気泡が混入する場合がある。気泡は、流動する液体と共に移動する。特許文献1のインク供給ユニットでは、循環を途中で停止してしまうと気泡がヘッドに集まってしまう虞があるため、一度の循環で一気に気泡を排出する必要がある。そのため、気泡を排出するためのポンプが複数必要となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する液体循環装置は、液体を収容する液体供給源から前記液体を吐出する液体吐出ヘッドに前記液体を供給する供給流路と、前記液体吐出ヘッドから回収した前記液体を前記供給流路に戻す回収流路と、前記供給流路、前記液体吐出ヘッド、及び前記回収流路を含む循環流路内で前記液体を流動させる液体流動部と、を備え、前記供給流路、及び前記回収流路の少なくとも一方の流路には、気泡を捕捉可能な空気捕捉部が設けられ、前記空気捕捉部は、前記液体吐出ヘッドよりも高い位置に設けられる。
【0006】
上記課題を解決する液体吐出装置は、上述した液体循環装置を複数有し、前記液体を吐出する前記液体吐出ヘッドを備え、複数の前記液体循環装置は、共通する1つの前記液体流動部を備え、1つの前記液体流動部は、複数の前記下流貯留部に空気を供給して該下流貯留部内を加圧する空気加圧部を有し、前記空気加圧部は、複数の前記下流貯留部内を同時に加圧可能である。
【0007】
上記課題を解決する液体吐出装置の気泡排出方法は、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体を収容する液体供給源から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給する供給流路と、前記液体吐出ヘッドから回収した前記液体を前記供給流路に戻す回収流路と、前記供給流路、前記液体吐出ヘッド、及び前記回収流路を含む循環流路内で前記液体を流動させる液体流動部と、を備え、前記供給流路、及び前記回収流路の少なくとも一方の流路には、気泡を捕捉可能な空気捕捉部が設けられ、前記空気捕捉部は、前記流路において前記液体吐出ヘッドよりも高い位置に設けられた折り返し部により構成され、前記折り返し部は、前記液体が上昇する上昇流路と、前記上昇流路よりも下流に設けられ、前記液体が下降する下降流路とにより構成される液体吐出装置の気泡排出方法であって、前記液体吐出ヘッド内に存在する気泡が、前記上昇流路または前記下降流路に到達するまで前記液体流動部により前記液体を流動させる第1流動工程と、前記液体の流動を停止させた状態で空気捕捉時間だけ待機する待機工程と、前記空気捕捉部に捕捉された前記気泡が前記供給流路に送られるまで前記液体流動部により前記液体を流動させる第2流動工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】液体吐出装置が備える液体循環装置の一例を示す模式図。
【
図3】気泡排出ルーチンの一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、液体循環装置、液体吐出装置、及び気泡排出方法の一実施形態を、図面を参照して説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0010】
図面では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。
【0011】
[液体吐出装置11の構成]
図1に示すように、液体吐出装置11は、媒体12を収容可能な媒体収容部13と、印刷された媒体12を受けるスタッカー14と、液体吐出装置11を操作するための例えばタッチパネルなどの操作部15と、を備えてもよい。液体吐出装置11は、原稿の画像を読み取る画像読取部16と、画像読取部16に原稿を送る自動給送部17と、を備えてもよい。
【0012】
液体吐出装置11は、液体吐出装置11で実行される各種動作を制御する制御部19を備える。制御部19は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0013】
図2に示すように、液体吐出装置11は、ノズル面21に設けられるノズル22から液体を吐出する液体吐出ヘッド23と、液体循環装置24と、を備える。液体吐出装置11は、複数の液体循環装置24を有してもよい。本実施形態の液体吐出装置11は、2つの液体循環装置24を有する。2つの液体循環装置24の構成は同じである。そのため、共通する構成については同一符号を付すことで重複した説明を省略する。
【0014】
液体循環装置24は、循環流路26と、循環流路26内で液体を流動させる液体流動部27と、を備える。循環流路26は、供給流路28、液体吐出ヘッド23、及び回収流路29を含んで構成される。液体吐出ヘッド23は、供給流路28が接続される第1接続部31と、回収流路29が接続される第2接続部32と、を有してもよい。
【0015】
供給流路28は、液体を収容する液体供給源34から液体吐出ヘッド23に液体を供給する流路である。回収流路29は、液体吐出ヘッド23から回収した液体を供給流路28に戻す流路である。複数の液体循環装置24は、共通する1つの液体流動部27を備えてもよい。液体流動部27は、循環流路26内の液体を循環方向Dに流動させる。
【0016】
複数の液体循環装置24は、それぞれ異なる種類の液体を液体吐出ヘッド23に供給してもよい。例えば、液体吐出装置11は、複数の液体循環装置24により供給される複数色のインクを吐出してカラー印刷を行ってもよい。
【0017】
液体吐出ヘッド23は、液体吐出装置11の本体に対して着脱可能に設けられてもよい。本実施形態の液体吐出ヘッド23は、媒体12の幅方向に亘って設けられるラインタイプである。液体吐出ヘッド23は、媒体12の幅方向に移動しながら印刷を行うシリアルタイプとして構成されてもよい。
【0018】
液体吐出装置11は、液体供給源34が着脱可能に装着される装着部36を備えてもよい。液体供給源34は、液体を収容する収容室37と、収容室37に収容される液体を導出するための導出部38と、導出部38に設けられる収容部側バルブ39と、を備えてもよい。本実施形態の収容室37は、大気と非連通の密閉空間である。装着部36に装着される前の液体供給源34は、循環流路26の容積より多い量の液体を収容してもよい。
【0019】
供給流路28は、上流端が液体供給源34に接続されると共に、下流端が第1接続部31に接続される。供給流路28は、液体供給源34から供給される液体を貯留可能な上流貯留部41及び下流貯留部42を有してもよい。下流貯留部42は、供給流路28において上流貯留部41より下流に設けられる。すなわち、下流貯留部42は、上流貯留部41と液体吐出ヘッド23の間に設けられる。液体循環装置24は、上流貯留部41と下流貯留部42との間の供給流路28に設けられるバルブ43を備えてもよい。
【0020】
回収流路29は、液体吐出ヘッド23と上流貯留部41とを連通する。回収流路29は、上流端が第2接続部32に接続されると共に、下流端が上流貯留部41に接続される。回収流路29には、気泡を捕捉可能な空気捕捉部45が設けられる。空気捕捉部45は、液体吐出ヘッド23よりも高い位置に設けられる。具体的には、空気捕捉部45は、液体吐出ヘッド23内に設けられる液体の流路よりも高い位置に設けられる。空気捕捉部45は、空気捕捉部45が設けられる回収流路29が液体吐出ヘッド23に接続される第2接続部32よりも高い位置に設けられる。
【0021】
空気捕捉部45は、一以上の折り返し部CFにより構成されてもよい。本実施形態において、空気捕捉部45は、供給流路28、及び回収流路29において最も高い位置に設けられ、一つの折り返し部CFにより構成される。折り返し部CFは、循環方向Dに流動する液体が上昇する上昇流路45aと、循環方向Dに流動する液体が下降する下降流路45bとにより構成される。下降流路45bは、上昇流路45aよりも循環方向Dの下流に設けられる。
【0022】
1つの液体流動部27は、複数の下流貯留部42にそれぞれ接続される加圧流路47と、加圧流路47を介して複数の下流貯留部42に空気を供給する空気加圧部48と、を有してもよい。空気加圧部48は、下流貯留部42内を加圧する。空気加圧部48は、複数の下流貯留部42内を同時に加圧可能である。
【0023】
空気加圧部48は、例えばローラーがチューブを押し潰しながら回転することで、空気を送り出すチューブポンプである。空気加圧部48が有する図示しないチューブは、一方の端が開放され、他方の端に加圧流路47が接続される。空気加圧部48は、正転駆動されることにより、取り入れた空気を加圧流路47に送り出す。空気加圧部48は、逆転駆動されることによりローラーがチューブを解放し、加圧流路47内及び下流貯留部42内を大気に連通させる。
【0024】
液体循環装置24は、上流貯留部41に接続される大気開放路50と、大気開放路50に設けられる大気開放弁51と、を備えてもよい。大気開放弁51は、開弁することで大気開放路50を開放し、上流貯留部41を大気に連通させる。
【0025】
次に、上流貯留部41について説明する。上流貯留部41は、装着部36に装着された液体供給源34が収容する液体を導入可能な導入部60を有する。上流貯留部41は、導入部60に設けられる装置側バルブ61と、液体を貯留する第1貯留室62と、第1貯留室62に貯留される液体の量を検出する液量センサー63と、第1貯留室62と大気開放路50とを隔てる第1気液分離膜64と、を有してもよい。第1気液分離膜64は、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する膜である。
【0026】
収容部側バルブ39と装置側バルブ61は、液体供給源34が装着部36に装着されることで開弁すると共に、液体供給源34が装着部36に装着されている間は開弁状態を維持する。液体供給源34が装着部36に装着されるとき、装置側バルブ61が収容部側バルブ39より先に開弁するように構成することで、液体供給源34から液体が漏れる虞を低減できる。
【0027】
導入部60は、上流貯留部41の上部に設けられる。本実施形態の導入部60は、第1貯留室62の天井65を貫通して設けられる。導入部60の下端は、第1貯留室62の中であって、天井65よりも下方に位置する。導入部60の上端は、第1貯留室62の外であって、天井65よりも上方に位置する。導入部60は、液体供給源34が装着部36に装着されることで、液体供給源34が備える導出部38に接続される。
【0028】
導入部60の下端は、ノズル面21よりも下方に位置する。これにより、上流貯留部41内に貯留される液体の第1液面66は、ノズル面21よりも低い範囲で変動する。具体的には、液体供給源34内の液体は、水頭により導出部38及び導入部60を介して上流貯留部41に供給される。液体供給源34には、上流貯留部41に供給した液体の分だけ、導入部60及び導出部38を介して上流貯留部41から空気が導入される。第1液面66は、供給された液体の分だけ上昇する。第1液面66が導入部60の下端に達すると、上流貯留部41から液体供給源34への空気の流入が制限される。収容室37は密閉されているため、空気の流入が制限されると、供給した液体の分だけ収容室37内の圧力は低下する。収容室37内の負圧が、収容室37内の液体の水頭より大きくなると、液体供給源34から上流貯留部41への液体の供給が制限される。
【0029】
第1液面66は、上流貯留部41から下流貯留部42に液体が供給されることで下降する。第1液面66が下降し、導入部60及び導出部38を介して収容室37に空気が流入すると、収容室37内の負圧が小さくなる。収容室37内の負圧が収容室37内の液体の水頭より小さくなると、液体供給源34から上流貯留部41に液体が供給される。したがって、液体供給源34に液体が収容されている間は、第1液面66は、導入部60の下端付近の位置である標準位置に維持される。液体供給源34に収容される液体がなくなると、第1液面66は、標準位置より下方に位置する。
【0030】
液量センサー63は、第1液面66が標準位置に位置すること、第1液面66が標準位置より下方に位置すること、第1液面66が標準位置より上方の満杯位置に位置すること、を検知してもよい。第1液面66が満杯位置に位置するとき、上流貯留部41は、最大量の液体を貯留している。制御部19は、第1液面66が標準位置より下方に位置することを液量センサー63が検出した場合に、液体供給源34が空になったと判定し、液体供給源34の交換をユーザーに指示してもよい。
【0031】
本実施形態の標準位置は、第1貯留室62において、回収流路29の下流端が接続される位置より上方に位置する。したがって、第1液面66が標準位置にあるとき、上流貯留部41内の液体は、回収流路29を介して液体吐出ヘッド23に供給可能である。
【0032】
次に、下流貯留部42について説明する。下流貯留部42は、液体を貯留する第2貯留室68と、第2貯留室68と加圧流路47とを隔てる第2気液分離膜69と、を有してもよい。第2気液分離膜69は、第1気液分離膜64と同様、気体を通過させる一方で液体を通過させない性質を有する膜である。
【0033】
下流貯留部42は、水頭差によって上流貯留部41から液体が供給される。バルブ43は、上流貯留部41から下流貯留部42への液体の流れを許容し、下流貯留部42から上流貯留部41への液体の流れを制限する逆止弁を有して構成されてもよい。第1貯留室62内、及び第2貯留室68内が大気圧とされる場合、下流貯留部42内の液体の第2液面70は、第1液面66と同じ高さになる。換言すると、第2液面70は、導入部60の下端とほぼ同じ高さである標準位置に維持され、ノズル面21よりも低い範囲で変動する。液体吐出ヘッド23内の液体は、上流貯留部41及び下流貯留部42内の液体との水頭差によって負圧に維持される。液体吐出ヘッド23で液体が消費されると、下流貯留部42に貯留される液体が液体吐出ヘッド23に供給される。
【0034】
バルブ43は、下流貯留部42内の圧力が上流貯留部41内の圧力より大きい場合に供給流路28を閉鎖する。そのため、バルブ43は、空気加圧部48による下流貯留部42内の加圧時に、供給流路28を閉塞する。
【0035】
[気泡排出ルーチン]
次に、
図3に示す気泡排出ルーチンを参照し、液体吐出装置11の気泡排出方法について説明する。ここで、各制御方法のステップ順は、各制御方法の目的から逸脱しない範囲で任意に入れ替え可能である。制御部19は、気泡の排出が指示されたタイミングで気泡排出ルーチンを実行してもよい。制御部19は、例えば、循環流路26に液体が充填された後、液体吐出装置11の電源が投入された後、に気泡排出ルーチンを実行してもよいし、定期的に気泡排出ルーチンを実行してもよい。
【0036】
図3に示すように、ステップS101において、制御部19は、上流貯留部41を大気開放させる。ステップS102において、制御部19は、空気加圧部48に下流貯留部42内を加圧させる。
【0037】
ステップS103において、制御部19は、第1液面66が満杯位置に位置するか否かを判定する。第1液面66が満杯位置に位置しない場合、ステップS103がNOになり、制御部19は、処理をステップS106に移行する。第1液面66が満杯位置に位置する場合、ステップS103がYESになり、制御部19は、処理をステップS104に移行する。ステップS104において、制御部19は、空気加圧部48を逆転駆動させ、下流貯留部42を大気開放させる。
【0038】
ステップS105において、制御部19は、第1液面66が標準位置まで低下したか否かを判定する。第1液面66が標準位置に位置しない場合、ステップS105がNOになり、制御部19は、第1液面66が標準位置に位置するまで待機する。第1液面66が標準位置に位置する場合、ステップS105がYESになり、制御部19は、処理をステップS102に移行する。
【0039】
ステップS106において、制御部19は、下流貯留部42から流動容量の液体が供給されたか否かを判断する。下流貯留部42から供給された液体が流動容量に満たない場合、ステップS106がNOになり、制御部19は、処理をステップS103に移行する。下流貯留部42から流動容量の液体が供給された場合、ステップS106がYESになり、制御部19は、処理をステップS107に移行する。
【0040】
ステップS107において制御部19は、空気加圧部48を逆転駆動させ、下流貯留部42を大気開放させる。ステップS108において、制御部19は、下流貯留部42の加圧を所定回数実行したか否かを判断する。所定回数とは、例えば空気捕捉部45の数に1を加えた回数である。本実施形態では、液体循環装置24が1つの空気捕捉部45を備えるため、所定回数は2回になる。下流貯留部42を加圧した回数が所定回数より少ない場合、ステップS108がNOになり、制御部19は、処理をステップS109に移行する。
【0041】
ステップS109において、制御部19は、下流貯留部42を大気開放させてから空気捕捉時間が経過したか否かを判定する。空気捕捉時間が経過していない場合、ステップS109がNOになり、制御部19は、空気捕捉時間が経過するまで待機する。空気捕捉時間が経過すると、ステップS109がYESになり、制御部19は、処理をステップS102に移行する。
【0042】
ステップS108において、気泡排出ルーチンを開始してから下流貯留部42を加圧した回数が所定回数になると、ステップS108がYESになり、制御部19は、気泡排出ルーチンを終了する。
【0043】
次に、気泡排出を行う場合の作用について説明する。
図3に示すように、液体循環装置24は、第1流動工程、待機工程、及び第2流動工程の順に実行して循環流路26から気泡を排出する。具体的には、液体循環装置24は、第1流動工程及び第2流動工程としてステップS102、ステップS106、及びステップS107を実行する。液体循環装置24は、待機工程としてステップS109を実行する。
【0044】
図2に示すように、第1流動工程では、液体吐出ヘッド23内に存在する気泡が、上昇流路45aまたは下降流路45bに到達するまで液体流動部27により液体を流動させる。具体的には、液体循環装置24は、空気加圧部48により下流貯留部42内を加圧することで、下流貯留部42内の液体を押し出し、循環流路26内の液体を循環方向Dに流動させる。このとき、上流貯留部41内は、大気開放されている。そのため、下流貯留部42の圧力は、上流貯留部41の圧力より高くなり、バルブ43は閉弁する。
【0045】
第1流動工程で流動させる液体の容量は、上流貯留部41に貯留可能な最大容量から上流貯留部41が貯留する液体の容量を除いた空気容量よりも少なくてもよい。上流貯留部41に貯留可能な最大容量は、第1液面66が満杯位置に位置するときに上流貯留部41が貯留している液体の容量である。そのため、空気容量は、上流貯留部41が受け入れ可能な液体の容量である。第1流動工程で空気容量よりも少ない液体を流動させた場合、第1流動工程を終了したときの第1液面66の位置は、満杯位置より下方になる。
【0046】
第1流動工程で流動させる液体の容量は、第1流動工程を開始する前に下流貯留部42が貯留する液体の容量よりも少なくてもよい。本実施形態のバルブ43は、下流貯留部42内の圧力が、上流貯留部41内の圧力より高い場合に閉弁する。このため、第1流動工程中は、上流貯留部41から下流貯留部42への液体の供給が停止する。したがって、第1流動工程で下流貯留部42から供給する液体の容量を、下流貯留部42が貯留する液体よりも少なくすることで、第1流動工程中における下流貯留部42への液体の供給が不要になる。
【0047】
第1流動工程で流動させる容量は、液体吐出ヘッド23から空気捕捉部45までの容量よりも多くてもよい。これにより、液体吐出ヘッド23に溜まった気泡が空気捕捉部45まで送られる。
【0048】
待機工程では、液体の流動を停止させた状態で空気捕捉時間だけ待機する。空気捕捉時間とは、例えば、上昇流路45a及び下降流路45bに位置する気泡が浮力により移動し、上昇流路45a及び下降流路45bの中間の位置に集まるのに要する時間である。詳しくは、空気捕捉時間とは、数秒~数十秒程度の時間である。空気捕捉時間は、予め設定された時間であってもよいし、上昇流路45a及び下降流路45bの長さ及び傾斜の大きさ、液体吐出装置11が設置された環境の気温、液体の温度などにより設定してもよい。例えば気温及び液体の温度が高い場合、液体の粘度が低下すると共に、気泡の大きさが大きくなり、気泡は移動しやすくなる。そのため、上昇流路45a及び下降流路45bの長さが短く、傾斜が大きく、気温及び液体の温度が高いほど空気捕捉時間を短くしてもよい。
【0049】
待機工程では、下流貯留部42を大気開放する。そのため、上流貯留部41内と下流貯留部42内がともに大気圧になり、バルブ43が開く。第1流動工程が終了し、待機工程が開始したとき、第1液面66は、第2液面70より上方に位置する。上流貯留部41内の液体は、水頭により下流貯留部42に供給される。待機工程では、第1液面66が下降し、第2液面70が上昇する。
【0050】
第2流動工程では、空気捕捉部45に捕捉された気泡が供給流路28に送られるまで液体流動部27により液体を流動させる。第2流動工程で流動させる液体の容量は、空気捕捉部45から上流貯留部41までの容量よりも多くてもよい。これにより、空気捕捉部45に集まった気泡が供給流路28まで送られる。
【0051】
第1流動工程と第2流動工程では、同じ容量の液体を流動させてもよい。第1流動工程と第2流動工程の各工程で流動させる容量は、液体吐出ヘッド23から空気捕捉部45までの容量と、空気捕捉部45から上流貯留部41までの容量と、のうち、多い方の容量よりも多くてもよい。
【0052】
例えば、待機工程において、第1液面66が標準位置まで下降するのに要する時間に対して空気捕捉時間が短い場合、第2流動工程の開始時に第1液面66が標準位置より上方に位置することがある。この状態で第2流動工程を実行すると、空気捕捉部45に捕捉された気泡が上流貯留部41に送られる前に第1液面66が満杯位置に到達する虞がある。この場合、制御部19は、第2流動工程を中止して下流貯留部42を大気開放してもよい。制御部19は、第1液面66が標準位置に位置するのを待って第2流動工程を行ってもよい。
【0053】
本実施形態の効果について説明する。
(1)液体流動部27は、供給流路28、液体吐出ヘッド23、及び回収流路29を含む循環流路26内で液体を流動させる。空気捕捉部45は、液体吐出ヘッド23よりも高い位置に設けられるため、気泡の捕捉に気泡の浮力を利用することができる。空気捕捉部45は、供給流路28、及び回収流路29の少なくとも一方の流路に設けられる。液体流動部27は、気泡を空気捕捉部45まで流動させることで液体吐出ヘッド23に気泡が集まってしまうことを抑制できるため、循環を途中で停止することが可能となる。したがって、液体流動部27を複数設けることなく循環により気泡を排出することが可能となる。
【0054】
(2)空気捕捉部45は、流路に設けられた折り返し部CFにより構成され、折り返し部CFは、液体が上昇する上昇流路45aと、上昇流路45aよりも下流に設けられ、液体が下降する下降流路45bとにより構成されてもよい。
【0055】
この構成によれば、空気捕捉部45は、流路に設けられた折り返し部CFにより構成される。折り返し部CFは、液体が上昇する上昇流路45aと、上昇流路45aよりも下流に設けられ、液体が下降する下降流路45bとにより構成される。気泡は、浮力により上方に移動する。そのため、空気捕捉部45は、上昇流路45aと、下降流路45bとの中間に、上昇流路45a内の気泡、及び下降流路45b内の気泡を集めることができる。したがって、液体循環装置24は、簡単な構成により空気捕捉部45を実現できる。
【0056】
(3)空気捕捉部45は、流路において最も高い位置に設けられてもよい。
この構成によれば、空気捕捉部45は、気泡に生じる浮力により気泡を空気捕捉部45まで移動しやすくできるとともに、循環を停止した際に気泡が液体吐出ヘッド23に集まることをより抑制できる。
【0057】
(4)空気捕捉部45は、回収流路29に設けられてもよい。
この構成によれば、空気捕捉部45は、液体吐出ヘッド23よりも下流において気泡を捕捉する。したがって、液体吐出ヘッド23を通過した気泡が液体吐出ヘッド23に戻ることを抑制できる。
【0058】
(5)供給流路28は、液体を貯留可能な上流貯留部41及び下流貯留部42を有し、下流貯留部42は、供給流路28において上流貯留部41より下流に設けられ、回収流路29は、液体吐出ヘッド23と上流貯留部41とを連通してもよい。この構成によれば、液体循環装置24は、上流貯留部41において気泡を回収できる。
【0059】
(6)液体流動部27が一度に流動させる液体の容量は、上流貯留部41に貯留可能な最大容量から該上流貯留部41が貯留する液体の容量を除いた空気容量よりも少なくてもよい。この構成によれば、液体流動部27が一度に流動させる液体の容量は、上流貯留部41の空気容量より少ない。すなわち、液体流動部27が液体を流動させるのに伴って上流貯留部41に流入する液体の容量は、空気容量より少ない。したがって、上流貯留部41から液体があふれることを抑制できる。
【0060】
(7)液体流動部27が一度に流動させる液体の容量は、下流貯留部42が貯留する液体の容量よりも少なくてもよい。
例えば、液体流動部27が、下流貯留部42が貯留する液体の容量より多い容量の液体を流動させると、下流貯留部42から空気が供給されてしまう虞がある。その点、この構成によれば、液体流動部27が一度に流動させる液体の容量は、下流貯留部42が貯留する液体の容量よりも少ない。したがって、下流貯留部42に空気を留めやすくできる。
【0061】
(8)供給流路28に設けられるバルブ43をさらに備え、バルブ43は、上流貯留部41から下流貯留部42に供給される液体の流れを許容し、且つ下流貯留部42から上流貯留部41への液体の流れを制限してもよい。この構成によれば、バルブ43は、上流貯留部41から下流貯留部42への液体の流れを許容し、下流貯留部42から上流貯留部41への液体の流れを制限する。そのため、例えば上流貯留部41から下流貯留部42への液体の供給と、下流貯留部42から液体吐出ヘッド23への液体の供給と、を下流貯留部42内の圧力を変化させることで行うことができる。
【0062】
(9)液体流動部27が一度に流動させる液体の容量は、液体吐出ヘッド23から空気捕捉部45までの容量と、空気捕捉部45から供給流路28までの容量と、のうち、多い方の容量よりも多くてもよい。この構成によれば、液体流動部27は、液体吐出ヘッド23から空気捕捉部45までの容量と、空気捕捉部45から供給流路28までの容量と、より多い容量の液体を流動させる。したがって、気泡が液体吐出ヘッド23と空気捕捉部45との間、もしくは空気捕捉部45と供給流路28との間に留まる虞を低減できる。
【0063】
(10)液体吐出装置11は、上述した記載の液体循環装置24を複数有し、液体を吐出する液体吐出ヘッド23を備える。複数の液体循環装置24は、共通する1つの液体流動部27を備え、1つの液体流動部27は、複数の下流貯留部42に空気を供給して該下流貯留部42内を加圧する空気加圧部48を有し、空気加圧部48は、複数の下流貯留部42内を同時に加圧可能である。この構成によれば、液体流動部27は、空気加圧部48を有する。空気加圧部48は、複数の下流貯留部42を同時に加圧可能である。そのため、複数の液体循環装置24は、各液体循環装置24における液体の流動を、共通する1つの液体流動部27により行うことができる。したがって、複数の液体循環装置24が個別に液体流動部27を備える場合に比べて部材点数を低減できる。
【0064】
(11)液体吐出装置11の気泡排出方法において、液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド23と、液体流動部27と、供給流路28と、回収流路29と、を備える。液体吐出ヘッド23は、液体を吐出する。供給流路28は、液体を収容する液体供給源34から液体吐出ヘッド23に液体を供給する。回収流路29は、液体吐出ヘッド23から回収した液体を供給流路28に戻す。液体流動部27は、供給流路28、液体吐出ヘッド23、及び回収流路29を含む循環流路内で液体を流動させる。供給流路28、及び回収流路29の少なくとも一方の流路には、気泡を捕捉可能な空気捕捉部45が設けられ、空気捕捉部45は、流路において液体吐出ヘッド23よりも高い位置に設けられた折り返し部CFにより構成される。折り返し部CFは、液体が上昇する上昇流路45aと、上昇流路45aよりも下流に設けられ、液体が下降する下降流路45bとにより構成される。液体吐出装置11の気泡排出方法は、第1流動工程と、待機工程と、第2流動工程と、を含む。第1流動工程は、液体吐出ヘッド23内に存在する気泡が、上昇流路45aまたは下降流路45bに到達するまで液体流動部27により液体を流動させる。待機工程は、液体の流動を停止させた状態で空気捕捉時間だけ待機する。第2流動工程は、空気捕捉部45に捕捉された気泡が供給流路28に送られるまで液体流動部27により液体を流動させる。この方法によれば、上記液体循環装置24と同様の効果を奏することができる。
【0065】
(12)液体吐出装置11の気泡排出方法において、供給流路28は、回収流路29が接続されて液体を貯留可能な上流貯留部41と、上流流路より下流に設けられて液体を貯留可能な下流貯留部42と、を有する。第1流動工程と第2流動工程の各工程で流動させる液体の容量は、上流貯留部41に貯留可能な最大容量から該上流貯留部41が貯留する液体の容量を除いた空気容量よりも少なくてもよい。
【0066】
この構成によれば、液体流動部27が一度に流動させる液体の容量は、上流貯留部41の空気容量より少ない。すなわち、液体流動部27が液体を流動させるのに伴って上流貯留部41に流入する液体の容量は、空気容量より少ない。したがって、上流貯留部41から液体があふれることを抑制できる。
【0067】
(13)第1流動工程と第2流動工程の各工程で流動させる液体の容量は、各工程を開始する前に下流貯留部42が貯留する液体の容量よりも少なくてもよい。
例えば、液体流動部27が、下流貯留部42が貯留する液体の容量より多い容量の液体を流動させると、下流貯留部42から空気が供給されてしまう虞がある。その点、この構成によれば、液体流動部27が一度に流動させる液体の容量は、下流貯留部42が貯留する液体の容量よりも少ない。したがって、下流貯留部42に空気を留めやすくできる。
【0068】
(14)第1流動工程と第2流動工程の各工程で流動させる液体の容量は、液体吐出ヘッド23から空気捕捉部45までの容量と、空気捕捉部45から上流貯留部41までの容量と、のうち、多い方の容量よりも多くてもよい。
【0069】
この構成によれば、液体流動部27は、液体吐出ヘッド23から空気捕捉部45までの容量と、空気捕捉部45から供給流路28までの容量と、より多い容量の液体を流動させる。したがって、気泡が液体吐出ヘッド23と空気捕捉部45との間、もしくは空気捕捉部45と供給流路28との間に留まる虞を低減できる。
【0070】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・
図4に示すように、空気捕捉部45は、例えば、複数の折り返し部CFにより構成されてもよい。
図4に示す空気捕捉部45は、二つの折り返し部CFにより構成される。これにより、空気捕捉部45は、折り返し部CFが一つである場合に比して、効率よく気泡を捕捉することができる。
【0071】
・
図4に示すように、液体吐出装置11は、1つの液体循環装置24を備えてもよい。液体吐出装置11は、例えば1色のインクを吐出してモノクロ印刷を行ってもよい。
・
図4に示すように、液体吐出ヘッド23は、ノズル面21が水平に対して傾斜する傾斜姿勢となるように配置されてもよい。液体吐出ヘッド23は、傾斜姿勢で媒体12に対して液体を吐出することで印刷を実行してもよい。液体吐出ヘッド23は、ノズル面21が水平になる水平姿勢と傾斜姿勢とに姿勢を変更可能に設けられてもよい。第1接続部31と第2接続部32は、一方が他方より高い位置に位置してもよい。空気捕捉部45は、第1接続部31と第2接続部32のうち高い方に接続される流路に設けられてもよい。例えば、第2接続部32は、第1接続部31より高い位置に位置し、空気捕捉部45は、第2接続部32に接続される回収流路29に設けられてもよい。
【0072】
・空気捕捉時間は、第1液面66が満杯位置から標準位置まで下降するに要する時間より長くしてもよいし、制御部19は、第1液面66が標準位置まで下降してから第2流動工程を実行してもよい。すなわち、制御部19は、第1液面66と第2液面70が標準位置に位置する状態で第2流動工程を開始してもよい。
【0073】
・液体吐出ヘッド23は、複数のノズル22と個別に連通する複数の圧力室と、複数の圧力室が連通する共通液室と、フィルターが収容されるフィルター室と、を有してもよい。第1接続部31及び第2接続部32は、圧力室、共通液室、及びフィルター室のうち、少なくとも1つに接続される。例えば、第1接続部31及び第2接続部32をフィルター室に接続する場合、液体吐出装置11は、液体を流動させることでフィルターに捕捉された気泡を液体と共に上流貯留部41に回収することができる。液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド23内に気泡が溜まった場合に、気泡排出を行ってもよい。
【0074】
・液量センサー63は、第1液面66が標準位置より下方のエンド位置に位置することを検知してもよい。制御部19は、液量センサー63により第1液面66がエンド位置に位置することが検知されると、上流貯留部41が空であることを報知してもよい。エンド位置は、第1液面66と第2液面70がエンド位置に位置するときに上流貯留部41と下流貯留部42が貯留する液体の合計量が、1つの媒体12の印刷に必要な液体の量より多くすると、1つの媒体12への印刷を完了させることができる。
【0075】
・上流貯留部41と下流貯留部42は、一体で構成してもよい。
・空気加圧部48は、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、及びギアポンプなどを用いてもよい。
【0076】
・導入部60と導出部38がそれぞれ設けられてもよい。例えば、1つの流路が液体供給源34から上流貯留部41に液体を流入させ、他の流路が上流貯留部41から液体供給源34に空気を流入させてもよい。
【0077】
・液体吐出装置11は、下流貯留部42を大気開放させる大気開放路50を加圧流路47とは別に備えてもよい。
・複数の液体循環装置24は、液体流動部27を個別に備えてもよい。
【0078】
・液体流動部27は、加圧流路47に設けられる複数の弁を備えてもよい。複数の弁は、複数の下流貯留部42に個別に対応するように設けてもよい。制御部19は、複数の弁と、空気加圧部48と、の駆動を制御することにより、下流貯留部42内を個別に加圧してもよい。
【0079】
・バルブ43は、制御部19による制御により開閉してもよい。制御部19は、液体流動部27が下流貯留部42内の加圧する際にバルブ43を閉じ、上流貯留部41から下流貯留部42に液体を供給する際にバルブ43を開いてもよい。
【0080】
・液体流動部27が一度に流動させる液体の容量は、液体吐出ヘッド23から空気捕捉部45までの容量と、空気捕捉部45から供給流路28までの容量と、のうち、多い方の容量以下であってもよい。例えば、液体流動部27が一度に流動させる液体の容量が、液体吐出ヘッド23から空気捕捉部45までの容量以下である場合、液体吐出ヘッド23から送り出された気泡が、空気捕捉部45まで到達しない虞がある。この場合、空気捕捉時間を長くして気泡が浮力により空気捕捉部45に移動するまで待ってもよい。例えば、液体流動部27が一度に流動させる液体の容量が、空気捕捉部45から供給流路28までの容量以下である場合、空気捕捉部45から送り出された気泡が供給流路28まで到達しない虞がある。この場合、気泡が到達する位置より下流の循環流路26を、気泡が到達する位置より高い位置に設け、気泡が浮力により供給流路28まで移動するようにしてもよい。
【0081】
・液体流動部27が一度に流動させる液体の容量は、下流貯留部42が貯留する液体の容量以上であってもよい。例えば、液体流動部27は、下流貯留部42に液体を供給することで循環流路26内の液体を流動させてもよい。液体流動部27が一度に流動させる液体の容量は、上流貯留部41の空気容量以上であってもよい。液体流動部27は、上流貯留部41と下流貯留部42との間の供給流路28に設けられ、上流貯留部41から下流貯留部42に液体を供給するポンプであってもよい。
【0082】
・回収流路29は、バルブ43より上流の供給流路28であれば上流貯留部41とは異なる位置に接続してもよい。
・空気捕捉部45は、液体吐出ヘッド23よりも高い位置に設けられていれば、供給流路28に設けられてもよい。具体的には、空気捕捉部45は、供給流路28において第1接続部31より高い位置に設けられてもよい。空気捕捉部45が供給流路28に設けられる場合、液体流動部27は、下流貯留部42から空気捕捉部45までの循環流路26の容量と、空気捕捉部45から上流貯留部41までの循環流路26の容量と、のうち、多い方の容量よりも多い液体を一度に流動させてもよい。
【0083】
・液体循環装置24は、複数の空気捕捉部45を備えてもよい。複数の空気捕捉部45は、回収流路29に設けられてもよい。複数の空気捕捉部45は、供給流路28に設けられてもよい。空気捕捉部45は、供給流路28及び回収流路29の双方に設けられてもよい。液体循環装置24が複数の空気捕捉部45を備える場合、気泡排出方法は、第2流動工程を中断して待機工程を行ってもよい。例えば、液体循環装置24が供給流路28に設けられた1つの空気捕捉部45と、回収流路29に設けられた1つの空気捕捉部45を備える場合、第1流動工程により供給流路28に設けられた空気捕捉部45まで気泡を送り、この空気捕捉部45に気泡が溜まるよう空気捕捉時間だけ待機してもよい。第2流動工程では、供給流路28に設けられた空気捕捉部45に溜まった気泡を回収流路29に設けられた空気捕捉部45まで送った後、空気捕捉時間だけ待機し、その後、気泡を上流貯留部41まで送ってもよい。
【0084】
・空気捕捉部45は、循環流路26において最も高い位置とは異なる位置に位置してもよい。
・空気捕捉部45は、気泡を捕捉するフィルターを備えてもよい。
【0085】
・気泡とは、泡状の空気だけでなく、泡状の空気が複数集まって一体となった空気も含む。
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置11であってもよい。液体吐出装置11から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置11から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置11の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置11は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置11は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置11は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0086】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)液体を収容する液体供給源から液体を吐出する液体吐出ヘッドに液体を供給する供給流路と、前記液体吐出ヘッドから回収した液体を前記供給流路に戻す回収流路と、前記供給流路、前記液体吐出ヘッド、及び前記回収流路を含む循環流路内で液体を流動させる液体流動部と、を備える。前記供給流路、及び前記回収流路の少なくとも一方の流路には、気泡を捕捉可能な空気捕捉部が設けられ、前記空気捕捉部は、前記液体吐出ヘッドよりも高い位置に設けられる。
【0087】
この構成によれば、液体流動部は、供給流路、液体吐出ヘッド、及び回収流路を含む循環流路内で液体を流動させる。空気捕捉部は、液体吐出ヘッドよりも高い位置に設けられるため、気泡の捕捉に気泡の浮力を利用することができる。空気捕捉部は、供給流路、及び回収流路の少なくとも一方の流路に設けられる。液体流動部は、気泡を空気捕捉部まで流動させることで、液体吐出ヘッドに気泡が集まってしまうことを抑制できるため、循環を途中で停止することが可能となる。したがって、液体流動部を複数設けることなく循環により気泡を排出することが可能となる。
【0088】
(B)前記空気捕捉部は、前記流路に設けられた折り返し部により構成され、前記折り返し部は、前記液体が上昇する上昇流路と、前記上昇流路よりも下流に設けられ、前記液体が下降する下降流路とにより構成されてもよい。
【0089】
この構成によれば、空気捕捉部は、流路に設けられた折り返し部により構成される。折り返し部は、液体が上昇する上昇流路と、上昇流路よりも下流に設けられ、液体が下降する下降流路とにより構成される。気泡は、浮力により上方に移動する。そのため、空気捕捉部は、上昇流路と、下降流路との中間に、上昇流路内の気泡、及び下降流路内の気泡を集めることができる。したがって、液体循環装置は、簡単な構成により空気捕捉部を実現できる。
【0090】
(C)前記空気捕捉部は、複数の前記折り返し部により構成されてもよい。
この構成によれば、空気捕捉部は、折り返し部が一つである場合に比して、効率よく気泡を捕捉できる。
【0091】
(D)前記空気捕捉部は、前記流路において最も高い位置に設けられてもよい。
この構成によれば、空気捕捉部は、気泡に生じる浮力により気泡を空気捕捉部まで移動しやすくできるとともに、循環を停止した際に気泡が液体吐出ヘッドに集まることをより抑制できる。
【0092】
(E)前記空気捕捉部は、前記回収流路に設けられてもよい。
この構成によれば、空気捕捉部は、液体吐出ヘッドよりも下流において気泡を捕捉する。したがって、液体吐出ヘッドを通過した気泡が液体吐出ヘッドに戻ることを抑制できる。
【0093】
(F)前記供給流路は、前記液体を貯留可能な上流貯留部及び下流貯留部を有し、前記下流貯留部は、前記供給流路において前記上流貯留部より下流に設けられ、前記回収流路は、前記液体吐出ヘッドと前記上流貯留部とを連通してもよい。この構成によれば、液体循環装置は、上流貯留部において気泡を回収できる。
【0094】
(G)前記液体流動部が一度に流動させる前記液体の容量は、前記上流貯留部に貯留可能な最大容量から該上流貯留部が貯留する前記液体の容量を除いた空気容量よりも少なくてもよい。
【0095】
この構成によれば、液体流動部が一度に流動させる液体の容量は、上流貯留部の空気容量より少ない。すなわち、液体流動部が液体を流動させるのに伴って上流貯留部に流入する液体の容量は、空気容量より少ない。したがって、上流貯留部から液体があふれることを抑制できる。
【0096】
(H)前記液体流動部が一度に流動させる前記液体の容量は、前記下流貯留部が貯留する前記液体の容量よりも少なくてもよい。
例えば、液体流動部が、下流貯留部が貯留する液体の容量より多い容量の液体を流動させると、下流貯留部から空気が供給されてしまう虞がある。その点、この構成によれば、液体流動部が一度に流動させる液体の容量は、下流貯留部が貯留する液体の容量よりも少ない。したがって、下流貯留部に空気を留めやすくできる。
【0097】
(I)前記供給流路に設けられるバルブをさらに備え、前記バルブは、前記上流貯留部から前記下流貯留部に供給される前記液体の流れを許容し、且つ前記下流貯留部から前記上流貯留部への液体の流れを制限してもよい。
【0098】
この構成によれば、バルブは、上流貯留部から下流貯留部への液体の流れを許容し、下流貯留部から上流貯留部への液体の流れを制限する。そのため、例えば上流貯留部から下流貯留部への液体の供給と、下流貯留部から液体吐出ヘッドへの液体の供給と、を下流貯留部内の圧力を変化させることで行うことができる。
【0099】
(J)前記液体流動部が一度に流動させる前記液体の容量は、前記液体吐出ヘッドから前記空気捕捉部までの容量と、前記空気捕捉部から前記供給流路までの容量と、のうち、多い方の容量よりも多くてもよい。
【0100】
この構成によれば、液体流動部は、液体吐出ヘッドから空気捕捉部までの容量と、空気捕捉部から供給流路までの容量と、より多い容量の液体を流動させる。したがって、気泡が液体吐出ヘッドと空気捕捉部との間、もしくは空気捕捉部と供給流路との間に留まる虞を低減できる。
【0101】
(K)液体吐出装置は、上述した記載の液体循環装置を複数有し、前記液体を吐出する前記液体吐出ヘッドを備える。複数の前記液体循環装置は、共通する1つの前記液体流動部を備え、1つの前記液体流動部は、複数の前記下流貯留部に空気を供給して該下流貯留部内を加圧する空気加圧部を有し、前記空気加圧部は、複数の前記下流貯留部内を同時に加圧可能である。
【0102】
この構成によれば、液体流動部は、空気加圧部を有する。空気加圧部は、複数の下流貯留部を同時に加圧可能である。そのため、複数の液体循環装置は、各液体循環装置における液体の流動を、共通する1つの液体流動部により行うことができる。したがって、複数の液体循環装置が個別に液体流動部を備える場合に比べて部材点数を低減できる。
【0103】
(L)液体吐出装置の気泡排出方法において、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体を収容する液体供給源から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給する供給流路と、前記液体吐出ヘッドから回収した前記液体を前記供給流路に戻す回収流路と、前記供給流路、前記液体吐出ヘッド、及び前記回収流路を含む循環流路内で前記液体を流動させる液体流動部と、を備え、前記供給流路、及び前記回収流路の少なくとも一方の流路には、気泡を捕捉可能な空気捕捉部が設けられ、前記空気捕捉部は、前記流路において前記液体吐出ヘッドよりも高い位置に設けられた折り返し部により構成され、前記折り返し部は、前記液体が上昇する上昇流路と、前記上昇流路よりも下流に設けられ、前記液体が下降する下降流路とにより構成される液体吐出装置の気泡排出方法であって、前記液体吐出ヘッド内に存在する気泡が、前記上昇流路または前記下降流路に到達するまで前記液体流動部により前記液体を流動させる第1流動工程と、前記液体の流動を停止させた状態で空気捕捉時間だけ待機する待機工程と、前記空気捕捉部に捕捉された前記気泡が前記供給流路に送られるまで前記液体流動部により前記液体を流動させる第2流動工程と、を含む。この方法によれば、上記液体循環装置と同様の効果を奏することができる。
【0104】
(M)液体吐出装置の気泡排出方法前記供給流路は、前記回収流路が接続されて前記液体を貯留可能な上流貯留部と、前記上昇流路より下流に設けられて前記液体を貯留可能な下流貯留部と、を有する。前記第1流動工程と前記第2流動工程の各工程で流動させる前記液体の容量は、前記上流貯留部に貯留可能な最大容量から該上流貯留部が貯留する前記液体の容量を除いた空気容量よりも少なくてもよい。
【0105】
この構成によれば、液体流動部が一度に流動させる液体の容量は、上流貯留部の空気容量より少ない。すなわち、液体流動部が液体を流動させるのに伴って上流貯留部に流入する液体の容量は、空気容量より少ない。したがって、上流貯留部から液体があふれることを抑制できる。
【0106】
(N)前記第1流動工程と前記第2流動工程の各工程で流動させる前記液体の容量は、各工程を開始する前に前記下流貯留部が貯留する前記液体の容量よりも少なくてもよい。
例えば、液体流動部が、下流貯留部が貯留する液体の容量より多い容量の液体を流動させると、下流貯留部から空気が供給されてしまう虞がある。その点、この構成によれば、液体流動部が一度に流動させる液体の容量は、下流貯留部が貯留する液体の容量よりも少ない。したがって、下流貯留部に空気を留めやすくできる。
【0107】
(O)前記第1流動工程と前記第2流動工程の各工程で流動させる前記液体の容量は、前記液体吐出ヘッドから前記空気捕捉部までの容量と、前記空気捕捉部から前記上流貯留部までの容量と、のうち、多い方の容量よりも多くてもよい。
【0108】
この構成によれば、液体流動部は、液体吐出ヘッドから空気捕捉部までの容量と、空気捕捉部から供給流路までの容量と、より多い容量の液体を流動させる。したがって、気泡が液体吐出ヘッドと空気捕捉部との間、もしくは空気捕捉部と供給流路との間に留まる虞を低減できる。
【符号の説明】
【0109】
11…液体吐出装置、12…媒体、13…媒体収容部、14…スタッカー、15…操作部、16…画像読取部、17…自動給送部、19…制御部、21…ノズル面、22…ノズル、23…液体吐出ヘッド、24…液体循環装置、26…循環流路、27…液体流動部、28…供給流路、29…回収流路、31…第1接続部、32…第2接続部、34…液体供給源、36…装着部、37…収容室、38…導出部、39…収容部側バルブ、41…上流貯留部、42…下流貯留部、43…バルブ、45…空気捕捉部、45a…上昇流路、45b…下降流路、47…加圧流路、48…空気加圧部、50…大気開放路、51…大気開放弁、60…導入部、61…装置側バルブ、62…第1貯留室、63…液量センサー、64…第1気液分離膜、65…天井、66…第1液面、68…第2貯留室、69…第2気液分離膜、70…第2液面、CF…折り返し部、D…循環方向。